山口FG、アイフルとの新銀行構想が波紋…低所得者の死亡保険を返済に充てる

 山口フィナンシャルグループ(FG、山口県下関市、椋梨敬介社長兼グループCEO)は12月24日、臨時株主総会を開催し、吉村猛前会長兼グループCEOの取締役解任を求める。10月の臨時取締役会で、「吉村氏は取締役として資質を有していない」と判断。辞任を求める勧告を決議した。だが、吉村氏が辞任を拒否したため、臨時株主総会を開いて取締役解任を機関決定する。

 吉村氏に代わる取締役には曽我徳将専務執行役員を就ける方針で、曽我氏の選任議案も提出する。吉村氏が消費者金融大手アイフルと進めていた新銀行設立構想は「当社のビジネスモデルと整合しない」として、「検討を中止する」と発表している。山口FGは山口銀行(山口県下関市)、もみじ銀行(広島県広島市)、北九州銀行(福岡県北九州市)を傘下に持つ金融グループ。3行を合算した預金量(21年3月期)は10兆115億円で地銀上位である。

「守旧派の社内取締役が主導したクーデター」と吉村前会長

 新銀行設立の進め方をめぐって「社内の合意を得ないまま、独断専行した」と批判され、会長兼グループCEOを解任された吉村氏は11月29日、東京都内で記者会見を開き、「意見の聴取もなく、問答無用の闇討ち解任であり、違法なクーデターだ」と述べ、中立的な第三者委員会による再調査を求めた。6月25日の株主総会直後の取締役会で解任が決まって以降、吉村氏が公の場で説明するのは初めてだ。

 吉村氏はアイフルとの共同出資による新銀行構想を取締役会で議論せず独断で進めたとされる点について、「権限逸脱とされた新銀行構想は、まだ交渉の段階であり、執行権限の範囲内。検討が完了次第、取締役会で議論を行うのは当然。独断専行ではまったくない」と反論。新銀行構想を急いだ理由については、「個人ローンが主力の新銀行は、グループの稼ぐ力を上げるために必要だった」と強調した。

 同氏はさらに、「CEOの権限逸脱」と認定した社内調査本部の報告書について、「解任に賛同した取締役が本部長を務めた部署の報告書であり、結論ありきで中立性、公平性を欠いている」と批判。解任については「守旧派の社内取締役が主導したクーデターだ」と断言した。会見には、「社外に機密情報を漏らした」として10月に解任された渡部伸一元執行役員が同席。渡部氏は、「6月の吉村氏の解任に先立ち、一部の取締役が吉村氏の解任を働きかけるメールのやり取りをしていた」と暴露した。「この件を吉村氏や社外に伝えたことが、機密情報の漏洩とされた」と証言し、「公益通報者に準じて取り扱うべきで(解任は)不当だ」とした。吉村氏は「会長などの地位に戻ることが目的ではなく、株主らに正しい情報を伝えたい」とし、「第三者委員会で改めて独断専行と結論づけられた場合には、責任を取りたい」と語った。

 臨時株主総会を前に、「不利な情勢」(関係者)と見られている吉村氏が、あえて東京で記者会見を開いたことになる。「窮鼠猫を嚙むだ」(ライバルの地銀グループ首脳)といった冷ややかな見方もある。

アイフルとの新銀行構想では外資系経営コンサルタントをCEOに招く予定だった

 今年4月、取締役や幹部行員に届いた一通の内部告発が内紛に火をつけた。吉村氏の個人的なスキャンダルのほか、外資系金融コンサル会社オリバーワイマングループ(東京都千代田区)日本代表パートナーの富樫直記氏との癒着を指摘していた。

 富樫氏は日本銀行出身で、そのキャリアを生かし、多くの地銀を顧客にもつコンサルタントだ。かんぽ生命保険で不適切な保険販売が明るみに出た際、「金融商品の販売組織を郵便局という最小単位に切り分け、郵便局の運営管理を地域の金融のプロに任せては」と提言し、一部で関心を集めた。

「怪文書にしては内容が詳しすぎる。内部の支店長以上の人間が書いたものだ」と判断した社外取締役が調査チームを立ち上げた。吉村氏が“クーデター派”とみなした福田進取締役(監査等委員)が本部長を務めた社内調査委員会がまとめた調査報告書は、吉村氏に対する7つの告発事案を列挙し、「取締役辞任」を勧告した。富樫氏のコンサル会社への5億円の支出も確認された。

 吉村氏はアイフルとの共同出資で個人向けのリテール専門銀行の設立を計画。富樫氏をCEOに迎え、その親族を含むコンサル会社の社員数人を雇用する人事案が計画には盛り込まれていたという。さらに富樫氏の報酬は1億円以上と決められていたとされる。「この報酬は法外すぎる。ふざけた提案だ」と山口FGの取締役は激しく反発。これが吉村氏の会長解任の引き金となった。

 吉村氏が企画した「全国区の個人金融専門の銀行」は「格差社会におけるマスリテール層の生活改善のための金融を展開する」とうたっていた。顧客に毎月10万円を貸し出し、返済は貸出金が上限に達するまで利息のみにとどめ、顧客が死亡したら死亡保険を返済に充てるというもの。低所得者を対象に死亡保険で返済させるというビジネスモデルだ。

 死亡保険で貸し金を回収するのは、かつてのサラ金を思わせるような仕組みで、「金融庁が『銀行がやることではない』と不快感を示した」と山口FGの関係者は証言する。山口FGは銀行としての社会的責任が問われる事態となっている。

 第一生命保険の巨額詐取事件との関連はあったのか。怪文書が指摘した、数々の疑惑について、山口FGの経営陣は記者会見を開き、きちんと説明する責務がある。

(文=編集部)

ガーナ移民の子からヴィトン革命児へ…ヴァージル・アブロー、ファッション界の破壊

 本連載の9月掲載記事『ナイキ・ダンク「The 50」“見事な販売手法”を分析…アパレル販売の新常識&生き残り策』でご紹介したデザイナーのヴァージル・アブロー氏が11月28日、心臓血管肉腫による2年間の闘病生活の末に急逝した。享年41であった。

 ヴァージル氏は2019年9月に体調がすぐれずにオフホワイトのコレクション発表時に欠席したことはあったが、その際は多忙のため医師から休養が必要と指摘されたと発表。闘病生活中であることは公表していなかった。

 彼は、デザイナーとして自身が創業したラグジュアリー・ストリートブランド「オフホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」と世界最大メゾンのひとつルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のメンズ・アーティスティック・デザイナーも務めていた。親日家でもあり、学生時代に感銘を受けた現代美術家の村上隆との交流を通じて、DJ活動やアーティスト活動も高い評価を得ていた。今シーズンもルイ・ヴィトンと古い友人であるニゴ(NIGO)とのコラボも大きな話題になった。

 そのファッション界のトップオブトップの急逝に業界中から深い悲しみと死を惜しむ声が上がっている。今回は緊急寄稿として、天才ヴァージル・アブローの短すぎる41年間の多大なる影響と足跡を再検証してみたい。

1.革新を生み続けた21世紀が生んだ天才的デザイナーの軌跡

 彼の人格を語るエピソードに、LVMHグループが世界の新人デザイナーの登竜門として開設した「LVMHプライズ」選考時の逸話がある。LVMHプライズは優勝賞金が30,000ユーロ(約3,800万円)と飛び抜けて高額な上、優勝者はLVMHグループのエキスパートから1年間のメンターサービスを通して、ファッションビジネスのノウハウを習得できる。2018年にはアジア出身者として初めて日本人デザイナー、井野将之氏(DOUBLET)がウィナーとなったのも大きな話題となった。この最終選考には毎年7、8人が残りウィナーと特別賞が授与される。審査委員となったヴァージル氏は、受賞できなかった最終ファイナリスト全員に「僕自身も挑戦したが受賞できなかったんだ」と慰めと励ましの言葉を語りかけている。ヴァージル氏の人となりが充分に理解できる。

