失業給付金が最大88万円も増える!退職するなら緊急事態宣言前が有利?コロナ特例の活用法

「勤務している会社の管理業務が他社に代わることになったため、先日、会社の担当者が解雇通知を持ってきました。整理解雇です。受け取りを拒否したら、しつこくつきまとわれました」

 こう話すのは、ビル管理会社に勤務するAさん(50代/仮名)。幸い、加入している労働組合が会社に団体交渉を申し入れてくれたため、当面の解雇は免れたものの、次の勤務先が提示される見込みは立っていないという。

 首都圏や近畿などに発令されている緊急事態宣言が、ようやく全面解除の見通しと報じられるなか、Aさんのように、もしもの事態も想定した準備が必要になりつつある人も少なくない。とりわけ、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食・サービス業やイベント業などの業種に従事している人にとっては、先行きの見えない不安と決別するタイミングかもしれない。

 そんなときに役立つのが、退職後の生活を支えてくれる雇用保険の知識だ。そこで今回は、退職した際に失業手当が増える、雇用保険の新型コロナウイルス感染症対策に関連した情報を紹介しておこう。

 ここへきて、ようやく緊急事態宣言の対象地域で感染者数が減少傾向に転じつつあるものの、新たな変異株の出現や、ワクチン接種者も安全とはいえない“ブレイクスルー感染”、ワクチン接種後の抗体減少など、不安材料が次々とクローズアップされてきている。今後、冬にかけて再度感染者が激増し、第6波、第7波が到来すれば、緊急事態宣言が再度発出されることも想定しなければならないだろう。

 そこで検討したいのが、退職のタイミングである。今後、退職するとしたら、緊急事態宣言が出る前がいいのか、それとも出た後がいいのか、さらに宣言期間中の場合は、それが明けるのを待ったほうがいのか――。結論からいえば、宣言が出る前に退職するケースが、もっとも有利である。

失業手当が60日分延長される

 下の図を見てほしい。昨年6月に施行された雇用保険臨時特例法によって、新型コロナ感染症に関連して退職した人には、原則60日分の給付を延長(一部30日)してもらえるようになった。この特例の対象になれば、失業手当が日額5900円(平均月給30万円程度)の人ならば、トータル35万4000円も受け取れる計算だ。

 もちろん、誰でもこの特例の対象対象になるわけではない。いくつかの要件をクリアしていなければならないのだが、宣言期間中かどうかによっても扱いに大きな差が出てくることに注目したい。

 まず、宣言が出る前に退職し、転職活動中に宣言が出てしまった人のパターン。

 平時に退職したのに、失業中に緊急事態に突入してしまったのは不運と思いがちだが、意外にも、これがオトクになる。退職後に宣言が出てしまった人は、特になんの条件もなく、誰でも60日プラス給付が延長される特典が得られるのだ。宣言発令時点で、すでに退職していて雇用保険の受給資格がありさえすればOKだ。

 それと比べると、やや不利なのが、宣言後に退職したケース。こちらは誰でも特例適用とはいかず、解雇やリストラなど会社都合(特定受給資格者)か、契約更新を拒絶されるなどの限定された退職(特定理由離職者)に限って給付延長の特典が得られる。

 つまり、宣言期間中に自己都合で退職したりすると、理由によってはこの特典は受けられないのだ。

 では、宣言が明けてから退職すると、どうなるのだろうか。その場合、宣言期間中のように、単に会社都合というだけではコロナ延長は適用されなくなる。コロナ延長の特典が受けられる要件として、特定受給資格者(会社都合)と特定理由離職者(雇止め)の前に、以下のような文言が追加されている。

新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方>

 パワハラで退職しても、なかなか会社都合と認められないのに、まして「コロナの影響で退職」となると、さらにハードルが高いと思った人も多いだろう。しかし、必ずしもそうとも言えない。なぜならば、この要件には意外な抜け道が隠されているからだ。その点は、少しややこしいので、以下で詳しく解説しておこう。

自己都合での退社でも、会社都合とみなされるケースも

 これが雇用保険臨時特例法において、「新型コロナウイルスによる影響で退職した人を会社都合と認める要件」を、詳しく列挙したものである。ここから対象になる人の要素を抜き出してみると、以下のようになる。

(1)本人の職場で感染者が発生
(2)本人若しくは同居の家族が基礎疾患を有すること
(3)(本人若しくは同居の家族が)妊娠中であること
(4)(本人若しくは同居の家族が)高齢であること

 このどれかに該当する人が、それを理由に“感染防止や重症化防止”の観点から自己都合退職した”に該当すれば、宣言後に退職した人でも、給付延長特典が得られるわけだ。

 注目したいのは、この但し書きの末尾が“自己都合退職したこと”となっている点。つまり、退職理由は、自己都合のままでも構わない。「特例として、これに該当する人は会社都合と同じに扱うよ」としているわけである。

 4つの要件のうち一番わかりやすいのは、“職場で感染者発生”だろう。少し前まではレアケースだったが、今では少し大きな組織になると、社内で感染者が出ていることも珍しくなくなりつつある。

 感染者が出たことを、内外に発表したり通知していれば、その文書を添付すればよい。会社が非公表としている場合は、申立書に事業主の証明添付が必要となってくるものの、これはかなり柔軟に対応しているため、案ずるより生むがやすしかもしれない。

 都内のハローワークに運用実態を聞いてみると、「ご本人に、感染者が出たことについて一筆書いていただいて、それを基に判定します」とのこと。そのため、証明できるものが何もなくても、認められる可能性はおおいにある。勤務していた事業所に事実確認する通常の特定受給資格者(会社都合)の判定と比べれば、かなりハードルは低い。

 もっとも証明が容易なのは、(4)の“(本人若しくは同居の家族が)高齢であること”である。たとえば本人が20代でも、「高齢の家族と同居」していて、その家族に感染させるリスクが高いために会社を辞めたとなれば、それだけで会社都合と同じ扱いになるのである。

 その証明は、高齢の家族と同居していることを示す住民票の提出のみでよい。もちろん、退職後に高齢の家族と同居した人は対象外だが、退職前から高齢の家族と同居さえしていれば、誰でもこの要件を満たせる可能性は高いのである。しかも、この場合の「高齢」の定義は「60歳以上」であるため、この特例が適用される範囲は思った以上に広い。

勤務期間1年未満でも雇用保険が受けられる

 さて、このコロナの影響判定によって、会社都合と同じ扱いになった場合の特典は、前出の給付延長だけではない。

 大きなメリットを得るのは第一に、1年未満しか勤務しておらず雇用保険の受給資格がなかった人だ。もし、このコロナの影響判定で会社都合同等と認められれば、過去1年間に6カ月以上勤務していれば、晴れて退職後に雇用保険の受給資格を獲得することとなり、さらに宣言が発令された後に退職した際には、60日の給付延長というダブルメリットが得られる。

 そのほかの人も、自己都合なら本来は90日(1年以上加入)から最長でも150日(20年以上加入)しかもらえないところが、コロナ影響判定で会社都合扱いとなれば、ほとんどの人は給付日数が大幅に増えて、最長330日まで給付される。

 35歳で5年以上勤務している人ならば、自己都合退職は通常、90日分しか失業手当をもらえない。これがコロナ特例によって会社都合同等と認められれば、もらえる手当は180日分と倍増。失業手当日額5900円(在職時、額面月給30万円程度)で計算すると、トータルで53万円も違ってくる。前記のコロナ延長60日分35万円も含めると、増額分は88万円になる計算だ。

