Jパワー、農業新興に数億円出資=土壌改良資材の開発・販売

 電源開発(Jパワー)は29日、土壌改良資材を開発・販売するスタートアップ(新興企業)のTOWING(名古屋市)に対し、第三者割当増資で数億円を出資したと発表した。農業分野への出資は初。Jパワーのエネルギー関連技術と、TOWINGが持つ農業分野の先端技術を融合し、脱炭素に向けた新規事業の創出につなげる。 

 TOWINGは、もみ殻や樹木の剪定枝などを原料に、土壌改良資材である高機能バイオ炭を開発・販売している。未利用のバイオマス資源の活用や農地への炭素固定により、温室効果ガス削減効果が期待できる。Jパワーは出資を通じ、TOWINGの技術開発を加速させる考えだ。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/05/29-16:05)

ニトリvsヤマダ「家電」戦争?「ニトリ家電」売上2000億円が現実的といえる理由

●この記事のポイント
・ニトリHDはPB商品としてドラム式洗濯乾燥機を9万9900円で発売。ヤマダHDも11万円を切る価格で発売
・家電量販店業界も家具販売業界も家回り全般の需要を取っていく方向になり、お互いの領域を侵食し合うという流れに
・ニトリHDが女性客を獲得して大きく成長できた理由とは

 家電商品の販売に力を入れている大手家具チェーン・ニトリホールディングス(HD)と、家電量販店「ヤマダデンキ」を運営するヤマダホールディングス(HD)の“戦い”が注目されている。ニトリHDは昨年11月、PB(プライベートブランド)商品としてドラム式洗濯乾燥機を9万9900円で発売。ヤマダHDも今年4月に11万円を切る価格でPB商品として発売。業界内では両者がお互いを意識した商品展開・値付けを行っているとして注目されているのだ。なぜニトリHDは、過当競争が進む家電量販店市場にあえて分け入ろうとしているのか。また、同社の動きは業界全体に影響をおよぼす可能性はあるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

お互いの領域を侵食し合う家電量販店と家具販売店

 ヤマダHDは売上ベースで家電量販店業界トップ。対するニトリHDは2009年に家電のPB事業に参入し、22年にはエディオンと資本業務提携を開始してノウハウを蓄積。PR家電の売上高を2032年までに全世界合計で2000億円規模にする目標を掲げている。27年頃までに国内の全店舗に家電専用売り場を設置する。

 現在、家電量販店業界では激しい競争が繰り広げられているが、なぜニトリHDは同市場に分け入って売上規模を大きく拡大させようとしているのか。流通アナリストの中井彰人氏はいう。

「家電量販店業界も家具販売業界も市場の寡占化が進んで成長余地が限られるなかで、各社は家回り全般の需要を取っていく方向になり、お互いの領域を侵食し合うという流れになりつつあります。要は双方ともに覚悟の上で需要の取り合いを始めたということです。以前であれば消費者の側にも『家具を買うなら家具販売店』『家電を買うなら家電販売店』という意識がありましたが、店側としては『次いで買いで別のモノも買わせたい』という考えがあるわけでして、たとえばヤマダデンキは家電製品以外にも電気自動車、家具やリフォームまで手掛けるようになりました」

ニトリHDの動きが家電量販店業界の再編につながる可能性

 こうしたニトリHDの動きが、家電量販業界に業界再編などの新たな動きを生む可能性は考えられるか。

「十分に考えられます。これまで家電量販店業界では、大手が中小のチェーンを買収して寡占化が進んできましたが、近年では上位数社がシェアを占めるかたちで大きな変動は起きておらず、かつ都市部と地方である程度、すみ分けができています。ですが、たとえばビッグカメラの牙城だった東京・池袋駅前にヨドバシカメラが大規模な店舗を出店することになり、仮に勢いづいたヨドバシカメラの売上高が現在の7000~8000億円から大きく伸びて1兆円に近付いてくるようなことになれば、トップのヤマダも安寧としていられなくなります。そして上位企業のシェア争いに変化が出てくれば、下位企業の間でも提携や買収・経営統合の動きが出てきて、そうしたなかでニトリHDの家電事業が1000~2000億円規模になって徐々に他の家電量販店の売上を奪うようになってくれば、大手に比べればまだ売上規模は小さいものの、無視できない存在になります。こうした流れで、ニトリHDの動きが業界再編につながるという可能性はあるかもしれません」(中井氏)

「安いしオシャレだからニトリでいいじゃん」

 では、ニトリHDの家電事業が大きく成長する可能性はあると考えられるか。また、何が成否のカギとなってくるのか。

「その可能性は高いと感じます。ニトリHDがここまで多く成長した要因としては、2000年代頃から女性が自分で車を運転してロードサイドの店舗で積極的に買い物をするようになったという社会的な変化があげられます。それまで車の運転役だった『お父さん』は買い物についてこなくなり、家具でも買い物目線がより女性目線になってくる。そこでニトリは店舗の1階にキッチン用品やインテリア雑貨などの小物類をメインに並べて、色も統一してキレイな売り場をつくり、女性の集客を意識した店舗づくりを行っています。大型の家具や家電は数年に1回くらいの頻度でしか購入しませんが、女性客が頻繁にニトリの店舗を訪問して、そのたびに低価格の家電をちらっと目にしていると、いざ家具や家電を購入するタイミングがくると『安いしオシャレだからニトリでいいじゃん』となります。

 すべての消費者が細かく機能や性能、コスパを検証するわけではないので、そういったかたちで普段から親しみを持つニトリで家電も買うという行動が広まっていくかもしれません。一方、家電量販店はこれまで、どちらかといえばメイン顧客層が男性だったこともあり、女性に選ばれやすい商品の開発というのは得意ではない面があります。こうした要素を踏まえると、ニトリHDの家電事業が大きく成長する可能性というのは高いのではないでしょうか」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中井彰人/流通アナリスト)

トヨタのファンはどんな人?X投稿を「MINUKERU」で見抜いてみた!

2024年6月、電通は、大阪大学大学院経済学研究科 勝又壮太郎教授と共同で、テキストデータから、通常の分析では見えない「文脈」を抽出するデータソリューション「MINUKERU」(※)をローンチしました(概要はこちら)。「MINUKERU」は、個人情報を保護した状態で、アンケートや口コミなどのテキストから、いくつかの文脈をスピーディに抽出することができます。

今回は、実際に「MINUKERU」を使ってXの投稿データを分析している、トヨタ・コニック・プロ ブランドマーケティング本部の竹原章浩氏をお招きし、具体的な活用方法や「MINUKERU」の可能性についてお話を聞きました。聞き手は、「MINUKERU」の開発メンバーの一人である電通の高橋一樹氏です。

※MINUKERUは、電通側でデータを分析し、その結果に関するレポートをクライアントに納品します。また、その分析結果に基づいて、電通側で施策立案なども可能です。
 
MINUKERU


 

変化する車需要に対応するため、「MINUKERU」でXの投稿を分析

高橋:トヨタ・コニック・プロさんは、トヨタグループの変革をサポートするマーケティング企業です。昨年、私から、開発中の「MINUKERU」を紹介し、そこから一緒に下準備を行って、約15カ月分のXの投稿データを使って投稿分析を行いました。まずは「MINUKERU」を使ってみようと思われた理由や課題感、背景について教えてください。

竹原:これは当社というより自動車業界全体の課題だと思うのですが、近年、そもそも車を持つことが当たり前ではなくなってきています。車を持たない人も増えていますし、例えばサブスクやカーシェアといった形で車を利用する人も多くなっている。車の需要そのものが変わってきているんですよね。

そのような背景の中で、われわれも、単に車の需要を押し上げるのではなくて、車のさまざまな持ち方・使い方に対応した、「よりよいモビリティ社会」を実現するようなマーケティング活動をしなければならないと考えています。

その一環として重要なのが、トヨタに関心を持ち、積極的に情報発信をしてくださっている方々の声を把握することだと思ったのです。すでにトヨタのファンになっていただいているお客さまや、好意を持っていただいているユーザーの声や発信を大切にして、そこからマーケティング/コミュニケーションに生かしていきたいと考えました。

高橋:それで、「MINUKERU」を使ってみようと思ってくださった?

