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金融庁が「仕組み預金」にメスを入れる理由…利上げ局面で露呈した銀行ビジネスの死角
●この記事のポイント
金融庁が2026年夏にも「仕組み預金」の監督強化に乗り出す。仕組み預金は高金利をうたう一方、満期延長特約や中途解約調整金が組み込まれ、利上げ局面では元本の2〜3割が失われる可能性もある。日銀の利上げによってトラブルが顕在化し、「預金」という名称が生む安心感と実際のリスクの乖離が問題視されている。背景には地銀の収益悪化と手数料ビジネス依存の構造もある。
金融庁が「仕組み預金」の販売実態に対し、本格的な規制強化に踏み切ることが明らかになった。6月6日付日本経済新聞の報道によれば、金融庁は今夏にも監督指針を改正し、解約制限のリスクなどを顧客向け説明資料に明記するよう銀行に義務付ける方針だ。月内にもパブリックコメント(意見公募)を開始し、違反した銀行は検査の対象となる。全国銀行協会も動向を注視している。
背景にあるのは、全国の銀行窓口で急増する「中途解約トラブル」だ。「他の定期預金より金利が高い」と説明を受けて契約した顧客が、解約しようとすると預けた元本が大幅に目減りして戻ってくる——。こうした事態が、日銀の利上げという「想定外の地殻変動」を機に一気に表面化した。
かつて「仕組み債」の大量販売で金融庁から厳しく処分された銀行業界が、今度は「預金」という安全・安心のレッテルを利用して同じ過ちを繰り返していると指摘されている。
●目次
そもそも「仕組み預金」とは何か
「預金」という名のデリバティブ
仕組み預金とは、通常の定期預金に「デリバティブ(金融派生商品)」を組み込んだ金融商品だ。全国銀行協会の説明によれば、「満期まで原則として中途解約ができず、例外的に解約できた場合でも、受取額が預け入れた元本を大きく下回る可能性がある」商品である。
表面上は「年利1〜3%」という通常の定期預金(大手行の0.025〜0.4%程度)を大きく上回る金利が提示される。しかし、その高金利は何かの「見返り」として設定されている。利用者が引き受けている条件の内容こそ、理解しておくべき核心だ。
顧客にとって圧倒的不利な「2大特約」
仕組み預金の構造を理解するカギは、銀行側が持つ2つの「オプション(選択権)」にある。
①満期繰上特約(コーラブル型) 世の中の金利が下がった場合、銀行側が「満期を繰り上げて、預金を早期返済する」権利。銀行は自分にとって都合の良い(低コストの)タイミングで資金を返すことができる。顧客の立場からすれば、金利が下がった局面で高利率の恩恵を長く受けることができない。
②満期延長特約(ステップアップ型など) 逆に世の中の金利が上がった場合、銀行側が「最長10年まで満期を延長する」権利。市場金利が上昇した局面では、銀行は低コストの調達源(=顧客の資金)を手放さない。顧客は低い固定金利のまま、長期にわたって資金を「人質」に取られることになる。
住信SBIネット銀行のFAQ(公開情報)には、最長10年まで延長可能な円プレーオフ型商品について、「市場金利が大幅に上昇した状況で預入直後に解約した場合、元本の約29%(100万円預けると29万円)の調整金が発生しうる」と明記されている。
「後出しジャンケン」が制度的に許された商品
要するに、市場金利が下がれば銀行が元本を繰り上げ返済して高金利を終わらせ、市場金利が上がれば顧客を長期間拘束して低金利のまま囲い込む。どちらに転んでも銀行が有利になるよう設計されており、金利変動リスクの実質的なすべてが顧客側に集中する構造だ。
高金利はこのリスク負担に対する「対価」として設定されているが、その内容が一般の顧客に正確に理解されているかは、別の問題である。
なぜ今、トラブルが急増するのか
ゼロ金利時代に設計された「バグ」が炸裂した
仕組み預金に内在するリスクは、長年のゼロ金利時代には表面化しにくかった。金利が動かなければ、延長特約も繰上特約も頻繁に発動されないからだ。
