梅への愛、が止まらない

「オリジナリティ」を持つ"元気な会社"のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第12回は、創業約100年の梅干し屋さん「紀州ほそ川」の、驚くべきサバイバル術に迫ります。


少し年下の細川社長とは、学生時代からの友人だ。彼の留学のちょっとした助言をし、帰国後は就活の助言もちょっとだけした。大手アパレル会社からキャリアを始めた彼は、数年の勤務の後、和歌山で家業を継ぎ、“新人経営者”になった。それからも上京した折に途切れることなく会ってきたが、毎回、土産のように持ってきてくれる仕事の話にはいつも引き込まれた。経営理論より現場、定石より直感で動く彼は、同業者の誰もが生産過程で捨ててしまうものから作り出した商品で、新事業を軌道に乗せてしまった。
働きたい育児中の女性向けの求人では「完全在宅勤務可」とし(実際には「出社可」と書いていた)、周囲を驚かせた。世の中にコロナのコの字もない、2014年のことだ。新規事業開発、サーキュラーエコノミー、働き方改革、地方創生……。今、多くのビジネスパーソンが向き合う課題を、いつの間にか解決してしまっている彼のモノの見方には、きっとわれわれが知っておくべきヒミツがあるはずだ。そんな思いから、今回、取材を依頼した。

文責:薬師寺肇(電通BXCC)

紀州ほそ川: 梅づくり約100年、紀州の梅の産地のど真ん中で代々、梅を栽培する梅干し屋さんです。梅研究者だった先代が梅の有用成分に着目し、研究を続けてきた結果、梅の新しい用途開発を得意としています。例えば、梅の抽出成分からつくる不妊治療剤や家畜の肉質を向上させる飼料などです。また近年では、生姜や八升豆の有用成分を利用した製品を研究・開発し、販売するなど、「伝統的な食材の新しい使い道をつくるメーカー」だと自負し、新製品を世に提案し続けています。
紀州ほそ川:
梅づくり約100年、紀州の梅の産地のど真ん中で代々、梅を栽培する梅干し屋さんです。梅研究者だった先代が梅の有用成分に着目し、研究を続けてきた結果、梅の新しい用途開発を得意としています。例えば、梅の抽出成分からつくる不妊治療剤や家畜の肉質を向上させる飼料などです。また近年では、生姜や八升豆の有用成分を利用した製品を研究・開発し、販売するなど、「伝統的な食材の新しい使い道をつくるメーカー」だと自負し、新製品を世に提案し続けています。

紀州といえば、梅。でも、その常識は、まだ日が浅い

「50年前に、偶然発見された南高梅から、紀州の梅は始まっているんです」。インタビュー冒頭の細川社長の発言には、正直、びっくりした。徳川吉宗の時代から梅の産地だったのだろうな、というくらいが世間一般のイメージだからだ。「たまたま畑で発見された南高梅が、おいしいし、皮が薄くて食べやすいということで、その木を接ぎ木、接ぎ木して、いまに至っている、というのが事実です。1本の南高梅がきっかけで、それまで全国ナンバーワンだった群馬県を抜いて、一気に和歌山県が梅の生産地として認知されるようになったんです」

南高梅、皆きょうだいなんてうそでしょう?という話だ。そのうそみたいな話から、今回の取材は始まる。とはいえ、そこまで梅に依存した生活を、そもそも私たちはしてないけどな、という思いを含めて。

細川達矢 1985年生まれ。2009年に中華人民共和国の厦門(アモイ)大学を卒業後、ファーストリテイリングに入社。13年に家業である梅干し屋さん、㈱紀州ほそ川に入社するも、同年、長年の研究データを基にした製品開発を目的とし研究部を分社化、ワノミライカ(現・紀州ほそ川創薬)を設立。現在、両社の社長を務めている。強運だけが自分ができるたった一つの専門分野だと豪語し、従業員の力を最大限に借りて、命からがら生きている、ご機嫌なハートの持ち主です。
細川達矢
1985年生まれ。2009年に中華人民共和国の厦門(アモイ)大学を卒業後、ファーストリテイリングに入社。13年に家業である梅干し屋さん、㈱紀州ほそ川に入社するも、同年、長年の研究データを基にした製品開発を目的とし研究部を分社化、ワノミライカ(現・紀州ほそ川創薬)を設立。現在、両社の社長を務めている。強運だけが自分ができるたった一つの専門分野だと豪語し、従業員の力を最大限に借りて、命からがら生きている、ご機嫌なハートの持ち主です。

「紀州ほそ川は、創業およそ100年。初代は、梅農家。2代目は、梅商人。3代目に当たる父は、大学で生物資源を学んだ梅マニアともいうべき研究者。そして、4代目が私です。この間、着実にビジネスとしてステップアップしてきている。そこが、われわれの強みといえば、強みですね」。そう、細川社長は話す。中でも、梅マニアのお父さまの存在は、自分の親ながらすごい、と言う。「とにかく、梅のポテンシャルを信じて行動していました。口を開けば、もったいない、もったいない。そればかりですから。一時期、余った梅肉で髪を洗ってましたから。これは、ホントの話です。まあ、1年ぐらいでやめましたが、さすがに、梅肉シャンプーは」

梅の良さは、誰もが直感的には分かっている。体に良さそうだ、と誰でも思う。でも、良さそうだ、良さそうだ、と言いながら、梅干しを作る過程で出てくる梅酢は、生産者でさえ、ゴミとして捨てている。しかも産業廃棄物になるので、捨てるのにお金がかかる。個体か、液体か、の違いだけで、梅酢には梅干しと同じ良い部分がそのまま残っているのに、市場価値は全くない。それっておかしいでしょう?3代目の社長は、そのことをあちこちに触れまわったのだという。「もう、手当たり次第ですよ。人が難しければ、牛、豚、鶏、魚、あらゆるものに梅酢を使った飼料を試してみる。子ども心に、この人、すげえな。その情熱は、一体どこからくるんだろう、と思っていましたから」

イケイケ、ノリノリの時にこそ、明日への投資が必要

「梅干し製造業のピークは、2000年。そこから需要が落ちて、年に1%ほど、売り上げが下がり続けています。当たり前ですよね?若い世代になればなるほど、梅干しなんかなくても全く困らないわけですから。実は、製品単価でいうと1997年がピークなんです。つまり、その後の3年、グロスとしての売り上げは惰性で伸びていただけのこと」

ここで先代は、手を打つ。「ものすごく高額な、脱塩のための機械を買っているんです。それも、98年に、億単位で。うちの会社からしたらかなりのことですよ。それも、梅干しの売り上げはまだ伸び続けていたイケイケ、ノリノリのタイミングで。周囲はそれこそ、高いクルマを買ったり、畑違いのビジネスに手を出したりしていました。でも父は、そんなことには目もくれなかった。梅の魅力が伝わっていないことに、我慢がならなかったんです」

「濃い減塩」梅干し。通常、水につけて脱塩する工程を、水から「果汁」に完全に切り替えて行った、他にはない梅干し。有用成分を流して捨ててしまいたくないという一心で編み出した「濃い減塩」製法。製品化までに10年かかりました。
「濃い減塩」梅干し。通常、水につけて脱塩する工程を、水から「果汁」に完全に切り替えて行った、他にはない梅干し。有用成分を流して捨ててしまいたくないという一心で編み出した「濃い減塩」製法。製品化までに10年かかりました。

「まず、効果が表れたのは豚。おいしい肉質の豚がうまれた。つづいて、鶏ですね。鶏卵。親鶏が健康になる。すると、質のいい卵を、それも長く産み続けてくれる。もちろん、失敗もたくさんあります。牛は、完全に失敗しました。梅酢のパワーで、健康にはなるんですが、健康になりすぎて、マッチョな牛になってしまうんです。つまり、あのおいしいサシの部分が減っちゃった。どうしてくれるんだ?と叱られたりしました」

唐突ですが、暴走族の話をします

梅干しを作る過程で出る、梅酢。そのままでは、産業廃棄物になってしまう厄介モノから塩を抜いた。そのエキスを活用した工夫は、飼料だけではない。完全に塩を抜くと、それは梅果汁たっぷりの梅ジュース(梅果汁には糖分がほとんど含まれないので全く甘くない果汁です。そういう意味で、想像する甘いジュースではないかもしれない)になる。紀州ほそ川では、その梅ジュースに、梅を浸す。「梅を塩漬けして天日干しした段階の塩分濃度はおよそ20%。そのままでは、しょっぱくて食べられたものではありません。そこで、水に浸して半分くらいまで塩分を抜く。でも、そうすると塩分といっしょに、栄養やうま味成分まで溶け出しちゃうんです。そこに梅ジュースを使うことに気付いた。うま味はそのまま、というわけです」

