パフェ2千円でも人気殺到…観音山フルーツパーラー、創業百年の果物農家の挑戦

 コロナ禍でありながらよく売れている食べ物は「フルーツ」である。その筆頭は「フルーツサンド」。これらに新規に取り組んだところは、意外にも「居酒屋」が多い。夜の営業が限られ、また酒類が売れないことからこの商品に着眼した。また、シャインマスカットをはじめとしてブドウのバラエティーが広がったこともフルーツ人気を後押ししているようだ。ケーキ販売店のショーケースの品揃えが例年に増して華やかになっている。

 このトレンドをさらに盛り上げる店舗が現れた。それは「観音山フルーツパーラー」。10月18日に東京・銀座、11月3日に表参道と相次いでオープンした。店の告知には「これが和歌山の実力!」と書かれている。商品力に絶大な自信があることが伝わる。これらの店を営んでいるのは和歌山県紀の川市の果物農家、農業生産法人有限会社柑香園である(銀座店は直営、表参道店は共同経営)。農家が直に営むフルーツパーラーとなると、さぞやおいしいのではと期待が募る。

 メニューは旬のフルーツを盛り込んだパフェがメインで、「フルーツパフェ」1980円(税込)、「レモンパフェ」1890円が定番。そして旬のフルーツを単品で構成した季節メニューが圧巻である。今の季節は「いちじくパフェ」2390円、「柿パフェ」2390円を提供している。それぞれ熟したいちじく、柿が1個分使用されていて、まず見た目で驚き、食べてみて体全体が満足する。

六代続く果樹農家の奮闘とプライド

 柑香園の本部は和歌山県紀の川市粉河にある。本部は果樹園の真ん中にあり半径1キロ圏には民家が存在しない。広大な果樹園の中で農業生産法人を営んでいる。代表取締役会長の児玉典男氏は「五代目」、代表取締役社長の児玉芳典氏は「六代目」と名刺に記している。

 このようにトップが当代を名乗ることには、果物農家として歩んできたファミリーとして誇りが存在する。初代は吉兵衛氏。払い下げのあった官有地を開墾して、みかん農家を始めた。明治44(1911)年のことである。二代目、長次郎氏は雑木林を開墾して果樹園の拡大に努めた。三代目、正男氏は農業生産者であると同時に商才を発揮した。昭和元(1926)年より個人で出荷を手掛けた。付近の農家からみかんを購入して、国内での販売と並行して北米や朝鮮・満州へと海外での販売を広げた。

 四代目、政藤氏は出征先の満州より帰還。農地解放で所有農地の8分の5を手放すことになる。戦中・戦後のみかん園の荒廃は甚だしく、肥料不足によってその復興は困難であったが、昭和23(1948)年より始められたカナダ向けみかん輸出に参画して、その見返りの肥料を果樹園の回復にあてた。収入は増加したが所得税が重圧となり、それを合理化するために法人を設立、昭和37(1962)年11月に農業生産法人有限会社柑香園に組織替えをした。同時に果樹専業農家となり、農協や任意出荷団体には加入せず、あくまでも生産と直売に徹した。

 そして、五代目の(児玉)典男氏に引き継がれる。典男氏は三重大学農学部農芸化学科を1972年に卒業後、柑香園に入社した。以来50年間農業の現場に携わっている。

 典男氏が就農してから、海外産オレンジが輸入されることによってみかんの需要が低迷した。市場出荷を行っていたが市場価格が下がり始めたことから、スーパーとの直接取引を行うようになった。1990年代の半ば、インターネット黎明期のなかでホームページを作成、個人への直接販売を行うようになった。

個人客向け販売がフルーツパーラーの原点

 2018年に現在の本部である新社屋が完成。生産、加工、出荷、販売に加えてフルーツパーラーが一体となった施設となった。この「観音山フルーツパーラー 本店」は同年4月にオープンした。

「観音山」のブランドは西国三十三所巡礼札所に由来する。ここの特徴はすべての寺院が観音様を祀っていること。児玉氏は地元に三番目札所の「粉河寺」あることに常々縁を感じていた。ここの一帯には観音という地名は存在しないが、昔からこれらの山々を通称観音山と称していたことから、柑香園の商品に名付けようと考えた。こうして「観音山」は2003年に商標登録した。

 同社が代々注力してきたことは、個人向け直接販売ということ。そして五代目がインターネットに着眼して個人向け直接販売を全国ネットに広げたことによって、販路が拡大したと同時に、商品を購入した顧客からの声が直接届くようになった。これが果物農家としての生産意欲を高めていった。

「生産者にとって一番うれしいことは、自分がつくったものを消費者がどのような場所で、どのような表情をして食べているのかを見ることができるということ。『おいしかった』と言ってくれると素直に嬉しいし、『あれはもっとこうしたほうがいい』ということであれば、改善するための意欲が増す。それを消費者の状況がわからない流通に頼っていると、消費者の反応が伝わってこないし、価格も業者に決められてしまう」

 さらに、柑香園が個人向け直接販売に傾注していくなかで出来上がっていったことは、商品を1年間絶やすことなく販売するということだ。このために近隣の果物農家と連携するようになった。さまざまな産地とのネットワークが出来上がり、1年間のメニューをつくり上げていった。これが「フルーツパーラー」を運営するというアイデアにつながった、これらのメニューは旬で最もおいしい果物が使用されていて、それによって季節感を十分に味わうことができる。

人気ぶりからFC希望者が続々と登場

「観音山フルーツパーラー 本店」は店内40坪、テラス席10坪で60席の規模。フルーツパフェは1品目2000円前後となっている。連休ともなるとウェイティングが200人で3時間待ちということが珍しくない。自動車のナンバーは沖縄、札幌という遠隔地のものもある。和歌山県の南側に位置するリゾート地の白浜町の周遊観光で利用されている模様だ。

 柑香園の年商は6億円となっているが、そのうちこの本店と関連商品の売上で1億5000万円を占めている。

 個人向け直接販売の売上は増え続けている。現状、顧客情報は30万件を保有していて、商品情報をメールで送信して購入動機につなげている。商品は配送業者が届けるが商品の合計金額が5000円以上の場合は送料半額、1万円以上の場合は無料としている。

