ファミマ40周年企画に学ぶ、「PR起点のCXデザイン」とは?

マーケティングのセオリーが刻々と変化する中で、従来の広告頼みの施策では人やモノは動かなくなりつつあります。加えて、広告宣伝費が限られている中で、どのように客数や売り上げを伸ばせばいいのか、企業のマーケティング担当者の悩みは尽きません。

本連載では、「ファミリーマート40周年プロジェクト」を企画・運営し、成功に導いた、ファミリーマートCMO・足立光氏と、電通のPRプランナー・加藤倫子氏が対談。施策内容を紹介しながら、「PR起点のCX(顧客体験)デザイン」について語り合います。

足立氏と加藤氏

「顧客体験価値コンビニ1位」につながった、ファミマ40周年企画

──ファミリーマートは、2021年3月から2022年2月までの1年間、「ファミマる。(さまざまなきっかけでファミリーマート店舗に足を運んでもらう)」を合言葉に40周年プロジェクトを実施。大きな反響があり、2021年度はほぼすべての月で売り上げの前年比が100%を超えました。また、「顧客体験価値ランキング2021」では、コンビニ業界でトップを獲得しました。まずは、お二人がどのようにキャンペーンに関わったのか教えてください。

足立:全体の責任者という立場です。本キャンペーンに限らず、私はファミリーマートのCMOとしてマーケティングを統括しています。僕の主な役割は三つあります。一つ目は、広告や広報、SNSのツイート、商品パッケージなどお客さまの目に触れる、ほぼすべてについて、お客さま目線で一貫性があり、かつ強いコミュニケーションにしていくこと。二つ目はお客さまの来店数を増やすこと。三つ目は、そのためにプロモーションだけでなく、製品開発、価格、チャネルも含めて“マーケティングの4P”全体に関わっていくこと、です。

加藤:私はクリエイティブディレクターという立場で本キャンペーンに携わりました。広告表現やキービジュアルの考案にとどまらず、どうすればファミリーマートのいろいろな活動が話題になってお客さまに来店いただけるか、幅広い視点を持ってそのアクションづくりから関わりました。

──キャンペーンの概要について教えてください。

足立:ファミリーマートがお客さまに持っていただきたいイメージを、五つのキーワードで打ち出し、各キーワードに基づくさまざまな施策を「40のいいこと!?」という形で発信していきました。

40のいいこと!?

5つのキーワード

加藤:例えば、「もっと美味しく」というキーワードでは、「ファミチキ」と並ぶ看板商品を目指し、新商品「クリスピーチキン」を発売。「たのしいおトク」というキーワードでは、サンドイッチなどの人気商品の40%増量を実施しました。

このようなニュースをプレスリリースやSNS、店頭ボードやPOPなどを通じて継続的に発信。結果的に、2022年2月末のキャンペーン終了時までに発信した“いいこと!? ”は、40を大幅に超えて100に到達しました。

──「40のいいこと!?」と題して、どんどんファクトをつくって発信した狙いを教えてください。

足立:私はいろいろな周年プロジェクトを見てきましたが、売り上げにダイレクトに結びついたものはあまりないんです。ファミリーマートは40周年を機に、ちゃんと客数や売り上げ増を実現する施策を行わなければ、と思いました。40周年というのは、お客さまやメディアに対する「きっかけ」でしかありません。ですので、40周年を掲げながらも、その傘の中でお客さまにとって意味がある施策をたくさん行っていくことが大事でした。

加藤:最終的に100の施策を実行できたわけですが、本キャンペーンは電通を含めて7社のエージェンシーが参加し、さまざまな施策を考えました。電通は施策提案の他、全体を監修する役割を担いました。ファミリーマートの広報やマーケティング部などのメンバーと毎週会議をしてどんなニュースを発信したらいいか意見を交わし、実施していきました。

──取り組みの中で大切にしていたことは何でしょうか?

足立:一つは、五つのキーワードに沿ったニュースをずっと発信し続けるということ。もう一つは、週や月によって売り上げが大きく落ち込むことがないように、五つのキーワードのバランスも考えながら、できるだけ毎週、ニュースを発信するようにしたことです。

加藤:大変でしたが、特に「一つ一つの施策がお客さまにとって価値があるものとして世の中に伝わるためにはどうしたらいいか?」というのが悩みどころでした。

足立:提案いただいた施策を選ぶポイントは、「お客さまに喜んでいただけるか」「ファミリーマートとしての特徴が出せるか」「競合がやりにくいことをやっているか」です。この三つを満たしているものをできる限り打ち出していきました。

一瞬だけ話題になるようなニュース(施策)なんていらない! 

──「40のいいこと!?」の中でも、「ファミチキ」や「クリスピーチキン」は大きな話題になりました。施策の狙いを教えてください。

クリスピーチキン

足立:1年間で100のいいことを発表した中で、チキンのニュースはかなり多くあったように思います。これだけチキンを打ち出したのは、チキンはわれわれの看板商品であり、かつ優先順位が高い戦略カテゴリだからです。

加藤:チキンの施策は、「おいしいこと」を驚きをもって伝えることが私たちのミッションでした。広告の力で一瞬だけ話題になるのではなく、ニュースとして継続的に発信しながら、屋台骨を支える商品の売り上げにつながることが大事。ちょっとメディアに取り上げられて話題になるだけではダメなんですよね。足立さんは「話題・来店・売り上げ」の三つがそろっていなければいけない、と最初からずっとお話しされていました。

足立:話題性がない商品は売れないのですが、話題性があれば必ず売れるのかというとそうではありません。大事なのは話題のポイントです。チキンに関しては、おいしさがきちんと伝わるか、食べたいと思うか、ということだけ。それ以外の話題はいりません。話題をつくることは簡単ですが、ちゃんと客数や売り上げにつながらなければ全く意味がないんです。

加藤:でも、おいしいことの話題化って難しいんですよね。食品を扱う企業が、自分の商品を「おいしい」っていうのは当たり前なので。そこで、チキンの施策では、「おうちでファミチキセット」も提案しました。これは、「冷凍のファミチキ」と「ファミチキの揚げ油」をセット販売するもの。家庭で作っていただくことで、驚く形でファミチキがおいしいことが伝わると思いましたし、ファミリーマートの五つの方針の一つ「安全・安心」の証しにもなると思いました。この施策もPRとソーシャルメディアのみですが、ECで1位を獲得し、人気ユーチューバーが取り上げるなど話題になりました。結果的にチキンユーザーの底上げができたと思います。

おうちでファミチキ

足立:チキンに関する施策のポイントは二つありました。一つは、最初に打ち出した「クリスピーチキン」以外は既存品です。それをいかに話題化するかを加藤さんたちに考えてもらいました。もう一つは、チキンは食べる人はたくさん食べますが、食べない人は全く食べません。ですから、普段から食べていただいている方にもっと食べていただく企画、食べていない方にはトライしていただく企画、と両方の視点から考えるようにしました。

例えば、「ファミチキ生誕15周年」のキャンペーン時には、ファミチキを買った数をお客さま同士で競いプレゼントがもらえるキャンペーン「ファミチキ王決定戦」も行いました。このときは、「(ファミチキを)食べたことがないって、人生損してるよ」というコピーで商品を訴求しました。クリスマスには、「ファミマは日本で2番目に人気のチキンのお店!」というコピーとともに、既製品を改良した「プレミアムチキン」を販売しました。どちらも、引っ掛かりのあるコピーでおいしさをきちんと伝えながら、話題化を試みました。

