クラウド王者・AWSのシェア低下の理由…猛追するマイクロソフト・Azureが逆転?

●この記事のポイント
・世界クラウド市場1位のAWS、シェアが低下し30%を割り込んだ
・ChatGPTの技術やCopilotを持つマイクロソフトのAzureのシェアが拡大
・市場シェアの変化が生じている理由は何なのか、マイクロソフトがAWSを逆転する可能性はあるのか

 世界のクラウドサービス市場で不動のシェアトップに君臨してきた米Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス:AWS)だが、昨年頃からじわじわとシェアが低下し始め、米調査会社シナジー・リサーチ・グループの調査・発表によれば、今年1~3月のシェアが30%を割り込んだという。一方でシェアを拡大させているのが、「Microsoft Azure」を展開するマイクロソフトだ。OpenAIのChatGPTの技術を導入し、また独自のAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」を提供しているマイクロソフトが、クラウドサービスにも生成AIを積極的に導入する動きをみせていることが要因ともいわれている。こうした市場シェアの変化が生じている理由は何なのか。また、マイクロソフトがAWSを逆転する可能性はあるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

Azureのシェアが増えている背景

 世界のクラウド市場では、1位のAWS、2位のマイクロソフト、3位の「Google Cloud」を展開するグーグルが3強となっており、ここ数年は各社の市場シェアはそれぞれ概ね30%台、20%台、10%台で推移してきた。下位2社の追い上げは勢いづいており、グーグルは今月、クラウドサービスを運営するデータセンター内の機器で使用するとみられるAI向け半導体・TPU(Tensor Processing Unit)の第7世代「Ironwood」を発表。性能向上に加えて大幅な電力効率の向上がなされ、24年に発表された第6世代TPU「Trillium 」と比較して2倍の消費電力あたりのパフォーマンスを発揮するとして注目された。

 AWSのシェア低下の理由は何なのか。クラウドエンジニアのI氏はいう。

「現場で働いているエンジニア目線でいうと、クラウド業界の先駆者的なポジションにAWSがいて、今までずっと市場をリードしてきたこともあり、AWSを扱えるエンジニアの数が多く、現在でも増え続けています。そしてAWSエンジニアも比較や勉強のために他のクラウドサービスを調べたり使ってみたりするので、そうなると必然的に2番手のAzureが使われやすくなります。AWSとAzureの大きな違いは、バックグラウンドとして多くの企業がマイクロソフトの製品をすでに導入しているという点です。つまりAzureは企業の既存システムとの相性が良いのに加え、既存のマイクロソフト関連の契約があるとAzureのライセンス料を比較的低価格に抑えることができるという点が、徐々にAzureのシェアが増えている背景としてはあるのかなと思います」

 AWSとAzureの違いは、どのような部分にあるのか。

「マイクロソフトの製品を使ってシステムを構築している企業の場合、アクティブディレクトリやユーザー作成などの面でAzureとの連携がしやすいというのは、Azureの一つのメリットです。一方、AWSを使う上での最大のメリットは、やはりナレッジが非常に豊富にあるという点です。これまでクラウド業界をリードしてきたがゆえにAWSエンジニアの数も世界で多いので、あらゆる検証済の技術が存在しており、新しく何かをやろうとした際にハードルが低いです。とはいえ、現状ではAWSでできることの大半はAzureでもできるので、技術的にものすごく大きな差というのは、あまりない気がします」(I氏)

Azure一強という状況は生まれにくい?

 生成AI関連の技術・サービスの差が市場シェアの変化に影響を及ぼしている可能性はあるのか。

「AzureだとChatGPTやCopilot、マイクロソフト製品と容易に連携させて業務効率化を図るといったことも、やりやすいですし、新規でクラウドを導入しようとなった際に『これから積極的にAIを活用していきたいから、やっぱりAzureを選んだほうがいいよね』と期待感が先行するかたちでAzureが選ばれやすくなるという面はあるかもしれません」(I氏)

 では、近いうちにAzureとAWSのシェアが逆転する可能性はあるのか。

「Azureを使えるエンジニアも増えてきているので、じわじわとAzureの利用は拡大していくとは思いますが、AWSのエンジニアが多い企業ではAWSが選ばれやすいでしょうし、Azureがものすごい機能をリリースするなど、よほどインパクトが大きい出来事がない限りは、すぐに逆転するということは考えにくいです。Azureに明確な強みというのが出てこなければ、なかなかAzure一強という状況は生まれにくいのかなと感じます。

 エンジニア目線でいうと、やはりAWSは非常に操作性に優れていて使いやすく、UI的な部分でのバグが少ないというのは強みです。エンジニア目線でいうと、やはりAWSは非常に操作性に優れていて使いやすく、UI的な部分でのバグが少ないというのは強みなので、クラウドのエンジニアを目指すならとりあえずAWSの道に行くという人が今も大多数です。AWSが優れているのは操作性だけでなく、ナレッジが豊富にあるためクラウドエンジニアを目指す人が成長しやすいというメリットもあります。

 大企業ですと、社内システムで業務効率化するために社外秘のデータをインターネット通信しない環境で検索して、情報をすぐに引っ張ってこれるようにしたりと、AIを使って業務効率化を図るということに着手しているところも増えていますが、多くの中小企業はまだそこまで進んでいないと思います。これから多くの企業でAIの活用が本格化してくれば、クラウド市場も変わってくるかもしれません」(I氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

日銀総裁「無理に利上げせず」=経済・物価慎重に見極め

 植田和男日銀総裁は、3日の参院財政金融委員会で「将来の利下げ余地をつくるために、経済・物価情勢の改善が見込めない中で無理に政策金利を引き上げる考えはない」と述べた。今後の金融政策判断では、景気や物価の動向を慎重に見極める姿勢を示した。自民党の西田昌司氏への答弁。

 植田氏は同委員会で、トランプ米政権の高関税政策の影響について「不確実性が極めて高い状況にある」との認識を改めて表明。一方、経済・物価が日銀の現行見通しに沿って推移していけば「経済・物価情勢の改善に応じ、引き続き政策金利を引き上げていく」と語り、利上げ路線は堅持する方針を強調した。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/03-11:58)

日銀総裁「無理に利上げせず」=経済・物価慎重に見極め

 植田和男日銀総裁は、3日の参院財政金融委員会で「将来の利下げ余地をつくるために、経済・物価情勢の改善が見込めない中で無理に政策金利を引き上げる考えはない」と述べた。今後の金融政策判断では、景気や物価の動向を慎重に見極める姿勢を示した。自民党の西田昌司氏への答弁。

 植田氏は同委員会で、トランプ米政権の高関税政策の影響について「不確実性が極めて高い状況にある」との認識を改めて表明。一方、経済・物価が日銀の現行見通しに沿って推移していけば「経済・物価情勢の改善に応じ、引き続き政策金利を引き上げていく」と語り、利上げ路線は堅持する方針を強調した。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/03-11:58)

「哲学クラウド」数字ではなく哲学で組織課題を解決…斬新なコンサルティング

●この記事のポイント
・株式会社ShiruBeが運営する哲学クラウドは、は、“哲学”を用いて企業の抱える組織課題を解決するという斬新なコンサルティングサービス
・目に見えている課題だけではなく、問題の本質に迫ることができるため、組織を根本的に改善できる点が、従来のコンサルティングと大きく異なる

 株式会社ShiruBe(シルベ/東京都)は、“哲学”を用いて企業の抱える組織課題を解決していくサービス『哲学クラウド』を運営している。

 このサービスは、社員同士のコミュニケーションが少なく新たなアイデアが生まれにくいと感じている企業や、組織内の方向性の不一致に悩んでいる企業などが主な対象。経営者や管理職が哲学の専門家と対話(1on1)、そしてチームメンバー全体と哲学者を交えた対話を通して相互理解を実現し、チームの理想像や目標を実現するために組織の一人ひとりが考えを深めていくプロセスによって、組織変革を促すことを目的としている。

 哲学というとアカデミックな印象が強く、ビジネスの分野とあまり親和性がないと感じる方々もいるかもしれない。

 しかし実は、アメリカやドイツといった欧米諸国では、1980年代ごろから哲学対話(深く考えることを目的に、特定のテーマについて参加者が自由に意見を交わす対話の方法)や、哲学コンサルティングが企業経営に取り入れられている。そして、『哲学クラウド』で組織課題に取り組む哲学者たちは、これらをいち早く日本で実践してきた経験を持つという。

 ShiruBe代表の上館誠也氏が哲学をビジネスに用いるというアイデアを思い付いたのは、自身の生まれ育った環境がきっかけだったという。上館氏には旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者を親に持つ宗教二世というバックボーンがある。現在は信仰していないというが、その教義を越えるために必要だったのが、“自ら考える”ことを前提とする哲学だったのである。