竹原:はい。もちろん以前からXやInstagramの投稿分析は行っていたのですが、今回は、よりきめ細やかな、解像度の高い分析を行いたいと考えていました。そんなときに、テキストデータと数値データを掛け合わせて精度の高い分析が行える「MINUKERU」を紹介していただいて、「使ってみよう」となったわけです。

ただ漠然と投稿の内容や傾向を見るのではなく、トヨタに関心が高いユーザーを抽出し、その人の趣味嗜好(しこう)による投稿内容の傾向や、フォロー数・フォロワー数、つまり影響力を見ることができると聞き、「これは面白いな」と感じて導入に至りました。

MINUKERU

投稿×プロフィール情報×フォロー数・フォロワー数の分析で、人物像が見えてくる

高橋:具体的にはどのような分析をされたのでしょうか?「MINUKERU」を使って実施した、Xの投稿分析についてお聞かせください。

竹原:まずは、「トヨタ」「アルファード」「GR86」「トヨタイムズ」など、トヨタに関連のあるキーワードを織り交ぜた投稿をしている人のアカウントデータを抽出しました。この時点で50万程度のアカウントがあり、そこからこの15カ月の間に20回以上トヨタ関連の投稿をしているユーザーを抽出して、最終的には6000アカウントまで絞り込みを行っています。

この6000アカウントについて、Xのプロフィール情報と投稿データを活用し、「どんな趣味嗜好のある人がいて、どんな投稿をしているか」を統計的に分析していきました。すると、車を軸とした投稿をする人だけでも、「車を見ることを楽しむファン」「車に乗ることを楽しむファン」「関連商品を収集するファン」「車の情報を発信するファン」などがいて、例えば「見るファン」だとモータースポーツを楽しんでいる方が多いことや、「乗るファン」だと車だけでなくバイクにも乗っているケースが多いことなどがわかったのです。

さらに、「収集ファン」の場合はミニカーをコレクションしている方が多く、「情報発信系ファン」は新車の情報をどんどん発信して反応を楽しむ傾向が強いことも見て取れました。

MINUKERU

竹原:そして、非常に興味深く感じたのが、各グループに、車だけでない趣味嗜好やポストの特徴が見られたところです。例えば「見るファン」はモータースポーツだけでなく自転車競技などにも関心が高く、実況ポストをしながら各競技を楽しむ傾向がありました。「乗るファン」はアウトドアやキャンプを趣味としている方が多いこと、「収集ファン」は、アニメ、ゲーム、鉄道、カメラといったこだわりの趣味を併せ持つケースが多いことなどが明確になりました。

このように、各グループで頻出するキーワードやポストの特徴は異なるのですが、一方で、いずれのグループにおいても「GR」「86」「スープラ」といった同様の車種キーワードが頻出しているということも分かっています。

MINUKERU

竹原:こうしてXの投稿を、より細かな粒度で、ていねいに見ていくことで、トヨタファンの人物像が見えてきました。どのグループにどんな情報を届ければ刺さるのか、ユーザーのためになるのかということもハッキリしてきたように思います。

高橋:フォロー数・フォロワー数についてはいかがでしょうか?どのように分析し、どんなことがわかりましたか?

竹原:やはり法人が運営するようなニュース系のアカウントがもっともフォロワーが多いようです。次いで、個人の方が運営しているような「情報発信系ファン」のアカウントがフォロワー数も多く、こういった方々に「車がある生活」を広めていただくというのも大事なことだなと改めて認識しています。

高橋:単純に「『見るファン(アカウント)』が多いよね」とか、「『乗るファン(アカウント)』も結構いるね」みたいなことではなくて、「アカウント数自体はそんなに多くないけど、フォロワー数が多くて拡散力が強いのは『情報発信系ニュースファン(アカウント)』なんだね」とか、「フォロー数・フォロワー数が多く似た嗜好を持つファンと密につながっているのが『情報発信系個人ファン』なんだね」とか。そういう、拡散力、影響力までわかるっていうことなんですね。

竹原:その通りです。今回の分析で、どんなグループが、どんな趣味嗜好を持つ人で、どのような文脈を持って投稿しているかがわかり、しかも、そのグループの影響力や拡散力まで可視化できました。過去に行っていた表面的なテキストデータ分析では得られなかった解像度の高い投稿分析ができ、とても満足しています。

竹原章浩

車という軸だけでない、ユーザーの興味関心に寄り添った情報発信をしていきたい

高橋:Xのプロフィールはいい意味で個性が出ていると思います。普段の投稿と、こうしたプロフィール情報を掛け合わせることで、対象グループの人物像がよりはっきりと見えてくるのが「MINUKERU」の強みですよね。

竹原:そう思います。テキストベースで、しかも匿名性の強いSNSということもあって、「20代男性」とか「30代女性」みたいな形式的なプロフィールではなく人物像が表出していて、分析してみて、改めて、「Xのプロフィール情報は分析対象としても面白いな」と思いました。

高橋:ありがとうございます。ここまでお話を伺って、「MINUKERU」が、トヨタ・コニック・プロさんでのより深いユーザーコミュニケーション立案に寄与する分析結果をもたらしたとわかりうれしく思いました。

これは私見ですが、トヨタさんって、そもそも、みんなにいい企業だと思われている会社だと思うんですよね。この状態から、さらにエンゲージメントを高めるというのは、結構、難しい課題だなと思っていて。「もう一歩深い理解を促したい」「もっと濃いネットワークやコミュニケーションを構築したい」となると、従来のやり方ではなかなか難しいんじゃないかと思っていました。

そこで、能動的なファンに光を当てて解像度高く分析できるツールとして「MINUKERU」をご紹介したわけなんですが、すごくうまくマッチしたなあと感じています。今後も、よりよいユーザー体験、高いエンゲージメント、360度エクスペリエンスの創出に貢献できるとうれしいですね。

 高橋一樹

高橋:では最後に、今後の活用の計画や展望についてお聞かせください。

竹原:現在は、分析の結果を踏まえてどんな施策を行うか検討を進めているところです。今回の結果をベースにして、どんな人に向けて、どんな情報を出すかを検討していき、実際のPRやコミュニケーションに生かしていきたいと思っています。

また、貴重なユーザーの生の声からの分析結果として、SNSだけでなく、広告、店舗での情報提供、お客さま対応、イベントやキャンペーンなどの施策にも生していきたいですね。

今回は約15カ月分のデータを使用して分析を行いましたが、同じように期間を区切って定期的に分析を行うことで、各グループのアカウントの増減やトレンドの変遷についても見ていくことができると思っています。

今は、単純に車の情報だけ出していたのではユーザーに届きづらい時代になっています。いかにユーザーの関心領域と掛け合わせ、車という軸だけでない、お客さまに寄り添った情報発信ができるかが勝負になってくる。今後も、変化するモビリティの在り方にしっかり対応できるよう、「MINUKERU」を活用して、車のある生活を盛り上げるようなユーザーエクスペリエンスを提供していきたいと思っています。

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個人事業主・中小企業向け給与計算ソフト徹底比較2025──無料ツールの紹介も!

給与計算業務は、毎月の正確な処理と頻繁な法改正への対応が求められる、企業にとって非常に重要な業務です。本記事では、最新の給与計算ソフトを徹底比較し、無料プランから個人事業主、中小企業、中堅企業向けまで、事業規模ごとにおすすめのソフトをご紹介します。

給与計算ソフトとは?他ツールと比較して見える機能と役割の違い

給与計算ソフトは、従業員の給与計算に関わる一連の煩雑な作業を自動化し、効率化するために開発された専門ツールです。毎月の勤怠データに基づく総支給額の計算から、社会保険料や税金の控除、さらには給与明細の発行に至るまで、正確かつ迅速な処理が可能になります。

給与計算ソフトの基本機能

給与計算ソフトには、以下のような機能が備わっています。これにより、人事・労務担当者の負担を大幅に軽減し、より戦略的な業務への集中を可能にします。

💰

給与・賞与計算

勤怠情報や各種手当、控除項目に基づき、月々の給与や賞与を自動計算。

🛡️

社会保険・労働保険計算

健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを最新の保険料率で自動計算。被保険者負担分と会社負担分を算出。

📊

所得税・住民税計算

所得税の源泉徴収額や、各従業員の住民税額を計算・管理。

📄

年末調整

扶養控除等申告書の情報に基づき、年間の所得税の過不足を精算する年末調整を計算。

📋

給与明細発行

計算結果に基づき、Web明細や紙の明細書として出力。

Excelとの違い|ミス削減と法令自動アップデート

多くの企業で利用されているExcelでも給与計算は可能ですが、手作業による入力ミスや計算式の誤り、頻繁な法令改正への対応漏れといったリスクが常に伴います。

比較ポイント Excelでの給与計算 給与計算ソフト
計算・集計 手入力や複雑な関数設定が必要。
ヒューマンエラーが発生しやすい傾向がある。
勤怠データ等を取り込み、各種手当・控除を含め自動計算。
計算ミスを大幅に削減。
法令改正対応 税率や保険料率の変更の都度、手動で計算式やマスターデータを更新する必要がある。
対応漏れのリスクが高い。
法改正(税率、保険料率の変更など)に自動でアップデート対応
常に最新の法令に基づいた計算が可能。
データ管理・共有 ファイルの破損・紛失リスク
複数担当者での同時編集や共有、権限管理が難しい場合がある。
従業員情報や給与データを安全に一元管理。
アクセス権限設定により、セキュリティを確保しつつ情報共有。
明細発行・配布 給与明細の作成・印刷・封入・配布に手間とコストがかかる。 Web給与明細機能により、ペーパーレス化を実現。
従業員はPCやスマートフォンからいつでも明細を確認可能。

