パチンコ新台「61連9万6000発」の激アマ再来を期待!「初当りは絶対に確変10R!?」も話題になった超熱シリーズ最新作!!

『リング』『暴れん坊将軍』など数々の人気シリーズを手掛け、昨年には『Pとある魔術の禁書目録』が大ヒット。パチンコ分野で大きな存在感を示している実力メーカー藤商事が、激アツ新台のPVを公開しました。

 今回発表されたのは『地獄少女』シリーズ最新作となる『P地獄少女 華』です。初代誕生から10年という節目の時期にリリースされるということで、ファンを歓喜させる仕上がりに期待したいところです。

 そんな『地獄少女』ですが、シリーズを通して魅力的なスペックで登場してきた印象。前作の『P 地獄少女四』は、「初当りは絶対に確変10R!?」を武器に「絶確スペック」というキャッチフレーズで登場しました。

 また、初当り以外にも「絶確」となる激熱ゾーンが存在。大当り後83回転以内の「極ゾーン」と時短中に当った場合は、「絶対10R確変!?」となる画期的な仕様です。押し寄せる最大出玉のビッグウェーブによって、多くのファンを魅了したことでしょう。

 前作は確かに素晴らしいスペックでしたが、私がシリーズの中で特に印象深いマシンは他にあります。

 それは『CR地獄少女 弐』です。

 異なるスペックが計5種類リリースされた本タイトルですが、その中でも大当り確率1/289.9のミドルスペックは突出した出玉性能を有していた印象です。

 本機は電サポ機能が「100回転(時短)or次回まで」という一般的な確変ループタイプ。初当り時の50%で確変となり、電サポ中は確変率が70%にアップする仕様でした。ここでは16R・約1800発となる出玉比率が50%オーバー。強力な一撃にも期待できます。

 遊技したユーザーからは「52連8万発」「61連9万6000発」といった驚異的な出玉報告も浮上。確変ループ機でこれほどまでの結果を出せるのは、異例の事態といっても過言ではないでしょう。

 また、本機の魅力はこれだけではありません。電サポ&大当り中に、獲得出玉を大きく伸ばせる技術介入要素があったのです。

 右打ち中に電チューの解放タイミングと打ち出し個数を調整し、止め打ちすることで出玉の現状維持や微増が可能。また、大当中にラウンド後半に捻り打ちすることで、比較的簡単にオーバー入賞させることができます。

 本機が現役バリバリで稼働していた頃は、プロ連中がこぞって遊技していた印象。安定した出玉グラフが連日のように形成されていました。仲間内でも「かなり甘い台」と評判でしたね。手先が器用ではない私ですら何とかなっていたので、台の構造が相当アマかったんだと思います。

 本機の登場によって、もともと人気の高かった『地獄少女』の認知度を更に高まり、原作ファン以外のユーザーを数多く取り込んだのではないか。そう感じてしまうほどの功績を残したと、私は感じています。

 シリーズ最新作となる『P地獄少女 華』がどのような仕上がりなのかは未だ不明ですが、過去作のような魅力溢れるスペックで登場してほしいですね。

(文=HIRA.777)

<著者プロフィール>

 飲食店やホテルマン、営業など幅広い職種にチャレンジ。どれも長続きせずにいたが、趣味であったパチンコ関連業界へ就職し現在に至る。今では自身の体験談や、業界関係者から入手した情報などを元に記事を作成中。パチスロ4号機にハマっていたいわゆる「北斗世代」で、長きに亘り活躍するシリーズの動向に注目している。主に検定通過情報や、動画レビュー記事を担当。動画は大量出玉を実現した内容を好んで紹介している。

 

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パチスロ「制御不能AT」で歴代シリーズの出玉を超える!? キャッチフレーズは「波ト舞エ。」  

 パチスロ人気シリーズが、早くも6号機第2弾として登場する。

 プレイヤーファーストスペックの超高密度AT機『パチスロ楽園追放』のリリースを控えるサミーは先日、一般財団法人保安通信協会(保通協)より新機種『パチスロ ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION』(製造:ロデオ)の型式試験において、適合通知を受けたことを発表。同時に、公式YouTubeチャンネル「サミーチャンネル」にてスペシャルムービーを公開した。

『エウレカ』シリーズと言えば、『北斗の拳』シリーズや『コードギアス』シリーズと並ぶ、サミーの看板タイトルのひとつ。初代『パチスロ交響詩篇エウレカセブン』はボーナスタイプやRTが主流だった5号機初頭の2009年に登場し、第3のボーナスと銘打たれたART機能「コーラリアンモード」を武器にホールを席捲した。

 このARTは1セット50G、1G純増約1.5枚で、消化中はストック抽選が行われるセット管理型。主な当選契機はボーナス中の抽選クリア、通常時の押し順5択正解、ロングフリーズなどで、押し順5択は「リ・リ・ベ」成立後に発生のチャンスを迎える。

 2013年には1セット50G以上、1G純増約2.8枚のAT機能「コーラリアンモード」を搭載した『パチスロ交響詩篇エウレカセブン2』がデビュー。2017年には機械割115%を誇る5号機第3弾『パチスロエウレカセブンAO』が誕生した。 

 6号機としては2019年に『パチスロ交響詩篇エウレカセブン3 HI-EVOLUTION ZERO』が登場しており、こちらはATとビッグで出玉を増やすゲーム性。1セット30G、1G純増約1.8枚のAT「コーラリアンモード」へはボーナスや押し順チャレンジ正解で突入し、通常時はリール左に設置されたコンパクカウンターの分子がMAXになればボーナスの周期抽選が行われる。

 この6号機第1弾以来、約2年ぶりに降臨する最新シリーズは6.2号機とのこと。スペシャルムービーでは「エウレカを超えるのはエウレカだけ」と記されているほか、タイトル通り、今回の主役は「アネモネ」であることも明かしている。

 また、動画内では「進化した自力感」「新時代へのダイヴ」「勝ち取れ BURST LOOP」「エピソードモード」「エアリアルボーナス」「制御不能AT」「Dive to EUREKASEVEN」といった文言が連発。今作のキャッチフレーズと思しき「波ト舞エ。」なるワードも映し出されている。

 その後、「ベルを勝ち取れ」とのミッションが確認できることから、お馴染みの押し順チャレンジは健在の様子。ビッグボーナスやBAR揃いによる出玉イベントも用意されているようだ。

 現時点での情報は以上で、導入日についても不明。新情報が入り次第、当サイトでもお伝えするので、まずは続報を待ちたいところだ。

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甘デジ「確率1/77.7」で「15R比率50%超×高ループ」!「3つの経路」から連チャンを狙える極上スペック!!

 人気アニメ「マクロスフロンティア」をパチンコ化したシリーズ機の第2弾『CRフィーバーマクロスフロンティア2 77ver.』。大当り確率が1/77.7と甘デジのなかでも破格の大当り確率と1種2種混合タイプを採用したユニークなゲーム性が特徴のマシン。

 基本となるゲームフローは、初当り時の一部から突入する次回大当りまで継続する「フロンティアモード」にてまとまった出玉の獲得を目指すもので、この「フロンティアモード」には3つの突入ルートが存在する。

 まずは図柄揃い。メインとなる契機で、通常時に同じ図柄が3つ並べば大当りとなり、その際に「フロンティアチャレンジ」なる連チャンモードの突入可否を報知する演出が発生。

 成功すれば4ラウンド大当りとフロンティアモードへの突入が約束されるが、失敗すると8ラウンドの出玉のみで通常モードに戻る。演出は「連打」と「一撃」の2パターンが用意されており、後者のほうが突入期待度が高くなっている。

 次の連チャンモード突入機会は「Vチャレ」と呼ばれる特殊演出を経由するもので、「バジュラアタック」というチャンス演出に成功すると発展。この時点で2ラウンド大当りが濃厚となり、続いて4回転のV入賞チャンスを右打ちで行うのである。

