「保留連チャン・攻略法」など…当時のパチンコが凝縮された機種を生み出した老舗メーカー

 SANKYOから注目の新機種がリリースされた。『Pフィーバー戦姫絶唱シンフォギア2 1/77VER.』と『1/230VER.』である。昨年に登場した『Pフィーバー戦姫絶唱シンフォギア2』の新スペックとして、2機種ともに遊タイム機能が追加されている。

『1/77VER.』は破格の大当り確率ながら、王道のゲームフローを手軽に体験できる甘デジタイプ。『1/230VER.』は大当り出玉が最大1500発にパワーアップした強ライトミドルタイプと、両スペックともに特性の光る仕上がりとなっている。

 このように次々と魅力的なパチンコをリリースしていくSANKYOは、業界の黎明期から第一線で活躍していた。そもそも近代パチンコの礎となる「デジパチ」のプロトタイプ『フィーバー』を生み出したメーカーなのであることは以前にも触れたが、SANKYOはさらに次世代のデジパチをも誕生させたのである。

 当時のデジパチはドラム式が主流。先の『フィーバー』もドラム機であるが、このドラム機に「ステッピングモーター」という新たな技術を導入したのが『フィーバーレクサスV』となる。この新技術によりソフトとハードの面で根本的な変化が生じた。

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 まずハード面。それまではドラムの大当り部分に穴をあけ、搭載された光センサーが反応するかどうかで大当り判定を行う、極めてアナログな抽選方法だったが、コンピューターで制御できるステッピングモーターによってヘソ入賞時のデジタル抽選が可能となったのである。

 一方のソフト面での変化といえば「リーチ演出」の出現である。それまでのドラム機は回転スピードが一本調子の単調な動きしかできなかったが、3本のドラムそれぞれにスピードの変化などを細かく調整できるステッピングモーターによって、テンパイした際には中出目をゆっくり変動させる「リーチアクション」を生み出した。

 この画期的なシステムに加え、大当り確率が1/205と甘いうえに保留連チャンするという破格のスペックを有するマシンだったのである。ヒットしたのは言うまでもないだろう。

 この『フィーバーレクサス』は後継機も続々登場し、有名なシリーズ機として名を馳せた。そこには保留連チャンはもちろん、「単発回し」という攻略法の存在による。朝イチ状態で1回転ずつ回していけば初当りを引いた際に2連、3連と保留連チャンを期待できた。

 こうした新規性を追求する姿勢を崩さないSANKYOのアティテュードは現在でも引き継がれ、規則や内規の変更時にはほとんどの場合でそれに適用した機種を真っ先に登場させるのである。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

JRAエリザベス女王杯でアパパネの悲劇再び…、秋華賞馬アカイトリノムスメは母に続き「3着」までか?

■伝統の古馬牝馬最強決定戦

 今週行われるエリザベス女王杯は、大ヒットゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)で人気キャラクターのダイワスカーレットやヒシアマゾン、ファインモーションなどが過去に優勝した伝統の古馬牝馬G1レース。一方で逆に負けた馬を見ても、エアグルーヴやブエナビスタなど名牝ばかり。その中にあと一歩で偉業を逃した馬がいる。それが牝馬三冠馬アパパネだ。アパパネは阪神JF、桜花賞、オークス、秋華賞、ヴィクトリアマイルと2歳から4歳までにG1レースを合計5勝。エリザベス女王杯は3歳時と4歳時でともに3着という内容だが、もし勝利していれば、6つの牝馬限定G1レース完全制覇という偉業を成し遂げていたのだ。そんなアパパネを母に持つアカイトリノムスメが、週末のエリザベス女王杯に出走する。

 アカイトリノムスメは父ディープインパクト母アパパネの三冠馬を両親に持つ良血馬で、前走の秋華賞は白毛のアイドル・ソダシを破って母に続く親子制覇を達成。母が勝てなかったエリザベス女王杯への出走も決まり、俄然注目を集めている。オーナーはソダシやアパパネ、ディープインパクトも所有していた株式会社図研代表取締役会長の金子真人氏。エリザベス女王杯を勝利すれば、金子氏としてもアパパネの敗退から10年越しの初勝利となるわけで特に力が入るだろう。

 そんなドラマを持つアカイトリノムスメに注目が集まるが、今年のエリザベス女王杯は大阪杯でコントレイルとグランアレグリアを破ったレイパパレも出走する。アメリカに遠征する川田将雅騎手に替わって、この秋G1レースですべて3着以内のC.ルメール騎手が騎乗するのも心強い。だがレイパパレは前走のオールカマーで4着に敗退していることもあり、勢いは完全にアカイトリノムスメにある。そのあたりがどう出るか。さらに菊花賞をタイトルホルダー、天皇賞(秋)をエフフォーリアで制して勢いに乗る横山武史騎手騎乗のウインマリリン、武豊騎手騎乗のデゼルや吉田隼人騎手騎乗のランブリングアレーなどなかなか興味深いメンバーが揃った。

 牝馬限定レースは過去にヴィクトリアマイルで2000万馬券が飛び出すなど波乱が多い傾向にある。実際にこのエリザベス女王杯も過去10年で1番人気はわずか2勝、そして3連単は9回の万馬券が飛び出している。ブエナビスタやラヴズオンリーユーなど断然の人気を背負って負けた馬も数知れず、ある意味この秋で最も難解なレースと言えるかもしれない。そこでこのエリザベス女王杯を徹底的に分析している競馬情報のプロ・マスターズに注目したい。彼らであればこの難解なエリザベス女王杯も、しっかりと正解に導いてくれるはずだ。

■最大の武器時は情報力

 マスターズ最大の武器は何と言ってもその情報力だ。競馬界は馬主、調教師、騎手といった存在が不可欠であり、それぞれが大きな役割を担っている。その三つの要素を抑えることが的中に直結するのは言うまでもない。馬主の意向、調教師の思惑、騎手の狙い、それらすべてを把握することが、競馬において勝ち組となるか負け組となるかの大きな分岐点になるのである。マスターズは競馬界の重鎮である元調教師や騎手、さらに厩務員や馬主関係者、そしてエージェントなど競馬の中核で活動していた関係者が多数所属している。そのメンバーは現役の競馬関係者と太いパイプを持っており、的中に直結する情報を入手することが可能なのである。

 この秋も多くのレースを的中させ、スプリンターズSや天皇賞といったG1レース、さらにはセントライト記念やオールカマー、ローズSといった重賞レースで万馬券を的中。他にも3連単10万円馬券という高額万馬券を含め、数多くのレースを的中させている。マスターズは一般的な競馬記者のように、全レースを予想しているわけではなく、全レースの中から厳選して特に自信のあるレースのみを公開している。そこが多くの競馬記者との違いだ。つまりマスターズが提供するレースは、数ある情報の中から厳選に厳選を重ねた自信の勝負レースであることがわかる。そして今週のエリザベス女王杯は、まさにマスターズが的中を確信するこの秋最大級の勝負レースとなっているのだと言う。

