アクセンチュア、“日本のシステム”を呑み込む?ゆめみ合併と共同出資攻勢の狙い

●この記事のポイント
・アクセンチュアが「ゆめみ」買収や共同出資型IT子会社を通じ、日本企業のDX中枢を掌握し始めている。
・背景には、日本企業の人材不足と内製化停滞があり、アクセンチュアの総合力が独壇場化を後押しする。
・一方で企業の技術主権喪失や依存リスクも高まっており、主導権を握るガバナンス設計が今後の鍵となる。

 10月28日、アクセンチュアはDX支援・内製開発支援の老舗ベンチャー「ゆめみ」の合併を正式発表した。アクセンチュアは今年5月にゆめみを完全子会社化しており、今回、完全に経営を統合することになる。スマートフォン黎明期からモバイルアプリの開発で知られるゆめみは、「エンジニアが経営に参加する文化」を持つ内製化支援の象徴的存在だ。この合併は単なる人材獲得ではなく、日本企業の“IT主権”をめぐる構造転換の分水嶺になりつつある。

 アクセンチュアはここ数年、大企業や中堅企業とのIT子会社への共同出資・業務提携・合併をたて続けに仕掛けている。5月にはゼネコンの前田建設工業を傘下に持つインフロニアHDと共同出資し、IT子会社を設立。10月にはセブン&アイHDとのデジタル戦略提携を発表し、グループ中核の「セブン&アイ・ネットメディア」への出資も取り沙汰された。
そこにゆめみ合併が加わることで、アクセンチュアは「開発・運用・体験設計・経営実装」の全工程を押さえる構えを見せている。

 戦略コンサルタントの高野輝氏に、アクセンチュアの狙いについて分析してもらった。

●目次

「共同出資×内製支援」モデルで、企業の“中枢”に入り込む

「アクセンチュアの日本戦略を一言で表すなら、『内製支援を通じた中枢掌握』だ。これまでの受託開発やコンサルティングとは異なり、近年は企業のIT子会社そのものに出資・参画する動きが目立つ。

 その狙いは三つある。

(1)デジタル人材の確保と育成
 日本企業は慢性的なDX人材不足に悩む。共同出資により、IT子会社に所属するエンジニアをアクセンチュアの研修体系やプロジェクトで鍛え上げ、同時に優秀人材を自社ネットワーク内に取り込む。
 特にゆめみ買収によって、アジャイル開発・デザインエンジニアリング・生成AI応用など、「モノを作れる」人材基盤を獲得した意義は大きい。

(2)レガシー刷新と案件獲得
 日本の大企業の多くは老朽化した基幹システムを抱える。IT子会社を通じて内部事情を把握すれば、システム刷新・データ統合・AI導入などの大型DX案件を継続的に受注できる。
 企業側も「外部委託」ではなく「共同事業」という名目で社内調整を通しやすくなる。

(3)長期的な収益源の確立
 コンサルから運用までを一気通貫で支援できるため、契約期間は年単位から十年スパンに拡大。一度入り込めば、エコシステム全体がアクセンチュア仕様で固定化される構造ができあがる。
 この結果、アクセンチュアは単なる外部パートナーではなく、企業のIT意思決定の一部を担う存在に変わりつつある。

“独壇場化”の背景――なぜアクセンチュアだけが成功しているのか

 このような動きが加速し、アクセンチュアが「独壇場」と化している背景には、日本企業特有の構造問題と、同社の戦略的強みが重なっている。

【日本企業側の事情】

・DXの遅れと人材不足
 多くの企業が古い基幹システムに縛られ、DXを進めたくても実行できない。自社で採用・育成するには時間もコストもかかる。そこで“最短距離で結果を出す”アクセンチュアを頼る動きが広がっている。

・IT子会社の機能不全
 親会社の保守運用に追われ、技術革新や事業開発を担う余力がない。その結果、「子会社ごとリプレース」するような形でアクセンチュアが入る余地が生まれている。

【アクセンチュア側の強み】

・戦略から実装までの総合力
 戦略コンサル、クラウド移行、アプリ開発、AI実装、デジタルマーケティングまでを1社で完結できる。クライアントにとっては「ワンストップでDXが進む」構造だ。

・M&Aのスピードと胆力
 日本企業が慎重に検討を重ねる間に、アクセンチュアはM&Aを年数件ペースで断行。ゆめみやALBERTなど、国内の優秀企業を次々と吸収し、技術と人材をグローバルネットワークに統合する。

・文化の翻訳力
 アジャイルやデザイン思考など、欧米発の開発文化を“日本の現場に適した形”に翻訳し、現場社員を巻き込みながら定着させる。「押しつけ」ではなく「融合」を演出できる点が、他の外資系コンサルとの差別化要因だ。

 こうした要素が組み合わさり、アクセンチュアは「日本のDX課題を最も理解し、最速で成果を出す企業」としての地位を固めた。

ゆめみ買収の意味――“文化”を買ったアクセンチュア

 アクセンチュアのゆめみ買収は、数字以上に象徴的な意味を持つ。ゆめみは「上司を選べる」「副業・リモート自由」といったユニークな組織文化を持ち、社員の自己決定と創造性を重んじてきた。そのカルチャーを、アクセンチュア ソング(顧客体験部門)に取り込むことで、同社は「戦略×創造×実装」の三位一体体制を完成させる。

 特に注目されるのは、プロダクト開発のスピード感だ。大手企業の意思決定が数カ月単位で進む中、ゆめみは数日で試作し、顧客体験を検証する。アクセンチュアはその俊敏性を武器に、クライアント企業の「実行力」まで巻き取ろうとしている。

 高野氏はこう指摘する。

「アクセンチュアは“人材を吸収する”のではなく、“文化を導入する”という発想に転換している。ゆめみの買収は、単なる規模拡大ではなく、開発文化のリプレース(置き換え)を狙ったものです」

事例に見る「共同出資」戦略の実像

セブン&アイHDとの業務提携
 10月に発表されたセブン&アイとの提携では、グループのデジタル戦略を全面的に強化。特に、電子マネー「nanaco」や会員アプリを軸にしたデータ基盤の再構築、リアル店舗とECの統合運営(OMO)などが進む見通しだ。アクセンチュアがIT子会社に出資すれば、小売業界のデジタル標準を握ることになる。

インフロニアHDとの共同子会社
 インフロニアHDとのJV(共同出資)では、建設現場のデジタル化を推進。BIM/CIM、IoT、生成AIによる工程管理、安全管理の効率化など、社会インフラDXのデファクトスタンダードを狙う。同時に、建設業界のIT化人材を囲い込む“教育プラットフォーム”としての側面も持つ。

 これらはいずれも、単なる受託ではなく、経営・技術・人材をセットで融合する“事業開発型DX”といえる。

依存リスク――「アクセンチュア化」する企業

 だが、高野氏は「成功の裏で、構造的なリスクが急速に拡大している」と警鐘を鳴らす。

1.内製力の形骸化
 JVにアクセンチュアの人材が常駐すると、実務も意思決定も外部主導になりやすい。名目上は“共同開発”でも、実態は“アクセンチュアが開発・運用を牛耳る”ケースもある。

2.ベンダーロックイン
システム設計・CI/CD・監視運用がアクセンチュア仕様で固められ、途中で他ベンダーに切り替えるのが難しくなる。
一度依存すれば、保守コストが固定化し、「抜け出せない構造」が生まれる。