 1980年、ガーナからの移民のお針子の母とペンキ工場の責任者の父のもと、米国イリノイ州で生まれる。10代で音楽を通して芸術的感性を表現し始め、DJとしての地位を確立。ウィスコンシン大学マディソン校で土木工学の学位を取得後、イリノイ工科大学で建築学修士号を取得。洋服も建築も、背景を踏まえてデザインする点では同じと発言している。大学時代に知り合ったラッパーのカニエ・ウェストと共に、2006年フェンディでインターンとしての経験を持つ。

 そこで彼らは、当時のフェンディCEOで現在はルイ・ヴィトンの代表取締役会長兼CEOであるマイケル・バーク氏に出会った。その後「カニエ・ウェスト」ブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任。14年にミラノを拠点としてオフホワイトのデビューを飾る。オフホワイトは、ナイキやイケアとのコラボレーションで大きな成功を納め、その評価を大いに高めた。カジュアルアイテムにすぎなかったスニーカーのリメイクなどの手法で一大ブームを創る。

 ヴァージル氏はこのブランドを通じて業界の内外から注目を集め、Instagramのアカウントには1060万人以上のフォロワーがいる。18年にルイ・ヴィトンのメンズ部門のアーティスティック・ディレクターに就任。1854年創業の世界最大メゾンであるルイ・ヴィトン初の黒人デザイナーとしても注目を集めた。

 メゾンの歴史において、ファッションを正式に学んだ経歴もなくラグジュアリーと対極のストリートファッション育ちのヴァージル氏がこの地位まで上り詰めたのは奇跡と呼ばれた。前任キム・ジョーンズ氏が切り開いたルイ・ヴィトンとストリートファッションとの関係性をより確固にするには最適なデザイナーであった。

 2016年6月、初のコレクションではカニエ・ウェストの楽曲が流れ、多様性(ダイバーシティ)を象徴するレインボウカラーのランウェイが用意された。ヴァージルの友人も含む17人の黒人モデルのホワイトルックからスタートした。ショーのフィナーレでランウェイに登場したヴァージル氏。鳴りやまないスタンディングオベーションのなか、フロントロウにいた親友のカニエ・ウェストを見つけると、熱いハグを交わし、2人で涙を流した。世界のファッション業界にとって新しい時代を開いた象徴的なシーンが世界中に届いた瞬間であった。

 ヴァージル氏は新たなルイ・ヴィトンの歴史をその瞬間に創った。過去のプロトタイプを脱構築しながら、毎シーズン世界中の人々のワードローブに新しく解釈された新鮮な価値を提供した。

2. 歴史的ファッションヒエラルキーを破壊

 この秋、米国ボストン現代美術館でヴァージル氏の個展“FIGURES OF SPEECH”が開催された。過去約20年間のキャリアを振り返る約70点が展示された回顧展が、シカゴのシカゴ現代美術館とアトランタのハイ美術館に続いて公開された。彼がアフリカ系アメリカ人としてヨーロッパの歴史あるメゾンで展開したコレクションは、何を生み出したのであろうか。ファッションは常に時代を映す鏡であると表現されてきた。

 スノッブかつ豊かさの象徴であったラグジュアリーと、ストリートから生まれたファッションスタイル。社会の対極で芽生え拡散したファッションスタイルの破壊と創造。従来そこには、越えられない明確なヒエラルキーが存在した。ヴァージル氏は、歴史的ファッションヒエラルキーを破壊し、新しい価値観を提案した。

 若く新しい世代は、絶大な指示と賛同を寄せルイ・ヴィトンのビジネスを拡大させた。肌の色も出自も超えたダイバーシティを見事に表現し、新たな価値を提案した革命的なデザイナーだった。彼を支持した新しい世代の価値観が、これからのファッション業界をより素晴らしいものに進化させ、亡きヴァージル氏の存在が大きな意義をもっていたことが今後ますます証明されるであろう。黙祷。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)

●たかぎこういち

タカギ&アソシエイツ 代表/スタイルアドバイザー/コンサルタント(ファッション視点からの市場創造)/東京モード学園ファッションビジネス学科講師

1952年、大阪生まれ。奈良県立大学中退。大阪で服飾雑貨卸業を起業。22歳で単身渡欧後法人化代表取締役就任、1997年香港に渡り1998年、現フォリフォリジャパングループとの合併会社取締役に就任。オロビアンコ、マンハッタンポーテージ、リモワ、アニヤ・ハインドマーチなど海外ファッションブランドをプロデュースし、日本市場の成功に導く。また、第1回東京ガールズコレクションに参画。米国の有名ファッション展示会「d&a」の日本窓口なども務めた。時代に沿ったブランディング、MD手法には定評がある。2013年にファッションビジネスのコンサルティング会社「タカギ&アソシエイツ」を設立。著書に『オロビアンコの奇跡』『超入門 日・英・中 接客会話攻略ハンドブック(共著)』(共に繊研新聞社)、『一流に見える服装術』(日本実業出版社)、『アパレルは死んだのか』(総合法令出版)、『アパレル業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)などがある。

JRA 4月まで未勝利馬が「20馬身」6連勝!? 中央「失格」烙印押された馬がC.ルメール“大絶賛”の馬にモデルチェンジした裏事情

 27日、東京競馬場で行われた10RのシャングリラS(3勝クラス)は、C.ルメール騎手の2番人気クロパラントゥ(セ3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が勝利した。

 フルゲート16頭立てのダート1400m戦。若干出遅れ気味のスタートだったが、なんのその。最後は2着馬に1馬身1/4差をつける快勝にルメール騎手は「3番手で冷静に走っていました。いい馬です」とニンマリ。2着馬に騎乗していたR.ムーア騎手も「勝った馬が一頭強かったです」と称賛していたほどの強さを見せた。

 トップクラスの外国人騎手も舌を巻いた3歳馬はこれで中央3連勝。1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスと、とんとん拍子に勝利を積み重ねているわけだが、決してデビューから順風満帆で現在に至ったわけではない。実は一度厳しいJRAの競争社会からドロップアウトした過去もあるのだ。

 ダートで快進撃の続いているクロパラントゥだが、昨年9月の新馬戦は中山芝2000mでデビュー。当時管理していた鹿戸雄一師は「まずまず動けるようになってきた点に期待したい」と、武豊騎手を鞍上に送り込むも、結果は勝ち馬から1.2秒差の9着と惨敗してしまう。

 その後、去勢やブリンカーを装着するなど馬具を工夫して、未勝利戦の芝とダートで1戦ずつの計2戦使われたものの、いずれも二桁着順と振るわなかった。この結果に陣営やオーナーは中央では頭打ちと考えたのか、クロパラントゥはわずか3戦で地方のホッカイドウ競馬へ転入することになる。

 ホッカイドウ競馬の小野望厩舎へ移籍した同馬は、早速翌5月に移籍初戦の門別ダート1200m戦を迎えたが、中央に在籍していた頃とは別馬のような好発進を決める。クロパラントゥは、地方でのデビュー戦をなんと7馬身差の大楽勝で飾ったのだ。

 続く2戦目は1700m戦を使われたクロパラントゥ。前走から一気に500mの距離延長でも5馬身差で圧勝を決める。クラスが上がった3戦目も同じくダートの1700mを走ったが、今度は持ち時計を1秒以上縮めての勝利。そして、かつて芝でもダートでもいいところのなかった馬は、まるで別馬のような3連勝を飾って、再び中央へ復帰することになる。

 出戻った先は前回と異なる藤沢和厩舎だったこともオーナーの期待の表れだったのだろうか。地方で連勝中といえども、中央では未勝利の馬だったにもかかわらず、初戦からルメール騎手が起用されたことからも陣営の自信が伝わってくる。

