日本の半導体産業復活への効果乏しく…補助金4千億円で台湾TSMC工場を誘致

「産業のコメ」と呼ばれる半導体の不足は、多くの業界にとって頭痛の種だ。スマホやパソコンの需要拡大で世界的に足りなくなり、自動車メーカーが減産に追い込まれるなど影響は甚大だ。

 政府は先端半導体工場の新設や増設を支援するための関連法改正案を閣議決定した。経済安全保障上の重要性が増す先端半導体を、国内で安定的に供給できる体制を構築する。台湾積体電路製造(TSMC)がソニーグループと共同で熊本県に建設する新工場を認定第1号に想定している。

 政府は2021年度補正予算案に財源として6170億円を計上した。TSMCの新工場向けには、当初の設備投資額の半分にあたる4000億円を拠出する。世界最大の半導体生産受託会社であるTSMCとソニーグループは共同で熊本県に合弁会社を設立し、半導体の新工場を建設する。

 この工場は熊本県菊陽町にあるソニーの画像センサー工場の隣接地に建設。22年に着工を予定し、24年末までに生産開始を目指す。設備投資額は8000億円規模で日本政府が半分を補助する見通し。1500人の新規雇用を見込む。

 合弁会社の株式の過半はTSMCが保有し、経営権を握る。ソニーの半導体子会社ソニーセミコンダクタソリューションズが570億円出資し、20%未満の株式を取得する。新工場では回路線幅22~28ナノメートル(ナノは10億分の1メートル)の半導体を生産。最先端製品ではないものの、日本のメーカーが国内で生産できる40ナノメートルよりは微細で自動車や家電向けに広く利用されているという。月間生産能力は300ミリウエハー換算で4万5000枚を見込む。

 ソニーグループは熊本県や長崎県でスマートフォンや車載向けの画像センサーを生産し、世界シェアは首位。光を集めるセンサー部分は自社製造するが、画像データを処理する演算用半導体はTSMCなどに生産を委託している。世界的な半導体不足が続くなか、調達先の確保が課題になっていた。ソニーは新しい工場の大口顧客となり、画像センサーに組み込む演算用半導体の安定確保を図るのが狙いだ。

 ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長はかねてから「半導体を安定的に調達できるかどうか、日本の国際競争力維持のために大事だ」と話している。デンソーも自動車部品向け半導体を安定して調達するため、新工場に専用設備を設けるなど参画を検討している。

“半導体ナショナリズム”広がる

 技術覇権をめぐる米中対立は、米国が自国生産第一主義を鮮明にする引き金となった。「米国による先端技術の囲い込みにつながる」との危機感を日本や中国、さらには欧州の政策当局に抱かせた。

 米バイデン政権は自国の半導体生産能力の増強のために、総額5兆円を超える支援策を検討している。これが日欧韓中などで“半導体ナショナリズム”が広がる誘因となった。経済産業省は6月、「半導体戦略」をまとめた。経済安全保障の観点から先端半導体工場の国内立地の必要性を訴えてきた。TSMCが米国、中国に次いで日本に拠点の設置を決めたのは、水面下での交渉の成果といえる。

 政府は半導体の安定確保を国家戦略と位置付けている。「新しい資本主義実現会議」がまとめた成長戦略に「先端半導体の国内立地の複数年度に渡る支援」と明記した。本年度の補正予算案に盛り込む経済対策で基金を創設、TSMCの新工場の設備投資額の半額程度の4000億円を支援する方針だ。

 海外企業にこれだけの補助金を拠出したことは過去に例がない。半導体をめぐっては世界で熾烈な調達競争が繰り広げられており、欧米や中国政府も自国への工場の誘致のために、日本を上回る補助金を出す方針を示している。

TSMCを誘致する理由

 半導体ビジネスは、一つの企業が設計から製造までを一貫して引き受けるのではなく、工程ごとに得意な企業が、得意な分野に特化する水平分業が進められてきた。設計・開発は米国が、製造装置の生産は日本が、そして、半導体そのものの生産は台湾の企業がそれぞれ分業することで、製品を安く提供するグローバルサプライチェーンが出来上がった。

 中国が5兆円を投じて半導体王国になって、2025年までに半導体の自給率を高める計画を打ち出した。これに危機感を募らせた米国は5兆円を投じて国内生産を強化するとした。米インテル、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子が米国に新工場の建設を決定、あるいは建設を検討している。日立製作所グループの日立ハイテクも半導体の技術開発拠点を米国に作る計画を発表した。こうした動きが強まれば日本が強みを持つ半導体の製造装置や素材を担う企業が海外に移転し、国内が空洞化する恐れが出てきた。

 そこで経産省は、国内で半導体を生産する計画を打ち出した。半導体の受託生産で世界最大の台湾のTSMCを誘致することにしたのである。1990年には半導体企業の売上高トップ10にNEC、東芝、日立製作所、富士通、三菱電機、松下電器産業(現・パナソニック)の6社が名前を連ねていた。日本は半導体王国だったのだ。ところが、2020年にはトップ10から日本企業の名前は消えた。

 半導体産業は巨額の設備投資が必要になる。最先端工場では1棟1兆円規模に膨らむ。日本企業はオーナー経営者らが大型投資を即決する韓国・台湾勢や、国から巨額補助金を受ける中国メーカーとの投資競争に敗れた。日本のサラリーマン経営者は、大きなリスクが伴う巨額投資に躊躇しがちになるからだ。

 半導体製造装置を除くと、日本の半導体メーカーで一定の生産能力をもつのは、メモリー大手のキオクシアホールディングス、画像センサーのソニーグループ、自動車向けマイコンのルネサスエレクトロニクスぐらいだ。

 巨額の補助金をエサに、やっと誘致にこぎつけたTSMCが新工場を作っても、日本がかつてのような半導体王国に復活するのは容易ではない。また、TSMCは世界市場を常に視野に入れており、補助金の縛りがきくのは最初の数年間とみられている。「TSMC熊本工場は、日本企業の工場とは考えないほうがいい」(半導体企業首脳)といった醒めた見方もある。

(文=編集部)

JRA朝日杯FS(G1)「忘れちゃいけない」先週の大波乱、11万馬券の立役者はまたノーマーク? お宝ゲットはあのレースから狙え!

 先週末の日曜競馬は、日本で2歳女王決定戦の阪神JF(G1)が行われ、香港ではG1レースが4つの香港国際競走が開催。国内外あわせてG1が5レースもあり、競馬ファンには何かと忙しい1日だったに違いない。

 ヴァーズをグローリーヴェイズ、カップをラヴズオンリーユーがそれぞれ優勝した一方で、複数が落馬したスプリントでは、福永祐一騎手が負傷。香港の2頭が予後不良となるなど、痛ましいアクシデントも発生してしまったことは非常に残念である。

 話を国内に戻すと、阪神JFを制したのはM.デムーロ騎手が騎乗した3番人気のサークルオブライフだった。デビューから4戦で2歳女王に輝いたとはいえ、ここまでのキャリア4戦で1番人気は一度もない馬だった。

 今回の勝利により、次走では人気確実となりそうだが、4着に敗れたナミュールも出遅れる不利があった中での惜敗。今後も2歳牝馬は混戦模様が続いていきそうだ。

 そして今週の朝日杯FSも、下馬評ではセリフォスを推す声が多いものの、先週の阪神JFで1番人気のナミュールが敗れたように、全幅の信頼を置くには怖さが残る。

 セリフォスと人気を分けることが濃厚なジオグリフにしても、騎乗を予定しているC.ルメール騎手が、グランアレグリアで制したマイルCS(G1)からG1を3連敗中。決していい流れとはいえないだけに、両雄並び立たずどころか、2頭とも馬券圏外となっても不思議ではない。

