パチンコ“連チャン”の象徴「RUSH」を広めた火付け役!? リーチと出玉でファンを魅了した傑作!!

 ラッシュ。この言葉をパチンコの連チャンを表現するものとして採用した人はワードセンスの天才である。次から次へと大当りが怒涛のように押し寄せるさまを実に見事に表した。言葉を使う者として嫉妬するレベルである。

 ところで、このラッシュの本来の意味は何なのであろうか。ひとくちに「ラッシュ」と日本語で書いてもその答えは見つからない。じつは「ラッシュ」と表記する英単語は4つ存在するのである。LASH、LUSH、RASH、そしてRUSH。

 パチンコのラッシュはRUSHであり、「突進」や「急ぐ」を意味する。ラッシュアワーのラッシュと同じで、「何かに向かって勢いよく走る」といったニュアンスである。

 それはそうと、この「ラッシュ」というフレーズはいつからパチンコで使われるようになったのだろうか。機種名を見てみると1995年にサミーから登場した『CRゴールドラッシュ』が確認できる。

 ただ、これは「ゴールドラッシュ」というパッケージありきの言葉の使い方となっているので、ここで問うているものとは性質が異なるだろう。で、その次となると藤商事の『CRエキサイトラッシュ』に突き当たる。

 この機種はアレンジボールの最高峰「エキサイト」の正統後継機で、連チャンの炸裂具合をまさに「ラッシュ」と例えた最初の台と言えるのではないだろうか。しかし、『CRパトラッシュ』の存在を忘れてはならない。このマシンこそパチンコに「ラッシュ」の言葉と概念を定着させた立役者なのである。

 70回転の限定確変、つまりST機能によって高い継続率とパワフルな出玉感を両立させたスリリングな連チャンモードが多くのパチンコファンに刺さり、この連チャンパッケージが確立することとなった。

 この『CRパトラッシュ』と人気を二分するパチンコ三大ラッシュのひとつが同じSANKYOから登場した『CR J-RUSH』である。アレパチを彷彿させる盤面構成、極めてシンプルな演出、スピーディーな展開、ほどよい出玉感と秘めた爆発力。特に年配のファンに好まれる激渋なシリーズのパチンコ機となっている。

 状態によってリーチの確率が変化するリーチ管理システムが特徴で、大当りすると確変でも通常でも電サポモードに突入するが、このときよくリーチが発生すると大当り期待度とともに確変の期待度も上昇するのである。

 本機はスペックが1/285のミドルと1/199のライトミドルの2タイプあり、前者の場合は電サポ抜けで潜確になることが確率的にかなり低いのに対し、後者では電サポ抜けの3回に1回が潜確となる可能性があるなど、スペックの種類によってゲーム性に違いが生じるような面白さもある。

 アナログ感はもちろん、かつての怪しい雰囲気をまとっていたパチンコのノスタルジーも胸に沁みる『J-RUSH』なのである。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

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 5月。普通の人なら新緑の季節に心躍るところだが、パチンカーにとっては活力と気合いが入る「パチンコの新台」に胸を高鳴らせる時期であろう。

 今年の5月は連休明けとなる5/10から新台の導入が始まるが、興味を掻き立てられる新機種が山のように待ち構えている状況だ。そんな今月導入予定のマシンのなかから、編集部の注目台をいくつかピックアップしてご紹介させていただく。

 現状、連チャン力とスピード感のある機種が人気となっているP機。最新の人気ランキングでも『P大工の源さん超韋駄天LIGHT』『ぱちんこウルトラマンタロウ2』『Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ2』と、高ループで出玉速度に特長のあるマシンが上位に顔を揃えている。

 そういった視線で見ると、絶対に外せないのが『P北斗の拳8救世主』だ。流行りの1種2種混合機ではなく、伝統の(V確)ループタイプの確変システムを搭載。バトルに勝利すれば1500発のMAXラウンドを獲得できるおなじみの「バトルスペック」で登場予定だ。アツい展開が繰り広げられること間違いないだろう。

 スペック面に関しては、確変「バトルモード」の継続率は約82%で、10ラウンド1500発比率が75%と出玉性能は抜群。確変ループという点を考慮すれば、スピード面に関して先に登場した人気機種ほどのものを出すのは厳しいが、インターバルがほとんどないアタッカーが爽快感と快適性を与えてくれる。

