SNSネイティブ世代の消費行動からひもとく、メディアと広告コミュニケーションの未来

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(左から)電通 榊原理恵氏、 慶應義塾大学商学部 清水聰(あきら)教授 

大学生のリアルなメディア利用実態やインサイトを、将来のメディアや広告のあり方に関する私たちの研究活動に生かすことができないか。そんな思いがきっかけとなり、電通メディアイノベーションラボでは、慶應義塾大学商学部 清水聰ゼミの皆さんのご協力のもと、2024年の7月と12月にワークショップを実施しました。学生の皆さんからは「10年後のメディアやコミュニケーション、また有効な広告や販促はどのようになっているか?」をテーマに、さまざまなアイデアが提案されました。

第1回の記事はこちら:
Z世代の価値観や発想をヒントに!10年後のメディアや広告のあり方を考察する
 

第2回となる本記事では、ワークショップで示されたアイデアやキーワードを清水教授とともにひもときながら、メディアや広告の未来の兆しを捉えていきたいと思います。聞き手は電通メディアイノベーションラボの榊原理恵氏です。

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注目されるリテールメディア。ネット購入が増加する今、リアルな店舗の役割とは?


 

榊原:ワークショップでは3つの班からさまざまなアイデアが発表されました。1班からは近年注目度の高いリテールメディアを活用した施策が示されました。店舗での顧客体験がリッチ化する一方で、ネット購買やネット広告も拡大を続けています。生活者の購入体験は今後、どう変化していくのでしょうか?

清水:多くの人がスマホを所持し、あらゆるものがネットで購入可能な昨今、「実店舗(フィジカルストア)の役割」についての議論や研究が、国内外で展開されています。そのカギとなるのが、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)です。顧客体験を通してどれだけ体験価値を提供できるかが、重要になっていく。つまり、商品やサービスを提供するだけにとどまらず、楽しい、うれしい、面白いなどポジティブな感情まで体験してもらうことも考慮していく必要があるということです。

こうした経験価値を提供するコンタクトポイントとして、実店舗は重要な役割を持ちます。

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榊原:実店舗が商品やサービスを提供する場から、顧客体験の場に変化していくということでしょうか?

清水:そういった動きは小売業界全体であると思います。リテールメディアについても、購買データなどを活用し、1班の発表にあったようなカートをはじめ、店舗専用アプリ、デジタルサイネージなどに、その人、そのタイミング、その状況に最適化された情報を配信することが実現できれば、顧客体験がリッチ化されていくでしょう。

また、若者を中心に生活者の行動自体もSNSの普及で大きく変化しています。ある小売店で実験的に店内での撮影やSNSへの投稿を許可したところ、来店者が撮った写真やコメントが次々SNSにアップされ、それを見た人が「いいね」を押すなど、情報の拡散や口コミ効果が期待できることがわかりました。つまり、リアルな店舗が情報発信の起点となりプロモーションの一部を担っていくのです。

もう一つ、私が共同で進めている研究で、興味深い実験があります。生活者にアイカメラを装着してもらい、店内で買い物をする様子や口コミに関する行動を分析しました。すると、気になる商品棚を見つけてそこに近づいていくときや、興味を引かれているときには口コミをしたくなる様子が見られるのに対し、棚の前で商品を選んでいる時点では、もう口コミをする行動はあまり見られないといった結果が見えてきたのです。

これをプロモーションの観点で見ると、ただ商品を陳列するだけではダメで、「何これ?」といった興味を喚起したり、ワクワクなどの感情を促したりすることができるかどうかが、顧客体験を設計する上で外せないポイントだということがわかります。量販店のドン・キホーテがわかりやすい例で、店内は一見雑然とごちゃごちゃしており、買い物しづらそうながらも、宝さがしのようなワクワク感がありますよね。

生活者のニーズを動かすカギは「適度な不一致」。AIはそこに到達するのか

榊原:2班からは、AIを活用してパーソナライズされた広告が主流になっていくといった発表がありました。AIによって広告やコミュニケーションは、その時々の、その人のオケージョン(状況)やモード(気分)までも捉えたカスタマイズの時代になっていくのかもしれません。AIの進化によって、広告やメディアはどう変化していくと思われますか?

