「優秀なリーダー」が部下に「必ず」する行動・ベスト1 – 3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全

優秀なマネージャーは、「少しだけ演技」する。あえて「演じること」を選べば、「部下に信頼される」「会社に評価される」「自分も疲れない」職場になる。そんなリーダーの実践的なふるまい方をまとめたのが、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』(本田淳也著)である。本稿では、同書の内容を一部抜粋して紹介する。

スタートアップでも有給休暇の取得義務があるの? – 起業のコーポレート業務

スタートアップのバイブルとして名高い『起業のファイナンス』シリーズの最新刊として、『起業のコーポレート業務』が発売されました。オフィスの探し方や社会保険への加入、PR、反社対応、M&A・IPO準備など、総務・経理・労務・法務とEXITに関する全てをカバーする「スタートアップの実務大全」とも言える1冊で、スタートアップ以外の企業のコーポレート部門の人にも大いに役立つ内容となっています。この連載では、主に同書の「コラム」を公開していきます。第13回は「有給休暇」についてです。

朝から幸せすぎるよ…!ジョナサンの「ジブリ飯みたいなモーニング」ドリンクとスープ飲み放題で、満足度がえげつない!《実食レビュー》 – 今日のリーマンめし!!

ジョナサンの「とろーり玉子のベーコンチーズトーストニューオリンズ風モーニング」が豪華!とろっとした卵とベーコン、チーズがのったトーストに、フライドポテト、ウィンナー、サラダがセットになっています。おかわり自由のスープとドリンクバー付きで、朝から贅沢な時間を過ごせました。

「パチンコに使っていい金は…」スズキ・鈴木修が説いた“ドケチ道”の真髄に、「そりゃ世界的企業になるわ」と納得!〈再配信〉 – 「超一流」の流儀

スズキを世界的な自動車メーカーに育てた鈴木修氏は、徹底した「ケチ」で知られていた。しかし、鈴木氏本人は、自身の度を越したケチっぷりを恥じるどころか誇りにしていたようである。軽自動車という小さな市場で勝ち抜き、インドという巨大市場でも成功を収めることができた理由は、彼の哲学にある。

あなたの職場に「無能上司」が蔓延っている納得のワケ – [新装版]ピーターの法則

あなたの職場にも、「なぜこの人が管理職になれたのか」と首をかしげたくなる上司はいないだろうか。実は、優秀な人ほど昇進の果てに無能になってしまう――そんな組織の宿命を解き明かしたのが、世界的ロングセラー『[新装版]ピーターの法則』だ。本書を読めば、職場に無能がはびこる理由と、自分が同じ罠にはまらないための視点が手に入るはずだ。本連載では、本書の内容から、なぜあなたの職場が無能だらけなのかをお伝えしていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)

新車4台に1台がEV、世界30カ国で販売過去最高…日本だけ置き去りの構造的理由

●この記事のポイント
IEA「Global EV Outlook 2026」によれば、2025年の世界EV販売は2,100万台超・新車の4台に1台がEV。2026年3月には約30カ国で月間最高を更新。普及を加速させたのは環境意識ではなく、中東起因の原油高による「経済合理性の転換」だ。一方、日本はHVの完成度・集合住宅問題・高い電気代という固有の三重苦でシェア数%台に低迷する実態を多角的に検証する。

 国際エネルギー機関(IEA)が3月に公表した『Global EV Outlook 2026』は、自動車業界の常識を書き換える数字を提示した。世界約30カ国で月間EV販売が過去最高を更新し、さらに60カ国以上が前年比プラス成長を記録。2025年通年の世界EV販売台数は2,100万台超と新車販売の4台に1台がEVとなり、2026年はさらに2,300万台(全体の約28%)に達するとIEAは予測する。

 欧米で盛んに語られた「EV失速論」は、わずか数年で過去のものになりつつある。何がゲームを変えたのか。そして、世界が加速する中で日本はなぜ置き去りにされるのか。

●目次

「環境」から「サイフ」へ——パラダイムシフトの正体

 EVに懐疑的だった論調の根拠は、主に2つだった。欧米での補助金削減とアーリーアダプター層への一巡である。実際、2023〜24年にかけて欧州の一部市場で販売が伸び悩んだ時期があり、「EVバブルの終焉」という見方すら浮上した。

 しかしその前提を覆したのが、中東情勢の長期化に伴う原油価格の高止まりだ。IEAの2026年4月時点の分析によれば、米国で家庭充電を使うEVの年間走行コスト節約額は、従来の約900ドルから約1,300ドルへと拡大した。これは環境意識ではなく、「毎月の燃料代」という極めて個人的な経済合理性が消費者を動かし始めたことを意味する。

