第2回:OOHの「世の中ゴト効果」を実証せよ!

街の屋外看板や電車内の広告など、家の外での広告接触を担うOOH(Out Of Home)。

OOHは効果検証が困難なため、今まではリーチ・サーキュレーションなど「どれだけの人が接触しうるか」が重要指標でした。しかし、実際にOOHを出稿する目的は、「世の中の話題にしたい」「話題化によって生活者の態度変容を効果的に起こしたい」など、リーチ・サーキュレーションでは説明できない効果を狙う企画が多くなってきていると強く感じています。

電通は、OOHにはこのような「世の中ゴト効果」があるのでは?という仮説から、効果検証プロジェクトを発足。実際に「世の中ゴト効果」を可視化しました。そこからさらに、効果的なプランニングを態度変容起点で行えるツール(β版)を開発。今後、利活用できるソリューションの開発に向けて始動していきたいと思っています。

OOH価値検証プロジェクト

OOHプランニングに携わる電通社員が集い、OOHの秘めた可能性や効果検証の方法を議論した第1回の座談会に続き、今回はOOHの配信プラットフォームを運営するLIVE BOARDの小林春輝氏を迎え、「世の中ゴト効果」の検証結果について語り合います。

第1回:OOHには秘めたる価値「世の中ゴト効果」がある! 

プロフィール写真
【参加メンバー】
小林春輝:OOH局にて位置情報データを活用したOOH広告の効果検証メソッド「OOH LIQUID」の開発に従事したのち、LIVE BOARDに出向。LIVE BOARDではドコモデータ(モバイル空間統計®※1+その他位置情報等)を活用したプランニングツールの開発サポートや、データドリブンなプランニング・効果検証を担当している。
 
福田博史:第3統合ソリューション局 シニアソリューションディレクター。さまざまなメディアのソリューション開発・立案を担当し、今回のOOHメディアの「世の中ゴト効果」プロジェクトの推進メンバーも務める。
 
粕谷厚介:アウト・オブ・ホームメディア局 メディアプランナー。OOHメディアを中心としたメディアプランニング~検証フェーズまでを一手に担う。幅広い業種へのLIVE BOARD
のセールス実績を持ち、日々、OOHの未来を開拓している。
 
古池茜:OOH局プランナーを経て、現在はデータ・テクノロジーセンターで「テレビ×デジタル×OOH」のトリプルメディアを活用したオン・オフ統合プランニング~効果検証スキームの開発まで携わる。
 
 ※1 「モバイル空間統計」は株式会社NTTドコモの登録商標です 

 

ドコモデータ(モバイル空間統計®+その他位置情報等)を活用した高精度な効果検証基盤

福田:私たちが掲げる「世の中ゴト効果」とは、生活者が広告に接することで「みんながこの広告を見ている」「世間で話題になっているに違いない」という意識を生み出し、商品・サービスの内容理解や、購入・利用意向がリフトアップする、マスメディア特有の世の中の盛り上がりを見せる効果のことを指します。

今回、OOHの「世の中ゴト効果」を可視化するために活躍していただいたのがLIVE BOARDの検証基盤です。はじめに、LIVE BOARDの特徴を改めて小林さんにお聞きしたいと思います。

小林:LIVE BOARDはNTTドコモと電通による、OOH領域のジョイント・ベンチャー・カンパニーです。ドコモが保有するモバイル空間統計®・その他位置情報等を用いて、国内初となるインプレッション(広告視聴者数)に基づく広告配信を実現しています。狙いたいターゲット/モーメント/エリアに応じて適切な広告を配信し、その効果検証もできるOOHメディアである点が最大の特徴です。

LIVE BOARDのターゲティング

福田:いわゆるDOOH(Digital Out of Home:デジタルサイネージを活用した広告)ですね。従来のOOHでは難しかったプランニングを可能にするだけでなく、効果検証の基盤としても優位性があるんですね?

小林:従来のOOHの効果検証は、「OOHの視認エリアにいたと回答した人」にアンケートを実施し、実際にOOHを見たのかどうかも含めて、アンケート対象者の記憶や印象に頼らざるを得ませんでした。一方でLIVE BOARDは、ドコモの位置情報データを使い実際の来訪履歴も同時に確認することで、アンケート対象者を精緻に選定し、ブランドリフトや態度変容のリサーチを高い精度でご提供しています。

粕谷:OOHの「効果の見える化」に対するニーズは高いですね。実際、ある動画配信サービスのクライアントが定期的にLIVE BOARDを活用しているのは「調査がきちんとできるから」という理由で、こういったクライアントが増えている印象がありますね。

小林:ありがとうございます。これまでの調査から、LIVE BOARDによるOOH広告出稿の効果には3つの特徴があることが分かっています。
①リーセンシー効果(広告が購買行動に影響を与えること)が高い
②若年層への訴求効果が特に高い
③テレビ×デジタル×OOHの掛け合わせで、①・②の効果がさらに高まる

効果があることをイメージしていた人は少なくないと思いますが、きちんと数値で可視化できること、また、世代別にOOHの効果がどのように異なるのかも含めて高精度に検証できるのはLIVE BOARDならではの魅力だと私は思っています。

福田:精度の高い調査だからこそ、「世の中ゴト効果」の検証も可能になる。この検証基盤ひとつとっても、LIVE BOARDにはOOHの常識を変える大きな可能性があると感じます。

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「世の中ゴト効果」の正体は、CM印象/人気感/売れ行き感

福田:これだけ優れた検証基盤があれば、OOHの「世の中ゴト効果」を証明できるはず。そのような仮説のもと、私たちはLIVE BOARDを活用した検証を進めました。ポイントは、「単に広告を認知したときと比べて、“世の中で話題になっている=他者推論が発生したとき”のほうが生活者の購入・利用意向を高める」という点。これをどう検証するのか、けっこう試行錯誤したんですよね。

OOH広告を認知した人の意思決定の要素と流れ

小林:そうですね。OOHの持つ世の中での話題感が購入・利用意向にどう影響を与えているのかを突き止めるために、生活者の広告認知から購入・利用意向までの一連の意識を構造化する作業が非常に大変でした。

調査報告などで「相関関係がある」という言葉を耳にする方も多いと思いますが、その分析では「因果関係」までは明らかにできません。仮に「世の中での話題感」と「購入意向」に相関関係があったとしても、「世の中で話題になっているから、購入意向が高まった」のか、「購入意向が高まっているから、世の中でも話題になっていると感じるのか」までは分からないのです。

福田:なるほど、どの要因が、他の要因に対して影響を与えているのか、その因果まで明らかにする必要があったのですね。

小林:そうです。因果関係の仮説は無数にあるので、事前にクロス集計や相関分析をかけることで、より良い仮説を絞り込んで検証を行いました。その結果、3つの要素が「世の中の話題感」の正体であることが分かりました。

