「汗」から体の状態を可視化…スタートアップが医療・美容・セルフケアを変革

●この記事のポイント
・PITTANは汗に含まれる情報に着目し、医療や美容、フィットネスなど、さまざまな分野に応用できる技術を開発。
・すでに世の中で研究・開発された技術を、実用化させることができたのはスタートアップだからこそだという。大企業だと実現できないことを実現できるのは、現場の声を聴く傾聴力である。
・「まだ誰も使っていない生体情報」を利用して生活習慣病を減らす。

「まだ誰も使っていない生体情報」を起点に、医療・美容・セルフケアの境界を再定義しようとするスタートアップがある。PITTANは、汗や唾液といった体液に含まれる情報を可視化することで、体調変化の兆候や肌トラブルの要因を読み取る独自のセンシング技術を開発。大企業が見過ごした構造的ギャップに着目し、技術とビジネスをまたぐインターフェースを築こうとしている。今回は同社代表取締役CEOの辻本和也氏に、PITTANが目指す未来を聞いた。

目次

「体液」の情報に注目したディープテック・スタートアップ

――PITTANでは、どのような事業を展開しているのでしょうか。

辻本氏 当社では、汗などの微量な体液から人間の状態を分析するという新しいセンシング技術を開発・提供しています。たとえば、3分ほど肌にパッチを貼るだけで汗を吸収し、それを専用機器で分析することで、皮膚の状態や体内代謝に関する情報を得ることが可能です。

 この技術は、エステやフィットネス、コスメ店舗といった「BtoBtoCの現場」に導入されており、お客様の状態に合わせたレコメンデーションや商品提案に活用されています。

――なぜ「汗」だったのでしょうか。血液や唾液など、他の生体成分ではなく。

辻本氏 汗というのは、実は皮膚細胞の周囲から染み出してきた水分です。血液や唾液と比べて、より局所的な情報を持っているのが特徴です。皮膚のある場所だけ赤くなる、ニキビの出る場所が違う――そういった局所性の違いに着目したとき、汗の持つ情報量に非常に価値があると気づきました。

 たとえば皮膚炎などは、今の医療では「見て判断する」のが主流で、原因特定が難しい。私たちは、その診断プロセスを汗で補えるのではないかと考えています。

――分析には、どんな技術が使われているのですか。

辻本氏 当社が開発したプロダクト「Nutrifull(ニュートリフル)」は、汗に含まれる複数の成分を同時に定量分析します。分析対象は、アミノ酸などの栄養成分、ホルモンさらには皮膚炎の兆候につながる物質にまでおよびます。これらを短時間で、しかも現場で完結できるのが特徴です。最先端科学のラボオンチップデバイス技術を搭載した卓上型ハードウェア「Pitagoras(ピタゴラス)」を使っていただくと、パッチを肌に3分間貼って微量な汗を採取し、Pitagorasにセットするだけ。10分で分析が完了し、あとは付属タブレットのアプリに自動でデータが送信され、結果が可視化されます。

――現場が導入しやすい工夫もされているのですね。

辻本氏 はい。技術的にどれだけ優れていても、ユーザー体験が伴っていなければ意味がありません。当社では、エンジニアとデザイナーがチームで動き、UI/UXも含めて、「現場で迷わず使える」ことにとことんこだわっています。

 たとえば化粧品の世界では、官能的な納得感が非常に大切にされます。だからこそ、数値を出すだけでなく、「自分の肌の状態を知ることができた」「自分の体の状態に気づけた」と感じられるような体験設計にしています。

――医療分野での利用はありますか。

辻本氏 汗分析をしている強みから、皮膚炎については研究を進めています。皮膚炎は局所性があり、見た目が同じでも原因は様々です。そこで現在、シンガポールのナショナルスキンセンターと共同で、汗から皮膚炎の原因を推定する研究に取り組んでいます。

――なぜシンガポールの研究機関と共同研究を?

辻本氏 ナショナルスキンセンターはアジアで唯一の国の皮膚研究機関なのですが、展示会をきっかけにラブコールをいただき、「一緒にやろう」と、私たちをパートナーとして迎えてくださいました。現地での医療機器化に向けたプロジェクトも始動します。

「出向起業」プログラムがきっかけで創業

――辻本さんは29歳の時に京都大学の医工学分野にて、博士号を取得されたのち、東京エレクトロンやロームで研究者として勤務されていますね。

辻本氏 はい。ただ、大学で研究されている技術が社会で活用されないことに対して、非常に強いフラストレーションがありました。京都の大企業には、優秀なエンジニアが多く、技術の蓄積もあります。設備も非常に整っていて、資金も潤沢です。ところが、海外の先進的な新興企業と比較するとビジネスとしてのイノベーションが起こせていないことに疑問を感じていました。

 それで思い切ってキャリアチェンジしました。ITコンサルティングや戦略コンサルティングの仕事に携わり、保守運用体制の構築やDX組織の立ち上げなどにも関わりましたね。ただ、スピード感に欠けると感じ、スタートアップへの志向が強くなっていきました。

――珍しいキャリアですね。そこからMonozukuri VenturesというVCに転職しています。

辻本氏 昔、メディアでハードウェアやディープテックのスタートアップにだけ投資するVCだと紹介されていたことを覚えていました。それで、Monozukuri Venturesのホームページから応募したら採用いただき、同社ではスタートアップのものづくり支援や投資に携わりました。

 京都で技術を持つ優秀な人材は大企業に多くいて、起業に対してリスクを感じているというのが現状です。しかし、ロームやオムロン、日本電産など京都の大企業は、かつてのスタートアップなんです。京都府はもう一度この地をスタートアップが生まれる“都”にしたいという思いがあり、Monozukuri Venturesと組んで、2021年から大企業からのカーブアウト(親会社が戦略的に子会社や事業の一部を切り出し分社化を実施すること)を生むプロジェクトが始まりました。

 時を同じくして、経済産業省が「出向起業」の支援を開始しました。出向起業とは、大企業等の人材が所属企業を退職せず、外部資金の調達等により自らスタートアップを起業し、出向等の形でその経営を担うという制度です。カーブアウトプロジェクトの視察に訪れた内閣府の担当者が、のちに当社CTOとなる児山浩崇でした。彼は島津製作所から内閣府に出向しており、このプロジェクトに非常に関心をもって視察にきてくれました。

――創業のきっかけは、二人の出会いによるものなんですね。

辻本氏 私たちは偶然にも大学での研究テーマがMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)だという共通点がありました。当時は、あらゆるものがウェアラブルになり、センシングされているという未来が来るといわれていたのに、何年たってもその時代が来ない。その原因は、電気的に、または光でセンシングしているものばかりで、汗、唾液、血液などの液体を取り扱えていないからです。私たちは技術的にポテンシャルがあることを知っていたので、「実現できないのは、ビジネスモデルやリスクテイクの姿勢の問題だ」と二人で意気投合して、気づけば2022年には自分たちがカーブアウトしていました(笑)。

