パチスロ「ロングフリーズ降臨で4桁乗せ」残り○○○○G残しの爆乗せで閉店取り切れず!?

 ひろ吉のパチスロ「実戦」紹介。今回はパチスロで絶大な人気を誇るシリーズの第2弾『政宗2』について書いていきたい。

 本機は純増約2.0枚のART機で、通常時は主にレア役からART当選を目指す。初当り時は青7揃いで「隻眼ノ乱」、BAR揃いで「奥州BONUS」が確定し、また通常時に発生する6択の押し順当てに成功するとCZ「愛姫演舞」に突入。ここで6択の青7揃いを当てることができればART確定となる。

「奥州BONUS」は20G+ハズレ目出現まで継続する疑似ボーナスで、消化中は「天下道(秀吉猿舞の前兆ステージ)」や「秀吉決戦」の抽選を行う。「秀吉猿舞」は突入の時点で「隻眼ノ乱」が確定し、消化中の青7揃い(6択)で上乗せ特化ゾーン「秀吉決戦」へ突入だ。

 ART「隻眼ノ乱」は1セット50G+αのゲーム数上乗せ型で、消化中は成立役などで対決抽選を行い、勝利できれば上乗せ(青7揃い)となり、またART専用のG数天井到達でも上乗せが確定となる。さらに青7揃いの一部で突入する特化ゾーン「秀吉決戦」では、青7が揃うたびに上乗せし、政宗が敗北するまで継続する。フリーズ経由や「秀吉決戦」の消化中に突入する最強特化ゾーン「超秀吉決戦」では、85%の継続抽選に漏れるまで7揃いが発生するため、一撃“4桁超え”の大量上乗せも期待できる。


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 とここまで、スペックについて紹介してきたので、ここからは実戦の内容を紹介していく。

 この日は通常営業日だったので、のんびりとお昼頃に来店。あまりお客さんがいないお店だったので台は選び放題だ。「どのマシンを打とうかな?」とホールを徘徊していると、ここで爆裂機として人気がある『政宗2』が目に入った。この機種で良い思いをしたことはなかったが、他に打ちたい台もなかったのでとりあえず着席した。

 朝一はしばらく何もなく、300Gで引いた強チェリーからの前兆で勝利期待度の高いカゲカツとの対決に発展。無事勝利したが、残念ながら「奥州ボーナス」で50枚を獲得して終了した。

 その後も初当りも重く、500G手前までハマったところで突然画面がブラックアウト!まさかのロングフリーズが降臨したのだ。すでに投資は1300枚になっていたが、このフリーズで「簡単にプラスまで持っていけるだろう」と期待しながら「超秀吉決戦」を消化した。

 ここでのヒキは抜群で、7揃いが28回までいったところで終了。上乗せG数はなんと1070Gと、まさか4桁までいくとは思いもしなかったのでかなり嬉しい。さらにそこから上乗せが止まらず、G数は増え続けていく。

 10G~30Gほど消化するたびに7揃いが発生して30Gの上乗せを重ねていき、時折突入する「秀吉決戦」では200Gオーバーなどの大きな上乗せもあり、気付けば残り2000Gを超えていた。好調なまま消化していき、閉店まで残り3時間ほどになったところで「秀吉決戦」からなんと、再び「超秀吉決戦」へ突入したのだ。

 ここでは先ほどのような爆乗せはできなかったが、7揃い16回で540G乗せ、残り3200Gになり、取りきれないことが確定してしまった……。「とにかく一枚でも多くメダルを獲得する」と気持ちを切り替えてぶん回した結果、投資1300枚、回収8900枚で実戦終了となった。なお、ARTの残りゲーム数は2113G。時間さえあれば一撃15000枚も狙えただろう。

 取りきれなかったG数があまりに多くなったが、『政宗2』の凄まじい上乗せ性能を堪能できたので大満足だ。甘い台ではないが、波に乗っている時の上乗せ性能はかなり高いので、事故狙いで楽しみたい人にはおすすめの機種となっている。

(文=ひろ吉)

<著者プロフィール>

 IT業界の世界に興味を抱き、iPhoneアプリの開発を4年程経験。その後、WEBマーケティングの知識や経験を重ねてきた。パチンコ・パチスロのヘビーユーザーであり、機種のスペック等の研究に時間を注いでいる。現在はパチMAXにて、パチンコやスロットの考察記事・実戦記事をメインに作成中。自身が好む低純増・低ベース機の動向にも注目している。

新型スバルWRX、新時代のスポーツセダンに変身…速さ捨て経済性と実用性を優先

 SUBARU(スバル)の「WRX」が新型にスイッチした。排気量を2リッターから2.4リッターに拡大して誕生したのだ。ルーツともいえる1992年デビューの「インプレッサWRX」から数えて5代目。WRXの魂でもある左右対称のシンメトリーエンジンとAWD駆動方式をそのままに、新たなフェーズへと進化したのである。その名は「WRX S4 STIスポーツR」。スバル最強のAWDスポーツである。

 搭載されるエンジンは水平対向4気筒で、ユニットの構造上、低重心である。左右対称でもあり、理想的な左右バランスを誇る。ライバルのほとんどが左右非対称の横置きエンジンである。それを嘲笑うかのように、シンメトリーを武器にするのだ。

 となれば、おのずと組み合わされる駆動系も左右対称になる。左右均等バランスのエンジンの直後にトランスミッションが合体され、そこからボディ中央をプロペラシャフトがリアに貫く。リアのデフから左右等長にドライブシャフトが伸びて前後輪を駆動する。「シンメトリカルAWD」を標榜するのは、それが理由だ。

 エンジン排気量は2リッターから2.4リッターにスープアップ。すると想像できるのは大幅なパワーアップなのだが、新型WRX S4は、逆にパワーダウンしているのが特徴なのだ。かつてのような、舌先が痺れるような激辛スポーツではない。

 ターボチャージャーを小型にしたことで、高回転域の爆発力は影を薄めた。高回転域の腰を抜かしかけるような破壊力を失っている。

 だが、得たものが大きい。ターボの小型化は低回転域のレスポンスが得意である。大径タービンがフル過給するまでに間があり鈍く感じるのとは対照的に、右足のスロットルペダルの動きに反応するようになった。ドライバビリティが向上したのである。

 走りに軽快感が盛り込まれたのが、その証拠だ。たとえば、ワインディングを軽快なリズムで走行していても、微小なスロットルワークにエンジンが反応する。限界域をギリギリに攻め込んで初めてトップタイムを記録するような荒さではなく、日常的な軽快感が備わったのである。

 組み合わされるミッションも、ファミリーカーで常識的なCVTだ。無段階に自動変速するそれは、速さやスポーツカーとは無縁の優しさがある。どちらかといえば、経済性と実用性を優先したシステムなのだ。そんな穏やかな変速機と合体させているのである。

 ただし、ゴムを伸ばしたり縮めたりするような曖昧な感覚は抑えられている。かつてのWRXのような武闘派の6速マニュアルではないが、自動変速のリズムはマニュアル感覚に近い。ステアリング裏には、指で引くだけで変速するパドルシフトが組み込まれており、それを使ってシフトダウンを促せば、エンジンを空吹かししてギアダウンもする。

 その速さと正確性も鍛え上げられており、スバルの発表によれば、ドイツのスポーツカーのスポーツミッションと同等の変速タイミングだという。無段変速機CVTを採用したのは実用性であり、それでもスポーツ魂を失っていないというわけだ。

 新型WRX S4は、驚くほどドライバーに優しいセダンとなった。肌を刺すような刺激は抑えられ、オブラートに包んだような柔和さがある。それこそ、いま求められているスポーツセダンの新時代のスタイルなのかもしれない。

(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

甘デジ「一発長打」も狙える傑作で勝負!勝っているのに負けた気分になる…それがパチンコ!!

