110万円までの生前贈与は将来廃止される!? 相続税を節税したいなら早めに対策すべき理由とは?

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親から年110万円をもらっても贈与税がかからないのは、皆さんご存じだろう。そこで、親が元気なうちに、毎年110万円ずつ生前贈与をしておくのが鉄板の“相続税対策”になるとされてきた。しかし、今、贈与税と相続税の関係が大きく見直されようとしている。政府は“相続税と贈与税の一体化”の方針を打ち出しており、将来は生前贈与による相続対策は難しくなると言われているのだ。そこで今回は、生前贈与と相続税が今後どうなっていくのかを解説しよう。

生前贈与(暦年贈与)が相続税にどう影響するの!?

個人から財産をもらうと基本的に「贈与税」がかかるが、年間(1月1日~12月31日)110万円までであれば、贈与税は非課税となるのはご存じだろう。

そのため、親が子に相続税対策のために「生前贈与(暦年贈与)」を行うのが流行している。つまり、生きているうちに毎年110万円ずつ子どもに贈与しておけば、10年で1,100万円まで非課税で贈与できるので、将来、親が亡くなったときの相続税が軽減できるというわけだ。

この生前贈与は相続税対策の鉄板と言われてきたが、生前贈与が注目された背景には、2016年に相続税が大きく改正されたことがある。

具体的には、相続税の非課税枠が、以前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」だったのに対し、現在は「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられているのだ。

つまり、これまではよほどの資産家やお金持ちしか関係なかった相続税が、この改正によって、ちょっと裕福なサラリーマン家庭でも対象になる可能性が出てきたのである。

■相続税(基礎控除額)

3,000万円+600万円×法定相続人数

※たとえば、夫・妻・子2人の場合は、4,800万円までが基礎控除額になり、それを超える分に相続税がかかる

政府の方針では「相続税逃れ」が問題視されている!

そもそも、“相続税逃れ”を目的に生前贈与することは、現行法でも認められてしないし、たとえば、親が癌で余命宣告を受けてから生前贈与しても、これは相続財産として扱われてしまう。

具体的には、10年前から110万円ずつ生前贈与していても、亡くなる3年前までに贈与された財産に関しては、現行法でも相続財産とみなされるのだ。

政府は、令和3年度税制改正大綱で「相続税と贈与税をより一体的に捉えて…

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パチスロ6.2号機の「知っておきたい情報」…リセット恩恵で激アマ!?

 パチスロ6号機の登場から早くも3年が経過。当初は有利区間の後半に進むほど得をするような仕様のマシンが多かったが、昨今の状況は少し違う。

 特に6.2号機は、いつでも当りを目指せる仕様が基本形となっている印象。引き戻しゾーンの影響で、有利区間の前半がチャンスとなっているマシンも豊富だ。

 ホールの状況を見ると、開店時はパチンコの遊タイムやパチスロの高設定を狙うユーザーが大半と言えるが…「リセット恩恵狙い」で立ち回るユーザーも存在する。

 そんな状況を踏まえ、今回は6.2号機のリセット恩恵が強いマシンをご紹介していきたい。

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パチンコ「6万5000発」を1時間余りで吐き出す悪魔が降臨…今年9月の新台を振り返る

『パチスロ うしおととら 雷槍一閃』

 リセット時は一定の割合で内部的に引き戻しゾーン「激槍慟哭ZONE」と同様の状態で開始することがあり、15GほどでATが直撃する可能性もある。

 同ゾーンは内部的な「うしおポイント」が1000ポイントに到達、或いは小役による直撃抽選に当選すればATとなるCZだ。

 見た目では判断できない上に必ず突入するわけではないが、1周期はチャンスとなっている。そのため、そのまま消化してしまっても損はない。

『パチスロ戦国乙女 暁の関ヶ原-DARKNESS-』

 リセット時は天井ゲーム数が短縮される恩恵が存在し、約40%で恩恵が得られる仕様。短縮となり、CZ天井とAT間天井の2種類が搭載されており、両方に短縮が適用される。

 通常は天井として約634G到達でCZ、約969G到達で前兆をはさみATに当選。リセット恩恵を獲得すれば「100GにCZ、435GにAT当選」のパターンか「300GにCZ、634GでAT当選」のいずれかとなる。

 また、約5%で初当りがカシンアルティメットorカシンバトルとなる「アルティメットモード」に移行、黄7連AT高確への移行といった特典があるので朝イチは狙い目と言えそうだ。

『パチスロGANTZ極 THE SURVIVAL GAME』

 リセット時は実戦上、最大3周期でガンツボーナス以上の当選が濃厚。通常は最大5周期が天井となるため、早めの初当りに期待が持てる。

 また、有利区間の開始時に突入するポイント獲得ゾーン「妄想たいむ」は同区間内で1000ポイント獲得に成功すれば超ガンツボーナス+ATに直撃する可能性があるのでチャンスだ。

 現状は「妄想たいむ」のみ回されヤメられている台も多い。しかし、周期の到達はポイントに依存する。高ポイントを獲得している場合は素早く3周期に到達する可能性があるため、チェックしてみるのも良いだろう。

 今後も注目の6.2号機の新台が続々と登場するが、これまでの流れを見ればそれらマシンにもリセット恩恵は存在する可能性が高い。今後の動向に要注目だ。

(文=大松)

<著者プロフィール>
 4号機『大花火』でホールデビューし、『パチスロ北斗の拳』でドハマリ。6号機は『パチスロ モンスターハンター:ワールド™』がお気に入り。G&Eビジネススクール卒業後、プログラマーや事務職を経験。現在はライティング業務に従事する傍ら「パチスロガチ勢」として活動中。パチMAXでは主にハイエナ実戦記事や動画レビュー記事を担当。常に攻略情報に注目しており、「6号機でも勝てる」を心情に有益な情報を紹介中。

パチンコ新台「平均出玉7230発オーバー」の異色マシンも話題の個性派メーカー…生ける伝説とコラボした「100%ST×1584発」の甘デジを振り返る

『餃子の王将』や『すしざんまい』といった飲食チェーン店をパチンコ化。また、「モデル×お笑い芸人×プロレスラー」という何でもアリのキャスティングで『Pほのかとクールポコと、ときどき武藤敬司』をリリースするなど、業界を騒然とさせ続ける豊丸産業。

 そんな同社が、またまたファンの関心を惹く注目の新台を発表しました。今回タイアップ先に選んだのは、なんと美容医療において高い知名度を誇る「アノ企業」。その名もパチンコ新台『Pyes!高須クリニック~超整形BLACK~』です。

 これには多くのユーザーが度肝を抜かれたことでしょう。「なぜタイアップした(笑)」「斜め上すぎて逆に楽しみ」など、大きな反響が寄せられていました。PVでは、院長の高須氏が本機の魅力を熱く語っている姿を確認。その内容からは、本機が話題性だけの台ではないということがしっかりと伝わってきます。

 本機は『餃子の王将』などと同様のゲーム性を楽しめる役物機。豊丸産業の過去作で登場した「連続入球ギミック」や「ちょいアナGO」といった役物機構を受け継ぎ、新たな要素として「倍穴」などのギミックも追加されています。玉の動きにより熱くなれそうなゲーム性です。

