アスリートブレーンズ為末大の「緩急自在」vol.15

為末大さんに「いま、気になっていること」について、フリーに語っていただく連載インタビューコラム。唯一、設定したテーマは「自律とは何か、寛容さとは何か」。謎の「聞き手」からのムチャ振りに為末さんが、あれこれ「気になること」を語ってくれます。さてさて。今回は、どんな話が飛び出すことやら……。乞う、ご期待。

為末大氏

──「自律と寛容」というお題の下で、今回は「美しさとは、何か?」というテーマを設定しました。「さびしさ」「ありがたみ」同様、毎回、風変わりなテーマで恐縮です。

為末:いえいえ。この取材は、毎回、楽しみです。大きな疑問っていうんでしょうか。そういうものに、人は魅せられるんだと思います。

──実はこのテーマ、オリンピックが始まる前から、為末さんにどうしてもお伺いしたかったことなんです。たとえば、大相撲。勝ち負けはもちろんですが、観客は力士の美しい所作みたいなものに魅了されますよね?陸上競技でもそうです。記録も大事ですが、なんだ、為末のあの美しい走りは?みたいな。

為末:そう言っていただけると、うれしいです。美しさということでいうと、陸上競技で日本人初のオリンピック金メダリストである織田幹雄さんが「正しい動きは美しい」という言葉を残していらっしゃいます。要するに、機能美ですね。理にかなったものを見せられると、人はそれを美しいものと捉える。

──なるほど。

為末:そして、これは女性の美しさにも通じることだと思うのですが、異性のセクシャルな要素も美しさの一つだと思います。男性女性を問わず、この人のDNAを残したい、みたいな。人が美しいと感じるものには、そうした動物としての本能のような要素があるように思うんです。

──いつものように、話が飛びますね。いいですよ、いい感じです。

為末:そうしたものは、自分の内側にある、生物として普遍的な部分。それにプラスして、社会から刷り込まれた要素というものが、美しさにはあると思います。外の世界に向けて、このように行動すべきだ、といったような。たとえば、大相撲の力士の所作に、外国の人は美しさを感じるのだろうか、とか。つまり、社会に刷り込まれた美しさとは、限られたコミュニティでのみ、機能するものだと思うんです。

──いわゆる秩序からくる形式美、のようなものですね? 

為末:そうです。内なる普遍的な感情、社会から刷り込まれた感情。この二つが、美しさの基本だと思います。それに加えてもう一つ、「文脈からズレたもの」に、人は美しさを覚える。

──「文脈からズレたもの」?

為末:そう。えっ?そう来るの?という、常識を超えたもの。分かりやすい例を挙げれば、アートとか、アスリートのパフォーマンスとか、そういったものです。

為末大氏

──戦国大名たちが、千利休の「茶の湯」の世界にほれ込んだのも、僕らが今、世界で活躍するアスリートのパフォーマンスに夢中になるのも、そうした理屈なんですね。単純にゴールを決めたとか、ホームランを打って点を取った、というだけでなく、そこには「美しさ」がありますものね。「文脈をズラせた瞬間」というのは、為末さんご自身の体験からいうと、どんな状態なんでしょうか?

為末:アスリートのパフォーマンスでいうと、自分の能力を見せつけてやろうという気持ちが消えた瞬間に、美しさが宿るような気がします。観客へ向けて、とか、勝負に勝ちたいとか、そういうことではなく、ひたすら自身と向き合うというか。欲が消えて、目の前の行為そのものに没頭できた瞬間、そこに美しさが生まれる。

──なるほど。僕らが「為末、頑張れ!」と願ったあの気持ちと、千利休が結びつくとは思いませんでした。確かにそこには、同じような美しさがありますものね。

為末:戦国大名が、利休の世界にほれ込んだのも、人をもてなすという純粋な行為を極めたからだと思うんです。戦国の世ですよ。いつ、命をとられてもおかしくない、という。そこに「お、も、て、な、し」の精神を持ち込んだ。当時の世の中の文脈からは、大きくズレている。だからこそ、そこに美しさが生まれる。すさんだ心が解放される、みたいな感覚がおそらくあったのだと思います。

──それでも最期は、秀吉に切腹を命じられる。

為末:美しさを極めたがゆえ、の結末だったんでしょうね。

──そのあたりはぜひ次回、伺いたいと思います。政治の世界でも、ビジネスの世界でも、美しさが求められている。いわゆるオープンとか、透明性、みたいなことです。でも、しょせん、カネが絡む世界。美しさとは、ある意味、真逆の世界です。それでも人は、美しさを求めようとする。自らも、美しくありたい、と思う。

為末:そう考えると、美しさとは、深いテーマですね。(#16へつづく)

(聞き手:ウェブ電通報編集部)


アスリートブレーンズ プロデュースチーム 日比より

今回は、「美しさ」がテーマでした。仕事の中で、プロ野球選手のノックを見る機会がありました。野球好きではあるものの、全く素人である自分から見ても、選手たちのノックを受ける動きは、まるで水のように流れ、美しいものでした。アスリートが鍛錬を重ねていくことで、正しい動きを身に付け、美しいものになるのだと考えます。これは、アイデアにおいても同じではないかとも思います。磨き込まれたアイデアは美しい。では、どうすれば、美しくできるのか。もしかすると、アスリートの鍛錬のプロセスから、ひもとくことができるのかもしれない、そんなふうにも思います。

アスリートブレーンズプロデュースチーム 電通/日比昭道(3CRP)・白石幸平(事業共創局)

為末大さんを中心に展開している「アスリートブレーンズ」。
アスリートが培ったナレッジで、世の中(企業・社会)の課題解決につなげるチームの詳細については、こちら

アスリートブレーンズロゴ

【電通DXウェビナー】 顧客ファーストなDXのススメ

社会が大きな変革期を迎える中、企業の在り方そのものや、顕在化していない課題に目を向け、ビッグアイデアとともに非連続な変革を実現可能にするために
必要なことは?

電通グループならではの「BX(ビジネストランスフォーメーション)」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」のアプローチを、各分野のプロフェッショナルや外部ゲストを交えてさまざまな論点から考察した、ウェビナーの様子をリポートします。

「BX」パートを紹介した前回に引き続き、今回は「DX」パートより、4つのプログラムをダイジェスト形式でお伝えします。

顧客体験ファーストで実現するデジタル変革

平川氏、加藤氏

登壇者は、トヨタ・コニック・アルファ代表取締役の平川昇吾氏。トヨタ自動車の事例をもとに、DXによる顧客体験の改革を実現するためのポイントを紹介しました。モデレーターは電通エグゼクティブDXディレクターの加藤剛輔氏が務めました。

トヨタ・コニック・アルファは、2021年にトヨタ自動車と電通が共同出資で設立した新会社。「データで、ありがとうをつくる仕事。」をミッションに、データを活用した新しいビジネス開発と、販売店におけるDX推進を掲げています。

平川氏はトヨタが新会社を設立した理由について、これまで自動車製造業において“トヨタの強み”とされてきた「現状をスタート地点としたカイゼン文化」や「内製指向」といった文化が、DX推進では足かせとなっていた可能性を挙げます。

「DX推進に必要なバックキャスト型のタスク定義や、推進のノウハウ、スピード感のある改革(=“グリーンフィールド開発”)を行うための独立組織が必要という判断に至ったのです」と平川氏は述べます。

続いて、同社が開発した「オンライン相談」と「スマートカタログ」の紹介がありました。

オンライン相談は、顧客体験の向上と営業活動の効率化を実現するサービス。新型コロナウイルスの流行をきっかけに、自動車販売店でもオンライン接客が浸透しつつあります。しかし、従来のオンライン接客は、「予約確定まで時間がかかる」「質の悪い配信環境」「既存ツールを流用した分かりにくい商材説明」「来店時の引き継ぎ不足」といった課題がありました。

