新聞広告とTwitterでバズを生み出す「ザ・ニュース・モーメント」とは?

クリエーティブ・ディレクターの橋口幸生です。新聞広告とTwitterを組み合わせたブランド体験を提供できるソリューション“The News Moment(ザ・ニュース・モーメント)”を開発しました。Twitterで拡散する新聞広告を、効率的に制作することが可能です。以下、どのようなソリューションなのか、どんなことができるのかを解説します。

新聞広告とTwitterのベストミックス

SDGsやESG経営、企業のパーパスの重要性が高まる中、新聞広告の価値が再発見されています。新聞広告には、社会性と信頼性、長文を掲載できるスペースといった特長があります。企業がソーシャルなメッセージを発信し、新しいブランドストーリーをつくるのに最適なのです。

その新聞広告は、Twitterと相性がいいといわれています。特に元日、バレンタインデー、国際女性デーといったモーメントに出稿される新聞広告は、Twitterでも大きな話題になります。

一般ユーザーが話題にしたくなるモーメントを捉えた新聞広告は、インフルエンサーを使った口コミ拡散ではない、自発的なバズを起こすことができるのです。

多くの新聞広告は、一般ユーザーのツイートがきっかけでオーガニックに拡散します。だからこそ価値が高いのですが、狙ってバズを起こすことは難しいのも事実です。

一方、フォロー&リツイートやカンバセーショナルカードといったTwitterのアドは、計画的に運用することが可能です。その半面、ニュースサイトやテレビなどにも取り上げられる、爆発的なバズは起こりにくいと思います。

そう。新聞広告とTwitterの長所と短所は、補完関係にあるのです。

新聞広告を→Twitterでバズを生み出し→スペシャルサイトに誘導する

ザ・ニュース・モーメントの仕組みは、シンプル。新聞広告を出稿し、その画像をプロモツイートで配信するだけです。

ザ・ニュース・モーメントの仕組み

新聞広告とツイートに、スペシャルサイトを加えることも可能です。新聞広告で訴求し、それをバズで広げ、スペシャルサイトで詳細情報も伝えることができます。

新聞広告・ツイート・スペシャルサイト

それぞれを単体で実施するより、料金もおトクになります。

SNS専門チーム「ナカノヒト」によるクリエイティブ

新聞広告はTwitter向きといっても、どんなものでも話題になるわけではありません。一般ユーザーが自発的に話題にしたくなるように、その時々で変わるTwitterの空気感やユーザーの気持ちを理解し、共感を生み出すクリエイティブに落とし込む必要があります。

そこで、ザ・ニュース・モーメントでは、SNSでヒットしたキャンペーンを多く手掛ける、電通の社内横断チーム「ナカノヒト」がクリエイティブを担当。新聞社とも連携し、新聞広告としてのクオリティとTwitterでの拡散性を両立したクリエイティブの提供が可能です。

ナカノヒト
SNS専門チーム「ナカノヒト」

「ナカノヒト」の手掛けた事例をひとつ、ご紹介します。岸田奈美さんの著書「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の新聞広告です。(この本を読んだ僕の「広告をつくれば、いいものになるに違いない」という、個人的な思いからスタートした仕事です)

「世界ダウン症の日」新聞広告
「世界ダウン症の日」新聞広告

掲載されたのは今年3月21日。国連が制定した「世界ダウン症の日」です。毎年、ダウン症への理解を広めるための、さまざまな活動が行われます。ダウン症への関心が高まるモーメントに、ダウン症の弟さんやご家族との日々がつづられた岸田奈美さんの著書を広告したのです。

広告の狙いは、ふだんダウン症に関心がない人にも、岸田さんの著書を読みたいと思ってもらうことでした。そこで書いたのが、本の内容をもとにした「人生は、少しずつ、少しずつ、大丈夫になってゆく」という、障がいがあってもなくても共感できるキャッチフレーズです。

結果、新聞広告はTwitterでたくさんのリツイートやいいね!を集めました。さらに、著者の岸田奈美さんが新聞広告に託した思いをツイート。これを見て広告目当てで新聞を購入した方がいたり、書店が売り場にポスターを掲示したりと、話題が広がっていきました。

https://twitter.com/namikishida/status/1370247712050847744

「モーメントを捉える」とは、あるテーマについて人々が自発的に話題にしたくなるきっかけをつくる、ということです。この特徴を活かして、ザ・ニュース・モーメントで、どのようなキャンペーンが実施できるか。例を3つご紹介します。

実施例1 元日広告

元日の新聞広告は、Twitterで人気の話題です。毎年、広告の画像がたくさんツイートされ、まとめサイトも登場します。しかし、こうした拡散はTwitterユーザーが自主的に行ったもので、企業は受け身の存在でした。

ザ・ニュース・モーメントなら、元日広告をTwitter施策としても活用することが可能です。

実施例1 元日広告

実施例2 国際女性デー

SDGs、ESG経営が注目される中で、社会的モーメントの重要性が増しています。中でも2021年3月8日の国際女性デーは多くの企業が新聞広告を出稿し、Twitterでも話題になりました。来年以降、ますます注目が高まっていくことは間違いありません。

ザ・ニュース・モーメントを使えば、元日同様、新聞広告をプロモツイートで拡散させることができます。さらに、新聞社制作のスペシャルサイトを用意し、ツイートから誘導することも可能です。社会的イシューを得意とする新聞社による、信頼性の高い訴求が可能になります。たとえば、企業のジェンダー平等の取り組みなどを紹介するのに最適です。

実施例2 国際女性デー

企業のパーパスへの関心が高まっています。企業が何を重んじ、どう行動しているのかを伝えるために、ぜひザ・ニュース・モーメントをご活用ください。

実施例3 新発売告知

プロモーショナルな局面でも、ザ・ニュース・モーメントは活用できます。たとえば、とある機能性食品が発売されたとき。インパクト重視の新聞広告で告知し、プロモツイートで拡散し、機能の詳細情報をスペシャルサイトで説明する……といった、各メディアの強みを最大化したコミュニケーション設計ができます。

実施例3 新発売告知

もしザ・ニュース・モーメントに興味を持たれましたら、お気軽にご連絡ください。「ナカノヒト」公式サイトの問い合わせフォームから受け付けております!
 