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 そして、役物を突破して1/36.9の大当りを射止めた際は100%「TAKA須RUSH」に突入。ここでは同モードが約93.1%でループし、更に21.5%の振り分けで9R・1110発を獲得可能となっております。

 見た目はコミカルですが、その性能は「平均出玉7230発オーバー」を誇る超本格派。このギャップも豊丸産業ならではの魅力と言えます。導入される日が待ち遠しい限りですが…。

 今回は、そんな同社が生み出してきたタイアップ機の中で個人的に強く印象に残っている機種をご紹介したいと思います。

 それは先述した『餃子の王将』や『すしざんまい』でも『ソフトオンデマンド』でもありません。私が愛してやまないお笑い芸人を起用した『CR江頭2:50』です。

「ワンクールのレギュラーより1回の伝説」という言葉の通り、これまで数々の伝説を築き上げてきた江頭2:50。海外で逮捕されたりテレビ番組で出禁となったりと、過激すぎるパフォーマンスで一部ファンから絶大な支持を得ているのは皆さんもご存じでしょう。

 実は、私もそんな生ける伝説に元気づけられている「あたおか」の一人。パチンコとして約10年前に登場した『CR江頭2:50』も、かなり打ち込みました。

 まさに彼の生き様をそのまま落とし込んだ仕上がりで、過激な演出が打ち手を歓喜へと誘います。「がっぺむかつく」、「お前に一言物申す」、「しゃちほこ立ち」といったお馴染みの持ちネタも、演出として楽しめたのです。

 そして注目のスペック面ですが、意外にも安定感の高い100%STタイプ。大当り確率が1/312.1のミドルが2機種、1/249.2と1/159.8のライトミドル、1/99.3の甘デジと豊富なラインナップで登場しました。

 私が特にお世話になったのは甘デジ『CRA江頭2:50 V99』。甘海に似た「ST4回転+時短」で構成されており、16R・1584発の比率が20%オーバーという一撃要素もあったため、かなり遊びやすかったと記憶しております。

 万発クラスも十分に狙えたスペック面も魅力の本機。画面越しで躍動する江頭2:50の雄姿は、今でも脳裏に焼き付いて離れません。YouTuberとして今なお絶賛活躍中の彼を、再びパチンコに起用してほしいと願うのは私だけではないでしょう。豊丸産業さんどうかお願いいたします。

(文=HIRA.777)

<著者プロフィール>

 飲食店やホテルマン、営業など幅広い職種にチャレンジ。どれも長続きせずにいたが、趣味であったパチンコ関連業界へ就職し現在に至る。今では自身の体験談や、業界関係者から入手した情報などを元に記事を作成中。パチスロ4号機にハマっていたいわゆる「北斗世代」で、長きに亘り活躍するシリーズの動向に注目している。主に検定通過情報や、動画レビュー記事を担当。動画は大量出玉を実現した内容を好んで紹介している。

JRA武豊も、C.ルメールも、福永祐一も買ってはいけない騎手!? 6番人気が5馬身圧勝……「謎の10万馬券レース」に注目

 年の瀬が近づき、いよいよ今年のリーディングジョッキー争いも様相が固まってきた印象だ。

 トップはぶっちぎりでC.ルメール騎手。仮にリーディング獲得となれば、これで5年連続の快挙となる。そんな絶対王者を2位の川田将雅騎手を筆頭に、福永祐一騎手や松山弘平騎手といったお馴染みのリーディング上位陣が追いかけるといった構図は、ここ数年間ずっと変わらない傾向だ。

 しかし、大多数のファンは、彼ら「トップジョッキーを買い続けても、競馬は勝てない」という単純な事実に気付いていないことをご存知だろうか。

 儲かる騎手なのか、そうでないのかを精査する上で、明確な指標となるのが「単勝回収率」だ。単勝回収率とは、特定の騎手1人の単勝を買い続けて、何%回収できるかという数値である。

 実は12月6日現在、リーディングトップ10を占める騎手たちは全員、単勝を買い続けても1円の利益も生み出さない状況にある。川田騎手こそ単勝回収率100%を保っているが、ルメール騎手を筆頭にその他9人は「単勝を買い続けるだけで損をする」のだ。

 ただその反面、ルメール騎手と川田騎手の複勝率(3着以内にくる確率)は50%を超えている。つまり2回に1回は馬券圏内に来ているということである。

 多くのファンは自分の馬券が当たった際に、ルメール騎手や川田騎手が的中に貢献したことから「頼りになる騎手」と感謝し、同時に「この騎手は金になる」と勘違いしてしまう。

 だが、実情は先述した通り、ルメール騎手でさえ単勝回収率は73%しかなく、50%以上の確率で発生する複勝回収率も79%に過ぎない。武豊騎手に至っては単勝回収率65%と「買ってはいけない騎手」と言えてしまう数値だ。

 繰り返しになるが、競馬はトップジョッキーを買い続けても損をするだけなのだ。

 しかし、その一方で競馬ファンは、自分が買った馬券を当てたいという気持ちに捕らわれ「頼りになる騎手」=「金にならない騎手」の馬券を買い続ける――。これこそが、大多数の競馬ファンが馬券でずっとマイナス終始に陥っている最大の理由である。

 そんな“負のスパイラル”から抜け出す方法、つまりは競馬で「本当の勝ち組」に近づく方法が、実は身近にあることをご存知だろうか。

 例えば、今月5日に中山で行われた市川S(3勝クラス)は、三連単が10万馬券を超える大波乱の結果だった。三連単には239万7087票が投じられ、的中馬券となったのはわずか1734票である。全体の0.07%という、ごく少数の人間が「勝ち組」となったレースだった。

 1着が大野拓弥騎手で、2着が武藤雅騎手、3着が鮫島克駿騎手。同日に中京でチャンピオンズC(G1)が開催されていたため、リーディング上位陣の姿はない。つまりは「頼りになる騎手」が不在だったことが、大波乱になった一因といえるだろう。

 そして、そんな難解なレースで三連単10万馬券を的中させたのが今、一部の競馬ファンの間で密かに話題になっている『スマート万馬券』だ。

 競馬ファンの中には知っている人もいるかもしれないが、年間的中1000本以上を掲げ、少額投資+的中重視という「馬券投資の理想形」として、現在登録者が激増しているのが『スマート万馬券』である。

 馬券師スカウト部によって、全国から集められた有益なプロの馬券師たちが所属する『スマート万馬券』だが、結果を残せない馬券師が次々と淘汰されていくからこそ、生き残っている者は必然的に高い信頼度を誇っているのだ。

 何故、『スマート万馬券』は三連単10万馬券をあっさりと的中できるのか。それは彼らが「金になる騎手」を知っているからである。件の市川Sについて、関係者に話をうかがったところ「我々にとっては、簡単なレースだった」というから驚きだ。

「ここだけの話ですが正直、先日の市川Sは我々にとっては絶好の狙い目というか、簡単なレースでした。

 勝ったブランクチェックは前走14着に大敗していたことで6番人気でしたが、その前走は1年ぶりの休み明け。(管理する)栗田徹調教師も『いかにも長期休養明けという感じで、馬も精神的に戸惑っている面を見せていた』とコメントされていましたし、言ってしまえばノーカウントといえるでしょう。

