不正隠蔽で日本の製造業の世界的信用を棄損させている三菱電機、経団連の副会長に居座り

「中西(宏明)さん(前経団連会長、6月27日に死去)の遺言のようなものだから、誰も正面切って『ノー』とは言わなかったけど、やはり無理なんじゃないの? 4年はもたないかもしれないよ」(経団連の副会長経験者)

 通常の任期(2期4年)を1年残して退任した中西氏(前日立製作所会長)に代わり、6月1日に第15代日本経済団体連合会(経団連)会長に就任した住友化学会長の十倉雅和氏に対する評価は日に日に厳しさを増している。

 三菱電機の柵山正樹会長が十倉氏を訪ねたのは7月5日の昼前だった。十倉氏はこの日、定例会見を予定していた。柵山会長は「当社長崎製作所で発覚した空調機器などの検査不正について『申し訳なかった』と陳謝した上で、9月末に調査結果が出るまでの間、経団連の定例会議の出席や宇宙開発利用推進委員会の委員長としての活動を控えたいと伝えた」(関係者)。

 十倉氏はこの日の記者会見で、「(柵山氏から)経団連副会長辞任に関する発言はなかったのか」と問われると、「我々としては見守りたい。経団連は裁判所ではないので」と答えた。三菱電機の自主的判断に任せる考えで、厳しい見方をするなら「思考停止をした」(関係者)。

 新型コロナウイルス感染拡大で日本経済は深刻な打撃を受けていたが、中西氏は闘病生活が長引き、経団連としてタイムリーな提言などを行うことができず、情報発信力は低下の一途をたどっていた。

 三菱電機の検査の不正は35年以上にわたっていたことが6月末に発覚した。鉄道車両向けの空調装置は米英など海外にも輸出されており、鉄道インフラの輸出にも影響が出始めている。今回発覚した不正検査は、架空データを自動で生成する専用プログラムが使用されるなど極めて悪質。日本の製造業の評判を著しく毀損することになりかねない案件だった。

 十倉会長は、いきなりリーダーシップを問われる場面に直面したことになる。にもかかわらず、「進退はご自身で判断を」との受け身のスタンスだった。「これでは何もしないに等しい」(別の経団連の副会長経験者)とまでいわれた。

 自浄作用が働いた前例はいくつもある。平岩外四・第7代会長(東京電力会長、当時)の任期中の1991年、損失補填など一連の証券不祥事の責任を問われ、野村證券会長だった田淵節也副会長を辞任させた。奥田碩・第10代会長(トヨタ自動車会長)時代の2002年には、東京電力の原子力発電所の点検記録改ざんの責任を取るかたちで東電会長だった荒木浩氏が、国後島のディーゼル発電施設の不正入札などで三井物産会長だった上島重二氏が、それぞれ経団連副会長のポストを返上している。

 三菱電機も1998年前後に発覚した総会屋への利益供与事件や巨額赤字の責任を問われた当時の会長、北岡隆氏が任期途中で経団連副会長の退任を余儀なくされた。豊田章一郎・第8代会長(トヨタ自動車会長)の時である。

 平岩氏、豊田氏、奥田氏といった“大物会長”の在任中には、それなりのけじめがつけられていたのである。ところが、昨今の経団連はメンバー企業の倫理を厳しく問う姿勢が緩い。十倉・経団連は求心力の回復を図る意味でも、受け身の判断はあり得なかった。

菅首相と十倉氏、頻繁に会談

 菅義偉首相は7月18日午後、首相公邸で十倉氏と会談した。十倉氏は終了後、記者団に「定期的に意見交換し、経済界や経団連のことも聞いていただきたいと申し上げていたが、今日がその1回目になった。非常に有意義なので継続して意見交換するようお願いし、快諾をいただいた」と述べた。

 菅首相は8月18日、東京・千代田区の経団連会館を訪れ、新型コロナウイルスの感染抑制について十倉氏と会談した。菅首相は「さまざまな業種もあり難しい点もあると思うが、テレワークの協力をお願いしたい」と述べ、出勤者数の7割削減を要請。十倉会長は「会員企業に周知徹底を働きかける」と応じた。経団連は会長名の要請文を会員企業に改めて送付する。

 財界の菅首相離れが取り沙汰され始めているなか、レームダックの感が強い2人がたびたび会うのは、それなりの理由がある。菅氏から見れば十倉氏なら組みやすい。「何を言っても言うことを聞く」と判断したからにほかならない。榊原定征・第13代経団連会長は“安倍(晋三前首相)さんのポチ”と揶揄された。十倉氏は“菅さんの忠犬”になり下がったのだろうか。

三菱電機の病理

 そもそも柵山氏の経団連副会長起用には強い違和感があった。三菱電機は2014~19年に過労やパワハラによる自殺などで社員6人が労災認定を受けた。ゴム製造子会社トーカンでの検査データ捏造の発覚(18年)、サイバー攻撃により新型ミサイルの性能など防衛関連情報が漏洩した可能性の浮上(19~20年)、欧州(EU)規制に適合しない車載用オーディオ部品の出荷(20年)など、トラブルが続出していた。ガバナンスの欠如が再三指摘される始末だった。

 柵山氏は14~18年に社長の座にあり、相次いだ労災問題についてはトップとして責任を負う立場にあった。だが、三菱電機は情報開示に消極的で、柵山氏自身が正面切って、この問題に取り組む姿勢を見せることもなかった。

 柵山氏の前任の社長、会長を歴任した山西健一郎氏が17~21年に経団連副会長を務めており、柵山氏は三菱電機枠を引き継いで副会長になった経緯がある。人選の過程で不祥事続きの三菱電機は厳しいチェックの対象になったはずだが、経団連の事務方が三菱電機の副会長の“世襲”を容認した図式が見えてくる。

 経団連の副会長のポストは企業なら取締役会のボードメンバーにあたる、重要なポストのはずだ。それなのに、三菱電機の副会長の“世襲”は深い議論がなされることもなく決まった。中西前会長の名代として権力をふるった久保田政一事務総長はその功績が認められ、中西氏の最後の人事で6月1日付で経団連副会長に昇格した。