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衆院選で調子に乗る安倍晋三! 弟を使って杉田水脈の名簿順位上げ、森友・桜問題で暗躍した元秘書の公認ゴリ押し、YouTubeも開設 

 ついに本日19日に公示された衆院選。岸田文雄首相はこの選挙を「未来選択選挙」などと呼んでいるが、これはとんだまやかし。今回の選挙は「事実上の安倍政権を選択するか否か」「安倍政治を今後も是認するか否か」を問うものだ。  その安倍晋三・元首相はきょうYouTubeに「あべ晋...

【開催迫る】ad:tech tokyo2021 11月1日~2日開催

ad:tech tokyo 2021が、11月1日(月)~2日(火)、東京国際フォーラム+オンラインで開催される。テーマは「ACTION !  IT'S ALL CONNECTED」。

生活様式も一変し、人々の分断化が言われるからこそ、改めて、人と人をつなぐコミュニケーションの重要性を考え、新しい社会をつくるアクションを生み出すマーケターの力が必要とされる。一連の状況を経たことによって成し遂げられるマーケティングのイノベーション、アップデートとは何か?正解がない中でどう行動していくのか、今後の指針となるようなコンテンツをお届けする。

参加者にとって関心の高い「クッキーレスにどう対応するのか」「大手プラットフォーマーをはじめ、膨大なデータとどう向き合うのか」「コネクテッドTV、運用型CMの可能性と課題」「ジェンダーイクオリティなど、マーケティング業界におけるダイバーシティ」といったことに関する公式セッションがある。
また、メインステージでは、JAA(日本アドバタイザーズ協会)と連携したセッションも実施。デジタル広告市場の競争評価を取りまとめた内閣官房、プラットフォーマーであるGoogleなどが登壇し、デジタル広告業界の法整備と今後の取り組みについて語る。

ad:tech tokyo 2021 案内告知

「ACTION! IT'S ALL CONNECTED」テーマでのプログラムは60超。

【概要】
日時:11月1日(月)~2日(火)  ※その後1週間程度アーカイブ配信
会場:東京国際フォーラム+オンライン
参加申し込み:https://adtech-tokyo.com/ja/for_visitors/
プログラム:https://adtech-tokyo.com/ja/program/

【お問い合わせ先】
アドテック東京事務局(電通グループパスお申し込み窓口担当)
 Email: adtech@comexposium-jp.com
 

 

【参加者募集】ウェビナー「RADIO AND TELEVISION IMPROVEMENT 2021」11月10日~11月12日開催

電通のラジオテレビ部門は、11月10日から3日間開催されるウェビナー「RADIO AND TELEVISION IMPROVEMENT 2021」の参加者を募集している。

さまざまな産業においてDXが進む昨今、広告業界にも効率化や最適運用を目指した変革が広がっている。電通ラジオテレビ部門においても、顧客により良い広告サービスを提供するために、最新の技術を活用したソリューションやメニューを開発している。さらには、デジタルだけでは成し得ないラジオテレビならではのコンテンツによる起爆施策も進化させている。本ウェビナーでは、それらを「実装力を備えた武器」として紹介する。

「RADIO AND TELEVISION IMPROVEMENT 2021」ウェビナー告知
【概要】
日時:
11月10日(水)~11月12日(金)
費用:無料
形式:ウェビナー形式
※広告会社社員さま並びにコンサルティングファーム社員さまのご参加はご遠慮ください。お申し込みをお断りさせていただく場合がございます。フリーアドレスでのお申込みはご遠慮ください。
※定員に達し次第、締め切りとさせて頂きます。

■参加ご希望の場合は、担当BPもしくは電通ラジオテレビ部門メールアドレス(radiotv2021@dentsu.co.jp)までご連絡ください

【プログラム】
#1 11/10(水) 11:00~11:45
購買行動から見る新しい広告効果の把握について~ファネル外の購買への影響~
布瀬川 平 電通ラジオテレビビジネスプロデュース局
石谷 聡史 電通データマーケティングセンター

#2 11/10(水) 12:00~12:45
データ革新により進化するラジオ・テレビの最新ソリューション
~進化するRICH FLOW/統合動画Dashboard/ConnectedTV/radicy~

足木 勇介 電通ラジオテレビビジネスプロデュース局
山崎 祐 電通ラジオテレビビジネスプロデュース局
朴 泰輝 電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局

#3 11/11(木) 11:30~12:15
≪進化するテレビコンテンツ連動≫
テレビ広告活用の【4つのアプローチ】✕ 取り組み事例の最前線

串田 昌紀 電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局
塚原 啓太 電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局