 本稿では『哲学クラウド』を運営する上館誠也氏に、サービス内容やクライアントからの声、また今後の展望などについて話を聞いた。

目次

株式会社ShiruBe代表取締役 上館誠也氏インタビュー

――まずは『哲学クラウド』というサービスを始めた経緯について教えてください。

上館氏:ビジネスと哲学を連携させるという発想に至った経緯には、プライベートの側面とビジネスの側面の二つの背景があります。プライベートの側面については、僕の両親が旧統一教会の信者だったため、私がその教義のマインドコントロールから脱却するために、哲学の思想を参考にしていたという経験が関係しています。例えば、有名な哲学者のニーチェが残した「神は死んだ」という言葉など、哲学の持つ“元から存在する物事や考えの前提から疑ってみる”という姿勢や知性の在り方が、旧統一教会の教義を乗り越えることにとても役立ったんです。こういった体験が哲学への興味を最初に抱いたきっかけになります。

 そしてビジネスの側面で言うと、大学在学中に創業した会社における“組織崩壊”の体験が関係しています。学生時代に複数のメンバーで『mikan』という英単語アプリの開発を行う会社を立ち上げ、業績は好調だったのですが、あるとき創業メンバー同士で激しい対立が起こってしまい、ビジネスが立ちゆかなくなったことがあったのです。この経験から、どんなにいいプロダクトがあったとしても、人や組織が育めなければ会社経営はできないんだということを痛感しました。

 こうした経験からその後、企業の組織づくりに興味を持ち、リクルートなどのHRコンサルティング会社に入社して経験を積んでいきました。しかし、そこで人や組織の状態を数値化して課題を設定し、人事に関する業務を効率的に行う「HRテック」というシステムに違和感を覚えたのです。もちろんHRテックは素晴らしいのですが、このシステムでは数字以外の判断要素がなく、組織における本当に重要な要素まで行き届かないのではないか、と。

 例えば他人の目が気になるといったことや、メッセージの既読無視が気になるといったような、人が集まって集団となったときに発生する普遍的な悩みについて、触れられていないのではないかと気付いたのです。実は、哲学は人類がこれまで抱えてきた組織における悩みについて深く考察している学問なのですが、哲学特有の難解な言葉のままだと、現代人には伝わりにくい。そこで哲学の思想をわかりやすい形でサービスに落とし込むことができれば、既存の組織支援サービスで見落とされがちな課題を発見することができるのではないかという気づきから、『哲学クラウド』が始まりました。

――定量的なアプローチとなるHRテックに対して、『哲学クラウド』は定性的に集団・組織の問題解決にアプローチできるということですね。

哲学の力によって、“本当に大切なこと”に向き合う社会を実現する

――では、『哲学クラウド』におけるミッションなどをお教えください。

上館氏:「哲学の力によって、“本当に大切なこと”に向き合う社会を実現する」ということをビジョンに掲げています。この“本当に大切なこと”というのは、簡単に言うと、目を背けてしまったり逃げてしまったりしがちな問題のことです。企業がきれいごとを抜きにしてそうした問題に真っ向から向き合って、本質を根本から見つめ直すという哲学的なプロセスをご支援させてもらっています。

 例えば、これまでコンサルティングをしてきたメーカー企業のなかには、営業部門と開発部門が対立しているケースが多くありました。本来ならばユーザーの意見を聞く役割を担う営業部と、その意見を商品開発に反映すべき開発部は、密に連携していかなければならない。ですが互いの部門長が話し合いを避けてお互いに干渉せず、個々の部門が独立して何か新たな施策を実行するという、協力体制ができていないという事例がよくみられたのです。

 こうして本来解決すべき問題から逃げ続け、きれいごとにすり替えるような“上辺だけのコミュニケーション”を重ねていったことが原因で、さらに別の問題を引き起こしてしまうということがよく起こっているのだと、コンサルティングをしていくなかで感じました。我々は企業とともに、これまで議論を避けてきた部分にフォーカスし、まだ見えていない本当の問題を発見することで、組織を改善しようと考えているんです。

――企業側にとっては、そういった“見たくないものに向き合う”サービスに「手を出しづらい」と感じてしまう可能性もありそうですが。

上館氏:選ばれるサービスとしての難易度が高いというのは初めから想定していますし、それでいいと思っています。『哲学クラウド』のクライアントの多くは、小手先のグロースハック(ビジネスを成長させるために確立された手法)や、斬新なキャッチコピーで売り上げを出すといったマーケティングレベルで悩んでいるのではありません。それらの施策をすでに試した結果うまくいっておらず、新しい次世代の革新的なサービスが作れないといった悩みを抱えていらっしゃる企業です。

 そうした企業の経営者は、自分たちの組織が見えていない本質の問題に向き合わなければ未来はないと考え、『哲学クラウド』に興味を持っていただけるのです。そのため関心を示す企業の数は多くないかもしれませんが、そのぶんこのサービスの意義や意図に共感していただけるクライアントは、サービスの質に対する納得感の高さを重視しています。

 そもそもコンサルティングというと、目に見える課題解決や改善を期待される企業が多いのですが、僕自身は何かに頼ったからといってきれいに問題が解決することは少ないと思っています。『哲学クラウド』は、きれいに問題を解決する“魔法のサービス”ではなく、クライアントとともに本質の問題について粘り強く最後まで考え続けることで、その企業にとっての次のステージを見つけるための手助けをするサービスだと考えているのです。

――哲学という、ビジネスとはあまり親和性がないという印象の分野を軸に事業化するにあたり、苦労などありましたか?

上館氏:言わずもがなですが、スタートアップは新しいタイプのビジネスを生み出す存在なだけに、「何をやっているのかよくわからない」と思われることが多く、そもそも事業化して高い収益を上げていくことが難しいものです。ただ、そんなスタートアップ業界のなかにおいて言うなら、実は『哲学クラウド』はクライアントの獲得における苦労という苦労はなかったんです。

 経営者や経営陣といった企業のトップ層の方々と知り合い、『哲学クラウド』のサービス内容についてお話しすると「面白そうですね」と、興味を持ってくださる人が多かったからです。これは、現在のHRコンサルティングの主軸である“数字だけの評価”に対して疑問を感じつつある企業が増えているからこそ、哲学の考えを生かした新しい形のコンサルティングビジネスに期待してくださっている方が多くなってきているということだと考えています。

 一方、サービスづくりの観点で苦労したことは、コンサルティングにおける哲学のデータベース化です。事業を始めたての頃は、もともとHRコンサルティングに従事していた僕自身の知見をメインに、哲学の要素を付け加えて収益を上げるスタイルでした。けれど最近はこれを逆転化させ、体系化された哲学のデータベースをメインにコンサルティングを進められるように努めています。

哲学の考え方を生かしたSECIモデルを、日本全体に普及していく必要がある

――『哲学クラウド』で今後、特に事業展開に力を入れたい分野をお教えください。

上館氏:日本の上場企業の64.7%は製造業の企業であり、日本はもともと「モノづくり大国」です。しかしながら、ここ30年近く日本は経済成長ができずに“失われた30年”を歩んでいるとも言われてしまっています。この失われた30年を取り戻すべく、新規事業における“モノづくりのための羅針盤づくり”は、『哲学クラウド』を使って力を入れて取り組んでいきたいです。

 例えばとある大手メーカーの事例では、主力製品のスペックの進化が業界全体でほぼ頭打ち状態になっており、ユーザーが飛びつくような革新的な新製品が生まれなくなっているという難題を抱えていました。そこで弊社が協力してその製品の“進化論”をまとめ、これまでの変化を改めておさらいするとともに、100年後のその製品はどのような形になっているのかということを想像し、次世代の革新的製品のアイデアの“羅針盤”を作成したのです。このように既存のプロダクトの在り方から考え直すことで、未来を見据えた新しいサービス開発を行うという手法は、“前提を疑う”という姿勢を持つ哲学ならではのアプローチなのではないかと思います。

 そして、そういった未来に向けた新たな製品やサービスを逆算して考え出すというプロセスは、戦後に日本が著しい技術革新によって先進国に登り詰めた時代には、多くのメーカーで行われてきたことだと、知識経営の権威である野中郁次郎先生は語っています。こうしたモノづくりのムーブメントをもう一度日本で起こすには、哲学の考え方を生かしたSECI(セキ)モデル(個人が持つ知識や経験を集約し、組織全体にノウハウやスキルを共有したうえに成立する新たな知識を生み出すための枠組のこと)を、日本全体に普及していく必要があると感じているんです。

――日本の製造業がグローバルな競争力を失いつつあるなか、さまざまな国内メーカーのコンサルティングを通じて感じた、それぞれの企業に共通する課題や問題点は何かありますか?

