創業半世紀の老舗喫茶、なぜコロナ禍でも黒字確保?『青天を衝け』でコーヒー指導も

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

「ありがたいことに、こんな時期でも本店にはお客さんが次々に来てくださいます」

 茨城県と首都圏に店を展開するサザコーヒー創業者の鈴木誉志男会長は感慨深げにこう話し、さらに続ける。

「当社の強みは本店です。首都圏の店が営業自粛で休業しても、本店が支えます。昨年の4月、5月は14店(当時)中9店が休業となりましたが、本店は大きな影響を受けませんでした。

 その一方、取引先の飲食店が営業を自粛した影響で、コーヒー豆の卸は対前年比約4割に落ち込み、この2カ月は赤字が拡大しました。打開策として、営業する店でケーキのテイクアウトを始め、インターネット通販で家庭用コーヒー豆の販売に注力したところ、それぞれ売り上げは前年の3倍増と4倍増となりました。休業した店が再開するとお客さんも戻り、2020年度の決算は黒字を確保できたのです」

 取材したのは、その本店(茨城県ひたちなか市)で、JR勝田駅から徒歩約7分。勝田駅東口にも支店(勝田駅前店)があるが、駅から少し離れた本店の存在感は別格だ。

 喫茶コーナーはうなぎの寝床のように細長く、いくつかのエリアに分かれている。晴れた日にはテラス席も人気だ。店の入口には物販コーナーもある。コーヒー豆や地元の笠間焼の食器などが陳列され、よく売れる。営業時間中は無料で自由に見学できるギャラリーもある。

 サザ本店の強みは、この喫茶コーナーと物販の双方で売り上げを伸ばせることだ。

大河ドラマを見据えた「渋沢栄一のコーヒー」

 7月11日、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)の中で、パリのアパルトマン(アパート)でコーヒーを抽出するシーンがあった。

 実は、ここで使われたコーヒー器具や食器を提供したのはサザコーヒーだ。番組の最後に流れるエンドロール(クレジット表記)では「コーヒー指導・鈴木誉志男」と記された。

『青天を衝け』は、2024年に発行予定の新一万円札の顔としても脚光を浴びる渋沢栄一(演じるのは吉沢亮さん)が主人公だが、江戸幕府15代将軍・慶喜の名代として渡仏した徳川昭武(同・板垣李光人さん)も登場、この回でも2人が共演した。

 同社は2021年1月に「渋沢栄一仏蘭西珈琲物語」というコーヒー(200グラムの豆は税込み1500円)を発売し、売れ行き好調だ。開発したのは鈴木会長だが、大河ドラマでコーヒー指導の役目を担ったのは「たまたま依頼を受けて」だという。ただし商品開発は、同番組の主人公として話題を呼ぶことを想定して、発売の約1年前から着手していた。

「明治以降の活躍で知られる渋沢栄一ですが、幕末までは徳川慶喜に仕えた藩士。慶喜の弟で最後の水戸藩主だった昭武に随行して、1867年のパリ万国博覧会に出かけています。

 フランスなどの欧州歴訪中にコーヒーを飲んだことが日記にも記され、それをもとに当時の食生活を調べ始めました。この商品の豆は、当時のフランスで使われていたエチオピアとイエメン産のモカを用い、深煎りのフレンチローストに仕上げています」(鈴木会長)

 本連載前回記事で紹介した、鈴木太郎社長の仕掛けが「流行や意外性」なのに対して、父の会長は「伝統や文化」といえよう。商品開発で行うのは「地域文化のありもの探し」だ。

松戸市・戸定歴史館との共同取り組み

 同社には話題性コーヒーの成功体験がある。2004年に開発した「徳川将軍珈琲」(同1500円)だ。1998年の大河ドラマ『徳川慶喜』(水戸藩出身)にヒントを得た。縁あって知り合った、慶喜のひ孫でコーヒー通の徳川慶朝氏(故人)と共に、史実を基に味を現代風に再現。豆はインドネシア産マンデリンを使用し、数多いコーヒー豆のなかでも看板商品となった。

 前述の昭武にちなんだ商品も共同開発している。「プリンス徳川カフェ」という商品だ。これは慶喜や昭武に関する資料を保管する千葉県松戸市の戸定歴史館の協力により実現したもので、同館の名誉館長・齊藤洋一氏は『青天を衝け』の時代考証を担当し、テレビやラジオの歴史番組でも解説を行う。「徳川将軍珈琲」の時代考証も同氏が担った。

 一般社団法人・松戸観光協会の協力も得た。「新たな松戸の銘品をつくりたい」と市内の各店に呼びかけ、各店がプリンス徳川カフェに合うスイーツやお菓子を開発してくれた。

 こうした活動は「点」を「線」や「面」に広げる取り組みといえる。企業におけるプロジェクト活動だが、この時に大切なのが、変にマウンティングをしないことだろう。

 鈴木会長は、ひたちなか商工会議所の会頭(現名誉会頭)を長年務めるなど公職も多いが、基本は「昭和の喫茶店おやじ」(本人談)――。土日には妻の美知子氏(前社長、現取締役)とともにカウンターで皿洗いもする。当時流行した言葉を借りれば“喫茶店マスターとママ”として令和時代も取り組むのだ。店で働くことは苦にならないという。

歴史文化も「新しさ」を打ち出す

 前述した「ありもの探し」は、地域の活性化でよく行われる。筆者の取材経験では、戦後の高度成長期から取り組んだ代表例が大分県の由布院だ。大型開発に反対して「昔ながらの自然」を残し、まずは住む人ありきという生活型観光地を目指した結果、集客に成功した。

 ただし、歴史探訪や地域文化の深掘りは、ややもすれば古臭くなってしまう。そうならないコツは「新しさ」の打ち出し方だろう。カバン業界の事例を紹介したい。

 日本を代表するバッグメーカーとして知られる吉田カバン(社名は吉田=吉の“士”部分は正式には“土”)がかつて発売した限定商品に「博多献上PORTER(ポーター)」という商品があった。商品の一部に伝統工芸品の博多織を取り入れたカバンだ。