『P北斗の拳8救世主』はド本命ともいえる鉄板機種なので誰もが推すところだろうが、注目機種と言えばニューギンから登場する『Pベルセルク無双』もその一つだ。

 モチーフは主人公のガッツが巨大な剣をふるって敵と戦うバトルアクションのマンガで、作品性はこれまでのパチンコと相性抜群だったコンテンツと同じ方向。更にCRの終盤で爆発的ヒットを巻き起こした『無双』の冠も加わっての登場だ。

 機種コンセプトの構造的には『北斗無双』と同様。ヒット法則を見出すことができるか注目となるが、この機種の1番の武器は出玉感であろう。10ラウンド「1000発」大当りと、期待出玉「約1000発」の小当りRUSH。この強力タッグによって合わさったCR機を思わせるボリュームのある出玉が、約75%でループするようになっている。

 さらに、本機には玉の動きを制御してアタッカーへの入賞を促す新型のアタッカーが搭載されている模様で、高速消化への期待も高まる。小当りRUSHに速度感を加えた新たなスピードスターの出現を予感させる内容なのだ。

 5月には『Pガールズ&パンツァー劇場版』や『P大海物語4スペシャルBLACK』などの強豪マシンも多い。どのマシンが力を発揮するか、5月の新台導入が待ち遠しい。

【5月導入開始の新機種】
5/10
・『P北斗の拳8救世主』
・『Pガールズ&パンツァー劇場版』
・『P競女!!!!!!!!-KEIJO-』
・『Pギンギラパラダイス夢幻カーニバル199ver.』
・『P花の慶次~蓮199ver.』
・『P織田信奈の野望全国版』
・『P地獄少女きくりのお祭りLIVE』

5/24
・『P弾球黙示録カイジ5電撃チャージ』
・『Pベルセルク無双』
・『P大海物語4スペシャルBLACK』
・『Pフィーバーパワフル』
・『PA激デジジューシーハニー3』

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今だから話せるグランアレグリア敗退の裏事情。1番人気が勝てないNHKマイルC、飛び交う馬主の思惑とグレナディアガーズの裏事情とは?

●1番人気敗退の歴史

 カラクレナイ、タワーオブロンドン、グランアレグリア、レシステンシア、過去4年で敗退したNHKマイルC(G1)の1番人気だ。この中で特に多くの競馬ファンを落胆させたのは、2019年に単勝1.5倍で敗退したグランアレグリアだろう。昨年の安田記念でアーモンドアイを破るなど、名実ともにJRA最強マイラーと呼ばれる同馬だが、3歳春以降に唯一マイルで負けたのがこのNHKマイルCだ。

 同馬はデビュー前からテンションの上がりやすさとゲートに難があることを指摘されていた。また、桜花賞後にオークスへ行くかNHKマイルCへ行くかで協議された時も、平常心で走る点に不安があると判断され、2400mのオークスではなく1600mのNHKマイルCへ出走した経緯があった。断然の人気ではあったが、そんな不安要素も抱えていたのである。レースはスタートで遅れ、道中も力んで走り、直線では余力がなかった。2~3番手につけて早めに外に出す作戦だったが、レース前の不安が露呈し正反対のレースになってしまったという。このように、グランアレグリアほどの馬であっても負けるのが競馬であり、NHKマイルCなのである。

●サンデーレーシングと地元東京馬主

 今年のNHKマイルCで注目されるグレナディアガーズは、グランアレグリアと同じサンデーレーシングの所有馬。さらに弥生賞(G2)2着のシュネルマイスターもサンデーRの所有馬。そのサンデーRはアエロリット、メジャーエンブレムでNHKマイルCを勝利していることからも、このレースに力を入れていることがわかる。他にもニュージーランドT(G2)を逃げ切ったバスラットレオンや、ファルコンS(G3)を勝利したルークズネストも注目の一頭。同馬のオーナー窪田芳郎氏は、NHKマイルCが行われる東京競馬場の東京馬主協会に所属する地元馬主なので、特に勝負気配の高さを感じる。一方で実績不足の格下馬も多く出走し、今年は玉石混交の難解なレースといって間違いなさそうだ。