 経団連の会長は、かつては政界に物申す立場から財界総理と呼ばれた。十倉氏は、どのような決意をして、経団連会長の椅子に座ったのであろうか。

(文=編集部)

プロ顔負け「重賞8連勝」の女性予想家にファンも驚愕! とても初心者とは思えないセンスに大きな注目、9連勝を懸けたレースで本命に指名したのはあの馬

 昨年のコントレイル、デアリングタクトに続く2年連続の無敗三冠馬誕生が期待された今年の春クラシック。

 白毛のアイドル・ソダシが桜花賞(G1)、エフフォーリアも皐月賞(G1)を制したことで、夢は膨らんだがいずれも単勝1倍台の圧倒的人気を背負ったオークス(G1)、日本ダービー(G1)で敗れ、快挙達成とはならなかった。

 そして、東京オリンピックの影響による開催変更もあった中、8月の開催を終えて夏競馬も終了。今週末からは舞台を中山、中京へと移し、本格的に秋競馬が始まろうとしている。

 振り返れば今年もはや8カ月が過ぎ、残すは4カ月。ここまでの馬券収支で黒字のファンはどれくらいいるだろうか。

 そんな中、残念ながら赤字収支のファンにとって頼りになる存在が、某フライドチキンのCMで有名な女優の高畑充希だ。

 高畑はJRAのプロモーションキャラクターを務める4名の俳優陣の1人。JRAのCMでは、競馬初心者やライトファン向けの演出で新規ファンの獲得に貢献している。

 そして、JRAが主催する「HOT HOLIDAYS!ONLINE」のコンテンツのひとつである「推し馬チャレンジ」が、ファンの間で大きな注目を集めている。

「推し馬チャレンジ」とは、レースの前に推し馬を1頭選び、選択した馬が対象レースで3着以内に入ると推し馬ガチャ券が配布され、当たりが出るとAmazonギフト券がプレゼントされるというもの。年間で全13回の機会があり、先週の新潟記念(G3)が9回目。残りは、10月24日の菊花賞(G1)から12月26日の有馬記念(G1)まで4回が対象となっている。

 この中で驚異的な好成績を残していたのが高畑。彼女はなんと桜花賞からはじまって札幌記念(G2)までの8回すべてで指名した馬が3着以内に入るという“神予想” を披露していたのだ。

 競馬ファンならこれがどれほどの偉業であるかはすぐに想像できるだろう。TVや新聞で予想を公開している競馬評論家や専門紙の記者やトラックマンでも、ここまでの好成績を残すことは至難の業。8戦全勝の成績は、まさにプロ顔負けといったところだ。

■高畑充希の指名馬、着順、人気、複勝
桜花賞(G1)ソダシ、1着、2番人気、140円
皐月賞(G1)ステラヴェローチェ、3着、6番人気、380円
オークス(G1)ユーバーレーベン、1着、3番人気、250円
日本ダービー(G1)エフフォーリア、2着、1番人気、120円
七夕賞(G3)トーラスジェミニ、1着、2番人気、280円
函館記念(G3)トーセンスーリヤ、1着、2番人気、180円
小倉記念(G3)スーパーフェザー、3着、8番人気、480円
札幌記念(G2)ソダシ、1着、2番人気、150円

 高畑の予想の凄さは大本命馬から穴馬まで手広くフォローしていることだ。人気馬ばかリ選択していれば、運が良ければハマる可能性もあるが、穴馬も含めてとなると、なかなかそうはいかない。

「3着以内」という条件は複勝馬券と同じであり、もしここまで全レースを複勝コロガシしていれば……、一体いくら儲かったのだろうか。新潟記念でも高畑の指名馬が、どの馬になるのかをいまかいまかと待ち構えていたファンも多かったに違いない。

 9連勝の懸かった注目のレースで、高畑が指名したのは5番人気ラインベックだったが、直線半ばで先頭に躍り出る勢いを見せるも、ゴール前で力尽きて5着。残念ながら9連勝達成とはならなかった。

 だが、敗れたとはいえ、ラインベックは外枠の差し馬が台頭したレースで、2番手につける積極的な競馬で見せ場十分の走り。後方から大外を伸びた12番人気の伏兵マイネルファンロンが大穴を開けた結果から、展開は向かなかったなりに力のあるところを見せている。

 連勝こそ止まってしまったが、センスの光った指名馬だったといえそうだ。

 次回の推し馬チャレンジは10月24日の菊花賞。高畑の快進撃がまた続くのか、それとも今回のハズレは神通力に陰りが見える予兆なのか。注目の次回である。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

脱炭素に「生態系保全」の視点を加えると、企業の価値はどう変わる!?

生態系保全に関するさまざまな課題と向き合い、課題解決のためのコミュニケーションを考える「DENTSU生態系LAB」。

今回は、世界規模で進む脱炭素の取り組みを、生態系保全の視点からどのように考えていくべきか、京都大学野生動物研究センターの森村成樹特定准教授と環境省の福島誠子氏にLABメンバーがインタビュー。お二人の話から、企業が生態系保全を考えることのメリットや、脱炭素対策にどうアプローチをしていけばよいかを考えます。

【DENTSU生態系LAB】
野生動物や森里海の研究者をはじめ、絶滅危惧種の保全団体、動物園・水族館などとタッグを組み、環境課題や生態系保全、SDGsを起点としたコミュニケーションを創造するプランニング&クリエイティブユニット。

生態系ラボVol.2 写真1

明確な目標を定められた「脱炭素」と、長期的視点が求められる「生態系保全」

―まずは、お二人が今関わっているお仕事や研究の内容について教えてください。

福島:現在は環境省近畿地方環境事務所で「地域循環共生圏」と呼ばれる考え方での地域づくりを推進しています。これは、今までの都市集中型の社会から、自立・分散型の社会に転換することを目指し、それぞれの地域において地域資源をうまく活用・循環させることで、地域の課題解決や経済循環につなげていこうという取り組みです。イメージしやすいように「ローカルSDGs」という言い方もしています。

森村:私はチンパンジーを対象に、西アフリカのギニアにあるボッソウ村やニンバ山の森に暮らす野生集団のフィールドワークと、動物園などの飼育下での心理学的なアプローチによる研究を行っています。生態系保全や気候変動対策を進めるにあたっては、自分たち人間にとっての暮らしやすさだけを考えるのではなく、すべての生き物が行動学的に自由でいられることが重要だと考えています。