 噴水から飛び出した水は落下するまでの時間について短いと感じるのか長いと感じるのか。つまりは考え方次第なのである。

 一見すると停滞していると思われる事象も、実は最悪の期間を耐え忍んでいるのかもしれない。一方で、何事もうまくいき調子が良いと感じている時、それは坂道を下っている際の勢いである場合も考えられる。

 一進一退を繰り返して足踏みしているように見えるが、未来への飛躍に向けてタイミングを計っているだけなのである。陵南高校の背番号7番が発する言葉が聞こえてくるようである。「あわてるこたーない。おちついて攻めよう」と。

 さて、前回は『パワフル』のパワフルな連チャンに助けられた甘デジ10万発。今回もその流れにあやかって見かけ的には無難めな機種だが、町男的には一発長打も狙えるような、そんなマシンから入っていこうと思う。『PAドラム海物語IN JAPAN』である。

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パチスロ新台「初当り=90%ループ」万枚達成の爆裂報告も!? 有利区間突破で2400枚を超える出玉を体感!

 1/163.8と簡単には当選しない確率なはずなのに、なぜか謎に突発時短をよく引き当てるこの機種。今回も20回転ほど消化した場面で「花火タイム」図柄が揃い、20回転の時短に突入した。

 しかもこの時短中に大当りも引き当てるオマケつき。出来杉君も嫉妬する最高の展開ではあったが、連チャンはSTで1回大当りを上乗せするだけで終わってしまった。この流れなら出玉1000発以上は確保したいところだったが仕方がない。

 上々の出だしによって少し余裕ができたこともあり、ここでレア台を所望したのである。『CR真・花の慶次N2‐K』。いつなくなってもおかしくない機種だけにこの機会に打っておこうとチョイス。

 このシェフの気まぐれサラダが奏功し、11回転で赤保留から大当りを仕留め、52%の確変も引き当てることに成功したのである。まさによっしゃあ漢唄、120回転のSTは継続率71.4%に加え、25%で16ラウンド約1600発の出玉をもらえる爆裂性能となる。

 もう期待しかない展開だったが7ラウンド1発だけでSTを抜けてしまった。ピンクロン毛でなくともこう言ってしまう。なんそれ。

 すぐ当っているし連チャンもしているのになぜか負けている気分になるのが現代パチンコの怖いところ。甘デジであることも鑑みるべきだが1回の当りに対する価値が低く感じられてしまう。

 とはいえ、与えられた手持ちのカードでなんとかしなければいけないのが人生なら、導入されている機種のスペックで勝ちを目指さなければならないのがパチンコである。気を取り直して次へと向かうのみ。

 ながらも、多少気落ちしている部分もあるので、癒やしを求めて『PAわんわんパラダイスV』に着席。犬っこはかわええのうとほっこりしていると今度は9回転で猫群が出現。まったく予期していない事態になぜだか焦りまくって動向を見つめる町男である。

 Myカスタムで設定した猫群の信頼度は50%。体感だとけっこう外す印象のあるカスタムの50%群だが、ここではずばりと突き刺さり、見事に大当りをゲットした。

 しかし、好調なのもネタ切れとばかりに時短50回で引き戻すことができずに単発でもって旅が終了。出玉的には重たい感じで推移した回となった。


【G店】
・今回のトータル出玉 +1556発(シーズン総収支 -617発)
・実戦機種 3台(計14台/32台)

これまでの結果
A店【実戦機種26台、コンプリート(大当りさせた)台、16台/33台中・収支 -12249発】
B店【実戦機種21台コンプリート、収支 -16314発】
C店【実戦機種40台コンプリート、収支 +3917発】
D店【実戦機種20台コンプリート、収支 +12249発】
E店【実戦機種20台コンプリート、収支 -803発】
F店【実戦機種50台コンプリート、収支 +18618発】

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

JRAジャパンC(G1)「信じる者」は救われる!? シャフリヤールより魅力、ユーバーレーベン陣営の勝負度合い

 28日、東京競馬場で行われるジャパンC(G1)はグランドグローリー、ジャパン、ブルームといった外国馬3頭が出走を予定している。

 国際レースでありながら、外国馬の優勝は2005年のアルカセットを最後に、近年は日本馬が15連勝中。来日する馬のレベル低下も相まって、19年には創設39年目にして史上初めてとなる外国馬の参戦がゼロの非常事態もあった。

 今年はこのレースがラストランとなるコントレイル一強ムードが色濃いが、世界のA.オブライエン厩舎が送り込むジャパンとブルームは、コントレイルが避けた凱旋門賞(G1)に出走した実力馬でもある。日本でのホームだからと油断をしていると、手痛いしっぺ返しを受けるかもしれない。

 とはいえ、世界的にも速い時計の決着が多く、スピードを求められる日本特有の高速馬場での開催は日本勢にとって大きなアドバンテージだ。外国馬には一目を置くとして、打倒コントレイルの期待ができそうな馬を探ってみたい。

 真っ先に思い浮かぶのは今年のダービー馬シャフリヤールの存在だろう。同馬は日本ダービー(G1)で無敗二冠を目論んだエフフォーリアの野望を粉砕したほどの実力の持ち主である。

 天皇賞・秋(G1)でそのエフフォーリアがコントレイルを撃破したことを考えれば、コントレイル相手でも決して引けを取らないはず。戦前の下馬評で対抗の評価を受けているのも分かる話だ。

 ただ、シャフリヤールには負の運命を背負っている“ダービー馬”ということにマイナスイメージが付きまとう。

今年の出走馬に4世代のダービー馬が揃うことで話題となっているものの、8歳馬のマカヒキや6歳馬ワグネリアンはダービー以降に長らく低迷していた馬。主役を務めるコントレイルにしてもダービー以降に連敗している現状は決して他人事ではない。

 さらにシャフリヤールは今秋の神戸新聞杯(G2)で単勝1.8倍の大本命に支持されながらも勝ち馬から5馬身の後れを取る大敗を喫したばかり。青写真通りに一変するとは限らないだろう。

 これに対し、同じ3歳でも牝馬のユーバーレーベン(牝3、美浦・手塚貴久厩舎)は、案外面白そう。

 前走の秋華賞(G1)では5番人気に支持されたが、後方のまま見せ場なく13着に大敗。同世代の牝馬相手に敗れたことは気になるものの、オークス以来の直行だった上に、屈腱炎明けで調整も不十分な状況だった。

 最終追い切りでは悪くない動きを見せたものの、実戦となると勝手が違ったか。やはり、この凡走には管理する手塚師もレース前に「何とか間に合った」とコメントしていたように、中身が伴っていなかったことも無関係ではないはずだ。

 だが、休み明けを一度使われた効果はしっかりと表れた。3頭併せで行われた美浦Wコースの最終追い切りで外ムスコローソと併入し、内アルビージャには半馬身先着。タイムも5ハロン68秒0、ラスト1ハロン11秒9なら上々といえる。

「通常なら秋華賞の後にエリザベス女王杯(G1)に向かうケースが多いところをあえてのジャパンCというところに厩舎の本気度が伝わります。オークスを制した舞台ということは当然ながら、手塚師の本音は最初からここ狙いだったのではないかという気もしますね。

エリザベス女王杯のウインマリリンにしても泣きのコメントをしていた通りに、本調子とは思えない走りでした。先週のマイルCS(G1)では自信を隠さなかったシュネルマイスターが2着に好走したように、嘘をつけない人なのかなとも思います」(競馬記者)

 公正競馬が大前提だけに、こういったものはあくまで憶測に過ぎないとはいえ、秋華賞を叩き台にして本命がジャパンCという理屈には一応の説得力はある。

 過去を振り返ってみても3歳牝馬は12年にジェンティルドンナ、18年にアーモンドアイが優勝。13年には7番人気デニムアンドルビーが2着に入った。そして、先述したアーモンドアイから19年2着カレンブーケドール、昨年のデアリングタクトと、3年連続で馬券圏内の3着以内に入っている。

 こういったことも考慮すると、53キロで出られることは魅力。鞍上も08年のジャパンCでウオッカ、ディープスカイ、メイショウサムソンらの強豪を相手に9番人気スクリーンヒーローで勝利したM.デムーロ騎手だけに、一考の価値はありそうだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

JRAジャパンカップ、三冠馬コントレイルに最終審判!絶対に買うべき意外な穴馬

歴史に残る一戦が始まる

“コントレイルは強いのか、それとも弱いのか”