●飛び交う馬主の思惑

 G1レースのような高額賞金がかかる大一番は、様々な馬主関係者の思惑が飛び交うので、馬券で勝負するなら特に馬主の情報が重要と言える。なぜなら競馬界でもっとも権力を持つのは馬主だからだ。

 馬主は関係者からマスコミでは入手できない本物の情報を入手できる。そして何よりも馬主は、調教師、騎手、厩務員、他の馬主たちと密接な関係にありながら、競馬法で馬券の購入が認められている存在。競馬関係者と近しい立場にあり、本物の情報を入手できる環境にあれば、多くの馬主が馬券で勝負するのは言うまでもない。そしてその馬主の中でも、究極の馬券投資術である「1点勝負」にこだわるプロ馬券師級の馬主とその関係者もいるという。

 もし馬主関係者が実際に勝負する「1点情報」と同じ買い目を知ることができれば、馬主でなくとも競馬で一獲千金を手にすることも可能だろう。それほどの破壊力を秘めているのが、競馬における「1点勝負」だ。

 なお、そういった本物の馬主関係者情報はスポーツ紙やテレビの競馬番組などでは知ることはできない。その情報を入手する方法は、本物の馬主関係者情報を入手できるトップシークレットのみといえよう。トップシークレットとは何者か、NHKマイルCでどんな情報を入手しているのか、彼らから話を聞くことができた。

●報道とは真逆の馬主情報

――NHKマイルCではどんな馬主情報を入手しているのですか?

担当者 一般的なマスコミなどで報道されているものとは、正反対の情報もありますね。馬主の意向で勝算がなくても出走するだけなのに、有力馬として祭り上げられたり。あるいはここが勝負なのに、あまり報道されていなかったり。そのあたりは馬主サイドから、厩舎サイドへ強気なコメントを控えるよう指示が出ているのもあるようです。

――それらの裏事情がわからなければ、ファンは苦戦しそうですね。最近の実績はいかがですか?

担当者 春競馬に入っても1点勝負の成功が続いていますし、3連単でも万券的中を連発させています。特にインパクトが大きかったのは、重賞のオーシャンステークス(G3)でしょうか。ここでは3連単16万8680円という10万馬券の的中。11番人気で勝利した穴馬コントラチェックの勝負情報がピタリと嵌りました

――NHKマイルCについて再度お聞きします。どんな結論ですか?

担当者 我々が把握した馬主関係者の情報により、完全1点勝負が決定しています。その2頭がどの馬かはここでは明かせませんが、読者の皆様には無料公開をさせていただきますので、ぜひそちらで確認していただければと思います。

――ほとんどのマスコミは7~8点の予想が一般的ですが、1点に絞り込めるものなのですか?

担当者 マスコミが取材で得る情報と、我々が馬主関係者から得る情報には大きな差があります。その差でしょうね。このNHKマイルCは何点も余計な買い目を買う必要はありません。この1点で勝負できます。それが結論です。

 本物の馬主関係者情報を入手できるトップシークレットであれば、難解なNHKマイルCもわずか1点で勝負できるという。にわかに信じがたい話だが、その答えはレース後に出るわけだから、まずはこの1点情報を入手することが先決だ。本物の馬主関係者情報を無料で入手できる滅多にないチャンス、早めにチェックしておくことをおすすめしておく。
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※本稿はPR記事です。

山ちゃん炎上、活動休止へ…バラエティチャンネル、撮り鉄の迷惑行為を晒して猛批判

 最近、“撮り鉄”(鉄道写真を撮る愛好家)の問題行為がたびたびニュースに取り上げられている。

 4月25日にJR西川口駅のホームで、電車の撮影をしていた撮り鉄同士でトラブルになり、中学生を押し倒して頭蓋骨を骨折させ、現場から逃げていた19歳の少年が27日に逮捕された。4月30日にはJR成田線の記念列車が走行中、ひとりの男が線路内に侵入して写真撮影。電車は安全確保のために約2分間、非常停車を余儀なくされた。

