データセンターの冷却効率化=消費電力減へ技術開発支援―環境省

 環境省は、データセンターの消費電力を低減するため、冷却システムの効率化を支援する方針を固めた。生成AI(人工知能)の普及で、国内ではセンターの新増設が今後も見込まれることから、省エネルギー化につながる冷却技術の開発に取り組む事業者に補助する。2026年度予算概算要求に関連経費約18億円を計上する。

 センター内で24時間稼働するサーバーやネットワーク機器は大量の熱を放出することから、故障や誤作動防止のため、空調などで冷却されている。冷却に要する消費電力は、センター全体の約3割に上るという。

 発熱量は、サーバーの処理能力向上に伴って増加し、今後約10年でセンターや半導体工場で必要となる電力量は約6%増える見込みだ。一方、政府は50年までに脱炭素社会の実現を掲げており、従来の空調よりもエネルギー効率が高い冷却技術の開発を急ぐ。

 具体的には、施設内に水を循環させたり、サーバーなどを特殊な液体に完全に浸したりして冷やす方式を念頭に、事業者への支援を行う方針。センターの規模や設置条件にかかわらず、安価で効率的な冷却設備が普及するよう後押しする考えだ。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/08/20-18:17)

いつも混雑のサイゼリヤが、集客力アップの施策「朝食メニュー」を1店舗限定で始めた理由

・「サイゼリヤ」が、1店舗限定で朝食セットメニュー「朝サイゼ」を提供していることが話題を呼んでいる
・手間がかからずオペレーションも軽いメニュー構成のため、全体でみると人手不足と人件費高騰の影響を和らげられる
・セットメニュー化して単品メニューより高い価格を設定することで、利幅を確保しやすいという面も

 イタリアンチェーン「サイゼリヤ」が、1店舗限定で朝食セットメニュー「朝サイゼ」を提供していることが話題を呼んでいる。店舗は東京都・江東区の「大島ピーコックストア前店」で提供時間は午前7時〜10時。サイゼリヤの業績は好調だ。2024年9月~25年5月期連結決算は、売上高が前年同期比15%増の1883億円、純利益は同50%増の77億円と好調で、店舗は『常に混雑している』というイメージも強く、集客に困っている様子はみえない。にもかかわらず、なぜサイゼリヤは、さらなる集客策ともいえる「朝サイゼ」を発売したのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

幅広い層の方が働ける環境をつくる

 国内に1038店舗、海外に531店舗(2024年8月期)を展開するサイゼリヤといえば、リーズナブルな価格でクオリティの高い料理を楽しめ、多くのファンを持つことで知られる。200円の「柔らか青豆の温サラダ」、300円の「辛味チキン」「ミラノ風ドリア」「ポップコーンシュリンプ」、400円の「ミートソースボロニア風」などお手頃な価格で味わえる人気メニューを抱えている。

 前述のとおり国内既存店の売上は好調であり、常に混雑しているイメージも強く集客に困っている様子はみえないが、さらなる集客力強化策とみられる朝食メニューを始めた理由は、何であると考えられるのか。店舗で実食し「コスパ的に非常に優れている」と評価するフードアナリストの重盛高雄氏はいう。

「従来の低価格路線を打ち破って、新しいお客さんに来ていただくための試行錯誤をしているのではないでしょうか。基本的にサイゼリヤは7~9時台という朝早い時間帯は営業していませんが、その時間帯も営業して通常のメニューとはがらっと変わったメニューを展開して、これまでと違った客層を呼び込もうとしているようにみえます。実際に私が店内で観察した限りでは、ご高齢の方が朝メニューを注文している傾向がみられました。一方、若年層は『ミルクジェラート』やドリンクバーに好みの単品メニューを組み合わせて注文するお客さんが多いようでした。

 また、朝のみのオリジナルメニューは『焼きシナモンフォッカチオ』と、『パンチェッタとチーズのパニーニ』の2種類であり、店舗側としては手間がかからずオペレーションも軽いため、手間がかかるメニューではなく朝メニューを選ぶ人が増えれば、全体でみると人手不足と人件費高騰の影響を和らげられるというメリットもあるでしょう。サイゼリヤの店舗の従業員には若い方以外の方も多く見受けられますが、特に人材の奪い合いが進行している外食業界では、年齢・国籍・性別問わず幅広い層の方が働ける環境をつくるということが重要になってきます。

 セットで選ぶことができるポテトとドリンクバーは日常的にサイゼリヤで提供されているものなので、それに『焼きシナモンフォッカチオ』か『パンチェッタとチーズのパニーニ』を追加すれば済みます。セットメニュー化して単品メニューより高い価格を設定することで、利幅を確保しやすいという面もあるでしょう。特にサイゼリヤは『値上げをしない』と宣言しているため、その点は重要な要素かもしれません」

新たな客層を取り入れていくことの重要性

「値上げをしない」と宣言しているサイゼリヤだが、原材料費や人件費が高騰するなかで増収増益、特に純利益は大幅な増益となっている要因はなんなのか。

「店内の客層を観察してみると、これまで居酒屋系で食事をしていた職場関係のグループ客などが、サイゼリヤに流れてきているように見受けられます。そうしたこともあり、サイゼリヤはいつ行っても常に満席に近い状況ですし、DX導入などで店舗オペレーションも非常に効率的に回している印象を受けるので、これらが増収増益につながっていると考えられます。

 集客には困っていないようにみえるといっても、やはりお客様に来ていただいて売上が伸びないと利益は上がりませんし、そのために、これまでは“空いている時間帯”だった朝という時間帯も営業することで、新たな客層を取り入れていくことは重要となってくるでしょう」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

いつも混雑のサイゼリヤが、集客力アップの施策「朝食メニュー」を1店舗限定で始めた理由

・「サイゼリヤ」が、1店舗限定で朝食セットメニュー「朝サイゼ」を提供していることが話題を呼んでいる
・手間がかからずオペレーションも軽いメニュー構成のため、全体でみると人手不足と人件費高騰の影響を和らげられる
・セットメニュー化して単品メニューより高い価格を設定することで、利幅を確保しやすいという面も

 イタリアンチェーン「サイゼリヤ」が、1店舗限定で朝食セットメニュー「朝サイゼ」を提供していることが話題を呼んでいる。店舗は東京都・江東区の「大島ピーコックストア前店」で提供時間は午前7時〜10時。サイゼリヤの業績は好調だ。2024年9月~25年5月期連結決算は、売上高が前年同期比15%増の1883億円、純利益は同50%増の77億円と好調で、店舗は『常に混雑している』というイメージも強く、集客に困っている様子はみえない。にもかかわらず、なぜサイゼリヤは、さらなる集客策ともいえる「朝サイゼ」を発売したのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

幅広い層の方が働ける環境をつくる

 国内に1038店舗、海外に531店舗(2024年8月期)を展開するサイゼリヤといえば、リーズナブルな価格でクオリティの高い料理を楽しめ、多くのファンを持つことで知られる。200円の「柔らか青豆の温サラダ」、300円の「辛味チキン」「ミラノ風ドリア」「ポップコーンシュリンプ」、400円の「ミートソースボロニア風」などお手頃な価格で味わえる人気メニューを抱えている。

 前述のとおり国内既存店の売上は好調であり、常に混雑しているイメージも強く集客に困っている様子はみえないが、さらなる集客力強化策とみられる朝食メニューを始めた理由は、何であると考えられるのか。店舗で実食し「コスパ的に非常に優れている」と評価するフードアナリストの重盛高雄氏はいう。