 最後の審判となる究極の一戦が、今週末に東京競馬場で行われる日本中央競馬会(JRA)のジャパンカップ(G1)だ。昨年、ディープインパクトに続き無敗のクラシック三冠を達成したコントレイル。その強さは“ディープインパクトの再来”とも言われた。しかし、その後のジャパンカップでアーモンドアイに負け、今年の大阪杯、そして天皇賞・秋も敗退と、昨年の菊花賞勝利を最後に3連敗中。成長力を疑問視する声もあり、その汚名を返上するラストチャンスが、このジャパンカップである。

 このジャパンカップはコントレイルにとって引退レース。ここを勝利できるか否かによって、引退後の種牡馬としての価値、つまり種付け料や相手の牝馬の質に影響する。ディープインパクトは種牡馬となって数々の名馬を生み出し、オルフェーヴルも産駒マルシュロレーヌがブリーダーズカップ・ディスタフ(G1)を勝利と結果を出しているだけに、同じ三冠馬のコントレイルにかかる期待も高いだろう。

 そのコントレイルに立ちはだかるのは、今年の日本ダービー馬シャフリヤールだ。ただし、復帰戦となる神戸新聞杯(G2)は1番人気に支持されながら4着と敗退。雨が降った馬場のせいという声もあるが、それだけが敗因と簡単に片付けられるものではあるまい。

 さらに、日本ダービー馬で10月の京都大賞典(G2)で2016年以来の勝利を達成したマカヒキ、同じく日本ダービー馬ワグネリアン、菊花賞馬キセキ、前哨戦のアルゼンチン共和国杯(G2)を制したオーソリティ、カレンブーケドール、ユーバーレーベン、アリストテレスと、興味深いメンバーが揃った。

 もちろん、海外から参戦する3頭の外国馬、ジャパン、ブルーム、グランドグローリーも侮れない存在。ジャパンカップは優勝賞金が今の3億円から来年は4億円にアップすることも決定しており、その賞金額に恥じない激戦となるだろう。

 また、ジャパンカップはファンにとっても大きな意味を持つレース。昨年の馬券売上は272億円を超える破格の金額。その75%が払い戻しで還元されるから、およそ200億円。競馬はその払戻金を取り合うゲームでもある。加えて、ジャパンカップは通常のレースよりも配当が高くなる傾向にあり、仮にコントレイルとシャフリヤールの決着であっても、それなりのオッズが見込める。そして、日本中が注目するこのレースを的中できれば、周囲から“神”と崇められるかもしれない。そういった意味でも、ぜひこのジャパンカップは馬券で勝負したいレースだ。

 しかし、難解な国際招待競走であるジャパンカップは、簡単に的中できるほど生易しいものではない。現にコントレイルとシャフリヤールを脅かす、意外な穴馬がスタンバイしていることが発覚。その詳細を把握し、しかもその情報を一般向けに無料公開すると発表したのが、創業40年の歴史を持つプロ中のプロ集団「ホースメン会議」だ。

 創業40年ということは、今年で41回目を迎えるジャパンカップとほぼ同じ歴史を持つ。つまり、創成期からジャパンカップを見続けてきたわけで、このレースの特性や傾向、そして関係者の思惑や、どういった馬が好走しやすいかなどを知り尽くしている。

 さらに、ホースメン会議に所属する一流スタッフが、その情報精度と分析力を強力に後押し。多くの競馬ファンから『最強の競馬予想家集団』と評されているが、あながち言い過ぎとも思えない。では、実際に彼らはどんな情報を入手し、どんな結論に辿り着いたのであろうか。

40年の歴史だけが証明できるもの

「ホースメン会議は、“競馬の神様”と呼ばれ、今の競馬予想の礎をつくり上げた故大川慶次郎が設立し、今年で40年の歴史があります。40年間変わらず競馬情報の収集と分析に集中し、それを極めることだけを追求してきました。そしてファンの皆様に確かな情報、的中の感動を届けたい、そんな大川の想いを今も受け継いでいます。

 現在総監督を務めるのは、大川の愛弟子として日本競馬予想界を牽引する能勢俊介。彼はさまざまなメディアで活躍していますが、能勢が本気で『これは獲れる』と確信した時は、多くの伝説的な結果を生み出してきました。そして能勢をサポートするのが、元JRA騎手で菊花賞などのG1レースを制した東信二。後輩である騎手や厩舎スタッフからの情報はもちろん、さまざまな関係者とのつながりで、マスコミでは入手できない本音や裏ネタを数多く把握しています。

 また、東西の大物調教師と懇意にする“関西競馬記者のドン”として知られる米原聡など、超一流のスタッフが揃いレースを分析しています。そのメンバーが全員一致で『これは絶対に買い』だと断言するのが、ジャパンカップに出走する“ある穴馬”なのです」(ホースメン会議スタッフ)

 ホースメン会議の説明を聞くと、これぞ本物という雰囲気がひしひしと伝わってくる。そして気になるのは、やはり彼らが掴んだジャパンカップの穴馬だろう。

「幸運なことに、コントレイルが引退レースとなり、レース後に引退式を行うことが決定しています。この背景には意外な噂があるのですが、ここでは控えておきましょう。いずれにせよ、これらがカモフラージュになり、我々が入手し絶対の自信がある穴馬については、多くのマスコミはほぼ触れていません

 また、このレースには外国からライアン・ムーアやクリスチャン・デムーロといった一流ジョッキーが来日し、さらに福永祐一、川田将雅、クリストフ・ルメール、ミルコ・デムーロ、武豊、横山武史といった日本のトップジョッキーも揃うことで、そちらに話題が集中しています。そういった要素が絶好の隠れ蓑になり、我々の期待する穴馬券の期待値が日を追うごとに上昇しているのです。これほど楽しみなレースはないでしょう」(ホースメン会議スタッフ)

 この話だけを聞いても圧倒されるが、さらにそれを後押しするのが、この秋の好調ぶりだ。

「ジャパンカップの前哨戦としてお馴染みのアルゼンチン共和国杯では、しっかり万馬券を的中。さらに、11月は多くの高配当馬券を的中させており、11月14日の東京11Rでは、11番人気で勝利したハーフバックを本命に馬連・1万1120円と3連単・19万3550円を的中となっております。

 参考にされた方からは『70万円以上儲けた、ありがとう!』といった声も。ほとんどのスポーツ紙や競馬専門紙で無印だった11番人気の馬に本命を打つわけですから、当然、マスコミでは把握していなかった裏情報があったわけです。ほかにも5万馬券などを的中させており、11月はかなりのプラス収支となりそうです」(ホースメン会議スタッフ)

 なんとも羨ましい話だが、我々にもまだまだチャンスは残されている。今週末のジャパンカップはもちろん、来週末のチャンピオンズカップや暮れの有馬記念においても、さまざまな無料情報を公開してくれるとのこと。まず、このジャパンカップについては以下の内容となっている。

「自信の穴馬が出走するジャパンカップは、競馬ファン拡大のチャンスですからね。現場の関係者からも要請がありますし、大きく協力していただいているので、なんとしても的中させたいと思っています。今回無料で提供するのは、穴馬3頭を含めた厳選買い目となります。完全無料ですので、ぜひ遠慮なく参考にしてください」(ホースメン会議スタッフ)

 超一流のスタッフ、ほかでは入手できない核心の情報、そして実力を裏付ける的中の数々。これだけ揃えば、これ以上の説明は不要だろう。日本中が注目するジャパンカップ、引退レースとなるコントレイルの裏に隠された激走情報を入手し、高配当馬券を狙おうではないか。このジャパンカップを逃せば、二度と同じレースはない。だからこそ、ホースメン会議が無料で提供するこのチャンスは、絶対に逃すべきではないと断言する。

(文=編集部)

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※本稿はPR記事です。

「川田将雅を買うだけで儲かる」は本当なのか!? 交流重賞の「神」が残した驚異のゴールドラッシュ

 23日、浦和競馬場で行われた浦和記念(G2)は川田将雅騎手の1番人気メイショウカズサ(牡4歳、栗東・安達昭夫厩舎)が勝利。前走の白山大賞典(G3)に引き続き交流重賞連勝を達成した。