清水:AIは、世の中のあらゆる情報を集積し、分析してまとめることが得意ですよね。わかりやすく言うと、例えば私が「スーツは生地にこだわりのあるA社とB社でそろえていて、靴はC社のブランドを好んで履いている」とします。すると、シーズンの合間にA社とB社の春物や冬物のスーツを提案してくれたり、購買履歴を分析して最適なタイミングでC社の新商品の靴をおすすめしてくれたりするという感じです。

ところが、生地にこだわりのあるメーカーは他にもたくさんあって、実は別のブランドのスーツも着たいと心の中では思っていたとします。でもAIが購買履歴をもとに分析や提案をしている限り、私の心の奥の真意をくみ取って新たな提案をすることは難しいのです。そういったことに鑑みると、パーソナライズされた広告が主流になっていくというのは、もう少し先の未来かもしれません。

ただ、消費者行動の理論に「適度な不一致」という考え方があります。 “自分が欲しかったものに近いけど、なんか違う”と感じることが適度な不一致ですが、実はこの少しのミスマッチ感をきっかけに、「こんなのもあるんだ、ちょっといいかも」と生活者の考えが変化することもあるのです。

今後AIが、こういった人間の琴線に触れる提案を普通にできる機能を搭載し始めたら面白いなと思っているところです。

広告にもタイパが求められる時代!?成功に導くカギは多様なコンタクトポイントによる話題化

榊原:3班の隙間時間を活用した顧客体験のアイデアもZ世代の行動特性を捉えていて、とても興味深いと思いました。若者の「スキマ、ながら、タイパ(タイムパフォーマンス)」といった新しい行動様式、価値観は消費行動にも変化を促し、それに対応して広告コミュニケーションの在り方も変革していく必要があると感じています。

清水:私たちは、待ち時間があって手持ちぶさたになると、ついスマホをいじってしまいがちです。そこに目をつけた3班は、ファストフード店のレジ待ちの時間に、アプリなどを使ってドーナツなどの製造工程を見せるというアイデアを出しました。このアイデアの面白いところは、製造工程やこだわりの製法を紹介することで、商品に対する期待値を高めたり、理解を深めたりすることができるところです。ただ、何も考えずに提供されたドーナツを食べるよりも、「こんなこだわりがあるのなら、今度はお土産に買って帰ろう」とリピート購入につながる可能性だってあります。

これからの広告コミュニケーションの役割は、ここにヒントがあると思っています。要は、どうやって話題の作り方や期待の持たせ方を仕掛けていくかです。

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清水:私たちは、商品を選ぶ際に、「態度」をもって判断しています。この態度というのは、生活者がマーケティングの対象(ブランド、商品、人など)に対して持つ評価、つまり好意または非好意などを伴う心理的な傾向です。この態度は、その人のライフスタイルやこれまでの経験の積み重ね、また興味度合いなどで形成されるとされています。ただ、近年は「最近、自分のまわりで話題になっている」という感覚を持つと、態度が好意的に高まることがわかってきました。

榊原:話題になっているというのがポイントなのですね。

清水:ただ「CMで見かけた」くらいでは弱く、例えば、ある家族の会話で妻が「この商品、最近CMで見るよね」、夫「そういえば、近所のスーパーでも売っていたよ」、息子「えっ、SNSでもバズってるじゃん。知らないの?」といった具合に、家族や友人同士の会話で話題になるなど、いろいろなコンタクトポイントで接点を持った人たちが興味を持って口にすることが大事なんです。

広告コミュニケーションがこれからめざすべきことは、こうした多様なコンタクトポイントの構築によって、生活者の態度をより好意的にする話題づくりだと考えています。

榊原:消費行動モデルに「話題化の認識」→「態度形成」といったレイヤーが組み込まれるということですね。

消費行動モデル「AISAS」は、ぐるぐる回っている!?

榊原:ここまでお話を伺う中で、各班の発表はいずれも顧客体験のリッチ化につながっていると感じました。

一方で、最近はそうした動きとは相反する消費行動も注目されています。例えば、都市部を中心にデジタル化が進む中国では、ブランドを重視しない若者は店舗には行かず多くの買い物をネットで済ませると聞きます。たとえ店舗で商品を見たとしても、購入するのはネットだったり……。

また、当ラボで行った国内のSNSでの購買に関する調査では、認知の後、興味関心やサーチなどのファネルを経ずに、即購入に至るケースも見られました。こうしたリッチ化とは一見相反する消費行動の背景にはどういったことが考えられますか?