 そんな陣営の期待に応えたクロパラントゥは、9月札幌の1勝クラスを快勝。5ヶ月前は未勝利戦で一桁着順も難しかった馬が、地方競馬を経て1勝クラスを楽勝できるほどまでに成長していたことも驚きだ。これには当時のルメール騎手も「地方でいい勉強をして強くなってくれましたね」と、ホッカイドウ競馬への移籍が大きかったことを証言している。

 クロパラントゥの勝利はホッカイドウ競馬時代も含めるとこれで6連勝。ここまで来るとデビュー当時とはまるで別馬のような成績といえる。

 JRAで未勝利に終わった馬が地方競馬へ移籍し、勝利を重ねて再度JRAへ戻るケースは何度もある。ただ、JRAの高い壁に阻まれる馬が多く1勝クラスを卒業できない馬は何頭もいる。それでもクロパラントゥが連勝を続けているのは、ホッカイドウ競馬へ移籍したことも大きく関係していそうだ。

 ホッカイドウ競馬は全国の地方競馬でトップクラスに強いと言われており、交流重賞でJRA勢に競り勝つシーンも珍しくない。また、今年のCBC賞(G3)で日本レコードを樹立したファストフォースやメイプルグレイトなどが代表に挙げられるように、近年は過去にホッカイドウ競馬で在籍していた馬が活躍するパターンが多くなってきている。

 クロパラントゥの次走は来年1月の根岸S(G3)を予定している。一度は中央で落第と判断された馬が、地方競馬時代も含めると2着馬につけた着差は計「約20馬身差」の6連勝。別馬のような変貌を遂げたキズナ産駒が、重賞でも勢いそのままに勝つことができるのか注目したい。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

シニアはスマホをどれだけ使いこなしている?~シニアの最新メディア事情~

能登氏と長尾氏

ビジネスへのヒントや気づきを提供したり、新しいマーケティングへの知見を開発したりすることを目的に、電通メディアイノベーションラボでは、オーディエンス(メディアや情報の受け手)の研究プロジェクトを推進し、オーディエンスにまつわるさまざまな関心に応える情報を発信しています。

今回は、マーケティングの重要なターゲットの一つ、「シニア層」について、長年にわたり高齢者へのデジタルリテラシー拡大に努めてきたNPO法人PCTOOL代表理事の能登貴史さんにインタビュー。最新のシニア事情やコミュニケーションのポイントなどを聞きました。

シニアとスマホの関係は?

長尾:本日は、富山県でNPO法人PCTOOL(ピーシーツール)代表理事としてご活躍されている能登さんをゲストにお迎えしています。能登さんには以前、シニア層に関する共同プロジェクトで大変お世話になりましたが、その後はどのような活動をされていますか?

能登:PCTOOLは、地域のIT化推進を目的に設立したNPOです。目に見える形として高齢者のためのパソコン教室を運営し、立ち上げて20年以上になります。最近では「市民活動サポートセンターとやま」の代表理事として、ネットワーク化の支援、セミナーでの啓発など、地域の社会課題のサポートにも取り組んでいます。

長尾:そういえば、PCTOOLの「PC」はパソコンのことではなくPersonal Communication の略、ということを前に伺いました。私どものテーマは、まさにコミュニケーション。本日はいろいろとお話を聞かせてください。

はじめに、シニアのネット利用、中でも「スマホでのネット利用」について伺います。【図表1】は年齢層ごとのスマホでのネット利用率のデータです。例えば、70代も約7割がスマホ経由でネットを利用しています。

【図表1】

インターネット利用率
ビデオリサーチ社「シニア+調査」(2020年、東京エリア)を基に電通が作成

続いて、【図表2】は1日のネット利用時間のグラフです。55-74歳をシニアと定義して行われた調査の結果です。ご覧のように、PCネットは上昇基調で、スマホネットはもっと急速に右肩上がりで伸びており、2020年にPCネットをスマホネットが超えています。

【図表2】

デバイス別ネット利用時間
ビデオリサーチ社「シニア+調査」(2020年、東京エリア)を基に電通が作成

シニア向けの雑誌(例えば「ハルメク」など)でも、シニアがスマホへスムーズに入っていけるような特集がよく組まれていますね。以上のようなデータをご覧になって、富山での実感値としてはいかがでしょうか?

能登:はい、スマホが間違いなくメインとなっています。携帯ショップでも、従来型のケータイはもうほとんど販売しなくなりましたね。

長尾:地方でもスマホが当たり前の状況ですね。皆さん、バリバリ使いこなしていますか? 

能登:私がふだん触れ合う65歳から78歳くらいの方々を念頭に話しますと、「持っているのと使いこなしているのは大違い」という点があります。

例えば、アプリのダウンロードすらできない人も多く見かけます。PCTOOLの教室でも、初心者のためのスマホ講座を始めていますが、「アプリを入れる」ということが思いのほか難しいようです。さらに、IDとパスワードの入力をしてアプリへログインするところも大きなハードルです。

長尾:そういった課題もあるのですね。逆に、スマホをすいすい使いこなしている人は、スマホでどんなことをしていますか?

能登:できる人はかなりアクティブですよ!女性は、お料理動画ですね!(笑)。あと、写真系アプリ。山歩き、花見、小旅行などに行って、撮った写真をコラージュしたり。

長尾:楽しそうですね!では、コミュニティ系の行動に関してはどうですか?

能登:私たちの教室では、Facebookを利用したコミュニケーションを勧めています。特に最近は、「オンラインサロン」が生徒さんたちの楽しみにつながっています。

自宅でラップトップ

長尾:オンラインサロン!皆さん、積極的に参加されますか?何か、モチベーションアップの企画とか、行われてるのでしょうか?

能登:本日同席の能登智子事務局長(能登代表の奥さま)が先生を務める教室でやっている企画ですが、毎日、早朝オンラインサロンで「クイズ」を出すんですね。このクイズを朝一番の楽しみとして、皆さんイキイキと参加されています。

長尾:面白いですね!ちなみにどんなクイズですか?

能登:例えば、四字熟語の2カ所を当てる穴あき問題です。日によっては、聞いたこともないような難しい熟語のときもある(笑)。皆さん、一番に解答したくてわれこそは、とスマホで書き込んできます。クイズとともにその日の体調などもコメントで伺ったりしていますので、地域の見守り的な役割にもつながっていると思います。

長尾:次に、シニア層の動画視聴行動についてはいかがでしょう?

能登:多くの方が見ているのは、実生活に役立つものでしょうか。松の木の剪定(せんてい)の仕方とか。主婦の方だと、ネジの緩め方に困ったときに方法が分かる動画とか。また、教室では「YouTubeを活用して調べものをしよう!」という授業も行っています。

伝統的なマスメディアへの意識 

長尾:スマホを中心に伺ってきましたが、テレビやラジオなどの伝統的メディアについて、シニアの皆さんの向き合い方はいかがでしょう?

能登:テレビはシニアにとって今でも最大のメディア、その点は不動です。一日の長い時間、地上波テレビを楽しんでいます。

ただし、高齢者という視点から見たときに、昨今のテレビについては少し思うところもありまして。地上波の番組では、見ている人の社会不安や恐怖といったものを必要以上にあおるものが見受けられます。教室での雑談で「殺人事件は増えていると思いますか?」といった質問をすると、「増えている」と答える人が多いんです、実際の統計ではそうではないのに。不安な気持ちが増すと、BS放送やラジオへ切り替えてしまう人もいます。

長尾:シニアは「楽しさ第一主義」であるという言葉を、以前、能登さんからお聞きしたのを思い出しました。ところで、ラジオという言葉が出ましたが、昔からラジオはシニアに強いメディアですね。

能登:お年寄りは、不安でないもの、安心・安全なものを好みますから、ラジオにはとても親しみが深いです。ご当地人気パーソナリティの番組のような「ほんわか」したものを、シニアは求めていると思います。

それでいうと、このデジタル時代に、「ラジコ(radiko.jp)」やNHKの「らじる★らじる」の役割も大きいですよ。ウオーキング中やお料理中に聞いているという人も多い。ニーズは高まっていると思いますし、私の周りでも楽しんでいる人が増えています。

長尾:ラジオ業界にとって元気が出る話ですね。実際、ラジコの利用経験者率がシニアで伸びている、というデータもあります(【図表3】)。そういえば、能登さんご自身も富山県のコミュニティFMの番組パーソナリティをされていましたね!