■エリザベス女王杯の最新情報

 マスターズは過去にエリザベス女王杯でも万馬券を的中させており、例えば2014年は重賞未勝利でわずか3勝しかしていないラキシスを本命に指定。同馬は並みいる強豪G1馬を相手に見事勝利し、マスターズも万馬券を的中させている。その背景には厩舎サイドから強力な勝負情報が極秘に届いており、それが決定打であった。もし一般競馬ファンがそういった情報を独自に入手できれば、同様に万馬券を的中できたかもしれない。しかしそれは多くのファンにとって叶わぬ夢。本物の関係者情報は本物の関係者でしか入手できないのだ。

 今年のエリザベス女王杯も同様に彼らだけが知る極上の勝負情報がある。それは確信の本命馬情報であり、激走が期待できる穴馬情報であり、さらにはマスコミが注目する人気馬の敗退情報、すべてが超Aランクの最重要情報だ。この情報がファンにとって、的中のためのラストピースといっても過言ではあるまい。

■衝撃の無料公開

 今回驚いたのは、マスターズがこの勝負情報を無料で一般公開すると発表したことだ。しかも具体的に「馬連3点勝負」というからわかりやすくていい。マスターズが誇る馬主・厩舎・騎手の情報で絞り込まれた究極の3点買い目。どんな情報なのか、どんな穴馬が含まれているのか、どんな配当なのか、今から胸が高まる。

 たかだか数百円とはいえ、競馬専門紙やスポーツ紙にお金を使う必要もなく、買うべき馬の情報を無料で入手できるというのだからこれほど心強いことはない。エリザベス女王杯はマスターズの無料情報をしっかりチェックしておこう。そして昨年もマスターズが見事的中させたマイルCSやジャパンカップにおいても、マスターズの情報をしっかり活用して的中を手にしたい。
CLICK→無料公開!【エリザベス女王杯「馬連3点勝負」】マスターズ

セブン・ローソン・ファミマ、“エキナカ”コンビニ争奪戦激化…難攻不落のJR東

 無人レジの1000店舗出店を明らかにしたファミリーマートが10月12日、東武アーバンパークラインの岩槻駅のコンビニを無人レジ付き店舗にリニュアルオープンした。エキナカでの無人レジ付きコンビニの展開は、西武鉄道と合弁で展開している「トモニー」の西武新宿線中井駅店に続き2店舗目となる。

「これまで提携関係にある複数の鉄道会社から人手不足などの相談があり、その対策の一つとして打ち出したのが無人レジの導入です。東武鉄道もまたそうした取引先の一つです」(ファミマ広報担当者)

「トモニー中井駅店」(乗降客は一日1万8915人)は50平方メートルの広さに750アイテムの商品が並び、それを57台のAIカメラでフォローするというものだったが、岩槻駅店は30平方メートルに600アイテム(リニューアル前は1000アイテム)の商品が並び、それを20台のカメラでフォローする一回り小さな店舗になるという。営業時間は午前6時から午後10時まで。バックヤードに店員が待機するが、店内には店員はいない。

「岩槻店の日販はファミマの平均よりも少し下回る程度だったが、しっかり利益は上がっていました」(ファミマ関係者)

 しかし岩槻駅は19年の一日平均の乗降客数は3万6935人だったのが、20年には2万7765人と9170人減少した。これがエキナカコンビニの店舗にまったく影響なかったとは考えにくい。無人レジでどこまでできるかは「これから成果を見ていく」(東武鉄道関係者)と語る。

 中井駅店では取り扱われていなかった、たばこの販売が本格的にスタート、約140銘柄のたばこが所狭しと並んでいる。通常店では約200銘柄のたばこが並んでいるが、5分の1のアイテム数の狭小コンビニにこれだけの品数を並べたのは、この店舗でたばこのニーズが高いからだ。

 一方で電子レンジは設置せず、加熱して食べるような商品は極力抑えたという。コンビニ業界ではエキナカ店舗をはじめとしたマイクロマーケットへの関心が高まっている。

コンビニでいち早くエキナカに進出したファミマ

 エキナカ店舗の出店にいち早く動き出したのは、ファミマが買収したエーエム・ピーエム・ジャパン(ampm)だった。1995年8月には近鉄グループ、98年3月には東武鉄道子会社、東武商事、99年2月にはJR九州リテールと提携。これが一大店舗網構築の基盤となった。JR九州リテールは現在、210店舗(エキナカ以外も含む)のコンビニを展開している。このほか相模鉄道(現在担当は相鉄ステーションリテール)、京成電鉄、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)などとの提携もampm時代からの遺産だ。

 ファミマが自ら本格的に鉄道会社との提携に動き出したのは2007年6月。今年8月に初のエキナカ無人レジ店舗をリニュアルオープンさせた西武鉄道との提携からだ。このとき両社は店舗の共同運営を開始し、練馬、西所沢、練馬高野台を皮切りに、西武鉄道の全92ある駅のうち70の既存店舗を順次、新店舗に切り替えていく方針を打ち出した。

 11年には名古屋鉄道と提携、3月には中部国際空港アクセスプラザ内で「ファミリーマートエスタシオ」を開業、神宮前駅、豊田駅など4店舗を5月までに駅構内に順次オープンし、16年には50店舗の出店を目指した。  

 現在わかっているだけで7つの鉄道のグループ会社と提携、これに神戸、横浜、名古屋、仙台、東京、京都、札幌など自治体運営の地下鉄駅構内に出店している。自治体の運営する地下鉄などに出店する場合は入札方式で一定期間賃貸するというかたちが多いが、こうした店舗も含めるとエキナカ店舗は全体で480店舗(21年9月末現在)あるという。ただ、エキナカ店舗の出店は15年の仙台市営地下鉄への出店を最後に鳴りを潜めている。それ以降も陣取り合戦を進めているセブン-イレブンやローソンとは対照的だ。 

エキナカ店舗の運営は難しい

 大手コンビニのエキナカ出店は提携をしたからといって安穏としているわけにはいかない。好条件を提示すれば、提携先でなくても出店する余地もあるからだ。事実、東武鉄道でもっとも乗降客数の多い東武池袋駅はセブンが手中に収めた。

 しかもエキナカ店舗の運営は難しく、撤退を余儀なくされるところも少なくない。ファミマは12年2月から多摩都市モノレールと提携、フランチャイズ契約を結んでいた相鉄ステーションリテールがフランチャイジーとなって出店していた全7店舗(運営は相鉄ステーションリテール)を21年3月に撤退した。

「ファミマと多摩都市モノレールの出店契約は当初5年契約で、それ以降は1年ごとに更新していたが、業績が思わしくなく撤退した」(相鉄グループ関係者)

 ところが、ここにセブンが進出してきた。陣取り合戦で勝利しても経営がうまくいかなくなれば、一瞬にしてオセロのように入れ替わってしまうということだ。

ファミマを追い越した後発セブン

 業界トップのセブンが鉄道会社と提携を始めたのは09年9月。京浜急行電鉄と提携、品川、横浜駅を皮切りに2年間でエキナカ店舗80店舗をセブンに転換することを発表した。さらに10年10月にはJR北海道の子会社、北海道キヨスクとフランチャイズ契約を交わし、札幌エリア内の主要駅に展開している6店舗をセブンに転換した。