3.情報・ノウハウの流出懸念
出資関係を通じて、企業の業務プロセスやデータが外部と共有される。将来的に、他業界・他社での活用や競合優位性への影響もあり得る。
「DXを“外部化”すればスピードは出ますが、同時に“主権”は失われます。
問題は、スピードと主権のバランスをどう取るかです」(高野氏)

「飲み込まれる」か、「共進化」か

 アクセンチュアは、DX人材・プロセス・テクノロジーを総動員し、日本市場の構造的課題を代替的に解決している。その意味では、アクセンチュア依存は“問題”ではなく“必然”ともいえる。

 だが、高野氏は次のように強調する。

「アクセンチュアを“委託先”ではなく、“共創パートナー”として設計できるかが分かれ目です。契約・アーキテクチャ・データの3領域で主導権を握れば、共進化は可能です」

【企業側が取るべき3つの戦略】

1.アーキテクト職能を社内保持
 システム設計の最終判断者(Chief Architect)を社内に置き、外部提案を常にレビューする体制を築く。

2.FinOpsとSREを内製化
コストと信頼性の可視化を自社で行い、「どこに支払っているか」「何に時間がかかっているか」を把握する。

3.データ主権の確保
契約上、データとコードの所有権・アクセス権を明記。
いつでも別ベンダーが引き継げるようにする。

アクセンチュア時代の“主権”をどう守るか

 アクセンチュアの戦略は冷徹だが合理的だ。DX人材の希少性、内製化の遅れ、システム老朽化――これらの課題を同時に解く手段として、「共同出資×M&A×内製支援」というモデルを展開している。

 このままでは確かに、日本企業のIT中枢はアクセンチュアに“飲み込まれる”かもしれない。だがそれは、企業が主導権を放棄したときに起こることであり、逆に共創とガバナンスを設計すれば、“依存”を“飛躍”に変える余地も十分にある。

 DX時代の覇権争いは、もはや「どのベンダーに頼むか」ではない。「誰が設計図を握るか」の戦いである。アクセンチュアの攻勢は、その問いを日本企業に突きつけている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=高野輝/戦略コンサルタント)

スマホでPCゲームがプレイ可能に…NVIDIAがクラウドでゲーム産業に地殻変動もたらす

●この記事のポイント
・NVIDIAがクラウドゲーミングの常識を覆す大型アップデートを実施。高性能PCがなくても、スマホで“ローカルPC並み”の高画質プレイを実現した。
・新技術「Cinematic Quality Streaming」により、色彩やコントラストが飛躍的に向上。遅延もほぼゼロで、クラウドとは思えない操作感を実現。
・RTX 5080搭載サーバーやレーシングホイール対応など、体験とデバイスの両面で進化。NVIDIAは“ハード依存の時代”を超える新たなゲーム体験を切り拓いた。

ゲーム向けGPU「GeForce」シリーズで知られる半導体企業NVIDIAは、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」の大型アップデートを発表した。

スマートフォンやタブレットなどデバイスを問わず、これまで以上に快適かつ高精細なプレイが可能となり、クラウドゲーミングの常識を塗り替える内容となっている。

都内で開催されたメディア向け説明会とデモ体験会では、クラウドでありながら“ローカルPC同等”の映像品質とレスポンスを実現する進化を体感できた。

RTX 5080登場で“PC不要時代”が現実に

GeForce NOWは「誰もがすばらしいゲーミング体験を享受できること」を目的に提供されているクラウドゲーミングサービスだ。

ハイスペックなゲーミングPCがなくても、PC・スマートフォン・タブレットなど好きな端末で最新のPCゲームをどこでもプレイできる。ユーザーの端末からNVIDIAのデータセンターにアクセスすると、クラウド上のGPUがゲーム処理と映像生成を行い、その映像をストリーミング配信する仕組みだ。

今回のアップデートは「10年の歴史の中でも最も大きなアップデート」とされるもので、最新クラウドサーバー「GeForce RTX 5080 SuperPod」が導入された。

月額3,580円(税込)の最上位プラン「GeForce NOW Ultimate」会員は、自動的にこのサーバーに切り替わる。

これにより、従来比で最大2.8倍のフレームレート、PlayStation 5の約3倍の演算性能(TFLOPS:1秒間に1兆回の演算能力)を実現。さらにNVIDIA独自のAI技術「DLSS 4(AIによる高精細化技術)」を搭載し、映像の美しさと応答速度の両面で進化を遂げた。
まさに“PC不要時代”を現実のものにしたアップデートといえる。

映像革命「Cinematic Quality Streaming」――ローカル並みの美しさへ

性能だけでなく、画質面の進化も注目に値する。

新技術「Cinematic Quality Streaming」では、従来のYUV 4:2:0方式からYUV 4:4:4(色情報を間引かない高精細方式)へと刷新。さらにAIによる映像補正技術を採用し、ローカルPCとほぼ同等の鮮明さ、色彩表現、コントラストを実現した。

説明会では担当者がこう語った。

「暗いシーンでの色にじみや階調表現の改善を求める声が多く寄せられていました。圧縮方式を刷新し、より広い色域に対応することで、ローカルPCと遜色のないレベルを目指しました」

会場では比較デモも行われ、従来方式と比べてCinematic Quality Streamingでは細部の陰影や発色が明らかに異なるのが確認できた。クラウド経由とは思えないほどのリアリティに、来場者から驚きの声が上がっていた。

大画面でも高精細、テレビ単体でのプレイも可能に

対応デバイスの拡充も大きな進化ポイントだ。

LG製スマートTVではGeForce NOW専用アプリをインストールするだけで、テレビ単体でクラウドゲームを楽しめる。

4K解像度・最大120FPSでの高品質ストリーミングに対応しており、さらにLGの5K・120Hz対応ゲーミングモニターと組み合わせることで、映像の滑らかさと臨場感が際立つ。

実際のデモでは、操作と画面反応の間にほとんどタイムラグを感じなかった。

ボタンを押した瞬間にキャラクターが動き出す――そのレスポンスは、もはやクラウドで動いていることを忘れるほど自然だった。

Steam Deck・Legion Go対応で携帯型デバイスも快適に

持ち運び型デバイスでも最適化が進む。

Valve「Steam Deck」では最大90FPS、Lenovo「Legion Go S」では最大120FPSに対応し、モバイル環境でもカクつきのないプレイが可能になった。

実機で試したところ、動きの滑らかさと安定性が印象的で、ゲーム酔いしやすい人でも安心して長時間プレイできそうだ。

レーシングホイール対応でリアルな走行感覚を再現

さらに注目を集めたのが、新たにレーシングホイール(ハンドル型コントローラー)に対応した点だ。

Logitechの人気モデル「G29」「G920」のホイール・ペダルセットに対応し、クラウド上のレースゲームを実際のハンドル操作で楽しめるようになった。従来、遅延がネックとされていたジャンルだけに、この対応は大きなブレークスルーだ。

「Install-to-Play」で遊べるタイトルが拡大

ゲームライブラリへのアクセス方式も刷新された。

従来の「Ready-to-Play」ではサーバー側にインストール済みのタイトルのみプレイ可能だったが、新機能「Install-to-Play」の導入により、ユーザー自身がクラウド環境に手持ちのゲームをインストールできるようになった。

