JRA「重賞94連敗」岩田望来に救いの女神降臨!? きさらぎ賞(G3)「紅一点」だからと侮ってはいけない良血馬とは

 先週末に行われた根岸S(G3)は、岩田康誠騎手のテイエムサウスダンが中団から差し切って優勝。5歳にして初のJRA重賞制覇となったが、鞍上は「悲願ではない。これからの馬なので」とコメント。今後もダート短距離界で目が離せない1頭になりそうだ。

 一方、息子の岩田望来騎手が騎乗したスリーグランドは、8番人気で8着。人気通りの着順だが、レースは好位追走から直線そのまま流れ込むようなかたちに終わった。馬の力が足りなかった部分もあるだろうが、勝利を掴むには何かもうひと工夫あっても良かったかもしれない。近頃取り沙汰されている重賞連敗記録は、これで「94」に伸びてしまった。

 そんな岩田望騎手だが、今週末に中京で開催されるきさらぎ賞(G3)では、紅一点のセルケト(牝3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)で挑むことが予定されている。

 同馬は、半兄に2019年の皐月賞(G1)でアタマ差の2着に入ったヴェロックスを持つ良血馬だ。昨年11月の阪神芝1600mのデビュー戦は、1番人気に支持されるも3着。だが、騎乗した福永祐一騎手はレース後、「距離はもう少しあっていいと思う。素質を感じる馬」と、好感触だった。

 その言葉通り、2ハロン距離を延長して臨んだのが前走の中京芝2000mの未勝利戦だ。道中は2番手を追走すると、逃げ切り態勢に入ったヘクトパスカルを直線残り100mで力強く捉え、2戦目で待望の初白星を飾った。

 今回はいきなりの重賞挑戦になるが、陣営は『日刊スポーツ』の取材に対し「調教だけ見たら、もっと上でもやれそう。カイ食いも男馬と遜色ない」と、回答。その証拠に、1週前追い切りでは栗東のウッドコースで僚馬に先着する上々の内容だった。

 とはいえ、やはり牡馬を相手に好走するのは厳しいと思われているようだ。『netkeiba.com』の想定オッズでは、登録13頭のうちの9番人気と下位評価に甘んじている。

 だが、同馬の持ち時計を見れば、上位予想の馬たちとはそれほど実力差が無いようにも見える。

 セルケトが前走で記録した2分00秒8は、きさらぎ賞の1番人気を想定されるダンテスヴューが、昨年10月に同コースの未勝利戦で記録した2分00秒9を0秒1上回っていた。さらに、リューベックが勝った先月の若駒S(L)の勝ちタイムよりも1秒4も速かった。

 きさらぎ賞の登録馬の中で唯一の2勝馬であり、上位人気が予想されるリューベックは、現時点で出否が未確定である。仮に回避すれば、出走全頭が1勝馬の混戦模様となる。そうなれば、牝馬であるセルケトにも一発のチャンスが生まれてくるかもしれない。

「ちなみに15年のきさらぎ賞は牝馬のルージュバックが制しましたが、このときは出走した牡馬の6頭中5頭が1勝馬でした。今年も似たようなメンバー構成になることが予想されるため、セルケトも牝馬ではあるものの決してノーチャンスではないと思います」(競馬誌ライター)

 なおセルケトの馬名の由来は、古代エジプト神話に登場する女神の名前で、呼吸させる者の意だそうだ。言い伝えでは、砂漠の住民たちをサソリの毒や有害な生き物たちの恐怖から救済したという。同馬が岩田望騎手を重賞連敗から救う女神になれるか注目しておきたい。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

JRA C.ルメール「謎の乗り替わり」はカフェファラオを捨てたのか? フェブラリーS(G1)にチラつく「14馬身差」大物候補の存在

 20日、東京競馬場で開催されるフェブラリーS(G1)は、数あるJRA・G1の中で最初に行われるダートのマイル王決定戦だ。

 昨年は、C.ルメール騎手とコンビを組んだカフェファラオ(牡5、美浦・堀宣行厩舎)が、1番人気に応える見事な勝利。ペースを読み切った鞍上の巧みな手綱捌きも、本馬の初G1タイトル獲得に大きく貢献した。

 そして、今年もまたこのレースを目標に調整されているカフェファラオだが、陣営から発表されたのは意外な結果だった。

 フェブラリーSでコンビを組む相手に、これまで主戦を任されてきたルメール騎手ではなく、福永祐一騎手を起用するというのだ。

 近走のカフェファラオは芝の函館記念(G3)を使われて惨敗、4番人気に推されたチャンピオンズC(G1)で11着だったとはいえ、ベスト条件が東京のダート1600。敗因もある程度の推測がつくだけに、今回の乗り替わりは「謎」にも映った。

 勿論、乗り替わる福永騎手もトップジョッキーの一人であり、人選的に大きな割引とはならないかもしれないが、カフェファラオには初騎乗。5年連続リーディングの第一人者を降ろしてまで依頼する相手なのかとなると疑問が残る。

 そこで思い浮かぶのが、ルメール騎手の恩師である藤沢和雄調教師の存在だ。2017年の日本ダービー(G1)をレイデオロで制し、ダービージョッキーとダービートレーナーの栄冠を手にした両者は、蜜月関係を築いてきた。栗東所属のルメール騎手が、関東で騎乗する機会が多いのも、藤沢厩舎の馬を優先している影響が大きいだろう。

 その藤沢厩舎にダートの新星として期待されていたのがクロパラントゥである。

 同馬は中央デビュー後に地方へ移籍して素質を開花。3連勝した中身も2着馬に計14馬身という圧勝で中央へと復帰した。出戻ってからも連勝は続き、昨年11月のシャングリラS(3勝クラス)の勝利で地方時代から6連勝中と日の出の勢い。

 2月に定年を迎える藤沢師としても、これまでダートG1優勝に縁がなかっただけに、今年のフェブラリーSはラストチャンス。何とか出走できればという想いもあったのだろう。

 しかし、前哨戦の根岸S(G3)に登録したものの、あえなく除外。最後の晴れ舞台への出走は叶わなくなってしまった。

「実際のところはどうか分かりませんが、ただでさえ外国人信者といわれる堀先生が、ルメール騎手を降板させた可能性は低いでしょう。カフェファラオが、アーモンドアイやグランアレグリア級なら話も変わりますけど、そこまでの大物ではありません。

まだ先の長い調教師ならともかく、藤沢先生は今月で定年ですから……。師の現役時代で最後のG1に出られそうな期待馬がいたなら、そちらを優先したとしても不思議ではないでしょうね」(競馬記者)

 そのルメール騎手だが、フェブラリーSで新たにコンビを組む相手はテオレーマ。こちらは昨年11月のJBCレディスクラシック(G1)、今年1月のTCK女王盃(G3)を連勝と上昇一途である。