―今の仕事や研究における生態系保全という視点から見て、世界的な「脱炭素」推進の流れが、何かしらの影響や変化を起こしていると感じることがあればお聞かせください。

森村:ギニアでは火がとても重要な道具になっていて、伝統的な農法である「焼き畑農業」が一般的です。しかし、規模が大きいためにニンバ山全体を燃やすような山火事の原因にもなっていて、チンパンジーたちが生活する森が失われる被害が長年起こっています。「伝統農法」というだけで続けていくには、その影響は甚大です。

生態系ラボVol.2 写真2
ボッソウ村の焼き畑農業の様子。写真の中にチンパンジーが写っています。探してみてください。

ギニアの農家が火を使わずに農業を続けられれば、今のような規模で森が失われることはありません。「脱炭素」の考えが世界的に広まることは、そういった手段の切り替えを進める後押しになっていると感じます。

福島:「地域循環共生圏」においても、脱炭素は大きな軸になっています。地方の農山漁村が都市の電力供給源として開発され、一方的に資源搾取されるような関係を転換していくことも地域循環共生圏の目指す方向性といえます。

また、人類の生存を支える地球環境を考えたとき、脱炭素も生態系保全も2030年までの取組が非常に重要になってくると言われています。いずれも持続可能な社会の必要条件であり、並行して取り組む必要があるものですが、菅首相の発言で明確な目標値が示された脱炭素は、一気に取組が加速しています。

脱炭素の取組は、二酸化炭素がどこで発生し、それをどうしたら減らせるかという話なので、するべきことが比較的明確で、数値化もしやすい面がある。一方の生態系保全は、生物とそれを取り巻く環境、そして人間活動も含めた全体のつながりをみていく必要があり、とても複雑で、何をどこまですればよいかもわかりにくい。十分に手をつけられないまま、脱炭素が生態系保全よりも優先されるようなことにならないか、危機感を持っています。

森村:福島さんのお話ももちろんですし、さらに言えば、私は世間的に「気候変動対策」の中に「生態系保全」が含まれているのだと誤解されているように感じます。つまり、「気候変動対策」がいわゆる森林保護などを指し、その森林保護の一環として「生態系保全」をしていくようなイメージになってしまっているように感じます。

けれども、実際はそうではありません。例えば、いくら森を守っていても、その中で生きていた野生動物が、密猟などで絶滅してしまったら、その地域の動物はもう復活しないですよね。森林保全や脱炭素を含む「気候変動対策」と、「生態系保全」は近い領域の話でありながら決してイコールではないのです。

今考えられている「気候変動対策」は森や山や河川をどう守り、そこにどうやって人間が住むかという話です。でも人間がどう住むかという考え方を、そこにいる動物たちとどう付き合っていくかに置き換えてみることに、価値があるのではないでしょうか。

「脱炭素」だけにとらわれると、生態系バランスを崩してしまう

―脱炭素に向けた取り組みが加速する中、生態系への影響で懸念されることがあれば教えてください。  

福島:例えば、脱炭素実現のために再生可能エネルギーの導入促進が必要だということで、現在、環境省と経済産業省で風力発電所の環境影響評価(環境アセスメント)の規制緩和が進められています。環境アセスメントとは、大規模な開発事業を行う際に、環境への影響を事前に調査、予測、評価し、環境保全の観点でよりよい事業計画にしていくための仕組みで、一種の規制とも言えます。

規制が緩和されれば、企業が風力発電所を建設する後押しになります。脱炭素は進むかもしれませんが、鳥たちの飛行ルートに風車が乱立することでバードストライクが増えたり、山稜を切り開くことで動物の生息地が失われたりといったような影響について、十分に予測、評価されないまま開発が進む可能性も出てきます。

環境アセスメント以外でも、規制緩和の検討が先行する中で、生態系保全を担保する仕組みの検討は十分とは言えません。脱炭素を進めることは非常に重要ではありますが、それ自体を目的化してしまうとそういったアンバランスな面がでてきてしまいます。

森村:確かに。生態系も含めてのバランスが崩れてしまわないように考えていくことが、今後私たち研究者の新たな役割になっていくのでしょうね。

生態系保全は守ることだけではなく、開発との上手なマッチングを考えることが大切

―脱炭素の流れもふまえ、企業が生態系保全を考えることにはどういった意義があると考えていますか。また、今からでも始められることがあれば教えてください。

森村:例えば、チンパンジーの森を守りたいときに、本来一緒に考えなくてはいけないのが、その地域に住む人たちの代替生計なんです。自然や生態系の保全を進めるためには、そこで暮らす人にとって自然を破壊しなくても生活できるような開発をいかにうまく進めるかの視点が必要になってきます。保全の主体は守ることだけではなく、開発との上手なマッチングを考えること。そこに企業との連携が強い意味を持ってきます。

福島:企業の取り組みでは、脱炭素の分野は進み始めていますが、生態系保全の分野は進みが遅いですね。やはり長期的な視点を持つことが必要です。「わが社はこうだから」という思考の枠にとらわれず、脱炭素も生態系保全もなぜ大事なのかを突っ込んで考えるところに思わぬビジネスチャンスがあるように思います。本質を押さえることが、企業の価値向上にもつながるのではないでしょうか。

その点では、カーボン・オフセットに目を向けることも大事ですね。環境省は「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について」という指針を取りまとめています。カーボン・オフセットとは、二酸化炭素の削減努力をしながらもどうしても削減できない部分について、別の企業・団体がCO2を削減、吸収した分を買い取るといった形で埋め合わせていく一つの仕組みです。

脱炭素を「目的」にしてしまうのは危険なことですが、100%再生可能なエネルギーでの循環という最終目的に今すぐ到達するのが難しい現時点では、大事な制度だと考えています。カーボン・オフセットのような方法からでも、まったく手を付けないのか、少しでも取り組んでいくのかで後々に企業の価値に大きな差が出てくると思います。