「Vチャレ」はいわゆる時短で、盤面右下に搭載されたV穴にタイミング良く入賞すれば大当りという役物抽選による連チャンモード突入を賭けた演出が展開する。ここで大当りすれば、高確率でラウンド消化後にフロンティアモードへ昇格となる。

 最後のルートが「泣きの1回」。これは電サポ終了時に発生する1回だけの引き戻しチャンスで、Vチャレンジ同様の役物抽選が展開される。また、発生タイミングは「電サポ終了」なので、フロンティアモード終了時とVチャレンジ失敗時の2つで「泣きの1回」に挑戦できるのである。

 さて、こうしてさまざまなルートから突入を果たしたフロンティアモードは、継続率約77.3%で、大当りの半分以上が最大出玉となる15ラウンド約840個となる出玉性能となっている。大当り確率(1/77.7)を鑑みれば、かなりの極上スペックではないだろうか。

 フロンティアモードには「バルキリーバトル」と「ギャラクシーライブ」の2つの演出モードが搭載され、プレイヤーがどちらか好きなほうを選べるようになっている。

 バルキリーバトルでは、バジュラに勝てば大当り&モード継続。対戦するバジュラの種類によって勝利期待度が変化し、機動兵隊バジュラなら大チャンスとなる。一方のギャラクシーライブは最終演出に成功すればOK。「破壊」や「一撃」の演出パターンならモード継続のチャンス。

 ほかに、本機には原作本編で使用された楽曲が数多く搭載。楽曲のクオリティに定評のあるモチーフだけに最高の機能といえよう。聞ける楽曲は全32曲と超充実の内容となっている。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。


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経済衰退の地方県内で融資を奪い合い…地方銀行、希望なき業界再編、2番手以下が生き残りかけ

 荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD、仙台市)と東北銀行(岩手県盛岡市)が、2022年10月に経営統合することで合意した。東北では5月、青森銀行(青森市)とみちのく銀行(同)が共同持ち株会社設立に向けて協議を始めたばかり。生き残りをかけた地銀再編の動きが活発になっている。

「われわれは2番手グループ。1番手グループと違って、奮起しないとビジネスモデルを築けない」。フィデアHDの田尾祐一社長は仙台市で開いた記者会見で、置かれている立場に危機感を示した。

 統合する3行が本店を置く山形、秋田、岩手の各県には、トップシェアを持つ山形銀行、秋田銀行、岩手銀行が存在する。地方経済は人口減少で資金需要が落ち込み、新型コロナウイルス禍が追い討ちをかけた。特に、「2番手」以下の地銀、第2地銀は経営基盤の強化が急務となっていた。

 フィデアHDは荘内銀行と北都銀行が09年10月に経営統合して設立された共同持ち株会社であり、仙台市に本社を置く。21年3月末時点で両行合わせて約100の店舗がある。グループ全体の総資産は3兆2214億円、従業員は1662人。21年3月期の連結純利益は33億円だった。

 東北銀行は岩手県盛岡市に本店を置く1950年設立の下位の地銀。2021年3月末時点で49の店舗があり、宮城県や青森、秋田県などにも展開。総資産は1兆215億円。従業員は597人。21年3月期の連結純利益は11億円だ。

 両グループ合わせた総資産は4兆2429億円。東北では、七十七銀行(仙台市)、東邦銀行(福島市)に次ぐ規模になる。青森銀行とみちのく銀行が統合すれば4位に下がるが、それでも3県のトップ地銀のそれを上回る。営業拠点は6県に広がり、東北3県を主な営業基盤とする広域金融グループが誕生する。統合の狙いは収益力を強化して公的資金を返済することにある。北都銀と東北銀は、それぞれ100億円の公的資金を受け入れており、返済に向けた財務の改善・強化が喫緊の課題となっていた。

 フィデアHDの田尾祐一社長は公的資金の返済に関して「なるべく早い時期にしっかり返していきたいという思いがある」と述べた。

 東北銀のフィデアHD傘下入りの決断には、22年4月に予定されている東京証券取引所の市場再編が影響した、との指摘もある。最上位の「プライム市場」の上場基準は株式の時価総額が100億円以上などと定められているが、東北銀は約95億円にとどまる。約220億円のフィデアHDのグループ入りを決断したもうひとつの理由だ。

 経営統合後のリストラには限界がある。というのも、フィデアHDはすでに5年で店舗を4割削減しており、これ以上減らす余地は少ない。秋田、山形、岩手は、どこも経済が衰退しており、競合する有力金融機関と小さな市場を奪い合う構図は変わりない。統合後の貸出残高は単純合計で約2兆3600億円(21年3月期)。東北最大の七十七銀行の半分にも及ばない。

東北地区の地銀の広域再編の核はSBIHDか

 九州では有力地銀を核とする県をまたぐ広域金融グループが相次いで誕生したが、東北ではそうした動きはなかった。岩手県には岩手銀行(盛岡市)、北日本銀行(同)、東北銀行と上場している地銀が3つもある。県内3位の東北銀は公的資金を抱えており、再編のカードとみられていた。

 山形県も山形銀行(山形市)、荘内銀行、きらやか銀行(山形市)と3行あった。荘内銀は秋田県の北都銀行と統合してフィデアHDとなり、今回、岩手県の東北銀行が合流する。

 第2地銀のきらやか銀行は、宮城県の仙台銀行(仙台市)と統合して、じもとホールディングス(HD、仙台市)が発足した。きらやか銀、仙台銀は東日本大震災に伴う特別措置の400億円を含む総額600億円の公的資金が注入されていて、これが背中を押した。公的資金の返済のためには、収益を持続的に生み出す仕組みの構築は待ったなしだったが、統合効果を十分に発揮できず苦しんでいた。じもとHDの21年3月期の最終損益は31億円の赤字。上場71行の地銀・グループの当期純利益ランキングでワースト2位である。

 福島県も東邦銀行(福島市)、福島銀行(同)、大東銀行(郡山市)の3行がある。福島の地域金融機関は壊滅状態で、地銀の東邦銀の21年3月期の最終損益は46億円の赤字。当期純利益ランキングでワースト1位だった。

 第2地銀の福島銀の最終赤字は17億円だったから、じもとHDに次いでワースト3位。同じく第2地銀の大東銀の最終損益は9億円の黒字だが、利益の絶対額は小さくワースト8位である。福島県の金融機関は3行ともワースト10に入るという異常事態なのである。

 本来なら福島県のリーディングバンクの東邦銀が2つの第2地銀を“救済合併”すべきなのかもしれないが、東邦銀にその意向はない。東北は九州のように有力地銀を核とする広域金融グループは生まれていない。現在までのところ、2番手グループによる弱者連合でしかない。

 大手地銀に代わり、広域地銀の核となるとの期待があるのは、地銀連合による「第4のメガバンク構想」を掲げるインターネット金融大手、SBIホールディングスだ。SBIHDは19年に福島銀行、20年、じもとHDと資本業務提携した。大東銀行にも出資しているが、大東銀は「第4のメガバンク」入りを拒否していると伝わる。

 SBIHDは群馬県の第2地銀、東和銀行(前橋市)とも資本業務提携した。SBIHDを核にフィデアHD、福島銀、東和銀の東北・北関東の広域地銀グループを形成するとの観測が流れている。日本銀行は再編に向けてアメを用意した。経営統合や経費削減を進めた地銀に対して、当座預金の金利を上乗せする異例の制度を22年3月に始める。

 東北地方の「1県3行」の地域が火薬庫となる。

(文=編集部)

JRA 武豊「斜行」で後輩ジョッキー落馬もお咎めなし!? ヨカヨカ重賞初勝利の裏で起こった「珍事」の真相とは?