 最終的にカフェファラオとのコンビは解消となったが、ルメール騎手が乗るからには、注意が必要な1頭となりそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

JRA C.ルメール「謎の乗り替わり」はカフェファラオを捨てたのか? フェブラリーS(G1)にチラつく「14馬身差」大物候補の存在

 20日、東京競馬場で開催されるフェブラリーS(G1)は、数あるJRA・G1の中で最初に行われるダートのマイル王決定戦だ。

 昨年は、C.ルメール騎手とコンビを組んだカフェファラオ(牡5、美浦・堀宣行厩舎)が、1番人気に応える見事な勝利。ペースを読み切った鞍上の巧みな手綱捌きも、本馬の初G1タイトル獲得に大きく貢献した。

 そして、今年もまたこのレースを目標に調整されているカフェファラオだが、陣営から発表されたのは意外な結果だった。

 フェブラリーSでコンビを組む相手に、これまで主戦を任されてきたルメール騎手ではなく、福永祐一騎手を起用するというのだ。

 近走のカフェファラオは芝の函館記念(G3)を使われて惨敗、4番人気に推されたチャンピオンズC(G1)で11着だったとはいえ、ベスト条件が東京のダート1600。敗因もある程度の推測がつくだけに、今回の乗り替わりは「謎」にも映った。

 勿論、乗り替わる福永騎手もトップジョッキーの一人であり、人選的に大きな割引とはならないかもしれないが、カフェファラオには初騎乗。5年連続リーディングの第一人者を降ろしてまで依頼する相手なのかとなると疑問が残る。

 そこで思い浮かぶのが、ルメール騎手の恩師である藤沢和雄調教師の存在だ。2017年の日本ダービー(G1)をレイデオロで制し、ダービージョッキーとダービートレーナーの栄冠を手にした両者は、蜜月関係を築いてきた。栗東所属のルメール騎手が、関東で騎乗する機会が多いのも、藤沢厩舎の馬を優先している影響が大きいだろう。

 その藤沢厩舎にダートの新星として期待されていたのがクロパラントゥである。

 同馬は中央デビュー後に地方へ移籍して素質を開花。3連勝した中身も2着馬に計14馬身という圧勝で中央へと復帰した。出戻ってからも連勝は続き、昨年11月のシャングリラS(3勝クラス)の勝利で地方時代から6連勝中と日の出の勢い。

 2月に定年を迎える藤沢師としても、これまでダートG1優勝に縁がなかっただけに、今年のフェブラリーSはラストチャンス。何とか出走できればという想いもあったのだろう。

 しかし、前哨戦の根岸S(G3)に登録したものの、あえなく除外。最後の晴れ舞台への出走は叶わなくなってしまった。

「実際のところはどうか分かりませんが、ただでさえ外国人信者といわれる堀先生が、ルメール騎手を降板させた可能性は低いでしょう。カフェファラオが、アーモンドアイやグランアレグリア級なら話も変わりますけど、そこまでの大物ではありません。

まだ先の長い調教師ならともかく、藤沢先生は今月で定年ですから……。師の現役時代で最後のG1に出られそうな期待馬がいたなら、そちらを優先したとしても不思議ではないでしょうね」(競馬記者)

 そのルメール騎手だが、フェブラリーSで新たにコンビを組む相手はテオレーマ。こちらは昨年11月のJBCレディスクラシック(G1)、今年1月のTCK女王盃(G3)を連勝と上昇一途である。

 最終的にカフェファラオとのコンビは解消となったが、ルメール騎手が乗るからには、注意が必要な1頭となりそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

投資ファンド、セブン&アイにセブン-イレブン分離を要求か…そごう・西武売却の真相

 物言う株主(アクティビスト)と経営陣が共生する時代を迎えた、といわれるようになった。かつては、企業に保有株の買い取りを迫る攻撃型の物言う株主と、それに反発する経営陣が買収防衛策で対抗するなど丁々発止の対立が当り前だったが、物言う株主は経営陣と“ウィンウィン”の関係を目指すようになった。

 共生時代の代表格が米サンフランシスコに本拠を構えるヘッジファンドのバリューアクト・キャピタル・マネジメントである。日本で同社の名が広く知られるようになったのがオリンパスへの社外取締役の派遣だった。バリューアクトは18年5月、オリンパスの5.04%を保有する大株主として登場。19年6月に開かれたオリンパスの株主総会で、バリューアクトのパートナー、ロバート・ヘイル氏が、オリンパスの社外取締役に就任した。オリンパスは医療機器事業へ経営資源を集中するため、20年6月、オリンパスペンとして一世を風靡したカメラ事業から撤退。21年12月には祖業である顕微鏡などの科学事業を切り離した。

 JSRの21年6月の株主総会で、7.33%を保有するバリユーアクトのヘイル氏が社外取締役に就任。JSRは旧社名の日本合成ゴムの由来である祖業のエラストマー(合成ゴム)事業を手放す決断をした。現在はバイオ医薬の製造・開発委託のライフサイエンス事業に経営のカジを切っている。

 伝統事業ほど社内のしがらみが強いとされるが、両社の事例は物言う株主の「外圧」を上手に利用して、経営陣が事業の「選択と集中」を断行したという見方が成り立つ。物言う株主と経営陣がウィンウィンの関係になったといわれるゆえんである。

 バリューアクトが次なるターゲットにしたのがセブン&アイ・ホールディングス(HD)である。セブン&アイHDは、21年5月に手続きを完了した米国のガソリンスタンド併設型コンビニ、スピードウェイの2兆円超の買収をすべて借入金でまかなうなど、財務は悪化をしている。経営改善策を提案する絶好のチャンスだった。

 百貨店部門の売却は決めたが、総合スーパー、イトーヨーカ堂はどうするのか。

セブン-イレブンのスピンアウトを要求

 バリューアクトは21年5月12日、セブン&アイHD株を3800万株以上保有していると発表した。当時の株価で換算すると1740億円を超える。3800万株は全発行済株式の、およそ4.3%に相当し、第4位の大株主になる。バリューアクトは声明で「セブン&アイHDにとってコンビニのセブン-イレブンは重要な中核事業であり、強力なグローバルブランド。フランチャイズビジネスに注力すれば、セブン-イレブンの企業価値は、さらに高まる」と述べた。

 ロイターによると、バリューアクトは投資家向けレターのなかでセブン&アイHDの企業価値の向上策に言及したという。低収益事業のリストラを進め、セブン-イレブン事業に経営資源を集中するか、同事業をスピンアウト(分離・独立)すれば、時価総額は2倍以上になると主張しているというのだ。セブン&アイHDは15~16年、著名アクティビスト、ダニエル・ローブ氏率いる米サードポイントから「不採算事業のイトーヨーカ堂を分離し、儲かっているコンビニ専業に専念すべきだ」との要求を突き付けられた。ローブ氏の揺さぶりによって、セブン&アイHDの“中興の祖”といわれた実力者、鈴木敏文会長が辞任する事態に発展した。創業家、伊藤家の代替わりで鈴木会長が退任に追い込まれたと取り沙汰された。