<対談を終えて、DENTSU生態系ラボより>

「人間中心の世界をつくってきたら、人間が住みにくい地球になってしまった」。森村さんが対談中に話されたこの言葉にすべてが凝縮されていると思いました。

まわりを見渡すと社会は人の流れで成り立っているように見えますが、あらゆる経済活動は表裏一体で地球環境や生態系とつながっています。企業がCO2排出削減目標など具体的な数字に向かって進んでいく一方で、目の前の課題や数字にとらわれず、長期的な視点、広い視点で物事を見ていく姿勢も忘れてはいけないと感じました。

一方で、この「脱炭素」の流れは、企業にとっては「ビジネスを通じて、自社の価値を高める」きっかけになるということも言えます。そもそも、(ペナルティ対策も含め)企業の脱炭素化は当たり前になりつつあり、さらにその先の動きがもう始まっています。

すでに海外では、カーボン・オフセットにおいても、その取り組みが生態系保全や地域の経済活動支援など、広くSDGs全体に貢献する取り組みであればあるほど価値が高まっています。単なる「社会貢献」ではなく、ビジネスとして脱炭素に向き合うことが、自社の利益にもつながる構造が生まれ始めています。

つまり、脱炭素社会の「社会」という言葉は、環境だけでなく生態系全体の仕組み、そしてそこに住む人々の生活から経済の仕組み全体を含む言葉であり、単なる省エネや再エネのビジネス開発ではなく、社会全体の視点を取り入れた開発をしていける企業が、この先、世界を舞台にビジネスを拡大していくのかもしれません。

加えて、「生態系の持続可能性」を考えることは、実は私たちの日々の生活にも大きなヒントをくれるのかもしれない、と感じました。「自分たちの短期的な利潤を追求するだけでは、逆に自分たちの寿命を縮めることになる」「生態系から多様性を奪うことは、その生存力そのものを低下させている」自分の会社や組織、ビジネスに当てはめてみると、持続可能な進化を実現するためのさまざまな視点が得られるのではないでしょうか。

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SDGsの期限まであと9年。電通インターナショナルが達成したものとは?

「ソーシャルインパクト: 2020ハイライト」

持続可能な開発目標(SDGs)の達成期限である2030年が9年後に迫る中、人々の企業へのまなざしはますます厳しいものとなっています。美辞麗句を並べるだけではなく、ヒトと地球の未来のために実際、どんな活動を行っているのか。世界中のあらゆる企業にとってそれを明快に示し、伝えることの重要性はかつてないほど高まっています。

そんな社会的状況の中、2021年7月、電通グループの海外事業を担う電通インターナショナルが、環境や社会の課題解決のために昨年行ったさまざまな取り組みをまとめた報告書「ソーシャルインパクト: 2020ハイライト」を発表しました。

私たちの野望は絶え間ないイノベーションの道標となり、世の中のより良き変革の推進力となること

という、電通インターナショナル社のグローバルCEO、ウェンディ・クラークによる力強いコメントから始まるこの報告書の概要を紹介します。

<目次>
電通インターナショナルのソーシャルインパクト活動を構成する3つの柱
再生可能エネルギーからの電力調達100%を達成
シニアリーダー層における女性の比率を35%に
世界各国、8633人の若者にデジタルを学ぶ機会を提供
そして2030年、電通グループが力を合わせてネットゼロエミッション達成へ
 

電通インターナショナルのソーシャルインパクト活動を構成する3つの柱

電通インターナショナルのソーシャルインパクト活動は
・「持続可能な世界」実現
・「公平で開かれた社会」実現
・「デジタル社会の価値向上」
の 3つの柱で構成されていて、報告書の構成もそれに沿ったものとなっています。

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で街から人の姿が消え、リモートワークが普及するなど、人々の暮らしが世界中で大きく変化した年でもありました。その中でも電通インターナショナルは、さまざまな環境問題や社会課題の解決に向けていくつかの目標を達成し、また、いくつかの目標では達成に向けた前進を果たしました。

再生可能エネルギーからの電力調達100%を達成 

電通インターナショナルの「持続可能な世界」実現のための活動の中でも、特筆すべきは「2020年末までに100%再生可能エネルギーから電力を調達する」という意欲的な目標を達成したことです。こちらは、企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ“RE100”の基準にのっとったものになります(※)。

また、フルタイム従業員(FTE)1人当たりの炭素排出量の85%削減(2015年比)も実現。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によるオフィス閉鎖なども背景としてあるものの、パンデミック前の2019年にはすでに2020年の数値目標を前倒しで実現しており、電通インターナショナルが2030年までに達成を目指す「ネットゼロエミッション」に向けた力強い動きだといえるでしょう。

※RE100に準拠するためには、エネルギーを使用する国内でエネルギーを購入することが求められます。しかしながら、電通インターナショナル社の電力需要の 9.7%を占める9つの市場(ロシア、台湾、シンガポール、ニュージーランド、香港、 ケニア、スリランカ、ガーナ、アルゼンチン)においては、電通インターナショナル社が管理できない要因により、国内で再生可能エネルギーを調達することができませんでした。そのため、隣接する国で可能な限り多くの再生可能エネルギー証書(REC)を購入し、RE100が暫定的な手段として認める方策を採用しています(RE100の ガイダンスに沿って、欧州経済地域を単一市場とみなして報告しています)。
電通インターナショナルのオフィス
建物のサステナビリティに関する世界的評価基準BREEAMの認定を受けた、電通インターナショナルの本社ビル(イギリス・ロンドン)。この認定により、同社はイギリスで最もサステナブルな本社オフィスを持つ企業のひとつとなりました。

シニアリーダー層における女性の比率を35%に

「公平で開かれた社会」実現のための活動でも、電通インターナショナルは社内外でさまざまな施策を行いました。社内の取り組みとして特に画期的だったのは、世界的に「機会の平等」を促進するためにチーフ・エクイティ・オフィサー(最高公正責任者)をまずはアメリカ地域で任命し、今後順次、APAC(アジア太平洋)とEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)の2地域でも任命していくことを発表したことです。

また、ジェンダーによる格差の解消についても、女性リーダーシップの登用を社内外で促進しました。電通インターナショナルではシニアリーダー層における女性の比率が、2019年の約32%から2020年には約35%に向上。2025年までにその比率を50%にまで引き上げることを目標にしています。

