新生銀行を核とする「第4のメガバンク構想」か…SBIが新生銀の筆頭株主に、警戒広がる

 上場している地方銀行・グループ77社の2021年3月期決算は33社が最終減益、3社が赤字だった。20年3月期に最終赤字だった、みちのく銀行(本店青森市)、清水銀行(静岡市)、島根銀行(松江市)の3社は黒字転換したが、じもとホールディングス(仙台市)、東邦銀行(福島市)、福島銀行(同)の3社が赤字に転落。減益となった銀行の数は20年3月期の54社から33社に減ったが、依然として全地銀の4割を上回る。

 青森県を営業地盤とする青森銀行とみちのく銀行は22年4月に持ち株会社を設立して、2年後の24年に合併することで基本合意した。統合後の青森県内のシェアは7割となるが、20年11月に施行した独占禁止法特例法では「一定の条件を満たせば独占的なシェアになっても合併を認めている。青森・みちのくの両行の再編は特例法の適用第1号となる。持ち株会社が上場し、両行は上場廃止となる」(有力地銀の頭取)。

 店舗数と貸出残高は青森銀が95店で1兆8563億円、みちのく銀は94店で1兆7212億円。両行は規模が似通い永年のライバルだった。厳しい経営環境が合併の背景にある。2040年までの人口減少率で青森県は秋田県に続いてワースト2位の6.5%減。少子高齢化は全国トップクラスのスピードで進む。

 18年に金融庁が発表した「地域金融の課題と競争のあり方」で示された都道府県ごとの存続可能な地銀の数で青森県は、「県内1銀行でシェア100%になっても採算が取れない」と、実に厳しい評価を下された。

 みちのく銀が統合を決断したのは、公的資金200億円の返済期限が24年9月末に迫っているためだ。同行は08年のリーマン・ショック後の景気後退で経営が悪化。09年9月、金融機能強化法に基づいて公的資金が注入された。20年3月期連結決算で最終損益が46億円の赤字に転落し、上場地銀でワースト1位となった。自己資本比率(単体)も7.4%まで落ち込み、こちらはワースト2位。「公的資金の返済どころではない」(関係者)。

 新しく誕生する持ち株会社の本店はみちのく銀本店(青森市勝田)に。本社機能は青森銀本店(青森市橋本)に置き、「みちのく銀が青森銀に救済合併される」(東北地方の有力地銀のトップ)の印象を少しでも薄めようとしている。持ち株会社の社長には青森銀の成田晋頭取、副社長は藤澤貴之・みちのく銀頭取が就任する。みちのく銀は「中興の祖」と呼ばれた大道寺小三郎氏が経営トップの時代に、上位都銀に先んじて単独でロシアに進出し、消費者金融を手掛けた。大道寺氏は「破天荒のバンカー」「青森の古狸」と評せられた。

 05年、みちのく銀は3回目の業務改善命令を受け、「永年のワンマン体制の弊害」を指摘され、大道寺会長は引責辞任した。同年、80歳で憤死した、と地元ではいわれている。大道寺氏の拡大路線のツケが重くのしかかり、“宿敵”の青森銀の軍門に降ることとなったという見方もある。

福井銀、福邦銀を連結子会社に

 福井市に本店を置く地銀の福井銀行と第二地銀の福邦銀行は、福井銀が福邦銀を10月に連結子会社にする。福井銀が議決権ベースで福邦銀の株式の51.98%を握り親会社となる。福邦銀は09年、公的資金60億円の注入を受け、返済期限が24年に迫っていた。公的資金の返済が、みちのく銀行と同じで最大の経営課題となっていた。

 10月1日付で福邦銀が公的資金60億円を返済するのと同時に、福井銀が第三者割当増資を引き受け、50億円出資する。これで公的資金の返済問題をクリアできる。福井銀が福邦銀に役員を派遣するほか、両行で現在110カ所ある拠点を2割削減する。地域商社や人材派遣会社の設立を検討し、24年度末(25年3月)までに70億円の利益の押し上げ効果を狙う。

 日本銀行は再編を決めた地銀に対し、日銀に預けている当座預金の利子を年0.1%上乗せする制度を設けている。福井銀、福邦銀は6月に予定している福邦銀の株主総会後、この制度の適用を申請することを明らかにしている。菅義偉首相は昨年9月、自民党総裁選への出馬にあたり「地銀の数が多すぎるのではないか」と発言。独禁法の適用除外とする特例法の成立に向けて動いたとされる。

 菅政権誕生後、福井銀行と福邦銀行が資本提携で合意。福井銀が福邦銀を子会社にすることと、青森銀・みちのく銀の経営統合が、期せずして同じ5月14日に発表された。

SBIHDの“地銀連合”は道半ば

 SBIホールディングス(HD)は大臣経験者や官僚OBを次々に経営陣に迎え入れている。6月29日付で元財務省事務次官の福田淳一氏と元農林水産省事務次官の末松広行氏が社外取締役に就任する。元金融担当相の竹中平蔵氏は16年6月から社外取締役として名を連ねている。

 元金融庁長官の五味広文氏をボードメンバーにしたことがSBIHD社長・北尾吉孝氏流の「政官接近術」といわれた。五味氏は17~19年、社外取締役を務め、取締役退任後の今はアドバイザリーボードのメンバーである。さらに、SBIHDは出資先の福島銀行の社外取締役に五味氏を派遣した。お目付け役という位置づけなのかもしれない。福田氏を社外取締役に起用するにあたって「地域金融機関との連携で知見を活用させていただきたい」としている。

 SBIHDは「第4のメガバンク(地銀連合)」構想を掲げ、10行をメドに全国の地銀・第二地銀と資本・業務提携を進めている。19年9月、島根銀行(全国最小の第二地銀、本店松江市)、同年11月には福島県の第二地銀、福島銀行(福島市)に支援の手を差し伸べた。翌20年1月、福岡県下の地銀で福岡証券取引所に単独上場している筑邦銀行(福岡県久留米市)と資本提携した。

 静岡県の地銀、清水銀行(静岡市清水区)とは20年2月、群馬県の第二地銀、東和銀行(前橋市)は同年10月である。同年11月に山形県の第二地銀、きらやか銀行(山形市)、宮城県の第二地銀、仙台銀行(同仙台市)と手を結んだ。きらやか銀と仙台銀は2012年に経営統合し、じもとホールディングス(本社仙台市)となった。

 そして、本年5月14日、茨城県つくば市に本部がある地銀、筑波銀行と資本・業務提携すると発表した。筑波銀が8行目となる。筑波銀は10年、関東つくば銀行(土浦市)と茨城銀行(水戸市)が合併し発足した。筑波銀は11年、金融機能強化法に基づき350億円の公的資金の注入を受け、31年に返済期限を迎える。

 みちのく銀、福邦銀、筑波銀に共通するのは公的資金の注入行であるという点だ。第三銀行(三重県松阪市、公的資金300億円の返済期限は24年10月)は三重銀行(三重県四日市市)と経営統合し、三十三(さんじゅうさん)フィナンシャルグループ(三重県四日市市)に生まれ変わった。

 北都銀行(秋田県、公的資金100億円、26年4月返済期限)は荘内銀行(山形県鶴岡市)と経営統合し、フィデアホールディングスとなった。フィデアの本社は仙台市にあり、念願だった東北最大の金融都市、仙台への進出を果たした。公的資金の注入行は全国におよそ10行ある。公的資金の返還問題が地銀・第二地銀再編のキーワードとして急浮上してきた。

SBIHDは新生銀行株16.5%を保有する筆頭株主

SBIHDが進める地銀連合構想の本当の狙いが読めない」といぶかる金融関係者は多い。「第4のメガバンク」構想という位置付けだが、金融界では「弱者連合」という突き放した見方が大半。各地に点在する弱小地銀・第二地銀と資本・業務提携しても、メガバンクにはなれないからだ。

「地銀連合の核に新生銀行を据え、連合構想の機関車役にするのが真の狙いだ」(首都圏の有力地銀の若手役員)との読みが働く。新生銀の前身は1998年に経営破綻した日本長期信用銀行。優先株として注入された公的資金(3700億円、注入時)が、今もって完済されていない。