「従来の低価格路線を打ち破って、新しいお客さんに来ていただくための試行錯誤をしているのではないでしょうか。基本的にサイゼリヤは7~9時台という朝早い時間帯は営業していませんが、その時間帯も営業して通常のメニューとはがらっと変わったメニューを展開して、これまでと違った客層を呼び込もうとしているようにみえます。実際に私が店内で観察した限りでは、ご高齢の方が朝メニューを注文している傾向がみられました。一方、若年層は『ミルクジェラート』やドリンクバーに好みの単品メニューを組み合わせて注文するお客さんが多いようでした。

 また、朝のみのオリジナルメニューは『焼きシナモンフォッカチオ』と、『パンチェッタとチーズのパニーニ』の2種類であり、店舗側としては手間がかからずオペレーションも軽いため、手間がかかるメニューではなく朝メニューを選ぶ人が増えれば、全体でみると人手不足と人件費高騰の影響を和らげられるというメリットもあるでしょう。サイゼリヤの店舗の従業員には若い方以外の方も多く見受けられますが、特に人材の奪い合いが進行している外食業界では、年齢・国籍・性別問わず幅広い層の方が働ける環境をつくるということが重要になってきます。

 セットで選ぶことができるポテトとドリンクバーは日常的にサイゼリヤで提供されているものなので、それに『焼きシナモンフォッカチオ』か『パンチェッタとチーズのパニーニ』を追加すれば済みます。セットメニュー化して単品メニューより高い価格を設定することで、利幅を確保しやすいという面もあるでしょう。特にサイゼリヤは『値上げをしない』と宣言しているため、その点は重要な要素かもしれません」

新たな客層を取り入れていくことの重要性

「値上げをしない」と宣言しているサイゼリヤだが、原材料費や人件費が高騰するなかで増収増益、特に純利益は大幅な増益となっている要因はなんなのか。

「店内の客層を観察してみると、これまで居酒屋系で食事をしていた職場関係のグループ客などが、サイゼリヤに流れてきているように見受けられます。そうしたこともあり、サイゼリヤはいつ行っても常に満席に近い状況ですし、DX導入などで店舗オペレーションも非常に効率的に回している印象を受けるので、これらが増収増益につながっていると考えられます。

 集客には困っていないようにみえるといっても、やはりお客様に来ていただいて売上が伸びないと利益は上がりませんし、そのために、これまでは“空いている時間帯”だった朝という時間帯も営業することで、新たな客層を取り入れていくことは重要となってくるでしょう」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

広告効果の新指標「アテンション」が示す、Spotify広告の可能性

広告を通して生活者と真のエンゲージメントを構築するのが難しい時代。業界では、新しい広告指標である「アテンション(広告に注意が向けられたか)」が注目されています。

本記事では、スポティファイジャパンと電通ジャパン・インターナショナルブランズ(※1)の共同調査レポート「音楽ストリーミング広告のブランドへの影響力」(2025年4月1日発表)をもとに、アテンションが示す、Spotify広告の可能性について、エビデンスを交えながら紹介します。

なぜ、アテンションが注目されているのか?

近年、コンテンツの視聴スタイルは大きく変化しています。スマホ上ではショート動画が絶え間なく流れ続け、簡単にスワイプして他の動画にスキップできてしまう。他にも、スマホでSNSを見つつ、テレビデバイスで動画を視聴することも一般的になりつつあります。デジタル環境は多様で、その中に広告を出稿するクライアントにとっては、広告によって生活者の興味関心を引き、真のエンゲージメントを築くのが難しくなっています。

広告の効果測定の代表的な指標にインプレッションがあります。これは長らく日本でも使われていますが、実際にユーザーが広告を見たかどうかは問わない指標でした。他の指標としてはビューアビリティがあり、こちらはインプレッションより一歩進んだ指標であるものの、ユーザーが実際に広告に注目したかまでは評価できません。そのため、広告主は前述した2つの広告指標に加えて、「アテンションベースの指標」を取り入れ始めています。

Spotify

アテンションは、世界中で実施された大規模なアイトラッキングや行動観察の研究結果をもとに開発されたアルゴリズムによって測定されます。「広告そのものへの集中度を捉えられる」ことが、前述した2つの指標との大きな違いで、広告がユーザーに実際に視認されていたか、どれくらいの時間注目されていたかを正確に評価できます。

「アテンションベースの指標」は、広告が「見られたか」ということに加えて、「本当に視聴者の心を捉えたか」を測るためのものです。「アテンションベースの指標」を広告効果測定に取り入れることで、マーケターはキャンペーンの成果を包括的かつ意味のある形で評価して、より効果的なメディア戦略を立案することができます。

アテンションの主要指標は、「Attention per mille(APM)」で、下記のように算出します。

Spotify

APMにより、1000インプレッションあたり、どれだけのアテンションが得られたかを評価できます。さらに、APMを広告メディアごとに計測すれば、各メディアの広告インプレッションの「質」を比較することもできます。

これまで多くの場合、すべてのインプレッションはどのメディアや広告でも同じ価値を持つという前提に基づいて、メディアプランニングが行われていました。 しかし、この前提では、テレビ、ソーシャルメディアのインフィード、プリロール広告など、メディアが変われば1つの広告にかかる費用と効果も大きく異なることは考慮されていませんでした。

海外のグループも含めたdentsuでは、2019年より米国・英国・豪州の拠点で有数の媒体社の協力を得て、調査レポート「Attention Economy」を発表しました。Attention Economy調査は、業界初のアテンションに特化したグローバル調査であり、その規模と範囲において世界最大級の取り組みです。

この調査では、アイトラッキングやAI技術を活用し、ユーザーの視線・視聴行動をもとに広告へのアテンションを可視化・数値化することで、「表示された広告」ではなく「実際に届けられた広告価値」を評価する新たな基準の確立を目指しています。

また、近年では日本国内でもSpotifyやLumen Research(以下、Lumen社)(※2)、Realeyes(※3)などのパートナー企業と協力し、APMを用いた調査を開始しており、高いアテンションを得た広告はブランド想起にも寄与することが明らかになっています(※4)。

下記のグラフは、アテンションエコノミー調査において、各広告素材のアテンション別のブランド想起率を示したものです。平均視聴時間が長くなるほど、ブランド想起率が高くなっているのが分かります。アテンションが高い(広告の平均視聴時間が長い)ほど、ブランド想起率(特定のカテゴリーの中で、消費者が最初に思い浮かべるブランド名や商品名の割合を表す指標)を高める効果が確認できます。一方でビューアビリティはブランド想起率の向上とそれほど相関が見られません。

Spotify
Each data point represents a test ad: sample size (20), excluding outliers and live streaming

電通ジャパン・インターナショナルブランズには、アテンション調査についての問い合わせが増えており、日本においても、広告効果指標にアテンションを導入するクライアントの事例も増えています。同社が担当するグローバルクライアントの中でも、2024年にはアテンションをメディアKPIの1つとして設定し、媒体を横断して計測・評価する取り組みがありました。また、アテンション効果の可視化だけでなく、アテンションパフォーマンスが高い媒体、プレースメントに対して配信を強化するなどの最適化も加速しています。

Spotify広告は、アテンション継続が強み

アテンションエコノミー調査では、Lumen社の最新のアイトラッキング技術を用いて、各プラットフォームのデジタルフォーマット広告のアテンションを調べました。Spotifyの動画広告も調査対象の1つです。

一方、音声広告はこの技術で計測することはできません。そこで、Lumen社と継続した研究を行っているdentsuは、同社との独占的なパートナーシップにより、音声広告のAPMを高い精度で推定できるアルゴリズムを活用しました。このアルゴリズムは、