【図表3】

ラジコ利用経験者率
ビデオリサーチ社「シニア+調査」(2020年、東京エリア)を基に電通が作成

シニア層へのマーケティングやコミュニケーションのヒント

長尾:次に、シニアとお金の話になりますが、若い人よりシニアの方が「価格比較サイト」をよく利用し「特典の得られるサイト」も多用する、というデータがあります。一般に「シニア=裕福」などと語られることも多いですが、シニアは意外とコストコンシャスで消費の目は鋭いとも感じています。そのあたりについて、いかがでしょう?

能登:シニアは、お金にはシビアです。でも一方、必要と思うものには積極的に使う面も見られます。また、「商品は一度手に取らないと」という志向が強いと感じます。一度手に取ると納得感が出る。ネットで調べても、最後は売り場で直接商品を確認してから買う人が多いと思います。

長尾:そのような難しいターゲットへ向け、マーケティングで留意すべきことは何でしょうか?

能登:これからの時代は、どれだけ個へ寄り添えるかが大事だと思います。シニアも人により状況は千差万別。例えば、耳は少し遠いけれど目はよく見えるとか、目はよく見えるけれど体力がないとか、ふだんから文章を読む生活をする人とそうでない人とか。個によって状況はさまざまです。

長尾:そのような多様性へ、キメ細かく対応することが肝要なのですね。

能登:それと、もう一つの重要ポイントは、先ほども言いましたが「納得感」です。アプリの機能やメリットだけ述べても全然頭に入っていかないけれど、「このアプリでこう生活が変わるんだよ!」というふうに伝えるとよいということが、教室で教える中でよく分かりました。アプリ起点で語るのでなく、このアプリを使うとこんな楽しい生活が!という説明にすると、生徒さんたちはがぜん、顔が変わります。

長尾:能登さんが生徒さんへ、「孫との楽しい場面」を目標にお孫さんへ渡す「お年玉袋」を手作りする講座を教えられているのを、思い出しました。こういったことも、なぜパソコン教室に通うのか?ということへの納得感につながってますよね。

祖母とスマートフォン

最後に、広く「シニアとのコミュニケーション」という視点で、大事だと思うことをお伺いできますか?

能登:“距離感”が重要です。シニアの皆さんへの教室を展開してきましたが、常に生徒さんとの距離感には気をつけてきました。生徒さんたちに決して「お客さん」として接しないよう、気をつけています。おじいちゃんの生徒さんを、「田中さん」と呼ぶ代わりに「ケンちゃん」などと呼んで、親しく、できるだけ近い距離感で触れ合っています。

うちの教室では、物理的な“目の高さ”も合わせるようにしています。例えば、先生がしゃがみこんで説明するようにしたり。教える側が高い位置から教える「指導者」になってしまうとone wayの関係になってしまう。そうするとうまくいきません。僕らと楽しい環境で過ごす、というアプローチだとうまくいきます。

目線合わせがポイントです。一緒に楽しい時を持ち、声を聞きながら変化し続ける、という気持ち。そこから生まれるさまざまな新しいツールや世界は皆さんの幸せな生活に必ずつながりますよ、といった志が伝わることが鍵ではないでしょうか。

長尾:多くのシニアとの触れ合いを続けてこられた能登さんならではの貴重なお言葉を伺えました。いろいろとヒントが満載で、とても参考になりました。本日は本当にありがとうございました。


「シニアもスマホ」が当たり前の時代となり、スマホでのラジオ・動画・オンラインサロンなどコミュニケーションチャネルが拡大しており、マーケティングのチャンスはますます広がります。一方、不安をあおられるようなコンテンツやメッセージには気をつけ、いかに「楽しさ」へフォーカスし「納得感」を与えていけるかが、ポイントになりそうです。また、一人一人、千差万別な生活を送るシニアの「個」へ寄り添い、目線の高さを合わせたアプローチをすることが鍵になると考えます。

ご興味がありましたら電通メディアイノベーションラボの長尾までご連絡を(mediainnovation@dentsu.co.jp)お願いいたします。

【調査概要】
調査方法:訪問による調査対象者への依頼、電子調査票による調査
対象者抽出方法:エリア・ランダム・サンプリング
調査対象者:55-74歳男女
調査エリア:東京50km圏
調査時期:2020年4-6月
サンプル数:有効回収 1605s
調査実施:ビデオリサーチ
 
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マツキヨ、厳しい意見続出の5品…粘着力が微妙な絆創膏、折れやすい歯間ブラシ

 薬の販売だけでなく低価格かつクオリティの高い日用品なども取り揃え、日常生活を手助けしてくれるドラッグストア。なかでも、業界の人気を牽引してきた老舗チェーン店として知られているのが「マツモトキヨシ」だ。

 個人商店として1932年に産声を上げたマツキヨは、90周年を目前に控えた今年、ドラッグストア業界の大手である「ココカラファイン」と経営統合を果たすなど、再び勢いを取り戻している。

 そんなマツキヨはPB(プライベートブランド)である「matsukiyo」が人気で、熱心なリピーターも多いのだが、なかには少々首をかしげざるを得ない“要注意”な商品もある。そこで今回は、実際に使用してみて気になった「matsukiyo」の要注意な5品を選出したので、買い物の参考にしてほしい。

ハイドロコロイドパッド 薄型 水仕事用 12枚/525円(税込、以下同)

 絆創膏は、ちょっとしたかすり傷などを負ったときのために常備しておきたい医療グッズだが、近年は進化型の絆創膏も多く登場し、ドラッグストアにも並んでいる。

 この「ハイドロコロイドパッド 薄型 水仕事用 12枚」も、そうした進化型絆創膏のひとつ。“傷を治す体液の成分”を絆創膏のハイドロコロイドという素材がゲル状にして傷口にとどまらせることで、傷を早くキレイに治してくれるというのだ。さらに、高い粘着力と防水性もあるため、洗い物をしたりシャワーを浴びたりしても問題ないという触れ込みである。

 しかし、インターネット上では少々不満の声もあがっている。というのもこの商品、治癒能力自体には問題はないが、いかんせん粘着力が強すぎて、剥がすときに皮膚が引っ張られて痛いことがあるというのだ。その一方で、シャワーを当てていたら端からクルクルとめくれて取れてしまったという意見もある。もちろん使用状況によって変わるだろうが、進化型絆創膏はさまざまな種類が出ていることを考えると、もう少し別の商品を探してもいいのかもしれない。

プロテインバー塩キャラメル 36g/138円

 健康のためや趣味としてスポーツを楽しむ方は多いだろうが、運動効果を高めてくれるサポートアイテムとして、プロテインを多く含む食品を摂取しているという人も少なくない。最近はコンビニやドラッグストアでも、こうしたプロテイン配合の栄養バーなどが並んでいるが、この「プロテインバー塩キャラメル 36g」には厳しい意見も多くあがっている。

 管理栄養士監修のもと、プロテインを15gも配合しており、日々の運動をサポートしてくれるそうで、1本36gと良い意味で少量なので、さっと手早く食べられるのもちょうどいいだろう。

 ただ、味わいの面で賛否が分かれているのである。食べやすくて美味しいといった好意的な意見がある一方で、キャラメル味の薄さや油っぽい舌触りなどにあまり良い印象を持たない方も少なくない模様。この塩キャラメル味が舌に合わない方は、同シリーズにイチゴ味やチョコ味などもあるので、そちらを選んでもいいかもしれない。

