ファミマ・2022年問題、旧サンクスのオーナー大量離脱の危機、本部への不満充満

「そろそろ、No.1を入れ替えよう。」

 こう銘打った巨大広告が昨年の10月、渋谷駅前に突如現れた。広告主がコンビニエンスストア店舗数で業界2位のファミリーマートだったことから、業界最大手セブン-イレブンに対する挑戦状だとメディアはこぞって取り上げた。

「特定の企業を対象にしたものではありません。消費者から一番おいしいといってもらいたい。ただそれだけなのです」(ファミマ広報担当者)

 ファミマの商品はこれまで大手3社のなかでも「おいしくない」というイメージが付きまとっていたが、これを払しょくするのが大きな狙いだという。ファミマは商品戦略を大きく見直し、昨年10月18日にはプライベートブランド(PB)の刷新を発表した。消費者への認知度が低いといわれてきたお菓子類や日用品が中心の「ファミリーマートコレクション」と、抗議が殺到した総菜類の「お母さん食堂」など複数あったPBを「ファミマル」に一本化。店頭での訴求力を高めていくという。

 なぜここにきて、急に店舗や商品の訴求力強化をアピールするようになったのか。

「昨年から旧サークルKサンクス(CKS)と大規模な契約更新が始まっているからではないでしょうか」

 大手コンビニ幹部はこう語る。そして契約更新のピークの時期が2022年になることから、「ファミリーマート2022年問題」と呼ばれている。

 ファミマがCSKを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)と合併契約を締結したのは2016年2月3日のことだった。当時ファミマの国内の店舗数は1万1930店舗、CKSは6712店舗、合計すると1万8642店舗となる。これは業界では圧倒的な首位を維持し続けてきたセブン-イレブンの国内店舗数1万8572店舗を超え業界トップに躍り出ることになる。

 その後16年9月1日から「One FamilyMart」を目指し、全国36都道府県に展開する「サークルK」「サンクス」のブランド転換を開始した。17年1月4日の「新年のご挨拶」でユニー・ファミリーマートホールディングスの上田準二社長(当時)は次のように語っている。

「昨年9月にユニーグループ・ホールディングスと経営統合し、新会社『ユニー・ファミリーマートホールディングス』として大きな転換を遂げた年でありました。加盟店の皆様や社員、お取引先など新たな仲間を多数迎え、CVSでは国内において約1万8000店規模になるとともに、GMSを含めた国内グループ全体の売上高は4兆円に迫るなど、新たな流通グループとしてスタートを切りました。2017年もユニー・ファミリーマートホールディングスは、『くらし、たのしく、あたらしく』の企業理念のもと、常に新しい価値を創り出し、お客さまに新鮮で楽しさ溢れる毎日のくらしをご提供できるよう、グループ一丸となって取り組んでまいります。CVSにおいては、商品はもちろん、物流・ITなどのシステム統合を早期に完了させ、サークルK・サンクスからファミリーマートへのブランド転換を一気呵成に進めてまいります。そして、全国約1万8000店のスケールメリットを活かし、店舗におけるあらゆる分野での『質』を徹底的に高めてまいります」

 なんとも勇ましいメッセージだ。ちなみに15年10月15日にファミマユニーGHDが共同で発表した「経営統合に向けた基本合意締結について」という資料では、統合後5年以内に国内グループ売上高5兆円以上、連結営業利益1000億円以上、連結純利益600億円以上、そして国内店舗数は2万店以上になると試算していた。

「ファミマの傘下に入って正直、がっかりしました」

 ファミマの平均日販は16年度で52万円、CKSは42万円。ファミマの経営陣は当時、CKSのオーナーたちはこぞってファミマへのブランド転換に協力すると考えていたのだろう。ところが、いざ蓋を開けると実態はまったく違っていた。実はCKSのオーナーたちの間ではファミマ傘下入りに対する不満が鬱積していた。

「ファミマの傘下に入って正直、がっかりしました。両社の企業文化があまりにも違うからです。ファミマとは一緒にやっていけないというオーナーは少なくなかったと思います」(元CKSオーナー)

 CKSのオーナーはかなりの裁量権が認められ、本部の商品以外の商品の販売も許されていたという。

「その立地立地で必要な商品というのがあるんですよ。そんなものすべてを本部がカバーしているわけはない。だから必要なものを本部には報告して独自で調達していたのです。これが大きな収益源の一つになっていたのですが、ファミマにグループ入りすると、これを認めてはくれない。だから自分の裁量で仕事をしてきたCKSのオーナーにとっては、すごく仕事がやりづらくなったのです」(元CKSオーナー)

収入が大幅に減るオーナーが続出

 それだけではない。CKSの平均日販はファミマよりも低いが、本部は複数店舗の運営を奨励していた。それでオーナーは一定の収益を上げることができるようになっていた。さらに3店舗ごとに100万円の補助金を出し、不採算店を抱えているオーナーでも採算をとることができた。ところがファミマの傘下に入ると補助金がなくなってしまったという。

 それまで「一オーナー一店舗主義(エリアフランチャイズを除く)」を貫いてきたファミマには、複数店を経営するオーナーをサポートする仕組みがなかったからだ。ファミマの加盟料は400万円(これは建値で実際には300万円程度だという話もある)でロイヤリティは48%(営業総利益が月300万円以下の場合)であるのに対して、CKSの加盟料は250万円でロイヤリティは37%(営業総利益が月240万円以下の場合)。ブランド転換する場合にはいったんCKSの加盟料などを清算し、改めてファミマに加盟料などを支払う手続きとなっていた。

 ファミマは「ブランド転換した店舗では、店舗の一日あたりの売上が平均で10%以上伸長しております」(ファミマのニュースリリースより)と説明していたが、本部に支払うロイヤリティはファミマのほうが高いため、収入が大幅に減るオーナーが続出した。

 そのため契約更新が始まると、契約を終了してしまうオーナーたちが後を絶たなかったという。17年度には664店舗、18年度には393店舗、計1057の店舗が単純閉店している。。ファミマは不採算店を整理したと説明しているが、このなかには契約更新をしなかったオーナーたちもかなり含まれているといわれている。

 それでも16年度には829店舗、17年度には2720店舗、18年度には1025店舗、計4575店舗がブランド転換した。大多数のオーナーたちが契約更新に応じたのは契約の中途解約の問題があったからだという。

「CKSはもともと15年が基本で、その後10年単位で契約の更新が行われていました。ファミマとの契約更新の時期に契約が終了していれば問題はないのですが、契約が残っていれば莫大な違約金が発生する。しかも店のオーナーを辞めた後にやれる仕事は限られている。だから渋々契約を結んだ人は少なくなかったのではないでしょうか」(同)

問題はシステムと商品

 しかし、ブランド転換したオーナーの間では不平不満はさらに拡大したという。

「なかでも大きな問題となっていたのがシステムと商品なんです。ファミマのシステムはCKSに比べて10年は遅れていた。発注は売り場で登録し、棚順でないと発注できない。だからファミマに転換したオーナーからは、それまで1時間で済んだ仕事が2時間かかってしまう、といった不満を漏らしていました」(同)

 CKSの前身、サンクスはシステム投資には積極的で、一時はセブン-イレブンの日販を抜いたこともあった。そうしたシステムがサークルKとの経営統合後にも引き継がれ、CKSのシステムは業界の中でも進んでいるといわれていたのである。

「ファミマにブランド転換したオーナーは、なぜわざわざお金をかけて遅れたシステムを導入しなければならないのかという疑問を持ち続けていたと思います」(同)

 さらにもう一つ大きな問題が商品の問題だった。ファミマの弁当はあまり評判がよくなかったのである。

「CKSの弁当はご飯の上にドーンとおかずが乗っているようなものが多いので、見た目はよくなかったのですが、味には定評がありました。一方でファミマの弁当はお世辞にもうまいとはいえない。統合後にはCKSでもファミマの商品を売るようになり、恵方巻の予約を必死になってとったことがあったのですが、あとからお客さんから『今年はなんだか味が落ちたね』というお叱りを受けました」(同)

