JRAの「隠蔽体質」が露呈した“不正受給”疑惑! 驚くような大物騎手が関与の噂も……、最終的に有耶無耶にせざるを得なかった裏事情とは

 結局は戒告程度の有耶無耶な決着で幕引きを図った不正受給問題。JRAの最終的な判断としては「不正受給」ではなく「不適切受給」ということで、該当者の公表はされないままの甘い処分となっている。

 指南役とされた大阪の男性税理士への処分も実質的になく、所有馬のワールドプレミア天皇賞・春(G1)を制した。この結果を快く思わない声も一部で出たように、今回の一件は関係者や競馬ファンの感情に影を落とした。

 JRAではデビューした騎手に税理士なども紹介するのだが、最近では周りの先輩騎手や調教師などに聞いて、JRAの紹介ではない人に頼むパターンも増えていたようだ。指南役とされる男性は馬主兼税理士でもあったため、調教師や騎手への関与も深まっていた。

 そんな背景もあった中で今回の大規模な事態を招く結果に……。JRAサイドも二の舞は避けようと、今年デビューした新人騎手にはしっかりと今回の経緯を説明し、清廉潔白な税理士をつけるように促したらしい。このため、指南役とされる男性と関わる人物は減っていくと見られている。

「ただ、当の本人は相変わらず強気な様子です。先日、関東で預託していた矢野英一厩舎から所有馬を一斉に田村康仁厩舎へ転厩しました。矢野英師は男性に税理を任せており、懇意の仲と思われていましたが、今回の件を発端に馬の使い方などで意見がぶつかったようです。

男性から『ならば管理しなくて結構。他の人に任せます』となって即転厩の運びとなりました。結局のところは馬主の権限が強いのでこういった事も起きてしまいますよね」(競馬記者)

「本来はJRAも全てを公表したいと考えているようですが、それが出来ない事情もあります。その理由に、実は驚くようなビッグネームの騎手が不正受給しているのではないかとも噂されています。反響の大きさを考えると、とても怖くて出来そうにないというのが本音でしょう。

さらに言うと不正受給はしていませんが、申請を出して却下された騎手もいるので、そういうパターンも含めればかなりの数です。そういった人達に自粛を促したり、はたまたJRAから騎乗停止などの処分を下すと、競馬そのものが回らなくなるのは目に見えているからです」(関西の某TM)

 その結果、背に腹は代えられぬJRAサイドとしては公表を控えることとなり、不正受給の騎手は守られた一方で、当該の税理士だけを処罰する事もできないまま、現在に至っているというのが裏事情のようである。

 後藤正幸JRA理事長は「あってはならないこと」、日本騎手クラブ会長の武豊騎手は「今後このようなことがないようあらためて騎手全員に厳重に注意する」とコメントを出した不正受給疑惑。

 失ってしまった信頼回復には、まだまだ時間が掛かりそうだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

自民党・野田聖子氏の夫、元指定暴力団組員と判明…大手メディアが黙殺する複雑な事情

 自民党幹事長代行の野田聖子氏の夫、文信氏の過去の経歴をめぐってインターネット上がざわついている。「デイリー新潮」(新潮社)が12日、記事『野田聖子の夫は「元暴力団員」と裁判所が認定 約10年間組員として活動』を公開したことが発端だ。同日午前、「野田聖子」「元暴力団員」がTwitterでトレンド入りした。

 文信氏は、「週刊新潮」(2018年8月2日号)に掲載された記事『「女性総理」の夢を壊した「野田聖子」総務相の「元反社夫」』で名誉を棄損されたとして、新潮社に対し1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に訴えていた。

 今回のデイリー新潮記事では今年4月21日に「原告の請求棄却」との判決が出たことを伝え、<原告が指定暴力団・会津小鉄会の昌山(まさやま)組に所属していた元暴力団員であるとの事実の重要な部分は、真実であると認められる>との判決文の内容を引用した。

 同記事では訴訟の経緯を次のように説明する。

「ことの発端は、18年7月にまで遡る。当時の安倍政権で総務大臣を務めていた野田氏の秘書が、文信氏と懇意にしていた仮想通貨事業者を同席させ、金融庁の担当者を事務所に呼びつけ“圧力”をかけたのではないかとの疑惑を朝日新聞(7月19日付)が報じたのだ。

 釈明に追われた野田氏は、“金融庁に一般的な説明をしてもらっただけ”“圧力ではない”と弁明。この出来事を、本誌は前述の特集記事として報じた。“金融庁への圧力”の背景には文信氏の存在があると指摘し、暴力団に所属する構成員であったという経歴を明かした。この記事が“事実無根”だとして文信氏は提訴に踏み切ったのである」(原文ママ)

 訴訟では、新潮社側は暴力団「昌山組」の元組長に陳述書の作成と証人として出廷することを要請。“盃を交わした親子”の法廷での再会が勝訴判決の決め手になったとしている。そのうえで、この勝訴をどこの大手メディアも報じないことに対して、次のように苦言を呈した。

「ちなみに、本誌と『週刊文春』が共に文信氏から訴えられた際に、大手新聞社が〈野田総務相の夫が文春と新潮提訴〉と報じたが、それから2年経って本誌が事実上の“勝訴”となったことを報じた社は皆無……」

大手メディアはなぜ報じないのか?

 新潮の報道に関し、全国紙社会部記者は次のように話す。

「だって、暴力団員といっても『元』でしょう? 一般論として、新聞紙面上で被疑者の前科をことさらに強調して記事を書くことは禁じられていますし、それと同じようなことです。元暴力団構成員の社会復帰が難航していることは社会の大きな課題です。元職だと騒ぎ立てるのは、それを妨害する行為にあたります。今回の件で言えば、金融庁への“圧力”と文信氏の『元暴力団員の肩書』に関係があるのなら別ですが」

 2010年以降、全国の自治体で暴力団排除条例が制定されて以降、既存の暴力団の資金獲得手段が厳しく制約された結果、多くの離脱者が出た。ところが、「離脱者の社会参入のハードルが高すぎる」との指摘がマスコミから相次いでいる。同条例の「元暴5年条項」で、暴力団離脱後も5年間は構成員と同様、銀行口座の開設、自分名義で家を借りることができないケースが続出しているのだという。

 こうした法律面での社会権の制限だけでなく、離脱元の組織の関係者から継続的に嫌がらせを受けたり、就職などで差別を受けたりする事例なども盛んに報じられている。総じて、メディアの論調は「罪を憎んで人を憎まず」というスタンスをとっているようだ。