 22日に小倉競馬場で行われた北九州記念(G3)は5番人気のヨカヨカ(牝3、栗東・谷潔厩舎)が勝利した。同馬にとって初めての重賞勝利は、熊本産馬としても初のJRA重賞勝利となった。

 昨年6月のデビューから無傷の3連勝を飾っていたヨカヨカ。この快進撃で各方面から熊本産馬初の快挙を成し遂げるのではと、期待されていた。それだけに、馬券の的中・不的中を別にしても、ヨカヨカの勝利に感動した競馬ファンも多いだろう。

 しかし、ファンが感極まっているゴールシーンの裏で、一瞬ヒヤッとさせられるアクシデントが発生した。

 ゴール入線後、メイショウケイメイに騎乗していた藤懸貴志騎手が落馬したのだ。ヨカヨカがズームアップされているなか、1頭挟んだ後ろにいたのがメイショウケイメイ。そのため、受け身を取った藤懸騎手の2回3回と転がる姿がカメラに捉えられていた。

 この落馬について、記者はこう語っている。

「入線後に武豊騎手のレッドアンシェルが、少し外に移動しました。レース終了後のことなので、厳密には斜行とはいえませんが、その際に、後ろから来たメイショウケイメイが接触したようです。

メイショウケイメイはメンバー最速の上がり3ハロンを記録しており、入線後もまだ余勢がありました。先にゴールした各馬は流すような状況だったこともあり、減速しきれなかった藤懸騎手が、狭いところに突っ込んでいってしまったのでしょう」(競馬記者)

 記者の話す通り、パトロールビデオではレッドアンシェルがメイショウケイメイの前をカットした瞬間に藤懸騎手が落馬したことが確認できる。

 幸い後続が落馬に気付いて避けたため、最悪の事態は免れた。これがもしレース中に発生していたならと思うとゾッとさせられるアクシデントである。

 問題は落馬に無関係とはいえないレッドアンシェルに騎乗していた武豊騎手に責任があるかどうかということだ。12年7月にも同様のアクシデントが発生していた。この時は入線後に被害馬の前をカットした小林慎一郎元騎手へ過怠金5万円が科されている。

 レース後の出来事ということもあり、降着や失格はなかったが、ゴール後のアクシデントに過怠金が科されたのは、JRAでも初のケースとなった。

「現時点でJRAから本件について、武豊騎手への制裁は特に発表されていません。どちらかというと、藤懸騎手の“前方不注意”が原因になったのではないかと見られたのではないでしょうか」(同記者)

 ゴール後とはいえ、後輩騎手が落馬してしまったことは、武豊騎手としても不本意だったに違いない。

 今年は何かとベテランジョッキー絡みのアクシデントが多い藤懸騎手だが、今回ばかりは藤懸騎手に非がありそうだ。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

コロナ禍で居場所を失う子どもたちに、大人ができることとは?

日本NPOセンターと電通で設立した「課題ラボ」。

日本NPOセンターのネットワークを通じて全国から集めた最前線の課題を、異なるスキルや業種の人たちで集まって考える。そんな、“ありそうでなかった”課題発見のシンクタンクです。

本連載では、さまざまなテーマにまつわる「課題」を見つけて、解決のヒントを模索していきます。

連載第2回のテーマは「子ども」。2018年に実施したイベントで取り扱った課題を振り返りつつ、コロナ禍で子どもたちが新たに直面している課題について、日本NPOセンターの上田英司氏と電通の鳥巣智行氏が語り合いました。

上田氏と鳥巣氏


 

「修学旅行をきっかけに問題?」

鳥巣:課題ラボでは、他業種の人々が混ざり合ってディスカッションする「QROSS SESSION」というイベントを開催しています。その記念すべき第1回のテーマが「子ども」でした。これは上田さんからの提案だったと記憶しているのですが、どうして「子ども」を選んだのですか?

上田:私は日本NPOセンターで企業とNPOの協働事業を担当しているので、さまざまな企業の皆さまから社会貢献に関するご相談を頂いていました。その中で業界問わず最も問い合わせが多かったのが、実は「子ども」に関するテーマだったのです。

鳥巣:その背景にはどんな理由があったのでしょうか?

上田:まず、企業が社会貢献活動に参加する際は、多くのステークホルダーからの理解を得る必要があります。その点、「子ども」は共通理解を作りやすいテーマだったのではないかと思います。また、当時は子どもの貧困問題が報道で大きく取り上げられ、社会からの注目が一気に高まった時期だったことも要因のひとつだと考えられます。

鳥巣:そうでしたね。さまざまな角度から数多くの課題を集め、最終的にイベントでは8つの課題を取り扱いましたよね。

子どもの課題

上田:課題ラボの特徴として、エビデンスやファクトなどの裏付けが確かな課題だけでなく、最前線の現場にいるNPOの方々が感じている課題も扱うようにしています。

鳥巣:正直、全然認識していなかった課題がたくさんあって驚きました。「修学旅行をきっかけに問題」なんかは、まさに現場ならではの気づきですよね。

上田:修学旅行の持ち物(カバン・パジャマ・小物など)は自己負担なので、家庭の経済環境が明るみになってしまったり、また地方の旅館には個室シャワーがなく集団で温泉を利用するケースが多いので、LGBTの子どもたちにとって大きなハードルになってしまう、という問題です。

鳥巣:私は修学旅行の温泉で無邪気にはしゃいでいた子どもだったので、この視点はなかったとドキッとさせられました。

コロナ禍でSOSを出せなくなった子どもたち

鳥巣:もうひとつ、印象に残っているのが「読み書きができない問題」。この課題が議題に挙がった時、新宿区の新成人の半数近くが多文化を背景に持つ方だと聞いてびっくりしたことを覚えています。

上田:新宿に限らず、日本に暮らす外国籍の方は増加しています。例えば、15歳を超えて来日した子どもは義務教育を受けることが制度上難しいため、日本語を学ぶためにはNPOがやっている日本語教室や夜間中学校に通うなど、機会が限られています。加えて、外国にルーツを持つ保護者が日本語を読めないケースもあります。学校から配布されるプリントひとつとっても、その方々にとっては非常にハードルが高く、子どもに対して十分な準備やサポートができなかったりするんです。その結果、本当は教育熱心なのに、語学や情報伝達の壁で「教育に関心がない」とレッテルを貼られてしまい、ますます学校教育への参加が難しくなるという悪循環が生じています。

鳥巣:そもそも学校教育のシステム自体が、外国にルーツを持つ保護者や子どもが増えているという現実に即していない、という課題があるかもしれませんよね。上田さんが気になった課題はありますか?

上田:「遊び場減少問題」ですね。公園自体は増えているのですが、それが本当に子どもたちにとって遊びやすいものになっているかというと、必ずしもそうではないと感じています。

鳥巣:ボール遊び禁止、大声禁止など、禁止事項やルールが多くて逆に子どもたちのストレスになっている、という指摘がありましたよね。

上田:それから、地方では学校の統廃合が進んだ結果、遠方からスクールバスなどで学校に通う子どもが増えたので、放課後にみんなで遊ぶ機会が減っているようです。外遊びには「アポイントを取る」「集合場所や時間を調整する」「何をして遊ぶか決める」といった基本的な社会スキルを身につける役割もありますから、大事な成長プロセスが失われてしまうのではないかと危惧しています。

鳥巣:「遊び場減少問題」や「夜間の居場所がない問題」は、コロナ禍でも改めて浮き彫りになった課題ですよね。

上田:おっしゃる通りです。1回目の緊急事態宣言で行政が管理している公園が閉鎖され、ただでさえ遊び場が少ない子どもたちが、いよいよ居場所を失ってしまう事態に陥りました。品川区で子どもの居場所づくりをしているNPOの方に話を聞くと、「コロナ禍で大人が大騒ぎしていると、やがて子どもは黙ります。苦しさを誰にも言えなくて、子どもたちの心はギューっと抑圧されている」と言っていて、これは本当に深刻な状況が続いていると痛感しました。

鳥巣:家庭にも子どもたちの居場所がないのでしょうか?