――カーブアウトといっても、研究開発にはお金がかかります。資金はどのように調達したのですか。

辻本氏 先ほど話した「出向企業制度」を作った経済産業省の奥山恵太さんがスピンアウトキャピタルというVCを自身で起業し、当社にも出資してくれました。ほかにも、理念に共感してくださる個人投資家、企業、地銀系のキャピタルが出資してくれました。

技術そのものよりも重要な「チーム体制」

――他社にはない、PITTANの強みはどこにありますか。

辻本氏 技術そのものももちろん重要ですが、当社の本当の強みは「総合力」だと思っています。分析装置やセンサー技術、データ解析、UI・UXデザイン、さらにマーケティングやビジネスの実装まで、一貫して社内で完結できるチーム体制があります。分析、メカトロニクス、ITの専門人材が三位一体で連携しています。ディープテックと聞くと難解でとっつきにくいイメージがありますが、私たちはそれを「体験」にまで落とし込むことに価値があると考えています。

 エンジニアや研究者も、高度な専門性を持つ人材を揃えています。研究開発統括ディレクターの山本真寿は、京都大学で分子生物学の博士号を持ち、熊本大学で助教をしていた生命科学の専門家です。アカデミアの研究者だけでなく、ヘルスケアアプリ開発のエキスパートもいます。また、海外インターン生を毎年10人以上受け入れており、そこからリクルートにもつながっておりますが、これは外から見ると珍しい光景かもしれません。

――しかし、PITTANの技術は、もともと世の中にあった技術です。御社のサービスは大手企業でも十分つくることができたのではないでしょうか。

辻本氏 私たちの開発する「Pitagoras」は、一つひとつの要素技術の多くは大学の研究や、すでに市販されている部品をインテグレーションしたものです。しかし、それらを簡便な分析サービスとして実装することは、スタートアップだからこそできると考えております。

――イノベーションのジレンマが起きているということですか。

辻本氏 そうですね。技術的な問題ではなく、ビジネス構造上の課題です。「Pitagoras」は、多くの研究者の技術を基に実現できています。一部にディープテックを活用しつつ、顧客のニーズをビジネスに実装できる点こそが、当社の本当の強みです。顧客の声を聞いてビジネスを設計してきましたが、投資家にはたまに「傾聴力がありすぎる」と言われます(笑)。

――現場に行くこともあるんですか?

辻本氏 めちゃくちゃ行きます。エステなど男性が入れないところにも、頼み込んで現場を体験させていただくこともあります。自分たちが育ってきた世界とは異なることを前提に、その方々に楽しんで使えるものになるように知恵を絞っています。

全ての生物の生体成分データのインターフェースを目指す

――今後の展望について教えてください。

辻本氏 私たちが目指しているのは、「世界一、生体成分データを取得できる企業」になることです。汗、唾液、涙など、まだ十分に活用されていない体液の情報には、大きな可能性があります。

 2045年にはAGIの時代が来るといわれています。今後、技術革新が進めば、確実にデータは不足していくでしょう。たとえば、アップルはウェアラブルデバイスで多くの情報を今のうちから吸い上げ、備えているように見えます。ただ、私たちはプラットフォーマーになるつもりはなく、インターフェースの領域を目指しています。光や電気では取ることができない、体液から生体成分データを取得できるプレイヤーになるのが目標です。対象は人間にとどまらず、生物全体のデータです。

 私たちが今取り組んでいるビジネスは、私たちの目指すビジョンを達成するための、一つの手段です。私たちはスタートアップの時期に、セルフケアのために自分の体のデータを取るサービスを提供していこうとしています。

 今後は、自由診療の領域にも展開していく方針です。自由診療は今後の医療ビジネスにおいて重要性が増してくる分野であり、私たちの技術は、診断ではなく「レコメンデーションの提示」に重きを置くという立ち位置が、非常に相性が良いと考えています。

――最後に、スタートアップや投資家に向けて、伝えたいことはありますか。

辻本氏 私たちは、「まだ誰も使っていない生体情報」に注目し、そこから新しい健康のあり方をつくろうとしています。メディカルとノンメディカルの狭間にこそ、新たな道があると考えています。誤解されがちなのですが、「メディカルではない」ことが、「ディープイシューではない」ことを意味するわけではありません。どれだけ医療が頑張っても生活習慣病は減らない。ビューティーやフィットネスの領域との連携こそが、社会課題解決に向けた私たちのアプローチです。

 一社だけではできないことばかりですので、スタートアップ、投資家、大企業問わず、ぜひ、“体液からウェルビーイングを生み出す”未来に共に挑戦できればと思っています。

(寄稿=相馬留美/ジャーナリスト)

U-NEXT HD、6期連続の過去最高益の理由…差別化で動画配信2位

●この記事のポイント
・U-NEXT、コンテンツ数で優位性、継続的にシェアを伸ばして国内動画配信シェア2位
・U-NEXT HOLDINGS、25年8月期第2四半期は上半期ベースで6期連続の過去最高益を記録
・店舗・施設ソリューション、通信・エネルギー、金融・不動産・グローバルなどBtoBも幅広く展開

 Netflix、Amazon Prime Video、Disney+など、そのグローバルな資本力を存分に活かした外資系企業が強さを示す動画配信サービスにおいて、国内勢の筆頭格としてU-NEXTが業績を伸ばしている。グループの持ち株会社であるU-NEXT HOLDINGSの2025年8月期第2四半期決算短信によると、売上高は23%増の1867億円を達成。連結純利益は前年同期比8%増の94億円となり、上半期ベースで6期連続の過去最高益を記録した。

 同グループは動画配信のU-NEXTのほか、長い歴史を持つ店舗向け音楽配信サービスやDXを推進するUSEN、施設向け自動精算機、通信・電力サービスなど、さまざまな分野の子会社を傘下に持つ。その内実と好調の背景、そして成長戦略について、U-NEXT HOLDINGSで執行役員CFOを務める西本翔氏に取材した。

●目次

U-NEXTが「ネトフリ」や「アマプラ」を押しのけて成長を続ける理由とは?

