JRA桜花賞(G1)武豊「次に向けては良い」をどう受け取るか!? 安藤勝己氏「次は行くと思う」も、ウォーターナビレラ「サプライズ」なリベンジも十分

 10日、阪神競馬場で行われる3歳牝馬のクラシック・桜花賞(G1)。高松宮記念、大阪杯と波乱が続いた春G1だが、苦戦の続く1番人気の巻き返しはあるだろうか。

『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズだと、1番人気ナミュールと2番人気サークルオブライフが一歩リード。少し離された3番人気にウォーターナビレラがおり、上位3頭はいずれも前走でチューリップ賞(G2)を使われた組となっている。

 2018年からG2に昇格したこのレース。昇格以降に桜花賞馬が出現していないことは少々意外にも感じるものの、勝ち馬の顔触れは18年アーモンドアイ、19年グランアレグリア、20年デアリングタクト、21年ソダシと錚々たる面々だった。

 これに対し、今年はそこまで抜けた存在はいない。過去10年で5頭の桜花賞馬を輩出した好相性の前哨戦であることに異論はない。そろそろ大本命のトライアルから勝ち馬が出て来そうな頃合いだが、注目したいのは武豊騎手が騎乗を予定しているウォーターナビレラ(牝3、栗東・武幸四郎厩舎)だ。

 前走のチューリップ賞は、積極策を採っていたこれまでと違い、一列二列後ろのポジションでの競馬を試みた。最後の直線で前にいたM.デムーロ騎手のサークルオブライフが邪魔になった影響もあって5着に敗れたものの、それなりに収穫のあるレースだった。

「新しいレースをしましたが、問題なかったです。次に向けては良いレースができました」

 それは、レース後に前向きなコメントを残した武豊騎手の言葉からも伝わってくる。元JRA騎手の安藤勝己氏は、自身のTwitterで「次は行くと思う」と本番の作戦を予想していたようだが、武豊騎手の最終的な選択がどうなるのかはレースが始まってみたいと分からない。

 そこでひとつ気になったのは、ウォーターナビレラに切れる脚がないかというと、実はそうでもないという推測である。

 一般的に「ジリ脚」といわれるタイプの馬は、前にいても後ろにいても同じような脚しか使えないため、それなら前々で……というケースが多い。ただ、ウォーターナビレラに関しては、ここまでのキャリア5戦ですべて34秒台以下の末脚を使っている。2戦目のサフラン賞(1勝クラス)では、上がり3ハロン最速タイ33秒6を披露していた。

 となると、武豊騎手の「新しいレース」という言葉には「行かないとダメ」より「控えても問題ない」という意味にも受け取れないだろうか。

 JRA最多5勝を誇る桜花賞男の過去の勝利を振り返ると、二冠馬ベガ以外は差す競馬で挙げたもの。近年は07年アストンマーチャン、13年クロフネサプライズ、20年レシステンシアとのコンビで積極策を試みたものの、いずれも勝利には届かなかった。

 こういった経験もしていたなら、前走の経験は本番で使える脚を測る意味では、十分な成果があったといえるのではないか。

 原点回帰の積極策を採るのか、それとも前走同様に控える競馬をするのか、大阪杯(G1)で存在感を見せたレジェンドの秘策に注目したい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

初の緊急事態宣言から3年…臨床研究情報を独占する政府対策の大問題

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)のパンデミックが始まり3年目に入った。世界中でコロナ研究が進み、その実態が明らかになってきた。

 例えば、コロナ感染の季節性だ。下記の図1をご覧いただきたい。日本とアジアの感染者数の推移を示している。日本もアジアも春・夏・冬に流行を繰り返していることがわかる。オミクロン株の流行のピークもアジアは1月25日、日本は2月9日で、ほぼ同時期だ。

 コロナの流行には季節性があるのだから、オミクロン株が収束しても、今後も流行を繰り返すと考えた方がいい。コロナとの付き合いは「ウィズ・コロナ」を目指した長期戦になる。

 では、日本のコロナ対策は、どのように評価されるだろうか。流行当初、「日本型モデルの成功」と自画自賛する声も聞かれたが、図1を見てもお分かりのように、日本の感染者数はアジアの平均を遙かに上回っている。気候や地理的な違いもあり、一概に比較はできないが、少なくとも「成功」とは言えない。では、何が問題なのだろう。

一貫した検査の抑制

 コロナ対策の基本は、診断、隔離、治療、そしてワクチンだ。診断にためには検査が必要だ。ところが、厚生労働省は、コロナ流行以降、一貫して検査を抑制してきた。

 下記の図2は、2月14日の経済開発協力機構(OECD)加盟38カ国の人口1,000人あたりの検査数を示したものだ。日本は1.53件で、メキシコ(0.11件)、コロンビア(0.75件)、スロベニア(1.12件)に次いで少ない。最も多いオーストリア(62.3件)の40分の1だ。

 この傾向は感染者数一人あたりの検査数でも変わらない。日本は2.2件で、38カ国中7番目に少ない。最も多いのはニュージーランドで39.2件、ついでオーストリア18.9件、ギリシャ18.6件、英国13.9件と続く。

 日本では一人の感染者を見つけるために2.2件しか検査をしておらず、コロナ感染の確定診断のために利用されていることがわかる。一方、英国など、多くの先進国は、積極的に検査数を増やし、無症状や軽症感染を見つけ、感染拡大を食い止めようとしている。検査の目的が全く違う。さらに、欧米とは対照的に、「感染が不安で、検査を希望する国民に検査の機会を提供する」という視点が日本にはない。

 現在も厚労省は検査抑制の姿勢を変えていない。その証左は、日本の一日あたりの検査能力が、わずかに39万3901件(2月13日現在)しかないことだ。最大限の検査を実施したとしても、人口1000人あたり3.14件に過ぎず、OECD諸国はもちろん、マレーシアが2月11日に実施した検査数(6.4件)の半分程度だ。ちなみに、我が国では、昨年8月27日には27万5,680件の検査を実施されている。デルタ株の大流行を経験した後も、検査体制を強化していなかったことが分かる。

感染症法と厚生労働省の無責任

 なぜ、厚労省は検査を絞るのか。それは、彼らが「病床確保の責任を負いたくないから」(厚労省関係者)だ。

 コロナ対策の法的根拠は感染症法だ。その第19条には、以下のようにある。

「都道府県知事は、(中略)、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる」

 コロナは感染症法の2類相当だ。この条文があるため、コロナ感染と診断された人を入院させずに、自宅で死亡すれば、知事や厚労省が責任を追及される。責任回避に務める知事や厚労省は全ての感染者を入院させようとする。軽症であることが分かっていたオミクロン株でも、当初、全感染者を入院させたのは、このためだ。

