パチンコ初回RUSH突入は出玉「3,000個」確定!? 人気シリーズの新章がまもなく始動!!

 初代の登場からおよそ23年。ついにあの人気シリーズの新章が始動する。

 老舗ブランド・平和が誇る大ヒットコンテンツの最新作『Pルパン三世 2000カラットの涙』は、大当り確率319.6分の1の1種2種混合タイプ。初当りは奇数図柄揃いの「PERFECT BONUS」、偶数図柄揃いの「LUPIN BONUS」の2種類だ。

 10R約1,500個を得られる前者はRUSHに加えて電サポ10,000回の「限界突破CHANCE10000」が付与されることから、実質、3,000個の出玉も約束される。

 一方の後者は3R約450個の出玉獲得が可能で、消化中のファイナルチャンス成功で「PERFECT BONUS」へ昇格。これを含めたトータルRUSH突入率は50%だ。

【注目記事】
パチスロ「設定不問で大量ストック」が狙える極限マシン! 継続率80%の激熱バトルが一撃出玉を誘発…あの人気タイアップ機を振り返り!!
パチンコ「右50%2400発」でゴチポケット完備! 踊るようにファンを魅了した超大物タイアップ機!!

 限界突破CHANCE10000での大当り後は高速演出メイン区間の時短20回「限界突破CHANCE」+バトルメイン区間の時短40回「神GOLDEN TIME」がスタートする。

 計60回中は約39.6分の1で大当りに期待。トータル継続率は約81%で、この間の大当りは全て1,500個が払い出されることから、瞬く間にドル箱を積み上げることができる。

 通常時は「ロングリーチ」や「キャラリーチ」などをはじめとする豊富なリーチが用意されており、「カーチェイスSPリーチ」「不二子バトルSPリーチ」「ダークヒーローSPリーチ」などのSPリーチはチャンス到来だ。

 ルパンVSハート、次元VSクラブ、五ェ門VSスペード、銭形VSダイヤなどの「バトルSPリーチ」から発展する「神髄演出」は新たなルパンの大チャンス演出で、原作を再現した「ストーリーリーチ」の「ルパンより愛を込めて」と同様、大当りは約束されたも同然と言えそうだ。

 限界突破CHANCE中はキュイン音、無音、キャノン振動などの違和感の発生で大当り濃厚。神GOLDEN TIME中は敵登場でバトルへ発展し、そのバトル勝利期待度は疾風・決戦・激闘・神髄と4種類あるバトルの種類で大きく変化する。対戦相手がクラブだった場合は、期待度の高いバトルが選ばれやすいようだ。

 また、次元or五ェ門が敵ボスと対決する「ジョーカー襲来」は激アツ。「魔性の女リーチ」は不二子が登場することで大当りへと誘ってくれる。

 初回RUSH突入時は3,000個の出玉獲得から始まるシリーズ最高傑作。気になる導入は2月7日の予定だ。 

「マイナポイント第2弾」で今わかっていることまとめ 9月末までにマイナンバーカードの申込が必須に!

生活をもっと楽しく刺激的に。 オトナライフより】

2022年1月からスタートした「マイナポイント第2弾」。初めての人は最大2万pt、第1弾に参加した人でも最大1万5,000ptももらえるので、もらい損ねないように今から条件などをしっかり確認しておきたい。そこで今回は、マイナポイント第2弾について今わかっていることをまとめて解説しよう。

第1弾参加者も第2弾で最大1万5,000ptもらえる!

「マイナポイント」とは12桁の個人番号を記載したマイナンバーカード取得者がもらえるポイントのこと。キャッシュレス決済の利用で最大5,000ptがもらえる第1弾は2021年12月末で終了した。

しかし、マイナンバーカードの取得率はいまだ40%(約5,000万枚)程度なので、引き続き2022年1月から第2弾が開始されたというわけだ。

第2弾では、まず第1弾と同じキャッシュレス決済の利用で支払い額の25%(上限5,000pt)がもらえるが、これは第1弾に参加して上限の5,000ptを獲得した人は参加できない。

次に、マイナンバーカードで健康保険証の利用申し込みをすると7,500ptがもらえる。こちらは第1弾に参加した人や、すでに健康保険証の利用手続きを済ませた人も対象となる。

そしてもうひとつ。マイナンバーカードに公金受取口座(銀行口座)登録を行うと7,500ptがもらえる。こちらも第1弾に参加した人も対象となるが、マイナポータルでの登録申請はまだ始まっていない。

つまり、マイナポイント第2弾はこの3つをすべて達成することで、合計2万ptがもらえる仕組みになっている(第1弾参加者は最大1万5,000pt)。

マイナポイント第2弾については→こちらで基本から詳しく解説しているので参考にしてほしい。

■マイナポイント第2弾の内容
【1】キャッシュレス決済利用  5,000pt
【2】健康保険証の利用申し込み 7,500pt
【3】公金受取口座の登録    7,500pt
合計 2万pt(1人)
※第1弾に参加して上限5,000ptを獲得した人は【1】は利用できないが、【2】と【3】に参加すれば1万5,000ptをもらえる

マイナポイント第2弾はわからないことだらけ!

マイナポイント第2弾はすでに始まっているのに、見切り発車のような感じで、いまだによく分からないことだらけだ。

そもそもマイナポイ…

続きは【オトナライフ】で読む

パチスロ「設定不問で大量ストック」が狙える極限マシン! 継続率80%の激熱バトルが一撃出玉を誘発…あの人気タイアップ機を振り返り!!

「思い出深いマシン」や「印象に残っている機種」を取り上げる本コラム。今回は、2016年6月リリースの大人気漫画とのタイアップ機『テラフォーマーズ』について書いていきたい。

 本機は、ART「マーズラッシュ」を軸に出玉を伸ばしていくボーナス+ART機。通常時は、ボーナスからART突入を目指すゲーム性で、その突入率は「通常」「高確」「超高確」の3種類の内部状態で変化する。当然、その内部状態が高いほどART当選率が優遇されるが、低設定でもタイミング次第ではART当選に期待が持てる仕様だ。

 ART突入の鍵を握るボーナス「テラフォーマーチャンス」は消化中のチャンス役などでARTを抽選。また、通常時に引いたチャンスリプレイが規定回数に到達すると、その後に引いたボーナスがエピソードボーナス(ART確定)になるといった特徴もある。

 ART「マーズラッシュ」は純増約1.9枚、1セット40Gの継続率&ストック管理型で、実質継続率はMAX約96%を誇る。

【注目記事】
パチンコ「右50%2400発」でゴチポケット完備! 踊るようにファンを魅了した超大物タイアップ機!! 
2022年初春のパチスロ大本命! 昭和を舞台とした『番長』最新作は爆裂要素を多数搭載!? 

 ART中のボーナス当選の一部などで突入する「極限人為変態バトル」はストック上乗せの特殊ゾーンで、前半パートは継続抽選+最終決戦のG数を獲得し、継続抽選に漏れると「最終決戦」に突入する流れ。

 前半パート中は、継続抽選をパスするごとに「最終決戦」のゲーム数を必ず1G以上獲得でき、その「最終決戦」では1Gあたり約33%でARTストック獲得に期待が持てる本機のメイントリガーだ。

 とここまでスペックについて説明してきたが、本機はお世辞にもヒット機種とはいえず、バラエティーコーナーに1、2台置いてある程度の人気しかなかった印象である。

 ただ、ゲーム性はシンプルながら一撃の破壊力は十分で、しかも“設定不問”で万枚を目指せるポテンシャルを秘めていたのだ。その起爆剤こそが、先述した「極限人為変態バトル」であり、本機で大勝利するためには必要不可欠な要素といえるだろう。

 そんな『テラフォーマーズ』だが、筆者は2016年4月から放送されたアニメ版を全話見たほどの大ファンなので、そういった意味でも非常に思い出深いマシンである。ただ残念なことに、本機で大量出玉を獲得した経験は一切なく、ことごとく敗北した苦い思い出ばかりだ。

 1月末で撤去されてしまうのはとても残念だが、またいつか本機のシリーズ機が出ることを期待したい。

(文=ひろ吉)

<著者プロフィール>

 IT業界の世界に興味を抱き、iPhoneアプリの開発を4年程経験。その後、WEBマーケティングの知識や経験を重ねてきた。パチンコ・パチスロのヘビーユーザーであり、機種のスペック等の研究に時間を注いでいる。現在はパチMAXにて、パチンコやスロットの考察記事・実戦記事をメインに作成中。自身が好む低純増・低ベース機の動向にも注目している。

パチンコ「右50%2400発」でゴチポケット完備! 踊るようにファンを魅了した超大物タイアップ機!!