 国内の動画配信サービス市場において、U-NEXTは主力プレイヤーの中でも継続的にシェアを伸ばしている唯一のサービスであり、2024年時点で約18%のシェアを獲得し国内第2位(※)につけている。トップシェアのNetflixは微減傾向、Amazon Prime VideoとDisney+がともに横ばいで推移するなかで、U-NEXTの好調ぶりは際立つ。その要因は何だろうか。
※出典: GEM Partners「動画配信(VOD)市場5年間予測(2025-2029年)レポート」

「まず同業に対する差別化戦略という部分では、コンテンツの数に優位性があると考えています。NetflixやAmazon Prime Videoなどはオリジナルコンテンツが評価されていますが、当社には競合では見られない作品の数に強みがあるので、外資と共存することが可能なのです。2025年8月期の上半期について言うと、国内独占であるイングランドのプレミアリーグ(1部)などを配信する『サッカーパック』の新設が新規ユーザーの獲得、ひいては大幅な増収に貢献しています。

 そしてもう1つ大きなポイントになったのは、2023年にTBS、テレビ東京、WOWOWらの合同動画配信サービスとして運営されていたParaviを統合したことです」

 それまでU-NEXTでは比較的ドラマが弱かった、と西本氏は語る。国内ドラマは在京キー局が運営する動画配信サービスに流れることが多く、U-NEXTのような放送局と資本関係のない、独立資本の動画配信サービスがキラー級のコンテンツを獲得することは容易ではなかった。そこにParaviの統合が大きなターニングポイントとなり、TBSとテレビ東京で放送中のドラマをU-NEXTで提供できるようになった。奇しくもその直後に、TBS制作のドラマ『VIVANT』が大ヒットとなり、U-NEXTへの新規ユーザー導入に非常に強いドライブをかけることになったのだという。

「U-NEXTの特異性という点では、以前からある独自のポイントをうまく活用できているということもあると思います。ポイントはユーザーの継続率向上につながっています。

 具体的には、U-NEXTのポイントは、動画のほかに提供している電子書籍の購読にも使っていただくことができるため、ポイントをコミックの購入に使われるユーザーは1巻、2巻、3巻と継続的に購入されることが多いのです。追加料金なく毎月1200円分の電子書籍やコミックを購入できるので、エンタメファンの方ほどポイントのメリットを感じていただき、結果、U-NEXTの契約期間が長くなる、この効果は大きいと考えています。さらにもう1点、ポイントのさらなる大きな役割として、フレッシュな映画コンテンツを確保する武器となっています」

 実は一般的に、映画の配信権を保有している権利者は、劇場公開から間もない「鮮度の高い」映画をサブスクリプション型の動画配信サービスに出すことには消極的だという。早い話、権利者としては、自社のキラーコンテンツである最新映画を“旧作”と一緒くたに、見放題で並べられるのは好ましくないわけだ。それは製作費の回収という意味合いでも、より収益化を見込める配信形式が求められる。

「そこで、当社ではポイントを使った『ペイパービュー(Pay Per View/都度課金)』という提供形態をとれることが効いてきます。フレッシュな作品をそれだけのバリューがあるコンテンツとしてお客様に訴求することができますし、ユーザーに購入していただいた収益をシェアするという形で、権利者さんには具体的なメリットをご提供できます。このように、鮮度が高いコンテンツをラインナップに取り揃えられることが、サブスクリプションのみのサービスとの差別化やユーザーの満足度向上を通して解約率の低減につながっていて、これはポイントという仕組みがあるからこそできていることだと考えています」

 こうしたU-NEXTならではの特徴の数々が、U-NEXT HDのコンテンツ配信セグメントにおける加入者、売上等の好調な推移に貢献している。前年同期比で18%増収、32%営業利益増益という破竹の勢いを示す現状は目を見張るが、その反面、年を追うごとに成長速度を継続するハードルは高くなっていきそうにも感じられる。            

「少なくとも、今後3~5年程度の期間では定額制動画配信サービスの市場は拡大を続けると予測しています。この事業環境下で、安定的な成長を実現するための施策を引き続き打っていきます。動画配信サービスは、基本的にはユーザー数の増加がそのまま収益増に直結するものです。実際、上半期に課金ユーザーが9%増加し、ARR(年間経常収益)は10%の増加となっています。今後も追い風を利用して、収益の堅調増加を実現していきたいと考えています」

B to B事業では祖業の音楽配信を出発点に、店舗経営の川上から河口まで伴走

 コンテンツ配信のU-NEXTについて、西本氏は今後の安定成長に自信を見せる。では、それ以外のセグメントについての見通しはどうだろうか。

「コンテンツ配信がB to C(対消費者ビジネス)であるのに対して、これ以外の店舗・施設ソリューション、通信・エネルギー、金融・不動産・グローバルの3セグメントはB to B(企業間ビジネス)にあたります。この3セグメントは個々独立で動かすのではなく、シナジー効果を発揮して着実に成長できていると考えています」

 店舗・施設ソリューションのうち、店舗向けは創業以来の音楽配信サービスに加えて、新規オープン店舗に対してキャッシュレスの機材やPOSレジ、wi-fiなどの店舗運営ソリューションをクロスセルするビジネス。施設向けは、ビジネスホテルや総合病院のフロントに並んでいる自動精算機の製造販売で、国内トップシェアを誇っている。このセグメントは特に利益率が高く、同社のドル箱というべき事業分野となっている。

「店舗ビジネスの成長性について言うと、当社の推計では、日本国内のあらゆる店舗を合計すると、約400万店舗が存在しています。この中で、当社の既存顧客がおよそ83万店舗です。つまり、それ以外の300万超の店舗が当社の想定顧客、つまり成長余地と考えられるわけです。とはいえ、実際には300万超の店舗の多くは、当社以外のサービスを利用されています。ということは、そこに切り替え営業をかけていくのは効率が悪い。サービスを乗り換えれば店舗内のオペレーションも変わりますので、スイッチングのハードルは非常に高いのです。

 そこで当社は、常に起こっている店舗の新陳代謝のタイミングを逃さず、商機を捉えることに注力しています。実は毎年、400万店舗のおよそ2%にあたる約7万店が閉店となり、同時に後継テナントとして約7万店が新規オープンしているんです。この新店のオーナー様はゼロベースで導入するサービスを検討されるので、ここに当社の幅広いサービスをクロスセルする大きな可能性があります」

 この7万店に対して同業に先んじてコンタクトを取る手段として、同社の全国展開で活躍する約2000名の営業マンと約1000名のフィールドエンジニアが、日々のサービス提供活動の中で、目視で新規オープンする店舗を把握しているという。これに加えて、不動産仲介会社や内装業者、税理士法人など、全国で約1万8000社のパートナーネットワークを構築し、情報収集に努めている。新規に開業するオーナーがパートナーと接触した際に情報を連携してもらい、同社が営業をかけてサービス導入に至った暁には、既定の手数料が支払われる。このような地道な営業活動を積み上げ、B to B全体として成長軌道を継続していきたいと西本氏は語る。