 コロナ患者を入院させる病院は、感染症法で「特定感染症指定医療機関」や「第一種感染症指定医療機関」として規定され、その手配は厚労省や都道府県の責任だ。彼らが、これまでに想定してきたのは、コレラやエボラなどの小規模な流行だ。毎日数万人の感染者がでるコロナは想定外だ。従来のやり方では、こんな数の病床は確保できない。コロナ流行当初の2020年3月22日に放映されたNHKスペシャル『”パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』に出演した押谷仁・東北大学教授が、「PCRの検査を抑えているということが、日本がこういう状態で踏みとどまっている」と述べたのは、このような背景があるからだ。こんな非合理なことをしているのは日本だけだ。

 世界では、感染者は自宅療養、自宅での自主隔離を原則とし、医師が集中的な治療が必要と判断してはじめて入院となる。つまり、風邪やインフルエンザと同じ対応だ。感染症法に規定された、入院による隔離こそ、我が国のコロナ対策が迷走する本当の理由だ。

 これは日本の近代化の宿痾だ。感染症法の前身は、明治時代にできた伝染病予防法だ。内務省衛生警察が所管し、防疫のために隔離を優先した。感染者の治療や人権など二の次だ。戦後もハンセン病患者への差別など、多くの問題を生み出したが、現在も、その基本的な枠組は変わらない。コロナ流行後の感染症法改正でも、与党・厚労省ともに、この点を問題視しなかった。

ワクチン追加接種の遅れ

 追加接種の遅れも厚労省の問題を象徴している。2月14日現在、我が国で追加接種を終えた国民は全体の10.3%で、OECD加盟38カ国で最下位だ(下記図3)。

図3

 2月1日に米ロサンゼルス市の公衆衛生当局が、米『死亡疾病週報(MMWR)』に発表した研究によれば、追加接種により感染リスクは44%、入院リスクは77%減少している。他国並みに追加接種が進んでいれば、オミクロン株の感染者や死者は、もっと少なかったはずだ。

 なぜ、こんなことになるのだろう。追加接種の場合、厚労省や専門家の情報収集能力の欠如が大きい。昨年9月17日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、脇田隆字.・国立感染症研究所所長は「追加接種の必要があるということが直ちに断定できるのかということは、今の現状のエビデンスで本当に言えるのかというところは、私も少し留保したい」と見解を述べ、早期の追加接種開始を見送った。

 この判断は専門家としてはあり得ない。この時点で、日本を除く主要先進7カ国全てで追加接種は始まっていたからだ。昨年7月には、イスラエル政府が、2回目接種から時間が経つと抗体価が低下し、デルタ株の感染を防げないことを報告していたし、米ファイザーも追加接種により抗体価が5~10倍増加することを根拠に、欧米の規制当局に追加接種を承認申請する方針を明かしていた。日本だけが見当違いの決断を下していたことになる。

臨床研究情報独占の弊害

 なぜ、こんなことになるのか。それは、厚労省の医系技官と一部の専門家が情報を独占し、内輪の議論でコロナ対策を決定するからだ。

 コロナは未知のウイルスだ。合理的に対応するには、臨床研究を推進し、実態を解明しなければならない。世界各国は、コロナパンデミックが始まると、臨床研究の推進に力を入れた。実は、ここでも日本は一人負けに近い。

 図4をご覧いただきたい。コロナ流行当初からOECDに加盟していた37カ国(コスタ・リカはその後加盟)と中国の人口当たりの論文数を示す。日本は下から6位で、主要先進7カ国(G7)では最下位だ。

 英『ランセット』や米『ニューイングランド医学誌』などの主要医学誌は、コロナ論文の掲載に力をいれてきた。医療ガバナンス研究所の山下えりかの調査によれば(表1)、昨年1~11月までの間に、『ランセット』は150報、『ニューイングランド医学誌』は208報の原著論文を掲載しているが、このうち41報(27%)、49報(24%)はコロナ関係だ。

 筆頭著者の国で最も多いのは英国で26報、次いで米国24報、イスラエル8報、カナダ・南アフリカ・中国3報と続く。日本からの発表はない。2020年2月、世界中を揺るがしたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の経験を、このような媒体に発表していないことは、日本の感染症研究者の実力がないことを示している。明治以来の隔離政策に固執した日本には、世界と伍して戦えるだけの研究開発力がない。

非接触技術の発展

 この影響を本当に認識するのは、これからだ。世界では、コロナパンデミックで様々な技術が開発され、社会実装されつつあるからだ。米ファイザーや米モデルナが開発したmRNAワクチンなど、その代表である。

 米Evaluate Vantage社は、2022年の医薬品売上を予想しているが、そのトップはファイザーのコロナワクチン「コミナティ」で290億ドルだ。モデルナの「スパイクバックス」は195億ドルで第3位である。モデルナがインフルエンザのmRNAワクチンの臨床開発に乗り出すなど、両社は、コロナワクチンの開発成功で得た利益を次の医薬品の開発に充てている。コロナパンデミック収束後、世界の製薬企業の勢力図は一変する。

 このような技術革新は、ワクチン開発に限った話ではない。私が注目するのは、ウェアラブル端末やセンシング技術の発展だ。アップル・ウオッチなどのウェアラブルデバイスを用いることで、脈拍・血圧・酸素飽和度、心電図などが測定できることは有名だが、昨年5月には、米テキサス大学オースチン校の研究チームが、痒みを感知するウェアラブルセンサーを開発したと米『サイエンス・アドバンシーズ』誌に発表している。

 このような技術開発は、オンライン診療の普及を加速した。昨年11月、米ジョンソン・エンド・ジョンソンは、糖尿病治療薬の第三相臨床試験を、被験者が医療機関に通院することなく、全てバーチャルでやり遂げたと発表している。膨大なデータの収集が求められる治験が出来るのだから、大抵の診療は、オンラインで対応可能だ。米国ではオンライン診療が普及した。昨年1月には、米ユナイテッドヘルスケア社が、遠隔診療に限定したプライマリケアを提供する保険の販売を米国11州で開始した。同社の調査によると、利用者の4人に一人は主治医と直接会うより、バーチャルなやりとりの方が良いと回答している。

 実は、このような技術の開発が進んだのは、コロナ流行下で、世界中の人が非接触を希望したからだ。まさに、必要こそ発明の母である。

 クラスター対策、濃厚接触者探しには熱心だが、国民の希望には耳を貸さなかった厚労省や専門家は、このような世界の変化には無頓着だった。その結果、日本における初診のオンライン診療は、いまだ6%だ