「今回の変化の本質は、動機の転換にあります」と自動車アナリストの荻野博文氏は指摘する。

「初期のEV購買は、環境意識の高い先進層が主役でした。しかし原油高局面では、日常的なガソリン代の重荷を感じている一般的な消費者が市場に入ってきました。これは需要の裾野が根本から変わったことを意味します」

 地域別の伸びもこの仮説を裏付ける。欧州は2025年に前年比30%以上の成長を達成。東南アジアはEV販売が2025年に2倍以上に拡大し、市場シェアが20%近くに達した。ラテンアメリカも2026年第1四半期に前年比75%増という急増を記録。いずれも補助金政策の充実と燃料高が重なった地域だ。

 マーケティング理論では、市場シェア10%は「アーリーアダプター」から「マジョリティ」へ普及が加速する「キャズム超え」の分水嶺とされる。IEA報告書によれば、2025年時点でおよそ40カ国がEVシェア10%超を達成している。数字は、単なるブームではなく構造的な転換を示唆している。

中東が停戦すれば、EVシフトは止まるのか?

「燃料高が動機なら、原油価格が下落すればEVも失速するのでは」——この疑問は合理的だ。実際、2026年第1四半期のグローバル販売は前年同期比8%減となった。ただしこれは、中国での政策変更と米国市場の調整が主因であり、欧州やアジア太平洋では引き続き強い成長が続いている。

 仮に中東情勢が落ち着き、原油価格が下落したとしても、EVシフトの流れを止めるのは容易ではない。理由は「インフラの慣性」と「コスト構造の変化」という2つの構造的要因にある。

インフラの慣性:爆発的なEV普及は、充電インフラへの大規模投資を伴う。ブルームバーグNEFは、欧州・北米における公共充電事業の収益が2025年の約100億ドルから2040年には2,200億ドルへ拡大すると予測する。一度整備されたインフラは容易に撤収できない。「充電できない不安」という参入障壁が消えるとき、EVの選択肢は一般消費者にとって当たり前のものになる。

コスト構造の変化:バッテリー価格の下落は、原油価格とは独立して進行している。BNEFによれば、リチウムイオン電池の価格下落と低価格EVモデルの拡大が続いており、2025年のEV販売は前年比25%増の約2,200万台と見込まれる。特に中国メーカーが内需での激しい競争で磨いた低価格EV技術を、インドや東南アジア、中南米の新興国市場へ積極輸出している構図は、価格面での優位性を世界規模で広げつつある。

「原油高はきっかけでしたが、構造変化はすでに自律的な段階に入っています。充電インフラが整い、車両価格がガソリン車と同水準に近づいていく中で、消費者がわざわざ燃料代の高い選択肢に戻る理由は薄れていきます」(荻野氏)

成長の影に潜む3つの課題

 楽観的な予測の裏には、解決が容易でない構造的課題も存在する。

(1)電力網の負荷とエネルギーの質:EVの急増は電力需要を押し上げ、特に夏冬のピーク時に系統負荷の増大を招く。また、石炭火力依存度の高い国では「EVは本当にエコか」という問いが常に再浮上する。IEAも、EV普及とグリッドのクリーン化は車の両輪であると指摘している。

(2)中古車市場の未成熟:バッテリー劣化に伴うリセールバリューの低さは、「買い替えリスク」として消費者の頭にある。EVの中古市場が成熟し、バッテリー状態の標準的な評価手法が確立されるまで、買い控えの一因となり続ける可能性がある。

(3)資源サプライチェーンリスク:リチウム、コバルト、ニッケルなど電池材料の多くで、中国が精錬プロセスを掌握している。地政学リスクや資源ナショナリズムの高まりが供給を制約すれば、車両コストが再び上昇する可能性は否定できない。

世界で加速しても日本に火がつかない「固有の壁」

 世界が4台に1台のEV時代を迎えつつある中、日本のEVシェアは依然として数%台の低水準に留まっている。これは単なる「遅れ」ではなく、日本市場に特有の構造的要因が重なった結果だ。

第一の壁:HVの完成度が「代替品」を不要にする

 他の多くの国では、「ガソリン代を節約したい」と思ったとき、最有力の選択肢がEVになる。しかし日本には、世界最高水準の燃費性能を誇るハイブリッド車(HV)がある。トヨタをはじめとする日本メーカーが磨き上げたHV技術は、「燃費が良く、ガソリンで走れて、充電インフラへの依存もない」という点で、EVの経済合理性を相当程度まで代替する。世界市場でEVが選ばれる構造的な理由の一部が、日本ではHVによって吸収されてしまうのだ。