 それでいて、自己都合退職者に課せられる給付制限(現在は原則2カ月・昨年9月末までは3カ月)もなし。もちろん、早期に転職先が決まれば、失業手当のことなど忘れて新しい仕事に専念するべきだが、もし失業期間が長引いたときのこと考えて、1日でも長く失業手当がもらえるようにしておくことが大切である。ちなみに、早期に就職すると、残日数の最大7割にあたる再就職手当がもらえる特典もある。

退職のタイミングはじっくり検討を

 少しややこしくなったので、原則60日のコロナ延長特典について、改めて整理しておこう。

 まず、解雇やリストラなど会社都合で退職する予定の人は、できれば宣言期間中に退職するのがベター。何も考えなくても、通常の自己都合退職よりも手厚い給付が受けられるうえ、原則60日のコロナ延長特典のオマケがついてくる。

 次に、事情はさまざまだが、結果的に自己都合でしか退職できない人は、「感染者数が急増したため近く緊急事態宣言が出る見込み」と報道された段階で退職するのが賢明だ。退職後に宣言が発令されると、活発な求職活動が行えなくなることが考慮されて、自己都合で給付日数が少ない人でも60日のコロナ延長給付を受けられる。

 ただし、近く発令見込みと判断して退職してみたものの、予想が外れて宣言が発令されないまま給付期間が満了すると、延長されない可能性も覚悟しておかねばならない。逆に、近く宣言発令との予想は外れたものの、給付満了直前に宣言が発令された場合には、コロナ延長給付を受けられる。

 判断が難しいのは、これから退職しようと思っていたタイミングで宣言が解除になった場合である。宣言が明けたばかりでは、次の宣言がいつ出るとも予想しづらいため、ここは前述した「宣言解除後にコロナ延長が受けられる4要件」をクリアできないか、じっくりと検討してみるのが賢明だ。

 たとえば、社内で感染者が出た場合、それを理由とした退職であれば会社都合と同じ条件で給付を受けられる。

「悲観的に準備し、楽観的に行動する」のが危機管理の鉄則であることを、この機会にぜひ頭にたたき込んでいただきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

※当記事の内容は、2021年9月7日現在の東京労働局管内における取り扱いを基準にしている。コロナ禍における運用については、各安定所長の裁量によって決まる部分もあるため、地域によっては、この記述とは異なった判定が下される可能性もある。これから退職される方は、住所地の職業安定所に十分に確認されたうえで慎重に行動するようお薦めいしたい。

※離職票記載の退職理由に異議を申し立てた場合、安定所内で個別に審査が行われ、その決定事項(自己都合or会社都合の給付日数)は、受給手続き後に開催される受給説明会(それが省略された場合は初回認定日)で渡される「受給資格者証」に明記される。判定が覆ったかどうかは、そちらで確認してほしい。

失業給付金が最大88万円も増える!退職するなら緊急事態宣言前が有利?コロナ特例の活用法

「勤務している会社の管理業務が他社に代わることになったため、先日、会社の担当者が解雇通知を持ってきました。整理解雇です。受け取りを拒否したら、しつこくつきまとわれました」

 こう話すのは、ビル管理会社に勤務するAさん(50代/仮名)。幸い、加入している労働組合が会社に団体交渉を申し入れてくれたため、当面の解雇は免れたものの、次の勤務先が提示される見込みは立っていないという。

 首都圏や近畿などに発令されている緊急事態宣言が、ようやく全面解除の見通しと報じられるなか、Aさんのように、もしもの事態も想定した準備が必要になりつつある人も少なくない。とりわけ、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食・サービス業やイベント業などの業種に従事している人にとっては、先行きの見えない不安と決別するタイミングかもしれない。

 そんなときに役立つのが、退職後の生活を支えてくれる雇用保険の知識だ。そこで今回は、退職した際に失業手当が増える、雇用保険の新型コロナウイルス感染症対策に関連した情報を紹介しておこう。

 ここへきて、ようやく緊急事態宣言の対象地域で感染者数が減少傾向に転じつつあるものの、新たな変異株の出現や、ワクチン接種者も安全とはいえない“ブレイクスルー感染”、ワクチン接種後の抗体減少など、不安材料が次々とクローズアップされてきている。今後、冬にかけて再度感染者が激増し、第6波、第7波が到来すれば、緊急事態宣言が再度発出されることも想定しなければならないだろう。

 そこで検討したいのが、退職のタイミングである。今後、退職するとしたら、緊急事態宣言が出る前がいいのか、それとも出た後がいいのか、さらに宣言期間中の場合は、それが明けるのを待ったほうがいのか――。結論からいえば、宣言が出る前に退職するケースが、もっとも有利である。

失業手当が60日分延長される

 下の図を見てほしい。昨年6月に施行された雇用保険臨時特例法によって、新型コロナ感染症に関連して退職した人には、原則60日分の給付を延長(一部30日)してもらえるようになった。この特例の対象になれば、失業手当が日額5900円(平均月給30万円程度)の人ならば、トータル35万4000円も受け取れる計算だ。

 もちろん、誰でもこの特例の対象対象になるわけではない。いくつかの要件をクリアしていなければならないのだが、宣言期間中かどうかによっても扱いに大きな差が出てくることに注目したい。

 まず、宣言が出る前に退職し、転職活動中に宣言が出てしまった人のパターン。

 平時に退職したのに、失業中に緊急事態に突入してしまったのは不運と思いがちだが、意外にも、これがオトクになる。退職後に宣言が出てしまった人は、特になんの条件もなく、誰でも60日プラス給付が延長される特典が得られるのだ。宣言発令時点で、すでに退職していて雇用保険の受給資格がありさえすればOKだ。

 それと比べると、やや不利なのが、宣言後に退職したケース。こちらは誰でも特例適用とはいかず、解雇やリストラなど会社都合(特定受給資格者)か、契約更新を拒絶されるなどの限定された退職(特定理由離職者)に限って給付延長の特典が得られる。

 つまり、宣言期間中に自己都合で退職したりすると、理由によってはこの特典は受けられないのだ。

 では、宣言が明けてから退職すると、どうなるのだろうか。その場合、宣言期間中のように、単に会社都合というだけではコロナ延長は適用されなくなる。コロナ延長の特典が受けられる要件として、特定受給資格者(会社都合)と特定理由離職者(雇止め)の前に、以下のような文言が追加されている。

新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方>

 パワハラで退職しても、なかなか会社都合と認められないのに、まして「コロナの影響で退職」となると、さらにハードルが高いと思った人も多いだろう。しかし、必ずしもそうとも言えない。なぜならば、この要件には意外な抜け道が隠されているからだ。その点は、少しややこしいので、以下で詳しく解説しておこう。

自己都合での退社でも、会社都合とみなされるケースも

 これが雇用保険臨時特例法において、「新型コロナウイルスによる影響で退職した人を会社都合と認める要件」を、詳しく列挙したものである。ここから対象になる人の要素を抜き出してみると、以下のようになる。

(1)本人の職場で感染者が発生
(2)本人若しくは同居の家族が基礎疾患を有すること
(3)(本人若しくは同居の家族が)妊娠中であること
(4)(本人若しくは同居の家族が)高齢であること

 このどれかに該当する人が、それを理由に“感染防止や重症化防止”の観点から自己都合退職した”に該当すれば、宣言後に退職した人でも、給付延長特典が得られるわけだ。

 注目したいのは、この但し書きの末尾が“自己都合退職したこと”となっている点。つまり、退職理由は、自己都合のままでも構わない。「特例として、これに該当する人は会社都合と同じに扱うよ」としているわけである。

 4つの要件のうち一番わかりやすいのは、“職場で感染者発生”だろう。少し前まではレアケースだったが、今では少し大きな組織になると、社内で感染者が出ていることも珍しくなくなりつつある。