給与計算ソフトの導入により、計算業務の正確性が向上し、迅速な法令対応が可能になります。

会計ソフトとの違い|仕訳自動連携で経理を簡素化

会計ソフトも経理業務において不可欠なツールですが、給与計算に特化した機能は限定的です。給与計算ソフトと会計ソフトを連携させることで、経理業務全体の効率化が期待できます。

比較ポイント 会計ソフト 給与計算ソフト
給与計算の専門性 勤怠管理や複雑な手当計算、年末調整など、詳細な給与計算機能は持たない場合が多い。 給与計算に特化した機能を網羅。
法令対応の範囲 会計関連の法改正には対応。
給与計算に直接関わる法改正への迅速な対応は専門外となることがある。
労働関連法規(労働基準法、最低賃金法など)や社会保険制度の改正に迅速に対応。
税制改正にも対応し、常に最新の法令に基づいた給与計算が可能。
仕訳連携 給与計算結果を会計ソフトに手入力する必要がある。
二重入力の手間や転記ミスが発生しやすい。
計算された給与データを会計ソフト用の仕訳データとして自動生成し、出力。
手入力の手間を省き、経理業務の負担を軽減。
人事労務情報 従業員の詳細な人事情報の管理には適していない。 従業員マスタで人事労務情報を一元管理。
給与計算だけでなく、社会保険手続きや労務管理にも活用可能。

給与計算ソフトで計算された人件費や預り金などのデータを会計ソフトにスムーズに連携することで、月次決算の早期化や経理業務の精度向上に繋がります。

給与計算ソフト導入のメリット

給与計算ソフトを導入することは、単に計算作業を楽にするだけでなく、企業経営全体に多岐にわたるメリットをもたらします。ここでは主な4つのメリットをご紹介します。

1. 作業時間短縮と手計算ミス防止

勤怠データの取り込みから、各種保険料や税金の自動計算、給与明細の発行までを自動化。手作業による計算ミスや入力漏れを防ぎ、大幅な時間短縮。

🛡️

2. 法令改正対応とコンプライアンス強化

頻繁に行われる健康保険料率や雇用保険料率の変更、所得税法改正などに自動でアップデート対応。常に最新の法令に基づいた正確な給与計算を行えるため、企業のコンプライアンスを強化。

🔄

3. 電子申請・脱ハンコでDX推進

社会保険や労働保険に関する各種手続きの電子申請(e-Gov連携など)に対応。行政手続きのオンライン化を促進し、ペーパーレス化・脱ハンコによるIT化を促進。

📱

4. 社員セルフサービスで問い合わせ削減

従業員が自身のPCやスマートフォンから給与明細や源泉徴収票を閲覧・ダウンロードできる機能を提供。人事担当者への問い合わせ対応業務を削減し、従業員の利便性も向上。

給与計算ソフトの選び方|失敗しない7つのチェックポイント

自社に最適な給与計算ソフトを選定するためには、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。ここでは、導入後に後悔しないために7項目に分けてチェックポイントを解説します。

1

事業規模と将来の従業員数見込み

企業の成長フェーズや従業員数によって、最適なソフトの機能や処理能力は異なります。現状だけでなく、将来的な展望も考慮して選びましょう。

チェックポイント

  • 現在の従業員数、および1~3年後の従業員数の見込みに対応できるか。
  • 従業員数の増減に柔軟に対応できる料金プランやシステム体系か。
  • アルバイト・パート、正社員、役員など多様な雇用形態に対応できるか。
2

導入形態(クラウド / インストール)

給与計算ソフトには、インターネット経由で利用する「クラウド型」と、PCにインストールして利用する「インストール型(デスクトップ型)」があります。それぞれの特性を理解し、自社の運用スタイルに合った形態を選びましょう。

チェックポイント

  • クラウド型の場合、利便性や法改正時の自動アップデートが自社に適しているか。
  • デスクトップ型の場合、オフラインでの利用や、買い切り型によるコスト管理のメリットが自社に適しているか。
  • セキュリティポリシーやIT環境は、どちらの導入形態に適しているか。
3

料金体系とコストバランス

提供される機能と料金のバランスは、ソフト選定において非常に重要です。初期費用だけでなく、月額(または年額)のランニングコスト、オプション費用なども含めて総合的に比較検討しましょう。

チェックポイント

  • 初期費用、月額(または年額)費用は予算の範囲内か。
  • 従業員数に応じた従量課金がある場合、コストの見通しは明確か。
  • 年末調整や社会保険手続きなどのオプション機能は別料金か、標準搭載か。
  • 利用したい機能と料金のバランスは適切か。
4

電子申請・社会保険対応範囲

特定の社会保険手続きにおいて電子申請が原則義務化されており、ソフトがどの範囲まで対応しているかは重要な選定基準です。

チェックポイント

  • 社会保険や労働保険の電子申請に対応しているか。
  • マイナンバーの収集・保管・利用に関する機能は安全かつ適切か。
  • 入退社手続きや各種変更届など、必要な行政手続きをカバーしているか。
5

勤怠・会計など他ツールとの連携

給与計算は、勤怠管理や会計処理といった他の業務とも密接に関連しています。既存システムとの連携の可否やスムーズさは、業務効率を大きく左右します。

チェックポイント

  • 利用中の勤怠管理システムから勤怠データをスムーズに取り込めるか。
  • 給与計算結果を会計ソフトと簡単に連携できるか。
  • API連携などのシームレスな連携方法は提供されているか。
6

サポート・社労士連携の有無

導入時の設定や操作方法、法改正時の対応など、疑問点やトラブルが生じた際のサポート体制は重要です。また、専門家である社労士との連携機能も確認しましょう。

チェックポイント

  • 電話、メール、チャットなど、利用しやすい問い合わせ方法があるか。
  • サポートの対応時間やFAQ、マニュアルは充実しているか。
  • 導入支援や初期設定サポートは提供されているか。
  • 顧問社労士とデータ共有や連携ができる機能はあるか。
7

セキュリティ対策

給与情報やマイナンバーといった機密性の高い個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策の万全さは最重要項目の一つです。

チェックポイント

  • 通信の暗号化、データのバックアップ体制は整っているか。
  • アクセス権限設定や操作ログの記録など、内部不正対策は講じられているか。
  • 第三者認証(ISMS認証など)を取得しているか。
  • 提供事業者の個人情報保護方針やセキュリティポリシーは信頼できるか。

無料プランがある給与計算ソフト

フリーウェイ給与計算

出典:公式サイト

「フリーウェイ給与計算」は、従業員5名まで永久無料で利用できるクラウド型給与計算ソフトです。6名以上の場合でも月額1,980円(税抜)の定額制で、中小企業や個人事業主のコスト負担軽減を目的としています。シンプルで分かりやすい操作性と、法令改正への自動対応が特徴です。

提供形態 クラウド
主な機能 給与計算、明細のメール配信、全銀協規定フォーマットでの振込データ出力、年末調整、社会保険関連帳票作成
主な連携サービス フリーウェイシリーズ、NTTデータ「年調・法定調書の達人」
料金プラン 無料版:0円 (5名まで)
有料版:1,980円/月~ (税抜、6名以上人数無制限)
無料トライアル 無料版として無期限利用可能
特徴
  • 従業員5名まで完全無料
  • 初心者にも優しいシンプルな画面設計と操作性
  • クラウド型で法令改正(税率・保険料率変更など)に自動アップデート対応

ジョブカン給与計算

出典:公式サイト

ジョブカン給与計算は、給与計算業務の自動化と効率化を実現するクラウド型ソフトです。ジョブカンシリーズの勤怠管理システム等と連携し、従業員情報や勤怠データを自動で取り込める点が強みです。複雑な給与規定にも対応し、Web明細発行によるペーパーレス化も推進できます。