①CM印象
世の中の人は、このCMが印象に残っているだろう
②人気感
世の中の人は、これが好きだろう
③売れ行き感
世の中の人は、これを購入・利用したいと思っているのだろう

「世の中の話題感」3つの要素

広告の認知から「世の中ゴト」を介した購入・利用意向は、単純に個人で意思決定をした購入・利用意向と比較すると、1.43倍に高まることが明らかになりました。

福田:これまで、生活者の態度変容を調べるときは、本人の中での意識の差を検証するケースが一般的でした。今回、実は「世の中の人がどう思っているか」という生活者の推論が、興味や購入・利用意向に影響を与えることが分かり、「世の中ゴト効果」という新しい評価軸を確立できたことは大きな意義があったと思います。

小林:今回はLIVE BOARDの59件の調査事例を活用して、購入・利用意向と「世の中ゴト効果」の因果関係を証明することができました。しかし、「実際に購買した」という部分に関する因果関係は案件数が足りず、十分な検証が行えませんでした。今後、LIVE BOARDの事例が増えることで実際の購買との因果関係まで明らかにしたいと考えています。

OOHは生活者の購入・利用意向を高めることができるメディア!

小林:なお、15〜69歳の年代では「世の中ゴト」を介した購入・利用意向は1.43倍に高まりますが、15〜29歳の若年層では2.44倍になることも明らかになりました。若年層が特に効果が高いという、この調査結果は意外でした。

福田:そうですね。若年層がSNSをはじめ、スマートフォンを中心に生活している中で、屋外にあるOOHメディアの効果が高いという結果には、私たちも驚きました。

小林:一般的に、若年層は「明るさに反応しやすい」傾向があるためか、弊社の調査事例にも若者層は「DOOH(デジタルOOH)広告の視認率が高い」「DOOH広告の視認態度が良い」といった特徴が見られました。視聴態度の良さが結果に影響したのでは、と私は感じています。

若者層は「DOOH(デジタルOOH)広告の視認率が高い」
福田:新しい発見ですね。今回の検証結果が全体のコミュニケーションにどのぐらいのインパクトを与えるのかも明らかにする必要があると思いますが、「世の中ゴト効果」を利活用するための良いスタート地点になったのではないでしょうか。

粕谷:私もそう思います。以前から、クライアントも肌感で「世の中ゴト効果」を感じていましたが、今回、それをきちんと可視化できたことで、OOH活用について非常に納得感を持っていただけるようになりました。特に「若年層に効果がある」という部分については、近年、デジタルに代わるコミュニケーションを模索しているクライアントも多いので、その解決策の一つとしてご提案できると考えています。

古池:私も、ここ1年間LIVE BOARDに関わる中で、クライアントから「LIVE BOARDは誰に効果があるの?」といった質問を頂くことが多々ありました。そのお問い合わせに対して、根拠のある数値をもとに「若年層に効果が高い」とご説明できることは、プランナーとしても非常に心強いです。

福田:若年層はもちろん、そもそも年代に限らず生活者の購入・利用意向を1.43倍に高めること自体、コミュニケーションの手段として大きなポテンシャルを感じますよね。他のメディアでも購入・利用意向を高める努力はしているものの、5〜10%アップを見込むことに苦労するケースも少なくありません。その点、OOHメディアによってブランドリフトの大幅な上昇をたくらむことができるのは、非常に魅力的だと思いました。

では、今回の検証結果で分かったOOHの「世の中ゴト効果」を活用すると、どのような価値や未来が創れるのか?次回はその議論を深めていきたいと思います。

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脆弱な接種センター予約システム、委託先企業の顧問は竹中平蔵氏…パソナ利権と酷似

 自衛隊が5月から約半年にわたり開設した新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターをめぐっては、東京センターでの防衛省所管の予約システムの脆弱さが批判された。センター開設は菅義偉前首相の突然の命令によるもので準備期間が短すぎたという事情はあるが、日本政府のITリテラシーの低さを国民の前に露呈することになった。関係者や専門業者への取材に基づき、具体的に検証する。

そもそも20日間しか準備期間がなかった

 問題が多く発生した東京センターの予約システムは東京、埼玉、千葉、神奈川の住民が対象で、予約サイトに自治体から届いた接種券に記載されている「市町村コード」と「接種券番号」「生年月日」を打ち込む仕組みだった。本来センターでの接種資格がない人が適当な数字を打ち込んだ場合でも架空に予約できることや、正しい番号を打ち込んでも予約ができないなどの不備が受付開始直後に発覚し、防衛省が対応に追われた。

 IT立国を掲げて久しい日本政府としては目を覆いたくなる惨状だが、なぜこのような事態になったのか。内情に詳しい防衛省幹部は「第一は準備期間の短さ」と指摘する。菅氏が4月23日に「7月末までの高齢者へのワクチン接種完了を目指す」と発言し、25日に報道先行でセンター開設が周知され、27日に防衛省に正式に指示が出て、翌28日から同省はセンター設営を開始した。予約サイトでの受付は5月17日に開始予定だったため、準備時間は20日間と極端に短く、完璧なシステムを構築するのは厳しかった。

IT業者「防衛省の発注要件がずさん」、東京と大阪で別の業者が運営も問題

 一方で、コロナ禍は20年から本格化しており、全国民を対象としたワクチン接種の必要性はその頃から唱えられていた。予約システムが必要なのはいうまでもなく、たった20日間で突貫工事をやっていること自体、コロナ禍収束に向けた見通しの甘さを物語っている。あるIT業者は「何のトラブルもない完璧なシステムをつくるのは不可能」としながらも、「あまりにレベルの低いミスで、防衛省からの発注要件がそもそも杜撰だった可能性が高い」と話す。

 さらに、大規模接種センターは東京と大阪に設置されたが、東京でトラブルが続出したのは運営業者がそもそも分かれていたからだ。東京は日本旅行、大阪は東武トップツアーズが運営業者に選定されたが、予約システムを別個にシステム業者に発注することを許した時点で、接種状況を一元管理できる運営体制が整っていたとはいいがたい。

東京センターのシステム業者顧問に竹中平蔵氏、東京五輪のパソナと同じ利権の構図

 東京センターの予約システムの構築を受託したのは人間ドックの予約ポータルサイトの開発・運営を手がける企業「MRSO(マーソ)」だが、21年2月には東京センターの運営業務を受託した日本旅行と提携しており、その関係性から今回受託したものとみられる。

