JR東日本、鉄道運行に生成AI導入、障害時の復旧時間を50%短縮…推定原因や対処法を提案

●この記事のポイント
・JR東日本、障害時に生成AIを活用して復旧にかかる時間を短縮化する復旧支援システムを導入
・復旧までの時間短縮に加えて指令所の業務負担削減や、より正確な復旧指示を実現
・鉄道の運行管理・保守を担う東京圏輸送管理システムにAIを導入する実証実験を開始

 JR東日本が、障害時に生成AIを活用して復旧にかかる時間を短縮化する復旧支援システムを導入した。生成AIが障害の原因や対処法を提案する。復旧までの時間短縮に加えて指令所の業務負担削減や、より正確な復旧指示を実現する。このほか、9月には、鉄道の運行管理・保守を担う東京圏輸送管理システムにAIを導入する実証実験を開始する予定。自律的に事故からの復旧対策を考える「AIエージェント」も開発する。すでにJR西日本が鉄道車両の保守メンテナンスにAIを導入しているように、鉄道運行の領域でもAIの活用が進むが、JR東日本は何を目指しているのか。同社に取材した。

●目次

推定原因・対応方針・復旧見込時刻を生成AIが解析、表示

 生成AIを活用した復旧支援システムを導入するに至った背景について、JR東日本は次のように説明する。

「鉄道の信号通信設備は多種多様な機器があり、広範囲に点在しています。故障が発生した場合、どこの機器が故障したかすぐにはわからず、社員が複数の複数箇所に分かれて一つひとつの機器や部品など原因を調査しているため、復旧まで時間がかかることがあります。

 これを改善するために、2023年の3月から故障発生時、過去の事例などから最適な手順の調査・復旧を支援するシステムを首都圏の在来線の信号設備の一部で導入していましたが、このシステムは復旧支援に有効であるものの『機械学習を用いたAI』を活用しており、対象とする設備の範囲を拡大したり、新たな事例を登録することはすぐにはできず、メーカーに依頼したうえで多くの再学習作業をさせる必要があるという課題がありました。

 上記のような課題意識があるなか、急速に生成AIが進歩し、AIに対する学習行為を行わずとも設備範囲が限定されず事例登録も容易になったことで上記の課題を解決できる見込みとなったことから、復旧支援システムに生成AIを活用することにしました」

 具体的には、どのようなシステムなのか。

「現地社員と指令員の無線通話を解析し、自動でトラブルに関しどのような問題が発生したかを時系列に従って記録を行います。その記録を元に、信号通信設備故障の『推定原因』『対応方針』『復旧見込時刻』を生成AIが解析、表示して、社員が適切な手順で復旧作業を実施できるよう、指令員の支援を行うシステムです。指令とトラブルが起こった作業現場との無線でのやりとりを基に、原因の推定や、復旧見込時間の提示までを一気通貫で生成AIが全てアドバイスしてくれるものです」

専門家頼みの「業務の属人化」を脱却

 このシステムの導入により、故障発生時の早期復旧が見込めるといった効果があるという。

「効果としては以下の3点を想定しています。

(1)信号通信設備故障発生時の早期復旧
 最適な手順での作業により、故障から復旧までの時間短縮が見込まれます。原因特定の難しい複雑な事象において、復旧までの時間を従来の約50%に短縮できることを見込んでいます。

(2)お客さまへのタイムリーな情報提供
 提示された『復旧見込時刻』を基に指令員が判断することで、運転見合わせ時の『運転再開見込時刻』をお客さまへ早期に提供することが可能になります。

(3)社員の知識と経験依存からの脱却
 現在は、復旧にあたる社員には専門知識と経験を活用して状況を把握し、適切な判断をする能力を求めています。信号通信設備は現地にあわせた多種多様な設備を配備しているため、とくに指令においてはすべての地域のすべての設備に対する専門知識と経験を持つ社員を育成することが課題です。そこで、この知識と経験が必要な部分を生成AIがサポートすることで、基本的な知識と経験があれば判断できる状態に近づけていくことを見込んでいます」

 JR東日本は、鉄道の運行管理・保守にAIを導入する実証実験を9月に開始する予定だ。

「ATOSトラブル発生時に監視端末に表示される警報を生成AIに読み込ませ、故障の原因と思われる装置を提案させます。この手法と、マニュアルやノウハウなどを基にした現状の故障原因の調査手法とを比較し、どの程度の時間短縮や省力化が可能か、効果測定を行います」

 同社はこの実証実験により、故障原因の調査時間が短縮されることでトラブルの早期復旧ができるようになり、輸送のさらなる安定性向上に寄与することを目指している。

「故障原因の調査の省力化により、専門家頼みの『業務の属人化』を脱却するとともに、生み出された時間を活用して、新しい事業の開発や地域活性化、お客さまサービスの充実など、社員が人ならではの創造的な役割に注力できるようになることを目指しています」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

【Findings】

makeato

20年くらい前だろうか、池田晶子さんの「14歳からの哲学」を読んだ。「正しい」ということはすべての人間に共通で(おそらく、どの事象が正しい・正しくないかではなく、正しいという言葉の概念が共通、という趣旨)、人間は正しいと思っていること“しか”できない、といったことが書かれていた気がする。14歳はだいぶ過ぎていたけど、なかなかな衝撃を受けたことだけははっきりと覚えている。

プレゼンや、複数の人に向けた発表、それから講義なんかを前にした時の話。頭、思考を動かして、なんとなく自分として腑に落ちるところまできてみる。そこにあるのは、自分としての「一応の正解」ということになる。それをよりどころに手と目を動かし、原稿やスライドをつくる。一応の正解に到着したはずなのに、それとピッタリ一致するものができたためしがない。頭、思考が甘かったのか。手と目の再現力の限界なのか。とにかく必ずズレたものが出来上がる。

「更新版・一応の正解」をもとに、今度は一人リハーサルをする。またもやしっくりこない。声や呼吸の限界なのか、机上(パソコン上)と現実(しゃべる身体)のズレなのか、はたまた声に出すことで頭、思考が活性化するのか、とにかく必ず更新版の再更新が必要になる。

これを前向きに捉えると、気づきの連続、納得感の更新ということなので、手間だけど事前準備の所作としてこの三段階目までを何周か必ず行うことにしている。そしてここまでは、言ってしまえば自分の問題、内部完結できることなので、更新というのはまあちょっとした気づき、といったところ。

そしていざ本番。相手がいて、しゃべる。大人数か少数かはさておき、提示する。(自分としての)「正解」にもかかわらず、経験上、やる前からわかってしまっているのだが、想定とピッタリと一致した着地、になったためしがない。だいたいにおいて想定外の反応。想定内だけれど、見過ごしてしまうような微弱な反応なんてことも。この(自分としての)正解の儚さたるや、「正解」でグルーピングするのもおこがましかった、と毎度思い知らされる。「正しい」に正直に生きているはずなんだけどなぁ。

が、悲観しているわけではない。自分の外側に出す価値、というのも毎度思い知ることができる。出かけて行った先でこそ気づきを獲得できる、という夢のある話。獲得のプロセスで、はずかしめを受けたり下手すると怒られたり。髭も剃らずに一人ぼーっとする週末の午前中みたいな弛緩はないけれど、得られるものが大きいからまあ仕方ない。

フェリス女学院大学

毎年、フェリス女学院大学で講義をする機会がある。テーマは「アートとビジネス」。僕に登壇を依頼している先生は美術館に勤務しているので、僕よりもよっぽどアートビジネスのど真ん中を担っているはずだが、先生の意図は、アート周辺も含めたビジネスの多様さや、アート思考といったことも含め一般のビジネスパーソンにおけるアートとの関わり方や意義などを学生に見せてほしい、というもの。

学生の、このテーマへの関心の高さなのか、電通も含めた業界への好奇心なのか、それとも僕という外部の人間に対するサービス精神なのか、とにかく毎年学生はきちんと反応を示してくれる。しかも、かなり味わい深い反応。普段は大学生と直接やり取りする機会がないので、自分とは違う視点の価値、裏を返すと同質化というのはリスクなんだと肌で感じる、そんな大きな気づきの場になる。

今年の講義は、アートを通じた「業務の拡張」「教養の拡張」「視野の拡張」という3部構成。今回のコラムは、その簡易レポートにしてみた。

フェリス女学院大学

学生に伝えることを念頭に置いて「業務の拡張」と言った時、真っ先に製作委員会や実行委員会のことが思い浮かんだ。電通は広告制作にせよマーケティング支援にせよ、BtoB企業として事業会社たるクライアントの業務支援をするのが基本。ではあるものの、主にコンテンツ系において、電通が中核の1社というポジションになることもある。