説明を聞けば誰でも分かる理屈だ。でも、誰も気付かず、気付いたとしても誰もやらなかった。その革命をやってのける、揺るぎない信念と行動力には、脱帽だ。「例えば、暴走族っていますよね。俺たちは、社会のルールには縛られない!みたいな。でも、よくよく考えると、不良はバイクに乗って、パラパラと変な音を立てて街中を走り回るものだ、と誰かが作ったルールに乗っかっている。それでは革命でもチャレンジでもありません」。普通と違うだけでは、まだ新しさはつくれていない、ということだ。

脱塩装置。20年前に誕生した海水を飲み水に変える装置、それを梅干し専用に作り替えた装置。初期投資に数億円、維持費に数千万円かかる装置を真っ先に導入し、現在も100%運用できている会社は他にないんじゃないかと思います。
脱塩装置。20年前に誕生した海水を飲み水に変える装置、それを梅干し専用に作り替えた装置。初期投資に数億円、維持費に数千万円かかる装置を真っ先に導入し、現在も100%運用できている会社は他にないんじゃないかと思います。

便益なきものは、必ず捨てられる

「梅干しは日本の食文化だ。だから、毎日3粒は必ず食べよう」みたいな言い方が昔から許せなかった、と細川社長は言う。「そういうのは、文化の消耗、文化への寄生だと思うんです」

作り手、送り手として一番大切なことは、時代が求める価値を提供できているか、ということ。それには、何かを変化させなければならない。世の中に評価されたり、文化として残っていくかどうかは、自分たちが決めることではない。それはあくまで世の中が、そして後世の人が決めることだ、と。

「便益のないものは、必ず捨てられ、時代から忘れ去られていくんです。だから僕らは挑戦を続ける」。そう言う細川社長は、先代の社長が挑み、一度は失敗した梅酢の人への活用に再び挑戦した。梅酢は必ず人間にも役立つはずだと信じ、粘り強く続けてきた地元医大との共同研究で、不妊治療への有用性が見つかったことがきっかけになった。別会社をつくり、ゼロから始めた妊活サプリメント事業を軌道に乗せ、今は次なる事業開発へと突き進んでいる。

「創薬事業というものは、そう簡単なものではありません。認可が下りるまで、とてつもない時間も労力もかかります。でも、難しそうだから、とチャレンジしなかったら、なにも生み出すことはできませんからね」

20年前、特定の梅抽出成分をニワトリに与えたところ、産卵率が飛躍的に向上したことから、県立医科大学と専門クリニックとの共同研究がはじまりました。現在では、全国の不妊治療クリニックで治療に活用されるなど、広がりを見せています。
20年前、特定の梅抽出成分をニワトリに与えたところ、産卵率が飛躍的に向上したことから、県立医科大学と専門クリニックとの共同研究がはじまりました。現在では、全国の不妊治療クリニックで治療に活用されるなど、広がりを見せています。

森の話と、ドングリの話

細川社長は、何年も前から在宅勤務を取り入れたり、子ども同伴で出社してもいい仕組みを作ってきた。事務所には、オフィス机が置かれている横に、子どもたち用のプレイゾーンが作られている。「経営でも、人との接し方でも、なにかに迷ったときは、その方法は森でも生きていける選択なのか、ということを考えてみます」と、細川社長は言う。森の中へ一人で放り出されたら、人間などあっという間に、野垂れ死んでしまう。環境保全だのなんだのと、聞こえがいいことを言うのは簡単だが、例えばそれを森の神様が見たらどう判断するだろう?ということを考えれば、やるべきことはシンプルだ。

「職場に子どもを連れてくるなど、あり得ないと思われてきましたよね。でも、縄文時代のお母さんは、きっと子どもを抱きながらドングリを拾い集めていたはず。それが、自然ではむしろ当たり前のことだと思うんです。働き方の生産性をあげる、とはそういうことですから」

オン・オフをしっかり区別しましょう、といった最近の風潮も、細川社長に言わせればナンセンスだという。「愛する家族と幸せに暮らしていくために、僕らは生きているわけですよね?であれば、オンもオフもないでしょう」。さらにそれは、社員やお客さまについても同じなのだと言う。

「僕に言わせれば、社員もお客さまも会社との距離感が少し違うだけなんです。例えば、商品だけ買い求めたいというお客さまがいる一方で、こうした方がいいよ、ああした方がいいよと積極的にアドバイスをくれるお客さまがいたり、いろいろな方にうちの商品を勧めてくれるお客さまもいる。やっていただいていることは、社員ともはや変わらないんです。ちなみに、わが社のことを心から愛してくださるお客さまのことを、僕は『お友達さま』と呼んでいるんです。友達、ではさすがになれなれしいですから、お友達さま」

森で生き抜くことに立ち返って考えている細川社長にとって、働き方改革やファンマーケティングといった言葉は、最近そう呼ぶ人もいる、くらいのものでしかないだろう。あるいは、意識すらしたこともないだろう。真に新しいことや、物事のあるべき姿とは、そうした本質価値の森を通り抜けなければ、たどり着けないものなのかもしれない。森とドングリの話の中に、意外な示唆を見いだした。

紀州ほそ川創薬は、分社化した当初はワノミライカという社名でした。「和を未来化する」という意味で、日本的なものを能動的に未来化する、という思いを込めました。新しい価値開発に挑戦せずに、市場の縮小に甘んじ、文化を消耗する業界の態度に対する反抗でもありました。企業が新しい提案をし、市場に受け入れられれば、それが文化の継続になるんだと思います。
紀州ほそ川創薬は、分社化した当初はワノミライカという社名でした。「和を未来化する」という意味で、日本的なものを能動的に未来化する、という思いを込めました。新しい価値開発に挑戦せずに、市場の縮小に甘んじ、文化を消耗する業界の態度に対する反抗でもありました。企業が新しい提案をし、市場に受け入れられれば、それが文化の継続になるんだと思います。

紀州ほそ川のホームページは、こちら


なぜか元気な会社のヒミツロゴ

「オリジナリティ」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。第12回は、創業約100年の伝統に甘んじない梅干し屋さん「紀州ほそ川」をご紹介しました。

season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


【編集後記】

取材の最後に、今回、どうしても聞いてみたかった質問を、細川社長にぶつけてみた。「個人的には、梅って、世の中から過小評価されているものの代表のように思えてならないんですよ。そもそも、松竹梅の最下位ですし。和歌で詠まれる花といえば、平安時代から桜のことですよね。でも、おぼろげな記憶でいうと、万葉集では花といえば梅の花のことだったように思うんです。細川社長は当然、梅のことを愛しておられますよね?そこまで梅にほれ込んでいる理由を、お聞かせください」

われながら、意地悪な質問だ。でも、その質問に対して、細川社長は即座に、こう打ち返してきた。「果実としての生の梅の実、食べたことあります?スモモをイメージしてください」と。ああ、そうなんだ。スモモのようにおいしいものなんだ、と早合点したのもつかの間、「そのスモモから、甘さを完全に抜き取ったような、ただただ酸っぱくてまずいものなんです。梅ってやつは」。細川社長の話はつづく。「その、とてつもなくまずいものが、1500年もの間、食べ続けられている。これって、すごいことだと思いませんか?すごいというか、愛らしいというか、こいつ、どこまでかわいいやつなんだろう、みたいな」

かわいいだけ、じゃない。いまだ人智が及ばない、とてつもないポテンシャルを梅は持っている。そうでなければ、奈良時代から現代に至るまで、珍重されてきたことに説明がつかない。その謎を、解き明かしてみたい。自分が生きている間に、できることかどうかは分からないが。そんな気持ちにさせる梅のことが、とにかくいとおしくて仕方ない。

笑いながらそう話す細川社長の言葉に、甘酸っぱい気持ちと同時に、この国に生まれて良かった、という思いが込み上げてきた。梅には、チカラがある。そう言われて納得しない人は、少なくともこの国には、一人もいない。はずだ。

「ゼロ金利下なら財政再建は不要」は正しいのか?財政再建目標をPB黒字化に変更した弊害

 デルタ株による感染拡大でコロナ禍が継続し、財政赤字が一層拡大するなか、それが今後の財政やマクロ経済に及ぼす影響も気になるのが当然だろう。しかしながら、日銀による大規模な金融政策は継続しており、長期金利が概ねゼロ近傍で推移している。このため、巨額の国債残高を抱えていても、国債の利払い費を抑制できており、財政規律に対する認識は弱まっている。

