JRA小倉の「新馬マイスター」福永祐一が新潟でどん詰まり連発の大失態、誤算続きの新馬戦でまさかの急ブレーキ

 24日から始まった函館・新潟の2場開催。通常であれば、基本的に関東・関西で騎手や馬が分かれるのだが、今年は東京オリンピック開催への対応および暑熱対策の観点から、変則開催となり、関東・関西関係なく騎手や馬が各競馬場に参戦している。

 そのため、関東寄りのイメージがある新潟競馬場にも関西騎手が多く、その中にはコントレイルとシャフリヤールで日本ダービーを連覇した福永祐一騎手もいた。

 福永騎手は、先週まで小倉競馬場を主戦場として騎乗。小倉開催が4週の間、休止する関係で新潟競馬に参戦してきた。

 小倉の福永騎手は絶好調だった。わずか3週で計14勝を荒稼ぎし、地元開催で気を吐いた川田将雅騎手を上回る夏の小倉暫定リーディングに輝いている。2位の松山騎手が10勝であるため、現時点で大きなリードを手にした。

 福永騎手が小倉リーディングにつけている要因の1つに「新馬戦」における好成績が挙げられる。14勝のうち5勝が「2歳新馬戦」だったのだ。5勝の中には、単勝オッズ1.5倍の人気馬で挙げたものはあるが、将来のお手馬候補となる2歳馬で【5-1-0-2】の成績を残したことは、今後の福永騎手にとっても大きなプラスとなるだろう。

 これほどの活躍をするのだから、「新馬の福永」と言いたくなるが、新潟開催になってから福永騎手は、新馬戦でファンの期待に応えられないレースが続いている。その中でも、大きく期待を裏切ったレースが2つある。

 1つ目は、24日新潟5Rのプルサティーラ(牝2歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。同馬は、ディープインパクト産駒の素質馬で、サンデーレーシングが1口175万円、40口募集したほどの高額馬だ。

15年の愛オークス(G1)などを制したカヴァートラブを母に持ち、期待されていた馬だった。13日の当歳セレクトセールでは、キズナ産駒の半妹を1億5000万円でCyber Agentの藤田晋代表取締役社長が落札したこともニュースになった。

 福永騎手はデビュー前のプルサティーラについて「ディープの牝馬という感じ。軽い芝で良さそうなタイプ。いい動きだった」と絶賛しており、管理する中内田厩舎の片山裕也助手は「小柄な牝馬で気のいいタイプ。スピードがありそうだし、ゲートも水準以上」と評価していた。

 レースは、、フルゲート18頭立ての芝1600mでデビュー。ゲートも水準以上という片山助手のコメント通り、好スタートを切るとインの4番手につける。しかし、勝負どころの4コーナーにかけて後ろの馬が徐々に進出すると、インの6番手に押し込められてしまった。

 最後の直線コースに入り、勝負所を迎えたものの、インにいた関係で四方が塞がって進路を確保できず。それでも、外から蓋をしてきた馬が抜け出たところを利用して、何とか活路を見出したが時すでに遅し。伏兵馬の逃げ切りを許す結果となってしまった。


 レース後、SNSやネットの掲示板では一部のファンから「包まれる前に何とかしないと……」「これでは教育どころじゃない」と福永騎手の進路取りに疑問を呈す声も出た。

 この新馬戦の敗北でリズムを崩したのか、福永騎手は開幕週の新潟で行われた新馬戦に騎乗するも未勝利。好結果を残した小倉とは、一転して一急ブレーキとなった。

 不調を象徴した極めつけは、翌25日新潟6Rの2歳新馬戦である。騎乗馬は、ブルーグラス(牡2歳、栗東・高橋義忠厩舎)だ。

 こちらは今年の青葉賞(G2)を制したワンダフルタウンの半弟にあたる素質馬で、兄が新潟で芝1800mの2歳レコードを樹立していることなどが評価され、4番人気の支持を受けていた。

 しかし、スタートで後手を踏んだ結果、18頭立てのレースで13番手の後方から追走の苦しい位置取り。そして最後の直線で、インコースを選択した福永騎手は、再び行き所をなくし、満足に追えなかった結果、7着に敗れてしまった。挙句、最後の直線コースで外側に斜行したことについて過怠金1万円の処分を受けるというオマケもついた。

 1400mながら前半3F33秒9に対し、後半3Fが36秒9と後ろの馬に有利なペース。そのため、後方にいたとしても、進路さえ確保できていればチャンスは十分にあったかもしれない。そういったこともあってか、前日に続いての残念な結果に、不満を漏らすファンも少なくなかった。

 現在、全国リーディングで3位につけている福永騎手だが、1位のルメール騎手が函館を主戦場にしており、2位の川田騎手との差を少しでも詰めるためにも、負けられない戦いが続く。連日の猛暑の影響で「夏バテ気味」かもしれないが、是非とも踏ん張って大活躍だった小倉の勢いを取り戻したいところだ。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

スルガ銀行、危機再燃か…アパート向け不正融資問題が浮上、「被害者弁護団」結成

 家電量販店大手のノジマは6月17日、横浜市西区のランドマークプラザで定時株主総会を開いた。野島廣司社長は資本・業務提携の解消を協議しているスルガ銀行(本店静岡県沼津市)の保有株式の扱いについて「総合的な観点により現在、検討を行っている」と述べるにとどめた。

 ノジマはスルガ銀に議決権ベースで18.52%出資している。経営方針をめぐって対立が深まり、野島社長は6月1日にスルガ銀副会長を辞任。スルガ銀はノジマの関連会社でなくなった。野島氏は辞任の理由について「リテール(個人向け)を強化し、地域の皆さまに喜んでいただき、従業員を幸せにする思いだったが、先方(=スルガ銀の経営陣)はそうでなかった」と説明した。

 複数の取締役の交代を求めたノジマ側の人事案をスルガ銀が拒絶したため、野島氏は“退任カード”を切ったわけだ。執行部が提案した人事案が、取締役会で多数決で決められた。全会一致がほとんどといわれる銀行の取締役会で意見が割れるのが、まず異例である。生え抜きで前社長の有國三知男会長は退任したが、嵯峨行介社長らは引き続き経営陣にとどまる。

 スルガ銀は女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に端を発した投資用不動産への不正融資で経営が悪化。2019年5月、ノジマと業務提携し、ノジマは同年10月、スルガ銀の創業家が保有していた全株式を買い取り筆頭株主になった。野島氏は昨年6月から代表権のない社外取締役となり、副会長に就任していた。

 ノジマとスルガ銀は、両社の顧客基盤を活用したオンラインサービスや、金融とITを融合させるフィンテック事業の共同展開を進める方針だった。しかし、両社には明らかに温度差があった。スルガ銀の経営陣はノジマという後ろ盾を得て信用を補完し、シェアハウスなど投資用不動産融資の損失処理を急ぐのが先決だ、と考えた。

 スルガ銀は21年3月、民事調停を申し立てていたシェアハウス285人の貸し出し債権約442億円を第三者に譲渡した。20年3月に続く2回目の債権譲渡で債務者は借金をシェアハウスの土地や建物ですべて代物弁済したという。

一棟物件向けの不正融資問題

「スルガ銀の危機はまだ終わっていない。シェアハウス向け融資では和解したものの、アパートローンは解決していない」(首都圏の有力地銀の融資担当役員)。中古アパートなど一棟物件向けの不正融資をめぐって、21年5月、「被害者弁護団」が結成され、6月中旬、東京・日本橋のスルガ銀東京支店を訪れ、嵯峨社長との面談を求めたが、銀行側は面会を拒否した。