そこで、まずは「ブルーピリオド展」でクリエイティブディレクターを担っていた宮下良介さんに相談の一報を入れた。キービジュアルの画像ファイルが添えられて、31分後に返信がきた。は、早い。ありがたい。次に、「Immersive Museum」のプロデューサーである野口貴大さんにも相談の一報を入れてみた。5分後に、大丈夫ですと返信がきた。は、早い。早過ぎる。なんとありがたいことだろう。しかも、大学生が相手ならこの実施風景がよいと思いますよと、こちらも画像ファイルが添えられていた。

余談だが、まあまあ長い社会人生活の中で、電通に限らず世の中には即レスの人がいつの時代にも一定数いることを知った。きっとこの人たちは、ものすごい高回転で仕事をしているのだろう。100%尊敬してしまうが、どうか体にだけはお気をつけて、と思ったりもする。

フェリス女学院大学
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会

「ブルーピリオドはよく読んでいます。展覧会になることでアートがさらにビジネスにつながるんだなと思いました」「ブルーピリオドはアニメを見ていましたが、展示会や実写化を知らなかったので驚きました」といった気づきを伝える学生もいた。

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©ImmersiveMuseum

「イマーシブミュージアムに以前訪れたことがあります。私はそれまで美術館しか訪れたことがありませんでしたが、映像や音楽を通してアート体験することができ、新鮮でした」「電通が関わっていることを初めて知り、華やかでとても興味がわきました」といった感想も。

そして業務の拡張の観点で、僕が直近で携わった仕事も紹介。製作委員会、実行委員会とは異なるスキームの説明をした。

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アートとは直接関係のないとある大規模イベントで協賛企業の1社を担当しており、そこでのアクティベーションを提案、実施を担った。企業のアクティベーション、つまり企業としてのマーケティング・コミュニケーション活動の一環である。中核にあるのはアート活動ではなく企業活動。そこにアートを持ち込む。接続させる。そこでのアートは、いわゆるコミッションワーク(アーティストによる受注制作)ということになる。イベント参加者にとってみれば、眼前に現れた巨大な造形がコミッションワークかどうかなど当然意識することもなく、しかし純粋に楽しみ、イベントは盛況だった。

米澤柊さん
参加アーティストの一人、米澤柊さんの制作模様

アーティストが作品を通じて放つパワーを、こういった形で企業活動に摩擦少なめで接続させるのはわるくないと思った。企業がアートと対面することに慣れていく、その一つの形になると感じた。

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米国スミソニアン協会国立アジア美術館 日本美術主任学芸員のフランク・フェルテンズ博士
米国スミソニアン協会国立アジア美術館 日本美術主任学芸員のフランク・フェルテンズ博士

次のセクションは「教養の拡張」。僕の友人で、アメリカの美術館で学芸員をしているフランク・フェルテンズさんのことを引用しつつ、海外の人と接する時、Nice to meet you.だけだと寂しいですよね、という問いかけからスタートした。

それを踏まえて、横浜美術館のリニューアルオープン記念展とそこで展示されている片岡球子さんの作品を紹介。講義に先立ち、横浜美術館の館長と担当学芸員によるギャラリートークに参加し予習しておいた。片岡球子さんは横浜で小学校の先生をやりながら絵を描き続けていたこと、30代の時にこの絵が院展で入選したのを皮切りに入選し続けて、80代で文化勲章も受章していること。ギャラリートークの受け売り状態で、そんな背景情報なんかもからめつつ、フェリスも横浜の学校ということで、トークの取っ掛かりとして片岡球子さんのことは扱いやすいのでは?と学生に提案してみた。そして、かかりつけのお医者さんや、お気に入りのカフェのように、

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と畳みかけてみた。今回の講義で最も反響が大きかった。地元ネタは強い、ということか。いやぁ、予習しておいてよかった。

実際、外交でなくても、また企業のエグゼクティブ層でなくても、自国の文化を話すシーンはビジネスパーソンにおいても確実に増えており、アートの知識や実体験はいわばリアルな教養。日本には美術館や博物館が6000施設近くあるらしい。6000サンプルもあれば予習し放題だ。

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そして本筋から離れ、僕が13歳の時に作った版画なんかも見てもらった。中学生の作品ということで、まあこんなもんだよね、という苦笑いはありつつ、僕は作家になれる人生ではなかったものの、ちょっとずつユニークに教養を身に付けることで、こうして大学生の前に立つかけがえのない機会に恵まれた。ささやかで、でもリアルな、1サンプルの提示が実現したと言えなくもない。

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最後は、マーケティングの世界の住人として一番大事だと思っている「視野の拡張」。アートを通じた僕にとっての大きな気づきの事例として、アーティゾン美術館での毛利悠子さんの展覧会のことを紹介。(こちらのコラム後半で触れた内容を参照のこと

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それ以外にも、ジェンダーのことについて、アートが促す気づきを提示しつつ、2025年度の電通の新入社員の男女比はどの程度でしょうかクイズ、なんかも出したりした。

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正解は、148人のうち女性77人ということで、過半数。僕が入社した時の、女性の新入社員は1割くらいだった状況と比較すると、明らかに母集団そのものが変化している。数字というのは生々しい。さらに、僕の所属長は、今も一つ前の時も女性であること。ビジネスの現場で「Diversity, Equity & Inclusion(DEI)」の観点が標準装備されつつあること。DEIのキモとして、

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そんなことを伝えてみた。「盲点が減るという言葉が非常に印象的だった。常日頃から頭に入れておきたいと思う言葉だった」「思っていたよりも時代とともに価値観がアップデートしていて驚きです」といった感想から推察するに、講義の内容が彼女たちにとってもある意味想定外だった、ということか。外に出かけて行って伝えるって、やっぱり大事だなぁとあらためて思い知る。

最後に、学生からの感想をいくつか掲載するが、筆跡含めた彼女たちのリアルに対し、「全部正解」と伝えたい。

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画像制作:岩下 智

広告は、人と社会の役に立つ。「ヨメテル」の事例を通して感じた「BORDERLESS CREATIVE」の可能性

日々進化し続けるCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)領域に対し、電通のクリエイティブはどのように貢献できるのか?電通のCX専門部署「CXCC」(カスタマーエクスペリエンス・クリエーティブ・センター)メンバーが情報発信する連載が「月刊CX」です(月刊CXに関してはコチラ)。

今回ご紹介するのは、2024年7月19日に発足した、クリエイティブ領域に特化したDEIコンサルティングチーム「BORDERLESS CREATIVE(ボーダーレス クリエイティブ)」です。

どのようなチームで、どのようなクリエイティブを世に送り出しているのか。同チームのメンバーであるクリエイティブディレクターの阿部広太郎氏に話を聞きました。

阿部氏

【阿部広太郎氏プロフィール】
電通
カスタマーエクスペリエンス・クリエイティブ・センター
クリエイティブディレクター
電通入社後、人事局に配属。クリエイティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとしての活動を開始。現在、CXクリエイティブ・センター所属。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、広告クリエイティブの力を拡張しながら領域を超えて巻き込み、つながり、助け合う対話型クリエイティブを実践する。著書に「待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め」(弘文堂)、「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」(ダイヤモンド社)、「それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない『解釈』の練習」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ」(ダイヤモンド社)。

DEI視点で世の中の課題を解決する「BORDERLESS CREATIVE」

月刊CX:「BORDERLESS CREATIVE」とは、どのようなチームなのかを教えてください。

BORDERLESS CREATIVE ロゴ

阿部:「BORDERLESS CREATIVE」は、クリエイティブ領域に特化したDEIコンサルティングチームです。同じくCXCCに所属する橋口幸生CD(クリエイティブディレクター)と立ち上げました。DEIとは「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字を取ったもので、近年クリエイティブにおける重要なテーマとなっています。

海外ではDEI視点のコンサルティングを行う会社が注目されつつありますが、国内ではそのような企業や団体がまだまだ少ない状況です。本チームでは、DEI領域の知見が豊富にあるクリエイターと、当事者・専門家が連携し、広告企画や新規事業開発など課題発見から企画制作までワンストップで担っています。さまざまなDEIテーマのクリエイティブ業務に携わり、数多くの広告賞を受賞してきた実績があります。

ポーラ動画画像
阿部氏が携わった、目の見えない方の優れた手指の感覚を生かしたメークレッスン。ポーラ「鏡を使わないメークレッスン」
※画像をクリックすると、動画を見られます

月刊CX:チームを立ち上げた理由を詳しく教えてください。

阿部:これからのクリエイティブにDEI視点は欠かせないものだと考えています。

世の中にはだれかのコンプレックスを刺激してしまうものや、人の心を傷つけてしまう広告があり、いわゆる“炎上”しているコンテンツもしばしば目にします。企業側が意図していなかったメッセージが広がってしまうケースもあり、それは企業にとっても受け取り手にとっても幸せなことじゃないと思います。