加藤:チキン一つとっても、「おいしい」「食べたくなる」を伝えることを念頭に、あの手この手でニュースづくりをしました。実際に大きく話題になって売り上げにつながり、とてもうれしかったですね。

すべての施策はPR起点で生まれた

──「40のいいこと!?」の中には、「国際女性デー」にちなんで、生理用品を2%割引するというような、社会課題を起点とした施策もありました。施策の背景を教えてください。

加藤:ファミリーマートは全国に店舗があり、多くの方に毎日のようにご利用いただいています。この影響力は大きいと感じていました。そこで、社会的な話題とリンクした施策を提案しました。その一つが、3月8日の「国際女性デー」の翌日から実施した、「生理用品を2%引きするキャンペーン」で、大きな話題を集めました。この施策と前述の「クリスピーチキン」の施策は、40周年プロジェクトのスタート期に行ったのですが、この二つが良い意味でファミリーマートの40周年キャンペーンの方向性を決めてくれたと感じています。

「生理用品を2%引きするキャンペーン」は、単なる商品割引と言ってしまえばそうなんですが、社会課題について店舗で触れられるアクションをつくってニュースにするという、PR起点の新しい方向性が打ち出せました。

生理用品2%オフ

足立:私たちが行った40周年プロジェクトの施策のほとんどはPR起点です。PR起点でどう伝えたらちゃんと話題にしていただけるか、ということから考えていきました。というのも、ほとんどの施策は広告で告知しないからです。PRとソーシャルメディアで話題にして、認知を取っていく方法を取りました。

加藤:生理用品の施策も、広告は打たず店内POPとSNSで発信しました。「国際女性デー」にちなんだ活動そのものが話題になり、PRの効果という意味では大成功でした。

足立:マーケティングでは、 店舗なども含めたオウンドメディアと、PRやSNSなどのアーンドメディアを補完するものが、いわゆるマス広告のようなペイドメディアだと考えています。なので常にオウンドとアーンドを最初に考え、ペイド(広告)はそれを補完・強化するように工夫しました。キャンペーンは店頭の看板やポスター(オウンド)で何を伝えるのかをまず決め、そこで一番響く表現を全部決めてから、SNSなどの発信を考え、施策によっては広告展開していく、という流れです。

加藤:40周年記念プロジェクトでは、最初に足立さんから「CM(ペイドメディア)から提案しないでください」と言われました。すべてはお店の看板とリリースがスタートでした。お店にあるいろいろなものをメディアとして上手に使えば、発信できることや伝えられることがたくさんあり、そこに知恵を使う企画は楽しかったですね。40周年の施策を取り上げた記事を見ると、お店をうまく使った記事トップのビジュアルやサムネイルになっていることが多いと思います。それが狙いではあったのですが、このことからも、お店が最大のメディアで、人の目に触れるところなんだと実感しました。

次回に続く。

twitter

ちばてつや氏から受け継がれた「クリエイターを守る」仕事とは?…漫画家、赤松健氏インタビュー(前編)

 クリエイターの権利と、表現の多様性をどう守るのか――。漫画やアニメ、ゲームを国策として振興しようとする我が国の喫緊の課題だ。

 2021年は「表現の自由」が注目を集めた年となった。秋の衆議院議員選挙では、一部政党がイラストや漫画、アニメ、ゲームなどのキャラクターの性表現、いわゆる「非実在青少年ポルノ」の規制に言及した選挙公約を掲げ、物議を醸した。また千葉県松戸市の〝ご当地Vチューバー〟「戸定梨香」を千葉県警がPR動画に起用したところ、全国フェミニスト議員連盟などから「性的」「不快」などと抗議を受ける騒動が起こった。

 一方、漫画家をはじめとしたクリエイターの生業を脅かす、海賊版サイトの林立も深刻な状況のままだ。日本が誇るコンテンツを手がけるクリエイター自身が、最大の利益を得られるような仕組みのあり方も問われ続けている。

 SNS全盛の時代ではクリエイターやメディア関係者のみならず、全ての国民が「表現の自由」の当事者になり得える。そこでの言動には常に責任が伴う。政治家もまた、国会、地方議会という場で、自身の政治哲学や、それぞれの社会像や国家像を思い描き、論じる“表現者”だ。

 漫画やゲーム、イラストなど、誰かの作品や表現に対し、反論や批判、批評することは尊重されるべき大切な言論だ。しかしウクライナ戦争に関するロシア政府の報道規制のように、“特定の表現は有害な可能性があるので法律で禁じて無かったことにしよう”という風潮は、時の世論や政府の方針次第で”規制すべき特定の表現”が次々に変化し、拡大していく危険性をはらんでいる。

 実在する人間への性的な人権侵害は許されることではない。性別の多様性や性被害防止にむけた具体的な法整備も急務だが、「表現規制」に関してはより慎重に議論する必要があるのではないか。

 大人気漫画『ラブひな』『魔法先生ネギま!』『UQ HOLDER!』(いずれも講談社)の作者であり、日本漫画家協会常務理事・表現の自由を守る会最高顧問の赤松健氏に、これまでの自身の活動と昨今の「表現問題」に関する考えを聞いた。

<以下、インタビュー本文>

著作隣接権問題で森川ジョージ、井上雄彦両氏と“共闘”

――赤松先生は連載を抱え、多忙を極める漫画家業の一方、クリエイターの代表として著作権や表現の自由を守る活動を多年にわたって続けられています。その契機と経緯をお聞かせください。

赤松健氏(以下、赤松) 漫画家としての仕事の他に、2つの活動に注力してきました。1つは、マンガ図書館Z (編集部注:絶版となった漫画、ライトノベル、TRPGルールブックなどを電子書籍として配信するウェブサイト。2010年11月に前身のJコミが仮公開、15年8月に現在の名前に変更)の立ち上げを始めとするデジタルアーカイブ活動です。昔の漫画を掘り出して利活用しつつ、現在の創作活動の宣伝にも回していくというような“漫画のおもしろさ再発見”を目指しています。

 マンガ図書館Zは「これからは電子(書籍のブーム)がくる!」という確信があって作ったのですが、ここまで電子書籍の世になるとまでは思っていませんでした。

 もう一つは著作権や表現の自由に関するロビー活動です。著作隣接権論争が活動のスタートでした。漫画における著作隣接権とは、漫画を出版する際の“印刷した版面”に関し、出版社の権利が自動発生するというものです。単純に漫画の権利者が増えるというものですが、出版社の悲願でもありました。

 文書ならまあわかります。原稿用紙に書いたものを、編集者が版面を考えてレイアウトするからです。しかし漫画は、漫画家がコマ割りも含めてほとんど独力で版面を作っています。出版社はそれを載せて印刷しているだけですから、“自動的に権利をもらえるのは虫が良すぎますよね”と思って反対しているわけです。

 そうしたら、同業者の森川ジョージ先生(『はじめの一歩』作者)とか、井上雄彦先生(『SLAM DUNK』作者)などの大御所が応援してくれたんです。

――当時の漫画家はみんな内心では、“おかしいな”と思っていたということでしょうか。

赤松 そうなんですけど、みんな毎日の締め切りに追われていて、いちいち反応できないんですよね。そんな中、この問題に関して、出版社対クリエイターの構図で議論する場がニコニコ生放送(※)で企画され、出演することになりました。