これにより、GeForce NOWが未対応だったインディー系タイトルなどもプレイ可能に。対応タイトル数は約2,000本から、さらに2,200本以上が追加された。有料会員には100GBのクラウドストレージも提供され、利便性が大幅に向上している。

“ハードからクラウドへ”――ゲーミングの転換点

GeForce NOWの最新アップデートは、クラウドゲーミングの限界を押し広げる内容だった。

スペック面の進化だけでなく、映像品質、操作レスポンス、デバイス対応など、実際に触れて初めてわかるレベルの進歩が随所に感じられる。高性能PCがなくても、誰もが最高品質のゲームを楽しめる――。

今回のアップデートは、ハード依存の時代から“クラウド主導のゲーミング時代”への本格的な転換点といえるだろう。日本でもクラウドゲーミングが本格的に普及する兆しが見え始めている。

(取材・文=福永太郎)

※本稿はPR記事です。

AIで営業が激変する!行動指針や営業先まで提案、徹底的にムダ時間をなくす

 営業DXを支援するIT企業・SALES GO株式会社が、新たにAI連携型SFA「GoCoo!」を発表した。中小から大手まで1000社以上の営業支援実績を持つ同社は、10月10日の記者発表会で国内の営業課題や、新サービスの強みを示した。

国内SFA導入は進まぬ現状、“使いこなせない”が課題

 代表取締役社長・内山雄輝氏によれば、グローバル企業が顧客への営業活動に時間を投じている一方、国内企業では社内業務や提案書作成などに多くの時間が割かれており、これが労働生産性の低下を招いているという。​

 こうした業務効率化の解決策として注目されているのが、営業支援システム「SFA」である。SFAは顧客情報や営業プロセス、進捗状況を一元化して管理し、営業活動そのものの効率を高める仕組みだ。蓄積されたデータを活用することで、予算達成見込みの把握や、自社の営業における勝ちパターン・課題の抽出が容易になり、組織全体の生産性向上に寄与する。しかし現状、日本国内のSFA導入率は依然として低いという。

 この現状について内山氏は、「多くの企業がSFAを導入しても十分に活用できていないのが実態です。主な原因は、ツールを使いこなす難しさからデータの蓄積が進まず、十分な分析に至らない点にあります。分析ができないため、費用対効果を把握できず、導入の効果が実感しづらいという悪循環に陥ってしまうのです」と指摘。

Excel感覚で使える新世代SFA「GoCoo!」

 こうしたSFA導入の課題を解決するために開発されたのが、同社のサービス「GoCoo!」だ。

「既存のSFAでは使いこなせないことが大きな課題でした。そこで、今もっとも使われているツールの良いところだけを取り入れ、それらをまとめた新しいSFAを作ろうと考えたのです。Excelのように扱える操作性と、ノーコード設定機能を組み合わせ、誰でも簡単に入力できることを追求して開発したのが『GoCoo!』です」(内山氏)

 日本の営業現場では、これまでExcelが営業管理ツールとして多く利用されてきた。Excelは入力しやすい一方で、案件の表示や編集・更新のたびに、シート間の移動や複数ボタンの操作など、何度も画面を切り替える必要があった。

 その点、GoCoo!はExcelライクな操作感を保ちながら、案件や商談の情報の入力・更新画面をひとつに集約。請求書の編集から発行までを1画面で完結できる。画面遷移を最小限に抑えることで、入力工数の削減にも寄与している。

「他社のSFAシステムでは、メニュー画面の名称を変更できない仕様が一般的です。GoCoo!の場合、『取引先』という項目を『クライアント』や『お客様』といった社内用語に合わせて自由に変更可能です。ツールに業務を合わせるのではなく、ツールを業務に寄り添わせることで、より自然な運用を実現できる点が大きな特長です」(石井氏)

 高機能だが、月額基本料金/人は5000円と手頃な価格で提供。導入ハードルを下げ、「難しくて使いこなせない」という従来の課題解決を目指している。

フィラーを適切に排除する「VeZeeta」、AIエージェント「GoZeeta」

 同日はGoCoo!に加え、新たに2つのAI関連サービスも発表された。

「VeZeeta」は、スマートAI議事録ツールだ。他社エンジンと比べて処理速度に優れ、英語翻訳やタスク一覧作成もスピーディーに対応。とりわけ、日本語対応に強いAIエージェントを採用している点が大きな特徴だ。

「弊社のAIエージェントは日本語に最適化されており、『あのー』『えー』といったフィラー(つなぎ言葉)を自動で排除します。一方で、『はい』『うん』など会話上必要な相槌は、内容を精査したうえで残すよう設計されています」(石井氏)

「GoZeeta」は、SFA「GoCoo!」にAIを統合したAIエージェント。MCPサーバーを介してSFAと連携し、蓄積された営業データをリアルタイムで分析・活用できる。会場デモでは、営業担当者が商談に関する質問をすると、AIがその場でSFAデータを参照し、具体的な行動指針や推奨企業を即答する様子が披露された。

「たとえば『今週どこに商談へ行くべき?』と質問すると、AIが『完了予定日が近い企業を優先しましょう。A社やB社がおすすめです。B社は申込書送付から8日が経過しています』といったように、実際のSFAデータを利用して的確なアドバイスを提供します」(石井氏)

 AIの進化によって、営業支援システム(SFA)は、単なる「データを蓄積するためのツール」から「蓄積した情報を積極的に活用し成果を高めるプラットフォーム」へと変貌を遂げている。今や、SFAは人が操作するシステムを超えて、AIが営業現場の意思決定や行動提案を担う時代が到来しつつあるようだ。

(取材・文=福永太郎)

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AIで営業が激変する!行動指針や営業先まで提案、徹底的にムダ時間をなくす

 営業DXを支援するIT企業・SALES GO株式会社が、新たにAI連携型SFA「GoCoo!」を発表した。中小から大手まで1000社以上の営業支援実績を持つ同社は、10月10日の記者発表会で国内の営業課題や、新サービスの強みを示した。

国内SFA導入は進まぬ現状、“使いこなせない”が課題

 代表取締役社長・内山雄輝氏によれば、グローバル企業が顧客への営業活動に時間を投じている一方、国内企業では社内業務や提案書作成などに多くの時間が割かれており、これが労働生産性の低下を招いているという。​

 こうした業務効率化の解決策として注目されているのが、営業支援システム「SFA」である。SFAは顧客情報や営業プロセス、進捗状況を一元化して管理し、営業活動そのものの効率を高める仕組みだ。蓄積されたデータを活用することで、予算達成見込みの把握や、自社の営業における勝ちパターン・課題の抽出が容易になり、組織全体の生産性向上に寄与する。しかし現状、日本国内のSFA導入率は依然として低いという。

 この現状について内山氏は、「多くの企業がSFAを導入しても十分に活用できていないのが実態です。主な原因は、ツールを使いこなす難しさからデータの蓄積が進まず、十分な分析に至らない点にあります。分析ができないため、費用対効果を把握できず、導入の効果が実感しづらいという悪循環に陥ってしまうのです」と指摘。

Excel感覚で使える新世代SFA「GoCoo!」

 こうしたSFA導入の課題を解決するために開発されたのが、同社のサービス「GoCoo!」だ。

「既存のSFAでは使いこなせないことが大きな課題でした。そこで、今もっとも使われているツールの良いところだけを取り入れ、それらをまとめた新しいSFAを作ろうと考えたのです。Excelのように扱える操作性と、ノーコード設定機能を組み合わせ、誰でも簡単に入力できることを追求して開発したのが『GoCoo!』です」(内山氏)