「何とか勝ってくれた」

 2馬身差の快勝とは裏腹に、川田騎手の声のトーンは決して高くなかった。他の馬がスムーズにゲート入りを進めていくなか、メイショウカズサは機嫌を損ねてゲートインを拒否。その後ゲートに入ってはくれたものの、スタートもあまり良い飛び出しではなかった。

 それでも川田騎手が「やる気がない中で強めにうながして、気持ちを切らさないように走らせた」と振り返ったように、スタート後に押して出ていって、ベストポジションのハナは譲らず。それからゴールまで誰にも先頭の座を明け渡さなかった。

 馬の気持ちを優先させた川田騎手の好騎乗に、ファンからはネット上の掲示板やSNSなどで「さすが川田騎手!」「川田騎手じゃなければ負けていたかも」などの声が、上がっていた。さらには「川田騎手は地方競馬の神」「交流重賞は川田を買うだけで儲かる」と大絶賛するコメントも見られた。

 しかし、それらはあながち間違いではないかもしれない。今年の交流重賞は24日までに計34R開催されたが、川田騎手は約半数にあたる18Rへ騎乗。そして、驚くべきは「11-1-2-4/18」という川田騎手の成績である。

 なんと川田騎手は今年行われた交流重賞の1/3にあたる11勝をマーク。さらに勝率は脅威の約60%で、連対率も約67%と交流重賞に乗れば「基本2着以内」の素晴らしい成績を残している。特に素晴らしかったのが2月の佐賀記念(G3)から4月のマリーンC(G3)の期間で、全て2番人気以内の人気馬へ騎乗したとはいえ、騎乗機会5連勝を達成している。

「18R中16Rが3番人気以内と、騎乗馬の質に恵まれているのは事実です。しかし、舞台は中央競馬と異なり経験の少ない地方競馬のコースです。小回りで順当な決着になりにくいコースやトリッキーで乗り辛いコースもあるなか、人気馬といえども実力通りの結果を出し続けるのは、ジョッキーの腕があってこそ。

4度ほど着外に敗れていますが、その中にはレース中に熱中症を発症したスパーキングレディーC(G3)のテオレーマや、怪我からの長欠明けでレース後に引退を発表した日本テレビ盃のクリソベリルが含まれています。

そういった騎手どうこうで敗れたとは断言しづらいレースを除けば、18R中2Rしか馬券圏外になっていないということになります。さすが今年の交流重賞で1番多く勝っているジョッキーです」(競馬誌ライター)

 仮に今年の交流重賞で川田騎手の騎乗馬の単勝を毎回1000円ずつ購入していたとすると、18000円投資で回収は30350円。何と「交流重賞川田転がし」で、1万2000円近くものリターンがあったのだ。

「今からでは遅い」と思った方もいるかもしれないが、まだ大丈夫そうだ。地方競馬は一般企業でボーナスが支給される師走の時期に、交流重賞を多数用意しており、東京大賞典(G1)など年内で5Rも控えている。

 年末の有馬記念(G1)やホープフルS(G1)でボーナス片手に一獲千金を狙うファンにとって、「交流重賞の川田騎手」を狙い撃ちすることは1つの手かもしれない。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

あの居酒屋業界の風雲児、破産までの顛末…相次ぐ訴訟、賃金未払い、売上急減

 個室居酒屋「柚柚~yuyu」などを展開するアンドモワ(東京都港区、飛髙和也社長、非上場)は10月29日までに事業を停止した。近日中に破産を申請する。東京商工リサーチによると負債総額は約100億円。

 アンドモワは2005年6月、川中和幸氏が大阪市堂山町で居酒屋を創業したことに始まる。06年4月に川中商事を設立して、大阪・東京など都市圏を中心に居酒屋チェーンの展開に乗り出す。「竹取御殿」や「桜坂」といった宴会を主眼とする個室居酒屋を全国に展開。職場の同僚や大学の部活仲間と個室で飲む安価な居酒屋として、20代の若者を引きつけた。営業の本拠地を東京に移し、店舗の買い取りによるスピード出店で創業7年目の13年に350店舗を達成し業界の風雲児と呼ばれた。

 芸能人がプロデュースした居酒屋も幾つか手がけている。元横綱・若乃花こと花田勝氏がプロデュースした「個室居酒屋 若の台所」「個室居酒屋 赤鶏御殿」などを関西を中心に約60店近く展開している。

賃料請求訴訟も

 川中商事はホームページを持っていないため「本社がどこにあるかわからない謎の会社といわれた」(外食関係者)。11年から14年にかけて、川中商事が経営する神奈川県川崎市、兵庫県姫路市、宮城県仙台市の各1店舗でノロウイルスによる食中毒が発生、営業停止処分を受けた。

 12年3月、居酒屋「さくらさくら新小岩店」で火災が発生した。消火活動によりビル内に入居するパチンコ店が水浸しとなり、遊技台や設備が使用不能になった。パチンコ店は居酒屋を運営する川中商事に2億4000万円の損害賠償を請求した。不祥事が重なり経営が悪化。川中氏は川中商事の経営を断念した。15年9月、川中氏は社長を辞任。商号をアンドモワに変更した。翌10月、投資ファンドがアンドモワの株式を取得し、16年8月に飲食店運営の子会社9社を吸収し現体制となった。

「阪神タイガース酒場」やアニメカフェなど話題性のある業態を出店。特に個室居酒屋に強みにもち、宴会需要をメインターゲットとした。ネット上のプロモーションを重視した営業を強化し、19年8月期の売上高は約180億円をあげていた。

 しかし、不採算店舗の撤退による損失などで赤字計上が続いていたうえ、20年の初頭以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、メインとしてきた宴会需要が消滅。20年8月期の売上高は、およそ98億円に激減し、大幅な赤字を計上、債務超過に転落した。

 20年6月に全店舗を休業し、従業員のリストラのほか順次店舗の撤退を進めていた。その後もたび重なる「緊急事態宣言」の発令などで事業環境の悪化が続くなか、入店していたビルオーナーなどから複数の賃料請求訴訟を受けた。SNS上で賃金未払いが話題になり、資金難が表面化した。21年10月に緊急事態宣言は解除されたが営業再開のメドが立たず、事業継続を断念した。

飲食業の倒産は557件

 東京商工リサーチがまとめた2021年1月~10月の飲食業倒産(負債1000万円以上)は557件(前年同期比23.6%減)。コロナ禍の各種支援策が奏功し、倒産件数は前年同期を下回った。それでも休業や時短営業、酒類の提供制限に加え、団体客による宴会需要が蒸発した居酒屋は大打撃を受けた。居酒屋の倒産は130件で30年間で過去2番目の多さだという。

 飲食業のなかでも、コロナが直撃したのが居酒屋だったことが鮮明になってきた。今後、上場企業クラスの経営の行き詰まりが表面化しないとも限らない。居酒屋は、今でも危険水域から脱出できていない。

(文=編集部)

クリエーティブ・テクノロジストが電通にもたらした「モメンタム」とは?

本連載では、若き“デジタルクリエーティブ人材”たちによるグループ横断ワークショップ「dentsu prototyping hub(※)」を通じて、電通クリエイティブの未来を浮き彫りにしていきます。

第1回:僕たちが電通で「クリエイティブ×テクノロジー」を広める理由
第2回:デバイスやビジュアルを自在に制御。「最速のプロトタイピングツール」がクリエイティブを変える


最終回は、ワークショップ発起人の電通・斧涼之介と藤大夢、そして電通デジタル・川村健一のメンバー3人が、実施したワークショップを通じて見えてきたクリエイティブの未来と、クリエーティブ・テクノロジストが電通内で果たすべき役割について語り合います。

そこで見えたのは、クリエイティブとテクノロジーがごく当たり前に融合する未来像でした。

※ dentsu prototyping hub
“アイデアをテクノロジーで具体化する”をテーマに、コード不要のビジュアルプログラミング言語「TouchDesigner」や3DCGモデリングソフト「Blender」のワークショップを実施。これまでに電通グループから延べ300人以上が受講。

 

dentsu prototyping hub
<目次>
広告クリエイターがテクノロジーを「自分ゴト化」する意義
クリエーティブ・テクノロジストが「チームにいる」ことの強みとは?
理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「モメンタム」

広告クリエイターがテクノロジーを「自分ゴト化」する意義

斧:今回2つのワークショップを実施してみて、2人はどう感じました?