清水:スマホの普及によって世の中に情報があふれていることも消費行動の多様化が進む要因だと思っています。特に若い世代は、SNSなどに触れる機会も多く、常に身の回りに情報があふれています。それらを一つ一つ吟味していたら、時間がいくらあっても足りないですよね。そのため、タイパを重視する彼らは、最初からSNSでの検索を駆使して、効率化を図っているとも考えられます。

つまりウェブマーケティングの消費行動モデルであるAISAS(Attention・Interest・Search・Action・Share)のプロセスで見ると、いきなりSearchやActionから行動が始まっていたりするということです。

榊原:いきなり検索からファネルがスタートすると。それは面白いですね。

清水:そういう意味では、SNSの役割も変わってきているのかもしれません。例えば、これまでは行きたいお店の名前を一つ一つ検索して情報を得ていたのが、今では「田町 19時 空いているお店」といった検索をすれば、候補のお店がズラッと出てくる。要は「今日なんか焼き鳥食べたいな」→「そういえば、あそこのお店気になっていたな」→「調べてみよう」など、従来の消費行動モデルがあてはまらないパターンも増えていて、そこは私が面白いなと感じているところです。

榊原:では、今後AIDMAやAISASとは違う、新たなモデルが生まれるのでしょうか?

清水:新しいモデルというより、形が変容していくと考えています。これまでのAISASの消費行動モデルは、Attentionをスタートとして、生活者一人の消費行動に焦点が当てられていました。

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しかし、テレビやネット、SNS、店頭、イベントなど多くのコミュニケーション手段がある昨今は、コンタクトポイントはたくさんあり、それがいろいろな情報とともにぐるぐると回っているんです。これを私は「循環型マーケティング」と呼んでいます。

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清水:例えばCMや電車の中づり広告を見て商品を認知する人もいれば、口コミから興味を持つ人もいる。店頭で商品を目にしたり、ハッシュタグ検索をしたりすることもあるでしょう。つまりその渦の中には生活者と商品をつなぐコンタクトポイントがたくさんあり、いろいろな人がいろいろな場所から入ってきて、循環していると私は解釈しています。

その循環の中に流入する人が多く、回転スピードが速ければ、その商品は、注目度も高く売れ筋であると見ることができるのではないでしょうか。逆にそうではなく滞留するコンタクトポイントがあれば、それはブランドリニューアルのタイミングであったり、コミュニケーションの改善を行ったりする必要性を示しているのかもしれません。

榊原:消費行動モデルが一方向ではなく循環しており、さらにスピードの概念が加味されているというのは面白い見解ですね。では「ブランドを重視しない若者は店舗に行かずにネットで購入する傾向がある」という若者の実態に関して、この傾向は今後も続くと思われますか?

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清水:実は、学生との何気ない会話の中で「なぜ君たちは、ブランドに興味がないの?」と質問したことがあります。学生は何と答えたと思いますか?「先生の時代はSNSがなかったから、自分を表現する手段としてブランド品を着たり、スポーツカーに乗ったりしていたかもしれない。でも今はSNSという自由に自己表現ができるツールがあるから、ブランド品に頼る必要がないんです」と言うのです。それを聞いて、一理あるなと納得しました。

榊原:学生の視点、なかなか深いところをついていますね。

清水:ただ、ネットでの購入は、手軽で便利な一方、失敗のリスクもあります。インフルエンサーがおすすめする服を購入したけど、実際に着てみたら色味がちょっと違った、サイズが合わなかった……といったことも意外と多いのです。ネットでの購入が、その後の満足度につながるわけではないということを踏まえると、若者の間でも、また実店舗に行ってみようと考える人たちは一定数存在するのかなと思っています。

また、顧客体験の中では、実店舗が商品と生活者をつなぐ大事なコンタクトポイントであることは今後も変わりません。小売企業側も、実店舗は商品を実際に見て試着したり、店員と話したりして、ブランドの認知やファンづくりをする場と考え、実際の購入はネットを利用してもらう、といった新たな風潮も今後は出てくるかもしれません。

榊原:広告会社の役割は、さまざまなコンタクトポイントで人の流入や施策の流れが滞ることがないよう注意深く観察し、必要があれば新たな施策を投入していくことなのかもしれません。本日は貴重なお話をありがとうございました。
 

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孤独死が年7.6万人、4割が4日以上発見されず…高齢の親を「配食サービス」で見守る?