 19年8月、新生銀の筆頭株主だった米投資ファンド、JCフラワーズの持ち株の売却が完了した時点でSBIHDが動いた。新生銀の有価証券報告書によると20年9月中間決算時点の大株主の構成は預金保険機構が12.03%、整理回収機構が8.94%。SBIHDは12.0%だった。SBIは20年12月、議決権ベース(自社株を除く)で13.09%まで買い増し、預金保険機構(この時点で12.0%)を抜き筆頭株主に躍り出た。同年1月初旬の保有比率は5%程度だったから、積極的に買い増しを進めたことになる。

 3月30日に提出されたSBIHDの大量保有報告書によると、SBIHDの持ち株比率は16.5%にまで上昇した。自己株式を除いた議決権ベースでは19%超になっているとみられている。新生銀行グループがマネックス証券と包括的業務提携を発表したことが、SBIの買い増しのきっかけとなった、と関係者は分析する。新生銀は投資信託などマネックスの金融商品を取り扱うという。

 旧長銀が発行していた「リッチョー」や「ワリチョー」が営業面で地銀と密接な関係を築く上で大いにプラスになった。その“遺産”が新生銀には残っているとされている。新生銀を核に第4のメガバンクをつくり、SBIHDが大株主として君臨する――。これがSBIHDが描くシナリオなのか。地銀再編劇はまだひと山もふた山もありそうである。

(文=編集部)

女性自衛官が幹部自衛官から性的暴行、警務隊の不適切な聴取で「うつ病」に…階級重視の犠牲

 前回の記事では、元自衛官で20代女性のAさんが、昨年7月に北海道の矢臼別演習場での訓練中に40代の男性幹部自衛官Bから性的暴力を受けた被害の実態について詳述した。Aさんは被害を自衛隊内の警察にあたる「警務隊」に報告したが、その際の警務隊のずさんな対応について、今回は明らかにする(階級は事件発生当時)。

被害者と加害者を同じ隊舎に置こうとしたため、母親が駐屯地外に移すことを要請

 BがAさんへの犯行後も女性自衛官が寝ているテントにまで来てちょっかいを出すなどしたため、他の女性自衛官への被害を懸念したAさんは、犯行から4日目の30日午前10時ごろに中隊長(男性)などから事実確認と聴取を受けた。そして警務隊に出動要請が出され、その日の夕方に演習場に到着した。

 事件に関係のあるテントや犯行現場となった自衛隊の専用車両が差し押さえられ、Aさんは女性警務官に保護されながら、近くの産婦人科で緊急受診した後、演習場へ帰隊した。演習最終日の31日午前8時ごろに撤収作業が始まり、中隊長Cなどとともに管理隊舎に移動した。夕方16時前にAさんは警務隊からの聴取を受け、終了後にBが同じ隊舎に居ることを告げられた。Bは手錠などがかけられているわけではなく、あくまで警務隊の監視下に置かれているだけだった。隊長がAさんの母親に事件が起きた旨や今後の流れなどを連絡したところ、Bが同じ隊舎にいることを知った母親は、Aさんを演習場外の民間宿泊施設に移すことを提案し、許可された。

 8月1日昼頃からAさんへの聴取が釧路駐屯地内の警務隊室で本格的に始まり、事実確認及び被害届提出、事件当時に身につけていた衣類の提出などが行われた。4日にそれまでの聴取内容に基づいて書類が作成され、Aさんは5日から夏季休暇に入った。10日後の15日、大隊長、中隊長が実家へ来て、母親へ事実報告がなされ、Aさんは16日に中隊長と共に駐屯地へ帰隊した。

「合意があった」という噂広まる、警務隊もそれを前提に取り調べ

 17日から連日の聴取が再開されたが、Aさんに対する同僚の自衛官の反応は冷淡だった。帰隊したその日、風呂場で女性自衛官から「Bに昇任のために媚びを売ったのではないか」と悪口を言われ、「Bと合意があった」というような噂が広がっていった。

 B本人も周囲に「合意があった」と発言していたこともあり、警務隊による聴取も圧迫的になっていった。女性警務官2人が聴取したが、「合意があったのか? 記憶は本当に合っているのか?」と、さもBの言ったことが正しいかのような姿勢になり、「一升瓶を持っていたという証言もある」「あなたが話した内容で不利益になることになる」などAさんに責任があるかのような発言が続いたという。なお、Aさんは事件前の宴会で一升瓶を手に持っていたことは事実だが、周囲の隊員に注いでまわっていたためで、飲酒はしていたものの記憶を失うような泥酔状態ではなかった。

 中隊長からも「合意があったとBが言っており、聴取の内容と合わない」として事実の再確認を求められた。警務隊からスマホの提出が求められることもあったという。Aさんにとって辛かったのは、同僚からの目が冷たくなり、悪口も言われるようになったことだ。当時Aさんが記したメモには「指導も厳しくなり、上官相手に被害届を出したことがまずかったのだろうか」「中隊でも冷たい目で見られる。相手は幹部だ。負ける」「実家に帰ろう。帰りたい」「階級がそんなに大事か。続けるのは無理」といった悲壮な言葉が綴られている。

聴取内容が漏えい、情報保全体制ゼロ、SNSにも書き込まれる

 耐えきれなくなったAさんは9月3日に依願退職願を中隊長に提出し、休職することとなった。聴取が本格的に行われた8月以降、なぜか聴取の内容が隊内に広がっており、インスタグラムやインターネット掲示板に事件について書き込まれた。非通知のワン切り電話も来るようになるなど、Aさんは誹謗中傷に苦しんだ。同僚や友人からの電話にも怖くて出られなくなり、睡眠不足や事件当時のフラッシュバックなどの症状に苦しみ、うつ病と診断され、現在も治療中だ。

 10月中旬ごろに釧路地方検察庁の女性検察官が来て、検察側の聴取が始まった。警務隊のように「Bと合意があった」ということがさも前提かのような圧迫的な聴取とは違い、客観的な事実関係に着目しての聴取だったことが印象的だったという。その検察官からの4回の聴取を受け、12 月3日にBを強制性交等容疑で起訴するとの報告があった。その際、「相手側が最初、合意があったと言っていたが、今現在は酔っていて覚えていないと言っている」と教えてくれたという。Bが警務隊という身内の取り調べではなく、検察の聴取を受けて証言を変えた可能性がある。

 その後、今年1月17日に第1回目の刑事裁判が開かれ、事件現場から検出されたBの体液や、事件直後に送った同期へのLINE、Aさんが長期にわたる聴取でも内容が変わらないことなどが証拠となり、2月22日にBに実刑5年の判決が言い渡された。Bは3日後の25日に懲戒免職処分となった。

 Aさんは現在、知り合いに紹介されたアルバイトをしながら治療に続けている。

階級が低い自衛官が明らかに不利な、警務隊による取り調べの悪弊

 今回の事件での自衛隊の対応は、Aさんと犯人であるBを同じ宿舎に泊めようとしたり、警務隊の聴取が、Aさんより上の階級のBが「合意があった」と発言したことをきっかけにAさんに高圧的になったりと、性暴力の被害者に対する対応としては不適切である。聴取をすることは必要だが、被害者側をケアする姿勢を示しながら行うことが最低限の条件だろう。

 第1回目でご覧いただいたように、BがAさんに犯行後もしつこくつきまとい、女性自衛官専用のテントにまで侵入するなど多分に性犯罪者的な傾向を持つ人間であったことは、Aさんの証言から現地の陸自幹部には共有されていたはずである。Bは11月に逮捕される直前まで通常通り、駐屯地で勤務していたという。他の目撃者、証言者もいたにもかかわらず、Bに対してここまで甘い対応をして、陸自幹部の誰も他の女性自衛官への被害が出る可能性を考慮に入れなかったのだろうか。

 自衛隊は、階級が上の人間が強い権限を持つ組織であり、それがゆえに上の人間に対する責任がより鋭く問われて然るべきだ。階級がどうあろうと、女性に性暴力を振るった時点で、その人間は犯罪者として扱うべきだという至極当たり前の考え方が、自衛隊ではまかり通らないのだろうか。

 今回の場合、たまたまAさんが気丈であったからBに実刑という社会的制裁が下ったが、気弱な女性自衛官なら被害を取り下げてもおかしくない。自衛隊の隠蔽体質はこれまでたびたび指摘してきたが、このような組織体質が多くの被害者の声を封じてきたのは想像に難くない。

