ホンダ、宇宙事業参入は、培った二輪車・自動車・航空機の高度技術の集大成だ

 9月30日、本田技研工業(ホンダ)が新領域への取り組みを発表した。「Honda eVTOL(電動垂直離着陸機)」や「Hondaアバターロボット(分身ロボ)」の開発、それに加えて「宇宙領域への挑戦」だ。そのなかでも、まったく新しい分野である宇宙への挑戦に注目したい。

 ホンダにとって宇宙ビジネスは、これまでの念願だったろう。同社は、人々の生活を豊かにするために、二輪車から四輪車へ、そして、陸上から空(航空機)へと移動に関する技術に磨きをかけた。ホンダは、その技術を使って宇宙への移動や、宇宙空間での活動を可能にする新技術を実現したいと考えてきた。

 創業以来の歴史を振り返ると、ホンダは常に人々のよりよい生き方を実現するための技術を生み出して付加価値を得てきた。今後、ホンダは、既存事業の効率性をさらに高めなければならない。その上で、宇宙関連事業などに経営資源が再配分され、研究開発の強化と加速が目指されるだろう。そのために、経営陣のリーダーシップの重要性が高まっている。

ホンダの成長を支えてきた新しい“夢”

 ホンダが成長を実現した根底には、新しい分野への“夢”がある。ホンダは創業から今日まで、エンジンを新しいものに搭載して人々のより快適な生き方を実現し、得られた経営資源を成長期待の高い分野に再配分して長期の存続を目指してきた。1948年に創業したホンダは、旧陸軍が使用していた発電用のエンジンを自転車に搭載することによって二輪車の製造を開始した。そのヒットによってホンダは自社のエンジン製造に取り組み始めた。自社製エンジンを用いてホンダは農業用の耕運機やオートバイの開発に取り組んだ。

 1963年にホンダは二輪車に加えて四輪車(自動車)の生産に進出した。1964年にはF1のレースにも参戦した。オートバイの生産にも共通することだが、ホンダは常に世界最高峰のレースに参戦することによって自社のエンジンの耐久性、燃費性能などに磨きをかけようとしてきた。より良い技術への情熱を燃やし続ける経営・組織風土は、世界的な省エネ技術の開発を支えた。1972年にホンダはCVCCエンジンの発表によって米国の排出ガス規制であったマスキー法を世界で初めてクリアした。

 このようなホンダの成長の根底には、技術開発に情熱を注ぎこんだ本田宗一郎と、財務と販売面を中心に事業運営体制を構築した藤沢武夫の存在があった。技術、経営管理という企業の事業運営に欠かせない両分野でのリーダーシップ発揮が組織全体でのアニマルスピリットの発揮を支え、ホンダは成長した。

 ホンダは二輪や自動車事業が獲得した資金を、航空機分野に再配分した。1986年に米国にてホンダは航空機に関する研究開発に着手した。2015年に引き渡しが開始されて以来、「ホンダジェット」は小型ジェット機分野でヒットを実現している。

 二輪車から四輪車、さらには小型ジェット機へと、ホンダは自社が磨いてきた技術を新しい分野に応用することによって成長してきた。いずれにも共通するのは、技術を磨き新しい生き方をかなえる製品を生み出すというアニマルスピリットだ。

ホンダにとって宇宙ビジネスは念願

 ホンダにとって宇宙関連ビジネスへの取り組みは、これまで抱えてきた念願の実現に近づいたといえる。宇宙は、多くの企業家を魅了している。つまり、宇宙には夢がある。宇宙飛行を行ったアマゾン創業者のジェフ・ベゾスは宇宙体験のすばらしさを人々に届けたい。それに加えて同氏は、宇宙開発を行うことによって通信やエネルギー関連のイノベーションをめざし、地球環境の持続性の向上を目指そうとしている。そうした考えから、多くの企業家が宇宙関連のビジネスに取り組んでいる。そうした夢をホンダも追いかけたい。

 夢の追求に加えて、現在の世界経済では、宇宙関連事業の重要性が急速に高まっている。例えば、世界経済のデジタル化の加速によって衛星打ち上げのためのロケット需要が急速に増えている。9月にはKDDIが米国のスペースXと宇宙通信(人工衛星などを用いて地球全体の通信をカバーする通信技術)分野で提携した。通信に加えて衛星を用いた測位技術の向上、自動車の自動運転技術などのために衛星の打ち上げニーズ、衛星の性能向上の重要性も高まっている。中長期的には、高速移動のための航空機やロケット技術の活用、さらには宇宙旅行という新しいレジャー分野の開拓も期待される。

 ロケットなどの開発にはホンダが磨いてきた。二輪車、自動車、航空機などに関する技術、ノウハウなどが必要だ。ロケット関連の技術を強化するためには、さらに軽量、かつ耐久性の高い素材の開発も必要になるだろう。また、ホンダは、月面における循環型の再生エネルギーシステムの構築にも取り組んでいる。宇宙空間での作業を可能にするロボットなどの開発も今後強化される。

 ホンダが新しい、成長期待の高い分野で競争力をつけるためには、IT先端企業やロケット開発に取り組む企業など、異業種との連携をさらに、かなりのスピード感をもって強化しなければならない。新しい分野での取り組み強化のためには、組織のトップが、組織を構成する人々の気持ちを一つにまとめ、集中力を高めることが不可欠だ。

重要性高まるリーダーシップ

 今後の展開を考える一つの要素として、ホンダ経営陣のリーダーシップに注目したい。現在、世界の自動車業界は100年に一度といわれるような変革期を迎えている。具体的には、脱炭素などを背景とする自動車の電動化に加えて、ネット空間と自動車の接続、自動運転、シェアリングなどに関する取り組みが、IT先端企業などの異業種を巻き込んで加速している。特に、EVシフトはエンジンの省エネ技術などを磨いてきたホンダにとって逆風だ。

 加速化する環境変化に自主性をもって対応するために、ホンダは国内自動車メーカーではなく、小型自動車に関する製造技術などを必要とする米GMとの提携を選択した。GMとの協働のさらなる強化や他の企業との提携などによって、自動車など既存分野でホンダは事業運営の効率性向上を目指すだろう。それによって、ホンダは安定して収益が得られる体制を構築し、得られた資源を宇宙など最先端分野により積極的に再配分しなければならない。

 それはホンダが念願の宇宙関連ビジネスを強化し、いち早い収益化を実現するために不可欠な要素だ。ある意味、ホンダの経営陣は過去の成功体験にとらわれず、夢の実現に取り組もうとしているように見える。突き詰めていえば、宇宙事業への取り組みによってホンダは経営風土を変革し、組織全体が常に成長期待の高い新しい分野での取り組み強化を目指す体制を整備しようとしている。それは企業の成長に不可欠な要素だ。

 ただし、ときとして経営風土の変革は、組織を構成する人々の心理に不安や動揺をもたらす。組織内部で先行きへの不安心理が強まると、新規事業の取り組みは停滞する可能性が高まる。

 そうした展開を避けるために、ホンダ経営陣のリーダーシップが欠かせない。それは、事業環境の変化を機敏にとらえて組織全体として取り組むべき分野を明確に示すことと言い換えられる。組織全体が向かうべき方向が定まれば、個々人が新しい理論を習得したり、新しい発想の実現にチャレンジしたりする心理は強まる。それが、ホンダの成長を支えるだろう。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

池波正太郎も苦闘した「仕事へのやる気を起こす方法」…そんなものはあるのか?