第二の壁:「基礎充電の壁」という住宅事情

 EVを経済合理的に使う鉄則は「自宅での夜間充電」にある。しかし国土交通省のデータによれば、日本の全住宅のうち約6割が集合住宅だ。EVオーナーの32%が「自宅に充電設備がない」と回答しているという調査もあり(e-Mobility Power調べ)、これらは100%公共充電に依存せざるを得ない。分譲マンションでは充電設備の増設に管理組合の決議が必要となり、合意形成のコストが障壁になる。政府は2030年までに充電口を30万口へ拡大する方針を掲げているが、2026年時点では「自宅充電が前提」の状況は大きく変わっていない。

第三の壁:電気代が「EVの優位性」を薄める

 EV経済性の根拠は「電気代がガソリン代より安い」ことにある。しかし日本は原発再稼働の遅れと化石燃料への高依存により、電気料金が高止まりしている。海外でEVの「走行コスト優位」が広がる中、日本では優位性がそれほど鮮明に出ない構造になっている。この点において、日本は地理的にも政策的にも不利な条件を抱えている。

「日本のEV遅れの問題は、消費者の意識ではなく、住宅・インフラ・エネルギーコストという構造的三重苦にある」と業界関係者は指摘する。「消費者が賢くないのではなく、EVを選ぶ合理性が他国より低い環境に置かれているのです」

ビジネスパーソンが捉えるべき「これからの視点」

「EV vs. ガソリン車」の二項対立で市場を見るのは、もはや現実に即していない。今世界で起きているのは、原油価格・補助金・電気料金・住宅事情・充電インフラという複数の変数が絡み合い、国ごとに異なる速度と形でEV化が進む「モザイク状の移行」だ。

 日本の自動車産業が直面するリスクは、国内市場の遅れよりも、グローバル戦略の遅れにある。世界のサプライヤーや競合が急速にEV対応を進める中、国内のHV優位という「成功体験」が変化への対応を遅らせる逆説的なリスクがある。

 IEAが2026年に2,300万台、2035年には世界新車販売の50%以上をEVが占めると予測する流れの中で、日本の自動車産業とそのサプライヤーに求められるのは、国内の特殊事情に安住せず、今起きている地政学的・技術的変化を直視したグローバル戦略の刷新である。

「EVの時代は来るか」ではなく、「どの国でどのような速度で来るか」を問う段階に、世界はすでに入っている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=荻野博文/自動車アナリスト)

一流のリーダーが「会食前の5分」で必ずやっている大切なこと – 元受付嬢CEOが見た一流の習慣

リーダーなど組織を率いる立場になるほど、「自分に味方が多いかどうか」が大切だと実感している人は多いのではないでしょうか。自然と味方を増やすのがうまい一流のリーダーにはどんな共通点があるのでしょうか。前編に続き、「一瞬で周りを味方につける人」に共通していて、私も大事にしている習慣についてお話しします。

感じのいい人が「お待たせしてすみません」にチョイ足しする〈魔法のフレーズ〉 – 元受付嬢CEOが見た一流の習慣

「気がついたら、いつも周りに人が集まっている」「いつも誰かに気にかけられている」――そんな“味方が多い人”が、皆さんの周りにもいるのではないでしょうか。受付嬢時代、そして経営者になってからも多くのビジネスパーソンと接してきた中で、味方を増やすのがうまい人にはいくつかの共通点があると感じます。今回は、私が「一瞬で周りを味方につける人」に共通すると感じている、大切な習慣についてお話ししたいと思います。

売り上げ増なのになぜ倒産?建設業で相次ぐ「好調企業の破綻」のワケ – 倒産のニューノーマル

建設業の倒産が2041件と過去10年で最多となった。中小・小規模事業者では資材高騰や人手不足が主因だが、中堅建設会社では売り上げを伸ばしながらも倒産に至るケースが目立つ。好調に見える企業がなぜ破綻したのか、その実態を探る。

ソフトバンクGがフランスに14兆円を投じた理由…電力不足の米ビッグテック、周回遅れの日本

●この記事のポイント
ソフトバンクグループが2026年5月、フランスに最大14兆円・5GW規模の欧州最大AIデータセンター建設を発表。選定の決め手は、原子力比率67%を誇るフランスの安定・低炭素電源だ。米ビッグテックが電力不足で原発依存に追い込まれる中、Arm・OpenAI・計算インフラを垂直統合する孫正義氏の戦略と、日本が抱える電力制約の構造問題を多角的に検証する。