 商談や取引、談判に折衝など普通の社会人なら経験を重ね、卒なくこなしていけるだろう交渉事も、私のようなパチンコライターに擬態した社会のクズには不可能だと思えるほど厄介であり、実際に下手くそすぎてことごとく失敗する。メダルはカチ盛りできても人の心や物事はきれいに収められないのである。

 ただ、これは日本人全般にも当てはまるところがあり、海外の一般的な事情と比べると相対的に日本人は交渉事が苦手だとイメージされる。我が国の政治家が対話や協議において遅れを取っているような場面にもよく出くわすだろう。

 アメリカなどでは立てこもりや人質事件の際に犯人と話し合うためだけの専門家が職業として確立されているくらいに交渉に対する意識に違いがある。日本でも「ネゴシエーター」という言葉が一時期流行っていたが、今はどこ吹く風である。

CR交渉人 真下正義』は、国民的なブームを巻き起こした「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ作品として公開された映画のタイアップ機である。

【注目記事】
パチスロ期待の6.2号機に「万枚クラス」が多数!激アツ爆裂AT完全復活か!?―初打ち実戦速報―アラジンAクラシック
パチンコ「10万発にも負けぬ興奮?」を与えた名機…刺激的な革新マシンが引退へ

 主人公のユースケ・サンタマリア演じる真下正義をはじめ、木島(寺島進)、眉田(松重豊)、草壁(高杉亘)など「踊る」シリーズの脇役たちが大活躍する演出が繰り広げられる。

 作品の世界観や劇中の内容が盛り込まれた多彩な演出は、映画さながらに息もつかせぬ展開をみせ大当りへと迫る。特にタイプライター予告を経由して発展する「CLIMAXリーチ」は実写映像を絡めた期待度抜群の最強リーチとなっている。

 スペックは時短突破型でヘソ大当りではそのほとんどが100回転の時短に移行し、電サポ中に引き戻すことができれば確変or時短となる88回転の電サポモード「史上最悪のRUSH」に突入となる。なお、RUSH中はどちらの状態か見た目から判断できない。

 確変は次回まで継続するループタイプなので規定電サポ回数に突入すると判定演出「FINAL JUDGE」が発生し、成功すれば次回大当りまで電サポが継続する「HYPER」へ昇格するが、失敗した場合は通常モードに戻る。

 回転数で区切られたSTタイプのような緊張感とそれを超えれば次回まで継続する安心感の2つのゲーム性を一度に楽しめるRUSHは原作にも劣らないエンターテインメント性を堪能できるものになっている。

 ちなみに、電サポ中は大当りの半分が最大出玉となる16ラウンド2400発で、この場合は確変が濃厚。また、平和おなじみの「ゴチポケット」が搭載されているので、それ以上の出玉を獲得することが可能である。

 また、スペックは大当り確率が1/227.5のライトミドルと1/99.9の甘デジタイプの2種類を用意。甘デジの場合は右打ち中のメインが3ラウンドと出玉が少なくなっているが時短引き戻しが約63.4%と強力でトータルの継続率はライトミドルを上回る連チャン力となっている。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

JRA「一度も折り合ったことがない」メイケイエールの驚愕ビフォーアフター! シルクロードS(G3)優等生変身に池添謙一も認めた「秘密兵器」の効果?

 30日、中京競馬場で行われたシルクロードS(G3)は、池添謙一騎手の2番人気メイケイエール(牝4、栗東・武英智厩舎)が優勝。昨年3月のチューリップ賞(G2)以来となる勝利で、高松宮記念(G1)の重要な前哨戦で結果を残した。

「立て直そうとする陣営の話を見聞きしていただけに、それが報われてよかった。ホッとしました」

 殊勲の復活勝利へと導いた池添騎手だが、まず強調したのは陣営によるこれまでの苦心だ。なんといっても、騎乗馬との折り合いの巧みさに定評のある武豊騎手や横山典弘騎手ですら手を焼いた“お転婆娘” がパートナー。管理する武英師も「これまで一度も折り合ったことがない」と評する曲者だ。

 コンビ初結成となった昨年のスプリンターズS(G1)で騎乗した池添騎手も、手の内に入れる難しさは実感していたはずである。さらにはこの日、2枠3番の内枠に入ったことも、前に馬がいるとすぐに交わそうとするメイケイエールにとってプラスとはいえなかった。レースを振り返った池添騎手も「内枠が決まってから、どうしようと思っていた」と頭を悩ませていたようだ。

 しかし、今回のメイケイエールは、これまでとはまるで別馬にでもなったかのような操縦性の良さを披露する。好スタートを決め、先頭に立ったところまでは、いつもの姿だった。これまでは、そこからさらに暴走して鞍上が制御不能に陥っていたものの、好位で我慢することに成功したのである。

 道中で無駄にスタミナをロスすることもなく、最後の直線で早め先頭から押し切れるだけの脚が溜まっていたのは、このガス抜きが功を奏したということだろう。

「前後半3Fが33秒6-34.5とペースが流れたことも、折り合いがつきやすかった理由の一つでしょうけど、馬具の効果も大きかったみたいです。池添騎手も武英師も十分な効果があったと認めています。

ハミと腹帯を繋ぐ『折り返し手綱』、メンコの目の部分が網目状に覆われているパシュファイヤーを使用したことで、ジョッキーとの意思疎通が飛躍的に改善しました。陣営が悩みぬいた結果、ようやく見つけた“秘密兵器”といったところでしょうか」(競馬記者)

 前に馬がいると、とにかく交わそうとしていたメイケイエールだが、陣営の評価はあくまで「走ることに夢中になり過ぎる」だけで、決して気性難ではないとのこと。少なくとも、先入観を持たずに今回のメイケイエールの走りを見れば、それも納得できるだろう。

 これには元JRA騎手の安藤勝己氏も、自身のTwitterで「毛ヅヤなんかからも、次はもっと良くなりそう。そうなると引っかかる可能性あるで、真価を問われる本番やね」とコメントしつつも、レースぶりには感心。「行きたい馬を行かせてしっかり折り合った。差しの流れを早め抜け出しで押し切ったで、地力がやっぱり違うしコンビの息も合っとる」と、改めて能力の高さを評価した。

 例年なら京都開催のシルクロードSだが、京都競馬場の改修工事の関係で今年も中京での開催。3月末に行われる本番と同じ舞台で最高の結果を残したからには、期待が大きくなる。

 ただし、安藤氏がコメントした通り、本番でこそ真価を問われることは間違いない。

 今回の優等生への劇的な変身が一度限りに終わるのか、それともお転婆娘が「レディ」へと変貌を遂げているのか。コンビ2戦目にして瞬く間に“癖馬”を手の内に入れた辣腕と才女のコンビに注目だ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

大谷翔平に競り勝った本塁打王も絶賛のベルガード…初の赤字転落でも前向きな理由

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

 2月1日、日本のプロ野球(NPB)12球団のキャンプがスタートし、野球の季節が始まる。

 新型コロナウイルスの新株・オミクロン株への対応に苦慮しながら、記事の発信時点では予定通りキャンプを開催予定。12球団のうち9球団が沖縄県で実施となっている。

 コロナ前とは事情が違うのは今年も同じだ。選手だけでなく、プレーのパフォーマンスを支える野球用品メーカーなど関係者もそうだろう。「今年も顧客先へのキャンプ地訪問が難しくなった」という声も聞く。

 そのなかに「ベルガード」(本社:埼玉県越谷市)という会社がある。特に捕手が着けるマスク、プロテクター、レガースや、打者が手足につけるアームガード、フットガードといった「防具」に定評がある。今では多くの米メジャーリーグ(MLB)選手が愛用するブランドだ。

 本連載では同社にいち早く注目し、2016年から定期的に紹介してきた。何が起きるかわからない時代、その機動性がビジネスパーソンの参考になると思うからだ。まずは同社の最近の状況から紹介したい。

MLB「2人の本塁打王」も同社防具を愛用

 2021年シーズンのMLBは、アメリカンリーグMVPに輝いた大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)の投攻守にわたる大活躍に沸いた。

 だが本塁打46本の同選手を抑えて本塁打王を獲得したのは、ともに48本を打ったサルバドール・ペレス選手(カンザスシティ・ロイヤルズ)とブラディミール・ゲレーロ選手(トロント・ブルージェイズ)の2人だった。

「ペレス選手もゲレーロ選手もベルガードの防具を使っています。この2人以外では、通算449本塁打のネルソン・クルーズ選手(2021年シーズンはミネソタ・ツインズ→タンパベイ・レイズ)、同334本塁打のロビンソン・カノ選手(2020年シーズンはニューヨーク・メッツ)が有名で、ともに長年の愛用者です」

 MLB選手に防具を提供するベルガードファクトリージャパンの永井和人社長はこう話す。

「MLB選手からの防具のオファーは相変わらず多く、たとえば昨年もオールスターゲームに出場して2019年にはリーグ打率2位だったケーテル・マルテ選手(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)も愛用しています。日本のプロ野球(NPB)では外国人選手がよく使ってくれますが、日本人の有名選手は競合メーカーとの契約の関係もあり難しいです」(同)

 MLBやNPBの有名選手には無償で野球用品を提供し(契約金は支払わない)、防具やグローブ、周辺グッズなど同社商品に興味を持つマイナーの選手やアマチュア野球選手、審判員や一般の野球愛好家に有償で販売するのが同社のビジネスモデルだ。

創業9年で初の赤字決算に

 ただし、2021年のベルガードの業績は振るわず、初の赤字決算となった。

「当社の売り上げのうち、過半数を占める問屋系が伸び悩みました。問屋ルートの対面営業も限定的で、小売店さんもコロナ前のようにチームや選手に営業をかけられません。一般の愛好家もコロナ禍で試合が少なくなり、野球用品の買い控えをしているのが現状です」(同)

 前身の会社(1935年に創業、2012年に倒産)に約30年勤務後、商標を引き継ぎ、同社を設立したのが永井氏だ。業績は非公表だが、2012年の設立以来、2019年まで右肩上がりで成長し、3分の1の従業員数で倒産前の前身企業の売上高を超えた。それが2020年は対前年比約8割(黒字決算)、2021年は赤字転落と業績にブレーキがかかった。

 2020年のコロナ禍初年には、提携先ブランド「アクセフベルガード(AXF)」から1枚630円(税込み)の通常マスクを発売して人気を呼び、約20万枚を製造。用具は、硬式用審判マスクや防具類も売れた。業績を下支えしたこれらも2021年には需要が一段落したという。

 長引くコロナ禍に苦しむ他の業界と同様、野球用品業界も大きな影響を受けているのだ。

米国で高品質グローブを販売予定

 それでも永井氏は前向きだ。

「大手と違って小回りがきくので、軌道修正して売り上げを確保したい。たとえば国内のEC販売は伸びているので、本場・米国でのEC展開を強化していきます」(同)