社外においては、女性の起業を促すためのグローバルなメンターシッププログラム「フィメール・ファウンドリー」を複数の国とエリアで展開。これまでに100人以上の起業を志す女性たちにメンター活動を行い、彼女たちの夢の実現を後押ししています。

ウェンディとアナの写真
電通インターナショナル社グローバルCEOのウェンディ・クラーク(写真左)と、チーフ・サステナビリティ・オフィサーのアナ・ラングレー(同右)。同社のソーシャルインパクト活動をパワフルにリードする女性たちです。

世界各国、8633人の若者にデジタルを学ぶ機会を提供

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響で在宅期間が長引く中、電通インターナショナルは「デジタル社会の価値向上」のための活動も積極的に拡大しました。

貧困エリアを含む地域の、10代半ばから後半にかけての若者を対象にしたデジタル教育プログラム「ザ・コード」をステイホーム期間中も受講できるよう、オンラインにも対応して合計4255人の若者たちに展開。このプログラムはこれまで世界11カ国(イギリス、アメリカ、カナダ、中国、シンガポール、ポーランド、ブルガリア、デンマーク、メキシコ、フランス、UAE)の若者たちに、これからの時代をよりよく生きるために欠かせないデジタルスキル向上の機会を提供しています。

他の関連プログラムと合わせて、昨年1年間で電通インターナショナルがデジタル教育プログラムを提供した若者の数は8633人。2020年までの累計では3万人弱となり、「2030年までに累計10万人の若者にデジタル教育を提供する」という目標の達成に向けて順調にその数字を伸ばしています。

「ザ・コード」の参加者
イギリスの民族マイノリティが多く住み、所得が比較的低い地域の若者たちを対象に含んで行われた「ザ・コード」の参加者たち。彼らは実際のクライアントブリーフを基に、デジタルスキルのみならず、メディアプランニングの方法なども学んだそうです。

そして2030年、電通グループが力を合わせてネットゼロエミッション達成へ

「ソーシャルインパクト: 2020ハイライト」ではこの他にも、国連のイニシアチブの下、アイソバー(Isobar Global)を中心とする電通インターナショナルの世界中のスタッフが力を合わせて取り組んだ「ゼロ・マラリア」キャンペーンや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という緊急事態に果敢に対応した世界各地の事例などが多数紹介されているので、ご興味のある方はぜひ、こちらのページからダウンロードしていただければと思います。(英語のみ)

そして、これまで紹介してきた電通インターナショナルの取り組みのゴールは2030年。電通グループの国内事業を担う電通ジャパンネットワークと同じゴールに向けて、つまりは電通グループ全体の到達点として、私たちは「2030 サステナビリティ戦略」を掲げています。

「2030 サステナビリティ戦略」
電通グループとしての共通戦略「2030 サステナビリティ戦略」。ソーシャルインパクト活動と共通する3つの柱のもと、気候変動対策からデジタルシチズンシップまで、具体的な数値を含む目標がまとめられています。

2030年まであとわずか9年。業界の中でも他社に先駆けて打ち出された「2030年までにネットゼロエミッションを達成する」をはじめとする目標の数々を実現するために、そしてウェンディ・クラークのいう「世の中のより良き変革の推進力」たる存在となるために、これまで以上に電通インターナショナルと電通ジャパンネットワーク間のシナジーが必要とされ、また、推進されていきます。

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トヨタ・新型アクア、”万人受け”間違いなし…強烈な個性はないが、粗のない走り味

 新型「アクア」がデビューした。初代の発売が2011年なので、10年ぶりのフルモデルチェンジとなる。その間に187万台を販売したというから、まさにトヨタ自動車のドル箱である。「プリウス」が牽引してきたハイブリッドのイメージを、アクアが受け継いでいるように感じる。

 新型アクアの技術的なトピックは、「バイポーラ型ニッケル水素電池」の採用である。基本的に構成は同じだが、電流の流れを変えることで、従来のニッケル水素電池に対して約2倍の出力を持つという。集電体の部品点数が少なくコンパクトという重量的なメリットはないが、出力向上は大きな武器だ。

 これにより、よりEV感覚の強い走りが可能になった。低回転域からの加速でも、バッテリーを十分機能させるためのエンジン始動頻度が抑えられるという。絶えずエンジンが唸りを上げるような、これまでの加速スタイルではない。加速の力強さと静粛性が際立っている。

 回生ブレーキによる減速感が強調されたのもトピックだ。ドライブモードを「パワー+」にアジャストした場合、という注釈付きだが、その名から想像するように、加速時にモーター出力を高めるだけではなく、アクセルオフでの回生力が強い。いわば、アクセルペダルの加減によって加速だけでなく減速力もコントロールしやすくなったのだ。最近のEVモデルが積極的に採用するシステムを、ハイブリッドのアクアにも投入したことが新しい。

 非常時の外部給電システムも組み込まれた。これまでも車種によっては採用されていたシステムだが、最大1500wまで電力供給する。照明確保やスマホ充電等の非常時対応だけではなく、電気コンロや給湯器等への電力供給、つまりレジャー先でも使えるシステムである。

 乗り心地は優しい。ヤリスが比較的欧州スタイルが強いのに対して、アクアは日本の道を優先に開発されていることの表れだ。高速域のフットワークを優先するのではなく、むしろ低速走行での柔軟な乗り心地を求めている。新世代のプラットフォームの採用も新しいところで、乗り心地と操縦性をバランスさせたという。実際の走行では、フロアがブルブルと振動する場面も少なくなかったし、タイヤの硬さを意識させられることもあった。諸手を上げて「乗り心地が良い」と評価することにはためらいがあるが、大衆的なコンパクトカーとしては及第点であろう。

 ともあれ、アクアは日本の国民車としての色彩が濃い。ユーザー層も広い。法人ユーザーは2~3割に達する。日本のユーザーは販売価格に敏感であることから、バイポーラ型ニッケル水素電池ではなく従来型のリチウムイオン電池を組み込んだ廉価版も用意されている。