 その一方で本馬は、主戦の戸崎圭太騎手が以前から『重賞でもいい走りをしてくれているし、楽しみな馬』と惚れ込んでいる逸材。この日はチャンピオンズCのチュウワウィザードに騎乗するため、後ろ髪を引かれる思いで中京に行きましたが、我々にとってはトップジョッキーの戸崎騎手から大野騎手に乗り替わったこともプラス材料でした。

 何故なら、戸崎騎手よりも大野騎手の方が『金になる騎手』というデータがあるからです。

 それだけでも十分に買いの馬ですが、決め手になったのが直前の追い切りでした。内容は2歳の新馬に遅れるという一見、不甲斐ないもの。しかし、実はその2歳新馬が前日のデビュー戦を7馬身差で圧勝したホウオウルーレット。この時点で、我々はブランクチェックの復調を確信し、本命視することに決めました」(スマート万馬券関係者)

 結果は、ブランクチェックが勝利。6番人気の低評価に過ぎなかった馬が、5馬身差で圧勝するという非常に珍しいレースとなった。

 客観的に見れば「前走14着大敗」「リーディング8位の戸崎騎手→17位の大野騎手」「追い切りで2歳新馬に遅れる」など、ブランクチェックが6番人気に甘んじた理由は明白だ。

 しかし、確かなデータと独占契約する40ルート以上の情報網を持つ『スマート万馬券』からすれば「これらすべてがプラスの要素に転じていた」ということなのだろう。これこそが競馬の勝ち組たる所以ともいえる。

「相手はすんなり1番人気のノーブルシルエットに決まりましたが、3着にヴォワドアンジェが頑張ってくれたことは幸運でしたね。

 10番人気という穴馬でしたが、同じダート1800mで連勝中。さらに鞍上の鮫島駿騎手は、単勝回収率107%(6日現在)と買い続けるだけで得になるジョッキー。相手として、押さえない理由はありませんでした」(同)

 そう話す関係者の話だけを聞けば正直、この市川Sが何故10万馬券の大波乱だったのか……首を捻りたくなるのは筆者だけだろうか。何せ、5馬身で圧勝した明らかに格上の馬が6番人気という美味しい状況で、2着が1番人気である。「惜しいレースを逃した」と思った読者も多いのではないだろうか。

 無論、それこそが“負け犬の遠吠え”そのものなのだが、そんな競馬の悲しいあるあるを繰り返さない最も有効な手段の1つが『スマート万馬券』のような、プロ馬券師の予想に乗ることなのだろう。

 幸い『スマート万馬券』は、現在も会員を受け付けているという。

 それも登録者には現在、週末の重賞の買い目が「無料」でプレゼントされる上に、会員になる登録費や会費も無料。新規入会者に優しいプランというからありがたい。プロ馬券師の実力にあやかりたい人は、ぜひとも参加すべきだろう。

『スマート万馬券』登録はコチラ。

※本稿はPR記事です。

ひろゆき「ホクレンが生乳を廃棄」ツイートが物議…ホクレンに直接聞いた

 年末年始に向けて生乳が大量に余り、約5000トンが廃棄される見込みとの報道が大きな話題を呼んでいる。業界団体や金子農林原二郎水産大臣が、消費拡大などの対策に取り組む考えを示すと同時に、消費者にもっと牛乳を飲んでほしいと需要喚起を呼びかけた。

 そんななか、2ちゃんねる創設者で実業家の西村ひろゆき氏が、バターにすれば長期保存ができるのに、業界団体がバター増産を阻んでいるとの指摘をして波紋が広がっている。ツイートは次の通りだ。

「生乳はバターにすると長期保存可能。国産バターの9割は北海道で製造。北海道の生乳は『ホクレン』がほぼ独占。ホクレンは、生乳をバター用にすると利益が減るので増やさない。 ホクレンは、生乳の価格を下げるより、捨てたほうが儲かるので、生乳価格も下げずに捨てる」

 ネット上でも同様に、「なぜバターやチーズにしないのか」といった声は続出している。ここ数年、バターが品不足で値段が高止まりし、「1人1品まで」などと購入制限されている店もあるため、バターの生産量を増やすべきとの指摘が出ているようだ。

 だが、ひろゆき氏のツイートを受けて、「ひろゆきさんの指摘は完全に間違い」「今はバターや生クリーム、チーズの在庫が積み上がっている状況で、バターにすればいいというのはおかしい」といった意見が続出。

 そこで、名指しされたホクレンに見解を求めた。まず、ホクレンとはどのような組織なのか。

「当会は、北海道内のJAが出資し、JAの経済事業を担うことを目的として設立された組織(生産者、団体、農協連合会)です。生産現場を支え、実りを確実に消費地に届けることは、ホクレンの果たすべき責務であり存在意義でもあります。コーポレートメッセージは『つくる人を幸せに、食べる人を笑顔に』です。

 ホクレンは北海道指定生乳生産者団体として、各JAを通じ北海道の酪農生産者より生乳の販売委託を受け、乳業者が製造する牛乳・乳製品の原料となる生乳を販売しております」

 次に、なぜ生乳が余る事態になっているのか。

「生乳流通の仕組みについては、生乳生産者・乳業者が加盟する業界団体(一社)Jミルクが発行している資料(日本のミルクサプライチェーン2021)をご確認ください。

 構内の酪農について、生乳生産量は減少傾向にありましたが、消費者の皆様に牛乳・乳製品を安定的にお届けするため、近年では生乳生産基盤の強化を関係者一丸となって取り組んでまいりました。この成果が出始めたタイミングで、コロナ禍による需要の減少(インバウンド・外食需要を中心に)が重なり、特に学校給食がなくなり、一般の需要も大きく低下する時期(直近では年末年始)に乳製品工場の処理能力を超えてしまう生乳の発生が懸念されております」

JミルクHP

 大量廃棄を回避するために、どのような取り組みをしているのか。また、長期保存が可能な乳製品等の増産等の措置はできないのか。

「現在、生産者・乳業者・関係機関が一体となって、さまざまな角度から上記の発生回避に向けた取り組みを進めております。ホクレンといたしましても、受託生乳の完全販売に向け、取引乳業者に対し乳製品工場のフル操業を要請するとともに、消費拡大に向けた取り組みを現在推進しております。

ミルクランド北海道

 また、長期保存が可能な乳製品への生乳販売が増加し、結果として国内の乳製品在庫が大幅に積み増している状況にあります(『日本のミルクサプライチェーン2021』P14、直近の在庫数量は『農水省牛乳乳製品統計』参照)が、生乳生産基盤を毀損しないよう業界が一丸となって新たな需要確保に向けた取り組みを実施する方向性について現在議論を重ねているところであります」

 つまり、生乳の増産体制を敷いていたところにコロナ禍での需要減が起き、生乳が余るようになった。しかも、乳製品の増産は工場をフル稼働するところまで行っているうえ、在庫も積み上がっている状況ということだ。

 くしくも12月10日には「モデルプレス」が「ビジネス・教養系YouTuber影響力トレンドランキング」を発表し、ひろゆき氏は1位を獲得している。影響力が大きいだけに正確な情報発信が求められるところだが、最近は情報発信した直後に、専門家や知識人から間違いを指摘されることが相次いでいる。

 ちなみに、ひろゆき氏は件のツイートのあと「常温保存牛乳は、UHT牛乳という名前で日本以外の国では普及してるんですけど、日本は消費者が好まないみたいですね」とも呟いている。「UHT牛乳」は超高温殺菌牛乳を意味し、未開封であれば常温でも長期保存が可能なことは確かだが、日本の市販牛乳の9割が、この殺菌方法である。

