グーグル vs OpenAI、“AI映像の主導権争い”激化…Veo 3.1で勢力図は変わる?

●この記事のポイント
・グーグルが動画生成AI「Veo 3.1」を正式発表。自然な音声・効果音生成、画像→動画変換の精度を飛躍的に強化。
・OpenAI「Sora2」との直接対決が本格化。映像生成を“AIプラットフォーム戦略の中核”に据える動き。
・動画生成AIは、広告・教育・SNS・企業研修など多分野を再編し始めている。

Veo 3.1──「映像を会話で作る」時代の幕開け

 グーグルが10月に発表した「Veo 3.1」は、同社の動画生成AIの最新モデルであり、生成AI群「Gemini」シリーズの一部として統合的に提供される。

 これまでのテキストからの動画生成に加え、「音声・効果音・カメラワーク・人物対話」までを自動生成できるようになった。

 特徴的なポイントは以下の通り。

 ・自然な会話生成:登場人物同士のセリフや声の抑揚を、物語文脈に合わせて自動生成。
 ・リアルな音響表現:風・水・環境音などを自動的に生成し、映像とシンクロ。
 ・画像→動画変換の精度向上:静止画から奥行きを解析し、3〜10秒の自然な動画を作成。
 ・物理シミュレーションの進化:光や流体、衣服の揺れなど、現実の動きを再現。

「Veo 3.1は、単なる『動画を生成するAI』ではなく、会話で映像を編集する“共同制作者”として設計されています。ユーザーが『カメラをもう少し引いて』『このシーンに雨を降らせて』と話しかけると、Geminiがプロンプトを理解し、Veoが即座に反映。生成AIが『映像制作のインターフェース』そのものになりつつあるといえます」(ITジャーナリスト・小平貴裕氏)

Sora2との決定的な違い──リアリズムか、操作性か

 OpenAIの「Sora2」は、2025年春の発表以来、映像生成分野で圧倒的な存在感を示してきた。Soraが得意とするのは「物理法則の忠実な再現」である。

 時間軸・カメラ位置・物体挙動の整合性が極めて高く、実写と見まがう映像を生成できる。映画制作者やクリエイター層が特に注目している理由だ。

「Veoは、『使いやすさと連携性』を武器としています。Gemini経由でグーグルの他サービス(Drive、YouTube、Pixelなど)と直結しており、スクリプト作成から動画生成・公開までの一貫したワークフローを実現。Soraが『完成度の高い映像』を生む“映画監督タイプ”だとすれば、Veoは『対話で演出を磨く編集者タイプ』といえます」(同)

 両社の方向性は明確に異なる。以下に要点を比べてみる。

【Veo 3.1】
 生成重視点 会話性・編集性
 主な用途 広告・SNS・教育動画
 連携範囲 Gemini, YouTube, Drive
 出力 会話+音+映像の統合
 戦略 AIスタジオ化

【OpenAI Sora2】
 生成重視点 物理的リアリズム
 主な用途 映画・アート・プロ映像制作
 連携範囲 ChatGPT, DALL·E, Voice Engine
 出力 高精度な映像のみ
 戦略 AI脚本家化

 Soraが「映像そのものの品質」を磨くのに対し、Veoは「映像生成プロセスの民主化」を進めている。

背景にある“AI映像プラットフォーム競争”

 この両者の競争は、単なる技術対決ではない。本質は「AIが支配する新たな動画エコシステム」の主導権争いだ。

「グーグルにとってVeoは、YouTubeとの連携強化という戦略的意味を持ちます。YouTubeはすでに毎月25億人が利用する世界最大の動画プラットフォームであり、Veoによって生成された動画を、ワンクリックでShortsや広告素材として配信できるようになります。これにより、『AIがつくり、AIが最適化し、AIが配信する』循環が完成するわけです。

 一方のOpenAIは、ChatGPTを軸とした『AI制作スタジオ構想』を進めています。Sora2は、ChatGPTで書いた脚本やナレーションをそのまま映像化し、DALL·Eで作った素材を組み込むといった、創作の一体化を目指しています。OpenAIが描くのは、“文章生成の延長線上にある映像表現”です」(同)

 どちらの陣営も、映像を「新しい知的言語」として再定義しようとしているといえる。

市場の潮流──“生成映像”がビジネス現場を変える

 AIによる動画生成市場は、急速に拡大している。米Allied Market Researchによると、2024年時点で約17億ドルだった市場規模は、2030年には120億ドル超に達すると予測されている。

 牽引するのは以下の分野だ。

 広告・マーケティング:AIが短時間でブランド動画を量産。特に中小企業が恩恵を受ける。
 教育・研修:教材や社内研修動画を自動生成し、社員教育を効率化。
 Eコマース:商品画像から自動で360度動画を生成し、購買体験を強化。
 メディア・ニュース:テキスト記事を動画ニュース化。SNSでの拡散力を高める。

 すでにAdobe、Runway、Pika、Synthesiaなどがこの領域に参入しており、AI映像生成は「生成AIの第2波」と位置づけられている。経営者にとっての最大の学びは、「動画制作は専門家の領域ではなくなる」という現実だ。マーケティング、採用、社内広報──すべてがAIによる動画生成で自動化・高速化しつつある。動画が“社内言語”になる時代が、目前に迫っている。

AI動画生成が生む新しい創造の形

 AIが映像を作り出すことは、人間の創造を奪うのではなく、「創造の余白を拡張する」行為だ。

 実際、VeoやSoraを使ったクリエイターたちは、従来の映像制作とは異なるプロセスを歩み始めている。

 ・構想段階からAIと会話しながら企画を練る
 ・撮影せずにプロトタイプ映像を作る
 ・音声AIと組み合わせて多言語展開
 ・AIアバターによるグローバル配信

 これらはすでに、スタートアップのプロモーションや投資家向けピッチ動画で活用され始めている。Veo 3.1の「自然対話+即時生成」機能は、こうした新しい制作スタイルを後押しする。

 ただし、映像生成の民主化にはリスクも伴う。ディープフェイク、著作権侵害、虚偽広告など、AI動画特有の課題が急増している。

 グーグルはVeoで「AI生成ラベル」や「メタデータ署名」の義務化を検討しており、OpenAIもSora2で同様の透明性フレームを導入している。これらの動きは、AI映像の“信頼インフラ”構築競争でもある。誰が最初に「安心して使える動画生成AI」を社会実装できるかが、次の焦点だ。

 Veo 3.1とSora2の対決は、単なる技術競争ではなく「映像を誰が語るのか」を問う文化的な戦いでもある。グーグルは「誰もが動画で表現できる時代」をつくろうとしている。OpenAIは「人間とAIが共に物語を紡ぐ時代」を描いている。どちらの未来を選ぶかは、私たち次第だ。

 確かなのは、これからの企業にとって“動画はテキストの次の言語”になるということ。そして、AIがその翻訳者になるのだ。 
 
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

「もっと関わりたいのに踏み出せない」若者。すれ違う職場コミュニケーションの今

電通若者研究部(以下、電通ワカモン)は高校生、大学生、社会人1~3年目の若年層を中心に、2年ぶりとなる大規模調査を実施(調査概要はこちら)。その結果をもとに、若者の価値観をひもといた「若者まるわかりナレッジ2025」を作成しました。(お問い合わせはこちら

連載初回の記事では、若者のあいだで広がる「感情汚染を避ける」行動価値観、そしてその裏にある「本音でつながりたい=人間回帰」の志向をひもときました。しかし、この本音でつながりたい志向がもっとも実現しにくい場所が、世代を超えた職場の人間関係ではないでしょうか。

「ハラスメントにならないか不安で、後輩に何を話していいか分からない」
「先輩は仕事も家庭も忙しいだろうから、失敗したり迷惑をかけたりすると嫌われそう」

ベテランの先輩も若手の後輩もそれぞれが配慮を重ねるあまり、本音を言い出せず、距離だけが広がってしまう。

しかし、電通ワカモンが調査した結果を見てみると、それぞれの気持ちは、ただすれ違っていただけでした。先輩も後輩もお互いに「本当はもっと踏み込みたい」と思っている人が多いことが見えてきました。今回は、調査から生まれたナレッジ「すれ違う先輩と後輩の本音」の一部を紹介しながら、職場でのコミュニケーションをアップデートするヒントをお届けします。

電通若者研究部


 

もっと教えてほしい後輩たち~遠慮と不安のすれ違い~

「後輩への指導をどのようにしたらいいか分からない」
「ハラスメントにならないか不安」

職場で若手と接するとき、そんな気持ちを抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。ハラスメントに気を付けることは、人との関係値を築く前提としてとても重要なことです。実際、「ハラスメントになるのが怖いので、できるだけ指導しないようにしている」と答える先輩層は45.9%と半数近くに上りました。これは、相手のためを思っても、「もし地雷を踏んでしまったら……」という不安が先立ってしまう、現代の職場ならではの空気感を表しているのかもしれません。