・広告接触時間
・ブランド想起
・ブランド選択の向上
・強制的・自発的アテンション

といったAPMに影響するもろもろの要因について膨大なデータに基づいた分析から開発されました。

調査の結果、多くの調査対象の広告フォーマットで、広告が表示されてからのアテンションが2,3秒で半分程度に落ちるのに対し、Spotifyの広告はアテンションが最後まで継続する傾向にあることが分かりました。

Spotify
※調査は、各プラットフォームの広告フォーマットごとに比較。上記グラフはそのうちのいくつかを抜粋。
※アルファベットは「インストリーム広告」など、複数のプラットフォームで同じ広告フォーマットがある場合の識別のため、グラフごとにランダムに付与。グラフごとに付与しているため、記事内のグラフにある調査対象フォーマットは同一のものとは限らない。
※同一ブランドのクリエイティブを複数フォーマットで仕様するなど、クリエイティブ素材による影響は極力抑えるよう設計。

同じデータをAPMの指標で確認すると、Spotifyの動画広告は、調査対象の「インストリーム広告A」のフォーマットに比べて約3倍、「SNS広告B」のフォーマットに比べて約5倍のアテンションを獲得。音声広告でも高い効果となりました。

Spotify

他にも、同じSpotifyの動画広告と音声広告は、長い尺の素材でもアテンションが持続していたため、APMも秒数が長くなるほど高くなっていました。この結果からSpotifyは、広告配信が可能な最大30秒の素材でも効果的であると言えそうです。

Spotify

なぜSpotify広告のアテンションは動画・音声とも高いのか?

Spotifyの動画広告と音声広告においてアテンションが高い主な理由はいくつか考えられます。1つ目は、アプリ全体のUXがスムーズで心地よく、ユーザーを引き込む設計になっていること。2つ目は、広告に対する受容度が高い点。Spotify上のコンテンツが非常に魅力的であるため、ユーザーは「少しの時間を広告に当てても、その後に聴きたい音楽やコンテンツを楽しめるならそれでいい」と考えるのではないかと推察します。

そして3つ目は、スキップするための機会コストが高い点が挙げられます。Spotifyの音声広告は、楽曲と楽曲の間に配信されます。楽曲の再生を遮って広告が流れることはありません。動画広告も、基本的には音声広告と同じで、楽曲と楽曲の間に、かつユーザーが画面を操作するなど、画面を見ていると判断できるタイミングにのみ流れます。

いずれの広告もスキップできない仕様となっているため、ユーザーは自然と広告を視聴・聴取する流れになります。そのため、ユーザーはコンテンツの一部として広告を受け入れる傾向があり、ブランドメッセージが届きやすい環境が形成されています。
 
このように楽曲を楽しむユーザーの体験を重視した設計のため、スポティファイジャパンの別の調査では、日本の85%のユーザーがSpotify広告は「押しつけがましくない」と回答しています。

またSpotifyのグローバル調査でも、Spotifyのコンテンツへのエンゲージメントがほぼそのまま広告のエンゲージメントに移行しているというデータもあります。

Spotifyのブランドセーフな広告配信環境は、配信面を気にしている多くのブランドから評価されています。例えば、音声広告素材を持っていない広告主が、動画広告のみでもSpotifyに継続的に出稿されるケースもあるほどです。

こうしたSpotifyの広告特性から、Spotifyユーザーは、動画広告と音声広告いずれに対してもアテンションを持続しやすい傾向があるのだと考えられます。

実際にSpotifyの音声広告によるブランドリフトサーベイ(BLS)を収集して解析したメタ分析結果によると、フリークエンシー(1人のユーザーが広告に接触する回数)を6、7回、もしくは8回以上重ねても、ブランド認知効果や、興味・関心、購入・利用意向を高める効果が確認できています。これも高いアテンションが持続している中で、ユーザーが「押しつけがましくない」と感じているためだと考えられます。

Spotify

他にも、KDDIの広告キャンペーンでは、Spotifyの音声広告を実施した直後と2週間後で、ブランド認知の残存効果を、他のメディアの動画広告と比較しました。すると、キャンペーン直後を100%とした場合、Spotify音声広告は、動画広告と比べ1.6倍ブランド認知が持続しました。

Spotify

ブランドやキャンペーンを、効率よく効果的、かつブランドセーフな環境でユーザーに認知してもらい、忘れられにくい形で認知を持続させることは、多くのマーケターにとって重要な課題です。Spotifyの動画広告と音声広告は、この課題に対する有効なソリューションになるでしょう。

ユーザーをとりまくデジタルメディアの環境がより複雑になる中で、Spotify広告は動画・音声の両方でアテンションの観点から強いインパクトを残せる可能性があります。電通グループとスポティファイジャパンでは、今後もSpotify広告の効果について研究を続けていきます。

※1 電通ジャパン・インターナショナルブランズ:オンライン・オフラインの統合メディアプランニングおよびコンサルティングを行っている企業。

※2 Lumen Research :Lumen Researchは視線計測に基づく大規模な生体データセットを使用して、人間のアテンションに関する理解を深め、アブランドがアテンションを行動に変える支援を提供する、世界でも有数のアテンション・テクノロジー企業。オンラインおよびオフラインメディア全体における消費者の広告視聴行動を理解すべく、クリエイティブなアテンション調査のため特許取得視線計測技術を初めて開発し、ブランドがあらゆる種類のメディアでアテンションに基づく広告を計画、購入、測定、最適化できるよう注力し進化を続けている。

※3 Realeyes:Realeyesは人間のアテンションや感情反応を測定・予測するコンピュータビジョンAIにおいて世界をリードする企業。90を超える市場で200超の顧客から信頼を得たRealeyesのPreViewソリューションは、認知から販売に至るまでの成果がつながるよう幅広く検証され、人間と合成測定を組み合わせ、あらゆる広告の効果を高める。Mars、Meta、Googleおよびdentsuをはじめとした数々の企業と提携している。

※4 詳細は、電通ジャパン・インターナショナルブランズが2024年10月に発表したレポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー」をご覧ください。


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首都圏の新築マンション、ついに年内、値下がりの兆候?売り出し価格と成約価格の差が拡大

●この記事のポイント
・新築マンションの発売から成約までの期間が徐々に長くなり、100日を超えた
・一部ではリセールバリューが購入時より低下するエリアも出始め
・専門家は「年内の秋頃から冬頃にかけて、値下がりが始まる可能性がある」と指摘

 値上がりを続けてきた首都圏のマンションに異変が起きている。新築マンションの発売から成約までの期間が徐々に長くなり、一つの目安となる100日を超えた。加えて、一部ではリセールバリューが購入時より低下するエリアも出始めているという。専門家は「年内の秋頃から冬頃にかけて、値下がりが始まる可能性がある」と指摘する。住宅販売市場に起きている変化について追ってみたい。

●目次

発売から成約までの期間が長くなりつつある理由

 発売から成約までの期間が長くなりつつある理由について、住宅ジャーナリストの山下和之氏はいう。

「価格が高くなりすぎているなど、買う側にとっていろいろ問題が生じているということではないでしょうか。価格が高くなれば、多額のローンが必要になり、ローンの手当てに時間がかかる、場合によってはローンが下りない。例えば5000万円のローンを組む予定だったのが、それでは足りなくなって6000万円組まないと買えなくなり、銀行は『あなたの年収では6000万円は組めません』と判断するケースなどです。そうなると購入検討者は自己資金を増やす必要があり、親に頼み込んだり他の銀行に貸してくれるよう交渉したりと時間がかかる。場合によっては、購入をやめたり、価格を下げて物件を再検討したり、エリアを変えるといったことが必要になってきます。たとえば、築20年の中古マンションを買おうと思っていたけど、価格が上がって買えないので、築30年、40年の物件まで選択肢を広げてみるという人もいるでしょう。