 顧客の増加に伴って栽培面積が不足するようになり耕作放棄地約8ヘクタールを借り受け、現在の果樹農園は14ヘクタール(東京ドームの約3倍)となっている。近隣の委託栽培農家は300軒となっている。

 さて、「観音山フルーツパーラー」は本店がオープンしてからその魅力がにわかに広がり、FCを申し出る事業者が現れるようになった。2019年11月、12月と京都店、神戸店がFCとしてオープン、20年6月南紀田辺店(和歌山県、直営)、21年3月河口湖(山梨県、FC)、8月和歌山市店(FC)とオープンが続いた。今年はさらに銀座店(直営)、表参道店(共同経営)がオープンし、来年は尾道店(広島県、FC)と駒沢店(東京都、FC)が控えている。これで11店舗となる。ますます店舗数が広がる勢いだ。

 児玉会長、社長の元には居酒屋からフルーツパーラーに商売を切り替えたいという相談事が増えてきているという。これはコロナ禍による飲食業界の現象である。焼鳥居酒屋を展開する鳥貴族ホールディングスがチキンバーガーショップの展開を始めたり、唐揚げの居酒屋がフライドチキンショップを立ち上げたり、酒類販売を得意としてきたところが非アルコールの世界に着眼してきている。これに関連して冒頭で述べた「フルーツ」のトレンドはこれからしばらく続いていくものと思われる。

(文=千葉哲幸/フードサービスジャーナリスト)

●千葉哲幸/フードサービスジャーナリスト

フードサービス業界の経営専門誌である『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)とライバル誌両方の編集長を歴任。2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しく、最新の動向もリポートする。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年)。

風通しのいい「人事」とは、なにか?

経営戦略としての「人事」

ご自身のキャリアをベースに、企業のあるべき姿、形を提言しつづける八木洋介氏。八木氏が説くテーマを、一言で表すなら「人事改革」だ。人事改革なくして、企業の持続的成長などあり得ない。「人材こそが、わが社の宝である」と多くの企業は言う。しかしながら、その宝を「持ち腐れ」させてはいないだろうか?記事化にあたっては、八木氏ウェビナー(※)を聴講し、独自のインタビューも試みた。

老いも、若きも、男も、女も、他国の人々も。さまざまな個性が、ひとつの企業に集う。そのことの意味、そのことの楽しさ、そこから生み出される未来というものを、八木氏が顧問を務めるサイコム・ブレインズの取り組みからひもといてみたい。私たち一人ひとりは、ただ単に企業という「箱」に押し込められた「道具」ではないという思いを込めて。

文責:ウェブ電通報編集部

(※)サイコム・ブレインズによる「八木洋介氏と考える、これからの会社をリードする人事に必要な学び~ポスト・パンデミックの世界で勝つ~」と題されたウェビナー。詳細は、こちら

八木洋介氏: people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長) サイコム・ブレインズ顧問 1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
八木洋介氏:
people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長)
サイコム・ブレインズ顧問
1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
タイトル1

社員にとって居心地のいい組織、機能する組織のことは、しばしば「風通しのいい組織」と表現されるが、その正体とは一体、どういうものなのだろうか。八木氏とはビジネススクールの同窓生で、現在、サイコム・ブレインズ代表取締役社長として経営人材育成の分野で活躍する西田忠康氏は、このように語る。「企業にとって必要なのは、遠心力と求心力、といわれているんです」
会社や部署、肩書といったものに縛られることなく、自身の可能性やキャリアを外へ外へと広げていく「遠心力」と、自身が身を置いている組織や仲間への愛着ともいうべき「求心力」。この二つがない組織には、人の心をドライブする力がないのだ、と。明るく自由闊達(かったつ)な組織、といったような精神論ではなく、このように説明されると合点がいく。

タイトル2

同じことを八木氏は、このように説明する。「オフィスや会議室の、いわゆるお誕生日席でやっていることといえばハンコを押しているだけ、みたいなおじさん、いますよね?あんな人は、本来、要らないんですよ。組織の風通しを悪くしているだけ」
幸か不幸か、リモートワークを始めてみて、誰もがそのことに気づいてしまった。「会議室のお誕生日席で、ふむふむ、とか言っている分には、それなりに格好がつきますよ。でも、リモート会議でそんなことをしていたところで、なんの価値もない。この人、なにも考えていないんだな、ということが、誰の目から見ても明らかだからです」

タイトル3

経営や人事を考える際には、風通しをよくすることもそうだが、時代の風を読むことも必要だ。風あたりの強さや、風の向きといったものは、常に一定ではない。その変化にいち早く気づいて、明日への対応策を講じる。それができない企業が、持続的に成長していくことなどできはしない。
それは、いわゆる「空気を読んで、差し障りのないことを、無難にこなしましょう」というものとは違う。むしろ、真逆の発想ではないか。大切な作物(社員)を守るために、この位置に防風林を設置しよう。金など、いくらかかろうと構わない。今、それをしなければ、うちの畑は荒れ果ててしまう。そうした発想で、人事というものを考えている経営者が、果たしてどれほどいるのだろうか?ということだ。

サイコム・ブレインズによる講座は、こちら。

CCBP育成講座
~個のキャリアを支援し組織を強くする変革リーダーを育成する~

次世代戦略人事リーダー育成講座

■講師コメント(酒井章氏)

新型コロナによって起こったことは「キャリア・ショック」と呼ばれています。働き方をめぐるさまざまな環境変化に加え、在宅を余儀なくされたことで、多くの人がこれまでの、そしてこれからの人生や働き方を深く考えたのではないでしょうか。誰もが自分のキャリアに不安を持ついま、キャリア支援を行う人の役割がますます重要性を増しています。本講座は、このようなニーズに対応し、他の講座には見られないような多彩な講師陣からの豊富で多角的なインプットに加え、職種も世代も多様な参加者との刺激的な切磋琢磨(せっさたくま)によって、これからのキャリア支援職に必要とされるマインドとスキルをアップデートすることができます。

■講師コメント(山口周氏)