 「月曜日の朝、会社に行くのが辛い。仕事に対してやる気が出ない。そんなとき、瞬時に前向きになれる、やる気が出る方法はありますか?」

 今回は、読者から寄せられたこの質問について考えたい。

 やる気が出る方法……普通に考えほしい。そんなものはあるわけない。ただ案ずるな。誰しも休み明けの仕事は嫌だし、小学生ですら月曜日の朝の登校は嫌なものだ。あなただけが、ダメ人間というわけではない。休みが一切ないオレですら、好きな時間に寝て、好きな時間に起きるような暮らしができれば、どれだけ楽だろうか。そんなことを常々思っている。

 でも実際にそんな生活が実現した時、本当に満足するかといえば、それもまた違うだろう。すべてが思い通りにいき、嫌なことがなくなった時、人間は「自分は一体、何のために生きているのか……」といったさらなる悩みの極地へと落ちていくのではないか。

 近頃では、やる気を出す表現に「スイッチを入れる」といった言葉を使うことがある。だが、はっきりいって、そんなスイッチは誰の体内にもない。やる気、モチベーションとは、いわば自身でコントロールできる思考ではなく、自然に湧き出る感情だ。スイッチが入る、ドライブがかかる、などといった表現を用いることもあるわけだが、それだって、自分の意志でどうにかなるものでない。やった結果、スイッチが入ったり、ドライブがかかったりする時があるのだ。

 つまりは、まずはやらないといけない。仕事へのやる気があろうがなかろうが、仕事は仕事なのである。やる気が出ない日でも、コンディションが悪い日でも、生きていくためにやらなければならないのだ。そこは理屈ではない。

 ただそれを放棄したければ、それは自由だ。放棄すればよい。自分が困るだけだ。もし困らないのなら、なおさら放棄すればいい。自分の中に存在しないやる気スイッチなど探さずに、自分の素直な感情に向き合えばいい。その上で、やはり目の前のことをやらないといけないと思うのなら、とにかくまず手や頭を動かすのだ。仕事だったら仕事、勉強だったら勉強、家事だったら家事。やる気があろうがなかろうが、まずやっていくのである。そうすれば、どこかでノッてくる瞬間、スイッチが入る、ドライブがかかる瞬間があるのだ。そのことは、誰しも経験したことがあるのではないか。

 成功していると見られている人間は、誰しもが自身のコンディションやモチベーションなどとは関係なく、やらなければならないことをやりながら、自らやる気を引き出させていくのだ。

 あの池波正太郎も、朝起きた瞬間から、今日は書きたいと思う日は、365日の中で1日ほどだと言ってる通り、残り364日は辛い作業なのである。やる気が全く入らないのが当たり前の日常で、自らとにかく書き続け、結果として大作家になっていくのである。漠然といつ湧いてくるかわからないやる気に身を任せていたら、池波正太郎であってとしても歴史に名を刻むことはなかっただろう。

 あとはイメージだ。誰だって自分が成功している姿をイメージするのは楽しい。その姿をどれだけ鮮明に脳裏に描くことができるか。苦労や努力の先に、自分が望む未来があることを強く思えば、気が重くても、「まずはやろう」という気持ちになるものだ。

 やる気とは、自分自身の中から掘り起こしていくしかない。常時、誰かが「がんばって!」なんて励ましてくれないだろうし、仮に言ってくれたとしても、言われ続けることが当たり前になれば、そんなことではがんばれなくなるものである。

 最終的には、いかに自分自身をコントロールできるか。そこしかないのである。とにかく、がむしゃらにやることだ。やる気の有無に関係なくまずはやる。そうした習慣の中から、やらなければならないことと、うまく付き合っていく術を見つけていくことができるだろう。気負うことない。まずは動くのだ。

(文=沖田臥竜/作家)

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●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。最新小説『ムショぼけ』(小学館)を原作にした同名ドラマが現在放送中(ドラマ『ムショぼけ』朝日放送、テレビ神奈川)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

 

JRA秋華賞(G1)白毛の女王ソダシは「何故」馬群に沈んだのか。『みんなのKEIBA』で細江純子さんが目撃したアクシデントとは

 17日、阪神競馬場で行われた牝馬三冠の最終章・秋華賞(G1)は、4番人気のアカイトリノムスメ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)が勝利。父も母も三冠馬という「12冠ベビー」が母アパパネとの母娘制覇を成し遂げた。

 その一方、不可解な敗戦を喫したのが、単勝1.9倍という圧倒的な支持を集めながら10着に大敗した桜花賞馬ソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。

「ファンの皆さんの気持ちに応えられず、申し訳ない気持ちです」

 勝ちパターンのはずだった。16頭立て芝2000mのレースは、唯一の逃げ馬エイシンヒテンがあっさりとハナに立って集団を引っ張る展開。好スタートから2番手につけたソダシのレース運びは、強豪古馬を相手に快勝した前走・札幌記念(G2)とまったく同じだ。

 札幌記念では逃げたトーラスジェミニを早々に交わして、4角先頭から押し切ったソダシ。この日は、エイシンヒテンがやや後続を離して逃げたこともあって、3コーナーまで泳がせたが、いざ捕まえに行くとなかなか逃げ馬を交わしきれない。「いつもの感じではなかった」という吉田隼人騎手の言葉通り、エイシンヒテンの粘り腰も強烈だったが、それ以上にソダシの手応えがこれまでとは明らかに違った。

 結局、最後の直線ではエイシンヒテンに競り負けるどころか、早々に馬群に飲み込まれる信じ難い光景が……。

 1コーナーの不利に加え、距離の壁に泣いた春のオークス(G1)のような明確な原因が見出せない敗戦は「明確な敗因が分からねえし、他の有力馬が普通に力を出しての決着やからね。ソダシだけが走らんかった」(公式Twitter)という元JRA騎手の安藤勝己さんを始め、多くの識者やファンが首を傾げたくなるような結果だったようだ。

「ソダシ陣営にとっては残念なレースになりました。須貝調教師曰く、幸い脚元に不安はない様子。『厩舎に帰ったら、歯がグラグラして血が出ていた。ゲートでぶつけたのだと思います』と話していた通り、レース直前に何かしらのアクシデントがあったようですね。

ただ自分の知る限りでは、歯が折れたことがレースの敗因になったケースは前代未聞です。馬は鼻呼吸なので、仮に口の中で多少出血しても呼吸が苦しくなることはまず考えにくい。もちろん、痛いのは痛いと思いますが……。明確なことは言えませんが、あれが本来のソダシでなかったことだけは確かだと思います」(競馬記者)

 また、須貝調教師が明かしたアクシデントの他にも、レース直前に気になるシーンがあったという。

 この日のレース中継を行っていたのは、競馬ファンにもお馴染みの『みんなのKEIBA』(フジテレビ系)だったが、レース直前の輪乗りの際、元JRA騎手の細江純子さんから「ソダシだけ、係員に引いてきてもらう形になった」というレポートがあった。

 細江さんも詳しい事情までは把握できていなかったようだが、どうやら待機所があるポケット地点からゲート裏へ移動する際に、ソダシに何らかのアクシデントがあったようだ。その結果、通常なら騎手が促して移動するところを、ソダシだけが係員に引かれて移動してきたという。