離脱者が過酷な状況に置かれる背景とは

 実際、“元”暴力団構成員を取り巻く状況はどうなのか。最近のメディアの報道も踏まえ、刑事部組織犯罪対策本部や所轄署の暴力団担当を務めた元神奈川県警の捜査員は語る。

「確かに堅気になろうと頑張っている離脱者はみんな苦労していますよ。店を出そうとしたら足抜けした組の連中が来て嫌がらせをされたり、金をたかられたりするのはよくあることだし、就職とかで差別されることもしょっちゅうです。デカ(刑事)にうろうろされたら、それこそ社会復帰の妨げになるだろうから、定期的に電話で相談に乗ったり、(離脱者の)店を知人に紹介したりしてほそぼそと支援しています。それでも結局、反グレになってまた逮捕される奴は後を絶たないですね。

 暴排条例は離脱者にとって厳しいものだと思います。とはいえ、“組を抜けたから今までのことを全部なかったことにしてくれ”とならないのには理由があります。

 表向き組を抜けた風を装って、フロント企業を作って元の組に上納を続けたり、昔のツテをフル活用して、強請りやたかりで莫大な利益を上げたりする奴がいるからです。だから『元暴5年条項』のようなものがある。堅気として頑張っている人間と、規制逃れをしてアウトローの世界でのし上がり続けようとする人間の線引きは極めて難しい。

 “盃”を交わして指定暴力団の正規構成員になるということは、それだけ重いことです。

 補導する若いチンピラに昔から言い聞かせていますが、組の正規構成員になるということは、上の指示か、自分で決めたのかは関係なくなんらかの被害者が出るようなシノギに関わることつながるのです。

 シャブ(覚せい剤)や殺し(殺人)、タタキ(強盗)、突っ込み(女性暴行)などマエ(前科)が付くような重犯罪はもちろん、娘を風俗に沈められた親御さんや、借金の追い込みをかけられて首を吊った経営者の家族にしてみれば、組を抜けたからといって『じゃあ、これからは堅気としてがんばってください』とはなりませんよね。

 法律的には、離脱届を出し、刑務所に行って罪を償えば一事不再理で“晴れて再出発”でしょうが、被害者感情は往々にしてそうではない。指定暴力団の正規構成員になるということは、誰かに一生恨まれても仕方がない重荷を背負うことと同じでしょう。ただそれは被害者と加害者の間の心情の問題です。前科や元職をあげつらって、マスコミや世間が差別を助長したり、リンチしたりしていいということではないと思います。

 若者が暴力団構成員になる理由として、“家庭環境や経済状態が悪かった”という事例もあるでしょう。ただ同じような境遇でも、“盃”を交わしたり、犯罪に走ったりしないで地味でもコツコツと金を稼いで人生を送っている人間はたくさんいますよね。

 あくまで個人的な見解ですが、市井の人のささやかな暮らしを『地味でパッとしない』と馬鹿にして、暴力でのし上がろうとした人間が方々に迷惑をかけた挙句、社会に戻って“もっと優しくしろ”というのは筋が通らない。失敗してもやり直せる社会であるべきだと思いますが、刑務所や更生施設の不備などから元暴力団員や犯罪加害者が反省もなく簡単に社会復帰できてしまうことは避けるべきでしょう。今は、“世間様の逆風は、盃交わして腹を括った時に覚悟したんじゃねぇのか!泣き言を並べる暇があったら、前を向いてしっかり生きろ”と応援するしかありません」

(文=編集部)

 

JRA キングマンを覚えておいて損はなし!? シュネルマイスターNHKマイルC(G1)制覇、「ブレイク」必至の注目種牡馬が日本競馬界に来襲!

 NHKマイルC(G1)は2番人気シュネルマイスター(牡3、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝。2着ソングラインをハナ差で退けたC.ルメール騎手の見事な手綱さばきのほか、3着までをサンデーレーシングが独占するなど、なにかと話題の多い一戦となった。

 ほかにも話題となったのが、優勝馬シュネルマイスターの血統背景だ。

 1996年の創設当初から、タイキフォーチュンやシーキングザパール、エルコンドルパサーら外国産馬が圧倒的な強さを見せたNHKマイルC。

 当時は「マル外ダービー」といわれたレースも、近年は日本産馬が大健闘。シュネルマイスターは2001年のクロフネ以来、20年ぶりの外国産馬による勝利。さらに同馬の優勝は、ドイツ産馬によるJRA史上初のG1初制覇をもたらしただけでなく、父であるキングマン(Kingman)の存在を知らしめる結果となった。

 キングマンは、今年のチューリップ賞(G2)でメイケイエールと同着優勝のエリザベスタワーの父でもある。

 産駒の活躍によってにわかに注目を集めている種牡馬キングマン。現役時代は欧州年度代表馬にも輝いた世界的名馬でもあり、通算成績は8戦7勝(2着1回)とほぼパーフェクトだった。

 英国G1のサセックスSを制したほか、あのタイキシャトルも勝利したフランスG1のジャック・ル・マロワ賞でも優勝。両G1レースを同一年で制覇した例は過去になく、史上初の快挙を達成したキングマンは、欧州マイルG1を4連勝した“名マイラー”でもあった。

 しかし、喉の病気を発症したキングマンは、ジャック・ル・マロワ賞から約1ヶ月後の2014年9月に現役引退。種牡馬入りした2015年はまだ4歳と若く、初年度の種付け料は55,000ポンド(約840万円)で、143頭の繁殖牝馬と交配した。

 その後、キングマン産駒は2019年に欧州の6つの重賞を含む28勝を記録するなど一気にブレイク。ドイツ生まれのシュネルマイスターを例に出すまでもなく、種牡馬としての活躍は欧州全土に広がっており、2019年は75,000ポンド(約1,150万円)だった種付け料は、2020年には倍増の150,000ポンド(約2,300万円)まで跳ね上がったという。

 そこで、欧州で生まれた後、日本にやってきたキングマン産駒に目を向けてみたい。

 5月9日現在、キングマン産駒のJRA戦績を調べると、2016年産の現5歳世代は43戦を消化。2018年デイリー杯2歳S(G2)4着のダノンジャスティスは、すでに中央競馬の登録を抹消しているものの、JRA在籍時に3勝をマーク。産駒全体ではヨークテソーロの1勝をあわせた4勝を挙げている。

 一方、2018年産の現3歳世代に目を向ければ、ここまで29戦を消化して5勝、2着2回、3着1回。勝率17.2%、連対率24.1%、複勝率27.6%という好成績を残している。