藤:企画提案時は「10人ぐらい集まればいいかな」と思っていたけど、最初の「TouchDesigner School」から100人以上の方が参加してくださったので、「電通グループに、自主的にテクノロジーを学びたいと思っている人がこんなにいたのか」と驚きました。

川村:参加人数もだし、受講者の熱量も僕たちの想像以上でしたね。テレビCMや広告のグラフィックをつくってきた広告クリエイターは、クライアントの課題に対するアウトプットの質がとても高い。そんな人たちが、テクノロジーを用いたクリエイティブを自分ゴト化したら、いったいどんなアウトプットになるのだろう。これまでに見たことがないクリエイティブが生まれるんじゃないかと、ワクワクします。

斧:そして「TouchDesigner School」の評判が広まったおかげか、第2回の「Blender School」では受講者がさらに倍増しましたね!僕らも2回目で運営に慣れてきたし、講師のM designさんが、初心者でも理解できるようにBlenderの基本要素を丁寧に教えてくださったおかげで、3Dモデリングの世界に踏み込む入り口の講義として、かなり良いものになったのではないかと思います。実は、学んだ人たちが独学でBlenderを続けていきやすいように、今後のことまでよく工夫してくださっていて。

川村:「Blender School」は、僕も見ていて、既存のAD(アートディレクター)が入りやすい内容だと感じましたね。Blender界隈でも、M designさんのような、いわゆる“デザイン的な知識”を持っている人って希少なんです。だから広告クリエイター向けの講師として、かなり良い人選だったな、と。今はコロナ禍で、バーチャルの領域がすごく大きくなっていますよね。Blenderは電通のADたちがもともと持っていたノウハウをその領域で活用するための、大きな武器になると思います。

斧:最近、Blenderの使われ方がすごく多岐にわたっていて、映画やアニメで使っているケースもよく見るし、こういう「今、アツいツール」を皆さんとこの時期に一緒にやれて良かったなと思います(笑)。

川村:あと個人的には、電通のグループ企業からさまざまな組織やチームがワークショップに参加してくれたことが刺激になりました。今まで知らなかったXRの専門チームに出会えて、今後の仕事でも交流していきたいと思いましたし、「電通グループにこんな人たちがいたんだ」という発見は、僕だけじゃなく、受講した皆さんにもあったと思います。このワークショップが、グループ企業のいろんなクリエイティブチームの存在を知り、交わるきっかけになれば面白いな、と。

クリエーティブ・テクノロジストが「チームにいる」ことの強みとは?

斧:もともと、dentsu prototyping hubを立ち上げた背景には、「マス広告のクリエイティブでコンテやカンプといったプロトタイプを作ってきたのと同じように、テクノロジー系の企画でも体験可能なプロトタイプを誰もが提案できるようになれば、企画書では伝えきれない面白さが伝わり、素晴らしいクリエイティブが世の中にもっと増えるはず」という思いがありました。この連載でも僕や川村さんが問題提起をしてきたけど、藤はどう思う?

藤:同感です。そして思っていた以上に、今の状況に危機感を持って「変わりたい」「でもきっかけがない」と感じている人たちが電通グループにいることが分かったし、その人たちから「こういうきっかけがもらえたのがうれしい」と言ってもらえたので、そこは本当に良かったな、と。

斧:たしかに、「テクノロジーを学ぶきっかけが欲しかった」というのは、アンケートでも多かった声ですね。「Blender School」の満足度への質問にも、95%の方が「満足」と回答してくださいました。

藤:ただ、まだ始まったばかりだし、ワークショップでの学びをいかに日々の実務にフィードバックしていけるのか?というのは、今後の最大の課題だと思います。短期間ワークショップで学んで、「面白かった」だけで終わってしまってはもったいないので。今後第3回、第4回と続けていくに当たっては、中級編というか、「具体的にそれぞれの案件に落とし込んでいけるもの」もやっていかなきゃいけないと思っています。

斧:もちろん、そうですね。とはいえ、今の段階でも、例えばあるADの先輩が、「さっそくスクールで学んだことを活用して、Blenderでプロトタイプを作ってクライアントに提案したら、評判が良かった」という話を聞いて、それはうれしかったですね。あと、「人生の新しい楽しみができた!」と言ってくれる先輩もいたり(笑)。そういう話を聞くと、わずか2回のワークショップだけど、少しずつ変化は起き始めているし、電通の表現をより広げる芽が出始めているのかな、と。

藤:加えて今回、「クリエイティブ以外」の受講者も多かったですよね。「今まで専門外だから任せきりだった領域に自分が触れてみたことで、より親近感を持って取り組めるようになった」と言ってくれたプロジェクトマネージャーもいました。進行管理をするような立場の人が「作り手の気持ちが分かる」というのは大事なことなんじゃないかと。

斧:うん。一緒に仕事をするために、「共通言語」ができることに価値がある、ってことですよね。

藤:そういう意味で、受講者の皆さんにとって「テクノロジー系のクリエイティブ」が、特殊なものじゃなくて、電通の培ってきたクリエイティブの可能性を大きく拡張するものなんだということを知ってもらえる場にもなったのかな、と思っていて。

斧:確かに今回のワークショップには、そういう意識のギャップを埋めるような効果もあったかもしれないですね。それで、もともとの志としては、プロトタイプというか、少なくとも「ラフまでは作れる人」を増やしたかった。でもワークショップを実際に2回やってみた今思うのは、ゆくゆくは、「完パケまで持っていけるプレーヤー」の数を増やしていくことが、この先は大事なのかな、ということです。最近、ある案件を見てつくづく感じたんですが、「チーム内で完結できる体制じゃないと出せないもの」があるんですよね。まずはプロトタイプを作って、ブラッシュアップして、というループをチーム内で完結できないと、最後まで走りきれない案件が増えてきている気がします。

川村:それはありますね。内部だけである程度は完結できないと、そこで「試行錯誤」できないですからね。

斧:そうなんです。テクノロジー系の企画で「試行錯誤のスピード」を上げるのも、同じチームにテクノロジストがいないとできないことなんです。

藤:あと、クライアント側からしても、具体的にイメージしづらい未知の提案に「やりましょう」ってそう簡単には言えないですよね。よく分からないものに予算を使うのって普通に怖いはずだし。だからこそ、電通のチーム内で「面白い体験」をプロトタイプで作って、クライアントの不安をワクワクに変える必要があって。それは、クリエーティブ・テクノロジストの大きな役割だと思います。

斧:クリエーティブ・テクノロジストが持つ「ワクワクに変換するスキル」は、クライアントに対してはもちろんのこと、チームメンバーに対しても有効ですね。僕自身、とあるVRのプロジェクトで、企画書だけだと「それ、本当に面白いの?」という疑念がチーム内で起きていたので、VRのプロトタイプを作ってメンバーに体験してもらったんです。そしたら、みんな乗ってきて、ヘッドマウントディスプレーを着けながら「こう改善するともっと面白くなるんじゃないか?」というポジティブな反応がたくさん出てきました(笑)。「作りながら考える」ことの大切さを実感できた経験でしたね。

藤:企画の初期段階からプロトタイプで具体的な方向性をすり合わせできれば、目指すべき着地点をチーム内で共有できるし、クライアントの満足度向上にもつながりますよね。僕も競合プレゼンの提案でARのプロトタイプを持っていったところ、クライアントが感動して、予算を追加して採択してくださったこともありました。