 13年10月には新京成電鉄、14年3月にはJR西日本、JR西日本デイリーサービスネットと提携。JR西日本のエリア内(1222駅)にある500店舗をリニューアルすると表明した。さらに同7月にはJR四国、四国キヨスクと提携、15年4月には阪急阪神ホールディングス傘下の神戸電鉄、神戸観光と手を結び、「セブン-イレブン神鉄西鈴蘭台店」を皮切りに6店舗の出店を進めていることを明らかにした。

 15年10月には大阪高速鉄道と提携、大阪モノレール駅構内のコンビニ「モノウェル」を順次セブンに転換していくことで合意、18年3月には小田急電鉄、小田急商事と提携しエキナカ店舗を2年間で100店舗、セブンに転換することを明らかにした。そして21年8月には京王ストアと提携、京王調布駅を皮切りに2年間で40店舗を展開する計画になっている。

 セブンは鉄道のグループ会社10社と提携、札幌、京都、名古屋、福岡などの自治体が運営する地下鉄などへの出店を含め502店舗(2021年3月末時点)を展開。エキナカ店舗の出店でトップを走っていたファミマを後発のセブンは追い越した。これはファミマにとっては大きな脅威であり、「無人レジ」でこれまでコンビニが出店できなかったような拠点に出店を進めようとするのは理解できる。

店舗数より重点拠点確保に力を入れるローソン

 ローソンが鉄道会社と提携を始めたのは04年12月。西日本鉄道傘下の西鉄ステーションサービスと提携し、05年11月には東急電鉄、14年11月には山陽電気鉄道の子会社、山陽フレンズ、15年4月には東京メトロとの提携に成功した。さらに関西方面でも17年3月から大阪市営地下鉄(大阪メトロ)の運営事業者に選ばれ、12年から契約満了で撤退したセブンとポプラが運営していた44店舗を担当。21年5月には阪急阪神HD傘下のエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)との提携を実現、H2Oの子会社アズナスが運営するエキナカコンビニ「アズナス」の98店全店をローソンに転換する。

 一説にはH2Oとの提携はセブンが虎視眈々と狙ってたという。セブンは前述のように阪急阪神HD系列の神戸電鉄との提携、さらに16年10月にはH2Oとの提携まで実現したが、関西の交通の要、阪急・阪神電鉄構内のコンビニ出店はもう一歩というところでトンビに油揚げをさらわれたかたちとなっている。

 ローソンは現在5社との提携と札幌、名古屋、大阪など3つの自治体が運営する地下鉄駅構内への進出で194店舗(21年8月末時点)展開している。店舗数では2社に遠く及ばないローソンだが、東京メトロや東急電鉄など乗降客数でトップ5に入る鉄道会社と取り組んでいる。そのため東急渋谷駅、東急横浜駅、東京メトロ大手町駅など乗降客の多い拠点をおさえている。

「H2Oの提携によって今後は阪急・阪神電鉄内のエキナカ店舗『アズナス』98店舗を順次ローソンに転換していくほか、東急電鉄のエキナカでもさらに店舗展開を加速していく」(ローソン関係者)という。

 現在大手コンビニと提携せずに独立系のエキナカコンビニを展開しているのは、JR東日本(コンビニのNewDaysと売店のキオスク)、JR西日本(ベルマートキヨスク)、南海電鉄(コンビニのアンスリーと売店のnasco)、京阪電鉄(アンスリー、nasco)など。このなかで特に注目されているのがJR東日本だ。

 JR東日本は鉄道業界に君臨するガリバーだ。沿線の駅の総数は1676駅(営業キロ数は7401キロメートル)。営業キロ数、駅数ともに私鉄最大の近鉄ですら286駅(501キロ㍍)しかない。いかにJR東日本が巨大な鉄道網であるかわかるだろう。さらに1日の乗降客数は3537万人と2位の東京メトロ(1300万人)に3倍近く差をつけている。JR東日本と組むことができれば、エキナカ店舗では大手3社のなかで圧倒的な地位を確立することができる。

 しかし、JR東日本を取り込むというのはそうたやすいことではない。

「一言でいえば難攻不落。よほどのことがないかぎり提携は難しい」(大手コンビニ幹部)

 NewDaysの平均日販はローソンやファミマよりも10万円近く高いという話もある。セブンでさえ、JR四国、JR西日本とJRグループの外堀を埋めながら、JR東日本との提携を実現していないことがそれをよく表している。

 しかし一方で、JR東日本は人手不足でキオスクの閉店などを進めているという。ここに大手コンビニにとっては大きなチャンスがある。ファミマもまた、無人レジというツールでこうした店舗のてこ入れに手を挙げたいところだろう。

 それだけではない。ファミマが無人レジで手を結んでいる「TOUCH TO GO」はJR東日本グループとベンチャー企業、サインポストの合弁会社。無人レジの事業を手掛けることで、JR東日本との関係を深めているのである。もちろんJR東日本は「TOUCH TO GO」と組んで高輪ゲートウェイ駅で実証実験を進めているが、ファミマが複数のエキナカ店舗で無人レジの実績を積んでこれを手みやげに提携を申し入れれば、自主独立路線を堅持するJR東日本といえども胸襟を開いて話をする余地が生まれる可能性はある。

 大手コンビニのエキナカ戦争は最終決戦へと向かっている。

(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

●松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、サンケイビジネスアイ、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には「ロッテを創った男 重光武雄論」(ダイヤモンド社)、「堤清二と昭和の大物」(光文社)、「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。

利益1千億円を視野に…経営統合したマツキヨ&ココカラが凄いことになっていた

 2021年のドラッグストア業界の最大の出来事は、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインの経営統合だ。10月1日付で、マツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨココ)が始動した。新会社の会長はマツキヨの松本南海雄会長、社長にマツキヨの松本清雄社長、副社長にココカラの塚本厚志社長が就いた。

 マツキヨココの22年3月期の連結決算の売上高は7440億円、営業利益は382億円、純利益は352億円の見通し(ココカラの21年4~9月期の実績は反映していない)。未定としていた年間配当は70円とした。

 純利益は統合前の両社の単純合算した数値比で4割増となる。統合による販管費の抑制のほか、ココカラ株の取得に伴う特別利益105億円が寄与する。24年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画で、営業利益の300億円の上積みを目指す。マツキヨが得意とする都市部中心の出店戦略を維持。マツキヨの強みであるPB商品をテコにココカラの店舗の稼ぐ力を高める。

 マツキヨココの株価は大幅高となった。新会社が発足した10月1日の始値は4940円だったが、10月15日には5820円を付け、17.8%上昇した。株式市場では「中計の目標数字が堅実で統合による効果への期待が高まった」としている。