 日本の営業現場では、これまでExcelが営業管理ツールとして多く利用されてきた。Excelは入力しやすい一方で、案件の表示や編集・更新のたびに、シート間の移動や複数ボタンの操作など、何度も画面を切り替える必要があった。

 その点、GoCoo!はExcelライクな操作感を保ちながら、案件や商談の情報の入力・更新画面をひとつに集約。請求書の編集から発行までを1画面で完結できる。画面遷移を最小限に抑えることで、入力工数の削減にも寄与している。

「他社のSFAシステムでは、メニュー画面の名称を変更できない仕様が一般的です。GoCoo!の場合、『取引先』という項目を『クライアント』や『お客様』といった社内用語に合わせて自由に変更可能です。ツールに業務を合わせるのではなく、ツールを業務に寄り添わせることで、より自然な運用を実現できる点が大きな特長です」(石井氏)

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「GoZeeta」は、SFA「GoCoo!」にAIを統合したAIエージェント。MCPサーバーを介してSFAと連携し、蓄積された営業データをリアルタイムで分析・活用できる。会場デモでは、営業担当者が商談に関する質問をすると、AIがその場でSFAデータを参照し、具体的な行動指針や推奨企業を即答する様子が披露された。

「たとえば『今週どこに商談へ行くべき?』と質問すると、AIが『完了予定日が近い企業を優先しましょう。A社やB社がおすすめです。B社は申込書送付から8日が経過しています』といったように、実際のSFAデータを利用して的確なアドバイスを提供します」(石井氏)

 AIの進化によって、営業支援システム(SFA)は、単なる「データを蓄積するためのツール」から「蓄積した情報を積極的に活用し成果を高めるプラットフォーム」へと変貌を遂げている。今や、SFAは人が操作するシステムを超えて、AIが営業現場の意思決定や行動提案を担う時代が到来しつつあるようだ。

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AIで営業が激変する!行動指針や営業先まで提案、徹底的にムダ時間をなくす

 営業DXを支援するIT企業・SALES GO株式会社が、新たにAI連携型SFA「GoCoo!」を発表した。中小から大手まで1000社以上の営業支援実績を持つ同社は、10月10日の記者発表会で国内の営業課題や、新サービスの強みを示した。

国内SFA導入は進まぬ現状、“使いこなせない”が課題

 代表取締役社長・内山雄輝氏によれば、グローバル企業が顧客への営業活動に時間を投じている一方、国内企業では社内業務や提案書作成などに多くの時間が割かれており、これが労働生産性の低下を招いているという。​

 こうした業務効率化の解決策として注目されているのが、営業支援システム「SFA」である。SFAは顧客情報や営業プロセス、進捗状況を一元化して管理し、営業活動そのものの効率を高める仕組みだ。蓄積されたデータを活用することで、予算達成見込みの把握や、自社の営業における勝ちパターン・課題の抽出が容易になり、組織全体の生産性向上に寄与する。しかし現状、日本国内のSFA導入率は依然として低いという。

 この現状について内山氏は、「多くの企業がSFAを導入しても十分に活用できていないのが実態です。主な原因は、ツールを使いこなす難しさからデータの蓄積が進まず、十分な分析に至らない点にあります。分析ができないため、費用対効果を把握できず、導入の効果が実感しづらいという悪循環に陥ってしまうのです」と指摘。

Excel感覚で使える新世代SFA「GoCoo!」

 こうしたSFA導入の課題を解決するために開発されたのが、同社のサービス「GoCoo!」だ。

「既存のSFAでは使いこなせないことが大きな課題でした。そこで、今もっとも使われているツールの良いところだけを取り入れ、それらをまとめた新しいSFAを作ろうと考えたのです。Excelのように扱える操作性と、ノーコード設定機能を組み合わせ、誰でも簡単に入力できることを追求して開発したのが『GoCoo!』です」(内山氏)

 日本の営業現場では、これまでExcelが営業管理ツールとして多く利用されてきた。Excelは入力しやすい一方で、案件の表示や編集・更新のたびに、シート間の移動や複数ボタンの操作など、何度も画面を切り替える必要があった。

 その点、GoCoo!はExcelライクな操作感を保ちながら、案件や商談の情報の入力・更新画面をひとつに集約。請求書の編集から発行までを1画面で完結できる。画面遷移を最小限に抑えることで、入力工数の削減にも寄与している。

「他社のSFAシステムでは、メニュー画面の名称を変更できない仕様が一般的です。GoCoo!の場合、『取引先』という項目を『クライアント』や『お客様』といった社内用語に合わせて自由に変更可能です。ツールに業務を合わせるのではなく、ツールを業務に寄り添わせることで、より自然な運用を実現できる点が大きな特長です」(石井氏)

 高機能だが、月額基本料金/人は5000円と手頃な価格で提供。導入ハードルを下げ、「難しくて使いこなせない」という従来の課題解決を目指している。

フィラーを適切に排除する「VeZeeta」、AIエージェント「GoZeeta」

 同日はGoCoo!に加え、新たに2つのAI関連サービスも発表された。

「VeZeeta」は、スマートAI議事録ツールだ。他社エンジンと比べて処理速度に優れ、英語翻訳やタスク一覧作成もスピーディーに対応。とりわけ、日本語対応に強いAIエージェントを採用している点が大きな特徴だ。

「弊社のAIエージェントは日本語に最適化されており、『あのー』『えー』といったフィラー(つなぎ言葉)を自動で排除します。一方で、『はい』『うん』など会話上必要な相槌は、内容を精査したうえで残すよう設計されています」(石井氏)

「GoZeeta」は、SFA「GoCoo!」にAIを統合したAIエージェント。MCPサーバーを介してSFAと連携し、蓄積された営業データをリアルタイムで分析・活用できる。会場デモでは、営業担当者が商談に関する質問をすると、AIがその場でSFAデータを参照し、具体的な行動指針や推奨企業を即答する様子が披露された。

「たとえば『今週どこに商談へ行くべき?』と質問すると、AIが『完了予定日が近い企業を優先しましょう。A社やB社がおすすめです。B社は申込書送付から8日が経過しています』といったように、実際のSFAデータを利用して的確なアドバイスを提供します」(石井氏)

 AIの進化によって、営業支援システム(SFA)は、単なる「データを蓄積するためのツール」から「蓄積した情報を積極的に活用し成果を高めるプラットフォーム」へと変貌を遂げている。今や、SFAは人が操作するシステムを超えて、AIが営業現場の意思決定や行動提案を担う時代が到来しつつあるようだ。

(取材・文=福永太郎)

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人気不動産YouTuberが考える「消費者による家の選び方」と「不動産業者のあり方」

「YouTube不動産」のチャンネルを運営する印南和行氏は、同チャンネルで消費者向けに家の選び方を解説する。登録者数は約10万人。新築住宅におけるおすすめの間取りから、食洗器の有無など、一級建築士の経験を活かした細かい視点で解説している。

 なお、印南氏の本業は不動産業者向けのコンサルであり、株式会社南勝の代表を務める。昨今、不動産業界では都市部の住宅価格が高騰する一方、地方では空き家問題が取りざたされており、状況は著しく変化している。こうした状況で消費者はどう家を選ぶべきか、そして不動産業者はどうあるべきか。印南氏に取材し、知見を伺った。