上館氏:職人といった個人が持つ革新的なノウハウが、うまく周囲にシェアされていないメーカーは非常に多いです。我々が目指す先に“知の民主化”という言葉があるのですが、知が民主化された状態というのは、職人が持つ属人的な知識・技術や、革新的なノウハウが広くシェアされ、多くの人が携わりながらそれを形にしていくことができる状態を指します。

 国内には知の民主化が進んでいない“宝の持ち腐れ状態”に陥っている企業が多い印象があるので、まずは個人レベルで閉じられてしまっている知識やアイデアを、『哲学クラウド』のメインサービスである対話を通じて社内でシェアし、言語化や可視化していくことが重要ではないかと感じています。

哲学コンサルティングの企業連合を作り、世界レベルでSECIモデルを循環

――そんな『哲学クラウド』では、インハウス・フィロソファー(企業内哲学者)が、コンサルティングサービスを提供しています。大学院で博士号を取得した後に研究職を続ける「ポスドク」のキャリア支援の取り組みについても教えてください。

上館氏:研究職をされている方々にとっての問題は主に二つあり、一つは稼ぎが少ないといった経済的な問題、そして二つ目が専門性を生かした職業に就けないという問題です。これらの問題を解決するために、現在弊社では主に哲学や経営学の研究者の方々を雇用し、『哲学クラウド』におけるコンサルティング業務、そして自社の研究所での組織や人を対象とした研究を行ってもらっているのです。

 こうした取り組みを行うことで、研究者の方々にとっては金銭面で困らなくなることはもちろん、弊社での活動がそのまま自身の研究実績にもなります。特に人文系の研究者の方は、自身の研究が社会の問題にどう紐づくのか具体的にわからないという人が多いのですが、うちでの取り組みに興味を持って、新しいものを生み出すためにタッグを組んでくださる研究者の方々も次第に多くなってきました。

――では最後に、『哲学クラウド』を「こういうサービスに進化させていきたい」などの最終的な目標や、長期的なビジョンがあれば教えてください。

上館氏:日本の各企業が持っている“隠れた知”を集約し、いい製品やサービスを生み出すための哲学的経営理論のようなものを形にして、それを日本企業全体でシェアしていくことが大きな目標としてあります。哲学理論の体系化やデータベース作りは、現在も取り組んでいるところではありますが、より具体的なサービスに適応できるまで進化させていくとともに、コンサルティング技術も高めていきたいです。

 また日本のみならず、ゆくゆくは海外への事業展開も考えています。現在すでにオランダやドイツには哲学コンサルティングの会社が存在していますので、そういった会社と一緒にタッグを組んでいくことで、哲学コンサルティングの世界的な会社にしていくということも長期的なビジョンとして持っています。お互いの持っている知識を共有し合ったほうがうまくいくものなので、哲学コンサルティングの連合を作って、世界レベルでSECIモデルを循環させていければと考えています。

(取材=UNICORN JOURNAL編集部、文=瑠璃光丸凪/A4studio)

「哲学クラウド」数字ではなく哲学で組織課題を解決…斬新なコンサルティング

●この記事のポイント
・株式会社ShiruBeが運営する哲学クラウドは、は、“哲学”を用いて企業の抱える組織課題を解決するという斬新なコンサルティングサービス
・目に見えている課題だけではなく、問題の本質に迫ることができるため、組織を根本的に改善できる点が、従来のコンサルティングと大きく異なる

 株式会社ShiruBe(シルベ/東京都)は、“哲学”を用いて企業の抱える組織課題を解決していくサービス『哲学クラウド』を運営している。

 このサービスは、社員同士のコミュニケーションが少なく新たなアイデアが生まれにくいと感じている企業や、組織内の方向性の不一致に悩んでいる企業などが主な対象。経営者や管理職が哲学の専門家と対話(1on1)、そしてチームメンバー全体と哲学者を交えた対話を通して相互理解を実現し、チームの理想像や目標を実現するために組織の一人ひとりが考えを深めていくプロセスによって、組織変革を促すことを目的としている。

 哲学というとアカデミックな印象が強く、ビジネスの分野とあまり親和性がないと感じる方々もいるかもしれない。

 しかし実は、アメリカやドイツといった欧米諸国では、1980年代ごろから哲学対話(深く考えることを目的に、特定のテーマについて参加者が自由に意見を交わす対話の方法)や、哲学コンサルティングが企業経営に取り入れられている。そして、『哲学クラウド』で組織課題に取り組む哲学者たちは、これらをいち早く日本で実践してきた経験を持つという。

 ShiruBe代表の上館誠也氏が哲学をビジネスに用いるというアイデアを思い付いたのは、自身の生まれ育った環境がきっかけだったという。上館氏には旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者を親に持つ宗教二世というバックボーンがある。現在は信仰していないというが、その教義を越えるために必要だったのが、“自ら考える”ことを前提とする哲学だったのである。

 本稿では『哲学クラウド』を運営する上館誠也氏に、サービス内容やクライアントからの声、また今後の展望などについて話を聞いた。

目次

株式会社ShiruBe代表取締役 上館誠也氏インタビュー

――まずは『哲学クラウド』というサービスを始めた経緯について教えてください。

上館氏:ビジネスと哲学を連携させるという発想に至った経緯には、プライベートの側面とビジネスの側面の二つの背景があります。プライベートの側面については、僕の両親が旧統一教会の信者だったため、私がその教義のマインドコントロールから脱却するために、哲学の思想を参考にしていたという経験が関係しています。例えば、有名な哲学者のニーチェが残した「神は死んだ」という言葉など、哲学の持つ“元から存在する物事や考えの前提から疑ってみる”という姿勢や知性の在り方が、旧統一教会の教義を乗り越えることにとても役立ったんです。こういった体験が哲学への興味を最初に抱いたきっかけになります。

 そしてビジネスの側面で言うと、大学在学中に創業した会社における“組織崩壊”の体験が関係しています。学生時代に複数のメンバーで『mikan』という英単語アプリの開発を行う会社を立ち上げ、業績は好調だったのですが、あるとき創業メンバー同士で激しい対立が起こってしまい、ビジネスが立ちゆかなくなったことがあったのです。この経験から、どんなにいいプロダクトがあったとしても、人や組織が育めなければ会社経営はできないんだということを痛感しました。

 こうした経験からその後、企業の組織づくりに興味を持ち、リクルートなどのHRコンサルティング会社に入社して経験を積んでいきました。しかし、そこで人や組織の状態を数値化して課題を設定し、人事に関する業務を効率的に行う「HRテック」というシステムに違和感を覚えたのです。もちろんHRテックは素晴らしいのですが、このシステムでは数字以外の判断要素がなく、組織における本当に重要な要素まで行き届かないのではないか、と。

 例えば他人の目が気になるといったことや、メッセージの既読無視が気になるといったような、人が集まって集団となったときに発生する普遍的な悩みについて、触れられていないのではないかと気付いたのです。実は、哲学は人類がこれまで抱えてきた組織における悩みについて深く考察している学問なのですが、哲学特有の難解な言葉のままだと、現代人には伝わりにくい。そこで哲学の思想をわかりやすい形でサービスに落とし込むことができれば、既存の組織支援サービスで見落とされがちな課題を発見することができるのではないかという気づきから、『哲学クラウド』が始まりました。

――定量的なアプローチとなるHRテックに対して、『哲学クラウド』は定性的に集団・組織の問題解決にアプローチできるということですね。

哲学の力によって、“本当に大切なこと”に向き合う社会を実現する

――では、『哲学クラウド』におけるミッションなどをお教えください。

上館氏:「哲学の力によって、“本当に大切なこと”に向き合う社会を実現する」ということをビジョンに掲げています。この“本当に大切なこと”というのは、簡単に言うと、目を背けてしまったり逃げてしまったりしがちな問題のことです。企業がきれいごとを抜きにしてそうした問題に真っ向から向き合って、本質を根本から見つめ直すという哲学的なプロセスをご支援させてもらっています。

 例えば、これまでコンサルティングをしてきたメーカー企業のなかには、営業部門と開発部門が対立しているケースが多くありました。本来ならばユーザーの意見を聞く役割を担う営業部と、その意見を商品開発に反映すべき開発部は、密に連携していかなければならない。ですが互いの部門長が話し合いを避けてお互いに干渉せず、個々の部門が独立して何か新たな施策を実行するという、協力体制ができていないという事例がよくみられたのです。