「このことについては、レース後に吉田隼騎手も『レース前からポケットを出たがらなかったり、ゲートに入らなかったり。競馬が嫌という素振りを見せていた』と話していました。須貝調教師は歯が折れた可能性として『ゲートでぶつけたのだと思う』と話していましたが、もしかしたらもっと早い段階で負傷していたのかもしれません」(別の記者)

 気になる今後については「馬を確認して、分析して、無事なら次のことを考えてということになる」と明言を避けた須貝調教師。果たして、白毛の女王はさらに中距離へこだわりを見せていくのか、それとも桜花賞(G1)を制したマイル路線を進むのか。陣営のジャッジが注目される。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

IoT家電データが“イエナカ”を可視化!スマートライフ時代の生活者インサイト

あらゆる“モノ”がインターネットにつながる「IoT」(Internet of Things)が、私たちの生活に浸透しつつあります。

中でも存在感を高めているのが、生活者に便利で快適な生活=スマートライフをもたらす「IoT家電」です。本連載では「IoT家電データ」を用いることで、企業が生活者にどんな体験を提供できるのかご紹介していきます。

第1回では、シャープからSmart Appliances & Solutions事業本部の中田尋経氏、同社グループのAIoTクラウドからデータビジネス開発部の稲本憲氏をお招きし、電通データ・テクノロジーセンターの塩田悠人が語り合います。

AIoT家電データ座談会
<目次>
AIoT家電はユーザーの暮らしを学んで進化する“生活パートナー”
企業が「生活者のリアルな暮らし」をイメージできる粒度の分析が可能に
“イエナカ”のデータ分析で商品・サービスの“潜在的ニーズ”が浮き彫りに!
データ利活用の「考査」がIoT家電の信頼性を高める

AIoT家電はユーザーの暮らしを学んで進化する“生活パートナー”

塩田:今日は、IoT家電が企業や生活者にどんな変化をもたらすのかについて、domus optimaの紹介を交えながらお二人と語り合えたらと思います。

“イエナカ”を変える「domus optima(ドムス・オプティマ)」

IoT家電データを活用した統合マーケティングにより、生活者に家の中・家の外での豊かな生活体験を提供する、電通のソリューション。

第一弾として、「AIoT家電データ」(※)の利活用を推進するシャープと連携し、全国約40万台のIoT家電データから導き出したインサイトをもとに、広告配信や効果検証を行なっている。
https://www.dentsu.co.jp/news/sp/release/2021/0607-010387.html

※ AIoT
AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、家電製品を人に寄り添う存在に変えていくビジョン。シャープの登録商標。

総務省の調査によると、2022年には、世界のスマート家電やIoT化された電子機器の台数が2015年の3.9倍まで増加すると予測されています。

世界のスマート家電やIoT化された電子機器の台数推移(2020年以降は予測値)。
世界のスマート家電やIoT化された電子機器の台数推移(2020年以降は予測値)。
総務省 令和2年版「情報通信白書」IoTデバイスの急速な普及 を参考に作図

塩田:私たちは近い将来、IoT家電が日本にも広く浸透することを見据えてdomus optimaを開発しましたが、クライアントからは「IoT家電って何ができるの?」「本当に普及するの?」といった質問を頂くことも少なくありません。

そこでまずシャープでAIoT事業を推進されている中田さんに伺います。AIoT家電の特徴や、現在の普及状況についてお話しいただけますか。

中田:私たちの「AIoT家電」は“人に寄り添うIoT”を掲げ、ただの便利な道具ではなく、お客さまの生活に寄り添うパートナーになることを目指しています。AIoT家電の大きな特徴は、「お客さまに最適化し、機能・サービスも進化し続ける」点です。

従来の家電は購入時が「一番いい状態」でした。基本的に機能は進化せず、時間がたつごとにモノは劣化していきます。新製品に買い換えれば新しい機能が得られるかもしれませんが、設定はイチからやり直さなければなりません。

一方、AIoT家電は、購入してから時間がたつほどに「一番いい状態」になっていきます。お客さまの家族構成や日々の使い方を学習して、データをクラウド上の「AIoTプラットフォーム」に蓄積し、常にお客様の暮らしに最適化し、機能やサービスも進化し続けるのです。

そしてもし買い換えることになっても、これまでの学習履歴が引き継がれるので、次の製品を買ったその日から「今まで通り我が家に最適化された家電」を利用できます。

従来の家電
AIoT家電
 
塩田:使えば使うほど、便利に快適になっていく。新品に買い換えても、その快適さは引き継がれる。一度AIoT家電の魅力を知ってしまうと、もう従来の家電には戻れないかもしれませんね。

中田:また、そうした AIoT家電の学習機能を活用するために、「COCORO AIR」「COCORO KITCHEN」といった各種サービスを提供しています。これらのサービスを利用するかどうかは、もちろんお客さまが決めることができます。

「COCORO+」
その他サービスはこちら:「COCORO+」https://cocoroplus.jp.sharp/

中田:もう一点、重要なポイントが、私たちの「AIoTプラットフォーム」はシャープ製品だけに閉じたものではなく、オープンなプラットフォームだということです。他社の製品やサービスにも接続できるので、お客さまの暮らしに合わせて柔軟に「スマートホーム化」を進めることができるのです。

塩田:実際、市場的にはAIoT家電のニーズは高まってきているのでしょうか?

中田:シャープでは、家電におけるAIoTの割合は右肩上がりで増えています。すでに11カテゴリー580機種以上が、全国のご家庭でAIoT家電として稼働しています。

データ分析を通じてお客さまの声をタイムリーに反映したサービスを提供できるので、今後データが集まるほど、AIoT家電の価値は加速度的に高まっていくと考えています。

もちろんデータはあくまでもお客さまからお預かりしているもの。利用規約の範囲の中で、お客さまの暮らしに新たな価値を還元し続けることがメーカーの責務です。

ユーザープライバシーを守りつつ、生活の利便性を高める、この両立がデータマーケティング時代の大きなテーマ。シャープのAIoT家電も、ユーザーの理解を得た上で、限定的なデータ取得の同意を得る仕組みを構築している。
ユーザープライバシーを守りつつ、生活の利便性を高める、この両立がデータマーケティング時代の大きなテーマ。シャープのAIoT家電も、ユーザーの理解を得た上で、限定的なデータ取得の同意を得る仕組みを構築している。

企業が「生活者のリアルな暮らし」をイメージできる粒度の分析が可能に

塩田:ユーザーの暮らしをより便利で快適にするために、さまざまなデータを活用しているのですね。そのデータの展開先の一つであるdomus optimaは、現在はまだβ版ですが、シャープのAIoT家電データを分析することで生活者の“潜在的な需要”を推定し、ユーザーに有益な情報を最適なタイミングでお届けするマーケティングソリューションを提供しています。

その基盤となるAIoTプラットフォームを開発・運営するのがAIoTクラウドです。AIoTクラウドと電通の取り組みは、長いお付き合いだと伺っています。稲本さん、電通との協働を開始した当時の経緯を教えていただけますか?