 ほかにも、線路内への立ち入り、ホーム上で点字の上に脚立を置いて撮影、ホームから線路上に身を乗り出しての撮影、営業時間外に駅へ侵入など、数え上げれば枚挙に暇がないほど、撮り鉄に関する迷惑行為・犯罪行為が連日、報じられている。それを受けて、SNSなどでは「撮り鉄を排除しろ」「犯罪行為には巨額の損害賠償など厳罰を」といった過激な言葉が飛び交う。

 そんな社会情勢を背景に、YouTuberグループの「バラエティチャンネル」が4月30日に公開した動画「【炎上】成田線120周年記念で撮り鉄が暴走!?数々の迷惑行為に驚愕した!」のなかで、撮り鉄の迷惑行為を注意するという企画を実施。

 冒頭で紹介した、JR成田線の120周年記念列車を撮影しに集まる撮り鉄をターゲットに定め、迷惑行為を見つけたら注意するという内容だった。だが、動画の冒頭で「撮り鉄って結構害が多い」など、撮り鉄全体を問題視するような発言があり、鉄道ファンから反感を買うことになった。

 記念列車が発車するまで、メンバーらはホームを往復して座り込んでいる人や、ホームに荷物を置いている人、黄色い線を越えている人などに注意して回った。特に騒動もなくイベントが終わると、動画の最後に「撮り鉄の人はこの動画を見て(行動をあらためないと)、僕たち注意しにいっちゃうから」と撮り鉄にコメントを投げた。

 動画が公開されると、「低評価」が多く押され、コメント欄にも批判が殺到。

「自分が正義だと思ってイキってる」

「正義感が歪んでる」

など、チャンネルの企画自体を非難する声のほか、

「迷惑行為をしている人はともかく、迷惑行為をしていない人にはモザイクをかけるべき」

といった、動画編集に対する苦情もみられた。

 Twitterでもバラエティチャンネルに対する批判の声は噴出し、それを受けてメンバーの「山ちゃん」は5月3日に生配信で撮り鉄の1人と通話。その撮り鉄は、先の動画に自身が映っていたと明かして苦情を申し立てつつ、バラエティチャンネルが撮り鉄をネタにして動画で収益を得ることに不満を述べた。

 さらに5日、バラエティチャンネルは『例の炎上についてお伝えします』と題する動画を公開し、その中で山ちゃんは、り鉄全体に攻撃的な態度をとったことを謝罪。さらに、現在、「撮り鉄界隈の人たち」から嫌がらせを受けていると吐露。住所を特定されたり、誹謗中傷や脅迫めいた言葉を寄せられているという。

 山ちゃんは、このような攻撃が相次いでいることから精神状態を保つことが難しいとして、活動を休止すると発表。当面の間、ほかのメンバーで活動を続けるという。

「バラエティチャンネルは山ちゃん・だっすー・dice・KUMASUNの4人組で運営するチャンネルで、登録者数こそまだ2万人程度ですが、体当たりの企画が多く、根強いファンがついています。過去には“迷惑系ユーチューバー”として有名になったものの、3たび警察に逮捕されて引退した『へずまりゅう』ともコラボして、『犯罪者を利用して稼ぐのか』などと厳しい批判を受けたこともあります。ほかにも、だっすーが拉致騒動で警察沙汰になるなど、たびたび騒動を起こしているので、彼らが迷惑行為をする人たちに注意するというのも、“自分たちのことを棚に上げている”と批判される一因かもしれません」(芸能記者)

 周囲に迷惑をかけている撮り鉄は一部かもしれないが、鉄道は多くの人が利用するライフラインであるため、運行に支障が出ることがあれば甚大な損害が発生する可能性もある。マナーを守って、鉄道を楽しんでもらいたい。

(文=編集部)

ANA、パイロットの過酷労働で脅かされる乗客の安全…社内通達メールに現場が猛反発

ANA(全日本空輸)は顧客の安全よりもコストを優先する企業に成り果てたんです」――。ANAの現役パイロットはこう打ち明ける。国際線を中心とした路線拡大主義により、相応のパイロット数や適切な労働環境も確保できないまま現場は疲弊している。それに本来異議を唱えるはずの乗務員組合も会社の御用組合化を強め、もはやパイロットのモラルと技量だけが頼りという極めて危うい状況となっている。