 実は、コロナ検査が少ないのも、理由は同じだ。海外では、国民のニーズに応える形で在宅検査の開発が進んだ。例えば、昨年3月、米食品医薬品局(FDA)は、米キュアヘルス社が開発した自宅で検査できる簡易核酸検査に緊急使用許可(EUA)を与えた。医師の処方箋が不要で、所用時間は約20分で、PCR検査との陽性一致率は97%だ。

 検査を議論する上で重要なことは、検査を社会システムの観点から考えることだ。検査を増やすには、負担が少ない在宅検査が有利だ。そのためには、新たな宅配システムを構築しなければならない。世界では、検査キットの配送から、医療データとして利用するまでのシステムが、2年間の試行錯誤の末、確立された。だからこそ、バイデン大統領は、昨年12月、全国民に無料で検査を受けることができると宣言することができた。

 検査体制の強化は、社会を強靱にする。英国政府が、1月17日、コロナ感染後の自主隔離を、検査陰性の場合に限り、従来の7日から5日間に短縮したことや、1月20日、イスラエルが、コロナ感染者と接触した小児に対し、週に二回、抗原検査を受け、陰性を確認するという条件つきで、隔離を中止したことなど、その証左だ。

 日本では、このような議論はない。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「体外診断用医薬品」として50種類の検査キットを承認している。ただ、このような診断キットは、薬局で薬剤師が対面販売しなければならない。これでは多くの国民は検査を受けない。

民主主義とコロナ対策の関係

 コロナ対応では、私は英米の民主主義の強さを痛感した。コロナ流行当初、英米は迷走を繰り返し、世界は中国の強いリーダーシップを賞賛した。ところが、それから二年間、立場は逆転した。これは、英米が、自国民の生命、財産のためには、どうすればいいか、国民視点での試行錯誤を繰り返してきたからだ。「日本型モデルの成功」などと言って思考停止してきた日本とは対照的だ。我々は、国民視点にたち、もっと世界から学ばねばならない。

(文=上昌広/血液内科医、医療ガバナンス研究所理事長)

※本稿は一般社団法人同盟通信新社『TーPRESS』4月号と同時掲載するため、2022年2月に執筆されたものです。

 

初の緊急事態宣言から3年…臨床研究情報を独占する政府対策の大問題

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)のパンデミックが始まり3年目に入った。世界中でコロナ研究が進み、その実態が明らかになってきた。

 例えば、コロナ感染の季節性だ。下記の図1をご覧いただきたい。日本とアジアの感染者数の推移を示している。日本もアジアも春・夏・冬に流行を繰り返していることがわかる。オミクロン株の流行のピークもアジアは1月25日、日本は2月9日で、ほぼ同時期だ。

 コロナの流行には季節性があるのだから、オミクロン株が収束しても、今後も流行を繰り返すと考えた方がいい。コロナとの付き合いは「ウィズ・コロナ」を目指した長期戦になる。

 では、日本のコロナ対策は、どのように評価されるだろうか。流行当初、「日本型モデルの成功」と自画自賛する声も聞かれたが、図1を見てもお分かりのように、日本の感染者数はアジアの平均を遙かに上回っている。気候や地理的な違いもあり、一概に比較はできないが、少なくとも「成功」とは言えない。では、何が問題なのだろう。

一貫した検査の抑制

 コロナ対策の基本は、診断、隔離、治療、そしてワクチンだ。診断にためには検査が必要だ。ところが、厚生労働省は、コロナ流行以降、一貫して検査を抑制してきた。

 下記の図2は、2月14日の経済開発協力機構(OECD)加盟38カ国の人口1,000人あたりの検査数を示したものだ。日本は1.53件で、メキシコ(0.11件)、コロンビア(0.75件)、スロベニア(1.12件)に次いで少ない。最も多いオーストリア(62.3件)の40分の1だ。

 この傾向は感染者数一人あたりの検査数でも変わらない。日本は2.2件で、38カ国中7番目に少ない。最も多いのはニュージーランドで39.2件、ついでオーストリア18.9件、ギリシャ18.6件、英国13.9件と続く。

 日本では一人の感染者を見つけるために2.2件しか検査をしておらず、コロナ感染の確定診断のために利用されていることがわかる。一方、英国など、多くの先進国は、積極的に検査数を増やし、無症状や軽症感染を見つけ、感染拡大を食い止めようとしている。検査の目的が全く違う。さらに、欧米とは対照的に、「感染が不安で、検査を希望する国民に検査の機会を提供する」という視点が日本にはない。

 現在も厚労省は検査抑制の姿勢を変えていない。その証左は、日本の一日あたりの検査能力が、わずかに39万3901件(2月13日現在)しかないことだ。最大限の検査を実施したとしても、人口1000人あたり3.14件に過ぎず、OECD諸国はもちろん、マレーシアが2月11日に実施した検査数(6.4件)の半分程度だ。ちなみに、我が国では、昨年8月27日には27万5,680件の検査を実施されている。デルタ株の大流行を経験した後も、検査体制を強化していなかったことが分かる。

感染症法と厚生労働省の無責任

 なぜ、厚労省は検査を絞るのか。それは、彼らが「病床確保の責任を負いたくないから」(厚労省関係者)だ。

 コロナ対策の法的根拠は感染症法だ。その第19条には、以下のようにある。

「都道府県知事は、(中略)、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる」

 コロナは感染症法の2類相当だ。この条文があるため、コロナ感染と診断された人を入院させずに、自宅で死亡すれば、知事や厚労省が責任を追及される。責任回避に務める知事や厚労省は全ての感染者を入院させようとする。軽症であることが分かっていたオミクロン株でも、当初、全感染者を入院させたのは、このためだ。

 コロナ患者を入院させる病院は、感染症法で「特定感染症指定医療機関」や「第一種感染症指定医療機関」として規定され、その手配は厚労省や都道府県の責任だ。彼らが、これまでに想定してきたのは、コレラやエボラなどの小規模な流行だ。毎日数万人の感染者がでるコロナは想定外だ。従来のやり方では、こんな数の病床は確保できない。コロナ流行当初の2020年3月22日に放映されたNHKスペシャル『”パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』に出演した押谷仁・東北大学教授が、「PCRの検査を抑えているということが、日本がこういう状態で踏みとどまっている」と述べたのは、このような背景があるからだ。こんな非合理なことをしているのは日本だけだ。

 世界では、感染者は自宅療養、自宅での自主隔離を原則とし、医師が集中的な治療が必要と判断してはじめて入院となる。つまり、風邪やインフルエンザと同じ対応だ。感染症法に規定された、入院による隔離こそ、我が国のコロナ対策が迷走する本当の理由だ。