●この記事のポイント
・孤独死をした7.6万人のうち、65歳以上の高齢者は5.8万人で全体の7割以上
・高齢の親との連絡が途切れがちな場合に活用したいのが、食事を自宅まで届けてくれる「配食サービス」
・シニア向けのサービスでは弁当の配達を玄関先で手渡しすることが多く、安否確認も兼ねているのも特徴

 2025年4月、警察庁は2024年中に取り扱った死体のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの方の人数は7.6万人だったと発表した。孤独死の件数が全国的に発表されたのは今回が初めてとなる。孤独死をした7.6万人のうち、65歳以上の高齢者は5.8万人で全体の7割以上を占めた。年齢層別に見ると、最も多かったのは85歳以上の高齢者で1.5万人だった。遠く離れた故郷で一人暮らしをしている高齢の親がいる子ども世代にとって、親の急病や孤独死は他人事とは思えない心配事だろう。

●目次

高齢者の孤独死は発見までに日数がかかる傾向

 ここで言う孤独死とは、誰にも看取られずに自宅でひとり亡くなることを指す。日本では生涯未婚の割合が増加傾向にあり、どの世代も一人暮らしの人が増えている。一人暮らしだと自宅で何かあったときに、すぐに誰かが駆けつけたり救急車を呼んだりできる環境ではない。若い世代であっても、一定数誰にも看取られずに亡くなるケースはある。

 しかし、若い世代は学校や職場などのつながりがあるため、急病や突然死などが起きた場合に異変が察知されやすい。つまり、孤独死しても早期に発見される可能性が高くなる。一方のシニア世代では、一般的には仕事をリタイアしている方が多い。ご近所付き合いや趣味のサークル・習い事、介護や医療サービスの利用などがあれば人とのつながりを保てるが、そうでなければ難しさを感じる方も少なくないだろう。

 特にもともと元気で介護が必要のないシニアの場合、定期的に顔を合わせる人が少ない可能性もある。こういった事情もあり、孤独死をしたあと発見されるまでに4日以上かかった高齢者は2.3万人いた。孤独死をした高齢者の4割が4日以上発見されなかったということになる。

 亡くなってから4日以上経つと腐敗が始まり、一般的な供養をおこなうことができなくなる可能性がある。親の異変には早く気付いてあげたいし、万が一のときも最期のお別れをしっかりしたいと考える子どもは多いのではないだろうか。現実的なことを言えば、発見が遅れた場合、自宅の特殊清掃が必要になることも多く、費用面での負担も重くなる。

 離れて暮らす親の安否を確認し、困り事があったらすぐに相談してもらえる関係を作るにはどうしたらいいのだろうか。

離れて暮らす高齢の親を見守るために利用したい「配食サービス」

 高齢の親との連絡が途切れがちな場合に活用したいのが、食事を自宅まで届けてくれる「配食サービス」だ。

 シニアの一人暮らしでは、食材の買い出しから調理までが負担になり、規則正しい食習慣を維持するのが難しくなるケースも多い。1日1食でも健康に配慮した弁当が届くのは安心につながるはずだ。また、シニア向けのサービスでは弁当の配達を玄関先で手渡しすることが多く、安否確認も兼ねているのも特徴だ。利用者に何か問題があれば、指定の連絡先に通報するサービスもある。

 年齢や要介護度といった条件はあるものの、申請すれば配食サービスを利用時に補助金をもらえる市区町村もある。例えば東京都渋谷区では、75歳以上、介護保険で「要支援」「要介護」の認定を受けている、「事業対象者」の判定を受けている、セーフティーネット見守りサポート事業に登録しているなどの条件があるが、区と事業協力している業者の弁当にかかる費用を1日150円分補助してもらえる。業者によって弁当の価格はさまざまだが、平均的な価格帯のものを選べばワンコイン程度で1食分をまかなえる。

 1食150円の助成というと大した金額ではないと思うかもしれないが、物価高の時代にはありがたい制度といえるだろう。

 配食サービスがない自治体や条件が合わない場合は、民間の配食サービスを利用するのもおすすめだ。例えば、「ワタミの配食」では、配達員が毎日決まった時間帯に手渡しで弁当を届けるのでシニアの安否確認として有効だ。弁当はメニューや味付けに変化があり、毎日食べても飽きないよう工夫がされている。「まごころ弁当」では、糖質やカロリー、たんぱく質などを調整した弁当も取り扱っている。利用者の噛む力に合わせて、食材の軟らかさや刻み方が選べるのも魅力だ。