 だが、総合スーパーのイトーヨーカ堂はセブン&アイHDの祖業であり、死守すべき事業だとの見方が強い。同じ“お荷物”でも鈴木氏が買収した百貨店、そごう・西武とは重みが違う。イトーヨーカ堂に手をつけることはタブーだと見られている。

 ロイターは1月26日、バリューアクトは「株主の懸念に耳を傾け、売却の可能性を含む戦略的選択肢を検討するよう求めた書簡を公開した」と伝えた。取締役会に宛てたものだ。バリューアクトは2月上旬に予定されている次回の定例取締役会の後に、要求に対する公の回答を聞きたい、としている。ロイターによれば、「社外取締役のみで構成する『戦略検討委員会』を設置し、部門の売却やスピンアウトまたは第三者との事業統合が、同社および株主により優れた価値と戦略的利益をもたらすかどうか検討するよう求めた」という。

そごう・西武を売却の方向で最終調整

 セブン&アイHDは複数の投資ファンドや事業会社を売却先として西武・そごうの百貨店部門の売却の検討を始めており、2月中にも選定を始める考えだ。売却額は2000億円規模に上るとみられている。セブン&アイHDは2006年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を買収した。現在、西武池袋本店(東京都豊島区)やそごう横浜店(横浜市)など10店舗(そごう6店舗、西武4店舗)を展開している。秋田、埼玉、千葉、神奈川、福井、広島の各県にも店舗を持っている。

 しかし、コロナ禍での休業や営業時間の短縮を繰り返し、業績は一段と悪化している。インターネット通販の急激な台頭もあり、そごう・西武の21年2月期の最終損益は172億円の赤字だった。営業段階で66億円の赤字になり、「前期(22年2月期)も赤字が続いた」(セブン&アイHD関係者)。これが百貨店部門を売却する引き金になったとの見方が強い。「06年に子会社にして以降、初めて百貨店部門が営業赤字になった衝撃は大きかった」と関係者は証言する。

ヒューリックと組んでヨーカドー再生を図る

 その一方で、イトーヨーカ堂は生き残るために総合スーパーの店舗リストラに乗り出した。21年9月23日、横浜市鶴見区に商業施設「LICOPA(リコパ)鶴見」が開業した。もともとは総合スーパー(GMS)「イトーヨーカドー鶴見店」。約半年間の改装を経てショッピングセンターに生まれ変わった。リコパ鶴見の1階に食品スーパーに業態転換したイトーヨーカドーが入店した。

 不動産大手のヒューリックがこのプロジェクトを手掛けた。ヒューリックは、電通本社ビルやティファニー銀座ビルなど高額物件を手掛けたことで知られている。都心の大型物件だけでなくヨーカドーが入居する郊外の店舗も買い進めてきた。ヒューリックは鶴見店を18年、JXTGホールディングス(現・ENEOSホールディングス)から取得。同時期に近隣の川崎店を、さらに21年8月に千葉県の四街道店の不動産を手に入れた。福島県の福島店も保有している。

 セブン&アイHDはショッピングセンターへの進出で立ち遅れていた。ライバルのイオンがイオンモールを設立して商業施設の運営に積極的に進出し、快進撃を続けているのを指をくわえて眺めているしかなかった。そこで、ヒューリックと組んで、ショッピングセンターの運営に乗り出した。不振の総合スーパーを食品スーパーに切り替えるのが手始めだ。リコパ鶴見はイトーヨーカ堂の店舗リストラのモデルケースといえる。今後もGMSを商業施設に変身させて、収益の改善を急ぐことになる。

 百貨店を売り切って、「物言う株主」を味方につける作戦である。イトーヨーカ堂がしっかり利益を上げることが、百貨店を切り離す作戦の成功を担保しているわけだが、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスがユニーのGMSを再生させたが、同じように総合スーパーの業績を浮上させるのは至難の業だ。

(文=編集部)

 

投資ファンド、セブン&アイにセブン-イレブン分離を要求か…そごう・西武売却の真相

 物言う株主(アクティビスト)と経営陣が共生する時代を迎えた、といわれるようになった。かつては、企業に保有株の買い取りを迫る攻撃型の物言う株主と、それに反発する経営陣が買収防衛策で対抗するなど丁々発止の対立が当り前だったが、物言う株主は経営陣と“ウィンウィン”の関係を目指すようになった。

 共生時代の代表格が米サンフランシスコに本拠を構えるヘッジファンドのバリューアクト・キャピタル・マネジメントである。日本で同社の名が広く知られるようになったのがオリンパスへの社外取締役の派遣だった。バリューアクトは18年5月、オリンパスの5.04%を保有する大株主として登場。19年6月に開かれたオリンパスの株主総会で、バリューアクトのパートナー、ロバート・ヘイル氏が、オリンパスの社外取締役に就任した。オリンパスは医療機器事業へ経営資源を集中するため、20年6月、オリンパスペンとして一世を風靡したカメラ事業から撤退。21年12月には祖業である顕微鏡などの科学事業を切り離した。

 JSRの21年6月の株主総会で、7.33%を保有するバリユーアクトのヘイル氏が社外取締役に就任。JSRは旧社名の日本合成ゴムの由来である祖業のエラストマー(合成ゴム)事業を手放す決断をした。現在はバイオ医薬の製造・開発委託のライフサイエンス事業に経営のカジを切っている。

 伝統事業ほど社内のしがらみが強いとされるが、両社の事例は物言う株主の「外圧」を上手に利用して、経営陣が事業の「選択と集中」を断行したという見方が成り立つ。物言う株主と経営陣がウィンウィンの関係になったといわれるゆえんである。

 バリューアクトが次なるターゲットにしたのがセブン&アイ・ホールディングス(HD)である。セブン&アイHDは、21年5月に手続きを完了した米国のガソリンスタンド併設型コンビニ、スピードウェイの2兆円超の買収をすべて借入金でまかなうなど、財務は悪化をしている。経営改善策を提案する絶好のチャンスだった。

 百貨店部門の売却は決めたが、総合スーパー、イトーヨーカ堂はどうするのか。

セブン-イレブンのスピンアウトを要求

 バリューアクトは21年5月12日、セブン&アイHD株を3800万株以上保有していると発表した。当時の株価で換算すると1740億円を超える。3800万株は全発行済株式の、およそ4.3%に相当し、第4位の大株主になる。バリューアクトは声明で「セブン&アイHDにとってコンビニのセブン-イレブンは重要な中核事業であり、強力なグローバルブランド。フランチャイズビジネスに注力すれば、セブン-イレブンの企業価値は、さらに高まる」と述べた。