YouTubeは啓蒙活動の一環

 一級建築士の資格を有する印南氏は現場監督としての経験を積んだのち、2011年にインスペクション(住宅診断)を手がける株式会社南勝を設立した。「中古住宅を見に行ったけれどヒビがあって心配…」といった、消費者のニーズをつかんで事業を展開していった。後述の通り、現在の主力事業は不動産業者向けのコンサルだが、コロナ禍期間中にYouTubeチャンネルを立ち上げ、一級建築士の視点で家や設備の選び方を解説する動画をあげている。すでに登録者数が約10万人に達しており、短い期間で伸びていった。

「消費者に正しい情報を届けたいという思いから、YouTubeを始めました。10万人まで伸びた秘訣はわかりませんが、頻繁に更新しているうちに、伸びましたね。ネットや雑誌の特集、SNSの動向を見て、『今、何が求められているか』を考えながら動画の内容を決めています。動画編集はスタッフに任せることもあれば、自分で手がけることもありました」(印南氏)

 動画の内容は間取りや設備に関するもの。住宅選びに悩む一般の消費者向けに建築士としての知見を提供している。「【注文住宅】一級建築士が絶対選ばない最悪の間取り7パターン!必ず避けてください。」は200万回以上視聴されたヒット動画だ。都内の平均マンション価格が1億円を超えるなど、昨今では不動産価格が高騰している。都内のマンションか、地方の戸建てか、消費者はどちらを選ぶべきか聞いてみた。

「まず、利便性を重要視するか特定の自然環境を重要視するか、決める必要があります。テレワークしながら子供と一緒に自然の中でのびのびと過ごしたいのであれば、郊外の庭付きの住宅です。しかし、都市部の仕事場から近距離を重視するなら別の選択肢になります。自然環境を重視しているのに、都市部の手狭なマンションを選ぶのは本末転倒です。家族にとって重要視する内容を決めるのが、最初の一歩ですね」(同)

本業は不動産業者向けのコンサル

 YouTubeで消費者向けの情報を発信し続ける印南氏だが、意外にもYouTubeは本業ではないという。

「経営する南勝の主な事業は不動産業者向けのコンサルです。一方でYouTubeの内容は、一般の消費者をターゲットにしています。両者の顧客は異なり、YouTubeはあくまでも消費者向けの啓蒙活動の一環にすぎません。両者の収益もあまり相関してないです。とはいえ、YouTubeが本業における信頼獲得にはつながっていると思います」(同)

 本業の南勝では不動産業者向けのコンサルを手がけている。現在の顧客は450社。ニーズに対応していくうちに、当初のインスペクションから事業内容が変化していった。

「消費者がインスペクションを依頼するのは、不動産業者に対して不安があるからです。消費者が納得するように情報を開示して、しっかり説明すれば消費者は不安がらない。たまたま、物件が売れないという業者に出会った際、それまでの知見をもとに『どう見せれば不安がらないか』をお伝えしました。それが好評だったようで、口コミを通じて業者からのコンサル依頼が来るようになりました」(同)

 不動産業者に対しては、売主・買主と接触する際のアピールの方法やロジックを活用した資料の作成、提供など、業者の悩みに応じてコンサルを行う。例えば、一括査定サイトで消費者に選ばれ、専任媒介を獲得するためのノウハウなどを提供する。不動産会社の中には、査定の部分で課題があるという会社が少なくないと印南氏は話す。

今後の不動産業者の「あり方」

 都市部の不動産需要が旺盛とはいえ、国内全体では人口減少が続いている。不動産業者から見れば客を取り合うような状態だ。コンサルの視点から、今後の業者のあり方を聞いてみた。

「空き家が増えて売主が増える一方、人口減少で買主が減っていく状態です。買主から見て、どの業者を通じて買っても物件自体は同じなので、購入者向けのサポート内容が業者の明暗を分けることになります。買主を満足させる資料作りも重要ですし、話す内容や態度といった細かい部分にも気を配らなければなりません。対応が遅いのも消費者の心証を悪くします。購入したい物件について問い合わせして、すぐに連絡が来れば業者に対して良い印象を持ちます。インサイドセールスについては、他社に代行してでも対応を早くすべきです」(同)

 今後は消費者に対しての営業担当者の差別化が重要になるため、内勤業務はツールやアウトソースを通じて効率化し、不動産業者は対面での営業に専念すべきだと印南氏は主張する。なお、自身はYouTubeでの目標を定めておらず、本業のコンサルで事業の幅を広げていく方針だ。消費者による”買い手市場”にある不動産業界において、コンサルの依頼は増えていくかもしれない。

(取材・文=山口伸/ライター)

アマゾンのスマートグラス、一般発売しない理由…物流を支配する新UI戦略

●この記事のポイント
・アマゾンは配達員向けにスマートグラスを導入し、物流現場でのAI支援とデータ収集を強化する。
・海外ではAI時代の新UIとして開発競争が活発化する一方、日本では制度・文化・投資面で停滞。
・“監視か共進化か”——スマートグラスは労働の在り方と人間の拡張を問い直すテクノロジーとなる。

 アマゾンが米国内で一部の配達員に向け来春、スマートグラスを本格導入すると発表した。現在、最終テスト段階にあるという。

「どの荷物を、どの順番で、どの玄関先に届けるか」。これまで手持ちの端末で確認していた情報が、グラスのディスプレイに重ねて表示される。AIがリアルタイムでルートを最適化し、誤配や迷いを減らす。両手が空くことで作業効率が上がり、雨天や夜間でもスムーズに配達が行えるという。

 導入されるのは、アマゾンが自社開発した業務専用のスマートグラス。一般販売を前提としていない点が、XREAL(エクスリアル)、Meta(メタ、旧フェイスブック)、Huawei(ファーウェイ)、Lenovo(レノボ)などが展開する“汎用型”デバイスとは異なる点だ。

 専門家は、アマゾンの目的は「未来の物流を実現するためのUI(ユーザーインターフェース)再設計」にあると分析する。

●目次

なぜ「一般向け」ではなく「配達員向け」なのか

「アマゾンはこれまでも、Echo Framesなどの一般向けスマートグラスを試作・販売してきましたが、商業的には成功していません。同社が今回、消費者ではなく現場労働者=物流従業員にターゲットを絞ったのは、ユースケースが明確でROI(投資対効果)が測定しやすいためです。物流現場では、秒単位の効率化が売上・顧客満足に直結します」(ITジャーナリスト・小平貴裕氏)

 すでにアマゾンの倉庫ではピッキング作業にARを用いた支援が導入されており、今回のグラスはその延長線上にある。つまり、同社は“人間の視界そのものをデータ化する”という方向に舵を切ったのだ。

 グラスを通して配達員の視線や動作データを収集することで、AIが学習し、より最適化された動線やレイアウト設計が可能になる。単なる便利ガジェットではなく、人間×AIによる共同作業の実験場として位置づけられている。

 メタは「Ray-Ban Meta」を、エクスリアルは軽量ARグラス「Air 2 Pro」を、ファーウェイやLenovoも独自モデルを展開。アメリカや中国ではいま、スマートグラスを“次世代コンピューティングデバイス”と位置づけ、開発投資が再び加速している。