<※1編集部注:『徹底討論 <出版物に関する権利>は是か非か MIAU Presents ネットの羅針盤』https://live.nicovideo.jp/watch/lv99352394>

 ニコ生出演にあたり、井上先生は当初、“締め切りでもう間に合わない”という話だったのですが、徹夜で仕上げて駆けつけてくれました。それで森川先生、井上先生ともに著作隣接権には反対の立場です。しかし「詳しい法律の条文まではわからない」という。両先生は「詳しいことはわからないけれど、にらみをきかせておくから!」と言って、私の後ろにガンと座ったんです。あの二人、見た目がカッコイイじゃないですか。しかもグワッと画面をにらみつけているんですよ。

 出版社側の出演者は「うわぁぁぁ」という感じで(笑)、出版社側は取締役が出演していたのですが、この討論会は圧勝しました。結局、漫画に関する隣接権は認めないことになりました。その代わり、電子出版権に議論は流れていくのですが、それはまた別の話になります。

――赤松先生は昔、映画監督やプロデューサー志望だったというお話も聞きました。そうした志向性が、ご自身の漫画のみならず、幅広い視野でコンテンツ業界全体を見る活動につながった部分もあるのでしょうか。

赤松 日本大学芸術学部映画学科の映画監督コースを受験しました。1次試験は通ったんですが2次試験の面接で落とされてしまいました。しかし、中央大学に入学後に映画研究会で撮り続けていましたね。その他、アニメも漫画もみんな大学時代にやりました。授業はあんまり出なかったです(笑)

ちばてつや氏らが戦った2010年の都条例改正案

――昨年、再び話題になった「非実在青少年ポルノ」問題に関しても積極的に活動されてきました。

赤松 この問題に関しては「東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案」(※2、以下、都条例)と「児童ポルノ禁止法改正案」(以下、児ポ法)の2つのトピックがありました。

<※2編集部注:2010年2月に都議会に提出された同条例改正案には「第7条(図書類等の販売及び興行の自主規制)の二」に「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係わる非実在青少年の姿態を視覚により認識することが出来る方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」との文言が記載されていた。同条文が「表現の自由」を侵害する可能性が高いとして、多くの漫画家やクリエイターらが反対運動に身を投じた結果、同年6月に否決された>

 最初に社会問題になったのは都条例改正案です。そのころ活動の中心は、ちばてつや先生(『あしたのジョー』作者)など漫画家界の重鎮がメーンでした。私は活動の中心にいませんでした。ちょうどそのころ、『ネギま!』などがめちゃくちゃ売れていて、自身の創作活動が多忙を極めていました。つまり、ちば先生たちのおかけで私は当時、創作に集中させてもらっていたんです。

 そして2013年、国会に児ポ法改正案(※3)が提出された時、山田太郎参議院議員(現・自民党比例区)から日本漫画家協会に連絡あり、私が表に立って活動することになりました。ちば先生や里中満智子先生(『アリエスの乙女たち』作者、日本漫画家協会現理事長)たちからバトンタッチをされたんです。当時、私はまだ40代。今、ちば先生は80代、里中先生は70代、私の代まで20~30歳は離れています。つまり、その間の20~30年に属する世代の漫画家は、割とマンガに集中できていた素晴らしい時代でした。

 しかし私の代になってから著作権や表現の自由に関して問題ばかり起こるんですよ。

 漫画家協会のロビー活動は、現在、私が代表してやっていますが今、若手で売れている『鬼滅の刃』(集英社)の吾峠呼世晴先生、『進撃の巨人』(講談社)の諫山創先生など、若い人たちには創作に集中してほしいと思っています。

<※3編集部注:児ポ法改正案の経緯に関する山田太郎議員のインタビューはビジネスジャーナル2021年10月29日付記事『衆院選、共産党「非実在児童ポルノ」めぐる選挙公約への疑問点と矛盾点』『共産党の公約で「非実在児童ポルノ」が衆院選の争点化…表現規制問題の論点整理』https://biz-journal.jp/2021/10/post_259627.htmlで詳報した>

引き継がれたクリエイター代表としてのロビー活動

――最近の表現規制に関するネット上の議論の状況をどのように見ますか?

赤松 漫画やアニメの「規制強化」を主張する人たちの根拠になっているのは、国連から来るジェンダー系の勧告などです。「国連からこういうのを求められているよね。だから日本もこうしなさいよ」というような理論ですが、そもそも海外より日本のほうが児童性虐待も犯罪自体も少ないし、漫画やアニメに影響されて悪いことをするのだというエビデンスも示されていません。

「多様性を掲げているのに、自分たちの認める多様性以外は認めない」という趣旨の主張もよく見かけます。コンテンツにおける「男女の比率」や「人種の比率」、「声優の人種」などにこだわり、「多様性」は「我々が主張しているこの一つしか認めない」、そんな外からの圧力が根本にあると考えています。

 例えば、大阪府の表現ガイドラインにある「女性をアイキャッチとして使わない」というのも、そうした勧告の流れを汲んで書かれたものです。しかし、我々クリエイターや出版社は、そういう主張に対する適切な反論や説明を、この20~30年間殆どしてきませんでした。

 これからはクリエイター自身が世界に出て、日本の漫画の面白さ、素晴らしさを自分の言葉であらためて主張する必要があると思っています。

 昨年7~8月に開催された東京オリンピックでは、各国選手団入場の際、国名を記したプラカードが漫画の吹き出しの形になっていましたよね。もう世界では、日本と言えば漫画の国なのです。またフランスのマクロン大統領が、日本の漫画家さんに会いたいと熱望し、結局真島ヒロ先生(『FAIRY TAIL』作者)や大友克洋先生(『AKIRA』作者)に会えてご満悦だったという事例もありました。

 漫画やアニメを通じて日本の良さを海外に知らしめて、そこから友好を深めていく。規制が蔓延する世界ではなく、“もっと素晴らしい自由な創作の世界があるんだよ”ということを紹介し、日本の漫画やアニメやゲームなどに対する外からの圧力を緩めていきたいと思っています。

 しかし、漫画家はとにかく忙しく、“訴えかけ”ができないのです。私が児ポ法改正案の議論で谷垣禎一法相(当時)に面会に行った時は、週刊連載をしていました。(そうしたロビー活動と画業を並行すれば)掲載漫画誌の読者アンケートのランキングも落ちてしまいます。私は漫画家を28年もやってきましたから、ある程度やりきりました。でも、若い人たちには創作に集中してもらいたい。

――ちば先生がかつて先陣を切って活動されていた時に、赤松先生が創作に集中できていたように、今度は若い先生たちに集中してもらうということでしょうか。

赤松 思う存分、やってもらいたいです。

 例えば、今、注目を集めいている『呪術廻戦』(集英社)の芥見下々先生が表に出てきて、自民党にロビイングされても国民みんなが困惑すると思うんです。「今は連載に集中してほしい」と。そういう意味で、私のようなある程度売れ切った漫画家が、こうした活動をするのがちょうどいいわけです。

 私は自分の作品のおかげで、総務省とか外務省とかに行っても、(対応する官僚に)「読んでいました」「ファンです」って言ってもらえるんですよね。『ラブひな』は東大受験をテーマにした話なので、官僚にも読んでいてくれた人が多いみたいです。

【後編に続く】

(構成=T―PRESS編集部、取材協力=赤松健/漫画家)