 米国市場はこれまで同様、業務提携先である現地法人のサンディエゴ・スポーツオーソリティ(山内周司社長)を通じて展開していく。テレビではMLB球団本拠地の球場内の販売ショップがよく報道されるが、実は米国の野球用品売り上げの大半はEC販売だという。

 なお、ベルガードファクトリージャパンには、「ベルガード」(自社ブランド)と、「アクセフベルガード(AXF)」(特許技術IFMC.=イフミックを使った提携ブランド)があり、野球用防具は前者、マスクやネックレスは後者だ。グローブは両ブランドから販売している。

「アクセフベルガードとの提携は変わりませんが、今回はベルガードブランドのグローブを展開。具体的には“湯もみ型付けグローブ”で考えています」

 野球経験者ならご存じだろうが、湯もみ型付けとは、新品のグローブを柔らかくする手法のひとつ。固いグローブが適度なやわらかさになり、捕球ポケットが形成されて取りやすい、などのメリットがある。ただし、自分で型付けするとうまくいかない例も多いと聞く。

MLB選手も感激した「湯もみ型付け」

「過去に活動実績もあります。2019年3月、イチロー選手の引退試合となった『シアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックス戦』(東京ドーム)の前、当時アスレチックス所属だったジュリクソン・プロファー選手(現在はサンディエゴ・パドレス)に湯もみ型付けグローブを見せました。すごく感激して『明日の試合で使いたい』と言われ、実際に開幕戦で使ってくれました」(同)

 有名選手ではカルロス・サンタナ選手(2021年はカンザスシティ・ロイヤルズ)にも見せた。こちらも気に入ってくれたが、契約の関係があり試合では使えなかったという。

「MLB選手も興味津々だった、湯もみ型付けグローブは米国にはありません。昨年、当社は越境ECサイト(国境を超えて行うECサイト)『belgard shop』を立ち上げました。日本語、英語、スペイン語、中国語、台湾語の5カ国語に対応しており、海外からの注文も受け付けます。今後はこのサイト向け商品も強化していきます」

 こう話すのには、別の理由もある。実は最近、大手メーカーが野球用品から撤退・縮小する動きが出てきた。アンダーアーマーは野球用品から撤退の噂が流れ、デサントも販売を縮小する方向――と聞く。

「グローブの製造供給先を失った中小業者もいます。しっかりした技術が残っているので、当社が少しでも受け入れ先になれればよい、と考えています」と永井氏は話す。

女性向け用品も開拓余地がある

 これ以外に「女性向けの防具やグラブにも注力したい」と言う。

「一部の女子選手には商品を提供してきましたが、もっと力を入れていきたい。東京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボール競技も人気で、防具を着けてプレーします。市場自体は小さいですが、競技人口は伸びています。読売ジャイアンツ、阪神タイガース、埼玉西武ライオンズなどが女子硬式野球チームを発足させており、注目市場となっています」

 ベルガードの課題としては「MLB有名選手が多数愛用する防具メーカー」から「高品質なグローブも販売する野球用品メーカー」への脱皮だろう。女子野球やソフトボール選手向けは “野球用品メーカーとしての横顔”となるのが理想だ。

 コロナ禍で中小企業を取材すると「売り上げをどうつくるか」という話になることも多い。外食店のテイクアウトやデリバリーが知られているが、これらに向かないといわれてきたラーメンでも、製麺メーカーが「時間がたっても伸びない麺」を開発したという。

 ただし、資金力で劣る中小企業の投資は慎重にしたい。よくいわれるキーワード「カネがなければ知恵を出せ」でいく姿勢も大切だ。ベルガードは、前述の越境ECサイト立ち上げも永井氏自身が行った。自分で行えばノウハウも身につき、内容変更にも柔軟に対応できる。

「コロナはいい加減にしてほしい」という声を各方面で聞く。同感だが、何で売り上げをつくり、新たな顧客を育てるかを意識して活動したい。

(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

「ええ歳なんやから派手なポーズは見苦しい」元JRA藤田伸二氏「ガン無視」から一転、根岸S(G3)岩田康誠に苦言も…ファンから賛否で最後はブチギレ?

 30日、東京競馬場で行われた根岸S(G3)は、6番人気テイエムサウスダン(牡5歳、栗東・飯田雄三厩舎)が勝利。交流重賞4勝の実力馬が中央3度目の重賞挑戦で初制覇を果たした。

 これまで先行して押し切るパターンで勝利を重ねてきたテイエムサウスダンだが、この日は好発を決めたにもかかわらず、ちょうど中団に構え末脚を温存した。

 抜群の手応えで4コーナーを迎え、直線外に持ち出されるとグングン加速。先行勢を飲み込むと、そのまま先頭でゴールインした。鞍上の岩田康誠騎手はゴールを待たずして勝利を確信。右手を大きく前に突き出すガッツポーズをつくる会心の勝利だった。

「岩田康騎手はこれが区切りのJRA通算1700勝目でした。(ガッツポーズは)もちろんその喜びもあったと思いますが、やはり昨年3月からコンビを組んできたテイエムサウスダンを中央の重賞勝利に導けたことが嬉しかったのではないでしょうか。

ただ、レース後のインタビューでは笑顔は見られませんでした。むしろインタビュアーから、『悲願を達成した心境』を聞かれた際に、『悲願ではないです。これからの馬なんで』と話していました。確かに交流重賞を何度も勝っていますし、悲願とは違うかもしれません」(競馬誌ライター)

 そんな岩田康騎手に対し、Twitterで苦言を呈したのが元JRA騎手の藤田伸二氏だ。

 レース直後のツイートで「俺の予想は狙い過ぎて外した」と切り出した藤田氏。「今日はドングリの背比べって感じでフェブラリーで勝ち負けするメンバーじゃなかった様な気がする」とレースレベルを分析した。

 さらに「区切りかも知れんが、ええ歳なんやから派手なポーズは見苦しい」と、1700勝目を決めた岩田康騎手のガッツポーズに苦言を呈し、「俺は40歳過ぎたらポーズはしないか控えめにしてたもの」と自身の現役時代を振り返った。

 このツイートには「ほんとその通り」「同感です」と藤田氏に同調する意見も多かったが、「ゴール板を過ぎる前のガッツポーズは少し見苦しいかも」という冷静な意見に加え、「ガッツポーズくらいいいだろう」「おめでとうでいいのでは?」「ファンとしては勝ったときは褒めてあげて」と岩田康騎手を擁護する声も少なくなかった。

「岩田康騎手が先月の中日新聞杯(G3)でJRA重賞通算100勝目のメモリアルを飾った際、藤田氏はTwitterなどで反応していませんでしたが、今回のメモリアル勝利には苦言を呈する形になりました。ただ、『40歳過ぎたら』という年齢云々を持ち出したことで様々な反応があったようです。

詳しくはTwitterのやり取りを見ていただければ分かりますが、その後の別ツイートで藤田氏は『ま~アラ探しばかりしよる。あ~言えばこ~言う輩がたくさんいるな!』と、キレ気味でしたね……」(同)

 騎手引退後は競馬界とは距離を置き、Twitterなどでの辛口コメントが度々取り上げられる藤田氏。この日は一部ファンの反応に納得できなかったようだ。

発明家はどのようにしてCX領域を拡張するのか?

広告・マーケティング領域をはじめとしてさまざまな領域で求められるCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)の設計に対して、電通のクリエイティブはどのように貢献できるのか?
この「月刊CX」では、電通の専門部署「CXCC」(カスタマーエクスペリエンス・クリエーティブ・センター)メンバーが具体的な事例を掘り下げることでCX領域におけるクリエイティブの役割と可能性を探求します。(月刊CXに関してはコチラ

第2回は、電通内のアワードを受賞した、目で読める点字「Braille Neue(ブレイルノイエ)」をメインの題材にして、その作者である“発明家”高橋鴻介氏に「CXクリエイティブとは何か」についてお聞きしました。

高橋氏
【高橋鴻介氏プロフィール】
電通 カスタマーエクスペリエンス・クリエーティブ・センター
東京生まれ、秋葉原育ち。インタラクティブコンテンツの制作や公共施設のサイン計画を手掛けつつ、発明家としても活動。墨字と点字を重ね合わせた書体「Braille Neue」、触手話をベースにしたユニバーサルなコミュニケーションゲーム「LINKAGE」など、発明を通じた新規領域開拓をライフワークにする。主な受賞歴にWIRED Audi INNOVATION AWARD、INDEX: Design Award、TOKYO MIDTOWN AWARDなど。


【Braille Neue】
目で読める墨字と指で読める点字が一体になったユニバーサルな書体
 
Braille Neue 1
Braille Neue 2

小さな「面白いな……」から、発明は始まる

月刊CX:はじめに、この「Braille Neue」が生まれたきっかけなどについて、簡単に教えてください。

高橋:もともと僕は大学でプロダクトデザインを学んでいたのですが、授業で社会課題に関係した課題提出がとても多く、自分の中で「デザイン」というと、そういった社会課題に取り組むこと、というイメージがありました。
そんな気持ちで電通に入って、最初に誘ってもらったのが、「NIN_NIN(ニンニン)」という視覚障がいがある人のニーズから生まれた肩乗りロボットでした。

そういったことがきっかけになって、見えない人と見える人が混ざり合うイベントを先輩と一緒に企画したときに、視覚障がいがある友人が点字を実際に読んでる様子を初めて見たんです。そこで「点字って、こんなふうに読むんだ!」とか「こういう仕組みなんだ!」という発見がありました。

月刊CX:たしかに、視覚障がいの人が点字を読むスピードを目の当たりにしたことはないかもしれません。

高橋:点字は駅や街のあちこちにあるけど、読んでる様子を意外と見たことないなって。僕もそこですごく興味を持ちました。「点字、面白いな」と。

そのとき、その友人に「高橋くんも点字が読めるようになると暗闇で本が読めるよ」って言われてさらに興味が湧いたんです。

でもいきなり点字を読むっていうのは、あまりに難易度が高いので、その世界に入る補助段になるようなものがあったらいいなと思って「点字に線を引いて、まずは読める文字にしてみよう」というアイデアが生まれた。そんな本当に落書きみたいなことからBraille Neueは始まりました。

Braille Neue 3

高橋:それを先輩に提案してみたところ「これ、イベントで使ってみようよ」ということになって。実際に立体印刷で、イベントのロゴをつくったり、首から下げる参加証に使ったりしました。
そのとき、晴眼者と視覚障がい者がそれを介して会話しているのを見て、この文字が「人をつなぐツール」になっていることを発見したんです。

月刊CX:人をつなぐツール?