#4 11/12(金) 12:00~12:45
運用型テレビ広告への挑戦
~アプリDL率127%UP 進化するウェザーニューズ社の取組~

石橋 知博 ウェザーニューズ取締役・常務執行役員
藤田 雄一郎 電通アカウントプロデュースセンター
小柳 嶺 電通ラジオテレビビジネスプロデュース局 
水口 奈津季 電通ラジオテレビビジネスプロデュース局

【登壇者プロフィール】
布瀬川 平/フセガワ タイラ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 EPD

電子番組表サービスを展開するIPG社の代表取締役を経て、2015年に現局に帰任。TVer広告の立ち上げ、STADIAの立ち上げなどに従事し、現在はラジオ・テレビの次世代統括。
 
石谷 聡史/イシガイ サトシ
電通 データマーケティングセンター チーフ・ビジネスクリエーション・ディレクター

デジタル環境における「統合マーケティング戦略の進化」を専門に、業種を問わず年間10数社のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、データマーケティングに関連する新しいメソッド開発を推進。
 
足木 勇介/アシキ ユウスケ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 テレビ市場開発部 プロデューサー

テレビスポットバイイング担当を経て次世代テレビソリューションの開発を担当するテレビ市場開発部に異動。枠交換システム「RICH FLOW」、AI予測視聴率「SHAREST」など開発班リーダーとしてテレビ広告DX化に従事。
 
山崎 祐/ヤマサキ ユウ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 動画ビジネス推進部 プロデューサー

グローバル業務・テレビスポットを担当した後、デジタル動画配信広告のセールス・価値証明・新商品開発などをチームの中心として幅広く担当する中、現在統合メディアプランナーとしてさまざまな開発プロジェクトにも参加。
 
朴 泰輝/ボク ヤスキ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 データ推進部長

営業にて食品・大手化粧品トイレタリーメーカーのマーケティング・ブランド・メディア・コンテンツなど幅広く従事。現局に異動後、TVer・Abemaなど配信事業のローンチ業務を経て、テレビやラジオのデータ・ソリューション開発を担当。
 
串田 昌紀/クシダ マサノリ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 メディアプランナー/マーケティングストラテジスト

メディア統合戦略・データドリブンPDCAを主担務とする。担当クライアントは携帯電話、化粧品、トイレタリー、医薬品、官公庁など多数。2020年より現職。統合マーケティングの観点からテレビメディアの活用メソッドを刷新する各種プロジェクトに携わる。
 
塚原 啓太/ツカハラ ケイタ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 プロデューサー

テレビ局ネットワーク1部を経て2014年 営業局へ異動。ヘアケアメーカーのメディア業務他、イベントの誘致・企画・実施・運営まで幅広く携わる。2017年より、現部署にてテレビタイム領域のプランニング業務に従事。
 
石橋 知博/イシバシ トモヒロ
ウェザーニューズ  取締役・常務執行役員

日本ヒューレット・パッカードを経て2000年にウェザーニューズへ入社。法人営業、個人向け新規サービスの立ち上げ、拠点をニューヨークに移し米国でのマーケティングディレクターに従事。現在はモバイル・インターネットを軸とした世界のBtoSコンテンツの事業全般を統括。2021年8月から取締役・常務執行役員。
 
藤田 雄一郎/フジタ ユウイチロウ
電通 アカウントプロデュースセンター ビジネス推進2部長

入社後、テレビ局に配属。タイム局担を経験した後に、テレビ業推セールス担当とデスクを経験。後に放送とデジタルの部署を経て、現在のアカウントプロデュースセンターに異動。外資系クライアントやアプリ関連会社を担当。
 
小柳 嶺/コヤナギ レイ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 スポット業務推進部 プロデューサー

イベントプロモーションを担当後、2014年より全国の放送局の担当として収益拡大に貢献。直近はアプリ・WEB獲得系/ブランディング系まで100社を超える企業のテレビスポットプランニングおよびバイイング領域を担当。
 
水口 奈津季/ミズグチ ナツキ
電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局 スポット業務推進部プロデューサー

スポットCM枠のプランニングやバイイングに従事。さまざまな業種の多岐にわたるクライアントのバイイングを経験。現在は、現場統括として、市場全体の動向把握、新たなバイイング手法の開発等を行う。

タクシーを、メジャーなものへ

「オリジナリティ」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第13回は、徳島の老舗タクシー会社を母体に、全国のあらゆる移動手段に革命をもたらしつつある「電脳交通」。そのビジネスの本質に迫ります。


18歳から22歳まで、メジャーリーガーを目指して渡米していた近藤社長。夢破れ、故郷の徳島に戻った彼は、祖父が経営する吉野川タクシーに入社する。タクシードライバーとしてのスタートだった。そこで目の当たりにしたのは、わずか9台のタクシーで赤字経営を続ける会社の姿だった。

この状況を、なんとかできないものだろうか、と思ったという。自ら経営改革に乗り出してみれば、わずか数年でのV字回復を成し遂げた。行動力があって、スピーディで的確。同じ中四国エリアの地方都市に暮らす筆者にとって、この会社は明らかに異彩を放っている。今回、その謎を探りに、電脳交通の門をたたいた。

取材は、とても魅力的なものだった。ひとつの質問に対して、近藤社長からは落ち着いているが熱い言葉が次々とあふれ出す。インタビュアーとして、用意しておいた次の質問内容を忘れてしまうほどだ。物事に革新を起こす人というのは、そういうものなのだろう。あなたが、地方のタクシー会社の社長だったとしたら、今、このコロナ禍で、一体、なにをしますか?筆者には怖くて、想像することすらできない。