 背景には大きく三つの潮流がある。

 1.AIエージェント時代の新UI探し
 ChatGPT、GeminiなどのAIエージェントが普及する中、スマホ画面を介さずに自然にAIと対話する新たなハードウェアが求められている。
 音声、視線、ジェスチャーといった人間の“非言語操作”を起点に、AIが行動を補助するデバイス——その最有力候補がスマートグラスだ。

 2.物流・医療・製造など現場業務のDX化
 現場作業者にとって、両手が使えるウェアラブルは圧倒的な利便性をもつ。
 マニュアル確認、映像共有、リアルタイム支援など、現場業務の効率化に直結するユースケースが多い。

 3.Apple Vision Proが開いた“XR再評価”の波
 高価ながらも市場の注目を集めたVision Proは、視覚インターフェースの可能性を再認識させた。
 各社はより軽量で日常的に装着可能な形態——つまり「グラス型」へと向かっている。

日本ではなぜ話題にならないのか

「日本では、2010年代前半にGoogle Glassが登場した際の“失敗の記憶”が根強くあります。『プライバシー侵害』『目立って恥ずかしい』『使い道がない』といった印象が社会的に残り、再ブームを阻んでいると考えられます」(同)

 さらに、構造的な課題もある。

 1.顔認識・録画などに対する法制度の未整備
 欧米ではGDPRなどの規制のもとで限定的利用が許容されるが、日本では法的グレーゾーンが多い。
 企業が本格的に導入しづらい環境にある。

 2.作業現場のDX投資の遅れ
 物流や建設といった現場労働の分野で、まだタブレット端末が中心。
 「次世代インターフェース」としての導入まで踏み込めていない。

 3.消費者向けガジェットへの慎重姿勢
 メガネ文化が強い一方で、“デジタル化したメガネ”に対する心理的ハードルが高い。
 「常時カメラがついている」ことへの抵抗感も根強い。

 結果、日本ではXRがエンタメ・展示領域にとどまり、日常や労働現場に根づくインフラとしては浸透していない。

アマゾンの戦略の本質:「物流UIの再発明」

 今回のスマートグラス導入は、「配送員をAIで置き換える」のではなく、配送員がAIと共に働く新しい形をつくる試みだ。

 グラスにはカメラ・GPS・マイク・ディスプレイが搭載され、AIが視覚情報を解析して「誤配送を警告」「荷物の置き場所を指示」「顧客からのリアルタイム要望を表示」などを行う。音声とARが組み合わさった“半自動運転的”な体験であり、人間をハードウェアの一部として再定義するような構造だ。

 この仕組みは、アマゾンが進めるAI物流ネットワーク構想と連動している。倉庫・ルート・車両・人をすべてデジタルツイン上で統合し、リアルタイムで最適化する「見える物流(Visible Logistics)」の中核デバイスとなる。

 小平氏は、「アマゾンの動きは、今後のスマートグラス市場全体にも波及する」とみる。

 すでに次のような分野での導入が視野に入っている。

 1.医療現場
 手術中の医師が、患者データやCT画像を視界に重ねて確認。
 遠隔地の専門医が映像共有しながら支援するシステムが現実に。

 2.製造・保守点検
 熟練技術者の作業を新米がAR越しに学習。
 遠隔からの支援・教育コストを削減。

 3.小売・接客
 店員の視界に顧客の過去購買履歴や在庫情報を表示し、パーソナライズされた接客を実現。

 4.教育・トレーニング
 実際の現場映像に仮想情報を重ねることで、没入型の職業訓練が可能に。

 5.観光・エンタメ
 ARナビやリアルタイム字幕翻訳によって、言語や地理の壁を超える体験を提供。

 このように、スマートグラスは「作業効率化ツール」から「拡張知覚デバイス」へと進化しつつある。AIエージェントが常にユーザーの“視界内”で働く未来——その最初の商用実験場が物流現場なのだ。

スマートグラスが描く「ポストスマホ時代」

 注目すべきは、テクノロジー倫理と労働の境界線である。配達員の動作データや視線情報がクラウドに収集されることで、効率化と同時に「監視強化」への懸念も高まる。AIが“見ている”職場は、果たして働きやすいのか。

 一方で、現場労働者がテクノロジーを活用し、熟練をAIに“転写”していくことで、ノウハウの継承や業務標準化が進むというポジティブな側面もある。

 この“監視と共進化の境界”をどうデザインするかが、今後の最大のテーマとなる。

 スマホが人間の「手の延長」だったのに対し、スマートグラスは「目と脳の延長」となる。情報は検索するものではなく、視界に自然に現れるものへ——。アマゾンのスマートグラスは、その転換点を象徴する。同社が消費者ではなく労働者に導入したのは、“未来の生活”ではなく“未来の仕事”をまず作り変える意図の表れだ。

 物流の次は、医療・建設・教育。そして、やがて私たちの生活へ。AIが目の前に“見える”世界は、もうすぐそこにある。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)


(GeekWire / YouTube)

AI時代にこそ「問い」を磨け…中村憲剛・楠木建が語る、知の最前線

「知識創造DAY 2025」11月5日、京橋TODA HALLで開催

 AIが瞬時に答えを導く時代に、人間は何をすべきか――。2025年11月5日(水)、京橋のTODA HALLで開催される「知識創造DAY 2025 ―ナレッジの資産化が、企業の未来をつくり出す―」は、その問いに真正面から挑む一日だ。

 登壇者には、元サッカー日本代表の中村憲剛氏、一橋ビジネススクールの楠木建教授という、“問いを立てる達人”が並ぶ。加えて、JR東日本、東急建設、キーエンスなど日本を代表する企業が実践事例を公開。ナレッジマネジメントの最前線を「体験」できる場として注目を集めている。

「答えよりも、問いを共有する」

 AIによって情報が氾濫する現代において、いかに価値ある“知識”を生み出すか――。
主催するany株式会社が掲げるテーマは、「共に問い、共に発見し、新たな知識を紡ぎ出す」。

 anyは、AIナレッジプラットフォーム「Qast(キャスト)」を提供する企業だ。Qastは、社内資料の分類や要約、RAG(Retrieval Augmented Generation)による質問応答までを自動化し、個人の経験や知見を「組織の資産」へと変える。

 しかし、AIが整えるのは“環境”にすぎない。最も重要なのは、人間が何を問い、どう学ぶか。その答えを、スポーツ、経営、テクノロジーの現場から探るのが今回の「知識創造DAY」だ。

【基調講演①】中村憲剛が語る「フィロソフィーの継承」
 最初の基調講演に登壇するのは、元サッカー日本代表で川崎フロンターレのリレーションズオーガナイザー中村憲剛氏。
 タイトルは「サッカークラブから学ぶ、フィロソフィーの系譜」。

 フロンターレの黄金期を支えた“哲学”をどのように受け継ぎ、チーム全体に浸透させたのか。勝敗という明確な「結果」が求められる世界で、いかに「問い」を持ち続け、選手やスタッフが共に考える文化を築いたのか――。経営にも通じる「知の継承」のリアルが語られる。

【企業講演①】JR東日本・東急建設が語る、ナレッジ変革のリアル
 続くセッションでは、JR東日本盛岡支社の佐々木大輔氏、東急建設の坂本太我氏が登壇。
 テーマは「推進担当者が語るナレッジマネジメントの変革プロセス」。

 地域に根ざした鉄道事業と、全国規模の建設事業――異なる業界でナレッジをどう共有し、どう「行動」に変えていくのか。単なるシステム導入ではなく、「現場をどう巻き込み、知識を文化として根づかせるか」という実践の苦労と突破口が披露される予定だ。