提供形態 クラウド
主な機能 給与計算、Web明細発行、年末調整、従業員管理、書類作成
主な連携サービス ジョブカンシリーズ
料金プラン Freeプラン:0円(5名まで、機能制限あり)
有料プラン:400円/ユーザー/月~ (税抜)
無料トライアル 30日間
特徴
  • ジョブカンシリーズ連携による給与計算業務の大幅な効率化
  • 多様な雇用形態や複雑な給与規定・手当設定への柔軟な対応と自動計算
  • Web給与明細・Web源泉徴収票機能によるペーパーレス化と利便性向上

個人事業主・スタートアップにおすすめの給与計算ソフト(~従業員50名程度)

マネーフォワード クラウド給与

出典:公式サイト

マネーフォワード クラウド給与は、従業員の勤怠情報などをもとに給与計算を自動で行うクラウド型のシステムです。割増賃金や各種手当、所得税といった複雑な計算を自動化し、業務効率化できます。また、法改正に伴う変更が自動でシステムに反映されるため、常に最新の法令・税制に対応した給与計算が可能となり、計算ミスの防止にもつながります。

提供形態 クラウド型
主な機能 給与・賞与計算、各種保険料・所得税の自動計算、Web給与明細・賞与明細、年末調整書類作成、給与計算確定前の前月比較
主な連携サービス マネーフォワード クラウドの各種サービス、他社サービス
料金プラン スモールビジネスプラン(3名以下):月額4,480円~(税抜、年額払いプラン)
その他、従業員規模に応じたプランあり。詳細はお問い合わせ。
無料トライアル 1ヶ月間
特徴
  • 法令準拠の自動計算と法改正への自動アップデート対応
  • Web給与明細によるペーパーレス化とコスト削減
  • マネーフォワード クラウドの各種サービスとの連携による業務フロー全体の効率化

freee 人事労務

出典:公式サイト

freee 人事労務は、給与計算を含む人事労務業務を効率化するためのクラウド型システムです。勤怠データや従業員情報を一元管理することで、給与計算に必要な情報を自動で集計し、転記作業に伴うミスや工数の削減につながります。給与計算だけでなく、Web給与明細の発行・配布、年末調整、入退社手続き、マイナンバー管理といった幅広い労務業務に対応しています。

提供形態 クラウド型
主な機能 給与・賞与計算の自動化、各種保険料・所得税・住民税の自動計算、Web給与明細・賞与明細の作成・配布、勤怠管理、マイナンバー収集・管理
主な連携サービス freeeの各種サービス、他社サービスとのデータ連携
料金プラン ミニマムプラン(法人向け):月額2,000円~(税抜、年払いプラン)
その他、従業員規模や用途に合わせたプランあり。詳細はお問い合わせ。
無料トライアル 30日間
特徴
  • 給与計算を含む労務業務の一元管理と自動化による効率向上
  • Web給与明細によるペーパーレス化とコスト削減
  • 法令・税制改正への自動対応とエラーチェック機能による計算ミスの防止

やよいの給与 24+ クラウド

出典:公式サイト

「やよいの給与計算 24 +クラウド」は、主に従業員数20名程度の事業所向けに設計されており、給与計算、社会保険・労働保険関連の処理、年末調整といった給与業務に必要な主要機能を搭載しています。初心者でもスムーズに給与明細書の作成や年末調整作業を行えるよう、操作画面やナビゲーション機能が工夫されている点が特徴です。

提供形態 デスクトップソフト (+クラウド機能)
主な機能 給与計算、賞与計算、年末調整、マイナンバー管理
主な連携サービス 税務申告ソフトとの連携に対応。その他については要お問い合わせ。
料金プラン セルフプラン付き初年度優待価格:32,000円~(税抜)
その他プランは要お問い合わせ。
無料トライアル 30日間
特徴
  • 給与計算業務の簡易化と入力ミス軽減をサポートする操作画面
  • 初心者でも安心な「年末調整ナビ」によるスムーズな年末調整業務の実現
  • 法令改正への対応と「あんしん保守サポート」(初年度無料)による充実したサポート体制

ジンジャー給与

出典:公式サイト

「ジンジャー給与」は、jinjer株式会社が提供するクラウド型人事労務システム「ジンジャー」の給与計算モジュールです。月次給与、賞与、退職金の計算、年末調整、Web給与明細の発行といった業務の自動化と効率化を目的としています。計算や処理を自動化することで、人為的なミスを最小限に抑えた給与管理を実現し、利用社数は18,000社を突破しています。

提供形態 クラウド型
主な機能 給与計算、賞与計算、年末調整、各種帳票出力
主な連携サービス ジンジャー製品群、外部連携サービス
料金プラン 初期費用+月額300円~/ユーザー(税抜)
無料トライアル 1ヶ月間
特徴
  • 人事情報や勤怠情報に基づく計算式設定による給与計算の自動化と効率化
  • Web給与明細発行によるペーパーレス化と従業員の利便性向上
  • 他のジンジャーシリーズ製品とのデータ連携による人事労務業務全体の効率化

中小・中堅企業におすすめの給与計算ソフト(従業員50名〜)

SmartHR 労務管理

出典:公式サイト

「SmartHR労務管理」は、人事・労務手続きの効率化とペーパーレス化を目的としたクラウド型人事労務ソフトです。給与計算機能も提供しており、従業員情報の一元管理や勤怠管理機能と連携することで、給与・賞与明細の作成・配付業務を効率化できます。特に、労務手続き全般のオンライン化とペーパーレス化に強みを持ち、従業員とのやり取りをシステム上で完結させられます。

提供形態 クラウドサービス
主な機能 給与明細作成・配付、賞与明細作成・配付、勤怠管理、年末調整
主な連携サービス 他の給与計算ソフト、Slack、NAVITIME API連携
料金プラン 複数プランあり。要お問い合わせ
無料トライアル 15日間
特徴
  • 給与・賞与明細のペーパーレス作成・配付による業務効率化とセキュリティ向上
  • 勤怠データの効率的な収集・管理と給与計算へのスムーズな連携
  • 労務手続きと連携した従業員データの一元管理による正確性と作業時間短縮

給与奉行iクラウド

出典:公式サイト

「給与奉行iクラウド」は、給与計算から社会保険・年末調整に至る給与業務プロセス全体のデジタル化を支援するクラウドシステムです。従来の給与奉行の使いやすさを維持しつつ機能が充実しており、税率や法改正によるプログラム更新も自動で行われます。従業員情報の自動更新や手当計算、社会保険料、所得税の自動計算機能などを備え、給与明細の電子配付や各種電子申請にも対応し、業務のペーパーレス化と効率化ができます。

提供形態 クラウド
主な機能 給与処理、賞与処理、明細書配付・振込、年末調整
主な連携サービス 奉行製品、カオナビ、ShiftMAXなど
料金プラン 月額5,500円~(税抜、年間契約)
その他複数プランあり。要お問い合わせ。
無料トライアル 30日間
特徴
  • 企業独自の給与体系や複雑な手当計算に対応する精度の高い自動計算機能
  • 従業員情報の自動更新、勤怠データの一括取込、計算結果の効率的な確認機能
  • 給与明細の電子化、保険や年末調整の電子申請によるペーパーレス化推進

PCA 給与シリーズ

出典:公式サイト

PCA 給与シリーズ(『PCAクラウド 給与』など)は、中小企業向けの給与計算ソフトです。月々の勤怠入力による給与明細作成、月次給与・賞与計算、算定基礎届・月額変更届作成、年末調整といった給与計算業務に必要な機能を備えています。プランによっては初期費用がかからず、定額減税にも対応しています。柔軟な給与体系設定や法定業務への対応、他システムとの連携が特徴です。

提供形態 クラウド、サブスク(オンプレミス)
主な機能 月次給与計算、賞与計算、給与明細書作成、年末調整、勤怠管理システム連携
主な連携サービス PCAシリーズ、各種会計ソフト、e-Tax/eL-TAX
料金プラン PCAサブスク 給与 dx:月額6,160円~(税込)
その他複数プランあり。要お問い合わせ。
無料トライアル 2ヶ月間
特徴
  • 柔軟な給与体系設定と計算機能
  • 法定業務対応と電子申請・電子申告機能
  • PCA人事管理シリーズや勤怠管理システムなどとの連携による業務効率化

ProActive C4 人事給与

出典:公式サイト

「ProActive C4」は、会計、人事給与、経費、勤怠管理などの基幹業務をカバーするクラウドERPシステムです。その人事給与モジュールは、月例給与や賞与の計算、社会保険・労働保険の手続き、年末調整といった給与関連業務全般に対応しています。多様な人事制度や雇用形態に応じた報酬計算が可能で、サブスクリプションモデルで提供され、初期費用を抑えつつ利用できます。