川村:そういうケースは、きっと今後、増えていくと思います。僕も経験上、体験可能なプロトタイプを作り、会議やプレゼンの場でみんながUXを試し、企画・デザイン・開発を組み合わせていく手法がテクノロジーを活用するプロジェクトでは有効だと思います。テクノロジーを知っている人が企画段階から入っていないがために、条件にフィットしない実現可能性の低い企画を提案してしまってから慌てる、というのは、最近よく聞くあるあるですし。

藤:提案が通っていざ作ろうとした時に予算にはまらない、技術的に実現できないっていうのは、とてもつらいですからね……。クリエイティブは常に予算とのバランスをシビアに考えなければならないものなので、クリエーティブ・テクノロジストは「アウトプットを保証する」役割も担うべきなんです。必ずしもプロトタイプを作らなくても、提案段階からクリエーティブ・テクノロジストがいれば、実現可能性は判断できます。

川村:そういう意味では、クリエーティブ・テクノロジストがいろんな案件の初期段階から参加するカルチャーを育てることが、すごく大事ですよね。

藤:実際に、テクノロジー系のクリエイティブに強い会社は、クリエーティブ・テクノロジストがプロジェクトの上流から交ざり合っていますよね。これからの時代は絶対にそうあるべきだし、それができなければ、新しくて面白いものは作りにくくなると思います。

斧:その意味では、ただ単にツールを覚えてもらうだけでなく、「クリエーティブ・テクノロジストのマインドセット」も共有して、社内の意識改革的な役割を担うことも、dentsu prototyping hubの存在意義になってきた気がします。実際にいろんな人に自分の手で触れてもらうことで、「テクノロジーは、特殊なもの」というカルチャーに変化を起こせる、というか。

理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「モメンタム」

藤:正直、「テクノロジーは、特殊なもの」と思われている状況を変えるのは難しいと思っていたんです。でも、今回のワークショップを通して、電通社内の危機意識やテクノロジーへの関心の高さを知って、考えが変わりました。dentsu prototyping hubを起点に、クリエイティブとテクノロジーが当たり前のように混ざり合う新しいカルチャーを創っていけるかもしれないな、と。

川村:先ほどの「マインドセットの共有」という考え方は重要ですね。テクノロジーはどんどん新しくなるので、インプットできる環境をいかに作り続けられるかが生命線です。テクノロジーそのものだけでなく、学び続けるためのマインドセットも含めて、dentsu prototyping hubが「学びのコミュニティ」の役割を担っていければいいですね。

斧:もちろん、僕らも運営として、受講者がクライアントに提案できるレベルのプロトタイプを作れるよう、技術的なサポートをしたいです。今後は、さっき藤の言っていた“中級編”“応用編”じゃないですが、電通が日々向き合っているような抽象的なお題を、TouchDesignerやBlenderで解決するワークショップもやってみたいですね。

藤:そこは、このワークショップに感じている一番大きい課題だからね。いかに実務にフィードバックできるか、という。

川村:いいですね!実は今日これが一番言いたかったことなのですが、今回の取り組みの最大の成果は、クリエイティブとテクノロジーに関する社内のギャップを埋める「モメンタム」を、斧さん、藤さんという若手が中心となって起こせたことです。

「モメンタム」とは、簡単に言うと「理想と現実の間にあるギャップを埋める勢い、熱量」のこと。僕はこの「モメンタム」をすごく重視しているんです。なぜなら、クリエイティブの指標をアウトプット自体に置くのではなく、アウトプットが生み出した反響や実際の効果に置くことでクリエイターの行動が変わる、と20年以上テクノロジーの世界にいて感じているからです。

テクノロジストは、アウトプット作りに集中し固執しがちです。それは決して間違いではないのですが、超絶技巧だけで世の中を圧倒するためには相当な経験と時間が必要です。でも、考え方一つ、行動一つで自分たちの今の立場や力量を超えた「モメンタム」がつくれるんですよね。それを2人はdentsu prototyping hubで実現している。

電通でも珍しい、グループ横断のワークショップが、現場の若手主導で発生したことには、とても大きな価値があると考えています。そんなことができたのは、「理想と現実のギャップを埋めるために何かしなくちゃいけない」という、クリエイティブ×テクノロジー人材ならではの熱意とアクションの結果、と言えるでしょう。そして、その行動が電通のクリエイターの心に響いたからこそ、多くの方が参加してくれたのだろうなって、すごく感動しています。

斧:クリエーティブ・テクノロジストの大先輩の川村さんにそうおっしゃっていただけると、めちゃくちゃ励みになります……。

川村:電通はマス広告の歴史が長く、テクノロジストのカルチャーはこれから養われていくものだと考えています。だからこそ、2人のように「自分が切り開いてやるんだ」という感覚が大事なのです。こういうマインドで取り組むと、いろいろな領域で仕掛けるのがきっと楽しくなりますよ(笑)。

始めたきっかけは第1回で斧さんが書いてくれた通りですが、dentsu prototyping hubはそれ以上の、2人の想像を超えた「モメンタム」を電通にもたらしたと思います。電通のクリエイターがテクノロジーの視点を養う場になっているし、世の中ゴトになりそうなプロジェクトを仕掛けていくための「ハブ」にもなっていくでしょう。それはまさに、新しいクリエイティブが生まれる「流れ」になっていくんだと思う。

電通には素晴らしいクリエイターがたくさんいるから、どんどん新しいツールを試し、アイデアや思いを素早くカタチにしちゃえばよいのです。固定観念や今あるフィールドに縛られる必要はありません。今の自分とアイデア、そして仲間を信じて、楽しみながらメッセージを発信していく。そうすれば、誰もがワクワクするような「モメンタム」を今まで以上にたくさん作れると確信しています。

斧 : dentsu prototyping hubの活動を通じて、これまで電通が培ってきたクリエイティブに、「テクノロジー」という武器が掛け合わされると、世界をあっと驚かせる新しいクリエイティブが生まれていくと信じています。僕らから動いていくことで、面白いクリエイティブを作る仲間をこれからもっと増やしていきたいです。

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アートだからこそ、超えられる壁がある

「オリジナリティ」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第14回は、岩手に本社を構え、アートビジネスを手掛ける福祉実験ユニット「ヘラルボニー」。その挑戦の核心に迫ります。


双子の兄弟で、アートビジネスを手掛ける松田社長。4つ上のお兄様が、先天性の知的障害を伴う症状なのだという。その兄の存在こそが、障害のあるアーティストによるブランド化という発想につながった。

作品の持つ力こそが全てであるアートの世界に、あらゆる差別や偏見はない、はずだ。ところが、現実は違う。性別や年齢、国籍、学歴、賞歴、障害があることなど、あらゆるフィルターを通して作品が評価される。そこに多くの過小評価が生まれてしまう。松田社長へのインタビューで印象的だったのは「フェア」という言葉。単純に社会的な弱者を救ってあげたい、ということではない。美しいな、かわいいな、素敵だなと思うものが正しく評価されて、そこに社会的な価値が生まれる。そんな世の中に転換するきっかけづくりがしたい、と松田社長は言う。

この会社が持つインクルージョン性は、社長の出身が岩手であり、現在も本社を岩手に構えていることとも無関係ではなさそうだ。そして、この普遍的な理念の先に、どのような未来を描いているのか。そのあたりも、今回のインタビューではぜひ探ってみたい。

文責:後藤一臣(電通BXCC局)

異彩を放て

フェアじゃない社会を、どうにかしたかった

「僕自身、母親が社会福祉士をしていたこともあって、ヘラルボニーさんの事業には注目していたんです」という後藤からの投げかけに、松田社長は穏やかな表情で応えた。「ありがとうございます。僕も、新卒の2年目に岩手の福祉施設を訪ねる機会があって、そこで知的障害のあるアーティストの才能を目の当たりにしたことが創業のきっかけでした」

松田社長のすごいところは、福祉=思いやりや介護、という連想ではなく「この才能をブランドという傘の中で、社会に価値として提案できるのではないか」と、発想したところだ。「障害のある人を救いたい、とか、そういうことではなく、そこにある美しいものを価値として社会とコネクトするにはどうしたらいいんだろう?ということを、まず考えたんです。素晴らしいアーティストが生み出した作品が目の前にある。それらをデータ化して、美しい形で世の中に送り出すことができれば、これは誰にとってもWin-Winのビジネスになるんじゃないか、と」