 これは日本の近代化の宿痾だ。感染症法の前身は、明治時代にできた伝染病予防法だ。内務省衛生警察が所管し、防疫のために隔離を優先した。感染者の治療や人権など二の次だ。戦後もハンセン病患者への差別など、多くの問題を生み出したが、現在も、その基本的な枠組は変わらない。コロナ流行後の感染症法改正でも、与党・厚労省ともに、この点を問題視しなかった。

ワクチン追加接種の遅れ

 追加接種の遅れも厚労省の問題を象徴している。2月14日現在、我が国で追加接種を終えた国民は全体の10.3%で、OECD加盟38カ国で最下位だ(下記図3)。

図3

 2月1日に米ロサンゼルス市の公衆衛生当局が、米『死亡疾病週報(MMWR)』に発表した研究によれば、追加接種により感染リスクは44%、入院リスクは77%減少している。他国並みに追加接種が進んでいれば、オミクロン株の感染者や死者は、もっと少なかったはずだ。

 なぜ、こんなことになるのだろう。追加接種の場合、厚労省や専門家の情報収集能力の欠如が大きい。昨年9月17日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、脇田隆字.・国立感染症研究所所長は「追加接種の必要があるということが直ちに断定できるのかということは、今の現状のエビデンスで本当に言えるのかというところは、私も少し留保したい」と見解を述べ、早期の追加接種開始を見送った。

 この判断は専門家としてはあり得ない。この時点で、日本を除く主要先進7カ国全てで追加接種は始まっていたからだ。昨年7月には、イスラエル政府が、2回目接種から時間が経つと抗体価が低下し、デルタ株の感染を防げないことを報告していたし、米ファイザーも追加接種により抗体価が5~10倍増加することを根拠に、欧米の規制当局に追加接種を承認申請する方針を明かしていた。日本だけが見当違いの決断を下していたことになる。

臨床研究情報独占の弊害

 なぜ、こんなことになるのか。それは、厚労省の医系技官と一部の専門家が情報を独占し、内輪の議論でコロナ対策を決定するからだ。

 コロナは未知のウイルスだ。合理的に対応するには、臨床研究を推進し、実態を解明しなければならない。世界各国は、コロナパンデミックが始まると、臨床研究の推進に力を入れた。実は、ここでも日本は一人負けに近い。

 図4をご覧いただきたい。コロナ流行当初からOECDに加盟していた37カ国(コスタ・リカはその後加盟)と中国の人口当たりの論文数を示す。日本は下から6位で、主要先進7カ国(G7)では最下位だ。

 英『ランセット』や米『ニューイングランド医学誌』などの主要医学誌は、コロナ論文の掲載に力をいれてきた。医療ガバナンス研究所の山下えりかの調査によれば(表1)、昨年1~11月までの間に、『ランセット』は150報、『ニューイングランド医学誌』は208報の原著論文を掲載しているが、このうち41報(27%)、49報(24%)はコロナ関係だ。

 筆頭著者の国で最も多いのは英国で26報、次いで米国24報、イスラエル8報、カナダ・南アフリカ・中国3報と続く。日本からの発表はない。2020年2月、世界中を揺るがしたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の経験を、このような媒体に発表していないことは、日本の感染症研究者の実力がないことを示している。明治以来の隔離政策に固執した日本には、世界と伍して戦えるだけの研究開発力がない。

非接触技術の発展

 この影響を本当に認識するのは、これからだ。世界では、コロナパンデミックで様々な技術が開発され、社会実装されつつあるからだ。米ファイザーや米モデルナが開発したmRNAワクチンなど、その代表である。

 米Evaluate Vantage社は、2022年の医薬品売上を予想しているが、そのトップはファイザーのコロナワクチン「コミナティ」で290億ドルだ。モデルナの「スパイクバックス」は195億ドルで第3位である。モデルナがインフルエンザのmRNAワクチンの臨床開発に乗り出すなど、両社は、コロナワクチンの開発成功で得た利益を次の医薬品の開発に充てている。コロナパンデミック収束後、世界の製薬企業の勢力図は一変する。

 このような技術革新は、ワクチン開発に限った話ではない。私が注目するのは、ウェアラブル端末やセンシング技術の発展だ。アップル・ウオッチなどのウェアラブルデバイスを用いることで、脈拍・血圧・酸素飽和度、心電図などが測定できることは有名だが、昨年5月には、米テキサス大学オースチン校の研究チームが、痒みを感知するウェアラブルセンサーを開発したと米『サイエンス・アドバンシーズ』誌に発表している。

 このような技術開発は、オンライン診療の普及を加速した。昨年11月、米ジョンソン・エンド・ジョンソンは、糖尿病治療薬の第三相臨床試験を、被験者が医療機関に通院することなく、全てバーチャルでやり遂げたと発表している。膨大なデータの収集が求められる治験が出来るのだから、大抵の診療は、オンラインで対応可能だ。米国ではオンライン診療が普及した。昨年1月には、米ユナイテッドヘルスケア社が、遠隔診療に限定したプライマリケアを提供する保険の販売を米国11州で開始した。同社の調査によると、利用者の4人に一人は主治医と直接会うより、バーチャルなやりとりの方が良いと回答している。

 実は、このような技術の開発が進んだのは、コロナ流行下で、世界中の人が非接触を希望したからだ。まさに、必要こそ発明の母である。

 クラスター対策、濃厚接触者探しには熱心だが、国民の希望には耳を貸さなかった厚労省や専門家は、このような世界の変化には無頓着だった。その結果、日本における初診のオンライン診療は、いまだ6%だ

 実は、コロナ検査が少ないのも、理由は同じだ。海外では、国民のニーズに応える形で在宅検査の開発が進んだ。例えば、昨年3月、米食品医薬品局(FDA)は、米キュアヘルス社が開発した自宅で検査できる簡易核酸検査に緊急使用許可(EUA)を与えた。医師の処方箋が不要で、所用時間は約20分で、PCR検査との陽性一致率は97%だ。

 検査を議論する上で重要なことは、検査を社会システムの観点から考えることだ。検査を増やすには、負担が少ない在宅検査が有利だ。そのためには、新たな宅配システムを構築しなければならない。世界では、検査キットの配送から、医療データとして利用するまでのシステムが、2年間の試行錯誤の末、確立された。だからこそ、バイデン大統領は、昨年12月、全国民に無料で検査を受けることができると宣言することができた。