そこで、同社のサービスでは、「即時予約システム」「高い操作性を備えた配信環境パッケージ」「オンライン専用カタログの開発」「メモ機能や写真保存機能などを活用した情報蓄積」を実現。お客さまとの接点づくりや関係性強化、成約率の向上といった効果につながっています。

この取り組みから派生し、実用化に向けて検証を進めているのが、オンライン専用カタログ「スマートカタログ」です。顧客に合わせてカタログをカスタマイズする機能、ワンタップで動画に遷移する機能、複数車種を左右画面で比較する機能などを実装。車の選定から購入までの総合サポートツールを目指しています。また、スマートカタログをはじめ、各種ウェブサイトなどでトラッキングできる顧客の行動データを一元管理して分析することで、1to1のアプローチも推進していく狙いがあります。

平川氏は、今回のプロジェクトで大切にしていることを3つ挙げました。

  1. サービス(CX)ファースト
    お客さまから真に評価されるサービス設計・顧客体験を最初に考え、そのために必要なデータ・システム要件を定義する。
  2. 失敗を数多く経験し、学びながらサービス品質を向上させる
    顧客起点の企画は仮説段階では不確実性が高いため、テストをしながらお客さまのフィードバックをもとにサービスの解像度を上げていく。
  3. 一度ローンチしたサービスは高速PDCAを回しながら常にアップデートし続ける
    一度作って終わりではなく、常にアップデートし続けることで自社サービスの競合優位性を高める。

最後に、加藤氏から「改善しながらグロースさせるのは非常に大切なことだと思う一方で、撤退やピボット(方向転換)のタイミングの見極めも重要で、そのあたりはどのようなプロセスで進めているのでしょうか?」と質問がありました。

「戦略的な合理性はかなり重視しているのですが、短期的な収益性がなくても長期的に販売店のDXに大きく寄与する可能性があるものはまずMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)のローンチを目指します。ローンチ後に重視しているのがプロダクトマーケットフィットですね。私たちがどんなに良いと思ってもお客さまが使わないものは難しいので、その場合は即時変更または中止することを心がけています」と平川氏は述べました。

構想企画書だけに終わらせない、DX組織立ち上げの成否を握る3つの鍵

八木氏

続いては、電通デジタル執行役員デジタルトランスフォーメーション領域担当の八木克全氏のプログラム。テーマは、DXに向き合う企業の悩みと、その克服方法についてです。

冒頭、八木氏は自動車メーカーや保険会社、大手エネルギー企業の執行役員にヒアリングした、DXに関する要望を紹介。「ビジネスモデル変革をスピーディに推進したい」「自社人材を育成して変革を加速させたい」「DX事業がサイロ化しているので、顧客データ基点で統合し、シナジーを生みたい」といったニーズがあり、構想や計画は描けているものの、「実際に組織や人を動かして具現化し、全社的な成果に結びつけることが難しい」という共通の悩みを抱えていることを指摘します。

なぜ、構想の具現化や全社的な成果の実現が難しいのでしょうか?その背景にあるのが、DX組織の構造的な問題です。

DX組織は、単体事業としてのアプリ開発・運用や統合型データマーケティングに関する成果が求められるだけでなく、新規事業開発系部門と協働した新デジタルサービス開発、既存事業系部門へのDX支援なども推進しなければなりません。しかし、八木氏は「これは非常に難易度が高いことです。なぜなら、それぞれの施策に必要なアプローチやテクノロジー、人材が異なるからです」と述べました。

例えば、DX組織単体の事業はKPI達成のために高速PDCAマネジメントが求められ、テクノロジーはマーケティング系のAIやMAツールなど、人材はUXデザイナーやデータサイエンティストが必要です。

一方、新規事業開発系部門との協業ではベンチャーキャピタル的なアプローチ、FinTechなどサービス領域のテクノロジー、ビジネスプロデューサーなどの人材が欠かせません。既存事業系部門のDX支援の場合、コンサル的なアプローチ、BPR(Business Process Re-engineering)系のテクノロジー、必要な人材は変革プロデューサーやコンサルタントなどになります。

「このように、DX組織は成果期間が異なる縦割りの事業体に向き合わなければならない中、それぞれに必要な機能の違いや、特に人材不足について悩んでいらっしゃる企業が多いのが現状です」と八木氏。

では、この課題を克服するためにはどうすれば良いのでしょうか?

八木氏は、戦略/仕組み化/運用の各層に合わせた“3つの鍵”を提示します。

まず戦略に関しては、テスラが「人類を救済する」というミッションを掲げ、自動車産業のみならずエネルギー産業も含めた大きな社会変革に挑戦することでサステナブルな成長を実現していることを例に挙げ、単なる「デジタル/データの活用」ではなく「人びとを幸せにする社会や顧客サービス創造」で変革ビジョンを持つことが一つ目の鍵になります。

続いて仕組み化の部分では、顧客と従業員の双方が“腹落ち”した状態をつくることで、顧客は自社の商品・サービスを使い続け、従業員は自律的に顧客と向き合い続けるようになり、サステナブルな組織を実現できるといいます。

そして運用については、顧客分析と施策開発をどちらか片方ではなく両方同時に推進していけるチームを作ることが鍵になると述べました。

また、今後はグローバルな市場との戦いも見据えて、「豊かな文化産業や、おもてなし精神、カイゼンのプロセスといった、日本ならではの強みを戦略/仕組み化/運用における“3つの鍵”に組み込むことで、戦えるDX組織にしていくことができると考えています」と八木氏は付け加えました。

最後のまとめとして、八木氏は「今日から何をすれば良いか」についての提言を述べました。

「DX組織単体事業では、はじめに人材調達計画を策定しつつ、まずはシンプルに成果を出す。同時に、新規事業開発系部門と協働体制を確立することで、単体事業のサービス強化を実現する。さらに、既存事業系部門とはPoC(実証実験)を進めてこれまでの成果を証明していく。その結果、成果を武器に全社改革の合意形成が得られ、全社改革の旗振りができるようになるのです」(八木氏)

なお、電通デジタルでは、ビジョンと事業開発を一気通貫する共創型未来デザインプログラムや、生活者の社会的不満から自社の存在意義を再定義し、新サービス開発や顧客体験変革を支援するプログラム、変革専門人材を提供してプロジェクトを生きた社内運動に昇華するプログラム、変革人材育成プログラムなどを用意しています。

八木氏は、「皆さまが企業活動を前向きに推進していくご支援ができればと考えております」と締めくくりました。

LINEとLookerで実現するデータドリブン・マーケティング

丹羽氏

続いて登壇したのは、電通国際情報サービス(ISID)プロジェクトマネージャー/コンサルタントの丹羽ひかる氏。データドリブン・マーケティング戦略に最適なLINEとLookerの活用方法を紹介しました。

冒頭、丹羽氏はデータドリブン・マーケティング実践の障壁を5つ挙げます。

  1. 何から手を付ければ良いのか分からない
  2. 因果関係が不明
  3. データ不足
  4. 経営資源やツールが不足
  5. 組織や人の問題

この中でも、2と3はデータが整理されれば解決できる問題であり、ポイントは1と4の乗り越え方にあると丹羽氏は言います。

まず「1. 何から手を付ければ良いのか分からない」に関しては、「簡単なデータから始めて、クイックウィンをつくることが重要です」と丹羽氏。最初から100%のデータをそろえたり、多額のインフラ投資を行うのではなく、まずは簡単に手に入るデータを用いて成果を出すことから始めることで、データドリブン・マーケティングを進めることができます。

続いて「4. 経営資源やツールが不足」に対しては、「データドリブン・マーケティングのインフラ構築」の重要性を説きます。「時間や費用、ツール、システムがない場合でも、インフラをしっかり設計することがポイントです」と同氏。