 次回は、Aさんへの聴取内容が隊内に即広まるという甘い情報管理の実態に加え、警務隊の人事システムが、公平であるべき聴取を歪めている現状などについて明らかにする。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

記者クラブ問題や防衛、航空、自動車などを幅広くカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや⽂春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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シルバーステートらJRA新種牡馬の高い壁。「2021ディープインパクト産駒」の注目20頭と日本ダービー候補を独自の採点でランキング

 先週は今年デビューするキタサンブラック、ドレフォン、シルバーステート、イスラボニータなどの新種牡馬を紹介した。どれも魅力的な馬ばかりだが、この新種牡馬の壁となる最大の存在を忘れてはならない。それがディープインパクトだ。

 残り2世代となったディープインパクトだが、現2歳世代は113頭が競走馬登録されている。その1頭であるコマンドラインは早くも新馬戦を快勝し、その素質の高さから来年の日本ダービー候補と評価も高い。しかし、まだまだ粒ぞろいの素質馬がおり、これから秋に向けて続々デビューを控えている。

 ディープインパクト産駒はここまで日本ダービーを7勝し、コントレイルがクラシック三冠を、さらにジェンティルドンナが牝馬三冠を達成するなど、その活躍は史上最高種牡馬と名高い。当然のことながら、来年のクラシック戦線に向けても中心は譲れないところだろう。

 そんな2021年のディープインパクト2歳世代をチェックし、その中で来年のダービー候補となり得る注目の20頭を紹介する。なお今回は血統・厩舎・生産者・誕生日などを踏まえ、独自の指標で日本ダービー候補としての評価を採点する。
(4つの指標で各項目5点満点 最大20点)


■2021-2022年デビューのディープインパクト産駒 期待馬20頭

1位:ディーンズリスター【19点】

血 統【5】母ラヴズオンリーミー(母父Storm Cat)
厩 舎【5】矢作芳人(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/14

 ラヴズオンリーユーの全弟で期待は大。サンデーレーシングにて1億5000万円(1口375万円×40口)で募集された期待馬。実は話題のコマンドラインより評価は上だ。サンデーレーシングの同馬紹介文には「父(ディープインパクト)が晩年に残した最高傑作」と絶大な評価。当然ノーザンファームの生産馬は満点の5点。さらに血統も文句なしで、矢作厩舎はコントレイルとディープブリランテで日本ダービー2勝と非の打ち所がない状況。2月生まれはディープインパクト産駒の日本ダービー馬7頭中1頭に該当。


2位:サンセットクラウド【18点】

血 統【4】母ロードクロサイト(母父Unbridled’s Song)
厩 舎【5】矢作芳人(栗東)
生 産【5】ノースヒルズ
誕生日【4】3/7

 昨年の三冠馬コントレイルの全弟だが、同馬は芦毛なので母ロードクロサイトの血が強く出ている可能性がある。その場合は短距離向きになりそうで、日本ダービーの2400mは長いかも。ノースヒルズの生産馬で5点。名門矢作厩舎も満点評価だが、コントレイル以外の兄姉が今一つの成績なので、全弟だからといって過度な期待はできない。とはいえ兄同様の能力があれば兄弟制覇も現実に。


3位:コマンドライン【17点】

血 統【5】母コンドコマンド(母父Tiz Wonderful)
厩 舎【3】国枝栄(美浦)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/20

 サンデーレーシングで募集額1億4000万円。ノーザンファームの生産馬は満点の5点。血統的にも全兄アルジャンナが結果を出しており馬場適性は上々。ただし国枝厩舎の活躍馬は牝馬に集中し、3歳のG1レースも牡馬は未勝利で減点。2月生まれはディープインパクト産駒の日本ダービー馬7頭中1頭に該当。すでに新馬戦を勝利し順調度は一番。


3位:ダノンマイソウル【17点】

血 統【3】母フォエヴァーダーリング(母父Congrats)
厩 舎【5】矢作芳人(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/18

 セレクトセールで4億円。ダノンのディープインパクト産駒はこのランキングに4頭が揃うなど素質馬が揃ったが、その中でもっとも高額だった馬。母父CongratsはA.P.Indy産駒でアメリカのG2を2勝と実績は今一つ。BMSでハートレーが重賞勝利も他に目立った活躍馬は不在で距離も2000m以下向き。半姉モンファボリはFrankel産駒で短距離向きだったが、ディープインパクトに変わって距離適性がどう出るか。厩舎の評判は高く、先日ゲート試験に合格し再放牧。デビューは秋以降とのこと。


3位:トゥデイイズザデイ【17点】

血 統【3】母キトゥンズクイーン(母父Kitten’s Joy)
厩 舎【4】池江泰寿(栗東)
生 産【5】ノースヒルズ
誕生日【5】4/8

 日本ダービー3勝のノースヒルズ生産馬は5点満点。半兄ヴィヴァン(父ハーツクライ)は新馬戦でシャフリヤールと同タイムの2着。ディープインパクトと母父Kitten’s Joyの相性は悪くないが距離に不安も。池江厩舎はオルフェーヴルで日本ダービーを勝利するも、2017年の63勝をピークに46→45→38勝と年々成績が降下。今年もまだ重賞未勝利と不振なのは懸念材料。4月生まれはディープインパクト産駒の日本ダービー馬7頭中2頭に該当。


3位:リアド【17点】

血 統【3】母タイタンクイーン(母父Tiznow)
厩 舎【5】友道康夫(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/17

 アドマイヤの近藤利一氏がセレクトセールで4億7000万円で落札するも、オーナーは大塚亮一氏に変わった。セレクトセールの4億円超え落札馬は過去の傾向から目立った活躍馬はいない。兄姉の成績や血統的にも2000mがギリギリといった印象。ノーザンファームの生産馬、ワグネリアンとマカヒキで日本ダービーを制した友道厩舎で期待が高まるも、あと一押しに欠ける印象。


3位:ジャスティンパレス【17点】

血 統【4】母パレスルーマー(母父Royal Anthem)
厩 舎【3】杉山晴紀(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【5】4/12

 セレクトセールで1億9000万円、そしてノーザンファームの生産馬。半兄Palace MaliceはアメリカのG1ベルモントSの優勝馬という良血。ただし本馬の全姉パラッツォレジーナは日本で4戦未勝利。杉山厩舎はデアリングタクトでブレイクも、ディープインパクト産駒の管理は同馬が初めて。また牡馬クラシックでも活躍馬は不在と経験不足が否めない部分はある。


8位:コリエンテス【16点】

血 統【3】母イスパニダ(母父Pure Prize)
厩 舎【4】堀宣行(美浦)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】3/23

 シルクレーシングで1億円の募集馬。ノーザンファームの生産馬は満点の5点。母系にStorm Catの血がありキズナに近い配合も、日本の馬場適性は未知数。堀厩舎はドゥラメンテで日本ダービーを勝利し、さらにモーリス、サリオスなどを管理した名門。ただしディープインパクト産駒7頭の日本ダービー馬はすべて関西の厩舎で関東の厩舎は減点。3月生まれはディープインパクト産駒の日本ダービー馬7頭中1頭に該当。


8位:キラーアビリティ【16点】

血 統【3】母キラーグレイシス(母父Congaree)
厩 舎【3】斉藤崇史(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【5】1/27

 キャロットファームで総額1億円の募集馬。ノーザンファームの生産馬は満点の5点。兄姉で活躍馬はなく、母父Congareeは日本でも産駒が少なく未知数。斉藤厩舎はクロノジェネシスが活躍も、牡馬クラシックで活躍馬は無し。1月生まれはディープインパクト産駒の日本ダービー馬7頭中2頭に該当。順調なら宝塚記念当日にデビュー予定。

 

8位:ダノンギャラクシー【16点】

血 統【4】母ベネンシアドール(母父キングカメハメハ)
厩 舎【3】国枝栄(美浦)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/26