 同社のB to B事業の中で、金融・不動産・グローバルは昨年に新しくセグメントとして設けられたもの。その目論見と成長性についてはどう考えているのだろうか。

「こちらはまだ収益規模は当グループの中では小さいのですが、セグメントとして独立させることで、今後注力して育成していくという旗を立てた形です。そもそも当社のB to Bサービスは、業務の効率化や生産性向上に資するソリューションが主力となっています。ただ、少し引いた視点で捉えると、オーナー様が店舗運営、経営をされるにあたって、まずはテナントとして入る箱、つまり不動産の確保が必要です。同時に開業資金という部分で、金融との接点も絶対的に必要になってきます。そこで、当社が持っている盤石の顧客基盤に対して、店舗運営ソリューションにとどまらず、川上で必要になる不動産と金融のサービスも併せてご提供していくために、新規セグメントを設定しました。

 グローバルに関しては訪日観光客、インバウンド需要に対するビジネスを構築していく取り組みです。将来的には訪日観光客6000万人を目指すという国の方針が出ていますから、その巨大なインバウンド需要に当社のビジネスをいかに絡めていくか、という観点でビジネスプランを練っています」

 かつてのソニーやセブン&アイHDなど、一般の事業会社が金融に進出して成功をおさめた例は多い。既存顧客とインフラがあり、そこに求められる金融サービスを提供できるという点ではU-NEXT HDも同様の立場で、金融・不動産・グローバル事業の展望は非常に明るいといえそうだ。

「連結営業利10%成長」という高いハードルを越える成長戦略とは

 最後に、U-NEXT HD全般における、今後の成長戦略を西本氏に聞いた。

「当社は年間で連結営業利益の成長率10%を目標としています。既存の4セグメントに関しては事業のモメンタムは比較的順調で、成長路線に乗っていると認識しています。ただ、全体でみると利益の絶対額が増えてきているので、既存4セグメントのオーガニックな(自然な)成長だけで今後も10%成長を継続していくには、ハードルが年々高くなってきつつあることも同時に認識しています。この部分を突破するためには、M&Aを活用して非連続的な成長を実現する段階に来ていると考えています。

 今後2~3年のスパンで言うと、米国のトランプ大統領が相互関税なりドル安誘導なりの発言を多くしていることによって、為替が円高基調になっていますよね。これは当社の業績に対して、ポジティブに働くと考えています。当社はほぼ国内ビジネス専業になっているので、収入はほとんど円建てです。その一方で、コンテンツ調達の一部はドル建てになっており、この部分に円高が効くと業績にはプラスです。日本経済にとっては円安が望ましい部分も多くあるとは思いますが、当社の業績に限って言えば追い風になるという点は、広くご承知いただきたいと思っています」

 動画配信という成長分野において、同業との差別化を幾重にも重ねることと、店舗運営の伴走者という古くからの役割を幾重にも拡張し、商機を絞り込んで効率的に得点を重ねていくこと。このような全方位的な戦略の周到さこそが、U-NEXT HD全体を貫く勝利の方程式なのだろう。

(文=日野秀規/フリーライター)

東急、渋谷の大規模再開発がついに完成へ…期待と不安、9年後の日本人を惹きつけるか?

●この記事のポイント
・東急不動産などによる渋谷駅周辺の大規模再開発が最終章へ
・渋谷スクランブルスクエア開発、渋谷駅改良、ハチ公広場・東口広場の整備などを同時並行で進める
・歩行者デッキや自由通路の整備により東西を結ぶ多層な歩行者ネットワークが完成し、渋谷駅の混雑が緩和

 東急不動産などが渋谷駅を中心とした半径2.5km圏内を「広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)」と定めて進めている大規模再開発が、ついに完成を迎えつつある。「渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)」が今月に着工し、同施設を含む「渋谷駅街区計画」が段階的に完成する2030~34年度までを東急不動産は「まちびらき最終章」と呼んでいる。再開発全体の総仕上げとなる渋谷駅街区計画は、渋谷スクランブルスクエア開発、渋谷駅改良、ハチ公広場・東口広場の整備などを同時並行で進める大規模なもの。全てが完成すると、各鉄道駅間の乗換えや街へのアクセスが飛躍的に改善するほか、歩行者デッキや自由通路の整備により東西を結ぶ多層な歩行者ネットワークが完成し、渋谷駅の課題であった混雑が緩和されるというが、再開発計画として非常に優れていると評価する声も多い。同計画の注目ポイントなどについて専門家に解説してもらう。

●目次

渋谷駅街区計画の内容

 渋谷の再開発が大きく動き出したのは、渋谷駅周辺139haのエリアが「都市再生緊急整備地域」に指定された2005年のこと。渋谷を地盤とする東急不動産は、「渋谷ヒカリエ」(2012年)の開業を皮切りに、「渋谷ストリーム」(2018年)、「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」(19年)、「渋谷ソラスタ」「渋谷フクラス」(同)といった大規模複合施設を次々と開業。27年度には東急百貨店本店の跡地にリテール、ホテル、レジデンス(住宅)などからなる施設が竣工予定となっている。

 そして今回本格的に動き出した渋谷駅街区計画は、まず2030年度に銀座線渋谷駅の直上に位置する「4階東口スカイウェイ(仮称)」や、渋谷スクランブルスクエア西棟の西側に整備される「西口3階上空施設(仮称)」の一部が概成し、渋谷駅を中心とした東西南北につながる、2~4階レベルでの高さとなるデッキ階の歩行者ネットワークが誕生。渋谷スクランブルスクエア西棟の前面に約3000平方メートルの歩行者デッキ「西口3階上空施設(仮称)」が整備され、JR渋谷駅および銀座線渋谷駅の3階改札と渋谷中央街方面、桜丘方面がつながり、渋谷スクランブルスクエア西棟にも接続する。地上ではJRハチ公改札前に最大幅員22メートル、同じくJR南改札前に最大幅員23メートルの東西を結ぶ自由通路が整備され、東側の宮益坂方面、西側の道玄坂方面へのアクセス性が大きく向上。渋谷駅の課題であった混雑が緩和される。

 31年度には渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)が完成し、商業フロアは東棟と併せて1フロアあたりの売場面積が最大約6000平方メートルとなる首都圏最大級の商業施設となる。

 そして33年度には渋谷スクランブルスクエア中央棟4階に最先端技術を活用したコンテンツを体感できる施設「4階パビリオン(仮称)」および中央棟4階とハチ公広場をつなぐ歩行者ネットワーク向上のための縦軸移動空間「アーバン・コア」が完成。34年度までには「ハチ公広場」「東口地上広場」「中央棟4階広場(JR線路上空)(仮称)」「西口3階上空施設(仮称)」「中央棟10階広場(仮称)」の計約2万平方メートルの5つの広場空間が誕生し、非常時の一時避難場所としての機能も持つ。東急は「にぎやかな渋谷のまちに居ながら、“憩い・潤い・リラックス”も感じていただけるような、みなさまに愛される広場」が生まれるとしている。