 しかし、そうした旧CKSのオーナーたちの大量契約更新は21年から再び始まり、22年にはその山場を迎えようとしている。ファミマはこの5年間の間にどう変わったのか。旧CKSのオーナーたちはどう考えているのか、次回レポートする。

(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

●松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、サンケイビジネスアイ、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には「ロッテを創った男 重光武雄論」(ダイヤモンド社)、「堤清二と昭和の大物」(光文社)、「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。

 

SMBC日興証券相場操縦疑惑はどこが問題なのか? 元社員がその「落とし穴」を解説

 2021年11月2日、SMBC日興証券は、同社社員が株価操縦疑惑により証券取引等監視委員会の調査を受けたと発表し、大きなニュースとなった。

 これを受け、近藤雄一郎社長は2022年1月4日、日本証券業協会が主催した年頭のオンライン会見で「証券取引等監視委員会の調査は継続中であり、しっかりと社内調査を行い、信頼回復に努めたい」と述べている。

 現時点において詳細は明らかになっていないが、「ブロックオファー」という取引が調査対象とされている。一部では、本件は証券取引等監視委員会のメイントピックとも言われており、今後さらに大きなニュースとして登場する可能性が高い。元SMBC日興証券の社員として、本件の問題点や、概要をわかりやすく解説していきたい。

ブロックオファーとは「非公表の大口の売出し」


 ブロックオファーとは「世間一般に公表されない、株式の大口の売出し」をいい、各証券会社において日常的に行われる合法的な取引である。具体的にいえば、上場企業の大株主等が保有株式を売却しようとした場合、その売却注文を一度に市場へ流すと株価が大きく値崩れを起こしてしまう。また、日にちをおいて売却したとしても、相応の買い注文がなければ株価を切り下げながら売却しなければならない。

 そうした事態に対処すべく、証券会社が大株主の売却予定の株式を引き取り、時間外の相対取引を通じて特定の投資家(今回であれば日興証券に口座のある顧客)に転売する間を取り持つ。この一連の取引をブロックオファーと呼ぶのだ。

 基本的には、証券会社の買取額と投資家への売却額は、大株主が設定した日の終値を基準に算定される。大株主はブロックオファー取引により、株価への影響を最小限に抑えられる利点を用いて、当日終値から手数料を差し引いた額を現金化することができること、一般投資家は買付手数料がかからず、当日終値から0.5%程度のディスカウント価格で当該銘柄を買付できることがメリットとなる。その二者を繋げることによる手数料が、証券会社の儲けである。

 私は2021年3月に日興証券を退職したため、現在とは多少システムが異なっている可能性はあるが、元社員として内側からの視点でもお話ししていきたい。

 当時、ブロックオファーは月に2~3銘柄ほどあり、当日の15時半ごろになると銘柄、金額、ディスカウント率(基本的には0.5%)等の詳細な情報が全国の営業店にメールで一斉にローンチされ、そこから営業マンにより、担当顧客へ買付の提案が行われていた。金額の大小にかかわらず、当日中に与えられた株数を約定しなければならないため、支店中がお客様への勧誘の電話であふれていた。

 突然、当日にブロックオファーの実施を伝えられても、何十億もの株式をさばくことができない可能性があるため、社内のパソコンにはブロックオファーカレンダーがあり、銘柄は伏せられた状態で日時と予定金額が記載されていた。それにより営業マンは事前準備が可能になり、100億以上のブロックオファーであっても当日中に買い手をつけることができていた(本社も本店を含む営業店も、銘柄名は当日のメールにより初めて知る)。

 この株式を買付した顧客は翌日から売却が可能であり、翌日上昇した場合はもちろんのこと、終値と同値での寄り付きであってもディスカウント分が利益となる。そのため、営業マンは翌日の寄り付きで利益が確保できる水準になっていれば、顧客に早期の売却提案をすることが多くなる。結果、ブロックオファー銘柄は翌日以降、こうした顧客の買付金額分が売り圧力に晒されることが多い。ブロックオファーによる買付は公募増資と異なり、世間一般には公表されていないため、ある日突然、寄り付きに売り圧力が強くなった銘柄は、前日にどこかの大手証券によるブロックオファーがあった可能性も考えられる。

 私が在籍していた際の日興証券によるブロックオファー銘柄は成績が良く、買付した顧客が儲かったことのほうが多かった印象が強い。一部の記事では、ブロックオファーという取引が問題視され、悪く書かれているものもあるが、大株主、証券会社、一般投資家のそれぞれにメリットがある点では、決して悪いものではないと考える。

今回の問題点「売却する大株主側の利益のみを保護する行為」


 現段階では、詳細について明らかになっていないため、あくまで推測という形になるが、今回の問題について考察していきたい。

 まず先述の通り、売買価格は大株主が設定した日の終値を基準に算定される。この金額が、大株主が取引を持ち掛けた時点の株価に比べて大幅に下落していた場合、大株主が売却することに難色を示し、売買が成立しなくなる可能性が生じてしまう。そうしたことでの破談を回避するため、証券会社社員らは売却時点の株価を維持すべく、買い支える注文を繰り返していたのではないかという疑いが生じているわけだ。

 また、ニュース等では株価の買い支えは株価操縦で問題だという雰囲気になっているが、内容を深掘りしてみると、本件は相場操縦ではなく、安定操作取引違反に該当するのではないかと思われる。

 相場操縦とは取引を誘引する目的で、「有価証券売買等が繁盛であると誤解させ、(略)相場を変動させるべき一連の有価証券売買等又はその申込み、委託等若しくは受託等をすること」(金融商品取引法第159条第2項より)。

 安定操作取引とは、金融商品取引法(第159条第3項)上、有価証券の「相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもって」する一連の有価証券売買等とされており、法令を遵守し申告されたものを除き、相場操縦行為の一類型として禁止されている。

 本件はどちらかというと大株主との取引が消滅してしまうことを防ぐために、「相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもって」売却時点の株価を意図的に維持しようと、市場での取引を繰り返し、株価の買い支えを図ったものとなるのではないだろうか。

 この安定操作取引は、株価操縦であり市場の公平性を大きく歪めるため、許されるものではないという論調を多く目にするが、実はPO(公募増資等)やIPO(新規上場株)においては、主幹事証券等が買い支えることがあることも周知の事実である。

 私は、法律に詳しいわけではないため、法解釈についてはさまざまな議論がありそれらも確認してほしい。ただ、一般論として、株式の募集・売り出しを行うにあたり、株価の急激な変動を回避することや、募集行為を円滑に行うために安定操作取引が必要である場合、そしてそこに合理性が認められ、かつ届出・報告等の所定の手続によって行われる場合には適法とされていると考えるべきだろう。

 これはあくまでも個人的な考えであるが、POやIPOを株価の急激な変動をから守るための安定操作は多くの一般投資家にとってメリットのあることであり、SESC(証券取引等監視委員会)も強く規制に走らない。だが、ブロックオファーでの取引を安定操作することは、売却予定の大株主のみ保護するものであり、多くの一般投資家にとって不利になる可能性があることから、今回当局のメスが入ったのではないかと考えられる。

 今後、事件の全貌解明や関与した社員や会社がどのような処分を受けるのかについては、まだまだ時間を要するのではないかと思われるが、新たな用語や事実が出てくることも予想される。その際には、あらためてわかりやすく解説していきたい。(文=中沢隆太)

●中沢隆太(なかざわ・りゅうた)
投資家のための情報プラットフォーム「ネコパートナーズ」専属アナリスト。SMBC日興証券リテール部門同期600人のトップを独走ののち、現職。
中沢氏のレポートも読める「猫組長TIMES」の購読はこちらから→https://neko.theletter.jp/

家賃が月6000円下がった!一度は断られた値下げ交渉、大逆転までの実録

「不動産情報サイトに、うちより家賃が6000円も安く出ていたんです」

 そう話すのは、関西地方に住むKさん(30代女性・仮名)。その募集が、いま住んでいるマンションの同じ階の別部屋とくれば、もう黙ってはいられない。

「スマートフォンの機種変更感覚で、家賃値下げ交渉をしてみたんです」と言うが、そう簡単に問屋がおろさなかった。ガチガチに理論武装して、地元の簡易裁判所に調停の申立てまで行ったところ、意外な結末が待ち受けていたのだった。