【基調講演②】楠木建教授「ナレッジが生み出す競争戦略」
 午後後半のハイライトは、経営戦略の第一人者楠木建氏による講演「ナレッジが生み出す競争戦略」。「経営とは、知識創造そのものだ」と語る楠木教授。

 データとAIが当たり前になった時代に、企業が本当に差別化できるのは「意味づけ」の力だという。表面的な情報ではなく、経験と洞察に裏づけられた“ストーリーとしての知識”こそが、企業価値を左右する。その実践的なヒントが語られるだろう。

【企業講演②】キーエンス×VCが語る「知識創造と企業価値」
続くセッションには、キーエンスの柘植朋紘氏、Archetype Venturesの福井俊平氏が登壇し、「知識創造で実現する企業価値向上」をテーマにディスカッション。

 現場データを武器に成長してきたキーエンスの「現場知」と、スタートアップ投資を通じて“次の産業構造”を読み解くVCの「未来知」。両者の視点が交差し、知識が企業の意思決定やイノベーションにどう貢献するかを深掘りする。

 このセッションの後には、実務に直結する「社内を動かす稟議書の作り方」というミニセッションも用意されている。ナレッジの活用が、いかに組織を動かすかを体感できる内容だ。

【懇親会】リアルな対話が「知の化学反応」を生む
 イベントの締めくくりは、登壇者と来場者が自由に交流できる懇親会。会場には軽食も用意され、同じ課題を持つ仲間とのネットワーキングができる。
 AIツールでは得られない、「偶然の出会い」や「生の対話」から新たな発想が生まれる瞬間を目指す。

※プログラムの内容・登壇者などは都合により予告なく変更する場合があります。

いま、企業に求められる“知識の資産化”とは

 AIが組織の知識を自動で検索・要約し、誰もが瞬時にアクセスできる時代――。
それでも企業の成長を左右するのは、“人の中に眠る知”をどう引き出し、どうつなぐかだ。

 anyが提唱する「ナレッジの資産化」とは、単なるデータベース構築ではない。社員一人ひとりの経験や問いを、組織全体の“思考の財産”に変えるプロセスだ。

 この「知識創造DAY 2025」は、AIが進化するほど、人間の“知”の価値が高まることを実感できるリアルイベントだと言える。

【開催概要】
名称: 知識創造DAY 2025 ―ナレッジの資産化が、企業の未来をつくり出す―
日時: 2025年11月5日(水)13:00開場/14:00開演
会場: TODA HALL & CONFERENCE TOKYO(東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 4F)
主催: any株式会社
参加費: 無料(事前登録制)
対象: 企業経営層・役職者(経営企画/DX推進/ナレッジマネジメント部門など)
公式サイトhttps://conference.anyinc.jp/

AIでは代替できない、「共に考える」1日へ

 ビジネスの現場で「答え」があふれる今こそ、「問い」を立てる力が価値になる。
画面の向こうでは生まれないリアルな対話と、異なる知が交わる体験を求めて――。

 11月5日、京橋に集う一日が、あなたの組織の「知」を進化させるきっかけになるかもしれない。

シティバンク、2026年に暗号資産カストディサービスを開始へ

米金融大手のシティバンクは、2026年に暗号資産(仮想通貨)のカストディサービスを開始する予定であることを、関係者を通じて公表しました。 この構想はすでに3年にわたって準備が進められており、現在は技術的な実装段階に入っているとのこと。

これまで暗号資産の保管や管理は、主にコイン取引所が担ってきました。最近も、ビットコインL2銘柄やWeb3とAIを組み合わせた銘柄などの価値が急上昇しており、それらの預け先として今なお取引所の活用事例は増え続けています。

一方で、ハッキング被害のリスクがたびたび問題となり、機関投資家の参入をためらわせる要因にもなっていました。そうした中で、シティバンクによる信頼性の高いカストディサービスの登場は、デジタル資産市場にとって大きな転換点となる可能性があります。

長い間、伝統的な金融機関が距離を置いてきたデジタル資産の世界に、ついにウォール街の老舗銀行が本格的に参入しようとしているのです。

銀行が暗号資産を預かる時代へ

カストディサービスとは、顧客に代わって資産を安全に保管・管理する仕組みのことです。

株式や債券などの資産においては長年、銀行や信託機関がその役割を担ってきました。しかし、暗号資産の登場により、その対象が広がりつつあるのが現状。 そして今回、シティバンクが計画している新しいサービスでは、資産運用会社や機関投資家の暗号資産を信頼性の高い保管ソリューションを通じて直接預かることになります。

この実現に向けて、同行は現在、自社開発による独自の技術基盤と外部の専門企業との提携という2つのアプローチを並行して進めています。

特定の顧客層には自社の強固なインフラを活用し、より軽量な運用が求められるケースではサードパーティのシステムを導入するなど、柔軟な対応を取る方針です。

従来の銀行姿勢からの大きな転換

これまで多くの銀行は、暗号資産を投機的で不安定であるとみなし、取り扱いに慎重でした。

しかし近年は、世界的に規制が整備されつつあります。特に米国では、2025年7月にトランプ大統領が署名したGENIUS(ジーニアス)法など、デジタル資産の扱いを明確化する法案の成立が進んでいます。 こうした環境の変化により、銀行業界が少しずつデジタル資産へと歩みを進め始めているのです。

シティバンクによる暗号資産カストディサービスのローンチは、その流れを象徴するものといえるでしょう。

ウォール街で広がるデジタル資産競争

また、今回の発表は単なる新規事業ではなく、ウォール街全体が暗号資産を金融システムの一部として、正式に取り込もうとする動きの一環であると表現できます。

たとえば、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなどの大手銀行は、すでにブロックチェーンを活用した決済・送金技術の導入を進めています。 特にJPモルガンは、商業銀行の預金をトークン化した「デポジット・トークン」の実証を行っており、 これはイーサリアムネットワーク上で稼働して、顧客間の資金移動を即時かつ低コストで実現するものです。

また、シティバンクも同様に、「Citi Token Services」という独自のブロックチェーン基盤を構築しています。 これにより、ドル建ての国際送金ネットワークが稼働し、 ニューヨーク、ロンドン、香港の各拠点間で24時間365日体制の送金処理を実現しています。

ステーブルコインへの期待と課題

カストディサービスに加えて、シティバンクは独自のステーブルコイン取引の可能性も検討中です。

2025年7月、同行のCEOであるジェーン・フレーザー氏は「シティ版ステーブルコインの発行を視野に入れている」と述べ、企業顧客向けのトークン化預金サービス開発を進めていることを明らかにしました。

ステーブルコインとは、ドルやユーロなどの法定通貨に連動するデジタル通貨であり、既存の仮想通貨に比べて価格変動が少ないのが特徴です。 現在はTether社のUSDTやCircle社のUSDCが市場をリードしていますが、 シティバンクのような大手銀行が参入することで、安全性と信頼性がさらに担保された、新しいステーブルコインの登場が期待されています。

一方で、銀行がこの分野に進出することについて、一部の専門家は「ステーブルコインが銀行預金の代替手段となり、資金流出を招く恐れがある」と警鐘を鳴らしています。

実際、イギリスに本拠を置くスタンダード・チャータード銀行は「ステーブルコインの普及により、2028年までに新興国の銀行から1兆ドル超の預金が流出する可能性がある」と指摘しました。