しかし、その一方で後輩たちは、本当に指導されることを嫌がっているのでしょうか?電通ワカモンの調査では、「ハラスメントを避けるあまり必要な指導をしてもらえていないと感じる」後輩が42.4%に上ることが分かりました。

電通若者研究部

さらに、「人生の先輩としての教養や学びをもっと教えてほしい」と回答した人は68.8%。これは単なる仕事のノウハウを教えてほしいというよりも、「自分の知らない世界をもっと先輩から知りたい」「先輩たちの経験を学んで人として成長したい」という意思の表れです。

電通若者研究部

プライベートな話題も同様です。「結婚の話なんて、今の若者は嫌がるのでは?」と感じている先輩も多いかもしれませんが、調査によれば「恋愛や結婚、子育てに関する知見・学びであればもっと教えてほしい」と答えた若手は65.3%もいます。つまり、単なる雑談ではなく「学びの文脈」があれば、そういった話題も受け入れたいと感じている後輩が一定数いるということです。

電通若者研究部

では、なぜこんなにも両者の意識はすれ違ってしまっているのでしょうか。その背景にあるのは、先輩たちの「過剰なハラスメント意識」と後輩たちの「感情汚染を避ける(頼って相手の感情に迷惑をかけたくない)意識」です。

後輩側のデータを見ると、「優しい先輩や上司には負担をかけたくないので頼りにくい」と感じている人が58.8%にも上ります。頼りたいけれど、迷惑をかけてしまったら、と思うと踏み込めない。先輩・上司側も「触れない方が安全」と感じてしまえば、自然と距離が開いてしまいます。そんな遠慮と不安のすれ違いが、職場のあちこちで静かに生まれているのかもしれません。

電通若者研究部


 

飲み会そのものが嫌なわけじゃない。大事なのは関係値

「最近の若者は、飲み会に誘っても来ない」
「そもそも誘うのも気を遣う」

そう感じている先輩は多いのではないでしょうか。しかし電通ワカモンの調査ではその印象とは異なる後輩たちの本音も見えてきました。

たとえば、「仲の良い先輩や上司であれば食事や飲み会にもっと行きたい」と答えた後輩は64.8%。これはつまり、飲み会そのものを避けているわけではなく、“誰と行くか”を重視しているということです。気を許せる人との場であれば、むしろ積極的に関わりたいという気持ちがあるのです。しかし、そこに一歩踏み出せないのは、やはりすれ違いの構造があるからだと捉えます。

電通若者研究部

後輩側の70.6%が「仕事や家庭で忙しいと思うので、自分からは食事や飲み会に誘いにくい」と答えており、さらに60.5%は「食事や飲み会に誘ってくれても、それは社交辞令だと思う」と回答しています。つまり、「(関係を深めたい先輩や上司であれば)本当は行きたいけれど、素直に誘えない/誘いを受け取れない」若者も多いということです。

電通若者研究部

一方で、先輩に目を向けてみると、58.9%が「後輩から食事や飲み会に誘ってもらえたらうれしい」と感じており、それに加えて71.0%が、「(後輩は)職場の食事や飲み会は本当は行きたくないのではないかと思う」と考えていることも分かりました。つまり距離を縮めたいけれど、嫌がられるのではないかという思い込みと葛藤の壁が先輩側には存在しているのです。

電通若者研究部

後輩は遠慮して声をかけられず、先輩も「最近の若者は誘われるのを嫌がるかも」と思ってしまっている、このお互いを思いやるがゆえの遠慮が、結果として距離をつくっているのです。

職場の人との食事や飲み会はただの懇親イベントではなく、信頼構築の機会にもなりえます。しかし、今の若手は同じ職場だからといって誰とでもその関係を築きたいとは思っていない。「この人となら」「もっと話を聞かせてほしい」と思えたときに、はじめて一歩を踏み出そうとしています。

全員が全員、職場の人との食事や飲み会が嫌いなわけじゃない。ただ、行きたいと思える関係値がまだ築けていないだけなのです。

失敗すること・頼ることへの極度な不安。関係値を築くには

「いつも優しい先輩にこそ、これ以上負担をかけたくなくて頼りづらい」
「もっと親密になりたいけど、忙しい先輩を食事や飲み会に誘うのは申し訳ない」

こういった若者の声の背景には、「感情を持ち出すことで相手の気持ちを汚してしまうのではないか」という感情汚染への恐れがあると、電通ワカモンでは考えています。(感情汚染の詳細についてはこちらの記事をご覧ください)

誰かに迷惑をかけてしまう・フォローをしてもらうことを極度に避けたがるのは、若者たちが「失敗したら切り捨てられるかもしれない」と感じているからです。

実際、「失敗したら失望される/切り捨てられるのではないかと感じる」という後輩の回答は64.0%。これは、「失敗してもフォローしてくれる」「何度でも学ばせてくれる」といった安心感が職場に十分根付いていない現状を示しています。

電通若者研究部

こうした状況を前に、私たちはどう若者と関わっていけばいいのでしょうか。結論からいえば、「頼っても大丈夫だ」と若手が実感できる関係値を、日々の中で少しずつ地ならししていくことが大切です。たとえば先輩や上司に対しての後輩の気持ちについて、下記の調査結果があります。

電通若者研究部

これらのデータから見えてくるのは、「信頼できる先輩や上司となら、きちんと関係を築きたい」という姿勢を持っているということ。つまり、信頼を積み重ねたその先にこそ、踏み込んだ会話や相談への安心が生まれるのです。

関係値は、いきなり築けるものではありません。日常の雑談やちょっとした会話、一緒に過ごした小さな経験こそが、信頼の土台をつくります。たとえば、

  • 「あの資料、いい仕上がりだったね」と、一言伝える
  • 「一緒に飲み物買いに行かない?」と、軽く誘ってみる
  • 打ち合わせ前に「あの映画見た?」と、話を振ってみる

こうしたささいな行為の積み重ねが、「この人には頼っていいのかもしれない」という感覚をつくっていきます。

初回の記事でも触れたように、若者たちは「人間回帰=本音でつながれる関係性」を求めています。ただしそれは、“安心できる土壌”があってこそ実現されるものです。だからこそ、先輩ができるのは、いきなり踏み込んでいくようなことではなく、「頼っても大丈夫」「失敗しても大丈夫」と思える関係性を、日常の中で丁寧に育んでいくことなのではないでしょうか。

もちろん、「ハラスメントになってしまったらどうしよう」「どこまで関わっていいのか分からない」と、慎重になってしまう先輩たちの気持ちもあるでしょう。ですが、だからといってすべてを避けてしまうのではなく、「学びになる話なら聞いてもらえるかもしれない」「頼り方が分からないだけかもしれない」と、少しだけ視点を変えてみることが大切かもしれません。

とはいえ、頼りやすい関係性を上手に構築できないのは、先輩・上司だけの責任ではありません。電通ワカモンの調査では、63.9%の先輩層が「悩みや不安があったら気にせずもっと頼ってほしいと思う」と答えています。つまり、後輩が遠慮して声をかけられないことを、むしろ寂しく感じている先輩も少なくないのです。後輩たちは失敗や迷惑を過度に恐れすぎず、「負担になるかもしれないけれど不安を聞いてほしい」「仕事以外のことも相談したい悩みがある」と思ったときには、一歩踏み出してみてほしいと思います。

もったいないのは、お互いが「言わなくても分かるだろう」「気を遣わせたら悪い」と遠慮しすぎた結果、せっかくの信頼構築のチャンスを失ってしまうことです。小さな声かけ、小さな頼り、小さな受け止め、その積み重ねが、世代を超えて本音でつながるきっかけになると、電通ワカモンは考えています。

本記事で紹介したデータ以外にも、「すれ違う先輩と後輩の本音」では多数のデータとナレッジをまとめています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。(※お問い合わせはこちら

【調査概要】
調査名:若者まるわかり調査
調査機関:電通マクロミルインサイト
調査時期:2024年12月
調査方法:インターネット調査
調査対象エリア:全国
調査対象・サンプル:高校生以上の未婚15~46歳男女 2000ss (以下セグメントごとに男女均等割付)
(内訳)高校生 400ss/大学生 400ss/社会人1~3年目 400ss/社会人4~10年目 500ss/社会人11~20年目 300ss
 
※上記サンプルの抽出にあたり、15~69歳の一般男女(高校生以上、未既婚・職業不問)を対象にスクリーニング調査を実施、その結果から人口構成比に基づいた10000ssを抽出し、別途分析に使用


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大阪万博閉幕、夢洲はどうなる?F1サーキットやテーマパーク案も…大屋根リングは?