 引っ越しシーズンに突入しつつあるが、このタイミングで契約更新するかどうか迷って入る人のために、今回は家賃値下げ交渉の舞台裏を紹介しよう。

「現在、12年間お世話になったマンションに6度目の更新のタイミングで家賃交渉をしています。理由は現在支払っている家賃より不動産情報サイトで募集している同一マンションの同一階で、同じ間取・面積の部屋が6000円も安く出ていたからです」

 Kさんから、そんな書き出しで始まるメールをもらったのは、昨年2月下旬のこと。コロナ禍で引っ越し需要が減退するなか、家賃を下げる絶好のチャンスといえる時期。

 拙著『家賃は今すぐ下げられる!』(三五館シンシャ)を参考にして交渉に臨んだとのことだったが、なぜかその文面からは、交渉を始めたことを後悔するかのような不安が綴られていたのだった。

家賃4万5000円、同一の部屋が3万9000円で入居者募集

 まず、Kさんのケースの基本情報を整理しておこう。

 彼女が住んでいるのは、地上5階建、総戸数40戸のマンション。築年数は16年というから、まだ老朽化や耐震性の不安はない。その中層階に広さ約30平米の1DKを家賃4万5000円で借りているそうだが、家賃とは別に共益費が5000円かかるため、支払額は月5万円となる。

 交渉時の居住年数は12年で、過去5回契約を更新。とすれば、入居した当時は、築浅物件としては安い家賃だったかもしれないが、いまもそれが変わらないとは言い切れない。むしろ、近くに駅やショッピングセンターができるなどの利便性が向上する特別な出来事がなければ、築4年から築16年になった分だけ価値は下がっていると考えるべきだろう。

 Kさんの場合、近隣にショッピングセンターできるどころか、数年前まであったそれが撤退したばかりというから、価値の下落は加速している。

 そこで、Kさんが近隣マンションの家賃相場を調べてみたところ、同じマンションの空き部屋の募集が3万9000円と6000円も安く出ていたのを発見。それが同じフロアだったのだ。マンション全体でみると、40部屋中8部屋と2割が空室になっており、その状態がここ数カ月続いていたため、近隣相場と比べて家賃は明らかに高くなっているとの結論に達した。

 こうした情報を基にKさんが、管理会社に家賃を下げをしてほしいと最初のメールを出したのが家賃交渉・第一ラウンド開始の合図だった。

「入居者専用アプリで管理会社の担当者に減額のお願いをしましたところ、そのメールが受信されて20分足らずで『ご希望には沿いかねます』と返信がありました」とKさん。引き合いに出していたほかの部屋については、「その金額は現在空室の募集家賃ですので、相場家賃とは異なりますので何卒ご了承ください」と、テンプレートのような文面だったという。

 普通なら、「とりあえずダメモトで言ってはみたけれど、やっぱりダメかぁ」と、がっかりするところ。だが、最初から調停も視野に入れていたKさんは、すぐに次の手を繰り出した。

 今度は「家賃の減額交渉に応じてもらえないのなら、簡易裁判所に調停の手続きをとる」ことを明記したメールを送ったのだ。すると翌日、担当者からこんな返信がきたという。

「減額はできかねますが、一度オーナー様にご相談してみます」

 Kさんはこのとき「前回は大家さんに家賃減額の話をしていなかったのか」と強い不信感を抱いたという。つまり、担当窓口で門前払いされていただけで、話は大家さんまで伝わってなかったのだ。二度めのメールでは返信期日を2週間後に設定しており、もしそれまでに善処してもらえなかったら、調停に手続きに入ることまで明記していたという。

 そして返信期日当日、Kさんが管理会社とやりとりする専用アプリを開いたところ、こんな返信がきていた。

「オーナー様に2000円の減額で承認いただきました」

裁判所に調停を申し立てる

 とりあえず交渉して先方の譲歩を引き出せたのは収穫だったが、Kさんとしては6000円の減額を要求しており、現に同じフロアの物件がその家賃で募集している以上、2000円減額くらいで納得いくわけがない。

 同じフロアの6000円安い部屋は4カ月前から募集が出ていて、繁忙期にさしかかっても決まっていないことから、激安などではなく、それがいまの相場であるという確信を得たという。そこで、すぐに「その金額では合意できないので、これから調停手続きに入ります」との最後通牒を突きつけるメールを送った。

「調停」とは、当事者間で紛争を解決できないときに裁判所に申立てを行って解決する、もっとも簡便な法的手段。減額してほしい家賃額とその理由などを、決まった書式に書いて簡易裁判所に提出すれば、誰でも利用できる。かかる費用は印紙代の数千円だけだ。

 申立てをすれば、民間から選任された調停委員が当事者双方の意見を聞いて解決案を提示してくれる。法的拘束力はないものの、裁判所の法的な手続きであることに変わりなく、それだけで相手方にプレッシャーを与えることができるのがメリットだ。

 ちなみに、このとき、契約満了日が迫っていたため、事前に求められていた更新に同意する文書については、調停後に提出するつもりであることも明記。更新同意書を提出してしまうと調停結果に影響が出る可能性があるかもしれないという、裁判所で聞いた見解を沿えることも忘れなかった。

 調停申立てを通告して交渉決裂が確定した直後、不動産情報サイトを見てみると、Kさんの住んでいるマンションの募集に以下のような変化がみられたという。

・直前までは、40部屋中8部屋だった空室表示が4部屋に半減

・郵便ポストを確認する限り、空室は8部屋のまま

・6000円安かった部屋は、いつのまにか削除されていた

・ひとつ上の階で、数日前に3万9000円で募集されていた部屋は4万3000円になっていた。

 確証はないものの、いずれもKさんの家賃減額交渉の対応のためである可能性は高い。とりわけ、3万9000円で募集していた部屋が、Kさん宅の4万5000円より2000円安い4万3000円になっていたのは、ちょうどKさんに「オーナー様に2000円の減額で承認いただきました」と、管理会社が回答した時期と符合する。

 つまり、店子が黙っている限り家賃は下がらないが、新規募集では近隣相場の変化に柔軟に対応した家賃で募集していることがよくわかる。

調停申立てのあとは疑心暗鬼に

 調停までのプロセスだけをみると、なんの問題もなく淡々と進んだようにも思えるが、Kさん本人の心境は、何か事があるたびに、疑心暗鬼に陥ったり不安にかられたりの連続だったという。Kさんは調停申立て後、職場に管理会社から連絡が来るのではないのかとビクビクしていた。

「調停の申立書に、給与の家賃補助が減額されたことを理由に書いたため、入居申込書に記入した職場にも連絡があるのではないかと思いました」

 もちろん、先方がそこまでするはずがなく杞憂に終わったのだが、何より調停の相手方が大家さんではなく、管理会社だったことに驚いたという。

「調停は大家さんが相手になるとばかり思っていました。大家さんはマンションの最上階に住まわれており、ロビー等ですれ違った際は優しく挨拶してくださるので、調停に出頭していただくのは申し訳ないと感じていました。ところが、裁判所へ調停の書類を持参した際に、契約書の貸主が管理会社になっていることが判明し、ここで初めて相手方が大手サブリース会社だと知りました」

 サブリースとは、賃貸マンションやアパートを一棟まるごと借り上げて、オーナーに代わって賃貸経営を行う契約のこと。この契約スタイルで事業展開するのは、地主相手に賃貸物件の建築から手掛け、入居者とのやりとりもすべて担当する不動産業界の総合サービス企業である。

 そんな大きな組織を相手に交渉するとなると、本当に希望通りになるのか不安に思うのも無理はない。Kさんは、不動産鑑定士による詳細な鑑定結果を出されたり、顧問弁護士が法的な反論をしてくる可能性も考えた。また、郵便ポストにめったに入ることのない分譲マンションのチラシが入っていれば、不動産サイトのブラックリストに乗ってしまったのではないか、おかしな主張をしてくるクレーマー扱いされているのではないのかと、疑心暗鬼に陥ったりもしたという。