 コマンドラインとともに国枝厩舎が管理するディープインパクト四天王の一頭。ファンの中にはこっちの方が上との意見も。セレクトセールで税込3億円を超える落札額。全姉がジャパンCで2着のデニムアンドルビーなら馬場適性も血統的にも申し分なし。母父キングカメハメハはブラストワンピース、インディチャンプ、デアリングタクト、ソダシなど活躍馬多数。国枝厩舎の評価はコマンドラインを参照。


8位:サトノアヴァロン【16点】

血 統【3】母サトノシュテルン(母父Distorted Humor)
厩 舎【4】須貝尚介(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】3/7

 母サトノシュテルンは未勝利も、Mr. Prospector、Danzig、Northern Dancerのクロスが内包された良血馬。母父Distorted Humorの産駒はダートで活躍馬が多く、BMSとしてはスマイルカナやサトノフェイバーが重賞を勝利も距離適性的に日本ダービー向きとは言い難い。ノーザンファームの生産馬は満点の5点。須貝厩舎はソダシ、ゴールドシップなど活躍馬多数も日本ダービーは未勝利。今週デビュー予定だったが腰の違和感で放牧。デビューは秋以降になりそうだ。


8位:ローマンネイチャー【16点】

血 統【4】母キューティゴールド(母父フレンチデピュティ)
厩 舎【3】高野友和(栗東)
生 産【4】白老ファーム
誕生日【5】1/18

 シルクレーシングで募集総額1億2000万円だから相当な期待馬だ。全姉ショウナンパンドラはジャパンCを制しており、白老ファームはオルフェーヴルやイスラボニータを生産したが、牡馬のディープインパクト産駒でG1馬はゼロ。同馬の全兄セントオブゴールドは、シルクレーシングで募集総額1億円にも関わらずいまだ2勝のみであり、兄姉で活躍したのはショウナンパンドラのみというのは気になる点。母父フレンチデピュティはBMSでマカヒキが日本ダービーを勝利。1月生まれのディープインパクト産駒は2頭が日本ダービーを勝利。高野厩舎は宝塚記念に出走するレイパパレとショウナンパンドラでG1を勝利。牡馬クラシックはあまり縁がなかったが、期待の一頭に違いない。順調なら宝塚記念当日にデビュー予定。


8位:フォーグッド【16点】

血 統【3】母ウィキッドリーパーフェクト(母父Congrats)
厩 舎【3】国枝栄(美浦)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【5】4/26

 セレクトセールで9600万円という、ノーザンファーム生産の良血牡馬らしからぬ評価。母父Congratsの産駒は日本で結果が出ず、芝では1勝のみでダート向き。全兄ハートレーはサンデーレーシングで1億円で募集されたがホープフルSを含め2勝止まり。その他の兄姉も活躍せず、そのあたりが低価格に繋がったか。


14位:チェルノボーグ【15点】

血 統【3】母コンテスティッド(母父Ghostzapper)
厩 舎【5】藤原英昭(栗東)
生 産【4】社台ファーム
誕生日【3】5/15

 金鯱賞を勝利したギベオンの全弟。ただし社台レースホースのギベオンは募集総額1億円、対して同馬は8000万円と2割ダウン。社台ファームのディープインパクト産駒は、日本ダービーどころか3歳牡馬クラシックの勝ち馬はいない。兄姉の成績や母父Ghostzapperの傾向から2000mまでが適性距離の印象。藤原厩舎は今年シャフリヤールで日本ダービーを勝利し、兄ギベオンも管理している。ただし5月の遅生まれで、馬の成長を優先する藤原調教師の方針から日本ダービーに間に合うか微妙(ギベオンは2月生まれ)。


14位:ショウナンアデイブ【15点】

血 統【3】母シーヴ(母父Mineshaft)
厩 舎【3】高野友和(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/1

 昨年のセレクトセールで5億1000万円(税込5億6100万円)で落札された馬。全兄サトノスカイターフ(父ディープインパクト)はクラシックに間に合わず、今も1勝馬のまま。母父Mineshaft産駒は日本国内ではダートでしか勝利していない(芝は20戦全敗)。BMSとしてもダートに偏重しており日本の芝でどうか。ノーザンファーム産駒で2月生まれは魅力だが、セレクトセールの高額馬は走らないジンクスも気になる。


14位:ディサイド【15点】

血 統【3】母ラヴェリータ(母父Unbridled’s Song)
厩 舎【3】高野友和(栗東)
生 産【5】ノースヒルズ
誕生日【4】3/5

 ノースヒルズのディープインパクト産駒で母父Unbridled’s Songはコントレイルと同じも、芦毛なので母側の血が濃い印象。母ラヴェリータはダートで活躍し、産駒もダートでしか結果を出していない。特に同じディープインパクト産駒の兄姉3頭は未勝利もしくはダートで1勝のみ。


14位:アプリシティー【15点】

血 統【3】母イルーシヴウェーヴ(母父Elusive City)
厩 舎【2】尾関知人(美浦)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【5】1/9

 ノーザンファームの生産馬で、セレクトセールには上場されずシルクレーシングで1億2000万円の募集馬。全兄はアドマイヤビルゴ。尾関厩舎はグローリーヴェイズとレッドファルクスを管理するも、3歳クラシックは牡馬も牝馬も未勝利。母イルーシヴウェーヴにとって同馬は4頭目のディープインパクト産駒だが、これまでの3頭はいずれもクラシックに参戦できず。さらに骨片除去手術があってデビューは秋以降となりそうで、日本ダービーを目指すならギリギリといったところか。


18位:ダノンジャッカル【14点】

血 統【3】母インディアナギャル(母父Intikhab)
厩 舎【3】中内田充正(栗東)
生 産【3】ケイアイファーム
誕生日【5】4/16

 唯一ランクインしたケイアイファームのディープインパクト産駒。全兄はダノンプレミアムで4月生まれも同じ。ただし他のディープインパクト産駒の兄は多くても2勝止まりで、どっちのタイプに出るか。母父Intikhabは日本・香港・イギリスなどでG1を6勝したスノーフェアリーを輩出も、インディアナギャル産駒はダノンプレミアム以外が今一つ。中内田厩舎は2歳のG1は勝つも、3歳に入るとG1で結果が出ないのも気がかり。


18位:ダノンフォーナイン【14点】

血 統【3】母タミーザトルピード(母父More Than Ready)
厩 舎【4】音無秀孝(栗東)
生 産【3】千代田牧場
誕生日【4】3/10

 セレクトセールで1億8000万円の評価。千代田牧場はホエールキャプチャ、ダノンプラチナがG1を勝利しているが3歳クラシックは活躍馬不在。生産馬の重賞勝利も1600~1800mに集中している。音無厩舎は皐月賞、菊花賞を制しており、日本ダービーで3歳クラシック完全制覇。牝系は産駒が日本で活躍した名種牡馬がこれでもかと配合されているが、2000mですら長くマイル以下がベストの印象。順調なら宝塚記念当日にデビュー予定。


20位:レッドランメルト【13点】

血 統【3】母クイーンズアドヴァイス(母父Orpen)
厩 舎【3】国枝栄(美浦)
生 産【2】社台牧場
誕生日【5】1/29

 東京ホースレーシングで6800万円の募集馬。他のクラブの億超え募集馬と比較するとかなりお得。国内で母父Orpenの産駒は少ないが、BMSとしてサトノダイヤモンドがいるなら適性は大丈夫そう。ゲート試験に一度不合格しており、気性的な問題があるかも(その後合格して放牧)。社台牧場から大舞台での活躍馬はいないが、ノーザンで育成するようなのでもしかしたら化けるかも。中小牧場ながら日本ダービーを制したロジャーバローズ(飛野牧場生産・ディープインパクト産駒)のような下剋上を見たい。


 以上、来年の日本ダービーを目指すディープインパクト産駒20頭を紹介した。1位はディーンズリスターだが、それ以外の馬も差がなく、最後は仕上がりや順調度、そして日本ダービーまでの成長度が結果に繋がるだろう。

 また国枝厩舎と矢作厩舎と高野厩舎の多さに驚かされる。国枝厩舎は4頭、矢作厩舎は3頭、そして高野厩舎も3頭いる。全体では関西馬14頭に対し関東馬は6頭なので、傾向としては関西に期待馬が集中していることもわかる。これは藤沢和雄厩舎が来年2月をもって定年で厩舎が解散となる影響だろうか。

 とはいえ、関東を代表する堀厩舎は1頭、木村哲也厩舎はこの中には入っていないのが気になるところ。夏競馬が始まり本格的に2歳戦がスタートするが、ここで紹介した20頭がどんな走りを見せてくれるか今から楽しみだ。(文=仙谷コウタ)

<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

「コミュニケーション力」が、切り拓く未来とは?