 感染者が出たことを、内外に発表したり通知していれば、その文書を添付すればよい。会社が非公表としている場合は、申立書に事業主の証明添付が必要となってくるものの、これはかなり柔軟に対応しているため、案ずるより生むがやすしかもしれない。

 都内のハローワークに運用実態を聞いてみると、「ご本人に、感染者が出たことについて一筆書いていただいて、それを基に判定します」とのこと。そのため、証明できるものが何もなくても、認められる可能性はおおいにある。勤務していた事業所に事実確認する通常の特定受給資格者(会社都合)の判定と比べれば、かなりハードルは低い。

 もっとも証明が容易なのは、(4)の“(本人若しくは同居の家族が)高齢であること”である。たとえば本人が20代でも、「高齢の家族と同居」していて、その家族に感染させるリスクが高いために会社を辞めたとなれば、それだけで会社都合と同じ扱いになるのである。

 その証明は、高齢の家族と同居していることを示す住民票の提出のみでよい。もちろん、退職後に高齢の家族と同居した人は対象外だが、退職前から高齢の家族と同居さえしていれば、誰でもこの要件を満たせる可能性は高いのである。しかも、この場合の「高齢」の定義は「60歳以上」であるため、この特例が適用される範囲は思った以上に広い。

勤務期間1年未満でも雇用保険が受けられる

 さて、このコロナの影響判定によって、会社都合と同じ扱いになった場合の特典は、前出の給付延長だけではない。

 大きなメリットを得るのは第一に、1年未満しか勤務しておらず雇用保険の受給資格がなかった人だ。もし、このコロナの影響判定で会社都合同等と認められれば、過去1年間に6カ月以上勤務していれば、晴れて退職後に雇用保険の受給資格を獲得することとなり、さらに宣言が発令された後に退職した際には、60日の給付延長というダブルメリットが得られる。

 そのほかの人も、自己都合なら本来は90日(1年以上加入)から最長でも150日(20年以上加入)しかもらえないところが、コロナ影響判定で会社都合扱いとなれば、ほとんどの人は給付日数が大幅に増えて、最長330日まで給付される。

 35歳で5年以上勤務している人ならば、自己都合退職は通常、90日分しか失業手当をもらえない。これがコロナ特例によって会社都合同等と認められれば、もらえる手当は180日分と倍増。失業手当日額5900円(在職時、額面月給30万円程度)で計算すると、トータルで53万円も違ってくる。前記のコロナ延長60日分35万円も含めると、増額分は88万円になる計算だ。

 それでいて、自己都合退職者に課せられる給付制限(現在は原則2カ月・昨年9月末までは3カ月)もなし。もちろん、早期に転職先が決まれば、失業手当のことなど忘れて新しい仕事に専念するべきだが、もし失業期間が長引いたときのこと考えて、1日でも長く失業手当がもらえるようにしておくことが大切である。ちなみに、早期に就職すると、残日数の最大7割にあたる再就職手当がもらえる特典もある。

退職のタイミングはじっくり検討を

 少しややこしくなったので、原則60日のコロナ延長特典について、改めて整理しておこう。

 まず、解雇やリストラなど会社都合で退職する予定の人は、できれば宣言期間中に退職するのがベター。何も考えなくても、通常の自己都合退職よりも手厚い給付が受けられるうえ、原則60日のコロナ延長特典のオマケがついてくる。

 次に、事情はさまざまだが、結果的に自己都合でしか退職できない人は、「感染者数が急増したため近く緊急事態宣言が出る見込み」と報道された段階で退職するのが賢明だ。退職後に宣言が発令されると、活発な求職活動が行えなくなることが考慮されて、自己都合で給付日数が少ない人でも60日のコロナ延長給付を受けられる。

 ただし、近く発令見込みと判断して退職してみたものの、予想が外れて宣言が発令されないまま給付期間が満了すると、延長されない可能性も覚悟しておかねばならない。逆に、近く宣言発令との予想は外れたものの、給付満了直前に宣言が発令された場合には、コロナ延長給付を受けられる。

 判断が難しいのは、これから退職しようと思っていたタイミングで宣言が解除になった場合である。宣言が明けたばかりでは、次の宣言がいつ出るとも予想しづらいため、ここは前述した「宣言解除後にコロナ延長が受けられる4要件」をクリアできないか、じっくりと検討してみるのが賢明だ。

 たとえば、社内で感染者が出た場合、それを理由とした退職であれば会社都合と同じ条件で給付を受けられる。

「悲観的に準備し、楽観的に行動する」のが危機管理の鉄則であることを、この機会にぜひ頭にたたき込んでいただきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

※当記事の内容は、2021年9月7日現在の東京労働局管内における取り扱いを基準にしている。コロナ禍における運用については、各安定所長の裁量によって決まる部分もあるため、地域によっては、この記述とは異なった判定が下される可能性もある。これから退職される方は、住所地の職業安定所に十分に確認されたうえで慎重に行動するようお薦めいしたい。

※離職票記載の退職理由に異議を申し立てた場合、安定所内で個別に審査が行われ、その決定事項(自己都合or会社都合の給付日数)は、受給手続き後に開催される受給説明会(それが省略された場合は初回認定日)で渡される「受給資格者証」に明記される。判定が覆ったかどうかは、そちらで確認してほしい。

工藤会トップに死刑判決は「永山基準」に照らしても厳しすぎる…宮崎学が斬る“国策捜査”

 8月24日、福岡地裁は五代目工藤會の野村悟総裁に求刑通りの死刑、田上文雄会長に無期懲役の判決を言い渡した。足立勉裁判長は、審理された4つの事件について野村総裁らの関与を認定、「組織的に市民を襲撃した犯行の動機、経緯に酌むべき余地は皆無」と判じた。判決を受けて、野村総裁と田上会長は翌25日に控訴している。

 指定暴力団のトップに死刑判決が下されたのは、史上初の事態だ。以前から工藤會関係者の冤罪事件などを取材し、四代目工藤會の溝下秀男総裁(故人)との共著もある、作家の宮崎学さんに話を聞いた。

警察庁の意向で既定路線だった死刑判決

――史上初の指定暴力団トップに対する死刑判決が出ました。今回審理されたのは、元漁協組合長射殺(1998年)、元福岡県警の警部銃撃(2012年)、看護師刺傷(2013年)、歯科医師刺傷(2014年)の4つの事件です。いずれの事件も野村総裁と田上会長の事件への関与を示す直接証拠はなく、死刑判決には疑問の声もあるようです。判決をどう見ていますか?

宮崎学さん(以下、宮崎) 私としては想定内の判決でしたが、弁護団や工藤會関係者はショックを受けていると聞いています。しかし、この裁判はもともと「国策捜査」であり、最高幹部の死刑が前提だったことは明らかです。本来はすべての捜査が「国策」といえますが、今回の裁判は警察庁と検察庁、そして裁判所が一体となって工藤會という北九州の組織を「最凶」と断定し、トップを「死刑」にすることに血道をあげてきました。

 以前から指摘してきた通り、野村総裁の死刑判決は福岡県警ではなく警察庁の意向であり、最初から決まっていたことです。

 2015年1月に就任した金高雅仁警察庁長官が、その年の6月の会見で「組織(=工藤會)のトップを死刑や無期懲役にもっていき、二度と組に戻れない状態をつくり、恐怖による内部支配を崩していこうという戦略。徹底した捜査を遂げるということで臨んでいる」と宣言しました。このときに税務関係の逮捕にも言及していて、実際にその通りになりました。野村総裁は「上納金」の脱税でも有罪判決を受けています。

 弁護団は、これまでも多くの事件で無罪を勝ち取ってきた精鋭集団であり、今回も最高の弁護をしたと思いますが、弁護団の問題ではありません。はじめから「死刑」と決められていたのですから。

元警察官銃撃で警察庁幹部が激怒か

――なぜ福岡県警ではなく、警察庁主導の捜査だったのでしょう?