 こうして本来解決すべき問題から逃げ続け、きれいごとにすり替えるような“上辺だけのコミュニケーション”を重ねていったことが原因で、さらに別の問題を引き起こしてしまうということがよく起こっているのだと、コンサルティングをしていくなかで感じました。我々は企業とともに、これまで議論を避けてきた部分にフォーカスし、まだ見えていない本当の問題を発見することで、組織を改善しようと考えているんです。

――企業側にとっては、そういった“見たくないものに向き合う”サービスに「手を出しづらい」と感じてしまう可能性もありそうですが。

上館氏:選ばれるサービスとしての難易度が高いというのは初めから想定していますし、それでいいと思っています。『哲学クラウド』のクライアントの多くは、小手先のグロースハック(ビジネスを成長させるために確立された手法)や、斬新なキャッチコピーで売り上げを出すといったマーケティングレベルで悩んでいるのではありません。それらの施策をすでに試した結果うまくいっておらず、新しい次世代の革新的なサービスが作れないといった悩みを抱えていらっしゃる企業です。

 そうした企業の経営者は、自分たちの組織が見えていない本質の問題に向き合わなければ未来はないと考え、『哲学クラウド』に興味を持っていただけるのです。そのため関心を示す企業の数は多くないかもしれませんが、そのぶんこのサービスの意義や意図に共感していただけるクライアントは、サービスの質に対する納得感の高さを重視しています。

 そもそもコンサルティングというと、目に見える課題解決や改善を期待される企業が多いのですが、僕自身は何かに頼ったからといってきれいに問題が解決することは少ないと思っています。『哲学クラウド』は、きれいに問題を解決する“魔法のサービス”ではなく、クライアントとともに本質の問題について粘り強く最後まで考え続けることで、その企業にとっての次のステージを見つけるための手助けをするサービスだと考えているのです。

――哲学という、ビジネスとはあまり親和性がないという印象の分野を軸に事業化するにあたり、苦労などありましたか?

上館氏:言わずもがなですが、スタートアップは新しいタイプのビジネスを生み出す存在なだけに、「何をやっているのかよくわからない」と思われることが多く、そもそも事業化して高い収益を上げていくことが難しいものです。ただ、そんなスタートアップ業界のなかにおいて言うなら、実は『哲学クラウド』はクライアントの獲得における苦労という苦労はなかったんです。

 経営者や経営陣といった企業のトップ層の方々と知り合い、『哲学クラウド』のサービス内容についてお話しすると「面白そうですね」と、興味を持ってくださる人が多かったからです。これは、現在のHRコンサルティングの主軸である“数字だけの評価”に対して疑問を感じつつある企業が増えているからこそ、哲学の考えを生かした新しい形のコンサルティングビジネスに期待してくださっている方が多くなってきているということだと考えています。

 一方、サービスづくりの観点で苦労したことは、コンサルティングにおける哲学のデータベース化です。事業を始めたての頃は、もともとHRコンサルティングに従事していた僕自身の知見をメインに、哲学の要素を付け加えて収益を上げるスタイルでした。けれど最近はこれを逆転化させ、体系化された哲学のデータベースをメインにコンサルティングを進められるように努めています。

哲学の考え方を生かしたSECIモデルを、日本全体に普及していく必要がある

――『哲学クラウド』で今後、特に事業展開に力を入れたい分野をお教えください。

上館氏:日本の上場企業の64.7%は製造業の企業であり、日本はもともと「モノづくり大国」です。しかしながら、ここ30年近く日本は経済成長ができずに“失われた30年”を歩んでいるとも言われてしまっています。この失われた30年を取り戻すべく、新規事業における“モノづくりのための羅針盤づくり”は、『哲学クラウド』を使って力を入れて取り組んでいきたいです。

 例えばとある大手メーカーの事例では、主力製品のスペックの進化が業界全体でほぼ頭打ち状態になっており、ユーザーが飛びつくような革新的な新製品が生まれなくなっているという難題を抱えていました。そこで弊社が協力してその製品の“進化論”をまとめ、これまでの変化を改めておさらいするとともに、100年後のその製品はどのような形になっているのかということを想像し、次世代の革新的製品のアイデアの“羅針盤”を作成したのです。このように既存のプロダクトの在り方から考え直すことで、未来を見据えた新しいサービス開発を行うという手法は、“前提を疑う”という姿勢を持つ哲学ならではのアプローチなのではないかと思います。

 そして、そういった未来に向けた新たな製品やサービスを逆算して考え出すというプロセスは、戦後に日本が著しい技術革新によって先進国に登り詰めた時代には、多くのメーカーで行われてきたことだと、知識経営の権威である野中郁次郎先生は語っています。こうしたモノづくりのムーブメントをもう一度日本で起こすには、哲学の考え方を生かしたSECI(セキ)モデル(個人が持つ知識や経験を集約し、組織全体にノウハウやスキルを共有したうえに成立する新たな知識を生み出すための枠組のこと)を、日本全体に普及していく必要があると感じているんです。

――日本の製造業がグローバルな競争力を失いつつあるなか、さまざまな国内メーカーのコンサルティングを通じて感じた、それぞれの企業に共通する課題や問題点は何かありますか?

上館氏:職人といった個人が持つ革新的なノウハウが、うまく周囲にシェアされていないメーカーは非常に多いです。我々が目指す先に“知の民主化”という言葉があるのですが、知が民主化された状態というのは、職人が持つ属人的な知識・技術や、革新的なノウハウが広くシェアされ、多くの人が携わりながらそれを形にしていくことができる状態を指します。

 国内には知の民主化が進んでいない“宝の持ち腐れ状態”に陥っている企業が多い印象があるので、まずは個人レベルで閉じられてしまっている知識やアイデアを、『哲学クラウド』のメインサービスである対話を通じて社内でシェアし、言語化や可視化していくことが重要ではないかと感じています。

哲学コンサルティングの企業連合を作り、世界レベルでSECIモデルを循環

――そんな『哲学クラウド』では、インハウス・フィロソファー(企業内哲学者)が、コンサルティングサービスを提供しています。大学院で博士号を取得した後に研究職を続ける「ポスドク」のキャリア支援の取り組みについても教えてください。

上館氏:研究職をされている方々にとっての問題は主に二つあり、一つは稼ぎが少ないといった経済的な問題、そして二つ目が専門性を生かした職業に就けないという問題です。これらの問題を解決するために、現在弊社では主に哲学や経営学の研究者の方々を雇用し、『哲学クラウド』におけるコンサルティング業務、そして自社の研究所での組織や人を対象とした研究を行ってもらっているのです。

 こうした取り組みを行うことで、研究者の方々にとっては金銭面で困らなくなることはもちろん、弊社での活動がそのまま自身の研究実績にもなります。特に人文系の研究者の方は、自身の研究が社会の問題にどう紐づくのか具体的にわからないという人が多いのですが、うちでの取り組みに興味を持って、新しいものを生み出すためにタッグを組んでくださる研究者の方々も次第に多くなってきました。

――では最後に、『哲学クラウド』を「こういうサービスに進化させていきたい」などの最終的な目標や、長期的なビジョンがあれば教えてください。

上館氏:日本の各企業が持っている“隠れた知”を集約し、いい製品やサービスを生み出すための哲学的経営理論のようなものを形にして、それを日本企業全体でシェアしていくことが大きな目標としてあります。哲学理論の体系化やデータベース作りは、現在も取り組んでいるところではありますが、より具体的なサービスに適応できるまで進化させていくとともに、コンサルティング技術も高めていきたいです。

 また日本のみならず、ゆくゆくは海外への事業展開も考えています。現在すでにオランダやドイツには哲学コンサルティングの会社が存在していますので、そういった会社と一緒にタッグを組んでいくことで、哲学コンサルティングの世界的な会社にしていくということも長期的なビジョンとして持っています。お互いの持っている知識を共有し合ったほうがうまくいくものなので、哲学コンサルティングの連合を作って、世界レベルでSECIモデルを循環させていければと考えています。

(取材=UNICORN JOURNAL編集部、文=瑠璃光丸凪/A4studio)

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そんな時代において、静かに注目を集める“異色のオンラインコミュニティ”がある。2020年の創設以来、1000名を超える経営者が登録し、今、明確な手応えとともに支持を広げるサービス――それが、経営者のための戦略プラットフォーム「ROS(Riche lab Online Schule)」だ。

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経営者の“健康格差”に着目した、新サービス「名医セカンドオピニオン」とは

――ROSに新たに加わった「名医セカンドオピニオン」サービス、これはどういった狙いで始まったのでしょうか?