 その一方で、自動駐車支援システム「アドバンストパーク」を採用するなど、未熟なドライバーへの配慮も行き届いている。ターゲットユーザーは、免許取得直後の若者からリタイヤ組まで幅広い。全方位的な期待に応えるために、アクアは万人受けするコンセプトが与えられたように思う。それによって、完成した新型アクアは、強烈な個性がない一方で、粗のない走り味が印象的だった。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

最愛の家族を失って見つけた「孤独」という生き方…「人生で一番悲しい瞬間」からの再生法

 妻や息子、娘。大事な家族を失ったとき、人間は未体験の孤独感に苛まれる。常に楽しいひと時をともにした大事な家族が、この世を去った。「後を追いたい」――こんな思いにかられる人も少なくないはずだ。

「孤独」という生き方 「ありのままの自分」でいることのできる、自分だけの居場所を求めて』(光文社)の著者でノンフィクション作家の織田淳太郎氏も、そんな一人だった。愛する息子を白血病で亡くし、心は暗雲に覆われた。「一人になりたい」――そう感じて、実際に一人になれる場所を探した。

 織田氏の心境はものすごく理解できる。愛する妻と長年二人で暮らしている私が、仮に妻を失って一人になったとしたら、間違いなく同じ心境になるだろう。

「世間の雑音」から逃れられる禅寺へ

 織田氏は、息子を亡くした喪失感から「一人=孤独」に救いを求めるべく、ある禅寺を訪ねた。山奥にあるその禅寺は、鎌倉時代から続く歴史を持つものの、テレビもなければラジオもなく、携帯電話の電波すら届かない。「世間の雑音」から逃れられる場所である。

 その寺で留守番や犬の世話をしながら、亡き息子との日々に思いを巡らせた。静寂に包まれる澄み切った空気の山奥で、座禅と読書に時間を使った。そんな織田氏を、住職は温かく見守ってくれた。時には話し相手になり、時にはそっとしておいてくれたそうだ。

 これ以上ない悲しみを味わった人間は、どうしようもない絶望感に襲われるが、禅寺での生活により、織田氏の心の中に潜んでいた絶望感は次第に小さくなっていった。

 達観、とでもいえばいいのだろうか。間違いないのは、織田氏が新たなステージに向かっていく、その扉が開いたことである。やがて、織田氏は禅寺の近くに小さな山荘を購入。月の半分をそこで暮らすようになった。

 本書は、そうした日々とともに、同じような境遇を味わった人たちへの取材をもとに構成されている。

SNSでのつながりに喜ぶ現代人の“もろさ”

 ここ最近のSNSの「賑わい」には、すさまじいものを感じる。

 私の知り合いに、フェイスブックでの承認申請が増えて喜んでいる人がいる。1日に100人ほどからくるコメントに返信をして悦に浸っているが、SNS上でのつながりとは、真の人間関係の足元にもおよばぬほどもろい気がしてならない。悪く言えば「うわべだけのつながり」である。

 自分の経験上、真の人間関係とは、酒を飲みながらさまざまな話をして、相手の感性と自分の感性をすり合わせる。いわゆる「気が合う」か否かを確認することで、初めて築かれるものだと思う。

 そう考えると、SNS上でのつながりとは想像以上にむなしくてもろいものだが、それでも多くの人がつながりを求めるのは、人間という生き物が「誰かとつながっていたい」からである。

 しかし、そうした気持ちがあっても、織田氏のように「人生で一番悲しい瞬間」を迎えると、今まで味わったことのない心境=「一人になりたい」と感じるようになる。

 がんばって働いてきたのも愛する家族を養うためであり、その家族がいなくなったとき、お金よりも大事なもの、として亡き家族を思い浮かべる。そうした経験をする人は少なくないだろう。

 愛する人を亡くし、生きることがつらくて仕方ない。あるいは、生き方に迷っている。そんな人たちに読んでもらいたい1冊である。

(文=小川隆行/フリーライター)

スタッフの指示を無視してダウンタウンに暴言連発…まさに決死の連続だった雨上がり決死隊

 雨上がり決死隊が解散した。1989年のコンビ結成から32年。彼らをここまで大ブレイクに導き、そして終焉させたのは、宮迫博之の決死の覚悟だった。

 88年、宮迫と蛍原徹はNSC(吉本総合芸能学院)の7期生として出会う。当時は2人とも別の相方がいたが、のちに自然消滅。NSCを卒業後、アルバイトを一緒にしたのがコンビ結成のきっかけといわれている。89年のことである。

 初舞台のギャラは300円、源泉徴収が引かれて手取りはわずか270円だったという。当時、2人は貧しい時代の食生活と将来の夢を語っている。

宮迫 値段の書いてない焼肉屋に入れるように。

蛍原 お金のこと気にせんとな。

宮迫 やっぱりこの世界に入ったからには、そういうことしてみたいしな。でもまだまだですわ。今はまだ……吉野家の並ぐらいです。並がやっと食えるよ程度ですわ。卵はまだ…迷うな。(「JUNON」93年11月号)

最初から吉本の“はみ出し者”だった雨上がり

 91年、日本テレビ系の深夜番組『吉本印天然素材』のスタートに合わせて、雨上がりのほか、ナインティナイン、FUJIWARA、へびいちご、チュパチャップス、バッファロー吾郎といった、吉本興業の期待の若手芸人でコント&ダンスユニットが結成された。番組名と同じ吉本印天然素材、通称「天素」である。

 当時、岡村隆史は24時間、才気あふれる宮迫の隣にいたという。のちに岡村は「(宮迫から)何かを盗みたかったんです」と語っている。

「雨上がりの2人は天素の兄貴分として引っ張っていましたが、96年、アイドル的な売り方をめぐって宮迫が演出家と対立。雨上がりは喧嘩別れ同然で天素を脱退しました。そして、2人は大阪の担当番組をすべて降板し、東京進出という大博打に打って出ます。もちろん、マネージャーもいない。東京の吉本関係者からは『お前ら、何しに来たんや』『知らんぞ、お前らなんか』『勝手にせぇ!』と言われたといいます。いわば、彼らは最初から吉本の“はみ出し者”だったのです」(テレビ局関係者)