 ロイターによると、バリューアクトは投資家向けレターのなかでセブン&アイHDの企業価値の向上策に言及したという。低収益事業のリストラを進め、セブン-イレブン事業に経営資源を集中するか、同事業をスピンアウト(分離・独立)すれば、時価総額は2倍以上になると主張しているというのだ。セブン&アイHDは15~16年、著名アクティビスト、ダニエル・ローブ氏率いる米サードポイントから「不採算事業のイトーヨーカ堂を分離し、儲かっているコンビニ専業に専念すべきだ」との要求を突き付けられた。ローブ氏の揺さぶりによって、セブン&アイHDの“中興の祖”といわれた実力者、鈴木敏文会長が辞任する事態に発展した。創業家、伊藤家の代替わりで鈴木会長が退任に追い込まれたと取り沙汰された。

 だが、総合スーパーのイトーヨーカ堂はセブン&アイHDの祖業であり、死守すべき事業だとの見方が強い。同じ“お荷物”でも鈴木氏が買収した百貨店、そごう・西武とは重みが違う。イトーヨーカ堂に手をつけることはタブーだと見られている。

 ロイターは1月26日、バリューアクトは「株主の懸念に耳を傾け、売却の可能性を含む戦略的選択肢を検討するよう求めた書簡を公開した」と伝えた。取締役会に宛てたものだ。バリューアクトは2月上旬に予定されている次回の定例取締役会の後に、要求に対する公の回答を聞きたい、としている。ロイターによれば、「社外取締役のみで構成する『戦略検討委員会』を設置し、部門の売却やスピンアウトまたは第三者との事業統合が、同社および株主により優れた価値と戦略的利益をもたらすかどうか検討するよう求めた」という。

そごう・西武を売却の方向で最終調整

 セブン&アイHDは複数の投資ファンドや事業会社を売却先として西武・そごうの百貨店部門の売却の検討を始めており、2月中にも選定を始める考えだ。売却額は2000億円規模に上るとみられている。セブン&アイHDは2006年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を買収した。現在、西武池袋本店(東京都豊島区)やそごう横浜店(横浜市)など10店舗(そごう6店舗、西武4店舗)を展開している。秋田、埼玉、千葉、神奈川、福井、広島の各県にも店舗を持っている。

 しかし、コロナ禍での休業や営業時間の短縮を繰り返し、業績は一段と悪化している。インターネット通販の急激な台頭もあり、そごう・西武の21年2月期の最終損益は172億円の赤字だった。営業段階で66億円の赤字になり、「前期(22年2月期)も赤字が続いた」(セブン&アイHD関係者)。これが百貨店部門を売却する引き金になったとの見方が強い。「06年に子会社にして以降、初めて百貨店部門が営業赤字になった衝撃は大きかった」と関係者は証言する。

ヒューリックと組んでヨーカドー再生を図る

 その一方で、イトーヨーカ堂は生き残るために総合スーパーの店舗リストラに乗り出した。21年9月23日、横浜市鶴見区に商業施設「LICOPA(リコパ)鶴見」が開業した。もともとは総合スーパー(GMS)「イトーヨーカドー鶴見店」。約半年間の改装を経てショッピングセンターに生まれ変わった。リコパ鶴見の1階に食品スーパーに業態転換したイトーヨーカドーが入店した。

 不動産大手のヒューリックがこのプロジェクトを手掛けた。ヒューリックは、電通本社ビルやティファニー銀座ビルなど高額物件を手掛けたことで知られている。都心の大型物件だけでなくヨーカドーが入居する郊外の店舗も買い進めてきた。ヒューリックは鶴見店を18年、JXTGホールディングス(現・ENEOSホールディングス)から取得。同時期に近隣の川崎店を、さらに21年8月に千葉県の四街道店の不動産を手に入れた。福島県の福島店も保有している。

 セブン&アイHDはショッピングセンターへの進出で立ち遅れていた。ライバルのイオンがイオンモールを設立して商業施設の運営に積極的に進出し、快進撃を続けているのを指をくわえて眺めているしかなかった。そこで、ヒューリックと組んで、ショッピングセンターの運営に乗り出した。不振の総合スーパーを食品スーパーに切り替えるのが手始めだ。リコパ鶴見はイトーヨーカ堂の店舗リストラのモデルケースといえる。今後もGMSを商業施設に変身させて、収益の改善を急ぐことになる。

 百貨店を売り切って、「物言う株主」を味方につける作戦である。イトーヨーカ堂がしっかり利益を上げることが、百貨店を切り離す作戦の成功を担保しているわけだが、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスがユニーのGMSを再生させたが、同じように総合スーパーの業績を浮上させるのは至難の業だ。

(文=編集部)

 

宇宙ってもうかるの!?開発最前線から考察。【衛星データ編】

日本の宇宙ベンチャーによる「SAR衛星」は何がすごいのか?

宇宙に興味・関心がある人は少なくありませんが、私の経験では、これがビジネスの話となると「夢がありますねー」と、ひとごとに終始してしまいがちです。

多くの人には「宇宙は稼ぐジャンルではない」、そんな固定観念があると感じています。

そこで、宇宙は夢でもなければ特殊な分野でもなく、リアルなビジネスのフィールドだと認識してもらえるように、前・後編に分けて、九州と北海道で宇宙開発に挑むベンチャー2社をご紹介します。

今回取り上げるのは、九州のQPS研究所。光学センサを搭載した人工衛星の「悪天候時や夜間の撮影ができない」という弱点を補える、“合成開口レーダー”を搭載した「小型SAR衛星」の開発に取り組む会社です。

最前線の方々の思いに触れ「日本いいぞ」「宇宙、ひょっとしたらもうかりそう」など、一人でも多くのビジネスパーソンの新たなマインドセットになれば幸甚です。

(文:電通九州 山本圭)

「FUKUOKA SPACE EXPO 2021」(主催:福岡青年会議所・後援:福岡県、JAXA等)より

【スピーカー】
大西俊輔氏(QPS研究所代表取締役社長)
當房睦仁氏(円陣スペースエンジニアリングチーム理事長)
吉原大介氏(九州電力ES事業統括本部イノベーショングループ副長)
和久田昌裕氏(電通九州クリエーティブディレクター/プランナー/コピーライター)
<目次>
「地球のほぼ全地点」を平均10分に1回、観測する。SAR衛星で何が実現する?
宇宙はモノづくり、人づくり。北部九州宇宙クラスター
宇宙を「既知のもの」にするために、意味がないことをやってみる
2005年創業のQPS研究所の小型SAR衛星。2021年12月の時点で累計資金調達額が約72億円と発表
2005年創業のQPS研究所の小型SAR衛星。2021年12月の時点で累計資金調達額が約72億円と発表

「地球のほぼ全地点」を平均10分に1回、観測する。SAR衛星で何が実現する?