ROS事務局(以下、事務局):きっかけは、あるクライアントの体調不良でした。「ここ最近、どうも集中力が続かない。検査を受けたら要精密検査の通知が来て、正直、頭が真っ白になった」と。そのクライアントは、以前からかかりつけの医師には「大丈夫」と言われていました。しかし、その言葉を信じ続けていたことで、かえって判断が遅れてしまったのではないかという悔しさも口にされていました。

そのとき初めて、自分の健康状態ひとつで会社の意思決定や未来の舵取りが左右される現実を突きつけられたと同時に、“経営者自身の健康”に対して信頼できる情報や医師にアクセスできるかどうかが、経営層の間でも“格差”として存在していると痛感したのです。

――それをROSの支援体制に取り込んだ?

事務局:はい。単なる医療相談ではなく、「企業の意思決定を守るための医療的アドバイザリー」としてこのサービスを設計しました。実際、有名大学病院の名誉教授や、特定の分野で高い実績を持つ専門医と連携し、経営者やその家族、社員が「もしもの時」に確かな判断を下せるようサポートしています。

経営者の方からよく聞くのは、「紹介状がないと名医には診てもらえない」「どこに相談すればいいかわからない」といった声です。ROSでは、そうしたニーズに応えるべく、有名医療機関とスムーズに連携し、必要に応じて専門医の紹介や、名医によるセカンドオピニオン相談を実現しています。これはある意味で、企業の健康という資産を守る“医療インフラ”とも言える仕組みです。

また、このセカンドオピニオンサービスは、「いざというときの備え」として経営者に安心感を提供するという、いわば“経営上の保険”としての側面も持っています。常に多忙な経営者こそ、何かあったときに最善の判断ができる体制が必要です。それが会社の継続性や従業員の安心にもつながります。

――名医にアクセスできるというと、読者の中には「そんなことが本当に可能なのか」と疑問を抱く方もいると思います。

事務局:それはもっともな反応だと思います。医療業界に身を置くわけでも、大企業のようなリソースがあるわけでもない組織が、“名医”との接点を持っていることに、違和感を覚えるのは当然かもしれません。ROSがこれを実現できたのは、もともと私たち自身が医療系クライアントの経営支援をしてきたという背景があったり、経済界でのネットワークや出身大学のつながりの中で、医療界の重鎮たちに直接ご相談する機会があったからです。

その中で、ある名誉教授が「これは企業の健全な成長を支える医療インフラの確立に貢献するための画期的な取り組みです」と共感してくださり、「ぜひやりましょう」と。その言葉を皮切りに、少しずつ名医たちの協力が広がっていったんです。

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“知識”で終わらせない、“決断”につなげる学び

――これまでのROSは動画講座が中心の学びの場でもありますが、そこにも特徴があるとか?

事務局:はい。一般的なオンラインサロンの多くが「知識を得る場」で終わっているのに対し、ROSは“意思決定を促す学び”を徹底しています。講師陣は、実際に経営や投資で成果を出してきた当事者ばかり。たとえば、累計100億円超のM&Aを成功させた起業家や、現役の適格機関投資家、元国税庁の国際税務スペシャリスト、ゴールドマンサックス不動産運用部出身者など、顔ぶれを見ればすぐに違いがわかると思います。

――まさに「今、現場で使われているノウハウ」が手に入る?

事務局:そうですね。しかもそれをどう実行すればいいのか、明確に示されている。現場で培ったノウハウだからこそ、再現性が極めて高いんです。「面白かった」で終わらない、動き出せる学び。これがROSの軸です。

――講座のテーマも非常に幅広い印象ですが、具体的にはどのような内容を扱っているのでしょうか?

テーマも多岐にわたります。たとえば、経営戦略の立案や組織の再構築、スタートアップ支援、M&Aの戦術、相続・資産防衛、ファミリーオフィス運営、さらには事業承継や企業再生の現場まで。講座の中には、地方老舗企業の事業再構築に成功したケース、事業売却で約6億円のキャピタルゲインを実現した会員の体験談、IPOを視野に入れた資本政策の練り直しなど、まさに「動いた先の成果」まで描かれているものが多くあります。

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知る、学ぶ、そして“動く”。次に進むための多角的サポート

――学びの先にある“実行”への支援も、ROSは手厚い印象を受けますね。

事務局:はい。実際にコンテンツを見て「自社に取り入れたい」と思った時、すぐに動ける仕組みが必要だと考えています。たとえばスポットでの経営コンサルティングや、戦略設計の支援、信頼できる士業の紹介など。いわゆる「動画で学んで、あとは自分で頑張ってね」ではなく、プロフェッショナルが横に並走する。だから成果が出るんです。

――実際にその“決断支援”が成果につながった例はありますか?

たとえば、ある地方の中堅企業の社長が、講座をきっかけに新たな販路開拓や利益率改善策を実行し、売上を2倍近くまで伸ばしたケースがあります。また、別の製造業では、当社のM&A支援により事業の経営指標や財務体制を再構築し、外部パートナーとの戦略的提携や管理会計の見直しを通じて、当初想定よりも数億円高い金額での事業売却を実現しました。単なる“情報提供”ではなく、“変化の伴走者”として、次の決断に寄り添える体制があるんです。

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一般的な“サロン”ではない。経営者の意思決定を加速させる「次世代型コミュニティ」

――改めて、ROSはどんな場だと位置付けていますか?

事務局:「サロン」ではなく、経営者のための“戦略拠点”です。学び、判断し、動く。その一連のプロセスを実践的に支える場所ですね。しかも経営だけでなく、資産形成、医療判断、M&A、ファミリーオフィス設計まで、経営者が直面するすべての課題に対応する。多角的な支援体制を通じて、経営者一人ひとりの変化をサポートすることが、ROSの特長です。

――そこまで多くの経営者に支持されているのは、なぜだと思いますか?

一般的なオンラインサロンと違い、ROSは「実務に落とし込めるノウハウ」と「行動を支える実践力な伴走支援」を提供します。知識のストックだけではなく、経営の“動かし方”そのものが学べる場所です。そして何より、単なる情報提供にとどまらず、一人ひとりの意思決定に伴走し、変化を後押しする体制がある。だからこそ、「経営が動いた」「資産が残せた」「守るべき人を守れた」——そんな実感とともに、口コミで広がっているのだと思います。

――実際には、どのような方がROSを利用されているんでしょうか?

スタートアップから中小企業の経営者まで、幅広い層の方にご参加いただいています。中には、起業前にしっかりと準備をしておきたいという勉強熱心な方や、大手企業の役員クラスの方もいらっしゃいます。経営に正解はありませんが、だからこそ“次の一手”に迷ったとき、信頼できる知見や経験に触れられる場所が必要なんです。これからも、より多くの方にこの場を活用していただけたらと思っています。

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会員数1000名突破記念 ― 今だけ初月無料キャンペーン実施中

――ここまで聞いて、ますます興味を持った方も多いと思います。今からでも参加できるチャンスがあれば、ぜひ知りたいですね。

現在、経営者のための戦略プラットフォーム「ROS」は、会員数1000名を突破。これを記念して、通常月額8万円の会費を初月無料でご利用いただけるキャンペーンを期間限定で実施中です。

“今、どんな情報とつながるか”が、数年後の企業の姿を変えます。 この環境に触れることで、経営の意思決定が加速し、資産形成や事業展開に本質的な違いが生まれるはずです。

未来の一手を見極め、行動に変えたいと考える経営者の皆様へ。現状維持に見える歩みも、実は静かなリスクとなり得ます。だからこそ今、環境を変え、視座を高め、意思決定の質を磨くことで、ビジネスは次のフェーズへと確かな進化を遂げることができるのです。

ぜひこの機会に、成果につながる“実践的な知識”と、“次の一手を導く気づき”を体感してください。まずは一歩、気軽に踏み出していただければ、ROSの本質が見えてくるはずです。

ROSの詳細はこちら → https://roslp.riche-lab.jp/

※本稿はPRです。

経営・資産・健康を支える “経営者のための戦略拠点”ROSが選ばれる理由

初月無料!会員数1000名突破記念キャンペーン実施中!
経営・資産・健康を支える
“経営者のための戦略拠点”ROSが選ばれる理由

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「健康って、こんなにも“経営”に直結するものだったんですね」

ある中堅メーカーの経営者が、ふと漏らしたひと言が印象に残っている。50代を超え、役員会での意思決定、M&A交渉、後継者の選定…そのすべてに体力と集中力が求められる中、「自分の健康状態ひとつで、会社の未来の方向性すら変わりかねない」と感じるようになったのだという。

2025年、経営者の“判断力”はこれまで以上に試されている。人材、資本、事業のポートフォリオ、そして自身の健康――すべてが「戦略」であり、同時に「リスク」でもある。

そんな時代において、静かに注目を集める“異色のオンラインコミュニティ”がある。2020年の創設以来、1000名を超える経営者が登録し、今、明確な手応えとともに支持を広げるサービス――それが、経営者のための戦略プラットフォーム「ROS(Riche lab Online Schule)」だ。

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そのとき初めて、自分の健康状態ひとつで会社の意思決定や未来の舵取りが左右される現実を突きつけられたと同時に、“経営者自身の健康”に対して信頼できる情報や医師にアクセスできるかどうかが、経営層の間でも“格差”として存在していると痛感したのです。

――それをROSの支援体制に取り込んだ?