●この記事のポイント
・大阪・関西万博閉幕後の夢洲跡地をめぐり、「大屋根リング」の保存や再開発、IRとの一体運営などを軸に多様な構想が浮上している。
・F1サーキットや大型エンタメ施設の設置など、富裕層インバウンドを狙う都市開発案が検討される一方、財政負担や治安・景観への懸念も根強い。
・跡地活用の方向性は「観光リゾート型」か「知的産業都市型」かで分岐しており、行政・経済界・市民が問われるのは“誰のための開発か”という長期的ビジョンだ。

 2025年10月13日、半年にわたって開催された大阪・関西万博が閉幕した。総来場者数は目標の2800万人を上回る勢いで推移し、「人類の未来社会」を掲げた万博はひとまず成功裏に幕を下ろした。しかし、今、注目が集まっているのは“その後”の夢洲(ゆめしま)だ。

 跡地をどう活用し、大阪・関西の経済をどう再活性化させるのか。これからの議論は、万博本番以上に難しい。

●目次

「大屋根リング」をどうする? レガシーか、リセットか

 万博の象徴ともいえるのが、全長約2kmに及ぶ「大屋根リング」だ。建設コストは数百億円規模。これを「大阪の新ランドマーク」として恒久的に残すべきか、撤去して次の民間開発に委ねるべきかをめぐって、議論が分かれている。

 維持派は、パリ万博の「エッフェル塔」や、愛知万博跡地の「モリコロパーク」のように、“一目でわかる象徴”を残すことが都市ブランド形成の要だと主張する。一方で、反対派は「維持費の負担が莫大」「IRとの景観整合性が取れない」と懸念を示す。

 大阪市関係者は、「全面撤去か一部活用かを年内に方向づけたい」としており、大屋根リングの扱いは、跡地開発全体の“哲学”を映す鏡となる。

F1サーキット、テーマパーク…次世代エンタメ都市構想

 跡地開発をめぐって浮上している構想は多岐にわたる。

 その一つが、F1グランプリの常設サーキット設置案だ。夢洲の地形は海沿いで広大な平地が続き、観客席やピットを備えるレーストラックの建設に適しているとされる。大阪湾岸の夜景を背景にした「大阪ナイトレース」が実現すれば、世界的な注目を集める可能性は高い。

 もう一つは、大型テーマパークやエンタメ複合施設構想だ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)との相乗効果を狙い、ライブ会場、アートミュージアム、カジノ・リゾートと連動した「西日本最大のエンタメゾーン」を目指すという構想もある。

 これらはいずれも、「IR(統合型リゾート)」との一体運営を前提にしている点が特徴だ。

 万博跡地に隣接する形で建設が進むのが、大阪IR(統合型リゾート)だ。カジノを含むこの大型複合施設は、シンガポールの「マリーナベイ・サンズ」やマカオの「ギャラクシー・リゾート」と並ぶ、アジアの高級観光拠点を目指す。

 跡地活用を考えるうえで不可欠なのは、このIRとの「シナジー設計」である。IRの集客力を観光・MICE(国際会議)・エンタメ・スポーツなど周辺施設と結びつけ、「富裕層インバウンドの長期滞在を促すリゾートクラスター」として機能させられるかが、成功の分かれ目となる。

 大阪観光局の担当者はこう語る。

「アジアの富裕層は“ワンストップで楽しめる都市”を求めている。ショッピング、アート、自然、カジノ、スポーツ、いずれも徒歩圏内にあるような夢洲を目指すべきだ」

とはいえ、課題も多い。

 カジノへの反対運動はいまだ根強く、自治体内でも「公費負担の増大」「治安悪化」「ギャンブル依存」などを懸念する声は少なくない。さらに、交通インフラ――特に夢洲と大阪中心部を結ぶアクセスの強化が急務であり、公共投資と民間資金の最適バランスが問われる。

過去の「跡地再開発」から学ぶ――成功と失敗の分岐点

 大阪万博跡地の未来を考えるうえで、過去の大型イベント跡地は多くの示唆を与える。

「1970年の大阪万博跡地(吹田市)は『万博記念公園』として再整備され、太陽の塔や記念館が観光資源として生き続けている。一方で、2010年の上海万博跡地は一部が産業展示場や美術館として再利用されているが、一時的なイベント施設が恒久的経済価値を生むには困難が伴うことも明らかにした。

 成功事例に共通するのは、『イベントの理念を空間に再翻訳する試み』があったことだ。今回の大阪・関西万博が掲げたテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』。この理念をどう形に落とし込むか――例えば次世代モビリティ実証拠点、AI・GXスタートアップ拠点、海上都市実験区といった方向性も有力だ」(大阪で不動産開発に携わる大手デベロッパー幹部)

経済波及効果と政治的思惑――「ポスト万博」の現実

 跡地の再開発は、単なる都市計画ではない。そこには政治・産業・自治体の思惑が複雑に絡む。万博開催を主導した大阪府・市、経済界、IR事業者(オリックス、MGMリゾーツ)など、関係主体が多岐にわたるため、誰が主導権を握るかが焦点だ。

 仮に一体運営が進めば、MGMリゾーツが中心となってIR+エンタメ複合型都市構想を描く可能性もあるが、一方で大阪府は「産業・研究機能」を強化する方向を模索。大学・研究機関誘致、スタートアップ支援拠点の整備など、知的産業都市としての展開を主張している。

 つまり、夢洲の未来は「観光リゾート都市」か「知の実験都市」かという二重の選択を迫られている。

ロードマップと課題――公募・選定・整備の現実的スケジュール

 2026年にも跡地の民間事業者公募が始まり、同年中に開発コンセプトを決定。2030年前後の一部エリア供用開始を目指すというのが現在の見通しだ。ただし、万博後のインフラ整備費用の見積もりが膨らめば、民間参入の足かせとなる。

 また、IRの開業時期が2029年にずれ込む可能性があるため、両プロジェクトのスケジュール調整が最大の焦点となる。この点について、関西経済連合会の幹部は次のように語る。

「万博、IR、跡地開発をそれぞれ別々に進めるのではなく、関西全体の成長戦略の文脈で再設計する必要がある。いま問われているのは“誰のための開発か”ということだ」

 大阪万博の跡地は、単なる土地の問題ではない。「大阪という都市をどうデザインするか」という問いそのものだ。

 レガシーとして過去を残すのか、新たな街として未来を描くのか。

 ・エンタメとIRで世界の富裕層を呼び込む「大阪版ラスベガス」
 ・AI・GXを実証する産業実験都市「日本のシリコン湾」
 ・市民の憩いと文化発信の拠点「大阪版セントラルパーク」

 どの道を選ぶにしても、問われるのは長期的な都市哲学と、地域住民を巻き込む覚悟だ。いま、夢洲は“白紙のキャンバス”に戻った。次にどんな色を塗るのか――その筆を握るのは、行政でも企業でもなく、私たち自身かもしれない。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

レガシーシステムからの脱却を加速させる「AIエージェント」 韓国No.1 UI/UXツール「WebSquare AI」が描く、日本の開発現場の未来

●この記事のポイント
・日本ではUI/UXツール市場が未成熟な一方、韓国では開発の最初にツール選定から始まる。この認識ギャップに着目し、韓国No.1企業が日本参入を決断。
・「WebSquare AI」は生成AI機能で既存システムの画面を自動変換。設計書がなくても、スクショだけでモダナイゼーションが可能に。
・従来開発と比較して1.5倍の生産性向上、大規模案件では50%以上のコスト削減効果。デスクトップからモバイルまで一括管理できる点も強み。
・日本法人は地方銀行を中心に攻略。すでに2社が導入段階、年内確定見込み。中長期で金融機関5〜10件の実績確保を目指す。

明確なUI/UX専用ツール市場が形成されていない日本

「日本には、UI/UXツールというマーケット自体が存在していませんでした」

こう語るのは、2025年1月に設立された株式会社インスウェーブジャパンで営業を統括する日本法人の営業本部 本部長 田 敏吾(ジョン・ミンオ)氏だ。韓国では、システム開発を始める際に「どのUI/UXツールを選ぶか」から検討が始まるのが当たり前だが、日本では全く異なる状況だという。

同社は韓国で20年以上の歴史を持ち、UI/UX開発プラットフォーム市場でシェア1位を誇る企業だ。800社以上、3000件以上のプロジェクト実績を持ち、韓国の大手金融機関をはじめ、製造業、流通業まで幅広い業界で採用されている。

日本市場参入の背景には、明確な実績がある。韓国の大手銀行が日本で展開する金融機関のシステムに導入され、その実績をもとに国内の地方銀行にも採用が広がった。この成功体験が、日本法人設立の決定打となった。

70年代の成功が、今の足かせに

日本と韓国のIT化の歴史には、決定的な違いがある。田 敏吾氏は語る。

「日本は70年代、80年代の高度成長期に、世界で最も早く最新技術を導入しました。ただ、それが長く延命している状況です」

一方、韓国では90年代以降の経済成長期にIT技術を積極的に導入した結果、レガシーシステムの負債を抱えずに済んだ。韓国の大手銀行は10年以上前から「オープン化プロジェクト」を開始し、現在ではレガシーシステムがほぼ存在しない状態だという。