高橋:同じツールを使うことで、今まで関わったことのない人との出会いのきっかけが生まれる、ということです。
それで、これはちょっと意味がありそうだぞ……と思ってTwitterに上げたら、いろんなところから反響があったので、一緒に形にしてくれそうなところがないかなと探した結果、渋谷区さんと出会いました。

月刊CX:最初は渋谷区だったんですね。

高橋:渋谷区長さんにプレゼンをしに行ったら、その場で「いいじゃん、これ渋谷から世界に広げようぜ」と言ってくださって。その場で福祉課の方を紹介してもらい、渋谷区の施設への導入がそこから始まりました。

月刊CX:いきなり好スタートですね!

高橋:もちろん、その前にもたくさんの企業さんとお話ししましたが、なかなか実施まで進めなかったんです。でも、渋谷区に実装されてから、いろんな企業さんから声がかかるようになりました。今は、とある製薬メーカーの視覚障がいのある職員さんとつながって、一緒にその会社のサイン計画(施設内の案内表示)をBraille Neueを使いつつ改善しています。

月刊CX:視覚障がいのある人を介して広がっていくのはBraille Neueならではですね。

高橋:「点字って面白いな、何か可能性ありそうだな」みたいな好奇心から始まったものが、つくってみたらそのツール自体を通じて今まであまり関わったことがない人との出会いのきっかけになって、そこから想像もしなかったところにつながりが広がっていくのが面白いですね。

Braille Neue

CXクリエイティブとは、「一人一人に寄り添えるもの」

月刊CX:この連載では、さまざまな事例を通じて「CXクリエイティブとは何か?」という問いを掘り下げることをテーマにしています。このBraille Neueが電通社内のCXアワードを受賞したことも踏まえまして、高橋さんは「CXクリエイティブ」という言葉の意味をどのように考えていますか?

高橋:まず、自分が(局を異動して)CXクリエーティブ局の所属になると聞いたときに「そっちの方が今やってることがやりやすくなるかも」と思った記憶があります。

月刊CX:ほう、それはなぜでしょう?

高橋:CXクリエイティブは、マスクリエイティブよりも、もうちょっと距離感が「人に近い」気がしたんです。今までのいわゆるマス広告やデジタル広告は、結構「1対多」というか、大きい集団に向けて打つもののイメージがあったんです。

その「たくさんの人を楽しませようぜ」というのがマスクリエイティブだとすると、CXクリエイティブは、もうちょっと、一人一人に寄り添ったことができそうだな、という意識がありました。

月刊CX:CXとは「大きな集団ではなく、一人一人に寄り添えるものだ」と、なるほど。

高橋:はい、例えば「ファンにする」ということを一つ取っても、一人一人がどういうふうに反応するかを考えられる。あと、手段が多様で、もっと生活の中に自然に入れるものも含まれると思います。

これまでも「手口フリー(コミュニケーションの手段を自由に適切に選ぶやり方)」みたいなことはいわれてはいましたが、今まではやはりメインにマス広告があってデジタルはそれの一部みたいなことが多かったんです。でもCXクリエイティブでは、割とマスではない領域を主戦場にして戦っていいんだという感覚がある気がします。

Braille Neue 4

月刊CX:Braille Neueはどういった部分がCX的に評価されていると思いますか。

高橋:なぜ今回CXという領域で評価されたのかは僕自身もわからないのですが、あえていうとすれば、Braille Neueは文字というメディアのハックなんですよね。

月刊CX:メディアのハック?それはどのあたりがですか?

高橋:一つは思想性、文字というメディアが持っている情報伝達の機能だけでなく、コミュニケーションのきっかけになることを狙ったということです。
見える人の文字と見えない人の文字が当たり前のように一つになっていることで、今までにないつながりを生み出すデザインになりました。

もう一つは「余白」ですね。クライアントさんがBraille Neueを使うときに「どういうふうに使おうか」と、自由に想像できる余白があります。文字というツールは情報伝達手段として当たり前に使われるツールですが、そこにコミュニケーションの仕掛けを加えたことで、当たり前に使われるものになったというのは大きいと思います。

月刊CX:使い方を想像できる余白。

高橋:例えばこれを使って、あるファッションブランドが「Braille Neueとコラボレーションした服を出そう、触ってわかる服を作ってみよう」みたいなことをいってくれたんです。今まで点字というものがファッション業界で脚光を浴びるみたいなことはなかったので、これはちょっとした領域拡張ですよね。

月刊CX:広がってますね。

高橋:今まで触れたことのない人がその潮流の中に入ってくる感じが面白いなと思ったんです。

例えば視覚障がいの人に「自分で色あわせがわからないから、だいたいモノトーンの服を着ちゃう」みたいな、ファッションから実は疎外されていたという話を聞きました。「でもお気に入りの服を着るとやはり気分が上がるんですよね」という気持ちも、もちろんあると。

なので、自分がどういう服を着ているのか、というのを説明できるだけでも、もうそれは相当いいですね、と感想をいただきました。

見える人だけの業界だったものに、こういうエッセンスが入ると、今までよりも市場がちょっと大きくなる。

月刊CX:それまで疎外されていた人たちがファッションという潮流の中に入ってくる。それは明らかな「領域拡張」ですね!そのBraille Neueの服には何と書いてあるんですか?

高橋:普通にブランド名が書いてあるものと、あとは「暗闇の中の光」について書かれた詩が書いてあります。友達にあげたら、「実はここにね」って言っていろんな人に触れてもらったりして、それがコミュニケーションのきっかけになってるよと言っていました。

月刊CX:渋谷区の方ではBraille Neueを体験した人たちにどんな反応がありましたか。

高橋:はい、やはり良かったのは「見える人が興味を持ってくれる」ところでした。
この書体が狙っているのは、見える人が見えない人の世界に興味を持つ入り口になる、ということなので。

月刊CX:見えない人のものであったはずの点字をハックして、それに見える人が反応するというのは面白いです。視覚障がいのある人とない人とが同じ文字から同じ情報を得られているのは、とても不思議ですてきな状況ですね。

高橋:CXでいうところのジャーニーマップの中での拡張ではなく、「カスタマー」の領域をもうちょい広げたいという思いはあります。

以前、目が見えず、耳が聞こえない盲ろうの友人から知った「触手話(しょくしゅわ)」という、手で手話に触れて読み取るコミュニケーション方法から発想して、「LINKAGE(リンケージ)」という指で遊ぶゲームを作ったんですけど、それも領域を拡張するものでした。

【LINKAGE】
カードの指示に合わせて、棒でくずれないように指同士をつないでいくだけのシンプルなゲーム。
 
LINKAGE
LINKAGE2

月刊CX:それはどのようなものでしたか?

高橋:はい、僕自身が盲ろうの友人と初めて出会ったときの「まずどうやって会話したらいいんだろう?」みたいなところから始まって、知らない人と仲良くなるための緩衝地帯みたいな、両者が対等に混ざり合っちゃう領域を新しく生み出すものにしました。

ユニバーサルデザインはとてもすてきな概念ですが、ともすれば、障がいのある人のことを「仲間に入れてあげる」みたいな優劣の意識を感じる場合があります。そうではなくて、互いにフラットになれるルールみたいなものをつくっていきたいです。

ヒントは、人間の普遍性

月刊CX:たしかに、LINKAGEもBraille Neueも、一方が他方に入っていく形ではなく、中間領域というか、両側が対等に入れる世界になってますね。高橋さんは、インクルーシブなテーマに限らず、毎日のようにさまざまな発明をしていますが、アイデアを思いつこうとするとき、どこを入り口にしているのでしょう?

高橋:ものをつくるときのテーマは、コミュニケーションをもっと円滑にするような、アイスブレイク的なものが多いです。

今まで会ったことない人とスムーズに同じ土俵に立てる仕組みとか、そういうものですね。自分自身が、パーティとかになると端っこで「どうやって話そう……」みたいになっちゃうタイプなので、話すきっかけがやはり欲しいな、というところからものづくりを始めることが多いです。

月刊CX:新しいコミュニケーションの形をつくろう!みたいなところから入ることも多いわけですね。コミュニケーションがテーマではない発明の場合だと、どういった発想によって自分を発明にたどり着かせていますか?