 当時の取材では、「博多献上柄のように連続化した模様は欧州の文化にもある。吉田カバンが追求するのは、流行ではなく新しさです」(同社)と話していた。さらに数年前には、ビームスとの共同開発ブランド「B印YOSHIDA」からも博多織を用いた商品が販売された。

 大切なのは“現代風にアレンジ”で、それはコーヒーも変わらない。前述した「渋沢栄一仏蘭西珈琲物語」「徳川将軍珈琲」「プリンス徳川カフェ」も、当時の味を現代風に再現したからこそ、舌の肥えた現代人に支持された。目指すのはレトロモダンだ。

歴史探訪の活動で、専門家のお墨付きを得る

 鈴木会長は「商品のブランド化にはストーリー性が大切です」と話す。前述したように、商品に込められた物語をコーヒーの“隠し味”にして味を高める。それがお客さんに支持されればブランドになっていく、という意味だろう。

 その歴史探訪への興味は尽きることがない。一端を紹介したい。

 江戸時代に鷹見泉石(たかみせんせき:1785~1858)という人がいた。蘭学者であり、下総国・古河藩の家老を務めた。一般の知名度は低いが、渡辺崋山が描いた「鷹見泉石像」(国宝)の絵画で知られる。「日本人の中にコーヒーを飲む習慣が生まれたのはいつか、を調べるうちに鷹見泉石が残した80冊に及ぶ日記に興味を持った」(鈴木氏)という。

 当時の文献に徹底してあたり、コーヒーの味も推察する。その結果を専門誌「珈琲と文化」にも寄稿する。同誌は大学教授やコーヒー店店主、研究家などが多く執筆する。読者の多くは業界関係者なので、寄稿内容はスクリーニング(審査やふるい分け)されていく。

 商品化にあたって時代考証をしてもらうのもスクリーニングだ。これらで評価されれば“専門家のお墨付き”として、商品や活動の「深み」が増す。次に行うのが「広がり」だ。

 先ほど「商品化では現代風にアレンジ」と記したが、イベントなど関係者で試飲する場合は別だ。当時の味を再現して提供することも多い。コロナ以前はよく行ってきた活動だ。

映画の興行プロデューサーで培った「仕掛け」

 サザコーヒー本店がある茨城県ひたちなか市の勝田地区(合併前は勝田市)は、日立製作所(創業地・同県日立市)の関連企業や施設も多く、転勤者も目立つ。こうした“よそ者”を受け入れてきた土地には、自由な気風も根づきやすい。

 ひたちなか商工会議所会頭時代の鈴木氏は、歴史の長い「勝田全国マラソン」を“日本四大マラソンのひとつ”と位置づけた。また、兵庫県明石市(タコの捕獲量日本一)とひたちなか市(タコの加工量日本一)が交流して、タコ料理を競い合う「世界タコ焼きグランプリ」も開催した。いずれも地域の「ありもの探し」だが、注目したいのはその発想だ。

 実は同氏は、20代後半で家業の映画館(勝田宝塚劇場=1984年閉館)の一角に喫茶店を開業したが、以前は東京楽天地(東京都墨田区)で映画の興行プロデューサーをしていた。

「映画の興行は、いかにお客さんに興味を持ってもらい来館してもらうかがカギです。当時は公序良俗に反するもの以外は何でもやるような世界。ここで仕掛けを学んだのです」

 前回記事で「遊びをせむとや生まれけむ」(=遊びをしようとして生まれてきたのだろうか。出典『梁塵秘抄』)という言葉を紹介したが、この先達が鈴木会長なのだろう。

数億円の借金を背負い、30年かけて完済

 ここまで何もかも順調だったわけではない。時代性もあるが、時には後先考えずに取り組んだ活動も目立つ。

 1989年に本店を新築した際、鈴木氏は数億円の借金を背負った。随所で設備や什器にこだわり、当初の想定以上に費用がふくれあがった結果だ。「よく金融機関が貸してくれたと思いますが、昨年30年かけてようやく完済。でも借金が事業活動のエネルギーとなりました」(本人)

 コロンビアの中古農園を買い、自社経営に乗り出したのもコーヒー屋としてのロマンからだった。これまでにサビ病などで3回全滅。良質な豆が栽培できるまで歳月を要した。

 経営者の思いを受けて、なんとか軌道に乗せるためには、現場従業員のマンパワーも見逃せない。

 取材を終えて数日後、お礼のメールを入れたら、次の内容が返ってきた。

「茨城県も明日(筆者注:県の発表は8月17日)から緊急事態宣言が発表されます。これからサザコーヒーの知恵の出しどころです」

 多くの飲食店が、コロナ禍における政府や自治体の対応に振り回される今日、サザコーヒーの積極的な取り組みと成果は興味深い。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。 近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

JRA 開始早々「91%」が散ったWIN5! “確勝”といわれた重賞級の期待馬はなぜ敗れたのか、横山武史が危惧していた「弱点」とは

「まさか単勝1.2倍の馬が飛ぶなんて……」

 29日、札幌競馬場で行われた苫小牧特別(2勝クラス)は、2番人気のショウリノカンパイが直線の競り合いを制し勝利。

 一方、同じ3歳馬で単勝1.2倍と圧倒的なファンからの支持に応えられなかったのは、横山武史騎手が騎乗のエマージングロール(牡3歳、栗東・橋口慎介厩舎)だ。

 同馬は昨夏、芝でデビューして13番人気で10着と惨敗したが、ダート転向後に素質が開花。初戦こそ2着と敗れたものの、横山武騎手に乗り替わって2連勝。前走の函館ダート1700mを10馬身差で逃げ切っただけでなく、走破時計1分44秒9は、同舞台で行われたエルムS(G3)4着馬にも匹敵する。2勝クラスは通過点と考えるのは自然だろう。