社会的にポジティブなメッセージを広げていくためには、ただNG表現に気をつけるのではなく、専門的な視点に基づいた企画づくりこそが重要だと考えています。そのために企画や制作における進め方を「BORDERLESS CREATIVE METHOD」としてまとめています。

月刊CX:「BORDERLESS CREATIVE METHOD」とは何か具体的に教えてください。

阿部:全体の進行やつくり方です。これまでのクリエイティブの現場では、「クライアント」と「広告会社」の間で無意識のうちに引かれていた境界線があったと思います。提案する側と、提案を受けて判断する側といったようなイメージで、意見がぶつかり合い強い葛藤が生まれる……なんてケースもあったかもしれません。

しかし、クライアントも広告会社も、同じゴールに進んでいく仲間ですよね。そのために企業のブランド担当者と、当事者・専門家、広告をつくる私たちで三角形をつくり、それぞれのノウハウを生かしながらより良いコンテンツをつくるための枠組みが「BORDERLESS CREATIVE METHOD」なんです。

BORDERLESS CREATIVE METHOD

阿部:もしかしたら、「それができるのは理想だけど実際やるのは難しくて……」と思われた方もいるかもしれません。しかし、これをやってみると本当に共創が生まれますし、新たな景色が見えるようになると考えています。

また、宣伝会議とタッグを組んで、「BORDERLESS CREATIVE SCHOOL」というDEIクリエイティブを体系的に学ぶ講座も立ち上げました。こちらは企業のブランド担当者やプランナーなど多くの方に受講していただきました。

相手の声が読める電話「ヨメテル」とは

月刊CX:阿部さんが担当されている事例についても教えていただけますか。

阿部:私が「BORDERLESS CREATIVE」の発足前から携わっている「相手の声が読める電話『ヨメテル』」の話をさせてください。こちらは、法律に基づいた公共インフラとしてのサービスで、2025年1月23日からサービスの提供が始まりました。私たちのチームでは、ネーミングやロゴデザイン、コミュニケーション開発などに携わりました。

ヨメテル動画
相手の声が読める電話「ヨメテル」30秒CM
※画像をクリックすると、動画を見られます

月刊CX:サービス内容の詳細を教えてください。

阿部:サービス内容の詳細としては、ヨメテルは、電話で相手先の声が聞こえにくいことがある人(以下、きこえにくい人)へのサービスとして、通話相手の声を文字にする電話アプリです。24時間・365日、双方向での利用ができます。通話相手の声を文字にすることで、電話でのコミュニケーションをスムーズにする、法律に基づいた公共インフラとしてのサービスです。

現在、日本には加齢も含めると聞こえにくさのある人が約1400万人以上いると推定されます。国民全体の約10%が、何かしらの原因で聞こえにくさを感じているのです。

これまでにも、法律に基づいた公共インフラとして、聴覚や発話に困難がある人ときこえる人との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につながることができる「電話リレーサービス」がありました。

一方、「ヨメテル」は「電話で相手先の声が聞こえない/聞こえにくいことがある」と感じていて、自分の声で相手に伝えたい人が登録利用の対象です。きこえにくい人が普段どのような悩みを抱えているのか、どのように伝えていけば良いかを考え抜いて制作しました。

月刊CX:リリース後に何か反響などはありましたか。

阿部:はい。サービス提供開始後、ご利用いただいた方から「電話で友達が話すときに聞き返すことなく同じタイミングで笑い合えたのがうれしかった」という感想や、中途失聴者の方から「電話する喜びを思い出した」という感想をいただきました。その感想を聞いた時は、本当にうれしかったです。これから「ヨメテル」を必要とする人に、さらに届いていってほしいと思っています。

月刊CX:「ヨメテル」のコミュニケーションをつくる上で、気をつけていたことはありますか?

阿部:「ヨメテル」のユーザーとなる当事者の方たちと「広報戦略会議」を立ち上げて、本サービスのコンセプトや「きこえにくい座談会」のトークテーマについてなど、多様な角度から何度も対話を重ねながら企画を進めました。

その上で、特に注目したのが、通話の冒頭に流れる「自動音声ガイダンス」です。「電話リレーサービスのヨメテルです。あなたの声を文字にして、相手に表示します。はっきりとお話しください」というガイダンスをはじめて聞いて切ってしまうケースがあるとわかりました。そのため「ヨメテル」の認知を高めることも大切なミッションにしています。

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やさしい世の中にしていくために、対話を繰り返していく

月刊CX:「ヨメテル」を通して、阿部さんが得た気づきを教えてください。

阿部:「きこえにくい人」にお話を伺って改めて感じたのは、実際のきこえにくさは人によって本当に全然違うものなんですよね。加齢できこえにくくなる方もいれば、高い声がきこえにくい、低い声がきこえにくいなど、“難聴”といっても、その症状は人によって異なります。

当事者の方にじっくりお話を聞くことで、電話で相手の声を聞くときに耳にスマホをぐっと押し当てることや、数字はメールでやり取りするように意識しているということなど、わかったことがたくさんありました。取材をすることで、より多くの方に寄り添えるコンテンツが生み出せるのだと実感しています。

また、キャッチフレーズを書く私たちの仕事は、人の想いをキャッチすることなんだと思います。私自身、人の想いをキャッチできる人間でありたいとより一層感じましたし、今後も対話を繰り返しながらいいクリエイティブを生み出す人でありたいと思っています。

月刊CX:最後に、阿部さんが今後挑戦したいことがあれば教えてください。

阿部:今は仲間を増やすことが非常に大事だと考えています。DEIの領域が広がってきている中で、企業でも積極的にDEIに取り組んでいこうと旗を掲げてくれる方がいると、ここからさらに人が人を想うやさしい世の中になっていくと信じています。

広告や広告クリエイティブは、人や社会の役に立てると信じていますし、一瞬ではなく、ずっと心に残る何かをつくれるはずだと本気で思っています。広告クリエイティブが広告だけではなく、社会の役に立てることを実現し続けていきたいです。

そして、ゆっくりでも確実に、社会を変えていくような「やさしい衝撃」をつくり続けたいです。人の意識を変え、行動を促し、最終的には社会をより良い方向へと導いていく。一つ一つのプロジェクトが、未来への種まきとなり、やがて大きな変化を生み出す。そのような可能性を信じて、これからも情熱を持って仕事をしていきたいです。


(編集後記)

今回は、2024年7月19日に発足した、クリエイティブ領域特化型のDEIコンサルティングチーム「BORDERLESS CREATIVE(ボーダーレス クリエイティブ)」と、そのチームメンバーが担当した「ヨメテル」についてお話を伺いました。

より良いクリエイティブをつくっていくためには、DEIの視点は不可欠。そうした中で見えない境界線(ボーダー)をいかに探して、対話して寄り添っていくのか、が肝心なのだと思いました。

今後こういう事例やテーマを取り上げてほしいなどのご要望がありましたら、下記お問い合わせページから月刊CX編集部にメッセージをお送りください。ご愛読いつもありがとうございます。

月刊CXロゴ
月刊CX編集部
電通CXCC 木幡 小池 大谷 奥村 古杉 イー 齋藤 小田 高草木 金坂
・dentsu JapanのDEIサイトはこちら
https://www.japan.dentsu.com/jp/deandi/
X(Twitter)

セブン-イレブンの目の前に低価格&小型店「まいばすけっと」が出店攻勢?コンビニの脅威に

●この記事のポイント
・まいばすけっと、コンビニほどの広さの小規模スーパーで、商品の価格帯がコンビニより数割ほど低い
・年間100店のペースで出店攻勢をかけていることもあり、コンビニの目と鼻の先で営業するケースも
・DX導入を進めることでレジを無人化、セントラルキッチン方式導入など徹底した店舗運営コスト低減

 コンビニエンスストアほどの広さの小規模スーパーで、商品の価格帯がコンビニより数割ほど低く、かつコンビニより品揃えが豊富な「まいばすけっと」。ここ数年は首都圏を中心に年間100店のペースで出店攻勢をかけていることもあり、コンビニの目と鼻の先、もしくは隣で営業するケースも増えており、7月8日付日本経済新聞記事によれば、コンビニ最大手・セブン-イレブンにとって最大の脅威になりつつあるという。例えば「まいばすけっと」では、イオンのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」のレトルトカレーを88円(税抜き)で買うことができる。業界関係者は「近くにあるセブンとの競争に負けて撤退したコンビニの跡地に、まいばすけっとが出店し、回り回ってセブン店舗の売上が落ちるという皮肉な現象が生じている」と指摘する。「まいばすけっと」の強さの秘密に迫る。