事務局:はい。単なる医療相談ではなく、「企業の意思決定を守るための医療的アドバイザリー」としてこのサービスを設計しました。実際、有名大学病院の名誉教授や、特定の分野で高い実績を持つ専門医と連携し、経営者やその家族、社員が「もしもの時」に確かな判断を下せるようサポートしています。

経営者の方からよく聞くのは、「紹介状がないと名医には診てもらえない」「どこに相談すればいいかわからない」といった声です。ROSでは、そうしたニーズに応えるべく、有名医療機関とスムーズに連携し、必要に応じて専門医の紹介や、名医によるセカンドオピニオン相談を実現しています。これはある意味で、企業の健康という資産を守る“医療インフラ”とも言える仕組みです。

また、このセカンドオピニオンサービスは、「いざというときの備え」として経営者に安心感を提供するという、いわば“経営上の保険”としての側面も持っています。常に多忙な経営者こそ、何かあったときに最善の判断ができる体制が必要です。それが会社の継続性や従業員の安心にもつながります。

――名医にアクセスできるというと、読者の中には「そんなことが本当に可能なのか」と疑問を抱く方もいると思います。

事務局:それはもっともな反応だと思います。医療業界に身を置くわけでも、大企業のようなリソースがあるわけでもない組織が、“名医”との接点を持っていることに、違和感を覚えるのは当然かもしれません。ROSがこれを実現できたのは、もともと私たち自身が医療系クライアントの経営支援をしてきたという背景があったり、経済界でのネットワークや出身大学のつながりの中で、医療界の重鎮たちに直接ご相談する機会があったからです。

その中で、ある名誉教授が「これは企業の健全な成長を支える医療インフラの確立に貢献するための画期的な取り組みです」と共感してくださり、「ぜひやりましょう」と。その言葉を皮切りに、少しずつ名医たちの協力が広がっていったんです。

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“知識”で終わらせない、“決断”につなげる学び

――これまでのROSは動画講座が中心の学びの場でもありますが、そこにも特徴があるとか?

事務局:はい。一般的なオンラインサロンの多くが「知識を得る場」で終わっているのに対し、ROSは“意思決定を促す学び”を徹底しています。講師陣は、実際に経営や投資で成果を出してきた当事者ばかり。たとえば、累計100億円超のM&Aを成功させた起業家や、現役の適格機関投資家、元国税庁の国際税務スペシャリスト、ゴールドマンサックス不動産運用部出身者など、顔ぶれを見ればすぐに違いがわかると思います。

――まさに「今、現場で使われているノウハウ」が手に入る?

事務局:そうですね。しかもそれをどう実行すればいいのか、明確に示されている。現場で培ったノウハウだからこそ、再現性が極めて高いんです。「面白かった」で終わらない、動き出せる学び。これがROSの軸です。

――講座のテーマも非常に幅広い印象ですが、具体的にはどのような内容を扱っているのでしょうか?

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知る、学ぶ、そして“動く”。次に進むための多角的サポート

――学びの先にある“実行”への支援も、ROSは手厚い印象を受けますね。

事務局:はい。実際にコンテンツを見て「自社に取り入れたい」と思った時、すぐに動ける仕組みが必要だと考えています。たとえばスポットでの経営コンサルティングや、戦略設計の支援、信頼できる士業の紹介など。いわゆる「動画で学んで、あとは自分で頑張ってね」ではなく、プロフェッショナルが横に並走する。だから成果が出るんです。

――実際にその“決断支援”が成果につながった例はありますか?

たとえば、ある地方の中堅企業の社長が、講座をきっかけに新たな販路開拓や利益率改善策を実行し、売上を2倍近くまで伸ばしたケースがあります。また、別の製造業では、当社のM&A支援により事業の経営指標や財務体制を再構築し、外部パートナーとの戦略的提携や管理会計の見直しを通じて、当初想定よりも数億円高い金額での事業売却を実現しました。単なる“情報提供”ではなく、“変化の伴走者”として、次の決断に寄り添える体制があるんです。

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一般的な“サロン”ではない。経営者の意思決定を加速させる「次世代型コミュニティ」

――改めて、ROSはどんな場だと位置付けていますか?

事務局:「サロン」ではなく、経営者のための“戦略拠点”です。学び、判断し、動く。その一連のプロセスを実践的に支える場所ですね。しかも経営だけでなく、資産形成、医療判断、M&A、ファミリーオフィス設計まで、経営者が直面するすべての課題に対応する。多角的な支援体制を通じて、経営者一人ひとりの変化をサポートすることが、ROSの特長です。

――そこまで多くの経営者に支持されているのは、なぜだと思いますか?

一般的なオンラインサロンと違い、ROSは「実務に落とし込めるノウハウ」と「行動を支える実践力な伴走支援」を提供します。知識のストックだけではなく、経営の“動かし方”そのものが学べる場所です。そして何より、単なる情報提供にとどまらず、一人ひとりの意思決定に伴走し、変化を後押しする体制がある。だからこそ、「経営が動いた」「資産が残せた」「守るべき人を守れた」——そんな実感とともに、口コミで広がっているのだと思います。

――実際には、どのような方がROSを利用されているんでしょうか?

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「のれん」定期償却が不要になればスタートアップの活性化につながる?メリットとリスク

●この記事のポイント
・政府の規制改革推進会議、答申にM&Aで生じる「のれん」の費用処理について検討することを盛り込んだ
・スタートアップは「のれん」が高くなりがちで、買収のハードルとなりの成長を妨げるという指摘も
・のれんの定期償却が不要になれば、M&Aを実施しやすくなる

 政府の規制改革推進会議は5月28日にとりまとめた答申に、M&A(合併・買収)で生じる「のれん」の費用処理について検討することを盛り込んだ。「のれん」とは、M&Aの相手企業が持つ数値化できないブランド力などの資産の対価として支払う代金であり、純資産額を上回って支払う代金を指す。日本の会計基準を採用している企業は、これを販管費として20年以内に定期償却する必要があり、その分、毎年の営業利益が低くなるという影響が生じる。そのため、日本企業が買収案件で海外企業と競うようなケースでは、日本企業は「のれん」の定期償却を見越して買収金額を提示しなければならず、競争で不利になることがある。また、スタートアップは純資産額が低いことが多いため「のれん」が高くなりがちで、買収のハードルとなり、スタートアップの成長を妨げるという指摘もある。もし「のれん」を定期償却する必要がなくなれば、スタートアップの活性化につながる可能性はあるのか。専門家に取材した。

●目次

メリットとデメリット

 欧米企業が採用する国際会計基準(IFRS)などでは、「のれん」を定期償却する必要はなく、価値が減少したときのみ減損処理するかたちとなっている。「のれん」の非償却が認められると買収のハードルが下がる一方、買収先の急激な業績悪化に伴い多額の減損を計上しなければならなくなるリスクも生じる。

 現在の「のれん」の償却に関する会計制度には、課題や問題があるといえるのか。数多くの企業再建を手掛けてきた企業再生コンサルタントで株式会社リヴァイタライゼーション代表の中沢光昭氏はいう。

「誰かにとってデメリットがあることは、誰かにとってはメリットがあったりするので、のれんの定期償却が絶対的に悪いということではないと思います。のれん償却費が費用となってA社の利益を押し下げられることはA社にとってデメリットだとしても、株主や債権者にとっては、A社が割高な価格で他社をM&Aをしてしまうというような事態を抑止するというメリットがあります」

 制度の変更はスタートアップの成長を推進することにつながる可能性はあるのか。

「銀行や投資家から見ると、のれんの償却費の負担が重いといった、どんな理由があっても赤字は好ましくありませんし、見かけ上の利益が低くなっても同様です。のれんや減価償却費など実際の現金の移動が伴わない費用については、すぐに現金に影響を及ぼすわけではなく、ただの会計処理の問題だとはわかっていても、だからといって赤字や低利益が許されるということにはなりません。もし、のれんの定期償却が不要になれば、A社にとっては銀行融資を含めた資金調達の手段を維持しやすくなるので、M&Aをやりやすくなります。一方、M&Aへの障壁が低くなることで高値掴みをしやすくなるので、A社にとって本当の意味で良いことかどうかはわかりませんが、高値掴みをするということは高値で売る側がいるので、全体的な観点からはイーブンでもあります。