 エマージングロールが出走した札幌10Rは、この日のWIN5対象レース第一関門。戦前から確勝ムード一色となり、実質“WIN4” という見立てのファンも多かっただろう。

 しかし、最終コーナーで先頭に立ったものの、そこからズルズルと後退し、8着と惨敗してしまった。

 14頭立てで行われたダート1700m戦。1枠1番のエマージングロールをゲートは五分に出るも、二の脚が今ひとつ。横山武騎手が手綱を懸命に動かし何とか出足がつくと最内枠を生かし、1コーナーを回ってハナに立つ。

 ところが、ここで思わぬハプニングが2つも発生する。

 1つはエマージングロール自身が、掛かってしまったこと。もう1つは、共に先行争いをしていたグランデラムジーに終始、競り掛けられたことだ。

 2頭が突っ張り3番手以下を大きく引き離した結果、最終的にエマージングロールが根負けしたような形。グランデラムジーがハナ争いを制し、エマージングロールは2番手に控えざるを得なかった。

 そして、前半3ハロン通過推定35秒7のハイペースは共倒れを生んだ。4コーナーで後方待機の馬が一気に進出すると、もはや抵抗するだけの余力は残っていなかった。


 単勝1.2倍の断然人気が敗れたことでWIN5は1Rから発売票数の約91%が外れるという大波乱の結果に……。WIN5は、対象5レースすべての1着馬を的中させる券種。点数を増やさないためには、どこかで絞る必要があるため、このレースをエマージングロール1頭に絞って購入したファンが大多数だったということだ。

 この敗戦に同馬の「“弱点”が影響したのでは?」と記者は話す。

「横山武騎手は、以前エマージングロールについて、『砂を被った時に嫌がり苦しさを見せる』と発言していました。

内枠ですから包まれて砂を被るのを避けて出していったと考えられますが、枠順に恵まれませんでした。外枠なら周りの出方を見ながらレースが可能だったかもしれません。

とはいえ、まだキャリアの少ない3歳馬でしたし、過剰人気だったということでしょう」(競馬記者)

 陣営が戦前に「まだ底を見せていないので、昇級でも楽しみです」と期待を膨らませていたが、残念な結果。次走、エマージングロールの巻き返しには“自分との戦い”が最重要課題となりそうだ。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

スクリューフレーション深刻…低所得者層の実質購買力低下で家計苦しく、富裕層と格差拡大

実感なき低インフレ

 近年の日本経済は、中産階級の貧困化(Screwing)とインフレが重なったスクリューフレーション(Screwflation)の脅威に晒されている。実質GDPによれば、日本経済の規模は過去27年間で90兆円程度拡大しており、企業収益も最高益を記録している。しかし一方で、実質雇用者報酬の水準を見ると45兆円程度しか増加しておらず、食品・エネルギー価格の高騰が中間層の所得を蝕んでいる。

 世界経済の一体化とグローバル化、技術革新、非正規雇用の普及という3つの大きなトレンドがスクリューフレーションの原因とされており、失われた20 年を経て中間層が貧困化した日本でも、特にコロナショック以降にスクリューフレーションが深刻化しつつあると考えられる。

 そこで本稿では、所得階層別の消費者物価(Consumer Price Index、以下CPI)や費目別CPIの動向、所得階層別の消費構造から日本のスクリューフレーションの状況について分析してみたい。

原因は消費の4割以上を占める生活必需品の価格上昇

 まず、日本の物価動向を見てみよう。前年比+0.20%となった2021年6月のCPIを10 大費目別に寄与度分解すると、押し下げ要因となっているのは、携帯電話料金と薬価引き下げが影響した「通信」と「保健医療」の2項目となっている。

 一方、火災・地震保険料の値上げ等により「住居」の価格が大きく上昇し、CPI全体の押し上げ要因となっているのが特徴である。しかし、灯油などの「光熱・水道」、ガソリンなどの「交通」といった生活必需品の価格上昇は、消費者物価全体の低迷の中に埋没しがちであるが、日銀「生活意識に対するアンケート調査」では、現在の物価に対する実感が大幅に上方シフトすることに結びついていることがわかる。

 そこで、CPIを生活必需品(食料、持家の帰属家賃を除く家賃、光熱水道、被服履物、交通、保健医療)と贅沢品(生活必需品以外)に分類し、その動向を比較してみると、2014 年度以降、贅沢品の価格が横ばいで推移する一方で、生活必需品の価格は明らかに上昇基調にあることがわかる。

 このように、日本でも生活必需品の価格が上昇してきた背景としては、(1)新興国での人口増加や所得水準の向上などに伴う需要増加等により輸入品の価格が上昇、(2)先進国の量的緩和や新興国の外貨準備を起点とした投機マネーが商品市場等に流入、(3)異常気象や新興国の都市化による農地減少などにより農作物の収穫量が減少してきたこと等がある。

 ここで重要なのは、生活必需品と贅沢品での物価の二極化が、生活格差の拡大をもたらすことである。生活必需品といえば、低所得であるほど消費支出に占める比重が高く、高所得であるほど比重が低くなる傾向があるためだ。事実、総務省「家計調査」によれば、消費支出に占める生活必需品の割合は、年収 1500 万円以上の世帯が 46%程度なのに対して、年収 200 万円未満の世帯では 58%程度である。

 従って、全体の物価が下がる中で生活必需品の価格が上昇すると、特に低所得者層を中心に購入価格上昇を通じて負担感が高まり、購買力を抑えることになる。そして、低所得者層の実質購買力が一段と低下し、富裕層との間の実質所得格差は一段と拡大する。

より実感に近いのは年収階層別の消費者物価

 以上より、消費者物価の実感は、消費全体で測る場合と、所得階層別の消費行動で分けて測る場合で結果も変わってくる可能性が高い。

 総務省で作成している消費者物価指数は、消費者全体の消費構造に着目し、品目毎の価格動向を統合することによって計測される。つまり、家計調査によって得られた基準年における月平均の世帯当たり品目別消費支出金額のウェイトを用いて作成することによって、一国全体の物価動向を判断している。