日本の金融機関が抱える課題は深刻だ。少子高齢化による店舗削減、オフラインからオンラインへのシフト、そして膨大なレガシーシステムの刷新——これらすべてを「より安く、より早く、より最新の技術で」実現しなければならない。

生成AIが実現する「1.5倍の生産性」

インスウェーブが提供する「WebSquare AI」の最大の特徴は、生成AI機能だ。

特に注目すべきは「AIスケッチ」機能。既存システムの画面をスクリーンショットするだけで、生成AIが自動分析し、WebSquare向けの画面に自動生成する。設計書が失われ、開発者がすでに引退したシステムでも、この機能を使えばモダナイゼーション(近代化)が可能になる。

「従来の開発手法と比較して、AI機能をフル活用することで約1.5倍の開発生産性が期待できます」(田氏)

加えて、チャットボット形式のヘルプ機能も搭載。「こういう画面を作りたい」と質問すれば、ソースコードまで自動補完してくれる。初心者のエンジニアでも、一定レベルの画面作成が可能になるという。

ここで重要なのは「商用製品だからこその保証」だ。オープンソースのチャットGPTなどでもコード生成は可能だが、誰も保証してくれない。商用製品であるWebSquare AIは、生成されたコードの品質を担保している点で決定的に異なる。

デスクトップからモバイルまで、一括管理

開発生産性の向上は、AIだけではない。

WebSquare AIで開発したアプリケーションは、デスクトップPC、スマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスに一括展開できる。従来は個別に管理が必要だった各デバイス向けアプリを、統合管理できる仕組みを持つ。

「企業内で運営するアプリケーションのデバイスの種類が多ければ多いほど、開発生産性と管理効率は向上します」と田氏は強調する。

大規模なエンタープライズ案件では、50%以上のコスト削減効果が期待できるという。ただし、小規模案件では費用対効果を感じにくい可能性もあるため、同社は現在、戦略的な価格設定で日本市場への浸透を図っている。

日本市場での勝算——地方銀行を中心に攻める

「今年の目標は、まず日本での実績を作ること」と田氏は語る。

すでに2社が導入段階に入っており、1社はPOC(概念実証)を終えてほぼ導入確定、もう1社はトレーニング中で年内導入が見込まれている。中長期的には、地方銀行を中心に5〜10件の金融実績を確保する計画だ。

金融以外では、製造業と保険業界に可能性を見出している。特に大手保険会社には、いまだCOBOLなどのレガシーシステムが残っており、生成AIを活用したモダナイゼーションのニーズが高いと分析する。

サポート体制も万全だ。日本国内にオフィスを構え、CS(カスタマーサポート)から技術サポートまで、すべて日本語で対応。「クリティカルな問題以外は、日本国内で完結して解決できる体制を整えています」(田氏)

韓国企業が語る、日本市場の特殊性

田氏は前職でも韓国系企業の製品を日本で10年間販売してきた経験を持つ。その経験から、日本市場の特殊性をこう語る。

「日本のマーケットは、ローカライゼーションの完成度によって、どんなに良い製品でも売れないことがあります」

同社は製品の日本語化だけでなく、ドキュメント、サポート、パートナー体制まで、すべてを日本仕様に整えた。現在、プロパー社員4名、韓国本社からの出張サポート4名、パートナー企業の専任エンジニア5名体制で運営しており、今後1年で10名までプロパー社員を増やす計画だ。

AIの進化に合わせた、スピード経営

「AIの成長スピードは非常に早い。ビジネス展開のスピードもそれに合わせなければなりません」(田氏)

同社は来年にも、新たなツール「AIパス」のリリースを予定している。これは、プロジェクト全体を一括管理できるツールで、6000本を超える画面を持つエンタープライズシステムでも、効率的に管理できる仕組みだ。プロジェクトマネージャーの負担も大幅に軽減される見込みだという。

日本のIT業界は、高度成長期に導入したシステムを延命し続けた結果、いま大きな転換点を迎えている。韓国で20年の実績を持つWebSquare AIは、その課題解決の有力な選択肢となるだろう。

レガシーシステムからの脱却は、もはや「やるべきこと」ではなく「やらなければ生き残れないこと」だ。AI時代の開発現場は、確実に変わり始めている。

■株式会社インスウェーブジャパンについて
韓国でUI/UX開発プラットフォーム市場シェアNo.1を誇る株式会社インスウェーブの日本法人として2025年1月に設立。親会社は2002年創業、20年以上の歴史を持ち、800社以上、3,000件以上のプロジェクト実績を有する。韓国の大手銀行をはじめ、製造業、流通業まで幅広い業界で採用されている。主力製品「WebSquare AI」は、生成AI機能を搭載したUI/UX開発プラットフォームで、レガシーシステムのモダナイゼーションを効率化。日本では地方銀行を中心に展開し、すでに複数の金融機関での導入実績を持つ。
・本社所在地:東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル2階
・代表者:代表取締役社長 金 星空(キム・ソンゴン)
・サービスサイト:https://www.inswave.jp

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

※本稿はPR記事です。

「テクノロジーでイノベーションを起こす」双日テックイノベーションが社名変更に込めた決意と成長シナリオ

 2025年10月8日、双日テックイノベーション株式会社(以下、双日テックイノベーション)は、社名変更後初となるメディア発表会を行った。
 今回は、発表会で語られた名称変更の背景や、アプリケーションソリューションを中心とした最新の事業戦略を紹介する。

社名の変更に込められたイノベーションへの決意


 まずは、2024年4月に双日テックイノベーション(当時は日商エレクトロニクス)の社長に就任した西原茂氏より、日商エレクトロニクスから双日テックイノベーションへ名称変更した狙いが語られた。
 1969年、同社は日商岩井の子会社として設立されているが、日商岩井は2004年に双日と名称変更している。親会社の名称変更から20年が経ち、双日という名称が浸透していること、「エレクトロニクス」というキーワードが必ずしも同社の事業と一致しないことが、同社の名称変更の理由だ。
 また、「テクノロジーを利用してイノベーションを起こすことへの願いも込められている」と、西原氏は語る。

 2024年、双日は中期経営計画で“Digital-in-All”と称し、DX戦略による既存ビジネスの価値向上・競争力強化、新たな事業創出での価値創造などを目指している。これにともなって、グループ内のIT中核会社である双日テックイノベーションは、おもにAIとオファリングサービスを通じて顧客の課題解決に伴走し、双日グループを牽引していく方針を示した。

2方向からのソリューションで顧客の課題解決を

 今回の双日の中期経営計画にともない、双日テックイノベーションにおいてとくにフォーカスされるのが、アプリケーション事業本部だ。
 アプリケーション本部の活動や成長シナリオについて語る同本部本部長の長谷川XX氏は、
「付加価値によるトップラインの伸長、労働力に対する省力化、2つの側面から顧客の生産性向上に寄与していく」
 とした。
 課題解決に向けたソリューションとしては、「GenAI×オファリングサービス」、「二層モデル」を掲げている。
「GenAI×オファリングサービス」とは、大手SIerなどが行う従来のオファリングサービスにGenAIを組み合わせることで、顧客の生産性課題や人材課題、市場課題の解決に伴走するというものだ。さらに、業界業務特化サービスの提供と、そのノウハウを活かし業界を横断してサービスを提供する「二層モデル」を同時に展開していく。

 長谷川氏は、現在、企業の抱える課題がより複雑化してきていることに言及し、アプリケーションを組み合わせて複合的に解決を図っていくことが重要であると語った。

各領域のDX課題に対応したソリューション

 長谷川氏が話すように、企業の抱える課題は業界や領域によって多様化している。今回は、双日テックイノベーションのアプリケーションが解決する、各領域の課題やDXの実態についても語られた。

 ユーザーの利便性の向上が測られる一方、どの業界においても、企業の業務は複雑化している。その汎用的な課題に対し、デジタル技術を使って自動化・効率化を実現していくためのアプリケーションが「Natic BPM Suite」だ。
 BPM(ビジネスプロセスマネジメント)を実現するアプリケーションとしては、市場シェアナンバーワンになっており、各社のコア業務で活用されている。
 たとえば、クレジットカード業界においては、決済方法の高度化・複雑化にともない、チャージバック決済業務における全体像の把握や改善余地の見極めが困難になっていた。この課題に対し、「Natic BPM Suite」をオファリングでサービス提供することで、セキュリティ基準の障壁もクリアにしながら解決を図っている。