 5月30日(現地時間)、ソフトバンクグループ(SBG)がフランスで最大750億ユーロ(約14兆円)を投じ、出力5ギガワット(GW)のAIデータセンターを建設すると発表した。同社にとって欧州最大のAIインフラ投資であり、エマニュエル・マクロン大統領が主催する「Choose France 2026」サミットの目玉案件として世界に発信された。

 なぜ日本企業であるSBGが、国内でも米国でもなく、フランスを最大規模の投資先に選んだのか。その背景には、生成AI普及が引き起こした世界的な電力争奪戦、孫正義会長兼CEOのグローバルなインフラ戦略、そして日本が抱える構造的課題が交差している。

●目次

AIインフラを蝕む「電力の壁」

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、ChatGPTへの1回の問い合わせに必要な消費電力はGoogle検索の約10倍に相当する。IEAの試算では、世界のデータセンターの電力消費量は2026年時点で2022年比の2倍超に膨らむ見通しだ。

 主要テック企業各社が2026年にAIデータセンターへ投じる額は6,500億ドルに上るとも推計されているが(AI data center市場調査)、問題は「計算機を並べる金があっても、動かす電力が足りない」という現実だ。

 ボストン コンサルティング グループの報告書(2026年版)は、この矛盾を端的に指摘している。データセンターの開発期間は通常2〜3年だが、送電網の整備には4〜8年を要する。この「時間的ギャップ」が、米国を中心に電力契約の「数年待ち」を生み出し、新規データセンターの稼働を阻んでいる。

 こうした状況を受け、米国のハイパースケーラーは異例の手段に出ている。Microsoftは1979年の炉心溶融事故で知られるスリーマイル島原発の再稼働による電力供給契約を締結。Google、Amazonも10〜20年規模の長期原子力購入契約を相次いで結んでいる。米エネルギー情報局(EIA)は、2025〜2026年に米国の電力消費量が過去最高を更新すると予測しており、その主因はデータセンターの電力需要急拡大とされる。

「電力の確保こそが、次世代AIインフラの最大の競争軸になっています。いかに高性能なチップを積んでも、安定した電力供給なしにスーパーコンピュータは動きません」(エネルギー政策研究家・佐伯俊也氏)

なぜフランスなのか — 原発大国の「稀少価値」

 電力確保が世界中で争奪戦となっている今、SBGがフランスを選んだ理由は明確だ。

電源構成の圧倒的な優位性

 2024年時点でフランスの原子力発電比率は約67%と世界首位(GLOBAL NOTE調査)。国内56基の原子炉を稼働させ、欧州最大の電力輸出国でもある。さらにマクロン政権は2026年2月、原子力比率引き下げ方針を事実上撤回し、既存炉の長期運転と最大14基の新増設を盛り込んだ第3次エネルギー複数年計画(PPE3)を発令した。原子力は変動しない「ベースロード電源」として24時間365日の安定供給が可能であり、太陽光・風力のような出力変動がない。

 今回SBGが整備する5GWという規模は、日本の原発約5基分の出力に相当し、通常のハイパースケールデータセンター(50〜100MW規模)の数十〜百倍に上る桁違いのインフラだ。これほどの電力を安価かつクリーンに、かつ即応性のある形で供給できる環境は、欧州ではフランスが唯一に近い。

「Choose France」政策との連動

 フランス政府は2025年2月、AIインフラ整備に1,090億ユーロを投じる計画を発表済みで、EDFはデータセンター誘致向けに発電所跡地の自社保有地を提供し系統工事期間を数年短縮できる仕組みを整備している。SBGはシュナイダーエレクトリックと提携し、ダンケルク港に産業クラスターを開発することで、製造・エネルギー・インフラを一体化したサプライチェーン構築も図る。

 EUのGDPRやAI規制法はテック企業にとって運用コストとなるが、SBGにとっては「フランス政府を事実上の共同推進者にすることで政策リスクを内側から管理する」という構造を取っている点が重要だ。マクロン大統領はこの投資を「AIのバリューチェーン全体にわたる主要投資先としてのフランスを位置付ける取り組みの成果」と評価した。

Arm、OpenAI、5GWインフラ…SBGの「AI垂直統合」戦略

 今回のフランス投資を、SBGの経営全体と切り離して論じることはできない。

 孫氏はAI革命を「ドットコムブームの50倍の規模」と語り(2026年6月、CNBCインタビュー)、SBGは近年「投資会社」から「AIバリューチェーンを垂直統合するインフラ企業」への変貌を加速させている。その構図は次のように整理できる。