「人前に立つのが苦手」「緊張して、思っていることを上手に伝えきれない」誰でも、多かれ少なかれ、そうした悩みを抱えているのではないだろうか。この連載では、コミュニケーション戦略研究家にして、エグゼクティブ・スピーチコーチである岡本純子氏に「話し方」の極意を披露していただくことで、コミュニケーションというものの本質に迫っていこうと思う。

(ウェブ電通報編集部)


学歴よりも、教養。語学力よりも、コミュニケーション力

「相手の立場で、モノを言え!」と題したこの連載も、いよいよ最終回です。相手の立場でモノが言えていない人の特徴は、コミュニケーションとは剛速球を投げることと誤解して、とうとうと、自分の話、自分のしたい話を披歴することです。「俺ってすごいよね」「俺ってできるでしょ」と必死に自己アピールに終始するスピーチにはなんの魅力もありません。この連載で繰り返しお話ししてきたように、そこには好感も共感もまったく持てないからです。

岡本純子氏:元読売新聞記者。記者時代にイギリス・ケンブリッジ大学院へ留学。米MIT客員研究員を経て、電通PRへ入社。アメリカでの研究を通じて、コミュニケーションのメカニズムを学ぶ。現在の肩書きは、「コミュニケーション戦略研究家」「エグゼクティブ・スピーチコーチ」。コンセプトやメッセージづくり、話し方の指導まで、社長やエクゼクティブのコミュニケーションをフルサポート。「アイドルなら秋元康」「社長なら岡本純子」を目指す「社長プロデューサー」でもある。これまでに、1000人を超える日本のトップ企業経営者・幹部に話し方を指導。その内容が、高く評価されている。近著に12万部のベストセラーになっている「世界最高の話し方」がある。http://www.glocomm.co.jp/
岡本純子氏:元読売新聞記者。記者時代にイギリス・ケンブリッジ大学院へ留学。米MIT客員研究員を経て、電通PRへ入社。アメリカでの研究を通じて、コミュニケーションのメカニズムを学ぶ。現在の肩書きは、「コミュニケーション戦略研究家」「エグゼクティブ・スピーチコーチ」。コンセプトやメッセージづくり、話し方の指導まで、社長やエクゼクティブのコミュニケーションをフルサポート。「アイドルなら秋元康」「社長なら岡本純子」を目指す「社長プロデューサー」でもある。これまでに、1000人を超える日本のトップ企業経営者・幹部に話し方を指導。その内容が、高く評価されている。近著に12万部のベストセラーになっている「世界最高の話し方」がある。http://www.glocomm.co.jp/

「私はこれまで、このようなことを学んできました。こういう経験を積んできました。そして、社会のため、あなたのために、こういうことを実現できます」ということを、いかに熱を込めて話せるか。外国語でなく、日本語で十分です。必要とあれば、翻訳をしてくれる人など、いくらでもいます。でも、あなたが心の底から相手に訴えたいことは、あなたにしか表現することはできません。コミュニケーションで大切なこととは、そういうことなんです。

コミュニケーション力とは、自身の「人間力」を伝える力のこと

ポイントは、「トーク術」ではなく、自身の「人間力」を相手に伝えることにあります。「人間力」を伝えるのに、学歴だとか肩書きだとかが無価値だと感じる人は少なくないかもしれません。では、その「人間力」とは、一体何なのか?

人間力とは文字通り、人の間で生きる力です。人は社会的動物。他者を生かし、他者に生かされる存在です。逆に、人間力を見失っている人というのは、自分という檻に閉じ込められた「囚人」です。人を檻に入れると「囚」の字になります。この檻は、自己責任や名誉、プライド、恥といったもので作られています。

読売新聞記者時代の筆者。このころは「デキる記者」を装いたくて、態度はデカく、好感度など一ミクロンも意識していませんでした。のちのコミュニケーション修業を通じて、「デキる人」より「デキた人」、「いい人」よりも「いい気分にさせる人」が結局成功することに初めて気づいたのです。
読売新聞記者時代の筆者。このころは「デキる記者」を装いたくて、態度はデカく、好感度など一ミクロンも意識していませんでした。のちのコミュニケーション修業を通じて、「デキる人」より「デキた人」、「いい人」よりも「いい気分にさせる人」が結局成功することに初めて気づいたのです。

今、多くの人が「自分らしくありたい」と口にしますが、私はこの「自分らしく」という言葉も一つの檻のような気がして、あまり好きではありません。「自分らしい」って何?今日の自分らしさと明日の自分らしさは違うものかもしれない。「自分らしさ」にこだわりすぎて、「自分らしくない」と思い込むものを排除したり、自分の内面ばかりをのぞきこみ、他者が見えなくなることもある。

「自分らしくありたい」という強迫観念が、ものすごく内向きなベクトルを生む。日増しに強まっていく劣等感に押しつぶされそうになるものだから、ついつい他人を批判したくなる。他人に対して強いモノ言いをしてしまう。他人を論破したときの爽快感が忘れられず、気がつくと一人、狭い檻の中でふんぞり返っている。

相手の立場でモノを言うためには、ありのままの自らの姿を外にさらすこと、それしかありません。私自身の経験から言っても、それはとても怖いことだし、勇気がいることです。教養がないことがばれたらどうしよう?つまらない奴だと思われたらどうしよう?そんなことばかり考えて檻の中に閉じこもっていては、相手には何も伝わりません。心のベクトルを自分にばかり向けていると刺さって傷ついてしまう。思い切って相手に向けてみる。きっと心が軽くなるはずです。自分をさらけ出したときに自然とこぼれる「あなたらしい」笑顔が、相手の心を動かすのだと私は思います。

真のリーダーシップとは?

本連載の最後は、やはりこのテーマになってしまいます。政治の世界でも、企業経営の世界でも、マネジメント職に就いている人にとっても、「真のリーダーシップとは?」というテーマは、非常に関心の高いものではないでしょうか?

本連載のテーマであるところの「相手の立場で、モノを言う」ことと、「他人を導いていく」あるいは「他人を意のままに操る」ということは、逆のことのように思われるかもしれません。でも、果たしてそうでしょうか?あなたが「生涯の師」と仰ぐ人物のことを、思い返してみてください。あなたを導いてくれたその人は、あなたのことを誰よりも見てくれていて、あなたの立場でモノを言ってはいませんでしたか?その人間力にあなたは惚れ込み、好感や共感を超えたリスペクトを感じていたのではありませんか?

一方で「共感」というものの限界や危険性も認識しておく必要があります。国でも会社でも、一つのコミュニティーの中で「共感」を得ようとすればするほど、そのコミュニティーの外にいる人間を「敵視」「排除」するようになることがある。歴史を思い返せば、すぐに納得いただけると思うのですが、強権を得た人間はしばしば「壁」を作ります。ベルリンの壁、万里の長城、トランプ大統領の「壁」。みんなそうです。

「好感」についても、同じようなわなが待ち構えています。人は「正しいこと」よりも「楽しいこと」、「めんどくさいこと」よりも「たやすいこと」を提示されると、ついついそこに「好感」を抱いて飛びついてしまうものですから。人の脳はかようにだまされやすいものです。「相手の立場でモノを言う」だけでなく、この「共感」と「好感」のもつ落とし穴を十分に理解しながら、感情的なつながりを築いていくことが、真のリーダーシップの条件だと私は考えています。

ニューヨークで毎週通っていたパブリックスピーキングのサークルの仲間と。女優や会社経営者、学生など経歴もさまざま。多くの人が、日常的に話し方を学び、改善させていこうという強い意欲を持っていることに驚かされました。励まし合い、お互いアドバイスをし合いながら、話し方のスキルを磨いていくのです。
ニューヨークで毎週通っていたパブリックスピーキングのサークルの仲間と。女優や会社経営者、学生など経歴もさまざま。多くの人が、日常的に話し方を学び、改善させていこうという強い意欲を持っていることに驚かされました。励まし合い、お互いアドバイスをし合いながら、話し方のスキルを磨いていくのです。