「FUKUOKA SPACE EXPO 2021」の様子
「FUKUOKA SPACE EXPO 2021」の様子

──QPS研究所のSAR衛星とは、どんな衛星ですか?

大西:分解能1m以下を実現し、重さ100㎏級のSAR衛星です。分解能1mとは、「観測できる一番小さな値」が1m未満という意味です。実際には、70cmでの観測にも成功しました。例えば、宇宙から地上の車などが認識できます。小型衛星では世界トップレベルの性能と自負しています。

──SAR衛星にはどんな特長がありますか?

大西:地球の75%は夜間または悪天候なので、光学衛星だけでは撮影できる時間帯に制限があります。しかしSAR衛星は、レーダー方式なので、天候や昼夜に関係なく撮影ができます。

重さ約100kgというのもポイントです。大型衛星では、宇宙に打ち上げるのに莫大なコストがかかります。しかしわれわれの衛星は軽いので、その分、多数の衛星を打ち上げることができます。

筆者補足:従来は国家や大企業の専有物だった「衛星」は、格段に軽量で廉価になったようです。日本はまだこれからですが、海外ではこうした衛星ベンチャーに民間マネーがどんどん流れ込んでいます。

──打ち上げ状況は?

大西:2019年12月に初号機、2021年1月に2号機を打ち上げました。2022年は4機打ち上げの計画です。これから毎年複数機の打ち上げを続けて、2025年以降、36機のコンステレーション(※)を目指します。

※衛星コンステレーション……多数の衛星を統合して1つのシステムとして運用すること

 

──QPS-SAR衛星の36機体制で、暮らしや社会はどう変わりますか?

大西:平均10分に1回、地球のほぼどこでも観測できるようになります。すると、スマホで、道路や施設の混雑状況、お店の行列が分かるでしょう。いわば、リアルタイムのグーグルマップです。

公益分野では、防衛・安全保障です。また災害発生時の迅速な状況把握や、インフラ保守などにも役立ちます。さらにSARデータを解析すれば、線路などはミリ単位で高さの変化も分かります。

さらに他のビッグデータと組み合わせて、未来予測ができます。農作物の生育状況を観測して将来価格を予測する、物流や交通量から業績を予測するなど、新しいアプリケーションサービスの創出に貢献できます。

筆者補足:イーロン・マスク氏のスペースX社は衛星分野にも進出し、何と1万機以上を地球低軌道に打ち上げる計画です。このようなモメンタムだと、近い将来、スマホのように、人工衛星も「ひとり1機」の時代が来るかもしれません。底流には、宇宙開発においてアメリカを中心に、政府から民間へプレーヤーの移行が進んでいることがあります。官民がうまくかみ合って、ロケットや衛星が、安く・早く・軽くつくれるようになっています。

宇宙はモノづくり、人づくり。北部九州宇宙クラスター

[左]円陣スペースエンジニアリングチーム理事長・當房睦仁氏[右]QPS研究所代表取締役社長・大西俊輔氏
[左]円陣スペースエンジニアリングチーム理事長・當房睦仁氏[右]QPS研究所代表取締役社長・大西俊輔氏

──円陣スペースエンジニアリングチーム(※)の當房さんに伺います。QPS-SAR衛星の製造で、地元企業の貢献が大きいとのことですが。

※円陣スペースエンジニアリングチーム……福岡県久留米市の中小製造企業が集まり結成した宇宙開発のためのNPO法人。QPS研究所のSAR衛星開発は、こういった地場の20社以上のパートナー企業と一緒に行われている。理事長の當房氏の本業は、フッ素樹脂コーティング加工業を営む睦美化成の社長。

 

當房:衛星には「軽さ」と、ロケットの振動に耐える「強度」が求められます。この相反する要素を解決するために、メンバーで試行錯誤を重ねました。苦労の連続でしたが、宇宙はやりがいが大きい。「あの衛星の部品はどこが作っているのか」、ネジ1本からそういう話になりますから。

宇宙空間で通用したということは、地上のあらゆる環境に対応できる技術の証明になるわけです。福岡県は自動車やタイヤ製造の集積があり、技術分野も多岐にわたって、世界で戦えるレベルです。常に新しいモノづくりに関われるように切磋琢磨していきます。

──インターステラテクノロジズの創業者・堀江貴文さんが、「宇宙開発は産業の総合格闘技」だとおっしゃっていました。そして「日本は自動車のサプライチェーンをもっているから競争で優位に立てる」とも。まさにこのことですね。

大西:そうです。すでにある技術やノウハウをベースにしつつも、宇宙へのチャレンジによって、マニュアルに載っていない技術や考え方が蓄積されていくと思います。宇宙への挑戦とは、産業基盤の下に、先達の知恵や暗黙知を学び、越えていくことに他ならないと思います。

筆者補足:ロケットや衛星は、ファブレス化(※)ができません。製造には、仮説、チームワーク、すり合わせなど、アナログな要件が欠かせないようです。日本の宇宙産業は出遅れが指摘されますが、これらは日本人の得意分野ではないでしょうか。宇宙は、産業創出はもちろん、日本人の仕事へのアイデンティティという点でも、希望を抱かせてくれるフロンティアです。

※ ファブレス化……自社では工場を持たず「企画・開発」に集中して、製造は外部に委託するビジネスモデル。代表例がアップル。 

  

円陣スペースエンジニアリングチームのメンバー
円陣スペースエンジニアリングチームのメンバー

宇宙を「既知のもの」にするために、意味がないことをやってみる

──電通九州のクリエーティブディレクターである和久田さんに伺います。これから宇宙利用がすすむと思いますが、一般にはまだ縁遠いです。宇宙を身近に感じてもらうにはどうすればいいでしょうか?

和久田:例えば福岡ペイペイドームの屋根を開けて、宇宙から試合の様子を見るとか。今どき野球の試合は、ネットで実況されるし、そっちのほうが正確だけど、普及のためにはあえて“意味がない”ことが大事かな、と思います。

2001年に、当時電通にいた高松聡さんが、ポカリスエットのCMを世界で初めて宇宙で撮影しました。誰でも知っている商品が宇宙にいった。その17年後に、イーロン・マスクがロケットに載せて、テスラ・ロードスターという本物の車を打ち上げました。

マスクは車を打ち上げたかったのではなく、夢を売りたかったのだろうと想像します。ポカリスエットや車のように身近なものを用いることで、「未知の世界」である宇宙を「既知の世界」に変えていく作業が必要だと考えています。

──宇宙データ活用のアイデアはありますか?