宮崎 理由はいくつか考えられますが、今回審理されている、2012年の工藤會関係者による元警察官銃撃事件が警察庁幹部を激怒させたと聞いています。警察の「虎の尾」を踏んだということですね。

 この事件について、田上会長は法廷で「退職していても元警察官を襲撃すれば、警察は工藤会を一丸となってたたくと思います。そういうことがわかっていてするほど、私は愚かでもないし、バカでもありません」と話したことが報じられています。これは一定の説得力があると思いますが、結果として裁判所はスルーしています。

 また、警察庁が「福岡県警は『暴力団』を取り締まれない」と見限ったこともあると思います。福岡県内には5団体もの指定暴力団組織があります。東京都内は4団体、大阪は2団体ですから、どれだけ多いかわかります。福岡県警は、それらを放置するどころか、癒着していたのではないでしょうか?

 今回の裁判で審理された元警察官の銃撃事件も、当初はむしろ被害者と工藤會の「ただならぬ関係」が指摘されていたほどです。ただし、これはどこの警察にもあることです。2012年には、工藤會のほか別の福岡県内の組織からもカネを受け取っていた疑惑のある警察官が逮捕されていますし、2020年3月には、警視庁のマル暴警部補とヤクザの関係を「FRIDAY」(講談社)が報じています。

 また、今年の9月10日には、暴力団員に捜査情報を漏らしていたとして、神奈川県警察本部が警部補を懲戒免職の処分にしたことも明らかになっています。報道によると、この神奈川県警の元警部補は「暴力団関係者を協力者にしたかった」と話しており、地方公務員法違反の疑いで捜査されているようですが、このほか都内のクラブで総額数十万円の接待を受けており、贈賄の疑いもあるようです。情報を漏洩したヤクザとは「先輩の元警察官からの紹介で知り合った」と認めているそうで、明らかに組織的な問題です。この元警部補の名前はなぜか報道されていませんが、だいたいどの警察も同様と考えていいでしょう。

 また、背景にはアメリカ政府の圧力もありますね。一貫してマフィア撲滅に力を入れてきたアメリカ政府は、工藤會や山口組など日本のヤクザへの制裁も続けています。もっとも、アメリカの狙いはマフィアの潤沢な資金の没収ですが、これに対して日本は1992年の暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の施行以来、30年近くを経ても暴力団を壊滅させていません。アメリカからすれば、「どうなっているんだ?」ということでしょう。

 とはいえ、欧米もマフィアの対策は講じながら殲滅できてはいないのですが、日本はアメリカの要請に応えなくてはならず、工藤會のような「山口組より規模は小さくても存在感のある組織」をターゲットにしたのだと思います。

「永山基準」に照らしても死刑は厳しすぎる

――審理された4つの事件のうち、元漁協組合長の事件は以前に裁判が終わっていますが、改めての捜査となりました。

宮崎 はい。普段は何か事件があれば「また工藤會か!」というわりには、ずいぶん古い事件を出してきたと、弁護団も驚いたと聞いています。20年以上も前の事件ですし、この件で田上会長(逮捕の2002年当時は工藤會傘下・田中組若頭)は逮捕されたのに不起訴になっています。また、裁判で無期懲役を求刑された組員のうち、1人は無罪が確定しています。

 一審の有罪率が平均99%を超える日本で、しかも工藤會の関係者であっても不起訴や無罪とするしかなかった裁判をやり直すというのは、異例中の異例です。

 しかし、今回、裁判所は強引に死刑を導きました。もっと問題なのは、メディアは批判するどころか「画期的」「よくぞ工藤會をやっつけた」と大歓迎したことです。たとえば、西日本新聞は(不起訴となっていた田上会長を再び逮捕、起訴するという)「『禁じ手』も使った。異例の捜査を重ねた壊滅作戦が、トップの極刑判決を導いた」と評価しました。

 多くの人が「禁じ手」をよしとしているんです。法律の専門家からは、古い事件を審理したり、直接証拠がないのに死刑を言い渡したりすることについて、疑問の声も出ているようです。しかし、議論にならないのは、「暴力団をかばうのか」と叩かれたくないからでしょう。

――そんな古い事件まで引っぱり出したのは、なぜでしょうか?

宮崎 死亡した被害者がいないと、死刑を求刑できないからです。ただし、4つの事件で亡くなっているのは元漁協組合長だけですから、これは、いわゆる「永山基準」に照らしても、死刑という結論は厳しすぎますね。

 永山基準とは、1968年に4人を射殺した永山則夫元死刑囚(事件当時19歳、1997年に死刑執行)の裁判で最高裁が示した死刑の適用基準です。現在も死刑判決の基準とされていますが、これには具体的に「○人を殺せば死刑」とは書かれていません。動機や殺害の方法、被害者の数など9項目を総合的に考慮することが求められています。

 過去の事件では、亡くなった被害者が2人だと死刑の可能性が大きくなり、3人以上だとほぼ間違いなく死刑という傾向にあります。これらを見ても、やはり被害者が1人で死刑というのは、厳しい判決であるといわざるを得ません。

(構成=編集部)

※後編へ続く

●宮崎学(みやざき・まなぶ)
1945年京都生まれ。ヤクザの息子として生まれ、学生運動に身を投じた半生を綴った『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた五十年』(1996年)のほかヤクザや社会の課題をテーマに執筆を続ける。最新刊は『突破者の遺言』(ケイアンドケイプレス、2021年)

工藤会トップに死刑判決は「永山基準」に照らしても厳しすぎる…宮崎学が斬る“国策捜査”

 8月24日、福岡地裁は五代目工藤會の野村悟総裁に求刑通りの死刑、田上文雄会長に無期懲役の判決を言い渡した。足立勉裁判長は、審理された4つの事件について野村総裁らの関与を認定、「組織的に市民を襲撃した犯行の動機、経緯に酌むべき余地は皆無」と判じた。判決を受けて、野村総裁と田上会長は翌25日に控訴している。

 指定暴力団のトップに死刑判決が下されたのは、史上初の事態だ。以前から工藤會関係者の冤罪事件などを取材し、四代目工藤會の溝下秀男総裁(故人)との共著もある、作家の宮崎学さんに話を聞いた。

警察庁の意向で既定路線だった死刑判決

――史上初の指定暴力団トップに対する死刑判決が出ました。今回審理されたのは、元漁協組合長射殺(1998年)、元福岡県警の警部銃撃(2012年)、看護師刺傷(2013年)、歯科医師刺傷(2014年)の4つの事件です。いずれの事件も野村総裁と田上会長の事件への関与を示す直接証拠はなく、死刑判決には疑問の声もあるようです。判決をどう見ていますか?