 ただ、このマーソ、経営顧問には菅政権の成⻑戦略会議委員を務めた竹中平蔵元経済財政担当相が16年から就任している。竹中氏は今年コロナ禍と東京五輪を食い物にしていると批判を浴びてきた。会長を務める人材派遣大手パソナグループの21年5月期連結決算の最終利益は前期の約10倍の約680億円。コロナ禍で急減した前期からV字回復した格好だが、官公庁や企業から業務プロセスを請け負う「BPOサービス」の受注が急増したためだ。東京五輪の人材派遣をめぐっても人件費の「中抜き」が非難されたが、今回の東京センターの予約システムの受注プロセスも「業績というより竹中ファミリーの一員だからという面が強かった」(先のIT業者)可能性は高い。

防衛省、忖度官僚が密室で検討も行き当たりばったりの惨状

 今回のセンター設立のゴタゴタは、菅氏の4月23日の発言から27日までの4日間、現場の陸上自衛隊幹部やIT専門家に何の相談もせずに、ごく一部の防衛省幹部の間で密談されたというプロセスが引き起こした面が大きい。

 東京新聞の報道によると、予約システムの不備を指摘された同省統合幕僚監部の家護谷昌徳参事官は「えっ、そんなことがあるんですか。まだ私の所に話が上がってきていない。詳細を把握し、しっかり対応させていただく」と回答をした。また、間違った番号でも予約できる事態が明らかになった後も、同省の担当者は報道各社の取材に対し「適正な入力を求める」という国民の善意に寄りかかったゼロ回答を示した。冒頭の同省幹部は「もし国内外の悪意ある個人や組織が大量の架空予約をすれば、日本のワクチン接種に壊滅的な打撃を与えられる危険があったのに、あまりに無責任な発言で呆れた」と嘆く。

 菅官邸の見通しの甘さからくるドタバタぶり、菅氏が突如掲げた「接種目標」のゴリ押しに従い、自らの評価と立場を守ろうとする防衛省の忖度官僚、責任だけ押し付けられる現場。この構図は第二次世界大戦で敗北した旧日本軍そのままではないか。政府が現実的、科学的な根拠で現実的な計画を立てなければ、最終的に被害を被るのは国民である。センター設立の一連の流れは、まだ日本が先の敗戦から十分に教訓を得ていないことを示している。

(文=編集部)

神田沙也加さんの悲劇に想う、ジャーナリズムや小説が「有名人の死」を扱う意味

 ドラマ『ムショぼけ』の企画をスタートさせた際、どうしても外せないテーマが「死」であった。

 当初からあくまで『ムショぼけ』の原作小説は、ヒューマンドラマとして、現代社会ににおける人権や格差、そして死などといった重いテーマを選びながらも、物語としてはコミカルに描くことを目的としていた。

 重いテーマを重く描くのは、はっきりいってしまえば誰にでもできる。なぜならば、読者に対して、自分が体験した苦しみに満ちた題材をそのまま、ストーリーとして伝えてしまえばいいからだ。それが悪いというのではない。ただ、私たちが選択したのは、良くも悪くも、その期待を裏切るというところにあった。

 それでなければ、コロナ禍という誰しもが経験したことがない中で苦労して、わざわざ作品を作る意味がないと考えたのだ。コロナ禍にあっても、重いテーマをエンタテインメントとして昇華する力を持った作品を、しかも関西ローカルからでも放つことができるんだぞ、と世の中の人々に見せつけてみたかった。それは、物語に携わってくれた人々、すべての想いでもあったといえるだろう。

 その中でも、大切なことは作り手の自己満足で終わってはならないということだ。観る側の共感を得て、人々の記憶に刻み込まれることができなければ、意味がない。では、共感を得るためには、何が必要か。それは実社会に横たわるリアルだ。

  『ムショぼけ』の中で、ヒロインの人気タレントであるリサは自ら命を断つ。この設定をするのに、私は相当な悩みがあった。登場人物たちの生みの親である書き手の私は、彼らに生命を吹き込むべく心血を注ぐ。特に筆を走らせていくうちに、キャラが際立ってきた人物に対しての想いはなおのこと強くなる。ゆえに、物語上とはいえ、そんな人物を死なせることは簡単にできることではない。だが、自殺という社会に横たわるリアルを描くこと、『ムショぼけ』という物語の中でリサが自殺をすることは、ヒューマンドラマとして視聴者や読者に投げかける上で必要であった。

 そこで投げかけたいことはシンプルだ。どんな理由であれ、愛する人が自殺した時、残された側はどれだけのやりきれなさを抱くかということだった。

 物語を執筆するときは、当たり前だが、ひどく感情移入するもので、以前にも死刑囚をテーマにした小説を書いたときは、その道中は辛くて辛くて仕方がなかった。文章力がどうとか物語がどうとか以前に、書き手にそれくらいの想いがなければ、読者の共感など得ることはできないのだ。

 同じように、『ムショぼけ』のヒロインの死を描くのには、大変な苦悩があった。それでも間違いだったかといえば、そうではない。

 ちょうど物語を執筆している頃、有名人の自殺が相次いでいた。それらが、他人の自殺を誘発するという見方もある。メディアが自殺をいたずらに取り上げることの社会的悪影響を危惧する声も強まった。

 それらの何が正しいかはわからないが、私の場合は、社会派のヒューマンドラマを描く上で避けては通ることができないと判断した。自殺はしてはならない。自殺はなくさなければならいない。メディアが有名人の自殺報道に蓋をする必要があるのであれば、せめて小説の世界では自殺という不可逆的行為が持つ意味をしっかりと描かないといけないと思ったのだ。

他人の不幸な死から伝えることができるもの

 そして、ドラマ『ムショぼけ』でヒロインが自殺を遂げる回が放送される前日、実社会においても、我が友が自ら命を断つという経験をした。物語の中で、ヒロインは最期に主人公と連絡を取る。実社会でも、友は最期に私に連絡をしてきた。両者がリンクしたのだ。ただ異なったのは、物語では、ヒロインからの最期の連絡を受けたあと、主人公はさまざまな葛藤を抱きながらも、彼女を信じ、その後も連絡をずっと待ち続けた。一方、実社会の私は、友からの普段とは異なる様子の電話が切れた後、万が一の時に後悔だけはしたくないという想いが強く、友の携帯電話の充電が切れるまで、呼び出し音を鳴らし続けた。

 結局、だからといって気持ち的に救われることはない。それが人の死に接するということ。救えたかもしれないという思いの中で、大事な人を失うということなのだ。そうして、人は命の儚さや尊さを学んでいくのである。それらは、たとえ何度経験しても慣れることはないし、学び終えることはないことだ。

 12月18日深夜、知り合いの記者から、神田沙也加さんが北海道でホテルの高層階から転落したという連絡を受けた際、私は大阪で起きたクリニック放火事件の取材にあたっている最中であった。いずれも、まだニュースなどで報じられる前の話だ。