 世代間での大きな違いといえばやはり賞金だ。現5歳世代の賞金合計6502万円に対して、現3歳世代のそれは1億9456万円と一気に3倍増。エリザベスタワーはチューリップ賞を制してキングマン産駒として初重賞制覇。さらにシュネルマイスターは産駒としてG1初制覇をもたらすなど、最近の活躍には目を引くモノがある。

 こうなると、気になるのが2021年デビュー組だろう。

 あと1ヶ月も経てばメイクデビューの季節がやってくる。キングマン産駒で確認できているのが、モンゴリアンキング(牡2、栗東・安田隆行厩舎)だ。生産者はエリザベスタワーと同じ社台ファームで、すでに栗東でゲート練習を消化するなどデビューは早そう。楽しみな一頭といえる。

 エリザベスタワーは父キングマンが活躍した英国の有名な時計台「ビッグ・ベン」の正式名称から。そしてシュネルマイスターはドイツ語で「スピードの達人」という意味だという。そして、モンゴリアンキングの馬名の由来は、モンゴル国と父キングマンから連想。いわゆる「モンゴルの王様」という意味である。

 国際色豊かな馬名が揃う注目のキングマン産駒。2021年で10歳になったキングマン自身は、種牡馬の世界ではまだまだ若いだけに、新たな血が日本の競馬界を盛り上げてくれそうだ。

(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。

腸内環境ががん治療の効果を左右する⁉いい腸内細菌の種類を増やして免疫力をアップさせるには?

 近年、最新の研究によって、がん治療の効果の良し悪しに「腸内細菌」が関わっていることがわかってきた。特に、外科⼿術、放射線治療、抗がん剤治療に続く“第4のがん治療”と称される「がん免疫療法」では、腸内細菌との関わりを探る研究が進んでいる。

 そのひとつに、昭和⼤学(東京)を中⼼とした「Uバンク(便バンク)」プロジェクトがある。同⼤学を中心に全国約20施設から患者の便を集めて腸内細菌を分析し、⼈⼯知能(AI)を使い、最新のがん治療薬と腸内細菌との関わりを明らかにしようというものだ。

 このプロジェクトを主導する昭和⼤医学部の⾓⽥卓也教授は、こう説明する。

「がん治療と腸内細菌の関係が最初に注⽬されたのは、2015年に⽶シカゴ⼤学とフランスの研究チームが公表した『腸内細菌の違いで、がん免疫治療薬の効果が左右される』という、マウスを使った実験結果です。

 きっかけは、マウスの飼育先によって、がん免疫治療薬の効果に違いがあると気づいたことです。研究チームがその原因を探ったところ、エサなどの飼育環境の違いが腸内細菌の違いにあらわれ、治療薬の効き目に影響していたことが判明したんです」

 この報告がきっかけとなり、実際に薬を使っている患者の腸内細菌を調べる研究が各地でスタート。治療効果のあった患者の腸内細菌は、効果のなかった患者に⽐べ、多様性に富んでいることや、治療の前後で抗⽣物質を使っていると薬の効きが悪いことなどが明らかになった。

 角田教授らUバンクが研究の中⼼としているは、免疫チェックポイント阻害剤の「オプジーボ(⼀般名:ニボルマブ)」などのがん免疫治療薬と、腸内細菌の関わりをデータから解き明かすことだ。

 免疫チェックポイント阻害剤は、免疫の持つ“ブレーキ”の機能を働かせないことで、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにするもの。がん免疫療法は、がんそのものに効くわけではなく、患者の免疫システムを変えるので、さまざまながんに対して効果が期待できるのも特徴だ。オプジーボの場合、悪性⽪膚がんや肺がんのほか、⾷道がんや胃がん、腎がんなどに⽤途が広がっている。

「がん免疫治療薬は、薬の効果があらわれて3年間⽣きられると、その後も5年、10年と進行せずにいられる人が多い。抗がん剤や分⼦標的薬など、従来の薬物療法に比べて優れている点です。

 これをグラフ化したデータの生存曲線が“カンガルーの尻尾” に似ていることから、『カンガルーテール現象』と呼んでいます。これは、がん免疫療法だけに示さる現象です」

がん免疫治療薬の効果に腸内細菌の種類が影響

 角田教授によれば、Uバンクに集まったデータの解析を進めた結果、オプジーボの効果があった患者には、ビフィズス菌などの良質な腸内細菌が多いこと、細菌の多様性があることなどがわかってきたという。

 ヒトの腸内には約100兆個、約1000種類の腸内細菌が⽣息している。治療薬が効く⼈と効かない⼈には、この腸内環境の違いがあるのだ。

「良質な腸内細菌を増やして、腸内細菌の種類を増やすには、⾷物繊維を多く摂ることが効果的です。⽶国では、毎⽇50gの⾷物繊維を摂ることで、がん免疫療法の治療効果が上がるのかを調べる、前向きの臨床試験も進んでいます。

 また、がんに限らず、腸内環境を変えることで病状が好転するケースとして、『炎症性腸疾患(IBD)』に対する便移植療法が挙げられます。慢性的に原因不明の難治性の腸炎が続くIBDの患者さんは、腸内細菌の種類や数などのバランスが乱れていることがわかっています。便移植療法は、バランスの整った健康な人の便を移植することで、患者さんの腸内細菌の乱れを抑制できる可能性があるのです」

 腸内細菌と病気の関わりは、がんに限らず、さまざまな病とも関係があるという。たとえば、糖尿病など⽣活習慣病や、うつ病などの心の病、花粉症などに代表されるアレルギー疾患など。Uバンクでは、これまでに集まった腸内細菌にまつわるビッグデータをもとに、がん以外の病気との関わりも研究を始めている。

 では、腸内環境の改善には、何が有効なのだろうか?