上田:子どもへのケアが足りていないシーンは増えていると思います。例えば両親がリモートワークで同時に会議が入ってしまうと、子どもは騒ぐと怒られるから静かにしないといけないし、親にも十分に構ってもらえないですよね。コロナ禍で親が感じているストレスが、子どもにも影響を与えている可能性も少なくありません。

鳥巣:なるほど、本当はSOSを出したいけれど言いにくかったり、自分自身も何が苦しいのか分からないこともありそうですよね。

上田:コロナ禍で、ファーストプレイスである家庭や、セカンドプレイスである学校に自分の居場所が見いだせない子どもたちにとって、先述した品川区のNPOのようにサードプレイスだった居場所が、子どもたちのファーストプレイスになっているケースもあるようです。子どもたちのSOSをキャッチするのが“居場所”の役割のひとつになっています。

鳥巣:ちなみに、品川区のNPOではどのような工夫をされているのでしょうか?

上田:彼らは「社会的点呼」と呼んでいるのですが、子どもたちに電話をかけて「元気?」とか「困っちゃうよね」といったコミュニケーションを取っていたようです。この声かけの仕方はポイントのひとつですね。「困っていることはありますか?」と聞くと、「大丈夫」と返されたり、いざ困りごとを聞いても自分たちでは対応できないことだと、結果的に不信感につながってしまいます。

鳥巣:それは興味深いお話ですね。マーケティングの調査でも、「どんな商品が欲しいですか?」と質問されても、その人自身が本当のニーズに気づいていないこともありますよね。

特定非営利活動法人教育サポートセンターNIRE代表 中塚史行氏   

 

まずは課題を知ってもらうことから。企業連携の可能性

鳥巣:今はちょうど夏休みの時期ですが、夏休みならではの子どもの課題はありますか?

上田:長期休暇で給食がなくなることが、子どもに十分な食事を与えられない家庭にとって大きな問題になっています。

鳥巣:極端な話、1日の中で十分な食事を取れるのが給食一食だけという家庭もあるのでしょうか?

上田:実際にそのケースを聞くこともありますし、3食食べていても量や栄養バランスが適切でない場合もあるのです。

鳥巣:周囲のサポートで改善できることもありそうですよね。そこは行政やNPOだけでなく、企業も取り組むべき領域だと感じています。

上田:同感です。実際に先駆的なチャレンジや社会的ニーズを捉えたアイデアを提案する企業も少しずつ増えています。「遊び場減少問題」についてハウスメーカーの方とディスカッションした際も、「家づくりの段階から、子どもが思いっきり体を動かしたり、騒音を出しても大丈夫な設計ができるかもしれない」というアイデアが出てきました。

鳥巣:家やスマホなど、生活者との身近な接点を活用して企業が発信できるものはいろいろとありそうですよね。

上田:課題ラボもTikTokと連携し、「障害のある方への配慮」に関するテーマや、若者たちがデジタル性被害に巻き込まれないためのメッセージ動画を作成しました。

TikTokの課題ラボの動画

鳥巣:TikTokのような若者に波及力のある媒体でメッセージを発信することは非常に大きな意義があると思っています。「子ども」の課題は深刻なものも多いので一朝一夕で解決できることではありませんが、まずは課題の存在自体を知ってもらうことから始めるのがとても大切ですよね。

上田:私もそう思います。そして、課題への取り組みは単なる社会貢献にとどまることではなく、例えば多文化背景を持つ方が増えているということは、ビジネス的にも新たなマーケットの可能性が生まれていると捉えることもできます。私たちも企業の皆さんと積極的につながることが重要だと思っているので、「子どもをテーマに何かしたい」というふんわりしたご相談でも歓迎いたします。

鳥巣:ぜひ新しい課題解決の方法を一緒に考えていきたいですね。本日はありがとうございました。


課題ラボロゴ

課題ラボ
電通と日本NPOセンターが協働し、 2018年に設立。NPOと企業が「支援される側、支援する側」の関係でなく、「ともに社会課題の解決を目指す協働体」となることを目指し活動するラボ。

「課題解決の前に課題発見あり。会議室でなく現場にヒントあり」をコンセプトに、全国の社会課題に対して、最先端の現場と接続できることを特徴とする。

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B2B事業「デジタルセールスシフト」のススメ

はじめまして。電通の梅木と申します。私は転職も含めて営業業務を8年、マーケティング業務を12年やってきました。

今回は私と同世代である40代を中心とした営業担当の方に読んでいただきたく、記事を書かせてもらいました。テーマは、法人向けビジネスの営業のデジタル化、すなわち「デジタルセールスシフト」です。

<目次>
平成の営業で学んだ「質より量」と「量を達成するための生産性向上」
2014年アメリカで見た「完全分業制営業」の衝撃
インターネット普及による、購入者側の意思決定プロセスの変化
「GNP(義理、人情、プレゼント)」の日本型営業をコロナ禍が変えていく
「デジタル投資の多寡」によって企業の格差は広がっている
事業の成長戦略において日本企業に必要な「二つのこと」
これからの日本のB2B営業は「GNP×デジタルセンサー」!?

 



平成の営業で学んだ「質より量」と「量を達成するための生産性向上」

私は現在、電通といわれてイメージされるであろう「広告」「キャンペーン」「CM」といった生活者向けの仕事(B2C)ではなく、法人向けビジネスを展開する企業(以下B2B)へ向けた「デジタルセールスシフト」の支援を中心に活動しています。

あらゆる業種で起こっているデジタルシフトですが、そもそもB2Bの営業はもともとどんなもので、どう変わっていこうとしているのかをひもとくため、まずは私の経験則にはなりますが「平成の営業」を振り返ってみましょう。

2002年の新卒当時、私は電通ではなく、ある求人広告会社に就職をしました。1週間ほどのビジネスマナー研修を受けると、教育担当者から「はい、これ」と以下のものを渡されました。

  • 黒いビジネスバッグ
  • 名刺の束を500枚
  • 会社のロゴが入った手提げ袋に大量の商品カタログチラシ

そして、「名刺獲得キャンペーン」と呼ばれる、その会社に代々続く伝統行事が始まりました。朝から夕方までの決められた時間の中で飛び込み営業を行い、名刺を100枚獲得したら会社に戻ってきてもよいという、全ての新人が経験する通過儀礼のようなものです。

二度とやりたくないですが、その中で多くのことを学びました。例えば限られた時間の中で、どうやって100枚の名刺を獲得するかという行動計画の立て方、エレベーターで一緒になる30秒間で伝えたいことを端的に伝えるプレゼン力など……。

続いて始まったのが、テレフォンクリーニング(通称:テレクリ)、すなわち電話営業です。NTT(当時)の「タウンページ」を使い、担当エリアの企業に片っ端から電話をかけて声が枯れるまでアポを獲る特訓でした。

非対面の中で、どうやって受付担当者を乗り越えて人事担当者につないでもらうか。何百回もガチャ切りされ続ける中で、強い精神や根性を養いました。

「量は質に勝る」ということを若いうちに経験できたことは、今でも財産です。「数」や「量」をこなす営業活動で最も学んだことは、「行動の生産性を上げること」でした。

売上目標に対してまず「平均受注単価」を割り出し、そこから「目標契約件数」を計算し、それを達成するまでに何件の商談、アポイントメント、架電数が必要かを逆算していくゴールから逆算した行動計画の立て方。

そしてもう一つ学んだのが「GNP」(義理、人情、プレゼント=おもてなしのような心遣い)です。足を運んだ回数や、怒られても耐え抜き人間関係をつくり上げる中で信頼関係が生まれ、お客さまに気に入っていただき、お仕事を頂くということを身に染みて学びました。

私はこのように社会人デビューしましたが、同世代の営業職の皆さんも、似たような経験があるのではないでしょうか? 