キレイ長持ちお風呂用スポンジ 1P/327円

 寒くなってきた時期は、自宅でゆっくり湯船に浸かって暖を取るのもいいものだ。しかし、気持ちよくお風呂を利用するためには、浴槽の水垢などを落とす掃除も必須となってくるだろう。そんなときにこの「キレイ長持ちお風呂用スポンジ 1P」は重宝しそうだが、少々気になる点があるのだ。

 こちらは型崩れしにくいという高級ポリウレタンを使用しているだけでなく、無膜構造なので洗剤の泡立ちも良いという触れ込み。本品の上部にはフックなどに吊るしておける切れ込みと丸い穴が空いている。

 だが、その吊るしておくための配慮が裏目に出てしまっているのである。切れ込みと穴のせいで、握って使っていると先端がグニャグニャしてしまい、洗いづらい印象を覚えるのだ。洗いやすさを取るか、吊るしておける利便性を取るか、好みは人それぞれあるだろうが、効率よく浴槽掃除がしたいのであれば、別のスポンジを選んだほうが賢明かもしれない。

歯間ブラシL型 サイズ4(M) 8本/294円

 マスク生活でついつい油断しがちなのが、お口周りのケア。通常の歯磨きだけでは落ちにくい、頑固な歯と歯の間の汚れにも気を遣いたい。昨今のドラッグストアではそうしたシーンで活躍する歯間ブラシなどが数多くラインナップされている。

「歯間ブラシL型 サイズ4(M) 8本」もそんなデンタルケア商品。鶴の首のように絶妙に湾曲した長いヘッド部分が奥歯の間にもうまく届き、歯の汚れをキレイにしてくれるという。

 実際、ネット上では「持ち手も滑りにくく使いやすい」「お値段もお手頃」と好意的な意見も多いが、一方でヘッド部分の強度が弱く、「使っていてすぐに折れた」とする意見もあがっている。歯間ブラシに耐久度を望んでいる方には、おすすめしづらい商品といえる。

99%除菌 流せるトイレクリーナー 20枚×2P/206円

 最後は、今年4月のマツキヨ要注意アイテムの記事でも紹介した商品。あらためて選出せざるを得ないほど要注意ポイントが気になってしまうため、今回も紹介させていただこう。

「99%除菌 流せるトイレクリーナー 20枚×2P」は文字通り、トイレ清掃のために使うためのシート。約250mm×160mmのウェットシートが計40枚も入っており、便器やタンク、床やタイルといった場所を拭いたら、そのままトイレに流せるというのがウリだ。しかしネット上では、その機能性を疑問視する声が相次いでいる。

 というのも、パッケージから取り出そうとするだけですぐに破れてしまうほど、シートの耐久性が低いというのだ。気になる汚れも多いトイレ掃除の場面では、使っている最中にブチブチと千切れてしまうシートは、衛生的にも心許ないのではないだろうか。このようなトイレに流せるクリーナーは競合他社からもいくつも出ているので、本品以外を購入するほうが賢明かもしれない。

「matsukiyo」は、痒いところに手が届く商品を多く開発しているブランドだ。実際、性能に対して価格が安い良品が多くファンを獲得しているが、すべての商品がそうとは言い切れないようである。店舗に足を運んだ際は、こうした要注意アイテムに気をつけつつ、マツキヨで賢く買い物していただきたい。

(文・取材=A4studio)

※情報は2021年10月29日現在のものです。

横領・雲隠れ、新庄剛志のスキャンダル史…取材記者が見たBIG BOSS復活の裏側

 北海道日本ハムファイターズの新監督に就任した新庄剛志氏が球界の話題を席巻している。11月4日の記者会見ではワインレッドのド派手なスーツで登場し、「監督と呼ばないで、ビッグボスでお願いします」と語りメディアで大々的に取り上げられた。

「会見で新庄新監督は『優勝を目指さない』などの型破りな発言を連発し記者を驚かせました。引退後は野球界とも距離を置いていたので、日ハム新監督就任はまさにサプライズでした。新庄監督はツイッターで『僕が描いてる野球は3対4の野球。投手に0点で抑えろじゃなく、3点取られていいよ その代わり野手が4点取るから!』とその目指す野球スタイルを明かしています」(スポーツ紙記者)

 まさに現役時代を彷彿させるエンタティナーぶりで日本シリーズ前の球界の話題を独占した新庄監督。本稿では彼の知られざる過去について振り返ってみたい。

 じつは筆者は「週刊文春」時代に新庄氏にまつわる記事を多く執筆してきた。最初に彼の周辺を取材するきっかけになったのが「新庄剛志が離婚を決意した!-独占スクープ」(「週刊文春」2007年6月7日号)という記事だった。2006年シーズンをもってユニフォームを脱いだ新庄氏は、時を置かずして妻の大河内志保に離婚を切り出していた。

 親族によると大河内は新庄にとって初めて本気で好きになった女性だったという。二人は2000年に結婚。大河内は結婚により芸能活動を休止し、新庄氏がメジャー挑戦した際は共に渡米しサポートするなど仲睦まじい夫婦として知られていた。離婚情報は新庄氏の周辺から事情を聞き、親族に裏取りをして執筆し記事にした一本だった。

 報道時は離婚を認めなかった新庄氏だが、07年12月末に突如離婚を発表した。12月末というメディアが動きづらいタイミングで重要事項を発表するという手法は、当時かなり新しかった。年末年始の休みに入るタイミングは、記者がもっとも動きづらい時期である。ゆえにメディアで騒ぎになりにくいため、有名人にとっては過熱報道を避けることができるというメリットがある。その後も多くのタレントが同手法を使って重要発表を行うようになったが、その先鞭をつけたのが新庄氏の離婚発表ではなかったかと思っている。

 その後も「新庄元夫人を直撃、離婚スクープ記事にありがとう」(「週刊文春」08年1月17日号)、「離婚一カ月、新庄『誕生日パーティ』で新恋人発見!」(「週刊文春」08年2月14号)などの記事にも関わるなど、筆者はスター選手のその後を追い続けることになった。

横領問題

 引退してから5年あまり経った11年、一本の電話がかかってきた。

「じつは新庄くんはお金に困っているんだよ」

 ネタ元はこう語り、問題の概要を語り始めた。新庄氏は野球選手として阪神に入団したときから親族に資産管理を任せていた。ベルサーチの服を着、高級車を乗り回す生活スタイルを好んだものの、新庄氏自身はお金には無頓着な性格だった。ゆえに企業経営をしていた裕福な親族が、彼のすべての収入を管理するようになっていた。

 ネタ元はこう語った。

「会社経営をしサウナ付きの豪邸に住むお金持ちだった親族だけど、やがて会社の経営が傾き始めた。金策に困った親族は、こっそり新庄が野球選手として稼いだ巨額の金を使い込むようになったんだ。横領が発覚したのが離婚時だった。大河内に十二分な慰謝料を払おうと新庄は考えた。ところが蓋を開けたら、彼の資産はスッカラカンだったことに気づいたんだ。この横領問題は裁判になっているから調べてごらん」

 筆者は裁判資料などを確認に走り関係各所に取材を重ね、裏取りをした。そして「新庄剛志-<バリ島雲隠れ>のカゲに『4億円骨肉訴訟』」(「週刊文春」11年12月1日号)という記事を書いた。新庄は横領した親族を信じ切っていたが故に、プロ野球選手として稼いだ億単位の金を使い込まれてしまった。取材では、新庄氏が「僕は親族を犯罪者にしたくない」と語り、苦渋のなか横領問題と向き合あっていた様を聞くことになった。