 そして、このとき、宮迫は一人で東京に行くと宣言していた。エッセイでは、それについてきてくれた相方に感謝の念を示している。

「それは東京に行く時に、俺は天素を辞めてひとりで行くつもりだったんだけど、『一緒に行く』って言うてくれたから。男らしいなと思って」(『雨上がり文庫』小学館)

お互いに自殺まで考えた不遇の時代

 コンビを組んで10年。覚悟の東京進出を果たしたものの、東京の番組からオファーはなかった。続けていたのは名古屋ローカルの仕事ぐらいだったという。そんな中、ナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号、ココリコなど、後輩が次々と売れていった。

 それまで特にコンビの方向性について話し合ってこなかった2人は、ようやく真剣に向き合うことになる。宮迫は、のちに「あのとき、初めて相方の電話に連絡したんちゃうかな」と語っている。

「渋谷のルノアールで宮迫が『最近、どうや?』と聞くと、蛍原は『時間がありすぎて、ビルから飛び降りそうになったわ』と答えたそうです。宮迫も『そうか、俺も死のうと思ってた』。2人とも、それだけ追い込まれていたということです。仕事を選んでいたわけではないものの、『俺らのノリじゃない』と自然と避けていたところもあったそうです。しかし、これを機に『なんでもやろう』と、つまらないプライドを捨てようとしたといいます」(同)

『ガキ使』での大暴れが転機に

 そんな2人のターニングポイントは99年2月14日、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の出演だった。宮迫は1年先輩の山崎邦正(現・月亭方正)の知己を得て松本人志と出会い、ある企画が立ち上がった。

 それが「雨上がりだよ!全員集合~!!」。さまざまなコーナーを2人が毒舌で進行するというものだが、本来、番組側が望んでいた構成は、その司会ぶりがグダグダすぎて最後は邦正からキレられるというオチだった。

 実際、2人はスタッフから事前に「スベってくれ」と言われていたという。しかし、宮迫は台本を無視し、あえて笑いを取りにいくと決め、そのことは蛍原にしか言わなかった。

 そして本番。宮迫はいきなり邦正にキックを食らわし、松本にも「たるんどんねん。おいハゲ! お前なんでハゲやねん! なんでハゲとんねん! お前な、テレビ出るときぐらいヒゲぐらい剃れ!」と坊主頭をわしづかみにした。さらに、浜田雅功には「おいチビ! 覚えてるかな? 十何年前や! なんばグランド花月の前で、俺のこと車でひきかけたやろ! 俺、普通に道歩いてたら、こいつ車で横からキュー出てきて、挙げ句の果てに、ウィーン……『お前殺すぞ!』」

 この暴挙にダウンタウンとスタッフは大爆笑。この後も、スベるどころか爆笑に次ぐ爆笑の仕切りを見せた。

 2人は2015年12月放送の『八方・陣内・方正の黄金列伝!』(読売テレビ)で、こう語っている。

「一か八かやってん。一世一代やった。スタッフの指示を無視する。ダウンタウンさんにもムチャをする」(宮迫)

「もしかしてダウンタウンさんにキレられたらもう終わりや」(蛍原)

 東京進出に続く、2度目の大博打だった。この回の『ガキ使』は世帯視聴率20%を超え、翌週、雨上がりには仕事が5本入ってきたという。まさに決死の覚悟だった。

蛍原の「おかっぱ頭」が生まれたワケ

 当時の雨上がりは宮迫のギラギラ感が目立ち、蛍原はいってしまえば、その隣にいるだけだった。さらに、ドロップキックが定番の、どちらかというと攻撃的なコンビだった。

 しかし、00年に変化が起きる。演出家・野田秀樹のミュージカル『カノン』に雨上がりが出演した際、野田から蛍原に「おかっぱにしてほしい」とオーダーがあり、蛍原は舞台終演後もおかっぱ頭を続けた。これは、唐沢寿明ら共演者から「おかっぱのほうが良いよ」とほめられたかららしいのだが、実はその共演者に、蛍原のおかっぱをほめてほしいと言っていたのは、ほかならぬ宮迫だった。

 ここから蛍原のイメージが「癒やし系」に変わり、コンビとしてもかわいげがある感じにシフトする。宮迫も蛍原を「吉本のクリオネ」と命名し、蛍原のキャラを立てていった。

“○○芸人”ブームを起こした『アメトーーク!』

 そして04年、彼らの初冠番組がスタートする。それが『アメトーーク!』(テレビ朝日系)だ。きっかけは、現在も演出を手がける同局の加地倫三氏と飲み会で偶然出会ったことだったという。

加地「トーク番組をやりたいんだけど、どう?」って言いました。

宮迫 一緒にトイレ待ちしていたときに。「やりたいやりたい」って。

(「クイックジャパン」Vol.79)

 ♯53の「メガネ芸人」、♯131の「ひな壇芸人」がさらなる飛躍のきっかけとなった。月曜深夜24時からの30分だった放送時間は、06年から現在の木曜23時台に昇格し、枠も1時間に拡大する。

 同番組は「華の47年生まれ芸人」「五反田芸人」「ホテル・アイビス芸人」「徹子の部屋芸人vsガンダム芸人」「エヴァンゲリオン芸人」「家電芸人」「餃子の王将芸人」「熟女芸人」「中学の時イケてないグループに属していた芸人」と、神回を連発していく。今でも使われる「じゃない方芸人」は、この番組が発祥だろう。ちなみに、有吉弘行が宮迫につけたアダ名は「うすらハゲのくせにクソナルシスト男」だった。

 同番組への「ゲストが面白いだけなんじゃないの?」という意見に対して、加地氏は「雨上がりがMCじゃなければ、この番組は成立しなかった」(「AERA」10年2月15日号)と断言している。

 この後、雨上がりは『ワンナイR&R』(フジテレビ系)や『リンカーン』(TBS系)などのヒット番組に出演。さらに、宮迫は俳優としての地位も確立し、17年の“オフホワイト不倫騒動”も乗り切った。

最後の最後で裏目に出た宮迫の大博打

 天素からの脱退も、東京進出も、『ガキ使』での暴れっぷりも、宮迫の“一か八か”の賭けが功を奏したといえる。しかし、それがすべてうまくいくとは限らない。たとえば、19年の闇営業騒動後にロンドンブーツ1号2号・田村亮と会見をしたこと。吉本から契約を解除されて、YouTubeを始めたこと。いずれも宮迫は決死の覚悟だったが、裏目に出てしまった。