 また、DX推進により起こりやすいのが「システムと人間のギャップ」だ。
 使い手のほうがうまく活用できないまま、課題解決のために複数のSaaSを導入し、生産性が上がらないという現状を抱える企業もある。
 このような状況にアプローチするのが「UX Canvas」。導入によって、誰もが操作に迷わず、使いやすいUXを実現する。

「Natic AI-Navi」は、生成AIを活用することで生産性向上を支援するサービスだ。
 生成AIの個人活用は90%を超える一方、企業において生成AIを活用した独自業務の効率化が実現している企業はたったの5%といわれています。
 「Natic AI-Navi」では、このような企業の現状を加味し、業務におけるAIの導入設計や伴走支援、AI活用における人材育成などを一気通貫で行い、企業内でのAI活用の浸透や業務の効率化を実現する。

「Trade Hub」「GRANDIT」は、それぞれ貿易業務や商社業務における課題にアプローチしたアプロケーションで、業務特化型のソリューションといえる。
 いわゆるベテランに支えられている貿易に関わる業務は複雑かつアナログで、人材不足やデジタル化の遅れが深刻な足枷になっている。
 「Trade Hub」によって、書類作成や進捗管理の自動化、属人化領域へのAI活用などで、業務の標準化を進めていく。
 商社業務においては、従来、ERPとよばれる総合基幹業務システムが使われていた。しかし、クラウド対応の拡大などにより、リプレイス需要が高まっている。
 リプレイスの際には人材不足、移行スケジュールの逼迫が課題になる。双日テックイノベーションでは、商社業務のテンプレートマスターを活用し、開発領域を最小限に抑えることで、「GRANDIT」への短期間、かつスムーズな移行が可能になる。

 いずれのアプリケーションも、単なるツールとして提供するのではなく、双日テックイノベーションがパートナーとして伴走して、生産性向上に取り組んでいくことが大きな特徴だ。

「テクノロジーでイノベーションを起こす」という想いを社名に掲げた双日テックイノベーションは、グループのDX中核企業として新たな一歩を踏み出した。
 企業の課題解決をともに歩む“伴走者”として、そして双日グループの未来を形づくる原動力として、双日テックイノベーションは、新たな価値創出に向けて歩みを進めている。

※本稿はPR記事です。

【参加者募集】Do! Solutions Webinar「ファンをブランド成長のエンジンにする企業の最新アプローチ」11月13日開催

電通が運営する、ビジネス課題を解決する情報ポータルDo! Solutionsは、11月13日(木)に開催するウェビナー「ファンをブランド成長のエンジンにする企業の最新アプローチ 膨大なファン理解データが切り開くAI活用の可能性」の参加者を募集している。

ブランドに愛着を持つ“ファン”は、ブランドの安定を支えるだけでなく、事業成長をともに実現する最強のパートナーである。「ファン基盤」は企業やブランドのレジリエンスを高める重要な存在となっている。一方で、ブランドの歴史が長くなればなるほど、「ファン基盤の高齢化」や「次世代ファンの不足」といった課題が浮かび上がってくるのも事実である。

本ウェビナーでは、第一三共ヘルスケアの「ミノン」が挑んだ“ファン探索・育成プロジェクト”の舞台裏を、最新ファンマーケティング手法の流れに沿って紹介する。今のファンを徹底理解するためのアプローチ、ポテンシャルファンになる可能性の高い層の探索方法、膨大なファンの定性データ×AIを掛け合わせたAIファン生成の可能性など、最新ファンマーケティングの戦略とこれからのブランドのあり方を考える。

「ファンをブランド成長のエンジンにする企業の最新アプローチ」

【概要】
日時:
11月13日(木)14:00〜15:00
費用:無料
形式:Zoomウェビナー
登録締め切り:11月10日(月)17:30
定員:先着500人

■参加登録・セミナー詳細はこちらから


【プログラム】

第1部
迫る“ファン基盤エイジング” 今こそ必要な育成スピードアップ

成長を維持し、次世代ファンを育てる電通のファンマーケティングとは 

第2部
ファン育の第一歩は“徹底ファン理解”と羅針盤戦略の策定

第一三共ヘルスケア「ミノン」に学ぶ実践事例 

第3部
ブランドの未来を共創する「AIファンペルソナ」「AIファンミ」とは?

AIが描く理想のファン像と壁打ちする新しいワークショップ

【登壇者プロフィール】

第一三共ヘルスケア ブランド推進本部 H&B推進部 BM第一グループ長
山田 佳代(やまだ かよ)

化粧品会社での製剤開発およびマーケティング経験を経て、第一三共ヘルスケアに入社。敏感肌向けブランド「ミノン アミノモイスト」のブランドマネジャーを担当後、現在はBM第一グループ長として、「ミノン」をはじめとしたスキンケアブランドや、メディカルマーケティングの価値最大化に取り組む。製薬会社としてエビデンスベースドの姿勢と誠実さを大切に、生活者の悩みに寄り添い、信頼と共感を生むブランドづくりを目指している。

電通 部長
植田 みさ(うえだ みさ)

電通入社後、戦略PRの立案からソーシャルメディアを活用した顧客視点でのエンゲージメントコミュニケーションの体系化、実施運営ディレクションに従事。2016年電通デジタル創立に伴い出向、ソーシャルメディアの事業化やSNS時代のファンとブランドとの共感づくりに携わる。電通に帰任後は、顧客とブランドが共に成長するためのエンゲージメントコンサルに携わりながら、「Growth Fan Expert」を立ち上げ、Growthファンマーケティングの再提唱をリードしている。

電通 コンサルタント
杉之尾 剛生(すぎのお たけし)

電通総研で価値観国際比較調査・予測市場などのリサーチに従事後、電通にてマーケティングコンサルタントとしてデータドリブンな戦略立案と実行を支援。現在はDCR(データクリーンルーム)を活用したプライバシー対応型のデジタル販促キャンペーンや、クラウド型ファンコミュニティを核にしたCRM/ブランド成長施策を推進。AIマスターとして、生成AIを組み込んだPoC~導入まで一気通貫での課題解決ソリューション提供に注力。

電通 マーケティングコンサルタント
廣田 明子(ひろた あきこ)

電通入社以来、ブランド開発・新商品/サービス開発・統合コミュニケーションまで、幅広い領域で戦略プランニングを担当。ヒット商品の開発支援にも複数従事。2020年1月~22年12月まで、電通デジタルに出向し、独自のファンマーケティング領域のコンサルティングフレーム「Fan Farming CX」などを発案・提唱。ファンマーケティングのフレームワークの体系化を推進。2023年に電通に帰任後も、企業の課題ごとにカスタマイズしたソリューション導入をリードし、「Growth Fan Expert」のメンバーとして尽力中。
 

名古屋駅を起点に!都市の魅力を高めるウォーカブルなまちづくりとは?

電通の「都市の未来デザイン ユニット」は、都市やくらしの未来像を描き、構想から実現までをさまざまな領域で支援する専門チームです(詳細はこちらから)。

本連載では、これからの都市・まちづくりに求められること、また幸福度の高い都市について、さまざまな角度から探ってきました。

今回スポットを当てるのは、大規模な再開発が計画されている名古屋駅地区。本記事では、2025年3月に名鉄名古屋駅一帯の大規模な再開発計画を発表した名古屋鉄道の代表取締役社長の髙﨑裕樹氏をお迎えし、再開発の意義や地方大都市の在り方、目指すべきまちの未来像などを語っていただきました。聞き手は、電通 伊神崇氏です。

都市の未来デザイン#10_名鉄_メインカット
(左から)名古屋鉄道 髙﨑裕樹氏、電通 伊神崇氏
<目次>
名鉄名古屋駅の大規模な再開発、その意義は?

創造性豊かな人材×ものづくりで新たな付加価値を創出

地上のにぎわいを大切にしながら、まち中の回遊性を高める

空飛ぶクルマも!?未来を見据えた「スーパーモビリティハブ構想」

機能性を追求する産業のまちに足りないものとは?

名鉄名古屋駅の大規模な再開発、その意義は?
 