※本稿は一般社団法人同盟通信新社『TーPRESS4月号』との共同企画により、両媒体に掲載します。

●赤松健(あかまつ・けん)

 中央大学在学中に第50回週刊少年マガジン新人漫画賞審査員特別賞を受賞し、漫画家デビュー。デビュー直後から講談社の少年向け漫画雑誌にて連載を続け、28年にわたり連載を継続。作品のほぼ全てがアニメ化されている。

 国内外を合わせたコミック累計発行部数は5000万部を超える。内、約3割は海外での発行。世界各地で行われるブックフェアなどのイベントに招待されプレゼンテーションを行うなど、漫画・アニメを通じて日本のコンテンツの魅力を世界に発信している。

 日本のクリエイターにしては珍しく著作権の分野に造詣が深く、政府や自民党の会議に有識者として参加してきた。東京大学、東京藝術大学、早稲田大学をはじめとする教育機関でのゲスト講義の経験も多い。

 

表現規制論議と作品の「おもしろさ」の相関とは…漫画家、赤松健氏インタビュー(後編)

 衆議院議員選挙での一部政党による「非実在青少年ポルノ」の規制に言及した選挙公約、千葉県松戸市の〝ご当地Vチューバー〟「戸定梨香」の千葉県警PR動画問題など、昨年はインターネット上を中心に「表現のあり方」が問われた。前回に引き続き、漫画『ラブひな』『魔法先生ネギま!』『UQ HOLDER!』(いずれも講談社)の作者であり、日本漫画家協会常務理事・表現の自由を守る会最高顧問の赤松健氏に“規制論議”の背景や、著作権をめぐる海賊版と2次創作の問題、政界進出の意図を聞いた。

規制論議と「作品のおもしろさ」の関係

――表現規制の問題はつまるところ、すべての当事者が議論をし続けて、「落としどころ」を探っていくしかないのかもしれません。

赤松健氏(以下、赤松) アニメ版『鬼滅の刃』の遊廓編が始まり、ヒロインの1人である禰豆子も、途中で成長し胸が大きくなったり、手足を切られたりするシーンがあったためか、海外で物議をかもしたようです。

 しかし意外なことに、作品はおもしろければ見られます。『鬼滅』もめちゃくちゃ面白いから、美少女の首を切ってもなぜか批判は少ないです。『進撃の巨人』も残酷シーンはありますが、「規制をしろ」という声をあまり聞きません。

 だからという訳ではないですが、クリエイターとしては、やはり「面白いものをつくらなければいけない」という使命感はあります。表現の自由に面白さやつまらなさは関係ないのですが、より面白ければみんな守り甲斐がありますよね。

 もう一つはエビデンスがない、科学的でも法的でもない“お気持ち”だけで規制しようという人々に対し、我々クリエイターが率先して、適切な反論をしていく必要があると思うのです。それは国内だけではなく、海外に対しても同様です。

――自分の作品がネット上で炎上し、批判的なコメントが殺到するとクリエイターは委縮してしまいがちです。また特に海外から批判があると、日本人は過敏に反応するところがあります。国連は加盟国の意見や利害を調整、議論する場であって、世界の常識や正義を体現している世界政府のような組織ではありません。

赤松 基本的に“自分たちが良い”と思っていることを主張しているのでしょう。だから私たちも自分たちが良いと思っていることを言い続けるしかありません。

――それぞれの人が不快な部分を感じたとしても、みんなが少しずつ許容しつつ落としどころを探っていくしかない。

赤松 その通りだと思います。「誰かひとりでも不快になったら改められるべきである」という言葉は、一見正しいようにも見えますが、そう主張した人ですら「お前のどこそこが不快だ」と批判を受ける可能性があるのです。自分の気に入らないものであっても、双方で議論をして許容していくというのが、表現の自由の基本だと思うのです。

――表現規制の声が高まれば高まるほど、エッジの効いた部分をカットして、批判を受けない安易なキャラクターやシナリオを作ればいいという、クリエイター界隈の流れも見受けられます。

赤松 輸出する時に現地の文化に合わせるのは良いと思います。ローカライズはするべきだと思うのですが、日本国内で楽しまれているものに関して、海外から「もっとこうしろよ!」と言われるのはどうかと思います。そう思っている人は多いみたいで、最近はそういった意見をTwitterでつぶやくと、海外からも「その通りだ」「そのままの日本の創作が見たいんだ」「外圧に屈するな」という応援の声がよく寄せられます。

 例えば、中国で作っているスマホゲームなのに、規制が厳しいため中国国内では楽しめず、日本でならプレイできる作品もあります。日本における表現の自由の素晴らしさや、コンテンツの魅力に憧れて、見たいと思っている海外の人は多いのです。“日本大好き!”という人を増やしていくことは、貿易などの振興にもつながると思うのです。韓国は音楽や映画などで海外のファンを増やす施策で大成功しています。まず文化で仲良くなるというのは、夢がありますよね。

海賊版対策と著作権、2次創作の問題でも奔走

――TPP締結時に著作権法がすべて「非親告罪」になる可能性が取りざたされ、二次創作同人誌即売会コミックマーマーケットやコスプレ文化の存続が危ぶまれた時も、日本国内の二次創作を守るために尽力されました。

赤松 非親告罪化のケースでは、私はコミケ出身の漫画家ということもあり、なんとかしなくてはと思い立ち、個人的に活動に参加しました。漫画家協会としては、二次創作はそうそ簡単には認められないという事情があったからです。協会内にはコミケ反対派もいるぐらいですから。

「著作権法違反の非親告罪化」とは、著作権侵害について、我々権利者があえて黙認したい場合であっても、検察官が独自に起訴できてしまうというものです。

 実際には(起訴)しないですよ。後から作者に「それはOKなんだよ」と言われると困るから、検察も鑑定の一環として作者に聞くのが常識です。

 現実的にはコミケや同人誌活動は新人漫画家やクリエイターの修行の場なので、その時は出版社も味方をしてくれました。また海外も、別に日本国内の二次創作を壊滅させたいとは思っていなかったのです。結局、TPP締結時の「著作権法での非親告罪」から二次創作は除外され、大団円になりました。

 そもそもこの問題は各種コンテンツの“海賊版対策”に端を発しています。二次創作は“海賊版”と条件がかぶる部分がけっこうあったのです。デッドコピーではないけれど、翻案に該当する可能性があるし、絵柄が原作と似てしまっているものもあります。だから作者も出版社も助け船を出しました。業界の誰もが、二次創作を潰したいとは言っていませんでした。これは美談だと思います。

――一連の活動で、クリエイター界隈の中に二次創作に関するひとつの共通認識ができたということなのかもしれませんね。

赤松 条約を国内法にするときに、文化庁もそこはわかっていたようで、二次創作は大丈夫なように都合をつけてくれました。そもそもTPPは秘密保持契約を交わして交渉が進められた条約だったので、みんな不安だったのですが、最後はうまくいきましたね。

――海賊版対策といえば、海賊版漫画サイト『漫画村』が問題になり、ダウンロード違法化の対象範囲の拡大が議論された際にも、国会で参考人として出席されていました。

赤松 音楽や動画は海賊版と分かってダウンロードするのはNGだったのに、漫画はいくらダウンロードしてもOKでした。出版社はこれを違法にしたかったわけです。

 ところが最初の改正案では、二次創作の絵も、(そういうものが写り込んだ)スクリーンショットも全部違法になってしまった。それを山田議員と私が中心になって変え、みんなが納得する内容にして、衆参全会一致の著作権法改正を実現しました。