完全にオフィス街に変貌してしまった渋谷駅前

 東急によれば、30年度に渋谷駅および渋谷の東西南北を地上およびデッキ階で結ぶ多層な歩行者ネットワークが誕生し、渋谷駅およびその周辺のアクセス性が飛躍的に向上し、「巡り歩いて楽しい“駅まち一体開発”」が実現されるというが、この渋谷駅街区計画はどう評価できるのか。不動産事業のコンサルティングを手掛けるオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏はいう。

「現在の渋谷駅とその周辺は未整備でカオスと呼べる状態なので、歩行者デッキや通路が整備されて人の動線が整理されるというのは大きな期待感があります。一方、完全にオフィス街に変貌してしまった渋谷駅前を、商業施設である渋谷スクランブルスクエアにうまく組み入れるということが果たして本当にできるのか、ということも感じます。一度商圏を新宿三丁目や池袋に手放してしまった渋谷が、渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟のオープンによって再び商業の街に復権できるかという点が注目されます。

 渋谷駅周辺のビルはIT系企業のテナントで埋め尽くされ、ビジネスパーソン以外の若者、高校生や中学生は新宿や大久保のほうへ移動してしまいましたが、渋谷フクラスや渋谷ヒカリエ、Shibuya Sakura Stage(サクラステージ)など渋谷駅周辺のビルの商業フロアは集客に苦しんでいるといわれています。渋谷駅の駅上にできるこのスクランブルスクエアの中央棟・西棟は現段階の公表情報を見る限り、大部分が商業施設になるようですが、東急として商業施設というものに対しどのような考え方を持っており、どういう姿を体現しようとしているのかがポイントになると思っています」

麻布台ヒルズとの共通点

 全てが完成する9年後の2034年から先の人々のライフスタイルも考慮すべき要素だという。

「スカイデッキや広場・公園を整備して“にぎわい”を創出するということですが、全てが完成する9年後の2034年以降も、都心のきらびやかなオフィスで働いて、きらびやかな商業施設でお買い物をするというライフスタイルが人々の間で主流になっているのかというと、なかなかそういう未来は描きにくいという印象もあります。商業施設部分の集客に苦労しているといわれている麻布台ヒルズの拡大版のようなものにしか見えないという印象も感じざるを得ません。渋谷駅と周辺のビルを通路でつなげたとして、そこに人々が滞留・回遊してお買い物をしたり楽しむということが、果たして現実的な未来としてあるのでしょうか。人々がここで佇んだり、くつろいだり、自然に人が集まってきて街自体を楽しむための仕掛けが、現段階ではあまり感じられません。

 歩行者が駅の東側から西側に簡単に移動できますとか、ハチ公広場にスムーズに降りられますというのは、今より大きく改善するので良いことではありますが、単に便利になるだけという言い方もできるでしょう。極めて人工的な仕掛けで勝負しているので、麻布台ヒルズなどの商業施設をすごく快適だと感じて頻繁に利用する人たちにとっては、良い場所になるかもしれませんが、2034年という未来に多くの人が集まって賑わう場所になるのかといわれれば、なかなか難しい気もします」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

三菱UFJ信託、フィリピン水田で炭素クレジット創出=共同実証開始

 三菱UFJ信託銀行は6日、自然由来のカーボン(炭素)クレジット創出・販売を手掛けるグリーンカーボン(東京都港区)と、フィリピンの水田でのメタンガス排出削減による2国間クレジット制度(JCM)を組成する共同実証を開始したと発表した。今後10年間で合計約100万トンを超える炭素クレジット創出し、日本企業に販売することを目指す。 

 農業由来の民間JCM組成は邦銀としては初めてだという。対象とするのはフィリピン・ヌエバビスカヤ州の水田。数日おきに入水と自然乾燥を繰り返す「間断かんがい」と呼ばれる手法を用い、メタン生成菌を抑えることでガス発生量を削減しクレジット化する。今年3月から既にパイロット実証を始めており、今後3年以内に同州のかんがい水田全域となる約2万ヘクタールに展開する計画だ。

 再エネや森林由来などの炭素クレジットに比べて「価格優位性がある」(グリーンカーボン)という。日本では26年度から排出量取引制度の本格運用が始まるが、炭素クレジット創出量の不足が課題となっており、三菱UFJ信託は「高品質かつボリュームが期待できるクレジットの創出・拡大を図り、脱炭素化の取り組みを支援する」としている。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/06-14:34)

PS5「980円」レンタルが大ヒット、なぜ実現?ゲオがレンタルビデオのノウハウをフル活用

●この記事のポイント
・ゲオ、PlayStation 5を7泊8日で980円という手頃な価格で提供するレンタルサービスが好評を博している
・既存のレンタルビデオの仕組みを活用してPS5を貸し出すというアイデアから誕生
・約400店舗で計約2000台が提供され、約80%の高い利用率を維持

 人気ゲーム機ながら7万9980円(税込/Ultra-HD Blu-ray ディスクドライブ搭載版)という価格を前に購入をためらう人も少なくないソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation 5(PS5)」。そんなPS5を7泊8日で980円という手頃な価格で提供するレンタルサービスが好評を博している。手掛けるのはゲーム、DVD、家電などの買取・販売の「GEO(ゲオ)」。高額なPS5本体を借りられるため、試しにプレイしたい人や長期休暇中の利用を考える人にぴったりのサービスだ。店舗での受け取りに加え、ネットレンタルも利用可能で、料金は店舗と同額だが、送料が別途かかる。そこで今回はゲオに、PS5レンタルサービスの企画の背景と低価格で提供できる理由について話を聞いた。

●目次

PS5を体験してほしいという想いが原動力

 PS5のレンタルサービスは、ゲオの全国約1,000店舗のうち約400店舗で展開されており、1店舗あたり約5台、合計約2,000台が提供されている。2025年2月28日のサービス開始以来、現在まで約80%の高い利用率を維持しているとのことだ。

 サービスが企画されたのは、2024年の夏ごろ。当時、PS5は発売当初の品薄状態が解消され、待ち時間なく入手しやすくなったものの、2024年9月2日に通常版が66,980円(税込)から79,980円(税込)へと大幅に価格改定され、購入のハードルが上がる形となっていた。その中でPS5のレンタルサービスは、より多くの人にPS5の魅力を体験してほしいという思いが原点となっている。

「ゲオのスタッフにはゲーム好きが多く、PS5には従来のゲーム機とは一線を画す、実際に体験してこそわかる特別な魅力があると感じていました。多くの方にとってPS5を購入するハードルが高い状況にもどかしさを感じ、社内での議論を重ねた結果、既存のレンタルビデオの仕組みを活用してPS5を貸し出すというアイデアが生まれました」(ゲオのシェアリング商品部の塚本佑紀さん)