(文=編集部)

日本の半導体産業復活への効果乏しく…補助金4千億円で台湾TSMC工場を誘致

「産業のコメ」と呼ばれる半導体の不足は、多くの業界にとって頭痛の種だ。スマホやパソコンの需要拡大で世界的に足りなくなり、自動車メーカーが減産に追い込まれるなど影響は甚大だ。

 政府は先端半導体工場の新設や増設を支援するための関連法改正案を閣議決定した。経済安全保障上の重要性が増す先端半導体を、国内で安定的に供給できる体制を構築する。台湾積体電路製造(TSMC)がソニーグループと共同で熊本県に建設する新工場を認定第1号に想定している。

 政府は2021年度補正予算案に財源として6170億円を計上した。TSMCの新工場向けには、当初の設備投資額の半分にあたる4000億円を拠出する。世界最大の半導体生産受託会社であるTSMCとソニーグループは共同で熊本県に合弁会社を設立し、半導体の新工場を建設する。

 この工場は熊本県菊陽町にあるソニーの画像センサー工場の隣接地に建設。22年に着工を予定し、24年末までに生産開始を目指す。設備投資額は8000億円規模で日本政府が半分を補助する見通し。1500人の新規雇用を見込む。

 合弁会社の株式の過半はTSMCが保有し、経営権を握る。ソニーの半導体子会社ソニーセミコンダクタソリューションズが570億円出資し、20%未満の株式を取得する。新工場では回路線幅22~28ナノメートル(ナノは10億分の1メートル)の半導体を生産。最先端製品ではないものの、日本のメーカーが国内で生産できる40ナノメートルよりは微細で自動車や家電向けに広く利用されているという。月間生産能力は300ミリウエハー換算で4万5000枚を見込む。

 ソニーグループは熊本県や長崎県でスマートフォンや車載向けの画像センサーを生産し、世界シェアは首位。光を集めるセンサー部分は自社製造するが、画像データを処理する演算用半導体はTSMCなどに生産を委託している。世界的な半導体不足が続くなか、調達先の確保が課題になっていた。ソニーは新しい工場の大口顧客となり、画像センサーに組み込む演算用半導体の安定確保を図るのが狙いだ。

 ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長はかねてから「半導体を安定的に調達できるかどうか、日本の国際競争力維持のために大事だ」と話している。デンソーも自動車部品向け半導体を安定して調達するため、新工場に専用設備を設けるなど参画を検討している。

“半導体ナショナリズム”広がる

 技術覇権をめぐる米中対立は、米国が自国生産第一主義を鮮明にする引き金となった。「米国による先端技術の囲い込みにつながる」との危機感を日本や中国、さらには欧州の政策当局に抱かせた。

 米バイデン政権は自国の半導体生産能力の増強のために、総額5兆円を超える支援策を検討している。これが日欧韓中などで“半導体ナショナリズム”が広がる誘因となった。経済産業省は6月、「半導体戦略」をまとめた。経済安全保障の観点から先端半導体工場の国内立地の必要性を訴えてきた。TSMCが米国、中国に次いで日本に拠点の設置を決めたのは、水面下での交渉の成果といえる。

 政府は半導体の安定確保を国家戦略と位置付けている。「新しい資本主義実現会議」がまとめた成長戦略に「先端半導体の国内立地の複数年度に渡る支援」と明記した。本年度の補正予算案に盛り込む経済対策で基金を創設、TSMCの新工場の設備投資額の半額程度の4000億円を支援する方針だ。

 海外企業にこれだけの補助金を拠出したことは過去に例がない。半導体をめぐっては世界で熾烈な調達競争が繰り広げられており、欧米や中国政府も自国への工場の誘致のために、日本を上回る補助金を出す方針を示している。

TSMCを誘致する理由

 半導体ビジネスは、一つの企業が設計から製造までを一貫して引き受けるのではなく、工程ごとに得意な企業が、得意な分野に特化する水平分業が進められてきた。設計・開発は米国が、製造装置の生産は日本が、そして、半導体そのものの生産は台湾の企業がそれぞれ分業することで、製品を安く提供するグローバルサプライチェーンが出来上がった。

 中国が5兆円を投じて半導体王国になって、2025年までに半導体の自給率を高める計画を打ち出した。これに危機感を募らせた米国は5兆円を投じて国内生産を強化するとした。米インテル、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子が米国に新工場の建設を決定、あるいは建設を検討している。日立製作所グループの日立ハイテクも半導体の技術開発拠点を米国に作る計画を発表した。こうした動きが強まれば日本が強みを持つ半導体の製造装置や素材を担う企業が海外に移転し、国内が空洞化する恐れが出てきた。

 そこで経産省は、国内で半導体を生産する計画を打ち出した。半導体の受託生産で世界最大の台湾のTSMCを誘致することにしたのである。1990年には半導体企業の売上高トップ10にNEC、東芝、日立製作所、富士通、三菱電機、松下電器産業(現・パナソニック)の6社が名前を連ねていた。日本は半導体王国だったのだ。ところが、2020年にはトップ10から日本企業の名前は消えた。

 半導体産業は巨額の設備投資が必要になる。最先端工場では1棟1兆円規模に膨らむ。日本企業はオーナー経営者らが大型投資を即決する韓国・台湾勢や、国から巨額補助金を受ける中国メーカーとの投資競争に敗れた。日本のサラリーマン経営者は、大きなリスクが伴う巨額投資に躊躇しがちになるからだ。

 半導体製造装置を除くと、日本の半導体メーカーで一定の生産能力をもつのは、メモリー大手のキオクシアホールディングス、画像センサーのソニーグループ、自動車向けマイコンのルネサスエレクトロニクスぐらいだ。

 巨額の補助金をエサに、やっと誘致にこぎつけたTSMCが新工場を作っても、日本がかつてのような半導体王国に復活するのは容易ではない。また、TSMCは世界市場を常に視野に入れており、補助金の縛りがきくのは最初の数年間とみられている。「TSMC熊本工場は、日本企業の工場とは考えないほうがいい」(半導体企業首脳)といった醒めた見方もある。

(文=編集部)

JRA朝日杯FS(G1)「忘れちゃいけない」先週の大波乱、11万馬券の立役者はまたノーマーク? お宝ゲットはあのレースから狙え!