 自らの資産が横領されていた問題について、新庄氏は18年にテレビ番組などで告白をし、その総額は20億円にも達していたと語った。裁判で争われた4億円以外にも、さらに多額の不正があったことを明かしたのだ。

「Smart FLASH」(18年9月14日配信)のインタビューではこう語っている。

「(現役時代に)50億円稼いだ、税金払って20億円ある、芸能界引退した、バリに住もう。それで信頼して20億円を管理してもらっている人に『これからは自分で管理するので、お金を返して』って。それで、蓋開けてみたら2200万円しかなかったらどうする?」

 新庄氏は引退後、バリ島に移住した。そこで絵を描いたりモトクロスを楽しむといった隠遁生活のようなライフスタイルを好んだ。20億という横領金額は、おそらく新庄氏の引退後のライフプランを崩すものだったはずだ。日本でタレントや野球解説者として活躍するという選択肢もあるなか、彼がバリでの“隠遁生活”を選んだのは、横領問題があり「日本の生活に嫌気が差したから」(前出・スポーツ紙記者)ではないかとも囁かれた。

 年に数回来日しては、テレビ出演やCM撮影で一稼ぎして、物価の安いバリで悠々自適の生活を送る。かつて「オレ、一銭もなくても生きていける」と新庄氏は語っていたことがあった。この言葉をなぞるかのように、引退してからの彼はまさにどん底からの再出発を余儀なくされたのだ。スター選手として華々しく引退してからの15年は、新庄氏にとっては“暗黒期”だったといえるだろう。

 離婚や横領といったスキャンダル記事を書かれることは、おそらく本人にとっては嫌なことだったはずだ。筆者は記者として知り得た「事実」は書くというタスクを実行せざるを得なかったために様々な記事を書いたが、取材のなかで常々感じていたのは新庄氏の「人柄の好さ」だった。元妻に多額の慰謝料を払おうとした話、親族を「犯罪者にしたくない」と悩む様から、人間味を感じることが多かったのだ。横領については民事訴訟にはなったものの、本来であれば刑事事件になっておかしくない話だった。だが、筆者が知る限り新庄が親族を刑事告発したという話は聞こえてこなかった。

 人を恨まず前向きに等身大の人生を生きる、という姿勢が新庄のバリ生活には感じられた。そして過去を明るく笑い飛ばすところに、彼の人間的度量が表れていた。どのようなときもポジティブさを失わない姿勢が、現役時代と変わらないオーラを纏い日ハム監督として球界復帰を果たせた大きな要因になっているように思う。

新庄劇場の再来

 15年の暗黒期を乗り越えて、日ハム新監督に就任した新庄氏。彼には果たすべきある役割があるのだ、という。

「新庄氏は04年、メジャーから日ハムで日本球界に復帰しました。マスクを被るなどのパフォーマンスで話題をさらい『新庄劇場』と呼ばれ人気を博し、野球でも大活躍をし、のちに日ハムを日本一にまで押し上げたのです。同年から北海道に移転した日ハムの観客動員に新庄氏は大いに貢献したのです。今回の監督就任も、日ハムの球場移転が背景にあるといわれています。日ハムは高い賃料問題もあり、現在の札幌ドームから23年に新球場エスコンフィールド北海道への移転が決まっています。新球場は札幌市内からやや遠い郊外の北広島市に位置するため集客に不安がある。そこで新庄新監督で話題をさらい、新球場への集客につなげようと日ハムフロントは考えているといわれています。北海道移転時の新庄劇場の再来を、というわけです」(スポーツライター)

 新監督就任会見で、日ハムの畑佳秀オーナーは「このような重要な時期にチームを任せられるのは、ファイターズの北海道の初年度からの歩みをご存じで、そして北海道で初めて日本一、この偉業を成し遂げ、その功績者、立て役者であった新庄監督が最もふさわしいと考え決断した次第でございます。北海道はもとより、プロ野球界、日本のスポーツ界に新しい風が吹き荒れると期待しております」と語っている。

 同会見で新庄氏はこう語っている。

「引退して野球を見ることはほとんどなかったですね。いい意味でも悪い意味でも、向こう(バリ)にいて時代をわかっていないんで、新庄剛志らしくどんどんどんどん、時代の怖さなんか関係なく、突き進んでいけたらいいなと思っています」

 スキャンダルを乗り越えた人間は強い。15年の雌伏の時を経て復活した「新・新庄劇場」に期待したい。

(文=赤石晋一郎/ジャーナリスト)                                  

●赤石晋一郎/ジャーナリスト

南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。講談社「FRIDAY」、文藝春秋「週刊文春」記者を経て、ジャーナリストとして独立。

日韓関係、人物ルポ、政治・事件など幅広い分野の記事執筆を行う。著書に「韓国人韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」(小学館新書)、4月9日発売「完落ち 警視庁捜査一課『取調室』秘録」(文藝春秋)など。

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パチンコ「200連オーバー・10万発」の爆速シリーズなど新台へ注目…SS級マシンの激アツ情報も!!

 ファンを歓喜させる新台情報。先日は大都技研のキラーコンテンツ最新作『押忍!番長ZERO』の最新PVが公開され、大きな話題となった。

「番長シリーズ」を踏襲しつつ、新たな楽しみを堪能できそうな本機。動画では1G純増約2.7枚のAT「頂ROAD」や、「頂CHARGE」「番長ボーナス」といった要素も確認できる。これらによる「漢気ループ“零式”」が、大量出玉を生み出してくれそうだ。

 初代『押忍!番長』から16年。満を持して登場するシリーズ最新作が、パチスロの歴史に新たな1ページを刻むのだろうか。その仕上がりに期待は高まる。

 パチスロ分野にはSANYOのパチスロ新台『S聖闘士星矢 冥王復活』や、サミーグループの『アラジンAクラシック』といった話題作もスタンバイ。ファンのボルテージは確実に高まっている状況だ。

【注目記事】

パチスロ「機械割107.7%でも万枚」が続出…激熱シリーズ偉大な初代を振り返る!!

パチンコ新台『P真・北斗無双』の全貌が明らかに!初代を徹底的に意識した激アツ!!

 反響の大きさではパチンコ分野も負けてはいない。各メーカー渾身の新台が発表されており、その動向に熱い視線が注がれている。

 先述したSANYOは、「218連10万発」「約2時間で4万発」など爆裂情報が続出した『P大工の源さん超韋駄天』シリーズ最新作を導入予定。「完全無欠の黒き超韋駄天が、ふたたび旋風を巻き起こす」と紹介される新台『超韋駄天BLACK』へ期待の声が続出中だ。

 平和の看板シリーズ『Pルパン三世 2000カラットの涙』も話題の1台。「約81%継続×ALL1500発」の強力なRUSHを搭載した本機は、初当り時の50%が「1500発出玉+時短10000回(実質次回まで)」という破格のスペックで登場する。

 他にも業界初となる「ST×ループ」が特徴の『Pひぐらしのなく頃に~彩~』(Daiichi)や、人気作品とのタイアップ機『P刀使ノ巫女』(西陣)などのティザーPVが公開中。続報を待ちわびるファンは多いわけだが…。

 安定感を有しながらも「2万発レベル」の出玉が狙える仕様で快進撃を見せた“勝ち組”も、主役候補となりそうな新作を投入予定だ。

 SS級コンテンツ がついに始動。業界最高峰のオンリーワンスペックと宣言する「ハイブリッドミドル」を搭載した話題作の、激アツな新情報も発表され熱視線を浴びている。

 超人気ライトノベルを原作とするアニメとのタイアップ機ということで、大きな話題を集めた藤商事の『Pとある魔術の禁書目録』。確率約1/319.6の大当り後は必ず電サポ150回のSTへ突入する安心感、時として大量出玉を生み出すポテンシャルの高さは多くのファンを魅了した。