 民間の宅食サービスでは、無料もしくはお得な価格でお試しができることも多い。帰省の際に親と一緒に食べ比べをしながら、どこの配食サービスがよいかを検討するのもよいだろう。

(文=藤川ゆきえ/終活ライター)

エネ移行、現実的対応が必要=アンワル首相―エナジーアジア開幕・マレーシア

【クアラルンプール時事】マレーシア・クアラルンプールの会議施設で16日、アジア地域のエネルギー供給や移行問題について話し合う国際エネルギーフォーラム「エナジーアジア」が開幕した。開幕式で基調演説を行ったアンワル首相は「地域が温室効果ガス(GHG)の排出量実質ゼロを達成しながら経済発展を目指すには、再生可能エネルギーだけでなくGHGの排出を抑制した石油、天然ガスを組み合わせる必要がある」と述べて、現実的な対応の重要性を指摘した。

 首相は「このようなバランスの取れた取り組みが、(地域の)生活水準引き上げに必要な低価格のエネルギー提供を実現する上で欠かせない」と強調。その上で、JX石油開発とENEOS、三菱商事などが国営石油会社ペトロナスと進めている二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業をモデルケースとして示した。

 エナジーアジアは、マレーシアの国営石油会社ペトロナスが主催。2023年に初めて開かれ、今年で2回目。

◇日本、アジア・ゼロエミッション共同体の紹介パビリオン出展

 開幕式に続いて行われたパネル討論会には、日本から経済産業省の木原晋一資源エネルギー政策統括調整官が参加。脱炭素に向けた東南アジア諸国との連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」について説明した。

 また木原氏はIHIとマレーシアの国営石油会社ペトロナスのクリーンエネルギー子会社ジェンタリが取り組んでいるグリーンアンモニアの専焼発電事業やCCSにも言及。日本・マレーシア間のエネ移行分野での協力の発展に期待を示した。

 日本は今回、AZECを紹介するパビリオンも出展。IHI、東芝、三菱重工業、UMWトヨタ・モーターのほか、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が参加し、水素やCCSなどに関するエネ移行技術を紹介した。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/16-17:29)

本田圭佑も注目の新鋭家具ブランド…おしゃれで高品質なのにリーズナブルな価格を実現

●この記事のポイント
・SHEINから着想を得たビジネスモデルを用い、家具業界に新しい風を吹かせようとしているCAGUUU。同社社長の中村氏は、「ニトリ並みの価格で高級家具レベルの品質・デザインを提供する」と豪語する。

 日本の家具市場は、長らくニトリとIKEAという二大巨頭が支配してきた。手頃な価格で生活を彩る家具を提供する一方で、デザイン性や品質にこだわる層、あるいは高額なデザイナーズ家具には手を出しにくい層のニーズは、十分に満たされてきたとはいいがたい。この“空白地帯”に、D2C(Direct to Consumer)とODM(Original Design Manufacturing)を駆使した革新的なビジネスモデルで挑戦状を叩きつけるのが、新星スタートアップ、株式会社CAGUUU(カグー)だ。彼らが目指すのは、「ニトリ並みの価格で高級家具レベルの品質・デザインを提供する」という、まさに家具業界の“高級家具の民主化”であり、その先には既存の市場構造を根底から揺るがす革命児としての存在感が予感される。今年3月には本田圭佑氏が率いるベンチャーキャピタル「X&KSK」や、DiDi・REDBOOKにも投資している「GSR Ventures」から総額6.5億円の資金調達を行った。

目次

「6カ月待ち」が突き動かした、異色の起業家の挑戦

 CAGUUUの創業者で代表取締役社長の中村勇輝氏は、その経歴からして異色中の異色だ。東京大学で情報工学を修め、新卒で戦略コンサルティングファームに身を置いた後、インフルエンサーブランド事業、スマート家電事業と、連続して起業を経験してきた。そのすべてで異なる業界に切り込んできた彼が、次に選んだのが「家具」という、一見デジタルとは縁遠いアナログな市場だった。この転身のきっかけは、実に個人的な体験だったという。