しかし2024年以降、日銀は政策金利の引き上げに踏み切り、国内金利は本格的な上昇局面に入った。これが仕組み預金の「欠陥」を一気に顕在化させた。
「他行の普通預金より低い」という逆転現象
たとえば2020〜22年頃に「年利0.5%、最長10年の延長特約付き」で仕組み預金を契約した顧客を想定してほしい。当時は定期預金の金利がほぼゼロの時代だったため、0.5%という金利は確かに魅力的に見えた。
ところが2025〜26年の現在、大手行の定期預金金利でさえ0.4〜0.7%に達し、ネット銀行では1%を超える商品も珍しくない。しかし銀行は延長特約を行使し続けるため、顧客は0.5%の低金利のまま、最長10年間資金を動かせない状態に置かれる。
この「市場金利との逆転」こそ、中途解約の急増を招いている根本原因だ。
「解約しようとしたら元本が2〜3割消えた」
不満を持った顧客が解約を申し出ると、待っているのは「中途解約調整金(デリバティブ清算コスト)」だ。金利上昇局面では、銀行がバックで結んでいたスワップ等のデリバティブ契約の清算コストが膨らむため、顧客の負担は大きくなる。
実際に金融機関の公開情報が示す試算では、市場金利が大幅に上昇した状況での中途解約時に、元本の29%程度が調整金として差し引かれる可能性がある。100万円を預けた顧客が、71万円しか受け取れないケースが現実に起きているのだ。これが各地の銀行窓口で大量のクレームに発展し、今回の金融庁介入につながった。
「金融商品として仕組み預金そのものが違法というわけではありません。問題は、顧客が本当にリスクを理解して契約しているかどうかです。金融商品販売法や顧客本位の業務運営の観点から見ると、『預金』という名称が与える安心感と、実際のリスクとの間に大きなギャップが存在しています」(金融アナリスト・川﨑一幸氏)
金融商品の世界では「情報の非対称性」が常に問題となる。銀行は商品設計の専門家だが、顧客の多くは金融工学やデリバティブの知識を持たない。
しかも「預金」という名称が付くことで、多くの人が投資商品とは異なる認識を持ってしまう。この構造自体が、今回の問題の根底にある。
金融庁が本腰を入れる背景
仕組み債問題の「焼き直し」
金融庁が今回の動きを重視する背景には、過去の「仕組み債問題」がある。2022年前後、地方銀行を中心に高齢者へ大量販売された「仕組み債」が、元本の大幅な損失をもたらし社会問題化した。金融庁は全国99行以上の地銀を対象に調査し、多数の銀行に対して厳しく業務改善を求めた。多くの銀行が「仕組み債の新規販売を停止する」と表明した。
しかしその後、銀行が目を向けたのが「仕組み預金」だった。仕組み債と同様にデリバティブを組み込みつつ、名称に「預金」を使うことで顧客に安全なイメージを与えられる。銀行側には依然として高い収益性(スワップマージン等)がある。規制上は預金であるため、仕組み債と同等の説明義務規制がかかりにくい——という「抜け穴」を活用した構図だ。
「有利誤認」を誘う「預金」ブランドの悪用
問題の核心は「有利誤認」にある。「投資信託」や「債券」という名称であれば、一般の顧客も「元本割れがありうる」と構えて検討する。しかし「仕組み”預金”」と言われた瞬間、多くの人は「元本は保証されているもの」と安心してしまう。
実際には預金保険制度の保護対象ではあっても(円建ての場合)、中途解約時の調整金は保護されず、実質的に元本を大きく下回る金額しか受け取れない事態が起きる。
金融庁はこの状況を、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の徹底義務に正面から反するものと判断している。今回の監督指針改正では、解約制限リスクを顧客向け説明資料に明記するよう義務付け、違反した銀行は立入検査の対象となる。
銀行側の事情——地銀を追い詰める構造的な収益圧力
「打ち出の小槌」を手放せない地銀の苦境