 そんな勝ち組「とある」シリーズ最新作『Pとある科学の超電磁砲』が登場予定。すでに公開されていたPVでは「藤商事が放つ 本命中の本命」「SS級コンテンツ 遂に、始動」「右打ち中の約50%が2000個OVER」「最大出玉約4700個」「継続率約80%」といった強烈な文言を紹介していた。

 第3弾では本作の主人公・御坂美琴をフィーチャーした特徴、第4弾では注目4大演出を中心に演出の数々が確認できる。藤商事の全力が見られる内容。早くも「主役候補」との声が続出していることも納得だろう。

 その仕上がりに期待は高まるばかりだが、本機に関連する興味深い情報もファンの間では大きな話題となっている。興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

『Pとある科学の超電磁砲』発表記念LINE友だちプレゼントキャンペーン

 応募方法は「藤商事とLINE友だちになってメニューをタップ」で完了。「アマギフ(2000円分)」が20名に当る(12月12日まで)。

『Pとある科学の超電磁砲』発表記念キャンペーン

 応募方法は「公式Twitterアカウントをフォロー」→「対象のツイートをRT」で完了。QUOカードPay(2000円分)が合計70名に当る(12月12日まで)。

JRA「プチブレイク」イケメンは甘いマスクだけでなく技術も一流! 女性ファンに大人気の三冠ジョッキーが関係者から愛される理由

 今年はG1・3勝を挙げた横山武史騎手を筆頭に、菅原明良騎手や岩田望来騎手など若手騎手の台頭が目立った一年だった。

 一方、その若手の活躍の陰で密かにキャリアハイを達成し、今年プチブレイクを果たしたベテラン騎手がいたことも忘れないでおきたい。

 先月14日に阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)では10番人気のアカイイトで大波乱を演出し、3年ぶりにG1を勝利した幸英明騎手だ。先述したように、今年はデビュー28年目にしてキャリアハイの79勝を挙げ、初の全国リーディングトップ10入りを目前にしている。

 幸騎手と言えば、45歳とベテランではあるが、実はかなりのイケメンとして有名だ。インタビューでの物腰の柔らかい話し方も相まって、女性ファンからの人気はトップクラスである。コロナ前には幸騎手の勝利時はウィナーズサークルに女性ファンがプレゼントを持って押し寄せていたほどだ。

 また、TwitterなどのSNSでも幸騎手に関する競馬関係者の投稿が度々みられる。元JRA騎手の藤田伸二氏は、幸騎手を後輩として可愛がっており、エリザベス女王杯の祝福メールをした際には、お礼に地元鹿児島産の焼酎を送ってくれる紳士な一面を紹介し、『律儀な良い男だ…』と称賛する。

 さらにこちらも元JRA騎手の田原成貴氏とは、田原氏が騎手時代に兄弟弟子の関係であり、エリザベス女王杯後には『英明、エリザベス女王杯おめでとう!思い切りのいい好騎乗やった!』と騎乗を褒める祝福のコメントをしていたように、女性だけでなく男性からも人気があるようだ。

 一方で、馬券派のファンからするとやや地味な印象が強いかもしれない。というのも、騎乗数が多いため名前は頻繁に目にするものの、人気上位馬に騎乗する機会はそれほど多くなく、騎手リーディング争いも無縁だった。またノーザンファーム系のクラブ所属馬よりも非ノーザン系のクラブ馬や個人馬主の所有馬への騎乗が中心であるため、競馬ファンからも注目されにくいという点があるだろう。

 ただ、一昨年史上最速での2万回騎乗を達成し、デビュー10年目以降はほぼ毎年800鞍以上騎乗するという驚異的な騎乗数を誇る鉄人であることも大きな特徴といえるだろう。それも、ただ数をこなしている訳ではなく、下位人気馬で穴をあける場面も多く、その実力は確かだ。やはりこれだけ騎乗依頼が多いというのはオーナーサイドや陣営からの信頼が厚い証拠だろう。ちなみに先週も日曜は9鞍、土曜はなんと全12レースに騎乗している。

 また今年は、九州つながりで縁のあるヨカヨカとのコンビでの活躍や、ヨカヨカと同オーナー所有のアカイイトでのG1制覇などで話題になった。さらにスティルインラブで牝馬三冠を達成した2003年に次ぐ、JRA重賞4勝を今年すでに挙げており、重賞などのビッグレースでも軽視できない存在になっている。

 今週末も土曜日阪神メインのチャレンジC(G3)でメイショウオーパス、日曜日中京メインのチャンピオンズC(G1)でサンライズホープに騎乗を予定しているだけに、侮れない存在となるだろう。特にサンライズホープは幸騎手騎乗の前哨戦シリウスS(G3)で重賞初勝利を挙げ、本番でも有力候補の一頭として挙げられている。

 今年の競馬も残すところあとひと月。活きの良い若手が多く台頭する中、28年目実力派ベテランジョッキーのいぶし銀の騎乗に注目したい。

(文=椎名佳祐)

<著者プロフィール>
 ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。

パチンコ「大当り消滅」で店員にガチギレ!? 取り返しのつかないホールでの“衝撃トラブル”3選!

 パチンコ・スロットはお金がかかるゲームゆえ、アツくなってカッとなってしまうことがあります。実際、客同士のトラブルやホール店員との言い争いなど、とんでもない修羅場に遭遇したことある方もいるでしょう。

 特に後者に関しては、台の故障などで客側が不利益を被る可能性があり、状況によっては客側が泣き寝入りせざるを得ないことも……。つまり、パチンコを打つ際は、常に何かしらのリスクを抱えながら遊技しなければならないのです。

 そこで今回は、筆者が実際に遭遇した事件を3つピックアップしてご紹介。今後遊技する際の注意点として読んでいただければ幸いです

【天井が発動しない!?データカウンターの誤作動でトラブルに】

 ご存知の通り、パチスロには「天井」という救済機能が搭載されており、AT・ARTタイプの機種のほとんどがこの機能を備えています。これは特定のG数を消化すると発動し、何かしらの恩恵を得ることができるシステムですが、天井までの「残りゲーム数」を確認する手段として用いられるのが、頭上にあるデータカウンターです。昨今は台の液晶上でも確認できるようになりましたが、ひと昔前はデータカウンターのみで判断せざるを得ませんでした。

【注目記事】

パチスロ「機械割107.7%でも万枚」が続出…激熱シリーズ偉大な初代を振り返る!!

パチンコ新台『P真・北斗無双』の全貌が明らかに!初代を徹底的に意識した激アツ!!

 ある日のホールで、客Aは1000G+αで天井に到達する某機種を遊技中。その時の残りゲーム数は約100Gと天井までもう間もなくでしたが、しばらくしてその台を見に行くと、1000Gを超えても通常画面のまま。

 最初は前任者のペナルティなどで天井ゲーム数が延長されているのかと思いましたが、その後も天井は発動せず……。この不毛な時間に痺れを切らしたのか、客Aは「なんで発動しないの!?」などと店員に猛抗議していました。

 こうなってしまった原因を直接店員に聞いたところ、本来カウントされるはずのREGボーナスがデータカウンター上に反映されず、実際の天井ゲームとデータカウンター上のゲーム数に「大きな誤差が生まれてしまったから」だそうです。

 ちなみに、筆者はこの不具合をだいぶ前から知っており、役職らしき店員に「あの台、データカウンターが壊れていますよ」とお伝えしていたのですが……。これをあえて放置していたのか、あるいは修理できなかったのか定かではないですが、このようなトラブルはホールの信用問題に関わってきますので、できるだけ避けてもらいたい事案といえます。

【いきなり玉が出なくなり、大当りが消滅する事態に……】

 続いては、パチンコでのトラブルをご紹介。絶賛稼働中の『P大工の源さん超韋駄天』や『P牙狼月虹ノ旅人』などで採用されている1種2種混合機や、長期稼働を実現している『北斗無双』などのV確タイプは、特定の領域(V)に玉を入賞させることでラッシュ(確変or連チャン状態)へ突入させることができます。