2014年アメリカで見た「完全分業制営業」の衝撃

ここで時が飛躍しますが、2014年、初めての海外出張でアメリカのニューヨークとボストンに行ったときの話です。このときには私は電通で働いていました。

それまで私は営業職とマーケティング職を何度か行き来していましたが、このアメリカ出張の際に、日本とアメリカの営業プロセスの根本的な違いを知りました。

私が最も驚いたのは、営業が「完全な分業制」で行われていたことです。

まず、ウェブサイト、テレマーケティング、ウェビナー、SNS(特にLinkedInやブログ)、そしてマーケティングオートメーション(以下MA)というシステムを使った、非対面を中心とした見込み客(以下リード)の獲得をマーケティング担当者が行います。

そのリードを受け取った営業担当者が、対面または非対面で商談、クロージングを行うという「完全な分業制」だったのです。自分が営業の基本として教わった、「足を使った飛び込み営業」のような気合や根性論はそこにはありませんでした。

さらに営業はSFA(セールスフォース・オートメーション)というシステムで取引管理まで行い、マーケティング担当者との情報共有をリアルタイムで行っているというのです。

私が常識と考えていた「顧客との人間関係づくり」や「経験や勘による営業活動」とは全く異なり、データを駆使して無駄な動きを徹底的に排除し、効率的かつ科学的に案件創出活動をしている、それが2014年に見たアメリカの営業プロセスでした。

インターネット普及による、購入者側の意思決定プロセスの変化

2014年のアメリカで私が体験したような一連の活動を、B2Bマーケティング用語で「デマンドジェネレーション」(案件創出)といいます。デマンドジェネレーションが普及した背景には、インターネットの普及による「購入者側の意思決定プロセスの変化」があります。

ポイントになる数字が「57%」です。これはアメリカのシンクタンク企業Corporate Executive Boardが2012年に、1400 社以上の B2B 顧客を対象に実施した調査結果に出てくる数字です。

下図にあるように認知から購入までのプロセスを100%とした場合、購入側が初めて売手側である営業担当に接触するのが、全体の57%の地点だというのです。

取引先担当者の購買検討プロセス 
つまり、今の顧客は購入検討プロセスのかなり後の段階になって初めて営業と接触するということです。

ネットが普及したため、購入者は営業に接触する前にウェブサイトやSNSを通じて情報を入手してしまっている状態にあります(Self-Educating buyer=自ら学ぶ購買者)。

つまり、ネット上での情報発信を十分に行えていないと、購入の選択肢にも入らないし、いつの間にか「既存顧客が他の業者に声をかけていた」などという状態になり得る、それが現在です。

営業マンに情報提供されて初めて商品やサービスを知っていた顧客が、ネット普及後には自分の自由なタイミングで知りたいことを探すことができる時代になりました。

しかし、逆の見方をすれば、「購入者側がウェブで情報を探す」という行為は、デジタル技術により「データ化」できるということでもあります。

アメリカでは、2014年どころか2000年初め頃から、ウェブ上のデータを用いた購入者の研究が進んでいました。そして、このようなデータ化やマーケティングオートメーション等のデジタル戦略は、営業経験者よりもマーケティング経験者のほうが長けていることが多かったため、役割が変化し、分業されていきました。

従来の営業活動の大部分をマーケティング担当者が担うようになり、営業担当者はマーケティング担当者が入手したリードデータで受注確度を事前に把握し、それに基づいて商談をする体制に変化したのです。

もともとアメリカ大陸は西と東で時差が異なるほど広大なので、商談に至る前の前工程のために「移動する」時間を圧縮する意味でも、この考え方が浸透していったようです。

この新たな営業方法は「デジタルセールス」という表現をすると分かりやすいかもしれません。

「GNP(義理、人情、プレゼント)」の日本型営業をコロナ禍が変えていく

「マーケティングオートメーション等を活用したデジタルセールス」は、アメリカでは2000年頃に原型ができて、急速に成長したわけですが、日本では2014年がマーケティングオートメーション元年といわれています。外資系のマーケティングオートメーション(ここからはMAと略します)が進出してきたことがきっかけといわれています。

この2014年、電通デジタル(当時は電通イーマーケティングワン)も、米国Marketo(2018年にアドビシステムズが買収)と共同出資で、MAに特化したマルケトを設立しています。

しかしこのB2B事業におけるMAが、2014年以降国内で急速に普及したのかというとそうではなく、一部の企業でしか採用されませんでした。もちろん多くのB2B企業が、MAを使いこなそうとチャレンジを繰り返してきましたが、なかなか定着しなかったのが実情です。

理由は、MAを使ったやり方が、「対面」や「人間関係」を尊重する“日本型営業”には馴染まなかったことです。私は従来の日本型営業の良さをGNP(義理、人情、プレゼント=おもてなしのような心遣い)と呼んでいます。営業には、足で稼いだ信頼と築き上げた人間関係で売り上げをつくってきた自負があります。デジタルだか、DXだかよく知らんが、数字をつくっているのは自分たちだ!と思っています。

前述の通り営業歴が長かった私も、同じように考えており、このMAというものが日本で浸透するのはまだまだ時間がかかると考えていました。外国のことだし……とも思っていました。

ところが2020年、否応なく世界のビジネス構造が変化する出来事が起こります。コロナ禍です。未曽有の天変地異によって、営業が置かれている状況も一変しました。

コロナ前後のセールスシフト

最近、ZoomやTeams等のリモートツールを使ったミーティングやウェビナーは日常的なものとなっていますが、コロナ禍以前に想像できたでしょうか。

新規開拓のために電話をしても、飛び込み営業をしても、そもそも相手が会社にいません。「ルート営業(既存顧客の担当営業)だから自分には関係がない」と思う人もいるかもしれませんが、競合企業や新興のベンチャー企業はデジタルセールスを駆使して挑んできます。

従来型の対面営業の現場においても、デジタル投資を検討しなければならないときがまさに今なのです。

「デジタル投資の多寡」によって企業の格差は広がっている

本当にデジタル投資が必要なのかを、数字でひもといてみましょう。「無形固定資産」の指標をみると、その企業がデジタル投資をどれくらい行っているのかという参考になります。

無形固定資産には、ソフトウエアや特許、著作権、M&A(合併・買収)に伴うのれんなどがあり、日本ではシステム会社や製薬会社などの計上が多い傾向にありました。

日本経済新聞社が日経500種平均株価を構成する企業(金融など除く)の20年1~3月期決算を調べたところ、無形固定資産(のれんを除く)が有形固定資産のどのくらいに当たるかを示す「無形固定資産倍率」が低い企業ほど、業績の落ち込みが大きくなっていたといいます(※)。

※出典:日本経済新聞「デジタル投資 格差鮮明 積極企業、落ち込み小さく」 
 

つまり、コロナ禍での厳しい経営環境においても、デジタル/ITへの投資比率が高い企業ほど業績に耐性が見受けられたのです。

今後、コロナ禍以前のように対面での人間関係づくりや商談をすることは戻ってくるのでしょうか?日本国内でもワクチンの接種が急速に進んでいます。

しかし、在宅勤務、リモート営業でも業務は成立してしまいますし、逆に作業の効率が上がり働き方が豊かになったり、逆にさぼれなくなったりした方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「あんな時代もあったよね」という時が必ず来ると私自身は信じていますが、たとえコロナ禍が完全に終息したとしても、リモートという働き方、この非対面によるビジネス環境は、残り続ける可能性は高いと思います。

営業の在り方が、まさに変わらなくてはならない時がきているのではないでしょうか。

事業の成長戦略において日本企業に必要な「二つのこと」

以下は「アンゾフのマトリックス」という事業の成長モデルを整理したものです。

アンゾフのマトリクス

 「GNP」を主体とする①市場浸透戦略は日本の企業の得意とするところです。しかし、②新商品開発戦略、つまり既存の顧客に新商品を購入してもらう、または③新市場開拓戦略、つまり未取引の新規の顧客リストを収集し、既存の商品を購入してもらうという領域には、気合と根性だけでは進出するのは難しく、マーケティング戦略が必要になります。

②新商品開発戦略の領域では営業としての肌感覚という経験や勘だけでは相手にされません。現在はいわゆる「デジタルセンサー」(MA等のDXツールやウェブサイト、広告)を使うことで、より正確な顧客ニーズを知ることができます。

③新市場開拓戦略の領域はどうでしょうか。特定の市場を対象とするB2B商材の場合、戦略なくただリストを集めても無意味です。この領域もデジタルセンサー(MAや外部で提供されている顧客データベースの活用や自社購買データ分析)を使うことで、効率的に特定領域の見込み客リスト収集や受注確度を把握していくことが可能になります。

これからの日本のB2B営業は「GNP×デジタルセンサー」!?