 しかし、実際に消費者が実感する物価は、消費者それぞれが購入する財やサービスの構成比によって異なる。従って、少なくとも所得階層別における消費の構成比の違いに着目し、それぞれの消費者物価を見れば、より人々の実感に近い消費者物価指数になる。特に、同じ所得階層の中での消費構造に大差がないと仮定すれば、所得階層別の消費者物価は、所得階層別の消費構造から計測されるウェイトに依存する。つまり、価格が上昇している財やサービスを多く購入している階層の消費者であれば、全体の消費者物価が下落していてもその人にとっての消費者物価は上昇しているかもしれない。

 このように、消費構造の違いをもとに所得階層別の消費者物価を見ることは意味があるといえる。

 そこで、実際に所得階層別の消費構造に着目したCPIを確認してみた。下のグラフは、高所得者層の消費者物価として年収階層上位 20%世帯のCPIと、低所得者層の消費者物価として年収階層下位 20%世帯のCPIを時系列で比較したものである。現局面のCPIを両極端な2つの階層で比較すると、低所得者層のCPIは2000年代後半以降高所得者CPIより高水準にあり、特に贅沢品の値段が下がった2010年代前半に乖離が最も拡大していることが分かる。

 以上より、生活必需品の価格が相対的に上昇局面にある場合は、消費者全体のCPIの動きのみで物価を判断すると、低所得者層の消費者が感じるインフレ率を過小評価してしまうことになるといえよう。この結果は、コロナショック以降の我が国でもスクリューフレーションが深刻化しつつあることを示している。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

●永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。

アフガン、タリバンからISに脅威移行…日本人が知らない「中東・イスラム最新情勢と展望」

 アフガニスタン情勢が日に日に悪化している。首都カブールの国際空港周辺で8月26日、過激派組織「イスラム国(IS)」の地域組織の自爆テロで米兵を含む多数の人々が犠牲となった。「断固報復する」と宣言した米国側は無人機でISのテロ計画者を殺害するなどの反撃に出ている。

 米国をはじめとする国際社会が支援するガニ政権の崩壊直後の世界の注目はタリバンに集まっていたが、今回のテロを契機に世界の警戒はタリバンからISに変わった。

  アフガニスタンにおけるISの地方組織の正式名は「イスラム国ホラサン州(ISIS-K)」である。ホラサンとはイラン東部・中央アジア・アフガニスタン・パキスタンにまたがる地域の旧名称のことである。ISIS-Kの拠点はパキスタンとの麻薬密輸や密入国ルートに近い東部ナンガルハル州にある。2015年1月に設立されて以来、アフガニスタン各地でテロを繰り返してきた。約3000人のジハード(聖戦)戦士が活動中との情報がある。

 ISIS-Kはタリバンと同じスンニ派武装組織だが、「不倶戴天の仇敵」の間柄である。タリバンが米軍と平和協定を締結したことに批判的であり、カブールを占領した際にも「米国と取引してジハード武装勢力を裏切った」と非難していた。ISIS-Kは「タリバンは穏健すぎる、過激さが足りない」として不満を持つジハード主義者の格好の受け皿になっているようだ。

 隣国パキスタンでは中国人に対するテロが相次いでいる。「一帯一路」構想に基づき巨額投資を行っていることでパキスタンでの存在感は高まる一方の中国は、政府にダメージを与えるための格好の標的となっているからである。

 ISIS-Kは「反米」を掲げ、今のところ中国を敵視していないが、アフガニスタンにおける中国のプレゼンスが高まれば、隣国パキスタンのように中国人が主なターゲットになるのは時間の問題である。タリバンはアルカイダをかくまったせいで権力を奪われた苦い経験から国内政治に集中するといわれているが、ISIS-Kは国際的なテロネットワークの一部であり、攻撃対象はアフガニスタンにとどまらない可能性が高い。

ウイグル族の失踪事件が頻発

 ISIS-Kはタリバンと異なり、中国におけるウイグル族の弾圧についても見逃さないだろう。中国新疆ウイグル自治区の独立を目指す組織である東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の多くの戦士たちは、シリアや中東地域などに潜伏しているといわれている。

 今年に入り、中東地域でウイグル族の人々が失踪する事件が頻発している。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)当局が、中国政府の要請に応じてウイグル族の人々を強制送還しているからである(2021年6月10日付CNN)。UAEにウイグル人を拘束する中国の拘置所が存在することも明らかになっている(8月25日付AP)。

 チャイナマネーに目がくらみ、スンニ派イスラム教徒を保護しないアラブ諸国も、ISが属する国際テロ組織の攻撃対象になるリスクが生じている。なにより心配なのは、アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンの支配が復活したことで、「米国は弱い」という危険なシグナルが世界に発信されてしまったことである。

 世界中のジハード主義者たちが勢いづき、戦闘集団への新兵加入を活発化させている(8月30日付英エコノミスト)。スンニ派と対立関係にあるイエメンのシーア派反政府武装組織フーシは29日、暫定政権側のアナド空軍基地にミサイルと無人機による攻撃を行い、兵士ら30人を死亡させた。6年目に入ったイエメン内戦では、暫定政権を支えるサウジアラビアが有志連合を組み、イランが支援するフーシと泥沼の戦闘を続けてきたが、サウジアラビア主導の連合軍が拠点を置くアナド基地が攻撃されたことは、さらなる痛手となる。

米国とサウジ、関係悪化の可能性

 バイデン米政権は、トランプ前政権と異なり今年2月に停戦を要求するなどサウジアラビアとの距離を取り始めている。2001年の米同時多発テロから20年となるのを前に、米司法省は機密指定されている同時テロ関連の文書の開示についての作業を進めている。「サウジアラビア政府が関与した事実を明らかにせよ」と訴える遺族が訴訟を起こしており、バイデン政権が遺族に配慮して文書を開示すれば、米国とサウジアラビアとの関係はさらに悪化する可能性がある。