 しかし、その領域に玉を入れることができなければ、本来入るべきラッシュは無効(通称、パンク)となり、『北斗無双』であれば「ST→時短100回」、『牙狼』だと大当り自体が消滅してしまうのです。なので、液晶上で「打て!」と指示された場合は、ちゃんと玉を打ち出してVを狙う必要があるのですが……。

 その玉が何かのトラブルで発射されず、それでV入賞を逃してしまうことがごく稀にあります。よくあるケースは、下皿の玉がなくなって発射すらできないパターン。古い設備のホールだと、玉の循環機能がたびたび故障し、払い出されるはずの出玉が出てこないことがありますが、その復旧を終えるまでに下皿が崩壊してしまい、強制的にVパンクとなってしまうわけです。

 また、循環設備を修理する時間がない場合は、店員さんが台を開けて直接V入賞させる方法もあったりします。ただ、パチンコに詳しくない店員だと、V入賞の場所自体を分かっておらず、まったく関係ない「一般入賞口へ玉を入れる」というレアなパターンも2回ほど見たことがあります。

 プロのライターさんほどの知識を求めるつもりはありませんが、パチンコホールで働く以上、機械の基本的な仕組みは最低限理解してほしいところです。ちなみに、先述した被害者のお客さんは「おいおい!何やってんだよ!!」と、対応する店員に向かって大声で怒鳴っていました……。

【呼び出しても一向に来ない! マイペースすぎるホール店員】

 最後は些細なトラブルをご紹介。台のエラーやメダル補給などホール業務の対応があまりに遅い店員が稀にいますが、それに腹を立てるお客さんも中にはいます。もちろん、休日や連休などの繫忙期なら仕方ないことですが、客が比較的少ない平日でもマイペースに仕事をこなす店員はパチンコホールに限らず、どの分野のお店でも少しだけイラッとしますよね。

 パチンコ店で起きる腹立たしいシチュエーションは、パチスロでAT・ARTを消化している際のメダル切れ。特に大量出玉を期待できる展開で閉店時間が迫っている時は、貧乏ゆすりなどして苛立ちを露わにしている方もいます。

 まあ、これはプレイヤー側の都合であって、店員からすれば「そんなの、知ったこっちゃない」ことですが、冒頭でもお伝えした通り、パチンコ・スロットはリスクを伴う遊技。ですから、そのことをしっかり理解した上で対応してほしいものです。

(文=アルデバラン山本)
<著者プロフィール>
IT業界の闇を経験した後、ライターの道へ。学生時代から培ったパチンコ・パチスロの経験を活かし、機種の最新情報や実戦報告記事をメインに執筆中。『北斗無双』と『ディスクアップ』を愛してやまない働き盛りの30代。

 

岸田政権、北京五輪リスク浮上…高市早苗が外相を公然と批判、党内の対立激化

 自民党内で中国への対応をめぐる路線対立が激化している。直接のきっかけは林芳正外相の発言。11月21日に出演したフジテレビの番組で、18日に行われた日中外相電話会談で王毅外相から訪中の招待があったことを明らかにしたのだ。さらに、同日のBS朝日の番組では、訪中について「招請を受けたので、調整していこうということになっている」と踏み込んだ。

 これにさっそく、自民党内から反発が噴出。24日、党の外交部会で佐藤正久部会長が「間違ったメッセージを海外に出すことになる」とくぎを刺し、「来年は日中国交正常化50周年だが、非常に敏感な時期だ。考慮してもらいたい」と慎重な対応を求めた。

 ところが、自民党の福田達夫総務会長は、こうした党内からの反発に反論。26日の記者会見で、「厳しい関係になっている相手であればあるほど、対話のルートは必要だ。外相の職務を果たすのは当たり前のことだ」と、林氏の訪中に理解を示したのだった。

 元幹事長の二階俊博氏が親中派だったこともあり、安倍晋三政権時代から自民党内は中国への対応で、強硬派と対話派に割れてはいたが、岸田文雄政権になり、岸田氏が側近の林氏を外相に起用して、それがさらに顕在化してきた。透けて見えるのは、安倍氏の存在。自民党内の対中政策に、「安倍か、非安倍か」という構図が絡み合っている。

 林氏は外相就任にともない辞任したものの、日中友好議員連盟の会長だった。外相起用にあたっては、議連会長を理由に「対中関係で国際社会に間違ったメッセージを与えかねない」と安倍元首相が難色を示したとされる。

 安倍氏が林外相を阻止したかったのは、本音では地元山口県で、林家が親の代から続く政敵関係にあるからだろうが、対中政策の違いは安倍氏にとって林氏攻撃のひとつの材料になりつつある。

 福田氏は福田康夫元首相の息子。康夫氏と安倍氏は同じ派閥(清和政策研究会=現安倍派)だったが、政策も政治手法も異なり、両者には距離があった。康夫氏は、日中の民間団体が開催した先月25日の講演会でも、来年の日中国交正常化50周年について、「今のような緊張と対立のコースを歩み続ければ、50年築き上げてきた平和友好関係は大きく傷つけられる」と懸念を表明している。息子の福田達夫氏ももちろん安倍派に所属してはいるが、父親同様に安倍氏とは距離がある。

 一方、佐藤氏が会長を務める外交部会は党の政務調査会に連なる組織。つまり、いまや安倍氏と一体化している高市早苗政調会長の傘下にあるのだ。

「自民党内は、政調会は高市会長の下、古屋圭司会長代行、新藤義孝会長代理など安倍シンパの対中強硬派がズラリ。一方、総務会は福田会長の下、森山裕会長代行、小泉進次郎会長代理と菅義偉前首相や二階元幹事長に近いメンバーです。党の組織が安倍氏との距離感で分断されたような状態に見えます」(自民党関係者)

岸田外交の最初の試金石

 直近の課題は、欧米が検討している来年2月の北京五輪の「外交ボイコット」への対応だ。中国国内の新疆ウイグル自治区や香港などでの中国当局の人権問題を理由に、米国のバイデン大統領は自身や米政府当局者を北京五輪には派遣しない意向。これに対し日本は、岸田首相が「日本は日本の立場で物事を考えたい」と話し、独自路線を行く可能性も出ている。政府内では「スポーツ関係の人物なら」と、室伏広治スポーツ庁長官を派遣する案も浮上しているという。

 安倍氏と高市氏は岸田首相の牽制に余念がない。高市氏は24日の講演で、林外相の訪中について「(外交部会の)佐藤先生がそのうち外務省や官邸に乗り込んでいく事態も想定されるのかなと思っている」と発言。中国の人権問題について「台湾が万が一、今の香港の状況になってしまったら、地獄のような状況が生まれる」と話し、北京冬季五輪の「外交ボイコット」について「相当高度な政治判断をしなければいけない」と迫った。

 安倍氏は以前から台湾の李登輝元総統の墓参りをしたいと話しており、首相経験者初の台湾訪問に意欲を示している。訪台すれば、岸田政権は苦しい立場に追い込まれるのは間違いない。

「岸田首相は参院選までは、対中政策で硬軟織り交ぜたどっちつかずの対応で乗り切りたい考えだろう。選挙向けには、安倍さんや高市さんに期待するタカ派の『岩盤支持層』の支持をキープする必要もあるので、敵基地攻撃能力の保有や憲法改正について前向きな発言もしています。岸田首相は上手に安倍さんを立てつつ、それでもじわじわ安倍離れを進め、参院選後に独自カラーを出していくのではないか。参院選が終われば、衆院解散をしなければ3年間は選挙がないので、じっくり本格政権作りに臨める。ただ、北京冬季五輪は日米関係も絡むし、参院選の前ですからねえ」(官邸事情通)

 北京冬季五輪をどうするのかが、岸田外交の最初の試金石になりそうだ。

(文=編集部)