 検査体制の強化は、社会を強靱にする。英国政府が、1月17日、コロナ感染後の自主隔離を、検査陰性の場合に限り、従来の7日から5日間に短縮したことや、1月20日、イスラエルが、コロナ感染者と接触した小児に対し、週に二回、抗原検査を受け、陰性を確認するという条件つきで、隔離を中止したことなど、その証左だ。

 日本では、このような議論はない。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「体外診断用医薬品」として50種類の検査キットを承認している。ただ、このような診断キットは、薬局で薬剤師が対面販売しなければならない。これでは多くの国民は検査を受けない。

民主主義とコロナ対策の関係

 コロナ対応では、私は英米の民主主義の強さを痛感した。コロナ流行当初、英米は迷走を繰り返し、世界は中国の強いリーダーシップを賞賛した。ところが、それから二年間、立場は逆転した。これは、英米が、自国民の生命、財産のためには、どうすればいいか、国民視点での試行錯誤を繰り返してきたからだ。「日本型モデルの成功」などと言って思考停止してきた日本とは対照的だ。我々は、国民視点にたち、もっと世界から学ばねばならない。

(文=上昌広/血液内科医、医療ガバナンス研究所理事長)

※本稿は一般社団法人同盟通信新社『TーPRESS』4月号と同時掲載するため、2022年2月に執筆されたものです。

 

韓国車スターリアはアルファードキラー?「日本車の楽園」だったタイで起きる異変

 前回、3年ぶりに訪れた「バンコク国際モーターショー」の様子をお伝えしながら、気になったトピックについて述べた。最も存在感を放っていたのは中国系ブランドで、中国メーカーはBEV(バッテリー電気自動車)だけでなく、HEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)も積極的にラインナップしているように見える。

 車両電動化を進めるタイ政府としては、まず関税を下げるなど海外ブランドの電動車を積極輸入し、富裕層の間での普及を図ろうとしている。そのため、いわゆる大衆車クラスでの主役は、まだまだ内燃機関車となっている。

 たとえばトヨタ自動車を見ると、「カローラ アルティス(日本のカローラセダン)」や「カローラ クロス」ではHEV仕様車をメインにラインナップしているものの、カローラ系より小さいクラスではHEV仕様はラインナップされていない。ホンダでは、コンパクトセダン&ハッチバックの「シティ」にe:HEV仕様が設定されているのだが、同車の内燃機関仕様が1Lターボを搭載しているのに対し、1.5Lベースのユニットというのは少々大きいようにも見えた。

 また、2020年にタイで発売して以降、日本並みかそれ以上にカローラ クロスが大ヒットしている。同クラスは、ホンダ「HR-V(ヴェゼル)」、中国系ブランドのMG「ZS」やGWM(長城汽車)「ジョリオン」などもいる販売激戦クラス。中国系は販売台数では日本勢に及ばないものの、ZSの評価は高く、中古車では同クラスの日系モデルより割安ということで、人気も高まっているとも聞いている。

 タイでも、MGが進出を始めた当初は、消費者の多くは中国車を相手にしていなかった。しかし、その後、筆者が毎年のようにバンコクを訪れると、MG車が街で増えるようになってきた。それでも「安売りセールしているからさ」と冷ややかだったのだが、今やカローラ クロスのクラスでBEVを探すとMG「ZS EV」しか選択肢がないこともあり、ZSだけでなくZS EVもけっこうな数がバンコク市内を走っている。

 BEVとなるGWMの「グッドキャット」も、同クラスのコンパクトハッチバックではせいぜいBMWミニのBEVぐらいしかないのだが、500万円近い価格差があるので、こちらもオンリーワンとなってしまっており、それも人気につながっているようである。

 BEVでは特に出遅れている日系ブランドが短時間で多様なラインナップを展開するのは、世界的にも極めて難しい。また、タイでは日本の感覚よりも複数保有が珍しくないとのことなので、「日本車にBEVがないけど、メインじゃないからいいか」と中国系のBEVを購入して複数保有しているうちに、「別に中国系でも問題ないじゃん」ということにもなりかねない不安を覚えた。

現代自動車の「スターリア」が販売好調

 苦手の電動車以外に不安要素がないのかといえば、そうではない。前回、韓国系はミニバンでタイ市場では勝負を仕掛けていると述べたが、現代自動車が2021年にタイでリリースした「スターリア」というミニバンが非常に良く売れているのである。

 同車は、トヨタの「アルファード」というよりは、かつての「エスティマ」をさらに未来的にしたミニバンで、とにかく勢いのある売れ方をしており、一部では“アルファードキラー”とか“ポストアルファード”などとも呼ばれている。キャラが異なるのでアルファードとスターリアを両方所有する富裕層もいるので、すべてがアルファードから置き換わっているわけでもないようだが、エスティマもかつては海外市場各地で高い人気のあったミニバンだけに、「トヨタが復活させないなら」とばかりに現代が勝負を仕掛けたのかもしれない。

 いろいろ述べさせてもらったが、今回バンコクモーターショーおよびバンコク市内で見聞きしたことをまとめると、現状でも9割近い販売シェアを持っている日系ブランドが今すぐどうかしてしまうということはまずない。もちろん、長い歴史の中で築き上げた販売ネットワークなど、多くの現地協力企業の日々の努力があるからだ。

 ただ、事情通に言わせれば「確かに今でも圧倒的に強い日本車ですが、昔ほどの強さはありません」という。そして、今回述べてきたように、日系ブランドには“隙”がどんどん増えてきており、海外のあらゆるブランドがその隙を突いてきているのも確かな事実。

 中長期的な視野で見ても、タイにおいて日本車が今のような強みを見せていけるのだろうか。8年ほど前、タイに駐在している業界関係者に「タイは日本車の楽園ですね」と聞いたら、「タイはすでに楽園ではないですよ」と答えてくれたのを、ここのところ、ひしひしと感じるようになってきた。

(文=小林敦志/フリー編集記者)

ソニー・ウォークマンの成功は偶然?偶然を引き寄せた成功者に共通する特徴とは

 屋外で音楽を聴く、歩きながら音楽を聴く、今では当たり前になったこの習慣を最初につくり出したのは、ソニーの「ウォークマン」だ。初号機は1979年の発売で、当時はカセットテープだった。

 ソニー製品のなかでも特に大ヒットした商品であるウォークマンも、実は偶然から生まれたものだった。

 ソニーは戦後の日本で創業された電機メーカーだ。創業当時は、なかなかヒット作に恵まれなかった。最初に出した製品は炊飯器だが、全然炊き上がらない欠陥商品だったといわれている。