幼い頃から、4つ上のお兄さまのことを間近で見ていて、とにかく世の中フェアじゃない!と憤りを感じていた、と松田社長は言う。「家の中では、兄の突飛な行動や発想力みたいなものを、日常として当たり前に素敵だな、と思っていたのですが、一歩外に出ると、兄は『障害者』という枠の中で生きている、偏見や差別が待っている。そこに違和感を抱いていました」

作家 八重樫季良氏(るんびにい美術館在籍)と松田氏 松田崇弥氏:株式会社ヘラルボニー代表取締役・CEO。小山薫堂が率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズ、プランナーを経て独立。「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験ユニットを双子の兄・文登と共に設立。岩手と東京の2拠点を軸に福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。
作家 八重樫季良氏(るんびにい美術館在籍)と松田氏
松田崇弥氏:株式会社ヘラルボニー代表取締役・CEO。小山薫堂が率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズ、プランナーを経て独立。「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験ユニットを双子の兄・文登と共に設立。岩手と東京の2拠点を軸に福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

「大学で企画構想を学んでいたこともあり、ある時、世の中フェアじゃない!という憤りが、ひょっとしたらこれはチャンスなのではないか、と思えてきたんです。アートって、その人の個性から生まれるものですよね。あるいは、普通の人にはまねのできない、とてつもない時間と集中力を必要とされる作業に没頭できる能力によるもの。知的障害のあるアーティストの才能は、もっと評価されてしかるべきなのでは?ということなんです」

そして松田社長の発想がユニークなのは、アートをデザインライセンスの文脈で捉えた、ということだ。「有名ブランドのデザイン、と言われてアタマに浮かぶものがありますよね。あのようなデザインパターンについて特筆すべき才能のあるアーティストを世の中に送り出すことができれば、ビジネスとして成立するのではないか、ということなんです」

松田社長いわく、パターンのデザインは知的障害のある人にとって「日常のルーティン」と密接に関係している傾向があるのだという。例えば、延々と水玉模様だけを描き続けることができてしまう才能。繰り返しの表現によって生み出されるアート作品を、「知的障害があるからこそ描ける世界である」と捉え、着目したのだ。

デザインの文脈で、アートを捉える

「アート、と言われると、一点物の絵画とか彫刻を思い浮かべますよね。もちろん、それにも価値はあるんですが、デザインのパターンなのだ、と考えれば、途端に応用範囲は広がる。バッグにしてもいいし、Tシャツにしてもいい。工事の仮囲いのデザインにも展開できる。商品パッケージにもなる。これはいいなと思う作品を起用して、デザインとして世の中に広めればいいんだ、ということに気付いたんです」

ピュアアートとビジネスは、ある意味、対極のものとされる。広告の世界でも、そうだ。「あのねえ、キミ。僕らはアート作品をつくってるんじゃない。商品を売るための広告をつくってるんだよ!」とどこからか声が聞こえてきそうである。でも、松田社長の発言には、ハッとさせられた。「芸術には、力がある。人の心を動かし、お金の循環を生み出すような力が」

松田家3兄弟の幼少期。左から代表 松田崇弥氏、兄 翔太氏、副代表 文登氏
松田家3兄弟の幼少期。左から代表 松田崇弥氏、兄 翔太氏、副代表 文登氏

イノベーションは、辺境の地から生まれる

イノベーションは、辺境の地から生まれる、と松田社長は言う。「岩手には、上場企業も少なく、ビジネス的には不毛な地かもしれません。でも、だからこそ何かを生み出そうというエネルギーが湧いてくる。そこで生まれたものを、東京に持っていく。世界に発信していく。それが、僕が担っている仕事であり、責任だと思っています」

松田社長のこの言葉には、地域にひもづいた「足腰の強さ」のようなものを感じた。ヘラルボニーのビジネスは、障害のある作家のアート作品をプラットフォームとして組織化していくものであり、そのためには、本人の意思と家族の協力、そして、その才能を認めていく文化が重要である。その文化を創造するには、トレンドの移り変わりが早い都市圏よりも、地方の方がマッチしている。今、ヘラルボニーが元気なのは、岩手という地盤で、文化を創造できたからなのだと確信した。生まれた文化をブランド化し、それをマネタイズする。マネタイズするにはマス化が必要だから、そこで初めて都市部に進出するのだ。とても真っ当な考え方である。

しかし、ビジネスの世界では、しばしば発想の順番が逆転する。まずは、いかに稼ぐか。そのために、いかにブランドをつくるか。結果として、文化的なものがつくれればいい、といったように。でも、それでは長く愛されるブランドはつくれないのではないか。大切にすべきは、文化だ。ヘラルボニーのそれを支えているのは、地域の風土であり、人と人のつながりであり、誰かが誰かを想う気持ちであり、個々人の輝く個性だ。そんな、基本的なことに改めて気付かされた。

岩手山を後ろに、ヘラルボニーメンバーで集合写真
岩手山を後ろに、ヘラルボニーメンバーで集合写真

大事なことは、作家ファーストであること

「電通では、クリエイターでもプロデュースの能力が必要な時代になっていると感じていますが、基本的には、アーティストにとってはプロデューサーという存在が重要ですよね。江戸時代の浮世絵師も、天才的な才能があったとしても、それをプロデュースする版元がいなかったら、単に絵を描いてるだけ、になってしまいます」そんな問いかけに、松田社長はこう答えた。

「会社のスタンスとして、常に作家ファーストを重視しています。作家のことを第一に、大事に、考えています」。松田社長によると、何かトラブルが起きた時に、頭を下げる順番も決めているのだという。「例えば納期に作品が間に合わないという可能性があった場合、施設や作家さんを急かすことはせず、私たちがクライアントに謝りに行くようになっています。万が一何か起きた時の細かい対応を決めておくことで、作家さんと施設を常に最優先で対応することを目指しています」

福祉施設、作家に対する還元率の割合も公開している。「還元率は、原画が40〜50%、ワンショットライセンスが30%、仮囲いアートが10%、プロダクトライセンスが8%(内5%が弊社、3%が福祉施設、作家)、自社物販が5%になります。公平性や透明性は何より大事にしています」

10月にオープンした京橋 BAG -Brillia Art Gallery-のこけら落とし「ヘラルボニー/ゼロからはじまる」展
10月にオープンした京橋 BAG -Brillia Art Gallery-のこけら落とし「ヘラルボニー/ゼロからはじまる」展

優しい世界とは、フェアな世界 

ヘラルボニーの広報を担当している浅川里菜氏は、こう言う。「作家さんや社会に対する貢献や支援としてではなく、自分自身の好奇心こそ、作品やアーティストに対するリスペクトこそがこの仕事に夢中になっている最大の理由です」。松田社長も、うなずいてこう続けた。

「そうですね。自分たちは知的障害のある方たちに食べさせてもらっている、言わば支援されている立場だと思っているので、支援やサポートという言葉はあまり使わないです。『障害者支援』という部分がフィーチャーされるよりも、作家によるアートやデザインのビジネスでありたい」この発言は、アーティストの才能をビジネスの真ん中においていることがうかがえる発言であった。

最後に、松田社長がよく口にする「優しい世界」とはどういうものなのかを尋ねてみた。「フェアな世界、ということだと思いますね。障害のある人が『できない』のではなくて、できるのに、あまりにも社会に障壁があるため『できない』というのは、アンフェアでしょう。その障壁を取り除く手段として、アートは有効だと思うんです」。ヘラルボニーが掲げている「異彩を、放て。」というスローガンの真意が、とてもよく理解できた。

会社名は、代表の4歳上の兄・翔太氏が幼い頃に自由帳に書いた謎の言葉「ヘラルボニー」。一見意味がないと思われるものを価値として世に創出したいという願いを込めている。 
会社名は、代表の4歳上の兄・翔太氏が幼い頃に自由帳に書いた謎の言葉「ヘラルボニー」。一見意味がないと思われるものを価値として世に創出したいという願いを込めている。 