 米軍は今年6月から中東に配備しているミサイル防衛システムなどの大幅な削減を進めているが、撤収される兵器のほとんどがサウジアラビアに配備されていたものである。シェール革命で世界第1位の原油生産国となり、「脱炭素」へと舵を切った米国にとって、中東の戦略的な重要性が格段に下がったことがその背景にある。

 今年末に米軍撤収が予定されるイラクでも大きな混乱が起きることが懸念されている。イラクの首都バグダットで28日、中東の主要国が集まる首脳会合が開かれた。イエメン内戦などをめぐって敵対するイランやサウジアラビア、UAEからも外相や副大統領が出席し、「対テロ戦争」から手を引く米国が中東からも撤退を進めるなかで地域の緊張緩和の動きが活発化しているが、手遅れの感は否めない。

 ISは16日、イラク北部のクルド人自治区の油田に対するテロ攻撃を行ったように、
イスラエルとの関係を急速に強化しているUAEや、ムハンマド皇太子が社会の近代化を推進しているサウジアラビアなどで既存の秩序に対する武力による挑戦が頻発するのではないだろうか。そうなれば、原油の中東依存度が高い日本にとって一大事である。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

パチンコ「一撃22連チャン」の超ラッシュに大興奮!【レトロパチンコ『CRシャカRUSH 』編】

 過去には激しい連チャン性とエラーによる攻略法で大人気となった権利物の『ソルジャー』(1993年)や1/53という破格の大当り確率である意味『甘デジ』の元祖とも言えるデジパチ『ファンキードクター』(1995年)など、個性的なパチンコ台を多く生み出してきた老舗のマルホン工業。

 最近では6月に『P天龍∞2V』をリリースしたばかりですが「マルホンの代表機種って何だろう?」と思った時、最初に浮かぶのが『シャカラッシュ』シリーズだと思うのですが…他に何かありますかね?

 古いところであれば大ヒットしたハネモノ『ファインプレー』を思い浮かべる方も多いのかもしれません。こちらも1994年に登場して以降は、何年かおきに後継機種が登場していますからね。

 しかし2000年代以降では、やはり圧倒的にシャカラッシュではないかと思うのです。何せ継続して後継機種がリリースされ続けているのは、このシャカラッシュ以外にないのですから。

 その記念すべき最初の台が『CRシャカRUSH R』(2009年)。当時のマックスタイプで大当り後には必ず73回転のSTに突入。その大当り確率は約1/398ですが、私がよく打っていたのは約1/159のライト版『CRシャカRUSH G』の方。

 レトロ台が大好きな私はドットタイプの機種も大好物、そのうえ演出が非常にコミカルで楽しいものばかり、馬鹿馬鹿しくて笑える台でした。とは言え、その連チャン性も中々のもの。ライト版とは思えない暴れっぷりを見せました。

 その後も『CRシャカRUSH 7』、『CR大シャカRUSH』、『CR大シャカRUSH 7』、『CR超シャカRUSH』などの後継機種をリリース。他にもハネモノの『CRAシャカRAP V』やスピンオフとなる『CRシャカンナー』、権利物の『CRシャカリーナVV』などをリリースしています。

 まさかお釈迦さまも己がパチンコになるなんて思ってもみなかったでしょうけど、このシャカラッシュというネーミングが実に良いと思うんですよ。個人的には。

 今年の1月には最新機種となる『P真シャカRUSH』も登場していますが、それだけマルホンにとっても思い入れの強い機種なのだと思います。

 今回の主役『CRシャカRUSH』ですが、ただ単に会社から近いというだけで回らないホールで勝負して2万発GETした思い出もあります。今回は約10年ぶりくらいでしょうか、お相手がお釈迦さまだけに煩悩を断ち切るべくひと勝負してきました。

 すると《シャカラーーーッシュ♪》と一撃22連チャン! 良い写真が撮れました。無我の境地で挑んだのが良かったのでしょうか。しかし、実際のホールで打つとそうそう上手くはいかないものです。摩訶不思議。

 シャカ⇒大シャカ⇒超シャカ⇒真シャカと来て次が何シャカになるのか気になって仕方ないのですが今日はこの辺で。

(文=電撃しらっち)
<著者プロフィール>
業界歴30年。遊技機販売業など様々な業種を経験し、現在はライターとしての活動にも力を入れている。レトロパチンコ・パチスロの実戦記事や、業界関係者への取材記事も担当。羽根モノや一発台を特集するなど、オールドファンにも響く内容も積極的に作成している。

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硫酸事件:花森容疑者、妄想性パーソナリティ障害・統合失調症の可能性…些細な言動に恨み抱く

 東京メトロ白金高輪駅で22歳の男性に硫酸をかけたとして、傷害容疑で逮捕された25歳の花森弘卓容疑者は、「大学時代、(被害者の)男性の態度が悪かった」という趣旨の供述をしているという。一方、被害者の男性も、「数人で一緒にいる時に(花森容疑者に)ため口を使ったところ、『年齢が上なのにため口はおかしい』と怒られた」と話しているようだ。

 花森容疑者と被害者の男性は、琉球大学の映画関連サークルで先輩・後輩の関係だったらしく、花森容疑者が後輩に対等の話し方をされたことで恨みを募らせ、男性を狙った可能性も考えられる。ただ、「それくらいのことで、ここまで恨みを募らせ、執拗につけ狙って、硫酸をかけるだろうか」「ため口に腹を立てたのはわかるが、その恨みを長年持ち続けて復讐するのは、過剰反応なのではないか」という感想を抱く方が大多数に違いない。