 先週末の日曜競馬は、日本で2歳女王決定戦の阪神JF(G1)が行われ、香港ではG1レースが4つの香港国際競走が開催。国内外あわせてG1が5レースもあり、競馬ファンには何かと忙しい1日だったに違いない。

 ヴァーズをグローリーヴェイズ、カップをラヴズオンリーユーがそれぞれ優勝した一方で、複数が落馬したスプリントでは、福永祐一騎手が負傷。香港の2頭が予後不良となるなど、痛ましいアクシデントも発生してしまったことは非常に残念である。

 話を国内に戻すと、阪神JFを制したのはM.デムーロ騎手が騎乗した3番人気のサークルオブライフだった。デビューから4戦で2歳女王に輝いたとはいえ、ここまでのキャリア4戦で1番人気は一度もない馬だった。

 今回の勝利により、次走では人気確実となりそうだが、4着に敗れたナミュールも出遅れる不利があった中での惜敗。今後も2歳牝馬は混戦模様が続いていきそうだ。

 そして今週の朝日杯FSも、下馬評ではセリフォスを推す声が多いものの、先週の阪神JFで1番人気のナミュールが敗れたように、全幅の信頼を置くには怖さが残る。

 セリフォスと人気を分けることが濃厚なジオグリフにしても、騎乗を予定しているC.ルメール騎手が、グランアレグリアで制したマイルCS(G1)からG1を3連敗中。決していい流れとはいえないだけに、両雄並び立たずどころか、2頭とも馬券圏外となっても不思議ではない。

 そこであえて狙ってみたいのは、配当的な妙味の少ない人気馬より、高配当をプレゼントしてくれる人気薄の穴馬の方だ。今回注目したのは、8番人気ながら2着に食い込んだラブリイユアアイズである。

 いや、厳密には同馬の出走していた京王杯2歳S(G2)組といった方が正しいだろうか。このレースは、8番人気の伏兵キングエルメスが穴を開けたこともあって、それほど高く評価されていなかった。

 そのため、グレード的にG2ながらも3着に入ったラブリイユアアイズが、ほぼノーマークだった理由にも繋がっただろう。だが、その穴馬が3戦無敗のウォーターナビレラに先着し、G1勝利まであと一歩の接戦を演じたことは見逃せない。つまり、ファンが想像していたよりもレースレベルが高かったということになるからだ。

 残念ながら勝ち馬のキングエルメスは、骨折により戦線離脱を余儀なくされたが、2着馬のトウシンマカオ(牡2、美浦・高柳瑞樹厩舎)は、朝日杯FSに戸崎圭太騎手とのコンビで出走を予定している。

「トウシンマカオは、少し面白いなと思っていた1頭です。先行力のあるタイプでロスのない競馬が期待出来そうです。個人的にもキングエルメスを評価していましたから、京王杯2歳S組が軽視されているのは歓迎です。

勝ち切るまでのインパクトはないですけど、馬券圏内の3着以内なら十分にあるんじゃないかと……。2着、3着の紐にはぜひ入れておきたい馬ですね。1週間も経てば、先週のことなんてすぐ忘れちゃいますから(笑)」(競馬記者)

 ちなみに14日現在、トウシンマカオは『netkeiba.com』の単勝予想オッズで8番人気の低評価。人気的には先週のラブリイユアアイズとほぼ同じくノーマークに近い。3着馬が3連単11万馬券の立役者となったなら、これに3/4馬身先着した2着馬が、再び高配当の使者となるかもしれない。

 騎乗を予定しているのは秋華賞(G1)をアカイトリノムスメで制した戸崎騎手。今年G1・2勝目の懸かるこの舞台で、アッと驚く会心の騎乗を見せてくれることに期待したい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

Z世代を、ミレニアル世代、Y世代と比較してみた~そのメディア意識とメンタリティ~

電通メディアイノベーションラボでは、ビジネスへのヒントや新しいマーケティングへの知見獲得を目的として、生活者を情報行動やメディアとの関わりの視点から研究し情報発信するオーディエンス研究プロジェクトを推進しています。今回は「Z世代」をテーマに、研究結果を紹介します。

2021年は「Z世代」という言葉を頻繁に耳にしました。彼らは、次代の消費を担う若者としてマーケティングで注目を浴びています。また、今後の日本人の情報行動やメディア利用の展望においても重要ターゲットです。

当ラボでは、2021年に東京大学名誉教授の橋元良明氏(現:東京女子大学教授)と共同で、メディア意識やメンタリティに関する調査を行いました。今回は、そのデータを基に、Z世代の持つ特徴を、その先行世代となるミレニアル世代やジェネレーションY(以下、Y世代)と比較しつつ考察してみたいと思います。

※Z世代は一般には1990年代半ばから2010年くらいまでに生まれた層といわれます。本記事においては、2021年における15~24歳(1997~2006年生まれ)を「Z世代」として分析しています。同様に、25~34歳(1987~1996年生まれ)を「ミレニアル世代」、35~44歳(1977~1986年生まれ)を「Y世代」、45~54歳(1967~1976年生まれ)を「Z世代の親世代」、55~74歳を「シニア世代」と表記しました。

※なお、世代の年齢区分については論者によりさまざまな言説があり、また、ある年齢を境にくっきりと分かれるものでもなく、前後の世代に重複する部分が見られることもあることはご承知ください。
 
世代区分とサンプル数
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先輩世代の「ミレニアル世代」と「Y世代」の特徴とは?

Z世代の比較対象とするミレニアル世代とY世代について、先に軽く説明します。

Y世代は、おおむね1970年代後半から80年代半ば生まれの世代です。Y世代が成人したころ、パソコン用のOS「Windows95」がローンチされました。当時大学生くらいになっていたY世代は、このOSの誕生により、縦横無尽なネット活動が本格的に行えるようになりました。就活では、この世代から初めてリクナビ等が活用されるようになり、また、この世代からは多くのIT企業の創業者が生まれました(ミクシィ、GREE、はてな、2ちゃんねる、など)。

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Y世代はバブル崩壊の影響を受け厳しい就職難を経験したため氷河期世代と呼ばれ、ロスジェネという呼称も生まれました。一方で、苦境を経験したことで反骨精神が強くなり、自分をしっかりと見つめるマインドも養われたともいわれます。そのようなY世代の心を象徴するかのように、1990年代の後半には、テレビでは「自分探し」系のドラマも多く作られました。

この世代からは、先輩から飲みに誘われたときに「自分は今晩やることがありますので」とキッパリ断ることができる人が現れた、ともいわれます。また、青春期にはピチカート・ファイヴや小沢健二ら、いわゆる“渋谷系”アーティストによる都会的な楽曲がはやりました。

次にミレニアル世代ですが、この世代は1980年代半ばから90年代半ばに生まれ、日本では「ゆとり世代」と重なります。ゆとり教育を受け、小学校の運動会では1等賞を設けない徒競走なども行われました。

彼らは、マインド的には「仲間」「一致団結」といったつながり感覚を重視する傾向があります。例えば、仲間でファミレスに集まると、互いの頼むメニューがかぶらないように気を使い合うなど、常に周囲の空気を読むような傾向が見られたことも特徴の一つです。

SMAPが「世界に一つだけの花」で “ナンバーワンにならなくてもいい♪” と歌いヒットしたのが2000年代初頭でしたが、時代の空気感を反映していたとも言えそうです。「飲み」に関する対応では、Y世代が先輩からの誘いを断ったのに対し、つながり感覚を重視するミレニアル世代は「ぜひ行きましょう!」と快諾し、“飲みニケーション文化”が復活したともいわれます。

情報行動に関しては、Y世代がWindows95搭載PCでネットの大海原へ進出したのに対し、ミレニアル世代は1999年に誕生したNTTドコモの「iモード」の影響を受け、ケータイからネットの世界に入っていきました。そして、ケータイのキーをものすごいスピードで打ちまくり、テキストベースで友達と一日中しゃべりまくるスタイルが見られました。例えば、「今、バイト?」「どこにいるの?」「まだ起きてる?」などといった具合に、24時間、友人同士で動静を確認し合うこともよくありました。