 デモ隊は「中古アパート、マンションの不正は、シェアハウスより前から行われていた」と通行人に訴えた。シェアハウスのオーナー向けにカードローンを設定していたが、「カードローンについても未処理。カタがついていない」(前出の地銀融資担当役員)。

 一方、ノジマはもっと積極的だった。協業による果実を早く得たいと急いでいた。家電量販店は飽和状態になっていて、ノジマは新たな収益源としてカード事業を想定していた。

「カード事業については以前から売り物を探していた。そこにスルガ銀が出てきたので、ならば銀行ごととなった」(ノジマの元役員)

 カード事業だけが欲しかったのに、中堅家電量販店のノジマが銀行をまるごと引き受けたところに、そもそも無理があった。ノジマとの提携を解消したら待ったなしである。スルガ銀は新たな提携先を早急に見つけなければならない。だが、「ノジマに代わるパートナーを見つけるのは容易ではない」(別の首都圏の地銀の営業担当役員)。

SBIHDの存在感

 ノジマが保有しているスルガ銀株をどこに売却するかが次の焦点となる。ノジマが資本参加した1年半前にも取り沙汰された新生銀行やSBIホールディングス(HD)の名前が挙がる。「第四のメガバンク構想」を拡大中のSBIHDの北尾吉孝社長は「我々ならスルガ銀行をうまくマネージメントできる」と意欲を燃やしていたことで知られる。

 だが、SBIは清水銀行(本店静岡市清水区)と20年2月、資本・業務提携した。SBIが地銀に出資するために設立した100%子会社のSBI地銀ホールディングスが清水銀に2.45%出資している(21年3月期末時点)。SBIの出資の基本方針は「一県一行」ということになっている。「スルガ銀に出資しにくいのではないのか」(中部地区の地銀の役員)との認識が強い。

 この点に関して「スルガ銀の本籍は沼津だが、営業の本拠地は神奈川。地元密着の銀行ではないので、北尾氏も例外扱いするのではないか」(自民党の金融族議員)。ノジマが持つスルガ銀行株がどこに落ち着くかで、中部地区の地銀再編の号砲が鳴る。

(文=編集部)

JRA武豊も心配した「熱中症」の恐ろしさとは? 死に至る最悪のケースも……、アイビスSD(G3)12着惨敗モントライゼを襲った症状とは…

 連日猛暑日が続いている日本列島。梅雨も明け、日中に限らず夜も熱気を帯びているため、いつも以上に体調管理に気を付けなければならない時期となっている。

 それは、人に限らず競走馬も当てはまっている。

 25日に行われたアイビスSD(G3)でも、暑さが原因で不本意な結果に終わったと考えられている馬がいる。

 川田将雅騎手とのコンビで3番人気に支持されていたモントライゼ(牡3歳、松永幹夫厩舎)だ。

 同馬は、昨年の京王杯2歳S(G2)優勝馬。前走の葵S(OP)は出遅れが響き5着に敗れているが、昨年の朝日杯FS(G1)を前半1000mを56秒9のハイペースで逃げていた快速の持ち主。結果、10着に敗れたとはいえ、グレナディアガーズのレコード勝利を演出した陰の立役者でもあった。それだけに、スピード自慢が集結するアイビスSDの舞台で好走を期待されたのも当然だったといえる。

 レース前、モントライゼを管理する松永幹師は、「直線競馬への対応は鍵になりますが前走は序盤にゴチャついて不完全燃焼。スムーズに運べれば違う」と、直線のみの1000mという特殊なコースに対応できるか、懸念はしているものの自信を見せていた。

 陣営からは「上がりをビシッと追って、この馬らしい動き。坂路主体に乗り込んで仕上がりました」というコメントも出ていたように、状態に問題はなかったはずだった。

 53キロと軽い斤量で出走することも相まって、モントライゼを単勝オッズ4.9倍の3番人気にファンは支持した。

 ロジクライの取消で16頭立てとなったレース。3枠6番からスタートしたモントライゼはゲートの出が今ひとつだったが、スピードに乗るとグングン加速し前へ。逃げる6枠2頭を射程圏内に入れた4番手でレースを進める。

 長かった直線も残り半分となり、各馬がスパートを切るところで鞍上の川田将雅騎手がゴーサインを出す。

 しかし、隣にいたオールアットワンスが凄まじい反応を見せたのに対し、モントライゼの反応は鈍く、射程圏に入れていた先頭集団との間は見る見る離れていった結果は、16頭中12着と惨憺たるありさまだった。

 そして、同馬に騎乗していた鞍上の川田騎手から出たのは、「勝ち馬の近くで進められたのですが、レース後に熱中症っぽい症状が出ました。無事に終わってくれればと思います」というコメント。

 新潟競馬場がある新潟市の当日の最高気温は31.1度。また、当日の湿度は熱中症警戒レベルの70%前後を行ったり来たりを繰り返していため、熱中症のリスクが高かった。

 JRAの公式Facebookアカウントによると、夏競馬における熱中症の発症頭数は年々増加傾向にあるとのこと。また、馬は人間と異なり汗から塩分を再吸収できないため、発汗による塩分喪失が大きい。そのため、熱中症になるリスクが非常に高いという。

 JRAは、各所にミスト機械やホース設置し、馬の熱中症対策に効果的な馬体冷却を行える環境を整えるなどして対策している。

 だが、モントライゼはレース前後で熱中症と見られる症状を発症してしまった。レースと直接の関係はないが、19年に重賞2勝馬ウインムートが放牧先で熱中症と思われる症状が原因で急死したケースもある。

 当然ながら騎手の中にも馬の熱中症を心配する声がある。武豊騎手は、19年8月の週刊大衆の自身のコラムにて「35度近くまで上がると、馬の熱中症が心配になります」と述べている。

 武騎手は同コラムにて、「少しでも馬にとって、いい環境でレースができますように……それがすべてのホースマンの思いです」と切実な願いを述べている。

 ウェザーニュースによると、今年は日本列島の広い範囲で気温が平年並みか平年より高くなるとのこと。炎天下で開催される夏競馬だけに、今後も熱中症のリスクは高いことが予想される。

 “暑い”レースではなく“熱い”レースが夏競馬で繰り広げられることを切に願う。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

台湾TSMCの「日本の新工場建設」には合理的理由がない…経産省が関わったら失敗する

経済産業省によるTSMCの国内誘致

 経済産業省が世界最大の半導体ファウンドリー(受託生産)企業、台湾積体電路製造(TSMC)を日本国内に誘致しようとする動きが2つある。一つは、後工程の研究開発センター、もう一つはソニーとの合弁による新工場設立の動きである。本稿では、後者の新工場の実現性を検証する。その前に、前者の研究開発センターについて簡単に言及しておく。

 経産省は「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を推進するため、「研究開発項目②先端半導体製造技術の開発(助成)」に関する実施者の公募をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が行い、その開発テーマの一つの「高性能コンピューティング向け実装技術」について、「TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社」を選定した。経産省はこの研究開発の概要を5月31日に公開し、「TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社」に日本企業20社が協力することを明らかにした

 これを受けて日本経済新聞は6月16日、『半導体再興、「後工程」糸口に イビデンなどTSMC誘う』という記事で、TSMCが日本に進出して、半導体を積み重ねる「3次元積層技術(3DIC)」を、日本の材料や装置メーカー20社と共同で開発することによって、日本が半導体製造で復活する足掛かりになると報道した。

 しかし、筆者が調査したところ、6月28日時点では、「TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社」の組織および具体的な研究テーマやマイルストーンは決まっておらず、経産省が公開し、日経新聞が報道した上記の協力企業20社も確定していなかった(詳細は拙著記事)。したがって、経産省の発表は明らかに勇み足であり、それを鵜呑みにして尾ひれや背びれをつけまくって「日本半導体産業の復興」を煽るような記事を書いた日経新聞も罪は重い。経産省も日経新聞も、日本の世論を大きくミスリードすることになったと思うからだ。