 そこであえて狙ってみたいのは、配当的な妙味の少ない人気馬より、高配当をプレゼントしてくれる人気薄の穴馬の方だ。今回注目したのは、8番人気ながら2着に食い込んだラブリイユアアイズである。

 いや、厳密には同馬の出走していた京王杯2歳S(G2)組といった方が正しいだろうか。このレースは、8番人気の伏兵キングエルメスが穴を開けたこともあって、それほど高く評価されていなかった。

 そのため、グレード的にG2ながらも3着に入ったラブリイユアアイズが、ほぼノーマークだった理由にも繋がっただろう。だが、その穴馬が3戦無敗のウォーターナビレラに先着し、G1勝利まであと一歩の接戦を演じたことは見逃せない。つまり、ファンが想像していたよりもレースレベルが高かったということになるからだ。

 残念ながら勝ち馬のキングエルメスは、骨折により戦線離脱を余儀なくされたが、2着馬のトウシンマカオ(牡2、美浦・高柳瑞樹厩舎)は、朝日杯FSに戸崎圭太騎手とのコンビで出走を予定している。

「トウシンマカオは、少し面白いなと思っていた1頭です。先行力のあるタイプでロスのない競馬が期待出来そうです。個人的にもキングエルメスを評価していましたから、京王杯2歳S組が軽視されているのは歓迎です。

勝ち切るまでのインパクトはないですけど、馬券圏内の3着以内なら十分にあるんじゃないかと……。2着、3着の紐にはぜひ入れておきたい馬ですね。1週間も経てば、先週のことなんてすぐ忘れちゃいますから(笑)」(競馬記者)

 ちなみに14日現在、トウシンマカオは『netkeiba.com』の単勝予想オッズで8番人気の低評価。人気的には先週のラブリイユアアイズとほぼ同じくノーマークに近い。3着馬が3連単11万馬券の立役者となったなら、これに3/4馬身先着した2着馬が、再び高配当の使者となるかもしれない。

 騎乗を予定しているのは秋華賞(G1)をアカイトリノムスメで制した戸崎騎手。今年G1・2勝目の懸かるこの舞台で、アッと驚く会心の騎乗を見せてくれることに期待したい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

変わりゆく、「B2B企業」のデザイン

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「Design Mind」に掲載されたコンテンツを、電通BX・クリエーティブ・センター、岡田憲明氏の監修でお届けします。

工業・製造業のCxO(Chief x Officer)に知ってほしい、生産性、安全性、従業員エンゲージメントを向上させる手段としてのデザインへの投資についてご紹介します。

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デザインを重視する企業といえば、一般的にはハイテク、小売、金融サービス(もしかしたら自動車も)といった、一般消費者を対象とする企業を思い浮かべることが多いかもしれません。デザイン業界も、消費者向けのガジェットや有名ブランドのデジタル製品を称賛することで、このイメージを強化してきました。

しかし実際のところ、デザインの仕事の多くはB2B (B to B)企業のセクターに移行しています。この10年間に登場した極めて興味深く挑戦的なデザインは、工業、製造業、テクノロジー産業や、この領域の企業のために生まれてきたものです。

frogは世界的な戦略・デザインファームとして、この“B2Bデザイン革命”とも言える潮流の一翼を担ってきました。現在では、frogの仕事の約半分はB2Bプロジェクトが占めています。当ファームのデザイナー、テクノロジスト、ストラテジストたちは、鉱山用の安全対策製品からグローバルな物流システム、ITセキュリティー機器に至るまで、ありとあらゆるもののデザインを手掛けてきました。

ビッグデータへの対応

消費者向けのIoTは基本的に失敗だったかもしれませんが、モノがインターネットに接続されている環境が整ったことによって、自社の生産プロセスや、実際に製品がどう使用されているのかを把握する方法が大きく変化しています。

工場、油田、発電所、飛行機のエンジン、船、トラック、あるいはその他のさまざまな機械にセンサーを装備することで、企業は豊富なデータを収集し、機器の監視、管理、保守、制御などに利用することができるようになったのです。しかし重要なのは、それが何を意味しているのかを理解することです。

膨大なデータを扱う場合、多くの人は直感的に、IT業界で確立された手法に倣ってまず全てをダッシュボードで一覧表示しようと考えます。しかし私たちの経験から言うと、この方法はオペレーターの負担が大きいばかりでなく、面白くても役に立たないデータのスナップショットが大量に作成されるだけの結果になりがちです。

それよりも、オペレーターの認知的負荷を軽減し、迅速な意思決定を可能にするデータ・ビジュアライゼーションを構築するほうがずっと効果的です。frogのいくつかのプログラムでは、高度なB2B企業の管理ツールを設計する際、最適化を目指すメトリックとして「意思決定までのスピード」を使っています。

見た目の美しさよりも安全性と生産性

デザイナーが作ったデジタルツールは、確かにデザインはしゃれているかもしれません。しかし、工業や製造業におけるデザインへの投資は、美しさを求めて行うものではなく、従業員の生産性を高め、全員の安全を確保するために行うものです。

消費者向け製品をデザインするときの考え方や方法論が、工業分野の物理的なデジタルプロセスやワークフローの安全性・生産性を向上させるためにも使えることが分かってきました。

例えば、私たちはあるプロジェクトで製造業向けの安全装置と制御システムの設計を担当しました。設計に不備があれば、悲惨な結果を招くことになります。ですから、緊急事態が発生し、緊迫した状況であっても、次のステップが常に明確に分かるようなツールやソフトウエアを設計する必要がありました。2018年にハワイで起きたミサイル攻撃に関する誤報や1979年のスリーマイル島の原発事故は、ソフトウエアの設計不良が原因の一つといわれています。

さらに、多くの工業生産の現場では従業員の役割がどちらかと言えば流動的です。このような状況が、工業・製造業における設計をさらに難しくしています。

例えば、frogのあるチームが発電所においてエスノグラフィックリサーチ(※1)を実施したところ、システムが緊急停止すると作業員全員が協力して問題解決にあたるため、職務や肩書はあまり関係なくなることが分かりました。これは、管理者や一般ユーザーといった役割をはっきりと分けて、それに合わせたソフトウエアを開発する消費財メーカーや事務系の企業とは対照的です。工業向けソフトウエアの設計では、設計チームがクライアント企業のワークフローを十分に理解した上で、ユーザーの役割に合わせるのではなく、さまざまなシーンを想定して設計することが必要になります。

※1 エスノグラフィックリサーチ
デプスインタビューや観察調査、フィールドワークなどの手法を使って、ユーザーの潜在的なニーズを探る調査のこと。


団塊の世代もミレニアル世代も満足させるデザインの必要性

工業・製造業分野の多くの企業では、従業員の高齢化が進んでいます。ベテラン従業員は、特定の機器やプラント、システムに関する知識を豊富に持っているため、企業側はできるだけ長く雇用したいはずです。同時に、こうした企業にはデジタルネーティブ世代の従業員も働いています。彼らは、工業用・企業用のソフトウエアにも、最上級の消費者向けアプリケーションのような見栄え、感触、動作を期待しています。これは、デザイン上の利益相反という難しい問題を引き起こします。