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「Z世代」の情報行動とコミュニケーション

さて、本題の「Z世代」ですが、Z世代は10代でスマホの誕生に遭遇しています(iPhoneの国内ローンチは2008年)。ミレニアル世代が10代でケータイからネットの世界に入っていったのに対し、Z世代は10代からスマホに接し、SNSが水や空気のように当たり前に存在する環境下で育ちました。

ミレニアル世代は身近でリアルな友達とつながり、利用するSNSも知っている人から承認を受けて始めるミクシィのようなサービスが中心でしたが、Z世代はより多様なSNS、例えばTwitterやInstagramを使い、リアルで会ったことのない人も含めたより広い世界とつながりコミュニケーションを図っています。

また、Z世代はYouTubeなどの動画サービスの影響も強く受け、動画を通したコミュニケーションも活発で、一日中動画漬けといったライフスタイルの人も現れました。昨今では、GoogleやYahoo!で検索する代わりに「いきなりYouTubeで検索」といった行動も、この世代を含めて浸透してきています。

「Z世代」のメディア意識とメンタリティ 

今回の調査では①「テレビ放送」②「インターネット情報(※注:ネット動画・SNSは除く)」③「ネット動画」④「SNS」の4つの情報源について、おのおのの持つ機能や役割・効用への意識に関する質問を行いました。

【図表1】は、4つの情報源に対し「信頼できる情報が得られる」「社会の空気感を知ることができる」「日常的に触れていないと世間の常識が分からなくなる」「価値の高い内容に触れられる」「感動を得られる」の5項目について「そう思う」と答えたZ世代の割合です。

【図表1】

4つの情報源の機能・役割への評価(世代別)
橋元教授&電通 2021年共同調査

「感動を得られる」でネット動画の評価が高く、「社会の空気感を知ることができる」はSNSの評価が高いなど、Z世代がネット系を高く評価する傾向が出ました。他方、「信頼できる情報が得られる」では、テレビ放送が頭1つ抜きんでて高くなっているのが興味深いところです。

そこで、今度はテレビ放送のみを取り出し5つの意識について「世代別」の比較を行ってみました。【図表2】に見る通り、Z世代では各項目へ「そう思う」と回答した人の割合が、ミレニアル世代やY世代よりも高い、という結果でした。

【図表2】

テレビの持つ機能・役割への変化
橋元教授&電通 2021年共同調査

テレビ放送の黄金時代を経験して育った年配層ほどテレビへの評価が高く、逆に、ネットの影響を受けた若い層になるほど低くなるかと思われましたが、この結果によると、Z世代はテレビに対し確かな肯定感を持ち、ミレニアル世代やY世代を飛び越え、さらに上の「Z世代の親世代」に近い感覚を有しているようです。

次に、メンタリティに関する質問の結果ですが、【図表3】のように、Z世代は「社会の問題や世の中の動きに関心が高い」と答えた割合がミレニアル世代より高く、「第三者の立場に視点を移してものごとを見る方だ」については比率が最も高いという結果でした。彼らは社会への関心が高く、世の中をクールに鳥瞰して捉える向きがあり、“大人のメンタリティ”を持つ若者、と言えそうです。海外では、若き環境活動家として知られるグレタ・トゥーンベリさんもZ世代に相当します。

【図表3】

社会への関心やものごとの見方
橋元教授&電通 2021年共同調査

“大人のメンタリティ”と親世代に近いテレビ意識の背景は?

Z世代に見られる“大人のメンタリティ”、そしてテレビへの高い肯定感は、彼らの育ってきた時代背景、中でも、多感な思春期に起きた事象の影響から読み解くことができるかもしれません。

まず、彼らが10代のころ起きた歴史的出来事は、何と言っても2011年の東日本大震災です。Z世代のうち2000年に生まれた人は、小学校高学年でこの災害を経験しました。当時子どもだったので、スマホや自分専用PCを持つ人がほとんどいなかった中、彼らは連日流れるテレビの報道を通して津波の映像、福島第一原発での爆発、右往左往する国の状況を目の当たりにしたわけです。これによって、テレビというものの「存在感」「影響力」が彼らの心へしっかりと刻印されたと想像できます。

当時、ネットでは種々のデマも流れたりしましたが、そういった無根拠な情報が伝達されるリスクの少ないテレビに対する「信頼感」も根付いたのではないでしょうか。同様に、「人生は何が起こるか分からない」といったマインドが芽生えたことも推察されます。

震災以外でも、2008年のリーマンショック、そして2009年の民主党政権誕生や2012年の政権交代などのテレビ報道は、視聴者に強いインパクトを与えました。Z世代の心へ少なからず影響を与えた部分もあるでしょう。

ちなみに、2020年に行った電通の独自調査では、震災直後からテレビで大量に流れることとなったACジャパンの広告「あいさつの魔法(ぽぽぽぽーん♪)」に影響を受けたと回答した人の割合は、Z世代(ここでは調査年の2020年に15~24歳だった人)が最多でした(【図表4】)。

【図表4】

ACジャパンCM「ぽぽぽぽーん」に影響を受けた人
影響を受けた出来事に関する質問より 2020年電通単独調査

Z世代におけるテレビの高い存在感は、彼らがSNSとともに育ってきた「ソーシャルネーティブ」であることも要因として挙げられるでしょう。彼らは、テレビ番組を見てその内容についてSNSで語り合う「ソーシャル視聴」が浸透した世代でした。

例えば、バラエティ番組を見て「これヤバっ!」「ありえねー」などと突っ込み合ったり、音楽番組で見たK-POPの人気グループをまねて、友達と「ふたごダンス」動画を撮って動画サイトへ投稿したりしました。映画「天空の城ラピュタ」が地上波で放送され、見ていた人が一斉に「バルス!」という言葉をTwitterでツイートし、1秒間当たりツイート数の世界新記録を樹立したこともありました。

このようなソーシャル視聴行動においては、テレビ番組をそもそも見ていて、そのコンテンツについて知っておくことがSNSで盛り上がるための「参加条件」となっていたわけで、入り口としての存在であるテレビのプレゼンスを高めていたとも考えられます。

さらに昨今では、「テレビからSNS」という潮流のみならず、SNSで話題になったものがテレビに流れ、それがまたSNSへ還流してくるといった新しい潮流も生まれており、テレビとSNSの関わりがさらに密接になっている、といえます。


今回の調査からは、Z世代がそれ以前の若者像とは少し異なる傾向を持つ世代であることが分かりました。ゆえに、例えばマーケティングの領域では、彼らの持つ社会意識の高さや鳥瞰志向といったものへ十分留意したメッセージングが求められるでしょう。

また、テレビ業界の方々へは、彼らの心へしっかりと刻印されているテレビの存在感と信頼感が維持・拡大されるよう、引き続き価値の高いコンテンツの発信を期待しています。最後に、無理やり「飲み」の話にからめて締めくくると、Z世代は「リモート飲みデビュー世代」とでもなるでしょうか (笑)。

【電通&橋元教授共同調査・調査概要】
調査対象:全国15歳~74歳男女(高校生以上) 
調査時期:2021年7月9日~13日
有効回収票:7717票
調査方法:インターネットパネル調査
 
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変わりゆく、「B2B企業」のデザイン

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「Design Mind」に掲載されたコンテンツを、電通BX・クリエーティブ・センター、岡田憲明氏の監修でお届けします。