「ヒトが持つ腸内細菌は住む地域によっても違うので、“優れた腸内環境”は人それぞれですが、腸内細菌の種類は多いほうがいい。そのためには、腸内細菌にとって重要な“エサ”となる食物繊維を多く摂ることをお勧めします」

「⽇本⼈の⾷事摂取基準2020」で推奨されている⾷物繊維は、男性で1⽇当たり21g、⼥性で18g以上。ところが、実際の摂取量の平均値は約15g(成⼈)にとどまっているという。

優れた腸内環境から生み出される短鎖脂肪酸

「さらに注目されているのは、『短鎖脂肪酸』の存在です。短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が食物繊維などを材料として発酵させてつくり出した有機酸(酪酸、プロピオン酸、酢酸など)。特に酪酸は、腸上皮細胞のもっとも重要なエネルギー源であり、抗炎症作用など優れた生理効果を発揮します。

 ビフィズス菌などの良質な腸内細菌が増えれば、オリゴ糖や食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸が増加し、私たちの健康にとって良い働きをしてくれる優れた腸内環境へと導きます。

 すると、『ビフィズス菌の入った食品や発酵食品をたくさん食べればいいのでは?』と考えがちですが、胃酸や胆汁酸など消化酵素によって、すべてが腸まで届くわけではありません。そこで、もともと体内にいる腸内細菌を活発化させる食物繊維が良いと考えられるので、積極的な摂取をお勧めしているのです」

 がん免疫療法が効く⼈と効かない⼈の腸内細菌がどう違うのか、どの腸内細菌ががん免疫療法の効果を⾼めるのかを探り、そのエビデンスの確⽴を試みるプロジェクトは、新たながん治療の可能性を切り拓くカギとなりそうだ。

(文=編集部)

※本稿はPR記事です。

角田卓也(つのだ たくや)

和歌⼭県⽴医科⼤学卒業。⽶シティー・オブ・ホープがん研究所に留学。東京⼤学医科学研究所准教授などを経て2010年、がんワクチン開発のバイオベンチャー社⻑に就任。16年、昭和⼤学臨床免疫腫瘍学講座の教授。現在は内科学講座の腫瘍内科部⾨の主任教授。腫瘍センター長。

パチスロ新台『北斗の拳』を超える可能性!? 究極の「自力感」の評価は…【初打ち実戦速報-パチスロ-編】

 現行パチスロシーンでトレンドとなっている「自力感」。この要素を効果的にゲーム性として組み込まれているマシンはユーザーからの評価が高い傾向にある。

 ミズホの『SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~絆2』やサミーの『パチスロ北斗の拳 宿命』などは自力要素が強く、今や6号機の代表といえる人気機種だ。

 自力感といえば5月10日にエレコより『SLOTアルドノア・ゼロ』が導入された。PVで「押し順がカギとなる自力特化型システム」というワードが強調されたマシン。先述した2機種にも匹敵するポテンシャルを秘めている。

 本機はゲームシステムで人気を伸ばした『SLOTギルティクラウン』の制作チームが手掛けたとあってユーザーからは大きな期待の声が上がっている。

 そこで今回は本機をピックアップ。実際に遊技したファンからの報告や感想を紹介したい。それらを踏まえて我々編集部が独断と偏見で、本機の将来性をジャッジさせていただいた。

『SLOTアルドノア・ゼロ』(エレコ)

 本機は純増2〜4枚のAT「アルドノア・ゼロ」で出玉を形成するマシン。セット継続タイプとなっており、ジャッジパートで押し順チャレンジに成功することで次セットへ継続する。

 AT中はベル入賞毎にメーターが蓄積され、最終的なメーターの色でジャッジパートでのナビ発生率やチャレンジ回数が変化する仕様だ。

 ATはBB後に突入。BBは直撃も存在するが、基本的にはCZ「スレイプニールモード」や疑似ボーナス「アセイラムチャンス」から狙っていく。

 通常時はトリプル抽選を採用。ゲーム数、レア役、ポイントで疑似ボーナスやCZの抽選を行う。約1/ 40でいずれかのチャンスが訪れる仕様となっており、常に楽しみが持続するゲーム性といえる。

【プレイヤーからの実戦報告】

 本機のウリである「自力感」を受け入れられるか否かで評価が分かれている印象。ただ、高設定を体感したユーザーからは不満の声が少ない。
 
 具体的には「エスパー専用台」「CZがガチ過ぎてキツい」という内容や、「ヤレてる時は楽しい」や「初当りが軽くて良い」という意見が浮上している。

【ヒットの可能性は?】

「これでもか」というほど自力感が強い印象。失敗に寄ってしまえば「無理ゲー」という感想になりがちだが、成功に偏れば圧倒的な「全能感」が味わえそうだ。

 この「全能感」を体感したユーザーから、人気が伝染していく可能性も充分あり得る。今後の展開に期待したい。

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パチンコでも絶対的「カリスマ性」は健在!「タイアップ機」の歴史に名を刻んだ衝撃の話題作!!

 パチンコにおける「歌」とは、演歌であり懐メロであった。つまり、日本のポピュラーミュージックとは歌謡曲なのである。

 もちろん、1990年代にはJ-POPの概念が誕生し、CDの普及と合わせて爆発的な市場拡大を引き起こすなど、音楽シーンは一気に変容したのだが、パチンコはまったく無頓着にしばらくは自らの性向を貫いていく。

 そんなパチンコの風向きが変わったのは「歌パチ」の登場による。歌に合わせて演出を展開する新たな方法論がファンの支持を受け、一大ムーブメントを巻き起こし、業界に「歌」が与えるインパクトを知らしめた。

 この流れによって注目されたのが平成の歌姫たちである。アイドルとは異なる確かな歌唱力と音楽性を武器にカリスマ的人気を集める彼女たちをパチンコのモチーフとして起用し、これまでとは違う側面を見せることに成功した。

 倖田來未、相川七瀬、機種としての趣きは少し異にするが華原朋美と時代を飾る女性アーティストがパチンコになって続出するなかで、最後の大物として登場したのが『CR ayumi hamasaki 浜崎あゆみ物語‐序章‐』である。

「ひとりの少女が夢をつかむまでの物語を描いた」コンセプトマシンでもある本機は、これまでのタイアップ機と一線を画す演出のアプローチでファンの度肝を抜いた革新的な機種となった。

 不安と葛藤が悪魔を呼び起こすが、封印された音楽を解放するために仲間が力を合わせるといったような叙情感あふれるスーパーリーチで歌詞の世界性を映像に起こす、まさに「演出」と呼ぶにふさわしい表現でファンを魅了。

 もちろん、従来の浜崎あゆみの魅力を最大限に発揮した演出も盛りだくさん。自身の12曲の楽曲を使用し、彼女が駆け抜けた13年にも及ぶ活躍の軌跡をLIVE映像で楽しめるようにもなっている。

 また、「M」「Greatful Days」「SURREAL」「Moments」といった代表曲のプロモーションビデオをパチンコの演出に当てはめたPVリーチなど、浜崎あゆみを余すところなく詰め込んだ一台。

 一方、スペック面では次回ループのベーシックな確変システムを採用しながら小当りや初回限定ながら潜伏確変を含ませるなど、従来の枠には収まらないスケールを見せていて、モード移行といった刺激的なゲーム性を楽しめるのである。

 大当りではジャンプアップボーナスを発展させたカウントが0になるまで継続するカウントアップボーナスを搭載。大当りラウンドの途中で上乗せされるパターンも存在するなど、期待感が持続する継ぎ目のない出玉を体感できるようにもなっている。