高橋:あまり難しく考えずに、何かこう「これがもうちょいこうだったらいいのに」みたいな、割とモノ起点で考えることが多いです。

やはりハック思考を持っているせいか、全く新しいものをつくるよりも、今あるものにちょっと工夫してあげた方が受け入れられやすいかな、っていうのは、頭の中に置いてやっています。

例えば以前やった、ペットボトルのキャップで組み立てる建築「CAPNUT(キャップナット)」では「ペットボトルは誰でも締められるネジだ」という点が発想のポイントでした。

【CAPNUT】
誰もが知っていて、どこにでもあるペットボトルのキャップを用いて組み立てられる生活用品をデザインするプロジェクト。
 
CAPNUT

月刊CX:ペットボトルのキャップは、誰でも締められるし、開けられると。

高橋:ペットボトルのこのネジを締めるというUIは世界中どこでも共通で、どんな年齢の人でも組み立てられる。そして、よくよく調べるとコカ・コーラのボトルは世界中のどこでも売っているぞ、っていう。この二つの「普遍性」っていうんですかね。そういった普遍的な人間の行為みたいなものを発見できるとプロジェクトがぐっと進みます。

月刊CX:モノの中に隠れてるわけですね、人間の本能だったりモノの性質だったりみたいな普遍性が。発明というよりは、それを発見する喜びみたいなものがまずあるんですね。

高橋:そうですね。人間がついやっちゃう行動とか、普遍的な心理はやはり面白い。
今までやってきた発明は、そういうところを面白く感じてるんだなっていうところはあります。
でも法則化をめちゃくちゃ意識してるわけじゃなく、つくり方もどんどん新しくなるだろうなと考えています。

月刊CX:その取り出した普遍性みたいなものを使って生み出すものは、人を笑わせるものとかおかしなものよりは、役に立つものが多いですか?

高橋:どちらも……ですかね。真面目すぎるとつまらないので、役立つものほど楽しいとか面白い側面を意識しますし、馬鹿馬鹿しいものほど実用的な側面を意識します。

普遍性があるものだったら、せっかくだったら世の中がちょっと良くなったらいいなと思います。だから、これ面白いなと思ったら、つぎは、それにまつわる社会課題などをリサーチし始めます。例えば、コカ・コーラとマクドナルドはやや貧困率の高い地域でも手に入れることができる、とか。で「へー知らんかった!」って。

月刊CX:ペットボトルという、プラスチックを世の中に生み出し続けること自体が環境に対する負荷、みたいな批判もあるものを使って、それを少しだけ善に向かわせるというところにも、インパクトがありますね。

高橋:はい。あと、普遍性だけをストックしておくと、あとで何かに結びつくことがあって面白いです。「ペットボトルのフタをネジとして使えないか」とか、こういうアイデアの話をすると、クライアントさんが「それだったら何か一緒にできないかな」と発火してくれることがあって、そういう瞬間もすごく好きです。

月刊CX:高橋さんの話を聞いていると、CXの「カスタマー」が指すものが、通常の意味よりも広く感じられてきますね。

高橋:そうですね。カスタマーは和訳が良くないですよね。「顧客」とか「購入する人」ってなんか嫌な感じがします。

月刊CX:「お金をもらう対象」みたいな印象が「カスタマー」には強いからですかね。
無償でサービスを受ける人もカスタマーというので、一概に金銭が発生するという意味だけじゃないとは思いますが。

高橋:ぼく「課題ラボ」というプロジェクトにも参加してまして、その中で「日本人の市民意識」っていう話を聞いたんです。「市民:シチズン」っていう言葉には、集団の「主体的な」構成員って意味があるらしいんですけど、自分のつくるものが、そういう、主体的に良い行動をする人を増やすことにつながっていてほしいなって思います。
別に自分がすごく良い人間だってわけじゃないんですけど。(笑)
もうちょっと相手の中の良心を引き出す何かをつくっていけるといいんだろうなって、そうありたいなって。

月刊CX:CXは、カスタマーエクスペリエンスではなくて、シチズンエクスペリエンスだと。

高橋:(ここで初めてシチズンの頭文字がCであることに気づいて)あっ……!はい、そうです、そうです!(笑)

月刊CX:いや、面白いですね。メディアのハック、人間の普遍性から、市民の定義まで、今日は幅広いお話をありがとうございました!

高橋:はい、ありがとうございました。
 

月刊CX編集部ロゴ
月刊CX編集部
電通CXCC 小池 小田 高草木 金坂
Twitter

発明家はどのようにしてCX領域を拡張するのか?

広告・マーケティング領域をはじめとしてさまざまな領域で求められるCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)の設計に対して、電通のクリエイティブはどのように貢献できるのか?
この「月刊CX」では、電通の専門部署「CXCC」(カスタマーエクスペリエンス・クリエーティブ・センター)メンバーが具体的な事例を掘り下げることでCX領域におけるクリエイティブの役割と可能性を探求します。(月刊CXに関してはコチラ

第2回は、電通内のアワードを受賞した、目で読める点字「Braille Neue(ブレイルノイエ)」をメインの題材にして、その作者である“発明家”高橋鴻介氏に「CXクリエイティブとは何か」についてお聞きしました。

高橋氏
【高橋鴻介氏プロフィール】
電通 カスタマーエクスペリエンス・クリエーティブ・センター
東京生まれ、秋葉原育ち。インタラクティブコンテンツの制作や公共施設のサイン計画を手掛けつつ、発明家としても活動。墨字と点字を重ね合わせた書体「Braille Neue」、触手話をベースにしたユニバーサルなコミュニケーションゲーム「LINKAGE」など、発明を通じた新規領域開拓をライフワークにする。主な受賞歴にWIRED Audi INNOVATION AWARD、INDEX: Design Award、TOKYO MIDTOWN AWARDなど。


【Braille Neue】
目で読める墨字と指で読める点字が一体になったユニバーサルな書体
 
Braille Neue 1
Braille Neue 2

小さな「面白いな……」から、発明は始まる

月刊CX:はじめに、この「Braille Neue」が生まれたきっかけなどについて、簡単に教えてください。

高橋:もともと僕は大学でプロダクトデザインを学んでいたのですが、授業で社会課題に関係した課題提出がとても多く、自分の中で「デザイン」というと、そういった社会課題に取り組むこと、というイメージがありました。
そんな気持ちで電通に入って、最初に誘ってもらったのが、「NIN_NIN(ニンニン)」という視覚障がいがある人のニーズから生まれた肩乗りロボットでした。

そういったことがきっかけになって、見えない人と見える人が混ざり合うイベントを先輩と一緒に企画したときに、視覚障がいがある友人が点字を実際に読んでる様子を初めて見たんです。そこで「点字って、こんなふうに読むんだ!」とか「こういう仕組みなんだ!」という発見がありました。

月刊CX:たしかに、視覚障がいの人が点字を読むスピードを目の当たりにしたことはないかもしれません。

高橋:点字は駅や街のあちこちにあるけど、読んでる様子を意外と見たことないなって。僕もそこですごく興味を持ちました。「点字、面白いな」と。

そのとき、その友人に「高橋くんも点字が読めるようになると暗闇で本が読めるよ」って言われてさらに興味が湧いたんです。

でもいきなり点字を読むっていうのは、あまりに難易度が高いので、その世界に入る補助段になるようなものがあったらいいなと思って「点字に線を引いて、まずは読める文字にしてみよう」というアイデアが生まれた。そんな本当に落書きみたいなことからBraille Neueは始まりました。

Braille Neue 3

高橋:それを先輩に提案してみたところ「これ、イベントで使ってみようよ」ということになって。実際に立体印刷で、イベントのロゴをつくったり、首から下げる参加証に使ったりしました。
そのとき、晴眼者と視覚障がい者がそれを介して会話しているのを見て、この文字が「人をつなぐツール」になっていることを発見したんです。

月刊CX:人をつなぐツール?

高橋:同じツールを使うことで、今まで関わったことのない人との出会いのきっかけが生まれる、ということです。
それで、これはちょっと意味がありそうだぞ……と思ってTwitterに上げたら、いろんなところから反響があったので、一緒に形にしてくれそうなところがないかなと探した結果、渋谷区さんと出会いました。

月刊CX:最初は渋谷区だったんですね。

高橋:渋谷区長さんにプレゼンをしに行ったら、その場で「いいじゃん、これ渋谷から世界に広げようぜ」と言ってくださって。その場で福祉課の方を紹介してもらい、渋谷区の施設への導入がそこから始まりました。

月刊CX:いきなり好スタートですね!

高橋:もちろん、その前にもたくさんの企業さんとお話ししましたが、なかなか実施まで進めなかったんです。でも、渋谷区に実装されてから、いろんな企業さんから声がかかるようになりました。今は、とある製薬メーカーの視覚障がいのある職員さんとつながって、一緒にその会社のサイン計画(施設内の案内表示)をBraille Neueを使いつつ改善しています。

月刊CX:視覚障がいのある人を介して広がっていくのはBraille Neueならではですね。

高橋:「点字って面白いな、何か可能性ありそうだな」みたいな好奇心から始まったものが、つくってみたらそのツール自体を通じて今まであまり関わったことがない人との出会いのきっかけになって、そこから想像もしなかったところにつながりが広がっていくのが面白いですね。

Braille Neue

CXクリエイティブとは、「一人一人に寄り添えるもの」

月刊CX:この連載では、さまざまな事例を通じて「CXクリエイティブとは何か?」という問いを掘り下げることをテーマにしています。このBraille Neueが電通社内のCXアワードを受賞したことも踏まえまして、高橋さんは「CXクリエイティブ」という言葉の意味をどのように考えていますか?

高橋:まず、自分が(局を異動して)CXクリエーティブ局の所属になると聞いたときに「そっちの方が今やってることがやりやすくなるかも」と思った記憶があります。

月刊CX:ほう、それはなぜでしょう?