 では、もう一つの動きのTSMCとソニーとの合弁による新工場は、本当に実現するのだろうか。こちらは1兆円規模の新工場であり、そのインパクトは研究開発センターの比ではない。したがって、「ちょっと勇み足でした」では済まされないと思う。

TSMCとソニーとの合弁による1兆円規模の新工場

 この報道を行ったのは、5月26日付の日刊工業新聞である。その記事のタイトルは、『ソニー・TSMC、合弁構想 熊本に1兆円新工場』である。以下に、一部抜粋する。

<経済産業省主導によりソニーグループと半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が合弁で熊本県に半導体工場を建設する構想が浮上した。経産省が仲介役となり、関係者の調整を進める。前工程中心で総投資額1兆円以上を見込む。ただ、誘致実現には欧米に見劣りする補助金など支援策の大幅拡充が不可欠。国を挙げた半導体サプライチェーン(供給網)再構築への本気度が問われている。

 構想では両社が2021年内にも半導体製造の合弁会社を設立する見通し。TSMCが主体となり、ソニーG以外の日本企業も一部出資して枠組みに参加する可能性がある。

 前工程工場は熊本県・菊陽町にあるソニーGのイメージセンサー工場近くに建てる計画。自動車や産業機械、家電などに使う回路線幅20ナノ―40ナノメートル(ナノは10億分の1)のミドルエンド品を生産するもよう。線幅40ナノメートル未満の工場は国内で初めてとなる。投資の分担はソニーGが土地・建屋の手当て、TSMCが製造プロセスを受け持つ方向で調整する。パッケージなどの後工程工場も熊本県内に新設する見込み>(原文ママ)

TSMCとソニーの反応

TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社」は、6月28日時点でほとんど何も決まっていなかったが、少なくともTSMCは2月9日のニュースリリース“TSMC Board of Directors Meeting Resolutions”の中で、以下を明らかにしていた。

“Approved the establishment of a wholly-owned subsidiary in Japan to expand our 3DIC material research, with a paid-in capital of not more than ¥18.6 billion (approximately US$186 million).”

<資本金186億円(約1億8600万米ドル)以下で、3DIC材料研究を拡大するために日本に完全子会社を設立することを承認しました>

 そして、本当に新会社「TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社」を法人登記している。しかし、ソニーとの合弁による1兆円工場については、TSMCのHPをくまなく調べてみたが、一切公式発表がない。また、ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長は、日刊工業新聞が「経済産業省主導によりソニーGとTSMCが合弁で熊本県に半導体工場を建設する構想が浮上した」と報道したことについて、「コメントは差し控える」としたうえで、「CMOSセンサーに用いるロジック半導体は大部分がファウンドリーからの調達だ」とし、「当社にとってロジック半導体を安定的に調達できることは非常に重要」と述べるにとどめている(日経新聞5月26日)。

 日刊工業新聞がTSMCとソニーの合弁による新工場について、かなり確信をもって記事を書いているのに対して、当事者であるTSMCとソニーからは、何ら明快な発表がないことが非常に気になる。そこで、TSMCとソニーの合弁による1兆円規模の新工場が現実的にあり得るかどうかを、視点を変えて考えてみたい。

予算と技術者が大問題

 まず、1兆円規模ということから、このロジック半導体工場は、12インチウエハで月産10万枚クラスのギガファブになる。そこで問題になるのは、その予算と技術者の確保である。日刊工業新聞の記事によれば、土地と建屋、つまり半導体工場の建設は、ソニー側が負担するということになる。では、その工場に導入する各種の製造装置の費用は誰が負担するのだろうか。少なくとも5000億円以上になると思われるが、この予算の出所が不明である。経産省が税金から捻出するのだろうか。

 次に、TSMCが受け持つとされるプロセス技術者に大きな問題がある。日本のロジック半導体は65nmから45nmに進むことができなかったため、日本にこの微細化レベルを習得している技術者はいない(図1)。そのため、ソニーは、CMOSセンサーに貼り付けるロジック半導体を全数、TSMCに生産委託しているわけである。

 以上から、この新工場のプロセス技術は、全面的にTSMCに依存せざるを得ない。そして、1兆円規模のギガファブとなると、どう少なく見積もっても数百人のプロセス技術者が必要になる。オペレーションも含めると1000人規模の社員が必要であろう。

 現在、TSMCは世界最先端の5nmを量産中であり、来年量産する3nmのリスク生産が開始された。加えて、その次の2nmの装置や材料選定が本格化している。これらに対応するために、TSMCは今年中に9000人の技術者を集めることになった(3月5日付日経新聞)。

 TSMCには5万1297人(2019年時点)の社員がいるが、一気に約2割も社員を増やすことになる。これについては人伝に、相当苦戦していると聞いている。そのようなTSMCに、数百人もの技術者を日本に派遣する余裕があるだろうか。逆に、日本に数百人の優秀なロジック半導体の技術者がいれば、TSMC本社が採用したいのではないだろうか。

TSMCが日本に工場をつくる合理的根拠がない

 図2に、TSMCの地域別売上高比率の推移を示す。2020年9月15日以降、米国の制裁により、TSMCは中国ファーウェイへの半導体の出荷を停止した。その結果、TSMCにおける中国の売上高比率は大きく減少した。

 その一方で、アップル、クアルコム、ブロードコム、AMDなど、ビッグカスタマーが多数存在する米国の売上高比率が70%前後に上昇している。その米国にTSMCが誘致され、アリゾナ州にロジック半導体のファンドリーを建設することになったが、「建設費が6倍高く、人件費が3割高い」と苦言を呈しているという(2月24日付ニュースイッチ記事)。

 では、日本はどうだろう。TSMCの売上高に占める日本の割合は、たかだか4%しかない。この4%のなかに、ソニーのCMOSセンサーに張り合わせるロジック半導体の全数、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどの自動車メーカー向けの40nm以降の車載半導体のすべてが含まれている。

 このように売上高比率がたった4%しかない日本に、TSMCが数百人もの技術者を派遣して1兆円規模のギガファブを稼働させる合理的理由は存在しない。したがって筆者は、TSMCとソニーとの合弁による新工場には現実性がないと考えている。では、なぜ日刊工業新聞は確信に満ちた(ように見える)記事を報道したのだろうか。

経産省の「絵に描いた餅」

 経産省は6月4日に「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめたことを発表した。その半導体産業の戦略の第1番目に「先端半導体製造技術の共同開発と生産能力確保」がある。上記サイトには4つの添付ファイルがあるが、2つ目の「半導体・デジタル産業戦略について(要点)」には、以下の記載がある。

<3.半導体分野の目指すべき方向性

(1)国家として必要となる半導体生産・供給能力の確保

・先端ロジック半導体は、社会のあらゆる電子システムを制御し、データ駆動型経済を支える基盤デバイスであり、いわば「産業の脳」として重要であるが、我が国のミッシングピースの一つ。経済安全保障上の戦略的自律性の強化を図るため、海外ファウンドリーとの合弁工場の設立等を通じ、国内製造基盤を確保する。さらに次世代製造技術の国産化を進める>

 さらに、3つ目の添付ファイル「半導体・デジタル産業戦略(概要)」の6頁には、「海外の先端ファウンドリとの共同開発を推進する。さらに、先端ロジック半導体の量産化に向けたファウンドリの国内立地を図る」と書かれている(図3)。