「狭い田舎なので、調停委員が知り合い、顔見知りの可能性も大いにあり、またオーナー様も地元で顔がとても広い方のようで、いつか仕事で関わる可能性がなきにしもあらず。そのため不安が募ります」

 こういった地方ならではの事情もあり、初回の調停日が近づくにつれて不安は増幅する一方。もちろん、現実には家賃減額の調停の申立てをしたくらいで、何か不利益を被るなんてことはありえない。相手方の担当者は単なる一サラリーマンであって、多数抱えている物件の対処事案にすぎない。

 万が一、調停不成立となったとしても、家賃が安くならないだけで、店子が損するリスクはゼロである。

満額回答のメール、調停取り下げの依頼

 結末は突然、やってきた。数日後に迫った初回の調停日に向けて、当日口頭で主張する練習に日々励んでいたKさんのもとに、以下のようなメールが送られてきたのである。

「先日、調停の申立書が弊社に届きました。改めてオーナー様と協議を行いましたところ、家賃は原稿の4万5000円から6000円減額した3万9000円にて了承いただきました。つきましては、3万9000円にて契約を更新させていただければと思っておりますが、いかがでしょうか。もし、この条件でご承認いただけるようでしたら、調停につきましても、お取り下げを検討いただけますと幸いです」

 前回、相手方は2000円減額と言っていたのが、Kさんの希望する6000円をそのまま飲む“満額回答”。しかも、不安に感じていた調停に一度も出席することなく、その結果が得られたのだから、気分的にもずいぶん楽になったはず。

 ただし、共益費5000円については、当初から減額交渉に含めてていなかったため、総額でみるとまだ高いという印象は残っていた。そのため、再度、管理会社にその旨連絡すると、さすがに共益費は減額対象にはならないとテンプレ回答がきたという。

 Kさんが裁判所に問い合わせると、たとえ希望通りの家賃となってたとしても、調停開催は可能とのこと。しかし、相手方が家賃減額で満額回答したことから、調停の場ででそれ以上の結果を引き出すのは困難と判断して、これにて一件落着。調停は取り下げて、目前に満了が迫っていた契約は更新することにした。

 心理的な負担は小さくなかったものの、Kさんからの報告メールの文面からは、希望通りの家賃にできた満足感が滲んでいた。

 Kさんの勝因は、いま借りている部屋にできるだけ近い条件での、詳細な募集データを徹底的に調べあげたこと、そして何より、最初から調停という法的手続きも視野に入れていた粘り強い交渉術にある。

 それによって彼女が得たのは、月6000円、年間7万2000円、2年でトータル14万4000円。その分、オーナーや管理会社が丸損をしたかというと、そうとも言えない。もしKさんがめんどうな交渉などせず、とっとと安い物件に引っ越していたなら、以後何カ月も空室となって家賃減額以上の減収となっていた可能性が高いのだから。

 家賃減額交渉は、店子と大家がお互いに損をしないための“大人の知恵”といえるかもしれない。

(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

加湿器が肺炎を招くことも…カビを含んだ水分が部屋中に拡散→カビが肺に到達

 コロナ禍の中で迎えた2回目の冬、インフルエンザとのダブル感染も危惧され、誰もが感染対策に余念がない。インフルエンザの感染予防には「湿度50~60%が良い」といわれることもあり、近年、加湿器を使用する人が増えている。しかし、加湿器の使用法を誤ると「加湿器肺炎」を招き、健康を害する恐れがある。

 加湿器肺炎とは、加湿器に発生したカビが原因で起きる肺炎をいう。本来は、定期的に掃除をして使用すべき加湿器だが、手入れをせずに水を足して使用を続けると、雑菌やカビが繁殖する。そして、繁殖したカビを含んだ水分が部屋中に拡散されてしまい、呼吸によって肺にカビが到達すると肺は過敏性の炎症を起こし、さらに悪化すると肺炎を引き起こす。発熱や咳、息苦しさ、倦怠感などの症状が現れるが、すぐに肺炎と気づかないケースも少なくない。

 一般的な細菌性の肺炎では、抗生物質での治療が効果を示すが、加湿器肺炎には抗生物質の効果は薄い。加湿器肺炎であることに気づかず治療が遅れてしまうと、肺が繊維化し元に戻らない不可逆的な変化が起き、日常的に咳や息苦しさなどが続くこともある。

 加湿器肺炎に罹患して肺の炎症が進み、酸素飽和度(血液中の酸素量の指標となる値)が低い場合には入院治療を行い、重症になると酸素吸入や人工呼吸器による治療が必要となる。薬物治療では、症状に応じてステロイドを使用することもある。

 近年、我々の生活に加湿器は必需品であり、デザインや機能もさまざまだが、大きく以下のタイプに分けることができる。

•スチーム式:加熱により蒸気を起こす

•気化式:水を浸透させたフィルターにファンで風を送り気化させる

•超音波式:超音波の振動によって水をミスト状に放出する

•ハイブリッド式:気化式とスチーム式を組み合わせ、熱を利用し加湿する

 スチーム式とハイブリット式は加熱するため比較的、カビや雑菌が繁殖しにくい傾向にある。一方、気化式と超音波式は雑菌が繁殖しやすく、手入れを怠ると加湿器肺炎の原因となりやすい。

 加湿器を使用する際は、取扱説明書にある手入れの方法に従い、定期的な掃除を行ってほしい。また、加湿器のタンクに入れる水は水道水を使用し、毎日入れ替えることも重要である。その際には、タンク内に残った水は捨て、新たに水道水を入れて振り洗いすると汚れの防止となる。

 ウイルス感染を予防し、喉や肌の潤いを守るための加湿器で健康を害することがないように加湿器は正しく使用してほしい。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

歴史学者が語る“眞子さん騒動”と皇族の国際結婚…ドイツ人女性と婚約した北白川宮能久

 北白川宮能久親王(きたしらかわのみや・よしひさしんのう)の生涯は異色だった。

 能久は、明治天皇6女の昌子内親王(常宮/つねのみや)と結婚した竹田宮恒久王(たけだのみや・つねひさおう)と、7女の房子内親王(周宮/かねのみや)と結婚した北白川宮成久王(なるひさおう)の実父である。輪王寺宮公現(りんのうじのみや・こうげん)と呼ばれていた幕末に幕府側に担がれて、会津若松に逃れ、官軍に対抗する奥羽越列藩同盟の盟主にされた。この盟主就任にあたり、1868(慶応4)年6月16日を大政元年と改元し、公現を「東武(とうぶ)天皇」とする案もあったという。公現自身、自分を「今上の叔父」(公現は120代仁孝天皇の猶子(ゆうし/養子)なので、明治天皇の叔父にあたる)と、天皇たる正統性を各国公使に伝えてもいた。

 しかし1868(明治元)年、旧幕府勢力は官軍に敗北し、公現は京都の伏見宮本家に「御預」(おあずけ)となり、仁孝天皇猶子の身分や、輪王寺宮などの宮号を剥奪され、翌1869年に伏見宮に復して能久王(親王ではない)となった。その後、プロシアへの留学を命ぜられ、年金5000円を授かった。はじめワシントンで米国大統領グラントと会い、ベルリンに向かった。この間、1872年に北白川宮を継いでいた弟の智成(さとなり)が夭逝し、兄である能久が北白川宮家を継いだ。1874年にはドイツ皇帝、皇后、皇太子に謁見するなど、ドイツの皇族・貴族や各国王家との交際を深め、日本政府へ年金の増額を求めた。しかし、政府が年内帰国を促したので、能久は自費による留学延長を請願した。が、これも拒否され、いったん帰国するよう命ぜられた。

北白川宮能久王はドイツ貴族の娘と婚約し、その勅許を明治天皇に求めた

 実はこの間、能久は、ドイツ貴族であるブレドウ・ヴァーゲニッツ男爵の娘で、テッタウ男爵の寡婦であったベルタ・フォン・テッタウと婚約し、その勅許を明治天皇に求めていた。