提供形態 クラウドERP
主な機能 月例給与計算、賞与計算、年末調整、電子申請対応、有給休暇管理
主な連携サービス ProActive勤怠管理システム、既存勤怠管理システム、e-Gov、駅すぱあと
料金プラン 要お問い合わせ
無料トライアル 要お問い合わせ
特徴
  • 多様な給与体系への対応と法制度への迅速な追随
  • 包括的な給与関連業務支援と昇給・賞与シミュレーション機能
  • 年末調整の電子化、給与明細のWeb化などによるペーパーレス化

給与計算を取り巻く最新トレンド

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電子申請の原則義務化(2025年1月)

2025年1月1日以降、労働者死傷病報告や就業規則変更届など労働安全衛生法系の届出は電子申請が義務化されました。紙提出は「やむを得ない場合」の例外扱いに縮小され、手続き対応の迅速化が企業側に求められます。

給与計算ソフトも e-Gov API 連携や入力支援サービスとの連動が標準装備か否かが実務コストを左右し、今後は年度更新・算定基礎届への拡大が予想されています。

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マイナンバー管理&セキュリティ要件の高度化

2024年4月改正で個人情報保護法ガイドラインの対象が「個人データ」から「個人情報」全体へ拡大し、漏えい時の報告義務と本人通知が強化されました。

マイナンバーを扱う給与計算領域では、多要素認証、アクセスログ監査、暗号化ストレージが“事実上の必須要件”に。監査対応の負荷からオンプレ型を避け、ISMS取得済みクラウドへの移行を急ぐ企業が増えています。

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クラウド化×コスト最適化の急伸

総務省調査では100名以上を雇用する民間企業の78%がクラウドサービスを利用し、そのうち約48%が給与・財務会計・人事領域に適用しています(「令和5年通信利用動向調査の結果」より)。中小企業向けでは月額3,000〜5,000円のサブスク型サービスの利用が広がり、法改正対応やWeb明細機能をベンダー任せにできる点が評価されています。

一方、弥生株式会社が従業員100名未満の中小企業を対象にした調査では、国内全体の給与ソフト導入率は4割強にとどまり、非導入層へのクラウド浸透余地も大きいことから、市場は今後2〜3年でクラウド比率6割超へ伸長すると見込まれます。

よくある質問

Q: 給与計算ソフトの導入には、どのくらいの費用がかかりますか?

A: 無料プランから、従業員数や機能に応じて月額数千円~数万円まで様々です。初期費用がかかる場合もあります。料金体系(月額、年額、従量課金など)を確認し、自社の予算と必要な機能のバランスを見ることが重要です。

Q: 無料の給与計算ソフトと有料のソフトの違いは何ですか?

A: 無料プランは多くの場合、利用できる従業員数や機能に制限があります(例:年末調整非対応、サポート限定など)。複雑な処理や手厚いサポート、高度な連携機能などを求める場合は有料プランが適しています。

Q: パソコン操作に不慣れでも、給与計算ソフトは使えますか?

A: 近年、多くのクラウド型ソフトは直感的なインターフェースで、専門知識がなくても操作しやすいように設計されています。無料トライアルやデモを利用して、実際の操作感を試してみることをお勧めします。

Q: クラウド型とインストール型、どちらを選ぶべきですか?

A: クラウド型は法改正への自動対応、場所を選ばないアクセス、初期費用の抑制がメリットです。インストール(デスクトップ)型はオフラインでも利用可能、買い切り型ならランニングコストを抑えられる場合があります。自社のネット環境や利用スタイルに合わせて選びましょう。

Q: 給与計算ソフトを導入すれば、社会保険労務士は不要になりますか?

A: ソフトは計算や手続きを効率化しますが、専門的な労務相談や複雑な個別ケースへの対応、就業規則の作成・変更などは社労士の専門領域です。ソフトによっては社労士との連携機能を持つものもあります。必要に応じて、ソフト導入と並行して社労士への相談も検討しましょう。

Q: Excelでの給与計算からソフトに移行したいのですが、データ移行は簡単ですか?

A: 多くのソフトでは、従業員情報などをCSVファイルで一括インポートできる機能があります。ただし、ソフトによって手順や対応フォーマットが異なるため、導入前に確認が必要です。サポート体制が整っているソフトを選ぶと安心です。

Q: 導入するタイミングはいつが良いですか?

A: 年度の切り替わり(1月や4月など)や、社会保険の算定基礎届の提出時期(7月)などに合わせて導入すると、キリが良い場合が多いです。ただし、準備期間も考慮し、余裕をもって導入を進めることが重要です。

Q: マイナンバーの管理は安全ですか?

A: 多くの給与計算ソフト(特にクラウド型)は、アクセス制御、暗号化、ログ監視など、法令に準拠した厳格なセキュリティ対策を講じています。導入前に、提供事業者のセキュリティポリシーや対策内容を確認しましょう。

Q: 勤怠管理ソフトや会計ソフトとの連携は必須ですか?

A: 必須ではありませんが、連携することで勤怠データの自動取り込みや仕訳データの自動作成が可能になり、大幅な業務効率化とミス削減につながります。現在利用しているソフトがある場合は、連携の可否や連携のスムーズさを確認することをお勧めします。

Q: 電子申請が原則義務化されましたが、ソフトを使えば対応できますか?

A: はい、多くの給与計算ソフトは社会保険や雇用保険に関する手続きの電子申請に対応しています。ソフト上で作成したデータを、e-Gov等のシステムと連携して申請できます。対応範囲(どの手続きに対応しているか)はソフトによって異なるため、確認が必要です。

まとめ

本記事では、給与計算ソフトの基本機能から選び方のポイント、具体的な製品比較、そして最新トレンドまで幅広く解説しました。無料プランを提供するソフトから、特定のニーズに応える高機能なソフトまで、選択肢は多岐にわたります。

本記事で紹介した情報を参考に、まずは自社の現状と課題を明確にし、必要な機能や予算を整理することから始めましょう。

多くのソフトでは無料トライアルが提供されていますので、気になるソフトを実際に試用し、操作感やサポート体制を確認することをおすすめします。バックオフィス業務の効率化に留まらず、従業員の満足度向上や、企業全体の生産性向上に向けて、最適な給与計算ソフトを導入しましょう。

トランプ氏、日鉄は「偉大なパートナー」=買収計画、最終合意まだ―鉄鋼関税、6月4日から50%に

【ウエストミフリン(米ペンシルベニア州)時事】トランプ米大統領は30日、東部ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊にある米鉄鋼大手USスチールの工場で演説し、日本製鉄によるUSスチール買収計画に関し、「われわれは偉大なパートナーを持つ」と歓迎した。また、国内鉄鋼業などの一段の振興を狙い、鉄鋼・アルミニウムの輸入に課す追加関税を現行の2倍となる50%に引き上げる方針を表明した。

 トランプ氏は買収の枠組みなど計画の詳細には踏み込まなかった。演説後、記者団に対し、計画の最終案をまだ確認していないと言明。「日鉄との最終的なディール(取引)を承認する必要がある」と述べた。

 日鉄による買収計画は、バイデン前大統領が国家安全保障上の懸念を理由に中止を命じた。トランプ氏は大統領の諮問機関である対米外国投資委員会(CFIUS)に再審査を指示。CFIUSがトランプ氏に提出した勧告書を踏まえ、6月5日までに最終的な結論を出す見通しだ。

 トランプ氏は演説で、強い鉄鋼業は「国家安保の問題だ」と話した。SNSへの投稿では、鉄鋼・アルミへの50%の関税を6月4日に発動する意向を明らかにした。

 記者団に対しては「関税が競争力を一層高め、偉大な取引につながった」と指摘。高関税を武器に、製造業の国内回帰を後押しするやり方に自信を示した。ただ、トランプ関税の影響を巡る不透明感が一段と高まり、米景気を圧迫し、インフレを再燃させる恐れもある。

 トランプ氏は演説で、日鉄のUSスチールに対する投資額が140億ドル(約2兆円)に上るとし、「米鉄鋼業に対するものでは史上最大だ」と強調。USスチールが本社を置くピッツバーグは「間もなく『鉄の町』として再び世界中で尊敬されるだろう」と語った。
 一方で、USスチールが「米企業にとどまる」とも明言。「最も重要なのはUSスチールが米国によってコントロールされ続けることだ。そうでなければ、私は取引をしなかった」と述べた。

 また、日鉄の買収提案を何度も断り続けたが、「そのたびに取引は労働者にとってますます良くなった」と主張。自らの積極関与が巨額投資に結び付いたとして、成果をアピールした。