 取引が増えるのでM&A仲介会社は業績が良くなり、納める税金も多くなるので税務署は喜ぶでしょうし、お金の流通量が増えれば増えるほど景気は良くなるとされるので、世の中の空気感にも良い影響はあるのかもしれません。税務処理がどうなるのかはわかりませんが、経済に関わるインフラを国際基準に合わせていくというメッセージを海外に発信できるのは日本にとってはよいことでしょう。

 個人的には、減価償却費の期間を自由に設定できれば商取引は活性化されて景気に良い影響が出ると考えています。利益が多く出る年は大きく設備投資をして、それを税務上すべてその年の費用に計上できれば、設備投資などは活発化するはずです。利益が出る予定だった企業からの目先の税収は減るように見えますが、利益が出ている会社から設備投資の発注先にお金が流通するので、その発注先の従業員が納める所得税や消費税が増え、税収増となるはずです」

会計基準を海外のものに合わせていくという流れ

 メガバンク関係者はいう。

「スタートアップの活性化を促す可能性はあると思います。一方で、買収先の業績が悪化した際に減損を計上するかどうかの判断が、企業に委ねられる部分が大きくなるため、突発的に一気に減損計上が発生するというリスクが高くなりますし、買収のハードルが低くなると精査が甘くなるということも考えられるので、株主・投資家にとっては新たなリスクも生じることになります。よって、トータルでみるとメリットとデメリットのどちらが大きくなるのかは、なんともいえませんが、会計基準を海外のものに合わせていくというのが基本的な流れなので、『のれん』の償却についても見直しの方向で進んでいくのだと考えられます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中沢光昭/リヴァイタライゼーション代表)

クルマはインフラになる? モビリティサービスとWeb3時代におけるデータのゆくえ

岸本氏と高松氏

自動車産業の「デジタル化/サービス化」が進む現在。Toyota Blockchain Labにはどんな未来が見えているのでしょうか?

Toyota Blockchain Labが発表したテックペーパー「How to Introduce Mobility into the Public Blockchain」(モビリティをパブリックブロックチェーンに登場させるには?)は、自動車産業のみならず、さまざまな業界の注目を集めました。

このテックペーパーの発表を契機として行われた本対談では、Toyota Blockchain Labの岸本隆平氏をゲストに招き、自動車産業の未来と、Web3およびブロックチェーンがもたらす変革について、電通データマーケティング局の高松慎太郎がお話を伺いました。

<目次>
車は「個人の所有物」から社会の「公共財」へ

日本でのユーザーデータの管理は「ハイブリッド型」へ

Web3は社会や信頼のあり方を再定義するのか?

車は「個人の所有物」から社会の「公共財」へ

高松:電通データマーケティング局の高松です。本日は、モビリティサービスとデータの取り扱いについて、Web3の考え方を交えて、Toyota Blockchain Labの岸本さんにお話を伺います。
  
岸本:よろしくお願いします。Toyota Blockchain Lab(以下、TBL)は2019年にトヨタグループにおけるブロックチェーン活用の推進、知見の共有を目的として設立されたグループ横断のバーチャル組織です。当初はサプライチェーンにおけるデータのトレーサビリティを主なユースケースとしてきましたが、最近ではパブリックブロックチェーンの技術・ユースケースの進展にあわせて、Web3と呼ばれている領域にも積極的に取り組んでいます。
 
高松:TBLさんはテックペーパーを発信されるなど、Web3領域において精力的に取り組まれている印象を受けます。なぜこの領域に取り組まれているのか、お聞かせください。

岸本:私たちはこれまで自動車を大量生産し、販売する、いわゆる規模の経済に沿って成長してきました。これからはモノを売るだけではなく、サービス化の考え方が特に重要になってきており、クルマを「所有する」という従来の概念から、シェアリングや配車など、モビリティを「サービスとして利用する」方向へと徐々に移行しています。

高松:サービス化、つまりモビリティは個人個人の物理的な所有物ではなく、共有サービスとしての役割を果たすようになっていくということですね。具体的にはどのような形で進んでいるのでしょうか?
 
岸本:現在すでに、カーシェアリングやライドヘイリングといった形で、多くの企業がクルマを「共用」するサービスを提供するようになっています。つまりクルマは「モビリティサービス」として機能しています。

加えて、これから自動運転の技術が進化していくと、クルマそのものが社会全体で共有される「移動インフラ」にシフトする可能性が出てきます。つまり、自動運転車がネットワーク化され、活用されるようになるということです。

高松:人の運転が不要な自動運転車が、純粋に「移動手段」としてのみ利用される、そういう時代が徐々に近づいて来ているように感じます。
 
岸本:そうですね。車は移動のためのインフラとして、誰でも必要な時に、今より容易に利用できるようになるでしょう。ただ、これはあくまで自動運転が極まって行き着いた先のことではあり、しばらくは過渡期として、「個人が所有する車」と「社会で共有される車」というあり方が共存していくはずです。
 
高松:そこは段階的に変化していくという認識ができました。将来的に自動運転車がサービス化し極まっていくと、社会全体で共有されるようになるのではないかというお話ですが、そうして車がある種「公共財」として扱われるようになれば、車の個人所有という概念自体が消えていくのでしょうか?
 
岸本:大きな方向性としてはそうなると思いますが、クルマがインフラ化した社会でも、富裕層や自動車ファンは引き続き趣味として、個人所有の車を楽しむのではないでしょうか。私たちとしては、「運転する楽しみ」や「車を保有する喜び」を持つ人たちと共存しながら、モビリティサービスの多様化に注力していければと思っています。

「How to Introduce Mobility into the Public Blockchain」より抜粋
※「How to Introduce Mobility into the Public Blockchain」より抜粋
https://www.toyota-blockchain-lab.org/ja/library/how-to-introduce-mobility-into-the-public-blockchain

日本でのユーザーデータの管理は「ハイブリッド型」へ

高松:非常に興味深いです。ここからは少しWeb3っぽい話ですが、そうしたサービス化が進んでいく中で取得されるユーザーデータの管理、運用について伺います。

現在、自動車に限らず、あらゆるものがデジタル化し、ネットにつながる中で、さまざまな接点で莫大なユーザーデータが取得できるようになっています。ユーザーデータの利用方法に関しては、欧州、アメリカ、中国で異なるアプローチが取られているようですが、日本ではどのようになっていくと考えられていますか?
 
岸本:おっしゃるとおり、データ管理に関しては、地域ごとに大きな違いがあります。欧州では「個人のデータは完全に自己管理されるべきだ」という自己主権的な考え方が強いです。一方で、アメリカでは「市場の力に基づいて企業がデータを管理し、最大化していく」という方針が一般的です。中国では、「国家がデータを強く管理する」というアプローチです。

ユーザーデータの管理主体

高松:日本ではその3つのどれに近くなっていくのでしょうか?
 
岸本:日本は、これらの要素をバランスよく取り入れる形になると思います。欧州のように個人が自分のデータを完全にコントロールするという自己主権的なアプローチは、ちょっと難しいかもしれませんが、ある程度のデータの自己管理は可能になるでしょう。一方で現実的には、企業や政府が一部のデータを管理する必要は出てきます。

高松:日本においてはユーザー自身に加え、企業、自治体、地域などさまざまな管理主体による「グラデーションある管理」になるのですね。そうしたデータ管理のあり方を良い形で実現するためには、何が必要だと思われますか?

岸本:まずは、データを提供するユーザー側が、管理主体に対して、「預けるに足る信頼」を感じられるかどうかが重要です。その信頼は、単に管理主体のコンセプトやブランドイメージによって生まれるものだけではなく、具体的なインセンティブメカニズムが伴う必要があります。また、データ提供者が単なる「供給者」ではなく、ステークホルダーとして管理プロセスに関与できる仕組みが求められます。

高松:なるほど、それはデジタル広告にも言えることかもしれません。今はユーザーが企業にデータ提供をすることで得られるインセンティブが、「サービスの利用」や「広告の最適化」で留まっています。ユーザーに、ステークホルダーとしてデータの管理プロセスにまで入り込んでもらうことで、心地よい新しいユーザー体験が生まれるのではないかと思います。
 
データ管理の難しさは技術の進化とともにますます増していくと思いますが、Web3のコンセプトはどのように解決に貢献できると思いますか?
 