 これに関しては参議院で参考人に立ちました。我々がいかに海賊版に悩まされているかを訴えました。

漫画界の“今”を支えるクリエイターのため政界へ

――赤松先生は政界に本格的に進出するご予定です。どのような思いから決断されたのでしょうか。

赤松 去年、野党が「非実在児童ポルノ」という用語を再び使い始め、漫画やアニメを名指しして「子どもの尊厳を傷つける」とまで言って、表現規制側に舵を切ったと話題になりました。また海賊版問題では、漫画村の4~5倍の規模のサイトが出現し、電子版しか出せない漫画家の懐を直撃しています。このままでは若いクリエイターがみんな死んでしまう。もはや私が前面に立って対抗しなければ、後がないと思ったのがきっかけです。

 ちょうど先週(編集部注:インタビュー収録は2月2日)、『UQ HOLDER!』が完結し、別冊マガジンへの連載が終わったので、これからは本腰を入れて若いクリエイターを守ったり、表現の自由を守ったり、しないといけないなと思っています。しかし、創作活動は続けます。アシスタントもそのまま維持します。

 今後は政策や日本の問題点を漫画にしてTwitterで発信していきたいと考えています。政治家さんが漫画家に依頼してそうしたことをやるということは、まれにあるのですが、本人が描くということはありません。

 つまり、漫画は続けます。

――クリエイターとして政治家になるということでしょうか。

赤松 スタンド能力を維持したまま、政治活動をやるということです(笑)。心配したファンの皆さんから、「赤松先生、漫画を辞めてしまうんですか」と聞かれるのですが、ご安心ください。

――これからはまた忙しくなられるのですね。オフの時などはどのように過ごされているんですか。

赤松 私は古いものが好きで、レコードコレクターでもあります。特にジャズが好きです。また、レトロパソコンコレクターでもあるんです。世界最初のパーソナルコンピューター「Altair8800」(開発Micro Instrumentation and Telemetry Systems)とかを組んで、ゲームをやったりしています。また古い漫画が好きなこともあって、マンガ図書館Zをはじめたという経緯があります。

 休日は、今はありません(笑)

 しかし、『ラブひな』を連載していたころは“年休2日”だったので、それと比べれば休日はありますね。当時は2時間睡眠でした。(創作に必要なアイデアを考える余暇もないので)それまでの人生すべてを作品に出し切りました。

 毎週18枚描いて、読者アンケートが低いと打ち切りです。まず締め切りに間に合わせるのが大変なのに、人気も求められてめちゃくちゃ大変でした。そうした経験を踏まえて、若いクリエイターの創作活動を邪魔しないために、だから私が今、政治活動をしていかなくてはならないのだと思っています。

(構成=T-PRESS編集部、取材協力=赤松健/漫画家)

●赤松健(あかまつ・けん)

中央大学在学中に第50回週刊少年マガジン新人漫画賞審査員特別賞を受賞し、漫画家デビュー。デビュー直後から講談社の少年向け漫画雑誌にて連載を続け、28年にわたり連載を継続。作品のほぼ全てがアニメ化されている。

国内外を合わせたコミック累計発行部数は5000万部を超える。内、約3割は海外での発行。世界各地で行われるブックフェアなどのイベントに招待されプレゼンテーションを行うなど、漫画・アニメを通じて日本のコンテンツの魅力を世界に発信している。

日本のクリエイターにしては珍しく著作権の分野に造詣が深く、政府や自民党の会議に有識者として参加してきた。東京大学、東京藝術大学、早稲田大学をはじめとする教育機関でのゲスト講義の経験も多い。

 

パチスロ「設定L問題」で坊主にするも…大御所演者が「謝罪動画」の裏側についてぶっちゃけ

 演者兼制作会社社長として、長きに渡ってパチンコ業界に携わるヒロシ・ヤング氏は現在、白髪の坊主姿だ。

 やや茶色く染めた髪をバッサリと刈り上げた理由は、自身のYouTubeチャンネル内の動画にて不適切な発言があったから。これについて苦情が入り、ヤング氏は頭を丸めて謝罪動画をアップしたのである。

 ことの経緯は、某YouTubeチャンネルで公開された動画での一幕が要因。その実戦ホールではパチスロの設定Lが投入されていた模様で、演者が他の客に対して「設定Lだから打たない方がいい」とのアドバイスをした場面がそのまま公開された。一時は非公開となったが、後に当該部分をカットして再UPした件について独自の見解を述べていた。

 この件に関してホール関係者は自身のYouTubeチャンネルで「設定Lが投入されたのはヒューマンエラー」「今後は設定Lを使わない」「忖度編集してほしかった」などと語っていたそうで、これをスタッフと共に「設定Lはサイコパスがやったんじゃない?」などと面白おかしく紹介したのがマズかった。

 これを観たホール関係者は大激怒し、SNS上では宣戦布告とも取れるつぶやきを発信。結果、ヤング氏は頭を丸めて黒いスーツに身を包み、深々と頭を下げたというわけだ。※詳しく知りたい方は同チャンネルの動画「傷つけてしまったので、謝罪します。」を確認していただきたい。

■謝罪動画の裏側をぶっちゃけ

 ただ、これで終わらないのがヤング氏で、動画のラストで撤収作業が映し出されると、なんとスタッフも全員、坊主。この衝撃映像には大きな反響があったようで、3月中旬にアップされた動画「謝罪動画の裏側を話します!!」では、それまでの経緯と坊主後の心境を語った。

 ヤング氏によると、坊主にしたことでまず言われたのが、「かつらだったのか」ということ。無論、かつらではないそうだが、坊主にしたことで白髪がバレてしまい、その違和感からイジられているという。

 また、当初はヤング氏のみ坊主にする予定だったそうだが、若手スタッフの1人が「自分も坊主にする」と宣言したことで、もう1人のスタッフも巻き添えに。そのもう1人のスタッフに至っては、家庭内でちょっとした揉め事にまで発展したそうだ。

 加えて、ヤング氏は坊主になったことで「女性ライターに(頭を)もっと触ってもらえるのかと思ってた」とコメント。実際は森本レオ子氏に「触らせてやるわ」と言っても「あぁ、はい…」と返されたそうで、「思ってたのと違う」と苦笑いを浮かべた。

 このほか、動画内では髪の毛が伸びた際の、次の髪型についてもスタッフ同士で討論するなど見どころ満載の内容となっている。興味のある方はぜひ視聴してみてはいかがだろうか。

【注目記事】
最初の緊急事態宣言下…休業中の「パチンコ店は何をしていたのか」?
【パチンコレトロ台】往年の名機を50台以上所持! その総購入金額は意外にも…
P機初「天国モード」爆裂を発揮中だが…困惑するユーザーも!?―初打ち実戦速報パチンコ編―

JRA単勝1.9倍大本命「ドン詰まり」関東中堅ジョッキーに非難轟々……実況アナ「前が壁」で蘇った福永祐一ビッグアーサーの悲劇

 9日、中山競馬場で行われた芝1200mの船橋S(3勝クラス)は、2番人気のジュビリーヘッドが1分7秒7の好タイムで快勝。先団から鋭い脚で抜け出して見事にオープン入りを決めた。

 騎乗した横山和生騎手はレース後、「思い通りの形で運べた。終いは弾けました」とコメント。前走のアクアマリンS(3勝クラス)は1番人気で3着に敗れていただけに、まさにしてやったりの競馬だったか。