●目次

商品の価格を上げなくても運営できる体制を確立

 イオンが主に首都圏で展開する「まいばすけっと」の店舗数は1200超であり、2030年度までに2500店舗、将来的には5000店舗にまで増やす計画を持っている。ちなみにコンビニ業界3位のローソンの店舗数は約1万4000店。「まいばすけっと」の売上のうちイオンのPB「トップバリュ」商品が占める割合は20%に上るのも特徴であり、生鮮食品や弁当・総菜類、日用品など、扱う商品カテゴリは一般的なスーパーと変わらない。

「DX導入を進めることでレジを無人化したり、スーパーでみられるバックヤードやコンビニでみられる調理コーナーを設置せずにセントラルキッチン方式を導入することにより、徹底した店舗運営コストの低減を図ることで、低価格を実現している」(小売りチェーン関係者)

「まいばすけっと」の強さの理由について、流通アナリストの中井彰人氏はいう。

「生鮮食品は集中センターで処理した後、店舗に届けて陳列するだけの形態にすることで、店舗内で加工をする人を不要にしました。徹底してコストダウンしたスーパーとして成立するようになっています。ITで管理された密集した店舗網で短時間での配送によって鮮度を落とさないことに成功したということです。

 価格についていえば、コンビニどころか一般のスーパーやディスカウントストアなどよりも安くなりつつあります。スーパーでもすごい勢いで値上がりしている一方、イオンのトップバリュはそもそもナショナルブランドの商品より安い上に、価格据え置きの路線を取っているため、相対的に『まいばすけっと』の価格の低さが際立つようになっています。以前からローコスト運営のためにさまざまな実験的な取り組みをしてきたわけですが、スーパーなのに数人の店員で運営して、会計もセルフレジなので極めてローコストで運営できています。それによって商品の価格を上げなくても運営できる体制を確立し、かつ店舗数が増えて規模が大きくなったことで『規模の経済』が働いて、チェーン全体としてのコスト率が低いスーパーとして成立し始めています。

 スーパーは集客のために頻繁に陳列棚に変化を加えていますが、『まいばすけっと』は効率化を優先させて品揃えを絞り込んでいます。以前であれば消費者は店の品揃えの豊富さをかなり重視していましたが、長きにわたり実質賃金が減少を続けて家計が苦しくなった結果、とにかく安いものを追い求める人の割合が増えたというのも、『まいばすけっと』にとっては追い風です」

PBの売上比率をさらに引き上げ

 では、「まいばすけっと」はセブンを脅かす存在になるのか。

「これまでは日本で最も人口が集中している東京23区、川崎、横浜あたりに1000店舗ぐらいを密集させて、物流の効率を上げてきました。現在では少しずつ外に広げようとしています。神奈川でいうと座間、東京であれば立川、国立など、鉄道線沿いではあるものの、少しずつ外に広げていっています。関西にも首都圏と似たようなエリアはありますし、コンビニなどの跡地を狙えばかなり用地は確保できるはずです。

 全国的に見てもマーケットはまだありますが、人口密度が低くなると売上が減ってしまう可能性があるので、『まいばすけっと』が今、実験しているのは、全体の効率をいかに上げるのかという点です。コストダウンをさらに進め、PB比率をさらに上げた店をつくろうとしています。PBは、価格は低いものの粗利率は3割近くあるとみられ、売上が下がったとしても利益率が高い分、採算が取りやすくなります。PBの売上比率を5割くらいに引き上げた店舗を実験的に出したという報道も出ています。

 近い将来、コンビニを脅かす存在になってくるでしょう。『まいばすけっと』の店舗はセブン-レブンのすぐ近くにあることが多いですが、これはセブンとの競争に負けたコンビニ店舗が撤退した跡地に『まいばすけっと』が出店するケースがこれまでは多かったということだと考えられます。居抜きだとちょうどいいサイズの箱なので、そのままサッと入れるということで、狙って入っているのでしょう。

 実質賃金の低下や物価の高騰で消費者の懐が厳しくなり、割高なコンビニで買い物をすることを躊躇(ちゅうちょ)する人は確実に増えています。そうしたなかで『同じような商品を比べると、コンビニより全然安いから、まいばすけっとに行こう』となる人が増えるのは当然です。イオンもミニストップというコンビニを展開していますが、店舗数は極めて少なく、バッティングしにくいので、あまり気にすることなく“コンビニキラー”のような動きをできるのもイオンの強みでしょう」(中井氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中井彰人/流通アナリスト)

路線価4年連続上昇=平均2.7%、インバウンド影響―下落県も減少・国税庁

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2025年分の土地の路線価(1月1日時点)を公表した。住宅地や商業地など標準宅地の評価基準額は全国平均で前年比2.7%プラスとなり、4年連続で上昇した。

 現在の評価基準額の計算方式が導入された10年以降で、上昇率は最大となった。背景には、住宅やホテル、インバウンド(訪日客)向けリゾート需要の高まりがあるという。

 都道府県別では35都道府県で上昇した。東京が上昇率8.1%と最も高く、沖縄が6.3%で続いた。都心部でのオフィスの空室率低下や店舗、ホテル需要の拡大が影響したとみられる。

 変動率が横ばいだった県はなく、下落したのは新潟や岐阜など12県で、前年より4県減った。下落率も7県で縮小した。

 都道府県庁所在地の最高路線価の変動を見ると、上昇が35(前年37)で、横ばい11(同9)、下落1(同1)。上昇率が最も高かったのはさいたま市の11.9%で、千葉市の11.2%が続いた。ターミナル駅の大宮、千葉両駅のロータリー付近で、周辺の再開発などが影響しているとみられる。

 路線価の最高額は東京・銀座の鳩居堂前で、1平方メートル当たり4808万円。40年連続トップで前年比8.7%上昇し、過去最高を更新した。1万円札1枚当たりの面積で、約58万5000円となる。

 路線価は午前0時を評価時点とするため、昨年1月1日の夕方に発生した能登半島地震の影響は、今年分で初めて反映された。大きな被害を受けた石川県輪島市の朝市通りは前年比16.7%マイナス、同七尾市の七尾港線通りでも前年比4.1%マイナスと大幅な下落となった。 

◇路線価の対前年増減率
       25年分  24年分  23年分
北海道     2.4   5.2   6.8
青 森     0.5   0.0 ▲ 0.3
岩 手     0.2   0.6   0.1
宮 城     4.4   5.1   4.4
秋 田     1.1   0.9   0.2
山 形     0.5   0.3   0.2
福 島     1.2   0.9   0.4
茨 城     1.0   0.7   0.4
栃 木     0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.1
群 馬   ▲ 0.1 ▲ 0.5 ▲ 0.7
埼 玉     2.1   2.1   1.6
千 葉     4.3   4.0   2.4
東 京     8.1   5.3   3.2
神奈川     4.4   3.6   2.0
新 潟   ▲ 0.6 ▲ 0.5 ▲ 0.6
富 山   ▲ 0.4 ▲ 0.7 ▲ 0.1
石 川     0.7   1.4   1.1
福 井   ▲ 0.1 ▲ 0.5 ▲ 1.0
山 梨   ▲ 0.4 ▲ 0.2 ▲ 0.6
長 野     0.6   0.4   0.0
岐 阜   ▲ 0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.5
静 岡     0.2   0.0 ▲ 0.3
愛 知     2.8   3.2   2.6
三 重     0.4   0.1 ▲ 0.4
滋 賀     0.5   0.2   0.0
京 都     3.7   2.4   1.3
大 阪     4.4   3.1   1.4
兵 庫     2.0   1.2   0.5
奈 良   ▲ 1.0 ▲ 0.2 ▲ 0.2
和歌山   ▲ 0.7 ▲ 1.0 ▲ 1.2
鳥 取     0.2 ▲ 0.2 ▲ 0.3
島 根     0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.2
岡 山     1.9   1.7   1.3
広 島     2.3   2.4   1.4
山 口     0.8   0.6   0.4
徳 島   ▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.7
香 川   ▲ 0.1 ▲ 0.3 ▲ 0.6
愛 媛   ▲ 0.5 ▲ 0.8 ▲ 0.9
高 知   ▲ 0.2 ▲ 0.1 ▲ 0.3
福 岡     6.0   5.8   4.5
佐 賀     3.3   2.7   1.9
長 崎     1.1   0.8   0.6
熊 本     2.8   2.7   2.3
大 分     1.7   1.8   0.7
宮 崎     0.4   0.1 ▲ 0.2
鹿児島     0.1 ▲ 0.7 ▲ 0.2
沖 縄     6.3   5.6   3.6
全 国     2.7   2.3   1.5
※平均値、単位は%、▲はマイナス
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/07/01-11:13)

AI OverviewsやChatGPTなどAI検索「対策」への誤解…EEATの深掘りが重要?