地方銀行が仕組み預金に依存する背景には、深刻な収益環境がある。人口減少による融資先の縮小、長期金利低迷による利鞘の圧縮、デジタルバンクとの顧客争奪——こうした複合的な逆風の中で、仕組み預金は「比較的手間なく、安定した収益(スワップ取引のマージン)が得られる商品」として重宝されてきた。
顧客から集めた資金を裏側でスワップ等に活用することで得るマージンは、融資や投信販売よりもシンプルに収益化しやすい。地銀の現場にとって、ノルマ達成の有力な手段であり続けてきた。
「地方銀行は本業の融資だけでは十分な収益を確保しにくくなっています。仕組み預金は比較的安定した収益源として機能してきました。しかし顧客理解が十分でない状態で販売が拡大すると、短期的な収益と長期的な信頼のトレードオフが生じます」(同)
実際、銀行業界が直面している本質的な課題は、商品そのものよりもビジネスモデルにある。
「また売るものがなくなる」——現場の本音と今後の動向
金融庁の規制強化が本格化すれば、メガバンク・主要地銀は順次「仕組み預金の新規販売停止」や「勧誘ルールの厳格化」に追い込まれるとみられる。仕組み債の販売停止後に起きたのと同じ構図だ。
業界関係者の間には「規制が強化されれば、顧客に説明しにくい商品は売れなくなる」という現実論がある一方、「それが本来あるべき姿だ」という声も出始めている。
顧客との信頼関係を重視するのか。それとも短期的な収益を優先するのか。その選択が問われている。
個人としての防衛策
「複雑さ」の中に隠された手数料
金融の世界には普遍的な法則がある。「金融機関がわざわざ複雑な仕組みを作って一般向けに販売する商品には、その複雑さの中に金融機関の取り分(高マージン)が埋め込まれている」というものだ。
仕組み債しかり、通貨選択型投資信託しかり、そして仕組み預金しかり。商品を「理解できない」と感じた時点で、それはシグナルだ。
「一般の個人投資家にとって最も重要なのは、仕組みが理解できる商品を選ぶことです。理解できない商品は、自分に適しているかどうかも判断できません。資産形成の基本は、透明性の高い商品を長期的に活用することです」(同)
金利上昇局面における、より合理的な選択肢
利上げ局面で資産を守り・育てるための原則はシンプルだ。
個人向け国債(変動10年型):半年ごとに適用金利が市場金利に連動して見直される。元本保証、流動性も1年経過後は担保されており、透明性も高い。金利上昇の恩恵を直接受けられる。
新NISA(積立投資枠・成長投資枠):中身のわかるインデックスファンドを通じて、長期・分散・積立の原則を守った資産形成。手数料が低く透明性も高い。
ネット銀行の普通・定期預金:仕組み預金と同等か、それ以上の金利を提供する商品が増えている。拘束条件なく、解約自由なため流動性が保たれる。
親・家族へ「今すぐ確認」を
特に注意が必要なのは、退職金を受け取ったばかりの親世代だ。地銀の窓口では、退職金の相談に来た顧客に対して「今だけキャンペーン金利」として仕組み預金を勧める手法が横行してきた。
「高金利だから安心」「預金だから元本は大丈夫」——この2点セットの説明で契約してしまった親が全国に多数いる可能性がある。今すぐ通帳・契約書を確認し、「仕組み預金」「プレーオフ預金」「ステップアップ定期」などの名称があれば、中途解約条件を必ず確認してほしい。
仕組み預金問題の本質は、個別の商品リスクにとどまらない。「複雑な金融商品を、その複雑さを正確に伝えずに販売することで収益を得る」という銀行のビジネスモデルそのものへの問いかけだ。
金融庁が今回打ち出した監督指針の改正は、その問いへの制度的な回答の一つである。しかし制度が整うまでの間、個人が自分自身を守る知識を持つことの重要性は変わらない。「高金利には必ず理由がある」——この一点を出発点に、すべての金融商品を疑う目で見ることが、これからの資産防衛の基本姿勢となる。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=川﨑一幸/金融アナリスト)
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AI利用社員の4人に1人が機密情報を入力…企業の”見えないリスク”を管理する方法