この問題への対処方法の一例として、frogがあるテクノロジー機器メーカーと共同で取り組んだプロジェクトをご紹介しましょう。

このメーカーが保有している技術は、収益性は非常に高いものの、かなり古いものでした。現在の水準からすると、コンソールでコマンドラインを打ち込むユーザーインターフェース(UI)は最適とは言い難かったのです。また、新規ユーザーは、このツールの古めかしい外観や雰囲気に抵抗を感じており、ビジュアルインターフェースのコンソールやモバイルアプリを求めていました。

一方で、何年もシステムを使ってきたパワーユーザーはこのインターフェースになじんでおり、その扱いにも長(た)けているため、ほとんどの人が変化に対して消極的でした。私たちに課せられたデザイン上の課題は、パワーユーザーにとって慣れ親しんだデザインでありながら、新しいユーザーにとってもアクセスしやすく、魅力的なシステムを作ることでした。

これは、「OT(オペレーショナル・テクノロジー:運用制御技術)」の分野でよく見られる課題です。なぜなら、IT分野では一般的に製品寿命が3~5年であるのに対し、OT分野では15~20年という長寿命の製品が多いからです。

業務とデザインをつなげるデザインシステム

デザインで競争しようとする工業・製造業の企業にとっての最初のステップは、デザイン言語を確立することです。デザイン言語は、デザイン方針や美意識、双方向交流のパターン、デザイン資産などをシステムに落とし込むためのもの。多様で複雑な製品エコシステムの一貫性を確保するために作られます。通常、デザイン言語には、製品の開発・発売に関わるエンジニアチームが使いやすいよう、上述の方針やパターンを具現化するユーザーインターフェース・ツールキットのサポートがあります。

こうしたツールは、製品チームが製品化を進めるにあたり有利なスタートを切る助けになりますが、長期的な価値の提供においては不十分であると言わざるを得ません。プラットフォームやデザイン言語にははやり廃りがあり、特定ベンダーの技術に大きく依存する「ベンダーロックイン」では、自社でコントロールできない製品化スケジュールに縛りつけられてしまう可能性があります。

多くのデザイン言語を設計・構築してきた経験から、私たちは、これらのシステムにはレジリエンスや開発と他のフェーズとの強い連携が欠けていることに気づきました。そこで、工業・製造分野の企業が抱える長期的なニーズを考慮しながら、各社の業務にデザインを組み込んでいく方法を模索しました。

より柔軟かつ長期的にデザインに投資していこうと考える企業にとっての解となるのが、デザイン言語よりもデザインシステムです。デザインシステムとは、各種のツール、コンポーネント、ワークフローを統合し、業務上の課題とデザインプロセスを積極的につなげるシステムのことです。

デザインシステムは、製品デザインのための唯一正しい情報源として機能し、製品開発サイクルにデザインを直接統合するモジュール式ツールをもって、ワークフローを支えます。デザインシステムの多くは、デザインツール、デザイン言語、UX(ユーザーエクスペリエンス)アーキテクチャとシステム、UIツールキット、業務量の制御的な調整を可能にするガバナンスモデル、業務量調整を日常的に実行するためのタスク管理ツールなどで構成されます。

その上で決定的に重要なのがヒューマンエレメント、すなわち、各製品チームがデザインシステムを使用するよう、いかに奨励し、動機づけ、説得するかということです。馬を走らせるには鞭よりもニンジンのほうが効果的であるように、私たちは、一部の工業製品メーカーで、デザインシステムを中心としてデザイン志向のエンジニアやプロダクトマネジャーたちがコミュニティを形成するようになったのを見てきました。

デザインシステムは、そのモジュール性と継続的な効果測定・改善により、特定のプラットフォームベンダーに縛られることなく、必要に応じて変更を加えることを可能にします。
一度デザインシステムが採用されれば、統一感のある製品群の提供、パターン統一によるユーザートレーニングコストの削減、ブランディングされた独自のユーザーエクスペリエンスが実現します。

工業・製造業、テクノロジー分野の企業が競争力を高めていくには、デザインが極めて重要な役割を果たします。機械やシステムがより高度化し、IoTによってオペレーターが処理しきれないほどのデータフローが生成される中、それらを考慮して設計されたソフトウエアは、オペレーターの安全性と生産性を向上させるだけでなく、競争力のある差別化を実現するための一助となります。

今や、あらゆる企業がソフトウエアメーカーになっていると言っても過言ではありません。つまり、競争力を維持するためには、最新のソフトウエア設計・開発手法を採用する必要があるのです。frogは、クライアントであるB2B企業各社とのコラボレーションにおいて非常に興味深いデータ・ビジュアライゼーションやソフトウエア・デザインの課題を見いだしており、工業・製造業分野のお客さまとの仕事を通して、私たちのスキルや経験をより広い領域で生かせる機会を歓迎します。

この記事はウェブマガジン「AXIS」にも掲載されています

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Z世代を、ミレニアル世代、Y世代と比較してみた~そのメディア意識とメンタリティ~

電通メディアイノベーションラボでは、ビジネスへのヒントや新しいマーケティングへの知見獲得を目的として、生活者を情報行動やメディアとの関わりの視点から研究し情報発信するオーディエンス研究プロジェクトを推進しています。今回は「Z世代」をテーマに、研究結果を紹介します。

2021年は「Z世代」という言葉を頻繁に耳にしました。彼らは、次代の消費を担う若者としてマーケティングで注目を浴びています。また、今後の日本人の情報行動やメディア利用の展望においても重要ターゲットです。

当ラボでは、2021年に東京大学名誉教授の橋元良明氏(現:東京女子大学教授)と共同で、メディア意識やメンタリティに関する調査を行いました。今回は、そのデータを基に、Z世代の持つ特徴を、その先行世代となるミレニアル世代やジェネレーションY(以下、Y世代)と比較しつつ考察してみたいと思います。

※Z世代は一般には1990年代半ばから2010年くらいまでに生まれた層といわれます。本記事においては、2021年における15~24歳(1997~2006年生まれ)を「Z世代」として分析しています。同様に、25~34歳(1987~1996年生まれ)を「ミレニアル世代」、35~44歳(1977~1986年生まれ)を「Y世代」、45~54歳(1967~1976年生まれ)を「Z世代の親世代」、55~74歳を「シニア世代」と表記しました。

※なお、世代の年齢区分については論者によりさまざまな言説があり、また、ある年齢を境にくっきりと分かれるものでもなく、前後の世代に重複する部分が見られることもあることはご承知ください。
 
世代区分とサンプル数
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先輩世代の「ミレニアル世代」と「Y世代」の特徴とは?