●この記事のポイント
・グーグルが重視する指標であるEEATからさらに深掘りして、LLMが探索してくるように信頼性を上げる
・LLMの検索結果として引っ張られるためにはストーリー性や文脈性があるコンテンツを用意
・グーグルでのキーワード検索が速いスピードでLLMに置き換わっているという状況ではない

 昨年(2024年)に「AI Overviews」をリリースし、一部のキーワード検索について機械学習モデルを活用した検索結果・要約情報をページ上位に表示させるようになったグーグル。先月には米国で「AIモード」をリリースするなどAI検索に注力する姿勢をみせている。世界でOpenAIの生成AIモデル「ChatGPT」などを利用する動きが広まるなか、検索エンジンの利用が減少して従来のSEO対策の有効性が低下したり、ネット関連のサービスを手掛ける企業がサイトへの流入減などの影響を受けるのではないかという見方も出ている。

 前編記事では、AIやLLMへの最適化対策として「LLMO」「GEO」「AI SEO」といったキーワードも注目されているなか、SEOとは何が違うのか、また、企業はすぐにでも本格的にLLMOに取り組む必要があるのかを検証した。今回の後編記事では、引き続きLLMOの必要性や、LLMでの検索への対策を検討する上でカギとなる点などを、専門家への見解を交えて追ってみたい。

●目次

LLMOとして対策すべきこと

 企業はすぐにでも本格的にLLMOに取り組む必要があるのか。前編記事で、カスタムAI開発などを通じてクライアントの課題解決を行う株式会社Laboro.AIの執行役員マーケティング部長、和田氏は「企業側としての対策は、これまでとあまり変わらないのではないか」「ただ、GEOやLLMO、AIエージェントの仕組みなどを知った上で従来と同じことをやるのと、知らないでやるのとでは、対策の仕方や結果は微妙に変わってくるとも考えられます」と語っていたが、Laboro.AIのソリューションデザイン部、シニアソリューションデザイナの白鳥氏は「LLMOとして対策すべきことは、いろいろとあるのではないか」という。

「ChatGPTもAI Overviewsも、ユーザーが欲しい情報がそのまま出てくるので、その情報のもとをたどる必要がないということなんですが、一方で、引用元がどこなのかがLLMから出されるので、企業側としてはそこに自社のURLが載るのか載らないのかという点は、かなり重要になってくると思います。では、そこに載せようとした時に、グーグルが重視する指標であるEEAT(Experience<経験>・Expertise<専門性>・Authoritativeness<権威性>・Trustworthiness<信頼性>)からさらに深掘りして、LLMが探索してくるように一次情報をきちんと載せるとか、LLMは文脈単位で理解するので一つのURLに対して一つの主張、一つの出典があるようにしてシンプルで参照されやすいようにしたり、エンティティも同じワーディングをしたりして、信頼性を上げておくと、引っ張られやすくなるというのが、LLMの特性上あるかなと思っています。

 FAQをきちんと分かりやすく載せましょうというのは、従来のSEO対策でやられていたことですが、これをGEOやLLMOとしてやりましょうという観点は、あまりなかった気がしていまして、そこは目新しい話だと感じます」

長すぎずシンプルな構造

 従来の検索エンジンによる検索とLLMの検索の性質の違いも、押さえておくべくだという。

「従来のキーワードによるネット検索とは異なり、LLMでの検索は悩み相談みたいな感じなので、検索する情報の性質が違うという前提はあると思います。検索キーワードに対してサイト上に製品情報やスペック、利用シーンなどの情報を網羅的に揃えておいて、多くのキーワードも散りばめておいてユーザーが探したものがヒットするような状態を作っておくというのが従来の対策の方向でした。一方、LLMでの検索は、FAQよりもっと前の段階の、ユーザーも何が問題なのかすらあまり浮かんでない、どう聞いたらいいかよくわからないような状態で質問を入力するケースが多いので、その検索結果として引っ張られるためにはストーリー性や文脈性があるコンテンツを用意する必要があるのではないでしょうか。

 例えば『近くにあるコワーキングスペース』をネットで検索すると、これまではリストと口コミの要約、グーグルマップでの位置情報などが結果として表示されていましたが、LLMでは文章で口コミなどを要約して結果を返すので、店舗側としては日頃から口コミに対してこまめに返信するといったことが、結構重要になってくるかもしれません。

 また、コンテンツが長すぎると要約が難しいので、検索結果として引っ張られるのが難しくなってくる可能性も考えられます。LLMの出力トークン数を考えると、あまりに長い文章だと処理できませんし、シンプルな構造のほうが引っ張られやすいかもしれません。グーグルもサービサーなので、答えを出力するのに一定以上の時間はかけられないため、短時間で情報をぱっと読み込めて、ぱっと信頼性が確認できるものが好まれるのではないでしょうか。AI Overviewに論文が引用されて出てくることあまりなく、ウェブページなどが引用されて、その情報が出てくることが多いと思います。なぜかといえば、論文を全部読み込んでいては、短時間に中身をすべて参照してユーザーの求める答えに対して解答を出すというのが処理的に間に合わないからでしょう」(白鳥氏)

LLMごとの特性を意識

 どのLLMに情報をより多く出すことを狙うのかを検討することも重要だという。

「OpenAI o3などは、時間をかけてもきちんとした情報を出す必要がある場合には、論文や政府機関が出している情報などをきちんと読み込んで返すという傾向があるので、どのLLMをターゲットにして出すかというのは重要でしょう。LLMを提供する事業者側は結構そのあたりを考えて設計している気がします」(和田氏)

 企業側としてはLLMOを考えるうえでは、消費者の検索のあり方がどう変わっていくのかも考慮すべきだという。

「グーグルでのキーワード検索が速いスピードでLLMに置き換わっているという状態であれば、企業側も早急に対策をしようという話になりますが、そういう空気はあまりないです。世界的にみると検索エンジンでの検索に比べるとLLMでの検索ボリュームは数パーセント程度といわれており、切迫感はそこまで高くはないでしょう。ただ、ファッションや旅行、医療、法律など、対話型の検索がされやすい業界では、LLMでの検索の比率が高まる可能性も考えられ、業界によって切迫感は違ってくるかもしれません」(和田氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=Laboro.AI)

【2025年最新】MAツール比較11選|中小企業向けおすすめマーケティングオートメーション完全ガイド

「マーケティング活動を自動化し、効率的な顧客育成を実現したい」

中小企業にとって、限られたリソースで最大の成果を出すことは永遠の課題です。MAツールの導入により、見込み客の行動データを基に最適なタイミングで最適なコンテンツを配信し、属人化しがちなマーケティング活動を「仕組み」として確立できます。

  • ☑️ マーケティング活動が担当者任せになっている
  • ☑️ 見込み客の育成がうまくいかない
  • ☑️ データに基づく意思決定ができていない

このような課題を解決するため、本記事では MA の基本知識から選定ポイント、おすすめツール11選まで、中小企業の経営者・マーケティング担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。自社に最適なMAツールを見つけ、マーケティングの効率化と売上向上を実現しましょう。

MAとは?CRMとSFAの違い

MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を自動化し、リード獲得から育成、営業への引き渡しまでの一連のプロセスを効率化するシステムです。見込み客の行動データを基に最適なタイミングで最適なコンテンツを自動配信し、購買意欲の向上と営業効率の最大化を実現します。

よく混同されるSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)とは明確に役割が異なります。SFAは営業活動そのものの効率化に特化し、CRMは既存顧客との関係維持・深化を主目的とします。MAはこれらの前段階として、潜在顧客を見込み客に転換し、購買意欲を高めて営業に引き渡すまでのマーケティング活動を自動化する役割を担います。

システム 主な目的 重点分野
MA 見込み客育成とキャンペーンの自動化 リード獲得から育成のプロセス
SFA 営業活動の効率化・自動化 案件管理と売上予測
CRM 顧客データの一元管理と全接点の可視化 顧客情報の蓄積

なぜ今MAなのか ― 導入理由と解決できる課題

組織課題の解決(マーケティングの属人化解消)

「マーケティング施策が担当者の経験や勘に頼っている」「効果的な手法が組織で共有されない」といった状況は、中小企業にとって大きな機会損失です。経済産業省が公表した2025年版中小企業白書でも、データに基づき的確な対策を打つ「経営力」や、デジタル化の重要性が強調されています。

多くの企業ではマーケティング活動が属人化しており、Webサイトの更新やメルマガ配信が場当たり的になりがちです。MAの導入により、見込み客の行動シナリオに基づいたマーケティングプロセスを仕組み化できます。成功パターンを可視化・共有することで、個人のノウハウを組織の資産として蓄積し、担当者の退職や異動による影響を最小限に抑え、組織全体のマーケティング力を底上げできます。

プロセスの可視化(見込み客の行動と育成)

マーケティング活動において最も重要なのは、見込み客が自社を認知してから商談に至るまでのプロセス全体を見える化し、適切に育成することです。多くの場合、Webサイトを訪問しただけの「匿名の見込み客」の行動は追えず、アプローチのタイミングや内容が最適化されていません。