 その関係で整理が必要なのは、金利と成長率の大小関係に関する論争である。財政の持続可能性を評価する場合、国債残高を含む政府債務が経済規模の何倍なのかという、「債務(対GDP)」の推移で検証するのが一般的である。

 分母のGDPは「経済成長率」(名目GDP成長率)で拡大する一方、分子の債務は「金利」で膨張する。このため、債務(対GDP)の先行きを支配する大きな要因は、金利と成長率の大小関係である。

 まず、「金利>成長率」ならば、債務(対GDP)は時間の経過に伴って増加していくため、財政赤字の削減が必要であり、一定の財政再建が求められる。また、「金利<成長率」ならば、債務(対GDP)は時間の経過に伴って縮小していくため、財政再建が不要になる可能性がある。

 この2ケースのうち、現在は長期金利が概ねゼロ近傍で推移し、わずかだが一定の正の成長率は存在しているため、「金利<成長率」のケースに該当し、財政再建が不要になるという認識がネットで広がっているが、これは間違いである。

 このような誤った認識が広がった背景としては、2000年代から、従来の目標であった財政赤字の縮小に代わり、国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の黒字化を財政再建の目標にしてしまったことが大きく影響しているように思われる。

 PB黒字化の目標が急速に普及したのは、財政赤字の縮小よりもPB赤字の縮小のほうが財政再建に向けた努力が若干楽なためである。一般的に「財政赤字=PB赤字+債務の利払い費」のため、金利コスト分(債務の利払い費)だけ、PB赤字のほうが財政赤字よりも小さい。このため、よりハードルが高い財政赤字の縮減は財政再建に向けた次の段階の目標とし、PB黒字化という目標を定め、まずはPB均衡を目指せばいいという議論が高まったわけである。

ドーマーの命題

 この議論は確かに正しいが、PB赤字が残る段階では、「金利<成長率」のケースでも財政破綻する可能性が存在する。

 今期末の債務は今期の財政赤字と前期末の債務の合計に一致するが、経済成長すれば財政赤字も債務もGDP比で成長分だけ縮小するため、GDP比では、「今期末の債務(対GDP)=<今期の財政赤字(対GDP)+前期末の債務(対GDP)>÷(1+成長率)」(※)という関係が成立する。この式に「財政赤字=PB赤字+債務の利払い費」という関係を代入して、一定の近似を施すと、「債務(対GDP)の増加=PB赤字(対GDP)+(金利-成長率)×前期末の債務(対GDP)」(※※)という関係式が成立する。

 この関係式(※※)で、PBが均衡し、「金利<成長率」ならば、債務(対GDP)の増加はマイナスの値になるので、債務(対GDP)は縮小する。しかしながら、PB赤字が「(成長率―金利)×前期末の債務(対GDP)」よりも大きい場合は、債務(対GDP)の増加はプラスの値になり、このような状況が継続すれば財政が破綻する可能性がある。

 冷静に考えれば、「金利<成長率」でも、一定のPB赤字が存在すれば、債務(対GDP)が時間の経過で雪だるま式に増加してしまう可能性があるのは直感的にも自然であろう。

 しかしながら、「現在は『金利<成長率』のケースに該当し、財政再建が不要になる」という誤った認識が広がってしまった原因は、財政再建の目標をPBに変更し、金利と成長率の大小関係で、財政の持続可能性を議論するようになってしまったためである。

 しかしながら、財政赤字で議論する場合、このような問題は発生しない。長期金利が概ねゼロ近傍で推移しており、当分の間、財政規律を緩めても問題ないという意見は出てこない。既述の関係式(※)「今期末の債務(対GDP)=〔今期の財政赤字(対GDP)+前期末の債務(対GDP)〕÷(1+成長率)」から、成長率=nと財政赤字(対GDP)=δが一定のとき、簡単な計算により、債務(対GDP)は一定値(δ÷n)に収束する(向かって膨張していく)ことが証明でき、これをドーマーの命題という。

 では、成長率=nや、財政赤字(対GDP)=δとして、どのような数値を利用すればいいのか。まず、財政赤字(対GDP)として参考になるのは、先般(2021年7月21日)、内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算」の数値であろう。この試算によると、2030年度頃の名目GDP成長率が1.1%のベースライン・ケースにおいて、国・地方合計の財政赤字(対GDP)は2021年度で8.1%であるが、2029年度で1.7%、2030年度には1.8%に大幅に縮小する。また、1995年度から2019年度における平均的な経済成長率は約0.4%であるので、n=0.4%とし、中長期試算の財政赤字(対GDP)からδ=1.8%として計算すると、δ÷n=4.5であり、公債等残高(対GDP)は450%に向かって膨張する可能性を示唆する。

 しかも、ドーマー命題が重要なのは、財政赤字の一部には債務の利払い費が含まれているが、金利ゼロで利払い費がゼロでも、財政赤字が一定の範囲を超えて存在すれば、債務(対GDP)の膨張が継続する可能性があることである。金利や成長率の大小関係とは無関係であり、ドーマー命題から、成長率が0.4%程度のとき、債務(対GDP)を現行水準に留めるには財政赤字(対GDP)を1%程度に縮小する必要があることもわかる。

(文=小黒一正/法政大学教授)

●小黒一正/法政大学経済学部教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。

京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。

1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。会計検査院特別調査職。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。

【江川紹子の菅首相総括】父権主義的で対話軽視、根拠なき楽観論であっけなく崩壊した虚像

 重点政策を選択する目の付けどころはよく、政策を推し進める力に優れていたが、パターナルな政治姿勢で説明や対話を嫌い、国民とのコミュニケーションを軽んじ、「最悪の事態」を想定しない根拠なき楽観論が目立った――自民党総裁選に立候補せず、今月末で政権の座から降りることが決まった菅義偉首相について、私なりの評価をまとめるとこうなる。

学術会議任命拒否、五輪開催で顕になった「説明しない」姿勢

 その推進力に加え、菅首相自身が長く前政権の中枢にいて、その閣僚や課題を引き継いだこともあり、1年という短期のわりにさまざまな結果を残したのは事実だ。

 たとえば、「環境=グリーン」を成長戦略の柱に位置づけ、「2050年カーボンニュートラル」を宣言。温室効果ガス排出量を、2030年には2013年比で46%削減する目標を打ち立てた。コロナ対策では、ワクチン接種に力を入れ、専任大臣を置き、省庁の枠を超えて加速化を促した。その結果、第5波で感染者が激増し、医療逼迫による犠牲者は出ているものの、圧倒的にリスクが高い高齢者の死亡は少なく押さえ込めている。さらに、この国のデジタル化の遅れに対応するため、とにもかくにも短期間でデジタル庁発足までこぎ着けた。

 また、後期高齢者の医療費負担を1割から2割に引き上げたり、東京電力福島第一原発でたまり続ける「処理水」の海洋放出など、不人気な施策も先送りせずに決断した。看板政策のひとつだった携帯電話料金の引き下げも実現した。

 一方で、肝心なことで説明や対話をせず、他の選択肢や批判は否定したり見下したりし、権力を首相官邸に集中させて、「この道しかない」とズンズンと推し進めていく手法も、菅首相は前任者から引き継いだ。「よかれ」と思ったことは、問答無用で人々に結論を押しつける、パターナルな政治だ。そのうえコロナ対策では、最悪の事態を想定せず、専門知より自身の直感に頼る楽観論が目立った。

「説明しない」姿勢は、首相に就任してまもない時期に、日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題で鮮明になった。菅首相は、同会議が提出した105人の推薦名簿を見ておらず、任命拒否した6人のうち5人については、名前すらも「承知していなかった」という。にもかかわらず、任命を拒否したのはなぜなのか、その理由を国会で何度問われても、拒否された当事者からの求めがあっても、一切説明しなかった。

 オリンピックの開催を巡っても同様の対応だった。多くの国民が新型コロナウイルスの感染拡大の中での開催に懸念を示したり反対したりするなかでも、「安心安全」「安全安心」と唱えるばかり。国会や記者会見で開催の判断基準などを繰り返し問われても、ついぞ答えようとしなかった。

 コロナ対策では、ワクチンさえ行き渡ればすべてが解決する、といわんばかりの姿勢が目についた。

 残念ながら、新型コロナ感染症はそれほどシンプルな現象ではない。政府には、感染症に関する最新の知見はもちろん、経済や教育、文化などさまざまな分野の専門知を取り入れながら、柔軟な対応が求められる。当然、対話や議論が重要だ。