高橋:CXクリエイティブは、マスクリエイティブよりも、もうちょっと距離感が「人に近い」気がしたんです。今までのいわゆるマス広告やデジタル広告は、結構「1対多」というか、大きい集団に向けて打つもののイメージがあったんです。

その「たくさんの人を楽しませようぜ」というのがマスクリエイティブだとすると、CXクリエイティブは、もうちょっと、一人一人に寄り添ったことができそうだな、という意識がありました。

月刊CX:CXとは「大きな集団ではなく、一人一人に寄り添えるものだ」と、なるほど。

高橋:はい、例えば「ファンにする」ということを一つ取っても、一人一人がどういうふうに反応するかを考えられる。あと、手段が多様で、もっと生活の中に自然に入れるものも含まれると思います。

これまでも「手口フリー(コミュニケーションの手段を自由に適切に選ぶやり方)」みたいなことはいわれてはいましたが、今まではやはりメインにマス広告があってデジタルはそれの一部みたいなことが多かったんです。でもCXクリエイティブでは、割とマスではない領域を主戦場にして戦っていいんだという感覚がある気がします。

Braille Neue 4

月刊CX:Braille Neueはどういった部分がCX的に評価されていると思いますか。

高橋:なぜ今回CXという領域で評価されたのかは僕自身もわからないのですが、あえていうとすれば、Braille Neueは文字というメディアのハックなんですよね。

月刊CX:メディアのハック?それはどのあたりがですか?

高橋:一つは思想性、文字というメディアが持っている情報伝達の機能だけでなく、コミュニケーションのきっかけになることを狙ったということです。
見える人の文字と見えない人の文字が当たり前のように一つになっていることで、今までにないつながりを生み出すデザインになりました。

もう一つは「余白」ですね。クライアントさんがBraille Neueを使うときに「どういうふうに使おうか」と、自由に想像できる余白があります。文字というツールは情報伝達手段として当たり前に使われるツールですが、そこにコミュニケーションの仕掛けを加えたことで、当たり前に使われるものになったというのは大きいと思います。

月刊CX:使い方を想像できる余白。

高橋:例えばこれを使って、あるファッションブランドが「Braille Neueとコラボレーションした服を出そう、触ってわかる服を作ってみよう」みたいなことをいってくれたんです。今まで点字というものがファッション業界で脚光を浴びるみたいなことはなかったので、これはちょっとした領域拡張ですよね。

月刊CX:広がってますね。

高橋:今まで触れたことのない人がその潮流の中に入ってくる感じが面白いなと思ったんです。

例えば視覚障がいの人に「自分で色あわせがわからないから、だいたいモノトーンの服を着ちゃう」みたいな、ファッションから実は疎外されていたという話を聞きました。「でもお気に入りの服を着るとやはり気分が上がるんですよね」という気持ちも、もちろんあると。

なので、自分がどういう服を着ているのか、というのを説明できるだけでも、もうそれは相当いいですね、と感想をいただきました。

見える人だけの業界だったものに、こういうエッセンスが入ると、今までよりも市場がちょっと大きくなる。

月刊CX:それまで疎外されていた人たちがファッションという潮流の中に入ってくる。それは明らかな「領域拡張」ですね!そのBraille Neueの服には何と書いてあるんですか?

高橋:普通にブランド名が書いてあるものと、あとは「暗闇の中の光」について書かれた詩が書いてあります。友達にあげたら、「実はここにね」って言っていろんな人に触れてもらったりして、それがコミュニケーションのきっかけになってるよと言っていました。

月刊CX:渋谷区の方ではBraille Neueを体験した人たちにどんな反応がありましたか。

高橋:はい、やはり良かったのは「見える人が興味を持ってくれる」ところでした。
この書体が狙っているのは、見える人が見えない人の世界に興味を持つ入り口になる、ということなので。

月刊CX:見えない人のものであったはずの点字をハックして、それに見える人が反応するというのは面白いです。視覚障がいのある人とない人とが同じ文字から同じ情報を得られているのは、とても不思議ですてきな状況ですね。

高橋:CXでいうところのジャーニーマップの中での拡張ではなく、「カスタマー」の領域をもうちょい広げたいという思いはあります。

以前、目が見えず、耳が聞こえない盲ろうの友人から知った「触手話(しょくしゅわ)」という、手で手話に触れて読み取るコミュニケーション方法から発想して、「LINKAGE(リンケージ)」という指で遊ぶゲームを作ったんですけど、それも領域を拡張するものでした。

【LINKAGE】
カードの指示に合わせて、棒でくずれないように指同士をつないでいくだけのシンプルなゲーム。
 
LINKAGE
LINKAGE2

月刊CX:それはどのようなものでしたか?

高橋:はい、僕自身が盲ろうの友人と初めて出会ったときの「まずどうやって会話したらいいんだろう?」みたいなところから始まって、知らない人と仲良くなるための緩衝地帯みたいな、両者が対等に混ざり合っちゃう領域を新しく生み出すものにしました。

ユニバーサルデザインはとてもすてきな概念ですが、ともすれば、障がいのある人のことを「仲間に入れてあげる」みたいな優劣の意識を感じる場合があります。そうではなくて、互いにフラットになれるルールみたいなものをつくっていきたいです。

ヒントは、人間の普遍性

月刊CX:たしかに、LINKAGEもBraille Neueも、一方が他方に入っていく形ではなく、中間領域というか、両側が対等に入れる世界になってますね。高橋さんは、インクルーシブなテーマに限らず、毎日のようにさまざまな発明をしていますが、アイデアを思いつこうとするとき、どこを入り口にしているのでしょう?

高橋:ものをつくるときのテーマは、コミュニケーションをもっと円滑にするような、アイスブレイク的なものが多いです。

今まで会ったことない人とスムーズに同じ土俵に立てる仕組みとか、そういうものですね。自分自身が、パーティとかになると端っこで「どうやって話そう……」みたいになっちゃうタイプなので、話すきっかけがやはり欲しいな、というところからものづくりを始めることが多いです。

月刊CX:新しいコミュニケーションの形をつくろう!みたいなところから入ることも多いわけですね。コミュニケーションがテーマではない発明の場合だと、どういった発想によって自分を発明にたどり着かせていますか?

高橋:あまり難しく考えずに、何かこう「これがもうちょいこうだったらいいのに」みたいな、割とモノ起点で考えることが多いです。

やはりハック思考を持っているせいか、全く新しいものをつくるよりも、今あるものにちょっと工夫してあげた方が受け入れられやすいかな、っていうのは、頭の中に置いてやっています。

例えば以前やった、ペットボトルのキャップで組み立てる建築「CAPNUT(キャップナット)」では「ペットボトルは誰でも締められるネジだ」という点が発想のポイントでした。

【CAPNUT】
誰もが知っていて、どこにでもあるペットボトルのキャップを用いて組み立てられる生活用品をデザインするプロジェクト。
 
CAPNUT

月刊CX:ペットボトルのキャップは、誰でも締められるし、開けられると。

高橋:ペットボトルのこのネジを締めるというUIは世界中どこでも共通で、どんな年齢の人でも組み立てられる。そして、よくよく調べるとコカ・コーラのボトルは世界中のどこでも売っているぞ、っていう。この二つの「普遍性」っていうんですかね。そういった普遍的な人間の行為みたいなものを発見できるとプロジェクトがぐっと進みます。

月刊CX:モノの中に隠れてるわけですね、人間の本能だったりモノの性質だったりみたいな普遍性が。発明というよりは、それを発見する喜びみたいなものがまずあるんですね。

高橋:そうですね。人間がついやっちゃう行動とか、普遍的な心理はやはり面白い。
今までやってきた発明は、そういうところを面白く感じてるんだなっていうところはあります。
でも法則化をめちゃくちゃ意識してるわけじゃなく、つくり方もどんどん新しくなるだろうなと考えています。

月刊CX:その取り出した普遍性みたいなものを使って生み出すものは、人を笑わせるものとかおかしなものよりは、役に立つものが多いですか?

高橋:どちらも……ですかね。真面目すぎるとつまらないので、役立つものほど楽しいとか面白い側面を意識しますし、馬鹿馬鹿しいものほど実用的な側面を意識します。

普遍性があるものだったら、せっかくだったら世の中がちょっと良くなったらいいなと思います。だから、これ面白いなと思ったら、つぎは、それにまつわる社会課題などをリサーチし始めます。例えば、コカ・コーラとマクドナルドはやや貧困率の高い地域でも手に入れることができる、とか。で「へー知らんかった!」って。

月刊CX:ペットボトルという、プラスチックを世の中に生み出し続けること自体が環境に対する負荷、みたいな批判もあるものを使って、それを少しだけ善に向かわせるというところにも、インパクトがありますね。

高橋:はい。あと、普遍性だけをストックしておくと、あとで何かに結びつくことがあって面白いです。「ペットボトルのフタをネジとして使えないか」とか、こういうアイデアの話をすると、クライアントさんが「それだったら何か一緒にできないかな」と発火してくれることがあって、そういう瞬間もすごく好きです。

月刊CX:高橋さんの話を聞いていると、CXの「カスタマー」が指すものが、通常の意味よりも広く感じられてきますね。

高橋:そうですね。カスタマーは和訳が良くないですよね。「顧客」とか「購入する人」ってなんか嫌な感じがします。

月刊CX:「お金をもらう対象」みたいな印象が「カスタマー」には強いからですかね。
無償でサービスを受ける人もカスタマーというので、一概に金銭が発生するという意味だけじゃないとは思いますが。

高橋:ぼく「課題ラボ」というプロジェクトにも参加してまして、その中で「日本人の市民意識」っていう話を聞いたんです。「市民:シチズン」っていう言葉には、集団の「主体的な」構成員って意味があるらしいんですけど、自分のつくるものが、そういう、主体的に良い行動をする人を増やすことにつながっていてほしいなって思います。
別に自分がすごく良い人間だってわけじゃないんですけど。(笑)
もうちょっと相手の中の良心を引き出す何かをつくっていけるといいんだろうなって、そうありたいなって。

月刊CX:CXは、カスタマーエクスペリエンスではなくて、シチズンエクスペリエンスだと。

高橋:(ここで初めてシチズンの頭文字がCであることに気づいて)あっ……!はい、そうです、そうです!(笑)

月刊CX:いや、面白いですね。メディアのハック、人間の普遍性から、市民の定義まで、今日は幅広いお話をありがとうございました!