MAは見込み客一人ひとりのWeb行動履歴やメール反応などをリアルタイムで可視化します。スコアリング機能により、購買意欲が高まったホットな見込み客を自動で判別し、営業部門へタイムリーに引き渡すことができます。この可視化と自動化により、どの施策が効果的か、どのコンテンツが見込み客の興味を引くかを把握でき、効率的に商談を創出できます。

データドリブンな意思決定(予測精度マーケティングROIの最大化)

経営判断において、データに基づく客観的な意思決定は企業の競争力を左右します。しかし、多くの中小企業ではマーケティング活動の効果測定が不十分で、広告や展示会などの投資対効果(ROI)が不明確なままになっています。

MAを活用することで、あらゆるマーケティング施策のデータが蓄積され、客観的で精度の高い分析が可能になります。どのチャネルから質の高いリードが獲得できているか、どのコンテンツが成約に貢献しているかなどを数値で把握できます。このデータドリブンなアプローチにより、経営者は正確な情報に基づいてマーケティング予算を最適配分し、事業の成長を加速させる戦略的な意思決定を行えるようになります。

生産性向上(自動化/業務効率化)

中小企業のマーケティング担当者は、本来の戦略立案以外にも膨大な作業を抱えています。リスト作成、メール配信、Web更新、セミナー運営、問い合わせ対応など、これらの定型業務が時間を圧迫しています。

MAの導入により、これらの業務を大幅に自動化・効率化できます。ステップメールの自動配信、Webフォームからのリード情報自動登録、スコアに応じた営業への通知など、様々なプロセスが最適化されます。この自動化により、担当者はより価値の高い活動(コンテンツ企画、データ分析、戦略立案)に集中できるようになり、限られた人的リソースで成果を最大化できます。

MA選定で外せない6つのポイント

マーケティング戦略との適合性

自社のマーケティング戦略や顧客の購買プロセスに合致したMAを選ぶことが重要です。システムに戦略を合わせるのではなく、自社の戦略を実現するシステムを選択しましょう。

例えば、地域の税理士事務所の場合、見込み客は「確定申告の相談」から始まって顧問契約まで数ヶ月かけて検討するため、税務セミナーの案内から個別相談への誘導、定期的な税務情報の配信など、信頼関係を築く長期的な育成が必要です。

一方、オンラインで健康食品を販売する場合は、初回購入者に対するフォローアップメールや定期購入への誘導など、リピート購入を促す短期集中型のシナリオが効果的です。

チェックポイント

  • 自社のマーケティングファネル(認知→興味→比較検討→購買)に対応しているか
  • BtoB、BtoCなど、自社のビジネスモデルに特化した機能があるか
  • 扱っている商材の価格帯や検討期間に適したシナリオ設計が可能か
  • Webサイト、メール、SNS、広告など、自社が注力するチャネルとの連携はスムーズか

使いやすさと定着性

どれほど高機能なMAでも、担当者が使いこなせなければ意味がありません。直感的でわかりやすいユーザーインターフェースを持つMAを選ぶことが、社内への定着と活用促進の鍵です。

チェックポイント

  • プログラミング知識がなくてもシナリオ設定やメール作成ができるか
  • 管理画面やレポートが見やすいか
  • ITツールに不慣れな担当者でも操作を習得できそうか
  • 無料トライアルで実際の業務フローに沿って使用感を確かめられるか

データ分析・レポート機能

マーケティング施策を改善するためには、データに基づく分析が不可欠です。施策の効果測定やROI分析に必要な機能が揃っているか確認しましょう。

例えば、メルマガ配信とWebセミナーを実施した場合、「メルマガの開封率20%、クリック率5%、セミナー申込率2%」といった数値から、どの部分で見込み客が離脱しているかを把握できます。また、「Google広告経由のリードは月10件で商談化率30%、展示会経由は月5件で商談化率60%」という分析により、限られた予算をより効果的なチャネルに集中投資する判断ができるようになります。

チェックポイント

  • キャンペーン別の効果測定(開封率、クリック率、コンバージョン率)
  • リードソース(流入経路)別の貢献度分析
  • スコアリングのロジックやレポートのカスタマイズ性
  • A/Bテストなど、施策を改善するための機能
  • 経営層向けのKPI分析機能(リード獲得単価、商談化率、受注貢献度など)

外部システム連携

MAは単独で使うよりも、SFAやCRMといった既存システムと連携させることで効果を最大化できます。将来的な拡張性も見据えた選択が重要です。

チェックポイント

  • SFA/CRMとの連携は可能か(双方向のデータ同期)
  • WebサイトのCMSやECカートシステムとの連携
  • 名刺管理ツール、Web会議ツール、SNSなどとの連携
  • データのインポート/エクスポート機能の柔軟性
  • APIが公開されており、独自のシステム連携が可能か

AI機能と自動化

MAの世界でもAI活用が急速に進んでいます。人的リソースが限られる中小企業にとって、AI機能はマーケティングの精度と生産性を飛躍させる強力な武器となります。

例えば、従来は担当者の経験と勘で「この見込み客はそろそろ営業にパスしよう」と判断していたものが、AIなら過去のデータから「Webサイトを5回以上訪問し、料金ページを閲覧した見込み客の商談化率は80%」といった精密な分析で最適なタイミングを自動判定できます。また、メールの件名も「お疲れ様です」よりも「【限定5社】無料診断のご案内」の方が開封率が30%高いといった有効な施策をAIが学習し、自動で最適な文面を提案してくれます。

チェックポイント

  • AIによるリードスコアリングの最適化
  • 顧客の行動予測に基づく、最適なコンテンツやタイミングのレコメンド機能
  • メールの件名やコンテンツの自動生成
  • 広告配信の自動最適化
  • 経験の浅い担当者を支援する分析・提案機能

サポートとコスト

導入後の成功を左右するサポート体制とコストパフォーマンスを総合的に評価しましょう。特に中小企業では、限られた予算で最大の効果を得ることが重要です。

チェックポイント

  • 導入時の設定支援やトレーニング、運用開始後のコンサルティングといったサポートの充実度
  • 日本語での問い合わせ対応(メール、電話、チャット)の品質と時間帯
  • 初期費用、月額料金(登録リード数やメール配信数に基づく課金体系か)
  • 少人数・小規模からスタートできる料金プランの有無
  • 長期利用での総コストと投資対効果(ROI)の見込み

中小企業におすすめのMAツール11選

BowNow

出典:公式サイト

クラウドサーカス株式会社が提供する「BowNow」は、無料で始められる手軽さとシンプルな操作性で、中小企業から多くの支持を集めるMAツールです。特にBtoBマーケティングに必要な機能を絞り込んでおり、「Webサイトに訪問した企業名がわかる」といった強力なリード獲得機能が特徴です。

サービス名 BowNow(バウナウ)
費用 月額36,000円~
主な特徴 ・見込み顧客の行動解析やメール配信などMA機能が豊富
・ChatGPT連携でメール文自動生成などAI活用が先進的
・無料の導入支援や勉強会で初心者でも定着しやすい
無料トライアル・プラン フリープランあり

おすすめの企業

BowNowは、MAツールを初めて導入する企業や、コストを抑えてマーケティングを始めたい中小企業に最適です。特に「複雑な設定は不要で、すぐに使い始めたい」「営業部門と連携し、Webからの見込み客を効率的にフォローしたい」「まずは無料でMAの効果を試してみたい」といった企業に適しています。

List Finder(リストファインダー)

出典:公式サイト

株式会社Innovation X Solutionsが提供する「List Finder」は、BtoBに特化したMAツールです。シンプルな操作性と手頃な価格帯で、特にデジタルマーケティングの初期段階にある企業を支援することに重点を置いています。マーケティング機能だけでなく、一部SFA(営業支援)の機能も内包しているのが特徴です。

サービス名 List Finder(リストファインダー)
費用 月額45,000円~(税抜)
主な特徴 ・ウェブ来訪者の企業名特定や行動解析などMA機能が充実
・AIによるスコアリングやアプローチ自動化で効率的運用
・無料サポートや操作ガイドで初めてでも安心して定着
無料トライアル・プラン フリープランあり

おすすめの企業

List Finderは、MAとSFAを連携させて活用したい企業や、Webサイトからの有望なリードを営業部門へ素早く連携させたい場合に最適です。手厚いサポートを受けながらMAの導入・運用を進めたい企業にも適しています。

Kairos3 Marketing

出典:公式サイト

カイロスマーケティング株式会社が提供する「Kairos3 Marketing」は、「マウス操作だけでマーケティング活動が完結する」という直感的な操作性を追求したMAツールです。誰でも簡単に使えることを重視しており、導入から運用まで手厚いサポート体制が整っている点も魅力です。