パリ発羽田便でパイロットが体調不良で病院搬送

 4月19日午前9時15分ごろ、ANAのパリ発羽田行の貨物便運航の途中でパイロットが体調不良となり、ロシアのノボシビルスクへ目的地を変更し緊急着陸した。操縦士3人と客室乗務員5人の計8人が乗っており、意識を失った操縦士は通信作業などを担当しており、機体の操縦は別の操縦士が行っていた。国土交通省はこれを「重大インシデント」と認定した。

 ANA関係者によると、このパイロットはICUから一般病棟へ移り、命に別条はないといい、現地の病院で治療を受けているという。この緊急事態発生から約1日経過した20日午後7時半ごろに、パイロットを統括するフライトオペレーションセンター(FOC)長の亀田清重執行役員名義で全パイロットに配信された以下の「重大インシデント認定を受けて」という業務メールが、現場から猛烈な反感を買っている。

<運航乗務員 FOCスタッフ各位

2021年4月19日(月)9時15分頃(日本時間)NH216(パリ発 羽田行 NO PAX便)において、 ロシア上空を巡航中に1名の運航乗務員が体調不良に陥るといった事態が発生しました。暫くして、当該乗務員の体調は回復しましたが、念のため当該機はロシアのノボシビルスク空港にダイバート(筆者注・目的地変更)し、現地の病院に搬送されています。 現地の病院の適切な医療措置もあり、現在、当該乗務員の状態は安定しています。ロシアのANAスタッフから必要なサポートも受けており、医師による経過観察の後、帰国の予定となっています。

本件は、 航空法施行規則第166条の4の「航空機乗組員が負傷又は疾病により運航中に正常に業務を行うことができなかった事態」として、国土交通省航空局から重大インシデントに認定されました。今後、関係当局による調査が行われる予定ですが、FOCとしても、この調査に全面的に協力していく考えです。

ご存じのとおり、OMにおいて運航乗務員は「自らの健康および疲労について留意する」こと、および「病気や疲労その他の理由により、運航に影響を及ぼすような心身の異常を認めた場合、 乗務してはならない。また、運航中において異常が疑われた場合、 相互確認を行い、運航の安全確保のため必要な措置を講じる」ことが求められています。 運航乗務員各位におかれては、これまで同様、出社時の体調確認を含め、プロフェッショナルとして 「安全運航の堅持」に資する健康管理の実践に努めていただくようお願いします。

以上

ANAフライトオペレーションセンター長 亀田 清重>

「パイロット個人の健康管理のせい」に現場が猛反発

「体調が悪くなる大きな原因の一つは、ここ数年の過度な路線拡大による過酷な勤務なのに、最後の段落のパイロット個人の健康管理が悪いと言わんばかりの言い分は許せない」

 先のパイロットはこう怒りを隠さない。

 ANAは政府のインバウンド誘客強化や東京五輪開催に向け、国際線の路線拡大を進めてきた。ANAが公表している「Fact Book 2020」によると、座席キロ数で国内線がこの10年でほとんど変化がないのに対し、国際線は急激に伸び、19年度では11年度の2倍になっている。一方で、パイロットの人数は16年からここ5年で約2400人で横ばいと、現場の負担が大きくなっているのは明らかだ。

 そのため、コロナ前までは休みが取れないほどの高稼働で、「有休も返上してくれとお願いされるレベルで、ニューヨークやシカゴに長距離フライトをしても1泊だけ寝て、疲れたまますぐに帰ってくるような状況」(若手パイロット)だった。

パイロット、基本的に治療費は自己負担

 そんな労働強化の流れのなかで、ANAのパイロットへの健康管理体制は貧弱だ。先のロシアに緊急着陸したパイロットは、現地の病院へ社員等の付き添いなしで搬送され、今後は当分現地での治療になる。脳梗塞で倒れたとされるが、現在の労働基準監督署の基準では脳と⼼臓の疾患は業務上とはすぐに判断されず、個人で申告しないと労災は認定されない。労災が適用されなかった場合、現地の治療費などはすべて自費、また帰りの手段も自己手配、治療中は有休扱い等となる可能性が極めて高いという。

「会社側がパイロットのリスク管理をしなくてはならないのに、“⾦がかかることはやらない”“むしろとことんコストを削減しろ”が基本⽅針になっている」(冒頭のパイロット)