高橋:はい、ありがとうございました。
 

月刊CX編集部ロゴ
月刊CX編集部
電通CXCC 小池 小田 高草木 金坂
Twitter

LINE、トレジャーデータ、電通が語る Cookieフリー時代におけるデータパートナーシップの現在と未来

LINE 徳重航氏、トレジャーデータ 山森康平氏、電通 前川駿氏

データ活用とプライバシー保護の機運が高まるなか、クッキーの利用制限をはじめ、デジタルマーケティングの世界は大きな転換期を迎えています。

この転換期に、企業のマーケティング担当者はどのようにあるべきなのでしょうか。

企業にCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を提供するトレジャーデータと、データのマーケティング活用に造詣の深い電通グループが、「データ」というキーワードを巡る最新の知見を発信する本連載。

今回は、ソリューションとしての「ファーストパーティデータ活用」と、「デジタルプラットフォーマーのデータとの連携」をテーマに、LINEの徳重航氏、トレジャーデータの山森康平氏、電通の前川駿氏による鼎談をお送りします。


<目次>
Cookieレスではなく「Cookieフリー」。データが生活を豊かにする時代に
CDPとデータクリーンルームが、クライアントのDX課題を解決する
月間アクティブユーザー8900万人のLINEが、データマーケティングの鍵を握る

Cookieレスではなく「Cookieフリー」。データが生活を豊かにする時代に

──はじめに自己紹介をお願いします。

前川:私は電通のデータ・テクノロジーセンターという部署で、プラットフォーマーとのデータ連携を通じて、クライアントのマーケティングを支援するデータ分析ソリューションの開発・運用を担当しています。

「人の日々の生活にメリットのあるデータの在り方とは?」「人の心が動くデータの使い方とは?」を日々考え、広告領域にとどまらず、営業販促やCRM(Customer Relationship Management、顧客管理)活動でのデータ連携を実践し、クライアントのビジネスプロセスのDXにつなげています。

徳重:LINEのデータソリューション室で、広告領域におけるLINEのデータ活用や、外部の企業と連携した広告配信やレポート機能などの事業企画・開発を行っております。またLINEだけでなく、Zホールディングス全体のデータ共通基盤の構築にも携わっています。

山森:私はトレジャーデータで、「パートナーシップ」と「ビジネスデベロップメント」の担当執行役員をしています。LINEのようにプラットフォームや各種データ活用ツール、ソリューションを持つ企業とのパートナーシップも構築しています。

また、昨今の「データとプライバシー」の問題など、世の中で注目を集めるテーマについて、今何が起きているか、そして企業がどのような対応をすべきかを、トレジャーデータのクライアント企業に伝える役割も担っています。

──まず前川さんに伺います。デジタルマーケティングは今、大きな転換点を迎えているといわれますが、具体的にどんな変化が生じていますか?

前川:プライバシー保護の機運が高まる中で、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といった個人情報の取り扱いに関する法制度が、各国・地域で運用開始されています。日本でも、2022年4月に改正個人情報保護法が施行予定です。

技術面では、「サードパーティクッキー」や「アプリの広告識別子」の利用が制限されることが大きな変化です。その結果、クッキーによって実現していた「リターゲティング」という方法や「ビュースルーコンバージョン」といった広告効果計測にも影響があります。

──この転換期に、企業のマーケティング担当者はどうあるべきでしょうか?

前川:まず、第一に考えるべきは、データは企業の所有物ではなく、一人一人の個人から許諾を得て、お預かりしているものだということです。「刈り取り」「獲得」「トラッキング」といった言葉も、「データは個人からお預かりしている」という意識が根ざしていれば、自然と使うことに抵抗感が出てくると思っていますし、そのことが、私たちが個人データを適切に取り扱いつつ、ユーザーに便益をもたらす“Cookieフリー”アプローチを模索する第一歩だと思います。

その上で、ではどんなアクションを取っていくのか。商品・サービスの課題によって戦略は異なるので、一般的な解はないと思いますが、あえていえば今現在、クライアントからよく聞かれるのは「クッキーが使えなくなっていく潮流“Cookieレス”について、いろいろな情報が錯綜しているので、組織全体での中長期戦略を立てるのが難しい」という声です。

そこでまずは、“Cookieレス”といわれる状況に対し、クッキーの代替手段や、中長期的なサプライサイド(広告配信プラットフォーム)の動きを客観的に俯瞰しておくことが重要だと思います。

Cookieレスに対応するソリューションのまとめ方はいろいろですが、一つの俯瞰の仕方として「ID」の在り方に注目すると、大きく三つのアプローチがあります。

図:プライバシー保護の潮流に対する広告業界(主にサプライサイド)の3つのアプローチ
図:プライバシー保護の潮流に対する広告業界(主にサプライサイド)の三つのアプローチ

前川:一つ目は、「人単位でないターゲティング手法」というアプローチです。有力なものに、“コンテクスチュアル(文脈)ターゲティング”があります。これ自体はもともと存在していたソリューションですが、Cookieレスの文脈で改めて注目を集めています。

【関連記事】
「文脈ターゲティング」、驚異の効果!次世代の運用型広告とは?
https://dentsu-ho.com/articles/7879

 

二つ目は「集団単位を対象にしたターゲティング手法を新たに構築する」というもの。例えばGoogleが主導する「FLoC」(Federated Learning of Cohorts)では、似たブラウジング習慣を持つユーザー群を一つの「コホート」として、コホート単位で IDを発行し、それを基にターゲティングします。

三つ目は、「適切な同意許諾に基づき、人単位のターゲティングを維持する」アプローチです。多くのデジタルプラットフォーマーは、コンテンツ、サービス、ポイントなどのメリットをユーザーに提供した上で、「マーケティング活用目的での使用許諾」の取れたログインIDを大規模に保有しています。そのログインIDを分析、ターゲティング、計測に用います。個人情報保護の潮流を踏まえて、デジタルプラットフォーマーでは、「いかにプライバシーを守るか」の研究・開発が進んでいます。

Cookieレスに対応した、サプライサイド各社によるこれらのソリューションを、三つのアプローチ(①~③)と「投資対効果分析/インサイト分析」「広告ターゲティング」「広告効果計測・最適化」という三つの業務プロセス((a)~(c))で分けると、九つの領域に整理できます。

全てを網羅できてはいませんが、私たちが提供するソリューションを対応させると、以下のようになります。

図:Cookieフリー時代に対応したソリューションの整理
図:Cookieフリー時代に対応したソリューションの整理

──さまざまなソリューションがありますね。特に注力しているものはありますか?

前川:目的によって採用すべきソリューションは変わりますが、本日のテーマでいえば、③です。よりマーケティングの付加価値を高めるという視点では特に、(a)のデータクリーンルームに大きく力を入れています。

【関連記事】
データクリーンルームは「Cookieフリー時代」のマーケティングを変える
https://dentsu-ho.com/articles/7936

 

というのは、電通グループでは、人基点のマーケティング「People Driven Marketing」を推進してきました。しかし手段としてはCookieベースが主流だったPeople Driven Marketingを、これからもクライアントからパートナーに選ばれ続けるために、よりCookieフリー時代に則した形で進化させていく必要があるのです。

そして適切な同意許諾に基づいて人単位を維持するという意味では、クライアント自らが既存顧客から許諾を得て“ファーストパーティデータ(自社が直接管理・所有するデータ)”を活用する基盤、「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」があります。まさにトレジャーデータがサービス提供されている領域ですね。特にCRMにおいて有力なソリューションです。

一方データクリーンルームも、「新規顧客」との接点としての広告施策も含むものですが、「既存顧客」に対しても自社にない新接点でのCRM施策が可能です。

顧客のライフタイムバリュー(LTV)を高めていくCRMの視点では、CDPとデータクリーンルームの“両輪”をワンストップで動かしていくことが、ますます重要になるでしょう。

図:CDPとデータクリーンルームの両輪
図:CDPとデータクリーンルームの両輪

──それらのソリューションに力を入れる背景や理由をもう少し教えてください。

前川:CDPとデータクリーンルームの両輪を回し続けていくことが、最も「データがより人の生活に役に立つ未来を作る」ことにつながると考えるからです。今まで以上に、人々の購買や体験価値に還元する形でデータが活用される世界を、私たちは目指しています。

電通グループでは、クッキーが使えなくなっていくことを、データによって人々の購買やメディア体験が、もっと楽しく、わくわくするものになっていくポジティブな変化だと考えています。

そのため、この潮流を“レス”というネガティブな表現を使わずに“Cookieフリー”と呼び、新たな変革の幕開けと捉えているのです。

図:Cookieフリー時代の新しいマーケティングの構造
図:Cookieフリー時代の新しいマーケティングの構造

前川:CDPやデータクリーンルームは、顧客からデータをお預かりすることが前提です。そのため、顧客の日常体験にきちんと「データ分析の価値」を還元するものでないと持続しません。

両輪を回し続ける中で「顧客の不(不信・不要・不適・不急など)」を見つけ、解消し、結果として顧客の買物やメディアでの日常を豊かにする。それを考えていくことが、Cookieフリー時代のマーケティングの在り方だと思います。

CDPとデータクリーンルームが、クライアントのDX課題を解決する

──現在、データクリーンルームにはどんな活用事例がありますか?