先に触れた通り、従来の日本型営業のことを私は「GNP」(義理、人情、プレゼント)と表現しています。私は今でも、これらが間違っているとは思っていません。

一方で、2014年頃から、外資系のMAプロバイダーが多数進出してきた流れもあり、だいたいのB2B関連のコンサルタントやシステム会社はこう言います。「日本の営業は古い、マーケティングが10年遅れている」

そしてB2B企業はその言葉を信じて、デジタルセールスシフトにチャレンジしてきました。しかし残念ながら、明確にデジタルセールスシフトを実現できている企業はまだ少ないのが現状です。

先端に立ち続けている営業は馬鹿ではありません。皆、今のままではまずいと分かっています。しかし「過去の成功体験からなかなか抜け出せない」という生の声を、私は数多く聞いてきました。

そこで私が推奨しているのは、「GNP×デジタルセンサー」という考え方です。

我々は今までのやり方を全てシフトするということだけが正しいとは思いません。特に北米で起きているはやりのやり方が正しく、日本は古いという論調はおかしいですし、この8年間ほどの間で何度も失敗している事業会社を見てきています。商談するときの営業トークや経験は普遍的に必要です。人間同士なのでお酒を飲みながら語ることも大事でしょう。

そうした今までの日本的な営業に、デジタルセンサーという武器を加えます。デジタルセンサーとは、今回お話ししてきたようなウェブデータやMAの活用により、今まで見えなかったことが見えるようになることを「センサー」と表現しています。GNP×デジタルセンサーで、営業活動のプロセスは大きく変わります。

デジタルセンサーを活用した新たなデジタルセールスの形(=デマンドジェネレーション)
デジタルセンサーを活用した新たなデジタルセールスの形(=デマンドジェネレーション)

我々電通グループは、変わろうとする営業担当者やマーケティング担当者のサポートをしたいと考えています。そして、電通グループ横断組織である「電通B2Bイニシアティブ」という70人ほどのB2Bプロフェッショナルチームがいます。

今、事業部に所属していて、

「どうやって展示会の代替案となる新たな戦い方をしていくべきか?」

「ウェブをどうやって活用したらいいか?」

「MAを導入したけど活用できない」

などの悩みを抱えている営業の方。

またはマーケティング担当として

「どうやって営業との連携をとしていくべきか?」

「手段と目的が逆転してしまっているがなかなか上層部の理解が得られない」

などと悩んでいる方。

ぜひ、お気軽にご連絡ください。この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

連絡先:電通B2Bイニシアティブ事務局
b2b-initiative@dentsu.co.jp
 

twitter

B2B事業「デジタルセールスシフト」のススメ

はじめまして。電通の梅木と申します。私は転職も含めて営業業務を8年、マーケティング業務を12年やってきました。

今回は私と同世代である40代を中心とした営業担当の方に読んでいただきたく、記事を書かせてもらいました。テーマは、法人向けビジネスの営業のデジタル化、すなわち「デジタルセールスシフト」です。

<目次>
平成の営業で学んだ「質より量」と「量を達成するための生産性向上」
2014年アメリカで見た「完全分業制営業」の衝撃
インターネット普及による、購入者側の意思決定プロセスの変化
「GNP(義理、人情、プレゼント)」の日本型営業をコロナ禍が変えていく
「デジタル投資の多寡」によって企業の格差は広がっている
事業の成長戦略において日本企業に必要な「二つのこと」
これからの日本のB2B営業は「GNP×デジタルセンサー」!?

 



平成の営業で学んだ「質より量」と「量を達成するための生産性向上」

私は現在、電通といわれてイメージされるであろう「広告」「キャンペーン」「CM」といった生活者向けの仕事(B2C)ではなく、法人向けビジネスを展開する企業(以下B2B)へ向けた「デジタルセールスシフト」の支援を中心に活動しています。

あらゆる業種で起こっているデジタルシフトですが、そもそもB2Bの営業はもともとどんなもので、どう変わっていこうとしているのかをひもとくため、まずは私の経験則にはなりますが「平成の営業」を振り返ってみましょう。

2002年の新卒当時、私は電通ではなく、ある求人広告会社に就職をしました。1週間ほどのビジネスマナー研修を受けると、教育担当者から「はい、これ」と以下のものを渡されました。

  • 黒いビジネスバッグ
  • 名刺の束を500枚
  • 会社のロゴが入った手提げ袋に大量の商品カタログチラシ

そして、「名刺獲得キャンペーン」と呼ばれる、その会社に代々続く伝統行事が始まりました。朝から夕方までの決められた時間の中で飛び込み営業を行い、名刺を100枚獲得したら会社に戻ってきてもよいという、全ての新人が経験する通過儀礼のようなものです。

二度とやりたくないですが、その中で多くのことを学びました。例えば限られた時間の中で、どうやって100枚の名刺を獲得するかという行動計画の立て方、エレベーターで一緒になる30秒間で伝えたいことを端的に伝えるプレゼン力など……。

続いて始まったのが、テレフォンクリーニング(通称:テレクリ)、すなわち電話営業です。NTT(当時)の「タウンページ」を使い、担当エリアの企業に片っ端から電話をかけて声が枯れるまでアポを獲る特訓でした。

非対面の中で、どうやって受付担当者を乗り越えて人事担当者につないでもらうか。何百回もガチャ切りされ続ける中で、強い精神や根性を養いました。

「量は質に勝る」ということを若いうちに経験できたことは、今でも財産です。「数」や「量」をこなす営業活動で最も学んだことは、「行動の生産性を上げること」でした。

売上目標に対してまず「平均受注単価」を割り出し、そこから「目標契約件数」を計算し、それを達成するまでに何件の商談、アポイントメント、架電数が必要かを逆算していくゴールから逆算した行動計画の立て方。

そしてもう一つ学んだのが「GNP」(義理、人情、プレゼント=おもてなしのような心遣い)です。足を運んだ回数や、怒られても耐え抜き人間関係をつくり上げる中で信頼関係が生まれ、お客さまに気に入っていただき、お仕事を頂くということを身に染みて学びました。

私はこのように社会人デビューしましたが、同世代の営業職の皆さんも、似たような経験があるのではないでしょうか? 

2014年アメリカで見た「完全分業制営業」の衝撃

ここで時が飛躍しますが、2014年、初めての海外出張でアメリカのニューヨークとボストンに行ったときの話です。このときには私は電通で働いていました。

それまで私は営業職とマーケティング職を何度か行き来していましたが、このアメリカ出張の際に、日本とアメリカの営業プロセスの根本的な違いを知りました。

私が最も驚いたのは、営業が「完全な分業制」で行われていたことです。

まず、ウェブサイト、テレマーケティング、ウェビナー、SNS(特にLinkedInやブログ)、そしてマーケティングオートメーション(以下MA)というシステムを使った、非対面を中心とした見込み客(以下リード)の獲得をマーケティング担当者が行います。

そのリードを受け取った営業担当者が、対面または非対面で商談、クロージングを行うという「完全な分業制」だったのです。自分が営業の基本として教わった、「足を使った飛び込み営業」のような気合や根性論はそこにはありませんでした。

さらに営業はSFA(セールスフォース・オートメーション)というシステムで取引管理まで行い、マーケティング担当者との情報共有をリアルタイムで行っているというのです。

私が常識と考えていた「顧客との人間関係づくり」や「経験や勘による営業活動」とは全く異なり、データを駆使して無駄な動きを徹底的に排除し、効率的かつ科学的に案件創出活動をしている、それが2014年に見たアメリカの営業プロセスでした。

インターネット普及による、購入者側の意思決定プロセスの変化

2014年のアメリカで私が体験したような一連の活動を、B2Bマーケティング用語で「デマンドジェネレーション」(案件創出)といいます。デマンドジェネレーションが普及した背景には、インターネットの普及による「購入者側の意思決定プロセスの変化」があります。

ポイントになる数字が「57%」です。これはアメリカのシンクタンク企業Corporate Executive Boardが2012年に、1400 社以上の B2B 顧客を対象に実施した調査結果に出てくる数字です。