和久田:データは、特に九州では、農業、漁業といった1次産業にとって有用なものだと思います。農業は伝統的に産地の品目がきまっているそうで、この地だとミカンだとか、ここだとお米とか。しかし地球温暖化の中で、本当にそれでいいのか。もっと最適な品目や品種があるのではないか、と。

さらに、経験を伝える人の高齢化、担い手の不足という、製造業と同じ問題があります。宇宙データやIoTデータを活用することで、生産履歴や栽培方法を引き継げるし、新しいブランド作物が作れるかもしれません。

──最後に、九州電力の吉原さんに伺います。企業として、宇宙データをどのように活用したいですか?

吉原:九州電力としては、宇宙の目を、災害発生時における電柱や鉄塔等の「電力設備の被害状況の把握」に活用できるのではないかと考えています。その活用実績を積み重ねて、全国の他の電力会社にも展開したいです。また、普段の保守点検についても、人がやっていることを衛星データで代替できます。日本の労働力が減少していく中で、いまの水準を維持するためには、衛星は切り札だと思います。

QPS-SAR衛星が撮影した東京ドーム周辺。屋根が薄い膜のため電波が透過し、グラウンドが確認できる。
QPS-SAR衛星が撮影した東京ドーム周辺。屋根が薄い膜のため電波が透過し、グラウンドが確認できる。

《セミナーを終えて》
数多くの衛星が送ってくれるデータで、電通はどんな価値を提供できるかを考えてみます。人やモノの動きを予測して、店舗・倉庫・工場などクライアントのサプライチェーンに関する意思決定の支援ができそうです。また農作物の需給予測に活用すれば、新しい消費者への提案や食品廃棄の低減に貢献できるかもしれません。

すでに、保険会社が災害状況を把握し、迅速な保険金の支払いに活用する、地盤変動をモニタリングして、建設会社や自治体の工事リスクを管理するといった取り組みが始まっています。また、大分県や福岡県が宇宙ビジネス創出推進自治体に選定されるなど、自治体の動きも活発です。そして電通グループでも負けずに、新しいビジネスを創造する取り組みが始動しています。

いずれにせよ、開発に挑む方々が述べたように、挑戦とは「いまの基盤をベースに先達の知恵を学び越えていく」ことです。新たなモノをつくって、新たな知恵を獲得する。新たなビジネス、マネタイズとは、その先の領域にあるということを改めて実感しました。(山本)

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ギャラ飲みアプリに国税調査、“港区女子”に激震…無申告者には査察が来る?

 元国税職員、さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「吾輩は社長である。税務調査はまだない」です。

 Twitterで、税務調査に関する情報が流布されているようです。

 その内容は、“業界シェアNo1”を掲げるギャラ飲みアプリに国税が調査に入り、その際にアプリの運営会社は登録されている女性の名簿を渡したため、同アプリを利用して稼いでいる女性たちに税務調査が行われている、というものです。“港区女子”といわれ、ギャラ飲みやパパ活で報酬を得ている女性たちの間で激震が走っている模様です。

 登録して報酬を得ている人たちは、「勝手に情報を与えるな。個人情報保護法違反ではないのか」と、アプリの事業者に対し憤るかもしれません。しかし、国税の情報照会を受けたアプリの事業者が、それを拒否することは難しいように思います。

 それは、従前は任意で行われていた情報照会が、平成31年3月の改正で税法に明文化されたからです。国税庁が令和元年に発表した『情報照会手続の実施に当たっての基本的な考え方等について』を見てみましょう。

※以下、読みやすさを考慮して一部省略しています。

【事業者等への協力要請】
事業者等への協力要請を行うに当たっては、国税に関する調査について必要があるときに、その調査に関し参考となるべき資料情報に限って行うこととし、(中略)協力要請は調査の対象者が特定されていることを前提としたものではない。

【個人情報保護法等との関係】
事業者等への協力要請については、(中略)個人情報保護法上の制限の対象外となることが明確となった(後略)。

 また、情報照会にあたっては、いくつかの条件を満たす必要があります。

【情報照会のための条件の例】
イ 収集手段の補充性
照会対象となる情報について、他の方法による収集が困難である。

ロ 申告漏れの可能性
報告対象となる取引が、以下の(1)〜(3)のいずれかに該当する
(1)当該取引の課税標準が年間1,000 万円を超える者のうち半分以上に申告漏れが認められる
(2)国税の申告漏れを生じさせることが推測される
(3)特定取引が、経済的必要性の観点から見て通常であればとられないような不合理な取引形態であることにより、国税の申告漏れを生じさせることが推測される

【照会できる情報】
(1)対象者の氏名(名称)
(2)住所
(3)番号(個人番号、法人番号)

 国税側は、なんでもかんでも事業者に対して情報提供を求めることはないけれど、登録者のほとんどに申告漏れがあると考えられるような場合は、放置しないのではないかと推測します。実際、仮想通貨の申告漏れに対し、仮想通貨取引所への照会を経て税務調査が行われていると聞きます。

 では、どういう基準で調査が行われるのでしょうか。

 たとえば、ギャラ飲みやパパ活に利用されるアプリの事業者に対して国税が照会をかけ、登録者のリストを作成したのち、税務調査が行われるとします。このとき、どのような基準で税務調査が行われるかはわかりません。合理性を考慮すれば、売上が大きい登録者で無申告の者を中心に税務調査が行われるのではないでしょうか。

 また、ネット上では「査察が来る」という投稿を見かけますが、これは「マルサ」とも呼ばれる国税局査察部と、一般的な税務調査が混同されているようです。

 アプリを利用して報酬を得ている場合は、査察部による強制調査ではなく、一般的な税務調査が行われることがほとんどだと思います。もちろん、規模が大きく不正がある場合は確定申告をしていたとしても査察部の調査が行われる可能性があります。

 一般的な税務調査が行われるのであれば、管轄の税務署から税務調査の依頼がある、あるいは、資料を持って税務署へ来るように促されます。

 本来、確定申告が必要なのに申告をしていない、いわゆる「無申告」であれば、加算税によって納める税金は増えます。少ない金額だから調査はないと考えている方は、結果的に負担が増えてしまうかもしれません。

 どうしたらよいかわからない場合は、税理士さんに相談するか、管轄の税務署に行きましょう。いつかくる税務調査に怯えるより、正しく申告して日々を楽しく生きたほうが賢明だと個人的には思います。

(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

前澤友作氏の「宇宙からお金配り」にはどういう人が応募したのか?意外な実態

 ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。

 本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。

 前編に続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2021年第4四半期(10~12月)のアプリ利用動向について聞いた。

「宇宙からお金配り」応募者は40代がメイン?