明治天皇紀』によれば、能久は徳大寺実則(とくだいじ・さねつね)宮内卿に勅許依頼の手紙を送り、さらに岩倉具視(いわくら・ともみ)右大臣宛の手紙でも勅許斡旋を頼み、学業中途で帰国するといままでの勉学が水泡に帰すので、あと2~3年留学したい、欧州では「文明の源流は婦人に発す」といわれるので、ドイツ貴族の娘と結婚して「皇家を助け国家に尽さん」と記した。能久は、かつてプロシアに留学し外交官となった青木周蔵駐在公使と、ドイツ貴族フォン・ラーデの長女のエリザベートとの結婚を前例に挙げて懇願した。

 能久の手紙を読んだ徳大寺、岩倉、および三条実美(さんじょう・さねとみ)太政大臣は驚愕し、徳大寺は宮内省出仕の木戸孝允(きど・たかよし)に相談した。木戸は、「皇室の尊厳」に関することであり、その影響が人びとに及ぼすところは大きいと猛反対した。三条も木戸に同意し、天皇の裁断を仰ぎ、「皇族の外国人と婚嫁するを得るの規定なし」「突然申請せらるるは軽率」「決して勅許あらせられず」と強く反対し、すぐに帰国せよと能久に打電した。

 結局1877年7月に能久は帰国するが、ベルリンを発つ前にベルタとの婚約をドイツの新聞などに発表し、イギリスの「タイムズ」紙にも掲載された。岩倉はこの事態を問題視し、能久に婚約破棄と謹慎を求めた。のち1878年に能久は陸軍将校として陸軍戸山学校に入り、仁孝天皇猶子に復帰し、王から親王に復した。そして山内豊信(やまうち・とよしげ/山内容堂)長女の光子と結婚し、1882年に側室申橋幸子との間に長男の恒久王が生まれた。

 1885年に側室岩浪稲子との間に次男の延久王(のぶひさおう)が生まれるも翌年に夭折。この間、光子妃と離婚し、島津久光養女富子と再婚、1887年に3男の成久王(なるひさおう)をもうけた。その後も能久は複数の側室との間に多くの子女をもうけ、能久亡き後に認知され伯爵となった男子もいた。二荒芳之(ふたら・よしゆき)と上野正雄である。もしベルタとの間に子女がいたとしたら、北白川宮の長男あるいは長女として、どのような生涯をたどったのだろうか。

ハワイ・カラカウア王はカイウラニ王女と山階宮定麿王との結婚を提案した

 ちなみに、「外国人との婚嫁」を禁ずる規定はないが、許可する規定もないというのが、岩倉らの反対理由だった。能久は青木周蔵の国際結婚が許されたことを論拠にしたのだが、皇族と外交官の違いがあり、青木は外務省の許可を得ていた。

 すでに1873(明治6)年3月14日に外国人との国際結婚が許可されており、この日はいまでも国際結婚の日とされる。1872年に英国で行われた長州藩のイギリス留学生南貞助(みなみ・ていすけ)とイギリス人女性ライザ・ピットマンとの結婚が、この日、太政官に許可されたのである。これより先、1869年に尾崎三良(おざき・さぶろう)がイギリスで、イギリス人と法的に婚姻しているが、日本での届け出は1880年となった。

 驚くことに、能久のプロイセン留学に随行した松野礀(まつの・はざま/のち林学者、農商務省官吏)は、ドイツ夫人のクララ・チーテルマンと出会っていた。そして、クララは1876年に来日して松野と結婚し、翌年に娘の文をもうけた。日本人男性とドイツ人女性の国際結婚第1号である。クララはフレーベル理論を学んでおり、東京女子師範学校附属幼稚園の保母となり、日本の近代幼児教育に大いに貢献した。華族女学校でピアノも教えている。

 能久の随行員には、ほかにも井上省三(元奇兵隊長)などがおり、井上はベルリンで毛織技術を習得し、帰国後再度渡欧し、1878年にシレジア州ザーガン(現在のポーランド・ジャガン)の染色職人の娘と結婚して帰国し、千住製絨所所長となった。

 当時の国際結婚の事例は数多く、三宮義胤(さんのみや・よしたね)は幕末に尊皇攘夷派の志士として岩倉具視と交流を持ち、彰仁親王(あきひとしんのう)の英国留学に随行し、のちに宮内省式部長になる。三宮の妻はイギリスの生地商ウィリアム・レイノアの娘アレーシアで、来日して皇族妃や華族夫人の洋装や社交上の慣習を助言したりした。日本名を八重野と称し、梨本宮守正王妃(なしもとのみや・もりまさおうひ)伊都子(いつこ)の日記にしばしば登場する。ラフカディオ・ハーンやジョサイア・コンドルのように日本人を妻にした外国人もいた。近代日本では国際結婚は禁じられていなかったのである。

 しかし、皇族と外国人との結婚は許されなかった。1881(明治14)年3月、ハワイのカラカウア王が外交改善などのために海外を歴訪し、日本で明治天皇と会見した。この時、カラカウア王は姪のカイウラニ王女と山階宮定麿王(やましなのみや・さだまろおう/伏見宮邦家の17男で、能久の弟。のち東伏見宮依仁親王[よりひと])との結婚を提案したが、明治天皇は「外国皇室と婚嫁を通ずる事」は「塁を将来に及ぼす」という理由で、これを断った。その後、カラカウア王は亡くなり、カイウラニ王女は王位継承者第1位となったが、1893年にハワイ王国はクーデタで滅亡した。定麿がカイウラニ王女と結婚していれば、あるいはハワイ王になったかもしれないが、滅亡する王国を前に明治天皇は悩みを深めただろう。

当時の浩宮がもしブルック・シールズと結婚していたら、歴史はどうなったろうか?

 時代は大きく下がるが、まだ皇孫であった25歳の浩宮(ひろのみや/のちの令和の天皇)はイギリスのマートン・カレッジでの留学を終え、1985(昭和60)年10月10日、アメリカに向かった。3週間で全米16カ所を回る旅だった。最初にホワイトハウスのレーガン大統領を表敬訪問した。その後、東部アイビーリーグの名門プリンストン大学を訪れ、法学部教授のジョージ教授夫妻らと昼食をとった。この時、同行の記者の間で、次のような会話が交わされた。

「そういえば、このキャンパスには宮さん(浩宮)がマートン・カレッジの寮にポスターを貼っていた、あのブルック・シールズが学んでいるんですよね」
「そうそう。宮さんは、結構、美人好きなんだよね」
 「折角、プリンストン大学に来ているのだから、二人がここで会えば、いい話題なんだけど」
「うーん。それはないでしょ」
「やっぱり、ないですかね」

 ところが、あった。浩宮は昼食の終りごろ中座して、別室に待機していたブルック・シールズに会いに行ったのだ。ジョージ教授のはからいという。同行の者ばかりでなく、浩宮にもサプライズだったらしい。シールズは、『青い珊瑚礁』(1980年)などで知られる美人ハリウッド女優であった。浩宮とは10分ほど会話した。シールズは「外に出ればカメラを向けられ、サインを求められる毎日です」と、有名人ゆえの悩みを語り、浩宮も「僕もそれはよくわかります」と即答した。会話を終えて、浩宮は記者たちに「綺麗で聡明でした。彼女とは住所を交換しました」と、浩宮は数年来の恋人に会えたかのように嬉しそうな表情で答えたという(根岸豊明『新天皇 若き日の肖像』新潮文庫)。

 モナコ公妃となったグレース・ケリーのように、アメリカの美人女優が外国の王妃になった例はある。とはいえ、浩宮がシールズと結婚する可能性は誰も考えなかったろう。たんなるファンと女優の関係としかみないだろう。

 戦後の皇室典範では、第10条に「立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する」とあり、将来皇后になる女性の可否は皇室会議に委ねられている。おそらくは誰もがアメリカ人女優との結婚が容認されるとは思っていないだろう。ただ、国際結婚は不可という条文はどこにもない。条文にはないが、社会通念として一般常識として考えられないという内面の縛りがある。

 もし浩宮がこの内面の縛りをひきちぎり、シールズに走ったら世論はどうなったろうか。もっとも、浩宮の将来の天皇としての分別が、そうした無謀な選択をはじめから避けさせていたであろうし、あこがれの美人女優の一ファンとして、2人で会える時間を持てたという、皇族の特権を喜びとして満足したであろうから、そうした仮説には意味はない。