下図にあるように認知から購入までのプロセスを100%とした場合、購入側が初めて売手側である営業担当に接触するのが、全体の57%の地点だというのです。

取引先担当者の購買検討プロセス 
つまり、今の顧客は購入検討プロセスのかなり後の段階になって初めて営業と接触するということです。

ネットが普及したため、購入者は営業に接触する前にウェブサイトやSNSを通じて情報を入手してしまっている状態にあります(Self-Educating buyer=自ら学ぶ購買者)。

つまり、ネット上での情報発信を十分に行えていないと、購入の選択肢にも入らないし、いつの間にか「既存顧客が他の業者に声をかけていた」などという状態になり得る、それが現在です。

営業マンに情報提供されて初めて商品やサービスを知っていた顧客が、ネット普及後には自分の自由なタイミングで知りたいことを探すことができる時代になりました。

しかし、逆の見方をすれば、「購入者側がウェブで情報を探す」という行為は、デジタル技術により「データ化」できるということでもあります。

アメリカでは、2014年どころか2000年初め頃から、ウェブ上のデータを用いた購入者の研究が進んでいました。そして、このようなデータ化やマーケティングオートメーション等のデジタル戦略は、営業経験者よりもマーケティング経験者のほうが長けていることが多かったため、役割が変化し、分業されていきました。

従来の営業活動の大部分をマーケティング担当者が担うようになり、営業担当者はマーケティング担当者が入手したリードデータで受注確度を事前に把握し、それに基づいて商談をする体制に変化したのです。

もともとアメリカ大陸は西と東で時差が異なるほど広大なので、商談に至る前の前工程のために「移動する」時間を圧縮する意味でも、この考え方が浸透していったようです。

この新たな営業方法は「デジタルセールス」という表現をすると分かりやすいかもしれません。

「GNP(義理、人情、プレゼント)」の日本型営業をコロナ禍が変えていく

「マーケティングオートメーション等を活用したデジタルセールス」は、アメリカでは2000年頃に原型ができて、急速に成長したわけですが、日本では2014年がマーケティングオートメーション元年といわれています。外資系のマーケティングオートメーション(ここからはMAと略します)が進出してきたことがきっかけといわれています。

この2014年、電通デジタル(当時は電通イーマーケティングワン)も、米国Marketo(2018年にアドビシステムズが買収)と共同出資で、MAに特化したマルケトを設立しています。

しかしこのB2B事業におけるMAが、2014年以降国内で急速に普及したのかというとそうではなく、一部の企業でしか採用されませんでした。もちろん多くのB2B企業が、MAを使いこなそうとチャレンジを繰り返してきましたが、なかなか定着しなかったのが実情です。

理由は、MAを使ったやり方が、「対面」や「人間関係」を尊重する“日本型営業”には馴染まなかったことです。私は従来の日本型営業の良さをGNP(義理、人情、プレゼント=おもてなしのような心遣い)と呼んでいます。営業には、足で稼いだ信頼と築き上げた人間関係で売り上げをつくってきた自負があります。デジタルだか、DXだかよく知らんが、数字をつくっているのは自分たちだ!と思っています。

前述の通り営業歴が長かった私も、同じように考えており、このMAというものが日本で浸透するのはまだまだ時間がかかると考えていました。外国のことだし……とも思っていました。

ところが2020年、否応なく世界のビジネス構造が変化する出来事が起こります。コロナ禍です。未曽有の天変地異によって、営業が置かれている状況も一変しました。

コロナ前後のセールスシフト

最近、ZoomやTeams等のリモートツールを使ったミーティングやウェビナーは日常的なものとなっていますが、コロナ禍以前に想像できたでしょうか。

新規開拓のために電話をしても、飛び込み営業をしても、そもそも相手が会社にいません。「ルート営業(既存顧客の担当営業)だから自分には関係がない」と思う人もいるかもしれませんが、競合企業や新興のベンチャー企業はデジタルセールスを駆使して挑んできます。

従来型の対面営業の現場においても、デジタル投資を検討しなければならないときがまさに今なのです。

「デジタル投資の多寡」によって企業の格差は広がっている

本当にデジタル投資が必要なのかを、数字でひもといてみましょう。「無形固定資産」の指標をみると、その企業がデジタル投資をどれくらい行っているのかという参考になります。

無形固定資産には、ソフトウエアや特許、著作権、M&A(合併・買収)に伴うのれんなどがあり、日本ではシステム会社や製薬会社などの計上が多い傾向にありました。

日本経済新聞社が日経500種平均株価を構成する企業(金融など除く)の20年1~3月期決算を調べたところ、無形固定資産(のれんを除く)が有形固定資産のどのくらいに当たるかを示す「無形固定資産倍率」が低い企業ほど、業績の落ち込みが大きくなっていたといいます(※)。

※出典:日本経済新聞「デジタル投資 格差鮮明 積極企業、落ち込み小さく」 
 

つまり、コロナ禍での厳しい経営環境においても、デジタル/ITへの投資比率が高い企業ほど業績に耐性が見受けられたのです。

今後、コロナ禍以前のように対面での人間関係づくりや商談をすることは戻ってくるのでしょうか?日本国内でもワクチンの接種が急速に進んでいます。

しかし、在宅勤務、リモート営業でも業務は成立してしまいますし、逆に作業の効率が上がり働き方が豊かになったり、逆にさぼれなくなったりした方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「あんな時代もあったよね」という時が必ず来ると私自身は信じていますが、たとえコロナ禍が完全に終息したとしても、リモートという働き方、この非対面によるビジネス環境は、残り続ける可能性は高いと思います。

営業の在り方が、まさに変わらなくてはならない時がきているのではないでしょうか。

事業の成長戦略において日本企業に必要な「二つのこと」

以下は「アンゾフのマトリックス」という事業の成長モデルを整理したものです。

アンゾフのマトリクス

 「GNP」を主体とする①市場浸透戦略は日本の企業の得意とするところです。しかし、②新商品開発戦略、つまり既存の顧客に新商品を購入してもらう、または③新市場開拓戦略、つまり未取引の新規の顧客リストを収集し、既存の商品を購入してもらうという領域には、気合と根性だけでは進出するのは難しく、マーケティング戦略が必要になります。

②新商品開発戦略の領域では営業としての肌感覚という経験や勘だけでは相手にされません。現在はいわゆる「デジタルセンサー」(MA等のDXツールやウェブサイト、広告)を使うことで、より正確な顧客ニーズを知ることができます。

③新市場開拓戦略の領域はどうでしょうか。特定の市場を対象とするB2B商材の場合、戦略なくただリストを集めても無意味です。この領域もデジタルセンサー(MAや外部で提供されている顧客データベースの活用や自社購買データ分析)を使うことで、効率的に特定領域の見込み客リスト収集や受注確度を把握していくことが可能になります。

これからの日本のB2B営業は「GNP×デジタルセンサー」!?