 大当り確率が1/299.3で確変突入率が66%のループ確変タイプ。「浜崎あゆみ」をモチーフにした歌パチという当り前の目線とは、かなりギャップのある機種なのである。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

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ストレスフリーな脳をつくるための3つの基本行動

 普段の仕事や人間関係に加え、すでに1年以上経つコロナ禍での生活で、ストレスはたまる一方だろう。


 そこで知りたいのがストレスフリーになる習慣だ。医師であり、脳科学者の有田秀穂氏の著書で、脳から出る3つのハッピーホルモンによってストレスを解消する方法がつづられた『「ストレスフリー」な脳の習慣』(青春出版社刊)を見ていこう。

 

■3つのハッピーホルモンでストレスフリーな脳をつくる


 3つのハッピーホルモンとは、セロトニン、オキシトシン、メラトニン。これらがストレスフリーな脳をつくる3本柱となる。


 セロトニンは、脳内にあるセロトニン神経から分泌され、精神状態を健やかに保つ役割を果たしている。セロトニンが脳内にたっぷり存在していれば、ストレスにも動じることもない。


 有田氏がこのセロトニンとセットで「ハッピーホルモン」と呼ぶのがオキシトシンだ。


 オキシトシンは、母親が持つ、出産や育児に欠かせない「愛情ホルモン」として昔から知られていたが、2000年頃にストレス中枢の興奮を鎮める新しい働きが発見された。ストレス中枢の興奮が鎮まれば、外部からストレスが与えられても、セロトニン神経がそう簡単に弱まることはない。ストレスを受け流して、気分よく生活していくことができるのだ。


 そして、質のよい睡眠をもたらすのがメラトニンだ。脳内の松果体から分泌されると、ぐっすり眠ることができる。このメラトニンをつくる原料となるのがセロトニン。質のよい睡眠をとるには、昼間、セロトニンがたくさん出る生活をして、メラトニンの原料をしっかり蓄える生活をすることが不可欠なのだ。


 これらの3つのホルモンが親密に関わりを持ち、ストレスフリーな脳をつくる要素となる。


 では、よい睡眠を取るために重要なセロトニンを増やすにはどうすればいいか。脳内のセロトニン神経を鍛えて、十分にセロトニンが分泌されるようにすることが一番だ。セロトニンを鍛える基本は以下の3つ。


1.太陽の光を浴びる
2.リズム運動
3.スキンシップ


 日光浴やウォーキングがセロトニン神経を鍛える効果的な方法となるが、時間が長すぎると逆効果になってしまうので注意が必要だ。


 トレーニングを始めてから5分ほどすると、どんどんセロトニンが分泌されていくが、疲労感が出る頃になると、今度はセロトニンの分泌量が減ってしまうと有田氏。なので、太陽の浴びすぎや歩きすぎには注意が必要で、「疲れたな」と思ったら、すぐにやめることが大切だ。


 コロナの影響で今までのように外に出かける機会が減った反面、運動不足からウォーキングを日課にしている人も多いはず。本書から、脳のしくみを知り、脳の習慣を身につけてはどうだろう。ストレスフリーな脳で快適な日常を過ごせるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)


※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

パチンコ「王道」とは別の道を歩んだ「超ヒット作の系譜」…偉大なる「初代」を再現した「刺激的」な最新作!!

 三洋『P大海物語4スペシャルBLACK』。

『大海物語』と言えば三洋の海シリーズの中でも定番中の定番、正に王道と呼ぶに相応しい海物語ですね。

 同様に大人気の『沖縄』シリーズや比較的新しいシリーズながらも既にその地位を確立しつつある『JAPAN』シリーズと同様にホールでも大人気で、現在もミドルの『P大海物語4スペシャル』や甘デジの『PA大海物語4 Withアグネスラム』が安定した活躍を見せています。

 大海物語は比較的穏やかな『波』を描く機種として知られていますがBLACKに関しては少々『荒波』な印象でしょうか。別名『黒海』とも呼ばれておりますね。

 確変継続タイプの定番『大海』に対し『黒海』は100%突入のST仕様、2015年リリースの初代『CR大海物語BLACK』は約1/399のMAX機で継続率も77.7%というハイスペックだった事もあるのでしょう。

 定番『大海』シリーズと比べ『黒海』は若者が打つ姿も非常によく見受けられたと思います。最近では海物語シリーズをそれほど打たない私自身も、MAXと同時にリリースされたライトVer.を打つ事が時々ありました。

 その次にリリースされたBLACK、『CRドラム海物語BLACK』もやはりSTの荒波タイプ。こうしてBLACKシリーズは「チョイ悪」な見た目の『ブラッククジラッキー』が象徴するように、ちょっぴりヤンチャな海物語として全国のホールで荒波を演じてきました。

 そして今回もその荒波はしっかり継承。初代のライトVer.に酷似しておりスペックは以下の通り。

〇〇〇
大当り確率1/199.8(ST中1/40.6)遊タイム非搭載
ST・50+1回転  突入率・100%  継続率・約72%
ラウンド振り分け特図1・2共通
10R(約1500個)30%
5R(約750個)30%
3R(約450個)40%
〇〇〇

 演出はお馴染みの『ラグーン』『アトランティス』『トレジャー』『クリスタル』の4ステージから選択可能。更にはカスタムで演出の信頼度までも変更が可能に。

 ST中は1~10回転までがリーチだけでも激アツとなるブラックパールゾーン、11~40回転は通常ST(ステージ選択可能)、41~50回転が魚群に期待のカウントダウンゾーン、51回転目が泣きの1回(リーチで大当り濃厚)となっています。

 他にも激アツ「いかずちリーチ」に発展濃厚な「ネッシィビジョン予告」やプレミアの「骸骨船長クラッシュ」など見どころは満載。もちろん「魚群」が出現すれば大チャンス、突然鳴り響くパールフラッシュにもドキドキが止まりません。

 しっかりと今回も変わらぬ良さの中にも、所々にアクセントを散りばめたチョイ悪な『黒海』に仕上がっていますね。

 いつもの海が大好きな皆さん、ちょっぴり刺激的な海を求めている皆さん、そしてホールに従事されている皆さんも『黒海』こと、『P大海物語4スペシャルBLACK』に期待してOKです。

 導入開始 5月24日~

(文=電撃しらっち)

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味の素社 西井社長に聞く、変革を実現するための未来構想図(電通 BDS 山原)