「これまで、蛍原はコンビの方向性について、宮迫の一声に付き従ってきました。そうしたコンビのバランスを考えると、宮迫が吉本との契約を解除されたときも、蛍原は“待つしかなかった”といえます。ちなみに、雑誌などでこれまでの彼らの発言を見ていくと、蛍原のすべてをきっちりしないと気が済まない性格が見て取れると同時に、宮迫がいかに蛍原の存在をありがたく感じているかもわかります。それだけに、解散は残念でなりません」(同)

 一方で、20年前の「アサヒ芸能」(徳間書店)01年2月8日号で、「もし雨上がり決死隊が解散するとしたら、どんなときか」という質問に、2人はこう答えている。

宮迫 とりあえず、雨上がり決死隊での結果を出さないとやめるわけにはいかない。

蛍原 もうやることがないと思えば、お互いの道を行けばいい。絶対、結果は出します。

 そう、雨上がりは結果を出した。だから終えたのだ。今後のそれぞれの活躍を期待したい。

(文=編集部)

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パチンコ「10分で万発オーバー」怒涛の秒速決着! 継続率約85%の「最強親子喧嘩」にファン大注目!!

 パチンコはいまや、超速出玉時代である。各社のハイスピードマシンがホールで豪快な出玉を演出しており、なかでも平和の『P新鬼武者』が装備する出玉性能は、頭一つ抜けていると言っても過言ではないだろう。

 小当りRUSHと大当りが融合した極限の「蒼天上ボーナス」は、わずか30分足らずで「20,000発」以上を吐き出す実力。その類稀なスピード感に酔いしれるプレイヤーも多く、特定日ともなれば朝イチから大きな賑わいを見せている。

 また、同社は次作に『Pルパン三世~復活のマモー~219Ver.』もスタンバイ。こちらは昨年11月に登場した『Pルパン三世~復活のマモー~』のライトミドルバージョンで、88回、継続率約82%のST「LUPIN THE SHOWTIME」が出玉増加のカギを握る。

 このほか、10月には『Pうまい棒』の発売も予定しているなど注目機種が目白押しの同社だが、そんな中、先日は最新タイトル『Pバキ』の製品PVを公式YouTubeチャンネル「キュインちゃんねる@HEIWA」にて公開。超人気格闘漫画とのタイアップ作品ということもあり、早くも話題沸騰中だ。

 怒涛の秒速決着。そんなキャッチコピーがファンの期待感をあおる当機は、とにかく原作の醍醐味「バトル」を前面に押し出したスピード感溢れるゲーム性のようで、最強の親子喧嘩「バトルチャレンジ」演出突入率は319.6分の1、そのバトルチャレンジ演出突破率は約51.2%とのこと。バトルチャレンジ演出突破後は1,360発+Vストックが確定し、バトルモード継続率は約85%、バトルモード中の大当りは80%で1,360発に振り分けられるそうだ。

 このバトルモードは注釈を見る限り、電サポ3回、残保留2個で構成されるようで、動画内ではまさしく怒涛の大当り連打を紹介。6分ほどで「5,000発」、11分ほどで「10,000発」を突破する液晶画面を確認できることから、冒頭で述べた『P新鬼武者』に勝るとも劣らない出玉性能であることは間違いなさそうだ。

 加えて、筐体上部にはインパクト抜群のギミックを搭載。こういった遊び心も原作好きにはたまらない要素と言えるのではなかろうか。

 なお、気になる導入は11月予定とのこと。スペックなどの続報が入り次第、当サイトでもお届けしよう。

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 8月末発表のパチンコ・パチスロ「検定通過情報」に、ファンの視線が集まっている。

 ニューギンからは“ライトミドル帯最強”と囁かれる『P真・花の慶次2M3-VC』、サンセイR&Dからは継続率80%×ALL1500発の出玉性能を誇るシリーズ最新作『Pゴッドイーター究極一閃』、大一からは“牙狼超え”との声も多い『P天才バカボン6』が検定を通過するなど、ファンなら見逃せない話題作の目白押しだ。

 その中でも特に話題を呼んでいるのが、『Sハナビゼッケイ』と『CCエンジェル』の2機種。いずれも大手メーカー・ユニバーサルエンターテインメントのパチスロ4号機時代を代表する名機中の名機である。

「オールドファンならたまらない機種名が並んでいますが、『CCエンジェル』は初代4号機以来の登場となります。スぺックはノーマルタイプで、設定6のボーナス合算確率は約1/118と非常に軽い。そのため、爽快感のあるボーナス連打を楽しむことができそうです。また、難解なリール目や目押しはないそうなので、ライト層も気軽に打てるゲーム性だと感じます」(パチスロライター)

 一方の『Sハナビゼッケイ』に関しては、現在もリリース中である『ハナビ』シリーズの後継機であることは間違いない。それに機種名が往年の名機『大花火』や『花火百景』を彷彿とさせるだけに、ファンの期待は高まるばかりだろう。

「スぺックの詳細は現時点で不明ですが、先代は“MAX711枚”を獲得できる大量獲得機。また同社特有のバリエーション豊かなリール目や、フル攻略で設定1でも勝てるスぺックとなっており、その完成度の高さは多くのファンを熱狂させました。

仮にそのゲーム性を踏襲しているのであれば、現行機のルール上、ATなどを用いた疑似ボーナスという形で再現するでしょうね。

分かりやすい例を挙げるなら、サミーからリリースされた『ガメラ』で、本機も初代4号機のゲーム性を再現しており、疑似ボーナスによるBIGの平均獲得枚数は約550枚。そのBIG中では技術介入による枚数アップも可能となっています。つまり、『ガメラ』のようなシステムであれば、『Sハナビゼッケイ』も4号機のゲーム性を限りなく再現できるというわけです」(元業界関係者)

 ファン待望の『大花火』シリーズ最新作は、果たしてどのような仕上りになっているか。メーカーの正式発表を含めて、今後の最新情報に要注目だ。

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