伊神:リニア中央新幹線の開業を見据え、名古屋を中心とした中部圏を取り巻く環境は大きく変化しています。その中で、名古屋駅地区再開発計画を発表されたわけですが、まずは今回の大規模な再開発に至った経緯や、意義などをお聞かせいただけますでしょうか。

髙﨑:最初に名古屋を中心とした中部圏の経済圏域についてお話をさせてください。名古屋という大都市があり、自動車や航空機などの強固な産業基盤、そして自然や文化も豊富にある中部圏は、全国の経済圏と比べても高い実力とポテンシャルを持っているエリアだと感じています。しかし、残念ながらそれを十分に生かしきれていないのが現状です。

そこで、名古屋を中心としたこのエリアを「世界から選ばれる都市」、さらには「日本の頂点の一つとなるような世界に開かれた都市」にしていこうという考えでスタートしたのが行政主導のもと進められている「名古屋駅周辺まちづくり構想」です。そしてそのプロジェクトの一環として、名古屋駅地区再開発計画も動き出しました。

伊神:日本の頂点の一つとなるような都市を目指すという考えも興味深いですね。

髙﨑:現在の日本では、東京への一極集中が加速しています。それによって地方の人口減少や過疎化、経済の偏りによる地域間格差などさまざまな弊害が指摘されています。この流れを食い止めるためには、全国の地方大都市が東京とは異なる魅力を高め、日本の頂点の一つとなる都市を目指していく必要があります。それが日本の将来にとって望ましい国土構造の形だと考えています。

私はこれを多極集約の国土構造と言っています。従来の一極集中が富士山型だとすると、多極集約は山脈型というイメージです。

都市の未来デザイン#10_名鉄_髙﨑さんソロカット

伊神:なるほど。富士山型だと、東京を頂点としてそれに倣う構造になるのに対し、山脈型は、いくつもの個性を持った高い山が連なっている。多くの地方大都市はそれを目指すべきということなのですね。

髙﨑:地方大都市が独自の魅力を高め、まちが機能することで、その周辺地域も活性化していきます。先ほどもお話しした通り、中部圏には、強固な経済基盤に加え、豊富な自然や文化があります。さらに言えば、可処分所得は高いのに、東京を中心とする首都圏に比べて生活コストは低く、暮らしやすいエリアだとも言えます。

また、これからはリニア中央新幹線の開業も控えており、さらに発展する可能性は十分にあります。しかし、地域の個性やポテンシャルを生かしきれていない現状のままでは、東京一極集中の流れの中で、ストロー現象が働いてしまいます。

伊神:多極集約型を実現するためには、他の地域と差別化を図り、都市の魅力を高めることが求められているのですね。

髙﨑:そうですね。そのためにも、まずその都市の象徴となる玄関口で“都心の魅力”を開花させ、まちの活性化につなげていくことが大切です。私たちにとっては、その起爆剤の一つが、中部圏最大の都市にある名古屋駅地区の再開発計画なのです。


創造性豊かな人材×ものづくりで新たな付加価値を創出

伊神:名古屋をこれからどんな都市にしていきたいと考えているのか、まちづくりにおける構想やビジョンを教えてください。

髙﨑:私どもは、この再開発計画において「世界に冠たる『スーパーターミナル・ナゴヤ』を⽬指す名古屋駅前に、個性と感性にあふれる多彩な⼈々や発想が交差し、あらたな価値観と⽂化を創発する唯⼀無⼆のランドマークをつくり上げる」ということをビジョンに掲げています。

中部圏は国内でも屈指の製造業が盛んな地域で、特に自動車産業を中心に発展してきた歴史があります。そのため高品質、高精度なものづくりが得意という特色があります。ただ、これまでと同じように高機能・高性能といった技術力だけを追求していくだけでいいのかというと、それだけでは難しい。そこに、ユーザーサイドから見た付加価値を掛け合わせ、ブランド価値を高めていくことも重要となってきます。そうした時にキーパーソンとなるのが、創造性豊かな人材です。ものづくりの技術者×創造性豊かな人材という掛け合わせで、新たな価値を創出する仕組みをこの地域で作っていかなければいけないと考えています。

そのためにも、まずは名古屋の都心が、その魅力を高め、創造性豊かな人たちが国内外から集まる場所にしていくことが重要です。

伊神:では、髙﨑社長が考える創造性豊かな人材を集めるために必要な要素は何でしょうか?

髙﨑:一つは地域性が非常に大事だと思っています。ものづくりの技術者×創造性豊かな人材といったアプローチのように、このエリアならではの地域性や個性をしっかり打ち出すことで、そこに魅力を感じて興味を持って来訪してくれる人もいるでしょう。

二つ目は、環境面です。これはこれからのまちづくりにおいては欠かせない要素ですが、環境に配慮されていない、環境意識の低いまちには、革新的で創造性豊かな人材は引き付けられないと感じています。豊かな自然があり、人にも地球にもやさしいまちであるということも非常に大切な要素です。

そして、三つ目は文化芸術です。さらにそこにプラスしたいのが食です。

伊神:たしかに、食は大事ですよね。

髙﨑:刺激やワクワク、楽しさは人が集まる大きなポイントです。アートや食を通して、多彩な人が集まり交流が生まれ、新たなにぎわいが生まれる――。文化芸術や食をきっかけに、こうした好循環が生まれることを期待しながら、今回の再開発計画も準備を進めています。

伊神:世界から多くの人たちが集まる国際的な都市(拠点)という一面も、名古屋がこれから担う役割だと思いますが、今回招致されたホテルもそういった観点から選ばれているのでしょうか?

都市の未来デザイン#10_名鉄_伊神さんソロカット

髙﨑:世界的に選ばれる都市になるためには、都市魅力の向上に資する最高グレードのホテルが必要だと考えていました。そこで招致を決定したホテルが高品質かつ多様性を受け入れるラグジュアリーホテル「アンダーズ」です。

格式高い最高級ホテルはほかにもたくさんありますが、その中でも「アンダーズ」は、ゲスト一人一人の個性や自由を尊重するライフスタイル型の空間づくりを大切にしています。そういったコンセプトが、私たちが目指す創造性豊かな人たちが集まるまちと親和性が高いと感じています。

地上のにぎわいを大切にしながら、まち中の回遊性を高める

伊神:ほかに、この再開発計画において注視していることはありますか?

髙﨑:今回の再開発計画は、都市魅力の向上はもちろん、交通施設の再整備も大きな目的の一つです。

名古屋駅を利用したことがある人はお分かりになるかと思いますが、JR在来線、新幹線、名鉄、近鉄、地下鉄、あおなみ線が乗り入れ、とても複雑な構造をしており、「乗り換えが難しい、不便だ」といわれています。

さらに、かねてより多くのお客様から利便性を高めてほしいという声をいただいていたのが空港へのアクセスです。

こうした利便性の課題を解消し、公共交通をより多くの人に利用していただくことは、まちに人を集め活気を生み出すために非常に有効です。そのためにも、行政が主体となって進めているリニア関連の駅周辺整備のプロジェクトと整合性を取りながら、名鉄名古屋駅だけでなく、名古屋駅全体の交通施設を再整備し、機能性や利便性を高めていくことは、着実にやらなければいけないことだと考えています。

伊神:たしかに、分かりやすくて使いやすいというのは駅に求められる重要な要素です。しかしその一方で、機能性や利便性を高めていくほど、創造性やセレンディピティが生まれにくいという側面もあるように思います。機能性と創造性の両立はどのように考えていらっしゃいますか?

髙﨑:おっしゃる通りで、機能性や利便性だけを追求し、整然とし過ぎていると自由度が失われ偶然の出会いや発見みたいなものが生まれにくいかもしれません。交通施設において不便な部分は改善するが、まち全体としての自由度、余白みたいな部分は残しておく。そういうバランスは必要ですね。

今回の再開発計画の中で、私たちは「『まち』に開かれ、また一体となってにぎわいを創出し、人中心でウォーカブルなまちづくりを実現していきます」と発信しています。これは名古屋駅を起点に回遊性を促して、都心ににぎわいを創出し、さらにその効果を周辺都市に波及させることで沿線地域の価値向上につなげたいという思いが込められています。

伊神:名古屋駅を起点にして、そこから回遊してもらい、近隣エリアにも足を運んでもらうということですね。

髙﨑:今回の再開発では、名鉄百貨店本店や名鉄グランドホテルが入るビル群の跡地に、高さ約170メートルのビルを太閤通を跨ぎ一体的に建設します。この再開発ビルには、鉄道駅、バスターミナルのほか、低層部に商業施設、高層部にオフィスとホテルが入る予定です。ただ、この施設だけですべてが完結してはいけないと考えており、都市景観と歩行者空間の融合を重視したさまざまな工夫も施しています。

都市の未来デザイン#10_名鉄_2025年8月の再開発地域
2025年8月の再開発地域
都市の未来デザイン#10_名鉄_完成イメージ①
再開発建物 全景
デザインアーキテクト:株式会社日建設計・SKIDMORE, OWINGS &MERRILL LLP
都市の未来デザイン#10_名鉄_完成イメージ②
再開発建物 名駅通側のプロムナード
デザインアーキテクト:株式会社日建設計・SKIDMORE, OWINGS &MERRILL LLP

例えば、低層部の北側は駅前広場との一体感を演出し、人が集う滞留空間を創出する設計に。さらに名駅通側は、賑わい、彩りやうるおいを育むポルティコ(※)的な歩行空間であるプロムナードとし、まちに開かれた開発とします。また、現在行政により計画が進められているささしまライブへとつながる地下通路とも連携する予定で、駅を起点に“歩いて楽しい”を体現するウォーカブルなまちを形成していく予定です。