あらゆるバイアスを壊し、自らアーキテクト(全体設計者)として社内の事業変革を遂行しているトップエグゼクティブの方々に話を聞きながら、その神髄に迫る本連載。

前回に続き、味の素社の西井孝明社長に、同社の新しい事業モデルや、未来に向けての構想を、電通ビジネスデザインスクエア(以下、BDS)山原新悟氏が聞きました。

前編:味の素社 西井社長に聞く、変革を実現する5つのポイント(電通BDS山原)

味の素社・西井孝明社長(右)と電通ビジネスデザインスクエア・山原新悟氏
味の素社・西井孝明社長(右)と電通ビジネスデザインスクエア・山原新悟氏

パーソナルなアプローチで、10億人の健康寿命延伸を目指す

山原:御社の経営ビジョンの中で、「2030年までに、10億人の健康寿命を延伸」するという、大きく、具体的な目標を掲げていらっしゃいます。健康寿命に着目された理由をお聞かせいただけますでしょうか。

西井:私たちができることは、平均寿命に健康寿命を近づけていくことだと考えています。健康寿命の延伸には、健康な時から、偏った食習慣や運動不足などを改善していくことが非常に重要です。

味の素社が2020年から参画している弘前大学COI(センター・オブ・イノベーション)研究推進機構が行った研究によると、同じ疾病でも、疾病になる原因は人それぞれだということが分かっています。

この研究は、15年にわたりおよそ1000人に対し健康調査、生活習慣調査をしたものです。例えば、65歳で高血圧症を患った方々数名を、15年程度さかのぼってリサーチすると、病気になった原因は人それぞれ違うと分かったのです。遺伝が要因になっている人もいれば、食習慣のケース、運動不足や睡眠不足といったさまざまな要因が組み合わさっている人もいました。つまり、今後は、適切な食生活と生活習慣をソリューションとして提供するにしても、タイプごとに違うアプローチが求められてくると確信しました。

我々もそれらのエビデンスについての研究をしっかり進めながら、アミノ酸の知見を生かして食品の塩分濃度を下げたり、減塩商品を作ったり、メニューの栄養価を数値で表せるようにしたりと、ソリューションを磨いている真っ最中です。

山原:研究データによって“見える化”してきたケースごとにソリューションを提供できる時代がきていると。個人個人に合った健康寿命延伸のプラットフォームとなるものを、御社は作ろうとしているのですね。

西井:そうですね。研究結果と今まで磨いてきたソリューションがつながってくれば、パーソナルに近い状態で、10億人の健康寿命を延ばすアプローチができると考えています。

また、弘前大学COIの研究によると、将来生活習慣病になる大元の要因は、子どものころすでに出来上がっているそうです。もちろん遺伝的なものもありますが、後天的な要素は、幼児期から小学生の頃の生活習慣が大きく関係していると考えられます。子どもたちの未来のためにも、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

西井社長

山原:要因が分かった時に、それに対して具体的にアプローチできる企業であるということが、御社の大きな強みですね。子どもの頃から味の素社の商品に触れて育ち、それが知らぬ間に減塩になっている、いつの間にか自分のリスクを軽減してくれている。そういう未来がくることを期待しています。

西井:やはり「健康のためにたんぱく質を……」などと、難しいことを言われながら食事をするのは楽しくないですからね(笑)。おいしく食べて、自然に健康な体に育ってほしいですね。

社内外のイノベーターと共に挑む、新しい価値の創造

山原:味の素社が進めている「事業モデル変革タスクフォース」ではさまざまな施策を打ち出し、社長自らが「変革」の意志を発信されています。特に西井社長が重要視している変革のテーマをお聞かせいただけますでしょうか。

西井:我々が食と健康の課題解決企業に生まれ変わる、そして10億人のウェルネスに貢献できるようになるために、全社を挙げて取り組むべき重要なテーマが2つあります。

まず一つは、「パーソナル栄養への取り組み」。先ほどお話しした通り、これからの時代、個々の健康課題を解決するためには、生活者一人一人のライフスタイルに合ったソリューションを提供していく必要があるということです。

もう一つは、「食資源」にまつわること。既存のたんぱく質がとれなくなるかもしれない、水の枯渇により食事そのものができなくなるなど、「食資源」について考えることは非常に重要です。一方で、食資源が無駄遣いされている現状も存在しています。フードロスを半減していくことも、持続可能な社会を実現するためには忘れてはいけない課題の一つです。

しかし、これらの変革を行うにしても、我々の知識だけではソリューションは生まれないと考えていました。

山原:社内ベンチャー制度を立ち上げられたり、スタートアップやベンチャーキャピタルとの協業を推進したりと、西井社長から「ベンチャー」という言葉をよくお聞きします。変革を実現するためには、ベンチャーとの協業を通して、その技術や精神を積極的にインストールする必要があるということでしょうか。

西井:はい。今回の変革で「ベンチャー」は、大切なキーワードの一つです。既存事業にとらわれず、新しい事業や新しい価値を創造していくためには欠かせない精神であると感じています。さらに、社会や生活者に新しい価値を届けるためには、今やデジタルコミュニケーション抜きでは語れません。アーキテクチャ(全体設計)を変えるという大きな目標を達成するには、ベンチャー的な考え方や、ベンチャー企業との協業が重要だと考えています。

例えば、前述のパーソナル栄養への取り組み。我々は、食とアミノ酸という分野で優位なソリューションを持っていますが、それだけでは新しい価値は生まれません。人々の健康課題を“見える化”しようとしている人や、それが見えた暁に「こういうソリューションができそう!」とアイデアを持っている外部の企業と組んで、イノベーションを起こしていく必要があるのです。

山原:味の素社とは全く別の領域で、ユニークなアイデアを考えている人や企業が組み合わさって新しい価値が生まれる。それが動き始めると、事業構想実現の一歩になるかもしれませんね。

電通BDS山原氏

西井:例えば調理方法にイノベーションが起きて、調理もメニューもAIが考案するようになったら我々人間は何をすべきか考えなくてはいけないだろうし、お客さまに物をお届けする仕組みにイノベーションが起きれば、そのイノベーションに合わせて運びやすい、お届けしやすい商品を開発しなきゃいけない。別の領域で新たな価値を生み出そうとしている人たちといち早く連携できれば、大きな事業が生まれるんじゃないかと考えています。

新事業や新しいビジネスモデルを作ろうという時に大切なのは、常に10年先を考えて、バックキャストしていくこと。例えば、私が現在関心をもっている代替んぱく質や培養肉といった食物は、10年後にはすでに新しい食物によって扱いが変わっているかもしれません。つまり、イノベーションを考える時には、「Picture of the Future(未来構想図)」を描き、進めていかなければいけないのです。