 自分は小説だけでなく、ジャーナリズムの現場にも携わる物書きだ。広く、深く情報を扱う会社も経営している。そんな立場で、このような重大ニュースを、テレビで報じられてから知るようなことはあってはならない。第一報をテレビで知らされたとしても、それ以上の詳細な情報や報道されないニュースの裏を知る必要があるのだ。すごいとか偉いとかの問題ではなく、情報に携わる人間の最低限の務めである。そして、それに対する分析ができなければ何の意味もないのだ。錯綜する情報に、ミーハー気分で面白おかしく接し、いちいち驚いていては事の本質などには到底辿り着くことはない。

 神田さんは自ら死を選んだという見方が強いが、真相はわからない。だが、数年前にマスコミの間では、今回の件にもつながるかもしれない、あるトラブルについて囁かれたことがあった。また、神田さんの精神状態を危惧する声もあった。仮の話でしかないが、彼女に関するそうした認識を周囲が持っていれば、今日の彼女をめぐる環境も変わっていたかもしれないという思いが募る。

 マスコミは、なんでもかんでも報じるわけではない。そして、報じることが、報じられた本人や社会にとってプラスなのかマイナスなのかは、その時点では評価できない。また、社会的評価云々とは別に、仕事だからこそ、マスコミは報じたがるというのも事実である。それがジャーナリズムだと大それたことをいう気など、私はさらさらない。そこにもちろん理解などいらないし、世間から必要とされなければ、マスコミは存在していないし、そのうち消えていくだろう。単純にそれだけの話だ。

 だが、辛い現実にぶつかることや批判されることを避けて、マスコミや物書きが、必要であると思ったことを報じたり、語ったりすることを止めてはいけない。他人の不幸な死であろうとも、そこから命の儚さや尊さを伝えることはできるはずだ。

 生きていくということは、辛いことでもある。ただ生きていくということは、1人ではないのだ。その人がいなくなれば悲しむ人間は存在するし、迷惑がかかる人もいる。死んだ人の気持ちはわからないし、それほど思い詰めていたこともあるのかもしれない。中でも有名人の死は、人々を途方に暮れさせるが、それでも私は自ら死を選択するべきではないと強く感じる。人の死を見て、それに悲しむ人々を見て、そう思うのだ。

 そして、今はただ安らかにと――。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。最新小説『ムショぼけ』(小学館)を原作にした同名ドラマ(ドラマ『ムショぼけ』朝日放送、テレビ神奈川)の好評を博した。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

モス、この冬に絶対食べたい5品…すき焼き仕立ての豪華すぎるハンバーガー

 1972年に1号店が誕生し、2022年に50周年を迎えるモスバーガー。“つくりたての美味しさ”が評判の日本発の人気ハンバーガーチェーンで、国内1252店舗、海外含め1695店舗(2021 年11月30日現在)を展開している。

 モスバーガーといえば、食材の安心や安全へのこだわりがストロングポイントとして知られている。店頭に置かれている黒板には、使用されている野菜の産地や生産者の名前が明記されており、そこからはモスブランドの矜持と自信が垣間見える。

 さて、そんなモスバーガーの商品はどれも絶品だが、今回は特に“この冬買うべき商品”を5つ選出。いずれも寒い季節にぴったりなので、モスバーガーを利用する際の参考にしてみてほしい。

モスバーガー/390円(税込、以下同)

 まず紹介したいのが、昨年7月にリニューアルした定番商品の「モスバーガー」。ミートソースに含まれる玉ねぎを大小2種類の大きさにカットし、別々のタイミングで鍋に投入することで、具材感をアップさせることに成功したという。

 実際に食べてみると、確かにミートソースの玉ねぎの存在感が際立っているように感じる。以前から「モスバーガー」のミートソースは食感が良い印象があったが、このシャキシャキ感が改良によって倍増しているのだ。存在感の強い玉ねぎは、コク深いミートソースとの相性が抜群。肉厚なハンバーグと口に運べば、それぞれの旨味が口の中に広がる。

 新鮮な食材を扱うがゆえに、モスバーガーの商品は全体的に単価が高くなっているが、「モスバーガー」は390円と比較的リーズナブルな値段設定なのも嬉しい。もちろん、できたてで提供されるため、温かい食べ物が恋しくなるこの季節にピッタリな商品だろう。

モスチキン/270円

 次に紹介したいのが「モスチキン」。こちらも言わずと知れた定番商品だが、骨が手羽元の部分にしか付いていないことは意外と知られていないのではないだろうか。手羽元の骨だけをあえて残すことで手持ち部分をつくっているものの、それ以外の部分には骨が入っていないため、小さいお子様でも安心して食べることができるのだ。

 そんな「モスチキン」を実食すると、まず驚くのが衣の食感。米粉を使っているという衣は、かじると音が聞こえるほどにサクサクだ。チキン部分はムネ肉使用しているため、脂っこすぎず、それでいてジューシー。

 老若男女が美味しく食べることができる「モスチキン」は、「5本入り」「10本入り」も販売されているため、家族団らんの夕食やホームパーティーなどにも最適だろう。

ダブルとびきり とろったま スキヤキ仕立て/820円

 次は11月11日から期間限定で販売されている「ダブルとびきり とろったま スキヤキ仕立て」。国産牛を100%使用した「とびきりシリーズ」のハンバーグを贅沢に2枚使用し、半熟卵をトッピング。その上にすき焼きを乗せるという、豪華すぎるハンバーガーだ。

 袋を開けると、まずはその大きさに驚愕する。両脇からはみ出しているハンバーグはバンズの1.5倍ほどの大きさで、それが2枚も入っているのだから、相当なインパクトがある。大きさに圧倒されながら一口食べると、ハンバーグとすき焼きが同時に口の中に広がるのである。

 すき焼き自体がソースになっているため、ハンバーグをすき焼きで食べているような感覚だ。味付けはみりんのような甘さも感じさせる醤油味で、まさにすき焼きそのもの。ソースだからといって具材が少ないということもなく、牛肉と玉ねぎがたっぷり入っている。

 少し食べ進めていくと、半熟卵の黄身が溶け出してくる。黄身のまろやかさが追加されると、さっきまで肉々しかった食べ応えが一気にマイルドに。すき焼きはもちろん、ハンバーグとの相性も良い半熟卵のおかげで、飽きが来にくくなっている。820円と高めの値段設定ではあるものの、ごちそうを2つ掛け合わせたような組み合わせのおかげで、値段以上の満足感を得ることができた。今冬の自分へのご褒美などにいかがだろうか。