 短距離を得意としている安田隆行厩舎の管理馬で、師が手掛けたロードカナロアの産駒。今後もスプリント路線で楽しみな1頭になりそうだ。

 一方、単勝1.9倍の1番人気に推されながら、最後の直線で前の馬が壁になり、まさかの馬券圏外に敗れたのが、ショウリュウレーヴ(牡4歳、栗東・佐々木晶三厩舎)と石橋脩騎手のコンビだ。

 同馬は、昨年の日経新春杯(G2)を勝ったショウリュウイクゾの半弟。ここまで6戦3勝2着1回と底を見せておらず、前走の新春S(3勝クラス)でも勝ち馬のグレイイングリーンから0秒2差の2着に入っている。

 しかし、デビュー戦から手綱を執り続けている団野大成騎手が怪我で療養しているため、今回はテン乗りの石橋騎手で挑む運びとなった。

 16頭立てのレース。2枠4番のショウリュウレーヴと石橋騎手は、スタートで約2馬身ほどの立ち遅れ。だが二の脚を利かせてすぐに先団に取り付くと、道中は4番手のインを追走する。

 最後の直線は内ラチ沿いを選択。激しく手綱を追っていた石橋騎手だったが、ラスト150m付近で前を行くテーオーマルクスが壁になり、いわゆる“ドン詰まり”の状態に……。スプリント戦だけにこれが致命傷となり、掲示板も外す6着に終わった。

「これは石橋騎手もやってしまいましたね……。直線に入ってからの脚色を見る限り、スムーズに捌けてさえいれば、馬券圏内には来られたのではないでしょうか。

また、出遅れからの巻き返しも一気に脚を使いすぎた印象で、正直そこまで上手いリカバリーにも見えませんでした。全体的にチグハグなレース内容になってしまったと思われます」(競馬誌ライター)

 レース後、SNSやネット掲示板には「これは酷い」「もう乗らないでくれ」などのコメントが殺到。人気を集めていたにもかかわらず不完全燃焼に終わってしまっただけに、厳しい声が寄せられたのも致し方ないところか。

 また、この日の『ウイニング競馬』(テレビ東京系)では「最内を通って4番ショウリュウレーヴ! しかし前が壁!」と実況されていたこともあり、ネットでは「ビッグアーサーか」という書き込みも見られた。

 2016年の高松宮記念(G1)を勝ったビッグアーサーは、同年秋に行われたスプリンターズS(G1)に出走。前哨戦のセントウルS(G2)を完勝していたこともあり、当日は単勝1.8倍と人気が集中した。

 しかし1枠1番から終始窮屈なレースを強いられると、最後の直線では行く先々で前が塞がる事態に。実況からも「ビッグアーサー前が壁」とアナウンスされると共に、全く力を発揮しきれず12着に大敗している。

 騎乗していた福永祐一騎手も自らの非を認め、「最低の騎乗だった」とレース後に語っている。この悪夢のような一連の出来事は、いまでも競馬ファンの間では語り草となっているようだ。

 今回の船橋Sは、そのときと同じ中山の芝1200mが舞台。またショウリュウレーヴも同じく単勝1倍台の支持を受けていたことから、6年前に起きた悲劇を思い出したファンもあるいは多かったのかもしれない。

 なお石橋騎手はレース後、「内側の馬場にノメっていました」とコメント。荒れたインの馬場に脚を取られたのも敗れた理由の1つだったか。人馬の今後の巻き返しに期待したいところだ。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

パチスロ新時代A+AT機の実力は…―初打ちで『まど2』の再来と感じたユーザーも!!

 名機を次々と生み出す大手メーカー・ユニバーサルエンターテインメント。4月4日、同メーカーのグループ「メーシー」から『SLOTえとたま』が導入された。

 本機は昨今ユーザーから熱視線を浴びている「A+AT」。本ジャンルは、5号機「A+ART機」ファンから圧倒的な支持を集めている印象だ。

 また、ユニバーサルエンターテインメントといえば名機『SLOT魔法少女まどか☆マギカ2』を輩出したメーカー。新台『SLOTえとたま』は同マシンとの類似点も多く、ファンから期待の声が溢れていた。
 
 そんな本機をピックアップし、実際に遊技してきたファンからの実戦報告や感想をご紹介させていただく。それらを踏まえて我々編集部が独断と偏見で、本機の将来性をジャッジ。これから遊技する方、気になっている方は参考にしていただきたい。

『SLOTえとたま』(メーシー)

 本機はボーナスとATで出玉を形成するA+AT機。ボーナスは約150枚獲得できる「えとたまぼ~にゃす」と、約40枚獲得可能な「みにぼ~にゃす」が存在する。

 AT「萌力祭」は純増約2枚のゲーム数管理型だ。液晶左下の「せるふまっぷ」によって「萌力」を獲得し、100まで蓄積するとバトルが発生。バトル勝利で上乗せや特化ゾーンを獲得できる。

 通常時も「萌力」が重要。ポイントMAXで高確率ステージやAT抽選を受けることができる。高確率ステージ中に引いたボーナスはAT突入の期待大だ。

【プレイヤーからの実戦報告】

 自力感満載のゲーム性となっているため、ボーナスやATの展開が評価に影響を与えている印象。「ボーナス以外でATに入らない」「AT中がワンパターン」という不満の声も存在する。

 しかしながら、ポジティブな意見も多く存在。「まど2みたいで良い」「自力感が好きだから楽しい」と称賛するユーザーも目立っている状況である。

【ヒットの可能性は?】

 昨今の新台としては導入台数が少なめだが、複数台で導入するホールも少なくない。同メーカー『SLOT魔法少女まどか☆マギカ2』と比較する声も多く、同機種のようにジワジワと人気を伸ばしていくことも予想できる。今後の動向に要注目だ。

【注目記事】
【4月18日パチンコ新台②】甘デジ「1500発シリーズ第二弾」、1球勝負の「ALL1500発マシン」、非確変の方がアツい「常識外れスペック」が爆誕!! 
パチスロ「一部マニアしか知らない」超激レア台!? 国民的ビッグタイトルとのタイアップ機を振り返り
【パチスロ初打ち速報】2400枚の連打も狙える暴君SPECの評価は? 強烈な出玉性能を称賛する声!! 

元JRA藤田伸二氏「馬主に金返さなアカン」自爆落馬の川田将雅に喝! 騎乗停止は回避も過怠金わずか10万円、「甘過ぎる」処分に賛否?