この「簡単なデータから始めてクイックウィンをつくる」と、「データドリブン・マーケティングのインフラ構築」の双方を、コミュニケーションアプリ「LINE」と、データプラットフォームの性質を備えたBIツール「Looker」そしてISIDのインテグレーションのノウハウを掛け合わせることで実現できます。

LINEは日本国内の“生活のインフラ”として定着しており、利用者数や利用率が高いだけでなく、LINEでしかリーチできないユーザーも数多く存在します。「リーチ力が高いLINEは、小さく始めて早く成果を出すために有用なサービスです」と丹羽氏。さらに、ユーザーと1to1のコミュニケーションが取れるLINE公式アカウントや、LINE公式アカウントで取得したデータを広告配信に用いる(※1)“クロスターゲティング”が可能なLINE広告を活用することで、より効果的かつ最適なコミュニケーションが実現できるそうです。

Lookerはデータプラットフォームとしての性質を備えたSaaS(※2)型のBIソリューションです。APIや拡張可能な独自の連携機構も備えているので、分析・抽出結果をシームレスに外部連携できるといった特徴があります。

※1=これらのオーディエンスデータはLINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴(スタンプ購入履歴、LINE公式アカウントの友だち登録履歴など)、LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類した「みなし属性」および、実購買の発生した購買場所を「購買経験」として個人を特定しない形で参考としているものです(「みなし属性」には携帯キャリア・OSは含まない)。
「みなし属性」とは、ユーザーが「LINE」上で購入・使用したスタンプや興味のあるコンテンツのほか、どのようなLINE公式アカウントと友だちになっているかといった傾向をもとに分析(電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク内容等の機微情報は含まない)したものです。
 
※2=SaaS(Software as a Service)
ユーザーが必要な機能を必要な分だけ利用できるソフトウェアサービス。


すなわち、LINE公式アカウントやLINE広告をLookerに連携することで、自社システムとの大掛かりな統合をしなくても、クイックウィンをすぐに実現することができるのです。

アカウント連携を実装し、ファーストパーティデータをひも付いた形でLookerに取り込むことで、LINEのユーザー属性補完が可能となり、より詳細な分析をすることができます。さらに、弊社が独自開発したCustomer Match for LINEを使えば、Lookerの分析結果をLINEのオーディエンスとして活用できます。その結果、よりコンバージョンしやすいオーディエンスへの配信ができるようになります」と丹羽氏。実際にJINSでは、LINEとLookerを組み合わせて高度なターゲティングを繰り返すことでデータドリブン・マーケティングの精度を高め続けています。

「弊社ではLINEとLookerを核としたインテグレーションにより、お客さまのデータドリブン・マーケティングを実現させ、競争優位性の獲得に貢献していきたいと考えています」と丹羽氏は述べました。

電通SHOPPING EXPERIENCEが考える、OMO実現に向けたキーポイント

安田氏、石阪氏

最後に登壇したのは、電通グループ横断プロジェクト「dentsu SX(SHOPPING EXPERIENCE)」より、電通デジタルDX領域ビジネストランスフォーメーション部門長の安田裕美子氏と、電通ライブ執行役員の石阪太郎氏。コロナ禍で変化する顧客体験とOMO(Online Merges with Offline)の潮流を押さえながら、今後のキーポイントを紹介しました。

冒頭、安田氏は複数のクライアントから「コロナ後、デジタルチャネルや施策を増やしたがイマイチ効果が見えない」「店舗を削減する方向だが、店舗自体の位置付けをどう考えればいいのか」「OMOとよく聞くけど、EC以外に何から手を付けていいのか分からない」といった相談を受けることが増えたと言います。そのような疑問を解決するためのヒントを提示するのが、本プログラムの主旨です。

dentsu SXは世界的サービスデザイン企業frogと協働し、各業界の有識者ヒアリングや国内外の各業界動向分析をもとに「新たな買い物行動に関するマクロトレンド」を発表しています。その中でマクロなトレンドキーワードに挙がったのは、「サステイナブルで身の丈にあった消費スタイル」「息を吸うようにいつでもどこでも検索」「人の集まる場/ゆるいつながりを買い場に」の3つです。

「例えば、近年は企業の社会課題に対する姿勢・思想への共感が購買を大きく左右しますし、店舗で商品を手に取りながら、もう片方の手にあるスマホで競合商品をチェックします。コミュニティ的な人とのつながりを基点にしたECが登場したり、買い物行動は大きく変化し続けています」と安田氏。

さらに、コロナ禍での顧客の購買体験の実態を詳しく調査したところ、下記3つの購買体験タイプが見えてきたそうです。

  1. デジタル接点に乗り切れない「オンボード困難層」
  2. リアル、デジタルを機能別に使い分け「オンオフ使い分け層」
  3. 購買行動はすべてデジタル「オンライン完結層」

安田氏は、「例えば、オンボード困難層であれば、現状のECやデジタル接客にペインを感じているので、オンボードのための“場”の工夫に潜在ニーズがあります」と、各タイプのペイン・ゲインポイントにOMOのヒントがあることを述べました。

続けて、同氏はOMO実践のためのキーポイントを3つ挙げて解説しました。

  1. チャンネル発想から体験発想へ。「場」をつくれているか?
    いくらチャンネルを増やしてもユーザーの周りに点在している状態では顧客体験の向上にはつながらない。リアルのつながりを活用したデジタルへのオンボードなど、“オムニエクスペリエンス”視点の体験設計が必要。
  2. 従業員のリスキルのためのデジタル支援を、真の支援に。
    従業員のコンシェルジュ化を目指すも、高度で複雑なデジタル活用では逆効果。従業員体験に沿ったシステム構築や、顧客から進んで入力する仕組みづくりを。
  3. 店舗はもはや買うための場ではない。オンライン体験の再定義。
    店舗の役割は購買から、新たな体験価値の提供へ。オンラインでつながる顧客の体験をさらに向上させる目的型店舗に可能性アリ。

プログラムの後半では、石阪氏がdentsu SXの取り組みを紹介しました。

同チームは、オンオフの体験を一貫性のある文脈かつ共感できる体験として提供することを目指しています。具体例を見てみましょう。

例えば、既存店舗の役割の再定義や、中長期的な顧客との関係構築には、「次世代型常設店舗ソリューション」が解決策の一つに挙げられます。

「ある自動車ディーラーはロードサイドに大型店舗を出店していましたが、コロナ禍で集客に苦戦。そこでショッピングセンターに小型の店舗を出店しました。花屋やアウトドアメーカーとコラボすることで“販売”色を低減し、店舗スタッフとの会話を誘発する仕掛けを店内にさりげなく設置することで、オンラインでは実現できないエモーショナルな体験を創出しています」(石阪氏)

もう一つ取り上げたのが、流通を介さずリアルな顧客接点にチャレンジしたいというニーズに対する「ポップアップストア型ソリューション」です。

「ある高級コスメブランドは、ECや百貨店ではリーチできないエントリー層を開拓したいと考えていました。そこで若年層をターゲットにした期間限定の体験型店舗を実験的にオープンし、バーチャルストアも展開。SNSやLINEを活用してクッキーレス時代に向けたテストマーケティングも行い、感情認識AIを用いたデータ収集も試しています」と石阪氏。コロナ禍で不動産物件の流動化が加速していることから、今後もさらに使い勝手の良いオンオフのハイブリッド施策として期待ができるそうです。

最後に石阪氏は、「私たちのミッションは、“購買体験をテクノロジー×クリエイティブで、顧客起点にトランスフォームする”こと。世界の企業のマーケティングを支えるオンのノウハウ、多くのオフのコンタクトポイントで実績を積み上げてきた、人の心を動かすオフのノウハウ、これらを結集させて、クライアント企業のプロジェクトを推進いたします」と述べて締めくくりました。