●この記事のポイント
・業務でAIを使う社員の4人に1人が機密情報を無警戒に入力している実態が判明、企業のAIガバナンスが喫緊の経営課題となっている。
・株式会社サイバーセキュリティクラウドが子会社DataSignと連携し、AIデータフローを可視化・制御・監査する統制プラットフォーム『AI MONBAN』を6月9日より提供開始した。
・MCP(Model Context Protocol)を介した外部サービス連携にも対応し、AIエージェント時代の新たなリスクに正面から向き合うサービスとして注目される。
生成AIは、もはや一部の先端企業だけのものではない。社員証を持つ普通のビジネスパーソンが、毎朝の業務開始とともにChatGPT(あるいはClaudeやGemini)を立ち上げ、顧客の名前を打ち込み、契約書の文面を貼り付ける。その光景は、今や日本中のオフィスで当たり前になっている。
だが、その「当たり前」の裏側に、見えないリスクが積み上がっていた。株式会社サイバーセキュリティクラウド(以下CSC)の調査によれば、業務でAIを利用する会社員の約4人に1人が、財務データや顧客名・契約書といった機密情報を、漏洩リスクを意識せずにAIへ入力している。生成AIの業務利用が6割を超えた今、「ルール徹底」だけでは防ぎきれない時代が来ている。
6月9日、CSCは100%子会社である株式会社DataSignと連携し、企業のAI利用の「門番」となる統制プラットフォーム『AI MONBAN(エーアイモンバン)』の提供を開始した。東京・目黒で開催された記者説明会には、CSC代表取締役CTO渡辺洋司氏、プロダクト本部長山田ケイ氏、DataSign代表太田祐一氏の3名が登壇し、急拡大するAIリスクの実態と、その処方箋を示した。
●目次
- 禁止しても使い続ける――現場の「シャドーAI」という現実
- AIエージェント時代の新たなリスク――MCPが開けた「扉」
- “門番”の正体――AI MONBANが持つ4つの機能
- 「禁止でも野放しでもなく」――ガバナンスという第三の道
禁止しても使い続ける――現場の「シャドーAI」という現実
企業がどれほど「AI利用禁止」と叫んでも、現場は動じない。CSCの調査では、勤務先でAI利用を禁止された場合でも「他の方法を使って使い続ける」「転職を検討する」と回答した社員が37%にのぼった。AIはすでに、多くのビジネスパーソンにとってなくてはならないインフラになっている。
一方で、ルールが整備されている企業は33%にすぎず、45%はガイドラインすら存在しない。使う側はAIに依存しているのに、管理する側の半数以上が体制を整えられていない。この非対称性こそが、今日の企業が直面する本質的な課題だと、山田氏は言い切る。
「生成AIが突然使えなくなった場合、業務に大きく影響すると答えた方が65%いました。もはや電気や水道と同じインフラです。禁止で解決しようとすること自体、現実と乖離しています」
把握されていないAI利用が組織内に拡散し、ガバナンスが空洞化する。これが「シャドーAI」問題の実態だ。
AIエージェント時代の新たなリスク――MCPが開けた「扉」
問題はさらに複雑さを増している。生成AIにGmailやSlack、社内データベースを接続し、自律的にタスクをこなす「AIエージェント」の導入が急速に進んでいるからだ。その連携を可能にするのが、MCP(Model Context Protocol)と呼ばれる標準プロトコルである。
MCPとは、AIと外部サービスを「共通の規格」でつなぐ仕組みだ。たとえばAIに「先週の重要メールを要約して」と指示すれば、MCPを介してGmailにアクセスし、内容を取得・整理して返してくれる。さらに「打ち合わせの日程をAさんに返信しておいて」と頼めば、そのまま送信まで実行する。人間が一つひとつ操作しなくても、AIが代わりに動いてくれる……それがAIエージェントの世界だ。