乗員の保険は自己負担、CAには安否確認のメッセージだけ

 ANAはパイロットとCA(客室乗務員)に対する福利厚⽣にもカネをかけていない。まず、海外滞在中の保険は⾃⼰⼿配で、保険が⾃動付帯されるANAカードへの⼊会斡旋はあるが、⼊会⾦は⾃⼰負担。4、5年前まではANA社員カードがありゴールドやダイナースなどは入会、年会費無料だったため、これを保険がわりにしていた乗員も多かったが、コスト削減で入会費や年会費が有料になった。滞在中の傷病に関してもプライベートな問題として会社は関与せず、インドなどへの就航に対しても肝炎や狂犬病などの予防接種もない。以下はANAの現役CAの弁。

「CAに関しては数年前に海外ステイ中にくも膜下出血などで死亡する事例がたて続けに起こったことがありました。きつい勤務や人間関係の悪さからくるストレスによるものが原因だと容易に推察されますが、会社がとった対策は“2泊以上のステイ中に時間を決めて生存確認のメッセージを送ること”だけでした。 そもそもステイ中はプライベートとして傷病に対してお金を出さない会社が、コマがいなくなっては困るという理由だけでメッセージを送らせるというのは極めておかしなルールだと思います」

 現在、新型コロナウイルスの新変異種が猛威を振るうインドへの貨物便に搭乗するパイロットに対しても、業務命令で拒否できないにもかかわらず、ワクチン投与などの措置も実施されていないという。

パイロットの訓練コストも「自己管理」を名目に削減

 ANAのコスト削減を推し進める姿勢は、2013年4月1日からのホールディングス化による持株会社体制への移行から一層強まり、パイロットの訓練コストも削減されているという。以下は先の2人とは別の現役パイロットの弁。

ANAのここ10年来のキーワードは“経費節減”で、教育コストも極端に減りました。 運航乗務員に向けられている言葉で“自己技倆管理”というものがあります。⾃分で⾃分の⾜りないところを⾒つめて向上させていくという意味です。確かに機長になると副操縦士のように普段からアドバイスもらえない立場になるので、自分で振り返って、向上させなきゃいけないんですが、この言葉は裏返せば“会社は教育に金を注ぎ込みません”“自分でどうにかしなさい”という体のいいコストカットにすぎません。“プロフェッショナル”や“職人”という言葉が出る時は常にそうです。今回のロシアの緊急事態の件でもプロフェッショナルという言葉がメールの文言にありましたが、経営陣が社員のリスク管理を放棄するのに耳障りのよい言葉を使っているだけなのです。

 その証拠に機長昇格に関してはここ数年、合格成績が悪化しています。急激な路線増⼤で副操縦⼠は⽂句も⾔えず⾺⾞⾺のごとく働かされ、⼗分な経験や準備をすることもできず訓練に臨んでいるのだから、地⼒を鍛える余裕がなくなるのも無理はありません。また、訓練回数の増加によってコストが上昇するのを極端に嫌がる経営側シンパの機⻑がちょっとミスを⾒つけると、すぐに訓練を中⽌させるのも大きな要因となっています」

機長昇格訓練で合否を判断する機長の間で「裏帳簿」を共有

 ANAのパイロットの間で、機長による昇格訓練での重度のパワハラが一部とはいえ横行していることは本連載6回目で報じた。複数の現役パイロットによると、人件費削減を名目とした副操縦士の訓練の合否をめぐり、機長の間で副操縦士のネガティブ情報を集めた「裏帳簿」のようなデータが共有されているという。以下は冒頭のパイロットの証言。

「会社に従順でないというような内容や、“怒りやすい”“反抗的”といった性格の系統、知識不足など、訓練生が閲覧可能な公式の訓練記録に書けない内容がストックされています。いったん目を付けられた副操縦士はその帳簿で引き継がれ、パワハラを平然と行う指導者がその人物を落とすために担当に据えられることが常態化しています。パワハラ機長の一人が機長昇格訓練を担当した副操縦士は、いまだに機長になれていないどころか、精神的に病んで数年にわたり休職したと聞いています。訓練中の副操縦士がパワハラで過呼吸となり、機長一人で運航した事例もありました」