宮崎学さん(以下、宮崎) 私としては想定内の判決でしたが、弁護団や工藤會関係者はショックを受けていると聞いています。しかし、この裁判はもともと「国策捜査」であり、最高幹部の死刑が前提だったことは明らかです。本来はすべての捜査が「国策」といえますが、今回の裁判は警察庁と検察庁、そして裁判所が一体となって工藤會という北九州の組織を「最凶」と断定し、トップを「死刑」にすることに血道をあげてきました。

 以前から指摘してきた通り、野村総裁の死刑判決は福岡県警ではなく警察庁の意向であり、最初から決まっていたことです。

 2015年1月に就任した金高雅仁警察庁長官が、その年の6月の会見で「組織(=工藤會)のトップを死刑や無期懲役にもっていき、二度と組に戻れない状態をつくり、恐怖による内部支配を崩していこうという戦略。徹底した捜査を遂げるということで臨んでいる」と宣言しました。このときに税務関係の逮捕にも言及していて、実際にその通りになりました。野村総裁は「上納金」の脱税でも有罪判決を受けています。

 弁護団は、これまでも多くの事件で無罪を勝ち取ってきた精鋭集団であり、今回も最高の弁護をしたと思いますが、弁護団の問題ではありません。はじめから「死刑」と決められていたのですから。

元警察官銃撃で警察庁幹部が激怒か

――なぜ福岡県警ではなく、警察庁主導の捜査だったのでしょう?

宮崎 理由はいくつか考えられますが、今回審理されている、2012年の工藤會関係者による元警察官銃撃事件が警察庁幹部を激怒させたと聞いています。警察の「虎の尾」を踏んだということですね。

 この事件について、田上会長は法廷で「退職していても元警察官を襲撃すれば、警察は工藤会を一丸となってたたくと思います。そういうことがわかっていてするほど、私は愚かでもないし、バカでもありません」と話したことが報じられています。これは一定の説得力があると思いますが、結果として裁判所はスルーしています。

 また、警察庁が「福岡県警は『暴力団』を取り締まれない」と見限ったこともあると思います。福岡県内には5団体もの指定暴力団組織があります。東京都内は4団体、大阪は2団体ですから、どれだけ多いかわかります。福岡県警は、それらを放置するどころか、癒着していたのではないでしょうか?

 今回の裁判で審理された元警察官の銃撃事件も、当初はむしろ被害者と工藤會の「ただならぬ関係」が指摘されていたほどです。ただし、これはどこの警察にもあることです。2012年には、工藤會のほか別の福岡県内の組織からもカネを受け取っていた疑惑のある警察官が逮捕されていますし、2020年3月には、警視庁のマル暴警部補とヤクザの関係を「FRIDAY」(講談社)が報じています。

 また、今年の9月10日には、暴力団員に捜査情報を漏らしていたとして、神奈川県警察本部が警部補を懲戒免職の処分にしたことも明らかになっています。報道によると、この神奈川県警の元警部補は「暴力団関係者を協力者にしたかった」と話しており、地方公務員法違反の疑いで捜査されているようですが、このほか都内のクラブで総額数十万円の接待を受けており、贈賄の疑いもあるようです。情報を漏洩したヤクザとは「先輩の元警察官からの紹介で知り合った」と認めているそうで、明らかに組織的な問題です。この元警部補の名前はなぜか報道されていませんが、だいたいどの警察も同様と考えていいでしょう。

 また、背景にはアメリカ政府の圧力もありますね。一貫してマフィア撲滅に力を入れてきたアメリカ政府は、工藤會や山口組など日本のヤクザへの制裁も続けています。もっとも、アメリカの狙いはマフィアの潤沢な資金の没収ですが、これに対して日本は1992年の暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の施行以来、30年近くを経ても暴力団を壊滅させていません。アメリカからすれば、「どうなっているんだ?」ということでしょう。

 とはいえ、欧米もマフィアの対策は講じながら殲滅できてはいないのですが、日本はアメリカの要請に応えなくてはならず、工藤會のような「山口組より規模は小さくても存在感のある組織」をターゲットにしたのだと思います。

「永山基準」に照らしても死刑は厳しすぎる

――審理された4つの事件のうち、元漁協組合長の事件は以前に裁判が終わっていますが、改めての捜査となりました。

宮崎 はい。普段は何か事件があれば「また工藤會か!」というわりには、ずいぶん古い事件を出してきたと、弁護団も驚いたと聞いています。20年以上も前の事件ですし、この件で田上会長(逮捕の2002年当時は工藤會傘下・田中組若頭)は逮捕されたのに不起訴になっています。また、裁判で無期懲役を求刑された組員のうち、1人は無罪が確定しています。

 一審の有罪率が平均99%を超える日本で、しかも工藤會の関係者であっても不起訴や無罪とするしかなかった裁判をやり直すというのは、異例中の異例です。

 しかし、今回、裁判所は強引に死刑を導きました。もっと問題なのは、メディアは批判するどころか「画期的」「よくぞ工藤會をやっつけた」と大歓迎したことです。たとえば、西日本新聞は(不起訴となっていた田上会長を再び逮捕、起訴するという)「『禁じ手』も使った。異例の捜査を重ねた壊滅作戦が、トップの極刑判決を導いた」と評価しました。

 多くの人が「禁じ手」をよしとしているんです。法律の専門家からは、古い事件を審理したり、直接証拠がないのに死刑を言い渡したりすることについて、疑問の声も出ているようです。しかし、議論にならないのは、「暴力団をかばうのか」と叩かれたくないからでしょう。

――そんな古い事件まで引っぱり出したのは、なぜでしょうか?

宮崎 死亡した被害者がいないと、死刑を求刑できないからです。ただし、4つの事件で亡くなっているのは元漁協組合長だけですから、これは、いわゆる「永山基準」に照らしても、死刑という結論は厳しすぎますね。

 永山基準とは、1968年に4人を射殺した永山則夫元死刑囚(事件当時19歳、1997年に死刑執行)の裁判で最高裁が示した死刑の適用基準です。現在も死刑判決の基準とされていますが、これには具体的に「○人を殺せば死刑」とは書かれていません。動機や殺害の方法、被害者の数など9項目を総合的に考慮することが求められています。

 過去の事件では、亡くなった被害者が2人だと死刑の可能性が大きくなり、3人以上だとほぼ間違いなく死刑という傾向にあります。これらを見ても、やはり被害者が1人で死刑というのは、厳しい判決であるといわざるを得ません。

(構成=編集部)

※後編へ続く

●宮崎学(みやざき・まなぶ)
1945年京都生まれ。ヤクザの息子として生まれ、学生運動に身を投じた半生を綴った『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた五十年』(1996年)のほかヤクザや社会の課題をテーマに執筆を続ける。最新刊は『突破者の遺言』(ケイアンドケイプレス、2021年)

パチスロ大手「ユニバーサル」の主張を全面的に認める判決が確定

 1G純増約5.5枚、最大継続率90%のJAC・AT「ヴォイドドライブ」を装備する6号機『SLOTタブー・タトゥー』。そんな爽快感溢れるマシンの発売を目前に控えるユニバーサルエンターテインメントは先日、同社の元取締役会長である岡田和夫氏との裁判において、岡田氏の控訴棄却の判決が言い渡された旨を、公式HP上で公表した。

 同社は、2017年11月27日付けで岡田氏に、3件の不正行為を行ったとして損害賠償請求訴訟を提起。2020年2月13日、同社の請求が全面的に認められ、岡田氏に対して「2,129万3,712円及びこれに対する平成29年12月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払い(仮執行)」と「訴訟費用の負担」が言い渡された。

 この判決に岡田氏は不服として控訴したものの、東京裁判所より2020年9月16日、同社の主張を全面的に認めると共に、岡田氏の主張は客観的な事実に反するものであって採用することができない等として、岡田氏の控訴を棄却する判決が言い渡された。

 これについても不服とした岡田氏は最高裁判所に上告及び上告受理申し立てを行ったが、最高裁判所は2021年9月15日、同社の主張を全面的に認めて岡田氏の控訴を棄却。本件を上告審として受理しない決定を下した。これにより、同社の主張を全面的に認める内容の判決が確定した。