これまでの「正解」も「定石」も通用しなくなったいま、人に求められる要件も劇的に変化しました。それは、問題を自ら発見できる「意味」のある人です。一方、仕事に対するやりがいでは世界でも最低ランクに位置づけるなど、日本人の働き方は異常な状態に陥っています。そして、新型コロナという未曽有の事態の到来によって、潜在的に起こっていたこのような問題があらわになりました。いまこそ、企業における最大の資源である人財を生かすキャリア支援職の皆さんの出番ではないでしょうか。こうした問題意識に基づいて立ち上げられた本講座の理念に賛同し、講師として参加させていただきます。これからの働き方やキャリアをより良くする志を持った皆さんとディスカッションさせていただくのを楽しみにしております。


本記事の作成にあたっては、八木洋介氏に筆を入れていただくとともに、電通OB酒井章氏(クリエイティブ・ジャーニー 代表/電通アルムナイ・ネットワークマネージャー)に監修を依頼しました。

酒井章氏が代表を務めるクリエイティブ・ジャーニーのHPは、こちら

酒井章氏:
電通に入社後、コピーライター、営業(自動車担当)、マーケティングプロモーション部門を経て2004年よりシンガポール(アジア統括オフィス)に駐在。11年帰任後はグローバル部門を経て人事局、キャリア・デザイン局でキャリア開発施策を担当。19年3月定年退職後、4月に起業。

酒井章氏と電通キャリア・デザイン局(当時)大門氏によるアルムナビでの対談記事は、こちら

ダイソーネットストア、送料770円でも利用者に絶大なメリット?ダイソーの狙い

 コロナ禍においても100円ショップの売上は好調だ。なかでも業界トップの「ダイソー」は、テレワーク促進の流れやおうち時間増加を追い風にし、文房具からキッチン用品などバラエティに富んだ商品群をリーズナブルな価格帯で展開。時代に即した消費者の巣ごもりニーズに応え、受け入れられている。

 そんなダイソーが10月13日、商品の取り扱い数・約3万点を誇る「ダイソーネットストア」をオープンした。100円ショップの商品をネットショッピングできるというのは魅力的に感じるだろう。

 しかし、注文できるのが合計金額1650円(税込、以下同)からと制限があり、送料は770円かかるという。合計金額が1万1000円を超えた場合は送料無料となるが、110円商品なら100点以上も注文しなければいけないことになる。この送料がネックとなり、利用を躊躇する方もいるだろう。

 そこで今回は、消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏に、ECサイトをオープンさせたダイソーの狙いや利用する消費者のメリットなどについて話を聞いた。

多数の懸念点に目を瞑ってもダイソーがECサイトを展開させたかったワケ

 実はダイソーネットストアは、今年5月に配送先を千葉県と神奈川県に限定してプレオープンしており、その試験運用を経たうえで10月の正式リリースにこぎ着けていた。

「今年3月に東京・渋谷に、ダイソーの姉妹ブランド『スタンダードプロダクツ バイ ダイソー』がオープンしましたが、その時に、ネットストアのプレオープンを報せるチラシを目にしました

 スタンダードプロダクツ バイ ダイソーの商品の大半は330円。SNS映えやデザイン性を重視するデジタルネイティブな消費者に向けて用意されたブランドだと思うので、おそらくダイソーネットストアのターゲット層と被っていたのでしょう。そこでダイソーネットストアを利用してくれそうな層に、早い段階で周知させようとアプローチしていたのだと思われます」(松崎氏)

 ネット上での個人利用を想定した際、確かにSNSを頻繁に利用する客層へのアプローチは効果が高いのだろう。では、なぜダイソーはECサイトのスタートに踏み切ったのだろうか。その背景にはやはり、コロナ禍で大きく変わった消費者のライフスタイルが影響しているようだ。

「ダイソーはショッピングモールなどのテナントとして入っているケースも多いですが、去年は感染対策の観点から、商業施設自体が営業自粛、あるいは時短営業を余儀なくされるケースも多かった。そのため、ある程度売り上げにダメージがあったはずです。

 実店舗に依存しすぎれば、有事にこうした問題が浮き彫りになります。だからこそ時代と需要に即した非接触チャネルとして、個人向けECサイト開設は必要不可欠だったのかもしれません。コロナによる情勢変化は、ダイソーが本格的に通信販売を開始する大きなきっかけになったと見ていいでしょう」(松崎氏)

 しかし、100円ショップブランドの通信販売となると、やはり単価の安さがネックになってくるのではないだろうか。

「確かに、ある程度の“まとめ売り”をしないと利益が出にくいという問題はありました。実はダイソーではこれまでにも『ダイソーオンラインショップ』を運用していましたが、こちらはセット売りや大量注文に特化した販売サイトで、単価の高い買い物をしてくれる企業や法人に向けて打ち出していたサービスだったんです。

 しかし、そういった懸念を押し切ってでも今回のダイソーネットストアのオープンを推し進めたことには意味があったと思います。コロナが終息してもネットの利用者が消えることはありませんから、結果的にはプラスになるという見通しなのでしょう」(松崎氏)

一見高いようにも思える送料770円は、消費者に最大限寄り添ったもの?

 ダイソーネットストアが、100円ショップ最大手としての経験値を踏まえてオープンされたことはわかった。だがやはり、消費者にとって大きなハードルとなりかねないのが、1万1000円以下の決済に掛かる770円という送料だろう。

「ネットショッピング全盛の今、私たちは“送料無料”に慣れすぎてしまっており、さらにダイソーという冠がのっかってくると余計に商品以外のコストが目立って見えてしまうかもしれません。ただし、実店舗で買い物をするときは、店舗までの電車・バス代やガソリン代がかかるかもしれないし、自分の貴重な時間も移動で消費することになります。仮に往復1時間かかるとすれば、その時間働いていれば1時間分の時給が稼げたわけです。普段はあまり意識していないかもしれませんが、実店舗を利用する際にそういったコストがかかっていると考えれば、送料770円が丸々かかってくると思わなくともいいのではないでしょうか」(松崎氏)

 確かに一見割高に思えていた送料も、さまざまな面でかかってくるコストやリスクを鑑みると“必要経費”として飲み込めてくるかもしれない。

 また、ダイソーネットストアのリリース時、多くのネットユーザーから「店頭に出向かなくてもダイソーの商品を事前に知ることができるので、カタログのような活用ができそうだ」といった消費者目線のメリットも挙がっていた。松崎氏によると、ダイソー側にもダイソーネットストアがリリースされたことによる副産物的なメリットがあるのだという。