 東日本不動産流通機構が公表している築年別の成約価格をみると、築5年未満の築浅マンションのほうが、新築マンションより高いという例も出ています。なぜかといえば、新築マンションの供給が少なくなって、エリアによっては新築マンションが出てこないので、新築の相場よりも高い価格で取引されるような現象が起きているのです。ですが築10年を超えると段階的に下がってきて、築30年以上になると首都圏でも2000万円ぐらいにまで下がり、築浅マンションの3分の1くらいの価格で買えるようになります。買う側は、こうしたことを検討する時間が必要になってきており、成約までの時間が長くなってきています。

 2000~22年にかけては、販売から成約までの平均期間が70~80日くらいで、ミニバブルといえる状況で住宅価格が急速に上がり、多くの人が『早く買っておかないといけない』と買い急ぐ傾向が強くなりました。ですが23~24年に入ると高くなりすぎて『もう手が届かない』ということで購入が難しくなってきています。この状況はおそらく今年も続くでしょう。

 都心の2~3億円する超高層マンションは外国人も含めた超富裕層が現金で買うので、相変わらず発売後すぐに売れます。一方で、一般の人々が買うような5000~6000万円レベルの物件は、年内に価格はほぼ天井を打って横ばいから多少下がる傾向も出てくると思いますが、それでもまだ高いので、発売から成約までの日数は長くかかると考えられます」

リセールバリューが下がっているエリアも

 首都圏でも一部でリセールバリューが下がっているエリアが出てきてる。

「東京カンテイのデータでは、首都圏にある駅のうち10年前に分譲されたマンションのリセールバリューが下がっているのは9駅。山手線の内側は概ね1.5倍以上、都心5区だと2倍くらいになっています。下がっているのは本川越駅(西武新宿線)や東浦和駅(JR武蔵野線)などで、理由としては、分譲時に駅名につられて割高な価格が付けられていた可能性が考えられます。浦和は、さいたま市の中でも文教エリアとして住宅価格の相場は高いですが、東浦和駅は住所としては浦和区ではなく、駅名に『浦和』という地名が入っているため、浦和区の相場に基づいて、本来の実力以上の値付けがされていたのかもしれません。

 同じく埼玉県でいえば、例えば大宮駅周辺は人気エリアで価格が高いものの、一駅離れればぐんと安くなるのですが、なかには“大宮価格”で売り出されている物件があるかもしれません。ですので住宅を購入する際には、そうした値付けに騙されないように注意したほうがよいでしょう」(山下氏)

首都圏の住宅価格の下落が始まる可能性

 発売から成約までの期間の長期化や一部エリアでのリセールバリューの低下は、首都圏の住宅価格の下落が始まる兆候と捉えることはできるのか。

「年内、秋頃から冬頃にかけて値下がりが始まる可能性があると考えています。首都圏のマンションは駅から徒歩5分圏内であることが資産価値を維持するための条件ですが、徒歩5分圏内ではなかなか確保しづらくなっています。徒歩10分圏内まで選択肢を広げる人が増えていますが、戸建ては別として、マンションであれば徒歩5分圏内にこだわることをお勧めしています。

 東日本不動産流通機構が公表しているデータによれば、過去1年間、新規登録価格、つまり売り出し価格は右肩上がりが続いている一方、成約金額はほぼ横ばいで、その差が徐々に開いており、成約価格が新規登録価格を1割ほど下回っているケースが増えています。要するに、それだけ値引き交渉が行われ、売主や販売業者が値下げを受け入れているということなんです。販売業者は売り出しから成約までの日数が長くなってきていることもあり、かつ『こんな高い価格では買えません』という人が増えているので、年内には成約価格もそろそろ頭打ちになって、下がっていくと思われます。

 数年前まで新築マンションは『買った瞬間に2割下がる』というのが常識でしたが、ここ数年は急速に価格が上がって、それが通用しなくなっており、今は局地バブルといえる状況です。それがそろそろ今年から来年にかけて終わる、通常の状態に戻り始める可能性があります。ですので、これから買う人は『いつまでも上がる』と思って買わないでください。東京23区で駅から徒歩5分以内のタワーマンションや大手不動産会社が手掛ける大規模マンションは別として、そうでないごく普通の小規模物件や大手不動産業者以外が手掛けるマンションは下がっていくかもしれません。

 また、建築費が上がっているので、これまでと同じ価格レベルを維持したまま、70平米を65平米にしたり、設備のスペックを落としたり、天井の高さを2.5mから2.45mに低くしたりと、わかりにくいところで、こっそり物件のレベルを下げるということが、すでに行われ始めています。先日見学にいった200戸クラスのマンションでも、キッチンのディスポーザーがありませんでした。こういったかたちで、売り出し価格を維持したまま、実質的には物件の価値が下がるということが広がるかもしれません」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=山下和之/住宅ジャーナリスト)

首都圏の新築マンション、ついに年内、値下がりの兆候?売り出し価格と成約価格の差が拡大

●この記事のポイント
・新築マンションの発売から成約までの期間が徐々に長くなり、100日を超えた
・一部ではリセールバリューが購入時より低下するエリアも出始め
・専門家は「年内の秋頃から冬頃にかけて、値下がりが始まる可能性がある」と指摘

 値上がりを続けてきた首都圏のマンションに異変が起きている。新築マンションの発売から成約までの期間が徐々に長くなり、一つの目安となる100日を超えた。加えて、一部ではリセールバリューが購入時より低下するエリアも出始めているという。専門家は「年内の秋頃から冬頃にかけて、値下がりが始まる可能性がある」と指摘する。住宅販売市場に起きている変化について追ってみたい。

●目次

発売から成約までの期間が長くなりつつある理由

 発売から成約までの期間が長くなりつつある理由について、住宅ジャーナリストの山下和之氏はいう。

「価格が高くなりすぎているなど、買う側にとっていろいろ問題が生じているということではないでしょうか。価格が高くなれば、多額のローンが必要になり、ローンの手当てに時間がかかる、場合によってはローンが下りない。例えば5000万円のローンを組む予定だったのが、それでは足りなくなって6000万円組まないと買えなくなり、銀行は『あなたの年収では6000万円は組めません』と判断するケースなどです。そうなると購入検討者は自己資金を増やす必要があり、親に頼み込んだり他の銀行に貸してくれるよう交渉したりと時間がかかる。場合によっては、購入をやめたり、価格を下げて物件を再検討したり、エリアを変えるといったことが必要になってきます。たとえば、築20年の中古マンションを買おうと思っていたけど、価格が上がって買えないので、築30年、40年の物件まで選択肢を広げてみるという人もいるでしょう。

 東日本不動産流通機構が公表している築年別の成約価格をみると、築5年未満の築浅マンションのほうが、新築マンションより高いという例も出ています。なぜかといえば、新築マンションの供給が少なくなって、エリアによっては新築マンションが出てこないので、新築の相場よりも高い価格で取引されるような現象が起きているのです。ですが築10年を超えると段階的に下がってきて、築30年以上になると首都圏でも2000万円ぐらいにまで下がり、築浅マンションの3分の1くらいの価格で買えるようになります。買う側は、こうしたことを検討する時間が必要になってきており、成約までの時間が長くなってきています。

 2000~22年にかけては、販売から成約までの平均期間が70~80日くらいで、ミニバブルといえる状況で住宅価格が急速に上がり、多くの人が『早く買っておかないといけない』と買い急ぐ傾向が強くなりました。ですが23~24年に入ると高くなりすぎて『もう手が届かない』ということで購入が難しくなってきています。この状況はおそらく今年も続くでしょう。