稲本:もともと当社では、「テレビ機器から収集できる視聴データ等を活用したポータルサイト」の企画運営をしていました。そこで蓄積された膨大な視聴データを有効活用するために、テレビ視聴データの分析や利活用に強い電通に相談し、2012年からマーケティングソリューションへのテレビ視聴データ活用をスタートさせたのが始まりでしたね。

その後、シャープでは「白物家電のAIoT化」が進み、これまでにない“イエナカ”のデータが集まってきました。これらのデータをテレビのデータと同様にマーケティングに活用したいということで、電通とのディスカッションを経て、今回のリリースに至りました。

塩田:非常に長いお付き合いをありがとうございます。おかげさまでdomus optimaはリリース直後から、業種を問わずたくさんのお問い合わせを頂いています。コロナ禍でユーザーとコミュニケーションを取る機会が減り、“イエナカ”での接点を模索されている企業が多く、このタイミングでのリリースが注目を集めたのだと思います。

稲本:当社にもマスメディアや、同業他社メーカーからのお問い合わせがありました。反響の大きさから、“イエナカ”への関心の高さを実感しています。

塩田:続いて、domus optimaにご提供いただいているAIoT家電データについて、具体的にどんなデータなのかを解説いただけますか?

稲本:現在はエアコン、空気清浄機、オーブンレンジ、自動調理鍋、洗濯乾燥機の5機種、約45万台のデータを提供しています。

各機器の電源のオンオフ状況はもちろん、エアコンであれば「室外の温度」や「室内の温度・湿度」「運転モード」などを15分に1回取得しています。空気清浄機は「室内の温度・湿度」に加えて「匂い」「埃の汚れ度」「PM2.5」などの情報も含みます。

調理家電はいつ何を調理したのかという「調理履歴」、洗濯乾燥機は「洗濯コース名」「すすぎ、脱水、乾燥のプロセス詳細」を日時とひもづけて提供しています。

塩田:家電の利用状況だけでなく、室内外の温度などの周辺データもご提供いただけるおかげで、生活者の「リアルな暮らし」をイメージできる、粒度の高い分析が可能になっています。

各AIoT家電から取得したデータは、「時間帯」とひもづけて提供されることで、「実際の製品の利用のされ方」が分析可能となっている。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。

各AIoT家電から取得したデータは、「時間帯」とひもづけて提供されることで、「実際の製品の利用のされ方」が分析可能となっている。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。
各AIoT家電から取得したデータは、「時間帯」とひもづけて提供されることで、「実際の製品の利用のされ方」が分析可能となっている。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。

“イエナカ”のデータ分析で商品・サービスの“潜在的ニーズ”が浮き彫りに!

塩田:ここで私から、AIoT家電のデータをもとに、domus optimaでどのような分析を行っているのかを少し紹介させてください。以下の図は、5機種の使用時間の分布をグラフ化したものです。

5つのAIoT家電がどの時間によく使われているかを比較したデータ。もちろん特定ユーザーのデータではなく、全国から集まったデータを統計化した上で分析している。
5つのAIoT家電がどの時間によく使われているかを比較したデータ。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。

塩田:例えば、朝何時ごろに起床し、何時に朝食を取り、午前中に洗濯機をかけて、お昼ご飯はレンジでチン。夕方から自動調理鍋で夕食の準備を行い、それを追う形でオーブンレンジが稼働し、20時前に夕飯。0時ごろにエアコン使用量が下がるので就寝。

と、家電の状況からどのような生活リズムを送っているのかをひもとけます。

これらのデータは、広告配信への活用も可能です。大手食品メーカーと行った実証実験では、「オーブンレンジを週1回以上利用しているユーザー群」に絞って、温めるだけで本格料理が作れる商品を訴求したところ、CTRが35%向上しました。

広告配信事例と結果

塩田:また、機種ごとの比較分析により、「ファミリー向けオーブンレンジを利用しているユーザー群」のクリック率が高いことが分かり、「その商材はファミリー訴求が有用」という推定ができました。

機種別分析結果

塩田:さらに、使用目的別分析では、「“冷凍食品の解凍”機能を利用するユーザー群」よりも「“パンやピザのあたため”機能を利用するユーザー群」のクリック率が高いため、比較的料理意識の高いユーザーに、この商品のニーズがあるのではないかと推察できます。

使用目的別分析結果塩田:このように家電データを活用することで、これまで見えてこなかった生活シーンや消費行動に基づいた分析ができます。

現在、対象の家電数は45万台ですが、顧客インサイトを知るための分析基盤としては、十分な台数です。domus optima分析で得られた知見をさまざまなマーケティング施策へと活用することで、現状でもクライアントのマーケティング課題を解決できると考えています。

稲本:ここで改めて“イエナカ”のデータで重要なポイントだと感じるのが、「利用許諾のプロセス」ですね。あくまでも個人を特定できないデータを分析しているとはいえ、一つ一つのデータ自体はお客さまのものであり、これらの取り組みは、お客さまのご理解とご協力なくして成り立ちません。

塩田:ユーザーから同意を得るために、心がけていることはありますか?

稲本:収集するデータ内容と収集する目的、どのような企業に第三者提供するのかを、いかに分かりやすくお伝えするかという点を心がけていますし、実際に常に改善を重ねています。あくまでも製品の利便性を上げることでお客さまにより良い生活を提供することが目的なので、お客さまの意図しない形でデータが勝手に活用されることは、絶対にあってはならない。

そのためには、個人情報保護法なども社会状況に応じて都度改正されますが、常に動向をウォッチしながら、国のガイドラインにのっとった形で対応できるように取り組んでいます。

塩田:ユーザーから許諾を頂く際に、データの利用範囲や内容について、よりわかりやすくお伝えすることが不可欠ですよね。その上で、ユーザーに「許諾することのメリット」を感じ続けていただけるように、コミュニケーションも含めたサービス設計を心がける必要があると、われわれも考えています。

データ利活用の「考査」がIoT家電の信頼性を高める

塩田:今後、IoTはますます普及していくことが予想されます。お二人はAIoT家電で、この先どのような未来を作っていきたいですか?

中田:新しい価値を生み出すためには一定の普及率が必要で、具体的な数字で言えば、「クラウドへの接続率」が日本全体の3割を超えると、一気に世界が変わると考えています。家電の位置づけが急激に変わり、お客さまにとって本当になくてはならないもの、お客さまに寄り添うパートナーになれると期待しています。

そのために重要なのは、他社との協力関係です。データをただたくさん集めるだけなら1企業でもできますが、その価値を大きく広げていこうとすると、1社でできることはものすごく限られた、狭い世界になってしまう。だからこそAIoTプラットフォームを、競合や業種といった枠組みを超えて、さまざまな企業と一緒に連携していけるオープンなものにしていきたいのです。

稲本:お客さまにより良いサービスを提供する、お客さまの生活を豊かにすることを追求していきたいですね。これまでテレビから始まって、今回のような白物家電まで、さまざまなデータが蓄積されてきました。日々そうしたデータに接する中で思うのは、これらは生活者の“生活そのもの”を表したデータだなということです。そのさまざまなデータを組み合わせることで、今までできなかった生活者理解がさらにできるようになっていくはずです。データの活用の範囲についても、デジタルマーケティングだけでなく、さまざまな可能性があります。

AIoTクラウドには、ビッグデータを蓄積し、クラウド間連携をしたり、サービスに活用したりといったさまざまなノウハウがあり、新たなシステムづくりも進めています。今後はそうしたシステムにより、多くの企業と連携していきたいですね。