伊神:名古屋には名古屋駅前だけでなく、大須や栄など人気の繁華街がたくさんありますよね。駅を起点にそういった近隣エリアにも流れていくような動線をつくっているのでしょうか。

髙﨑:そうですね。ただ、名古屋駅から栄までと言うと少し距離がありますので、徒歩+公共交通などをうまく組み合わせていただくと良いのかなと思います。今後は、路面公共交通システムSRT(スマート・ロードウェイ・トランジット)の運行もスタートします。歩いて楽しい空間と次世代型のモビリティや公共交通を連動させて、名古屋という都市の魅力を高めていけたらと思っています。

※=ポルティコ
玄関や建物に設けられる屋根つきの空間。

空飛ぶクルマも!?未来を見据えた「スーパーモビリティハブ構想」

伊神:将来的な話でいうと、名古屋駅を「スーパーモビリティハブ」にするという構想も大きな注目を集めていますね。

髙﨑:はい、これは名古屋駅を従来の公共交通に加え、リニアやSRT、そして将来的には空飛ぶクルマも含めた次世代型モビリティの拠点にしていく構想です。実現することで、地域の観光活性化や、産業競争力の強化、住民の生活の質の向上などが期待できると考えています。

例えば、空飛ぶクルマを使い移動の利便性が向上することで、名古屋駅から三重県の伊勢、志摩、岐阜県の高山、白川郷、下呂といった観光地へのアクセスが快適になります。それにより名古屋だけでなくその周辺地域にも足を運ぶ人が増えるでしょう。

伊神:産業面でのメリットも大きいですよね。

髙﨑:もちろんです。名古屋には、2024年に開業した「STATION Ai(ステーション・エーアイ」という国内最大級のオープンイノベーション施設があり、スタートアップを支援する土壌が育っています。こうした地域色を生かして、航空宇宙や次世代モビリティに関連する産業の高度な集積地にすることで、多様な人材が交流し、新たなイノベーションが生まれる、そんな場所にしていけたらと思っています。

機能性を追求する産業のまちに足りないものとは?

伊神:近年のまちづくりは、ウェルビーイング(幸福感)や暮らしやすさが重視される傾向があると感じています。特に駅は、大人へと成長する上で出発点になったり、はたまた帰ってくる場所になったり、人によってさまざまな思い出が生まれる場所ですね。これから再開発する名古屋駅やこの周辺地域を、そういった特別な場所にしていくために必要なことはどんなことでしょうか?

髙﨑:産業のまちとして発展してきたこの地域は、ファンクショナル(機能的・実用的)の面ではさまざまなものがそろっています。ただ、若干物足りないと思っているのが「情緒」の部分です。そういう意味では、横浜や大阪、長崎などの地名は、ヒット曲にも使われており、その地の雰囲気や文化を色濃く感じることができます。

そういった情緒みたいな部分を、都心にもっと水と緑を増やし、アートを展開することで補っていけたらより魅力的なまちになると思います。そこに創造性豊かな人が集まり、クリエイティビティとものづくりの技術を掛け合わせていくことで唯一無二の文化や地域性を育むことができるでしょう。それが、この地域独自の個性を際立たせ、国内外の人々に選ばれる都市になる。

こうした好循環を生むことができれば、この地域の継続的成長にもつながり、結果として名古屋を中心とした中部圏のウェルビーイングの向上につなげていけるのではないかと期待しています。

伊神:創造性という点でいえば、これまで、名鉄百貨店のナナちゃん人形がそういった役割を担っていた印象があります。再開発の工事のため名鉄百貨店は閉店が予定されていますが、ナナちゃん人形の今後について心配のお声もあるのではないでしょうか?

都市の未来デザイン#10_名鉄_ナナちゃん人形
名古屋鉄道のプロモーションで特別装飾されたナナちゃん人形

髙﨑:これまで名鉄だけでなく駅前のシンボルとしてナナちゃん人形は多くの方々に愛されてきました。再開発完成後もまちのシンボルという位置づけで、再登場できればと思っています。ぜひ、楽しみにしていてください。

都市の未来デザイン#10_名鉄_左から髙﨑さん、伊神さん

【編集後記】

対談を終え、この再開発は、名古屋駅や駅周辺のにぎわい、活性化ということにとどまらず、中部圏全体の暮らしや産業までも変え、成長させることを視野に入れられていることが分かりました。それは、日本のものづくり産業の集積地である中部圏が変わることにもつながることから、日本全体の産業にも大きく影響する事業であると感じます。

そして、中部圏最大の駅の再開発に対し、交通事業者として利便性など機能的な面を最重要視するのは必然として、ウェルビーイングの向上といった人の幸せにつながる情緒的な面までを髙﨑社長が追求されていることも、対談を通じて知ることができました。

創造性の豊かな人が集まり、創造性に満ちた新しいものづくりが生まれてくる。そして、その魅力に人が集うといった創造性の循環が、名古屋・中部圏にとどまらず日本や世界の新しい未来を切り拓いていくことを期待し、名古屋駅を中心に、これからどのような幸せが生まれるのかを見つめていきたいと思います。

【本件に関する問い合わせ先】
都市の未来デザイン ユニット
HP:https://www.dentsu.co.jp/labo/futuredesign_unit/index.html
Email:futuredesign-unit@dentsu.co.jp
 
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日本の半導体製造装置業界に地殻変動…東京エレクトロンの減速と、“後工程”の新勢力台頭

 日本経済を支える柱の一つ――それが「半導体製造装置」である。2024年度の輸出金額は約5兆円規模に達し、自動車に次ぐ輸出産業として日本の貿易黒字を支えてきた。だが2025年、業界の勢力図に異変が生じつつある。

 これまで絶対的な地位を誇ってきたのが東京エレクトロン(TEL)だ。塗布・現像装置で世界シェア約9割という圧倒的ポジションを築き、長年にわたって日本の半導体製造装置業界をリードしてきた。

しかし今、そのTELが業績予想を下方修正し、株価が急落している。主因は中国需要の急減と、主要顧客インテルの発注停滞だ。元半導体メーカー研究員で経済コンサルタントの岩井裕介氏に解説してもらった。

●目次

東京エレクトロンの「成長神話」崩れる

 TELが発表した2025年3月期の営業利益予想は、前期比約20%減。これまで続いた好調な業績トレンドに陰りが見え始めた。背景には二つの構造的変化がある。

1.米中対立による輸出規制強化
 アメリカの規制で先端半導体製造装置の対中輸出が制限されたことは、TELに直撃した。中国向け売上比率が3割近くを占めていたため、需要の急減は痛手となった。

2.インテルの業績不振と設備投資抑制
 AI半導体需要を背景にNVIDIAやTSMCが設備投資を拡大する一方で、PC・サーバー分野で苦戦するインテルは投資を抑制。TELの主力取引先である同社の動きが、業績を押し下げた。

 長期的には、TSMCが自社開発の塗布・現像技術を内製化する動きもあり、TELが誇った「前工程王国」の独占構造が少しずつ揺らいでいる。

 対照的に、半導体後工程――すなわちテスト・パッケージング分野では日本勢がかつてない好調を見せている。

 その象徴がアドバンテストだ。同社は半導体テスター(検査装置)の最大手であり、AIチップの性能確認に不可欠な存在だ。2025年3月期の営業利益予想を前期比3割増の3000億円に上方修正した。

 AIサーバーや生成AI用GPUが爆発的に増産されるなか、テスト需要はかつてない勢いで伸びている。アドバンテストの株価も年初から5割以上上昇し、業界の主役交代を象徴する存在となった。

後工程の“日の丸”連合:ニコン・オーク製作所の台頭

 もう一つ注目されているのが、露光工程の中でも「マスクレス露光」技術を巡る新勢力の台頭だ。

 ニコンとオーク製作所は、解像度1μm級のマスクレス露光装置を開発。従来、露光工程ではフォトマスクを使って回路を転写していたが、この工程を省略できるため、コスト・時間の両面で革新をもたらす。

 この技術は、AIチップや車載半導体など少量多品種製造に最適であり、台湾・韓国・欧州の後工程メーカーから受注が急増。

「前工程=東京エレクトロン」「後工程=アドバンテスト・ニコン・オーク製作所」という新たな構図が形成されつつある。

 さらに業界の底力を支えるのが、ディスコとイビデンだ。

・ディスコ:半導体ウエハーを切断・研磨する装置で世界シェアNo.1。AI向け高性能チップの製造にはより薄く・精密な加工が求められ、同社装置の需要が急拡大。

・イビデン:半導体パッケージ基板を製造。NVIDIAやインテルの最新GPU基板を手掛け、後工程サプライチェーンの要として急成長している。

 この両社の存在は、半導体装置業界の“縁の下の力持ち”として改めて脚光を浴びている。

業界構造の変化:「前工程」から「後工程」へ

 半導体製造装置業界は、これまで前工程(露光・成膜・エッチング)を制する者が主導してきた。

 しかし、AI半導体の時代に入り、「後工程」がより重要になってきた。理由は以下の3つだ。

1.AIチップの複雑化
 1個のAIチップに数百億個のトランジスタが集積され、検査工程が飛躍的に増加。テスター・研磨装置など後工程の比重が上昇。

2.チップレット構造の普及
 1枚のチップに全機能を詰めるのではなく、複数の小チップを組み合わせる“チップレット構造”が主流に。これによりパッケージング工程が極めて重要に。