 都心の2~3億円する超高層マンションは外国人も含めた超富裕層が現金で買うので、相変わらず発売後すぐに売れます。一方で、一般の人々が買うような5000~6000万円レベルの物件は、年内に価格はほぼ天井を打って横ばいから多少下がる傾向も出てくると思いますが、それでもまだ高いので、発売から成約までの日数は長くかかると考えられます」

リセールバリューが下がっているエリアも

 首都圏でも一部でリセールバリューが下がっているエリアが出てきてる。

「東京カンテイのデータでは、首都圏にある駅のうち10年前に分譲されたマンションのリセールバリューが下がっているのは9駅。山手線の内側は概ね1.5倍以上、都心5区だと2倍くらいになっています。下がっているのは本川越駅(西武新宿線)や東浦和駅(JR武蔵野線)などで、理由としては、分譲時に駅名につられて割高な価格が付けられていた可能性が考えられます。浦和は、さいたま市の中でも文教エリアとして住宅価格の相場は高いですが、東浦和駅は住所としては浦和区ではなく、駅名に『浦和』という地名が入っているため、浦和区の相場に基づいて、本来の実力以上の値付けがされていたのかもしれません。

 同じく埼玉県でいえば、例えば大宮駅周辺は人気エリアで価格が高いものの、一駅離れればぐんと安くなるのですが、なかには“大宮価格”で売り出されている物件があるかもしれません。ですので住宅を購入する際には、そうした値付けに騙されないように注意したほうがよいでしょう」(山下氏)

首都圏の住宅価格の下落が始まる可能性

 発売から成約までの期間の長期化や一部エリアでのリセールバリューの低下は、首都圏の住宅価格の下落が始まる兆候と捉えることはできるのか。

「年内、秋頃から冬頃にかけて値下がりが始まる可能性があると考えています。首都圏のマンションは駅から徒歩5分圏内であることが資産価値を維持するための条件ですが、徒歩5分圏内ではなかなか確保しづらくなっています。徒歩10分圏内まで選択肢を広げる人が増えていますが、戸建ては別として、マンションであれば徒歩5分圏内にこだわることをお勧めしています。

 東日本不動産流通機構が公表しているデータによれば、過去1年間、新規登録価格、つまり売り出し価格は右肩上がりが続いている一方、成約金額はほぼ横ばいで、その差が徐々に開いており、成約価格が新規登録価格を1割ほど下回っているケースが増えています。要するに、それだけ値引き交渉が行われ、売主や販売業者が値下げを受け入れているということなんです。販売業者は売り出しから成約までの日数が長くなってきていることもあり、かつ『こんな高い価格では買えません』という人が増えているので、年内には成約価格もそろそろ頭打ちになって、下がっていくと思われます。

 数年前まで新築マンションは『買った瞬間に2割下がる』というのが常識でしたが、ここ数年は急速に価格が上がって、それが通用しなくなっており、今は局地バブルといえる状況です。それがそろそろ今年から来年にかけて終わる、通常の状態に戻り始める可能性があります。ですので、これから買う人は『いつまでも上がる』と思って買わないでください。東京23区で駅から徒歩5分以内のタワーマンションや大手不動産会社が手掛ける大規模マンションは別として、そうでないごく普通の小規模物件や大手不動産業者以外が手掛けるマンションは下がっていくかもしれません。

 また、建築費が上がっているので、これまでと同じ価格レベルを維持したまま、70平米を65平米にしたり、設備のスペックを落としたり、天井の高さを2.5mから2.45mに低くしたりと、わかりにくいところで、こっそり物件のレベルを下げるということが、すでに行われ始めています。先日見学にいった200戸クラスのマンションでも、キッチンのディスポーザーがありませんでした。こういったかたちで、売り出し価格を維持したまま、実質的には物件の価値が下がるということが広がるかもしれません」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=山下和之/住宅ジャーナリスト)

訪日客、7月として過去最多に=343万人、学校休暇で増加―日本政府観光局

 日本政府観光局が20日発表した7月の訪日外国人数(推計値)は、前年同月比4.4%増の343万7000人となった。同月として過去最多だった2024年の329万2602人を大きく上回った。

 学校の休暇に合わせた来日が増え、中国や台湾、米国、フランスを中心とした訪日客が全体を押し上げた。一方、日本で地震が発生するとの情報がSNSで拡散された香港や韓国からの旅行客は2ケタ減となった。

 国・地域別で最も多かったのは中国で、25.5%増の97万4500人。次いで韓国が10.4%減の67万8600人、台湾が5.7%増の60万4200人、米国が10.3%増の27万7100人と続いた。

 このうち台湾は、航空便の新規就航や増便の効果もあり、訪日客数が単月としての過去最多を更新した。また、米国やフランス、インドネシアなどは7月として過去最多だった。一方で、香港は台風による航空便の欠航も影響し、36.9%の大幅減だった。

 また、7月に海外に出国した日本人数(推計値)は前年同月比14.9%増の120万5500人となった。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/08/20-18:17)

ジャパンブランドウイークリーチャート

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(2025年8月20日更新)

日本食材のイメージ

海外生活者が日本食材に抱くイメージは、「おいしい」「新鮮」「高品質」といった要素が強く、総じて非常にポジティブです。これは食材そのものの品質に加え、「日本で生産された」という産地としての付加価値も評価されていると考えられます。一方、国・地域による認識の差も大きく、輸出先ごとに精緻なマーケティング戦略が求められます。

他国食材との差別化要素として、「うま味」はしばしば重視されます。1908年、昆布だしからその主成分であるグルタミン酸が発見され、これがうま味の正体とされました。その後、「UMAMI」という日本語が英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語などでも一般名詞化し、世界に広まりました。

しかし、うま味は甘味・酸味・塩味・苦味のように、万人に直感的に理解される味覚とは限りません。ジャパンブランド調査では、香港ではうま味の理解度が突出して高い一方、韓国や英語圏では必ずしも浸透していないことが明らかになりました。これは、「和食=うま味」という国内の常識が、海外では必ずしもそのまま通用しないことを示しています。

ソフトパワーの比較

生活者視点で一国の魅力度を、「居住意向」「就労意向」「留学意向」「旅行意向」「ビジネスパートナーとしての協業意向」の5軸で評価すると、地域ごとの差異は少なくありません。比較対象国と比べ、日本が優位に立てるかという問いに対しては、感覚と実際のデータがしばしば異なる結果を示しています。

来訪者数が最も多い東アジアからの評価では、全体的にシンガポールが優勢です。特に就労意向においては、シンガポールが日本を大きく上回りました。背景には、給与水準や購買力の高さ、低い所得税率、高付加価値産業の集積、言語や多文化の受容度、そしてキャリア形成の可能性など、経済・社会制度・生活環境が複合的に影響していると考えられます。


(2025年8月13日更新)

再び訪れたいという満足度指標

この10年間で、インバウンド(訪日観光)は市場規模・来訪者数ともに急拡大しました。来訪者の約7割は近隣地域からとなっており、リピート率の高い国・地域やアジアパシフィックエリアを中心に、再訪日観光の意向も高水準を維持しています。

なお、本チャートで紹介している再訪意向は、海外旅行経験者を対象とした訪問経験のある旅行先(国・地域)への再訪意向を複数選択・水平比較したものであり、訪日経験者に限定した日本への再訪意向ではありません。