 演説には日鉄の森高弘副会長も出席。トランプ氏が「これは彼が長年温めてきた事業だ。ありがとう、タカヒロ」と紹介する一幕もあった。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/05/31-19:26)

KDDI(au)、体感品質「世界一」達成の舞台裏…5年にわたる地道な取り組みが奏功

●この記事のポイント
・au、日本のモバイルネットワークのユーザー体感に関する調査結果で全17項目のうち10項目で単独首位を獲得
・Sub6の基地局数は業界最多の5万局
・ビッグデータや第三者機関の評価なども活用し、客様の体感が実際にどうなっているかを調査して品質改善につなげる

 キャリア(携帯電話会社)のなかでauを手掛けるKDDIの通信品質が向上している。英調査会社・Opensignal(オープンシグナル)が4月に発表した、日本のモバイルネットワークのユーザー体感に関する調査結果「ジャパン・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード April 2025」(調査期間:1月1日~3月31日)において、auは全17項目のうち10項目で単独首位を獲得した。単独首位となった項目は「動画」「ライブ動画」「ゲーム」「音声アプリ」「下り速度」「5G動画」「5Gライブ動画」「5Gゲーム」「5G音声アプリ」「信頼性」であり、モバイルネットワークへの接続可能時間である「利用率」でNTTドコモと並んで1位となった。auはオープンシグナルが3月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード」でも「信頼性エクスペリエンス」「ゲーム・エクスペリエンス」「音声アプリ・エクスペリエンス」の3部門で世界1位となっているが、こうした結果は偶然の産物ではなく、KDDIによる地道な取り組みが実を結んだ結果のようだ。KDDIに取材した。

●目次

契約者様の体感品質を上げるためにネットワーク全体のチューニング

「圏外をゼロに」を掲げるKDDIといえば、4月、スマホでSpace Xの「Starlink(スターリンク)」を利用できる「au Starlink Direct」を開始し話題を呼んだ。KDDIの直接通信で利用できるのは、現状ではSMSなどのテキストメッセージの送受信、位置情報の共有、グーグルの生成AI「Gemini」による検索、緊急地震速報の受信など。夏以降にデータ通信に対応予定とされている。

 KDDIの通信品質が高まっている要因について、KDDI コア技術統括本部 エリア企画室は次のように説明する。

「弊社は5Gが始まった2020年頃から、サービスの土台となる高品質な5Gネットワークエリアをしっかりと構築していくということに取り組んできまして、5Gの基地局は4月時点で十万局を超え、Sub6とミリ波の基地局を合算して5万局超となりました。5Gのネットワークは基地局の数も重要ですが、それだけですと不十分であり、弊社はこの2~3年、契約者様の体感品質を上げるためにネットワーク全体のチューニングに力を注いできました。

 チューニングを行う上でのポイントとしては、お客様目線で『どういった品質にすればいいのか』というターゲットをしっかり決めて取り組むことです。まず5Gのエリア展開戦略としては、導入初期は“面”を迅速に広げることが最重要ポイントになりますので、4Gの転用周波数を使って一気にエリアを広げました。その際、やみくもにカバレッジを広げるのではなく、しっかりとお客様の生活動線、鉄道や商業地域などお客様がよくご利用になられる場所を中心に整備してきました。そして2023年頃から普及期に入ってきた段階で、お客様の利用シーンでトラフィックが多く発生するような場所を中心に、5G専用ネットワークのSub6を一気に広げてきました。このSub6も基地局を数多く設置するということも重要ですが、きちんと機能するようにチューニングをしながら広げることも重要であり、その点に注力をしてまいりました」

 当初は課題もあったという。

「Sub6の基地局を増やし始めた当初、衛星通信に使われる地球局と弊社のSub6の基地局が隣接する場所で通信の干渉の問題を発生させてはならないため、出力を制限しなければなりませんでした弊社が後発の事業者なので出力を制限しなければならなくなり、基地局をたくさん設置したもののSub6のエリアをなかなか広げられないという状況に陥りました。そこで衛星通信事業者様と協議を重ねて地球局を移転していただくことに合意いただき、24年3月をもって出力制限を解除し、Sub6の基地局の出力を最大化できる状況が整いました。

 Sub6については、当初は3.7GHz帯で展開していましたが、弊社は3.7GHz帯と4.0GHz帯の近接した100MHz幅の2ブロックの周波数を保持しており、その点は弊社の強みだと考えております。それによって2つの帯域に対応する無線機を開発することができました。『Dual Band Massive MIMO Unit(DB-MMU)』という2周波に対応したキャリアアグリゲーションを展開できるような無線機です。大阪万博でも利用されていますが、国内初となる商用導入を実現できたことによって、通信速度を大幅に高速化することができました。今後はイベント会場や駅周辺、商業エリアなど混雑している場所に導入して、お客様が快適に使える環境を提供していきたいと考えています」(同)

無理に5Gにこだわらない

 他にも、体感品質向上に向けたKDDI独自の取り組みもあるという。

「ビッグデータを使ってお客様の体感が実際にどうなっているかを調査して、品質改善につなげるといった取り組みも行っています。2023年頃からは、第三者機関の評価なども取り入れて、他キャリアと比べてどのようになっているのかといった点も含めてお客様の体感品質を追求しています。

 例えば基地局まわりのチューニングとして、Sub6は高速な通信なのでもちろん使っていただきたいのですが、あまり無理してエリアの端で使っていただくようになると、逆に通信品質が落ちてしまうというケースもあります。いわゆる『パケ止まり』が起きたり、接続するまでの待機時間が非常に長くなったりといったことが起きます。そういった際には5GではなくLTEに接続したほうが通信品質がよくなるケースがあるので、必ずしも5Gにこだわらないという仕組みもつくっています。このように、面がしっかりとできている転用周波数を使っていただくことで安定して通信が使えるようにするといったチューニングも行っています。一人一人のお客様の状況に応じてきめ細やかなチューニングを行っていけるよう取り組んでおります。

 また、通信は伝送路を経由して相手側の携帯電話につながるという仕組みなので、ネットワーク全体でどういうふうにすれば品質が良くなるかといった総点検を入念に行い、『どういう伝送経路を通ると、より最短で遅延が少なくなるか』といった検証も行っております。特にこの1~2年はかなり細かいチューニングを積み重ねて、一つ一つの効果は小さいかもしれませんが、その結果が今につながっているのだと考えております」(同)

新料金プラン発表

 KDDIは5月、新料金プランを発表。6月3日から新料金プラン「auバリューリンクプラン」を提供する。既存プランについて8月1日から月額110~330円値上げし、新機能や新たなサービスを追加する。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

「結局、AI開発競争でもグーグルが圧勝」予想が広がる理由…OpenAIを数年リード?

●この記事のポイント
・米国では「結局、AI開発競争でもグーグルの圧勝に終わる」という言説が一部で話題になっているという
・AIモデルの性能だけではなくてコストパフォーマンスが重視されるフェーズに変わり、グーグルが有利に
・パーソナルAIエージェントの競争ではマイクロソフトとグーグルが有利か

 今、米国では「結局、AI開発競争でもグーグルの圧勝に終わる」という言説が一部で話題になっているという。確かに、直近におけるグーグルのAI開発に関する動きのスピードはすさまじい。3月、同社は「もっともインテリジェントなAIモデル」と説明する「Gemini 2.5」を発表し、「Gemini2.5 Pro」を1.25ドル(20万トークン以下)、2.5ドル(20万トークン超)で提供開始。これを受けOpenAIは4月、1カ月半前にリリースしたばかりだった「GPT-4.5」を廃止すると発表。価格は100万トークン入力につき75ドルと高額だったが、多くのベンチマークで「Gemini2.5 Pro」のほうが上回っていたためだ。

 今月20日に開催されたグーグルの開発者向けイベント「Google I/O 2025」では、新AIエージェント「Project Astra」や拡張現実(XR)向けプラットフォーム「Android XR」としてGeminiを搭載したメガネ型デバイスとヘッドセットの開発、AIと会話できる機能「Gemini Live」でのカメラと画面共有機能の無料提供(AndroidとiPhoneに対応)、生成AIを活用した映像製作ツール「Flow」の提供、グーグル検索への「AIモード」導入などを一気に発表。なかでも「Gemini 2.5 Pro」と「Gemini 2.5 Flash」の機能強化により搭載された、会話の流れに沿った抑揚で応答する「Native audio output」(ネイティブ音声出力)や、ユーザーに代わってAIがブラウザ操作やアプリケーション操作、フォーム入力などを行う「Project Mariner」などが話題を呼んでいる。このほか、コード生成やバグ修正、コーディングタスクの分解などを行えるAIコードエージェント「Jules」も注目されている(現在はベータテスターを募集中)。果たしてネット検索市場の覇者であるグーグルが、AI開発競争でも覇者となるのか。また、なぜ同社は他社をリードできているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