 さすがに機長1人の評価で訓練を終了させることはできず、形の上では複数の評価者がそれぞれのフライトで評価するということになってはいるが、訓練を続けさせるかなど、ある程度はシナリオが決まっており、裏でその訓練生の合否が決められているという。

パイロット組合、御⽤化で経営側の監視役に

 このように訓練の合否を機⻑側がコントロールしたがる背景には、ANAのパイロットの労働組合「全日空乗員組合」特有の体質がある。JAL(⽇本航空)の機⻑の⼤半が管理職であるのに対し、ANAの機⻑は基本的には組合員だ。組合が指導役、評価者ともに引き受けることで「会社に従順な人間」を率先して選別し、経営側に恩を売ることで、組合役員から管理職、そして経営幹部の役員という出世コースに乗れる目を一部のパイロットが独占する構造が出来上がっているという。

「ここ15年ほどで、経費削減への同意や協定の改悪などで会社に媚を売り、組合役員退任後すぐに管理職になるという“仲間を売って出世する”流れが定着した」(冒頭のパイロット)

 経営側にしてみれば、組合は反体制的な分子を排除する装置として都合がよい。組合側は経営側の監視役として、 ⽴場の弱い副操縦⼠に普段の⾔動を⾒ているというプレッシャーを与えることで、運航乗務員の手当や待遇の改悪に意見を言わせないようコントロールする見返りに出世街道を走れるという両得な現状があるというわけだ。

 強調したいのは、ANAが1970年代以降に大惨事を起こしていないのは、ANAのパイロットの⼤半がモラルと技量を保ってきたからだということだ。だが、経営陣により過度のコスト削減が進められ、出世欲に駆られた一部の機長に現場が台なしにされれば、それも危うくなる。墜落事故は、たった一度でも起きれば終わりである。ANA経営陣にはそれを認識していただき、現場軽視の方針を改めてもらいたいものだ。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは@kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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JRA 武豊「体調万全」もNHKマイルC(G1)は相性もうひとつ!? ホウオウアマゾンで参戦も勝利を譲った3年前の苦い記憶

 9日、東京競馬場で行われるNHKマイルC(G1)に、ホウオウアマゾン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が出走を予定している。

 主戦を務めていた松山弘平騎手は、香港のクイーンエリザベス2世C(G1)でデアリングタクトに騎乗したため、2週間の隔離が必要となり今週の騎乗は不可能。前走で代打騎乗した川田将雅騎手も、NHKマイルCでは2歳マイル王のグレナディアガーズというお手馬がいる。

 そこで鞍上を任されたのが、先週怪我から復帰した武豊騎手。復帰初日から2勝を挙げ、自身のホームページで「傷めたことがない足の甲の骨折で思わぬブランクが生じましたが、見ての通りボクの体調は万全です」と今週の騎乗にも意欲を示している。

 武豊騎手は過去に、NHKマイルCで3勝。1997年シーキングザパール、2001年クロフネ、2006年ロジックで勝利している得意舞台だった。

 しかし、国際競走に変更された2009年以降は最高で9着と結果が出ておらず、騎乗のあった残りの8年は全て二桁着順。昨年のNHKマイルCでも、今年のホウオウアマゾンと同じ矢作芳人調教師とのコンビで挑んだが、3番人気のサトノインプレッサで後方から進めたものの、伸びを欠いて13着と惨敗を喫している。

 そして、この相性の悪さを色濃く象徴するのが2018年のNHKマイルCだ。

「2週前の4月22日、京都競馬8Rでサイモンゼーレに騎乗した武豊騎手ですが、3コーナーで外側に斜行し、複数の馬の進路を妨害したとして9日間(開催4日間)の騎乗停止処分を受けていました。藤岡佑騎手にとっては何とも幸運なG1勝利となりましたが、武豊騎手としては騎乗していれば勝っていた可能性もあるだけに複雑な心境だったのではないでしょうか」(競馬記者)