サービス名 Kairos3 Marketing(カイロスリーマーケティング)
費用 月額15,000円~(税抜)
主な特徴 ・メール配信や顧客管理などMA機能が幅広く利用可能
・AIでメルマガ配信最適化を自動化
・導入サポートや操作説明会が充実し定着しやすい
無料トライアル・プラン 無料トライアルあり

おすすめの企業

Kairos3 Marketingは、ITツールに不慣れな担当者が多い企業や、過去に他のMAツールで挫折した経験がある企業に最適です。「とにかく簡単なツールから始めたい」「専任のマーケターがいなくても成果を出したい」といったニーズに応えます。

b→dash

出典:公式サイト

株式会社データXが提供する「b→dash」は、プログラミング知識不要(ノーコード)でデータの統合・活用ができるデータマーケティングプラットフォームです。MA機能だけでなく、CDPやBI、Web接客など、マーケティングに必要な機能を幅広く搭載しており、散在するデータを一元化して活用できるのが最大の強みです。

サービス名 b→dash(ビーダッシュ)
費用 要問い合わせ
主な特徴 ・データ統合やシナリオ設計などMA機能が多彩に利用可能
・AIが顧客分析や施策自動化をサポートし効率化
・ノーコード操作や導入支援で誰でも定着しやすい
無料トライアル・プラン 資料請求・デモの申し込みが可能

おすすめの企業

b→dashは、社内に散らばる様々なデータを統合して、本格的なデータマーケティングに取り組みたい企業に最適です。「エンジニア不在でもデータ活用を進めたい」「複数のツールを一つにまとめて管理コストを削減したい」といった課題を持つ企業におすすめです。

KARTE(カルテ)

出典:公式サイト

株式会社プレイドが提供する「KARTE」は、サイト訪問者やアプリ利用者の行動をリアルタイムに解析し、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを可能にするCX(顧客体験)プラットフォームです。従来のMAとは一線を画し、「個客」の状況に合わせたきめ細やかなWeb接客を得意としています。

サービス名 KARTE(カルテ)
費用 要問い合わせ
主な特徴 ・Web・アプリの行動データをもとに多彩なMA機能を提供
・AIでユーザー属性や行動を解析し最適な接客を自動化
・直感的なUIと充実サポートで運用・定着がしやすい
無料トライアル・プラン 要問い合わせ

おすすめの企業

KARTEは、ECサイトやBtoCサービスなど、顧客一人ひとりの体験価値を向上させたい企業に最適です。「リアルタイムなWeb接客でCVRを改善したい」「顧客データをもとに、よりパーソナライズされたアプローチを実現したい」といった高度なニーズを持つ企業に向いています。

SATORI

出典:公式サイト

SATORI株式会社が提供する国産MAツール「SATORI」は、特にWebサイトからのリード獲得を最大化することに強みを持っています。フォーム入力前の「匿名の見込み客」へのアプローチ機能が充実しており、Webサイトのトラフィックを無駄なく商談機会につなげることができます。

サービス名 SATORI(サトリ)
費用 月額148,000円~(税抜)
主な特徴 ・匿名リードの獲得や育成など独自のMA機能が強み
・見込み客の行動分析やシナリオ作成を支援
・充実した導入サポートと学習コンテンツで定着しやすい
無料トライアル・プラン 要問合せ

おすすめの企業

SATORIは、Webサイトへの集客はあるものの、なかなかコンバージョン(資料請求や問い合わせ)に繋がらないと悩んでいる企業に最適です。「Webサイト訪問者全体にアプローチしたい」「より多くの見込み客を発掘し、育成したい」といった積極的なマーケティングを展開したい企業に向いています。

SHANON MARKETING PLATFORM

出典:公式サイト

株式会社シャノンが提供する「SHANON MARKETING PLATFORM」は、大規模なイベントやセミナーからデジタルマーケティングまで、あらゆる施策を一元管理できる統合型MAプラットフォームです。BtoBマーケティングに求められる複雑な要件に対応できる豊富な機能と、堅牢なセキュリティが特徴です。

サービス名 SHANON MARKETING PLATFORM
費用 月額120,000円~(要問い合わせ)
主な特徴 ・セミナー管理やメール配信など多機能なMA機能を搭載
・顧客データ分析やシナリオ作成を簡易化
・サポート専門のスタッフや豊富な運用支援で定着・活用がしやすい
無料トライアル・プラン デモの申し込みが可能(要相談)

おすすめの企業

複数のマーケティングチャネルを駆使する大企業や中堅企業に最適です。「オフラインのイベントとオンライン施策を連携させたい」「コンプライアンスやセキュリティを重視した運用がしたい」といった高度なニーズを持つ企業に向いています。

HubSpot Marketing Hub

出典:公式サイト

HubSpot Japan株式会社が提供する「HubSpot Marketing Hub」は、世界中で高いシェアを誇るオールインワンのマーケティングプラットフォームです。強力な無料CRMを基盤に、MA、SFA、CMSなどの機能を統合。「インバウンドマーケティング」の思想に基づき、顧客を惹きつけ、関係性を構築するための機能が豊富に揃っています。

サービス名 HubSpot Marketing Hub
費用 月額96,000円(税抜、3コアシート含む)等 ※年額分一括払い
主な特徴 ・顧客管理やメール配信、LP作成等MA機能を一体提供
・AIでリード分析やコンテンツ最適化を自動化し効率化
・直感的な操作性と日本語サポートで導入・定着がしやすい
無料トライアル・プラン フリープラン、有料プランのデモあり

おすすめの企業

「インバウンドマーケティングを本格的に実践したい」「無料から始めて事業の成長に合わせて拡張したい」と考える、あらゆる規模の企業に最適です。マーケティング、営業、カスタマーサービスを一つのプラットフォームで連携させ、顧客情報を一元管理したい企業にも強く推奨されます。

Zoho Marketing Automation

出典:公式サイト

ゾーホージャパン株式会社が提供する「Zoho Marketing Automation」は、Eメール、SMS、SNSなど多岐にわたるチャネルでのマーケティングを自動化するプラットフォームです。強力なCRM機能を内包するZohoエコシステムの一部として、リードの獲得から育成、顧客化までを一気通貫で管理できるのが特徴です。

サービス名 Zoho Marketing Automation
費用 月額1,710円~(税抜、年間払い、10ユーザ含む)
主な特徴 ・メール配信やリード管理など多彩なMA機能を標準搭載
・リードスコアリングやキャンペーン最適化を強化
・充実した日本語サポートと直感的なUIで定着しやすい
無料トライアル・プラン 14日間無料トライアルあり

おすすめの企業

「複数のチャネルを横断したマーケティング施策を実行したい」「Zoho CRMなど既存のZoho製品とシームレスに連携したい」「コストを抑えつつ高機能なMAを導入したい」と考える企業に最適です。

Mailchimp(メールチンプ)

出典:公式サイト

Intuit Mailchimpが提供する「Mailchimp」は、世界的に最も有名なEメールマーケティングプラットフォームの一つです。美しいデザインのメールを直感的に作成できることで定評があり、近年はマーケティングオートメーション機能も強化されています。

サービス名 Mailchimp(メールチンプ)
費用 要問合せ
主な特徴 ・メール配信やリスト管理などMA機能を簡単操作で利用
・AIによる配信タイミング最適化やコンテンツ強化提案
・豊富なテンプレート
無料トライアル・プラン 要問合せ

おすすめの企業

スタートアップ、中小企業、個人事業主、クリエイターなど、まずはEメールマーケティングから始めたい層に最適です。「デザイン性の高いメールを手軽に配信したい」「無料からスモールスタートしたい」というニーズに応えますが、管理画面やサポートが英語である点には注意が必要です。

Benchmark Email(ベンチマークイーメール)

出典:公式サイト

株式会社ベンチマークジャパンが提供する「Benchmark Email」は、メールマーケティングに特化したMAツールです。ドラッグ&ドロップの簡単な操作で、誰でもプロ品質のHTMLメールを作成できるのが最大の特徴。豊富なテンプレートとAIによるコンテンツ作成支援機能も備わっています。

サービス名 Benchmark Email(ベンチマークEメール)
費用 有料プランは月額1,964円~(税抜、年契約の場合)
主な特徴 ・メール配信やリスト管理などMA機能を直感的に利用可能
・AIによる件名提案や配信最適化、効果的なMAを実現
・操作ガイドや日本語サポートの充実により定着しやすい
無料トライアル・プラン 無料プランあり

おすすめの企業

「とにかく簡単に、見栄えの良いメルマガを配信したい」という企業や店舗に最適です。専門知識がなくてもすぐに始められ、ステップメールやレポート機能など、メールマーケティングに必要な基本機能が揃っているため、MA導入の第一歩として適しています。