コストパフォーマンスが重視されるフェーズに

 グーグルの各種AIサービスのベースとなる「Gemini 2.5 Pro」は、その高いパフォーマンスに定評がある。100万トークンを取り扱うことができるため膨大な量のデータセットを理解でき、テキスト・音声・動画などの情報を入力させ複雑な処理を実行。コーディング・数学・科学のベンチマークで他社のAIモデルを上回る数値をマークし、リーズニング能力に優れている。今月21日には、グーグル検索の「AI Overview」と「AI Mode」に広告を表示すると発表した。

 グーグルは今、大きな転換期を迎えているともいわれている。今月20日、最新AI機能を利用できるプラン「Google AI Ultra」を月額約250ドル(約3万6000円)で提供すると発表。これまで便利な各種サービスを無料でユーザーに提供することで巨額の広告収入を得るというビジネスモデルで成長を続けてきた同社だが、その路線を転換しつつあるという見方だ。

 そんなグーグルをめぐって、前述のとおりAI開発でもグーグルが圧勝するのではないかという予測が広まっている。エクサウィザーズ「AI新聞」編集長・湯川鶴章氏はいう。

「直近の状況としては、グーグルが今月20日に開催した開発者向けイベント『Google I/O 2025』で多くのAIに関する新たな発表が一気に行われ、“グーグル優勢”という声が強まっています。昨年くらいまではAIモデルの性能を各社が競うというフェーズで、OpenAIのGPTがリードしているとみられていましたが、今年に入ってOpenAIやグーグル、Anthropic(アンソロピック)などの先頭集団が形成されてきたという印象です。そして各社の性能に大きな差がなくなってきたこともあり、モデルの性能だけではなくてコストパフォーマンスが重視されるフェーズに変わりつつあります。特に企業ユーザーは使用料が発生するので、コストを考えるとグーグルが選ばれやすくなっています」

グーグルの価格競争力が高い理由

 なぜグーグルのAIは価格競争力が高いのか。

「低価格の中国ディープシークが出てきてから、よりいっそうコストが意識されるようになりましたが、グーグルは以前からAIサービスを提供するクラウドサービス用データセンターをどうすれば効率良く運用することができるのか、そのためにどうすれば効率の良い半導体をつくれるのか、ネットワークの仕組みを構築すればよいのかといった課題について、AIを使って取り組み、改良してきました。その結果、非常に高いコストパフォーマンスを実現できています。

 一方、OpenAIはデータセンターを持っておらず、これまではマイクロソフトのデータセンターを使っていましたが、彼らも競争力のカギがコスパになりつつあるということを認識しているので、ソフトバンクと組んでStargate Projectを立ち上げてデータセンターを自前でつくろうとしています。ですが、今からデータセンターをつくると2~3年はかかるでしょうから、当面はグーグルが有利な状況が続くかもしれません」(湯川氏)

パーソナルAIエージェントの普及

 では、今後の勢力図としては、どのようになると予想されるか。

「多くの人が実際にAIを使うようになり、これからAIエージェントの時代になるといわれていますが、一つの会社のなかでも多くのAIエージェントが立てられるようになり、会社全体としてそれらをどのようにオーケストレーションしていくのかという点が重要になってきて、そのための仕組みづくりをめぐる競争が激しくなりつつあります。

 もう一つの重要な動きが、パーソナルAIエージェントの普及です。個人の考え方、趣味・嗜好、行動履歴といったものをすべて理解した上で、その個人に最適な答えを返せる“個人秘書”“デジタル秘書”みたいなものを全ユーザーが持つようになるといわれています。そのパーソナライゼーションの部分の開発をめぐる競争がAI市場の勢力図を大きく左右すると考えられます。

 マイクロソフトの製品は多くの企業に導入されているので、企業や社員一人一人のデータを蓄積・利用することができ、パーソナライゼーションの面では有利です。グーグルも個人ユーザーに加えて企業でもかなり導入されているので同様に有利でしょう。先日の開発者会議でもグーグルのCEOが、Gmailやカレンダー、Google Docs、Google ドライブなどのデータをすべて参照して、そのユーザーに最適な内容を返せるようにしていくと説明していました。一方、その点ではOpenAIは弱いです。とはいえ、現在ではGPTのユーザーは非常に増えてきており、ユーザー個人の情報をたくさん持つようになってきていますので、まったくダメというわけではありません。そうしたパーソナライゼーションの面で、どのAI企業が強くなるのかという競争になってくるでしょう」(湯川氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=湯川鶴章/エクサウィザーズ・AI新聞編集長)

日鉄、電炉転換に8687億円=政府が最大2514億円補助

 日本製鉄は30日、国内3製鉄所への電炉導入に8687億円を投資すると発表した。石炭などを使う高炉から電気の熱で鉄をつくる電炉に設備を転換し、脱炭素化を進めるのが狙い。この計画を支援するため、政府は最大2514億円の補助を行うことを決定した。

 製鉄の過程で二酸化炭素(CO2)を多く排出する鉄鋼メーカーでは、事業の脱炭素化が喫緊の課題。日鉄は2030年にCO2総排出量を13年比30%削減し、50年に実質ゼロとする目標を掲げている。政府の補助金を活用し、事業の脱炭素化を加速させる。 

 計画では、九州製鉄所八幡地区(北九州市)の電炉1基の新設に6302億円、瀬戸内製鉄所広畑地区(兵庫県姫路市)の電炉1基の増設に1400億円を投じる。ステンレス鋼製造を担う山口製鉄所(山口県周南市)では985億円をかけて既存の電炉1基を改修、再稼働する。この3基は29年度下期までに順次生産を始める予定で、年間生産能力は計約290万トンと見込む。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/05/30-15:34)

「キリ」は序章…ベル社のチーズ革命、世界人口100億人時代を救う「ヘルシースナック」戦略

●この記事のポイント
・「キリ」で知られるベルグループのCEOが初めて来日し、インタビューに答えた。
・ベル社は、日本のチーズ市場はまだ成長の余地が大きいとみている。
・持続可能な「食」の未来を見据え、社会への働きかけも行う。

 フランスを拠点とするベルグループは、ポーションタイプのチーズを中心に、「ヘルシースナック」市場で独自の存在感を示している。日本では「キリ」ブランドが圧倒的な認知度と支持を誇る。今回は、同社CEOのセシル・ベリオ氏に、今後の日本市場における成長戦略、AI/DX技術の活用、そしてジェンダー平等を含む社会変革への取り組みについて話を聞いた。

目次

歴史が育む長期視点と独自技術

「ベル社は、160年という非常に長い歴史を持つ家族経営の企業です。現在の会長は5代目にあたり、経営陣は自らを“チェーンの一員”と捉え、“常に次の世代のために働く”という価値観を共有しています」

 そう語るセシル氏によれば、この長期的な視点が同社の事業や戦略の根幹にあるという。創業以来、ベル社は「乳製品の良質さ」と「マイクロメカニクスによる製造技術」を強みとしてきた。特にミニサイズのチーズ製品やキューブ型などのユニークな形状は、自社エンジニアが開発した機械によって生み出されており、「例えばチーズキューブは1秒間に12個も製造できるほどのスピードです」と笑顔で語る。

世界が求める「ヘルシースナック」という市場機会

 近年、世界的に「ヘルシースナック」市場が急成長している。その背景には、外出先やオフィス、ジムなどで手軽に食べられる利便性、そして健康意識の高まりがある。

「ベル社の製品は、少ないカロリーで自然なタンパク質やカルシウムを効率よく摂取できる点が評価されています。これは、消費者の健康志向に応える製品として、我々が世界市場で成長を遂げている大きな理由の一つです」

日本市場:強いブランド力と次なる成長の可能性

 ベル社が日本市場に進出してから約40年。なかでも「キリ」ブランドは、日本において圧倒的な認知度と信頼を築いている。

「日本の女性消費者とキリとの結びつきは非常に強いと感じています。日本では、健康や体重管理を意識しながらも、食事によって癒しを求める文化があります。チーズはそのニーズにぴったりな食品です」と、セシル氏は指摘する。

 日本の一人当たりチーズ消費量は、フランスの約10分の1。市場としてはまだ成長余地が大きく、今後はシニア層へのアプローチや、新たな食習慣の提案によって、さらに広がる可能性を秘めている。

「例えば“キリと日本の漬物を合わせる”といった新しい提案も行っています。新しい習慣が浸透するには時間がかかりますが、私たちは忍耐強く、日本市場と向き合っていきます」