クラムチャウダー/320円

 続いては、寒い季節に嬉しいモスバーガーの「クラムチャウダー」。あさり、ベーコン、じゃがいもなどの具材がたっぷり入った、食感が楽しいスープとなっている。クラムチャウダーを販売しているファストフードチェーンは多いが、ネット上では「モスのがダントツ」「専門店より美味しい」という声が多く見受けられる。

 実食してみると、具材のじゃがいもが溶けるほど煮込まれたスープは舌触りが滑らかで、口当たりが非常に良い。スープの量はカップ1杯分ほどだが、あさりは4個、ベーコンは3切れ入っており、具材の満足度も高い。セットメニューにプラス30円すると、ドリンクをスープに変更することが可能なので、この冬はハンバーガーのお供に「クラムチャウダー」を選んでみてはいかがだろうか。

ひんやりドルチェ なめらかショコラ ハイカカオチョコレート使用/190円

 最後に紹介したいのは、昨年11月に期間限定販売されていた「ひんやりドルチェ なめらかショコラ ハイカカオチョコレート使用」。コーヒーや紅茶にぴったりな「ドルチェシリーズ」の商品で、昨年の人気から再販売が決定。2022年の3月下旬まで販売される予定となっている。

 実食してみると、良い意味でカカオの苦味がかなり強い。また、滑らかな口当たりは高級チョコレートを食べているような感覚だ。ネットでは「これ絶対良いチョコ使ってる」「コスパ良過ぎ」など称賛の声が多数あがっており、定番メニューを追い抜く勢いで話題になっているようだ。

「ドルチェセット」というドリンクとのセットメニューもあるため、ティータイムにも最適かもしれない。ホットドリンクとお茶菓子で過ごす時間は、冬の楽しみのひとつになってくれるだろう。

 今回は“この冬買うべき商品”を5つ紹介したが、どれもモスバーガーのこだわりが感じられる商品だった。50周年を迎えるモスバーガーだが、これからもどんどん新商品を展開していくだろう。今後の動向からも目が離せない。

(文・取材=A4studio)

※情報は2021年12月16日現在のものです。

破壊的人気、JO1超入門…、テレビ出演→即トレンド入り、4作連続オリコン1位

 12月15日、JO1の5thシングル「WANDERING」がリリースされた。またこの日、同グループの河野純喜と白岩瑠姫が、朝~昼にかけて日本テレビ系情報番組『ZIP!』『スッキリ』『バゲット』『ヒルナンデス!』に登場。ファンの間で“るんき”と呼ばれる同コンビは、夜のバラエティ番組『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』にもゲスト出演するとあって、ネット上には

「『WANDERING』発売もめでたいし、日テレは1日中るんき祭り!」

「るんきちゃん日テレジャック頑張って~!」

「朝から晩までるんきの活躍を見られて嬉しい!」

といったコメントが寄せられた。

 JO1は、2019年9月から12月まで配信、放送されたオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(GYAO!、TBS系)から誕生した11人組ボーイズグループ。河野と白石のほか、大平祥生、川尻蓮、川西拓実、木全翔也、金城碧海(適応障害のため活動休止中)、佐藤景瑚、鶴房汐恩、豆原一成、與那城奨というメンバーが選ばれている。

 そもそも『PRODUCE 101 JAPAN』は、韓国の人気オーディション番組『PRODUCE 101』の日本版で、番組はTBSテレビと吉本興業、韓国のCJ ENMが合同で主催。101人の練習生が合宿生活を送りながら成長する過程や、さまざまなミッションに挑戦する様子を公開し、視聴者は“国民プロデューサー”となって彼らを見守り、応援しながら投票に参加。最終投票で選ばれた11人が、吉本とCJ ENMの合弁会社・LAPONEエンタテインメント所属のJO1としてデビューに至った。

 そんなJO1は、20年3月4日リリースのシングル「PROTOSTAR」でデビュー。同8月26日に2ndシングル「STARGAZER」、今年4月28日に3rd シングル「CHALLENGER」、8月18日に4th「STRANGER」を発売し、すべて「オリコン週間シングルランキング」で1位を獲得している上、“4作連続初週売上20万枚突破”も話題に。1stシングルから4作連続での初週売上20万枚超えは、史上10組目&男性アーティスト史上5組目とも伝えられた。

ドキュメンタリー映画も公開

 ただ、JO1のデビュー当初はファンから「音楽番組に出る機会が少なすぎる」という不満も寄せられていた。LAPONEエンタテインメントの方針か、ほかに何か理由があったのかは不明ながら、ファンの間では「もっと歌番組に出演させて!」との声が出ていたが、

 その分、テレビに出た時の反響もすごかった。デビューシングル「PROTOSTAR」の発売から20日後、昨年3月24日放送の『スッキリ』で同シングルに収録されているデビュー曲「無限大」を生披露した際などは、Twitterで「#JO1」がしっかりトレンド入りしていた。

 最近は音楽番組に登場する機会も増えているが、今年8月16日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)では、JO1のパフォーマンス中に大量のスモークがたかれるという演出が施され、ネット上で、

「スモークが邪魔すぎる!」

「メンバーが全然見えなくて泣いちゃう」

「もはや放送事故! TBSのミス!」

などと大騒ぎに。ツイッターでは「スモーク」がトレンド入りする事態となっていた。

 とはいえ、JO1はその後も11月11日放送の『ベストヒット歌謡祭 2021』(日本テレビ系)や、12月1日放送のフジテレビ系『2021FNS歌謡祭』第1夜などに出演するという活躍ぶりを見せている。また、11月19日~21日に千葉・幕張メッセで開催した初の有観客ライブ『2021 JO1 LIVE “OPEN THE DOOR”』は、3日間(全5公演)で4万5000人を動員したという。

 さらに12月25日~22年1月25日まで、メンバーの衣装やアート写真などの展示会「JO1 EXHIBITION in Gallery AaMo」が開かれることも発表されているほか、同3月1日には11人全員が主人公で初主演を飾るドラマ『ショート・プログラム』(Amazonプライムビデオ)の配信、同11日には全国の劇場でドキュメンタリー映画『JO1 THE MOVIE「未完成」-GO to the TOP-』の公開も決定している。

 なお、JO1を輩出したオーディション番組の第2弾『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』からは今年、同じく11人組のボーイズグループ・INIが誕生し、11月3日にデビューシングル「A」をリリース。INIは今月30日に放送される『第63回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)の新人賞に選ばれている。

 近年、アイドル発掘オーディションの番組や企画が人気なのは、やはりオーディションの段階から視聴者が応援でき、感情移入できる部分にあるとみられ、来年はどのようなグループが誕生するのかという楽しみもあるが、JO1やINIのさらなる飛躍にも期待したい。

(文=編集部)

大阪ビル放火が起きても登庁せずコメントなし…松井市長のサボりぶりに批判! 市民の安全に無関心な態度は過去の災害でも

 またも痛ましい事件が起こった。先週17日の午前10時すぎ、大阪市北区の雑居ビル4階の心療内科クリニックから出火し24人が死亡。警察は殺人と放火の疑いで捜査している男性の氏名を公表したが、その容疑者も火災で重体の状態だ。  詳しい動機などについては今後の捜査の進展が待たれ...