 3件の不正行為とは、岡田氏が2015年2月から3月にかけて、岡田氏及びその親族が持分を保有するOkada Holdings Limited(OHL)の第三者に対する貸付金債権の回収や、美術品の代金の支払いという個人的な用途に充てる資金を得るため、同社元取締役管理部長の下、同社子会社Tiger Resort Asia Limited(TRA)から、第三者と密接な関係にある外国法人に対して、無担保、無利息で1億3,500万香港ドル(当時の為替ルートで約20億円)の貸し付けを行わせた件。

 2015年5月11日、事故の個人的な利益を図る目的でTRAの経理担当者に指示をし、1,600万香港ドル(同約2億円)の小切手を作成させ、これに署名して振り出した件。

 TRAの完全子会社Unversal Entertainment Korea co.,ltd(UE韓国)が、韓国のカジノリゾートプロジェクトの土地購入に交渉していたところ、土地購入の事業主体をUE韓国からOHLの完全子会社Okada Holdings Korea co.,ltd(OHL韓国)に変更。その上で、OHL韓国が韓国の土地を購入するための頭金を捻出するため、UE韓国の預金を担保として提供させ、OHLに8.000万米国ドルを借り入れた。

 さらに、その利息及び手数料に相当する17万3562.23米国ドルを実態のない経営コンサルタント料等の名目でOHLからUE韓国に請求し、UE韓国からOHLに同額を支払わせた件だそうだ。

 なお、岡田氏が、特別調査委員会が本件不正行為を指摘する内容の調査報告書を作成して同社に提出した行為及び同社が匿名処理を施した調査報告書を開示した行為等について、名誉を棄損されたとして、同社らを被告として提起していた損害賠償請求訴訟に関しても、東京高等裁判所は9月15日、岡田氏の控訴を棄却する判決を言い渡した。

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 同社は、2017年11月27日付けで岡田氏に、3件の不正行為を行ったとして損害賠償請求訴訟を提起。2020年2月13日、同社の請求が全面的に認められ、岡田氏に対して「2,129万3,712円及びこれに対する平成29年12月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払い(仮執行)」と「訴訟費用の負担」が言い渡された。

 この判決に岡田氏は不服として控訴したものの、東京裁判所より2020年9月16日、同社の主張を全面的に認めると共に、岡田氏の主張は客観的な事実に反するものであって採用することができない等として、岡田氏の控訴を棄却する判決が言い渡された。

 これについても不服とした岡田氏は最高裁判所に上告及び上告受理申し立てを行ったが、最高裁判所は2021年9月15日、同社の主張を全面的に認めて岡田氏の控訴を棄却。本件を上告審として受理しない決定を下した。これにより、同社の主張を全面的に認める内容の判決が確定した。

 3件の不正行為とは、岡田氏が2015年2月から3月にかけて、岡田氏及びその親族が持分を保有するOkada Holdings Limited(OHL)の第三者に対する貸付金債権の回収や、美術品の代金の支払いという個人的な用途に充てる資金を得るため、同社元取締役管理部長の下、同社子会社Tiger Resort Asia Limited(TRA)から、第三者と密接な関係にある外国法人に対して、無担保、無利息で1億3,500万香港ドル(当時の為替ルートで約20億円)の貸し付けを行わせた件。

 2015年5月11日、事故の個人的な利益を図る目的でTRAの経理担当者に指示をし、1,600万香港ドル(同約2億円)の小切手を作成させ、これに署名して振り出した件。

 TRAの完全子会社Unversal Entertainment Korea co.,ltd(UE韓国)が、韓国のカジノリゾートプロジェクトの土地購入に交渉していたところ、土地購入の事業主体をUE韓国からOHLの完全子会社Okada Holdings Korea co.,ltd(OHL韓国)に変更。その上で、OHL韓国が韓国の土地を購入するための頭金を捻出するため、UE韓国の預金を担保として提供させ、OHLに8.000万米国ドルを借り入れた。

 さらに、その利息及び手数料に相当する17万3562.23米国ドルを実態のない経営コンサルタント料等の名目でOHLからUE韓国に請求し、UE韓国からOHLに同額を支払わせた件だそうだ。

 なお、岡田氏が、特別調査委員会が本件不正行為を指摘する内容の調査報告書を作成して同社に提出した行為及び同社が匿名処理を施した調査報告書を開示した行為等について、名誉を棄損されたとして、同社らを被告として提起していた損害賠償請求訴訟に関しても、東京高等裁判所は9月15日、岡田氏の控訴を棄却する判決を言い渡した。

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JRA タイトルホルダー横山武史「ソーヴァリアントの方が上」!?  2頭の背中を知る騎手だからこそ知り得る「力関係」とは

 20日、中山競馬場で行われたセントライト記念(G2)は、9番人気のアサマノイタズラ(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)が勝利。

 2着に2番人気のソーヴァリアント(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)、3着に5番人気のオーソクレース(牡3歳、美浦・久保田貴士厩舎)と比較的上位人気の馬が続いたが、3連単は30万円オーバーの波乱となった。

 結果的に波乱決着に一役買ってしまったのが、タイトルホルダー(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)だ。中山競馬場では弥生賞(G2)勝利、皐月賞(G1)2着をはじめ4戦して2勝2着1回4着1回。全て掲示板圏内と安定していることが評価され、単勝2.9倍の1番人気に支持された。

 レースでは好スタートを決めて、これまでのように先行策で2番手につける。しかし2コーナー付近で4番人気のルペルカーリアが位置を上げて3番手に位置が下がると、3コーナー付近で進出を開始した3番人気のグラティアスに蓋をされる格好に。

 有力馬に囲まれた状態で直線を迎えるが、前を走るルペルカーリアは伸びもバテもせず。また隣のグラティアスは内へ寄れたため、タイトルホルダーは八方塞がりの状況に。行き場を失ったタイトルホルダーはズルズルと後退し、ブービー13着に終わった。

 騎乗した横山武史騎手は「マークされる立場で厳しい展開になりました。直線も進路がなく、うまく導く事が出来なかったです」と肩を落としていた。仮に直線で進路を確保さえすれば、1番人気の支持に応えていたかもしれない。

 しかし、現場の記者からは意外な答えが返ってきた。

「あくまで内輪の中での話ですが、戦前に横山武騎手が『タイトルホルダーよりもソーヴァリアントの方が上』と話していたので余計に驚きました。

ソーヴァリアントに関しては前走が大野拓弥騎手の騎乗停止による代打騎乗。タイトルホルダーでセントライト記念と菊花賞(G1)のセットでの依頼を受けていたのでソーヴァリアントに乗る事は最初からなかったですが、本人もつい本心が出た感じで、本当はソーヴァリアントに乗りたかったと思いますよ。

両方の背中を知るだけに説得力がありますし、もしかしたらタイトルホルダーは、あそこで詰まらなくても、ソーヴァリアントやアサマノイタズラには敵わなかったかもしれません」(競馬記者)

 横山武騎手はソーヴァリアントの前走に騎乗し、見事勝利へ導いている。その際に「強かったですね。重賞でもチャンスがある馬です。これからが楽しみですね」と、コメントしている。この時には既に横山武騎手の頭の中で、「ソーヴァリアント>タイトルホルダー」と力関係が判明していたのだろうか。

 さらに、記者はタイトルホルダーの「1番人気の重圧」についても指摘している。

「弥生賞、皐月賞と伏兵の立場での好走で、今回のように人気になるのは新馬戦以来。(先行集団にいた)福永祐一騎手や松山弘平騎手も当然ながら前にいる人気馬に楽をさせませんし、菊花賞の出走権が懸かったトライアルですからね。