 さらにコロナ禍は、日本で暮らす人すべての健康や命に関わる問題であり、状況を改善するにも人々の協力が不可欠だ。政府にとっては、問題解決の当事者でもある人々とのコミュニケーションは、とりわけ重要といえよう。

 そうした「コロナの時代」には、十分な説明や対話や議論をせず、「この道しかない」式の安倍晋三・菅流パターナリズム政治では十分に対応できない、ということではないか。

「守り」に徹し、あらかじめ準備した枠内から一歩も出ない「官僚答弁」に終始した菅首相

 それでも、菅首相は多くの記者会見を開いた。昨年9月16日の就任記者会見から、直近の今年9月9日の緊急事態宣言延長に伴う記者会見まで、コロナに関する記者会見数は15回以上に及ぶ。歴代首相のなかで、おそらく1年間にこれほど記者会見を開いた人はいないだろう。

 にもかかわらず、人々とのコミュニケーションの機会として記者会見を、菅首相は生かすことがまったくできなかった。

 菅氏にとって、もともと記者会見は慣れた仕事のはずだ。なにしろ、7年8カ月にわたる官房長官時代には、毎日朝夕の記者会見をこなしていた。政権批判には「まったく問題ない」「そのような指摘は当たらない」といった紋切り型で対応しながら、安倍政権を守ってきた同氏は、「鉄壁のガースー」などと呼ばれた。

 ただ、官房長官と首相では、記者会見の性格や注目度が異なる。官房長官会見は、記者が政府の公式見解を聞く場であり、答弁内容は官僚が準備する。予定外の質問が飛んでくれば官僚からのメモが差し入れられる。官房長官は、それを頼りに、目の前の記者の対応をこなせばよい。その一部がニュース番組で伝えられたり、会見の映像が首相官邸のホームページで公開されたりはしているが、全編がテレビで生中継されることはまずなく、国民の注目度もそれほど高いとはいえない。

 首相の記者会見は、スピーチ原稿はあらかじめ準備してプロンプターで表示するので、それを読み上げればいい。記者からの質問も、あらかじめ提出させて答弁を準備しておく、という記者会見の形骸化が、安倍政権で進んだ。

 ただ、首相会見はNHKやネットメディアが生中継をしている。とりわけ新型コロナウイルスの問題が起きてからは、自分自身の生活や命の問題として、テレビの前で首相の発言を固唾をのんで待っている人も多いはずだ。だからこそ、コロナ禍の当初、質問の手が挙がっているのに30分で会見を打ち切って帰宅してしまった安倍首相に対して批判の声が上がり、改善を迫られた。事前の質問を提出しないフリーランスも質問の機会を得るようになって、想定問答にはない質問を受ける可能性も出てきた。

 そういう状況での記者会見では、首相のメッセージは目の前の記者ではなく、カメラの向こうにいる多くの人々に向かって発するべきだった。質疑応答も、会見場にはいない人たちに届くよう、自身の言葉で丁寧に答えるべきだった。何も能弁である必要はない。質問に対し、できる限り具体的に、誠実に答える姿勢を見せればよかったのだ。

 ところが、菅首相が会見の質疑に臨む姿勢は、官房長官時代とさほど変わらなかった。目の前の記者に余計な言質を与えない「守り」に徹し、あらかじめ準備した枠内から一歩も出ない「官僚答弁」に終始した。

 菅首相は、月刊誌「文藝春秋」10月号(文藝春秋社)に掲載された同誌単独インタビューのなかで、「政治家は『弁舌よりも結果だ』と。結果を残せばわかってもらえるという政治姿勢で今までずっと来たので、そういう考えが会見の姿勢に出てしまっているのかもしれません」と述べている。骨身に染みついた、このコミュニケーション軽視の姿勢について、誰も意見する者はいなかったのだろうか。

 加えて、専門家が感染拡大の広がりを抑えるためのメッセージを必死に送り続けているなかで、菅首相はしばしば、それに逆行する「根拠なき楽観論」を発信した。

 本来は感染終息後に需要喚起策として行うはずだった「GoToキャンペーン」を前倒ししてまで行い、批判を浴びても第3波のさなかまで続けた。

 ワクチン接種さえ進めば、普通の生活に戻れるかのような楽観論も盛んに振りまいた。東京都に4度目の緊急事態宣言を発出した7月8日の記者会見では、「新型コロナとの闘いにも区切りが見えてきた」と発言。第5波のまっただなか、酸素投与が必要な人まで自宅療養を余儀なくされ、自宅での死亡が相次いでいた8月25日の記者会見で、「明かりははっきりと見え始めています」と述べた。

 そして今、緊急事態宣言を延長し、国民に自粛要請をしているさなかに、早くも行動制限の緩和や社会経済活動の正常化などを打ち出した。この前のめりの姿勢に、専門家は「政府が一方的に決めず、国民的議論をしてほしい」(尾身茂・政府分科会会長)と諫めたが、菅首相は耳を貸さないようである。「ウィズコロナ時代」の社会のあり方に道筋をつけた、というレガシーを残したい、という焦りも垣間見える。

官房長官時代の「危機管理の菅」は、“虚像”だったのではないか

 国民に希望を与えることは必要だろう。特に、コロナ禍で経営状態が傷んでいる業界に対し、出口への展望を示すことは大切だと思う。

 しかし、菅首相は専門家との議論を経ることなく、自身の楽観論で突き進む。しかも、その話からは、最悪の事態に対する備えが見えてこない。

 危機管理の専門家だった故・佐々淳行氏は、危機管理の要諦を「最も悲観的に準備し、最も楽観的に対応する」と語っていた。最悪の事態を想定して準備をし、いざ危機に臨んでは、その準備に基づいて前向きに対応せよ、という基本原則だ。

 それに照らすと、菅首相が展開しているのは「悲観的な準備なき楽観論」といえよう。官房長官時代の菅氏を「危機管理の菅」などと褒めそやす向きもあったが、実は危機管理には向いていないのではないか。

 この「悲観的な準備なき楽観論」は、菅政権の寿命も縮めた、といえるだろう。

 菅政権は昨年9月の発足時、各種世論調査で7割前後の高支持率を獲得していた。与党内からは、早期に衆議院を解散して総選挙を行うべし、との声が相次いだ。

 しかし、菅首相はその選択はしなかった。同氏は9月9日の記者会見で、「仕事をするために総理大臣になったのですから、やはり解散というよりも、そっち(解散せずにひとつひとつの仕事をする)のほうを選んできた」と述べている。

 その言葉にウソはないだろう。ただそれは、コロナ禍は波が繰り返し襲来し、1年後にはさらに大きな波に襲われているという「最悪の事態」を想定していなかったからこそ、なし得た選択だったのではないか。

 内閣支持率が下がり始めた後も、ワクチン接種を加速し、オリンピックを開催すれば、国民の評価はぐんと上向き、そこで解散・総選挙をすればよい、という楽観的な想定しかなかったように見える。

 ところが、現実は楽観的な想定のようにはいかなかった。繰り返し押し寄せる波への対応に追われるうちに、政権への支持は降下し、各地での選挙に負け、与党内の若手議員からは「選挙の顔」にならないとノーを突きつけられ、党内人事を行おうとすれば、長老議員らに「恩知らず」と背を向けられた。追い込まれた末の総選挙で大敗した12年前の麻生太郎政権の轍を踏まないためには、結局退陣するしかなくなった。

 1年前に自身が菅氏を総理・総裁へと選出した責任をよそに、選挙の「顔」や「風」を求める若手議員の身勝手さや、恩着せがましい長老議員の醜いありさまをあぶり出し、有権者に貴重な情報を提供したのは、菅政権の最後の実績といえるかもしれない。

 コミュニケーション軽視と「悲観的な準備なき楽観論」を改めていれば、首相として仕事をする時間はもっと長くなっていたのではないか。次に首相となる人は、肝に銘ずべき教訓だろう。

(文=江川紹子/ジャーナリスト)

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。
江川紹子ジャーナル www.egawashoko.com、twitter:amneris84、Facebook:shokoeg

ヤマダ電機で買うべき“洗濯に役立つ有能家電&便利グッズ”5選!部屋干し臭にも効果抜群

 秋の気配が近づき、夏のニオイが染み付いた衣類や寝具をきれいにしておきたいという人も多いだろう。まだまだ残暑が厳しい日々が続き、秋は長雨も多いため部屋干しする機会も増えるが、室内の湿気がこもりやすい。