「人間力」というものは、生涯をかけて養っていくものだと思います。人とのかかわりの中で、養ってもらうもの、と言ったほうがいいかもしれません。私は「できる」人間だと、自己完結している、人に頼る必要はない、十分わかっている。そう慢心した時点で、人は成長を止めてしまいます。

自分を無理に強く見せようとする必要はありません。弱さを見せる勇気こそ、真の強さであり、人間力でもあります。あなた一人では生きられないのだから。人を敬い、謙虚に教えを請い、学び続ける姿勢こそが人間力の根幹ではないでしょうか。

岡本純子氏のHPは、こちら

パナソニックに学ぶ中国で歓迎される事業展開とは【CSVフォーラムレポート2】

パナソニックスライド

この記事では、2021年4月17日に日本・中国合同で開催されたCSVフォーラム特別編イベントをレポートします。第2回は本間哲朗氏(パナソニック株式会社副社長兼中国・北東アジア社社長)講演から、パナソニックの中国事業についてお伝えします。

第1回:資生堂に学ぶグローバル経営【CSVフォーラムレポート1】 

世界の工場と、その国で歓迎される事業を両立

パナソニックの本間氏は、1978年に鄧小平閣下と松下幸之助が出会ったことから、「21世紀はアジアの時代であり、中国と日本が車の両輪にならなければならないという創業者の中国の発展への強い思いが、パナソニックの中国事業に貫かれている」と語った。松下幸之助は海外事業にあたり、その国で歓迎される事業を基本方針とし、現代の中国でも深く敬愛されている。

パナソニック副社長兼中国・北東アジア社社長 本間哲朗氏
パナソニック副社長兼中国・北東アジア社社長 本間哲朗氏

しかし松下の社名が広まりながらも10年ほど経営が低迷していた。その理由は、スピード・経営スタイル・コスト競争力の3点。課題を解決し、中国の民間企業に対抗するため、2019年に中国・北東アジア社が誕生した。

特徴は、地域内で販売する商品は商品企画から販売に至るまで、ヒト・モノ・カネのすべてを、日本に頼らずチャイナスタイルで決める仕組み。また輸出に関しては、輸出先の商品企画や販売の指示に従い設計・製造に特化するという方針をとる。それにより、世界の工場の役割を担いつつ、世界最大の中国市場に受け入れられることを目指す。

中国・北東アジア社は、パナソニックの強みがあり、かつ中国で成長している2つの事業ドメイン「くらし空間:健康・養老にフォーカスして家電と住宅設備事業の強みを活かす」と「生鮮食品サプライチェーン:安全な食品が求められる中、気通貫型冷蔵ソリューションの提供する」をアップデートすることに重点を置き、中国の役に立つというビジョンを持つ。本間氏は、「松下の長期的な信頼性、ブランド力、要素技術力、幅広い商品群という強みをベースに、中国のパートナーと協業して事業を拡大していきたい」と語った。

当日講演資料 パナソニック提供
当日講演資料 パナソニック提供

健康寿命が伸びる街と、環境負荷の低いコンビニ

本間氏は、くらし空間事業の事例を2つ紹介した。1つは「誰もが住みたくなる健康寿命が10歳延びる街づくり」として、中国のデベロッパーと協業して江蘇省宜興市に約400万㎡の健康・養老タウンを建設。広大な土地の3分の1にあたる区画1170戸にパナソニックの住宅設備が入り、空気・水・光を制御し最適な住環境を提供。さらに、健康データを加えてスマートフォンで一元管理、操作が可能な健康空間制御プラットフォームを提供する。

もう1つは、環境負荷を低減する工業化住宅。プレハブは短期間の建築・解体ができ、繰り返し利用が可能で廃材を出さない。加えて、真空断熱を壁面に応用して、省エネかつ快適な室内空間を担保。安全で高品質かつスピーディーな設計ができるよう、中国最大のCAD設計会社のGLODONと共同で推進している。

必要とされる場所にすぐできることで日々変化する人・街のニーズに応えられると、ローソン店舗にも採用されている。スピーディーな出店が容易なだけではなくで、SDGs推進にも貢献できることが高評価を得ている。

当日講演資料 パナソニック提供
当日講演資料 パナソニック提供

非接触とフードロス低減が、経済活性化につながる

続いて、生鮮食品のサプライチェーン事業の事例紹介があった。

新型コロナウイルス感染症流行の影響で、店員や配達員と非接触で商品受け渡しができることに注目が集まり、パナソニックは、冷温スマートロッカーを開発した。これが都市部の通勤族の朝食スタイルを変えたと報道されたという。

朝食を外で食べる人が多い中国で、通勤中にアプリで注文し、駅前にある冷温スマートロッカーで受け取ることが可能になった。スーパーやコンビニエンスストアでは、ピーク時の業務効率が向上する上に、利用者も温かい朝食を受け取れる。通常コンビニエンスストアでは、午前中に店員1人で100から200のオーダーをこなすのが精いっぱいだが、スマートロッカーでは400から500のオーダーを受けることができるため、売上が上がったという。簡易操作で注文管理もできると好評を得て、急速に拡大している。

また、中国では輸送が長期間になるため、フードロスが25%にのぼるといわれている。この課題についても、産地で作物を適切な温度で冷やす予冷と保管・運送によって鮮度を保持し、廃棄を大きく低減できるという日本の経験を生かした移動できる予冷コンテナが生鮮食品のサプライチェーンを改善した。これは農家の収入アップにも貢献している。

これらのパナソニック中国事業のビジネス成長と現地の社会貢献の両立は、まさにグローバルCSV経営の好事例といえるだろう。2020年の中国域内事業は前年比113%で成長。日本の判断を仰がずに現場でスピーディーに意思決定する自立経営で実現した。本間氏は最後に中国の5つの特徴をまとめた。

当日講演資料 パナソニック提供
当日講演資料 パナソニック提供

本間氏は「中国事業の成否はこの5つの特徴をどう生かすかにかかっており、スマート技術の社会実装が世界一進む中国で、いかに技術を活用してビジネスを進化させていくかという実例をパナソニックグループ全体に還元していくことも、重要なミッションである」と締めくくった。

続く第3回では、中国の若手起業家のスピーチとともに、中国のCSV事業とグローバルのダイバーシティー経営を俯瞰したパネルディスカッションの様子をお伝えします。
(パート3に続く)

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薬剤師の私がコロナワクチンを接種後に体験した一部始終…「有効率95%」の意味

 テレビをつけると、毎日のように新型コロナウイルスワクチンの話題が登場して、いろいろな意見が出てきています。薬剤師である私個人の意見として、早くこの「コロナ騒動」を終了させて自由な日常を取り戻したいと思っています。それを踏まえて、読み進めてもらえればと思います。

コロナワクチン体験記

 人間という生き物は、膨大なデータより個人の体験記を信じてしまう傾向があります。データにして「個」を埋没させると、「自分はどうなのか」というリアルが想像しにくいのです。今回は、あえて個人の体験記を記します。普段であれば薬剤師として「客観的なデータを見てください」と各所で話していますが、自分の体験がコロナ騒動を終了させるきっかけになるのなら、喜んで差し出します。

 私は薬局薬剤師の枠で予約を取り、ワクチン受診券をもらいました。ワクチン接種可能医療機関のうち、勤務している薬局から歩いて行けるクリニックへ予約を入れました。クリニックに指定された時間に行きました。問診票を渡して体温を計測し、いよいよ注射の時間です。

「ブスッ!」。これで終了です。血液検査の針のほうがはるかに痛いと感じるほど、痛みはありませんでした。昨年11月に受けたインフルエンザ予防接種のほうが、液が皮膚に染み渡る感じがしてつらかったです。「筋肉注射」は皮膚の下の筋肉に針を入れるので痛いと思い込んでいたところ、かなり拍子抜けしました。なお、ファイザー社のワクチンです。

 当日の夜から注射された場所が痛くなってきました。寝がえりを打つたびに痛みを感じながら夜を明かしました。翌日は薬局の仕事が休みでした。朝からだるくて仕方がありませんでした。熱はなかったため、無理せず家の中でできる作業をしていました。13時からプロ野球の中継が始まるので、家で観戦をしていました。武田投手の快投でホークスは勝利! 気分はいいはずなのに、体はだるくて仕方がありませんでした。