 加えて、4つ目の添付ファイル「半導体戦略(概略)」の38頁には、「我が国が失った先端半導体生産能力(40nm未満)について、海外ファウンドリの協力を得て、新たに工場を設立する」と書かれている(図4)。

 以上からわかることは、経産省が海外ファンドリーを誘致して、日本国内に40nm以降のプロセスによる先端ロジック半導体工場を設立したいという構想を持っているということである。それがTSMCとソニーとの合弁による1兆円規模の新工場ということであり、どのような経緯かはわからないが、その内容を日刊工業新聞が記事に書いたということではないか。

 しかし、新工場に導入する製造装置の予算(最低5000億円)と数百人の技術者(オペレーションを含めると1000人規模)を確保できなければ、経産省の「絵に描いた餅」にすぎないと筆者は考える。

歴史的に経産省が出てきた時点でアウト

 筆者は6月1日、衆議院の「科学技術・イノベーション推進特別委員会」に、半導体の専門家として参考人招致され、「日本半導体産業の過去を振り返り、反省・分析し、未来の政策を考える」というテーマについて、15分の意見陳述を行った(その様子がYouTubeにアップされています)。

「過去を振り返る」ことだけを抽出すると、日本半導体産業の世界シェアは1980年中旬に約50%でピークアウトし、その後、坂を転がり落ちるように凋落した(図5)。その間、シェアの低下を止めようと、主として経産省が主導して国家プロジェクトやコンソーシアムを山のように立ち上げ、エルピーダメモリやルネサスエレクトロニクスなどの合弁会社を設立した。

 しかし、やっても、やっても、シェアの低下を食い止めることはできず、2010年には20%となり、2020年には10%を切ってしまった。つまり、経産省が主導した半導体政策は、すべて失敗に終わったわけだ。この結果を基に、筆者は「歴史的に、経産省が出てきた時点でアウト」と断じた(詳細は拙著記事)。

 さて、今年2021年、経産省が主導してTSMCを日本国内に誘致しようとする動きが2つある。これまでの歴史通りならば、悲観的な結果に終わることになる。部外者の筆者としては、そうならないことを願うしかない。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

追記)TSMCは7月15日行った決算発表会で、日本の新工場建設について具体的な質問を受け、現時点でいかなることも排除しないと説明し、「当社は日本でウエハー工場に関するデューデリジェンスの過程にある」と述べたことが報道された(7月15日、Bloomberg)。この報道から、5月26日の日刊工業新聞の記事がまったく根も葉もないものではないことはわかった。しかし、それでも筆者は、TSMCがデューデリジェンスを進めた結果、「日本の新工場に関与しない」という結論を導くと考えている。その理由は、本文で述べた通り、日本の新工場に関係する合理的根拠が見当たらないからである。

●湯之上隆/微細加工研究所所長

1961年生まれ。静岡県出身。1987年に京大原子核工学修士課程を卒業後、日立製作所、エルピーダメモリ、半導体先端テクノロジーズにて16年半、半導体の微細加工技術開発に従事。日立を退職後、長岡技術科学大学客員教授を兼任しながら同志社大学の専任フェローとして、日本半導体産業が凋落した原因について研究した。現在は、微細加工研究所の所長として、コンサルタントおよび新聞・雑誌記事の執筆を行っている。工学博士。著書に『日本「半導体」敗戦』(光文社)、『電機半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北』(文春新書)。

・公式HPは http://yunogami.net/

カタチの美しさから、社会とつながる美しさへ。ファッションの顧客体験に起きている大変革

あらゆる業界でオンラインシフトが急速に進み、生活者の価値観や購買プロセスにも大きな変化が起こっている今、オンラインとオフラインがシームレスにつながった新しい購買体験が求められています。

国内電通グループは2021年2月より、OMO(オンラインとオフラインの融合)時代の新たな「ショッピング体験」をデザインするプロジェクト「dentsu SX(エスエックス)」(※1)をスタート。SXという名称には「Shopping Transformation」と「Shopping Experience」の両義が込められており、これからの時代に合わせた顧客体験を戦略・実装・運用までワンストップで支援します。

連載第4回のテーマはファッション。生活者のファッションに対する価値観や購買意識は、ここ10年で大きく変わりました。新型コロナウイルス流行でさらなる変化が起きている今、ファッションに求められる新たな顧客体験とはどのようなものになるでしょうか?

世界的なファッションデザイナーである、ANREALAGE代表取締役社長の森永邦彦氏をゲストに迎えdentsu SXプロジェクトメンバーの電通クリエーティブX・山口慶子が、dentsu SXの模索するファッションの未来について語りました。

※1 dentsu SX
国内電通グループ7社による、OMO時代に沿ったオンオフ統合の購買体験を顧客目線でデザインし、リテール領域において企業の事業成長に貢献するプロジェクト。電通グループのこれまでの事業蓄積と、戦略パートナーとして参画するfrog design inc.の知見を統合。電通独自の顧客行動データや、AIやクラウドなどの最新テクノロジーを活用し、顧客インサイトを掴むクリエイティビティと掛け合わせることで、顧客視点に立ったブランド独自のショッピング体験を創出する。(詳しくはリリースを参照

【ANREALAGE(アンリアレイジ)】

anrealage_logo2003年設立。ブランド名は「REAL」(日常)、「UN REAL」(非日常)、「AGE」(時代)を組み合わせた造語。「神は細部に宿る」を信条に、手仕事へのこだわり、洋服の「かたち」の追求、テクノロジーとファッションの融合といったテーマを通じて、その時代における日常と非日常の境界線を表現している。2014年に初のパリ・コレクションで衝撃のデビューを果たして以来、定期的にパリコレでファッションショーを開催。フェンディとミラノ・メンズファッション・ウィークで協業するなど、世界的な評価を得ている。
https://www.anrealage.com

 

カタチの美しさだけでなく、“社会とつながる美しさ”が問われる時代

山口:SXのSには「Shopping」という意味が込められていますが、ファッション領域をはじめ私は「Social」も意識しながらクライアントの課題解決に寄り添うことが重要だと考えています。

古くからファッションには社会の最先端を表現する側面がありますが、コロナ禍で人びとの生活様式が変わったことで、ファッション業界にも大きな変革が生まれていますよね。特に森永さんは社会で起きている人間活動に対する問題提起や気づきを常にファッションで表現されてきたと思います。最近の変化をどのように捉えているのでしょうか?

森永:もともとファッションは、誰かと会うときに必要なものであり、他者とのコミュニケーションありきで存在していました。人とリアルに会う場所が失われたことで、今までのシステムや体制そのものを再考するタイミングが来ていると感じます。特に過剰なスピードやサイクルでものづくりをすることが見直されつつありますよね。

山口:まさにコロナ以前からANREALAGEが体現されてきたことですよね。地中に服を埋めて生分解による素材の変化を楽しむファッションは衝撃的でした。

森永:服の寿命を短いサイクルで回すことが正義とされる大量生産・大量消費社会に対して、一着を長く大切に着続けるにはどうすればいいかをずっと考えていました。同時に、着なくなったものを廃棄する過程で新しいデザインが生まれることにもトライしたいと思いました。

そこで、とうもろこしのでんぷんで糸をつくり、洋服に仕立てたのです。この服は土に埋めると微生物が食べて土に還っていきます。約1年後、素材の半分は土に還り、残りの半分は新しいデザインに生まれ変わるのが、この取り組みのコンセプトです。今ちょうど、小豆島でこのプロジェクトを進めており、服を土に埋めたところです。風土で微生物などの環境は異なるので、1年後どのような服が完成するのか楽しみです。

バイオデグラデーション
土と水、温度で生分解される「バイオデグラデーションガーメント」。服を地中に埋め、毎日水を与えながら高温環境で1カ月保存すると、微生物が糸を食べ、花柄やタータンチェックなどの模様を形成する。(写真は左から0日、15日、30日目の変化の過程)