「サイトを頻繁にチェックするのは大半が既存のファンでしょうが、長い目で見ればライト層も取り込めるチャネルになるでしょう。また、ダイソーネットストアによって実店舗とネットショップの売れ筋商品の違いや、居住地域ごとにどういったアイテムが売れやすいかといったデータも取りやすくなるはず。こうしたデータが商品開発のアイデアや、次の一手を打とうと経営戦略を練るときに役立つでしょう」(松崎氏)

 松崎氏は、今後はダイソーネットストア専用アプリの導入も期待したいと続ける。

「ダイソーはインスタグラムを通した商品PRをうまく運用している印象です。現在は主に新商品の紹介に注力していますが、アプリを介してリアルタイムで気軽に購入できるようにするシステムを導入するなどして消費者をうまく誘導できれば、直接的な販促にもつながっていくのではないでしょうか。

 今後、消費者行動がどう変わっていくのかはまだ誰にもわかりません。再び緊急事態宣言のような措置が取られる可能性もありますから、満を持してリリースしたECサイトという非接触チャネルを、いかにして育てていくかが企業課題になってくるでしょう」(松崎氏)

 今や我々の生活に必要不可欠な存在になりつつある100円ショップ。その代表格であるダイソーが個人へ向けたECサイトが今後どのように展開してゆくのか、目が離せない。

(取材・文=A4studio)

IKEA、購入者の評価が高い便利グッズ5選…激安でオシャレな傘&小型ごみ箱

 リーズナブルな価格でデザイン性の高い家具や雑貨を販売し、世界中に熱心なファンを持つ「IKEA」。日本国内では、2006年に第1号店を千葉県船橋市にオープンさせて以降、着々とその勢力を拡大。近年は原宿や渋谷、新宿といった都心に店舗を展開し、ますますユーザーにとって身近な存在になってきている。

 IKEAの経営状況は現在、好調に推移しているようだ。IKEAを展開するイケア・ジャパンが2021年1月15日に公表した第19期(2019年9月1日~2020年8月31日)決算公告によると、売り上げは前期から約2.7%増の867億4400万円、営業利益は19億3200万円、経常利益は17億1500万円となっている。コロナ禍の巣ごもり需要をうまく取り入れたことで、約4年ぶりに黒字転換する結果になったようだ。

 そんなIKEAからは、今期も安さと機能性を兼ね備えた魅力的な商品が続々とリリースされている。そこで今回は、IKEAの“買うべき”商品をピックアップ。その使用感とともに紹介していこう。

BERGENES ベルゲネス(スマホ・タブレットホルダー)/299円(税込、以下同)

 昨今はスマホやタブレットで手軽に映像コンテンツを楽しんでいる人も少なくないだろう。しかし、お風呂やキッチンで“ながら見”をしたい場合に、端末の置き場に困ってしまうこともあるのではないだろうか。周囲の小物などを利用して端末を倒れないように支えても、なかなかちょうどいい角度にならないなど、微妙なストレスを抱えることもある。

 そんなときに重宝するのが、こちらの「BERGENES ベルゲネス(スマホ・タブレットホルダー)」だ。軽量の竹を使ったスマホ・タブレット用のホルダーで、スロット部分に端末をセットして立てることができるというもの。0.9cmと1.1cmの2種類のスロットがついているため、大半のサイズの端末をフォローできる。

 実際に使ってみると、やや厚みのあるケースをつけていても、1.1cmのほうならばしっかり挿さるうえに、角度も調整できたので確かに便利だと感じた。シンプルな見た目と機能性を備え、お値段が299円ならば複数買いしてもいいかもしれない。実際、公式サイトの同商品のレビュー欄を見てみると、デスク、ベッドサイド、キッチンなど、自分がよく使うスペースにひとつずつ備えて使っているという人もいるようだ。スマホやタブレット端末で映像を観る機会が多い人にとっては便利なアイテムだろう。

FILFISK フィルフィスク(シリコン保存バッグ3点セット)/1299円

 食材の保存にファスナー付きのフリーザーバッグを使っているという人は多いだろう。だが、使用頻度が高い人であれば、使い捨てのフリーザーバッグのゴミをたくさん出してしまうことに罪悪感を覚えるかもしれない。

 そんな方におすすめしたいのが、こちらのシリコン素材でできた保存バッグの3点セット「FILFISK フィルフィスク」だ。それぞれ色とサイズが違うので、スタイリッシュでありながら用途によって使い分けもできる優れ物だ。

 エコに配慮して繰り返し使うフリーザーバッグとして使用するなら、口をしっかり密閉できるうえに自在に変形するおかげで、使い捨てのフリーザーバッグと同じような感覚で活用できるだろう。また、シリコン製で水にも強いので、銭湯やプールなどにも持ち込めそうだ。

 1299円という価格設定は、やや強気に思えるかもしれないが、バッグ一つひとつのクオリティと利便性が高く、長く使えることを踏まえればコスパも良いと感じる。

KNALLA クナラ(折りたたみ傘/ホワイト・グリーン)/799円

 傘にそれほどお金をかけたくないが、かといってビニール傘では味気ないから、できるだけオシャレなデザインの傘が欲しい……。そんな方にうってつけなのが、リーズナブルで嬉しい折りたたみ傘「KNALLA クナラ」。

 ポイントは、なんといってもIKEAらしい北欧風のテイストが醸し出されているデザイン。ホワイト、グリーン、ブラックの3色展開(ブラックのみ999円)で、ブラックはシンプルな無地だが、ホワイトとグリーンには幾何学的な模様があしらわれていて洒脱な雰囲気なのだ。

 実際に使ってみたところ、骨が太くしっかりとしたつくりで799円とは思えないクオリティだったので、そもそもの傘としての機能性も問題ないだろう。気軽に買える金額なので、2、3本購入して1本は職場に置き傘として置いてもいいかもしれない。