新会社は業界4位

 マツキヨココの誕生により、22年の売上ランキングはこう変わる。ウエルシアホールディングスが業界初の売上高1兆円の大台に乗せる。

【ドラッグストア売上高ランキング(22年期見込み)】

順位(前年順位)  社名      売上高       決算期     本部

1.  (1)          ウエルシアHD    1兆210億円(7.5%)  22年2月  東京

2.  (2)          ツルハHD           9560億円(4.0%)  22年5月  北海道

3.  (3)          コスモス薬品   7500億円(3.3%)  22年5月  福岡

4.  (-)   マツキヨココ     7440億円(-)  22年3月   東京

5.  (4)          サンドラッグ   6566億円(3.5%) 22年3月  東京

6.  (5)          スギHD            6503億円(7.9%)  22年2月  愛知

※HDはホールディングスの略。( )内は前期比増減率。

 マツキヨココは10月7日、統合後初となるPB「RECiPEO(レシピオ)」を発表した。敏感肌用化粧水など全6アイテムを11月11日からグループの店舗とオンラインサイトで売り出す。マツキヨココと化粧品メーカー、コーセーが共同開発した。

 ビューティー&ヘルス領域での売上高構成比は旧マツキヨが4割、旧ココカラが3割と高い比率を占めてきた。先行しているPB商品の強化で競争が激化しているドラッグストア業界を生き抜く。

次の大型M&Aはどこだ

 新会社の社長に就いた松本清雄氏は「26年3月期をメドに売上高1.5兆円、営業利益率7%を目指す」。単純計算すると営業利益は1000億円を超える。新会社の初年度になる22年3月期の売上高は7440億円、営業利益は382億円。営業利益率は5.1%の見込み。これを26年3月期には、売上高を2倍、営業利益は2.6倍、営業利益率を2ポイント引き上げる。

 売り上げを倍増させる決め手としているのが追加のM&Aである。M&Aの対象は郊外型ドラッグストアを想定しているという。業界首位のウエルシアHDは中四国地方を地盤とする、ププレひまわり(広島県福山市)を買収する。12月1日付で発行済み株式の50%超を取得する。

 ププレは「スーパードラッグひまわり」など130店舗運営。20年9月期の売上高は517億円。売上高に占める食品の比率が4割と高く、郊外型の店舗が多いといった点でウエルシアの業態に近い。業界2位のツルハHDは20年5月、九州旅客鉄道(JR九州)からJR九州ドラッグイレブン(福岡県、21年5月、ドラッグイレブンに商号変更)の発行済み株式51%を取得し、連結子会社とした。

 ウエルシア、ツルハ、マツキヨココの首位争いが激化し、次の大型M&Aは待ったなしだ。

(文=編集部)

 

エリザベス女王杯(G1)前走大敗デゼルは「度外視」で問題なし!? 元JRA安藤勝己氏が指摘した負けても納得できるだけの十分な裏事情

 コロナ禍もようやく落ち着きを見せ始め、全国の競馬場も徐々に活気を取り戻しつつある。そして今週のエリザベス女王杯を皮切りに秋のG1・8週連続開催がいよいよ始まろうとしている。

 京都競馬場の改修工事により、今年も阪神競馬場で行われるエリザベス女王杯。出走予定馬の中では今年の大阪杯(G1)を優勝したレイパパレ、先月の秋華賞(G1)を制したアカイトリノムスメなどが人気になりそうだが、フランスのG1を2勝した名牝アヴニールセルタンを母に持つ良血馬デゼル(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)に注目したい。

 デゼルは怪我などの影響でデビューは3歳の3月と遅く、また脚元に不安があって、オークス(G1)では2番人気に支持されたものの、11着に大敗した。

 しかし、古馬となった今春に才能が開花。初音S(3勝クラス)を勝利して臨んだ、阪神牝馬S(G2)を制して重賞初制覇を遂げた。

 名門友道厩舎所属の本馬は、当初から素質は高く見込まれており、デビュー勝ちの際には友道師から「自信を持ってみていました、これは走りますね」と強気なコメントも出ていたほどだった。

 連勝の勢いを買われて4番人気に支持された今春のヴィクトリアマイル(G1)では8着に敗れたものの、勝ち馬のグランアレグリアは別格としても、2着馬からは0.2秒差で着順ほど大きな負けではなかった。陣営も「基本的には2000m以上はあった方が良い」と評したように、距離不足の懸念もあったなら許容範囲だろう。

 とはいえ、前走の府中牝馬S(G2)では16着と大敗。さすがにこの敗戦では本番は厳しいかと思いきや、元JRA騎手の安藤勝己氏は自身の公式Twitterで「デゼルは久々動かない」「状態に自信がないから位置を取って粘ろうとしたんやと思うよ」と、休み明けで状態が不十分であったために普段とは違う戦法をとった事が大敗に繋がったのではとの見解を示した。

 それまでの後方待機策ではなく、初めて積極的に好位につける競馬を試したことも響いたのかもしれない。元々休み明けは走らないタイプで、叩き2走目で状態は上向いていると考えていいだろう。前走から距離延長となる点も、デゼルにとってはプラスに働きそうだ。

 また、今回は昨年のローズS(G2)以来となる武豊騎手とのコンビが復活することも魅力。デビュー戦を勝利した時の鞍上で、なによりエリザベス女王杯最多勝利を誇るレジェンドとのコンビ復活は頼もしい限り。騎手の腕が問われる阪神芝内回りとなる今回、デゼルにとってはG1制覇の絶好のチャンスと言えそうだ。

 今回、本命候補の1頭と目されるレイパパレはキャリア8戦6勝と素晴らしい成績も、芝2200mに限っては2戦2敗ともうひとつ。2000mまで6連勝していたライバルが1ハロン長いようなら付け入る隙はありそうだ。

 1週間前のファンタジーS(G3)で今年3つ目の重賞勝ちを収め、勢いに乗る鞍上を背に、未完の大器が初のG1制覇に挑む。

(文=椎名佳祐)

<著者プロフィール>
 ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。

LIVE BOARDで見る「プログラマティックOOH」の今

LIVE BOARD

OOH(Out of Home:屋外広告・交通広告)は、現在、デジタル広告のように、“ヒト”基点で柔軟に出稿され、効果検証までワンストップで行えるように進化しています。

DOOH(Digital Out of Home:デジタルサイネージを活用した広告)をネットワーク化し、取引や配信を柔軟に行い、広告の枠・指標・配信が一括管理できる「プログラマティックOOH」について、LIVE BOARD社の髙山晋太郎氏が紹介します。
LIVE BOARD社
NTTドコモと電通によって2019年に設立されたジョイント・ベンチャー・カンパニー。OOH領域において国内で初めてインプレッション(広告視認者数)に基づく配信を実現。コロナ禍のような人流変化が起こりやすい状況下でも、“そのとき、その場所で、その広告を”見ると仮定される人数をもとに、限りなく実態に即した広告配信および課金体系を展開している。加えて、屋外・屋内、電車内、駅構内など日本全国の多様なDOOHを束ねた独自ネットワークに国内最大級キャリアのビッグデータを掛け合わせることで、性・年代別によるターゲティングなど、従来のOOHでは難しかった“ヒト”基点による配信を可能にした。