山原:まさに事業モデル変革タスクフォースで進めている、Picture of the Futureがキーとなるということですね。そうして未来の構想を広げつつ、よりポテンシャルの大きい領域への投資の選択と集中を行うことが重要ですね。

西井:未来の構想が広がってくると事業の取捨選択は迫られてくると思います。新たな事業で売上の約10%が常に入れ替わる準備ができている状態が理想ではありますが、経営者としては経済的な価値だけでなく、より多くの人が幸せになるような事業を選択していきたいですね。

味の素社のトップが見る、コロナ禍がもたらした変化と食の未来

山原: 2020年は、コロナウイルスの影響もあり、食に対する価値観や社会そのものの在り方が大きく変わっていったと感じています。この世界を巻き込んだ変化について、西井社長はどう見られているのでしょうか。

西井:リモートワークやオンラインでの会議が当たり前になるなど、急速に情報システムが発展した1年でした。この変化は決して後戻りしないと思います。注視すべきは、どのくらい実経済のインフラが傷んでいるかということです。

例えば、食の周りで言うと、農業従事者のみなさんがどれだけ疲弊しているのかは分からない。もし、農業の現場が復活できないほど疲弊しているのだとすれば、今まで行っていた大量消費のスタイル自体を見直す必要が出てくるなど、私たちの食を取り巻く現状もますます変化していくのではないかと考えています。

「食」に関わるビジネスを行っている企業のリーダーとして、アフターコロナで生まれた新たな課題には敏感に接していきたいです。特に農業は、国を支える基幹産業です。国民の幸せ、国民の健康寿命を延ばすためにも、絶対に守っていかなくてはならない存在であると思っています。

山原:今日お話を伺っていて、「情報」がかつてない価値を持ち始めているように感じました。生活者もネットで実物を見ずに買うことが当たり前になり、誰がどんなこだわりを持って作ったかという「情報」を見て買うようになってきています。農業においても情報を価値に変えていくことが重要ですよね。

西井:農業の課題は単価が安いことにあると思います。生産性を高めることはできてきているのですが、価値を高めることができていないんです。野菜や果実には旬があり、一番たくさん収穫できる時期が一番おいしく栄養価も高い。しかし、大量に採れるからと単価が安くなってしまうのは、野菜や果物が持っている価値をちゃんと伝えられていないからじゃないかと思うのです。

生産者によって、栄養価や糖度などの価値もそれぞれ違うのに、生活者はそういった情報に触れていません。そこにまだまだチャンスがあるのではないかと思います。

山原:お客さまの食と健康の情報と、商品の情報を最適に結びつけることで、価値の総量が上がるということですね。

健康寿命の延伸には「食」そしてそこに関する「データ」は欠かせない要素で、それを支える最先端のデジタルテクノロジーの活用がますます重要となりますね。

食と健康領域の明るい未来に向けて、我々も引き続き、さまざまな形で変革のお手伝いができればと思います。本日はありがとうございました。

西井社長と山原氏のツーショット

植物由来プラスチックの開発って、どこまで進んでいるの?

電通グループを中心とする7社が協働して、企業のサーキュラーエコノミー(循環型経済)構築を支援する「SDGsビジネスソリューション」(リリースはこちら)。前回に続き、本プログラムに参画している電通テックの取り組みを紹介します。

SDGsビジネスソリューション

電通テックは顧客企業のプロモーション課題に応じた各種ソリューションを提供し、プロダクト開発を手掛けています。「SDGsビジネスソリューション」では、プロダクト開発で培った知見やネットワークを生かし、環境に配慮した素材の開発・提案などを行っています。

今回は、同社が開発し、販売を始めた植物由来(バイオマス)プラスチック「PLANEO™️」(4月19日配信のリリースはこちら)の話を交えながら、企業のサーキュラーエコノミー構築にどのように貢献できるのかを伝えます。

「PLANEO™」プロジェクトリーダーの倉澤博行氏、同社のプロダクト開発部で新素材開発の最前線に立つ虎渡(とらと)慎吾氏、グループ各社やステークホルダーとの連携を取る津田まや氏に話を聞きました。

電通テック
(左から)電通テックの虎渡慎吾氏、津田まや氏、倉澤博行氏。グループ各社と連携して「SDGsビジネスソリューション」を推進している。

今、注目のバイオプラスチック「PLA」の汎用性を高めたい

──前回は、ビール醸造で発生する大麦の搾りかすからバイオプラスチック素材をつくる話を伺いました。世界で環境対応やSDGsの動きが加速する中、今どんな素材が注目されているのでしょうか?

倉澤:世界中でさまざまなバイオプラスチックの開発が進んでいますが、現在、最も生産量が多く注目されている素材の一つとして、「PLA(polylactic acid、ポリ乳酸)」が挙げられます。これは100%植物由来で生成されるプラスチックで生分解性(※1)もあることから、環境対応素材として高く評価されています。主に北米やアジアで広く量産・流通していて、2019年の世界生産量は約29万トンで、数年以内には倍増する見込みです。

※1 生分解性:一般的に微生物などの働きにより、一定の条件下において分解され自然界へと循環する性質。


虎渡:PLAはサトウキビやトウモロコシなどから生成されます。これらの植物には多糖という成分が含まれているのですが、じつは多糖も石油も基本的な分子構造は同じ。化学式ではCとHとOで構成されます。植物から多糖を抽出し、熱を加えたり、構造を少し組み替えて化学合成を行ったりすると、プラスチックの機能を持つ素材になります。

しかもPLAは、使用後にコンポストや土中などの湿度・温度が適度な環境下で加水分解が進み、最終的には微生物のはたらきによって数カ月でCO2と水に分解される生分解性を持ち合わせています。PLAはすでに商業利用が広まっていて、使い捨てのプラカップやカトラリー、持ち帰り用の弁当容器、ごみ袋などに利用されています。

倉澤:とはいえ、PLAにも課題があります。耐熱性が低くてホットドリンクなどの容器に使えないことに加え、若干黄色みがかっています。なにより一番の課題は、流動性の低さです。樹脂がさらっと流れないので、金型に流し込んで成形するときに時間がかかり、生産効率が悪いのです。

虎渡:私たちは、PLAのこれらの課題が解決できれば、もっと汎用性が高まるのではないかと考えました。そこで、大麦の搾りかすからバイオプラスチック素材を一緒につくった事業革新パートナーズ(※2)に協力を依頼して、二人三脚でPLAの改質に取り組むことにしました。