――21年10~12月は、コロナ関係の暗いニュースの中で、明るいニュースとして前澤友作氏が12月8日から20日まで宇宙に行っていましたね。

日影耕造氏(以下、日影) このときに「前澤友作 全員お金贈りfrom宇宙」キャンペーンが行われました。前澤氏は以前からお金配りを行っていますが、今回は外れなしでした。そして、参加するには前澤氏が株主の「ARIGATOBANK」が手がける寄付アプリ「kifutown」のインストールが必要でした。寄付をしてほしい人と寄付をしたい人をつなぐ、プラットフォームアプリです。こちらが、「kifutown」のApp Apeの日間利用ユーザー数の推移です。

 前澤氏のお金配りが終わった後も、以前に比べると日々のユーザー数が3~4倍増えていることがわかります。

――前澤氏はツイッターで宇宙から、キャンペーンの参加者が1000万人を超えたと報告していましたね。

日影 アプリを利用してもらうために特典を盛り込んだサービスを行う事業者は多いですが、「キャンペーン実施時は利用者数が跳ね上がるが、その後は元通り」というケースも多いです。しかし、「kihutown」は「元通り」にはなっていないところに着目したいですね。こちらが「kifutown」ユーザーの性年代比です。

――40代が多いのですね。もっと若い人が多いのかと思っていました。また、どの世代もまんべんなく使われているのも印象的です。本連載では、さまざまな旬のアプリのユーザー性年代比を見てきましたが、こんなに「どの世代もまんべんない」感じを受けるのは初めてかもしれません。

日影 40代はもともとの人口が多い世代でもありますし(※筆者注:40代の人口は20代の1.5倍弱)、さらに「スマホ人口」という意味でも一番多いと思われる世代です。これより上の世代になると、人口は増えますが、スマホを持っていない方や、持っていてもあまり使わない方も増えてきますからね。

「kihutown」の性年代比は、スマホを使いこなしている人口比にほぼ合致した形になっているのかな、と思います。良い意味で、どの世代にも刺さる「お金」というコンテンツの強さを感じます。

――「kifutown」の機能が使いたくてインストールしたのであり、前澤氏のお金配りには応募しなかった、という人も中にはいるのでしょうけれど、かなり少数派であり、おおむねこの性年代の方たちが応募したのだろうなと推測されます。

「お金配り」を利用した詐欺被害も多発

kifutown」の利用者を、おおむね前澤氏のお金配りに応募した人、と見ると、40代が多かったが、仮にこれが前澤氏ではない、全然聞いたことのない人のお金配りであったら、40代の応募者は激減するのではないかと思う。怪しいからだ。

 現に、お金配りを利用した詐欺被害はあとを絶たない。20年3月放送のNHK『クローズアップ現代+』では、SNSでのお金配り(前澤氏が手がけたものではない)について、お金を配るどころか「高額な情報商材へ勧誘する」「お金を振り込むには○○手数料が必要、と逆に金銭を騙し取る」「こういった情報につられてしまう、いわゆる“情弱”な人をツイッターからLINEに誘導、そのLINEのアカウントを転売(複数のSNSをまたぐため、SNS事業者が対処できない)」といったケースを報じていた。

 心配なのは若年層だ。40代の場合は「前澤氏のお金配りなら応募するが、それ以外のどこの馬の骨かわからない人のお金配りには応募しない」という分別のある人がほとんどだと思う。若年層でも分別のある人の方が多いとは思うものの、「フォローする程度なら大丈夫だろう」であったり、またこれは若年層にありがちだが「友達(会ったことのないネット上のフォロイー、フォロワーなども含む)もフォローしてるから大丈夫だろう」と周りにつられ甘く考えてしまう比率は、中年層より増えるのではないだろうか。

 そして、若年層よりさらに心配なのは、病気や障害により、本人に分別のついた判断を求めるのが難しいケースだ。全国社会福祉協議会のパンフレット「高齢者・障害者を悪徳商法の被害からまもるために」には、「被害に遭われた人々は、病気や障害の特性から、自分から被害を訴えることができなかったり、他者に助けを求められなかったり、さらに被害そのものの自覚さえないことも見うけられます」と非常に重たい記述がある。

 詐欺の手口を見て、「こんな手口に騙されてしまうなんて」と思ったことのある人は多いと思うし、私もそう思っていたが、さまざまな詐欺被害者手記などを読んで考えが変わった。「こんな手口に騙されてしまう精神状態にある人が社会には想像以上に多いから、悪質な詐欺はあとを絶たない」と、今は思っている。そういう境遇にある人に対して「騙される方が悪い」「自己責任」は酷だ。

 内閣府の調査では、知的障害者は108万2000人、精神障害者は392万4000人とあり、さらに厚生労働省の推計では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症患者の人数は約602万人とされている。また、これらの枠には入らない「グレーゾーン」のケースを入れると、数はさらに膨れ上がるだろう。

 認知症の進んだ高齢者にスマホを持たせる人はいないとは思うが、若年層で軽度の知的、精神障害を持つ人の場合が難しいように思える。スマホはライフラインであり、文化的に生きるための必須品であり、「持たせなければいい」もなかなか難しい。

 なお、前澤氏は前述の『クローズアップ現代+』のお金配り特集について、ツイッターで「取材依頼来なかったなー。。。危険な方だけ報じるのはフェアじゃないような」とつぶやいている。

(構成=石徹白未亜/ライター)

GU、中年男性でも絶対にファッショナブルに着こなせる「魔法の服」5選

 2006年にユニクロの姉妹ブランドとして創業し、「ファッションを、もっと自由に」というコンセプトを掲げて躍進を続けている「GU(ジーユー)」。現在は中国圏などへの海外進出も進めており、売上高2000億円を超すブランドに成長している。

 昨年11月には、2022年8月期に国内で20店増の出店を計画していると発表しており(純増数ベース)、これで国内外の総店舗数は450店舗以上となる見通し。その発表の際に柚木治社長は、「GUはユニクロに比べてまだ出店余地が大きい。今後も出店数を増やす」「将来は国内外でユニクロ(の店舗数)と同程度にしたい」とも述べており、事業拡大に意欲的だ。

 そんなGUの服は、ファッションのトレンドをキャッチしたデザイン性の高さが魅力である。そこで今回は、普段はファッションに興味がない中年男性が着ても“失敗しない”「この冬、買うべきGUの服5選」をリストアップし、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーである堺屋大地氏に、おすすめポイントを解説してもらった。

 今回、以下の5つを基準として選定した。

・ファッションビギナーでも比較的に着こなしやすいこと

・難易度の高い“最先端のおしゃれ”は目指さないこと

・“ダサい”と思われるぐらいなら無難な着こなしにすること

・女子ウケが良く“ちょっとおしゃれ”と思われること

・無理に若ぶるのではなく、年相応に大人っぽく見られること

 では「この冬、買うべきGUの服5選」を紹介していこう。

カバーオールジャケット+E/2990円(税込、以下同)

 スラッシャー染色を施すことで、着込むほどに自分だけの味が出てくるというカバーオールジャケット。腰回りが隠れる丈の長さとリラックスフィットなサイズ感で仕上げている。カラーバリエーション(カラバリ)はオフホワイト、ブルー、ネイビーの3色展開。