塩田:ありがとうございます。私からはdomus optimaとIoT家電データの今後について、3つ述べさせてください。

1つ目は、データの掛け合わせによる価値の創造です。企業のマーケティング課題を解決するにあたり、家電データだけではもちろん完璧ではありません。“イエソト”の購買データやその他さまざまなデータと掛け合わせることで、より大きな価値を生むことができます。

「データの掛け合わせ」をする上では、法令やビジネス、セキュリティなど大事なことはたくさんありますが、「ユーザーが不快な思いをする手法になっていないか?」「利用許諾をした後も、ユーザーが許諾を取り消すことができるか?」「データの利用のされ方が事前に提示できているか?」などの顧客体験も重要な視点だと考えています。

広告表現の世界では、顧客体験を考えるうえで、「考査」というものがあります。モノが売れる・売れないよりも一歩手前で、「そもそもユーザーが情報を受け取って不快に感じないか、メリットを感じていただけるか」を事前に確認します。ユーザーを第一に考えたデータ利活用においても、この考査を参考にプランニングしていく必要を感じています。

2つ目は、生活基盤“イエナカ”からさまざまな生活をより豊かにしていくということです。近年、自宅でも職場・学校でもない「サードプレイス」に注目が集まっていますが、やはりどこまで行っても生活の基盤は、安心が担保された自宅である「ファーストプレイス」、つまり“イエナカ” にあります。コロナ禍の時代だからこそ、「イエナカを起点に、ユーザーの生活全体をより豊かにする」ということに、domus optimaを通して取り組んでいきたいです。

3つ目は、「思いやりの可視化」です。さまざまな分析をしていて感じることは、家電データはただの利用ログではなく、「誰かが誰かのために行動した足跡」だということです。家電データにはある種“家族の思いやり”が反映されている部分があるのかなと。domus optimaを通じて、そういうなかなか可視化されない「思いやり」にフォーカスを当てていけたらと思っています。

稲本:domus optimaでは、電通のデータテクノロジーと経験で、デジタルマーケティングにとどまらない新しい世界を切り開いていただいていますね。今後も連携を深めて、お客さまにとってより良い世界を作っていきましょう。

中田:domus optimaで、さまざまな企業がたくさんのデータを活用して、日本に新しい価値を生み出していく、ひいては世界にも広げていく、そういう起爆剤になると期待しています。AIoTプラットフォームをオープンなものだと言いましたが、いろいろな企業と新しい価値をつくっていくためには、多くの企業との関係をうまく回していく経験を持った電通の力も頼りにしています。

塩田:ありがとうございました。この記事を読んでdomus optimaの活用に興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

また、最後に宣伝です。今回ご紹介した「domus optima」について、CEATEC 2021 ONLINEに電通として登壇することが決定しました!

CEATECとは、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が主催する、アジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会です。

家電メーカーや自動車メーカーの技術者が参加者の多くを占める中、今回、マーケティング領域や広告業界の企業として参加しますので、ぜひご覧ください。


【DX】家電データの可能性~AIoTクラウド(シャープグループ)・電通/三菱電機の新たなる挑戦~ | CEATEC 2021 ONLINE

https://www.ceatec.com/ja/conference/single.html?contentId=3059
 
※個別聴講予約不要。入場登録でそのまま聴講可能です。
※アクセスの集中を避けるため、事前の入場登録をおすすめいたします。

▼△CEATEC 2021 ONLINE 入場登録はこちら▼△

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いま、「人事」にとって必要なこととは?

経営戦略としての「人事」

ご自身のキャリアをベースに、企業のあるべき姿、形を提言しつづける八木洋介氏。八木氏が説くテーマを、一言で表すなら「人事改革」だ。人事改革なくして、企業の持続的成長などあり得ない。「人材こそが、わが社の宝である」と多くの企業は言う。しかしながら、その宝を「持ち腐れ」させてはいないだろうか?記事化にあたっては、八木氏ウェビナー(※)を聴講し、独自のインタビューも試みた。

老いも、若きも、男も、女も、他国の人々も。さまざまな個性が、ひとつの企業に集う。そのことの意味、そのことの楽しさ、そこから生み出される未来というものを、八木氏が顧問を務めるサイコム・ブレインズの取り組みからひもといてみたい。私たち一人ひとりは、ただ単に企業という「箱」に押し込められた「道具」ではないという思いを込めて。

文責:ウェブ電通報編集部

(※)サイコム・ブレインズによる「八木洋介氏と考える、これからの会社をリードする人事に必要な学び~ポスト・パンデミックの世界で勝つ~」と題されたウェビナー。詳細は、こちら


タイトル1

前回の取材を踏まえて、八木氏にこんな質問をしてみた。「日本企業には、さまざまな問題点があると思うのですが、これまでのいわゆる『みんなで、頑張っていこうよ』といった『なあなあ体質』といったもののルーツは、どこにあるとお考えですか?例えば、島国であるとか、農耕民族であるとか」

八木氏からの回答は、シンプルだ。「一言で言ってしまえば、戦後レジュームの呪縛、でしょうね。そこから抜け出さないかぎり、なにも変わらないと思います。島国ということでいうなら、イギリスだって、ニュージーランドだって、島国です。農耕民族だから、狩猟民族と比べて、なあなあな体質になる?そんなわけないでしょう?世界中のほとんどの国で、農業は営まれています。農耕民族だからという理由で、戦略的人事改革ができないということにはなりません」

八木洋介氏: people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長) サイコム・ブレインズ顧問 1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
八木洋介氏:
people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長)
サイコム・ブレインズ顧問
1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。

タイトル2
前回からの引用になるが、八木氏によれば、年功序列・終身雇用・企業内組合の、いわゆる「三種の神器」への依存体質こそが、諸悪の根源なのだという。「これらはいずれも、戦後の日本経済、日本企業を立て直す上で、一部の大企業では有効に働いていた。なぜか?理由は簡単です。1ドル360円の時代ですよ。それだけ、日本人の労働力は、国際的に見て軽んじられていたんです」

能力が低いわけでは、決してない。むしろ、高いといっていい。それだけの優秀な労働力を企業として確保していくためには、どうするか?例えば年功序列、例えば終身雇用。それを保障するかわりに、安い賃金で働いてください、ということだ。「そうしたメソッドが、成功体験として日本の企業にはいまだに刷り込まれている。この、1ドル100円の時代に、ですよ。能力を持った人間が、ひとつの企業に一生縛られる必要など、まったくないんです。自分を高く買ってくれる企業であれば、大リーグだろうが、スペインのクラブチームだろうが、どんどん出て行って活躍できるわけですから」

タイトル3

そうなると、あるべき「成果評価」とはなにか?ということが、当然、気になってくる。「簡単なことです。会社の目的と個人の目的を一致させること。その上で、会社が目的を達成するために貢献した人材、将来、貢献してくれるであろう人材に、光をあてるということだと思います」

地道な努力が日の目をみる、という表現がよく使われるが、そこには「たまたま運がよくて、なんだか社内でチヤホヤされる存在になった」といったニュアンスも同時に含んでいる。

「そうではないんです。会社と違う目的に向かってスタンドプレーをされても、意味はないですよね?それを必要としている会社で活躍してください、というだけの話。で、ここでひとつ、問題があるんです」

分かった。その目的をきちんと提示している会社が、驚くほど少ないということだ。「まずは、会社としてのビジョンをきちんと示すことが必要。社員とのエンゲージメントというものは、そこで初めて生まれるんです」。

八木氏によれば、社員の自立を妨げているものの一つが「キャリアを自分では決められない」ということなのだという。研修などでキャリア自立を促したとしても、社員が「これをやりたい」と言った時、それをまともに受け止める仕組みをほとんどの会社が持っていない。社員と組織が互いに選び選ばれる緊張感のあるキャリア形成とは何なのか?