 この柔軟な事業展開の背景には、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」という企業理念があり、ホームエンターテインメントを軸とした事業の多角化を推進してきた実績にある。

「ゲオあれこれレンタル」では、カメラ、スマートフォン、家電などのレンタルサービスを展開。推し活用の双眼鏡や旅行用スーツケース、iPhoneのレンタルは高い人気を誇る。さらに、店舗において安価で品質の高いオリジナルブランド商品も展開しており、イヤホンやタンブラーの売れ行きも好調だという。DVD・CDのレンタル市場はストリーミングサービスの普及により近年急速に縮小しているが、こうした新たな展開が好調の維持につながっているようだ。

 PS5の店舗レンタルは前例のない挑戦的な取り組みだったが、事業テーマに沿っていれば新規事業も臨機応変に展開できる社風をもっているからこそ実現できた施策といえる。

レンタルビデオのスキームで低価格を実現

 このサービスが支持されている主な理由は、7泊8日でわずか980円(税込)という圧倒的な低価格にある。他社もPS5のレンタルサービスを提供しているものの、ゲオは1日あたりの料金が低く、さらに最低レンタル期間も短いという特長がある。

「ゲオでは旧作DVDを110円(税込)という低価格で提供しているため、価格が4桁になるとレンタルのハードルが高くなると考え、980円(税込)に設定しました。

 低価格での提供を実現できたのは、実店舗で培ってきたノウハウがあったからです。貸出・返却システムはレンタルビデオの仕組みを活用でき、PS5の取り扱いに必要な本体確認とメンテナンスには、ゲーム買取の経験を活かしています。既存のシステムを利用することで、人件費やスタッフ育成などの追加コストを抑え、店舗へのサービス導入もスムーズに進めることができました」

 PS5には無料でプレイできるゲームもあるものの、専用ソフトが必要なタイトルも多い。他社のレンタルサービスでは、ゲームソフトを通販や家電量販店で別途購入する必要があるが、ゲオはソフト販売も手がけているため、その利益を料金設定に還元できている。

ロードサイド店以外への展開も視野に

 PS5本体のレンタルサービスは、PS5の販売元であるソニー・インタラクティブエンタテインメントの許可を得て実施された。ユーザーに試しにプレイしてもらうことで、購入をためらうユーザーにもPS5の魅力を実感してもらえるというメリットが評価され、サービスの実現に至った。

「『原神』はスマートフォンなどPS5以外でもプレイできますが、PS5でプレイすると、スマホと比べて表現がより精細で、没入感が格段に違うんですよね。私自身、PS5でアクションRPG『エルデンリング』をプレイしたときは、本当に圧倒されました。迫力があり、映像も美しく、まるで映画だなと。PS5は本体価格から入手のハードルは高いですが、レンタルで実際に体験していただければ、その価値を実感していただけるゲーム機だと確信しています」

 PS5は本体が大きく重いため持ち運びが困難であることから、現在は車でのアクセスが便利なロードサイド店舗を中心にサービスを提供している。今後の展開について塚本さんは語る。

「サービス開始前は、貸出・返却の際に店舗への来店が必要なため、時間効率を重視する現代において、お客様がわざわざ足を運んでくださるのか心配でした。しかし、予想以上の好評をいただき、私を含めチーム全体は安堵しているところです。サービス開始から3カ月が経ち、手応えを感じており、今後はロードサイド以外の店舗への展開も検討しています」

 レンタルビデオで培ったノウハウを活かしたPS5のレンタル事業は、消費者のニーズに見事に応えている。物価高騰によりシェアリングエコノミーへの注目が高まるなか、レンタル事業で業界を牽引してきた実績をもつゲオの今後の展開から目が離せない。

(文=福永太郎/編集者・ライター)

【参加者募集】Do! Solutions Webinar「ニューロマーケティング最前線」6月24日開催

電通が運営する、ビジネス課題を解決する情報ポータルDo! Solutionsは、6月24日(火)に開催するウェビナー「生活者心理を脳科学で解き明かす ニューロマーケティング最前線」の参加者を募集している。

科学の進歩により、近年、マーケティング戦略が急速に進化している。そのうちの一つが、顧客の無意識や感情に迫る「ニューロマーケティング」である。脳波・視線・心拍数などの生体情報を活用し、意思決定に影響を与える「感情」や「直感」を可視化、従来の手法(アンケートやインタビュー)では捉えきれなかった深層インサイトを、科学的に明らかにする。

本ウェビナーでは、立命館大学の枝川義邦教授をゲストに迎え、今注目のマーケティング手法「ニューロマーケティング」の基礎を解説する。また、慶應義塾大学の満倉靖恵教授の20年にわたる生体信号のデータベースを基に設計された脳波解析ツール「感性アナライザ®」の概要や使い方、具体的な導入事例についても紹介する。

「生活者心理を脳科学で解き明かす ニューロマーケティング最前線」

【概要】
日時:
6月24日(火)14:00〜15:00
費用:無料
形式:Zoomウェビナー
登録締め切り:6月19日(木)17:30
定員:先着500人
※本ウェビナーのアーカイブ配信はございません。

■参加登録・セミナー詳細はこちらから
 

【プログラム】

第1章
基調講演:ニューロマーケティングとは

立命館大学 枝川義邦教授
ニューロマーケティングとはそもそもどういったものなのか、目や耳などで得た情報はどのように処理され、感情や行動を生み出すのか、などについて、わかりやすく解説しつつ、それらを用いたマーケティングなどについて講演する。

第2章
科学的視点で人のココロを分析・可視化する新マーケティング手法とは

・感性を数値化する脳波解析ツール「感性アナライザ®」とは
・使用デモンストレーション動画

第3章
トークセッション:最新ニューロマーケティング事例紹介/質疑応答

【登壇者プロフィール】

立命館大学 教授
枝川義邦(えだがわ よしくに)

東京大学大学院にて薬学の博士号、早稲田大学ビジネススクールにてMBAを取得。早稲田大学理工学術院教授などを経て現職。研究分野は、人を中心とした経営システムについて、脳神経科学を軸とした人材育成、組織開発、マーケティングなど。一般向けの書籍には『「脳が若い人」と「脳が老ける人」の習慣』(明日香出版社)、「最新の脳科学と心理学で高まる 集中力の科学」(ニュートン新書)などがある。受賞歴は2015年早稲田大学ティーチングアワード総長賞、2017年ユーキャン新語・流行語大賞など。

電通サイエンスジャム 代表取締役社長
塚原牧人(つかはら まきと)

経営管理修士(MBA)早稲田大学経営管理研究科
電通ではメディア部門において、メディア各社の持つ資産を活用し、顧客の課題解決、事業開発業務に従事。その後、グループ会社である電通東日本に出向し、経営戦略部門、人事部門において、中期経営計画策定、人事制度改革業務などを推進。2024年から電通サイエンスジャムへ出向先変更、2025年1月より現職。

電通未来曼荼羅の使い方~未来に向けた対話のために

国内電通グループが2010年に提供を開始した「電通未来曼荼羅」。その最新版となる「電通未来曼荼羅2025」が2月に発表されました。

未来曼荼羅

本稿では、そもそも未来曼荼羅とは何か、そして未来曼荼羅をどのように活用すると良いかについて、電通未来曼荼羅2025の共同編集長を務める電通コンサルティングの山本創が解説します。

<目次>
グループの英知を結集!