SKVIMPA スクヴィムパ(フレーム付きフードカバー)/299円

 昨今、IKEAで販売されている雑貨を見ていると、環境に配慮したエコな商品のラインナップが目立っている。先に紹介した「FILFISK フィルフィスク(シリコン保存バッグ3点セット)」のほかにも、繰り返し使えるストロー「UPPSLUKAD ウップスルカード(飲み物用ストロー)」など、従来は消耗品とされていたものを長く使える素材でつくり直したアイテムが数多くリリースされているのだ。

「SKVIMPA スクヴィムパ(フレーム付きフードカバー)」も、そんな優秀な商品のひとつ。こちらはシリコン製のフードカバーで、お皿に入った料理に被せるだけでホコリなどが入るのを防げるというもの。要するに、“繰り返し使えるラップ”といったところだろう。

 直径は19cmあるので、ひとりでの食事で使う皿ならば基本的にはカバーできる大きさとなっている。使い方は本当にただ被せるだけなので、普段食事をしているテーブルに置いておけばかなり重宝するだろう。価格も約300円と安いので、こちらも複数買いする価値がありそうだ。

FNISS フニス(ゴミ箱)/99円

 IKEAでは、目を疑うような圧倒的低価格の商品も少なくない。有名どころでは、99円で販売されている「HOPPLÖS ホップロース(まな板)」や、「BUMERANG ブメラング(ズボンハンガー)」などだろうか。100円均一ショップよりも安い価格で販売されているこれらのアイテムは、店頭でもひときわ客の目を引く。

 今回紹介する「FNISS フニス(ゴミ箱)」も99円。高さ24㎝、直径23㎝、容量6.8Lと小型のゴミ箱で、丸みを感じさせるフォルムと色合いがオシャレ。イエロー、ターコイズ、ホワイト、ライトブルー、ライトピンクの5色展開でカラーバリエーションが豊富なため、自分の好みの色が見つかるのではないだろうか。

 購入したユーザーからの評価も上々だ。公式サイトのレビューを見てみると、81件のレビューがついていて平均星4.6とかなりの高評価。ユーザーの声に注目すると、「安くていい」「色違いを揃えると分別や重ねおきに便利」と、やはりその安さとカラバリが評価されているようである。

 IKEAには今回紹介した商品だけでなく、マストバイなアイテムが盛りだくさん。ぜひ実店舗やネットショップを利用し、ikeaのショッピングを楽しんでいただきたい。

(取材・文=A4studio)

※情報は2021年11月16日現在のものです。

『マスカレード・ホテル』の長澤まさみ、写真集が大爆死か…それでも愛される絶対的魅力

 この9月に公開され現在も引き続き公開中の映画『マスカレード・ナイト』でヒロイン役を務めている長澤まさみ。2019年1月に公開された前作『マスカレード・ホテル』は興行収入46.4億円と大ヒット。人気作家・東野圭吾による同名原作の映画化であり、主人公を演じる木村拓哉と長澤の丁々発止のやり取りも話題となった。今回の続編が前作を超える大ヒットとなるのか、期待がかかるところだが……。

 ある映画雑誌の編集者は語る。

「公開から約2カ月がたち、興行収入は前作と同水準かやや下回るほどの仕上がりになると予想されます。しかし、前作公開はギリギリコロナ前だった一方で、本作が封切りされた9月の東京はまだ緊急事態宣言下にありましたから、時短制限や人数制限もあった。そんななかで前作と同水準の興収となれば大健闘ですし、むしろ大ヒットとさえいっていいでしょう。

 東野圭吾さんは原作を執筆する際、木村拓哉さんをイメージして当て書きしたそうなので、木村さんは抜群のハマり役。長澤さんは前作のフロント役からコンシェルジュへと昇格し、客から無理難題を押し付けられながらも潜入捜査官の木村さんと協力して事件解決に挑むという、ストーリーの妙が本作の魅力。加えて、長澤さんの“ヒロインオーラ”が随所ににじみ出ているのも素晴らしい。東宝の大メジャー作品のヒロイン役をここまで堂々と演じられるのは長澤さんしかいない、そう思わせられる作品ですね」

アート色にこだわるあまり、ビジネス的にはペイしなかった、長澤まさみの写真集『ビューティフルマインド』

 2000年1月に「第5回東宝シンデレラ」のグランプリを12歳で受賞した長澤まさみ。2004年には映画『世界の中心で、愛をさけぶ』でヒロイン役を務め、興行収入85億円という大ヒットとなり、一気に売れっ子女優への仲間入りを果たした。今年はデビュー20周年を記念した写真集『ビューティフルマインド』(宝島社)を発売し、税込み2970円となかなかのお値段ながら発行部数はすでに3万部を突破。発売前に重版がかかるなどして話題となったが、ある週刊誌記者は、事の顛末をこう明かす。

「実は本当の20周年は昨年だったのですが、コロナ禍で予定されていた一人芝居が延期になるなどし、表立った活動は自粛することに。今年は仕切り直しの20周年ということで、満を持して8月に出版したのがこの写真集でした。写真家を3人も起用し、映画プロデューサーの川村元気氏や映画監督の西川美和さんによる『架空の長澤まさみ物語』などの独自企画もそれなりに話題とはなったのですが、やはり“写真集”ですからね。一般読者は、『長澤さんがどこまで脱いでいるか』にもかなり期待していたはず。そういう部分では弱かったので、結局、3万部を刷った割には版元の期待ほどには売れなかったようです。

 とはいえ予約注文等の初速がよかったので発売前重版が決定されたようですが、その頃には『アート色の強いフォトムック本』という口コミがネットで拡散し、最初の勢いは続かなかった。おそらく、出荷分の相当数がまだ市場に売れ残っているのでは。長澤まさみがキッとこちらをにらみつけている表紙からもうかがいしれますが、芸術性にこだわった分製作費はそれなりにかかったはずで、ビジネス的に見れば赤字でしょうね」

野田秀樹の舞台『THE BEE』、庵野秀明の映画『シン・ウルトラマン』など、話題作が目白押し

 とはいえ、冒頭で述べた通り女優業では絶好調。現在は野田秀樹作・演出の舞台『THE BEE』に出演中で、来年1月には『コンフィデンスマンJP 英雄編』の公開も控えている。