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失われたキャンパスライフ…コロナ禍が直撃した「大学2年生」の切実な不安

 新型コロナによる学生への影響として、バイト収入や仕送り額が減ったことなどによる暮らしのダメージ、対面授業が減りオンライン授業にシフトしたことなどによる学びの物足りなさ、そして友人関係やクラブ・サークルにおけるコミュケーション断絶の精神的危機などが指摘されている。

 暮らしのダメージについては、住民税非課税世帯などの授業料を減免し返済不要の給付型奨学金を支給する、文部科学省の修学支援新制度の利用(約27万2000人)に加え、給付金が困窮学生にも支給される見通しだ。コロナ禍で世帯収入が大幅に減ったり、バイトで学費を支払っている学生など、大学などが推薦する人も加わるので、対象は今より広がりそうだ。

 学びの物足りなさについては、対面授業の増加やZOOM活用による少数の双方向授業などの活用で、むしろ多様な学びの機会の展開が期待できるとの声もある。ただ、大学生協連調査には「今までの授業(私の場合1年生の時のもの)を、単位は関係なくもう一度対面で受けられるようにしてほしい。それ以外にも今までの時間に追いつくようなサービスや対策をしてほしい」という切実な意見も寄せられている。

 より深刻な問題は、精神的危機である。実に7~8割の学生が、多かれ少なかれ、人とのつながりが薄くなったことへの不安があるという。

 それらの大学生の実態にアプローチした調査に、文部科学省高等教育局の「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査(2021年3月5日~27日、有効回答者:1744名)」と、全国大学生活協同組合連合会の「届けよう!コロナ禍の大学生活アンケート(2021年7月5日~19日、有効回答者:7832名)」がある。

 文科省の調査は、学生への支援策の検討に役立てる政策意図があり、大学生協連調査の目的は「コロナ禍での大学生の現状やがんばり」を社会や大学へ知らせることである。

 さらに、10月31日に開催された「全国大学生サミット」(全国大学生協連主催、文科省・日本学生支援機構ら後援)は、ZOOMによる大学生のパネラーの意見・感想等の発信や大学の現場で学生の支援をしている専門家の発表があり、生の声のやり取りの中から大学生活の実状が浮かび上がってきた。

失われた大学生活――大学2年生の実感

 下表は、全国大学生活協同組合連合会が実施したアンケートの集計結果である。

 大学生協の藤本昌氏(全国大学保健管理協会ヘルシーキャンパス運営委員)は、この調査結果や全国大学生サミットでの学生の発言、大学の心理カウンセラーによるコメントなども踏まえて、次のように指摘する。

「最も着目しているのは、コロナ禍を想定せずに入学してきている現2年生のメンタルヘルスだ。全国大学生協連の調査は、『不安に思っていること』で、現2年生の無気力、落ち込み、孤独感などが他学年より大きい、と分析している。特に、コロナ禍で受験期を過ごした現1年生との違いは看過できない。

『学生生活は充実しているか』という問いに対しては、現2年生の充実している計は2019秋89.3%→2020秋56.5%→2021夏53.8%で、2020秋から良くなっていない。その背景として、現2年生は、1年次の登校日数が2020年秋2.0日→2021年夏2.6日と、少ないままである。入学後ずっと現在まで、学生同士がリアルにつながりにくい環境が続き、『こんなはずではなかった』という思いが強いのだろう。

 現2年生のメンタルヘルスは、こうした現実を踏まえて、自殺予防も視野に入れて対処する必要があろう。大学の学生相談室・心理カウンセラーとの連携も極めて重要だ」

大学生協アンケートで聞く2年生の声は?

「私はものすごく1人が好きで話すのが苦手な人だから、一人ぼっちなんて耐えられると思ってたけど、実家から700キロ離れたところに上京して家族とも話せないし、課題も山ほど出るし、ずっとオンラインで同級生と顔を合わせることすらない状況が1年続いたら、さすがに苦しかった。誰にも、外にもほとんど出れなかったから街ゆく人にすら認識されないことがとても怖くなって、たまにくる宅配便のおじさんとのたわいのない話だけが唯一の楽しみだったくらい(笑い)。だんだん誰かの人間の話し声を聞きたくなってきて、オンラインが出来て通話をするようになってものすごく、本当にものすごく救われました」(埼玉県/文科系/女性/2年)

「通学が楽になるという面でオンライン授業がいいという学生もいるが、専門科目等の単位を取るだけではない授業は対面であるべきかなと思う。こうした学生の声をもう少し耳に入れて、反映してほしい。急に対面が再開になって通学定期で困っている人がいる。2年もオンラインの環境で、苦労してきた大学生にアフターコロナを担う君たちがどうとか言わないでほしい。真っ暗な将来を突きつけられているようで聞くたびに胸が張り裂けそうな気持ちになる。言葉にもっと責任を持ってほしい。先に対応できることがもっとあったと思う。それなりの対応をしてほしい。高校生などは、授業があり楽しそうに歩いているのに、わたしたちは……と思うことがある。大学生を取り残さないでほしい」(大阪府/文科系/女性/2年)

正常モードに戻れるかどうかも不安

 特に2年生は、3年生以上のように大学生活の思い出も少なく、1年生のようにコロナ禍の大学受験を経て入学する覚悟ができているわけでもない。1人カラオケを楽しんだという声もあるように、いろいろな人とのつながりができる体験が少ない。大学では、2021年10月には運動部の秋の公式戦も始まったが、9月までは活動停止だったので戦闘モードに戻れるかどうか、不安を抱える学生もいる。

 徳島大学のキャリアカウンセラーである畠一樹先生は、「1年のキャリア教育による知識形成を経て、2年では3年からの就活につなげるキャリア意識を形成する大事な時期である」という。

 生きがいや好きかどうか、自分の得意とする分野などのキャリア意識は、自分と向かい合い、多様な社会人との出会い、社会的活動と効率的な時間の使い方を身につける中で生まれる。それらは大学1年から3年前半までの時期に育まれるのである。現2年生は、その時期に登校できなかったブランクは大きい。

 ただ、全国大学生サミットに参加した女子大学生が、コロナ禍に(1)PCスキルに強くなった、(2)友達の大切さに気づいた、(3)オンラインで質問をしたりデータ収集の方法を学べた、とメリットを挙げていた。チャットのやり取りが楽しい、という声もあった。ZOOMでスリランカの学生と友達になったケースもある。

 ゼミのプレゼンのコンテストに応募しようとしたら中止になったので、教員に相談したら、大学が校内のホールを提供してくれて、自分たちで独自のコンテストを開催できた、というレポートをした学生もいた。

 コロナ禍によって失われた大学生活を完全に回復させることはかなわないだろうが、この体験が学生たちのプラスの糧になるように、大学も社会もサポートすべきであろう。

(文=木村誠/大学教育ジャーナリスト)

●木村誠(きむら・まこと)
早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『「地方国立大学」の時代–2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)。他に『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。

パチスロ「一撃大量出玉」も狙える人気シリーズの謎? 老舗メーカー液晶演出に関する秘密を公開

 AT終了後は、66%以上で128G以内に再当選。その遊びやすさとは裏腹に、ひとたび特化ゾーン「麻雀RUSH」や「パトランランチャンス」などにぶち込めれば一撃大量出玉も十分に狙える平和の『麻雀物語4』は、4人のキュートな女性たちによるポップな液晶演出も人気要因のひとつと言える。

 1G純増約2.6枚のAT「麻雀グランプリ」への主な突入契機は規定ゲーム数消化やCZ「麻雀チャレンジ」で、通常時は「パンダーニャ」登場で前兆ステージ「演舞ステージ」へ移行。演舞中は青→緑→赤と本場がアップするほど期待度も高まり、最終的にジャッジ演出クリアでATが約束される。

 CZへは主に強チェリーや斜め竹を機に突入し、これら小役成立時は各種演出で当否を告知。CZ期待度は演出の種類で変化し、ジャッジ演出と同じく失敗と思いきやの復活パターンもある。

 AT中はバトル勝利で赤ドラチャンスへ移行。ここで赤ドラ絵柄が揃えば麻雀RUSHへと繋がり、揃わなければ枚数上乗せが発生する。

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パチスロ新台『牙狼-黄金騎士-』の激アツ解説…「本気出し過ぎ」と大絶賛!?