Z世代の比較対象とするミレニアル世代とY世代について、先に軽く説明します。

Y世代は、おおむね1970年代後半から80年代半ば生まれの世代です。Y世代が成人したころ、パソコン用のOS「Windows95」がローンチされました。当時大学生くらいになっていたY世代は、このOSの誕生により、縦横無尽なネット活動が本格的に行えるようになりました。就活では、この世代から初めてリクナビ等が活用されるようになり、また、この世代からは多くのIT企業の創業者が生まれました(ミクシィ、GREE、はてな、2ちゃんねる、など)。

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Y世代はバブル崩壊の影響を受け厳しい就職難を経験したため氷河期世代と呼ばれ、ロスジェネという呼称も生まれました。一方で、苦境を経験したことで反骨精神が強くなり、自分をしっかりと見つめるマインドも養われたともいわれます。そのようなY世代の心を象徴するかのように、1990年代の後半には、テレビでは「自分探し」系のドラマも多く作られました。

この世代からは、先輩から飲みに誘われたときに「自分は今晩やることがありますので」とキッパリ断ることができる人が現れた、ともいわれます。また、青春期にはピチカート・ファイヴや小沢健二ら、いわゆる“渋谷系”アーティストによる都会的な楽曲がはやりました。

次にミレニアル世代ですが、この世代は1980年代半ばから90年代半ばに生まれ、日本では「ゆとり世代」と重なります。ゆとり教育を受け、小学校の運動会では1等賞を設けない徒競走なども行われました。

彼らは、マインド的には「仲間」「一致団結」といったつながり感覚を重視する傾向があります。例えば、仲間でファミレスに集まると、互いの頼むメニューがかぶらないように気を使い合うなど、常に周囲の空気を読むような傾向が見られたことも特徴の一つです。

SMAPが「世界に一つだけの花」で “ナンバーワンにならなくてもいい♪” と歌いヒットしたのが2000年代初頭でしたが、時代の空気感を反映していたとも言えそうです。「飲み」に関する対応では、Y世代が先輩からの誘いを断ったのに対し、つながり感覚を重視するミレニアル世代は「ぜひ行きましょう!」と快諾し、“飲みニケーション文化”が復活したともいわれます。

情報行動に関しては、Y世代がWindows95搭載PCでネットの大海原へ進出したのに対し、ミレニアル世代は1999年に誕生したNTTドコモの「iモード」の影響を受け、ケータイからネットの世界に入っていきました。そして、ケータイのキーをものすごいスピードで打ちまくり、テキストベースで友達と一日中しゃべりまくるスタイルが見られました。例えば、「今、バイト?」「どこにいるの?」「まだ起きてる?」などといった具合に、24時間、友人同士で動静を確認し合うこともよくありました。

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「Z世代」の情報行動とコミュニケーション

さて、本題の「Z世代」ですが、Z世代は10代でスマホの誕生に遭遇しています(iPhoneの国内ローンチは2008年)。ミレニアル世代が10代でケータイからネットの世界に入っていったのに対し、Z世代は10代からスマホに接し、SNSが水や空気のように当たり前に存在する環境下で育ちました。

ミレニアル世代は身近でリアルな友達とつながり、利用するSNSも知っている人から承認を受けて始めるミクシィのようなサービスが中心でしたが、Z世代はより多様なSNS、例えばTwitterやInstagramを使い、リアルで会ったことのない人も含めたより広い世界とつながりコミュニケーションを図っています。

また、Z世代はYouTubeなどの動画サービスの影響も強く受け、動画を通したコミュニケーションも活発で、一日中動画漬けといったライフスタイルの人も現れました。昨今では、GoogleやYahoo!で検索する代わりに「いきなりYouTubeで検索」といった行動も、この世代を含めて浸透してきています。

「Z世代」のメディア意識とメンタリティ 

今回の調査では①「テレビ放送」②「インターネット情報(※注:ネット動画・SNSは除く)」③「ネット動画」④「SNS」の4つの情報源について、おのおのの持つ機能や役割・効用への意識に関する質問を行いました。

【図表1】は、4つの情報源に対し「信頼できる情報が得られる」「社会の空気感を知ることができる」「日常的に触れていないと世間の常識が分からなくなる」「価値の高い内容に触れられる」「感動を得られる」の5項目について「そう思う」と答えたZ世代の割合です。

【図表1】

4つの情報源の機能・役割への評価(世代別)
橋元教授&電通 2021年共同調査

「感動を得られる」でネット動画の評価が高く、「社会の空気感を知ることができる」はSNSの評価が高いなど、Z世代がネット系を高く評価する傾向が出ました。他方、「信頼できる情報が得られる」では、テレビ放送が頭1つ抜きんでて高くなっているのが興味深いところです。

そこで、今度はテレビ放送のみを取り出し5つの意識について「世代別」の比較を行ってみました。【図表2】に見る通り、Z世代では各項目へ「そう思う」と回答した人の割合が、ミレニアル世代やY世代よりも高い、という結果でした。

【図表2】

テレビの持つ機能・役割への変化
橋元教授&電通 2021年共同調査

テレビ放送の黄金時代を経験して育った年配層ほどテレビへの評価が高く、逆に、ネットの影響を受けた若い層になるほど低くなるかと思われましたが、この結果によると、Z世代はテレビに対し確かな肯定感を持ち、ミレニアル世代やY世代を飛び越え、さらに上の「Z世代の親世代」に近い感覚を有しているようです。

次に、メンタリティに関する質問の結果ですが、【図表3】のように、Z世代は「社会の問題や世の中の動きに関心が高い」と答えた割合がミレニアル世代より高く、「第三者の立場に視点を移してものごとを見る方だ」については比率が最も高いという結果でした。彼らは社会への関心が高く、世の中をクールに鳥瞰して捉える向きがあり、“大人のメンタリティ”を持つ若者、と言えそうです。海外では、若き環境活動家として知られるグレタ・トゥーンベリさんもZ世代に相当します。

【図表3】

社会への関心やものごとの見方
橋元教授&電通 2021年共同調査

“大人のメンタリティ”と親世代に近いテレビ意識の背景は?

Z世代に見られる“大人のメンタリティ”、そしてテレビへの高い肯定感は、彼らの育ってきた時代背景、中でも、多感な思春期に起きた事象の影響から読み解くことができるかもしれません。

まず、彼らが10代のころ起きた歴史的出来事は、何と言っても2011年の東日本大震災です。Z世代のうち2000年に生まれた人は、小学校高学年でこの災害を経験しました。当時子どもだったので、スマホや自分専用PCを持つ人がほとんどいなかった中、彼らは連日流れるテレビの報道を通して津波の映像、福島第一原発での爆発、右往左往する国の状況を目の当たりにしたわけです。これによって、テレビというものの「存在感」「影響力」が彼らの心へしっかりと刻印されたと想像できます。

当時、ネットでは種々のデマも流れたりしましたが、そういった無根拠な情報が伝達されるリスクの少ないテレビに対する「信頼感」も根付いたのではないでしょうか。同様に、「人生は何が起こるか分からない」といったマインドが芽生えたことも推察されます。

震災以外でも、2008年のリーマンショック、そして2009年の民主党政権誕生や2012年の政権交代などのテレビ報道は、視聴者に強いインパクトを与えました。Z世代の心へ少なからず影響を与えた部分もあるでしょう。

ちなみに、2020年に行った電通の独自調査では、震災直後からテレビで大量に流れることとなったACジャパンの広告「あいさつの魔法(ぽぽぽぽーん♪)」に影響を受けたと回答した人の割合は、Z世代(ここでは調査年の2020年に15~24歳だった人)が最多でした(【図表4】)。

【図表4】

ACジャパンCM「ぽぽぽぽーん」に影響を受けた人
影響を受けた出来事に関する質問より 2020年電通単独調査

Z世代におけるテレビの高い存在感は、彼らがSNSとともに育ってきた「ソーシャルネーティブ」であることも要因として挙げられるでしょう。彼らは、テレビ番組を見てその内容についてSNSで語り合う「ソーシャル視聴」が浸透した世代でした。