 そこで今回は、この時期の洗濯に関する悩みを解消してくれる優秀な商品を、ヤマダ電機のオンラインショップからピックアップしてみた(価格は税込み、各種情報は調査時点)。

コロナ「冷風・衣類乾燥除湿機 どこでもクーラー」/3万4020円

 冷風、除湿に衣類乾燥機能もついた、部屋干しに役立つ「どこでもクーラー」。室内干しした洗濯物の近くで稼働させれば、強力な除湿機能で乾燥時間を早めてくれる。除湿機は溜まった水を捨てる手間が必要だが、本製品は5.8Lも貯水可能なビッグサイズのタンクが装備されており、約10時間連続で稼働させることができる。

 さらに付属の布製ダクトを使えば、閉め切りがちな押入れやクローゼットの中の除湿を行うことができ、洗濯後の衣類をさらに乾かして清潔に保つことができる。

 本体は13kgと重さがあるが、底面に4つのキャスターが付いているため移動も簡単。家に1台あるだけで、部屋の湿気などの悩みを解決してくれる優秀なアイテムといえるだろう。

アイリスオーヤマ「サーキュレーター付き除湿機 5L」/1万9100円

 部屋干しでムッとした空気がこもりがちなときに便利なのがサーキュレーターだ。この商品は除湿機とサーキュレーターの機能を取り入れた欲張りな仕様で、部屋干しの効率を格段に上げてくれる。週末の大量洗濯でも6時間で乾燥が終わるほどのハイスピードかつ強力な除湿力で、嫌な部屋干し臭対策にも効果抜群だ。

 一般的な除湿機は稼働中の音が大きいことがネックになりがちだが、この除湿機は「デシカント式」という静かな構造でつくられているため、夜中に稼働しても睡眠を邪魔されることはない。また、湿度が55%以上になると自動で除湿を開始してくれる「除湿切り替えモード」を選んでおけば、部屋干し時には除湿、それ以外のときには通常運転と、部屋の空気が乾燥しすぎる心配もない。

 もちろん、サーキュレーター機能だけで使うこともできるので、洗濯目的以外でも使い勝手のいい優等生家電といえるだろう。

オーム電機「ハンガー型2WAYドライヤー」/3751円

 サッと服を洗って、サッと乾かしたい。そんな出張や旅行時に役立つのが、このアイテム。ハンガーに服をかけてスイッチを入れればセラミックヒーターによる温風が行きわたり、服を手軽に乾かすことができる。ゲリラ豪雨に巻き込まれてしまったときのジャケットなど、水濡れ臭が気になるときにも便利。また、温風による除菌、脱臭効果も期待できる。

 アタッチメントを付け替えれば、靴の乾燥も可能。濡れた場合だけでなく、暑さで蒸れてニオイがこもってしまった靴などにも、こまめに使えば清潔に保つことができる。

 使わないときは折りたたんでコンパクトサイズにできるので、部屋の隅や玄関先など、手に取りやすい場所に邪魔にならずに置いておける点も便利。思いついたときに、サッと一手間でお手入れができる便利グッズだ。

シャープ「ハイポジション・リビングファン プラズマクラスター扇風機」/2万8799円

 独身のひとり暮らしなので部屋干しすることが多いが、狭い部屋にサーキュレーターや除湿機を並べるのも……というビジネスパーソンにオススメなのがこのシャープの高機能扇風機だ。

 最新のフラッグシップモデルということで、扇風機としての性能が高く、風量はなんと32段階で調整ができる。さらに、ファンの構造には「ネイチャーウイング」という、海を超え数千kmも旅をするアサギマダラ蝶の羽の動きを再現した技術を採用。ムラの少ないなめらかな風で不快感を低減、手足の冷えすぎを抑えてくれる。

 そして、シャープ製品ならではのプラズマクラスターを搭載。圧倒的な清浄機能に加え、残暑の高湿環境で発生しやすい浮遊カビ菌もしっかり除菌。もちろん、気になる部屋干し臭や体臭、料理や汗のニオイまで確実に消臭してくれる。

 普段は最先端の風で快適に、そして部屋干し時にはプラズマクラスターで除菌&ニオイ対策と、シフトしながら使ってみてはいかがだろうか。

LGエレクトロニクス「Styler スチームウォッシュ&ドライ」/13万290円

 仕事で汗をたっぷりと吸収したスーツ。本当はすぐにでもクリーニングに出したいけど、明日も着なくてはならない……。そんなときに、自宅でスタイリッシュにスーツをリフレッシュさせることができるのが、LGのクローゼット型クリーニング機「Styler スチームウォッシュ&ドライ」だ。

 汗や汚れが付着したスーツや制服、ユニフォームなどをクローゼット内のハンガーにかける。すると、強力なスチームが庫内で滞留、汚れやニオイを除去するだけでなく、ダニや雑菌などの原因物質を太陽光以上の効果で除菌。さらに「ムービングハンガー」機能で最大180回/分の振動を加えることで、ホコリを落とし、シワを伸ばす。そして、熱風を使わない低音乾燥技術で繊維を傷めずにすっきり乾燥まで行ってくれる。

 Wi-Fi機能が搭載されており、アプリをインストールすれば外出先からも操作が可能だ。今までにないカテゴリーの商品だが、使った人の感想もおおむね好評。連続して着なければいけない服でも、毎朝清潔な状態で手に取ることができるので、仕事のやる気も増すことだろう。

 ヤマダ電機は通販も実店舗同様に充実している。残暑を乗り越え、部屋干しやニオイの悩みを解消してくれる有能な洗濯家電を探してみてはいかがだろうか。

(文=清談社)

『めざまし8』でもブレイクできない永島優美アナ…人気アナが育たないフジテレビの失策

フジテレビの看板アナウンサーは誰か」と聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか? 日本テレビなら水卜麻美アナ、TBSなら安住紳一郎アナと即答できるかもしれないが、フジテレビの場合は「答えに窮してしまう」という人も多いだろう。

 局アナは、いわばテレビ局の“顔”。彼ら彼女らが元気で、より多くの人に知られているという状況は、その局が好調な証拠だ。

 そんな中、フジテレビの女子アナが顔を揃える2022年のカレンダーが10月12日に発売される。これは毎年恒例のコンテンツで、今回は計19人の女子アナが各月を彩るとのことだが……。

顔と名前が一致しない女子アナカレンダー

「これは、もともと『アナ☆バン!』というCXアナが出る番組が発端。平井理央、大島由香里、生野陽子ら5人の女子アナがウエディングドレスを着て、高校時代は写真部だったという中野美奈子が撮影したのです」(テレビ局関係者)

 それを番組で売り出したところ、好評だったことから、社を挙げてのプロジェクトに発展。当初、カレンダーには、前述の中野アナ、平井アナ、大島アナ、生野アナだけでなく、加藤綾子アナ、中村仁美アナ、高島彩アナ、三田友梨佳アナと、押しも押されもせぬ人気アナが続々と登場し、フジテレビの黄金期を象徴する一大コンテンツとなった。

 では、第9弾となる22年のカレンダーは、どんな顔ぶれなのだろうか。

「井上清華、佐久間みなみ、三上真奈、内田嶺衣奈、海老原優香、渡邊渚、宮司愛海、久慈暁子、永島優美、小澤陽子、杉原千尋、堤礼実、藤本万梨乃、永尾亜子、竹俣紅、小室瑛莉子、小山内鈴奈、新美有加、鈴木唯という総勢19人です。この中で最も年長組である入社9年目の内田アナは『FNN Live News イット!』に、同期の三上アナは『ノンストップ!』に出ていますが、正直2人とも看板アナというほどではない。他のメンバーにも、顔と名前が一致しない顔ぶれがチラホラいます」(同)

『27時間テレビ』中止の意外な余波

 なぜフジテレビはアナウンサーの売り出しに失敗したのだろうか? それには2つの長寿番組が関係しているという。

「『笑っていいとも!』の打ち切りと『FNS27時間テレビ』の中止が痛いでしょう。どちらの番組でも、フジのアナウンサーは非常に大事な役割を果たしていましたから。

 まず、『いいとも』ではタモリとゲストのトークコーナー『テレフォンショッキング』で、次のゲストやそのマネージャーなどに連絡して、電話をつなげる仕事をしていました。これを毎日繰り返すことで、一般視聴者に顔を売ると同時に芸能界にも名前を覚えてもらう、有効なPRになっていたのです。しかし、『いいとも』が終わり、『バイキング』(現・バイキングMORE)になったことで、アナウンサーを売り出す場がなくなってしまったのです」(同)