 通常時・AT中共に豊富な演出で打ち手を最大限に盛り上げてくれる当機だが、みなさんはお気付きだろうか。実のところ、これら演出では麻雀がモチーフでありながら、麻雀を打つシーンが一切、映し出されていないのである。

 正確に言えば、シリーズ第2弾の5号機『麻雀物語2 激闘!麻雀グランプリ』から同シーンはなし。平和の公式YouTube「キュインちゃんねる@HEIWA」内の動画「【麻雀物語】#16 驚愕の真実をお伝えします…【ハルルナ】」では、そんな気になる理由について回答している。

 件の動画では、同チャンネルのメインキャラクター・ハルとルナが「どうして麻雀物語では、麻雀をしてないの?」と質問。ハルは「めっちゃ頭のいい開発者さんが色々と決める」としたが、これについての開発者の答えは、なんと「麻雀をあまり知らなかったから」だそうだ。

 一方、定番化している麻雀RUSH中のダジャレ演出に関しては、当初は「綺麗で真面目な演出を描く予定」だった模様。例えば「海底撈月(ハイテイラオユエ)」という役は「海面に映った月を見て、それを取ろうと海底をすくうこと」との意味なので、「湖に映る月をすくう」イラストにしようとしていたそうだが、会議を重ねるうちに「分かりにくい」「語源を知ってる人は少ない」との話になり、そんなタイミングで「嶺上開花(リンシャンカイホー)」は「リンスとシャンプーが開いてるで良くない?」となり、今の形が出来上がったのだという。

 当たり前のように打っているパチスロにおける演出の、意外な製作秘話。興味のある方は是非とも視聴していただきたい。

誰も知らないアントニオ猪木の真実…根治困難な全身性の難病の正体、有効な薬も乏しく

“燃える闘魂”でお馴染みのプロレスラーで元参議院議員のアントニオ猪木は、11月27日放送のテレビ番組『燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~』(NHK・BSプレミアム)に出演、「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」という難病にかかり闘病中であることを告白した。

 猪木の幼少期から青年期にかけては、まさに壮絶という言葉が当てはまる。5歳のときに父親が病死した後、実家の石炭問屋は倒産。極貧生活を抜け出すために猪木は13歳のとき、一家でブラジルに移住するも、現地のコーヒー農園で早朝から夜までの過酷な肉体労働を強いられる。

「猪木はテレビのインタビューなどで当時を振り返る際、目に涙を浮かべながら語ることも。想像を絶する過酷さだったことが窺える」(スポーツ紙記者)

 しかし、その地で運命的な出会いが猪木を待っていた。コーヒー農園での奴隷労働から解放されサンパウロの青果市場で働いていた猪木の強靭な肉体が、たまたま興行で現地を訪問していた当時国民的人気を誇っていたプロレスラー・力道山の目に留まり、力道山に誘われるがままに猪木は帰国。1960年、17歳で猪木は日本プロレスに入門し、プロレスラーとしての人生を歩み始める。

 そして同年9月30日、アントニオ猪木はデビュー戦を迎えるが、その後に猪木と共に日本のプロレス界を牽引する存在となるジャイアント馬場と、奇しくも同じデビュー日となったことは、多くのプロレスファンに知られるところである。若き日の馬場と猪木は“BI砲”(馬場の『B』と猪木の『I』)として、ときにタッグを組むなどして日本プロレスを盛り上げたが、71年に猪木は日本プロレスを除名になったのを機に、新日本プロレスを設立。馬場も日本プロレスを退団し、72年に全日本プロレスを設立。以降、日本のプロレス界の歴史はこの2つの団体を土台に形成されていくことになる。

「新日の立ち上げ当時に猪木と結婚していたのが、女優の倍賞美津子(87年に離婚)。倍賞は自ら新日の宣伝カーに乗り込みウグイス嬢をしたり、金策に駆け回ったりと、新日設立の功労者であることは有名な話。倍賞はインタビューでも当時を振り返り、猪木のことを“アントン”と呼び、“当時は本当に楽しい日々だった”と語っているが、2002年に東京ドームで行われた新日の30周年大会で、猪木がリング立つなかで倍賞がサプライズ登場し、歴史を知る観客たちがドッと沸いたこともあった」(スポーツ紙記者)

馬場と猪木の奇妙な関係

 馬場の全日本は興行という要素を重視する“王道プロレス”、猪木の新日本は“ストロングスタイル”と呼ばれ、よく対比されることもあるが、別のスポーツ記者はいう。

「両団体がスタイルの違う要素を持ったことで、嗜好の異なるファンの受け皿が広がり、結果としてプロレスファンの裾野を広げたことは事実。ちなみに袂を分けた2人が、日本プロレス退団後に戦ったことはないが、79年頃に1度だけ馬場猪木のシングルマッチの話が浮上し、実現直前まで進んでいたことは複数の証言者によって明らかにされている。

 よく2人はずっと敵対関係にあったと思われがちだが、いがみ合っていたわけではないし、対面で会えば“兄貴と弟”という関係に戻っていたといわれている。馬場は猪木の5歳年上でBI砲として日本プロレスの看板レスラーだったのと同時に、それこそ寝食を共にしていた。ただ、日本プロレスでは常に猪木は馬場に次ぐナンバー2という位置づけで、団体も何かと馬場を優遇していたため、猪木のほうがずっと馬場に対して複雑な感情を抱いていたという見方もある。

 直接対決の話も、完全に猪木のほうから方々に話を仕掛けていたもの。読書家で現実派の馬場とは対照的に、ギラギラとした野心のようなものが常に猪木をかきたて続けていた。それが異種格闘技戦の実現や政界への進出などにつながったのではないか」(スポーツ紙記者)

 そんな野心が結実したのが、76年から始まった「格闘技世界一決定戦」だ。猪木は当時の日本では前代未聞の異種格闘技戦を実現。各格闘技界のトップクラス選手との戦いに挑み、“熊殺し”の異名を持つ空手家ウィリー・ウィリアムスやボクシング世界ヘビー級チャンピオンのモハメッド・アリらと死闘を繰り広げ、アリ戦は世界各国に中継された。ちなみに、のちに猪木はプロデューサーとして「PRIDE」の運営に携わり、日本に異種格闘技戦というスタイルを定着させていくことになる。

 その後、猪木は、98年に東京ドームで行われたドン・フライとの引退試合まで、新日を牽引しながら数々の名勝負を繰り広げる傍ら、89年には江本孟紀らとともにスポーツ平和党を結成し、参議院選挙に出馬、当選し政界への進出も果たす。

「自身の引退に向けたシリーズ『INOKI FINAL COUNT DOWN』の第1戦で猪木は、グレート・ムタに扮した弟子の武藤敬司と激突。ムタから顔面に毒霧を浴びせられ、場外の記者席の上でパイルドライバーを食らわせられたり、鉄冊にぶん投げられたりした猪木が、額から流血しながらマジでブチ切れして武藤をチョークスリーパーで落とした。猪木、そして猪木のDNAを引き継いだ武藤の凄みを感じる試合だった」(スポーツ記者)

 まさに“燃える闘魂”を地で行くような熱い人生を送ってきた猪木だが、今年1月からは腰の悪化で入院が続いており、5月には腸捻転で緊急手術を実施。ベッドの上から更新を続けていたYoutube動画内のやせ細った猪木の様子には心配の声も寄せられていたが、今回のNHK番組では難病とも戦っていることが明らかとなった。