山口:とても面白い取り組みですよね。近年はESG投資がビジネスのホットワードになっていますが、自然界を人間がすべてコントロールするのではなく、私たちはあくまでも自然の生物の中の一つの存在でしかないと考え始める人も少しずつ増えていますよね。コロナ禍の影響もあいまって、森永さんが先立ってやってきたことに時代が寄り添ってきているように感じます。

森永:そうですね、僕らとしてはブランド設立時から、自然と共生するファッションや、サステナビリティとの向き合い方をテーマに掲げてきました。でも、コロナ禍で海外に行けなくなり、人と会う機会がなくなり、工場や仕立て屋もストップする、売り場もなくなるという事態を経験し、これまで奇跡的な状況の中でものづくりをしていたのだと改めて気づかされました。

山口:これまで私たちは大量生産・大量消費・大量廃棄で経済を回し続けていましたが、「本当にこれでいいのかな?」と立ち止まるきっかけをもたらしたのがコロナですよね。もちろん、ファッションは2、3歩先の未来を提示する側面がありますから、コロナ以前から問題提起を投げかけていたブランドはたくさんあります。その価値観に対して、美しさやかっこよさを見出す生活者が増えていることが、大きな変化だと感じています。

ANREALAGE A/W 2021-22 COLLECTION “GROUND”
ANREALAGE A/W 2021-22 COLLECTION “GROUND” 天地や重力の逆転といった視点の転換により、非日常を日常に取り込むようなコレクションを提案。

触覚をデジタル転送できれば、ファッションの購買体験に革命が起きる

山口:コロナ禍でフィジカルな接点が失われたことで、ファッションの顧客体験もデジタル化が加速してます。指先で洋服を買うのが当たり前になりつつある時代に、ファッションが持っているフィジカルな価値とのギャップをどう埋めていくかが課題ですよね。

森永:視覚的な要素に関しては、ある程度デジタルとの融合が実現できていると思います。しかし、ファッションはテキスタイルの肌触りなど、データでは届けられない要素を多く内包しているもの。触覚的な要素をデジタルで伝送し、フィジカルにフィードバックするようなテクノロジー表現に興味があります。洋服の質感や温度感を遠隔で伝えることができるようになれば、ファッションの顧客体験に革命が起きますよね。

山口:そこはdentsu SXとしても追求したいテーマです。一方、リアル店舗の可能性についてはどうですか?

森永:オンラインでは、コンセプトやグラフィックが分かりやすいものが売れる傾向にあると感じています。だからこそ、画面や文章にはない特別な体験を店舗で追求すべきですよね。ただ売り買いをする場所ではなく、五感で受け取る情報や店員とのコミュニケーションも含めて、ここに来てよかったとお客さんに感じてもらうことが、ブランドとの深い関係をつくる上でも大切なことです。

山口:体験設計は今後ますます重要になりますよね。その時に求められるのが、テクノロジーやデザイン、クリエイティブの力だと思います。

森永:逆に言えば、店舗で特別な体験を提供できなければオンラインには勝てません。データに収まり切らないファッションの価値を磨く必要があります。

山口:特別な場所で好きになったものを購入し、持ち帰って身につけるという一連の体験そのものが、ブランドの価値になりますよね。私がANREALAGEの服をどんどん買ってしまうのは、ブランドがまとっている思想やコンセプトに共感したり、パリコレの演出に感動したりなど、自分にとって特別な体験の積み重ねがあるから。ANREALAGEの服を着て近所のスーパーに行くだけでも、どこか社会とつながっているような、自分らしく居られるような感覚があるんです(笑)。

ANREALAGE 2021 S/S COLLECTION ''HOME''
ANREALAGE S/S 2021 COLLECTION ''HOME'' 「服を着るように、家を着る」という視点で、家のように身体を覆うホームウェアを探究。

物質のファッションから、データのファッションへ

山口:テクノロジー×ファッションの潮流で注目しているのが、アバターファッションです。バーチャルな世界で、自分のアバターにファッションをまとわせる人たちが国内外で増えています。

その背景にあるマインドは、リアルな世界だと身体的なコンプレックスや障壁で理想の自分にはなれないから、バーチャルな世界で理想の自分を追求するというもの。最初聞いたときは、すごい世界だな…と思ったのですが、ファッションの本質、もっと言えば人間の本質に関わるトピックのような気もするんです。

森永:ファッションが持つ力を「その人を他のイメージや見え方に変身させること」だと考えると、バーチャルな世界にいる自分を変身させることは立派なファッションですよね。

NFT(Non-Fungible Token:ブロックチェーン上で発行された代替不可能な唯一無二のデジタルトークン)の登場で、オートクチュールのようなデータの作り方・買い方が可能になると、データのファッション化はますます進むのではないでしょうか。人とは違うものを求めること、個性を確立していくことがファッションですからね。

山口:面白いです。ファッションといえば服のカタチをしたものを人間が着ることが前提にありましたが、今までファッションだと認識されていなかったものがファッションになるかもしれませんよね。

森永:バーチャルに限らず、ファッションの可能性はどんどん拡張していますよね。例えば、マスクやフェイスシールドがファッションアイテムになるなんて、コロナ以前は考えられませんでした。ファッションでないものがファッションに変わっていく瞬間を見るのは楽しいです。

僕自身も、先日公開された細田守監督のアニメ映画『竜とそばかすの姫』で主人公の衣装を担当しました。これも現実世界にはないファッションですが、きっと多くの人の心に残る洋服になると思っています。このように、物質ではないファッション、さまざまなボーダーを軽々と超えるファッションに大きな可能性を感じています。

竜とそばかすの姫
『竜とそばかすの姫』©2021 スタジオ地図

山口:アニメーションやバーチャルとファッションの融合は、日本が先導しそうな予感があります。アメリカのVR関係の人たちと話をすると、みんな口を揃えて日本への憧れを熱く語ってくれるんです。グローバルな観点で見ると、日本は特別な国になりつつありますよね。

コロナ禍でファッション業界は苦境に立たされていますが、日本という特異性を生かしたチャンスはたくさんあると思っています。そこを森永さんと一緒にサポートしていきたいですね。森永さん、今後ともよろしくお願いします!


dentsu SXでは、企業の皆さまからのご相談やご質問を受け付けております。興味のある方は、ぜひ公式サイトからお問い合わせください。

次回は「FMCG(日用消費財)」業界におけるショッピング体験の変化と、これから取り組むべきアクションについてご紹介します。

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「価値づくり」につながる広報戦略、どうやってつくる?