ヘラルボニーの由来となったノート
ヘラルボニーのホームページは、こちら
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なぜか元気な会社のヒミツロゴ

「オリジナリティ」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。第14回は、岩手に本社を構え、アートビジネスを手がける「ヘラルボニー」をご紹介しました。

season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


【編集後記】

松田社長の言葉で印象的だったのは、「僕自身、別に、アートにこだわっているわけではないんです」というもの。えっ、と耳を疑った。が、話を伺うにつれ、その真意が分かってきた。知的障害のある人に限らず、「できないことをできるようにする」ことは難しい。

例えば、松田社長の4つ上のお兄様は、他人に対して普通に挨拶をすることが、とてつもなく苦手だったりする。「でも、そのありのままの姿に社会の方が付加価値をつけることができたら、とっても優しい世界が生まれると思うんです。挨拶のできないホテルとか飲食店とかが、あってもいいじゃないですか。うわさでは聞いていたけど、本当に無愛想なんだ。でも、サービスは心地いいし、料理もうまい!みたいな。そういうその人のありのままを肯定するものを、世の中に提供していけたらな、と」

インタビューを通じて、松田社長が繰り返し口にした「フェア」の意味がちょっと分かった気がする。弱者に手を差し伸べてあげましょう、みたいなことではない。価値あるものを生み出せる人間を、正当に評価して、きちんとリスペクトし合える世の中にしたい、ということだ。

「優しい世界」を、精神論や道徳で語るのは簡単だ。それを、社会の仕組みとして成立させることに、松田社長は取り組んでいる。アートそのものが、目的なのではない。もちろん、金もうけのためでもない。あくまで、知的障害のある人が自分らしく生きられる「優しい世界」を実現するための手段なのだ。

銀座で買い物はOK、荻窪で食事はNG?SNS投稿で人生を失わないための心得

 

 いまやインターネットは私たちの生活に欠かせないものになっている。SNSを利用すれば面識のない人とも話が盛り上がり、ちょっとした事柄でも検索すればすぐに答えが見つかる。非常に便利な一方で、個人情報や投稿はいったん掲載されると、ブログやSNS、匿名掲示板に転載、拡散されやすく、半永久的にネット上に残り続けるというやっかいな側面がある。

 消したくても消すのが難しいことから、身体に彫るタトゥーになぞらえて、“デジタルタトゥー”と呼ばれているのだ。

前科、逮捕歴、リベンジポルノ

「痴漢で逮捕された記事がネットで100件も拡散されてしまった。どうすれば削除できるか」

 筆者は十数年前、ある相談機関のボランティアをしていたとき、痴漢の冤罪で逮捕された経験のある人から、そんな相談を受けたことがある。当時はネットに関する相談の態勢が整っておらず、相談者が納得するような対応ができなかった。実は当該記事を検索した結果、いまでも少なくとも6件、ブログや匿名掲示板にそのままの報道記事が残っているのが見つかった。新聞社などのオンライン記事は一定期間を過ぎれば削除されるため、大本の報道記事はとっくの昔に消えているのに、である。

 このように、デジタルタトゥーの典型例としては前科、逮捕歴がある。仮に痴漢が冤罪であった場合でも逮捕記事が残れば、のちのちになって、「痴漢をした人」と蒸し返され、仕事などにダメージを及ぼしかねない。

 また、別れた配偶者や交際相手が腹いせに、相手のわいせつな写真や動画を無断でネット上に公開するリベンジポルノもある。2020年、全国の警察に寄せられた相談数は1570件に及び、統計を取り始めた2014年以降の最多を更新した。誰かに見られたら困るような画像は、交際相手であっても安易に撮らせたりしないようにするべきだろう。

匿名でも本人が特定されてしまうことは珍しくない

 前述の前科、逮捕歴、リベンジポルノは自分には関係ないと思っている人でも、気をつけなければいけないのが、ブログやSNS、匿名掲示板での投稿だ。数年前に問題視されたバイトテロのような過激なものではなくても、あとあと悪影響を及ぼしかねないのだ。

 19年に放送されたNHKドラマ『デジタル・タトゥー』の原案者であり、IT・インターネットに詳しいモノリス法律事務所で代表を務める河瀬季弁護士に話を聞くとともに、起こり得る事例を挙げてもらった。

 Aさんは「マスクマン」というハンドルネームで、電車の中で高齢男性の言動にむかついた体験をTwitterに投稿した。調子に乗って、「突き飛ばしてやった!」とツイートしたところ、「とんでもないやつだ」と炎上した。しかも、過去のツイートからどこの会社に勤務しているのかを掴んだ者から、「マスクマンと名乗っているとんでもないやつは、Aという人物だ」と特定されてしまったのだ。

「たとえば、Aさんが転職をしようとするとき、電車の中で老人を突き飛ばしたような人物を採用するかということですね。仮に会社側が採用段階で気がつかなくても、数カ月経ってから投稿を見つけて、望ましくない人間という烙印を押される可能性もある。あるいは、娘が家に連れてきた男性を検索してみたら、炎上事件がヒットして、『そういう男だったのか』と、父親が交際に反対するかもしれません」

 Facebookならば、本人が削除をしたり、公開を制限したりすれば拡散されることはないのではないだろうか。

「突き飛ばされた老人が、『変な若者のせいでひどい目に遭った』と投稿した場合、『この人ではないですか? Twitterで名前が晒されていましたよ』と教えてくれる人が現れるかもしれません」

 最初はFacebookの友だち同士の話題であっても、ひょんなことから外に出てしまうこともあり得る。このように、ちょっとした不用意な投稿が自分の将来に響く可能性があるのだ。

「匿名の気安さから軽い気持ちで投稿をしても、徐々に自分の正体がバレることがあります。たとえば、『学校の創立記念日にディズニーランドに行った』という投稿をすれば、過去の投稿とすり合わせることによって、どこの学校に通っている何年生のだれか、ということまでわかってしまうこともあるのです」と、河瀬弁護士は語る。

個人情報には細心の注意を払うこと

 それでは、削除することはできないのだろうか。各サイトの削除申請フォームや、サイトの運営者、サーバーを管理している会社に対して、削除請求を行うことはできる。しかし、個人で削除を請求するのは簡単なことではない。インターネットの仕組みは複雑で、だれに削除を求めればいいのか簡単にはわからず、わかっても簡単には応じてもらえないからだ。

 自分自身を守るためには、多少お金がかかっても弁護士に任せたほうが賢明だといえるだろう。

「『どこのサイトならどうやって消せるのか』というノウハウや、『このような理由で消されるべきだ』と説得する交渉方法は専門的知識と経験の蓄積がなければ得ることはできないからです」と、河瀬弁護士は語る。

 デジタルタトゥーを防ぐためには、どんなことに気をつければいいのだろうか。

 まずは、書き込む前に一度、冷静になることだ。2つ目は、炎上しても、スルーすることが基本だ。自分に対する批判の声を聞くと、往々にして反論、弁明したくなってしまう。しかし、好き勝手なことを言ってくる人を説得しても何も得ることはない。どうしても反論したい場合にはワンクッションを置いて、第三者に意見を仰いでみることだ。

 3つ目は、個人情報につながることは載せない。匿名でも現実世界につながるリスクがあるからだ。

「それには、何をネットに載せるかを吟味することです」と河瀬弁護士は語る。たとえば、「銀座にショッピングに行った」とか「六本木のレストランに行った」などは載せてもいいが、「大塚のカラオケに行った」とか「荻窪の和食屋に行った」とは載せない。大塚や荻窪の店に行くのは大概、その辺に住んでいる人に限られるからだ。

 不用意な投稿をして後悔しないように、落とし穴があることを肝に銘じて気をつけたいものだ。

(文=林美保子/フリーライター)

●林美保子/フリーライター

1955年北海道出身、青山学院大学法学部卒。会社員、編集プロダクション勤務等を経て、フリーライターに。主に高齢者・貧困・DVなど社会問題をテーマに取り組む。著書に『ルポ 難民化する老人たち』(イースト・プレス)、『ルポ 不機嫌な老人たち』(同)。