大胆に!ポジティブに!を意識した「エディトリアルコード」

​​​​​​​▼電通未来曼荼羅は「単なる未来予測ツール」ではない

​​​​​​​▼未来曼荼羅の活用方法

​​​​​​​▼「未来曼荼羅2025」の注目テーマ

グループの英知を結集!

2035年までに起こり得るトレンドを一望できる「電通未来曼荼羅2025」。リニューアルを発表したリリース記事にはこんな解説があります。

「人口・世帯」「社会・経済」「科学・技術」「まち・自然」の4カテゴリー全72のトレンドテーマを網羅的に分類し、それぞれの概要とデータ、関連トピック、それらが未来にもたらす変化や重要になる視点をまとめています。

72のテーマは多岐にわたります。「人口減」といった一般的な切り口であっても、それが社会構造や町のつくり方、さらには企業のサービスのあり方にどんな影響があるかまで、あらゆる方向性へと議論を広げています。また、AIの進化や次世代携帯電話についてなど、今後を考えるうえで外してはいけないテクノロジーに関するトピックはもちろんのこと、ルッキズムやポップカルチャー、さらには格差社会の行く末や死との向き合い方まで、文字通りあまたのトピックを「網羅」しているのが特徴です。

そんな視野の広さを支えているのが、電通グループの6社(電通、電通デジタル、電通総研、電通東日本、電通マクロミルインサイト、電通コンサルティング)から集まった編集メンバーです。今回のリニューアルにあたって組成された未来曼荼羅チームは約30人強。これまでで最も大きな所帯となりました。

未来曼荼羅のテーマ選定は、チームメンバー内のブレインストーミングから始まります。それぞれに専門分野があり、かつ「世の中に対して思いを伝えたい」という気持ちにあふれたメンバー一人一人が、「2035年に向けてこんな動きが起こるのでは?すでに兆しが出てきているのでは?」という仮説を持ち寄り、白熱した議論を行います。もちろん「白熱した」とは言っても何か険悪なムードになるのではなく、「こんな見方もあるかもね!」「だったらこういう方向もあるかも?」とそれぞれの意見に乗っかることを基本にディスカッションが進行します。

複数回のブレストを繰り返した結果として最終的にまとまったのが、未来曼荼羅に収録されている72のテーマです(未来曼荼羅2024から72テーマ中27テーマが新テーマに。また、既存テーマの内容も大幅刷新)。

そして、さらに詳細なデータを集め、「こんなことも言えるのでは?」と大胆な仮説を提示し、一つ一つのテーマを磨き上げていきました。そんなプロセスを経て完成したのが、「電通未来曼荼羅2025」です。

表紙

大胆に!ポジティブに!を意識した「エディトリアルコード」

「大胆な仮説」と書きましたが、この「大胆」にも未来曼荼羅の秘密があります。

10年後という不確定要素の多い未来について考えるにあたって、編集チームは将来予測のデータや興味深いトピックを見ながら「もしかしたらこんな未来が来るかも?」「そのとき生活者はこんなことを考えるようになるかも?」と想像力を働かせます。

既知の情報で蓋然性(=確かにこうなりそう)を担保しつつ、そこに未来への読み解き(=こんなことが起こると社会がこう変わりそう)を加える。これが未来曼荼羅の基本的な編集プロセスです。

この考え方を言葉にしたのが、未来曼荼羅の「エディトリアルコード」です。未来曼荼羅の思想を編集チーム全体で意識するためだけでなく、未来曼荼羅がどんな思いで作られているのかをクライアントの皆さまとも共有するために、これまでの編集で培われてきた暗黙知を今年から文章化しました。

「エディトリアルコード」は以下の5つの項目から構成されています。どれも大事なポイントですが、特に意識しているのは「大胆さ」と「ネガティブをいかに乗り越えるか」。表面的な読み解きにとどまっていないか、社会を少しでも良くするための切り口探しをさぼっていないか、という点については完成までの過程でたびたび話し合われます。

エディトリアルコード

電通未来曼荼羅は「単なる未来予測ツール」ではない

ここで改めてお伝えしておきたいのが、未来曼荼羅とは「未来予測ツール」なのか?という点です。

クライアントの皆さまからは、「未来を予測したいのでこのツールを使いたい」とお声がけいただくことも多いです。

もちろん、未来曼荼羅に記載されている情報は確かなデータに基づいたものであり、次の10年の行く末について予測したものではあります。一方で、厳密には未来がどうなるかは不透明な部分も多く、書かれている内容がただ1つの絶対的な予測かというとそうとは言えない側面があるのも事実です。

では、未来曼荼羅とは何のために存在するのか。われわれは、未来曼荼羅を「共創型仮説量産ツール」として位置づけています。

この位置づけは、未来曼荼羅をどのような形でクライアントの皆さまにご提供しているかとも密接に関係しています。実は未来曼荼羅は通常の白書や調査レポートのように「1冊○円で販売する」といった形はとっていません。未来曼荼羅をご活用いただく際には、クライアントの皆さまと未来曼荼羅チームで一緒に未来曼荼羅を読んで、対話の時間をとりながら、未来についての仮説を作るプロセスを必ずセットにしています。

アプローチと期待効果

各ページの内容を見ながら、「こんなことが起こるなら、次の未来はこうなるのでは」「ここにはこういう読み解きがあるけど、自分は違う予測を立てる」といった議論を通じて、クライアントの皆さまにとっての未来に向けた仮説が生まれる。そしてその仮説には、未来曼荼羅の網羅的かつ大胆に編集された情報に触れたからこそ、今まで気がついていなかったビジネスチャンスのタネが盛り込まれている。

未来曼荼羅をご活用いただくことで目指しているのはこんな状況です。なお、実際のプロジェクトでは、ともにつくりあげた仮説をベースにさらなるリサーチや検証を行ったうえで、その内容を今後の事業戦略の立案や新規事業の開発などにつなげていきます。