 昨年のフェアプレー賞を受賞した騎手にしては珍しい失態だ。

 アクシデントが発生したのは、9日に行われた土曜阪神の9R白鷺特別(2勝クラス)でのこと。単勝オッズが一桁台の馬が5頭出走した混戦を制したのは、1番人気のタイソウで2着にも2番人気プレイリードリームが入った。

 人気通りの決着ということもあり、一件平穏に見えるものの、最後の直線では2頭が落馬するという残念な結果でもあった。

 落馬したのは、川田将雅騎手が騎乗していた3番人気ハーツオブシャカと富田暁騎手が騎乗していた8番人気ダノングレーター。原因は最後の直線コースで川田騎手が右あぶみ(騎乗時に足を乗せる馬具)を踏み外し、バランスを崩したことによるもの。目前で発生した落馬を避けようとした富田騎手も巻き込まれる格好で落馬してしまった。

 その結果、川田騎手には最後の直線コースでの御法に問題があったとして、過怠金10万円という処分が下された。両名とも大きなケガはなく、その後のレースも騎乗を続けることが出来たのは不幸中の幸いといえる。

 10頭立てで頭数が多くなく、馬群がバラけていたことも幸運だった。結果的に何事もなかったかのように開催は続いたものの、一歩間違えれば大事故にもなりかねなかった今回の落馬。それも騎乗馬に起因するものではなく、裁決から過怠金という処分が下されたということは、騎手側の責任が問われても不思議ではない。

 また、3番人気馬の馬券を購入していたファンからすれば、信頼していた騎手が原因の落馬にやりきれない感情もあっただろう。

 そして、この失態を見過ごさなかったのが、元JRA騎手の藤田伸二氏である。

 藤田氏は自身の公式Twitter(@FujitaOfficial)にて「今日の9レースの川田…ありぁ馬主に金返さなアカン!(原文ママ)」と川田騎手の騎乗に疑問を投げかけるツイート。特別模範騎手賞に2度輝いた競馬界のご意見番としても、同賞を受賞したことのある後輩に「喝」を入れずにはいられなかったようだ。

 その一方、川田騎手の危機回避能力の高さや次のレースで騎乗した鉄人ぶりを称賛する声もあったが、処分が甘過ぎるのではないかという意見が出ていたことも確か。ネットの掲示板やSNSなどでは、一部のファンから「騎乗停止じゃないの?」「10万円では反省しないよ」「2週連続なら加重制裁では?」といった厳しい意見もあった。

 騎乗馬が原因となる落馬で他馬に不利を与えたならまだしも、今回は騎手の“自爆”が発端である上に被害馬も落馬している。当事者の川田騎手は、ただでさえ先週の土曜阪神でも2度の過怠金処分を受けたばかり。2週連続の失態にファンが心証を悪くしたのも分からなくはない。

 落馬直後の10R京橋S(3勝クラス)をプログノーシスで快勝した川田騎手は、日曜の桜花賞(G1)を7番人気の伏兵スターズオンアースで勝利。ロスのない位置取りで溜めた脚を直線で爆発させる好騎乗だった。

 レース後の勝利騎手インタビュー内で「まずは昨日、大変ご迷惑をお掛けして非常に申し訳なく思っております。改めて気を引き締めて、精一杯頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします」と反省の弁を述べ、さらなる精進を誓った。

 今や日本を代表するトップジョッキーであることは間違いないだけに、失った信頼を取り戻すためには、今後も好騎乗で結果を残し続けていくしかなさそうだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

パチスロ「連日のように万枚」BIG80回超の裏モノ性能でホールを席巻…いまは亡き爆裂メーカーの回想記(前編)

 どうも電撃しらっちです。今回は、いまは亡きパチスロメーカー・タイヨーについて取り上げてみたいと思います。なぜ唐突に?と思われるかもしれませんが、タイヨーが民事再生手続きを申し立てたのが、2010年の「4月」だったからです。

 その後は奮闘も虚しく、2016年販売の『コクッチーブラック』を最後に倒産してしまいましたが、今考えても本当に残念です。

 そんなタイヨーで一番好きだったマシンは、4号機の『タイヨーボウリング』。スペックはよくあるストック機で、当時は設置店が非常に少なかったのですが、ゲーム性・サウンドともに本当に最高でした。

 ちなみに、そのサウンドについては、大御所ライターであるアニマルかつみさんが、攻略誌「パチスロ必勝ガイド」(ガイドワークス)の記事内でも絶賛していたほどです。

 さて、そのタイヨーですが、歴史を辿ると古くは1980年代後半の1号機『ハイアップ』や1.5号機『ハイアップターボ』あたりでしょうか。私自身は未体験ですが、BIG中の「小役抜き」とREG時の「チェリー抜き」が強烈だったそうです。 

 私とタイヨーとの出会いはもう少し後。それが1989年登場の2号機『リスキーダック』でしたが、その頃の私はオリンピアの『バニーガール』に夢中でした。遊技レバーが、筐体の右にあるような異端の台に興味がわかなかったのです。

■人気ライターたちの名前の由来になったマシン

 ちなみ、元パチスロライターで現在はユニバーサルエンターテインメントのお偉いさんであるリスキー長谷川さんの“リスキー”は、この『リスキーダック』から拝借したというエピソードはわりと有名ですよね。

 さらに、同年には『ガルーダ』というマシンがあったのですが、伝説的ユニット「ザ・マッド・パチスロ・ブラザーズ」で有名なガル憎さんの“ガル”は、この『ガルーダ』が由来だそうです。

 このように、パチンコ業界人であれば誰もが知るような人気ライターたちが名前の一部として用いるわけですから、そういった意味でも偉大なメーカーといえるのかも知れません。

■連日のように爆裂台が続出

 それから次の出会いが実に強烈でした。それが1995年の4号機『マフィアX』という台。スペックはBIGとREGのみのAタイプでしたが、この時代はまだまだ2・3号機の名残が強く、本機も魔改造されることに……。

 導入された近所の店では、1/3ほどの台が連日BIGボーナス・70~80回を記録。この当時は“万枚”という言葉が定着する前でしたが、連日のように爆裂台が続出していたのです。

 もちろん、その裏モノの性能は地域や店によって異なりますが、地元のバージョンに関していえば、過去の爆裂裏モノ台に匹敵するほどの破壊力を有していました。具体的には、状態滞在時はREGがほとんど成立せず、BIGの即連チャンが延々と続きますが、それ以外の時は先の見えないハマりと単発の繰り返しです。

 初のトライで7万円ほどの大勝ちをしたことを覚えています。7枚交換でしたから枚数では5000枚ほどでしょうか。しかし、2度目のトライでは見るも無惨な敗北。その上、始動レバー(ボタン)が右にあることから操作性も悪く、非常に打ち辛かったのです。

 最初はたまたま良いものの、ちょっと簡単に手を出せる代物ではないと思い、マフィアからはあっさりと手を引きました。それにしても『マフィア』という機種名、本当に思い切った名前にしたものですよね。現在であれば名前だけでアウトになりそう……知りませんけど。

 後編に続く。

(文=電撃しらっち)
<著者プロフィール>
 業界歴30年。遊技機販売業など様々な業種を経験し、現在はライターとしての活動にも力を入れている。レトロパチンコ・パチスロの実戦記事や、業界関係者への取材記事も担当。羽根モノや一発台を特集するなど、オールドファンにも響く内容も積極的に作成している。

【注目記事】

パチンコ「いつでも50%1500発」で必ずRUSH突入! 最大限の恩恵を得られるマヂ神スペック!!-新台速報-
パチンコ入替専用台車「マジか2」も紹介…「SDGs」は事業の多角化にも繋がる。

JRA桜花賞(G1)武豊「完全燃焼」に絶賛の嵐! 安藤勝己氏「ハナ差を除けば完璧」痛恨2着も、「重要な2週間」は皐月賞(G1)ドウデュースへ

 10日、阪神競馬場で行われた牝馬クラシック第1戦・桜花賞(G1)は、7番人気のスターズオンアース(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)がハナ差の接戦を制して戴冠。3歳牝馬クラシック戦線の中心に躍り出た。

 その一方で、最後の最後で勝ち馬に差されてしまったのが、武豊騎手とウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。