この懸念を受け、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は、個人が保有できるステーブルコイン残高に1万〜2万ポンドの上限を設ける案を提示。 ただし、その後の批判を受けて、取引所や企業など流動性確保が必要な事業者には例外措置を設ける方向で再調整を進めています。

G7通貨連動ステーブルコイン構想

こうした流れの中で、シティバンク、ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、BNPパリバ、サンタンデール銀行、三菱UFJ銀行など、 G7諸国を代表する主要銀行9行が共同でステーブルコインの開発に着手。G7各国の法定通貨を裏付け資産とし、1対1で連動するデジタルトークンを発行する構想を掲げています。

そして、各銀行は規制当局と連携しながら、公的ブロックチェーン上で利用可能な国際決済資産を提供する計画を進めています。

なお、2024年のステーブルコインの年間送金量はすでに27.6兆ドルを記録。2030年までには国際送金や貿易決済の仕組みを根本から変える可能性があると各専門家は分析しています。

次世代決済インフラの未来

実際にはシティバンク社内においても、一部慎重な見方があります。

低金利にある銀行から資金が急激に流出し、銀行業界全体が大きな打撃を受ける可能性があるからです。この懸念事項から、米銀行協会などは議会に対して「暗号資産企業によるステーブルコインの利息付与を制限すべきだ」という主張も。

一方で、暗号資産業界の側には、こうした銀行の姿勢を「競争を抑え込む動き」とみる声もあります。実際、大手の仮想通貨取引所であるCoinbaseは「ステーブルコインの普及と銀行預金の減少に、はっきりとした因果関係はない」と主張しています。

こうした議論を踏まえつつ、シティバンクは、2兆5,000億ドルを超える資産をすでにカストディ業務として扱っており、その経験と信頼を今度はデジタル資産の世界へと広げようとしています。

2026年に予定される新サービスの開始は、単なる新しい事業の立ち上げではなく、伝統的な銀行がクリプト経済の中心へと踏み込む本格的な一歩になるかもしれません。

この挑戦が、今後10年のウォール街をどう変えるのか。それを見極めるための試金石として、多くの関係者が、動向を注視しています。

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第一三共ヘルスケア、「マスク崩れ」を科学的に評価 ――エビデンスに基づく研究文化と企業姿勢

 コロナ禍で長時間のマスク着用が日常となり、多くの人が経験したのが「マスク崩れ」。マスクを外した瞬間に気になるメイクのヨレや色移りは、生活者にとって小さくない不快感となっていました。しかし従来、この「崩れやすさ」を測る明確な基準は存在せず、あくまで「気になる」「崩れたように見える」といった主観的な感覚に頼らざるを得ませんでした。

 第一三共ヘルスケアは、この曖昧な現象を科学的に捉えるべく研究を実施。その成果を動画で公開しました。目的は「マスク崩れを客観的に評価する方法をどう確立するか」 という手法の探求にあります。

「感覚」を科学で裏付ける

 第一三共ヘルスケア H&B研究所 製品化研究グループの廣田梢さんは、こう語ります。

「実は『マスク崩れしにくい』というのは、今まで個人の感覚の話で、客観的で常に一定の評価基準はありませんでした。私たちはよりエビデンスに基づいた製品をお届けしたいと考え、『マスク崩れ』を客観的に評価する方法を生み出すことにしました」

「崩れにくい」という表現を感覚ではなくデータに落とし込む。この姿勢は、同社が掲げる「エビデンス・ベースド」という考え方に直結しています。医薬品研究で培った「根拠を示す文化」をスキンケア研究にも応用する点こそ、製薬会社としての第一三共ヘルスケアの独自性といえるでしょう。

装置を用いた再現実験

 研究チームは、マスクと肌が擦れる現象を再現できる装置を用いて試験を行いました。人工皮膚に製品を塗布し、動作条件(スピード・回数・加重)を設定して摩擦を再現。崩れの程度を画像や数値で記録する仕組みです。

 H&B研究所 基盤技術グループの大坪桃さんは、装置について次のように説明します。

「こちらがその試験に使用する装置です」

「この装置は、マスクが肌に擦れる現象を、いつでも同じ条件で再現することができます。試験方法は、まず人工皮膚に検証したいアイテムを塗り、その上に一定の重さのおもりを乗せます。次に、スピードや回数といった動作の条件を設定し、スタートさせます。マスクを巻いたパーツで擦った際の、メイクの落ち具合を見ることができます」

 もともとは摩擦力を測る機械でしたが、研究者たちは「顔が動くとマスクと肌が擦れる」ことに着目し、この装置を応用することを思いつきました。

 実験では、CCクリームだけを塗布した場合には崩れが線のようにくっきりと現れ、パウダーを重ねた場合には崩れが目立ちにくいという違いが確認されました。画像解析で面積を数値化することで、感覚的な「崩れやすさ」を客観的に示すことが可能となったのです。

 大坪さんはこう振り返ります。

「おもりの重さや擦るスピード・回数、アイテムを塗布する量など、さまざまな要素を検討しました」

感覚を「見える化」する意義

 廣田さんは、この研究の価値をこう説明します。

「実際に使用した感覚を視覚的に見せることで、分かりやすい形で製品の特長を伝えることができればと考えています」

 主観に頼ってきた領域を、再現性のある実験と数値で示す。この「感覚の見える化」は、同社の研究文化そのものを体現しています。

企業姿勢としての「エビデンス・ベースド」

 大坪さんは入社の理由について、こう話しています。

「入社を決めた一番の理由は、エビデンス・ベースドという考え方に共感したことです。これは、全ての物事に対してデータや根拠を示し、みんなが納得できるものを出していこうという考え方です」

 廣田さんも、品質評価やブランドの安定性に携わる立場から「お客様に長く使っていただけるブランドをつくりたい」と語っています。お客様から寄せられる声は日々社内で共有されており、それが研究開発を支えるモチベーションになっていると言います。

 このように「生活者の感覚」を大切にしながら、それをデータとエビデンスで裏付ける――この姿勢が第一三共ヘルスケアの研究文化であり、企業姿勢の中核にあるのです。

「Fit for You」を研究で体現する

 同社はコーポレートスローガンとして「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げています。

「マスク崩れ」を科学的に評価する研究は、このスローガンを体現する取り組みといえます。生活者が日常で感じる小さな不便や不安を研究テーマとし、エビデンスをもって理解しようとする姿勢。それは、製薬会社ならではの信頼性をもって生活者の健やかな暮らしに寄り添う企業姿勢そのものです。

 今回ご紹介した第一三共ヘルスケアの「マスク崩れ研究」は、製品の開発を目的とした研究ではなく、主観的な感覚を客観的に評価する方法論を確立しようとする試みでした。

 エビデンスを重視し、科学的に現象を可視化する。生活者の声を大切にし、研究に反映する。そして、健やかなライフスタイルを支えるパートナーであることを企業理念として掲げる。

 この一貫した姿勢は、創薬型企業をバックボーンに持つ同社の強みと言えます。この強みを背景に、「感覚の見える化」という新たな挑戦を通じて、第一三共ヘルスケアはこれからも生活者の信頼に応えていくでしょう。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

<第一三共ヘルスケア株式会社について>

 第一三共ヘルスケアは、第一三共グループの企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。

 現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。

 こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。

 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。

※本稿はPR記事です。