未来曼荼羅の活用方法

未来について考えることはビジネスにおけるさまざまな場面において有効ですが、未来曼荼羅を活用したプロジェクト例として以下のようなテーマが挙げられます。

ご提案テーマ

具体的にはこんなプロジェクトを実施しています。

例1:食品メーカーの基幹ブランドリニューアル
ブランドの周年を見据えて、提供価値の刷新および顧客体験の進化についての方向性を定めて、今後のアクションをロードマップ化。プロジェクトの冒頭で、未来曼荼羅を使って「食」や「流通」に関する次の時代のあり方を議論し、重点的に取り組むべき領域について明らかにしました。幅広いテーマで議論をすることにより、単に「味がおいしい」「健康的」というだけでなく、人と人をつなぐ存在としてもチャンスがあるのではないかという示唆が生まれました。

例2:エンターテインメント企業の長期ビジョン策定
未来の余暇時間について大事にされる価値や具体的なシーンについて描き出したうえで、そこに対して企業としてどんな価値を届けていくかを策定。未来の余暇を楽しむ生活者像に着目し、特にテクノロジーの進化がどんな影響を及ぼすかについて議論を深めました。まだ生成AIの話題がそこまで一般的になっていないタイミングでのプロジェクトでしたが、昨今よくいわれる「AIが愚痴を聞いてくれるパートナーになる」といった世界が、あり得る未来のシーンとしてすでに想定されていました。

「未来曼荼羅2025」の注目テーマ

本稿の最後に、未来曼荼羅2025における注目テーマをいくつか紹介させていただきます。

●男性の「自分らしい役割」の見つけ方
育休取得者の増加、スポーツ以外の趣味の浸透、でも半数近くの人が「生きづらい」と思っている……。仕事を頑張る人生が必ずしも正しいものではなくなっていく時代の男性像とは?

●新たな「階級社会」の到来による日本版のノブレス・オブリージュ(※)の構築
格差が広がり、「努力は必ず報われる」という考え方を信じない人も増加中。そんな時代に求められる社会貢献のあり方とは?そして、自己責任論に陥らない価値観を育てていくために必要な教育とは?

※=ノブレス・オブリージュ
フランス語で社会的地位の高いものには義務が伴うことを意味する 


●マルチアイデンティティ化で「増殖する私たち」
SNSの進化、メタバースの広がり、さらにはAIやID技術の革新に伴い、人は複数のアイデンティティを同時並行で生きることが一般的に。コミュニティごとに人格を持つのが普通になれば、そもそも「本名」自体も不要になる?

●進む二季化 広がる新たな“旬”の楽しみ方
「四季を楽しめるのがこの国の良さ」と言うには夏があまりにも長くなってしまった昨今の日本。体調管理、食生活、そしてエネルギーマネジメントなど、気候の変化が社会に与える影響は?

このようなテーマが72個集まっているのが電通未来曼荼羅2025です。電通グループの知見の詰まった未来へのヒントを対話とともに読み解きながら、10年後の社会やそこで受け入れられるビジネスのあり方について、一緒に考えてみませんか?

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【参加者募集】電通九州2025年度「九州アイデア塾」応募受け付け中

電通九州は、9~11月の間に計9日開催する「九州アイデア塾」の参加者を募集している。締め切りは7月7日(月)22時。

「九州アイデア塾」では、電通九州のクリエイターと共に、アイデアを生かした仕事や企画の発想法などを学び、企画・制作などを体験できる。

電通九州インターンシップ「九州アイデア塾」2025

【メッセージ】
予測不能な時代を、嘆いているだけじゃもったいない。
すっごい自由な九州の地で、ものすごいアイデアを考えて、
世界をもっと心地よく、日本をもっと面白くしませんか?
ただいま電通九州では、「九州アイデア塾」の第5期生を大大大大大募集しています。

【概要】
実施日程:
9/5(金)・9/12(金)・9/19(金)・9/26(金)・10/3(金)・10/10(金)・ 10/17(金)・10/24(金)・10/31(金)の計9回
※9/5(金)、10/31(金)は17時~20時。左記以外は18時~20時。
※基本的には全日程に参加できることが条件となります
募集人数:10~20人程度
受講料:無料
形式:オンライン講義
応募資格:現在、4年制大学および大学院の在学生

■「九州アイデア塾」の詳細はこちら

【講師】
電通九州:伊藤寛(塾長)・萩原有美(副塾長)・和久田昌裕・湯治健富・野中優介・立石甲介・米村拓也・古賀圭太郎・山田大輝・松下愛佳・岩下千捺・中尾茉美・中村美帆子・須川朝絵

【応募方法】
応募方法詳細はこちら

応募締切:7月7日(月)22時必着
課題内容:1次選考課題は以下の2問
<クリエイティブテスト①>
最近あなたがちょっとだけハマっているものを教えてください。
※1つだけお答えください。
※文字数の制限はございません。
<クリエイティブテスト②>
やりたくないけど、とても効果がありそうな節約術を教えてください。
※最大5つまででお願いいたします。
※文字数の制限はございません。

映画レビュー「MaXXXine マキシーン」

オーディションを通過し、スター女優への道が開けた。そんなヒロインの前に謎の人物が現われ、周囲では恐ろしい殺人事件が続発する。

投稿 映画レビュー「MaXXXine マキシーン」映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。

西部ガス、メタネーションの実証開始=地産地消型、北九州で

 西部ガスは5日、脱炭素化に有効な合成メタン「e―メタン」を製造するメタネーションの実証事業を、同社グループのひびきLNG基地(北九州市)で開始した。地域で排出された二酸化炭素(CO2)などを原料として活用する「地産地消型」が特徴。事業費は約10億円で、2030年の商用化を目指す。 

 加藤卓二社長は同日の開所式で「カーボンニュートラル実現に向けたガスの脱炭素化の大きな一歩。地産地消型のe―メタン製造が全国の都市ガス事業者に広がることを期待する」と述べた。

 メタネーションは、再生可能エネルギーなどで作った水素と、回収した二酸化炭素を原料に使い、合成メタンを作る取り組み。大気中のCO2が増加しないほか、合成したメタンを既存のガス機器やインフラでそのまま活用できるため、環境性や経済性に優れている。

 同社の実証事業では、原料となるCO2を近隣工場の排ガスから回収装置で集めるほか、下水処理場からも調達。水素は再生可能エネルギーの余剰電力で水を電気分解し製造し、近隣の苛性ソーダ工場で生じる副生水素なども活用する。実証事業を通じ、原料の地域調達によるコスト低減効果や、CO2分離回収装置の運用などを検証する。

 12月まで実証運転を行い、その後の検証や技術開発を踏まえ、2030年のe―メタン商用化につなげたい考え。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/05-16:01)