「社員の自立と、会社がそれを上手く活用する仕掛けを持つことはセットなんです。組織がめざすもの(Purpose、ビジョンやバリュー)を明確にして、それに社員が共感する時に、『自分が頑張ることが組織にとってもプラスになる』という状態、つまりエンゲージメントが生まれます。キャリア形成や異動を通じてエンゲージメントを高め、業績を上げることが重要です」

コロナ禍のリモートワークで、優秀な社員の自立が促進した。今こそ、自立した社員を活用して、企業としての業績をあげるべきタイミングなのではないか。環境変化の時こそ、人事としてあるべき姿を考え、実践するチャンスなのだから。そう、八木氏は指摘する。そうしたメッセージを、真摯に受け止めたい。

サイコム・ブレインズによる講座は、こちら。

CCBP育成講座
~個のキャリアを支援し組織を強くする変革リーダーを育成する~

次世代戦略人事リーダー育成講座

■講師コメント(酒井章氏)

新型コロナによって起こったことは「キャリア・ショック」と呼ばれています。働き方をめぐるさまざまな環境変化に加え、在宅を余儀なくされたことで、多くの人がこれまでの、そしてこれからの人生や働き方を深く考えたのではないでしょうか。誰もが自分のキャリアに不安を持ついま、キャリア支援を行う人の役割がますます重要性を増しています。本講座は、このようなニーズに対応し、他の講座には見られないような多彩な講師陣からの豊富で多角的なインプットに加え、職種も世代も多様な参加者との刺激的な切磋琢磨(せっさたくま)によって、これからのキャリア支援職に必要とされるマインドとスキルをアップデートすることができます。

■講師コメント(山口周氏)

これまでの「正解」も「定石」も通用しなくなったいま、人に求められる要件も劇的に変化しました。それは、問題を自ら発見できる「意味」のある人です。一方、仕事に対するやりがいでは世界でも最低ランクに位置づけるなど、日本人の働き方は異常な状態に陥っています。そして、新型コロナという未曽有の事態の到来によって、潜在的に起こっていたこのような問題があらわになりました。いまこそ、企業における最大の資源である人財を生かすキャリア支援職の皆さんの出番ではないでしょうか。こうした問題意識に基づいて立ち上げられた本講座の理念に賛同し、講師として参加させていただきます。これからの働き方やキャリアをより良くする志を持った皆さんとディスカッションさせていただくのを楽しみにしております。


本記事の作成にあたっては、八木洋介氏に筆を入れていただくとともに、電通OB酒井章氏(クリエイティブ・ジャーニー 代表/電通アルムナイ・ネットワークマネージャー)に監修を依頼しました。

酒井章氏が代表を務めるクリエイティブ・ジャーニーのHPは、こちら

酒井章氏:
電通に入社後、コピーライター、営業(自動車担当)、マーケティングプロモーション部門を経て2004年よりシンガポール(アジア統括オフィス)に駐在。11年帰任後はグローバル部門を経て人事局、キャリア・デザイン局でキャリア開発施策を担当。19年3月定年退職後、4月に起業。

酒井章氏と電通キャリア・デザイン局(当時)大門氏によるアルムナビでの対談記事は、こちら

丸亀製麺、海外進出が成功できた理由…10カ国200店超、日本とはまるで別の店

 うどんが食べたいわけではなかったが、丸亀製麺が発売している弁当とはどのようなものか、試してみたくなり購入してみた。実際、食された方も多いだろうが、たとえば、もっとも安い390円の「2種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当」では、うどんの上に竹輪と野菜の天ぷらに加え、玉子焼きときんぴらごぼうが載っている。これに冷たい出汁をかけて食べる、いわゆる「ぶっかけうどん」というスタイルである。ボリューム、味ともに申し分なく、今年4月に発売後、1200万食を超える大ヒットとなっている状況も頷ける。

 ちなみに、温かいうどんを好む筆者は、これまで「ぶっかけうどん」を食する機会はなかったが、今後は店内飲食の際もオーダーしてもよいと思っている。このように、うどん弁当は単なるコロナ禍に対する緊急対策という次元を超え、新たなニーズの掘り起こし、価値の提供に見事に成功しているように思われる。

丸亀製麺の海外進出

 街のいたるところで見かけるようになった丸亀製麺の店舗数を改めて調べると、9月末時点で国内844店にまで成長している(トリドールホールディングス月次売上高レポート)。さらに驚くのは、海外10の国と地域に進出し、226店舗を展開していることである。ちなみに進出先は、イギリス、アメリカ、フィリピン、カンボジア、ベトナム、台湾、インドネシア、ロシア、中国、香港となっている。

 筆者が初めて海外で丸亀製麺を目にしたのはハワイだった。ずいぶん昔のことではあるが、メインの通りを歩いていた際、見覚えのある看板が目に入ったことを今でもよく覚えている。メニューを見ると、日本とあまり変わらない内容であったと記憶している。

 しかし、その後、上海のフードコートにある店を通りかかった際は大変驚いた。いかにも辛そうな赤い色をした(もはや出汁とは呼べない)スープのうどんなど、日本の丸亀製麺とはまったく別の店という印象だった。

 また、フィリピンの店の前を通り過ぎようとした際、準備していたスタッフと少し話したこともあった。アルバイトではなく、店長に準じる責任ある立場である彼はインドネシア人で、「店の立ち上げに伴い、赴任してきた」とのこと。日本の丸亀製麺がフィリピンに出店し、インドネシア人が働いている――、グローバルな社会とはこういうことかと大変驚いた記憶が残っている。ちなみに、メニューは上海同様、日本とは大きく異なっていた。また、店はBGCというマニラ近郊の高級エリアの一等地に立地していた。

飲食業の海外進出

 製造業であれば、たとえば日本で良い商品を生産し、輸出すればOKという場合も少なくはない。しかし、飲食業など多くのサービス業においては、現地で店を運営していかなければならない。異国における、立地の確保、店舗の建設、人材の採用・訓練、商品開発、プロモーションなど、どのプロセスも極めて複雑で困難なように思われる。

 たとえば、丸亀製麺は今年7月にイギリスに進出して大きな成功を収めているが、以前、立ち上げようとした際には、出店場所の確保すらできずに断念したという苦い過去があるようだ。今回の進出は、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスが2015年に買収した欧州の飲食チェーン「Wok to Walk」のノウハウ、経験、人材などをうまく活用することにより成功させているとのこと。

 こうした事例を見ると、もちろん、市場の相違に着目した商品の現地への適応化などは大切ではあるものの、とりわけサービス業の海外進出においては現地パートナーとの関係性構築などがより重要となるのかもしれない。
(文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授)

生活を何も変えずに電気代を減らせる「電力会社乗り替え」のポイントをFPが解説

 家にいる時間が増え、さらにコロナ対策として部屋の空気を入れ替えることも増えた今、「電気代がかさんでいるな……」と感じる人も多いのでは?