「2021年にマンションを購入した際、某北欧ブランドの家具の購入に6カ月も待たされるという経験をしました。欲しいものがすぐ手に入らない、この日本の家具業界の非効率性と課題を、身をもって痛感したのです」

 この、多くの消費者も経験したであろう「待つ」という不満が、中村氏のビジネスを嗅ぎ分ける鋭い嗅覚を刺激した。既存の家具市場を分析すると、ニトリやIKEAは手軽で安価だがデザインの多様性に限界があり、一方の高級家具はソファ1台で50万円〜100万円という高額な価格帯で、選択肢も限定的だ。この大きなギャップ――「欲しいデザインはあるが高すぎる」「安くてもデザインに妥協したくない」という、日本の消費者が抱える潜在的な不満の層こそが、CAGUUUが狙う市場の“黄金地帯”だった。

ODMを極限まで活用:「格破壊力とDX革命」

 CAGUUUが、この巨大な市場の空白を埋めるために採用した戦略は、中国発のグローバルアパレルD2C「SHEIN」のビジネスモデルから着想を得たものだ。核となるのは、ODMの徹底活用と、それを支えるD2Cモデルである。

「私たちは、中国の優れた製造パートナーと直接連携することで、中間業者を排除し、高品質な家具を驚くほどの低価格で提供することを可能にしました。例えば、他社では数十万円で販売されているようなデザイン性の高いソファが、私たちはニトリやIKEAなどの大手家具メーカーと大きく変わらない価格帯で提供できます。これは、アパレルD2Cで成功した方程式を家具業界に持ち込んだもので、その破壊力は計り知れません」

 中村氏はそのビジネスモデルの核心を語るが、通常、家具が消費者の手に届くまでの道のりは長い。企画、デザイン、製造、輸入、卸売、小売と多くのプロセスと中間業者が介在し、それぞれの段階で手数料が上乗せされる。これが最終的な価格を押し上げる要因となる。しかし、CAGUUUは自社で企画・デザインした商品を、選定した中国の協力工場に直接発注。製造された商品はそのまま消費者に届けられる。この徹底した垂直統合とサプライチェーンの最適化こそが、「高品質・低価格」を両立させる秘訣なのだ。

 さらに、このモデルは、市場のトレンドや消費者のニーズに迅速に対応できるという強みも持つ。通常、家具の企画・製造には長いリードタイムを要するが、ODM工場との密接な連携により、デザインの変更や新商品の投入サイクルを短縮できる。これにより、常に最新のトレンドを反映したデザイン性の高い家具を、タイムリーかつ手頃な価格で提供することが可能になる。“家具業界の革命児”という表現は、まさにこの「品質」「デザイン」「価格」の三位一体を指し示しているといえるだろう。これは、まさに物流テック企業がサプライチェーンの非効率を解消しようと挑むのと同様の、デジタル技術を駆使したサプライチェーン改革の一環ともいえる。

 このビジネスモデルは、従来の家具業界の常識を覆す。既存の家具メーカーが抱える、複雑なサプライチェーン、大量の在庫リスク、そして高コスト体質といった課題を、CAGUUUは根本から解消する。これにより、消費者はこれまで高嶺の花だったデザイン性の高い家具を、より気軽に、そして迅速に手に入れられるようになる。これは、単なる価格競争ではなく、家具の「買い方」そのものを変える、破壊的なイノベーションなのだ。

「ニトリ・IKEAに並ぶ」CAGUUUの野望

 CAGUUUの野望は、個人消費者向け市場(BtoC)にとどまらない。彼らの描く未来は、日本の家具市場全体、さらにはグローバル市場の再編にまで及ぶ。

「将来的に、世の中の家具ニーズはニトリとIKEA、そして我々CAGUUUだけで十分になると考えています。個人向けのニーズは全てカバーできる。さらに、日本中のデザイナーやプロ向けにもサービスを普及させ、BtoB市場も全面的に開拓したい」

 特に注目すべきは、彼らがBtoB領域への挑戦だ。大手デベロッパーの新築マンションモデルルームにお手頃な価格でおしゃれで高品質な家具を提供し、購入者がそのモデルルームと同じ家具を一括購入できるようにするサービスは、不動産業界における家具調達の常識を覆すものだ。たとえば、従来おしゃれな高級家具だと500万円かかっていたコーディネートが、CAGUUUと組めば80万円に収まる可能性があり、BtoB市場における価格破壊と効率化を同時に実現する、圧倒的な競争優位性を示す。これは、パートナー企業への「負担ゼロ」に近い価値提供といえるだろう。