 16時半から悪寒が始まりました。大人の悪寒はかなりつらく、布団の中で震えていました。悪寒がつらすぎるので葛根湯を投入しました。悪寒はなくなり熱が上がりきったのを感じました。その時の体温が38.0℃でした。動くのがつらいのですが、お腹は空くもので、夕飯をなんとか食べた後はそのまま横になって寝ていました。

 朝になり体温を測ると36.4℃まで下がっていました。熱が下がった以上は薬局で仕事です。だるさはまだ残っていました。腕の痛みはピーク時よりはマシでしたが、残っていました。これが1回目の経緯です。

 2回目についてはデータ上1回目より熱が上がることになっていますから、かなり覚悟をしていました。しかし、翌朝の熱を測ると36.2℃でした。これから熱が上がるかもしれないと横になっていましたが、36.8℃が最高でした。一日寝ていたものの、腕の痛み以外は何もなく、終わってしまいました。

有効率をもう一度考えて

 ワクチンは、「集団」としてどれだけ効果があるのか、ということと、「個人」としてどれだけ効果があるのか、ということを考えます。個人としては体の中にしっかり「抗体」がつくられたか、ということを調べます。抗体ができれば次にウイルスが入ってきても、抗体が封じ込めてくれて病気が発症しません。添付文書には「50%中和抗体価」というものが記載されています。この数字が大きいほど、しっかり抗体がつくられているということです。ワクチン群が524.5、プラセボ群が10.6でした。

 集団としては「有効率」というのが指標になります。ワクチンを打つと、どれだけの人を助けることができたか、ということを評価します。話をわかりやすくするためにキリのいい数字で説明します。実際の数値ではないので注意してください。

 ワクチン群1000人、プラセボ群1000人の経過を調べたら、ワクチン群では発症者が2人、プラセボ群では20人出ました。「ワクチン群でも発症するなら効果ないのでは」「プラセボ群でも20人しか発症しないのだから、打たなくても一緒では」と思うかもしれませんが、有効率を考えるときには脇に置いておいてください。

 ワクチンを打つことで20-2=18人が助かったわけです。ワクチンを打たなければ20人が発症していたところ18人が助かったので、18÷20=0.9→90%が有効率ということになります。ファイザー社のコロナワクチンではこの有効率が95%です。集団として95%助けることができるのですから、このコロナ騒動を抑えるためには「積極的にやって」ほしいのです。

安全性について

 残念ながら、ワクチンにおいては「死亡例」があります。こうした例はショッキングなので、私たちの記憶に残りやすいのです。つまり、私たちは「ワクチン=死=危険」と認識してしまうのです。mRNAワクチンという画期的な成分のため、「遺伝子操作プログラムが組み込まれた」という誤った情報が広がり、それを信じてしまっている人がいます。mRNAから遺伝子であるDNAに戻ることはありません。

 ワクチン接種後の症例としては、熱や頭痛、接種部位の痛みが起こる人もいます。「症例数がまだ少ないので、もう少し症例が集まってから接種したい」と考える人がいてもいいと思います。私が経験したことは、概ねワクチンの添付文書のデータ通りだったと認識しています。

 ワクチン接種券がくるまで、冷静にワクチンのことを考えることができます。私は一日も早く、この「コロナ騒動」が終わってほしいと願っています。

(文=小谷寿美子/薬剤師)

●小谷寿美子

薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。

明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。

市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。

入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。

市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。

社員教育に失敗する会社の特徴とは?大企業が新入社員に“自分の○○”を理解させる理由

 みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーのブランディング専門家・松下一功です。

 前回は、従来と次世代のマネージャーという仕事の違いやあり方、そしてマネージャーが変わらないといけない理由などをお伝えしました。今回は、次世代のマネージャーの育て方をお伝えします。

研修より大事な社員教育の“要”とは

「マネージャーの育成」と言うと、マネージャー研修やリーダー育成研修、チームビルディングなどを思い浮かべる人が多いでしょう。

 これらは決して間違ってはいませんが、この前段階に重要なステップがあります。それは、会社の「理念」「ミッション」「ビジョン」の設定です。逆に言うと、「理念」「ミッション」「ビジョン」がきちんと定まっていないと、研修をしようにもできないのです。

 実は、マネージャーの育成はインナーブランディングのひとつで、「理念経営」に則ったものです。誰もが名前を知っているような大手企業はインナーブランディングに力を入れているため、新卒・中途に関わらず入社した全社員に、まずは企業の持っている使命や自分たちの存在意義を説明して、理解させることから始めます。

 大手企業は、理念などをしっかり設定していないと社員の育成ができないことを知っていますが、ほとんどの中小企業は、そのあたりが密接につながっているとは思っていません。

 そのため、社員教育を始めようと思い立って外部の研修会社に依頼しても、研修自体ができないのです。「理念」や「ミッション」が定まっていないと、社員たちに「何のために働くのか」「何を目指して努力をするのか」といった、研修で教えるべき目標や行動指針がないからです。

 数字がメインの短期計画や中長期計画だけでは、「とにかく商品を売って利益を出せ!」という一昔前と同じスタイルになってしまいがちます。これでは社員が辞めても仕方ありませんし、お客さんが他社を選んでも文句を言えませんよね。

「理念」や「ミッション」がない企業は、社員研修をするために、まずはブランディングから着手する必要があります。そして、事業マインドを確立した後で「ミッション」や「ビジョン」を掲げ、それらを実現するための方法のひとつとして「社員教育」があるのです。この順番が反対になれば、その会社の社員教育や経営方針もチグハグなものになってしまうでしょう。

 企業も人も同じで、大志を持って、それに向かって進んでいくものです。あまり口には出しませんが、私たち人間は心のどこかで「夢」や「ロマン」を求めていて、それを実現するために仕事に精を出しています。理念を持って、大志を抱いて、ともに支え合っていくのが企業と社員の理想の形なのです。

マネージャー育成は全社で取り組むべき

 会社の「理念」「ミッション」「ビジョン」が定まったら、ようやくマネージャーの育成に着手することができます。これは、最初から自社で行うのは難しいので、まずは外部の研修会社にお願いした方がいいでしょう。できれば、参加者を広く募る一般的な研修ではなく、その会社の「理念」や「ミッション」に沿った内容の研修の方がいいと思います。

 一からやるとなると費用は高くなってしまいますが、マネージャー育成は該当する社員だけではなく、会社全体で取り組むべきものです。また、外部の研修会社につくってもらったプログラムは、その後、自分たちでカスタマイズできるというメリットがあります。

 そして、定期的に研修を行うようになれば、自分たちの存在意義や目的を振り返ることができ、「この新商品は自分たちのミッションに応えるものなのか?」「この契約内容や商品コンセプトは、自分たちの理念に反したものではないか?」と、ビジネスの大事なシーンで活用できるようになります。

 社会全体の経済構造も人々の消費マインドも変わりつつある現代では、心をとらえる戦略がビジネスの基本になります。また、新型コロナによって会社のあり方が問われるようになり、組織改革が必須となりました。そうした時代背景を考えても、マネージャーはトップとボトムをつなぐ役割から卒業せざるを得ないと言えるでしょう。

 そして、マネージャーは組織が一丸となって前進していくための重要なポジションであり、マネージャー育成は会社が取り組まなければならないインナーブランディングのひとつでもあります。このことを肝に銘じて、組織改革の第一歩を踏み出してください。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)

映画レビュー「グリード ファストファッション帝国の真実」

労働搾取や不正取引で暴利をむさぼり、ファッション界の頂点を極めた男。60歳の誕生パーティで彼を待ち受けていた運命とは――。

投稿 映画レビュー「グリード ファストファッション帝国の真実」映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。

パチンコ激アツ新台が「目標達成の遅れ」をカバー!?「安心感が際立つ王者」など…続々と新情報が追加!!