これからの企業に求められる「価値づくり」広報とは何かを紹介する本連載。

過去3回の連載では「価値づくり」をキーワードに、ソーシャルバリューを生み出し、コーポレートブランドに良い影響を与えていくことの重要性について解説してきました。

最終回となる今回は、その価値の創造につながる広報戦略立案のポイントについて説明します。

広報部門が強化したい力のトップは「戦略構築力」

今、広報部門が最も課題を感じているのは「戦略構築力」です。
企業広報戦略研究所(略称C.S.I./電通PR内)が2020年に実施した「第4回 企業広報力調査」において、今後強化したい広報力として最も選択率が高かったのは、「戦略構築力」の中の「広報戦略は、経営戦略とリンクしている」という項目でした【図表1】。

それに続く「情報創造力」「情報発信力」も広報にとって重要な項目ですが、コロナ禍をはじめとして、これまでの想定を上回る社会イシューが顕在化する中、根本的な戦略の見直しを検討する企業が増えてきている様子がうかがえます。

【図表1】(2020年5月の時点で)緊急事態宣言が解除された後に強化したい広報活動

価値づくり広報第4回_図表1

あなたの企業における「広報目標」は明文化されていますか

では、広報戦略とは、どのように策定していくべきものでしょうか。
当研究所では、広報戦略は【図表2】のように、「広報目標」の設定と、その目標達成に向けたシナリオ、というように定義しています。そして、広報戦略策定の第一歩となる「広報目標」の設定においては、経営戦略に基づき“ありたき姿”を描く、すなわち、「①どのステークホルダーに?」「②どう思われたいのか?」 をしっかりと描くことが重要になります。

広報戦略の策定・見直しに着手する際、この目標が明文化されていない、あるいは、目標の設定において重要なステークホルダーが定まっていないという点は、比較的よく目にする課題です。

【図表2】広報戦略=「広報目標」の設定と、その目標達成に向けたシナリオ

価値づくり広報第4回_図表2

また企業戦略と広報戦略は、より連携していくべきテーマといえます。例えば昨今、企業のガバナンスにおいて「情報発信・対話」が大きなテーマになっています。

昨年9月には、経済産業省より「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書 ~人材版伊藤レポート~」(※)が公表され、ステークホルダーに向けた情報発信・対話の重要性が大きく取り上げられました(下記引用文を参照)。今後、こうした企業姿勢の開示や発信の動きは、より強まっていくものと考えられます。

そして「情報発信・対話」は、広報の得意領域といえます。経営や人材に関するものにとどまらず、策定した広報戦略・広報目標を、広く社内、そして社外に発信することで、社会課題に向き合う姿勢の発信を行っていくことも、他社との差別化につながります。

経営陣は、自社の企業理念や存在意義(パーパス)、人材戦略について従業員に積極的に発信を行い、対話すべきである。

経営陣は、自社の人材戦略が、ビジネスモデルや経営戦略にどう連動しているのか、人材戦略の取組がどこまで進捗しているか等の情報を見える化し、投資家に対して積極的に発信・対話すべきである。

出典:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書 ~人材版伊藤レポート~」(P.22)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/pdf/20200930_1.pdf
 
(※)伊藤邦雄先生
一橋大学大学院経営管理研究科特任教授。当研究所が2020年12月に発行した「新・戦略思考の広報マネジメント」でインタビューを実施している。

 

社会課題への向き合い方が、広報の重要テーマとして急上昇

「広報目標」で重視すべき「ステークホルダー」については、本連載の第1回 で、株主・投資家、顧客だけでなく、従業員や地域住民などの  重視度合いが高まっている点に触れました。向き合うべきステークホルダーが変化、または増えていく中、広報活動におけるステークホルダーの優先順位付けが重要となってきます。

続いて描く必要があるのは、それらのステークホルダーに「どう思われたいのか? 」という点です。こちらも同じく第1回  の記事において、この6年間で最も伸びた広報活動テーマが「CSR」であった点をご紹介しました。「社会課題に向き合う企業」という姿勢の発信・レピュテーションの獲得は、今や多くの企業における重要テーマとなっています。

「社会価値創造型」のファクトづくりを目指す

社会課題解決は今や多くの企業の注目テーマとなっており、また、非常に広範にわたるテーマのため、自社で取り組む分野の絞り込みが重要になります。

当研究所では、社会課題に向き合う企業の活動の類型を「社会貢献型」「社会負荷軽減型」「社会価値創造型」の3つに分類しています【図表3】。

ここでは第1に、「事業活動との親和性」が高いか(ヨコ軸)、第2に、他社よりも早く「潜在イシュー(社会課題)」に取り組んでいるか(タテ軸)の、2軸で考えることが重要になります。その両方を満たす「社会価値創造型」領域の社会課題解決に取り組むことで、事業との両立をはかった独自のソーシャルイノベーションに取り組んでいる、というレピュテーションを得ることが可能になります。

【図表3】企業が取り組む社会課題解決の3類型

価値づくり広報第4回_図表3

広報ターゲットの興味・関心を分析し、ファクトをもとに効果的なコンテンツづくりへ

広報目標と、それに基づく広報戦略の精度を高めるには、「広報ターゲットがどのような関心を持っているか」についての分析も重要です。

2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査」のデータでは、一般生活者の興味の1位は健康・福祉、2位はエネルギーという結果となっています。さらにこのデータを年代別に分解してみると、例えば20代の4位には、全体では9位の「貧困をなくそう」が上がってくるなど、世代による差がみられます。このように広報ターゲットによって興味・関心は大きく変化してきます。

広報戦略における広報目標の絞り込みは、自社の重要ステークホルダーの興味・関心を踏まえ、広報目標に貢献する具体的なファクトづくり、そしてその先のコンテンツづくりを探っていくことが重要になります。

【図表4】SDGsの達成目標について、企業の取り組みを期待する項目(複数回答)

価値づくり広報第4回_図表4

【図表5】年代比較 企業に取り組んでほしいSDGs項目(複数回答)

価値づくり広報第4回_図表5

「価値づくり」につながる広報戦略のつくりかた

以上を踏まえると、社会課題に向き合い、企業価値の向上につながる広報戦略のポイントは、下記になります。

  • 広報目標「どのステークホルダーに?」「どう思われたいのか?」を定める
  • 事業との親和性が高く、潜在度の高い社会課題にフォーカスし、差別化を狙う
  • 差別化の源泉となるファクトを磨き、コンテンツ化をはかる

本稿が、皆さまの企業価値向上にむけた一助になれば幸いです。

【調査概要】
■企業広報力調査
調査期間:2020年5月22日~8月7日
調査対象:「会社四季報 2020年」掲載時点の東証1部・2部、東証マザーズ、ジャスダック、札証、 名証、福証に株式上場している企業 (3679社)
有効回答サンプル数:474社(回収率12.9%)
調査方法:郵送・インターネット調査
調査主体:企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリック リレーションズ内)
※本調査では小数点以下第2位を四捨五入しています。
 
■ESG/SDGs調査
調査対象:全国の20~69歳の男女 計10,500人
調査方法、期間:インターネット調査:2020年6月24~30日
設問内容:ESG/SDGsの認知の有無、企業に期待するSDGsの取り組み、投資に対するESGを考慮する度合いなど  
調査対象

 

価値づくり広報第4回_図表6

※本調査では小数点以下第2位を四捨五入しています。

 

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世界的な異常気象、中国の気候改変プログラムが影響か…中国全土に豪雨災害、「気象兵器」レベル

 世界規模で異常気象が発生している。北米地域の熱波襲来、欧州地域での壊滅的な洪水、さらには中国を襲った「1000年に1度の大雨」など枚挙のいとまがない。

 異常気象を引き起こしている共通の原因は偏西風の蛇行である。北米地域では偏西風が通常よりも極端に北上したことで南からの熱い空気が入り込んで異常な高温状態になり、欧州地域や中国では偏西風が南下したことで寒気がなだれ込み豪雨に見舞われた。偏西風とは、北半球の上空を西から東へ吹くジェット気流のことである。高気圧や低気圧の移動に大きな影響を与える偏西風が、このところ大きく蛇行するようになったのである。地球温暖化が原因との説があるが、そのメカニズムは不明である。

 筆者は気象学の専門家ではないが、気になることがある。それは中国が人工的に雨を降らせるなどの気候改変プログラムを大々的に実施していることである。中国では7月1日、北京の天安門広場で中国共産党100周年記念式典が開かれたが、事前の予報で「雨が降る」ことが指摘されたため、前夜と当日早朝に上空の積乱雲に向けて数百発以上の降雨ロケット弾を発射、早めに雨を降らせたとされている。2008年の北京五輪でも競技中の降雨を避けるために人工的に雨を降らせていた。