まとめ

マーケティングオートメーション(MA)は、もはや大企業だけのものではありません。むしろ、リソースが限られる中小企業こそ、その真価を最大限に発揮できる強力なツールです。属人化しがちなマーケティング活動を「仕組み」へと転換し、データに基づいて顧客一人ひとりと向き合うことで、安定した事業成長のサイクルを生み出します。

特に、AI技術の進化はMAの価値を飛躍的に高めています。AIによる高精度なリードスコアリングや、顧客の行動を予測したコンテンツ提案は、経験の浅い担当者でもベテランのような成果を出すことを可能にします。これは、競合他社との差別化を図る上で決定的な武器となり得ます。

しかし、導入成功の鍵は「自社に最適なツールを選ぶ」ことに尽きます。多機能な海外製ツールから、特定の課題解決に特化した国産ツールまで選択肢は多様です。重要なのは、背伸びをして高機能なツールを導入することではなく、自社のマーケティング戦略やチームのスキルレベルに合致し、現場が「使いこなせる」ツールを選ぶことです。この記事で示した6つの選定ポイントを参考に、自社の課題と目的を明確にしましょう。

幸い、多くのMAツールが無料プランやトライアル期間を設けています。これは、リスクなく自社との相性を試す絶好の機会です。実際の業務フローに沿って操作性や機能性を試し、本当に日々の業務に定着するかを見極めてください。最適なMAツールは、単なる業務効率化ツールに留まらず、企業のマーケティング文化そのものを変革し、未来の成長を牽引する戦略的パートナーとなるでしょう。

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エネルギー安保、議論は低調=原発・再エネ活用、論点化せず―「深掘り・日本の課題」【25参院選】

 米国によるイラン核施設への攻撃による中東情勢の緊迫化は、原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖懸念を強め、化石燃料を輸入に頼る日本のエネルギー安全保障に大きな影を落とした。エネルギー自給率の向上は積年の課題だが、参院選では、政策全体を見渡したエネルギー安定供給策の議論は低調なままだ。最大のカギである原発活用の賛否は野党間で割れ、推進派の自民も選挙公約では明確に触れずに総合政策集での説明にとどめている。再生可能エネルギーには各党前向きだが、主張には温度差があり、いずれも論点化していない。

◇自民、選挙公約では触れず

 政府が2月に閣議決定したエネルギー基本計画は、過去明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削除。脱炭素電源としての原発と再生可能エネルギーを「最大限活用する」方針に転換した。生成AI(人工知能)の普及に伴い、データセンターや半導体工場の新増設で電力需要増加が見込まれているためだ。電力広域的運営推進機関は、2034年度には24年度比5.8%増加の8524億キロワット時になると想定する。

 与党である自民党も24年の衆院選で「原子力の活用など脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」としていた。ところが、今回の選挙公約では原発には明確に触れず、「電力の供給力確保に万全を尽くし、エネルギー安定供給に取り組む」と主張。「原発の最大限活用」を前面に打ち出さなかったことから、与野党の対立軸としての原発政策はぼやけ、活発な論戦は起きていない。

◇割れる野党、再エネでもばらつき

 対する野党各党も、原発政策は大きく割れており、再エネ政策の主張にもばらつきがある。例えば、国民民主党は海外依存度の低い電源である原発や再エネを「積極的に活用する」と主張し、エネルギー自給率50%の実現を掲げる。

 一方で、立憲民主党は「原発の新増設を認めない」との方針を掲げ、50年の再エネによる発電100%の実現を主張する。再エネ・省エネについては「公的資金50兆円を含む200兆円を投入する」とうたう。共産党は「原発ゼロ」を訴え、40年度までに電源すべての再エネ化を目指し、れいわ新選組も「原発即時廃止」の立場だ。

 ただ、再エネには二酸化炭素(CO2)を排出しないメリットはあるものの、発電量が天候に左右されるなど安定供給の課題も残る。各党の公約はその解決策までは十分に踏み込んでいない。

 政府は、40年度の電源構成で原発の割合を現在の8.5%から2割程度にまで引き上げ、エネルギー自給率を現在の1割台から40年度に3~4割程度に向上させたい考え。しかし、達成には原発30基超の稼働が必要で、14基にとどまる現状では実現には程遠い。新増設も、国民民主党や日本維新の会などが次世代原発の建設推進を掲げるものの、実現に向けた高いハードルを乗り越えるような論戦の高まりは起きていない。

◇原発、再エネ最大限活用を

 新美陽大・日本総合研究所主任研究員 原発、再生可能エネルギーをともに最大限活用するしかない。特定の電源に依存することはリスクを伴う。原発は再稼働だけでなく新増設も必要だが、見通せない状況にある。再エネも推進すべきだが、発電量が天候に左右されやすく、需給調整が難しい課題がある。

 原発や再エネに関する各政党の主張には違いがあるが、電気料金がどのくらいになるかや、安定供給の観点での踏み込んだ議論はされていない。政府は電気・ガス代を下げるための補助金も支給しているが、焼け石に水だ。エネルギーの安全かつ安価で、安定した供給体制構築に向け、将来の産業構造を見据えた政策を進めるべきだ。

◇原発でなく再エネに投資を

 松久保肇・原子力資料情報室事務局長 政府の原発政策は、依存度低減から、積極活用に転換した。しかし、原発を今後も使っていくべきかの議論は必要だ。東京電力福島第1原発の事故から14年が経過したものの、停止し続けている原発が今なおある。電力の安定供給に助けとならないものに投資を続けている。

 欧米では建設コストが高額となり、原発は競争力のない電源となりつつある。日本は2040年度に電源における原発の比率を2割程度まで引き上げる目標を掲げたが、実現には相当大きな投資が必要であり、是非を議論すべきだ。気候変動が厳しさを増す中、運転までに時間のかかる原発に悠長に投資をしている場合ではない。今すぐ再エネに回すべきだ。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/07/12-16:00)

ファストリ、空前の好業績の理由…止まらないユニクロ事業の拡大、国内売上1兆円が視野に

●この記事のポイント
・ファストリの2024年9月~25年5月期連結決算、純利益は前年同期比8%増で最高益
・日本、欧州、北米、東南アジア・インド・豪州地区、韓国のユニクロ事業が好調
・気温に左右されにくいビジネスを展開でき、期を通して通年商品の販売が好調

 ファーストリテイリングは10日、2024年9月~25年5月期連結決算を発表。純利益は前年同期比8%増の3390億円と同期間としては最高益となった。25年8月期通期の業績予想は売上収益(売上高に相当)が前期比10%増の3兆4000億円、純利益は同10%増の4100億円で据え置かれ、過去最高の業績になる見込み。日本、欧州、北米、東南アジア・インド・豪州地区、韓国のユニクロ事業が好調であり、通年商品の在庫を十分にもつことで気温に左右されにくいビジネスを展開でき、期を通して通年商品の販売が好調。店舗販売員の時給アップや正社員の報酬引き上げにより人件費は増加したものの、店舗オペレーションの効率化による生産性向上でそれを吸収している点が注目される。ファストリ好調の理由について、識者への取材を交えて追ってみたい。

●目次

国内ユニクロ事業の売上が1兆円の大台に

 今回発表された業績で注目すべき点について、アパレル業界でトレンドリサーチやコンサル事業などを手がけるココベイ社長の磯部孝氏はいう。

「7~8月に失速せずにこのままでいくと、国内ユニクロ事業の売上が1兆円の大台に乗るほどの勢いです。日本のアパレル市場は年間8~9兆円といわれており、そのうちの1兆円を一つのチェーンが占めるという状況になります」

 ファストリの業績拡大の要因は何か。

「私が観察している限り、東京都心の大型店、例えば銀座や有楽町などの旗艦店には連日、ものすごい数のインバウンドが押し寄せており、それが売上を押し上げている面もあるでしょう。また、感謝祭やゴールデンウィーク商戦などの大型商戦が非常に盛況でして、ファストリが打ち出す施策が今のところ当たっているという印象があります。このほか、海外ブランドのANYA HINDMARCHとのコラボレーションをはじめ、さまざまな仕掛けがファストリの読み通り、もしくは読み以上に成功しているという印象を受けます」(磯部氏)

懸念はグレーターチャイナ

 逆に懸念材料はあるのか。

「米国トランプ政権の高関税政策の影響が指摘されていますが、北米市場はファストリが非常に重要視している市場とはいえ、ユニクロの店舗数は74店(25年6月30日現在)であり、全世界の約2500店舗のうちの数%にすぎないため、全体でみれば影響はほぼないといっていいでしょう。一方、海外ユニクロ事業の柱であるグレーターチャイナが減収減益となっている点は、やや心配の種かもしれません」(磯部氏)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=磯部孝/ファッションビジネス・コンサルタント)