 

国内OOH領域への黒船来航

私自身、LIVE BOARD社に加入するまではデジタル領域への関わりしかなかったこともあり、正直なところ、デジタルの当たり前が通用しないOOHをよく分からないものと捉えていました。

そんな中、OOHが今も昔も変わらず生活に溶け込む形で存在し、大型かつ多様なスクリーンで訴求可能なユニークなメディアであることを知って、他媒体にはない魅力を感じるようになりました。先進的なテクノロジーを掛け合わせ、新たな価値を生もうとする「プログラマティックOOH」の取り組みにも大きな意義を感じていて、いち早く日本市場に浸透させるべく試行錯誤しています。

OOHの先端をいく欧米など海外の企業と仕事をする機会も増えました。彼らとのディスカッションや、業界イベント、およびソーシャルメディアなどを通じた発信に触れるほど、OOHが実は世界的な成長領域であることを肌で感じています。それをけん引するのが「プログラマティックOOH」という新しいコンセプトであり、ここ数年で欧米を中心に浸透しつつある印象です。そして日本にも、グローバルプレーヤーと呼ばれるような世界的な広告配信事業者が続々と進出を始めています。

なくなりつつある海外との垣根

「プログラマティックOOH」の波とともに、OOH領域において、日本に海外からのバイイング需要が押し寄せています。

これまで日本国内のOOHは、あまたある“枠”への個別問い合わせに象徴されるような煩雑さに加えて、その広告効果も明らかにしづらいものでした。それが、海外からの広告出稿依頼ともなれば、なおさら仲介する広告会社の負担が大きかったものと想像します。ここで、海外からのインバウンド需要において「プログラマティックOOH」の柔軟性が発揮された、当社の事例を2つ紹介します。

日本国内での出稿機会に際して、某広告主より、カナダ・モントリオールの当社パートナー・Hivestack社経由で、今すぐにでもOOH訴求を開始したいという依頼を受けました。私たちに連絡が入ったのは木曜の朝でしたが、出稿することができる期間が3日後の日曜までと決まっていたため、同日の夕方前にはスクリーン選定やクリエイティブ考査などすべての手続きを終え、関連性の高い都心エリアで広告配信を開始しました。

これはさすがに極端な例かもしれませんが、柔軟性は「プログラマティックOOH」の大きなストロングポイントです。入稿から広告配信までに必要なステップの多くを私たちのSSP(※1)で一元管理できることにより、これまでのOOHでは考えにくかったデジタル広告に近いスピード感を実現しています。もしかすると、日本からニューヨークのタイムズスクエアの広告枠を数時間後に買い付けるのと同じようなことかもしれません。このように、「プログラマティックOOH」によって海外との距離的・時間的な垣根は明らかに低くなっているように感じます。

※1 SSP:サプライ・サイド・プラットフォーム/広告枠を提供するメディア側のプラットフォーム。


 

世界横断のプログラマティック配信を実現

もうひとつの事例も、海外からのインバウンドの取り組みです。某世界的ラグジュアリーブランドの世界横断キャンペーンがありました。

ロンドン、ニューヨーク、ミラノ、シンガポール、そして東京のDOOHにて横断的な配信を行うべく、ロンドンの広告会社によって各都市のビルボード、ストリートファニチャーなどグローバル広告枠の一元的な買い付けが行われました。当社からはHivestack社のDSP(※2)を通じて都内の高所得エリアに位置するビルボード広告枠へのアクセスを提供しており、これは実質的に世界で初めての世界横断「プログラマティックOOH」キャンペーンとなりました。

東京においては約3カ月の期間中に複数のキャンペーンを連続展開し、代わる代わる掲載された広告クリエイティブ数は30を超えます。柔軟なクリエイティブの差し替えはOOHの性質上、簡単なことではありませんが、当社では各キャンペーンに応じたダイナミックなクリエイティブの差し替えおよび配信スクリーンの切り替えを、それぞれ1日足らずで実現しています。「プログラマティックOOH」では標準化・自動化された要素がとても多いため、いち早くクライアントニーズに応えることができるのです。

ここまで2つのインバウンド事例を紹介しましたが、これは当社と連携している各メディアのオーナーにとっても純粋な機会増であり、海外の大手ブランドからの買い付けによる空き枠の有効活用というさらなるメリットを提供できるものです。これからも、日本の多様なDOOH広告枠をそれぞれの都市やロケーションの魅力とともに広く海外へアピールしていこうと思います。

※2 DSP:デマンド・サイド・プラットフォーム/デマンドサイド(広告主側=需要側)が使用する広告配信ツール。広告主による広告効果の最大化を支援する機能を担う。


 

“ヒト”基点のOOHは、国内でも進んでいる

「プログラマティックOOH」は、すでに国内での取り組みも加速しています。個々人の携帯端末に割り振られたMAID(モバイル広告ID)を活用した、オーディエンスターゲティング(※3)の事例を紹介します。

某大手ゲームメーカーから、“野球好き”な人へ広告を配信したいという依頼を受けました。そこで、ロケーションベースでMAIDを抽出することにより、ターゲットの行動パターンに基づいたDOOH配信を実現しました。

まず、野球好きな人々が多くいるであろうロケーションを検討。たとえばプロ野球のホーム球場には観戦層が集まるでしょうし、野球用品専門店にはプレーヤー層が通っていそうです。このような考え方で選ばれた各地点にジオフェンスと呼ばれる境界線を設定し、特定の期間中、エリア内に任意の回数以上現れたMAIDを抽出します。

そして、彼らの日常的な行動パターンをもとにスクリーンごとのターゲット含有率をスコア化、“野球好き”と定義されたターゲットが周辺に多くいるであろうスクリーン×時間帯で自動的に広告枠の買い付けが行われるという、まさにプログラマティックな取り組みでした。

LIVE BOARD
これはロケーションデータを活用した一例ですが、今では、クライアントや広告会社にて保有されている1stパーティデータや3rdパーティデータを活用した、さらなる“ヒト”基点でのDOOH配信も現実のものとなっています。

ここまでお伝えしたとおり、より柔軟かつ、よりデータドリブンな「プログラマティックOOH」は世界的な成長領域です。国内パートナーとともに手探りで始めた取り組みも、今や世界中のパートナーとの取り組みにまで広がりつつあります。

太古の昔の壁画が起源とされるOOHを再発明するようなものですから、トライアル・アンド・エラーの連続ですが、これからも従来の常識にとらわれないOOHのニューノーマルを創造していきます。

※3:オーディエンスターゲティング:オーディエンス(ユーザー)の属性や行動履歴情報などを組み合わせたデータをもとに広告を配信するターゲティング手法。


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アスリートブレーンズ為末大の「緩急自在」vol.14

為末大さんに「いま、気になっていること」について、フリーに語っていただく連載インタビューコラム。唯一、設定したテーマは「自律とは何か、寛容さとは何か」。謎の「聞き手」からのムチャ振りに為末さんが、あれこれ「気になること」を語ってくれます。さてさて。今回は、どんな話が飛び出すことやら……。乞う、ご期待。