推し活、メタバース…エンタメのファン体験を革新するNFT

電通のコンテンツビジネス・デザイン・センターでは、アニメ・映画・ライブエンタメ・eスポーツなど、さまざまなエンターテインメントコンテンツ事業に携わっています。

コロナ禍の影響で、映画やライブ、イベントなどの活動が十分な形で実施できないことがありましたが、一方でバーチャルなライブやイベントなど、新しいビジネスも生まれました。

そんな中、大きな注目を浴び、2021年の流行語大賞にもノミネートされたのが「NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)」です。

NFTは、クリエイター・アーティスト・IPホルダーにとってコンテンツ創作や表現、権利の在り方までも変える重要な技術です。そして同時に、コンテンツのファン体験を大きく変える技術でもあります。

この連載ではブロックチェーン・NFT技術を活用したエンタメコンテンツにおけるクリエイター・アーティスト・IPホルダーのDX、ファン体験のDXについて、事例を踏まえながらご紹介していきます。

初回は、電通CBDC(コンテンツビジネス・デザイン・センター)でNFTのビジネスを推進している武田が、エンタメのファン体験を革新するNFTについて語ります。

※この連載では、エンタメファン体験にフォーカスして記載するため、NFTの技術的な観点・法的な観点に関しての記載を最小限にとどめております。詳細はお問い合わせください。
 
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ファングッズ革命

皆さんは、デジタルなファングッズを購入したご経験はありますか?

デジタルなファングッズと聞くとピンと来ないかもしれませんが、キャラクターのLINEスタンプ・スマホ壁紙、スマホゲームの課金コンテンツ、もしかしたらゲーム内の通貨で購入できるスキンや武器などもデジタルグッズと言えるかもしれません。

こういったデジタルなモノを購入した経験は、少なからずあると思うのですが、実はこの購入したモノは私たち自身が所有できていません。なぜなら、これらのデジタルグッズは提供されるプラットフォームに依存しており、仮にそのプラットフォームが提供を辞めてしまうと私たちの手元からなくなるモノだからです。

NFTはインターネット上で、保有者を証明する仕組みです。

この技術によって販売主から購入者に対して、デジタルなモノの保有権を移転させることが可能になりました。つまり、「デジタル上でモノを保有する」ことが可能になったのです。


エンタメコンテンツにおけるNFTの活用

2021年春ごろから、NFTに関するニュースを目にすることが多くなりました。そのほとんどは「超高額でNFTが売れた!」という切り口で、高いものでは数十億円の値がついています。

これらのニュースによって連日さまざまなメディアでNFTが紹介されるようになり、認知度が一気に伸びたのですが、一方で「NFT=高く売れるモノ」というイメージが付きすぎているようにも思います。そして、最近では「NFTブームは一過性のものだ」という声もちらほら聞こえてくるようになりました。

私はこのNFTの一般的なイメージを変えていきたいと思っています。

もちろんNFTを購入する際に「投機的な価値」を感じることも大事な動機の一つですが、NFTを保有することが、ファンとしての満足度を高めたり、自分のオタク度をアピールする手段になったり、コミュニティに所属している証になることが、より本質的な動機になるのではないかと思うのです。

電通CBDCではNFTという技術そのものではなく、NFTによってどうすれば既存のファン体験がより楽しくなるのか、どうすれば新しいファン体験を届けられるのかに着目してNFTのビジネスを促進しています。

推し活×NFTの可能性

私が担当しているアニメの領域においても、アニメファンが作品やキャラクター、声優、クリエイターなどを応援する「推し活」は、NFTを使うとさらに楽しいものにできると思うのです。

そもそも、アニメファンはグッズを買う際に、そのグッズの「モノ」の価値を感じることはもちろん、そのモノを持っているとファンコミュニティにおいてリスペクトされたり、同じキャラクターを推していることを表明するといった「コト」の価値や、ライブを一体感をもって楽しむためのライブTシャツといったような「トキ」の価値も加味して購入しています。

NFTを活用することで、このモノ・コト・トキの価値をデジタル上でも表現できるのです。

例えば、マンガやアニメが大ヒットすると、コアファンとしては、「自分はブームになる前から推していた!」と言いたくなります。この場合、コミック1巻の初版にだけ配布されるNFTがあったり、アニメ全話をリアルタイムで視聴したファンにだけに配布されるNFTがあると、大好きな作品の希少な「モノ」を手に入れる喜びはもちろん、初期からファンであった証明をデジタル上で受け取り、それをアピールする「コト」もできるでしょう。

バーチャルライブに参加する際、自分のアバターに着せる限定ライブTシャツがあったとして、そのライブイベントが終わると同時にそのデータも消えてなくなってしまうと寂しいですよね。これをNFTを発行して販売するとバーチャルライブ終了後もファン自身が保有しておくことができ、保有していることがバーチャルライブに参加し、同じ「トキ」を共有した証になるのです。

このように、あくまでもUX(ユーザー体験)から逆算してNFTという技術を活用していくことが、NFTを活用する際に重要なことなのではないかと思うのです。

一方、IPホルダーから見ても、NFTはデジタルグッズに付けて売るだけでなく、
ファンを巻き込む手段として活用できる技術です。例えば、クラウドファンディングのようにファンから資金を集める手段としてや、ファンに対して2次利用や2次創作の権利を付与することでアンバサダーを増やす手段としてもNFTの活用を検討しています。

NFTを活用することで、ファンとIPホルダーが、株主と株式会社のように良い意味で運命共同体のような関係を構築することができるのです。

デジタルグッズがメタバースにおけるアイデンティティになる

さらに2021年11月にFacebookがMetaに社名を変更したことにより、インターネット上に広がる三次元の仮想空間「メタバース」が注目されています。ここではメタバースの詳しい説明は避けますが、われわれがいまウェブ上で集っている2Dのコミュニティが3Dの仮想世界に移行した時、自分のアバターに対して、そのコミュニティにおける自らのアイデンティティを示す服やグッズを身に着けたくなることは必然の流れでしょう。

メタバースにおいては、現実世界と同じように、あらゆるショップで買ったモノをあらゆる世界に持ち出せることが理想です。これを実現するのがNFTであり、異なるサービスを跨いで取引されるようになるとブロックチェーン技術が本領を発揮するのです。このようにメタバースにおける活用を出口とした場合、NFTを購入する体験は、ただ「デジタルデータを保有する」だけではなく、「デジタル上での自己表現の手段」を手に入れることになるのです。

今後の連載では、いままさに世界中で動き始めているNFT(やメタバース)といった領域を「ファン体験をより楽しくする」という視点で捉えて実践していく、電通CBDCのプロジェクトをご紹介していければと思っています。

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『ジャグラー』愛が爆発…リズムネタでお馴染みの芸人もパチスロ好き!?