例えば、バラエティ番組を見て「これヤバっ!」「ありえねー」などと突っ込み合ったり、音楽番組で見たK-POPの人気グループをまねて、友達と「ふたごダンス」動画を撮って動画サイトへ投稿したりしました。映画「天空の城ラピュタ」が地上波で放送され、見ていた人が一斉に「バルス!」という言葉をTwitterでツイートし、1秒間当たりツイート数の世界新記録を樹立したこともありました。

このようなソーシャル視聴行動においては、テレビ番組をそもそも見ていて、そのコンテンツについて知っておくことがSNSで盛り上がるための「参加条件」となっていたわけで、入り口としての存在であるテレビのプレゼンスを高めていたとも考えられます。

さらに昨今では、「テレビからSNS」という潮流のみならず、SNSで話題になったものがテレビに流れ、それがまたSNSへ還流してくるといった新しい潮流も生まれており、テレビとSNSの関わりがさらに密接になっている、といえます。


今回の調査からは、Z世代がそれ以前の若者像とは少し異なる傾向を持つ世代であることが分かりました。ゆえに、例えばマーケティングの領域では、彼らの持つ社会意識の高さや鳥瞰志向といったものへ十分留意したメッセージングが求められるでしょう。

また、テレビ業界の方々へは、彼らの心へしっかりと刻印されているテレビの存在感と信頼感が維持・拡大されるよう、引き続き価値の高いコンテンツの発信を期待しています。最後に、無理やり「飲み」の話にからめて締めくくると、Z世代は「リモート飲みデビュー世代」とでもなるでしょうか (笑)。

【電通&橋元教授共同調査・調査概要】
調査対象:全国15歳~74歳男女(高校生以上) 
調査時期:2021年7月9日~13日
有効回収票:7717票
調査方法:インターネットパネル調査
 
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首相官邸と防衛省、机上の空論で目標を現場自衛官にゴリ押しし対立…接種センター

自衛隊史上最高の作戦どころか、反省点ばかりですよ」

 自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターが11月30日に終了したことを受け、ある陸上自衛隊幹部はこう肩を落とした。センターが日本国内のワクチン接種率を高めることに貢献したのは事実だ。一方で、そのプロセスは科学的根拠のない精神論に基づいた首相官邸の指示と、それを無批判に通す忖度官僚の「合作」であった面は否めない。

センター接種自体は成果だが、現場の強さに甘える日本社会の縮図

「国民の信頼を裏切らない素晴らしい成果をあげていただいた」

 11月30日、接種センター終了に伴う式典が開かれ、出席した菅義偉前首相は業務に従事した自衛隊員などにこう謝意を示した。感染リスクに見舞われるなかで接種業務に従事した医療関係者はもとより、自衛官については「追加の日当がたった3000円とタダ働き同然」(陸自幹部)だっただけに、謝意が払われてしかるべきだろう。

 ただ、接種センター自体が7月の東京五輪開催を直前にした菅政権の焦りが生んだ「苦肉の策」だったことは思い起こしておく必要がある。4月に突如、報道先行でセンター設置が周知されるなど、実務を担う自衛隊側と調整が何もなされなかったことは本連載第1回で指摘した通りだ。中長期的なマネジメントや見通しが甘く、現場のがんばりでなんとかするという日本的組織の特徴がもろに出た。

陸自「高齢者相手に実績値もなく1日1万回は危険だ」と主張

 菅氏は「接種開始1週間で東京1日1万人、大阪1日5000人」という接種目標をぶち上げた。これについては当初、算定の根拠が不明確などとして批判を浴びたが、実際にはどうだったのか。運営に携わった陸自幹部は以下のように話す。

「やれと言われれば実行するのが自衛隊ですので、運営そのものは大きくもめませんでした。ただ、最初に現場と中央で意見の相違が出たのは、開始間もない1週間で最大数の東京1万、大阪5000に到達させるかどうかという点でした。現場の自衛隊側は『実績値もない段階で机上検討の最大数の接種は保証できない。対象が老人であり、摂取に要する時間もデータがなければ計画通りに実施できるかの確約はできず、予約数は制限すべきだ』との慎重論を唱えましたが、防衛省側は無視し、2週目から最大数の予約設定を行いました。

 結果として問題が起きなかったので良かったですが、もし起きれば現場の責任にされると戦々恐々でした。結局のところ、防衛官僚たちにとっては総理の『1万』『5000』という数の達成が重要なのであって、接種対象のお年寄りはどうでも良かったというふうにしか思えませんでした」

 この接種目標は菅氏直々の命令であり、「政権維持をかけた大バクチ」だっただけに異を唱えられるものは誰もいなかった。まして、第二次安倍政権で官房長官として中央官僚の人事権を掌握していた菅氏の命令であれば、防衛官僚が「現場の意見」や「科学的な根拠」などよりも、机上の計算による目標達成をゴリ押ししたとしてもまったく不思議ではない。

予約なしの来場受け入れで意見が対立、センター運営延長も報道先行

 さらに、予約なしで来場した人の扱いでも、中央の防衛官僚と現場の意見の対立が深刻だった。菅前首相は「予約なしでも追い返すな」と主張したが、現場は「きちんと予約した人が接種できなくなる」と反対。防衛省側はその意をまったく伝えず予約なしで受け入れる体制を強行したという。

 7月のセンター運営延長決定が報道先行だったことも、現場の不信感を呼んだ。陸上幕僚監部も噂程度の情報しか知らず、官邸と防衛官僚が密室で検討しメディアにリーク、既成事実化した上で、防衛省対策本部会で正式決定という流れは現場無視と捉えられても仕方ない。説明する時間がなかったというにはあまりにも不誠実である。

センターの功績は優秀な現場と真面目な国民に追うところが大きい

 接種センターでは、東京・大阪の2会場で5月からの半年間で合計196万回の接種が行われた。これは全国の総接種回数の1%に当たる。全体からすれば少なく見えるが、前述した通り、センターが接種をリードした功績は大きい。ただ、その功績の内実は真面目で優秀な現場と、自粛しながらトラブルを起こさずに接種を淡々と続けた国民によるところが大きいのではないか。

 官僚は公僕である。国民の代表である政治家に従うのはもちろんだが、選挙での当落がつきまとう彼らに代わって、専門的知識や能力でときに諫め、牽制し、政策を洗練させていくのが本来の仕事のはずである。今回の接種センターをめぐる一連の動きからは、菅氏のメンツを潰すまいとする召使いとしての働きはあっても、現場のマネジメント面で責任を持った専門家集団として機能したとはいえまい。

 今回はセンター設置そのものについての防衛官僚のマネジメント能力の弱体化について述べたが、次回は予約システムの混乱をめぐる動きについて詳述する。

(文=編集部)

自動車保険、値下げでも実質値上げのカラクリ…知らないと損するドラレコ特約

 このところ火災保険の保険料が毎年のように値上げされているのに対して、自動車保険の保険料はまた値下げされます。損害保険各社は2022年1月に、自動車保険の保険料を値下げすることを公表しています。車種や加入者の条件によって異なりますが、平均して1~2%の値下げとなる模様です。2年連続の値下げとなります。

 これは、自動車の安全性能の向上や交通違反の厳罰化などによって、交通事故の減少が続いているからです。19年の交通事故発生件数は、15年前に比べて約6割も減少しています。その分、事故の際に支払われる保険金が減少しますので、保険料を値下げできるわけです。