為末さん寄り

──前回、前々回と「ありがたみとは、何か?」というテーマで話を伺ってきましたが、今回はいよいよ「現代にとって、ありがたいものとは何か?」ということについて切り込んでみたいと思います。震災やコロナ禍を経験する中で、僕らは今、「人生にとって、本当にありがたいものとは、一体何なのか?」ということを、深く考えさせられていると思うんです。
前回のお話の続きで言うと、「当たり前のように思っていたものが、実は当たり前なものではなく、とてつもなくありがたい(有り難い)ものなんだ」という……。

為末:ありがたいの本質は希少性にある、と申し上げましたが、実は希少性だけではないんだと思います。抽象的な言い方をすると「有限性(刹那性)」や「独自性」に気付かされる、みたいな。つまり、この感動は永遠のものではなく、誰もが手に入れられるものでもなく、今、この瞬間、自分だけが味わうことのできるものである、ということ。

──それは確かに、ありがたい。

為末:別の言い方をすると、「自分にとって、かけがえのないもの」を見せられると、人は「ありがたみ」を感じるのだと思います。たとえば、オリンピックで活躍する選手を見るのは、確かに感動するけれど、それよりも、息子の運動会の姿を写した動画とかに、感動しちゃうじゃないですか。実際、その動画を撮ってくれたパパ友には、心から「ありがとう!」という気持ちになりました。

──マーケット上の価値はゼロなのかもしれませんが、確かにそれはグッときます。

為末:そう。ガキんちょが、ただ単に、走ったり飛んだりしているだけ、ですからね(笑)。でも、僕にとってはかけがえのない「ありがたいもの」なんです。

──分かるなあ。

為末:僕自身の仕事でいうと、「為末さんでないと」と言われて引き受けた仕事と、「誰でもいいからアスリート出身の人」みたいなことでブッキングされた仕事では、かける熱量が違ってきます。これは、僕みたいな特異な経歴をもつ人間だけじゃなく、すべての働く人のアイデンティティというか、モチベーションにつながる話だと思うんです。

──もっといえば、ブランドとかもそうですよね。

為末:「あなたじゃないと」は必然性がある、ということですから。その必然性が、価値を生む。加えて、昔のイノベーションって、なんでもかんでも「易しく(優しく)してくれること」に価値があったと思うんです。洗濯板を使わずに、洗濯ができるの?まき割りをせずに、風呂が沸かせるの?ああ、ありがたい、みたいな。

為末さん引き

──便利=ありがたい、という価値観にわれわれはまだとらわれていますよね。

為末:その分、ありがたみというものが、薄れてきている気がする。複写機やファクスができた時には、ああ、ありがたい!と思ったものだけど、何メガ何ギガの大容量!とか言われても、正直、ありがたみは感じない。

──分かります、分かります。

為末:その分、商品やサービスを提供する側は、僕自身も経営者なのでその一人ですが、もっとうまく「説明」をしなければいけないと思う。あなたの人生にとって、かけがえのないものなんですよ、という説明を。誰にとっても「ありがたい」もの、なんていうものは、そうそう出てこない。だからこそ、あなたにとって「ありがたい」ものなんですよ、と言われるとグッとくる。

──アイドルなんかも、そうですよね。世の中の女性全員が、なんとかちゃんカットをしていた時代とは、明らかに違う(笑)。

為末:面白い話があって、日本のとある出版社がエルメスのことを題材にしたマンガをつくりたい、という提案をエルメス本社にしたところ、「それは構わないが、一つだけ質問させてほしい。その漫画家は、馬には乗れるのか?」と言われたのだそう。

──ああ、それはグッとくる話ですね。

為末:ブランドの本質は「こだわり」なんだと思います。その漫画家は、馬具メーカーとしてのエルメスを、本当に愛してくれているのか?という。

──今回もまた、「ありがたいお話」の数々、ありがとうございました。

為末:こちらこそ、ありがとうございました。楽しかったです。

(聞き手:ウェブ電通報編集部)


アスリートブレーンズ プロデュースチーム 日比より

ありがたみから始まり、ブランドに帰結しました。ブランドの本質は「こだわり」。こだわりがあるからこそ、結果として、希少性があり、有限性と刹那性につながる。また、ゆずれないこだわりを、きちんと言語化すること、きちんと体現すること。その結果、ブランドは築かれていくのだと思います。自分たちが大切にしたいこと、こだわりたいこと、それは、なかなか、一言で表現するのは難しいと思います。だからこそ、外部から、アスリートとの対話で、こだわりを表出させ、それを、クリエイティブの力で、言語化・可視化していく。そんな形で、企業が抱える課題に応えていきたいです。

アスリートブレーンズプロデュースチーム 電通/日比昭道(3CRP)・白石幸平(事業共創局)

為末大さんを中心に展開している「アスリートブレーンズ」。
アスリートが培ったナレッジで、世の中(企業・社会)の課題解決につなげるチームの詳細については、こちら

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朝マック、女性は大幅なカロリーオーバーに要注意?賢明なメニュー選択は?

 今回の“栄養バランス対決”は、朝マックと朝モスです。マクドナルドは「ベーコンエッグマックサンド」「チキンマックナゲット5ピース」「プレミアムローストコーヒーS」の組み合わせ、モスバーガーは「モーニングバーガーB.L.T」「チキンナゲット5コ入り」「ブレンドコーヒー」の組み合わせで比較しましょう。

 なお、朝マックと朝モスは、店舗や地域によっては扱っていないところもありますので確認してください。また、モスのお客様相談室に確認したところ、朝モスと同時にチキンナゲットを購入できるかは店舗によって異なるとのことですが、本稿は購入できることを前提とします。

 対象は、30~49歳の男性と女性です。身体活動レベルは「低い」「ふつう」「高い」に分けられていますが「ふつう」の場合で検証します。

熱量は、男性はマック、女性はモスに軍配

 身体活動レベルが「ふつう」の場合、男性の1日の必要エネルギー(熱量)は2700kcal、女性は2050kcalになります。1日に、間食や夜食を取らず3食しか食べないとし、目標とする熱量を、朝食2:昼食3:夕食5の割合にすると、男性は「朝540kcal・昼810kcal・夕1350kcal」に、女性は「朝410kcal・昼615kcal・夕1025kcal」となります。熱量を比較すると、マックは、ベーコンエッグマックサンドが292kcal、3種合計で573kcalなので、男性では目標とする540kcalより33kcalオーバーですが、ほぼ同量です。

 バーガーをソーセージエッグマフィンにするとマフィンだけで475kcalになるので、ナゲットを食べると目標カロリーを超え、ナゲットを抜くとカロリー不足になります。

 女性は、目標とする410kcalを163kcalもオーバーしています。熱量を減らすためにナゲットを食べないと、303kcalしか摂取できないので、ちょっと不足気味です。熱量だけを考えれば、ソーセージマフィン(395kcal)とコーヒー(11kcal)の組み合せのほうが良いでしょう。塩分も、バーガーのなかでは1.8gと低めです。もちろん、コーヒーはブラックにしましょう。