「長澤さんの当たり役である『コンフィデンスマンJP』シリーズは、2018年にフジテレビの月9枠で連ドラとして始まり、その後映画化され、第1作『ロマンス編』が29.7億円、第2作『プリンセス編』が38.4億円と大ヒット。長らく、主演俳優のヒロイン役のイメージが強かった彼女ですが、やっと主演作で当たり役を手にした印象です。シリーズ第3作の『英雄編』も、さらなる大ヒットが期待されていますね。

 また、現在公開日調整中の映画『シン・ウルトラマン』も、来年の公開は確実。企画・脚本を庵野秀明さんが手がけ、『シン・ゴジラ』の制作陣が多数参加していることもあって、来年の最も大きな話題作となるでしょう。この作品で長澤さんがどんなヒロイン役を務めるのか、注目が集まっています。

 女優歴21年のキャリアのなかで、詐欺師や母親役など演じられる役の幅も広がり、まさに今が旬。舞台女優としてもオファーが多く、各界のクリエイターたちがいま一番仕事をしたい女優といわれています。すでに大ベテランの風格がありながら、まだ34歳。浮いた噂もしばらく聞かないので、まだまだ第一線で活躍し続けるでしょうね」(前出・週刊誌記者)

 CM出演も途切れることなく、この21年をトップ女優として駆け抜けてきた長澤まさみ。写真集が多少スベった程度では、痛くもかゆくもないようだ。

(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara

従来のパチ屋を壊したのは某大手チェーン!? 業界の重鎮が「パチ屋で働くということ」に言及

 2021年10月23日付「bizSPA!フレッシュ」にて、マルハンの代表取締役東日本カンパニー社長の韓裕(はんゆう)氏が、従来の慣習を壊してクリーンなホールイメージを作ったとインタビューで答えた。

 韓氏は、丁寧に礼儀正しく客を迎え入れ、レジャーとして楽しんでもらえるパチンコホールを目指し、「パチンコをサービス業として誇れる仕事にする」と尽力。当時の、客を敵対視して暴力的に対応する一般的なホール店員の態度を教育で徐々に変化させ、結果、売上1兆円を達成したそうだ。

 業界の大御所であるヒロシ・ヤング氏の公式YouTubeチャンネル「ヤングちゃん、寝る」内の動画では、「パチ屋で働くということ」とのテーマで、このマルハンの功績について言及。かつてのホール店員事情についても触れつつ、独自の見解も述べている。

 今では、多くの大手ホールチェーンが新卒採用を実施しているが、30年ほど前のホールは採用基準が「なし」に等しいほどゆるゆる。求人広告には履歴書不要、制服支給、缶コーヒー支給などと記されており、面接=即採用といったホールも少なくなかった。

【注目記事】
パチンコ店「周りの客から嫌われる…」絶対にやってはいけない“タブー”3選! 場合によっては警察沙汰で修羅場に?
パチンコ新台「連続V入賞で9000発」の激アツ仕様…ファン長年の夢が間もなく実現!?

 また、寮完備&即日入居OKも決まり文句のひとつで、それ故、ワケありな人々が集まる傾向に。世間から身を隠す者たちの、格好の隠れみのだったわけだ。

 そんなイメージを払拭しようと考えた韓氏は1992年、接客サービス向上モデル店として「草薙アピア店」をリニューアル。これが人気を博したことでモデル店を拡大すべく、翌1993年には新卒採用に乗り出したのだという。

 ただ、当初はホテルに採用会場を借りても4~5人しか集まらず苦戦。なんとか入社を決めてもらっても、親から「パチンコなんてふざけるな!」と怒鳴り込まれたこともあったそうだ。

 それでも韓氏は「業界のイメージを変える」と努力を続け、現在では当たり前のように他ホールでも導入されている「パーソナルシステム」も積極的に採用。店員の髪の色についても規定を設けるなど細かな点にも気を配り、現在のクリーンなイメージを作り上げたという。

 大手パチンコホールは、高給で福利厚生がしっかりとしていることでも有名だ。他業種と比べて出世しやすいこともあり、今では人気職種のひとつと言っても過言ではないが、かつてを知るヤング氏としては「少し寂しい」と感じるのも事実な模様。「ダメな人でも生きていかなきゃならない」とし、そんな人々の「居場所がなくなるのは複雑な気持ち」と本音を吐露した。

 同時に、「パチンコ業界がクリーンになるのは、もちろんいいこと」とも。ヤング氏は「難しい」「答えは出ない」と頭を抱え、江戸時代に松平定信が行った「寛政の改革」と田沼意次の腐敗政治を比べて風刺した狂歌を謳い上げる場面もあった。

 時代と共に変わり続けるパチンコ業界。今後はどのように変化するのか。ファンとしても注視したいところである。

JRA兄はサリオスでも「コントレイル級」の大楽勝!? C.ルメール×国枝栄厩舎コンビが送り出した良血馬サリエラが来年のニューヒロインに名乗り

 28日、東京競馬場で行われた6Rの2歳新馬(芝1800m)は、C.ルメール騎手のサリエラ(牝2、美浦・国枝栄厩舎)が優勝。半兄にサリオスがいる良血馬が圧巻のデビュー勝ちを決めた。

「いいスタートをしたからマイペースで逃げられた。R.ムーア騎手と併せてからいい脚をつかってくれました。ムチを入れるといい反応をしてくれました」

 デビュー戦を任されたリーディングジョッキーもパートナーの楽勝を好評価だ。直線で叩き合った相手はムーア騎手が操るサイルーン。単勝1.8倍の断然人気に支持されていた大本命を軽くあしらったのだから価値がある。

 これには管理する国枝師も「小柄だけどディープインパクトのいいところが出ているね。血統もいいし、どんな競馬もできそう」と手応えを掴んだようだ。

 9頭立てのレースでルメール騎手は、スローと見るやサリエラを促してハナを主張。積極的に位置を取りに行くライバルがいなかったこともあり、すんなりとマイペースに持ちこむことに成功した。

 しかし、そこは世界的な名手であるムーア騎手も楽には行かせない。外から徐々に進出し、サイルーンを2番手まで誘導する。最後の直線でサリエラに並び掛けるとここからは2頭の一騎打ち。あとは交わすだけのように見えたが、ここからがサリエラが一介の逃げ馬ではない証明なのだろう。