元々、菊花賞とのセットでの依頼なのでタイトルホルダーは次も横山武騎手ですが、一気の人気急落と今回の競馬を糧に本番は積極的に運ぶと思います」(同記者)

 今回は残念ながら、消化不良の競馬で人気を裏切る結果となってしまった。ただ、次走は全頭未知の距離である3000mだ。ソーヴァリアントら今回敗れた相手にも逆転できるチャンスはあるはずだ。98年に制した父に続くことができるか期待したい。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

パチスロライター「マエダ氏のザ・ノンフィクション」後編

 最後まで楽しく過ごしたい。今年5月に逝去したパチスロライター・マエダ氏の「終活」、その模様が9月12日と19日、フジテレビの「ザ・ノンフィクション」で放送された。

 マエダ氏は、ガイドワークス「パチスロ必勝ガイド」を中心に活躍した人気ライター。パチスロ設定師時代に培われた洞察力と豊富な知識、ゲスさを前面に押し出したキャラクターで業界内からの信頼も厚かった。

 前編では、2018年に癌を患い、2度の手術をするも全身に転移し、余命宣告を受けたマエダ氏が、「終活」の一環として同じくライターの元営業課長みそ汁氏らと大阪旅行へ出掛けた様子などが取り上げられた。

 東海道新幹線「こだま」で4時間かけて大阪入りしながらもパチスロや麻雀に興じる姿が映し出され、その中で、病気で友人が他界した過去を持つみそ汁氏は、「癌をいじってでも一緒にいたい」とマエダ氏を特別扱いせずに接し続けた。

 マエダ氏は東大卒のエリート官僚であった父と、年の離れた元ホステスの母との間に産まれた1人息子。父が起業して成功を収めたことで裕福な家庭で育ち、幼稚園から都内屈指の名門校へ進むも、父に連れられて覚えたパチスロにハマり、道を踏み外したという。父は既に他界している。

 後編では、そんなマエダ氏と母との日々が紹介された。癌が体を蝕み続ける中で、自分のことばかりだったマエダ氏は、母に気をかけるようになったとのこと。

「一番はお袋の本音を知りたくない」「知ったら、それに対してオレが気を遣う、また母が気を遣う」としながらも、緊急入院後のお祝いは母と二人、馴染みの店で外食するなど、家族水入らずの時間を満喫した。

 2021年1月、マエダ氏はみそ汁氏らと動画の生配信を行った。サービス精神旺盛なマエダ氏は苦しいそぶりを一切見せず、みそ汁氏は「マエダさんはマエダさんとして死のうとしてる」「心が強い」と感心。ただ、マエダ氏自身は自宅で「敗戦処理をしているんだと思うと悲しくなる」「本当にがっかり」と涙を流した。

「やろうと思ってやり始めた仕事じゃないけど…」。中断している、パチスロライターとしての仕事も心残りだった。仕事を続けるうちに「欲が出てきた」そうで、「あれもやりたい。これもやりたい」と悔しさを滲ませた。

 45歳の誕生日。大好きなプロレスを観戦するも、無情にも体調が悪化した。一人で歩くのもままならない状態で、ホスピスへ入院、その後、退院するなど「長く生きられない」事実を突き付けられたマエダ氏。

 そんなマエダ氏は母の誕生日に、「『ごめんなさい』『ありがとう』。どっちが多いかは分からないけど、残り少ない時間で、どっちも言えるだけ言うことが親孝行になるのだと思ってます」「でも、これを言うのは最後になるのかな。誕生日おめでとう」とTwitterに投稿した。

「ありがとう」。このツイートを最後に生涯を終えたマエダこと佐伯健次氏。実家には少年時代、笑顔の写真が1枚しかなかった佐伯氏の、微笑む近影が飾られている。母が撮った1枚だそうだ。 

姫路・特別支援学級担任が体罰で懲戒免職、県教委が実名公表、メディアの匿名報道に疑問の声も

 障害者へのいじめや差別行為を一部媒体のインタビューで誇らしげに語っていたとして、ミュージシャンの小山田圭吾氏が東京オリンピック・パラリンピックの開会式の楽曲担当を辞任したことは記憶に新しい。差別やいじめ、暴力行為の防止があらためて社会の課題として広く認識されるなか、再び凄惨なニュースが飛び込んできた。

 兵庫県教育委員会は21日、姫路市立城陽小学校の特別支援学級の担任をしていた籔田侑亮教諭(39)への懲戒免職処分を発表した。県教委などによると、薮田教諭はことし6月までの約3年間、自閉症や情緒障害のある6人の児童に対し、計34件の暴言や体罰を繰り返していたという。また薮田教諭の言動を把握しながら、同市教育委員会や県教委に報告せず、当人に対して口頭注意しかしなかった同校の校長を「被害を拡大させた」として減給の懲戒処分にしたという。

児童に「生きる価値なし」「死ぬしかないやろ」

 薮田教諭は児童に対し「生きる価値なし。早く転校しろ」「死ぬしかないやろ」などの暴言をはいたり、児童が泣きながら「もう学校やめる」と言うと「ほんまに絶対やめろよ」などと迫ったりしたという。またプールの授業中、児童の頭を押さえつけて無理やり水面につけるなどの体罰も日常的に行っていたという。

 NHK「関西NEWS WEB」が公開した記事『児童に暴言や体罰繰り返す 特別支援学級担任の教諭 懲戒免職』によると、薮田教諭の体罰に気がついた同僚職員が2018年度に2回、昨年度に2回、ことし4月に2回、同校の教頭らに報告したものの、いずれも本人に事実確認をして口頭注意をしただけで市教委などに情報を上げなかったのだという。

なぜかメディアで実名報道、匿名報道が分かれる

 メディア各社は一斉にこのニュースを伝えたが、懲戒免職となった薮田教諭を実名報道する社と匿名報道する社でくっきりと分かれた。前述のNHKや共同通信は実名を明かしたが、地元紙の神戸新聞NEXTは「城陽小の男性教諭(39)」、毎日放送(MBS)も「姫路市立城陽小学校の男性教諭(39)」と匿名で報じた。

 県教委は今回の処分に関し、どのように公表したのか。県教委教職員課の担当者は「実名で公表しました。被害者の人権を守るために隠す場合もありますが、基本的に停職以上の処分は実名公表しています」と話す。 

 児童・生徒への性加害や暴力行為など問題行動を起こして辞職した教員が、更生せずに再び他地域で教鞭を取って同様の問題を起こす事例も散見される。教員免許のあり方をめぐる議論では「教員が起こした問題行為の履歴を社会的に残すべきだ」との声も聞かれる。

 一方、処分教員の実名公表は、インターネット上での加害者バッシングが助長されることも懸念され、慎重さが求められることも事実だろう。だが、今回のように行政側が公に公表しているケースで、一部メディアが匿名報道することに意味があるのだろうか。地元メディア関係者は次のように語る。

「各社の紙面やニュースを見て、“あれ?”とは思いました。例えば、犯罪行為と認定され、刑事事件化していれば間違いなく実名報道になったでしょう。ただ、姫路市の件は悪質ではあるものの、事件化はしていません。

 また性被害が出ている案件では、被害者の特定を防ぎ、人権を守るために匿名報道にすることは多々あります。実名、匿名公表のガイドラインは各自治体によって微妙な差異があるので、行政が発表しないこともままあり、取材している側は誰だかわかっていても、行政の方針に沿って匿名で報道することもあります。そうした場合、『なぜ匿名にするのか』などと行政側に詰め寄ることになります。しかし今回の事案は県教委が発表している。つまり実名でいくか、匿名にするかは、それぞれのメディアの編集方針で決められたということです。