先に触れた通り、従来の日本型営業のことを私は「GNP」(義理、人情、プレゼント)と表現しています。私は今でも、これらが間違っているとは思っていません。

一方で、2014年頃から、外資系のMAプロバイダーが多数進出してきた流れもあり、だいたいのB2B関連のコンサルタントやシステム会社はこう言います。「日本の営業は古い、マーケティングが10年遅れている」

そしてB2B企業はその言葉を信じて、デジタルセールスシフトにチャレンジしてきました。しかし残念ながら、明確にデジタルセールスシフトを実現できている企業はまだ少ないのが現状です。

先端に立ち続けている営業は馬鹿ではありません。皆、今のままではまずいと分かっています。しかし「過去の成功体験からなかなか抜け出せない」という生の声を、私は数多く聞いてきました。

そこで私が推奨しているのは、「GNP×デジタルセンサー」という考え方です。

我々は今までのやり方を全てシフトするということだけが正しいとは思いません。特に北米で起きているはやりのやり方が正しく、日本は古いという論調はおかしいですし、この8年間ほどの間で何度も失敗している事業会社を見てきています。商談するときの営業トークや経験は普遍的に必要です。人間同士なのでお酒を飲みながら語ることも大事でしょう。

そうした今までの日本的な営業に、デジタルセンサーという武器を加えます。デジタルセンサーとは、今回お話ししてきたようなウェブデータやMAの活用により、今まで見えなかったことが見えるようになることを「センサー」と表現しています。GNP×デジタルセンサーで、営業活動のプロセスは大きく変わります。

デジタルセンサーを活用した新たなデジタルセールスの形(=デマンドジェネレーション)
デジタルセンサーを活用した新たなデジタルセールスの形(=デマンドジェネレーション)

我々電通グループは、変わろうとする営業担当者やマーケティング担当者のサポートをしたいと考えています。そして、電通グループ横断組織である「電通B2Bイニシアティブ」という70人ほどのB2Bプロフェッショナルチームがいます。

今、事業部に所属していて、

「どうやって展示会の代替案となる新たな戦い方をしていくべきか?」

「ウェブをどうやって活用したらいいか?」

「MAを導入したけど活用できない」

などの悩みを抱えている営業の方。

またはマーケティング担当として

「どうやって営業との連携をとしていくべきか?」

「手段と目的が逆転してしまっているがなかなか上層部の理解が得られない」

などと悩んでいる方。

ぜひ、お気軽にご連絡ください。この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

連絡先:電通B2Bイニシアティブ事務局
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7月のブルーインパルス飛行で航空法違反?過去に墜落など事故多発、雲中の飛行は危険

 航空自衛隊の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」が東京オリンピック(五輪)開会日の7月23日、東京上空で五輪を描いた際とその前後の編隊飛行時に、航空法違反が生じていた可能性がある。

 航空法施行規則第5条は、飛行高度が3000メートル以下の管制区域で、操縦士が目視で位置を判断する有視界飛行の場合、飛行条件を「飛行視程5000メートル以上、航空機から垂直上方に150メートル、下方に300メートル、水平距離600メートルに雲がないこと」と定めている。つまり曲技飛行のような有視界飛行では、雲のなかに入ったり、雲のすぐ近くを飛んではならないのである。理由は、一時的にでも他の航空機を視認できないと、ニアミスや空中衝突の危険があるからだ。

多くの映像でも一部の機体が雲に隠れるのを確認

 当日の都心の気象状態は大気が不安定で、映像を見ても、国立競技場付近上空には積雲が発生してその雲底は約1000メートルであった。ブルーインパルスは当初は飛行高度2500~5000フィート(762~1524メートル)を計画していたものの、突然発生した積雲の影響を受けたため2500~3500フィート(762~1067メートル)に下げ、雲の下を飛ぶことにした。しかし、五輪を描く飛行は僚機との間隔を保つ意味でも、上昇、降下、旋回を伴うことや都心の高層ビル群に接近しないために、あまり高度を下げることができないという制約を受けていた。

 そのために、いくつかの機体が一時的に雲に入ったり雲との間隔を十分に取らずに飛行せざるを得なかったのである。それは、地上から見ていて機体が一瞬姿を消すことで確認できたのである。五輪を描いた飛行以外にも、編隊で移動したときにも雲の下を飛行していた全機の姿が一時的に見えなくなることがあり、これは雲の中に入ったと考えるのが自然である。

雲中飛行での事故が多発

 ブルーインパルスが起こした事故は決して少なくない。1961年、65年、82年、91年、2000年に墜落し、14年には2機が接触して緊急着陸している。このうち1991年と2000年の事故は海霧の中を飛行したために起きたもので、有視界飛行の基本が守られていなかったものだ。自衛隊機の飛行は戦闘行動にも対処する必要から、たとえ雲があっても一瞬ならすぐ雲から出るだろうといった考えが定着していると危惧している。

 それを裏付けるように、2016年4月6日に鹿児島県の鹿屋で起きたU-125双発ジェット機の事故が記憶に新しい。当事故は鹿屋航空基地を離陸した後、検査飛行中に有視界飛行状態にもかかわらず雲中飛行をして高隈山に衝突し、隊員6名全員が死亡したものだ。このときの機長は元ブルーインパルスの編隊長も務めたベテランパイロットであった。自衛隊機も航空法を順守する義務があり、前方に雲を発見したときにはそれを回避するか、難しければ反転、あるいは管制に計器飛行を要請する必要がある。

 当時この航空法違反に加えて、パイロットが山に接近したときに出されるGPWS(対地接近警報装置)の音声警報のスイッチを切っていたことも判明した。GPWSは1975年から導入されたソフトであるが、世界のパイロットはその警報音を無視して山や丘に衝突する事故が続いて、多くの人命が失われた。パイロットは自分こそが正しくGPWSが誤っていると考えがちで、その習慣を直すのに多くの時間が費やされた。

 私は日本空港(JAL)で安全推進部に所属していた1990年代後半、まさにパイロットにこの点の教育を行うことが主な任務であった。その内容は「GPWSが作動したら、それを誤作動と考えたりほかのパイロットと議論することなく、すぐに一旦ゴーアラウンドする」ということであった。それから相当の年月を経て今日では、どの民間パイロットもGPWSに一義的に従うようになった。

 鹿屋自衛隊機の事故は、今よりわずか5年前の出来事である。ほかにも飛行マニュアルがJALなど民間航空のものをコピーしたように使用しており、基本的な安全教育は民間航空より約20年は遅れていると思う。

政府が航法違反の指摘に答弁

 このブルーインパルスの飛行について、メディアの指摘もあり政府が公式に答弁する事態となった。8月10日、加藤勝信官房長官は東京新聞の記者から「報道によると航空専門家から航空法違反との指摘があるが」との質問に「航空法違反にあたるとの事実はありません。雲に入らない飛行をして、気象観測員を配置して法令を遵守し飛行が行われた」と答弁した。だが、官房長官は映像などを使って証拠を示したものではなかった。

 7月23日のブルーインパルスの飛行は、多くの人々がYouTube等で投稿した映像が残されており、それを一つひとつ確認していくと、一部の飛行で航空法に定めた飛行方式を逸脱していたことが十分に読み取れる。

 ここで誤解のないように述べておきたいが、有視界気象状態(VMC)と有視界飛行方式(VFR)との違いである。いくら天候が良くて有視界飛行ができる状態であっても、小さな雲にも入ったり接近したりしてはならないのである。7月23日当日の国立競技場上空の天候データは示されていないが、羽田空港での実測では視程、雲底共にVMCであった。各種映像から国立競技場の天候もVMCと類推される。だからといってVFRは維持されなければならないのである。

 さて、今回政府が航空法違反の事実を証明することなく言葉だけで否定したものの、その疑いが公になった意義は大きい。当然この経緯は自衛隊、ブルーインパルスのパイロットたちにも伝わり、今後のフライトにおいても影響を与えることになるからだ。今後は、雲中飛行はもちろんのこと、雲からの距離にも神経をとがらせ、メディアや観客の目もより厳しくなるだろう。

 ちなみに私は日頃から、実際に自衛隊の部隊に対し安全に関する話をしたり、事故を削減するためのマニュアルを提案しており、自衛隊に対して批判的なスタンスを持っているわけではないことを付言しておきたい。

(文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長)

●杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

1969年慶應義塾大学法学部卒、日本航空入社。 DC-8、ボーイング747、エンブラエルE170に乗務。首相フライトなど政府要請による特別便の経験も多い。ボーイング747の飛行時間は1万4051時間という世界一の記録を持つ。2011年10月の退役までの総飛行時間は2万1000時間超。日本航空在籍時に安全施策の策定推進の責任者だったときにはじめた「スタビライズド・アプローチ」は、日本の航空界全体に普及し、JAL御巣鷹山事故以来の死亡事故、並びに大きな着陸事故ゼロの記録に貢献している。 航空問題と広く安全問題について出版、新聞、テレビなどメディア、講演会などで解説、啓蒙活動を行なっている。著書多数。社会学、国際政治の分野でも『日本人はなぜ足元を見られるのか?』(アスキー新書)などの著書がある