利便性は劇的に高まる(使ってる人ならば既に高まっている)。だが同時に、新たなリスクの入り口にもなる。渡辺氏はスライドで、実際のインシデント事例を示した。議事録作成のために導入したエージェントがカレンダーとメールに接続した結果、3週間後には誰も指示していない定期レポートを社外取引先に送り続けていたという。
「人間だったらやらないと分かっていても、AIに同じ権限を渡すと必要以上の活動をしてしまう。信頼の設計が根本から問われています」と、渡辺氏は警鐘を鳴らした。
AIが自律的に動く時代において、情報漏洩のリスクは「うっかり貼り付けた」という人間のミスだけにとどまらない。エージェントが意図せず、あるいは悪意ある命令に従って、機密情報を外部へ流出させる。そのリスクは、従来のセキュリティ対策の想定をはるかに超えている。
「門番」の正体――AI MONBANが持つ4つの機能
こうした課題に正面から向き合うために開発されたのが、AI MONBANだ。社内システムと各種AIモデルの間に設置する「ゲートウェイ(門番)」として機能し、既存の業務システムを変更することなく、「誰が・いつ・どのAIに・何を送ったか」を一元的に把握・統制する。
目玉機能のひとつが「マスキング処理」だ。AIへの入力データに含まれる個人情報や機密情報を自動検出し、リアルタイムでマスキングを施す。社員が意識せずとも、機密情報が外部のAIに渡ることを技術的に防ぐ。
MCPへの対応も、このサービスの大きな特徴だ。「MCP Gateway」として社内の基幹システムや外部サービスとAIモデルをセキュアに接続し、Gmailを誰がどの権限で参照・送信できるかを細かく制御できる。エージェントの暴走リスクを、接続の入口から抑制する発想だ。
AI利用の全履歴を自動記録する「AIアクセスログ・レポート」機能も備える。規制当局への報告や内部監査に対応できる証跡を、追加の運用工数なしに蓄積できる。コンプライアンス対応に頭を悩ませる情報システム担当者には、即戦力となる機能だ。
さらに、OpenAI、アンソロピック、グーグル、Azure OpenAIといった複数の主要AIモデルをAPIキーの設定のみで切り替えられる「マルチLLM切り替え」も搭載する。特定ベンダーへのロックインを回避しながら、業務内容に最適なモデルを柔軟に選択できる。
太田氏は、デモンストレーションを交えながらサービスの全容を説明した。
「ChatGPTもClaudeも、社員が使い慣れたUIはそのまま使えます。ただ、その裏側でAI MONBANが静かに動いている。社員に余計な負担をかけずに、ガバナンスだけを確実に機能させる設計にしました」
「禁止でも野放しでもなく」――ガバナンスという第三の道
AI MONBANが体現しているのは、「禁止か野放しか」という二項対立を超えた第三の道だ。CSCとDataSignが共同で掲げるコンセプトは、「AIエージェント活用を、安全に・大胆に。」という一文に凝縮されている。
太田氏はサービスの思想的背景をこう語る。
「AIエージェントによる業務効率化、自律的な意思決定、パーソナルAIによる生活支援などAIは人や組織、社会の意思決定に深く関わる存在になりつつあります。だからこそ、主権を保持したうえで活用していくことが不可欠です」
CSCはAI MONBANを「AIガバナンス基盤の第一歩」と位置づけている。今後は用途別に最適なAIエージェントを安全に利用できるAIマーケットプレイスの実現を目指し、MCP非対応の既存SaaSや社内データベースにも対応を拡大していく予定だ。
AIの進化は止まらない。エージェントはより自律的になり、より多くの権限を持ち、より深く企業の意思決定に関与していく。その流れに乗り遅れた企業は競争力を失い、乗りすぎた企業はリスクを制御できなくなる。
「門番」という言葉は、古くて地味に聞こえるかもしれない。しかし、城の安全を守るのは、いつの時代も門を固める者だった。AI MONBANが守ろうとしているのは、データという名の城の、新しい門である。
(取材・文=昼間たかし)