 残り200mでもう一伸びをするとライバルを突き放し、3馬身の差をつけて悠々とゴールしてみせた。レースがスローで流れたこともあり、勝ちタイムこそ1分47秒2と目立たないものの、3着馬が2着からさらに6馬身も置き去りにされたことは、勝ち馬の強さをより際立たせる結果となった。

「血統的にはサリオスの半妹ですが、勝ちっぷりはむしろ2年前の東スポ杯2歳S(G3・当時)を圧勝したコントレイルのようでした。

ルメール騎手と国枝厩舎といえば、アーモンドアイで一世を風靡したコンビ。牝馬ということもあり、順調なら来年のクラシックでも主役になれそうな雰囲気もあります」(競馬記者)

 この日は奇しくも無敗の三冠馬コントレイルがラストランに選んだジャパンC(G1)の開催日。歴史に名を刻んだ名馬がターフ去る日にニューヒロイン候補が登場したのも、偶然ではないかもしれない。

 ルメール騎手には牡馬のイクイノックスもいるが、牝馬のパートナーに名乗りを上げたサリエラが潜在能力で決して引けを取らないスケール感を見せた。次走も要注目の1頭だ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

パチンコ店「周りの客から嫌われる…」絶対にやってはいけない“タブー”3選! 場合によっては警察沙汰で修羅場に?

 パチンコ店はさまざま人間が集まる特殊な娯楽スポット。来店するお客さんは千差万別で、ごく普通の人から見た目も性格も変わった方まで、色んなタイプの人間を見ることができます。

 また、遊技する際の打ち方や感情表現もさまざまで、「絶対に光らないのに第三停止ボタンを毎回ねじる」「どんなアツい演出が来ても、首をかしげで不満げな態度を取る」など、独自のプレイスタイルを構築している方もいらっしゃいますが、その中には、ある行動で他のお客さんを不愉快にさせてしまう人も存在します。

 そこで今回は、パチンコ店では“絶対にやってはいけない”迷惑行動“トップ3をご紹介。もし心当たりのある方は、決して怒らずに読んでいただければと思います……!

【なんで音量を上げた……? イヤホン・耳栓装着で爆音プレイ】

 昨今のパチンコ・スロット機には、テレビのような音量調整機能が搭載されており、その音量はプレイヤーの任意で調整することができます。耳への負担を考慮して最小~ミドル程度に設定する方、「音楽を最大限に楽しみたい」「上乗せ音などで脳汁を出したい」という欲望のために音量を最大にする方など、その目的はさまざまです。

 最近は台の「爆音問題」が取り沙汰されており、音量をMAXにするだけでも反感を買ってしまう状況ですが、これはそのように設定したメーカー側の責任であり、爆音を出すお客さんにそこまで罪はないと思います。

【注目記事】
パチンコ新台「連続V入賞で9000発」の激アツ仕様…ファン長年の夢が間もなく実現!? 
パチンコ演者「暗黙のルール違反」で炎上… 業界の大御所が言及した動画も話題に!

 ただ、イヤホンや耳栓などで自身の耳を守っているにもかかわらず、音量をMAXまで上げる行為は絶対にNG。それをやると、周りのお客さんは非常に不愉快であり、大多数の方が「音量を上げるなら外せばいいのでは?」と小学生でも分かるような矛盾にツッコミを入れたくなることでしょう。音量をどうしてもMAXにしたいのなら、それ相応の格好で上げることをオススメします。

【「ここも俺の場所だ!」と言わんばかりに、他人の陣地を侵略するイキリパチンカー】

 遊技する際、自身の許容スペースは「台の横幅」と「サンド」などのホール機器を足した広さが基本となりますが、この絶対不可侵のスペースに堂々と侵入してくる厄介者をたまに見かけます。

 その代表例が、両足を目一杯に広げるイキりプレイで、なかには「お前はインリンか!」とツッコミたくなるほど大きく広げる方も。これはマナーの問題なので、トラブルなく健全に遊技したい方は、自分の陣地内でおとなしくプレイしましょう。

【台に八つ当たり! 暴力で鬱憤を晴らす台パンマン】

 パチンコ・スロットは良くも悪くもアツくなりやすいゲームゆえ、時に怒りを露わにする方がいます。大声を出したり、店員さんに文句を言ったり、周りのものにストレスをぶつけて自身を落ち着かせようとしますが、その中でも特に目立つのが、台へ八つ当たりをする、通称“台パン”です。

 アツいリーチでハズレ、上乗せ特化ゾーンがショボい結果などなど、期待して裏切られた時にやってしまいがちな行動ですが、これは他のお客さんに迷惑をかけるだけでなく、ホールから損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。

 パチンコ・スロット台の新品価格は、40万~60万台が相場となっていますが、人気のある機種だと中古価格で100万円オーバー、なかには300万円を超える機種もあり、一時の感情でとんでもない代償を支払うハメになってしまうのです。そういう意味でも、台への攻撃は絶対にやめておきましょう。

(文=アルデバラン山本)
<著者プロフィール>
IT業界の闇を経験した後、ライターの道へ。学生時代から培ったパチンコ・パチスロの経験を活かし、機種の最新情報や実戦報告記事をメインに執筆中。『北斗無双』と『ディスクアップ』を愛してやまない働き盛りの30代。

JRA打倒ジュタロウにドレフォン産駒の超大物候補が名乗り、ケンタッキーダービー(米G1)挑戦も?