 例えば、かまいたちの山内健司や濱家隆一、霜降り明星の粗品。当サイトでも再三、お伝えしている通り、お笑い芸人にはパチンコ・パチスロ好きが多く存在する。

 先日、無料インターネットテレビサービス・ABEMAの「勝負駆け!笑いのターンマーク」に出演した永井佑一郎も、どうやらその一人のようだ。ボートレース番組ながらも、その中で『ジャグラー』愛を爆発させていたのである。

 きっかけは、ボートレース住之江にて行われた「SG第36回グランプリ」の出走表で、山崎郡選手に目を付けたことだった。

 これに永井が「やまざきぐんは…」と、まるで「魚群」を思わせるようなイントネーションで発言すると、番組で解説を務め、こちらもギャンブル好きで知られるLLRの福田恵悟から「いやいや、信頼度50%じゃないんだから」と即ツッコミ。マニアックなやり取りで共演者たちを置いてきぼりにすると、その後のレース予想タイムではおもむろに立ち上がり、出走表を見ながら「ガコッ」「ガコッ」と呟き続けた。

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「なにかやってますね」。奇妙な行動に周囲が気付くと、永井は「たまに光って見えるんですよ」「僕、『ジャグラー』をよくやるんで」とひと言。これにも福田は「今のは『ジャグラー』の(ランプが)光った音ですか?『ガコッ』って言ったの…」と反応し、「(ボートレースは)先光りしないですから。レース後に光りますから」とツッコミを入れた。

 さらに、永井は「僕は、勘だけはよくて、『ジャグラー』も設定とかよくわからないで座って勝つタイプ」と発言。「5(号艇)がめちゃくちゃ光って見えた」として「1-2-5BOX」の予想を立てたが、その5号艇は残念ながら4着と、図らずもしっかりとオチを付けてスタジオを盛り上げた。

 レース後も、「僕、いつも『ジャグラー』をやるんですけど、1万(円)を超えてからの追い上げがすごいんですよ」とオカルト理論を展開。「最初は機械をいい気分」にさせているそうで、この日、予想を立て続けに外したことについても「今はボート自体をいい気分にさせている」とし、「ここから全部、分捕っちゃう」と豪語した。

 結果、番組で予想した4レースは全て外してしまったが、終始、『ジャグラー』への愛は全開。「アクセルホッパー」名義のリズムネタでブレイクした永井が、『ジャグラー』芸人として再び脚光を浴びる日が来るかもしれない。 

JRA「G1完全制覇」リーチの武豊もお手上げ!? 遅れてきたディープインパクト産駒「異色の大物候補」が好タイムで圧巻V!

 19日、阪神競馬場で行われた朝日杯FS(G1)は、武豊騎手のドウデュースがV。先週の阪神JF(G1)では弟・武幸四郎調教師が管理するウォーターナビレラで敗れたが、今週はしっかりと勝利。JRAの平地G1完全制覇に王手をかけた。

 残る1つである年末のホープフルS(G1)は、札幌2歳S(G3)2着アスクワイルドモアへの騎乗が想定されており、大いに注目が集まるだろう。

 そんな武豊騎手であるが、この日は7Rの1勝クラス(芝1800m)でも弟の幸四郎師の管理馬であるシーニックウェイに騎乗。レースでは1番人気に推されたが、惜しくも差し届かずに2着に敗れた。

 このレースで武兄弟を破って勝利を収めたのが、3番人気に支持されたディープインパクト産駒サトノペルセウス(セン3歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。

 伊1000ギニー(G3)勝ち馬を母に持つ同馬は、2019年のセレクトセールにて1億6000万円(税抜)の高値で取引された。昨夏に入厩してからは、オープン馬のグレートタイムらに調教で先着していたことから、後にダービー馬となるシャフリヤールらと並び、厩舎のエース候補として期待されていた。

 しかし、一度も出走することなく今年5月に中央登録を抹消されると、ホッカイドウ競馬に転厩。デビュー戦となった8月の門別ダート1200mを9馬身差で圧勝すると、2戦目の1000m戦でも後続に7馬身差をつけて快勝。中央再転入の条件を満たしたことで、10月に藤原英厩舎に復帰していた。

 再転入初戦で3着だった前走に続き、藤岡佑介騎手が騎乗した今回は、6枠11番から好スタートを決めたが、逃げた前回とは打って変わって好位に控える競馬。行きたがる素振りも見せながら、道中は5番手をキープした。

 逃げたミリタリータンゴが飛ばしたことで、1000m通過は58秒9のやや速い流れ。おまけに背後には武豊騎手が乗る1番人気のシーニックウェイが虎視眈々と控えている。

 だが、馬場の5分どころに持ち出されたサトノペルセウスは直線でも力強い伸び脚を披露。ラスト1ハロンで完全に抜け出すと、追い上げてきたシーニックウェイに1馬身半の差をつけて完勝した。

「逃げたミリタリータンゴが飛ばしたため、先行勢にはやや厳しい流れとなりましたが、サトノペルセウスはそれをものともせずの快勝でした。もともと期待が高かった大物候補ですが、ついに才能を開花させた印象です。

1番人気のシーニックウェイも完璧な立ち回りでしたが、勝ち馬に好位からあの脚を使われてしまったのでは、乗っていた武豊騎手もお手上げだったかもしれません」(競馬誌ライター)

 ちなみに勝ち時計の1分45秒9は、10月9日から始まった秋の阪神競馬の芝1800m戦で3番目の好タイム。チャレンジC(G3)4着のジェラルディーナが西宮S(3勝クラス)で記録した1分46秒1よりも速かったなら、昇級してもほぼ問題ないだろう。

 紆余曲折を経て中央に戻ってきたディープインパクト産駒の、今後の走りに注目しておきたい。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

大阪ビル放火、なぜ谷本容疑者は他人を巻き添えに無理心中?無差別殺人が頻発の背景

 大阪市北区の「西梅田こころとからだのクリニック」から出火し、24人が死亡した放火殺人事件で、大阪府警は放火犯を、このクリニックに通院していた61歳の谷本盛雄容疑者と特定した。