 このアプローチは、新築だけでなく中古マンションのリフォーム市場にも適用可能だ。リフォームと家具の一括提案により、消費者は手間なく理想の住空間を実現できる。また、ホテル、レストラン、オフィスといった法人向け領域への展開も視野に入れる。これらのBtoB市場では、複雑な中間業者を排したD2Cモデルにより、コストパフォーマンスの高い家具を直接提供できる。これは、特に初期投資を抑えたいスタートアップ企業や、デザイン性とコスト効率を両立させたい中小企業にとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。

 またCAGUUUは3Dプランニングサービスを提供しており、プロのインテリアコーディネーターが、お客の要望に基づき3Dシミュレーションで理想の空間を提案する。家具の配置イメージを具体的に再現し、インテリア選びをサポートできるのが特長だ。自宅から無料で相談可能なMyCoordiも今後建築デザイナーやインテリアデザイナーへ提供開始する予定。 

 中村氏は、さらに幅広いスタイリングを自社でカバーできると自信を見せる。

「ほとんどのスタイルを我々でカバーできる。これは既存の家具メーカーにはない強みです。我々は、家具を『機能性』だけでなく、『デザイン性』『コスト』の三軸でバランス良く提供できる、唯一無二の存在になれると信じています」

 この「全方位戦略」は、CAGUUUが単なるD2Cブランドに留まらず、家具市場全体のインフラとなることを目指していることを示唆している。ニトリやIKEAがカバーする大衆市場、そして高価格帯のデザイナーズ市場、さらには法人市場まで、あらゆるセグメントにCAGUUUの波が押し寄せ、既存のプレイヤーを“駆逐しかねない”ほどの潜在力を秘めているのだ。これは、CAGUUUも家具市場全体を包括的に変革しようとしているといえる。

グローバル展開と「価格の透明性」が変える家具市場の未来

 CAGUUUの視線は、既に日本市場のその先を見据えている。韓国、イギリス、中東といった主要市場への展開を計画しており、グローバル市場での勝機を見いだす。

「海外でも日本と同じようなことができると考えています」と、中村氏は海外市場への自信を覗かせる。これは、CAGUUUのODMを核としたビジネスモデルが、国境を越えて通用する普遍的な価値を持つことを示唆している。つまり、高品質な家具を適正価格で提供するというニーズは、日本だけでなく世界中の消費者が抱える共通の課題であるという認識だ。

 同社が特に重視するのは、「価格の透明性」だ。中村氏は、一部の高級家具市場ではデザインが似ていても価格が数倍異なるケースが散見されることを指摘し、自社が消費税や関税を全て支払い、適正な価格で提供していることを強調する。この透明性は、消費者の信頼を獲得し、従来の不透明な価格設定がまかり通っていた業界に一石を投じることになるだろう。これは、特に若い世代や、情報リテラシーの高い層にとって、企業を選ぶ上での重要な要素となる。

 家具は「簡単に買い替えられるものではない」と考える消費者は多い。しかし、CAGUUUの登場は、その常識を覆す可能性を秘めている。「もっと気軽に、気分やタイミングで選べる身近な存在」へと家具の概念を変える。これは、消費者のライフスタイルに合わせた柔軟な家具選びを可能にし、家具市場全体の活性化にも繋がるだろう。CAGUUUは、消費者の「価値観」に寄り添った家具選びの新たなスタンダードを築こうとしている。

 CAGUUUが仕掛ける「高級家具の民主化」の成功は、単なるD2Cビジネスの成功を意味するだけではない。それは、情報工学と連続起業の経験を持つ異色の起業家が、非効率が蔓延する巨大な家具市場にメスを入れ、消費者には選択の自由と経済性を、企業には新たな調達の選択肢と効率性をもたらす、真のイノベーションとなるだろう。既存の家具店では満たされなかった、高品質でデザイン性の高い家具を誰もが手に入れられる未来は、そう遠くないかもしれない。そして、その先にはCAGUUUが世界の家庭を彩る、新たな家具市場の覇権争いが待ち受けている。CAGUUUの挑戦は、まさに家具業界の“ゲームチェンジ”を告げる狼煙となるだろう。

(構成=UNICORN JOURNAL編集部)

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