 18頭立て、芝1600mのレース。抜群のスタートを決めたウォーターナビレラは、ハナを主張したカフジテトラゴンを行かせる形の2番手からの競馬。前走のチューリップ賞(G2)は馬群の中の競馬を試して5着に敗れたが、この日は本来の積極策で挑んだ。

 隊列はすんなりと決まり、前半600mは34.6秒のスローペース。迎えた最後の直線では、前を走っていたカフジテトラゴンを捉えるのに苦戦したが、内からナムラクレアが並びかけてきたところで持ち前の勝負根性を発揮。一気に逃げ馬を交わし切ると、ナムラクレアも競り落とし、ラスト50mで先頭に躍り出たが――。

「今週、来週は、ボク自身にとっても重要な2週間であると自覚しています」

 桜花賞前、6日に更新された公式ホームページで、そう決意を語っていた武豊騎手。「重要な2週間」の初週は弟・武幸四郎調教師と挑む桜花賞。当日は-14kgだったが「順調そのもの。出来は過去一番だし、あとは無事にレースに送り出すだけ」と話す陣営からは、この上ない勝負気配がうかがえた。

「追い風」も吹いていた。桜花賞が行われたこの日の阪神は、とにかく内を通った馬が有利な馬場コンディション。チューリップ賞で先着を許したナミュールやサークルオブライフといった強敵が外枠に嘆く中、ウォーターナビレラは3枠6番という絶好枠だった。

 さらに武豊騎手は前日のニュージーランドT(G2)で今年重賞2勝目を飾り、親交のある藤田晋オーナーに初の重賞をプレゼント。18年ぶりの桜花賞制覇を目論むレジェンドとしても「重要な2週間」で最高のスタートを切り、勢いを持って桜花賞へ挑んだ。

 だからこそ勝ちたかった桜花賞。しかし、ラスト50mで先頭に躍り出たのも束の間、外からスターズオンアースに強襲され、ハナ差交わされたところがゴールだった。

「状態は今までで一番良かったですね」

 レース後、武豊騎手はまず「出来は過去一番」と胸を張ってレースに送り出した陣営を称賛した。前週の大阪杯(G1)を3着した際は「勝ったと思ったけど」と悔しがったが、この日は「返し馬にゲート、ペースと思い通りでした」と、全力を出し切ったことを強調。「悔いのないレースができました」と前を向いた。

 この騎乗には、元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「ハナ差を除けばユタカちゃんも完璧」と絶賛。またレースを見守ったファンからもSNSや掲示板などで「あれで負けたら仕方ない」「惜しかった」「今日は武さんの日じゃなかったね」など、完全燃焼した武豊騎手に好意的な声が寄せられている。

 すべてを出し切ったが、この日は勝ったスターズオンアースと川田将雅騎手が一枚上手だった。武豊騎手としても、2歳王者ドウデュースと挑む来週の皐月賞(G1)へ繋がる競馬だったのではないだろうか。

 気になるウォーターナビレラの今後だが、まだ正式な発表はない。既定路線ではクラシック第2戦のオークス(G1)だろうが、1400mのファンタジーS(G3)を勝っているスピード自慢だけに、マイル戦のNHKマイルC(G1)に進む可能性もありそうだ。

 いずれにせよ、春のG1戦線の主役の1頭であることを改めて証明したウォーターナビレラ。武豊騎手、幸四郎調教師の兄弟が並んでG1の表彰式を迎える日は、そう遠くないかもしれない。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

韓国の国防無力化&土地国有化を狙った文在寅の暴走…不動産高騰と税金に不満爆発

 3月9日に行われた韓国大統領選挙では、野党「国民の力」の尹錫悦氏が与党「共に民主党」の李在明氏を0.73ポイントの僅差で破った。尹氏は5月に第20代大統領に就任し、韓国は5年ぶりに政権が変わる。

 文在寅政権下で日韓関係は戦後最悪といわれるまでに悪化したが、尹政権下ではどうなるのだろうか。また、文政権の5年間で韓国に起きていた異常事態とは何か。以下、元駐日韓国大使館公使で「統一日報」論説主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏が総括する。

※前編はこちら

選挙無効訴訟に沈黙する司法とマスコミ

 韓国では2020年4月15日、総選挙(選挙区253、比例代表47の合計300議席)が行われましたが、選挙後、約半分の選挙区と比例代表の全国区で選挙無効訴訟が提起されました。選挙無効訴訟は、法律では180日以内に大法院(日本の最高裁判所に相当)で結論を出すことになっています。

 しかし、1年以上経った2021年6月から、訴訟対象の4%にすぎない5つの選挙区の再検票が行われたものの、それすら結論を出していません。大法院は選挙管理委員会とグルになり、おびただしい不正選挙の証拠を黙殺、隠蔽、捏造、破棄までしています。なのに、韓国の大手マスコミはこの不法を報道しません。でも、多くの国民はソーシャルメディアなどを通じて不正選挙を知っています。

 黄教安元総理は今回の大統領選の前に「不正選挙防止隊」を結成、不正選挙を防止するため当日投票を呼びかけました。不正選挙防止隊は大々的な広告を通じて、文在寅集団や選管委に抵抗、牽制しました。

 文在寅集団が、憲法が保障する「公正な裁判を迅速に受ける国民の権利」を踏みにじりながら選挙無効訴訟を進行しないのは、大法院が再検票の結果、全国区の選挙無効が確定すれば、今の国会は解散せねばならないためです。

不動産高騰と税金爆弾で国民の不満が爆発

 社会主義体制への変革(革命)のため手段を選ばない文在寅集団は、中共のデジタル全体主義独裁を真似し、たまたま起きた新型コロナによるパンデミックを悪用した「政治防疫」で国民を徹底監視・弾圧しました。

 文在寅集団は、金持ちたちの財産を取り上げて貧困層に配るという共産主義思想を隠さず、特権階層となった彼らは社会のあらゆる利権を独占し、国と国民を搾取してきました。彼らは、中国のようにすべての土地を国有化し、国民には使用権のみを認めるべきだとまで言い放っています。

 韓国では、市場原理を否定する左翼政権の下では必ず不動産価格が高騰し、文政権も例外ではありません。文政権は、年金生活者や収入のない高齢者にまで無慈悲に税金を課しました。不動産に対する各種税金や財産税、特に住宅を2つ以上持っている人には「税金爆弾」を課します。海外に移住したいなら出ていけ、という圧政です。

国家安保を破壊した親中・主思派集団

 韓国は1948年8月に建国しましたが、現在の公教育では「全教組」が中心になって、韓国の現代史を徹底して歪曲、捏造して教えています。韓国を自由民主体制の海洋文明から切り離し、全体主義の一部にしようとしているわけです。彼らは、スターリンと毛沢東と金日成が1950年からの朝鮮戦争で韓国を共産化できなかったことを悔しんでいるのです。正気の沙汰でありません。

 親中・主思派集団は、韓国の真の民主政権は金大中、盧武鉉、そして文在寅の3人だけで、他の政権は米日ら外勢の傀儡政権という認識を持っています。それで、占領軍のように前職大統領、国防部長官、国家情報院長たちなどを逮捕し、国家安保を無力化、破壊する反逆を平気で恣行しました。

 自由民主共和国の韓国の主敵である金日成王朝や、その後ろ盾の中共にすり寄る文在寅集団に対し、大半の韓国国民が憤然と立ち上がったのが、今回の大統領選でした。韓国で全体主義勢力を一掃するまで、この内戦は続きます。

(構成=編集部)