前川:データクリーンルームならではの価値ということでは、食品メーカーの販促での活用事例があります。

ある食品ブランドを担当するマーケターの方が、「商品への応募シールの添付」「商品配送」のコストを考え、販促領域をデジタル化したいと考えていました。しかし、デジタル販促は費用対効果がはっきりしないので、なかなか踏み込めないという課題がありました。

そこで、トライアルとしてデジタル販促を実施していただき、データクリーンルームを使って、マーケティング施策としてのデジタル販促の「位置づけ」や「価値」を検証しました。

結果、デジタル販促は顧客がインセンティブを得るための面倒な応募や手間が比較的少ないため、ポイント目的の人だけでなく、幅広い顧客に価値を感じてもらえることが分かりました。具体的には、データクリーンルーム内での分析で、以下の3点が明らかになりました。

  1. キャンペーンに参加したうちの約65%もが「新規顧客」である。
  2. もともとは販促では想定しにくかった20代、30代の参加が多い。
  3. 新規顧客は、キャンペーン参加の2カ月後まで継続して商品を購入している。

このような検証は一見当たり前に見えるのですが、実データの世界、特に推計を含み、また長期効果を見ることが難しいクッキーの世界では実現しにくかった分析事例です。

──次にトレジャーデータの山森さんに伺います。こうした変化は、トレジャーデータの取り組みとどうつながるのでしょうか。

山森:はい、前川さんのお話を補完する形で、トレジャーデータのソリューションを紹介させてください。現在、トレジャーデータのクライアントである広告主企業には、かつてないほど「プライバシーに対する配慮」が求められています。データの利用において、法や規制への準拠はもちろん、個人の同意を取った上でマーケティングやCRMを展開することがこれまで以上に大事になってきます。

今後は、パブリックDMPのサードパーティクッキーを活用した顧客データの拡張も、難しくなると考えられます。デジタルマーケティング施策の、例えばリターゲティングの精度も下がる可能性があります。こうした状況にどう対応するか。

まず前提として、企業自らがファーストパーティデータを確実に取得することが最優先です。そしてそのデータの利用についてユーザーの同意を得た上で、例えばデータクリーンルーム内でデジタルプラットフォーマーのデータとの連携を図るといった活用法が重要になるでしょう。

「取得」の次にポイントになるのが、ファーストパーティデータの「管理」です。企業によっては、データがSFA(営業支援システム)、CMS(コンテンツ管理システム)、CRM(顧客関係管理)ツールとバラバラに格納され、それぞれをつなげることが難しいケースがあります。

つまり、部門ごとに個別に管理されているため、せっかくのデータを一気通貫でつなげず、マーケティング施策への活用や効果測定も思うようにできない。いわゆるデータの「サイロ化」です。結果として、全体的なユーザー理解が進まず、クロスセルやアップセルの提案機会を逃したり、解約されてしまったりする。

この問題へのソリューションとして私たちが提供しているのが、社内のさまざまなデータを統合管理できる基盤「Treasure Data CDP」です。

──この課題解決のために、Treasure Data CDPはどのような使い方をされているのでしょうか?

山森:例えばソフトバンクグループの法人営業チームでは、営業担当者3000人のセールス活動を管理できるように、Treasure Data CDPでのデータ集約を進めています。また、ソフトバンクグループが開催する大規模イベント「SoftBank World」では、およそ12万人もの参加者に対してのイベント後のフォローアップも、Treasure Data CDPで一元的に管理、運用されています。

次にUSEN ICT Solutionsでは、「データが散在し営業活動に十分活用できていない」という課題がありました。しかしTreasure Data CDPでデータを統合することで、営業粗利の改善や、リードジェネレーションからセールスクロージングまでのリードタイムの大幅な短縮に成功しています。

そして、広告主企業にとってファーストパーティデータの活用とともに重要なのが、デジタルプラットフォーマーのデータとの連携です。

──2021年8月に、LINEとトレジャーデータの連携強化が発表されましたね。

山森:自社の持つファーストパーティデータと、デジタルプラットフォーマーの保有データをつなぐことで、企業はよりユーザーのことを理解できるようになります。その意味で、月間アクティブユーザー8900万(2021年9月時点)というLINEとの連携強化は大きな意義があると考えています。

LINEとTreasure Data CDPとの連携事例に、ある飲料メーカーのキャンペーンがあります。従来は、缶に貼ってあるシールをハガキに貼り付けて送ってもらうキャンペーンを展開していたのですが、データは手集計で、蓄積できていなかったそうです。

そこで、キャンペーンの応募を全てLINE経由に切り替え、データの入力をいわば「ユーザーにやっていただく」形にしました。それを分析することで、ヘビーユーザーにケース購入を提案したり、シール枚数に応じた配信をしたりと、単にキャンペーンに応募してもらって当選しました、というだけではないコミュニケーションが実現しました。

また、この事例ではクライアントが「予測モデル」の作成に取り組まれています。Treasure Data CDPに蓄積された属性や嗜好データを分析して、より効果が高まるようキャンペーンを改善可能になっています。さらに反応率などを見ながら、ユーザー一人一人に合ったコンテンツを配信し、コミュニケーションを図っています。

今後、CRMの重要性はますます高まります。その点、日本人の大多数が既に使っているLINEは最大規模のプラットフォームです。たとえサードパーティクッキーの利用が制限されたとしても、これまでクッキーを使ってターゲティングしようとしていた人たちが、既にLINE上に存在しているわけです。

適切な活用法で正しくそれらの人たちに届けることができ、コミュニケーションが取れるプラットフォームとして、LINEはトレジャーデータのクライアント企業からも高い関心を集めています。

月間アクティブユーザー8900万人のLINEが、データマーケティングの鍵を握る

──次にLINEの徳重さんから、CDPやデータクリーンルームを含むデータのお取り組みについてお話しいただけますか。

徳重:LINEでは広告のデータ領域において、昨今の市場環境の変化に合わせて「Any1」というコンセプトを掲げています。外部データの連携が難しくなっていく状況下で、マーケティング活用に必要なデータを一つのIDに統合し、「Any person」「Any location」「Any moment」、つまり人、場所、瞬間に合わせたコミュニケーションができるプラットフォームを実現したいと考えているのです。

それを実現するために「LINE DATA SOLUTION」というウェブサイトを立ち上げ、データの収集、統合、連携、分析など、体系的にソリューションをまとめています。クライアントに価値を明示することで、ソリューションを使っていただきたいという思いからです。

LINE DATA SOLUTION
https://data.linebiz.com/

 

「LINEログイン(LINEアカウントを用いたソーシャルログイン)」のデータは、ユーザーの同意を得た上でLINE公式アカウントを使用している企業のファーストパーティデータと共通化可能なので、CRMと非常に相性が良い取り組みができています。また、月間アクティブユーザー8900万人のデータは、海外のプラットフォーマーにはないLINEの強みです。

そして今回、トレジャーデータとの連携強化の取り組みでは、「LINE広告」での配信が可能になりました。Treasure Data CDPを利用しているクライアントが、ファーストパーティデータを利用して広告配信を最適化できるのです。

現在クライアントとのデータ連携で注力しているのが、LINEアカウントで外部のサービスにログインできるLINEログインの普及です。こうしたソーシャルログインは日本ではまだ浸透しているとは言い難いですが、8900万人のユーザーがいるLINEだからこそチャレンジしたいと考えています。

企業にとっては、LINEログインをユーザーに使ってもらうことで、その後自社のLINE公式アカウントに友だち追加してもらい、継続的にコミュニケーションできるメリットが大きいと思っています。

このソリューションは大企業だけではなく、中小企業にも展開します。例えばECプラットフォーマーとの連携を強固にしたパッケージを提供することで、LINEログインやファースパーティデータをより広範な企業に活用いただけると思っています。

他にも、LINEの保持するデータの活用促進に取り組んでいます。例えば「Store Communication構想」というものがあります。同構想の実践として、GPSやWi-Fi、BluetoothとLINE Payなどの購買データを捕捉して、来店推計学習モデルも構築している最中です。来店のシグナルを、リアルタイムの店頭でのコミュニケーションに活用いただきたいですね。

さらに、LINEと経営統合したZホールディングスや、その傘下のYahoo! JAPANを含めてさらなるデータ活用を促進するため、オーディエンス管理などの機能を提供していきます。「LINE Tag」を用いた計測の共通化や、オーディエンスデータの共通化が可能になることで、将来的には、Yahoo! JAPANにおけるクライアント企業のオーディエンスデータとも接続していくことを想定しています。

さて、前川さんとも数年にわたって議論してきましたが、生活者はLINEやYahoo! JAPANの中だけで生活しているわけではありませんよね。テレビを視聴している瞬間もあれば、リアルの店頭に足を運んでいる時もあるわけです。

生活者が日常で触れるさまざまなサービスと、LINEの中にあるさまざまなデータ。それからLINE公式アカウントや、関連サービスをつなぎ合わせる共通基盤として「LINE Ads Data Hub」という広告配信システムを私たちは実現していきたいと思っています。まず先行的に、電通との取り組みを進めてきました。

前川:先ほどお話ししたデータクリーンルームですね。電通としても非常に重要な取り組みです。また、後編でじっくりと語り合えればと思います。

<後編に続く>


トレジャーデータと電通・電通デジタルが協業し提供するソリューションについて、興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
 
【概要資料ダウンロードはこちら】
https://www.treasuredata.co.jp/d-dd-td-download/
【お問い合わせはこちら】
https://www.treasuredata.co.jp/dx-engine-contact-us/

tw