工業・製造業のCxO(Chief x Officer)に知ってほしい、生産性、安全性、従業員エンゲージメントを向上させる手段としてのデザインへの投資についてご紹介します。

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デザインを重視する企業といえば、一般的にはハイテク、小売、金融サービス(もしかしたら自動車も)といった、一般消費者を対象とする企業を思い浮かべることが多いかもしれません。デザイン業界も、消費者向けのガジェットや有名ブランドのデジタル製品を称賛することで、このイメージを強化してきました。

しかし実際のところ、デザインの仕事の多くはB2B (B to B)企業のセクターに移行しています。この10年間に登場した極めて興味深く挑戦的なデザインは、工業、製造業、テクノロジー産業や、この領域の企業のために生まれてきたものです。

frogは世界的な戦略・デザインファームとして、この“B2Bデザイン革命”とも言える潮流の一翼を担ってきました。現在では、frogの仕事の約半分はB2Bプロジェクトが占めています。当ファームのデザイナー、テクノロジスト、ストラテジストたちは、鉱山用の安全対策製品からグローバルな物流システム、ITセキュリティー機器に至るまで、ありとあらゆるもののデザインを手掛けてきました。

ビッグデータへの対応

消費者向けのIoTは基本的に失敗だったかもしれませんが、モノがインターネットに接続されている環境が整ったことによって、自社の生産プロセスや、実際に製品がどう使用されているのかを把握する方法が大きく変化しています。

工場、油田、発電所、飛行機のエンジン、船、トラック、あるいはその他のさまざまな機械にセンサーを装備することで、企業は豊富なデータを収集し、機器の監視、管理、保守、制御などに利用することができるようになったのです。しかし重要なのは、それが何を意味しているのかを理解することです。

膨大なデータを扱う場合、多くの人は直感的に、IT業界で確立された手法に倣ってまず全てをダッシュボードで一覧表示しようと考えます。しかし私たちの経験から言うと、この方法はオペレーターの負担が大きいばかりでなく、面白くても役に立たないデータのスナップショットが大量に作成されるだけの結果になりがちです。

それよりも、オペレーターの認知的負荷を軽減し、迅速な意思決定を可能にするデータ・ビジュアライゼーションを構築するほうがずっと効果的です。frogのいくつかのプログラムでは、高度なB2B企業の管理ツールを設計する際、最適化を目指すメトリックとして「意思決定までのスピード」を使っています。

見た目の美しさよりも安全性と生産性

デザイナーが作ったデジタルツールは、確かにデザインはしゃれているかもしれません。しかし、工業や製造業におけるデザインへの投資は、美しさを求めて行うものではなく、従業員の生産性を高め、全員の安全を確保するために行うものです。

消費者向け製品をデザインするときの考え方や方法論が、工業分野の物理的なデジタルプロセスやワークフローの安全性・生産性を向上させるためにも使えることが分かってきました。

例えば、私たちはあるプロジェクトで製造業向けの安全装置と制御システムの設計を担当しました。設計に不備があれば、悲惨な結果を招くことになります。ですから、緊急事態が発生し、緊迫した状況であっても、次のステップが常に明確に分かるようなツールやソフトウエアを設計する必要がありました。2018年にハワイで起きたミサイル攻撃に関する誤報や1979年のスリーマイル島の原発事故は、ソフトウエアの設計不良が原因の一つといわれています。

さらに、多くの工業生産の現場では従業員の役割がどちらかと言えば流動的です。このような状況が、工業・製造業における設計をさらに難しくしています。

例えば、frogのあるチームが発電所においてエスノグラフィックリサーチ(※1)を実施したところ、システムが緊急停止すると作業員全員が協力して問題解決にあたるため、職務や肩書はあまり関係なくなることが分かりました。これは、管理者や一般ユーザーといった役割をはっきりと分けて、それに合わせたソフトウエアを開発する消費財メーカーや事務系の企業とは対照的です。工業向けソフトウエアの設計では、設計チームがクライアント企業のワークフローを十分に理解した上で、ユーザーの役割に合わせるのではなく、さまざまなシーンを想定して設計することが必要になります。

※1 エスノグラフィックリサーチ
デプスインタビューや観察調査、フィールドワークなどの手法を使って、ユーザーの潜在的なニーズを探る調査のこと。


団塊の世代もミレニアル世代も満足させるデザインの必要性

工業・製造業分野の多くの企業では、従業員の高齢化が進んでいます。ベテラン従業員は、特定の機器やプラント、システムに関する知識を豊富に持っているため、企業側はできるだけ長く雇用したいはずです。同時に、こうした企業にはデジタルネーティブ世代の従業員も働いています。彼らは、工業用・企業用のソフトウエアにも、最上級の消費者向けアプリケーションのような見栄え、感触、動作を期待しています。これは、デザイン上の利益相反という難しい問題を引き起こします。

この問題への対処方法の一例として、frogがあるテクノロジー機器メーカーと共同で取り組んだプロジェクトをご紹介しましょう。

このメーカーが保有している技術は、収益性は非常に高いものの、かなり古いものでした。現在の水準からすると、コンソールでコマンドラインを打ち込むユーザーインターフェース(UI)は最適とは言い難かったのです。また、新規ユーザーは、このツールの古めかしい外観や雰囲気に抵抗を感じており、ビジュアルインターフェースのコンソールやモバイルアプリを求めていました。

一方で、何年もシステムを使ってきたパワーユーザーはこのインターフェースになじんでおり、その扱いにも長(た)けているため、ほとんどの人が変化に対して消極的でした。私たちに課せられたデザイン上の課題は、パワーユーザーにとって慣れ親しんだデザインでありながら、新しいユーザーにとってもアクセスしやすく、魅力的なシステムを作ることでした。

これは、「OT(オペレーショナル・テクノロジー:運用制御技術)」の分野でよく見られる課題です。なぜなら、IT分野では一般的に製品寿命が3~5年であるのに対し、OT分野では15~20年という長寿命の製品が多いからです。

業務とデザインをつなげるデザインシステム

デザインで競争しようとする工業・製造業の企業にとっての最初のステップは、デザイン言語を確立することです。デザイン言語は、デザイン方針や美意識、双方向交流のパターン、デザイン資産などをシステムに落とし込むためのもの。多様で複雑な製品エコシステムの一貫性を確保するために作られます。通常、デザイン言語には、製品の開発・発売に関わるエンジニアチームが使いやすいよう、上述の方針やパターンを具現化するユーザーインターフェース・ツールキットのサポートがあります。

こうしたツールは、製品チームが製品化を進めるにあたり有利なスタートを切る助けになりますが、長期的な価値の提供においては不十分であると言わざるを得ません。プラットフォームやデザイン言語にははやり廃りがあり、特定ベンダーの技術に大きく依存する「ベンダーロックイン」では、自社でコントロールできない製品化スケジュールに縛りつけられてしまう可能性があります。

多くのデザイン言語を設計・構築してきた経験から、私たちは、これらのシステムにはレジリエンスや開発と他のフェーズとの強い連携が欠けていることに気づきました。そこで、工業・製造分野の企業が抱える長期的なニーズを考慮しながら、各社の業務にデザインを組み込んでいく方法を模索しました。