 27日(土)に東京競馬場で行われたカトレアS(OP)では、断然の1番人気に応えてコンシリエーレ(牡2、美浦・稲垣幸雄厩舎)が勝利した。

 芝からのスタートを無難にこなすと道中は中団前目の外につけ、最後の直線では楽な手応えで先頭へ。後続が迫ったが、クビ差しのぎ切った。

 レース後のコメントでC.ルメール騎手は「先頭に立ってから遊ぶところがありましたが、能力はありそうです」と評価した。

 思い返せば8月の新潟でデビューした同馬は、2着に1.9秒の大差をつける大楽勝だった。勝ち時計の1分53秒5は、過去にダートG1で4勝を挙げたルヴァンスレーヴが勝った同コースの新馬戦の勝ち時計1分54秒8を1秒以上も上回る好タイム。今回のレースでもどれだけ後続を突き放すのかという勝ち方にも期待がかかっていた。

 結果だけ見ると勝ち時計の1分38秒0は、昨年の同レース勝ち馬レモンポップがマークした1分36秒4と比べると平凡に映る。さらに、着差も2着にクビ差まで詰め寄られた。

 しかし今回は新馬戦以来3カ月以上の休み明けで、馬体重は前走から10キロ増の550キロ。さらにルメール騎手のレース後のコメントからも、やや子どもっぽさが残る内容で、今後の伸び代という点ではまだまだ未知の魅力を秘めている。

 そして新馬戦で騎乗した武藤雅騎手からルメール騎手に乗り替わった点も、今後を見据えての交代とも見てとれる。大舞台を意識しているからこそ、事前に鞍上に癖を知ってもらう事はアドバンテージにもつながるだろう。

 今回勝利したカトレアSは、来年5月にアメリカのチャーチルダウンズ競馬場で行われるケンタッキーダービー(米G1)への選定競走に指定されており、勝ち馬コンシリエーレは10ポイントを獲得。大目標へ向けて、幸先のいい滑り出しといえよう。

 実は当初コンシリエーレは10月のプラタナス賞に出走してくるのではないかとの噂があった。これはレース前に一度美浦に入厩した痕跡があったからだ。しかし調教もレースへの登録もなく最終的に再放牧となっていた。コンディションを考慮したか、ケンタッキーダービーへの意欲か、いずれにしろカトレアSを勝ったことによるポイント加算は大きい。

 当面のライバル候補として、同じく新馬戦を大差勝ちしたジュタロウの動向も気になるところだ。ジュタロウは来年の1月中京で行われる1勝クラスに引き続き武豊騎手で参戦すると発表があった。管理する河内洋調教師も「結果が出れば海外遠征も視野に」とコメントしており、自然と鼻息も荒くなる。

 ジュタロウの父アロゲートも産駒が好調。新馬戦を10馬身差の圧勝後、先日アメリカのBCジュベナイル(米G1)に挑戦したジャスパーグレイトやカトレアSと同日に行われた阪神の新馬戦でも人気のアロゲート産駒2頭がワンツーを決めた。昨年急死した父の無念を晴らすかのように、子どもたちの活躍が目立っている。

 コンシリエーレの父ドレフォンも、初年度産駒でジオグリフをはじめ重賞馬を輩出。芝ダート共にこなし、距離も融通がきく万能タイプに映る。同馬もダート路線での期待が高まる。今後のドレフォン産駒VSアロゲート産駒の新種牡馬同士の熾烈なケンタッキーダービー出走枠争奪戦にも目が離せない。

 選定競走は他にも「全日本2歳優駿(Jpn1)」「ヒヤシンスS(L)」「伏竜S(OP)」と3レース残っている。現時点では甲乙つけがたいが、お互い順調にいけば、どこかで直接対決が実現する可能性はある。

 先日、マルシュロレーヌがアメリカのBCディスタフ(米G1)に勝利し、日本馬として初の海外ダートG1制覇を成し遂げたばかり。ケンタッキーダービーを日本馬が勝利する日も決して遠くはないはずだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

JRA桜花賞グランアレグリア、優駿牝馬ラヴズオンリーユー、秋華賞クロノジェネシス「合計G1・13勝」伝説になった2019年牝馬三冠の激闘! 一方、同世代「牡馬」は……

 菊花賞、天皇賞春でG1を2勝したワールドプレミア(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)は体調が整わずジャパンC(G1)を回避していたが、そのまま現役を引退することが発表された。

 また、ラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)は香港C(G1)で、クロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)は有馬記念(G1)を最後に現役を引退することが発表されており、これで2019年に三冠レースを制した牡馬牝馬の現5歳、6頭すべてが引退をすることになる。

 そこで注目してもらいたいのが、クラシックを制してからの6頭の成績だ。

・牡馬(クラシック後のG1勝利数)
サートゥルナーリア(G1、0勝)
ロジャーバローズ(G1、0勝)
ワールドプレミア(G1、1勝)
・牝馬(クラシック後のG1勝利数)海外含む
グランアレグリア(G1、5勝)
ラヴズオンリーユー(G1、2勝)
クロノジェネシス(G1、3勝)

 見ていただいて分かるように、牡馬3頭でクラシック後G1を勝利したのはワールドプレミアの2021年、天皇賞春の1勝のみ。牡馬3頭は、怪我で引退するなど思うような活躍をすることができず、クラシック後の同世代6頭の成績は牡馬牝馬で対照的な結果となった。

 また牡馬の5歳世代全体を見ても、古馬混合戦でのG1は3歳時にアドマイヤマーズが香港マイルで、クリソベリルがチャンピオンズCで勝利を挙げているものの、古馬になってからはダノンキングリーの安田記念のみだ。

 一方、牝馬はグランアレグリアがマイルで圧倒的な強さを見せつけG1通算6勝で有終の美を飾り、クロノジェネシスは牝馬で初のグランプリ3連覇、ラヴズオンリーユー、マルシュロレーヌが米ブリーダーズCで勝利するなど、同世代牡馬に比べ、競馬界を盛り上げる明るいニュースが多い印象だ。

 そんな中、牡馬で気を吐いているダノンキングリーが引き続き川田将雅騎手とのコンビで、12月12日にシャティン競馬場で行われる香港マイル(G1)に挑戦することが予定されている。

 同レースには、通算19戦18勝という圧倒的な成績を収めており、連覇を狙う地元・香港のゴールデンシックスティが出走予定。また日本馬ではマイルG1を制している、1世代上のインディチャンプ、1世代下のサリオスも出走を予定している。

 ダノンキングリーにとって初の海外遠征。香港の地でライバルはかなり強敵になるが、ここで勝利することにより、牡馬5歳世代の意地を見せてくれることに期待したい。

(文=長尾りょう)

<著者プロフィール>
 はじめての競馬、ジャパンCで5番人気シュヴァルグランの単勝を当て、競馬にハマる。オルフェーヴルのように強いが、気性が荒く、成績にムラのある馬が大好き。今までで1番忘れられない馬券は、2018年の有馬記念ブラストワンピースの単勝。