 また、『27時間テレビ』のエンディングでは、その年に入社した新人アナが協賛スポンサーの社名を読み上げるという、これまた重大な任務を任されていた。ここで、彼ら彼女らはフジテレビのアナウンサーとしての自覚を強く持つとともに、スポンサーにも顔を売ることができたのだ。しかし、昨年、今年と放送自体が中止されたことで、この大事な仕事もできなくなっている。

 今年は、代替番組として音楽とお笑いを融合させた特番『FNSラフ&ミュージック ~歌と笑いの祭典~』が8月末に放送された。4月に入社したばかりの小山内アナ、小室アナ、竹俣アナの新人3人が総合司会を務めたが、主に話題になったのは芸人同士のからみであった。

「彼女たち3人に同期の山本賢太アナを加えた新人4人がテレビ初出演を果たしたのは、今年6月にオンエアされた『ネプリーグSP』でした。『27時間テレビ』に比べて、かなり“内輪”感が強いお披露目となってしまったわけです。しかも、特にキャラが立っているわけでもなく、一般常識を答えられないなど無知ぶりが露呈しただけでした」(同)

“干され疑惑”まで浮上した山﨑夕貴アナ

 そんなフジテレビの失策は続く。なんと、一度人気になったアナウンサーを“失速”させてしまっているという。たとえば、山﨑夕貴(※﨑は正しくは「立つさき」)アナだ。

「山﨑アナは『とんねるずのみなさんのおかげでした』でとんねるずの2人に自宅を突撃されたり、アシスタントを務めた『ノンストップ!』ではバナナマン・設楽統にイジられるなど、キャラと性格の良さがお茶の間に浸透。また、夫・おばたのお兄さんとの交際時、彼が女性ファンと浮気する騒動がありましたが、アシスタントを務める『ワイドナショー』で『最悪の気分です……今後の姿勢を見守ろうと思っています』ときちんと答えるなど、正直な姿勢が注目されました。

 フジはその人気に乗って、18年4月から『とくダネ!』のサブ司会に抜擢したのですが、同番組は今年3月に終了。その後、彼女の姿を見られるのは『ワイドナショー』だけで、他に目立った仕事は『人志松本の酒のツマミになる話』のナレーションぐらいです。

『とくダネ!』は放送後の打ち合わせが長いため、山﨑アナには他の番組が声をかけづらいといわれていました。そのため、番組終了後は続々とバラエティのオファーが来ると聞いていたのですが、その気配はまったくありません。一部では“干されている”という疑惑もあったぐらいですが、当の彼女は毎晩、夫に夕食をつくれると喜んでいるそうです」(同)

カトパン同期の榎並アナもフジの失策の犠牲に

 そんなフジテレビの失策のもう1人の犠牲者が、榎並大二郎アナだ。

「同期の“カトパン”こと加藤綾子アナが人気を得る陰で、地道にリポーターなどを務めてきた榎並アナですが、15年から5年間『バイキング』に登板。快活な一方でたどたどしい進行を坂上忍にイジられて注目を集め、15年末に発表された『第11回 好きな男性アナウンサーランキング』では、前年の圏外から6位に躍り出ました。

 そして、昨年9月からは加藤アナとともに夕方のニュース番組『Live News イット!』のメインキャスターを務めていますが、彼の良さが出ているとは言いがたい。加藤アナとの掛け合いも特に話題になっていませんし……。結局、配置転換をしても、裏で仕掛けていかないと、局アナの人気は上がってこないということでしょう」(同)

 しかしながら、8月19日の同番組では、千葉県柏市の妊婦が新型コロナで自宅療養中に入院先が見つからないまま自宅で産み、新生児が死亡したというニュースで榎並アナは涙を流し、話題となった。妻でモデルの有村実樹が第1子の誕生を報告したのは、その1週間後の26日のこと。悲惨なニュースを身重の妻と重ねてしまったのだろうか。

『めざまし8』でもブレイクできない永島アナ

 さらに、フジテレビは似たような失態を繰り返している。『めざましテレビ』の総合司会として人気を得た永島アナを、今年3月末から『めざまし8』のメインキャスターに起用したのだが……。

「『とくダネ!』を終わらせて始まった『めざまし8』ですが、視聴率は世帯5%、個人3%程度の状態が続いています。これは『とくダネ!』と同じくらいか、それよりも悪い結果で、今後も上がる気配があまり感じられません。

 その要因として、『とくダネ!』スタッフがつくる旧態依然のVTR、かゆいところに手が届かない解説フリップなど、さまざまな事情が考えられますが、司会の谷原章介が思ったほど支持を得ていないというのも大きいでしょう。ネットメディアの中には谷原の発言をネガティブな方向性で取り上げる媒体も多く、永島アナに目が向きづらくなっています。

 もともと、加藤綾子の後任として『めざまし』に抜擢されたときも、三宅正治アナとの掛け合いや進行の面で経験不足が否めませんでした。そのため、宮司アナとのダブル女性司会の話も出ていたほどです。本人も加藤の幻影を追いかけてプレッシャーに苛まれていたそうですが、あるときから吹っ切れた感があります。そして、さわやかなキャラを生かして『めざまし8』に“栄転”したのですが、まだまだコメントや機転の面で成長の余地がありそうです」(同)

「好きな女子アナ」を独占していたフジテレビ

 最後に、毎年12月にオリコンから発表されている「好きな女性アナウンサーランキング」について見てみよう。

 第1回が行われた04年はフジテレビが全日(6~24時)、ゴールデン(19~22時)、プライム(19~23時)のすべてでトップになり、12年ぶりに視聴率3冠王に輝いた年だ。同ランキングでも、1位の高島彩、2位の内田恭子、4位の滝川クリステル、5位の中野美奈子、7位の西山喜久恵と、トップ10に5人もランクインしている。しかし、20年のランキングには、7位の三田友梨佳と9位の永島優美の2人しか入っていない。

 単なる一社員である局アナのタレント化やアイドル化については、批判的な声も多い。一方で、見られることに価値があるテレビというメディアで、そうした面をまったく無視することができないのも事実だろう。本来であれば人気のアナウンサーと人気の番組は両輪で回っていくものだが、今のフジテレビはその2つがなかなか噛み合っていない。フジテレビが栄光を取り戻すのは、いつになるのだろうか。

(文=編集部)

毎日を漠然としても生き、モヤモヤしているあなたへ…「本当の夢」を見つける方法を教えます

 こんな悩みを抱える人に出会った。

「自分が本当にやりたいことが見つからない。惜しみなく努力したいと思えるものがない。それゆえ、毎日を漠然と生きている気がする。どうしたら、沖田さんにとっての『小説』のような、自分の夢を見つけられるのか」

 要は、夢と呼べるものなく、生きることに張り合いがないということらしい。確かに、こんな人は少なくないだろう。

 究極、人間は死ぬために生きているといっても過言ではない。

 よく「後悔しないように人生を生きる」としたり顔で言う人間がいるが、失礼ながら、それはバカである。なぜならば、人間は、常に後悔と隣り合わせで生きているからだ。

 少なくとも私はそうだ。考えてみてほしい。日常生活の至るところで、「ああすれば良かった」「あんなことしなければ良かった」という思いが脳裏に浮かんでこないか。人間はおおよそ、この後悔の念によって支配されているのである。後悔するから、「今度こそはこうしよう」「明日を変えよう」という前向きな想いが生まれてくるのだ。

 まずすべきことは、その仕組みをしっかりと理解した上で、自己の感情をすべて受け入れることから始めるべきではないか。

 漠然と生きていると自覚しながら、やりたいこと探すことは、年を重ねれば重ねるだけ、至難となってくるだろう。だがそもそも、漠然と生きていることは、決して悪いことではない。夢も目的もなく生きていることにモヤモヤを感じるかもしれないが、毎日、それなりの責任を果たし、前進しているはずだ。それだけで十分立派であり、尊いことなのである。自分もそれをどこかで認めているからこそ、貪欲に夢を追い求めるということもしないのだろう。

最期にやりたいこと、やり残したと思ったこと、とは?