 性被害がないとはいえ、体罰を受けた児童が特定されてはいけないという意見が編集幹部から出たのかもしれません。また懲戒処分を受けた教諭が、処分を不当として県教委と事実関係を争う意向を示している可能性もあります。そうした場合、実名報道したメディアは訴えられるので、予防線を張ったのかもしれません。

 あくまで個人的な意見ですが、普段から『行政は隠匿するな』と主張している我々の立場を考えれば、筋が通らないと思います。『報道しない自由を行使するのか』と言われかねません。今回の件は実名報道するべきでしょう」

(文=編集部)

 

『ZIP!』水卜麻美アナと視聴率対決!“最強の局アナ”安住紳一郎の手腕&都市伝説とは

“最強の局アナ”が日本の朝にやってくる。TBSの安住紳一郎アナウンサーだ。夏目三久アナが司会を務める『あさチャン!』の終了に伴い、10月1日から、安住アナが総合司会を務める『THE TIME,』がスタートするのだ。

「同番組の制作には、『ぴったんこカン・カン』で長年タッグを組んでいる女性プロデューサーが合流するほか、安住アナと近しいスタッフも加わるということで、“チーム安住”の体制ができ上がりつつあります」(テレビ局関係者)

『THE TIME,』の放送は平日の朝5時20分から。戦う相手は『めざましテレビ』(フジテレビ系)、『ZIP!』(日本テレビ系)、『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)と、固定の視聴者がついている番組ばかりだ。

「特に水卜麻美アナの『ZIP!』との戦いが見ものです。いずれも好感度が高い局アナ同士ですからね。この時間帯のワイドショーでは、みのもんたの『朝ズバッ!』が終わってからは最下位だったTBSですが、ひょっとするとひょっとするかもしれません」(同)

 そんなTBSの変革期の先頭に立とうとしている安住アナは、どんな人物なのだろうか。

「好きな男性アナ」殿堂入りの“ミスターTBS”

『ぴったんこカン・カン』『新・情報7daysニュースキャスター』、TBSラジオの『安住紳一郎の日曜天国』とヒット番組を担当している安住アナだが、これまでの経歴を見ても、いかに“TBSの顔”であるかがわかる。

「安住アナは、1999年から『さんまのSUPERからくりTV』の人気コーナー『サラリーマン早調べクイズ』の進行役として登場しました。寒風吹きすさぶ中、泥酔したサラリーマンにからまれたり、介抱する姿が母性本能をくすぐると話題を呼び、一躍ブレイク。2006年から始まった『好きな男性アナウンサーランキング』では第1回から5連覇を果たし、殿堂入りしました。

 ほかにも、TBSの年の瀬を締めくくる『輝く!日本レコード大賞』では9年連続で司会を務め、10年続く音楽特番『音楽の日』では、共に司会を務める中居正広からの信頼も厚い。

 また、局アナでありながら、03年放送の日曜劇場『GOOD LUCK!!』では木村拓哉の同僚の副操縦士役を務め、『木更津キャッツアイ』や『渡る世間は鬼ばかり』といったドラマにも顔を出しています。この夏は東京オリンピック中継の総合司会に起用されるなど、まさにTBSの顔として活躍しています。情報、報道、バラエティ、さらにはドラマと、八面六臂の活躍を見せる局アナといえば、彼をおいてほかにいないでしょう」(同)

実は優秀な“立て直し屋”の顔も

 豊富な仕事歴からは“立て直し屋”の一面も透けて見える。たとえば、9月24日に18年半の歴史に幕を閉じる『ぴったんこカン・カン』だ。安住アナとゲストタレントの軽妙なトークが人気を呼んだ同番組は、もともと1975年から11年続いた『ぴったし カン・カン』のリメイク版だった。そして、当初は30分番組だったが、人気上昇に伴い、わずか半年で1時間に拡大する。

 また、ビートたけしと共演している『ニュースキャスター』も、17年半続いた福留功男司会の『ブロードキャスター』を引き継いで始まったものだ。

「『ブロードキャスター』は『お父さんのためのワイドショー講座』などがウケて視聴率は世帯20%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を稼いでいましたが、福留と共にメインを張ってきた三雲孝江が降板し、久保純子に代わったあたりから数字が下がり始めました。さらに、福留の高額な出演料もネックになっていたそうです。その後を受けて、あまり期待されずに始まった『ニュースキャスター』ですが、今も視聴率は世帯13~15%、個人7~8%を堅持しています。

 この番組での安住アナは、ほぼディレクターを兼務しているといっていい。『ここのコーナー、この部分を短くして、ここを拡大した方がいい』といった尺計算や、天気予報で何を言うか、スタジオでのちょっとした遊びなど、実はCM中などに臨機応変に細かく指示しています。もちろん台本も読み込み、かなりシミュレーションをしています」(同)

 安住アナの信条は「スタッフに気に入られるより、視聴者に受け入れられる」こと。そのため、スタッフと衝突することもあるという。視聴者におもねって耳あたりのいいコメントを言うだけでなく、時に嫌われても言わなければいけないことも言う。『THE TIME,』でも、そんな的確なプロデュース力とコメントが生かされるに違いない。

幻に終わった「フジテレビの安住アナ」

 もともとは高校の国語教師になりたかったという安住アナ。ただ、しゃべることが好きで、明治大学3年生のときに、地元の北海道に戻る前に東京生活最後の運試しにと、アナウンサーの試験を受ける。

 TBSのほか、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビも受けたという。ある日、一日がかりのTBSの試験を終えて帰宅すると、自宅の留守電にフジテレビの人事担当者から「何時でもいいから今日中に電話をください」というメッセージが吹き込まれていたというのだが……。

「あまりにも夜が遅かったので逆に失礼かと思い明朝一番で電話をすることにした。しかし、これが決定的なすれ違いとなった。翌朝連絡するも『昨日中ということで夜12時まで待ちましたが連絡がなかったので他の4人で決定しました』とのこと。状況を説明し再度お願いしてみたがダメだった」(『局アナ 安住紳一郎』小学館)

 安住アナTBSに入社したのは97年。同じ年、フジテレビには4人のアナウンサーが入っている。春日由実、桜井堅一朗、深澤里奈、宇田麻衣子だ。もしフジテレビに入っていたら、安住アナの運命はどうなっていたのだろうか?

安住アナの自宅にまつわる都市伝説とは?

 思えば、安住アナは実につかみどころのない、不思議なアナウンサーだ。どこか元気がなさそうで、かといって暗くなっているわけでもない。ナイーブそうに見えて、大物もうまくいなす。チャーミングに見えて、少し腹黒そう。挙動不審そうに見えて、大胆。人懐っこそうに見えて、少し距離がある。クールのように見えて、意外と涙もろい。「自宅には複数のテレビがあり、同時に各局の番組をチェックしている」というのは、もはや業界の都市伝説だ。

 安住アナが尊敬しているアナウンサーは、元TBSで現在はフリーの三雲アナだという。現在は『ニュースキャスター』で共演しているが、安住アナは98年から2005年まで、三雲アナが総合司会を務めた昼のワイドショー『ジャスト』の水曜~金曜のメインパーソナリティーだった。生放送こそアナウンサーの活躍しどころだと、安住アナはかなり力を入れていたが、突然の打ち切りにしばらくショックを受けていたという。

 それから16年後の今年、再びめぐってきた生放送の帯番組。果たして、安住アナは朝の勢力図を変えることができるのだろうか?

(文=編集部)