 ご存じのように、自動車保険は契約者の年齢や車種によって細かく決まっています。これらの違いで事故の発生確率が異なるからです。保険の種類、契約者(主に運転する人)の年齢、運転できる人の範囲や年齢、車種によって、保険金を賄うための適正な保険料が異なります。ところが、保険会社はこれらの要因による事故の発生確率や適正な保険料を計算していません。業界で設立している「損害保険料率算出機構」という組織が、すべてを算出しています。各保険会社は、ここで算出された保険料率(「参考純率」と言います)に、経費や利益を上乗せして、自社の保険料としています。自動車保険の保険料は、保険会社によって異なりますが、それは“上乗せ”部分の違いによるためで、元となる部分は各社共通なのです。

 今年の9月に同機構は、19年までの各社の保険金支払いの実績を受けて、参考純率を平均で3.9%引き下げました。それを受けて、各保険会社は自社の保険料を引き下げます。それが22年1月に実施されるわけです。

 ところで、保険料の基となる参考純率が平均3.9%引き下げになるのであれば、各社の保険料も平均して3.9%の引き下げとなるのが自然です。ところが、大手の保険会社を中心に、実際に引き下げられるのは、1~2%程度です。ということは、各社が確保する経費や利益に相当する部分について言えば、実質的には“値上げ”していることになります。

 さらに、今年の9月に同機構が算出したのは、19年までの実績に基づいて計算されたものです。コロナ禍となった20年は前年と比べても大きく事故が減少しています。保険金の支払いは一層減少しているわけで、本当はさらに値下げする余地があると考えられます(コロナ禍という特別な事情もあり、同機構が来年、20年の実績に基づいた参考純率を算出するかはわかりません)。

 近年、自動車の保有台数は伸び悩んでおり、自動車保険の契約数も今後は大きな伸びが見込めません。自動車保険は損害保険会社にとっては主力商品で、利益を確保するためには安易に値下げに踏み切れないという事情もあるのでしょう。

自動車保険は新しいサービスへと進化

 ただ、それだけではないもう1つの理由があります。自動車保険は今、大きな変革期にあるといえます。事故で発生した損失や賠償を補うためのものから、「事故が起きた際に契約者を守る」さらには「事故が起きないようにする」サービスに変わりつつあります。それが自動車保険の「ドラレコ特約」です。

 大手保険会社を中心に、自動車保険に「ドライブレコーダー特約」を設けるようになってきています。これは、「市販のドライブレコーダーを付けると、保険料が安くなる」というものではありません。特約への加入と同時に、それぞれの保険会社が指定する専用のドライブレコーダーを設置します。事故発生時の映像が記録され、それはネット回線を通じて保険会社にも共有されます。保険会社はすぐに事故の状況を確認することができ、相手方との解決がスムーズに進むことになります。実際、この特約を付けたドライバーの事故は、解決までの時間が短くなっているという結果が出ています。

 そして、専用のドライブレコーダーには通話機能がついており、事故が発生すると自動でコールセンターのオペレーターとつながるようになっています。交通事故が起きたときはパニックに陥ってしまうことがあります。その時に経験豊富なオペレーターから適切な声掛けがあれば、落ち着くことができます。適切な事故対応もアドバイスしてもらえるでしょう。緊急連絡先を聞いていても、電話すらできない状況で、オペレーターから声を掛けてもらえるのは心強い限りです。

 また、ドライブレコーダーは常に運転状況を監視しています。事故を未然に防ぐために、危険な運転になった際には画面表示や音声で警告を発してくれるものもあります。普段の運転の傾向(くせ)を把握して、注意を促してくれる機能もあります。それを踏まえれば、安全運転の技術も向上することでしょう。

 さらには、普段から安全運転に配慮して、事故を起こす可能性が低いと考えられるドライバーには保険料を割り引く保険会社も登場しています。自動車保険は無事故が続くと保険料が段階的に安くなりますが、結果的に事故を起こすかどうかではなく、安全運転をしているかどうかで保険料が変わってくるわけです。これは、今までの自動車保険にはない、新しい取り組みです。

「ドライブレコーダー特約」によって、自動車保険は新しいサービスへと進化しました。これが進んでいくと、保険料も業界全体で同じように算出する状況から脱していくでしょう。これからの自動車保険選びは、このような付加価値がついた保険を選ぶのか、保険料で選ぶのか、二極化していくのではないでしょうか。

(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)

●村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP・1級FP技能士)、

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、証券アナリスト、

国際公認投資アナリスト

神奈川大学大学院 経済学研究科卒業

大和証券に入社し、法人営業、個人営業、投資相談業務に13年間従事する。

ファイナンシャル・プランナーとして独立し、個人の生活設計・資金計画に取り組む。

個別相談、講演講師、執筆などで活躍。

『水曜日のダウンタウン』が中年男女に圧倒的人気…視聴率でわかる最強コンビの今

 2022年でコンビ結成40年、もはや大御所と言ってもいいダウンタウンの2人。今、彼らはどのくらい“もっている”のだろうか? コンビでの担当番組のほか、単独出演の番組の視聴率を総点検してみた。

 まずは、今や彼らの代表的な番組となった『水曜日のダウンタウン』(TBS系)。同番組の下地となったのは、火曜夜10時に放送されていたダウンタウンの番組『100秒博士アカデミー』(同)だ。8年続いた『リンカーン』(同)の終了を受けて始まった同番組は、「博士」と呼ばれる専門家が登場し、世間が驚くような新説を提唱するというもの。たとえば、ダチョウの卵から抗体を抽出し、それをマスクに塗るだけでインフルエンザ予防に効果がある……といった内容だ。

 残念ながら、わずか放送14回、5カ月で終了してしまうが、この「珍説」「新説」をバラエティに完全に振り切り、水曜夜10時に新たに始まったのが『水曜日のダウンタウン』というわけだ。『100秒博士』では、説を唱える研究者に対して、ダウンタウンは司会というよりコメンテーター的な立場で出ていたが、その名残が『水ダウ』にも表れている。

 さて、『水ダウ』の11月10日の視聴率は世帯6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人3.4%だが、この内訳を見ると違った顔が浮かび上がってくる。

「M2(男性35~49歳)が5.0%、F2(女性35~49歳)も7.2%で、いずれも同時間帯トップです。裏の日本テレビの水曜ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール』のF2視聴率は3.7%ですから、その差は歴然。かつて『家政婦のミタ』『14才の母』『Mother』など社会現象を巻き起こすほどのヒット作を量産していた水曜ドラマですが、今や完全に『水ダウ』に食われています』(テレビ局関係者)

 放送28年目を迎える『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)はどうだろうか。

「11月11日は2時間SPだったのですが、世帯6.7%、個人3.9%でした。ここでもF2層が7.0%と、圧倒的なアベレージを残しています。一時期は裏の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)の猛追に遭っていましたが、現在は息を吹き返しています。一方『夜会』は、それまでのスタジオ収録から撤退。『夜会ハウス』というトーク企画を本格始動させています。マンションの一室を借り切り、スタッフ不在の中、完全プライベートの体でトークを展開。芸能人の秘密のおしゃべりを“覗き見”するということですが、ハマっている物を紹介するなど、それまでのスタジオ収録と明確な違いがなく、迷走している感が見受けられます」(同)

 最後は、ダウンタウンのブレイクを決定的なものにした老舗番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)だ。11月14日の視聴率は世帯4.7%、個人2.5%。同番組は、1999年7月4日に放送された「芸能人釣り選手権」の回で世帯23.6%を獲得している。そんな全盛期とは比べるまでもないが、大晦日に『NHK紅白歌合戦』の裏で健闘している特番「絶対に笑ってはいけないシリーズ」の貢献度もあるのか、継続している。