蛋白質が臓器や組織に沈着

 この「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」とは、どのような病気なのか。血液内科医で元東京大学医科学研究所特任教授の特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長、上昌広氏は次のように解説する。

「全身性トランスサイレチンアミロイドーシスとは、トランスサイレチンという蛋白質が臓器や組織に沈着することにより引き起こされる疾患である。遺伝により病的なトランスサイレチンをつくり出すタイプと、なんらかの後天的な理由でトランスサイレチンの代謝に異常が生じ、体内に蓄積するタイプに分かれる。後者は70歳代以上の男性に多く、猪木氏は、このタイプと考えられる。

 臨床症状は、トランスサイレチンが蓄積する臓器の異常として現れる。問題になりやすいのは、心筋症と神経障害である。具体的には、心不全、両側手根管症候群、腰椎脊柱管狭窄症、および腱断裂などの形をとることが多い。

 治療薬としては、タファミジスメグルミン(商品名ビンダケル、ファイザー)が開発されている。この薬剤は、体内でトランスサイレチンを安定化させ、組織への沈着を抑制する。ファイザー社が行った第三相臨床試験では、プラセボと比較し、すべての原因による死亡を30%、心血管疾患関連の入院を32%低下させた。現在、全身性トランスサイレチンアミロイドーシスの治療として、有効性が証明されているのは、タファミジスメグルミンだけである。これ以外の治療は、心不全や神経障害への対症療法である。

 タファミジスメグルミンの開発は、この病気の治療開発で大きな一歩だが、現時点で根治にはほど遠い。いったん発症した場合の治癒は望めない。高齢者での発症が多いこともあり、心不全など重要臓器が冒された場合の予後は絶対的に不良である」

(文=編集部、協力=上昌広/血液内科医、医療ガバナンス研究所理事長)

 

パチンコ「10万発」続出の出玉祭り再来か!?「約93.1%継続×高速決着」のRUSHに100%突入する激アツ!!

 これから登場予定のパチンコ新台はまさに激アツ。とびっきりの大物たちが12月から年明けまでズラリと名を連ねています。

 多くのファンが注目しているマシンといえば、間もなくデビュー予定(12月6日)の『P北斗の拳9 闘神』。フルモデルチェンジされた映像も魅力ですが、何より目を惹くのがスペック面です。「約81%継続×1500発+α」を誇るRUSHの突入率は実に約66%。過去作を彷彿させる爆裂に期待が高まります。

 そして、年末(12月20日)にスタンバイしている『新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~』も見逃せません。ハンドル部分を筐体の中央に配した斬新なデザインで、「右に捻る」ではなく「奥に回す」ことで打ち出しが可能。これによって左右どちらの手でも無理なく遊技できるようになっているのです。

 また、注目のスペック面も極めて優秀。突入率70%を誇るST性能は「約81%×ALL1500発」という安定感と爆発力を兼ね備えた仕上がりです。

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パチンコ「RUSH1回継続で新たなモード」へ昇格!? アノ名作が約91%ループで登場!!

パチスロ新台『牙狼-黄金騎士-』の激アツ解説…「本気出し過ぎ」と大絶賛!?

 その後の年明けには「最大3000発×最短0.76秒変動」の『P Re:ゼロから始める異世界生活 鬼がかりver.』や、「約83.3%継続×最大1500発」の『P真・花の慶次3』、前作をスペックUPさせた『P牙狼 月虹ノ旅人絆 GIGA GHOST Ver.』など激アツ新台のオンパレード。ホールが更なる活気に満ち溢れることでしょうが…。

 私が注目している新機種は先述したマシンだけではありません。何より大きな期待を抱いているのが役物(アナログ)機。玉のアクションによる視覚での楽しみと、当ればでかい一撃を併せ持った話題作が着々とデビューに向けて動き出しているのです。

 同タイプで気になる新台は2機種。一つ目がA-gonの『P GOGOピラミッド危機一発4500』で、前作のゲーム性を更に進化させた仕上がりとなっています。

 ピラミッド状に打ち付けられた無数の釘の迷路や、その内部へ玉を送り込むお馴染みのフローは健在。その最下部には新たに2穴クルーンが搭載されており、左側の穴に入ればV入賞(大当り)です(一撃で4500発の払い出し)。

 クルーン実装によって玉の動きを一層楽しめそうな本機ですが、注目すべきポイントは他にもあります。なんとV穴に連続して入賞した際は、切り捨てられずにストックされるとのこと。つまり、2回入賞で9000発、3回で13500発…といった具合に獲得出玉に反映されるという激アツ仕様なのです。

 羽根物などで複数の玉がV入賞した際に「あーもったいない…」と、ちょっと損した気分になった経験は皆さんもあるかもしれません。それが本機はないのです。むしろ歓喜へと変わる激アツ展開を呼び込んでくれます。連続入賞は滅多に起きないと思いますが、非常に興味深いマシンですね。

 そして、役物機といえば『餃子の王将』、『すしざんまい』といった名シリーズを手掛ける豊丸産業の新たなる異色コラボ作も要注目。突入率100%のRUSHでありながら「約93.1%継続×平均出玉7230発オーバー」という驚異のスペックを実現した「アノ台」の詳細が遂に公開されました。

 豊丸産業がコラボ相手に選んだのは、なんと高須クリニック。機種名も『Pyes!高須クリニック~超整形BLACK~』という個性派メーカーらしいタイトルとなっています。

 筐体は、院長である「高須克弥」氏を全面に押し出した作り込み。役物ギミックではシックスパック(腹筋)が躍動して玉を弾くという重要な役割を果たしているほか、演出面でもことあるごとに同氏が登場して大当りまでの過程を盛り上げます。

 注目のゲームフローは『餃子の王将』シリーズなどと似た仕様。役物突破でデジタルが始動し、1/36.9で大当りとなります。大当り後に100%突入する「TAKA須RUSH」は約93.1%継続×高速決着という激アツ仕様。更に、初回大当り時と右打ち中の21.5%が1100発出玉という一撃性も秘めているのです。

 RUSHの平均出玉は7230発オーバーという破格の数値。10万発レベルが続出した役物機『CR今日もカツ丼』を手掛ける豊丸産業だけに、「もしかして今作も?」と爆裂に期待してしまいますね。

 年明けの登場を予定している『P GOGOピラミッド危機一発4500』と『Pyes!高須クリニック~超整形BLACK~』。来年は役物機が一大ムーブメントを巻き起こすかもしれません。

(文=HIRA.777)

<著者プロフィール>

 飲食店やホテルマン、営業など幅広い職種にチャレンジ。どれも長続きせずにいたが、趣味であったパチンコ関連業界へ就職し現在に至る。今では自身の体験談や、業界関係者から入手した情報などを元に記事を作成中。パチスロ4号機にハマっていたいわゆる「北斗世代」で、長きに亘り活躍するシリーズの動向に注目している。主に検定通過情報や、動画レビュー記事を担当。動画は大量出玉を実現した内容を好んで紹介している。

JRAチャンピオンズC(G1)コントレイルの矢作芳人厩舎に「大番狂わせ」の期待、波乱の立役者のキーワードは「○○は○○でも」

 いよいよ今年も最終月となり、師走最初の競馬ウィークを迎える。5日の中京競馬場ではチャンピオンズC(G1)が行われるが、今年は白毛のアイドル・ソダシの参戦により、大きな注目を集めている。

 今年は絶対的な本命馬が不在で混戦ムードが強く、芝のレースしか経験がないとはいえ、ソダシの上位人気は確実。どの馬が勝っても驚けないメンバー構成ともなれば、大波乱が起きても不思議ではない。