 人工降雨に用いられる技術は「クラウド・シーデイング(雲の種まき)」と呼ばれる。湿度の高い雲の中に氷と似た結晶構造のヨウ化銀などを航空機やロケット弾などで注入すると、水分がヨウ化銀などの粒の周りに集まり、重くなって雨として落下するという仕組みである。1946年に米国のゼネラル・エレクトリックの化学者によって発見された。クラウド・シーデイングに使用されるヨウ化銀は毒性を有するが、中国当局は「使用量はわずかであり人体に害はない」としている。

世界で群を抜く中国のクラウド・シーデイング研究

 気候改変の技術が一躍有名になったのはベトナム戦争のときである。米軍が北ベトナム軍の動きを封じるため戦場に人工的に雨を降らせる作戦を極秘に展開していたが、この作戦が1972年に米国のメデイアによって明らかにされたからである。これを契機に米国内外でその使用に対する懸念が高まったことから、1978年に「軍事的又はその他の敵対的な気候改変技術の使用禁止に関する国際条約」が締結・発効した。

 中国もこの条約を2005年に批准したが、1960年代から気候改変の技術の習得・改善に熱心に取り組んできたとされている。北西部の広大な乾燥地帯に気候改変の技術で雨を降らせ、耕作地を拡大させることが狙いだった。

 米国などでもクラウド・シーデイングの研究が継続されているが、中国の活動が群を抜いている。2012年から17年にかけて13億4000万ドル超の資金を投入した。中国政府は昨年12月、「2025年までに気象改変プログラムの対象地域をこれまでの5倍の550万平方キロメートル超に拡大する」方針を明らかにした。550万平方キロメートルという規模は中国の国土面積の5割以上であり、隣国インドの国土面積の1.5倍以上に相当する。

 中国で気候改変プログラムに従事するスタッフは約3万5000人と世界最大である(2020年12月14日付ビジネスインサイダー)。今年1月に大型の気象制御無人機の初飛行が成功したことで、有人飛行では不可能だった厳しい気象条件でも人工降雨剤の散布が可能になったといわれている。

 中国の前代未聞の動きについて懸念の声が上がり始めているが、中国政府は「天候に影響を与えるのは短時間で非常に限定的である。世界の気候に影響を与えるというのは誤解だ」と反論している。しかし中国側の言い分を鵜呑みにはできない。気象の世界では「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を引き起こす」とする「バタフライ効果」が指摘されている。

世界全体の気候へ悪影響

 中国政府は「2006年から2016年までの10年間の降水量が550億立方メートルも増加した」とその実績を誇っているが、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」。中国は昨年から夏期の豪雨災害に苦しんでいる。長江流域では6月から断続的に大雨が降ったことで三峡ダムは建設以来の最高水位を記録し、国内外のメデイアは連日のように「ダムの崩壊が近づいている」と報じていた。

 今年も5月から南部地域を中心に持続的な降雨の影響で洪水警報が発令されていたが、そのタイミングは例年よりも1カ月近く早かった。中国水利部は「今年の6月から8月にかけて、長江流域に加えて北部の黄河、海河などでも大規模な洪水が発生する可能性がある。今年は最悪の洪水被害が出るのではないか」との懸念を示していたが、その予測が的中しつつある。

 7月に入ると豪雨災害が全土で発生する事態となっている。北部地域では内モンゴル自治区でダムが決壊し、北京市でも地下鉄駅が冠水した。中部地域では四川省や河南省で洪水被害が発生し、南部地域では貴州省が大雨となっている。

 中国だけの被害であれば「自業自得」ということになろうが、中国の巨大な気候改変プログラムが、周辺国のみならず世界全体の気候へ悪影響を及ぼさないとは言い切れない。日本をはじめ世界の関係機関は中国の気候改変プログラムについてノーマークのようだが、そのレベルは「気象兵器」の域に達している可能性がある。

 今年11月に英国のグラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)が開催されるが、世界各国は中国の気候改変プログラムがもたらす副作用についても真剣に議論すべきではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

『あさイチ』視聴率低迷の深刻な理由…朝ドラ後に視聴者が大量離脱、博多大吉のMCも影響か

 放送12年目を迎える『あさイチ』(NHK)が低迷している。7月19日の個人視聴率は4.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、世帯でも7.2%。好敵手だった『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)は同日、個人5.6%、世帯10.5%と、差をつけられている。

 かつては視聴率19.3%(世帯)を記録したこともある『あさイチ』が、今なぜ低迷しているのだろうか。わかりやすいところから探っていこう。

朝ドラ後に離脱する視聴者が続出?

 この19.3%という視聴率は、2014年3月14日に記録されたものだ。この日、前の時間に放送されていた連続テレビ小説『ごちそうさん』が世帯で24.2%を記録。これは、最終回まであと15回ほどという盛り上がりの中で飛び出したものだ。

 さらに同じ日、その後始まる『あさイチ』に、『ごちそうさん』のヒロイン・杏が登場。8時15分から55分までの短縮放送だったが、その40分丸々『ごちそうさん』と杏の特集を組んだことが好影響をもたらしたと考えられる。そして、この19.3%が『あさイチ』の最高視聴率とされている。

 このように、朝ドラを受けてのトークをすることで、うまく朝ドラファンを引き込んできた『あさイチ』だが、残念ながら、最近は朝ドラからの離脱が多くなっているというのだ。

「現在放送されているのは、清原果耶主演の『おかえりモネ』。たとえば7月19日の数字は個人9.0%、世帯16.3%。コア層でも4.2%取っています。それが、『あさイチ』になると、そこから結果的に個人で5.0ポイント、世帯でも9.1ポイントが離脱してしまっている(個人4.0%、世帯7.2%)。また、コア層も2.0ポイントが、他局に移るか視聴をやめてしまっています」(テレビ局関係者)

『純と愛』時代より深刻な視聴率の落差

 長い歴史を持つ朝ドラだが、大河ドラマと同じく現代劇は“鬼門”と言われてしまうことが多く、『おかえりモネ』も決して視聴率好調とは言えない状況が続いている。同作では朝ドラで初めて令和以降の年代が描かれるとあって、民放ドラマとの比較においてどこまで独自性があるのか疑問だが、過去にも低視聴率を記録した朝ドラはあった。

「2012年(平成24年)度下半期に放送された、夏菜がヒロインを務めた『純と愛』も平均視聴率17.1%で当時としてはかなり悪く、内容的にも低評価が相次いだことが話題となりました。

 そこで『純と愛』から『あさイチ』に切り替わった後の視聴率を見てみると、たとえば2013年1月29日は『純と愛』が世帯15.8%であるのに対し、続く『あさイチ』は世帯9.9%と、5.7ポイントの落差があります。

 さらに、最終回を目前に控えた同年3月11日の『純と愛』は世帯17.2%ですが、『あさイチ』は世帯10.4%と、6.8ポイントの落ち込みでした。ちなみに、この日の『あさイチ』は、発生から丸2年が経った東日本大震災の特集が組まれていました」(同)

 では、今回の『おかえりモネ』と『あさイチ』はどのような状況なのだろうか。

「たとえば、7月14日の『おかえりモネ』は個人8.8%で世帯16.1%、そして『あさイチ』は個人3.8%、世帯7.2%でした。つまり、個人で5.0ポイント、世帯で8.9ポイントも落ち込んでいるわけです。また、16日の『おかえりモネ』は個人8.9%、世帯16.3%。それに続く『あさイチ』は個人4.5%、世帯8.5%。こちらも、個人4.4ポイント、世帯7.8ポイントと落ち込みが激しくなっています」(同)

 それだけ、『あさイチ』に魅力がないということだ。では、今の『あさイチ』には何が欠けているのだろうか?