 とはいっても、「こまめに電気を切るのは面倒だし……」「エアコンを我慢するのはつらいし……」と思う方もいるでしょう。実はもっと簡単に、生活を何も変えずに、電気代を減らせることをご存じでしょうか。

年1~2万円ほど安くなるケースも

 以前から契約している電力会社を、ずっとそのままにしている人も多いでしょう。2016年からの「電力の自由化」によって、それまではエリアごとに決まっていた電力会社を自由に選べるようになりました。

 生活を何も変えずに電気代を安くできる方法は、自分に合った電力会社やプランに乗り替えること。年に1~2万円ほど安くなるケースも多々あります。

 電力会社を乗り替えると、「よく知らない会社だけれど、電気がチラついたりしない?」「大手会社でないなら、急に停電になったりする?」と心配になる方も多いと思います。でも、基本的に電気の使い勝手や安全性はほぼ変わりません。また、申し込みもネットでできるところがほとんどで、思っている以上に簡単です。

 筆者も数年前に電力会社を乗り替えましたが、当初思っていた不安が一気に吹き飛ぶほど、手続きが簡単で拍子抜けしました。その後も特に問題は感じていませんし、何より電気代が少し安くなったことがうれしいです。

 特に電気代はずっとかかりつづける支出なので、一度見直すと、その後の節約効果は絶大。「乗り替えるって面倒だな……」と思うかもしれませんが、ぜひ手続きにトライしてみてください。

「比較サイト」で簡単に乗り替え可能

 では、電力会社を乗り替えるには、どうしたらいいのでしょうか。

 おすすめは「比較サイト」を使うことです。主な比較サイトには「エネチェンジ」「価格.com」「電気料金比較」「新電力比較サイト」などが挙げられます。

 たとえば、「エネチェンジ」の場合は、サイト上で居住地域や在宅状況、世帯人数のほかに、現在の電気使用量などを入力するだけで、さまざまな電力会社を比較できます。

 節約度の高い順番で電力会社の候補が出てくるので、料金やサービス、会社の取り組み、ポイント制度などの内容を確認して、そのままサイト上で申し込むだけで、乗り替え手続きはOK。

 申し込み後、1カ月前後で新しい電力会社に乗り替えができます。電力メーター(スマートメーター)の設置が必要になる場合がありますが、その際も費用はかからず、基本的に立ち会いの必要もありません。意外とあっという間で、拍子抜けすると思います。

 ぜひ一度、比較サイトで「うちの場合はどれくらい安くなるのかな?」とチェックしてみてください。思った以上に節約になるとわかれば、「よし、乗り替えてみよう」と思うはずです。

「中途解約手数料」に要注意

 時期によっては、比較サイトや電力会社がキャンペーンを行っている場合があります。キャッシュバックや契約後数カ月間の割引などが挙げられます。

 また、電力会社によっては、TポイントやPontaポイントなどのポイントが付く場合もあり、ポイ活をしている人は、自分が好きなポイントが貯まるかどうかを見てみてもいいでしょう。

 ただし、気を付けたい点が「中途解約手数料」の有無です。1年または2年以内に解約すると、中途解約手数料として2000円かかるといったケースもあります。中途解約手数料の有無や条件を、よく確認した上で申し込みましょう。

賃貸マンションでも大丈夫?

 電力会社の乗り替えは、持ち家だけでなく、基本的には賃貸物件でも、マンションやアパートなどの集合住宅でも可能です。電力会社と入居者とが個別に契約していれば、その契約を変えるという形で乗り替えることができます。

 ただし、建物全体で電力会社と契約している場合はNGなので、お住まいのケースがわからない場合は、管理会社などに確認してみてください。

 また、電力会社を乗り替える場合に、今使っている電力会社への連絡は不要です。そのため「うちの会社をやめないでくださいよ」といった引き留めにあうこともありませんので、その点は心配ご無用です。

 ぜひいろいろ比較してみて、ご家族とお住まいの方はご家族でご一緒に考えて、使い方に合った電力会社やプランを見つけてみてください。電気代が自然に減れば、その分、自然にお金も貯まるようになるはずです。

(文=西山美紀/マネーコラムニスト)

かつてのパチンコ雑誌は「不適合者の受け皿」!? 業界の大御所たちが有名攻略誌の編集部員たちを回想

 全盛期と比べて発行部数は激減したものの、今なお、あらゆる企画でファンを楽しませてくれるパチンコ・パチスロ雑誌。無論、雑誌の製作にはライターや編集者など様々な人々が携わっており、その編集者のたゆまぬ努力があったからこそ、アンダーグランドなジャンルの雑誌が一定の地位を確立したともいえる。

 ただ、そんな雑誌に携わる人々には奇人変人が多かった模様。ヒロシ・ヤング氏によるYouTubeチャンネル「ヤングちゃん、寝る」内の動画「奇人変人大集合!?『パチンコ必勝ガイド』編集部に居たおかしな人たち!!」では、大崎一万発氏と共に、かつてのパチンコ必勝ガイド編集部について回想している。

 ヤング氏はかねてから持論があるそうで、ライターでいえば沖ヒカル氏・木村魚拓氏・ういち氏など、ガイド系に「おかしなヤツラばっかりいる」のは、全てパチンコ必勝ガイド初代編集長だった末井昭氏が「おかしな磁力で吸い寄せた」と発言。

 これには後にパチンコ必勝ガイドの編集長を務めた大崎氏も納得で、「普通だったら不適合で弾かれるところを全部、受け止めた」とした後、受け止められた側も「これでいいんだ」と安心した結果、変なところがさらに伸び、それが「面白い」との評価に繋がったと分析している。

 一方、編集者たちも、不適合者ながらも仕事の取り組みに対してはマジメ。当時は、10数人で増刊を含めて4冊程度の雑誌を製作していたそうで、ハードなスケジュールの中、マジメで「責任感が強すぎる」が故に、「ガ~ってなって、逃げちゃう」人も少なくなかったそうだ。

 また、大崎氏によると、徹夜業務が当たり前の締め切り間際になると、「斧を振り回しながらパンツ一枚で仕事してる人」もいたとのこと。これには「思っていたのと違う」と予想外の奇人変人ぶりにヤング氏も大笑いしたが、その人も最終的にはどこかへ逃げてしまったという。

 反面、大事な原稿を電車に忘れてしまうようなミスをする人々でも、ある種、編集者のプライドは持ち合わせていたようで、入手したパチンコ攻略法を掲載雑誌の発売前に実践するといった行為に出た者はいなかった模様。「守るべき所はしっかりと守る、信用できる編集部だった」と大崎氏は当時の同僚たちを振り返っている。

 そんな個性的な人々が集うパチンコ・パチスロ雑誌の編集部だったが、現在は「サラリーマンもできる」常識的な人々が中心とのこと。不適合者の受け皿だったハズなのに、いつのまにやら「ふるいにかけられた」そうで、結果的に馴染めない者たちは姿を消すようになり、そんな状況をヤング氏は「スゴイさみしい」と嘆いている。

 大崎氏曰く、当時は「センスがあって頭がいいけど、一般的には伝わらない人たち」がパチンコ・パチスロ雑誌を作った時代。そんな時代を知りたい方々には、是非とも当動画をご覧いただきたいものである。