松本は3本、浜田は6本のピン出演

 以上3番組が、ダウンタウンがコンビで担当しているプログラムだ。続いてピンでの出演番組だが、松本人志は3本を担当している。まずは、その発言が毎回ネットニュースになる『ワイドナショー』(フジテレビ系)から見て行こう。

「11月21日の視聴率は世帯6.7%、個人3.5%ですが、M2=4.9%、F2=5.4%と、やはりM2とF2の支持が大きい。対照的なのが『サンデー・ジャポン』(TBS系)です。同日の視聴率はM3(男性50歳以上)が9.3%、F3(女性50歳以上)が9.7%ですが、M2=2.8%、F2=2.5% と、若い世代の数字を落としています。ただ、こうした棲み分けは必要でしょう。個人視聴率が隆盛の時代ですが、高齢者に優しい番組があってもいいわけですから」(同)

 2本目が『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)だ。11月19日の視聴率は世帯6.1%、個人3.4%。特にF2=6.6%という数字は、金曜日のフジテレビの全番組の中で1位となっている。

 そして3本目が、2019年11月から3代目局長に就任している『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送テレビ)。11月19日の視聴率は世帯10.5%、個人6.1%。F2、M2も4%台と堅調だが、F1(女性20~34歳)も5.9%を獲得している。

 では、浜田雅功はどうだろうか。担当しているのは、松本の倍の6本。

「11月18日放送の『プレバト!!』(TBS系)はM3=10.9%、F3=14.1%と、50歳以上からの支持が厚い。ただ、その他の番組は圧倒的に強い裏番組に阻まれて、やや苦戦しています。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の裏である『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)の11月14日の視聴率は世帯6.6%、個人4.5%。

『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)、『マツコの知らない世界』(TBS系)の裏である『芸能界常識チェック!~トリニクって何の肉!?』(テレビ朝日系)の12月2日の2時間スペシャルは世帯5.9%、個人3.4%。『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)の裏である『オオカミ少年』(TBS系)の11月19日の視聴率は世帯3.8%、個人2.3%となっています。まだまだ浸透に時間がかかりそうですが、辛抱強く継続していくことでしょう」(同)

 そのほかに、『浜ちゃんが!』(日本テレビ系)と『ごぶごぶ』(毎日放送)はいずれも世帯2%台、個人1%台となっている。

 これらの結果から、どのようなことが言えるのだろうか。

「現在のダウンタウンの担当番組のバランスは、非常に理想的なのではないでしょうか。ゴールデンから深夜に至るまで、幅広い時間帯を網羅しています。また、特徴としては『水ダウ』『DX』『ガキの使い』と番組の立ち位置がすべて違い、さまざまな顔が見られること。そして、地元・関西での番組も持っていますし、松本が『ワイドナショー』をやってから、バラエティのみならず時事にも強い一面もクローズアップされました。何より、現役のお笑い芸人でダウンタウンほどコンビでの番組を継続させている2人はいないでしょう」(同)

 時代に合わせて見せ方や見え方を変化させてきたダウンタウン。今後は、どのように変化していくのだろうか。

(文=編集部)

パチンコ店が迎えた危機…「現役ホール関係者」が人員削減より重視した対策とは

 全日遊連に加盟しているパチンコホール数(営業店舗数)は、2021年10月末日で7718店舗(前月末と比べて35店舗減少)になったと報じられた。前年10月末と比較すると、店舗数は620店舗減という結果になったようだ。

 2020年5月の約8500店舗から徐々に、その数を減らしているパチンコ店。ホールの個性を発揮しにくい時代であり厳しい営業を強いられるような流れもあるが、コロナ禍による影響が結果に現れたと言えるのかもしれない。

「昨年に発令された第1回目の緊急事態宣言下では全国で大半のホールが休業を余儀なくされ、ただでさえ遊技客が減少傾向にある中での売り上げ激減は大きなダメージとなりました。その後は改善も見られた印象ですが、限界を感じながら営業を続けていたホールも多かったのではないでしょうか」(ホール関係者)

 苦渋の決断を迫られた店舗も多いだろう。ただ、この窮地をどうにか踏ん張り営業を続けているホールも確実に存在する。

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パチンコ「6万5000発」を1時間余りで吐き出す悪魔が降臨…今年9月の新台を振り返る

 迎えた危機的状況において、生き残るために「どのような対策」を打ち出したのだろうか。今回は、某ホール企業の関係者に当時の話を伺ってきた。

「最初に人員の削減というのは考えませんでしたね。3カ月くらい『各店舗に無駄がないか』という点を徹底的に調べました。『無駄な備品を発注してないか』ということから。小さいことと思うかもしれませんが、そこから見直すことが大事だという結論に至ったんです。実際に効果はありましたしね。

人員の問題は本当に最後に考えたことです。募集退職などは行いましたが、一方的に辞めてもらうようなことはありませんでした。その代わり、残った人間に求められるものは高くなったと思いますけどね。導入する機種などに対しても、かなりシビアに考えるようになりました。

結果として、何とか持ち直せたという感じはしますね。以前より厳しい状況に変わりはありませんが、危機的状況の中で行ったことや生まれた考えによって、良い方向に進んでいるとは思います」(ホール企業関係者)

 コロナ禍以前まで客足が戻らないというホールも多く、加えて旧規則機の撤去も控えている状況。パチンコホールの店舗数がさらに減る可能性を否定できないが、少しでも多くの企業に乗り越えてもらいたいものである。

(文=木戸範孝)

<著者プロフィール>
 Webメディアに掲載されるスポーツ関連記事の作成および編集業務を経験。その後はGJにて競馬やパチンコ・パチスロ、スポーツなどを担当している。現在はパチンコ・パチスロ分野に力を入れており、自身が好む爆裂タイプの動向に注目している。業界ニュースも担当。業界関係者への取材を元に、新台関連の記事も多く作成している。

パチンコ新台「ALL1500発×80%ループ」ライトミドル最強マシンで軽く万発を達成!

 レバーの叩き方を忘れかけているほど、ここ最近はパチンコしか打っていないフリーライター・華光パチ助の実戦記録。今回の機種は、つい先日デビューしたニューギンのパチンコ最新作『P真・花の慶次2〜漆黒の衝撃〜EXTRA RUSH』だ。

 現在も稼働している『CR真・花の慶次2 漆黒の衝撃』のライトミドルver.となる本機。まずはゲーム性についてご紹介しよう。

『P真・花の慶次2〜漆黒の衝撃〜EXTRA RUSH』

■大当たり確率:1/199.8→1/100.2
■転落確率 1/100.2
■RUSH突入率:約37%
■RUSH継続率:約81%
■時短回数:10,000回or40回
■C時短確率:特図1→1/4369.06 特図2→1/73.63
■C時短回数:50~200回
※特図1からのC時短突入は時短75回転
■賞球数 1&5&15
■大当たり出玉 約450発 or 約1500発

 大当り確率は1/199.8のライトミドルタイプで、ヘソ大当り時は基本的に時短40回の「RUSH」へ移行し、ここで1/199の大当りを引くことできればALL1500発×80%ループの確変「前田慶次ゾーン」へ突入する。