 そんななか最初にヒットしたのが、録音機器の「テープレコーダー」だ。放送局や教育機関に売れ、その後、録音機器は進化、小型化して「プレスマン」として売れ続けた。

 プレスマンの開発部隊では、就業中にも音楽を手軽に聞けるように、ステレオ回路を付加して使っていた。そこにソニーの創業者で当時名誉会長だった井深大氏が偶然立ち寄り、プレスマンの改造機に気づいた。井深氏は「これはすごく良い」と評価し、本格的な開発が始まった。

 しかし当時、テープレコーダーは文字通り録音できなければいけない。録音ができた上にスピーカーで聴けて、しかも持ち運べる、という商品を開発するのは不可能だと開発部が井深氏に進言すると、井深氏は「録音機能とスピーカーを省いてつくってはどうか」と、逆に進言した。

 社内では「こんなものが売れるのか?」と、半信半疑の状態だった。それを裏づける逸話がある。ソニーのもう一人の創業者で当時会長だった盛田昭夫氏は、「ウォークマン」初号機の販売計画を、月産6万台で設定していた。しかし、製造責任者が売れ残ることを心配し、月産3万台を念頭に部品などを発注していたという。

 だが、蓋を開けてみると、ウォークマン初号機は月産20万台まで伸び、大ヒットとなった。盛田氏の予想の、実に3倍以上だった。

 ウォークマンは、開発者が遊びで偶然、ステレオ改造機をつくっていなければ、この大ヒットはなかった。井深氏が偶然、開発室に立ち寄らなければ、生まれなかった。偶然、他の部署で小型ヘッドフォンを開発していなければ、ヘッドフォン付ウォークマンは世に出ていなかった。

 ウォークマンもまた、偶然が成功に導いた事例のひとつなのだ。

 偶然を引き寄せて成功するには、能力や才能は必要ない。では、どうすれば偶然を活かすことができるのだろうか。筆者が長年、経営コンサルタントとして、成功した経営者を見てきた経験から、偶然を引き寄せることができる人には、次のような特徴があることがわかっている。

・ミスを楽しむ
・偶然を楽しむ
・目標を立てない
・社交性に富んでいる
・直感力が強い
・勇気がある
・ラチェット(歯止め)効果を働かせる
・悲観的推測に基づいて行動する
・メンバーの遊びを許容できる
・ミスを許容する
・会話が多い

 次回は、これらの項目を、ひとつひとつ解説していこう。

(文=野田宜成/株式会社野田宜成総合研究所代表取締役、継続経営コンサルタント)

※参照

『ブレイクスルー!事業飛躍の突破口』(P.ランガナス ナヤック著、ジョン・M. ケタリンガム著、ダイヤモンド社刊)

『「ツキ」の科学 運をコントロールする技術』(マックス・ギュンター著、PHP研究所刊)

●野田宜成/株式会社野田宜成総合研究所代表取締役、継続経営コンサルタント
ビジネスに役立つ情報がたった2時間で手に入る勉強会ビジネスサークルを主催。「事業を永続させるには、社長が我社の守るべきもの、変えていくべきものを明確にし、効果的な仕組みをつくることが重要」と主唱する継続経営コンサルタント。神奈川大学卒業後、日産車体に入社。エンジニアとしてプロジェクトの第一線で継続した品質向上、生産効率の改善に従事。その後、船井総合研究所に転身。

不易流行を元とした、永く続く企業づくりの指導に邁進する。独立後も継続する経営をテーマに500社以上の企業を指導。短期的な視点だけの数字にとらわれず常に売上を向上し、事業を継続させる仕組みを構築させる。これらの経験を活かし、2005年から2006年、沖縄大学大学院非常勤講師。2011年から2014年、浜松大学経営学部外部講師を務める。

著書『こいつできる!と思われる いまどきの段取り』『~見えないものがみえてくる~数値力の磨き方』(日本実業出版社)など。

東谷義和、大手メディアは「ガーシーNG」で黙殺も…大物芸能人が言及、国会でも話題で高まる影響力

芸能人らの秘密を次々と暴露して話題を集めている“ガーシー”こと「東谷義和」(登録者数97万人)が、すさまじい勢いでチャンネル登録者数を増やすなど快進撃を続けています。大手メディアで「黙殺」されたことで暴露の効果を疑う声もありましたが、知名度の高まりとともに影響力は確実に大きくなっているようです。

50代「新人YouTuber」が前例のない大ブレイク

東谷が動画投稿を開始したのは2月17日でした。アパレルブランドの社長として多くの有名芸能人と交流を持ち、男性タレントらに美女をたびたび「アテンド」していたという東谷。しかし、昨年末に「ヒカル」(同474万人)から動画内で「詐欺師」だと実名告発され、その影響で「すべてを失った」と主張。東谷は「ヒカルのファンに実家の住所をさらされた」と訴え、ヒカルへの怒りをぶちまけました。

さらに、転落をきっかけに「手のひら返し」をしてきた芸能人たちへの復讐として、秘密を暴露していくと宣言しました。

以降、俳優の城田優や綾野剛、みちょぱの交際相手としても知られるモデルの大倉士門、歌手の清水翔太ら人気タレントたちの暴露ネタを続々と投下し、ネット上で「ガーシー砲」という言葉が生まれるなど大反響を巻き起こしました。さらに、フリーアナウンサーの小林麻耶との「旬の人」同士の電話対談を実現させるなど、話題性もスピード感も抜群でした。

チャンネル登録者数は約1カ月半で90万人を軽々と突破。開始から2カ月を待たずに100万人を突破する勢いです。東谷は現在51歳だと明かしていますが、50代の「新人YouTuber」でこのような驚異のペースで登録者数100万人を達成するというケースは過去に例がありません。

メディアの扱いに温度差…芸能事務所への忖度?