文責:手代木 聡(電通西日本)

電脳交通:2015年12月創業。「タクシーのDXを推進する」をテーマに、タクシー事業者向けのクラウド型配車システムを提供。創業当初から使いやすく安価なシステムが西日本の中小企業を中心に評判を呼び徐々に日本全国へ事業を拡大。2018年にはNTTドコモ・ベンチャーズ、JR西日本イノベーションズ、JapanTaxi(現Mobility of Technologies)等から資金調達し年次200〜300%ペースで事業を拡大中。2020年には三菱商事やJR東日本スタートアップ等からも資金調達し、デマンド交通やMaaSとの連携など地域交通の維持・存続に向けたビジネスも展開している。
電脳交通:2015年12月創業。「タクシーのDXを推進する」をテーマに、タクシー事業者向けのクラウド型配車システムを提供。創業当初から使いやすく安価なシステムが西日本の中小企業を中心に評判を呼び徐々に日本全国へ事業を拡大。2018年にはNTTドコモ・ベンチャーズ、JR西日本イノベーションズ、JapanTaxi(現Mobility of Technologies)等から資金調達し年次200〜300%ペースで事業を拡大中。2020年には三菱商事やJR東日本スタートアップ等からも資金調達し、デマンド交通やMaaSとの連携など地域交通の維持・存続に向けたビジネスも展開している。

心が折れる、ということを知った。

「メジャーリーガーへの挑戦に挫折したことも、もちろん大きかったのですが、帰国した徳島の家業の状態がそれ以上の衝撃でしたね。がく然としました」。インタビューの冒頭、近藤社長はこう漏らした。

タクシーというものは、手を上げればすぐに止まってくれる。米や水、電気やガス、トイレットペーパーくらい、当たり前でなんでもないものだ。その当たり前のライフラインが脆弱(ぜいじゃく)な基盤で運営されていることに、近藤社長は震え上がったのだと思う。

手を上げれば、いつもそこにタクシーがいてくれる。などというのは、幻想だ。実際、地方でのタクシーの9割ほどが電話で手配されている。電話、というところがポイントだ。そんなもの、アプリとかで呼べばいいじゃん。と、都会で暮らす若い世代の人は思うだろう。その常識、例えば徳島で暮らしているおばあちゃんに通用しますか?という話だ。「ああ、これは、僕なんかが挫折して落ち込んでいる場合じゃないと思いました」と近藤社長は当時を振り返る。

近藤洋祐氏:  徳島市生まれ、メジャーリーガーを目指したアメリカ留学から帰国後、吉野川タクシーに入社、2012年に代表取締役に就任し、債務超過寸前の状態からV字回復を実現、2015年電脳交通を創業し代表取締役に就任。徳島大学客員教授。
近藤洋祐氏: 
徳島市生まれ、メジャーリーガーを目指したアメリカ留学から帰国後、吉野川タクシーに入社、2012年に代表取締役に就任し、債務超過寸前の状態からV字回復を実現、2015年電脳交通を創業し代表取締役に就任。徳島大学客員教授。

「電脳交通のサービスを一言でいうなら、タクシーの配車をいかに効率的にできるかということなんです」と近藤社長は言う。都会の駅前に並ぶタクシーの列、田舎の閑散とした駅前に1台も止まっていないタクシー、という状況をイメージしただけで、その無駄は、素人にも容易に想像できる。つまり、道端で手を上げればいつでも止まるタクシー、その代わりとなる体験にデジタルを使えないか、という発想だ。

仕組みそのものは、簡単だ。外国大手の流通会社の要領で、タクシーと人とをつないでやればいい。ここでいう人とは、お客さまもそうだが、運転手やオペレーターを含めた従業員全員のことだ。その簡単なことを実現するとなると、筆者のような凡人は思考が停止する。

需要は、ある。それをすくい上げる仕組みが、ない。

「コロナ禍でも、タクシーの需要そのものはあるんです。いわゆるビジネスパーソンが会社の社屋を出て、取引先へタクシーを飛ばす。夜は、歓楽街から、お疲れさまでしたーと、部長から順にタクシーへ乗り込む、といったようなケースは激減しています。が、足腰の弱ったご老人が、どうしても外出したい。小さな子どもや大きな荷物を抱えたお母さんが、目的の場所までどうしても今、行きたい。バス停や駅までの移動すら厳しい。というときに、頼りになるのはタクシーですよね?」そのタクシーをどうやってお客さまに提供すればいいのだろう、というところが近藤社長の発想の原点だ。

「タクシー利用の30%が法人。20%がいわゆる観光客。これらの需要はコロナによって、確かに激減しました。でも、残りの50%は、生活の足としてのタクシーなんです。ここの需要は変わらない。変わらないどころか、高齢化といったさまざまな要因から、むしろ増えている。デジタルを利用すれば、その悩みを解決できるのでは?というのが発想の原点です」

無線通信を利用したタクシー配車の仕組みは、タクシー業界に古くから根付いているやり方だ。最近では、スマホのアプリも出てきている。でも、それらを効率的に使っているタクシー会社はないし、アプリを器用に操れるお客さまも全国レベルで考えれば、ごくごくわずかだ。旧態依然とした、徳島の小さなタクシー会社がV字回復を図るには、これしかない、と近藤社長は考えた。