 そんななかで、穴で注目したいのがダノンファラオ(牡4、栗東・矢作芳人厩舎)だ。先週のジャパンC(G1)をコントレイルで有終の美を飾った名門の2週連続G1勝利にも期待がかかる。現在『netkeiba.com』の予想オッズでは、二桁人気とノーマークに近い存在でもあり、激走すれば高配当に期待できそうだ。

 騎乗を予定しているのは前回に引き続き注目の若手である横山武史騎手。前走のJBCクラシック(G1)では、果敢にハナを奪い逃げる形で7着に敗れたが、巻き返しの期待は十分に残されている。

 レース後、横山武騎手は「(金沢で)初めて乗ってコーナーが難しかった」とコメントしており、どうやら初の金沢競馬に戸惑いがあっただけに、舞台が中京へと変わることは好材料だろう。

 先週行われたジャパンCでも騎乗したアリストテレスで逃げの手に出るなど、人気薄でも一発を狙う大胆な戦法をとれる騎手だ。今回も果敢にハナを主張してくる可能性はある。

 近走は地方を中心に使われているダノンファラオだが、今回JRAで走るのは約1年半ぶりと久々。こういった臨戦過程が嫌われるようなら、穴党としては望むところだろう。

 1週前の追い切りでは、3頭合わせで最先着を果たし、栗東CWで6ハロン79秒6と好時計をマーク。直前追い切りでも坂井瑠星騎手が騎乗し、坂路で上々の動きを見せており、態勢は整っている。

 管理する矢作調教師は、ダノンファラオがジャパンダートダービー(G1)を勝利した際に「古馬になったらもっと強くなると思う」と漏らしていた期待馬でもあり、このまま終わる馬だとも思えない。過去4勝のうち3勝を挙げている左回りへ変わる点も歓迎だ。

 話は変わるが、先日行われたエリザベス女王杯(G1)では、1993年の「ベガはベガでもホクトベガ」を連想させる「アカはアカでもアカイイト」で決着し、28年ぶりの珍事に一時Twitter上では「ホクトベガ」がトレンド入りするなど、大きな話題となった。

 チャンピオンズCでも馬名に「ファラオ」とつく馬が2頭。ダノンファラオとカフェファラオだ。実はこの2頭は昨年のジャパンダートダービーで対戦しており、その際まさに伏兵ダノンファラオが勝利し、単勝1.1倍の断然1番人気に支持されたカフェファラオが7着に敗れる大波乱が起こった。

 今回再びダノンファラオが勝利する大波乱が起きれば「ファラオはファラオでもダノンファラオ」ということも十分にありそうだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

JRA昨年はアーモンドアイが「土壇場」で大逆転! そろそろ気になるコントレイルの“忘れ物”の行方

 ラストランを迎えたコントレイルが有終の美を飾った先週のジャパンC(G1)も終了し、今週から中央競馬は12月に突入。各メディアでも有馬記念(G1)に触れた内容も増え、いよいよ今年も終盤が近づきつつあることを意識する時期になった。

 年内の中央競馬開催もラスト1ヶ月となったため、そろそろ気になり始めるのが今年の年度代表馬争いの行方である。ちなみに昨年の年度代表馬に選出されたのは、9冠馬の女傑アーモンドアイだった。

 それも先述のコントレイルがほぼ手中に収めていた状況からの大逆転で選ばれたことは記憶に新しい。

 実際、コントレイルとアーモンドアイとの間には、ジャパンCまでの間に決定的な差があった。過去、牡馬の三冠馬は衆目一致で年度代表馬に選ばれるケースがほとんどだったため、何事もなければ父ディープインパクト以来となる無敗の三冠を達成した同馬が選ばれた可能性が高い。

 春のアーモンドアイは、牝馬限定のヴィクトリアマイル(G1)で挙げた1勝のみ。しかも安田記念(G1)でグランアレグリアに完敗を喫して2着と精彩を欠いていた。秋に天皇賞を制したとはいえ、インパクトで劣る。これに対し、菊花賞(G1)も制して無敗の三冠まで達成したコントレイルの圧倒的有利は火を見るより明らかだった。

 ただ、現役最強の座を狙うにはアーモンドアイを倒したという勲章は何よりも箔がつくだけでなく、三冠馬3頭が激突する世紀の対決を望むファンの声も陣営の背中を後押ししたかもしれない。

 そして香港C(G1)に向かうことが濃厚と考えられていたアーモンドアイ陣営が、ジャパンC参戦を表明したことでファンの夢はついに現実のものとなる。

 しかし、コントレイルは同年に牝馬の無敗三冠に輝いたデアリングタクトとともに挑んだものの、アーモンドアイに返り討ちに遭ってしまった。この直接対決での敗戦が年度代表馬に選ばれなかった原因となったのは、おそらく間違いないだろう。

「選考の基準として重視されるのが、直接対決の結果です。ただでさえ、同年に牡牝の無敗三冠馬が誕生した記録的な年でもありましたが、アーモンドアイが2頭をまとめて負かしたことにより、これが決定打となったのでしょう。

もしジャパンCでの対決が実現しなければ、コントレイルの年度代表馬が濃厚だったと思いますが、それはあくまで結果論。むしろファンの見たいレースに応えた各陣営に敬意を表したいです」(競馬記者)

 昨年、大きな盛り上がりを見せたこの年度代表馬争いだが、今年はまさに混迷の様相を呈している。

 G1レースを2勝したエフフォーリアが他馬をリードしているとはいえ、出走を予定している有馬記念で敗れるようだと一気に分からなくなる。直接対決を重視すれば、クロノジェネシスが有馬記念を勝利するとこちらが優勢か。さらに白毛のアイドル・ソダシもチャンピオンズC(G1)の結果次第でまだまだチャンスが残っているだろう。

 はたして、コントレイルが手に入れることができなかった忘れ物を今年手にするのは、一体どの馬だろうか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

パチンコ「100%確変×右の半数が1500発」の安心・安定スペックを実戦!!

 ひろ吉のパチンコ「実戦」紹介。今回は、「100%確変」「必ず電サポ100回が付与」という抜群の安定感を有した『P笑ゥせぇるすまん〜最後の忠告〜』について書いていきたい。

■大当り確率:1/219.91 → 1/93.62
■賞球数:1&4&15
■大当り出玉:約1500個(10R)、約450個(3R)
■遊タイム:通常時550回転消化で時短800回へ突入
■確変:100%/転落まで
■確変転落確率:1/157.9
■TOTAL継続率:約70%
■電サポ:100 or 100回転+α

 通常時の大当りは全て確変「忠告モード」へ突入する安心スペック。95%が3R確変、5%が10R確変という振り分けだ。さらに、通常時550回転消化することで遊タイムに突入。筆者のように、ハマるのが嫌いなユーザーでも親しみやすいゲーム性と言えるだろう。

 出玉獲得の鍵となる忠告モードは、転落確率1/157.9を引く前に大当り確率1/93.62を目指していく。TOTAL継続率は約70%、電サポ100回転消化後、転落抽選に当選していなければ大当りor転落まで継続する仕様だ。

 右打ち中の大当りは50%が10R(約1500個)となるため、まとまった出玉獲得も可能。安定・安全・安心スペックの名に相応しい仕上がりだろう。

 そんなスペックも魅力だが、本機に興味を持った最大の理由は前作『CR笑ゥせぇるすまん ドーンといきまSHOW』が非常に好きだったということ。その影響もあり、打ち始めたマシンなのである。

 今回の実戦はあまり時間がなかったので、状況によっては「当らずに実戦終了」も視野に入れていた。そうなって欲しくはなかったのだが…。打ち始めて100回転、特にこれといった熱い演出はなく台のコンディションもイマイチな状況だった。