より柔軟かつ長期的にデザインに投資していこうと考える企業にとっての解となるのが、デザイン言語よりもデザインシステムです。デザインシステムとは、各種のツール、コンポーネント、ワークフローを統合し、業務上の課題とデザインプロセスを積極的につなげるシステムのことです。

デザインシステムは、製品デザインのための唯一正しい情報源として機能し、製品開発サイクルにデザインを直接統合するモジュール式ツールをもって、ワークフローを支えます。デザインシステムの多くは、デザインツール、デザイン言語、UX(ユーザーエクスペリエンス)アーキテクチャとシステム、UIツールキット、業務量の制御的な調整を可能にするガバナンスモデル、業務量調整を日常的に実行するためのタスク管理ツールなどで構成されます。

その上で決定的に重要なのがヒューマンエレメント、すなわち、各製品チームがデザインシステムを使用するよう、いかに奨励し、動機づけ、説得するかということです。馬を走らせるには鞭よりもニンジンのほうが効果的であるように、私たちは、一部の工業製品メーカーで、デザインシステムを中心としてデザイン志向のエンジニアやプロダクトマネジャーたちがコミュニティを形成するようになったのを見てきました。

デザインシステムは、そのモジュール性と継続的な効果測定・改善により、特定のプラットフォームベンダーに縛られることなく、必要に応じて変更を加えることを可能にします。
一度デザインシステムが採用されれば、統一感のある製品群の提供、パターン統一によるユーザートレーニングコストの削減、ブランディングされた独自のユーザーエクスペリエンスが実現します。

工業・製造業、テクノロジー分野の企業が競争力を高めていくには、デザインが極めて重要な役割を果たします。機械やシステムがより高度化し、IoTによってオペレーターが処理しきれないほどのデータフローが生成される中、それらを考慮して設計されたソフトウエアは、オペレーターの安全性と生産性を向上させるだけでなく、競争力のある差別化を実現するための一助となります。

今や、あらゆる企業がソフトウエアメーカーになっていると言っても過言ではありません。つまり、競争力を維持するためには、最新のソフトウエア設計・開発手法を採用する必要があるのです。frogは、クライアントであるB2B企業各社とのコラボレーションにおいて非常に興味深いデータ・ビジュアライゼーションやソフトウエア・デザインの課題を見いだしており、工業・製造業分野のお客さまとの仕事を通して、私たちのスキルや経験をより広い領域で生かせる機会を歓迎します。

この記事はウェブマガジン「AXIS」にも掲載されています

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首相官邸と防衛省、机上の空論で目標を現場自衛官にゴリ押しし対立…接種センター

自衛隊史上最高の作戦どころか、反省点ばかりですよ」

 自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターが11月30日に終了したことを受け、ある陸上自衛隊幹部はこう肩を落とした。センターが日本国内のワクチン接種率を高めることに貢献したのは事実だ。一方で、そのプロセスは科学的根拠のない精神論に基づいた首相官邸の指示と、それを無批判に通す忖度官僚の「合作」であった面は否めない。

センター接種自体は成果だが、現場の強さに甘える日本社会の縮図

「国民の信頼を裏切らない素晴らしい成果をあげていただいた」

 11月30日、接種センター終了に伴う式典が開かれ、出席した菅義偉前首相は業務に従事した自衛隊員などにこう謝意を示した。感染リスクに見舞われるなかで接種業務に従事した医療関係者はもとより、自衛官については「追加の日当がたった3000円とタダ働き同然」(陸自幹部)だっただけに、謝意が払われてしかるべきだろう。

 ただ、接種センター自体が7月の東京五輪開催を直前にした菅政権の焦りが生んだ「苦肉の策」だったことは思い起こしておく必要がある。4月に突如、報道先行でセンター設置が周知されるなど、実務を担う自衛隊側と調整が何もなされなかったことは本連載第1回で指摘した通りだ。中長期的なマネジメントや見通しが甘く、現場のがんばりでなんとかするという日本的組織の特徴がもろに出た。

陸自「高齢者相手に実績値もなく1日1万回は危険だ」と主張

 菅氏は「接種開始1週間で東京1日1万人、大阪1日5000人」という接種目標をぶち上げた。これについては当初、算定の根拠が不明確などとして批判を浴びたが、実際にはどうだったのか。運営に携わった陸自幹部は以下のように話す。

「やれと言われれば実行するのが自衛隊ですので、運営そのものは大きくもめませんでした。ただ、最初に現場と中央で意見の相違が出たのは、開始間もない1週間で最大数の東京1万、大阪5000に到達させるかどうかという点でした。現場の自衛隊側は『実績値もない段階で机上検討の最大数の接種は保証できない。対象が老人であり、摂取に要する時間もデータがなければ計画通りに実施できるかの確約はできず、予約数は制限すべきだ』との慎重論を唱えましたが、防衛省側は無視し、2週目から最大数の予約設定を行いました。

 結果として問題が起きなかったので良かったですが、もし起きれば現場の責任にされると戦々恐々でした。結局のところ、防衛官僚たちにとっては総理の『1万』『5000』という数の達成が重要なのであって、接種対象のお年寄りはどうでも良かったというふうにしか思えませんでした」

 この接種目標は菅氏直々の命令であり、「政権維持をかけた大バクチ」だっただけに異を唱えられるものは誰もいなかった。まして、第二次安倍政権で官房長官として中央官僚の人事権を掌握していた菅氏の命令であれば、防衛官僚が「現場の意見」や「科学的な根拠」などよりも、机上の計算による目標達成をゴリ押ししたとしてもまったく不思議ではない。

予約なしの来場受け入れで意見が対立、センター運営延長も報道先行

 さらに、予約なしで来場した人の扱いでも、中央の防衛官僚と現場の意見の対立が深刻だった。菅前首相は「予約なしでも追い返すな」と主張したが、現場は「きちんと予約した人が接種できなくなる」と反対。防衛省側はその意をまったく伝えず予約なしで受け入れる体制を強行したという。

 7月のセンター運営延長決定が報道先行だったことも、現場の不信感を呼んだ。陸上幕僚監部も噂程度の情報しか知らず、官邸と防衛官僚が密室で検討しメディアにリーク、既成事実化した上で、防衛省対策本部会で正式決定という流れは現場無視と捉えられても仕方ない。説明する時間がなかったというにはあまりにも不誠実である。

センターの功績は優秀な現場と真面目な国民に追うところが大きい

 接種センターでは、東京・大阪の2会場で5月からの半年間で合計196万回の接種が行われた。これは全国の総接種回数の1%に当たる。全体からすれば少なく見えるが、前述した通り、センターが接種をリードした功績は大きい。ただ、その功績の内実は真面目で優秀な現場と、自粛しながらトラブルを起こさずに接種を淡々と続けた国民によるところが大きいのではないか。

 官僚は公僕である。国民の代表である政治家に従うのはもちろんだが、選挙での当落がつきまとう彼らに代わって、専門的知識や能力でときに諫め、牽制し、政策を洗練させていくのが本来の仕事のはずである。今回の接種センターをめぐる一連の動きからは、菅氏のメンツを潰すまいとする召使いとしての働きはあっても、現場のマネジメント面で責任を持った専門家集団として機能したとはいえまい。

 今回はセンター設置そのものについての防衛官僚のマネジメント能力の弱体化について述べたが、次回は予約システムの混乱をめぐる動きについて詳述する。

(文=編集部)