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地方観光への期待

オーバーツーリズムの軽減と地方創生の実現を同時に満たす対策として、地方送客が代表的な手法として注目されています。難易度の高い地方分散を実現するためには、それぞれの地域にあった戦略と戦術の構築が求められており、特に地方観光における観光資源の再発見・再編集が重要と考えられます。そのためには、海外の消費者が求める可能性のある観光資源について、定期的かつ切口別の把握が必要です。

具体的には、属性軸において、リピーターとのエンゲージメントづくり、対日関心度・理解度の高い人の誘致戦略が不可欠です。また、体験軸においては、季節性を生かした自然景観、心身ともにリラックスできる環境、観光資源としてのローカル電車・バス、各地域の名湯、歴史を感じさせる街並み、地元でしか味わえない郷土料理、ガストロノミー体験などが挙げられます。これらの要素から読み取れるのは、物質的な豪華さよりも、その土地ならではの景観的・文化的な豊かさを五感を通じて提供できるかが重要であるという示唆です。


問い合わせ先:
ジャパンブランドプロジェクトチーム
japanbrand@dentsu.co.jp
 
※注記・免責事項
1.本記事における対象国・地域の名称表記は日本国内の読者を想定対象とし、日本の社会通念やビジネス慣習に沿ったものになります。
2.本調査における国・地域の名称表記は、統計上または分析上の便宜を目的としており、いかなる政治的立場や見解を示すものではありません。
3.本調査における構成比は小数点以下第2位(一部整数表示の場合は小数点以下第1位)を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
4.本調査で使用した地図(世界地図および日本地図)は分析内容やページのレイアウトに合わせて一部修正・加工・トリミングを行っており、必ずしも国境線および国土範囲を正確に反映したものとは限りません。
5.各国・地域とも性年代別に均等割付で標本収集し、人口構成比に合わせてウエイトバック集計を実施。
6. 本調査の図表作成において、分析対象となる国・地域名は一部例外を除き、国際基準ISOカントリーコード(ISO 3166-1 alpha-2)を使用しています。
アメリカ/US、カナダ/CA、オーストラリア/AU、イギリス/UK、ドイツ/DE、フランス/FR、イタリア/IT、スペイン/ES、サウジアラビア/SA、アラブ首長国連邦/UAE、インド/IN、インドネシア/ID、シンガポール/SG、マレーシア/MY、フィリピン/PH、タイ/TH、ベトナム/VN、中国本土/CN、香港/HK、台湾/TW、韓国/KR

なぜ市場急拡大の縦型ショートドラマにドコモも参入?「ドラマはスキマ時間の3分で見る」が主流に

●この記事のポイント
・スマートフォンでの視聴を前提として制作される縦長型のショートドラマが急増
・「BUMP」「FANY:D」「POPCORN」など専用の配信アプリもダウンロード数・再生数が伸長
・撮影にかかるスタッフ数や期間も大幅に短くなり、同じコストで多くの作品を生み出せる

 一般的なテレビのスクリーン形状に合わせた横長型のテレビドラマと異なり、スマートフォンでの視聴を前提として制作される縦長型のショートドラマが急増している。従来のテレビドラマの多くは一話あたりの長さが30分~1時間程度だが、縦型ショートドラマは数分程度なので、ちょっとしたスキマ時間に視聴できるのも特徴。「BUMP」「FANY:D(ファニーディー)」「POPCORN」など縦型ショートドラマ専用の配信アプリもダウンロード数・再生数を伸ばしている。同じく「縦型」の漫画専用アプリと同様に、初めの数話を無料で視聴できるようにして、途中回から有料になるというものが多い。縦型ショートドラマの世界市場は、2029年には556億ドル(8兆円超)の規模にまで成長するとの予測も出ている(市場調査会社YH Researchより)。なぜ新規参入が相次ぎ市場が拡大しているのか。また、収益化という面ではどのようなビジネスモデルとなっているのか。運営企業への取材をもとに追ってみたい。

●目次

なぜNTTドコモがショートドラマ?

 自社制作のドラマが日本航空(JAL)の国内線・国際線の機内エンターテインメントにも採用されている「BUMP」は今年4月、ローンチから2年強で総ダウンロード数200万を突破。運営会社のemoleは2018年の設立。今年2月にローンチした「POPCORN」を運営するGOKKOは22年の創業で、縦型のスクリーンに合わせたセットをいくつも並べた自前の収録スタジオを持ち、企画から制作・配信までを全て自社で行っている。

 スタートアップであるこの2社と“生い立ち”が異なるのが、「FANY:D」を運営するNTTドコモ・スタジオ&ライブだ。自社・他社向けの映像コンテンツ制作事業や音楽IP事業を手掛ける同社は、大手通信会社・NTTドコモと大手芸能プロダクション・吉本興業のグループ企業が共同出資して23年に事業を開始。24年12月にスタートアップのMintoと共同で「FANY:D(ファニーディー)」をローンチした。

 携帯電話事業を手掛けるNTTドコモが、なぜ映像コンテンツ関連事業を手掛ける企業を設立したのか。NTTドコモ・スタジオ&ライブは次のようにいう。

「これまでNTTドコモと吉本興業が『FANYチャンネル』の共同運営など一緒に取り組みを行ってきたなかで、吉本興業の持つ映像コンテンツや制作ノウハウと、ドコモの持つ映像配信サービス『Lemino』をはじめとしたプラットフォームや顧客基盤を掛け合わせて、エンターテイメントビジネスをさらに拡大することを目的とし当社を設立しました。さまざまなパートナーやクリエイターとともに、世界基準のコンテンツを生み出していきたいと考えています」

 同社の強みは「吉本興業のコンテンツ、制作能力とNTTドコモのビジネスネットワーク力を合わせ、市場にマッチングしたコンテンツを素早く制作配信できるところ」だというが、そもそも、なぜショートドラマの制作・配信に力を入れているのか。その背景や狙いが気になるところだ。

「スマホのコンテンツ消費が増えているなかで、スマホのスクリーンと消費行動にあったコンテンツは、何かと考える中で、『映画・テレビ→YouTubeなどの長尺動画→TikTokなどの短尺動画』という若年層の需要の遷移に着目し、ショートドラマに行きつきました。今は中国の市場が強く、日本でシェアも持っている会社がいないところにドコモグループとして参入し、業界全体で市場を大きくしていきたいと考えます」

同じコストで多くの作品を生み出す

 ショートドラマの市場・需要の成長は現在、どのような状況なのか。

「中国とアメリカが先行し、日本では今、様々なプレイヤーが勃興し、急成長している市場です。日本だけでなくグローバルで勃興し、次の映像エンタメ市場の主役となると考えております」

 従来の民放放送局のテレビドラマは、テレビ局が企画し、スポンサー企業から集める資金で大勢のキャスト・スタッフを起用して撮影し、地上波やネットで流すという形態が主流だが、縦型ショートドラマは、テレビドラマとどのような点が異なるのか。

「ショートドラマは隙間時間のエンターテイメントですので、展開が1時間ものドラマよりも速い点が最大の違う点です。また、撮影にかかるスタッフ数や期間も大幅に短くなっています。その分、同じコストで多くの作品を生み出すことができます」

 では、収益モデルは、どのようになっているのか。

「1話ごとの課金になっています。いかに次のエピソードに課金していただけるかが勝負どころです」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

BIMって何? 建設DXで世界へ挑む日本発スタートアップの戦い方

ワンストラクション

設計から施工、運用まで──建設業界のすべてを3Dデータで統合し、建設業のあり方を再定義するBIM(Building Information Modeling)。世界では大手ソフトウェア企業の覇権争いが始まっている。

いま、その激流の中で、国際標準化を武器に業界のアップデートに挑戦する日本発のスタートアップ、ONESTRUCTION株式会社(以下、ワンストラクション)が注目を集めている。建設業界の構造課題と正面から向き合い、建設DXを「経営のアジェンダ」へと押し上げる、その戦略とは?