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元JRA藤田伸二「自信過剰」吉田隼人にイラッ!? 秋華賞(G1)本命ソダシ声援も実らず…… 騎乗フォームにも「岩田じゃないんだから」とダメ出し

 17日、阪神競馬場で開催された秋華賞(G1)は、4番人気のアカイトリノムスメがゴール前で抜け出して優勝。名牝アパパネの娘が見事、最後の一冠で親子制覇を成し遂げた。

 一方、同じ金子真人オーナーが所有するソダシは直線で伸びを欠き、まさかの10着。単勝オッズ1.9倍の断然1番人気を裏切る結果となった。

 この大敗を受け、騎乗した吉田隼人騎手は「ファンの皆さんの気持ちに応えられず、申し訳ない気持ちです」とコメント。まさかの大敗にショックを隠せなかった。

 そしてこの吉田隼騎手の騎乗に物申したのが元JRA騎手の藤田伸二氏だ。

 藤田氏はこの日、15時から自身のYouTubeチャンネルでライブ配信を敢行。ファンの質問に答えながら、お酒の力も借りていつも以上に上機嫌で配信は進行した。

 もちろんレース前には秋華賞の予想を披露。本命に抜擢したのは白毛馬ソダシだった。「とりあえずソダシが強いだろうっていうのをもう認めよう」と切り出した藤田氏。その後も、「ソダシは別格」、「隼人を信用して馬単1着流しで……」と、桜花賞(G1)に続く二冠獲得を信じて疑わなかった。

 そして迎えた発走時間。ソダシが好スタートを切り、好位にとりつく場面を見届けると「もうこの時点で隼人は『はい、十二分』と思ったと思う」と理想の位置を確保した後輩の心理を読んでみせた。

 レース中盤を迎え、1分1秒2という1000m通過ラップを聞いた藤田氏。『ちょっと遅いね。ソダシもう楽勝するかも』と早くも勝利を確信しながらも、テレビ画面に目をやった次の瞬間、藤田氏の表情が一気に曇り、こう言い放った。

「隼人!? まだはいーって(早いって)!おまえ、エイシン(ヒテン)は相手じゃねーんだって!なんで後ろから来る馬待たねーんだよ!」

 この時点でソダシは特に後ろからプレッシャーをかけられたわけではなかったが、吉田隼騎手はスパートをかけ、エイシンヒテンに並びかけにいく積極的な競馬を見せた。結果的に、これが響いたのか、ソダシは直線で失速。オークス(G1)以来となる黒星を喫した。

「藤田氏が吉田隼騎手の早仕掛けをいち早く察知したのは、さすが元一流騎手だと思いました。最後の直線でも一縷の望みをかけ、ソダシに声援を送っていたのですが……。

ソダシの敗戦を受け、レース直後はやや口数を減らしていた藤田氏ですが、レース終了から1分ほどが経ったときに突如怒りが頂点に達しました」(競馬誌ライター)

「俺が一番(レースを)見ていて、馬券を買ってイラッときたのが、隼人があのスローペースで4コーナー手前から、後ろからつつかれているわけでもないのに自分からエイシンを食ってかかりに行ったっていうのが……」と鞍上の早仕掛けを批判。

「ある意味、今日は自信過剰になりすぎた騎乗だったのかな」と続けた。さらに「隼人、おまえこれ騎乗ミスやぞ。今日は……」、「なんで自分で動くんだ。後ろから来るまで引きつけるくらいの気持ちがないと、それくらい強い馬なんだから。もっと馬を信じて乗るべきだった」と自身の見解を述べた。

 その後、リプレー映像で直線の吉田隼騎手の騎乗ぶりを改めて目にした藤田氏は「隼人、おまえ、その尻もちつくような追い方するなよ。康誠(岩田康誠騎手)じゃないんだから……」と、怒りは収まらず、最後は“宿敵”の名前も出して、その騎乗フォームにも苦言を呈していた。

 勝利を信じて疑わずレース前まで上機嫌だった藤田氏だったが、ソダシの惨敗を受け、まさに天国から地獄に落とされた気分になったことだろう。次週の菊花賞(G1)でも“舌好調”な藤田節を聞かせてもらいたい。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

パチンコ「14万発や200連」など話題独占…業界初システム搭載機の激アツ情報も!!

 2021年のパチンコシーンを、大いに盛り上げているサンセイR&D。そんな同社は、またもや激アツの新台を導入予定だ。「突入」「継続率」「出玉」3拍子揃った「究極パチンコ」を発表し、熱視線を浴びている。

 話題の新台『Pゴッドイーター究極一閃』は、大当り確率1/319.68でRUSH突入率75%。電チュー大当り時は、全て10R(約1500発)に振り分けられるのが大きな特徴と言えるだろう。

 見どころとなるRUSH「神バトルRUSH BURST」は、基本的に時短1回+残保留1個で消化。トータル継続率は約80%(時短1回継続率約55.3%と保留1個継続率約55.3%の合算値)と大量出玉に期待できる設計だ。

 また、RUSH中にはプレミアムボーナス「神GOD EATER BONUS」も存在(振り分け割合約1.6%)。発動した場合の期待出玉は、10R+10R(約3000発)と強力だ。前作よりラウンド間インターバルが進化したことで、アタッカー性能が20%アップしている点もポイント。爽快かつ強烈な出玉感を堪能できるだろう。

「突入率」「継続率」「出玉」の3拍子が揃った「神撃荒神SPEC」が降臨。最高峰の出玉性能を実現した本機が、ホールへ熱狂を呼び込むのだろうか。導入は11月を予定している。

『Pゴッドイーター究極一閃』の登場を待ちわびるファンは多いが、同社がすでに投入している機種も上々の稼働を見せている状況だ。

 その代表は、強烈な出玉情報を続出させた『P牙狼 月虹ノ旅人』。初代の破壊力に加え圧倒的なスピード感も併せ持つ本機は、「14万発」のデータも確認されるなど大きな話題となった。デビューから時間が経過した今でも、本機の爆裂を求めるユーザーは多い。

 その後に登場した機種も忘れてはならない。50%で最大約3000発の出玉がループする『P巨人の星 一球入魂3000』や、「200連オーバー」といった爆連情報も浮上している『P世界でいちばん強くなりたい!』が絶賛稼働中だ。

 業界初システムを搭載した『Pキャプテン翼2020』も話題となったマシン。人気サッカー漫画とタイアップした同社の定番シリーズ最新作は、王道確変ループ「VICTORY ROAD」と小当りRUSH「全力BIG BONUS」2つの異なる確変を搭載した「黄金コンビスペック」が最大の魅力だ。

 遊技したユーザーからは、「2万オーバー獲得」「19連で1万7000発」といった報告が浮上。「一撃約5万発」といった強者も確認されるなど、注目度は高まっていった印象だ。

 演出面も含めて仕上がりを称賛する声も聞こえるが、そんな本機に関連する新情報にも反響が寄せられている。

 サンセイR&Dは10月13日より『Pキャプテン翼2020』に関するアンケートを実施中(10月26日まで)。Webアンケートに回答すると、抽選で「Pキャプテン翼2020オリジナルQUOカードPAY(500円分)」が20名にプレゼントされるという内容だ。詳細は公式ページを確認していただきたい。

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