社会変革への貢献:多様性と女性のエンパワーメント

 CEOとして、また母親としての自身の経験を通じて、セシル氏は「リーダーシップの固定観念を変えたい」と語る。フランスにおいても、主要企業の女性CEOはわずか10%。ベル社にとって多様性、公平性、そして包括性(DEI)は重要な企業理念の一つだ。

「日本では労働力に占める女性の割合が44%に対し、管理職以上に女性が占める割合は8.4%にとどまっています。この現実に対し、私たちは残念に思うと同時に、変化のための支援を行っています。NPO支援やW2W(Women to Women)メンターシップ制度、柔軟な勤務制度などを通じて、出産や育児によってキャリアをあきらめることのない社会を支援したいと考えています」

AI/DXが導く持続可能な「食」の未来

 ベル社は、サステナビリティとイノベーションを企業の中核に据えており、AIの可能性を積極的に活用している。2050年には世界人口が100億人に達するとされるなか、現状のフードシステムでは持続的な供給が難しいという危機意識から、変革を推進している。

 ベル社はダッソー・システムズおよびアクセンチュアと戦略的パートナーシップを締結し、食品分野における先駆的な「バーチャルツイン技術」の導入を進めている。これにより、たとえば「キリ」の新しいレシピ開発プロセスが、従来の手作業からより迅速かつ精緻な工程に進化しているという。

「家畜の環境負荷を低減するタンパク源の開発や、よりヘルシーな食品の創出、野菜・果物摂取の促進など、食に関わる大きな課題の解決にAI技術が貢献してくれると信じています。私たちの目標は、ベル社の製品が2050年の世界の“食”を支える解決策の一部となることです」

「次の世代のために」──ベル社の一貫したビジョン

 セシル・ベリオ氏の語るビジョンには、160年続くベル社の哲学が色濃く反映されていた。「次の世代のために」という理念を胸に、ベル社は日本市場での成長を着実に進めながら、AIや多様性といった現代的なテーマにも真正面から取り組んでいる。

 グローバル企業でありながら地域や人々と丁寧に向き合うその姿勢は、これからの食の未来、そして社会そのものの在り方を見つめ直すヒントを与えてくれる。

(構成=渡辺雅史/ライター)

シャトレーゼが業界トップになれたワケ、不二家との違い…ブランディング経営成功の鍵

●この記事のポイント
2021年まで長らく菓子業界首位を誇っていた不二家。シャトレーゼは不二家と異なり広告宣伝に注力していないにもかかわらず、なぜ業界トップの座を奪うことができたのか。それは社員教育に違いがあると著者は分析する。

 日本能率協会マネジメントセンターが2023年4月に行ったインターネットによる管理職の実態に関するアンケート調査によると、一般社員の約77.3%が「管理職になりたくない」と回答したとの結果が報じられている(https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0095-kanrishokuchousa.html)。

 企業の管理職とは、仕事の負担や責任だけ増えて給料はたいして上がらない、魅力どころかデメリットを体現したような存在……そんなネガティブなイメージが形成されているようだ。なぜ管理職の印象がここまで下がってしまったのか。それはひとえに、多くの日本企業が「プレイング・マネージャー」などと称して通常業務や部下の統率をまとめて管理職任せにして、彼らを魅力的な存在に育て上げる教育を怠っているからだと指摘するのは、企業ブランディングを行う株式会社イマジナの代表の関野吉記氏である。

 管理職が優秀な人材をマネジメントするスキルを学び、会社の魅力や仕事の楽しさを体現できるような存在となれば、その下層にも人を育てる文化・会社の魅力を伝えていく文化は広がり、根づいていく。会社が発展する可能性は、管理職のあり方が重要だとしている。

 今回は関野吉記氏の『管理職のチカラ~採用も、業績も、人材育成で変わる』(プレジデント社)より、管理職のあり方について一部抜粋・編集してお届けする。

企業価値は“社員”次第…育成強化で「ブランディング経営」を

 私の実家は、山梨県で100年続く菓子問屋を経営している。

 100年間ひとつの事業を継続させるのは、並大抵のことではない。次の世代にしっかりとバトンを渡さなくてはならないが、それには「次の世代が受け取りやすいバトンの渡し方」を上の世代が考えてやる必要があるのだ。後に続く者のパフォーマンスを最大化する方法を、上の世代は常に考えておかなくてはならない。

 しかしそれは、単に優しければいいとか、下の世代に対して思いやりがあればいいということではない。100年の事業継続を考えるなら、むしろ、自社のこだわりを守り切り、絶対に方針を曲げないぐらいの頑なさが必要だといえる。

 そのためには、とりも直さず「理念」という指針が重要なのだ。社会課題をどう解決していくのか、そのためにどんな思いで、どんなこだわりを持って事業の展開をしていくのか。それを経営者がとことん突き詰めて考え、徹底的に社員に浸透させていかなくてはならないのである。

 同郷の山梨県人に、一介の今川焼き風のお菓子屋から年商1175億円のシャトレーゼという洋菓子チェーン店をつくり上げた齊藤寛さんがいる。

 わずか20年間で、シャトレーゼの売上を5倍に膨らませた齊藤さんは、御年90歳。これから同社の売上を1兆円にすると豪語していらっしゃる。

 現在、シャトレーゼは菓子業界の最大手だが、かつての業界最大手といえば、「ペコちゃん」で親しまれている不二家だった。不二家の創業は1910年。老舗中の老舗といっていいだろう。

 不二家は2021年まで、業界ナンバー1の売上規模を保っていたが、この年を境にしてシャトレーゼに業界トップの座を明け渡すことになった。

 この交代劇が起こった原因は、両者の経営戦略の違いにある。ご存じのように、不二家は広告宣伝が巧みな企業だ。

 店頭に飾られている「ペコちゃん」人形は昔から子どもたちに人気があり、不二家の商品パッケージにさまざまな形で登場しては、不二家の顔として活躍している。あるいは、「ミルキーはママの味」というキャッチフレーズを旋律とともに記憶している人も多いのではないだろうか。不二家という会社は、広告宣伝に巨額の投資をする戦略によって、好感度の高い企業イメージを構築しファンを増やし続けていたのである。

 一方のシャトレーゼはどうかといえば、店舗は比較的簡素で、ペコちゃんのようなマスコットキャラクターも存在しない。誰もが記憶しているようなコマーシャルソングもない。

 その代わりシャトレーゼは、社員を大切にし、一人ひとりをきちんと評価することに注力しているのだ。加えて齊藤寛さんは社員を事業に巻き込んでいくのが非常にうまい経営者なのである。

 同社の経営手法の一例として、独特な「プレジデント制度」が挙げられる。これは、社員に自分の持ち場のコスト・カットや作業効率の向上を、まさに社長(=プレジデント)のように考えさせ、成果が上がれば報償金を出すという制度である。現在、シャトレーゼの社員は約2200人いるが、約5%の120人がプレジデントに任命されている。

 この制度の狙いはプレジデント制度という名前が示している通り、社員一人ひとりに「プレジデント=経営者の視点と意識を持たせること」にある。職場の改善を「やらされる」のではなく、自分ごととして取り組む社員を育てようという試みだ。

 シャトレーゼの躍進が、こうした斬新な仕組みによって支えられていることは言うまでもないが、ここには重要なポイントが2つある。

 ひとつは、こうした制度は経営者が現場に直接足を運んで、現場をよく観察していなければつくれないということ。もうひとつは、シャトレーゼが社員の育成を成長の原動力としている、ということである。

 では、不二家はどうだろうか。ご記憶の方も多いと思うが、不二家がシュークリームの原料に期限切れの牛乳を使用していたのが発覚したのは、2007年のことであった。このニュースを聞いて私が驚いたのは、検査基準の10倍にも達する細菌が検出されていながら、期限切れの牛乳の使用を中止せよという声が社内から上がらなかったという事実である。

 もしも、「ミルキーはママの味」という人口に膾炙したフレーズに社員が誇りを持っていたら、基準を超える細菌の検出を放置することなどあり得ない。本物のママならそんなことは絶対にしないだろう。

 これは、不二家が企業理念の浸透よりも広告宣伝に投資することを重視してしまった結果なのかもしれない。

 一方シャトレーゼも近年不祥事が相次いでいる。菓子業界トップの座を射止めたとしても、徹底した理念の浸透と社員の育成をし続けなければ企業価値を高め続けるのは難しいと言えるだろう。人の育成に終わりはない、経営者が社員と向き合い続けることがブランディング経営成功の鍵となるのだ。

(著者=関野吉記/株式会社イマジナ 代表取締役社長)