東谷が暴露系YouTuberとして大ブレイクしても、それに対する各メディアの反応には大きな温度差がありました。テレビ系メディアはもちろん、各スポーツ紙(東京スポーツを除く)、大手ネットメディアなどは基本的に「黙殺」しています。

おそらく、芸能事務所と深い関係にあるメディアは忖度的な意味もあって「ガーシーの名前はタブー」という事情があるのだと推察されます。自社のタレントを潰しかねない東谷の存在は、芸能事務所にとって共通の「敵」だからです。一部スポーツ紙などでは、東谷義和という名前を出さずに「世間を騒がす暴露系YouTuber」といった表記がされるなど、記者が苦心している様子がうかがえます。

また、東谷は「BTSに会える詐欺」で複数の女性ファンからお金をだまし取っていたという過去があり、大手メディアはコンプライアンス的な部分や発言の信憑性にも問題があると判断したのかもしれません。

結果、東谷の話題を扱うのは芸能事務所との協力関係があまりない週刊誌系メディアや中小規模のネットメディアだけとなっています。

ネット上では、いくら東谷が暴露しても大手メディアが取り上げなければ効果は薄いのではないかという声も上がっています。

実際、大きな暴露ネタが炸裂したはずの綾野剛は夏クールのTBS系日曜劇場『オールドルーキー』に主演することが決定し、同じく東谷に「裏の顔」を暴露されたはずの城田優もNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』などに継続出演(ナレーション)していました。むしろ、男性タレントの暴露に付随して「流れ弾」が当たってしまった、本来の標的ではない女性アイドルや女優の方がダメージを受けているのでは…という見方もあります。

有名タレントたちが「ガーシー」に次々と言及

しかし、芸能界も東谷の話題で持ちきりになっているようで、タレントたちが自ら「ガーシー」の名前に触れるという現象が相次いでいます。

3月21日に日本テレビ系で放送された生番組『午前0時の森』のパイロット版では、出演者の劇団ひとりが冒頭で「この番組、基本的に企画決まってないんだから何やってもいいわけでしょ?俺が『ガーシー呼んでくれ』って言ったら(スタッフが)引いてた」と発言。ひとりは「一番最初に(テレビに)ガーシー呼んだら目立つよ。ぜひとも最初にブッキングしたいね」とも語り、同じ出演者の関ジャニ∞・村上信五も「せっかく生放送やしね」と応じていました。

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【ユーチュラ】
2015年7月に開設した、日本のYouTubeチャンネルのランキング&ニュースサイト。月間アクセス数1300万PV(2022年2月現在)と、国内最大規模を誇る。

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【パチンコ実戦】強烈な数珠連チャン!軍配リーチに3つのモードで大興奮!!

 先日は『ゲームセンタータンポポ』の看板機種『フィーバーレジェンドⅠ』を紹介しました。1990年代辺りのパチンコ連チャン機は、いわゆるファミコンの裏技みたいな感覚で、各攻略雑誌で色々取り上げられました。それを見てから実戦すると、本当に連チャンするのでまた打ちたくなったものです。

 連チャン機については、正直なところまだまだ語りつくせないものばかり。今回も連チャン機を1機種取り上げます。それはメーカー・平和の名機『綱取物語』。まずは以下に機種スペックをまとめます。

■1993年発表
■大当り確率:247分の1
■賞球数:7&15
■1回辺りの平均出玉:約2,300発
■数珠つなぎ連チャン機(天国、通常、地獄モード)
〇〇〇

 豊丸産業『CR餃子の王将』のゲーム性や役モノによく似ている変則タイプの『CR綱取物語~横綱7戦全力~』なら、打ったことがある若い世代の方々は多いでしょう。でも数珠連チャンの『綱取物語』を当時打ったことのある皆さんは、天国モードがループした感覚を決して忘れることはできないのではないでしょうか。

 ではモードの話題も出ましたので、3種類のモードを説明します。

■通常モード中確率:247分の1→突入率:2/6
■天国モード中確率:37分の1→突入率:3/6
■地獄モード中確率:988分の1→突入率:1/6

『綱取物語』では大当り終了後に、上記のどれかのモードに入ることになります。ただし、朝イチの電源立ち上げ時の出目が【十両・金星・小結】になっていれば、ほぼ間違いなく通常モードといえます。 ですので、当時『綱取物語』が導入されているホールでは、攻略雑誌で明るみになってからは、朝から台の取り合いになって埋まっていました。

 そして大当り後に数珠連チャンしていれば良いのですが、天国モードの確率が37分の1ですので、しばらく打ってみないとわかりません。かつ通常モードか地獄モードかの判別は難しかった印象です。

 現在は無制限営業でイベントすらご法度ですが、当時は今から考えるとトンデモない営業だったと思います。運用面では比較的良かったのは、当時はラッキーナンバー制を用いたからではないでしょうか。

 その度に玉を交換しましたが、遊べた印象はありました。その中でも『綱取物語』は、夕方とか閉店よりかなり前に【電源OFFサービス】があり、上記した朝イチ出目の通常モードとなるので、私もそれを狙ったことがありました。

 この『綱取物語』で欠かせないのはリーチ演出です。当時のデジパチはノーマルリーチとスーパーリーチの2種類でしたが、こちらのスーパーリーチが【軍配リーチ】が代名詞でした。 信頼度は40%ぐらいで、『ノコッタ ノコッタ』の文字表示と同時に軍配がクルクル回転すると激アツで、興奮が最高潮になりました。どちらかというと、ほとんどが軍配リーチで当り、ノーマルで当るのは比較的少ない印象です。

 やがて初代『綱取物語』も姿を消してCR機として数機種発表されました。でも『タンポポ』では開店当初から角台に設置。私は何度も遊技しています。

 直近で『タンポポ』で稼働した結果は写真にも載せていますが、椅子の周りが箱だらけで、約32,000発も出ました。この時は地獄モードに入らず、天国モードで上手くいって最高で6連チャンを達成です。

 この時は良かったのですが、ダメな時は明らかに地獄モードに入ってしまったようで、3,000発のドル箱5箱をノマせてしまったこともありました。

 たとえ『タンポポ』でも、やはりハマってしまうと悔しいものです。本当に凹みます。

 ゲームセンターの範疇ですが、私は当時を振り返りながら大当り終了毎にこれはどのモードに入っているのかをいつも検証しています。まさか、令和の時代に当時の機種を打てるとは思ってもいなかったからです。私と同じ感覚を持たれたなら、ぜひ足を運んでみてください。

(文=四本コーヒー店.)
<筆者プロフィール>
 パチンコ好きが高じて異業種から転職し、長年パチンコ店の一般正社員としてホール現場を見てきた。単にパチンコを打つだけでなく、新規グランドオープンなどの市場調査やレトロ台探訪、のめり込み防止のための依存症考察など様々な遊技関連を日夜追っかけている変態パチンカー。そのため、大御所ライターや遊技機メーカーや周辺機器の幹部、他ホール法人の幹部などとの交流がある。ちなみに「四本」の読み仮名は(よんほん)ではなく(よつもと)である。

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【パチスロ立ち回り術】5,000枚も狙える話題作…ミッション「奇数」はAT当選に期待!!