 一方、モスの場合、男性は目標量より100kcal低いので、バーガーをモーニング野菜バーガー(331kcal)に代えると合計で531kcalと、ほぼ目標量になります。ただし、あくまで熱量だけを考えた場合です。女性は30kcalオーバーなので、この程度であれば問題ないでしょう。

3大栄養素はモスがややお勧め

 たんぱく質、脂質、炭水化物の3大栄養素のバランスを検証しましょう。前回も述べましたが、食事摂取基準の目標量は、総熱量に対し「たんぱく質が13~20%」「脂質が20~30%」「炭水化物が50~65%」です。中央値を取ると、たんぱく質16.5%、脂質25%、炭水化物57.5%となります。

 マックの場合、たんぱく質が32.1g×4kcal=128.4kcal、脂質が30.5g×9kcal=274.5kcal 、炭水化物が40.6g×4kcal=162.4kcalなので、総熱量573kcalに対して、たんぱく質22.4%、脂質47.9%、炭水化物28.3%の比率になります。

 モスの場合、たんぱく質が23.4g×4kcal=93.6kcal、脂質が19.5g×9kcal=175.5kcal、炭水化物が42.9g×4kcal=171.6kcalなので、総熱量440kcalに対して、たんぱく質21.3%、脂質39.9%、炭水化物39.0%の比率になります。

 3大栄養素のバランスを考えると、マックの場合、脂質は目標量の中央値より20ポイント以上多く、炭水化物は半分以下です。モスの場合も、炭水化物は中央値より20ポイント近く少ないですが、マックより多く摂取できます。特に脂質は、マックはモスより11gも多いので、モスのほうがお勧めです。マックの場合、昼食や夕食では脂質を取り過ぎないように注意しましょう。

トータル的には、男性には朝マック、女性には朝モスがお勧め

 塩分(食塩相当量)は、マックが2.9g、モスが2.3gです。塩分の摂取基準の目標量は、男性7.5g未満、女性6.5gです。マックは、男性が1日の目標量の約39%、女性は約45%摂取することになります。モスは、男性が約31%、女性は約35%です。どちらも、朝食としては少し多めです。昼食も夕食も、塩分の過剰摂取には注意しましょう。

 朝マックと朝モスの大きな違いは熱量です。男性には朝マック、女性には朝モスがお勧めです。女性の場合、朝マックで「ソーセージマフィン」と「コーヒー」だけにすると、熱量は406kcalになるのでほぼ目標通り、塩分も2.9gが1.8gと1.1gも少なくなるのでお勧めです。

熱量の目標必要量は年代、性別、活動レベルによってかなりの差がある

 今回の対決は、熱量の差が大きなウェイトを占めたかたちになりましたが、熱量の必要量は、年代や性別によってかなり差があります。

 男性の場合、必要量が一番多いのは15~17歳の2800kcal、次に30~49歳の2700kcal、30~40代より活動レベルが高いように思われる18~29歳は2650kcalです。また、身体活動レベルが高い人(よく運動する人)は、それぞれの年代で必要量が300~400kcal程度増やすように設定されています。

 女性の場合、必要量が一番多いのは12~14歳の2400kcalです。次に15~17歳の2300kcalです。身体活動レベルが高い人(よく運動する人)は、それぞれの年代で必要量が200~300kcal程度増やすように設定されています。ファストフードでは、食べる組み合わせで熱量や栄養成分の量がかなり変わってきます。それぞれの店のホームページには、栄養成分表が公表されているので、事前に参考にして選ぶようにしましょう。

マクドナルド:朝マック

【想定メニュー】

ベーコンエッグマックサンド

チキンマックナゲット5ピース

プレミアムローストコーヒーS

ベーコンエッグマックサンドをソーセージマフィンに代え、ナゲットを食べない場合

モスバーガー:朝モス

【想定メニュー】

モーニングバーガーB.L.T

チキンナゲット5コ入り

ブレンドコーヒー

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

●垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『新・買ってはいけない4~7』(共著・金曜日)など著書多数。

視聴率民放最下位の『めざまし8』が『モーニングショー』に勝てない致命的理由

 スタートして早や8カ月。谷原章介が司会を務める『めざまし8』(フジテレビ系)の視聴率は、一向に上昇の気配が見られない。そればかりか、11月2日にはさらに数字を下げてしまったという。

「2日の全体世帯視聴率は4.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人視聴率は2.4%でした。また、4日は世帯5.0%、個人2.5%と同時間帯の民放ワイドショーで最下位です。一方、王者を独走している『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)を見ると、2日は世帯9.4%、個人5.0%。4日は9.6%、5.2%と盤石です」(芸能ライター)

 3月29日の初回は世帯6.2%、個人3.2%と、前4週の平均(世帯5.9%、個人2.9%)を上回る幕開けだった『めざまし8』だが、以降は低空飛行を続けている。前の番組『とくダネ!』時代より数字を落としてしまっては、クビを切られた形の小倉智昭も浮かばれないだろう。停滞の原因としては、どういったことが考えられるのだろうか?

相次ぐ谷原章介の“発言スルー”問題

 致命的なのは、谷原がコメンテーターに話を振った後、投げっぱなしのまま締めくくろうともせず、別の話題に移ってしまうことだという。

「11月1日の放送では、前日に発生した京王線の刺傷事件について、元大阪府知事の橋下徹氏が『これ、身勝手なんですよ。身勝手なんですけど』と容疑者の凶行を断罪しながら『どこか受け皿的に支援というか対話をしてくれるような場所があれば、ここまでの犯罪にならなかったという可能性はある。社会の孤立・孤独対策のネットワークが必要』と言及しました。

 それに対して、谷原は『確かに予防措置・予防対策、必要だと思うんですけど』と返しただけで、『同じように電車内でこういう凶行な事件が突発的に起こった場合、鉄道会社でマニュアルとかあったりするんですか』と、いきなり視点を変え、専門家に事件対策について質疑したのです」(同)

 こうした“スルー”は時間の制約もあるため仕方ない面もあるだろうが、別の日にもコメンテーターの発言を受け流す場面が見受けられた。

 10月6日の放送では、地球温暖化や気候変動の予測モデルを開発したことが評価されてノーベル物理学賞を受賞した、米プリンストン大上席研究員・真鍋淑郎氏の特集が組まれていた。

 谷原はコメンテーターで元衆議院議員の金子恵美氏に「金子さん、僕たちにとって気候変動は生活に大きく関わっていますよね?」と質問すると、金子氏は「いち早く環境問題や気候変動について、こういう要因があると示したのは意義深い」と真鍋氏の功績を称えた。さらには、同氏がアメリカで研究を続けることになった背景として、日本の研究環境の遅れを指摘。「基礎研究というのは時間がかかるんですけど、こういう形で花開くんだということを示してくださったので、目先のことだけではなくて、若い研究者の方々への投資もしていかなければならない」と訴えた。