岸本:従来のような中央集権型のネットワークに対して、分散型のネットワークとして語られるWeb3は、具体的な技術というよりも、国家や地域を超えた共通基盤や規格を提供する「運動」や「ナラティブ」としての価値が大きいです。

たとえば、誰でもオープンに参加できるネットワークである「パブリックブロックチェーン」の考え方は、各国の法や国際法の規制がある中で、「最低限の技術的共通基盤」を提供します。こうした共通基盤ができることで、生活者や事業者が多様なデジタルデータを、アセット(資産)として扱える土台が初めて整うわけです。

ただし、その共通基盤の上でどのようなルールを作り、どのように運用するかは、各国や各主体に委ねられます。デジタルデータが「資産」として認識されるためには、「ブロックチェーンなどWeb3の技術によってもたらされる最低限の共通基盤」と「各国・各主体による法的規制」の両輪が必要なのです。

高松:なるほど。「最低限の技術的共通基盤」という表現は分かりやすいです。つまり、ブロックチェーンは特定のシステムを効率化するための「閉じたシステム」としてだけ捉えるのではなく、異なる事業体や国家をつなぐ「エコシステム」としての役割が重要になるわけですね。

岸本:その通りです。ブロックチェーンを個別の閉じたシステムとして捉えるだけでは、その本質的な価値を見逃してしまいます。むしろ、異なるシステム同士を接続するエコシステムとして機能することで、特定のシステムがブロックチェーンと互換性を持つ意味が生まれます。

その上で、人々がどのネットワークに信頼を置くかは、文化や慣習、心理的な要因に依存します。信頼は本質的に主観的なものですが、それゆえに設計の自由度が高いとも言えます。そして、その設計の結果は、「どこに、どのようなデータが集まるのか」といった情報の“流動性”を通じて、客観的に観測することも可能です。

Web3は社会や信頼のあり方を再定義するのか?

高松:流動性が信頼を可視化するというのは大変興味深いです。これまでWeb3の議論は「分散性」ばかりが強調されることが多かったようにも思います。分散には透明性や信頼性といった利点があるとはいえ、集中による効率性や即応性も無視できません。

やはり目的に応じてそれらをどう設計し、使い分けるかというのが重要な視点であり、その設計の多様性が生む流動性は、単なる取引の活発さではなく、信頼のかたちを可視化する手段になり得るのではと思いました。

そしてこの話は単なるデータ市場に留まるものではなく、価値ある情報が資産として扱われる「アセット市場」全体に広がっていく可能性も感じます。 

岸本:まさに、新しい時代のブランドやナラティブは、分散性に頼ることもできますし、集中のリスクを取ることでコストを下げる選択も可能です。それぞれのシステムという選択肢に応じて、流動性が市場の反応として追随するわけですね。

高松:最後に、クルマという観点に戻ります。サービス化していくモビリティと、Web3のもたらすネットワーク社会との関係はどうなっていくでしょうか。

岸本:道を走るクルマの背後には、道路、ガソリンスタンド、町の風景、整備工場や地域の暮らしがあり、無数の人々の手と想いに支えられています。クルマは、実はすでに社会の多くの人たちの関与によって成り立っている「みんなのインフラ」です。

だからこそ、こうしたインフラを、閉じたシステムの中に押し込めるのではなく、多くのステークホルダーによって支えられる「開かれたネットワーク」で管理することが、本来あるべき姿だと考えます。そこにブロックチェーンの技術が活用されることもあり得ます。私たちはそうした自然で誠実なモビリティネットワークの実現を目指しています。

高松:ありがとうございます。どの業界にあっても、ネットワークを構築するにあたって、データの取り扱い、ステークホルダー、参加者へのインセンティブなど、検討すべきことは多々あると感じました。なんにせよユーザーが自分のデータを提供してくれるためにはより信頼される管理主体であることが求められるわけですね。こう考えると、Web3の価値は単に技術的なものにとどまらず、社会的な基盤や信頼のあり方そのものを再定義する可能性を秘めていますね。

岸本:ええ、私はWeb3を「新しい価値や信頼の枠組みを共創する土台そのもの」だと考えています。その意味では、単一のプラットフォームではなく、多様な選択肢を受け入れる柔軟なシステムこそが、これからの時代に求められる姿勢だと思います。

高松:この度は貴重なお話をありがとうございました。

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電通web3clubでは、Web3の領域で何か施策を実施したい、NFTやFTを活用してコミュニケーションやソリューションを開発したい。そういったクライアントと並走できるよう引き続き取り組んでいきます。この記事を読んで、ご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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JR西日本、ITで車両保守メンテナンス手法を変革…90日以内に1回→毎日検査へ

●この記事のポイント
・JR西日本は、人の手を介さずに車両状態を把握・判定できる「MiyoCca(見よっか)」を導入
・車両状態を常時監視・把握して必要な時にメンテナンスするモニタリング保全というCBMを導入
・これまで90日以内に1回行っていた検査を、毎日検査することができ、人の手を介さず高頻度な検査が実現

 AIやDXの普及もあり、鉄道車両の保守メンテナンス手法が大きく様変わりしつつある。JR西日本は、人の手を介さずに車両状態を把握・判定できる4つのシステム「モニタ状態監視システム」「状態判定システム」「車両状態監視装置(地上)」「屋根上画像診断システム」からなる「MiyoCca(見よっか)」を導入。保守メンテナンスでは従来主流だった一定周期で実施する時間基準保全(TBM)に加え、車両状態を常時監視・把握して必要な時にメンテナンスするモニタリング保全というCBMを導入し、「データによる検査置換」「車両不具合の予兆把握」「故障発生時の即時対応」に取り組む。これにより、安全性・生産性の向上を目指すというが、具体的にどのような取り組みを進めているのか。JR西日本に取材した。

●目次

「モニタリング保全」とは

 JR西日本の車両では運転台制御や空気圧力、室内温度など多様な情報データが機器間で伝送・記録されており、記録されたデータを地上システムに伝送、蓄積しビックデータとして活用している。地上設備による遠隔監視やデータ活用も実施しており、これらを総称してモニタリング保全としている。

 JR西日本が取り入れたCBMの仕組みとは、具体的にどのような仕組みなんか。また、どのような技術を活用しているのか。JR西日本は次のように説明する。

「『モニタリング保全』とは車両状態を常時監視して必要な時に行うメンテナンスのことです。MiyoCcaのシステムを使用することで、『データによる検査置き換え』『車両不具合の予兆把握』『故障発生時の即時対応』の実現を目指しています。なお、MiyoCcaは、モニタ状態監視システム・状態判定システム・車両状態監視装置(地上)の3つと現在開発中の屋根上画像診断システムの4つで構成されています。

・モニタ状態管理システム
車両・機器のデータを取得、蓄積し一括で管理できるシステム。車両の運転台のモニタ画面がリアルタイムで閲覧可能。

・状態判定システム
車両・機器の機能、状態を蓄積されたデータをもとに自動で判定を行うクラウド上のアプリ。データによる検査の置換を実現するために開発したもの

・車両状態監視装置(地上)
パンタグラフなどの車両屋根上機器および車輪状態を自動で測定、記録する装置

・屋根上画像診断システム
画像認識技術により、屋根上機器の状態を自動で判定するシステムの構築を検討」

人の手を介さず高頻度な検査が実現

 従来の鉄道車両メンテナンスの方法とは、どのような点が異なるのか。

「主に『データによる検査置き換え』を指しますが、車両に搭載されているモニタ状態監視システムを使用して得られる車両の様々なデータを活用し、クラウド上に構築した『状態判定システム』というアプリで車両の機能を自動判定することで、検査を置き換えることができます。これにより、これまで90日以内に1回行っていた検査を、毎日検査することができ、人の手を介さず高頻度な検査が実現できます」(JR西日本)

 同社がモニタリング保全を導入するに至った背景・理由は何か。

「『データによる検査置き換え』『車両不具合の予兆把握』『故障発生時の即時対応』を実現することにより、これまで以上に高頻度かつ高品質な車両メンテナンスを実施し、鉄道の安全性・生産性を向上していくためです」

 モニタリング保全の導入により、どのような効果が生じているのか。

「これまで90日以内に1回行っていた検査を、毎日検査することができ、人の手を介さず高頻度な検査が実現することで鉄道車両の品質が向上すると共に、一部の検査において、人の手を介さなくなることで検査における安全性の向上、生産性の向上も期待できます」

 最後に、モニタリング保全の今後のさらなる改善・アップデートなどの計画について聞いた。

「『データによる検査置き換え』が可能な車両数は、現時点で約300両です。弊社が所有する在来線の約1割にあたります。今後も対象車両を拡大し、2027年度末までに在来線の約6割を予定しています」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)