博多大吉のMCスタイルが“裏目”に?

 番組を彩る現在の司会は博多華丸・大吉と鈴木奈穂子アナウンサーで、そのうち最も重要なポジションを占めるのが博多大吉だ。

「大吉のMCスタイルは、人や状況を俯瞰で見て、そこから笑いをつくっていくタイプ。そして、相手との距離を一定に保つのが身上です。つまり“受け”のMCともいえます。そこが朝の時間帯に評価されて抜擢に至ったのかもしれませんが、今年3月までともにMCを務めた近江友里恵アナが、その前任の有働由美子ほどの人気を得られなかったのは、大吉のキャラクターの掘り下げ不足と、それに伴う掛け合いの爆発力不足も影響しているのではないでしょうか。もちろん、個人の資質やほかの事情も考慮されるべきですが……」(同)

 2015年の『NHK紅白歌合戦』では、当時の『あさイチ』MCであるV6・井ノ原快彦が白組司会、有働アナが総合司会を務めたこともあった(紅組司会者は綾瀬はるか)が、NHKも今の3人では『紅白』の司会を任せることはできないだろう。

(文=編集部)

マツキヨ、この値段でこの品質は神!高級感な香りの除菌消臭剤、糖質70%OFFビスケット

 誰もが知る大手ドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」。その歴史は意外にも古く、1932年に「松本薬舗」として創業して以来、約90年間にわたって国民の生活に寄り添ってきた。

 マツモトキヨシホールディングスが発表した決算報告によると、2021年3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)の売上高、営業利益、経常利益は、それぞれ前年同期比ー5.7%、ー16.1%、ー14.7%と、すべて減少している。やはり、コロナ禍の自粛が響いたのだろうか。だが、今年10月には「ココカラファイン」との経営統合が予定されており、それを経て業界首位の座に君臨する見込み。今後の動向にも目が離せないところだ。

 そんなマツキヨがPB(プライベートブランド)にも力を入れていることをご存じだろうか。PB「matsukiyo」からは、安価でありながらも、痒いところに手が届く自社製品が続々と販売されており、そのコスパの良さは知る人ぞ知るところ。

 そこで今回は、「買うべき・買ってはいけない調査班」が、マツキヨのこの夏「買うべき」商品を独自で調査。実際に購入し、その使い心地なども交えながら紹介していくので、ぜひ参考にしていただきたい。

レプリカノーツ ファブリックミスト 本体 77 センシュアルフルーティの香り 300ml/528円(税込、以下同)

 まず紹介するのは、「レプリカノーツ ファブリックミスト」。こちらは衣類やソファ、カーペットなどの布製品に吹きかけると、良い香りで生活臭を抑えられ、除菌もできるというファブリックミストだ。今年の春頃にTwitterでバズったアイテムで、一部では「ピンクはディオール、紫はシャネル、青はイヴ・サンローランの香り」と評す購入者もいたほど。

 実際に嗅いでみると、どのカラーも噂通り528円とは思えない高級感に溢れた香りで驚いた。今回購入した「センシュアルフルーティの香り」は、甘さと爽やかさが混じり合った大人っぽい香りのため、男女問わず使いやすいだろう。

 また、同じ香りの柔軟剤とセット使いすると、より強く香りを印象付けられるはず。香水などが好きな方には、ぜひともお試しいただきたい逸品である。

matsukiyo EXSTRONG エナジードリンク 250ml /150円

 仕事に勉強にと日々を忙しく過ごす読者のなかには、エナジードリンクが欠かせないという人も少なくないだろう。しかし、コンビニなどにラインナップされているエナジードリンクは、1本200円は下らない。

 そこで、試してほしいのが「matsukiyo EXSTRONG エナジードリンク 250ml」。こちらはマツキヨPBのエナジードリンクで、値段は150円。普段コンビニで買っているエナジードリンクより、お手頃な値段ではないだろうか。

 安いとなると、効果が薄いのではないのかと、うがった見方をしてしまいがちだが、そんな心配は無用。100mlあたりのカフェインの量は65mg、アルギニンの量は200mgで、いずれも競合の「モンスターエナジー」を上回っているのだ。しかも、味もフルーティで飲みやすい。日々の出費を見直したいと思っているエナジードリンク好きの方は、一度試してみる価値アリだ。

matsukiyo ウイルス・菌除去 アロママスクスプレー 25ml リラックス/690円

 今年で2回目となる”マスク必須の夏”。すでにマスク生活には嫌気がさしている方も多いだろうが、夏は暑さやそれに伴う蒸れなどの問題が追加される。出かける前にマスクをつけるだけで憂鬱になってしまうこともあるだろう。

 そんな気持ちを晴らしてくれるのが、「matsukiyo ウイルス・菌除去 アロママスクスプレー 25ml リラックス」。マスクの外側全体に吹きかけることで、ウイルスや菌を99.9%除去してくれるうえに、オレンジスイート&ベルガモットの香りを楽しめるという商品だ。

 実際にマスクに吹きかけて使ってみると、柑橘系の爽やかな香りに癒された。また、おろしたての不織布マスクのケミカルな香りも紛れるので、マスクの持つ独特な匂いが苦手という方にはぴったりだろう。香りの持続時間は短いが、リフレッシュしたいときにその都度吹きかけるくらいがちょうどいいのかもしれない。除菌効果もあることを考えると、これからの時期に1本持っていると重宝するアイテムだろう。

matsukiyo 天然水 ケース 2L×6/548円

 毎日のミネラルウォーターを飲んでいると出費がかさむので、できる限りリーズナブルな商品を購入したいという方もいるだろう。

 マツモトキヨシオンラインストアでも天然水が販売されており、その値段は、2リットルが6本入りで548円。ヘビーユーザーたちから、そのコスパの良さが高く評価されているようで、レビューページでは「毎日飲むので、安くてとても良いです」「コスパが良い上に美味しいです」などのコメントが目立つ。

 さらにありがたいのが、マツモトキヨシオンラインストアで1980円以上注文すれば、送料無料で自宅まで配送してくれるという点。天然水はスーパーなどでまとめ買いしようにも、かなりの重さになるため、一度に購入できる量は限界がある。マツモトキヨシオンラインストアから定期的にまとめて注文すれば、もうそんなことに悩む必要もなくなるだろう。

matsukiyo 糖質70%OFFビスケットチョコレート 50g/213円

「matsukiyo」はドラッグストアのPBらしく、健康に気遣った食品やサプリメントなども展開している。「matsukiyo 糖質70%OFFビスケットチョコレート 50g」も、そんな商品のひとつ。こちらは糖質を70%カットしたというビスケットで、糖質制限中やダイエット中でも気軽に食べられるのが嬉しいところ。それだけでも十分にありがたいのだが、1日に必要な食物繊維をこれ1袋で賄うこともできるというのだから、すごい商品である。

 ただ、糖質OFFの商品は味がイマイチというイメージもあるだろう。確かに味に関して言えば普通のビスケットほどの甘みはなく、あっさりした印象ではある。しかし、”そういうもの”と思って食べてしまえば、まったく気にならない程度。サクサクとした小気味いい食感なので、どんどん食べ進められる。

 値段は213円と、小腹が空いたときのおやつにしては少々高めな気もするが、これほどまでに罪悪感なく美味しいビスケットを食べられるなら、「買うべき」と言えるだろう。

 体や生活にまつわる優れたアイテムを低価格で販売している「matsukiyo」。これまではノーマークだったという方も、普段の買い物のついでにチェックしてみると、意外な出合いにつながるかもしれない。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

※情報は2021年7月6日現在のものです。

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