3.生成AIブームによるGPU特需
 GPUは演算密度が高く、歩留まりの確保にテスト工程が不可欠。AIブームが後工程を押し上げている。

 実はこの“後工程シフト”は、日本企業にとって好機でもある。前工程では米アプライドマテリアルズ、蘭ASML、日TELという寡占構造ができあがっているが、後工程は依然として群雄割拠状態だ。そこに日本企業の技術が刺さる。

 精密加工・高精度制御・クリーン環境制御といった分野は、日本の得意領域。ニコンのマスクレス露光、ディスコの研磨技術、アドバンテストのテスター精度は、いずれも世界トップクラスだ。

 さらに、AIや自動運転向け半導体では「多品種・少量生産」が増えるため、日本式の柔軟な製造技術が生きる。

東京エレクトロンの巻き返しはあるか

 もちろん、東京エレクトロンも手をこまねいているわけではない。同社は次世代EUV露光対応装置や、AIプロセス制御ソフトなどの開発を進めており、「後工程領域」への参入も模索している。

 しかし課題は、事業構造の硬直性だ。TELの売上の約8割が前工程装置に依存しており、後工程への転換には時間を要する。
また、ASMLとの提携関係もあり、独自技術の自由度が制約されている側面もある。

 市場では「TELが後工程を取り込めるか否かが、日本装置業界の競争力維持の鍵」との見方も出ている。

 半導体製造装置は、単なる1業種ではない。自動車、家電、AI、エネルギー産業まで、日本の輸出と技術基盤を支える中核的産業である。

 TELの失速は一時的な調整とも見られるが、産業構造の転換は不可逆的だ。アドバンテストやニコン、ディスコといった後工程メーカーが新たな成長軸となり、「日本半導体装置=前工程一強」から「多層構造」へと変化している。この変化を日本企業がチャンスに変えられるか――。

 製造技術の裾野の広さと、AI時代に対応する柔軟な発想で、日本の真価が問われている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=岩井裕介/経済コンサルタント)

東京で単身高齢者が5割目前…認知症マンション問題、管理組合の限界で対応急務

●この記事のポイント
・東京都では2040年に「65歳以上単身マンション世帯」が半数を占める見込み。
・認知症の居住者による迷惑行為や孤立死など、管理組合の対応困難なケースが増加。
・都はマンション管理士派遣を開始したが、現場では「法的限界」と「人の支援不足」が課題。
・本人、家族、地域、行政が連携する「共助インフラ」の再設計が急務に。

 東京都は全国で最も高齢化のスピードが速い都市の一つだ。特に単身高齢者の増加は顕著で、東京都の推計によると、2040年には都内の65歳以上世帯の約半数が単身世帯になると見込まれている。

 その多くが住むのは、1970〜90年代に大量供給されたマンション群だ。分譲時に30〜40代だった居住者がいま70〜80代を迎え、住民構成が一斉に高齢化している。都が2023年に実施した「マンション実態調査」では、築40年以上のマンションが都内で約36%を占め、居住者の平均年齢は60歳を超えた。

 こうしたなかで浮上しているのが、「認知症を抱えた単身居住者」への対応問題である。

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管理組合を悩ませる「認知症住民とみられるトラブル」

 不動産コンサルタントの秋田智樹氏によると、近年、マンション管理組合から寄せられる相談は急増しているという。「ゴミ出しのルールを守らない」「夜間に大声を出す」「共用部に水を出しっぱなしにする」など、明らかに認知機能の低下が疑われる行動が見られるケースだ。

 しかし、認知症は医療上の診断を受けなければ確定できず、他の居住者が“認知症かどうか”を判断することはできない。そのため、管理組合には強制力がなく、本人が拒否すれば立ち入りもできない。「マンション管理規約」は所有者の権利を保護する側面が強く、対応の限界が浮き彫りになっている。

 都内の管理組合理事長(70代男性)はこう語る。

「ゴミを出し忘れたり、水漏れを放置したりする方が増えている。連絡しても『そんなことはしていない』と言われ、話が通じない。家族も遠方にいて、結局こちらが掃除や対応をしている」

 こうした“軽度トラブル”は、実は大きなリスクの前兆でもある。火の不始末や漏水、孤立死など、物理的被害や周囲への影響が及ぶ事例も後を絶たない。管理会社団体によると、2024年度には都内マンションで年間400件超の「孤立死後の事故対応」が発生したという。

 この問題を複雑にしているのは、「権利と尊厳の問題」である。民法上、認知症であっても居住権は保護される。管理組合や他住民が「追い出す」ような行為は人権侵害とされかねない。

 一方で、他の居住者の安全や衛生が損なわれる場合、どこまで介入できるかの線引きが曖昧だ。高齢者が孤立し、地域包括支援センターなどとの接点を持たないケースも多い。秋田氏はこう語る。

「マンションは『個人の所有と共同体』の中間にある存在。公営住宅のように行政が直接介入することは難しく、支援体制を“つなぐ仕組み”が重要になる」

東京都の対策:マンション管理士の派遣開始

 東京都は2024年度から、「マンション管理支援事業」を拡充し、マンション管理士を現場に派遣する制度を本格稼働させた。認知症が疑われる居住者への対応に困っている管理組合に、専門家が助言を行う仕組みだ。

 たとえば、
 ・家族やケアマネジャー、地域包括支援センターとの橋渡し
 ・弁護士や社会福祉士と連携した法的支援の紹介
 ・管理規約における「安全配慮条項」の見直し提案
といったサポートが想定されている。

 だが、都庁関係者の間でも「マンション管理士の人員が足りない」「対応件数が急増する」との懸念が広がる。高齢化のスピードに現場の支援体制が追いつかない現実がある。

 一方で、単身高齢者自身が「認知症になったらどうするか」を考えておくことも重要だ。

 東京都健康長寿医療センターの調査によると、都内の認知症有病率は2025年に15%、2040年には20%を超える見込み。

 つまり、5人に1人が認知症になる時代が迫っている。そこで注目されているのが、「意思決定支援制度」や「見守り契約」の活用だ。

 たとえば、
 任意後見制度:認知症が進行する前に信頼できる第三者(親族・弁護士など)を指定しておく。
 見守りサービス契約:管理会社や民間事業者が安否確認やトラブル時の通報を担う。
 マンション内自治ルールの整備:孤立防止のための声かけ・緊急連絡体制づくり。

 こうした備えを「元気なうち」に整えることが、結果的にトラブルを未然に防ぐことにつながる。

 自治体レベルでも先行的な取り組みが始まっている。千代田区では、地域包括支援センターとマンション管理組合をつなぐ「見守り協定」を締結。認知症の疑いがある居住者を発見した際に、個人情報保護の範囲内で迅速に連携できる体制を整えた。

 また、杉並区ではマンション管理組合連合会が中心となり、地域包括支援センター職員との「見守り勉強会」を定期開催。現場での困りごとを共有し、事例ベースで対応方法を検討している。

 こうした取り組みはまだ点在的だが、「行政と民間の共助モデル」として全国の注目を集めている。

社会全体で問われる「住まいのセーフティネット再構築」

 単身高齢者の増加は、もはや住宅の問題にとどまらない。それは「コミュニティの崩壊」と「制度の空白」が同時に進む社会構造の問題だ。

 国交省のデータによれば、全国のマンションの約3割が将来的に管理不全化のリスクを抱える。特に東京都では、管理組合役員の担い手不足と高齢化が深刻で、対応力が低下している。

専門家の間では、
 ・マンションを地域包括支援センターの「拠点」として機能させる
 ・ITやセンサーを活用した「見守りDX」の導入(例:IoT水道メーターで異常検知)
 ・マンション再生事業と高齢者福祉を一体化した「複合型地域支援」
など、“住宅×福祉×テクノロジー”の統合的アプローチが提案されている。

「“認知症の人を排除する”ではなく、“認知症とともに暮らす”という社会モデルを作らなければならない。マンションはその最前線です」(秋田氏)

 孤立を防ぎ、住民同士が支え合える仕組みをつくること――。それは、都心マンションだけでなく、これから全国で直面する「超高齢社会の縮図」でもある。マンションの老朽化と住民の高齢化が同時に進む時代。

 法制度・管理体制・個人の備えをどう再構築していくか。この問題は、「都市の持続可能性」そのものを問う課題といえるだろう。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

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