 しかし、ここ1週間の大当りグラフを見ると、殆ど300回転以内で初当りを引いているデータを確認できる。個人的には毎回ハマって当ってる台よりは、初当りの軽い台の方が楽な気分で打つことができる。

「この台はアリだなぁ」なんて考えながら200回転程消化したのだが、本当に何も起きず淡々と消化していく苦しい展開が待っていたのであった。

 しかしながら、219回転を超えたくらいで動きが。全然期待できない演出から発展し外れるも、「欲望チャンス(トータル信頼度22.3%)」に突入したのである。

 欲望チャンスは、緑カード「マスターの皿吹きチャンス」、赤カード「欲望ルーレットチャンス」の2枚のどちらかが選択される。この変動前にも2回突入しているが、 緑カードが選ばれてあっけなく外していたのだが…。

 今回は赤のカードが選択され、「もしかして当る?」と少し期待が高まった。すると、難なく大当りを射止めることができたのである。個人的な感覚ではあるが本機に限らず『笑ゥせぇるすまん』シリーズは、こういう弱い演出からあっさり当る印象なので本当にありがたい。

 迎えた肝心な確変はというと…4連ほどしてあっさり終了してしまった。一撃性が低い台ではあるので期待はしていなかったが、もう少し頑張って欲しかったのが正直な感想である。また機会があればリベンジしたいところだ。

(文=ひろ吉)

<著者プロフィール>

 IT業界の世界に興味を抱き、iPhoneアプリの開発を4年程経験。その後、WEBマーケティングの知識や経験を重ねてきた。パチンコ・パチスロのヘビーユーザーであり、機種のスペック等の研究に時間を注いでいる。現在はパチMAXにて、パチンコやスロットの考察記事・実戦記事をメインに作成中。自身が好む低純増・低ベース機の動向にも注目している。

【追悼】友である工藤明男のこと(1)―11月28日と、それ以前のやりとり

 月並みだが、歳月の歩みが年々早く感じるようになってきた。今年もあと1カ月。あっという間だったように思う。

 そんな冬が始まったばかりのある日。年下の友が死んだ。すでに一部で報じられているが、元関東連合幹部の工藤明男だ。

 共通の友人からの依頼で、私は彼のアドバイザーも務めていた。その彼が亡くなったちょうどその日の夜、私が原作や監修などを務めているテレビドラマ『ムショぼけ』では、ヒロインが自らこの世を去るという回が放送された。くしくも彼も自殺だったのである。

 この世で最期に彼と連絡をとっていたのは、私だった。

 11月28日の日曜日の昼下がり。旅先から帰ってきた私は、旅行カバンなどを整理していた。そこに一本のLINE電話が鳴った。時刻は14時20分。その時は手が放せずに、約20分後の14時39分に折り返すことになった。電話の主は彼だった。

 その1週間前の21日の日曜日。彼からのLINEで私のところに「遊びに行きたいです!」「モザイクありなら番宣もさせて頂きます!」(そのまま引用)とのメッセージが届いていた。

 彼は、ドラマ『ムショぼけ』をずっと楽しみにしてくれていた。その宣伝用のYouTube動画にも出てくれるという。彼が遊びに来ることになっていたのは、25日。そのドラマにも関係している有名な俳優とロケ地の兵庫県尼崎市に行き、撮影で使った飲食店を、御礼の意味も込めて、一緒に回ることになっていた。だが、その前日の24日に彼から電話があった。「熱が下がらずにやはり行けそうもないです」というものだった。

 彼については、体調はもちろんだが、ずっと気にかかっていることがあった。それは精神状態だった。精神状態は、文字や文章にも表れる。

 例えば、普段は「ぼく」と使っている人間が、急にLINEなどの文章で「オレ」と使い出した場合、必ずしも怒りの感情を表している訳とまでいかないまでも、精神のバランスが微妙に変化している傾向がある。「私」「わたし」「ぼく」「僕」「オレ」「俺」「自分」など、普段使っている一人称を違う言葉にしだした場合、外部環境からの影響も含めて、その人物のモチベーションなど、なんからの心の変化があったりするものだ。曲がりなりにも、私は書く仕事しているので、それくらいの分析は自然にできるようになった。さらに、情報を扱う仕事やメディアコントロールの会社を経営しているので、日頃から、文章の書き手の心理状態を読み取るような習慣が身についているのかもしれない。

 最近気になっていたのは、彼の誤字の多さであった。作家でもある彼は何事にも慎重で繊細だった。一文字一文字、熟考をしながら原稿を作る書き手だったので、誤字脱字はほぼなかった。逆に私の場合はスピード重視の量産型で、まず頭から思い浮かんだ言葉が消えないように、誤字を出そうがとにかく書き殴る。その後に修正するタイプだ。

 その彼がひどく誤字を出すようになっていた。Twitterの投稿でさえ、誤字が目立っていたので気にかかっていた。そして、今年2月には、都内から同じ新幹線に乗り、新大阪駅近くのラウンジで相談も受けることになる。彼は落ち着きに欠け、余裕がない雰囲気だった。

 簡単にいえば、彼は、もともとは彼の友人でもあった、世間を騒がせた六本木フラワー事件で服役中の人物たちが、もう少しで出所してくることに頭を悩ませていた。そして、当時、私が拠点にしていた大阪市内某所の近くに都内から引っ越そうかと思うのだが、どうだろうかという相談をしてきたのだ。彼は友人でもあり、私は彼のアドバイザーも務めていたので、彼の意向ならばと、交通の便もよく、新幹線で都内にすぐ戻れる新大阪駅周辺で住居を探してあげることにした。だが、その後少し精神的に落ち着くと、その話は流れることになった。

 もう一点、私が彼から聞かされていたことで気になったのは、酒に対する変化だった。私も一時、酒とタバコをやめていたのだが、あることがあってから、長年愛用していたセブンスターはやめたものの、電子タバコに変え、酒も飲むようになっていた。

 一方、彼は2年数カ月もの間、酒をやめていると言っていたのだが、この秋に、いつものようにシェラトン都ホテル東京のラウンジで会ったときには「8月に2度飲んだんですよね~」と口にしたのだった。

 ストイックな彼からすると珍しいなと思った。ただ精神的にそんなに落ち込んでる様子はなかった。ひどく落ち込んだときは、彼が関西まで来て、2人で朝まで語り合ったことだってあった。そんな関係性を通して、私は私なりに彼を知っていた。彼も私の性格を理解してくれていたと思う。私が彼を表するならば、繊細だがタフな男、というものだ。

 話を11月28日、14時39分に戻そう。私からの折り返し電話に出た彼は、

 「朝、起きると大変なことになってるんですー」

 開口1番そう告げてきたのだった。ただ、彼はタフなため、言葉の内容とは裏腹に声のトーンは一糸の乱れも見せていなかった。私のほうが慌てた声を出していたと思う。状況がまったくわからなかったからだ。私は聞き返した。

「どうしたんっ! 何かあったん? 何がなんっ?」

 彼はそれには答えずに、少しの間があった後に「正面から出ます」と言い、電話を切ったのだった。時間にして40秒の会話だった。それが、私が聞いた彼の最後の肉声だった。

 何が起きているのかわからなかったが、普通ではないことが起きていることはわかった。私は後悔するのだけは嫌だったので、そこから何度も彼のLINE電話を鳴らし、何度もメッセージを送った。当初は彼からも返信は届いた。私が別の電話をしていると、彼からのLINE電話の着信もあった。だが、すぐに折り返すも繋がらず、もう一度かけると彼が出たが、何も言わずに電話を切ったのだった。

 そして、16時32分に送ったLINEメッセージに既読がついたのを最後に、その後送ったメッセージには、2度と既読がつくことはなかったのだった。(続く)

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。最新小説『ムショぼけ』(小学館)を原作にした同名ドラマが現在放送中(ドラマ『ムショぼけ』朝日放送、テレビ神奈川)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。