吉野川タクシーでドライバーをしていた頃の写真。徳島県は全国でもタクシー市場が最小であり、吉野川タクシーはその中でもわずか9台の車両で営業する小規模事業者にすぎなかった。
吉野川タクシーでドライバーをしていた頃の写真。徳島県は全国でもタクシー市場が最小であり、吉野川タクシーはその中でもわずか9台の車両で営業する小規模事業者にすぎなかった。

鉄道やバスは、タクシー会社にとってのライバルではない

「クラウド技術を使った配車システムを構築していく上で分かったことは、鉄道やバスはタクシー会社にとってのライバルではなく、むしろ、パートナーだということなんです」と近藤社長は言う。パートナーは、鉄道やバスだけではない。旅行会社や百貨店、学習塾や老人ホームに至るまで、ありとあらゆる企業が「人を輸送する」ということに課題を抱えている。そこにコミットすれば、田舎のタクシー会社でも社会をよりよいものにしていけるのではないか?というのが、近藤社長の思いだ。

「飛行機に乗って、目的地に着きました。その先のラストワンマイルを支えるのが、タクシーというのがこれまでの常識でしたよね?でも、タクシーとは、果たしてそれだけの価値しかないのか?Door to Doorで人やモノを運んでくれる身近な存在は、タクシーしかありませんよね?バスが通っていなく、自家用車もない、という状況で、秘境の温泉や絶景を楽しみたいと思ったら、移動手段はタクシーしかないじゃないですか」

近藤社長は「乗る前に運賃が分かる“事前確定運賃”がないのは、タクシー業界だけ」と指摘する。目的地で降りるまで料金が分からない。そんな乗り物は他にはない。だから、例えば旅行会社がプランを立てるときに、タクシーという移動手段をサービスに組み入れようとしても料金が分からないため躊躇(ちゅうちょ)してしまう。

「でも、実は2019年から一部のスマホ配車アプリを使えば、事前に運賃を確定するサービスも受けられます。でも、そんなことは、多くの人は知らない。電話一本で、同じサービスが受けられる環境がないかぎり、地方のご年配の方にとっては、なんの意味もない。ですから私たちは2021年から電話でタクシーを呼んでも事前に運賃を確定できるサービスを事業者向けに提供開始しました」

電脳交通が本社オフィスを構える徳島市は、人口約25万人で吉野川河口の三角州に発達した地域で市内を138もの川が流れる。徳島駅の在来線は一両編成のため、駅前よりも幹線道路沿いに大型店舗が建つ、住民の生活には車での移動が欠かせない典型的な地方都市だ。
電脳交通が本社オフィスを構える徳島市は、人口約25万人で吉野川河口の三角州に発達した地域で市内を138もの川が流れる。徳島駅の在来線は一両編成のため、駅前よりも幹線道路沿いに大型店舗が建つ、住民の生活には車での移動が欠かせない典型的な地方都市だ。

世の中を、俯瞰してみよう

「地方のタクシー会社の中には、経営改革をしなくても、決して大もうけはできなくても日々そこそこの売り上げが稼げるような会社も少なくありませんでした。そのため、なんとなく、今までのやり方を続けてきたのだと思います。僕は吉野川タクシーの経営再建の経験から「地方のタクシー会社の経営をもっと活性化できないかと思ったんです。今風にいえばDXということですが、発想の原点は、タクシーは人の幸せのために、もっと貢献できるんじゃないか、ということです」。近藤社長の話は、徐々にスケールが大きくなってくる。

採算の合わない事業というものは、どんどん切り捨てられていく。うまい魚を提供してくれる商店街の魚屋さんが、どんどん消えていっているみたいなことだ。でも、採算が合わないということと、顧客が求め、必要なサービスかどうかは別問題だ。「そこをつなぐのが、デジタルなんだと思います。世の中を俯瞰(ふかん)して、お客さまの心に本当に届き必要とされるサービスとはなんなのか?それを考えるのが、タクシー業にかぎらず、あらゆる業種の経営者の責務なのだと僕は思っています」

近藤社長によれば、俯瞰の視点にプラスして、企業としての責任や理念といった「内側への自らの問いかけ」が大事なのだという。それっぽい横文字のキーワードなど、瞬時にいくらでも思いつくが、一言でいえば「世の中を見渡した上で、覚悟を決める」ということだ。

吉野川タクシーは車両の行灯(あんどん:屋根に設置されているサイン)に社名を表示していない。小さな差別化を図るより、自らが顧客サービス充実に取り組み、地域のシンボル企業になろうと決意した証しとして、「TAXI」表記のみの行灯を採用した。
吉野川タクシーは車両の行灯(あんどん:屋根に設置されているサイン)に社名を表示していない。小さな差別化を図るより、自らが顧客サービス充実に取り組み、地域のシンボル企業になろうと決意した証しとして、「TAXI」表記のみの行灯を採用した。

街づくりこそが、タクシー会社の仕事 

「将来的には、街づくり、いわゆる都市計画の中に、タクシー業界が入っていけたら、と思っているんです」と近藤社長は、将来のビジョンについて語った。日本国内にはおよそ23万台のタクシーが走っていて、約35万人の就労者がいる。コロナ前のデータではあるが、年間でのべ14億回の乗客を運んでいる。この数字だけで、タクシーとは単なる乗り物ではないんだな、ということがよく分かる。「“地域交通”という社会基盤を支える座組みを、もう一度、作り直したいんですよね」