 だが、世の中には、客観的には悪意のない些細な言葉や態度のように見えても、その中に自分をけなしたり、馬鹿にしたりする意味が込められていると感じる人が一定の割合で存在する。こういう人は、自分の性格や評判に対して他人にはわからないような微妙な仕方で攻撃されていると思い込んで、怒ることもある。しかも、自分が軽蔑されたり、侮辱されたりして傷つけられたと1度でも感じると、決して許さず、その恨みをずっと抱き続ける。

 このように自分が受けたと感じる侮辱に過敏で、攻撃的になりやすいうえ、その恨みが長期間にわたって持続する人は、アメリカ精神医学会が作成した診断基準DSM-5に従えば、「妄想性パーソナリティ障害(Paranoid Personality Disorder)」と診断される。花森容疑者も、この診断基準に該当するように見える。

 花森容疑者は、琉球大学在学中は周囲と距離を置いて行動していたし、静岡大学に編入後も、実家で1人暮らしで、いつも1人で行動していたという。両親とも他界した影響もあるとは思うが、孤独を深めていた印象を受ける。こうした傾向は、「妄想性パーソナリティ障害」の人にしばしば認められる。

 なぜかといえば、猜疑心と警戒心が強く、友人や仲間の誠実さを不当に疑うため、なかなか、うちとけられないからだ。おまけに、十分な根拠もないのに、他人が自分を利用するのではないか、危害を加えるのではないか、あるいはだますのではないかという疑惑にさいなまれていることも少なくない。

「妄想性パーソナリティ障害」の人は、他人が悪意を持って自分を迫害してくるように感じる傾向が強いため、危険が差し迫っているという不合理な恐怖を抱きやすい。そのうえ、屈辱や侮辱を受けたと本人が思い込んでいる過去の体験を繰り返し思い返しては憤慨するので、年月を経ても燃えたぎるような怒りと恨みがまったく衰えない。むしろ増幅される。その結果、他人に対する激しい憎悪と復讐願望が醸成されるが、「やられたのだから、やり返してもいい」と自らの復讐を正当化しがちである。

 ちなみに、2001年に大阪教育大池田小事件を起こした宅間守元死刑囚(2004年死刑執行)も、精神鑑定で「妄想性パーソナリティ障害」と診断されている。検察側の冒頭陳述で、「自らは被害者的に物事を考え、都合の悪いことは他人のせいにし、かつ、過去の物事に対して後悔を繰り返しては憤まんを募らせ、これを他人に転嫁する傾向を有していた」と指摘されたのは、「妄想性パーソナリティ障害」の人が他責的になりやすいからだろう。

 花森容疑者の復讐の矛先は凝縮されて、かつての大学の後輩だけに向けられた。それに対して、宅間元死刑囚の復讐の矛先は拡散されて、「エリートの卵」とみなした大阪教育大池田小の子どもたちに向けられた。一見すると正反対のように見えるかもしれないが、いずれの場合も、その根底には、過去の体験を繰り返し思い返して怒りと恨みを募らせる傾向が潜んでいる。

妄想型の統合失調症発病の可能性

 なお、精神科医としての長年の臨床経験から申し上げると、花森容疑者が妄想型の統合失調症を発病しており、被害妄想を抱いていた可能性も排除できない。10代後半から20代前半にかけては統合失調症の好発期だし、無口で大人しいのも、病前性格として多いからだ。もちろん、無口で大人しい人がみな統合失調症になるわけではなく、統合失調症患者の家族や友人などに発病前の性格を尋ねたところ、この性格傾向の人が多かったというだけの話である。

 また、統合失調症は、生まれつきの素因と、生育歴やストレスなどの環境因があいまって発病すると考えられているが、10代から20代にかけての時期に両親を相次いで亡くすという喪失体験はかなりのストレス因になるに違いない。その点でも、統合失調症の可能性も視野に入れて精神鑑定を実施すべきだろう。

 花森容疑者は、硫酸の入手、新幹線での上京、被害者の尾行など、かなり念入りに準備して犯行に及んでいるし、計画性も十分あるように見える。だから、責任能力はあるというのが私の見解だが、動機解明のためには精神鑑定が必要だと思う。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

片田珠美『無差別殺人の精神分析』新潮選書 2009年

●片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

パチンコ『牙狼』中古価格“200万円超え”圧倒的な人気ぶりを証明! そんな絶対王者に激アツ情報も!?

 王者の存在感はいまだに健在。サンセイ R&Dからリリースされた最新マシン『P牙狼 月虹ノ旅人』が全国のホールで猛威を奮っている。

 スぺックは大当り確率1/319.68の1種2種混合機で、初代と同じく大当り時の振り分けで継続抽選が行われるラウンドバトルを採用。ヘソ大当りは全て3Rとなり、その内50%が連チャンモード「魔戒CHANCE」へと突入する仕様だ。

 魔戒CHANCE中は全て10R1500発の大当りで、それが81%でループする強力な右打ち性能を実現している。この間は基本的に3カウントで大当りが決着するため、驚異的なスピードで出玉を伸ばすことができるのだ。

 一時期は低迷気味だったが、初代匹敵の爆裂スペックで見事復活を遂げた『牙狼 月虹ノ旅人』。導入されて2か月以上経った現在も連日高稼働を継続中で、人気のバロメーターでもある中古価格はトップの「200万円台」(8月30日現在)。出玉性能、稼働率、中古価格すべてが最上位クラスと、現在のパチンコ市場における“3冠王”といってもいいだろう。今後の稼働にも十分期待できそうである。

 そんな『牙狼』の大ヒットを記念して、同社は8月27日より豪華プレゼントキャンペーンを実施中だ。

『掴み取れ豪華プレゼント 感謝の絆リレー』

 本キャンペーンは、パチンコ系人気YouTuberとタッグを組んだ連動企画。同社のスイッチオンマン、1GAMEの「てつ」、ARROWS-SCREENの「シーサ。」、でちゃう!編集部の髭原人などが出演する「マルハンチャンネル」と「サンセイチャンネル」で公開中の同名キャンペーン動画での実践結果によって当選者数が変動するという内容だ。この結果で当選者数は計30名となり、その中から「Apple Watch」や「AirPods」など豪華プレゼントが当るという。