 とはいえ、浩宮とシールズの対面から37年、社会の価値観もずいぶん変わった。眞子さんの一連の騒動は、条文に規定がないことを理由に、外国人との結婚に走る皇族も、近い将来、出てくる可能性を匂わせてもいる。

(文=小田部雄次/歴史学者)

●小田部雄次(おたべ・ゆうじ)
1952年生まれの歴史学者で、静岡福祉大学名誉教授。専門は日本近現代史。皇室史、華族史などに詳しく、著書に『皇族―天皇家の近現代史』(中公新書)、『肖像で見る歴代天皇125代』(角川新書)、『百年前のパンデミックと皇室』(敬文舎)などがある。

広瀬アリス・松村北斗『恋マジ』で濃厚ラブシーン?大倉忠義&松村ファンから複雑反応

 フジテレビ系「月10」枠にて4月から始まる連続テレビドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(以下、『恋マジ』)で、広瀬アリスがプライム帯(夜7~11時)の連ドラ初主演を務めることが発表された。

 広瀬は、恋愛経験ゼロで「恋なんて、人生のムダ!」と豪語する主人公・桜沢純を演じ、そんな純の前に現れる“刹那恋愛主義男子”の長峰柊磨役をSixTONES・松村北斗が演じる。広瀬と松村は、2012年7月期の連ドラ『黒の女教師』(TBS系)で共演しており、『恋マジ』で約9年ぶりの再共演を果たす。

 主演の広瀬は、毎クールのようにドラマに出演している人気女優。フジでは、19年4月期と昨年10月期に放送された連ドラ『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』シリーズや、昨年1月期の連ドラ『知ってるワイフ』などに出演。なお、『知ってるワイフ』では関ジャニ∞の大倉忠義が演じた主人公・剣崎元春の妻である澪役に起用されていたが、今年1月10日付スポーツニッポンは、同ドラマでの共演を機に大倉と広瀬が交際関係に発展したと報道。大倉が所属するジャニーズ事務所と、広瀬が所属するフォスター・プラスは、否定も肯定もしておらず、ネット上のファンをザワつかせている状況だ。

 一方、大倉と同じジャニーズアイドルである松村は、SixTONESとしては昨年1月にCDデビューしたばかりだが、12年4月放送の連ドラ『私立バカレア高校』(日本テレビ系)で俳優デビュー。昨年は11月公開の人気映画『劇場版 「きのう何食べた?」』に出演したほか、同月スタートのNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』ではヒロインの1人・橘安子(上白石萌音)の相手役・雉真稔を好演。今年は『恋マジ』がスタートする4月に、出演映画『ホリック xxxHOLiC』も公開される。

「ほっくんにドキドキさせてもらえるのか……」

 そんな人気者の広瀬と松村が出演する『恋マジ』だが、ネット上には「濃厚なラブシーンがあるのでは……」という予想も。実際、ドラマの公式サイトで視聴できる予告動画を見れば、柊磨が純にキスをしようとする場面や、2人でベッドに倒れるシーンなどがある。

「ただ、ラブストーリーが繰り広げられるにしても、プライム帯のドラマとあって、そこまでディープなラブシーンはないのではないか。しかし、広瀬は大倉との熱愛報道が出ている身だけに、ネット上の一部ジャニーズファンから反感を買っている状況で、松村ファンのなかにも複雑な思いを抱く者がいる様子。だからこそ『ラブシーンがあったら嫌だ』という拒絶反応が出ているのかもしれない」(芸能記者)

 とはいえ、もちろんネガティブなコメントだけでなく、

ほっくんもアリスちゃんも好きだから嬉しい」

「ほっくん! 民放連ドラで主人公の相手役だなんてすごすぎる! おめでとう!」

「4月からは毎週ほっくんにドキドキさせてもらえるのか……」

「ドラマが始まる前にも、番宣でたくさんほっくんを見られるはず! 楽しみ!」

「ドラマ主題歌、SixTONESだといいな~!」

などとポジティブな書き込みも散見される。

 フジの「月10」枠は昨年10月に新設されたばかりで、その1作目となった『アバランチ』(綾野剛主演)は、全話通しての世帯平均視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)とイマイチだったものの、現在放送されている『ドクターホワイト』(浜辺美波主演)は、今月17日放送の第1話が11.4%、24日放送の第2話も10.1%と、今のところ2ケタをキープ中。

「4月スタートの『恋マジ』に向け、『ドクター・ホワイト』から良い流れがつくられるといいが」(前出・記者)

 あとは『恋マジ』が始まるまで、もう広瀬に大倉関連の報道が出ないことを祈るばかりだ。

(文=編集部)

 

業界の重鎮が「パチンコ番組始まりの秘話」を回想! 共演者や視聴者も興奮!!

 YouTubeの台頭でやや陰りは見えるものの、いまだ根強い人気を誇るパチンコ・パチスロ専門チャンネル。既存の放送局は「パチンコ★パチスロTV!」と「パチ・スロ サイトセブンTV」の2つで、それぞれ日本アミューズメント放送、ダイコク電機が番組供給事業者である。

 昨今は自身のYouTubeチャンネルでも活躍するヒロシ・ヤング氏は、オールドファンならば周知の通り、パチンコ・パチスロ専門チャンネルの黎明期から携わる人間のひとり。ゲスト出演したDMMぱちタウンの人気番組「アロマティックトークinぱちタウン」第232回では、そんなパチンコ・パチスロ番組始まりまでの秘話を語り、評判を呼んでいる。

 木村魚拓氏が「スカパー!の生き字引」と呼ぶヤング氏は大学を卒業後、開店プロなどを経て編集プロダクションへ所属。パチンコ専門雑誌を作るも売上は芳しくなく、少ないギャラの代わりに「スカパー!でチャンネルが立ち上がって出演者を探してるから、そのギャラで」と2000年に開設した「BIGチャンネル」を紹介されたという。

 その流れでヤング氏は、元チェッカーズの鶴久政治氏と新台情報番組に出演。それまでは攻略の体を成していない番組ばかりだったそうで、ヤング氏がアドバイスを送っていたという。

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 ただ、当時はスカパー!自体があまり浸透していなかったこともあり、BIGチャンネルは大赤字。そこでアルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)が買い取り、その後、「パチンコ★パチスロTV!」へ改名したそうだ。

 この買収を受け、元々のスタッフは徐々に居場所が無くなり、結果的に全員が退社。そのスタッフたちが新たに立ち上げた放送局が「全日本『パチンコ・パチスロ』情報局!」で、当時は「全パチ」との名で親しまれていたそうだが、やはり、この放送局もすぐに経営破綻してしまったという。

 これを受け、全パチを買収したのがダイコク電機。2005年に「パチ・スロ サイトセブンTV」が誕生し、現在の形になったのだそうだ。

 この一連の歴史に、レギュラーメンバーの沖ヒカル氏は「すげー。全く知らなかったです」と興奮。視聴者コメントにも「創設からの話は面白い」「今のチャンネルの成り立ちが分かった」などと多くのコメントが寄せられた。

 演者歴が長いヒロシ・ヤング氏だからこそ語れる裏話。パチンコ・パチスロ番組好きならば一見の価値ありと言えるだろう。

JRA藤沢和雄厩舎、木村哲也厩舎ら「大苦戦」から反撃へ! 中山不振も、待ちに待った東京開催で買うべき“厩舎・騎手”はコレ!