「建設業のあらゆるデータをオープンにする」という志を掲げる若き起業家ワンストラクションCEO・西岡大穂氏に、電通の笹川真が話を聞いた。

BIMとは何か? “建設のデータ化”が業界にもたらす衝撃

ワンストラクション 西岡大穂CEO
ワンストラクション 西岡大穂CEO

笹川:恥ずかしながら、1年半前に西岡さんとお会いするまで「BIM(ビム)」という言葉、聞いたこともありませんでした。

西岡:無理もないと思います。実際、建設業界の中でも、BIMをちゃんと理解して使いこなしている人は、まだごく一部です。

正式名称は「Building Information Modeling」。建築に関わるあらゆる情報──設計、工程、コスト、運用などを、3Dモデルを中心としながら一元管理する仕組みです。

笹川:それってつまり……建設業における「データベース」みたいな存在?

西岡:まさにそうです。他の業界において当たり前なデータベース化が、建設業ではなかなか進んできませんでした。しかし近年、BIMを切り口に、一気に進み始めています。

笹川:BIMを切り口にした、建設のデータベース化ですか。例えば、どんなツールをみなさん使っているんですか?

西岡:たとえば、デザイン領域ではPhotoshopやIllustrator、業務系ではSalesforceのような「基盤となるツール」がありますよね。アメリカのAutodeskやドイツのNemetschekといった世界的テック企業が、BIM領域の中心的なプレイヤーとして、覇権争いを繰り広げています。

笹川:いま建設業界が抱えている構造的な課題──たとえば「人手不足」や「資材高騰」──に対しても、BIMは効くんですよね?

BIM

西岡:はい。まず人手不足について。特にベテラン職人が一気に引退していて、“知の空洞化”が起きています。若手に引き継ぎたくても、そのノウハウが形式知化されていない。そこでBIMを使えば、ベテランの知見を“データ”として残すことができるんです。

笹川:すごくイメージ湧きます。あとは資材価格の話──ここ数年、建設コストって本当に上がってますよね。

西岡:そうなんです。かといって、工事予算を増やすのは簡単じゃない。そこでBIMを使えば、設計の段階から緻密にシミュレーションできるので、資材の無駄をかなり減らせるんです。ロスが減る=利益を圧迫しない、という構造がつくれる。

笹川:なるほど。設計→積算→施工という全体の流れのなかで、データが“つながっている”ことが鍵なんですね。

西岡:そのとおりです。BIMの本質的な価値は、「建設のすべてを共通データベース化すること」と、「2次元と3次元モデルの視覚化」を、同時管理するという点にあります。従来の2D図面だけだと、設計者の意図が伝わらなかったり、設計ミスがあった時に、「ここ違うじゃん」みたいな現場の手戻りが多発していた。でもBIMを使えば、モデルを作る過程でミスにも気づけるし、BIMを見せるだけで一発で伝わる。コミュニケーションの質がまるで違うんです。

点在するデータ

笹川:僕も家をリノベしたとき、2D図面を見ても全然理解できなかったです(笑)。完成してようやく「こうなるのか」って。

西岡:ですよね(笑)。職人さん同士の現場コミュニケーションも、3Dモデルなら誤解が格段に減りますし、工期の短縮にもつながる。実際、国土交通省の試算でも、BIMを導入すると最大10%の工期短縮が見込めるというデータも出ています。

笹川:それ、めちゃくちゃ大きいですね。1年の工事が11カ月で終わるってことですよね。

西岡:そうなんです。しかも、それだけじゃなくて、“人手不足”という構造課題にも直結します。BIMが現場の判断・連携・積算を支えることで、1人あたりの生産性が上がる。だから「建設のデータベース化」の意義は、非常に大きいと考えています。

笹川:72兆円産業と言われる建設業において、そんなに本質的なインフラになるのか……というか、すでになってるんですね。

西岡:とはいえ、まだ日本での導入率は十分とは言えません。特に中小企業や地方では、BIMが何なのかも知られておらず、「とりあえず3Dモデルをつくっておけ」というケースが多い。でも、だからこそ、今やる価値があります。構造を変えられるタイミングは、いつでもあるわけじゃないので。

なぜBIMなのか?──農業少年が建設DXに目覚めるまで

電通 笹川真
電通 笹川真

笹川:“建設の未来を形づくるデータベース”──BIMってそういう存在なんですね。次は、西岡さんがこの世界に飛び込んだ、その原点を教えてください。最初から建築業界にいたわけじゃないですよね?

西岡:まったくです(笑)。僕、出身は京都で地元の農業高校で、当時は芝生の研究をしてたんですよ。屋上緑化とか法面(のりめん)緑化とか。まさか自分が建設業のど真ん中でソフトウェア作ることになるとは、高校時代は想像もしてませんでした。

笹川:芝生!? そこからBIMにどうつながるんですか?

西岡:実はその芝生研究に、たまたまスーパーゼネコンの方が興味を持ってくださって、研究費を支援してもらったんです。その縁で、東日本大震災の被災地──宮城のスーパー堤防の緑化プロジェクトにも関わらせていただきました。高校生なのに、被災地での緑化活動と維持管理の省力化を検証するという、ものすごい現場経験をさせてもらいました。

笹川:とんでもないキャリアのスタートですね……。高校生でスーパーゼネコンの支援でスーパー堤防って。

西岡:その時に、建設という産業の大きさと難しさ、でも同時に“本当に必要とされているリアルさ”を感じたんです。でも正直、当時は研究者志望で、大学でも農業の研究を続けようと思ってました。

笹川:そんな西岡さんを起業に引き込んだのって、何か転機があったんですか?

西岡:高校で聴いた、ユーグレナの出雲充さんの講演です。「技術は、社会に実装されてこそ意味がある」って言葉に打たれて、「自分は研究者じゃなくて、技術を社会に届ける側になりたい」と思うようになったんです。

笹川:それで鳥取大学の農学部へ?

西岡:はい。そして大学在学中に、ETIC.(エティック)というNPOの「MAKERS UNIVERSITY」という起業支援プログラムに参加したことで、志が一気に高まりました。全国から集まる学生起業家たちと出会って、当時はWeb3やAIで起業を目指す人が多かったなかで、「自分はレガシー産業で勝負したい」と確信しました。

笹川:農業や建設のような一次・二次産業にテックを入れるという発想が、そこで生まれたと。

西岡:そうですね。ただ、当時の僕は何もできなかった。農機具のシェアリングサービスなど、いくつか事業案は考えたけど、プロダクトもチームもできてなくて、完全に挫折しました。そこで、まずはちゃんと就職しようと。リクルートに内定をもらって、「社会人としての基礎とスキルを磨こう」と考えました。でも卒業前に、人生を変える出会いがあったんです。大学院にいた先輩で、今のCTOである宮内芳維と出会ったことで、建設業に強い興味を抱いていくようになりました。

笹川:ここでBIMが登場するわけですね!