 なお、期間は9月6日まで。当選発表はプレゼントの発送をもって代えさせていただくとのことだ。

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JRA「史上初」横山親子が “3連複”の快挙!「父兄参観」父・典弘は新潟で存在感、達成の裏に“空気を呼んだ” 武豊の存在

 28日はJRA史上初の快挙が達成された、記念すべき1日となった。

 この日、土曜札幌で行われた11RオホーツクS(3勝クラス)で、アンティシペイト(牡4、美浦・国枝栄厩舎)が1番人気の支持に応えて勝利。その結果、1着横山和生、2着横山武史、3着横山典弘という親子ジョッキーによる“3連複” の快挙となった。

 これまで達成されていた父子騎手のワンツー決着は4例ほど。過去に横山典、鮫島克也、木幡初広、岩田康誠の例があったが、父子で3着以内を独占したケースはJRA史上でも初だった。

 勿論、これにはアンティシペイトを、好騎乗で勝利へ導いた和生騎手の功績が大きい。

「脚を溜めてもシュッと切れる感じがないので、4コーナーでは外を回ってでも勢いをつけて行きました」

 レース後のコメントからも、騎乗馬の特徴を把握した完璧なレース運びが際立つ内容だった。

 15頭立ての芝2000m戦。横山和騎手とアンティシペイトは、中団やや前の7番手からのポジションで追走する。中盤でラップが緩んだ際、後続馬がワンテンポ早めに上がるシーンもあったが泰然自若。最終コーナー手前から行き脚をつけつつ、大外から豪快に末脚を炸裂させた。

 本人も「今までのパターンとは違った形」と振り返ったように、これまでは逃げ先行で好結果を出していたアンティシペイトとしては、新しい勝ちパターンだ。

 レースでは初騎乗だったものの、「ずっと調教に乗せてもらってコンタクトを取っていました」という横山和生騎手。それまでにパートナーと“対話” をしてきたことも、新味を引き出した自信に繋がったはず。

 息子二人のワンツーを最前席で見届けた横山典騎手。本人も触れているように、騎手という同じ職業で成長を確認できることは、父親冥利に尽きるだろう。

 騎手を引退して調教師転身も噂される関東の大ベテランは、“父兄参観”がモチベーションアップとなったのか、日曜新潟で存在感を見せる。騎乗したのはたった1鞍ながら、10R朱鷺S(L)を1番人気カイザーミノルでしっかりと勝利した。

「数か月前から典に予約してたんだ」

 同馬を管理する北出成人調教師のコメントからも、横山典騎手への絶対的な信頼が伝わってくる。師の期待に一発回答したように、その手腕はまだまだ健在である。

 そして、“記録男” として有名な武豊騎手もまた、横山親子の快挙と無関係ではない。

 勝ち馬アンティシペイトは、昨年の菊花賞(G1)でコンビを予定していたが、除外により実現しなかった経緯がある。

 史上初の快挙が達成されたレースで、自身は5番人気のシンボに騎乗して4着。かつてのパートナーが、結果的に空気を読んだ格好となったのは、さすがというべきか。

 横山典騎手とは、プライベートでも昵懇の仲で有名な武豊騎手だけに、一役買ったことを喜んでいるかもしれない?

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

パチスロ「謎の新台」強烈な「ボーナス連打」に驚愕!?

 パチンコ・パチスロにおける「新台」はユーザーにとって魅力であり、好奇心が掻き立てられる存在だ。

 多くの場合はリリース前から一定の情報が公式から発表される。例えば仕様や確率、ゲームフローなど、ある程度の情報からどのような挙動となるのか予想することもパチンコ・パチスロの醍醐味の一つであろう。

 しかし、8月27日現在では情報が皆無に等しい新台が存在する。しかも23日より1店舗10台のみのロケテストとして既にホールで稼働しているというのだ。

 それはユニバーサルエンターテインメントのパチスロ『泡盛』である。

 本機は沖スロと思しき外観となっており、両サイドのシーサーランプが点灯すればボーナス当選というシンプルなゲーム性を想像させる作りだ。

 特徴的であるのは4thリールを採用している点。一部では「ベース調整のために4thリールにしたのではないか」という声や「1stリールにベル図柄が見当たらないからフェイクリールだ」という意見もあるが、真実は定かではない。

 そんな謎のニューマシン『泡盛』だが、本機を既に実戦した動画が存在する。それは「桜鷹虎」の『【新台泡盛】情報が無い台スロット実戦』だ。

 動画では貴重な情報が多く収録されており、例えば初当りは疑似遊技でボーナスが揃うが、連チャン時には自力でボーナス図柄を目押ししているように見える。

 主にチェリー成立がチャンスとなるようで、強チェリーを思わせる「泡盛図柄揃い」の形から初当たりを獲得する場面が目立った。

 さらにボーナスは払い出しで終了するリアルボーナスのようで、ボーナス中にナビが発生した形跡がないことから「リノタイプではないか」という声もコメント欄では多く見られる。

「リノタイプ」とはリアルボーナスの連打を実現したシステムを採用したマシン。多くの場合、小役優先制御によりゼロボーナスを成立状態にしておくことで特定図柄入賞までボーナス図柄を入賞できない状態を作っている。

 リアルボーナスの連打が魅力の「リノタイプ」だが、本機の強烈なボーナス連打は同タイプを彷彿とさせるものがあり、動画内ではその威力をまざまざと見せつけていた。

 気になる方は是非動画をチェックし、スペックを予想してみるのも一興かもしれない。

(文=大松)