 先週で1月の中山開催が終了。横山一家や菅原明良騎手がスタートダッシュを決めたが、まだ1勝もできていない騎手や厩舎も多い。その顔ぶれは名門厩舎やベテランジョッキーなど様々。競馬には「月が変わればツキも変わる」といった格言があるが、今週から始まる「東京開催」は、不振に終わった関係者にとって巻き返しを狙う4週間となる。

 今回紹介するのは、1月で未勝利や1勝しかできなかった厩舎・騎手の中から、昨年の傾向を踏まえて「東京開催」で巻き返しが期待できる注目関係者だ。


■調教師・東

・木村哲也

 オーソリティやイクイノックスといった有力馬を抱え、毎年のように年間30勝以上を記録しているが、1月の中山は9戦して未勝利。複勝率44.4%が示す通り善戦はしたが、勝ちきるまでには至らなかった。しかし木村厩舎にとって本命は東京開催だろう。開業した2011年以降、重賞は東京6勝に対し中山は4勝。昨年の東京開催は75戦20勝、中でも芝は52戦15勝で勝率28.8%・連対率46.2%・複勝率59.6%の高数値を記録。一方中山は42戦4勝で勝率9.5%・連対率26.2%・複勝率35.7%となっている。今週は土曜に2頭のみの出走予定だが、来週以降は要チェックだ。


・古賀慎明

 1月の中山は11戦して最高が3着まで。上位人気馬がことごとく結果を出すことができなかった。しかし古賀厩舎にとって東京は得意のコース。昨年は芝ダートと合わせて12勝と中山の4勝と比較して3倍の勝利数だった。昨年全体の勝利数19勝の半分以上が東京でのもの。昨年の初勝利も東京コースだっただけに、今年も目が離せない。開幕週は土日合わせて4頭がスタンバイ。中でもカフェカルマ(土曜東京4R)はかなり期待できそうだ。


・藤沢和雄

 東京コースと言えばやはり藤沢和調教師だ。昨年は東京19勝、中山6勝でその差は3倍以上。出走数も東京108回に対して中山は53回と半分以下、どちらに重きを置いているかは明白といえる。今年1月の中山は10戦して未勝利だったが、やはり東京なら期待値が跳ね上がる。残念ながら今春で定年引退となるが、その最後を飾るべく得意の東京コースに有力馬が用意されているはず。もちろん騎手も渾身の騎乗を見せてくれるに違いない。開幕週は土日合わせて6頭が出走。中でもC.ルメール騎手が騎乗する2頭(土曜4Rワールドコネクター、日曜4Rアルマドラード)は好走必至だろう。


■調教師・西

 栗東所属とはいえ、東京遠征に力を入れている厩舎は少なくない。特に1月が今一つの成績だった厩舎は、この遠征で巻き返しを図るはず。数ある有力厩舎の中でも、以下に挙げる3つの厩舎は注目だ。


・高橋義忠

 昨年東京に遠征した合計25頭で4勝。特に芝コースは勝率23.1%・連対率30.8%と好成績だった。さらに4勝した馬の人気を見ると、4番人気、3番人気、11番人気、7番人気と配当妙味も抜群。ある程度の勝算があっての遠征と思われ、人気薄でも軽視できない厩舎だ。今週は根岸S(G3)にスリーグランドが出走するが、同馬は東京ダート1400mで2勝2着2回と適性は抜群、抑えに一考を。


・村山明

 1月は20戦して1度も馬券圏内に好走できなかったが、東京遠征があれば必見。もともと芝よりもダートで結果を出している厩舎で、東京遠征でも芝よりダートが狙い。昨年は18回東京ダートに遠征し4勝。この勝利数は全競馬場でもっとも多く、勝率も唯一の20%超えであった。また昨年は東京で合計5勝しているが、厩舎の年間勝利数の3分の1にあたる。村山厩舎にとって東京遠征は要チェックといって間違いない。開幕週は土日合わせて2頭が東京ダートに遠征。2頭とも昨年の東京遠征で馬券に絡んでいるだけに、軽視は禁物だ。


・上村洋行

 昨年はJRA年間25勝と飛躍したが、1月はその反動か17戦して未勝利。もともと東京遠征は少なく、昨年は芝ダート合わせて10戦のみ。それでも【2.3.1.4】で勝率20%・連対率50%・複勝率60%は上々の数字だ。これは年間を通じて覚えておくべきだろう。開幕週に遠征はないが、来週以降に押さえておくと思わぬ好配当が飛び込んでくるかもしれない。


 ここまで注目調教師を挙げてきたが、同様に東京開催で爆発が期待できる関東所属騎手を紹介しよう。


■騎手・東

・北村宏司

 1月は45回の騎乗で1勝と出遅れ。かつては年間100勝を記録したが、最近は若手の勢いに押されている感がある。しかし東京開催に入れば注目。昨年は芝で年間10勝をあげたが、そのうち9勝が東京コースでのもの。出走回数は東京も中山も同じ75回だったが、勝利数は9勝と1勝と両極端であった。あと1か月ほどでかつて所属していた藤沢和厩舎が解散となるだけに、同厩舎に騎乗となれば必見。今週は土日合わせて14頭に騎乗するが、調教師部門で紹介した古賀厩舎のカフェカルマ(土曜東京4R)は馬券から外せない。


・田辺裕信

 1月の中山は13回の騎乗にとどまったが、これはコロナに関連した騎乗自粛が影響したもの。中山コースに強いイメージがあるが、2021年東京28勝中山26勝、2020年東京32勝中山25勝、2019年東京41勝中山26勝とここ数年は完全に東京寄りの成績。騎乗数の差も見られるが、それだけ東京開催に力が入っている表れと言えるだろう。今週は土曜のみ東京で9頭に騎乗するが、1~2勝は期待できそうな駒が揃っている。


・丸山元気

 2019年71勝→2020年45勝→2021年26勝と下降線を辿り、今年もスタートダッシュで失敗。1月は38回の騎乗で2着が4度あるも未勝利だった。しかし2021年11勝、2020年11勝と2年連続で10勝以上をあげる東京コース替わりで狙い目が立つ。昨年は26勝中1番人気では5勝のみ。一方で6番人気以下は7勝と人気薄での活躍が目立った。今週は土日合わせて7頭に騎乗するが、ほとんどが人気薄濃厚で目が離せない。


 なお余談ではあるが、調教師や騎手以外にも東京開催向きの馬主も存在する。中でも下記に挙げるのは、特に東京開催でレース数が増え、さらに好成績をあげている注目馬主だ。ぜひ馬券の参考にしていただきたい。


■馬主

・猪熊広次

 東京馬主協会に所属するご当地馬主。昨年東京芝コースで5勝をあげ、勝率38.5%・連対率46.2%・複勝率53.8%と好成績を記録。関西馬でも東京遠征で結果を出しており、今年も同様のパターンが見られそうだ。


・北所直人

 こちらも東京馬主協会に所属するご当地馬主。昨年東京の芝で18戦2勝、中山は8戦0勝と東京勝負の傾向が見え見え。特徴として下級条件戦で4番人気以内ならかなりの好成績なので、覚えておいてほしい。


・島川隆哉

 トーセンでお馴染み。昨年は東京で7勝と競馬場別勝利数はダントツ。1月は1勝のみだったが東京開催で注目。

(文=仙谷コウタ)

<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

甘デジ戦国時代に降臨する「爆速&約94%継続」の一撃…続々と参戦を表明の超大物シリーズへ熱視線!!

 大当り確率が1/100前後となる甘デジスペックは、「気軽に遊べる」という特徴を武器に台頭してきた。激アツ演出などを頻繁に見られるなど「パチンコの醍醐味」を堪能できる点も、好評を得ている要因だろう。

 パチンコ分野において、抜群の存在感を放っている甘デジ。近年では遊びやすさに加え、強烈な要素を有した機種も続々と登場している。万発レベルの出玉報告も当然のように浮上するなど、盛り上がりは年々高まっている状況。戦国時代へ突入したという印象だ。

 2022年も魅力的なマシンがデビューを果たした。『PA海物語3R2スペシャル』は、トータル継続率は約80.4%で確変中の変動秒数は約1.5秒と超高速変動を実現。「海シリーズ史上で最も金魚群に出会える」といった要素も、好稼働に繋がっているようだ。

 人気シリーズ『DD北斗の拳』最新作は2スペックで登場。どちらも大当り確率1/99.9の甘デジスペックで、『P DD北斗の拳2 ついでに愛をとりもどせ!!ラオウ99 アミver.』はRUSHトータル継続率約95%と強烈な連チャンに期待できる。十分な恩恵を得られる遊タイム機能を搭載するなど見どころは満載だ。

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 今後も話題作がスタンバイしている甘デジ分野だが、その中でも注目度が高いのは業界を代表する「超大物シリーズ」最新作だろう。