 1G純増約3.5枚のAT「デビルラッシュ」突入時に始まる「スペシャルデビルタイム(SDT)」は、Vベルの「ブイ」、ダンテ目の「ダンテ」、リプレイの「ネロ」と3つのSTが同時に進行。それぞれの小役を引くことで枚数上乗せが発生&ゲーム数が再セットされ、上乗せ枚数が「200枚」に到達すると20G継続の「DMCボーナス」へと繋がる。

 ユニバーサルエンターテインメントとカプコンの共作第2弾であるアデリオンの『パチスロ デビル メイ クライ 5』はSDTとボーナス、ATの連鎖で出玉を増やす仕様。その出玉性能はかなり強力で、首尾よく高設定を掴み取れれば終日で5,000枚突破も十分に狙える。

 そんな本機のATへの主な突入契機は、約100G周期で突入する「デビルバトル」。ここでボス撃破→「ブルーローズジャッジ」で「DEVIL RUSH」以上が選ばれればATが発動する流れで、デビルバトル勝利時のAT期待度は、そのボスの種類で大きく変化する。

 詳しく述べると、まずミッション1の「ゴリアテ」は期待度30.5%。続くミッション2の「エルダーゲリュオンナイト」は1.8%と低いものの、ミッション3の「ギルガメス」は21.1%と一気に高まる。

 ミッション4の「ノーバディ」は4.1%で、ミッション5の「キングケルベロス」は18.6%。ミッション6の「アルテミスミラージュ」は30.6%で、ミッション7の「マルファス」は100%ATに当選する。

 要するに、奇数ミッションはチャンスとなるわけで、これらのミッションでの空き台は打つ価値あり。ミッション5から打ち始めた場合はAT当選まで続行するのが得策だ。現在のミッションは液晶上部で確認できる。

 また、デビルバトル失敗時は終了画面で次回AT期待度が示唆され、「V」はボス残り3体以内に期待。「ダンテ」はボス残り3体以内濃厚&43.0%で残り1体となり、「クリフォト」は79.1%でボス残り1体撃破でATへと結び付く。

 一方、「トレーラー」の出現はデビルバトル勝率のレベルアップに役立つアイテムを獲得できる「ニコズショップ」への移行が濃厚。このニコズショップへは1周期目&4周期目に必ず移行するほか、他の周期での移行割合は高設定ほど優遇されている点も覚えておこう。 

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JRA川田将雅「一度も勝てなかった」大本命が苦しい立ち位置、吉田隼人と同期の絆が話題も…… 競馬学校時代「20期エース」の今

 3日、阪神競馬場で行われた大阪杯(G1)を制したのは8番人気の伏兵・ポタジェ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)だった。

 道中は5番手で進め、直線では逃げたジャックドールを捕らえて先頭に躍り出たレイパパレをマークするように進路を取ると、最後までしぶとく伸びて内のレイパパレにクビ差先着。会心の勝利に、殊勲の吉田隼人騎手は馬上で小さくガッツポーズを作った。

 そしてその直後、レイパパレの鞍上・川田将雅騎手がすかさず左手を差し伸べる。これに気付いた吉田隼騎手も右手を伸ばし、馬上でお互いを称え合う握手。真剣勝負の後の美しいひと幕に、ネットの掲示板やSNSなどでは感動の声が続出した。

 実はこの2人、年齢こそ違うものの、2004年にJRA競馬学校の騎手課程を卒業した同期にあたる。また、このレースで人気の一角に押されたジャックドールに騎乗した藤岡佑介騎手も、2人と同じ“20期生”。3人はいずれも前哨戦となった金鯱賞(G2)に同じ馬とのタッグで参戦しており、その時は藤岡佑騎手が1着で川田騎手が2着、吉田隼騎手は4着だった。

 今回は川田騎手が2度同じ轍は踏むまいと逃げる藤岡佑騎手にプレッシャーをかけ、直線ではリベンジを果たすG1勝利が見えかけた。ところが、そこに強襲してきたのが、同じく悔しい思いをしていた吉田隼騎手。後方から届かなかった前走の敗戦を糧に、今回は同期2人の背後にピタリとつく形で追走。悔いのない競馬をした川田騎手を執念で抜き去り、G1タイトルをもぎ取った。

 そんな同期のバチバチ感と絆が垣間見えた好勝負の中、実は「20期のエース」と呼ばれた男はこの舞台にいなかった。デビュー前の模擬レースで2戦2勝、成績優秀者に贈られる「アイルランド大使特別賞」も受賞した津村明秀騎手である。

 過去のインタビュー記事などを振り返ってみても、20期生が競馬学校時代を振り返る時には必ずと言っていいほど名前が挙がる同期の星。皆が「飛びぬけて上手かった」と口を揃え、今や現役トップジョッキーである川田騎手でさえも、「津村には一度も勝てなかった」と当時を振り返っている。

 藤岡佑騎手も「みんな打倒・津村で燃えていた」とライバル視していたことを明かしており、身近に高い目標があったからこそ、同期の中で切磋琢磨することができたと回想する。

 しかし、そんな彼らも今年がデビュー19年目。これまでを振り返ってみると、20期エースの歩みは順風満帆とは行かなかった。

 川田騎手が2008年にキャプテントゥーレで皐月賞(G1)を制し、2015年には吉田隼騎手がゴールドアクターで有馬記念(G1)を制覇。2018年には藤岡佑騎手がケイアイノーテックでNHKマイルC(G1)を勝ち、同期たちが悲願のG1制覇を成し遂げていく一方で、津村騎手は未だにG1勝利がない。それどころか、重賞12勝はすべてG3を勝ったもので、G2勝ちもないというのが現状だ。

 通算の勝ち星を見ても、川田騎手が1732勝で吉田隼騎手も1072勝、藤岡佑騎手も930勝で1000の大台が視界に入って来ている中、津村騎手は546勝と大きく差をつけられてしまっている。

 それでも、2019年にはカレンブーケドールとのコンビでオークス(G1)の2着に入ると、その後は秋華賞(G1)でも2着、ジャパンカップ(G1)でも2着と大舞台で存在感を発揮した。そもそも通算のG1騎乗回数が41回と少ない中で、初タイトルに向けて着実に前進している。

 特に3度目の2着となったJCは「一番悔しかったレース」と後に振り返っており、スワーヴリチャードで勝ったO.マーフィー騎手のウイニングランを目に焼き付けながら、「今までに味わったことのない感情」と回顧していた。

 ここまでのキャリアで味わった悔しさ、そして19年目の春に見た同期たちの奮闘をいかにして力に変えていくことができるか。この春のG1戦線は丸田恭介騎手の悲願の初タイトルで幕を開け、驚きと感動の結末が続いているだけに、津村騎手の“一発”にも期待は膨らんでくる。

 今後のG1戦線で出走表に「津村」の文字を見かけたら、闘志に火が付いた20期エースの逆襲に注意を払いたい。

(文=木場七也)

<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。