・チップ設計(演算基盤):SBG保有比率87%超のArm Holdingsが省電力AIチップの設計で圧倒的なシェアを握る。ArmのIP(知的財産)はNvidiaをはじめAIサーバー市場の根幹を支え、SBGの純資産価値の50%超を占める。
・AIモデル(知能):SBGはOpenAIに累計600億ドル超を投資し、持分約11%を保有。2026年3月期にはOpenAI投資による含み益は450億ドルに上り、同期の純利益は日本企業史上最高の5兆円超を記録した。
・計算基盤(インフラ):米国では「Stargate Project」(OpenAI・Oracle共同)で最大5,000億ドル・10GWのAIインフラ建設を牽引。欧州では今回のフランス5GWがその軸となる。

 つまり、チップ設計からAIモデル、計算インフラまでを一気通貫でコントロールするエコシステムの構築が、孫氏の現在の戦略の核心だ。

財務リスクの点検も欠かせない

 14兆円という投資規模について、冷静な目で検証する必要がある。まず「最大750億ユーロ」は段階的な上限値であり、第1フェーズの実行額は450億ユーロ(約8.3兆円)だ。SBGはこれをSBエナジーなど戦略パートナーとの共同投資スキームで分担する方針を示しており、全額を単独で拠出するわけではない。

 しかし、過去にウィーワーク(WeWork)への巨額投資が経営危機を招いた前例があるように、大型インフラ投資には市場変動リスクが伴う。今回のデータセンターが収益化するためには、主要顧客となるクラウドサービス企業やAI開発企業からの大規模なコロケーション・計算需要が前提条件となる。SBGの2026年3月期純利益が史上最高を記録した一方、有利子負債水準は引き続き高水準であり、投資家の視点からはレバレッジリスクの継続的な監視が求められる。

「インフラの大型投資が収益化するには長い時間軸が必要。ただ、電力確保と立地選定という”変えられない条件”を先に押さえるという手法は、事業戦略の観点からは合理性があります」(戦略コンサルタント・高野輝氏)

日本の「計算基盤」はどこへ向かうか

 今回SBGがフランスを選んだことは、逆説的に日本の構造課題を照らし出している。

電力コストと電源構成の制約

 日本の産業用電力料金は国際比較で依然として高水準にある。電力広域的運営推進機関(OCCTO)の需要想定によれば、2034年度にデータセンターの電力需要は44TWhに達し、産業部門全体の約14%を占める見通しだ。しかし、原発再稼働は社会合意形成に時間がかかり、再エネは適地不足と出力変動という課題を抱える。日本国内で単一のデータセンターに5GW規模の安定電力を供給することは、現状では物理的にも政治的にも極めて困難だ。

国策の現実

 経済産業省は「GX戦略地域」の公募を開始し、脱炭素電源を100%使うデータセンターへの投資を最大50%補助する制度(2026年度から5年で2,100億円)を整備している。さくらインターネットなどへの国産AIインフラ支援も続く。SBG自身もシャープの旧堺工場跡地に約1兆円を投じた国内データセンター建設を進めており、日本市場を完全に見切ったわけではない。

 ただし率直に言えば、こうした施策の規模感はフランスへの14兆円投資と比べると桁が異なる。日本が誇る製造現場のプロセスデータを活用した「フィジカルAI」領域での競争力構築など、独自の強みを活かした戦略が求められる局面だ。

「国産インフラ整備は安全保障の観点から重要だが、電力制約という根本問題を解決しない限り、スケールでの競争は難しい。日本が勝負すべきは、データの質と産業との連携深度ではないのでしょうか」(佐伯氏)

「電力を握る者がAIを制する」という現実

 孫正義氏がフランスに14兆円を投じた判断の核心は、AIをめぐる競争が「アルゴリズムの優劣」から「物理インフラの争奪」へと構造変化しているという認識にある。電力という最も根源的なリソースを確保した者が、次世代AIの供給者として君臨する——それがグローバル市場の現実だ。

 この構図は、日本のビジネスパーソンにとっても他人事ではない。AI活用の競争力は、モデルの高度化だけでなく、どこのインフラで、どれだけのコストで推論・学習を行えるかに直結している。国産インフラ整備は着実に進んでいるものの、電力制約という構造問題が解消されない限り、日本企業は海外の計算基盤に依存し続けるリスクを抱える。

「インフラを構築する国々が、テクノロジー、産業、社会の未来を形作る」——孫氏がフランス発表時に語ったこの言葉は、SBGの投資論理を超え、国家と産業のあり方を問う問いとして重く響く。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)