 大手サミーが誇る『北斗の拳』シリーズが始動。「高継続」と「ストレスZEROの高速消化」が、新たな期待感と可能性を生み出しそうな気配だ。

『P北斗の拳8 究極乱世』

■大当り確率:約1/99.9→約1/35.4
■賞球数/カウント:1&4&10/10カウント
■確変割合:ヘソ:0.1%/ST64回
      電チュー:100%/ST64回
■電サポ回数:32回or64回or164回or298回or379回
■遊タイム:電サポ379回※低確率(低確率時短含む)299回転後に発動
○○○

 2019年発売『P北斗の拳8』の甘デジスペックとなる本機は、大当り確率約1/99.9のSTタイプ。基本的にはラウンド消化後に時短32回の「救世主MODE」へ移行し、RUSH「究極乱世MODE」を目指す流れだ。

 出玉のカギを握る究極乱世MODEは、ST64回orST64+時短100回。ST中の大当り確率は約1/35.4で、高継続・高速消化が活きる構成となっている点もポイントだ。

 残保留4個を含めた継続率はそれぞれ約85%、約94%を誇る。右打ち中は15%がST+時短100回濃厚の10R・約1000発と、展開次第では甘デジとは思えぬ出玉にも期待できるだろう。

「北斗シリーズ」最新作が、甘デジ分野に旋風を巻き起こすのだろうか。導入予定となっている2月が待ち遠しいが、本シリーズのスピンオフ作品といった位置づけの『北斗無双』も話題だ。

 すでにホールには、偉大なる初代のDNAを継承した『P真・北斗無双 Re:319ver.』が導入済み。「約84%ループ×1500発比率70%」という性能に対し、反響が寄せられている。

『北斗無双』といえば、人気キャラクター「ジャギ」をメインに捉えた『P真・北斗無双 第3章 ジャギの逆襲』も熱視線を浴びている1台だ。

 ライトミドルながら「約81%継続×ALL1500発」というP機最強クラスのRUSHを搭載。「俺より速い奴なぞ存在しねえ!!」と紹介されているように、出玉スピードも見どころとなっている。ジャギ一色の完全新規の演出も搭載するなど、ファン心をくすぐる要素も満載。早くも期待の声が続出中だ。

 2022年もホールを大いに盛り上げてくれそうな「北斗の拳シリーズ」。各分野に降臨する新機種たちは、どのような評価を得るのだろうか。今後の動向に注目したい。

いきなり!ステーキ社内報が炎上「クレーム当事者は厳重処分、ネガティヴ従業員を許せない」

いきなり!ステーキ」などを運営するペッパーフードサービスがHP上に掲載した社内報で、社員に向けて「ネガティヴな従業員をゆるすことは、到底できません」「再三にわたるクレームの当事者は、厳重な処分をします」などと綴った内容が、議論を呼んでいる。

「社長から皆さんへ」と題された文章には、以下のような文言がみられる。

「どうやらこのネガティヴ従業員によって大部分のクレームが起こっているようです。『店舗では作業するだけで給料をもらえると思うのは大間違いです。』」

「ネガティヴな人は、この社長の年初の言葉をきっかけとして『自己改革』してください」

「ポジティブの人の『お客様ファン作りの阻害要因のネガティヴ人間をなくす事です。』」

「お客様に不快な思いをさせたネガティヴな従業員をゆるすことは、到底できません」

(「クレームゼロ憲章」より)「再三にわたるクレームの当事者は、厳重な処分をします」

 ペッパーフードサービスはここ数年、苦境にあえいでいる。2020年12月期決算の売上高は、前期比53.5%減の310億8500万円で、純利益は39億5500万円の赤字と、3期連続の最終赤字。同年度第2四半期(1~6月)は債務超過だったが、第三者割当増資などを行ったことで20年12月期末時点では資産超過に転換している。

 経営再建のため、20年には主力事業の一つだった「ペッパーランチ事業」を売却し、114店閉鎖と200名の希望退職者を募集するなど積極的に手を打っているが、苦しい経営環境が続いている。

 そうした状況を打破するためか、今回の社内報では一瀬邦夫社長が長文の熱いメッセージで社員に発破をかけてるわけだが、厳しい文言も散見されるため、Twitter上では次のように賛否の意見が飛び交う事態に発展している。

<これに関しては別におかしなこと言ってないと思うけど。接客サービスも給料分に含まれているという考えなんでしょ?それが嫌なら辞めればよいだけ>(原文ママ、以下同)

<これは当然のこと。これに反論していたりする人は基本仕事できない奴>

<バイトに対してではなく、正規職員に対してって話なら多少はわかる>

<ほんとに…経営者が従業員に甘えすぎだよ…。経営が苦しいところほどこういうこと言う>

<無理に店舗数増やしまくって従業員の質が悪いのは本人のせいっていうのは会社のトップとしてどうなんでしょう>

<顧客からクレームを貰う従業員をネガティブと決めつけるなら浅慮では。その理屈で言うと、今はファンを減らしてる社長が厳罰対象じゃん>

<社内報で上から言わないで、客を満足させられる能力を伸ばすトレーニングをするとかそっち方向でモチベートできないもんかね…>

<社内報に書くのではなく、ネガティブな人材を排除する組織と方策を考えて実行しないとダメでしょうね>

低価格の外食チェーンのビジネスモデル

 外食業界関係者はいう。

「基本的に、いきなり!ステーキをはじめとする低価格とボリューム、商品提供の速さをウリにする外食チェーンの店舗では、最低限の人員と効率良いオペレーションを徹底しているため、店員は余裕がないなかで目の前の注文をさばくのに精いっぱいの状態で、お世辞にも高いとはいえない給料や時給でキツイ労働を強いられている。

 顧客単価が高い高級フレンチ店ならまだしも、そうした外食チェーンの現場の人間からしてみれば、“作業ではダメ”“自己改革しろ”“クレーム受けたら処分する”と言われたところで、反感を抱くだけでしょう。経営層であれば、社員が積極的・自発的にカスタマーロイヤリティを向上させようと動く仕組みづくり、個々の社員にそうした余裕を持たせるオペレーションづくりを、まず第一に考えるべき。

 そもそも高いコストパフォーマンスをウリに顧客を集める低価格の外食チェーンで、過度に高いホスピタリティやサービスを社員に求めるという発想は、いわゆるブラック企業化につながりかねず、労働環境の悪化や社員離脱を招く懸念もある」

 今回の社内報では、特に“クレームの当事者に厳重な処分をします”といった文面が、社員に過度なプレッシャーを与え、パワハラにつながる恐れがあるのではないかという指摘も出ているが、山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は次のように解説する

山岸弁護士の解説

 この社内報の社長の「あいさつ欄」、一瀬邦夫社長ご本人が書いているとしたら、大変僭越ながら、相当の文章力をお持ちの方と感じます。文章にも、“熱い”“冷静”などの温度感があるわけですが、私はこの文章を拝読し、経営理念、目標といった大きいところから始まって、目先の「ではどうすればよいか」という各論に至る“流れ”がとても良く構成されていると思います(僭越でスミマセン)。

 お客様を大切にする“お客様商売”の方々の基本の発想であり、何ら咎められるものではないでしょう。

 もっとも、クレームがあった従業員について「厳重な処分をします」とのことですが、従業員に適用される就業規則には「懲戒処分」の項目があり、「こういう場合にはこういう懲戒処分となる」ことが明確に規定されています。

 しかし、「お客様からクレームがあった場合、減給処分とする」などとストレートには規定されておらず、おそらく、

・素行不良

・著しく協調性に欠ける

・会社の名誉を傷つけた

などとされているでしょうから、「お客様からのクレーム」が、上記のような項目に該当しない限り、「厳重な処分」をすることはできません。単に 「お客様からのクレーム」があったことだけをもって懲戒処分をしようものなら、不当な懲戒処分として撤回を求められたり、損害賠償の対象となることもあります。

 一瀬社長が使用した文言自体は、従業員に“発破をかける”という性質の社内報ですから許容範囲であるとしても、実際に 「厳重な処分」を行うと、上記のような問題が発生します。

(文=編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。