 私の場合、常に自分自身にひとつだけ言い聞かせていることがある。

 それは「明日、死ぬかもしれない」ということだ。

 これはある意味、真理でもある。

 仏教語の中に「一切衆生」という言葉がある。この世に生を受けた生きとし生けるものすべてを指すが、それらはいつか必ず死ぬ。死の前では、総理大臣も百姓もなく、みな平等なのである。そして、その死はいつ訪れるかわからない。

 明日死ぬかもしれないと真剣に考えた時、漠然と生きられる余裕があるだろうか。

「へっ、ワシが明日死ぬだって? それでもワシは変わらず、大根を売っているよ」

 そんなヤツは絶対にいない。いても構わないが、本当に明日死ぬと断言されれば、病で体が動かないなどの事情がない限り、最期に何をしようか、やり残したことはないかと考えるはずだ。

 最期にやりたいこと、やり残したと思ったこと……そこが自分の夢に繋がるのではないか。

日々生きていること自体が、すべてチャンスなのである

 誰しも、人生がいつか終わるとはわかっていても、五体満足の身体があるうちは、そうそう明日死ぬとは考えない。それどころではないからだ。それぞれに生活していく上で、やらなければならない業務や業務が存在するし、食べていくことを常に考えないとならない。

 繰り返すが、それも立派で尊い生き方だ。だからこそ、多くの人は、そうした生き方に支配されてしまうのである。

 しかしだ。明日死ぬとなれば、事は別である。それまで通り、漠然とは生きていけないだろう。やり残したことを考えるはずである。

 この、死ぬ前にやり残したこと。最期にやりたいこと。これが夢となって膨らんでいくのである。

 夢というのは、なにもプロ野球選手になりたい、YouTuberになりたいというものばかりではない。

 たとえば、彼女に、彼氏に、家族に、何かをやってやりたい、残してやりたいというのも立派な夢なのだ。
 
 中には、そうした家族もいないという人もいるだろう。そして、明日死ぬと考えたときに、「オレの人生は実にしょうもなかった…あの時こうしておけばよかった……ああ、無念だ……」となったとしよう。この、「あの時こうしておけば……」という後悔こそ、何より大事だ。あなたは実際には、明日死なないのだ。明日死ぬと思って、後悔の念を抱いたのに死なない。それは、チャンスが生まれた瞬間だ。

 つまり、日々生きていること自体が、すべてチャンスなのである。そのチャンスを生かすも殺すも、結局は自分自身だ。

 私は決して、小さな頃から小説家になりたいと思って生きてきたわけではない。25歳のときに、一冊の小説を読み、「オレもこんな物語をかけたら……」ということから始まった。今思えば、それは突然の夢との出会いということになり、小説家になりたいという想いを継続させることによって、自らの夢に育ませたのである。

 決して、夢を日夜探し求めていたわけではない。努力によって、ふとした想いを夢に昇華させたのだ。そして、自ら描いたものがテレビドラマとして、また映画として、陽の目をみることになったのである。

 確実に言えることは、人と同じことをしていても、夢なんてものは叶わないし、見つからない。大事なのは、人と違う発想、そして人よりの努力することなのだ。短絡的だったり、無謀な考えで夢を叶えたりしようとすれば、生活を破綻させるだけである。日常の安定を続ける中で新しい発想をして、努力し続ける。これが大切なのである。

 明日、死ぬかもしれない――。

 そう意識するだけで、自身の考え方や感性が大きく変わってくるのではないだろうか。

(文=沖田臥竜/作家)

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●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。最新小説『ムショぼけ』(小学館)を原作にした同名ドラマが10月からスタート。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

パチンコ店「最後の大盤振る舞い」!? 愛するホールの「立派な最終日」に感動!!

 いつもレトロ台ばかり打っている私ですが、決して普通のパチンコ店に行かない訳ではありません。全盛期より頻度は減りましたが、今でも時間を見つけては打ちに行っております。

 最近は地域密着で愛された良店が残念ながら完全閉店することを知り、その最終営業日に車を走らせたのです。登録しているその店舗LINEでお知らせを見た時はハッ!としましたね。《ウソでしょ!? ○○が閉店!?》と驚愕。

 そこは300台に満たない小型店。7月にも覗いており、その時もお客さんはまずまずいて閉店するような店には決して見えなかったのですけどね。

 その法人が展開するホールは主に中規模店ですが繁盛店も多く、苦渋の決断だったとは思いますが…。やはりよく知る店がなくなるのは、本当に寂しいものがあります。

 しかし、その最終日もとても完全閉店するような店とは思えないくらいお客さんも沢山いたんですよ。むしろいつもより多いのは明らかでした。

 どことなくネガティブな閉店告知が貼りだされ、雰囲気も悪くお客さんもまばら。完全閉店といえば、そんなイメージかも知れませんが…ココは明らかに違いました。

 閉店を告知するポスターも『グランドフィナーレ』というタイトルでスタッフたちの写真と共に挨拶が書かれており、思わず全て読んでしまいましたが非常に気持ちの伝わる文章ばかりで心打たれましたね。

 だからこそお客さんも《閉店するホールには近づかない》ではなく《これは最後に必ず行かねば》という気持ちになり多くの方々が足を運んだのではないかと思うのです。

 同じ完全閉店でも「お客さんに愛されているとここまで違うんだな」というのをしみじみと感じました。

 シマに足を踏み入れると、どのコーナーも『シメシメルック』な感じは全くありませんでした。むしろ「最後の大盤振る舞い」に近いくらいの賑わい感がありましたね。

 まぁ実を言うとこのホールの傾向から、おそらく最後も酷い営業をするようなことはなく「むしろ大盤振る舞いになるのでは?」と期待して行った部分もあるのですけどね。

 急に閉店して貯玉をしているお客さんからクレームが出るような閉め方をするホールもある中で、これだけ立派な最終日を迎えられるのは長年にわたり築き上げられたお客さんとの信頼関係に他ならないと思うのです。

 その法人の内部事情までは分かりませんが、これだけお客さんがいても閉店せざるを得ないのはパチンコ業界が如何に厳しい状況下にあるかを物語っているとも言えます。

 しかし、これだけお客に愛され惜しまれつつ最終日を迎えるというのはある意味、幸せとも言えるのかもしれませんね。

 正にグランドフィナーレの言葉に偽りなし! それに相応しい最終営業です!これでまたひとつ好きなお店が、思い入れの強い大切なお店が消えていくのかと思うと悲しいですが…。

 店内の至る所に飾られた沢山の花には《ご自由にお持ち帰りください》との案内分が。 そして時間の経過とともに、少しずつ減っていく花々がとても印象的でした。

(文=電撃しらっち)
<著者プロフィール>
業界歴30年。遊技機販売業など様々な業種を経験し、現在はライターとしての活動にも力を入れている。レトロパチンコ・パチスロの実戦記事や、業界関係者への取材記事も担当。羽根モノや一発台を特集するなど、オールドファンにも響く内容も積極的に作成している。

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JRA 14年目「苦労人」騎手に忍び寄る福永祐一の “強奪”予告!? コントレイルに挑んだ素質馬で優先されるのは非情采配か人情ドラマか

 12日、中京競馬場で行われた9R長久手特別(2勝クラス)は福永祐一騎手が騎乗の1番人気ロバートソンキー(牡4歳、美浦・林徹厩舎)が勝利した。

 小雨が降りしきる中で行われた8頭立ての芝2000m戦。4枠4番からスタートしたロバートソンキーは、中団のやや後ろの5番手から追走。1000m通過1分2秒5と少頭数らしいスローペースでレースは進み4コーナーへ。楽な手応えで外から進出すると、直線では上がり3ハロンでメンバー最速の末脚を繰り出し2馬身差の快勝。

 昨年の菊花賞(G1)6着という戦績も評価され、トップハンデ57キロを背負ったが、ここでは力が違うと言わんばかりの内容だった。

「とてもいい馬だね。躾がちゃんと行き届いていて、本当に頭のいい子だと感じた。将来有望だよ」

 この勝利にテン乗りの福永騎手は“べた褒め”だった。

 一方で今回の結果を、複雑な心境で受け止めていると思われるのが、落馬負傷により療養中の伊藤工真騎手だ。これまでロバートソンキーに5戦連続で騎乗していた主戦騎手だけに、出来ることなら自身の手綱で勝利を手に入れたかったことだろう。

 伊藤騎手は2008年デビューの14年目。現在までJRA通算116勝を挙げているが、近年は年間一桁勝利数が続いている苦労人だ。騎乗数確保のため、18年からは平地競走だけでなく障害競走にも騎乗するようになった。

 そんな伊藤騎手が期待を寄せるロバートソンキーと出会う契機は10年以上前まで遡る。

 同騎手が騎手学校で騎手候補生だった頃、ある厩務員過程の生徒と出会う。それが現在ロバートソンキーを管理する林師だった。

 二人は研修先の厩舎が同じだったこともあり、親密な仲へ。当時から調教師を目指していた林師は開業したら「(伊藤騎手へ)声をかける」と、騎乗依頼を出すことを約束していた。