タクシー会社の仕事は、単に人を運ぶことではない。街というインフラを支える仕組みをつくることなのだ、と近藤社長は言う。そこでポイントとなるのが「デマンド交通」という考え方だ。現状のバスとタクシーのちょうど中間くらいの存在。Door to Doorで柔軟に移動しつつ、バスのように複数の人間を運ぶ。地域のニーズに応えながら採算性もある交通手段。そんな構想を聞かされただけで、筆者はなんだかワクワクしてしまう。小さな子どもや、田舎のおばあちゃんの姿を想像して、ワクワクと同時に、なんだかちょっぴり涙ぐんでしまった。
 

社名の電脳交通は1996年に設立された「電脳隊」が由来。電脳交通創業前、国内IT企業のキーマンと交流していた頃に元電脳隊の方々から多くの刺激や視座をもらい、タクシーとITの融合への思いが強くなったことや、近藤社長自身留学時にITによって生活が一変した経験があり、タクシー業界もIT活用による変革が実現できると感じ命名した。
社名の電脳交通は1996年に設立された「電脳隊」が由来。電脳交通創業前、国内IT企業のキーマンと交流していた頃に元電脳隊の方々から多くの刺激や視座をもらい、タクシーとITの融合への思いが強くなったことや、近藤社長自身留学時にITによって生活が一変した経験があり、タクシー業界もIT活用による変革が実現できると感じ命名した。

電脳交通のホームページは、こちら
タクシー事業者向け配車システムについては、こちら  
自治体・民間企業向けの地域交通ソリューションについては、こちら


なぜか元気な会社のヒミツロゴ「オリジナリティ」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。第13回は、徳島の老舗タクシー会社がきっかけとなって創業し、全国の暮らしそのものに革命をもたらしつつある「電脳交通」をご紹介しました。

season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


【編集後記】

都会で暮らしていると、タクシーなど(失礼!)会社や自宅から出て手を上げさえすればすぐに止まってくれるもの、という慢心がどこかにある。ところが、田舎の駅に降り立って、さてどうするか、という段になるとタクシーの姿が見当たらない。バスの運行表を見ても、一時間に一本しかない。その心細さを思い出すだけで、ゾッとする。

コンビニやスーパー、定食屋さん、飲み屋さんなどもそうだ。そんなものなら(重ね重ね、失礼!)一歩、街に出れば、いくらでもある。というのが、都会で暮らす人間に染み付いた常識だ。ところが、このコロナだ。今夜は、友達と飲みにいきたい気分だなあ、と思ったところで、店は開いていない。こんなにも、不安定な社会で暮らしていたのだ、ということをまざまざと実感させられた、というのが多くの人の本音だろう。同時に、当たり前のようにそこにあるものをリスペクトすることの大切さを教わった気がする。

手を上げれば、いつでもタクシーが止まってくれる。体調が悪くて、このままでは倒れてしまいそうだ、という時でも、いつでもタクシーが止まってくれる。その安心感を、全国各地に届けられないものだろうか、というのが、近藤社長が立ち上げたビジネスの骨の部分だと思う。

「経営の効率化」というものは、目的を達成するための手段でしかない。その目的とは、一体、何なのか。タクシー業界でいうなら、いつでも、どこへでも連れていってくれるという安心感だと思う。その安心感を届けるために、デジタルを使う。DXの本質とはこういうことなのだ、と改めて思った。

Twitter

甘利明が『日曜討論』で大ボラ連発!「スマホは日本の発明」も酷かったが、最も悪質だった嘘は「消費税の使途は社会保障に限定」

 明日、公示される衆院選を控えて、党首討論など各党代表による論戦がスタートしているが、何を言っているのかわからない岸田文雄首相を差し置き、際立ってツッコミが殺到しているのが、「口利き金銭授受問題」の説明責任から逃げつづけている自民党の甘利明幹事長だ。  甘利幹事長といえば...

リアルボーナスが「約1/4.9」で連チャン! シリーズ初の“天井機能”も兼ね備えた話題のパチスロ最新作!

 来年1月、いよいよ品種改良されたトマトの出荷が始まる。山佐ネクストの最新タイトル『スーパーリノSP』、その気になるゲーム性の概要が、徐々に攻略誌や攻略サイトなどで明らかになりつつなる。

 まずは5号機『リノ』から受け継がれる「リノシステム」について説明すると、ボーナスの抽選システムはボーナス中を含めた3つの状態で管理されている。基本的にはボーナスを抽選していない状態に滞在しており、トマトを揃える、即ち特殊1枚役を取りこぼすことでボーナス高確率状態へ移行。その後は5号機『リノ』ならば「約8分の1」と文字通り、高確率でリアルボーナスが抽選され、状態転落契機役を入賞させるよりも早くボーナスを引き当てられれば、ボーナスを揃えられる仕組みだ。

 ボーナスは特定手順を踏むだけで簡単に消化が可能。ボーナス終了後は必ずボーナス高確率状態から始まることから、3号機爆裂裏モノ時代を彷彿とさせる連チャンを味わえるというわけだ。

 6号機『リノ』シリーズ第2弾となる『スーパーリノSP』は、ボーナスへの足掛かりとなるトマトが4種類に増加した点が大きな特徴のひとつ。逆押し上段テンパイは従来の3択、同左上がりテンパイは期待度50%、同左下がりテンパイは期待度66%で、同中段テンパイ時は、その時点でトマト揃いが確定するようだ。