 出火後、谷本容疑者が逃げるようなそぶりはなく、むしろ火に向かっていくような動きを見せる様子が防犯カメラに映っていたという。したがって、谷本容疑者は、もともと自殺願望を抱いていて、クリニックの医師やスタッフ、通院患者などを道連れに無理心中を図った可能性が高く、「拡大自殺」と考えられる。

 谷本容疑者は、約10年前、2011年4月にも長男を包丁で刺したとして殺人未遂容疑で逮捕されている。2008年に離婚した谷本容疑者は、離婚後1人暮らしの寂しさから元妻に復縁を申し込んだものの断られ、孤独感が募って、次第に自殺を考えるようになったようだ。しかし、1人で死ぬのは怖かったのか、“働かず元妻に迷惑をかけている”という理由で長男を道連れにしようという考えが浮かび、元妻と息子2人が暮らしていた家で、長男の頭部周辺を何度も出刃包丁で刺した。裁判では、家族を道連れにするのは「家族に対する甘え」とみなされ、懲役5年が言い渡された(「文春オンライン」12月18日配信)。

 こうした経緯を振り返ると、谷本容疑者はもともと自殺願望を抱いていた可能性が高い。服役して出所後は、さらに孤独感を深めたようで、「1人ぼっちだと、悩みを打ち明けていた」との証言もある。この孤独感、そしてそれによる厭世観と絶望感が自殺願望に拍車をかけたことは十分考えられる。

 問題は、自殺願望を抱いている人が、なぜ他の誰かを道連れにして無理心中を図るのかということだ。巻き添えにするのが今回のように赤の他人のこともあれば、愛する親や子、あるいは配偶者のこともあるが、なぜおとなしく1人で自殺しないのかという疑問を誰でも抱くだろう。そこで、今回はこの問題を分析し、「拡大自殺」の根底に潜む病理を明らかにしたい。

自殺願望は反転したサディズム

 そもそも、自殺願望は、たいてい他人への攻撃衝動の反転したものである。重症のうつ病では自殺願望がしばしば出現するが、最初は他の誰かに向けられていた攻撃衝動が反転して自分自身に向けられるようになった結果芽生えたとみなすのが妥当だと思う。

 これは私だけの見解ではない。たとえば、M・ベネゼックは「うつ病患者の自殺は、サディズムが反転して自分自身に向けられた証拠である。これは、他の誰かを殺そうとする意図なしに自殺することはありえないという説の裏づけになる」と述べている。さらに、M・グットマッハーも、「自分自身の殺害は、憎しみの対象である誰かを象徴的に殺す行為」であり、とくに「抑うつ的な人間の自殺は、しばしば両親のどちらか一方の殺害として解釈される」と述べている。

 実際、自分自身の生命を犠牲にする究極の自己懲罰によって、もともと憎しみや敵意を抱いていた対象への復讐を果たそうとする意図が、自殺を図る人の胸中にまったくないとはいえない。だから、自殺願望を、怒りや敵意を直接示すことがはばかられる相手に対する攻撃衝動の反転したものとしてとらえるのは妥当だと私は思う。

自殺と他殺を分けるのは復讐願望

 このように、自殺願望を理解する鍵になるのは、他人への憎しみや敵意、怒りや攻撃衝動なのだが、逆の流れも当然起こりうる。自分自身に向けられた破壊衝動が反転して他人に向けられると殺人を犯すことになる。

 そもそも、攻撃衝動の矛先が誰に向けられるかは非常に流動的である。自傷行為を繰り返す患者を長年診察していると、攻撃衝動が自分に向いて自傷行為や自殺未遂が頻発する時期と、攻撃衝動が外部に向けられて暴力や暴言を繰り返す時期が交互に出現することに気づく。

 このように、怒りや攻撃衝動の鉾先が自分と他人との間を行ったり来たりするのはよくあることで、それが自分自身に向けられると自殺や自傷、他人に向けられると殺人や傷害の形で表面化する。

 それでは、怒りや攻撃衝動が自分自身と他人の間を行ったり来たりするとき、自殺に向かうのか、それとも他殺に向かうのかを決定する要因は一体何なのか? これは、復讐願望の強さにほかならない。

 最近頻発している無差別殺傷事件からは、犯人の「少しでもやり返したい」「一矢報いたい」という願望が透けて見えることが少なくない。しかも、その胸中には、しばしば怒りも煮えたぎっている。これは当然ともいえる。古代ローマの哲学者セネカが見抜いているように、「怒りとは、不正に対して復讐することへの欲望」にほかならないからだ。

 見逃せないのは、このように怒りに駆られている人がしばしば自分だけが理不尽な目に遭っていると感じており、「不正に害された」と思い込んでいることである。谷本容疑者も、父親が経営していた板金工場を継げず、兄が跡を継いだことに不満を漏らしていたらしいので、「不正に害された」という思いがあったのかもしれない。腕のいい職人だっただけに、不満が一層募ったとも考えられる。

 ただ、客観的に見ると乗り越えられないほどの大きな困難ではなく、別の選択肢もあったはずなのに、「拡大自殺」を選んだのは一体なぜなのだろうと首をかしげざるを得ない。

 その一因として、強い被害者意識があるのではないか。何でも被害的に受け止めると、「なぜ自分だけがこんな目に遭わなければならないんだ」と怒りを募らせやすく、当然復讐願望も強くなるからだ。

 問題は、こうした被害者意識が日本で最近強くなっており、「自分だけが割を食っている」と感じている人が年々増加しているように見えることである。困ったことに、被害者意識が強くなると、「自分はこんな理不尽な目に遭っている被害者なのだから、<加害者>に復讐するのは当然だ」と思い込む人が増える。ここでいう<加害者>とは、本人が主観的にそう思い込んでいるだけで、客観的に見ると的はずれなことも少なくない。 

 たとえば、今回の事件の被害者であるクリニックの医師やスタッフ、通院患者などは、客観的に見ると<加害者>とは到底いいがたい。だが、些細な出来事をきっかけに谷本容疑者が「不正に害された」と思い込んで、凶行に走ったのかもしれない。被害者意識をよりどころにして、<加害者>への復讐を正当化しようとした可能性も十分考えられる。

 現在の日本社会では、個々人の被害者意識ますます強くなっているように見える。そのため、厭世観と絶望感にさいなまれた人が、「自分の人生がうまくいかなかったのは、これこれの<加害者>のせいだ」と思い込んで、<加害者>を罰して復讐を果たし、なおかつ自らの人生に終止符を打とうとする「拡大自殺」がますます増えるのではないかと危惧せずにはいられない。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

片田珠美『無差別殺人の精神分析』新潮選書、 2009年

片田珠美『拡大自殺―大量殺人・自爆テロ・無理心中』角川選書、2017年

●片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。