 この電サポ中の仕様がかなり特殊で、消化中は通常の大当り以外にC時短(突然時短)の抽選も行われており、このC時短で延命しつつ1/199の大当りを目指すゲーム性となっている。C時短は約1/73で発生し、付与される回数は「50回・75回・100回・200回」のいずれか。なお、ヘソでも突然時短の抽選が行われており、その発生率は約1/4369で時短75回が付与される。


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「前田慶次ゾーン」は同社でお馴染みの転落確変システムで、大当り確率・転落確率ともに抽選確率は1/100.2。ここからやや複雑になるが、仮に転落を引いた場合はすぐに時短が発生せず、約1/73のC時短を引くまで10000回の電サポが付与される仕様となっている。

 これらをまとめると、「1/199のヘソ大当り→時短40回のRUSH→この間に大当りを引くか、突然時短を引く→大当りで転落確変の前田慶次ゾーンへ→大当り1500発or転落→転落の場合は時短10000回→約1/73のC時短発生でふたたびRUSH」といった流れだ。


 ご覧の通り、本機はここ最近の機種の中でも極めて複雑なスペックであり、解釈基準の変更により生まれた「C時短」をフル活用したマシンである。パチンコの内部仕様に興味がある筆者の好奇心を刺激する機種だけに、導入初日からさっそく打ってきた。

 演出は前作の『漆黒』を継承しているので、具体的な説明は割愛させていただくが、ボタンバイブ先読みからの当該赤保留変化で、SPロングリーチ「死出の衣」へ発展。ここで期待度の高い赤タイトル&赤カットインが発生し、見事初当りを射止めた。

 ただ、ここでようやくスタートライン、いやまだ土俵にすら上がっていない状況だ。たとえるなら、なかなか実現しない那須川天心VS武尊のようなもの。そんなビッグマッチを叶えるために奔走中のRIZIN・榊原信行CEOと同じような気持ち(?)で時短40回のラッシュに挑み、3回ほど突然時短で延命させつつ、なんとか「前田慶次ゾーン」へ突入させることができた。

 しかし、ここでは大当りを引くことができず、いきなり時短へ転落。ふたたび1/199の大当りを引く修行が始まったが、開始数Gで引き戻しに成功した。2回目の「前田慶次ゾーン」も即転落してしまったが、時短中のヒキがすこぶる好調でまたもや引き戻し!そこから怒涛の連チャンがスタートした。

 早いゲーム数で大当りを重ねていき、その間に約1/100の大当りを2連続で発生=保留連も炸裂するなど、大当り確率約1/100とは思えない連チャンで、最終的に一撃15000発の出玉をゲット。やはり、右打ちALL1500発の破壊力は伊達ではなかった。

 初打ちで大量出玉を経験できた今回の実戦。打ってみた感想は、右打ち中の高速変動かつ即当りの爽快感はとても素晴らしかった。また、時短という名のチャンスゾーンを自身で延命できるという、パチスロに近い要素が備わっている点も好印象だ。

 ハイリターン・ハイリターンのスペックゆえ、ある程度の資金が必要になってくるが、ライトミドルで強烈な刺激を得たいという方にはオススメできるマシンといえる。

(文=華光パチ助)
<著者プロフィール>
「光り」に心を奪われた快楽主義のフリーライター。当初はジャグラー派だったものの、『沖ドキ!』の登場によってハイビスカスにドハマり。今では『ハナハナ』シリーズ含む完全告知台全般を好んでよく打っている。最新パチンコ機種の新台情報、5号機の昔話や実戦記事などをメインに執筆中。

JRA朝日杯FS(G1)ダノンスコーピオン川田将雅の「乗り替わり」は痛恨!? リーディング3位の代打騎手が犯した先週の大失態

 19日、阪神競馬場では、先週の阪神JFに続いて、2歳馬のG1である朝日杯FSが行われる。

『netkeiba.com』の単勝予想オッズによると、1番人気セリフォス、2番人気ジオグリフの2頭が人気を分け合い、少し離された3番人気にダノンスコーピオンとなっている。二桁オッズで4番人気のドゥデュースは、さらに離されており、下馬評では人気上位3頭の三強対決が濃厚だ。

「三強ムード」が漂う今年の朝日杯FSだが、セリフォスとダノンスコーピオンは今回テン乗りの騎手が騎乗する。セリフォスは藤岡佑介騎手からC.デムーロ騎手へ、ダノンスコーピオンは川田将雅騎手から松山弘平騎手へとそれぞれ乗り替わる。

 セリフォスの乗り替わりは、デムーロ騎手が12月に短期免許を取得して偶然朝日杯に騎乗馬がいなかったことが関係している。元々は、朝日杯FSも藤岡佑騎手が同馬へ騎乗予定だったが、馬主サイドの要望で、国内外問わず実績豊富なデムーロ騎手へ変更された。

 対するダノンスコーピオン(牡2歳、栗東・安田隆行厩舎)は、セリフォスとは異なり、やむを得ない事情で乗り替わりとなった。同馬のデビュー2戦で騎乗した主戦の川田将雅騎手は、12日に香港のシャンティイ競馬場で行われた香港国際競走へ参加。その関係で新型コロナウイルス感染拡大防止による隔離対象となったため、隔離期間内に行われる朝日杯FSへの騎乗は叶わなくなった。

 そこで川田騎手の代打として、陣営から白羽の矢が立ったのが、5日のチャンピオンズC(G1)をテーオーケインズで優勝した松山騎手である。

 同騎手は現在JRAの全国騎手リーディング3位のトップジョッキー。2位の川田騎手が不在でも3位の騎手が空いていたのは陣営にとって「不幸中の幸い」だろう。そういった意味では、主戦が不在でも大きな戦力ダウンとはならないかもしれない。

 ただ、松山騎手への乗り替わりを好意的に見ていないファンも一定数いるのも事実だ。一部のファンが松山騎手の代打へ歓迎していないのは、先日の阪神JFにおけるベルクレスタでの騎乗が原因の一つとなってしまったようだ。

 ベルクレスタはアルテミスS(G3)で2着に好走した点や、デビュー戦でセリフォスと互角のレースをしたことなどが評価され、単勝8.3倍の5番人気の支持を得ていた。

 しかし、8枠16番からスタートしたベルクレスタは、道中では終始折り合いを欠いて掛かるシーンが見られた。松山騎手も必死に宥めたが、折り合いがつかないまま、3・4コーナー中間で一気に進出したものの、その影響もあってか直線半ばで脚が止まって6着に敗れた。

 レースを終えた松山騎手は「上手く前に壁を作ることが出来ず、苦しいレースになりました。溜める競馬が出来ていたらもっとやれただけに申し訳ない気持ちです」と、悔しさを露わに。気性に難しさを見せたベルクレスタとはいえ、一方では、松山騎手はデビューから4戦の手綱を任されてきただけに、「なぜ制御出来ないのか」「手が合っていないのか」、中には「他の騎手でも見てみたい」と乗り替わりを望む声も一部で出ていたという。

 川田騎手が騎乗した好位抜け出しのレースぶりから、ダノンスコーピオンについて気性面での不安は少ないが、何が起こるか分からないのが2歳戦だ。キャリア2戦の中身は、デビュー戦が7頭立て、2戦目の萩S(L)が6頭立てと、いずれも少頭数でのレース。今回、フルゲートに近い初めての多頭数のレースでエキサイトする可能性も十分有り得るだろう。

 果たして松山騎手は、ダノンスコーピオンで今度こそファンを納得させられる好騎乗を見せられるだろうか。リーディング3位の腕に期待したい。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……