 また、リール停止後に突如として再始動→枠外からトマトが降臨する「天空トマト」なるパターンもある模様。特定ゲーム数消化でボーナス高確率状態へと移行する、シリーズ初の「天井機能」を搭載している点も見逃せない。

 加えて、通常時には選べる4種類の演出モードが用意されており、程よい告知と演出が魅力の「ノーマルモード」は遅れ発生でトマトに期待。「オキリノモード」はトマトもボーナスも完全告知で、液晶両脇のトマトが揺れたらトマトチャンス、レバーONでの告知ランプ点灯はボーナスが約束される。

 多彩な演出が楽しめる「トマト農園モード」はトマトやボーナス成立を演出でナビしてくれる、初心者オススメモード。残る「オリジンモード」は歴代シリーズと同じく基本、演出無しのシンプル仕様だ。

 肝心のボーナスはやはり、ビッグとREGの2種類で、ビッグは平均123枚、REGは平均62枚の獲得が可能(1G純増約4.7枚)。ボーナス高確率中の当選率は約4.9分の1まで強化されており、その連チャン率は86%(設定1)となる。

 このほか、ボーナス高確率状態転落後はチャンスモード移行に期待でき、移行後はトマトチャンス確率&50%トマトの期待度がアップ。トマト過去10回分の正解を確認できる「トマト収穫日記」も新採用されている。

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パチスロ『アイム』『ファンキー』に続く朗報! 6号機『ジャグラー』新作が始動!!

「ペカればボーナス確定」という単純明快なゲーム性で、老若男女問わず多くのユーザーから親しまれている超人気シリーズ『ジャグラー』。本格的にパチスロ6号機時代へと移り変わろうとしている現在も、変わらぬ活躍を見せている。

 昨年末、シリーズ初の6号機として登場した『アイムジャグラーEX』は、前作に比べてボーナス確率と機械割が全設定を通してパワーアップ。より遊びやすいスペックへと進化し、今なお好稼働を維持し続けている状況だ。

 ホール設置台数ランキングでは堂々の第1位(10月17日現在、Pワールド調べ)に君臨。今後のノーマルタイプ市場を牽引する存在であることは間違いないだろう。

 そして今年10月には、6号機として2作品目となる新台『ファンキージャグラー2』がデビュー。こちらもユーザーの期待に応える活躍ぶりを披露している状況だ。

 個性を前面に押し出したファンキー要素は本機でも健在で、「SPドリフトストップ」や「ガコマシンガン」など、前作を更にパワーアップさせたド派手な演出が楽しめる。

 スペック面においては、好評だったビッグボーナス偏向型を踏襲。ボーナス合算確率は「1/165.94(設定1)~1/1/119.6(設定6)」と前作よりも軽く、ビッグ連打によるまとまった出玉獲得にも期待できる。

 導入後の評判も上々といった様子。ホールでは終日「5000枚」クラスの大量出玉が形成されることも少なくないようだ。本機も『アイムジャグラーEX』同様にパチスロ分野を大きく盛り上げてくれそうだが…。

 販売元の北電子は、これらに続く更なるサプライズを提供してくれそうな気配。この度、『ジャグラー』シリーズ最新作と思われる新PVを公開し、大きな話題となっている。

「北電子の公式YouTubeチャンネルにて『Who’s Next?』というタイトルの動画が公開されました。28秒という短尺ムービーですが、『マイジャグラー』シリーズの『トラっぴ』と思われるキャラクターが登場しています。

また、動画では『ぷにっと新感覚』というワードと、七色に光り輝く肉球ギミックも確認できます。詳細は明かされていませんが、『アイムジャグラーEX』や『ファンキージャグラー2』に続く新たな6号機『ジャグラー』が始動したことは間違いないでしょう。続報が楽しみですね」(パチスロ記者)

 果たして、次に登場する『ジャグラー』はどのような仕上がりなのか。今後も北電子の動向から目が離せない。

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過去にNINTENDO64もアウト?ソニーに異例の罰金、隠れた中国リスク浮き彫り

 中国当局の苛烈な対応に日本国内では困惑の声が上がっている。共同通信は18日、記事『ソニーに罰金1700万円 中国の尊厳損なうと当局』を公開。記事によると、「日中戦争の発端となった盧溝橋事件から84年に当たる日に新製品を発表するとの広告を出し中国国家の尊厳を損なったとして、北京市朝陽区の市場監督管理局は18日までに、ソニーの中国法人に100万元(約1770万円)の罰金を科した」という。いったい何があったのか。

 ソニーの中国法人である索尼中国は今年6月30日夜、中国版SNSの微博(weibo)に、新製品のカメラの発表日に関して「2021.7.7 22:00 新机將至,敬清期待」と投稿した。ところが、この投稿にある「7月7日22:00」が、盧溝橋事件が発生した日時(1937年7月7日22時半ごろとされている)とほぼ同じだったため、微博などで批判が殺到。索尼中国は7月1日に謝罪に追い込まれていた。

 しかし騒動は収まらず、北京市朝陽区市場監督管理局があらためて索尼中国に対して「国家秘密漏洩、国家尊厳及び利益損害」に抵触したとして罰金を科したのだ。

かつては「NINTENDO64」もアウトになった

 中国に駐在経験のある大手家電メーカー社員は話す。

「確かに7月7日は中国にとって特別な日であることは間違いありません。しかし、今回の件で罰金とは。索尼中国にも中国人社員は多数います。現地法人の社員や従業員が、新商品リリースのタイミングを知らないなんてことはあり得ません。つまり事前に社内で、この日、この時間に新商品の広告を出すことに対して疑問の声が上がらなかったということでもあるのです。