 また林師の結婚式に参列した際、同師と懇意にしていた保坂和孝オーナーとも知り合った。保坂オーナーは「(当時助手だった林師が)調教師になられた際は、これで勝利を」と、林師のために特製の勝負服を用意。その勝負服を伊藤騎手が着て、お披露目となった。その時、「林厩舎が開業したら、この勝負服を着て、僕の馬に乗ってください」と、言葉をかけたという。

 そして、伊藤騎手は林厩舎が開業した18年に早速オーナーとの約束を果たす。7月の福島競馬場の新馬戦で、保坂オーナーの所有馬イチゴミルフィーユに騎乗して勝利へと導いた。

 さらに、ロバートソンキーもまた、目を掛けてもらっている同オーナーの所有馬でもある。

「イチゴミルフィーユのおかげで、ロバートソンキーへの声もかけてもらえたんだと思います」

 本人が語るように人と人の“縁”が巡り巡って実現したのが、伊藤騎手とロバートソンキーのコンビだ。

 1勝クラスを2着に敗れて挑んだ昨年の神戸新聞杯(G2)では、14番人気という低評価を覆し、後の無敗三冠馬コントレイルの3着に入る激走も見せた。今後の活躍が期待されるロバートソンキーは、伊藤騎手にとってモチベーションを左右するほどの存在といえる。

 そんなお手馬に対し、普段は騎乗馬について褒めることが少ない福永騎手のコメントは、乗り替わりという恐怖が忍び寄っているようにも感じられたのではないか。将来有望と評したことは、次走以降も騎乗したいという「脈アリ」のサインのようにも受け取れるが……。

 次走、ロバートソンキーで優先されるのは、勝利至上のトップ騎手か、それとも人と人を結んだ人情ドラマだろうか。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

パチンコ「超速出玉」時代でも抜群の存在感!『初代・北斗無双』ファン必見情報!!

 パチンコ分野において躍動する各メーカーの新台たち。今年も様々なタイプのマシンが登場し、ホールを大いに盛り上げている。

 中でも存在感を放っているのは爆裂スペック搭載機。シリーズ最強のSUPER小当りRUSHを搭載した『ぱちんこ GANTZ極』や、初代の優秀遺伝子を進化継承した『P牙狼 月虹ノ旅人』は「10万発オーバー」の記録を打ち出し注目を集めた。

 反響の大きさでは継続率・出玉・スピードと三拍子揃った『Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン』も負けてはいない。変動スピードが3倍速にアップする第2の確変「覚醒HYPER」を採用した本機も、「一撃6万発」など景気の良い情報を生み出している。

 悪魔的スピードを実現した『Pデビルマン~疾風迅雷~』も好調ぶりが目立つ。出玉のカギを握るRUSHの継続率は約93.2%で、大当り変動秒数は最短約1.0秒とスピード感も完備。「あっという間に3万5000発オーバー」「105連を目撃」といった声が浮上している。

 大量出玉という意味では、超跳躍役物を搭載した『PビッグポップコーンA』も多くのファンを驚かせた1台だ。

「ポップコーン」の名の通り、ダイナミックな玉の動きを楽しめる仕上がりとなっている本機。出玉のカギを握る「ポップコーンRUSH」の継続率は約83%を誇る。爆発力を兼ね備えた点も大きな特徴だ。

 遊技したユーザーからは一撃2万~3万発といった情報が浮上。総出玉「10万発オーバー」といったデータも確認されるなど、ポテンシャルの高さを証明したと言えるだろう。その影響もあり注目度は高まっている。

 今後も「大当りは右でも左でもALL 1500発」「RUSH継続率が約81%」といった特徴を持つ『P神・天才バカボン~神SPEC~』や、「約3150発のループ」に期待できる『Pモンスターハンター ダブルクロス』などが降臨予定。さらなる爆裂情報が誕生しそうな気配だ。

 パチンコは「超速出玉全盛期」へ突入したという印象だが、そのような状況でも長きに亘り主役として活躍してきた“覇者”の存在感は抜群だ。

 サミーがリリースした超ヒット機種『ぱちんこCR真・北斗無双』。2016年にデビューを果たした本機は、導入から設置台数・稼働ともに高い数値を維持してきた超勝ち組だ。

 ST継続率は約80%で、その間の大当りは半数以上で16R(約2400発)の出玉に期待できる爆裂仕様。この他の追随を許さない出玉性能は、瞬く間にファンのハートを鷲掴みにした。これまでにない『北斗の拳』シリーズの世界観を有している点も、ロングヒットへ繋がった要因だろう。

 引退する日まで好稼働を維持し続けそうであるが、そんな圧倒的な支持率を誇る本機に関連する興味深い情報が存在する。

 サミーネットワークスは9月10日より、スマホ向け無料パチンコ・パチスロアプリ「777Real」にて配信予定の『ぱちんこCR真・北斗無双』の事前予約を開始した。ファンにとっては興味深い情報だろう。詳しくは公式サイトを確認していただきたい。

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稲垣・草なぎ・香取、“予告なし”Eテレ出演の裏事情…ジャニーズへの巧みな牽制?

 大物タレント3人がMCを務める番組が突然始まり、ネット上では驚きの声が広まっている。

 13日(月曜)朝8時25分から、NHK Eテレの新教育バラエティー番組『ワルイコあつまれ』がスタートしたのだが、なんとMCとして登場したのは元SMAPで「新しい地図」の稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾。3人は2017年にジャニーズ事務所を退所後、CMや地上波の番組に出演することはあったものの、3人揃って地上波のレギュラー番組のMCを務めるのは初。さらに事前の宣伝・予告が一切なかったことから、早くもネットニュースで取り上げられ、Twitterでトレンドランキング入りするほど話題を呼んでいる。

 今回『ワルイコ』が放送された枠では、もともと『デザインあ』(再編成版)が放送されていたが、楽曲を担当していたミュージシャン・小山田圭吾の“いじめ自慢問題”を受け放送休止となり、7月から代わりに『ピタゴラスイッチ』が放送されていた。『デザインあ』は現在も放送休止中だが、その良質な内容にファンも多いため、ネット上では『デザインあ』が何の説明もなく打ち切りになった代わりに『ワルイコあつまれ』が始まったと考える人々から批判の声が上がる事態にも発展している。

 ちなみにNHK広報部は「この枠が空いていたので、『ワルイコあつまれ』をあてはめることになった」としているが、NHK関係者はいう。

「『デザインあ』は打ち切りになったわけではなく、また、先週まで『ワルイコ』と同じ枠で放送されていたのは、あくまで『ピタゴラスイッチ』なので、ネット上での反応はまったくの予想外。番組の企画自体は数カ月前から動いていたでしょうから、『デザインあ』の休止とはまったく無関係のはず」

 新番組スタートにあたり予告が一切なかったことも話題になっているが、民放キー局関係者はいう。

「基本的にEテレ番組は大々的な番宣をしないので、今回が特別というわけではない。ただ、NHKはそれをエクスキューズにうまく利用したと感じますね。つまり、新しい地図の今年の『NHK紅白歌合戦』出演への布石というわけです。

 常に“目玉企画”を探している『紅白』としては、3人がそろって出演してくれれば話題になることは間違いない。ただ、例年6~7組ほどグループを出演させているジャニーズ事務所への配慮もあり、なかなか難しい面もある。一方、草なぎが『ブラタモリ』のナレーションを担当したり大河ドラマ『青天を衝け』に出演するなど、SMAP時代も含めればもともと3人のNHKへの貢献度は高く、その3人がさらにNHKでレギュラーを持てば、局としても対ジャニーズ的に“純粋に貢献度が高いから”という説明がつきやすくなる。そのため、これで新しい地図の今年の『紅白』出演がよりいっそう現実味を帯びてきたということで、業界的には注目されているわけです」

 また、「新しい地図」側にとってもメリットは大きいという。

「Eテレ番組でレギュラーを持つことによる世間からの好感度上昇は、確実に今後の仕事の広がりにつながるため、タレントサイドにとっては大きなうま味がある仕事。さらにこれが『紅白』出場につながれば、民放各局でもゴールデン・プライム帯で3人揃っての起用が事実上“解禁”となる。Eテレ番組の出演料はかなり安いことで知られていますが、それを補って余りある効果を新しい地図側は期待できるわけです」

 13日放送回では、香取は『サタ・スマ』(フジテレビ系/1998~2002年)内で人気を博した「慎吾ママ」のキャラに扮し、さらに草なぎも『青天を衝け』で演じる徳川慶喜役の衣装で登場したが、大盤振る舞いは続きそうだ。

(文=編集部)