西岡:そうなんです。調べれば調べるほど、農業と建設ってめちゃくちゃ共通点がある。人手不足、技術の属人化、非効率な現場、ITの浸透の遅れ──構造的な課題がそっくりだった。紆余曲折はあったのですが「BIMで構造そのものを変えることができるかもしれない」と思った瞬間、進むべき道が見えました。リクルートの入社前に、会社を立ち上げることを決めたんですが、それがワンストラクションです。

笹川:副業で建設業を変えようって、スケールおかしいですよ(笑)。

西岡:自分の中では副業も本業もなかったです。当然めちゃくちゃ忙しかったんですが、リクルートで得たスキルと仲間は、起業家としての僕にとってかけがえのない財産です。プロダクトの開発から、デザイン、グロースまで全部やらせてもらったので。

笹川:“芝生からBIM”というキャリアの流れに無駄がない……。原点がちゃんと現在につながっているんですね。

世界とどう戦うのか? OpenAECと“標準化”をめぐるリアル

西岡CEO
笹川: ここまで伺って、BIMが“建設業の共通言語”になり得ることはよくわかりました。ただ、ワンストラクションが実際にどうそれをビジネスにしているのか、その“戦い方”を詳しく知りたいです。

西岡:最初は、2D図面しか使っていなかった建設会社さんに、BIMの3Dデータを代行して作成・納品する受託業務から始めました。現場に入り込みながら、「この業界でBIMはどう使われているのか?」「何がボトルネックになっているのか?」を、とにかく学びたかったんです。

笹川:リサーチというより“業界潜入”ですね。

西岡:一番大きかったのは、「BIMを導入しているけれど、社内でバラバラに使われている」という現実でした。設計はRevit(※Autodesk社のBIMソフト)とExcel、積算は国産の積算ツール、施工管理は別の国産ソフト、みたいな。また、建築、土木、設備の業種による分断も大きく、結果的に、情報が分断されて、連携に手間がかかっているんです。

笹川:なるほど……BIMは導入したけれど、“データがつながっていない”という落とし穴ですね。

西岡:そこで僕たちは、異なるソフト同士の“翻訳ハブ”になるようなプロダクトを作ろうと考えました。それが、自社開発の「OpenAEC(オープン・エーイーシー)」です。「AEC=Architecture, Engineering, Construction」。つまり、設計・エンジニアリング・施工という、建設業のすべてを横断的につなぐための基盤です。

OpenAECOpenAEC 
そして、その“翻訳”を可能にするカギが、国際標準のフォーマット「IFC(Industry Foundation Classes)」なんです。この規格を活用すれば、異なるBIMソフトの間でデータ連携が可能になります。

OpenAEC
ONESTRUCTIONの提供するBIMソフトウエア「OpenAEC」。国際的な規格に沿って開発されており、現在54カ国で導入されている。ONESTRUCTIONはこのプロダクトで国際的なアワードである「openBIM Awards 2024」のファイナリストに日本企業で初めて選出された。

笹川:そのIFCの策定団体が、「buildingSMART International(bSI)」ですよね?スタートアップでそこに参画するって、かなり異例では?

西岡:たしかに。日本からは、僕らが唯一のスタートアップです。でも、ルールが決まる場所にいなければ、プロダクトを世界で戦わせることはできない。だから、ただ入るだけでなく、ワーキンググループにも積極的に関わっています。

笹川:つまり「標準化は戦い」だと。

西岡:まさに。言わずもがなですが、BIMに限らずソフトウェアの潮流は標準化です。世界で共通ルールを統一することで、国と国をまたいだ協調や協業が可能になる。

その時、標準化の中心になっているのはヨーロッパです。プロダクトの力でアプローチするアメリカに対して、共通規格をつくり規格に守られた経済圏をつくるのがヨーロッパ。だからワンストラクションはヨーロッパの標準化団体にコミットしています。

笹川:標準化にコミットすることで、どんな恩恵がありますか。

西岡:実際のところ、標準化へのコミット自体は、短期的に収益を生みません。しかし、ヨーロッパの企業では、国際標準を握ることは企業にとって必要不可欠なんです。ルールを制するものが、業界を制するわけですから。そして、我々が標準化にコミットするからこそ、OpenAECが世界54カ国で使われるようになったり、「openBIM Awards」のテクノロジー部門でファイナリストに選出されたり、「インフラDX大賞」でスタートアップ奨励賞をいただいたり、という結果につながっていると思っています。

笹川:なるほど。そして、あのAutodeskとの業務提携ですよね。これはインパクトが大きかった。

西岡:夢でしたね。僕らが正式代理店として製品を販売できるだけでなく、連携パートナーとしてAutodeskさんのエコシステムの一部に組み込まれた。そのことで、業界からの信頼度が大きく変わりました。

Autodeskとの業務提携

笹川:「OpenAEC」のような国産のBIMソフトウェアをワンストラクションがつくる意義は、どんなところにありますか。

西岡:ひとつは、IT貿易赤字と言われる昨今、日本産ソフトウェアがちゃんと世界に売れる。外貨を獲得するということです。ワンストラクションがここでしっかり勝負する。もうひとつの意義は、標準化や規格づくりに参画することで得られた知見を、日本の建設業界へフィードバックすることですね。 

笹川:お聞きしていて思うのは、ワンストラクションがやりたいのは、“僕らのソフトを使え”ではないんですよね。

西岡:はい、そこはすごく大事にしています。建築の人、土木の人、設備の人──それぞれが慣れたソフトを使い続けられる状態が理想だと思っています。ただし“データ”だけは共通化しないと業務の最適化はできませんよね。だからこそ、僕らが“つなぎ役”になりたい。

笹川:すごく日本的というか「和をもって連携とす」みたいな思想を感じます(笑)。

西岡:海外のような、自社製品による“囲い込み”ではなく、現場は自由に動きつつ、全体としてはデータでつながる。その形が日本の建設業界には合っている気がします。世界の標準化をそういった方向性に向けていきたいです。

小手先のデジタルツール導入ではなく、経営戦略にBIMを位置づける

笹川:BIMは守備範囲の広い技術ですが、おそらく最初は、いきなり全社で導入して、全社で使い始めるという形ではなく、部門ごと、プロジェクトごとにPoC的に試してみるケースが多くなるんですよね?

西岡:実務的にはそうですね。ただ、会社への導入をサポートする際によくお伝えしているのですが、BIMを「経営戦略」の一つとして位置づけ、全社で導入する方が大きな成果が得られることは間違いないです。データは、他のあらゆるデータとかけ合わせることで初めて価値を発揮するので。

つまり、図面の3D化で終わるのではなくて、例えば見積もりデータのBIMへのひもづけで積算(コストの見積もり)が自動化される。このように複数のメリットが約束される「データの連携」を経営レベルで意思決定しない手はないと思います。

笹川:BIMの導入で現場の仕事のやり方が変わると、会社の描くビジョン、そこで働く人のバリューにも変化が生まれますよね。これこそが本当のDXであるという。

西岡:まさにDXというものは、小手先のITツール導入じゃないということですよね。どうせやるなら、経営アジェンダにBIMを入れてほしいんです。ただ、僕らが持っているのは技術と現場感です。でも、DXは技術だけでは進まない。そういう全社レベルの提案といった部分では、電通との協業に期待しています。

笹川:BIMを経営アジェンダに押し上げるには、経営層と同じテーブルで話せる場が不可欠ということですよね。パーパス策定やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)など、企業の根本的な課題や目標設定を経営者とともにお話しさせていただく仕事が電通にはあります。ワンストラクションがBIMの“共通言語”をつくり、電通はその言語を“経営の言葉”に翻訳して社内に広げていく。そんなパートナーシップを一緒に形にしていけるといいですよね。

西岡:建設業が本当に変わるには、経営者、現場、そして社会全体に“同時に伝わる構造”が必要だと思っています。

笹川:建設業のDX、つまりBIMは、経営アジェンダであり、業界のアジェンダでもある──それを実感できた時間でした。本日はありがとうございました。

西岡氏と笹川氏

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