「特におすすめなのがネイビーなんですが、Gジャンとは違ったデニムテイストなので、アーバンライクなストリート感が出せますね。またエリがコーデュロイに切り替えられているディテールワークもGOODです。オシャレ初心者でも着こなしやすいだけじゃなく、もともとファッションが好きだったような雰囲気を醸し出せると思います」(堺屋氏)

ローゲージタートルネックセーター(長袖) /1490円(※値下げ後価格)

 編み目の粗いローゲージニットをベースに、リブは太め仕様にしてあるタートルネックセーター。今期らしいシルエットにすべく、袖回りをややゆったりさせてリラックス感を演出している。カラバリはオフホワイト、ブラック、ピンク、ベージュ、ブラウン、グリーン、ライトブルーの7色展開。

「“GUにもこういうベーシックなアイテムがあるんだ”というのを知らしめる、代表作みたいなタートルネックセーターですね。きれいめにもカジュアルにもいけるので、GUアイテムにおける今冬のオールラウンダーニットという感じ。それでこのロープライスですから“買うべき”でしょう。奇をてらわないデザインワークでカラバリも豊富なので、そういう意味でユニクロ路線の商品ともいえそうです」

Vネックカーディガン(長袖)(ステッチ)NT+E/2490円

 コントラストステッチを要所にあしらったVネックカーディガンで、大きめで着こなすワイドフィットのシルエットとなっている。カラバリはオフホワイト、グレー、ブラック、オレンジの4色展開。

「全体的な印象でいうと、先に紹介した『ローゲージタートルネックセーター』のようなベーシック感はありつつも、肩と袖の継ぎ目のあたりに目を惹くステッチがアクセントで入っているなど、GUらしいトレンド感も加えてあるのがいいですね。これまでオシャレに興味がなかったような人でも着こなしやすいと思いますし、やりすぎていないステッチワークでちょいオシャレにも見せられるはず」

ウォッシャブルコンフォートジャケットSW/3990円

 マットでドレープ性のあるテーラードジャケットで、脇のシームポケットをあしらうなどミニマルデザインがポイント。カラバリはダークグレー、ブラック、カーキの3色展開。

「落ち感のある素材を使用し、ゆとりのあるリラックスフィットシルエットになっているので、最近のトレンドと着心地の良さを両立していますね。ビジネスシーンにもデートシーンにも使える優秀なジャケットだと思います。そして忘れてはいけないのが自宅で洗える素材になっているということ。クリーニング店に出す手間が省けるので、忙しいビジネスパーソンは重宝するはず」

ウルトラストレッチスキニージーンズ/2490円

 伸縮回復性に富んだストレッチ素材のスキニーパンツで、フロントボタンやリベットといった細かなディテールデザインにもこだわっている。カラバリはブラック、ライトブルー、ブルー、ネイビーの4色展開。

「最大の注目ポイントはやはり高い伸縮性。実際に手に取って生地を伸ばしてみると、そのすごさがわかるはず。ここ数年は太めのワイドパンツが流行していますが、30代以上の男性は若者たちが穿いているような太めのボトムに抵抗があるという方も多いでしょう。そういう方々はやはりまだ細めのパンツを好むと思いますので、デニムはスキニー派という人なら“買うべき”ですね」(堺屋氏)

 GUには若者向けのトレンドアイテムが多いが、今回紹介したようなベーシックなデザインのアイテムももちろん取り揃えている。そして、そんなベーシック系の服はファッションビギナーでも着こなしやすいうえに、GUアイテムはさりげなくディテールにこだわったセンスを発揮しているため、オシャレ見せもできるだろう。今回紹介した商品以外にもGUにはたくさんの“買うべき”アイテムがあるので、ぜひGUで賢い買い物をしていただきたい。

(文・取材=A4studio)

※情報は2022年1月14日現在のものです。

 

「驚きの事態」がパチンコ業界にも起こり得る!? SEGAがゲーセン事業から撤退

SEGA(セガ)がゲームセンター事業から撤退』。 

 先日このようなニュースが報じられたが、セガは2004年にはサミーと経営統合したことありパチンコ業界とも何かと関わりが深い。 

 セガのゲーセン事業撤退だが、既に数年前には事実上の撤退をしており、全株式の譲渡が完了したのというのが正しいところ。これに伴い全ての店舗も『GiGO』屋号に変更される予定で、SEGAの名前は消滅することになる。

 セガといえば、やはりアーケードゲームのイメージが根強いのではないだろうか。特に『ハングオン』や『スペースハリアー』、『アウトラン』等の体感ゲームと呼ばれた類は大きな反響を得た。しかし家庭用ゲームハードでは、常に後塵を拝してきたという印象が強い。

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 1980年代の『セガ・マークⅢ』は任天堂『ファミリーコンピュータ』に大きく突き放され、『メガドライブ』も『 スーパーファミコン』の背中を追い続ける展開。携帯型ゲーム機の『ゲームギア』も『ゲームボーイ』には勝てなかった。

 1990年代に入ってからも『セガサターン』は世界のSONYから登場した『プレイステーション』に大差を付けられ、ついには『ドリームキャスト』も『プレイステーション2』を追い越すことはなかった。

 しかしながら、熱狂的ファンを獲得した作品も存在する。そして、人気タイトルにはパチンコやパチスロ機としてタイアップ化されたもの多い。

 任天堂の『マリオ』同様にセガの象徴的なキャラクターである『ソニック』は2003年にサミーからパチンコ化。革新的な対戦型格闘ゲームとして大ヒットした『バーチャファイター』や、『サクラ大戦』等がタイアップ機としてリリースされている。

 そんなセガはゲームセンター施設事業から撤退するわけだが、それにはゲームセンター衰退という問題も影響しているだろう。私の地元の繁華街にもかつては4店舗のゲーセンがあり、待ち合わせなどの時間を潰すには最適だった。しかし、現在は1店舗も残っていない。

 その原因のひとつに家庭用ゲーム機が高性能化し、ゲーセンとの差別化が出来なくなったことが挙げられる。スマホゲームの普及も同様だろう。スマホゲームには、パチンコ業界も影響を受けている。そう考えれば、これは決して他人事ではないとも感じてしまう。

 ゲーセン業界の『雄』として一時代を築いたセガの撤退。似たような驚きの事態が10年後、20年後のパチンコ業界にも起こり得るかも知れない。そう思わせる1月の終わりも近づいた季節のニュースだった。

(文=オーハナB)
<著者プロフィール>
元ホール店員、店長経験者。パチンコ店の裏側で起きた出来事や、人間関係を題材にしたコラムを担当している。過去に話題になった業界ネタなど、時代背景を感じる記事も作成中。自身の思い入れのあるシリーズの動向にも熱い視線を注ぐ。