 金子氏が鳴らしたこの警鐘について、谷原は何か一言受けるのかと思いきや、いきなり「研究も内助の功あってこそだと思うんですよ」と真鍋氏の妻・信子さんの話題に切り替え、真鍋夫婦の関係性について3時のヒロイン・福田麻貴に聞いたのだ。

 福田のコメントの後、元水泳選手で元スポーツ庁長官の鈴木大地氏が金子氏の話にあえて戻し、「金子さんも先ほど指摘されてましたけど、これを機に、基礎研究への配分も考えて、素晴らしい研究者が生まれるように考えないといけないと思います」と主張した。

 しかし、この直後、谷原はまたもや鈴木のコメントを受けることもせず、「(真鍋氏は)ご自身もおっしゃってましたけど、『まさかこの分野でノーベル賞もらえると思っていなかった』と。逆に裏返せばそこまで今、地球が危機的状況にあるのかもしれない。僕たち一人ひとり何をできるか、これを機会に考えたほうがいい」と、今度は地球全体の話にスライドしていた。

「つまり、谷原が司会として各々の意見を集約して締めくくってくれないため、それぞれの発言が宙に浮いたままになってしまっているのです。当然、議論にもならない。これによって視聴者も高い満足感を得られず、フラストレーションがたまってしまって、谷原のちょっとした言葉にも引っ掛かるようになってしまうのです。また、谷原が時折、腕組みしながら人の話を聞くのも気になります。

 そもそも、番組が当初謳っていた企画コンセプトは『朝8時、目が覚める一番のニュースを谷原章介&永島優美が分かるまで解説する』というものですが、『分かる前でシャットアウトされてしまう』ため、このコンセプトも反故にしていることになります」(同)

 一方、『モーニングショー』の羽鳥慎一は、コメンテーターが言った意見をわかりやすく咀嚼して言い直し、軽く締めくくりながら次のコメンテーターに振るという芸当を見せるため、テンポ感も出て、見ていて“妙に引っ掛かる点”もなくスムーズに見られる。

『めざまし8』は番組構成も疑問だらけ

 さらに、『めざまし8』は番組構成的にも疑問点がいくつかあるという。

「オープニングでは毎日、『最新ニュースHOTワードランキング』というコーナーが放送されています。これはSNS、さらにAIがそれぞれ集計した記事を元につくった番組オリジナルのニュースランキングなのですが、そもそもSNSとAIの2つを集計する意味がわからない。特にAIが集計した記事に、それほど重要性があるのか。『とくダネ!』とは変わったことを印象付けるため、そして『何か変わったことをやりたい』という思いから生まれたコーナーなのかもしれませんが、視聴者的にはどうでもいい企画です」(同)

 また、ハプニングにしか目が行かない報道姿勢もネックになっているようだ。

「11月2日の生放送中、東京・吉祥寺の道路が陥没し、ごみ収集車がその穴に転落したというストレートニュースが入ってきたのですが、番組では通常の放送を中止し、穴を隔てた両方の道路にそれぞれ2人もリポーターを出動させて状況説明させ、CMをまたいで7分にもわたって報じていました。

 一方、同日の『モーニングショー』では、新型コロナの感染者数がなぜ少なくなったのかを解説している最中に道路陥没のニュースが入ってきたのですが、斎藤ちはるアナが一報を読み上げると、羽鳥は『また情報入りましたらお伝えするということでいいですかね』と、特集に戻っていました。この間、わずか1分です。

 番組の制作者によってニュースの優先度が違うことは当たり前ですし、むしろそれが健全ともいえます。しかし、どちらの番組が支持されているのかは視聴率という結果で表れている。それを鑑みても、『めざまし8』は視聴者の感覚とズレてしまっているといえるでしょう」(同)

 今後、『めざまし8』が浮上する可能性はあるのだろうか?

(文=編集部)

JRA Dr.コパ氏「阪神からの帰り遠いなぁ」楽しい競馬観戦が悲劇に!? 苦労人騎手「申し訳ありません」の真相

 6日、阪神競馬場で行われた12Rの3歳上2勝クラスは、池添謙一騎手の7番人気アーマーバローズが勝利。前走で最下位15着に沈んだ馬がリベンジの一戦で雪辱を晴らした。

 一方、このレースでよもやの殿負けを喫してしまったのが、嶋田純次騎手の2番人気キモンブラウン(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。

 16頭立てのダート1200m戦。8枠15番の外枠からスタートしたキモンブラウンは、まずまずのスタートを切ったが、無理には行かず。左隣のアーマーバローズを先へ行かせて4番手に控える。

 レースは前半600m通過35秒5の平均ペースで流れ、嶋田騎手は無理に急かさず3番手での追走を選択。その間に外からエスケーアタランタが位置を上げていき、キモンブラウンは外から被せられる形に……。

 それでもキモンブラウンは怯むことなく、好位3、4番手で最終コーナーを回って直線へ。満を持して嶋田騎手が追い出したものの、先行粘り込みが持ち味の馬にもかかわらずズルズルと後退。2番手から抜け出した馬が勝ち、逃げた馬も3着に粘った先行有利な展開のなか、不可解にも最下位に惨敗してしまった。

「キモンブラウンは、これまでのキャリア7戦で5度も逃げている快速馬ですが、スタートの速かったヴァカボンドにハナを譲りました。

ただ、前走もこの馬の2番手で好走していたように、逃げられなかったことだけが凡走の理由というわけでもなさそうです。

少し気になったのは勝負所で外から後続馬に来られて、内へ入ってしまったことでしょうか。エアアルマスなどもそうですが、砂を被ると極端に嫌がる馬も珍しくはありません。

キモンブラウンは前走で控えた競馬をしていますが、好位の外目を追走していたため、砂を被っていません。ダートのレースで逃げなかったのは前走だけでしたから、嶋田騎手からすれば想定外だったかもしれません」(競馬記者)

 嶋田騎手はレース後「前の2頭が速かったのもありますが、砂を被る形でいつもの走りをさせてあげられませんでした。申し訳ありません」と、自身が考える敗因についてコメントしていたことから、思い当たる節が何かしらあったのかもしれない。

「さぞかし残念なのは風水の第一人者として知られるDr.コパこと小林祥晃氏です。コパさんはキモンブラウンの馬主です。キモンブラウンの勇姿を見るため、急遽阪神競馬場まで足を運んでいます」(同)

 コパさんは自身のTwitterアカウントで6日13時に「思い立ち阪神競馬場へ」と、ツイートしている。その後パドックから撮影したキモンブラウンの写真を投稿しており、現地から愛馬を応援してことが想像できる。

「レース直後にコパさんが『負けて阪神からの帰り遠いなぁ』とツイートしています。ファンからは『お疲れ様です』などの励ましが、リプライ欄から見られます。思い立って遥々関西まで駆けつけたのに愛馬が最下位で相当ショックだったと思います……」(同)

 嶋田騎手はデビュー11年目ながら重賞未勝利で騎乗機会に恵まれない苦労人騎手だが、数少ないお手馬の1頭がキモンブラウンだ。コパさんのためにも、自身のためにも次走はキモンブラウンを勝利へ導いてくれることに期待したい。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……