 つまり、広告を出すまで現地法人の中国人ですら、こんなに大事になるとは思わなかった可能性がある。最近、中国のネット上では、ある種、国粋主義的な粗探しが盛り上がる傾向にあります。どの企業も現地の国家や民族の信条や尊厳を損なわないよう配慮しながら企業活動を続けているのですが……正直、厳しい情勢だと思います」

 大手総合商社関係者は話す。

「中国では、今回問題になった7月7日と同じように、安易に使ってはいけない数字がいくつか存在します。例えば、任天堂さんがかつて製造・販売していた家庭用据え置き型ゲーム機『NINTENDO64』。(2003年に)中国で発売するのにあたり、任天堂さんの中国法人は『神遊機』(iQue Player)と名称を変えて発売することになったのは有名ですよね。

 問題になったのは『64』という数字で、この数字は1989年6月4日に発生した天安門事件を想起させる数字として、中国当局が目を光らせていたのです。『天安門事件』という言葉が、中国のネット上でタブー視されていることは改めて指摘するまでもありません。

 中国当局の思惑はわかりませんが、今回の一件で我が国を含めた諸外国のメーカーがチャイナリスクの深刻さを実感したのは間違いないと思います」

(文=編集部)

 

JRA吉田隼人「やなとこ出してきたな」ソダシ惨敗の予兆はあった!? 秋華賞(G1)で繰り返された25年前の悪夢

 白毛のアイドル・ソダシフィーバーで盛り上がった今年の秋華賞だったが、牝馬ラスト一冠を制したのは三冠牝馬アパパネの仔アカイトリノムスメ。紅白対決ともいわれた決戦の舞台で、両親合わせて12冠の超良血馬が待望の初G1タイトルを手に入れた。

 これに対し、まったくいいところなく10着に敗れたのが、主役であるはずのソダシ(牝3、栗東・須貝尚介厩舎)だ。3着以内に4番人気アカイトリノムスメ→2番人気ファインルージュ→3番人気アンドヴァラナウトが入ったように、上位人気馬が実力通りの走りをした順当決着の中、ソダシのみが大きく崩れる惨敗を喫してしまった。

 単勝オッズ1.9倍の圧倒的1番人気に支持されながら、これは不完全燃焼ともいえる結果というよりない。

「イメージ通りの競馬は出来たのですが苦しくて走れませんでした。楽なペースだったのですが、今日は、いつもの感じではありませんでした」

 デビューからコンビを組み続ける吉田隼人騎手でさえ、レース後のコメントでパートナーの異変を感じていた敗戦。本来の実力を出し切れていれば、ここまでの大敗とならなかったのではないか。

「ファンの期待に応えられず申し訳ない気持ちです。ずっと競馬を使ってきて、今日はポケットから出たくなかったり、ゲートを苦しがるそぶりがあったり、競馬を嫌がるそぶりがあったかもしれません」

 吉田隼騎手がそう振り返ったように、この日のソダシはレース前から冷静さを欠いていたようにも見える。

「やなとこ出してきたな……動け、固まっちゃったよ、ほらぁ行くぞ。固まっちゃった……」(一部抜粋)

 カンテレ競馬【公式】のYouTubeライブ配信では、待機所で吉田隼騎手が促しても微動だにしないソダシの姿が映されていた。そしてレースに気持ちが向かっていなかったこの精神状態も、おそらくゲートにぶつけて歯が折れたといわれる流血の一因となった可能性もある。

「直前に行われた西宮S(3勝クラス、芝1800m)の上がり3ハロンが34秒2に対し、秋華賞(芝2000m)のそれが36秒5だったように、タフな流れだったことは確かです。ただ、前後半1000mのラップは61秒2-60秒0とペース的にはスロー寄りの展開。吉田隼騎手のコメントからも、舞台が異なるとはいえ、2000mを克服した札幌記念(G2)より楽な流れでした。

ゴール前で抜け出して止まったところを、後続に交わされたならまだ分かりますが、逃げたエイシンヒテンすら交わせないのでは……。距離が長かったというより、本来の走りではなかったと考える方が自然な気もしますね。一部では『マイルに戻すべき』や『ダートに転戦してみては?』といった声も出ていますが、まだその段階ではないと思います」(競馬記者)

 その一方で、ソダシの敗戦で思い出されたのが、遡ること25年前。同じく断然人気のエアグルーヴが10着に敗れた1996年の秋華賞である。このときは、オークス(G1)から直行だった上に、パドックでのフラッシュ撮影が続いため、返し馬でもパニック状態が収まらなかったとされる。レース後には骨折も判明したが、全く関係がなかったとも言い切れない。

 そして、今年の秋華賞でもソダシの姿を一目見ようとするファンも詰め掛け、当日の阪神競馬場はプラチナチケット化していた。コロナ禍の状況で入場制限があったものの、この日のパドックにいつも以上の撮影があったことは、想像に難くない。

「絶対に負けたくない」と馬以上にイレ込んだ陣営の仕上げが、匙加減に微妙な誤差を生んだり、過熱し過ぎたソダシフィーバーが、ソダシ自身の精神面に少なからずよくない影響を与えていたとすれば、残念としか言いようがない。

 ソダシの関係者の情報によると、幸い大事には至らなかったとのことで、脚元にも問題はなかったようだ。ターフで再び元気な姿を見せてくれることに期待したい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。