 新規則機の設置比率が新目標に届いていないようだ。

 遊技通信が報じたところによると、5月末時点での全体における新規則設置値比率の目標は65.0%に設定されているが、実際には64.2%とわずかに目標に届かなかった。

 パチンコ機は全体で70.1%と高水準で推移しているが、パチスロのほうは全体で55.2%とだいぶ低調。トップの群馬県でも63.9%と目標数値に届いていない。

 これは現状の業界バランスを如実に示している。スペック的な盛り上がりも認定試験の通過状況も比較的良好なパチンコ機。それに対し、スペックの脆弱性とそれをリカバリーしようとギリギリの性能を追求するがゆえに、適合率も低くなる負のループで入れ替えが滞るパチスロ機。といった構図だ。

 以降、6月末の70%からひと月おきに5%ずつ上がっていく設置比率の目標をクリアするためには、現状だとパチスロの分をパチンコでカバーすべくパチンコの入れ替えがより活発になるかもしれない。

 そしてまた、パチンコの新機種は絶え間なくリリースされている。しかも、ファンの心を踊らせる名の通った機種から変則スペック、羽根物・権利物の役物系まで幅広く登場するなど大盛況だ。

 大物コンテンツでいえば、パチンコ分野を牽引する『海物語』の最新作が情報公開された。それが『Pまわるん大海物語4スペシャル Withアグネス・ラム119ver.』で、人気の『アグネス・ラム』タイトルに早くも関連機種が登場する。

 大当たり確率が1/119.8と低くなる分、出玉性能が強化され、約1300発となる最大ラウンドなど一回りボリュームが増した出玉を装備。シリーズ最高峰の出玉性だ。また、『まわるん』の機種名からもわかるようにスタートアシスト機能が採用され、ストレスなく回転させることができる。

 さらに遊タイムも搭載。通常確率で300回転消化すると450回転の電サポモードに突入する。ちなみに、時短が450回転で遊タイムの突入契機が300回転だが、1回大当りを経由しないと連続で遊タイムは作動しないので、450回の遊タイムを抜けるとそこで電サポは終了となる。

 また、検定通過情報もバラエティに富んだ機種名が満載の激アツ模様。『Pドラドラ天国DX』『PAバーストエンジェル3』『PA競女』と、レジェンド機種あり、変則スペック(?)あり、最新機種ありと豊丸の甘デジ新機種攻勢が確認できる。

 ほかに『Pリング呪いの7日間2FWA』と強力コンテンツの甘デジ最新作も気になるが『PAウイニングボール』や『PA満開花火GO』といった初めて聞く名前の機種も興味が湧くところ。

 タイアップのような雰囲気もあるが、軽く調べたところコンテンツが検索には引っかからなかった。オリジナルである可能性が高い。

 特にPB機であろう『PA満開花火GO』は役物機感も漂わせている。その詳細を早く知りたいばかりである。

(文=木戸範孝)

<著者プロフィール>
 Webメディアに掲載されるスポーツ関連記事の作成および編集業務を経験。その後はGJにて競馬やパチンコ・パチスロ、スポーツなど幅広い分野を担当している。現在はパチンコ・パチスロ分野に力を入れており、自身が好む爆裂タイプの動向に注目している。業界ニュースも担当。業界関係者への取材を元に、新台関連の記事も多く作成している。

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JRA武豊の全盛期を超えた!? リーディング上位騎手との差も歴然……芝の“鬼”と化した川田将雅の凄まじい成績とは?

 早いもので、6月も半ばを過ぎようとしている2021年の競馬界。

 27日の宝塚記念(G1)を終えるとJRAの上半期が終了するなか、ここまで川田将雅騎手が芝コースでマークした成績が、にわかに信じ難い結果になっている点をご存知だろうか。

 今年1月から6月半ばの先週まで、芝限定では153レースに騎乗している川田騎手。その成績は48勝、2着15回、3着19回。勝率は驚異の31.4%で、連対率41.2%、複勝率53.6%と抜群の成績を残している。

 全国リーディングを争うジョッキーと比較すると、その差は歴然。

 1位に君臨するC.ルメール騎手の同時期の芝限定騎乗数は198鞍。川田騎手と同じ48勝を記録するも勝率は24.2%と、大きな差がついている。

 3位の福永祐一騎手は、176鞍のうち26勝で勝率14.8%。こちらもその他の騎手と比べれば素晴らしい成績だが、川田騎手の成績には遠く及ばず。

 普通の騎手は「複勝率」が30%台なら、上出来の数字である。しかし芝限定ながら、川田騎手の「勝率」31.4%は、まさに異次元の成績。今年の上半期の川田騎手は、まさに芝の“鬼”と化しているのだ。

 芝のレースでは10回のうち3回は勝利する勝率と、半分以上の割合で馬券に絡む複勝率。もはや「バグっているのでは?」と、データを疑いたくなるほどの好成績を残している今年上半期の川田騎手。

 1985年10月15日生まれの同騎手にとって、35歳で迎えた2021年シーズンは、騎手人生のなかでもキャリアハイのシーズンとなる可能性が高い。

 ここで比較したくなるのが、ジョッキー界の“生きる伝説”武豊騎手だ。

 武豊騎手は、先日も南関東牝馬クラシックの関東オークス(G2)を制覇。今年で52歳を迎えたレジェンド騎手について、その活躍ぶりは説明不要だろう。

 そんな武豊騎手のキャリアハイはいつか?という点は、賛否両論あるかもしれない。しかしここは仮に、川田騎手と同じ35歳の武豊騎手と比較してみたい。

 武豊騎手が35歳を迎えたのは2004年のこと。

 同年2月には、史上最速・最年少となる34歳11ヶ月でJRA通算2300勝を達成。自身の誕生日をまたいだ8月、同通算2400勝をマークしたのは35歳5ヶ月のとき。

 結果、2004年は211勝を挙げて、JRAの年間最多勝記録を更新。同時に最多勝利騎手、最高勝率騎手、最多賞金獲得騎手、騎手大賞など、2004年のJRA賞を“総ナメ”。他にも関西競馬記者クラブ賞や関西テレビ放送賞を受賞するなど、35歳の武豊騎手は、まさに全盛期を迎えていた。

 前出の川田騎手と同様に、1月から6月半ばまで、当時35歳の武豊騎手の2004年1月から6月19日までの芝限定成績を調べると、196鞍に騎乗して38勝、2着30回、3着19回。勝率19.4%、連対率34.7%、複勝率44.4%という記録が残っている。

 その数字を見れば一目瞭然だろう。今年の川田騎手の芝限定成績は、勝利数をはじめ勝率、連対率、複勝率すべての部門で、全盛期の武豊騎手を超える成績を残しているのだ。

 一方で、当時の2人を比較すると、数字だけでは語れない点もある。それはC.ルメール騎手の存在だ。

 武豊騎手“一強”時代ともいえる2000年代前半の競馬界。事実、2004年の全国リーディングを振り返れば、211勝の武豊騎手に続く2位は145勝の柴田善臣騎手で、その差は66勝もついていた。

 3位は127勝を挙げるも、前年2003年にJRA移籍を果たしたばかりの安藤勝己騎手。4位は121勝の藤田伸二騎手で、5位横山典弘騎手は116勝、6位後藤浩輝騎手は101勝と100勝ラインを突破。倍以上の差をつけていた武豊騎手の“一強”時代の感は否めない。

 翻って昨今の競馬界の、C.ルメール騎手の活躍ぶりはご存知のとおり。当然、騎乗馬が同騎手に集中するなど、騎手たちのパワーバランスが大きく異なる事もあり、35歳の武豊騎手と川田騎手を単純に比較できない面もある。

 武豊騎手が35歳の当時、仮にC.ルメール騎手のような、いわば武豊騎手と双璧をなすスーパージョッキーが存在していたら、武豊騎手への騎乗依頼は減っていたかもしれない。当然、武豊騎手が騎乗する“馬質”についても、言うに及ばずだろう。

 しかし裏を返せば、昨今のこうしたパワーバランスのなかでも、芝限定ながら川田騎手が勝ち続ける姿勢、結果を残し続けている姿は、より一層称賛されるべきではないだろうか。

「芝なら将雅(ゆうが)」は、競馬ファンにとって新たな格言になるかもしれない。

 川田騎手の芝コースでの“神”騎乗は、いつまで続くのか。残りわずかとなった上半期はもちろん、下半期を迎える7月以降も継続して、2021年シーズン最後まで注目したい。(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。