<著者プロフィール>
 4号機『大花火』でホールデビューし、『パチスロ北斗の拳』でドハマリ。6号機は『パチスロ モンスターハンター:ワールド™』がお気に入り。G&Eビジネススクール卒業後、プログラマーや事務職を経験。現在はライティング業務に従事する傍ら「パチスロガチ勢」として活動中。パチMAXでは主にハイエナ実戦記事や動画レビュー記事を担当。常に攻略情報に注目しており、「6号機でも勝てる」を心情に有益な情報を紹介中。

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高校野球改革で甲子園は開閉式ドームにすべき?高野連が木製バットに反対した“本当の理由”

 智弁和歌山高校の優勝で幕を閉じた、夏の全国高校野球。選手が新型コロナに感染した2校が出場を辞退したことに加え、長雨の影響で大会史上初の7度の順延となるなど、異例づくめの大会となった。

「夏の暑さは年々厳しくなっている。うちの選手も相手もヘロヘロでしんどかった。可能なら早朝か夕方に開催してもらえるとありがたい」――2年前、ある高校の監督は、35度という気温のもとで試合に負けた選手たちを気遣いながら、こう語った。試合を観戦するこちらも、暑すぎて“銀傘”の下に避難したほどだった。

 昔も暑かったが、今は湿度が比べ物にならず、「さわやかな暑さ」が「ジメジメした暑さ」に変わっている。地球温暖化により今後も夏の気温が上昇することを考えると、夏の甲子園は現状のままで大丈夫なのか、と危惧せずにはいられない。そこで、数名の識者に高校野球改革の具体案をうかがった。

閉会式ドーム&京セラドームとの併用

「一番いいのは、甲子園を開閉式ドームにすることでしょう。一定の温度を超えるか降雨となった際に屋根を閉める、というのがベストです」――スポーツ紙の記者はこう語る。これなら日程順延や熱中症の心配はないが、予算面がネックとなり、簡単には実現しないだろう。

「もう一つは京セラドームとの併用です。サッカーの全国大会のように、球場を併用して3回戦以降を甲子園、とするのも一つの手段でしょうね」(前出の記者)

 これも長雨の影響を受けずに済む方法であり、甲子園との併用が可能なら、1回戦から2回戦は現状の10日ほどが5日ほどで済む。

 今年は雨天順延の影響で応援団が何度も学校と甲子園を行ったり来たりしたが、そうした負担も軽減できる。重ねて、各校が負担する宿泊費なども半減できるなどメリットは多いはずだ。

「来年以降も猛暑や長雨が続くとなると、こういう論議は出てくるでしょうね」と前出の記者は語る。

 この改革案に立ちはだかるのが「甲子園という伝統」であろう。選手たちは甲子園の土を踏むために3年間がんばって練習してきている、という議論が起こるのは目に見えているが、延長15回引き分け再試合や球数制限、タイブレーク制度の導入など、ここ数年の高校野球は新たな改革をいくつも導入してきた。

 昨今の甲子園には、かつての松山商対三沢(昭和44年決勝再試合)や横浜対PL学園(平成10年準々決勝)などの名勝負が生まれる土壌はなくなっている。

予選の段階で過密日程の高校野球

「私の時代も甲子園は暑く、試合をするのはキツかったです」――昭和55年の甲子園優勝投手である愛甲猛氏(元横浜高校)は、こう語りながら独自の改革案を語ってくれた。

「選手の体調を考えるなら、余計な大会をなくしたほうがいいと思う。それでなくとも、強豪チームは招待試合が重なり、試合数も多いですしね」(愛甲氏)

 投手が少ないチームにとって、たとえば夏予選の1カ月前に行われる春の大会はけっこうな負担になるだろう。

「もう一つ、甲子園より夏予選の日程を長くするのも一案でしょう。神奈川大会は最高で8試合を勝ち抜かねばなりません。この日程を長くするのはアリだと思います」(同)

 夏予選の決勝から甲子園の初戦までは1週間ほどあるが、予選で何球も投げてきた投手にとっては、疲労が抜けないうちに大会が始まるケースもあるだろう。

 たとえば、今年の神奈川大会は18日間で1回戦から決勝まで行われた。3回戦以降は1日ずつ休養日が設けられているが、それでも投手が1人しかいない学校にとっては厳しい日程だ。この日程を長くすると、投手の負担も少なくなるはずだ。

「あとは、プロ野球同様にリクエスト制度を導入するべきじゃないかな。高校野球の審判は、人によっては……と思うケースがままあります」(同)

 この言葉を聞いて試合をつぶさに見ていると、いくつか気付かされることがあった。準々決勝で、ある選手がバッターボックスから足をはみ出してバントをしていた。通常のルールなら打者はアウトになるはずだが、審判からは何のお咎めもなかった。

「審判としては、試合をある程度の時間内に収めなければ、翌年から声がかからなくなると言われています」と、あるスポーツライターは語る。

高野連が木製バットに猛反対した理由とは

 また、球数制限を導入するなら、木製バットで統一するのも大きな改革だろう。金属バットでスタンドインするファールも木製バットならフライアウトになるし、加えてボールの反発係数を小さくすればヒット数は確実に減り、投手の負担軽減になる。

 2年前、智弁和歌山高校の中谷仁監督がプロ志望選手の対応力をプロのスカウトに見せるべく、国体で相手チームの星稜高校とともに木製バットで試合をする、と日本高等学校野球連盟に申請した際、高野連は猛烈な反対をしたという(『甲子園は通過点です~勝利至上主義と決別した男たち~』<新潮新書/氏原 英明>より)。

「その話はチラっと聞きました。おそらくはスポーツメーカーがからむ、大人の事情でしょうね。木製バットの製造に限界があるのはわかりますが、高校野球とは、大人の事情が跋扈する世界なんです。よくわからない規則がはびこりすぎていますし、プロが高校生を教えてはいけない、という一昔前の規定も、おかしいとしか言いようがありません」(前出のスポーツライター)

 球数制限よりも必要な高校野球改革は、「大人の事情を排すること」なのかもしれない。

(文=小川隆行/フリーライター)