※2 事業革新パートナーズ:バイオプラスチック新材料の研究開発・製造を行うベンチャー企業。樹木の主要構成成分であるヘミセルロースを使ったバイオプラスチックの開発に世界で初めて成功した実績を持つ。

PLAを改質して耐熱性と生産性を向上

──PLAの改良ポイントを教えてください。その後、新たなバイオプラスチックの開発に成功したそうですね。 

虎渡:私たちはPLAの課題を解決するためにさまざまなアプローチを考え、添加材を使用する方向に絞りました。しかし、どんな添加剤でもいいわけではありません。「植物由来100%+生分解される」というPLAならではの特長は失わせたくない。そこで着目したのが、主に木材から抽出される多糖の「ヘミセルロース」という素材でした。

ヘミセルロースは、それ単独でもバイオプラスチックをつくることができるほど、環境対応素材として優れています。特にPLAが課題とする耐熱性・流動性においてPLAより圧倒的に高い物性を有していました。

開発のポイントは、PLAにどれくらいヘミセルロースを添加するかということです。PLAの持つよい物性に影響を出さない範囲で、課題となる物性のみをピンポイントで狙いました。できるだけ使用量を抑えながらPLAの物性を高める試験を繰り返し、電通テック独自の新素材をつくりあげていきました。

こうして出来上がった改質PLA「PLANEO™️(プラネオ)」は、素材単体として試験環境下における耐熱性・流動性が共に飛躍的に向上しました。今は製品になったときの物性値(※3)を調べています。

※3 物性値:物質が持っている性質を、ある尺度に基づいて数値で示したもの。


PLANEO™️
倉澤:「PLANEO™️」は、すでに量産のフェーズに入っていて、プラスチック製品を多く製造している中国や東南アジアのメーカーが興味を示しています。今後は国内企業にも、「PLANEO™️」の特長をアピールしていきたいですね。

アイデア力とネットワークで、企業のSDGs達成への取り組みを支援する

──新しい環境対応素材をつくる取り組みの他に、今後、企業にはどんなことを働きかけていきたいですか?

倉澤:環境対応の動きが加速する中で、多くの企業が「何かアクションを起こさなければいけない」と考えています。でも一方では、「何から始めればいいのか分からない」という悩みも抱えている。環境対応やSDGsへ取り組む上での課題は企業によって異なりますが、電通テックは「SDGsビジネスソリューション」に参画している各社と連携して、川上から川下までの全ての領域でサポートしていきたいと考えています。

津田:私は普段、プロダクト開発でさまざまな企業の案件に関わる機会が多いのですが、「植物由来のプラスチックは環境によさそうだけど具体的に何がいいのか分からない」とおっしゃる方も少なくありません。例えば用途やどんな製品が作れるかという話だけでなく、どのようにCO2を削減しているかという仕組みや、使用後の廃棄や生分解性の条件についてなど、植物由来プラスチックの正しい知識を丁寧に伝えていくのも私たちの役割だと思っています。

──バイオプラスチックの今後の広がりを考えたとき、まずはノベルティー領域から導入というのが一つの流れになるのでしょうか?

倉澤:バイオプラスチックは、市場に出回る資材や包材に使用するケースと、ノベルティーや販促物などに使うケースの二つの方向があります。これまで電通テックが手掛けてきたモデルを見ると、キャンペーンなどのノベルティーから始めるのが企業にとって導入しやすいのではないでしょうか。大量生産する製品の素材を置き換えるより、ワンショットのキャンペーンの方がトライアルしやすい。そういった事例を積み重ねていくことで、世の中にもさらに環境対応素材が浸透していくといいと思います。また、販促物を環境に優しい素材で作ると、クライアントのCSRにも紐づき、企業のプロモーションとして生かせる面もあります。

津田:「脱プラ」という言葉の認知度はとても高い状態ですが、石油由来のプラスチックはコストの面や耐久性、またリサイクルでの活用なども可能な優れた素材です。限られたキャンペーン予算の中で植物由来プラスチックなどの環境対応素材が採用されるにはまだハードルが高いという側面も無視できません。そういった部分の解消を目指すべく、「PLANEO™️」の開発では、生産効率のアップにより、製品化した際のコストを抑えることを目指してきました。ノベルティーの分野に環境対応素材が参入する一助になればと思っています。

また、「PLANEO™️」の開発においては、ネーミングやロゴマークといった部分も社内のクリエイティブチームと共同で考案しました。素材としての販売がスタートとなりますが、多くの企業に利用していただけるとうれしいです。

──「SDGsビジネスソリューション」において、電通テックはどのような役割を担っていくのでしょう?

倉澤:アイデア力とネットワークが、電通テックの強みの一つだと考えています。当社にはプロモーション分野、そしてプロダクト領域においても、強みを持つメンバーがたくさんいます。「SDGsビジネスソリューション」では、素材の開発・製造を中心に幅広く販売促進に関わっていけます。

その強みを生かして、例えばプロモーションの一環として景品キャンペーンの企画をするなら、素材選定から景品提供後の回収やリサイクルスキームまでを組み込んだ提案を、ソリューションとして提供していきたい。そして、大麦の搾りかすからプラスチック素材をつくったり、PLAを改質したりしてきたように、アイデア力を生かして、今後も素材開発・提案を行っていきたいと考えています。

ネットワークについては、素材調達という点でも強みがあります。PLAも、世界で環境対応素材が求められ需要が高まる中、供給が追い付かず入手しづらいという問題があります。それでも私たちがPLAを入手できるのは、当社を含む電通グループが、「PLANEO™️」の売り先になるような企業とつながりがあるからです。研究・開発をするだけでなく、出来上がった素材を具体的にどういう企業に提案したいかというところまで想定することができます。

津田:企業とのリレーションという点では、「SDGsビジネスソリューション」で提供できる素材やソリューションのメニュー化を進めています。SDGsの課題解決に関連した提案をスムーズに行えるツールを開発することも、電通テックの大きな役割。植物由来のプラスチックやリサイクル素材を使ってみたいとか、ロングライフに興味があるなど、企業の目的に合わせた素材やソリューションを提案できるような仕組みづくりを進めています。

倉澤:以前、ある企業から「電通テックはインテグレーターだね」と言われたことがあります。私たちはファブレス(工場を持たない会社)なので、川下起点で新しい素材の組み合わせを考える「マテリアル・インテグレーター」のようなイメージで、従来の素材メーカーとは違った視点から貢献できればと考えています。販促キャンペーンのように企業がワンショットでトライしやすいところから上手に環境対応素材を提案・導入し、普及させていきたいですね。