 18頭立ての芝1600m戦。3番人気のテトラドラクマがマイペースの逃げを打ち、レースは進んだ。

 最後の直線でミスターメロディがテトラドラクマに並びかけると、その内を突いてギベオンが強襲。さらに、外からレッドヴェイロンもこれに迫ると大接戦の様相となった。

 しかし、残り100mを切り大外を回ったケイアイノーテックが豪脚一閃。これらをまとめて差し切り、1着でゴールを駆け抜けている。

 鞍上は、このレースがG1初勝利となった藤岡佑介騎手。本来、騎乗する予定であった武豊騎手の姿は、そこにはなかった。

 今年はホウオウアマゾンでの参戦となる武豊騎手だが、同じ矢作厩舎からは藤岡佑騎手の手綱でバスラットレオン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)も出走を予定している。

 奇しくも、乗り替わった2人が同厩舎の馬で参戦する今年のNHKマイルC。武豊騎手は「パッと見は混戦模様で、その中にボクの馬もいるはずと前向きに挑みます」綴っていたが、藤岡佑騎手のバスラットレオンも脅威の存在となりそうだ。

(文=北野なるはや)

<著者プロフィール>
 某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。

三菱重工業、「飛鳥Ⅱ」後継船建造の受注逃す、独企業が受注…“造船王国・日本”の没落

 日本郵船のグループ会社、郵船クルーズ(横浜市西区)は2020年11月、「飛鳥II」(5万444トン)の運航を再開した。20年2月、横浜港を出港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で712人の新型コロナウイルスの集団感染が発生して以降、クルーズ船の運航停止は8カ月にも及んだ。

 横浜発着3泊のクルーズに330名で乗船。運航再開にあたり横浜港大さん橋国際客船ターミナル内「アスカラウンジ」で開いた会見で、中野裕也横浜市港湾局長は「郵船クルーズと連携して二人三脚でこの日を迎え、感無量だ。神奈川県が開発した検査法『スマート・アップ法』を郵船クルーズが採用してくれた。英断だ。クルーズ再開はコロナからの復活の象徴でもある」と挨拶した。

 坂本深・郵船クルーズ社長は「安全に対する懸念は徹底的に解決しなければならない。万が一、船内感染が出たとしても、ダイヤモンド・プリンセスのような感染拡大が起こらないという自信を持つまで、対策を重ねた」と述べた。

 同社は日本外航客船協会(JOPA)のガイドラインをもとに独自の感染症対策プランを策定。日本海事協会の認証を取得した。全乗客への乗船前PCR検査の実施や、船内検査室で1時間で検査結果を出す体制づくりなど、JOPAのガイドラインを上回る感染症対策を実施し、当面、乗客数を定員の半分程度に抑える。

「飛鳥II」でコロナ感染

 郵船クルーズは「飛鳥II」で桜前線を追いかけるゴールデンウィーク青森・北海道クルーズ7日間を催行した。4月29日午後5時、横浜港を出港。5月1日、青森では弘前公園の桜を愛でる。5月2日は函館で五稜郭の桜を、5月3日は桜前線の最後を飾る釧路の桜を見る。5月4日は総料理長のおもてなしの集大成ともいえるアニバーサリーディナーが開かれる。5月5日午前9時に横浜港に入港するスケジュールになっていた。

 横浜港を出港し、青森を目指し宮城県沖を航行している飛鳥IIで4月30日、乗客の1人が新型コロナ感染していることが判明した。クルーズは急遽中止。飛鳥IIは5月1日午前、横浜港に帰港した。

 郵船クルーズによると飛鳥IIの乗客乗員は720人(うち乗客302人)。乗客は全員、出港の1週間前に検査キットを使用したPCR検査を受けており陰性だった。30日午後に乗船直前に実施した検査の結果が出て、東京都在住の60代の男性の陽性が判明した。男性は乗船後、喉に違和感があったという。男性と濃厚接触者の妻は別々の隔離専用室で待機し、妻は船内の検査で陰性と確認された。ほかの乗客らは症状がなく順次下船した。

 同社によると、船内では手すりの消毒や食事中を除くマスクの着用など常に対策を取っていたという。郵船クルーズの坂本深社長は「このような形でクルーズが休止となり、楽しみにしていた方には申し訳ない」と陳謝した。

 クルーズ運航の再開に水を差したが、コロナ感染に万全の対策を取って臨んだため、現時点ではダイヤモンド・プリンセス号のような集団感染は免れたといえる。

飛鳥IIの後継船はドイツのマイヤーベルフトが建造

 日本郵船は3月31日、「飛鳥II」の後継船を新造し、2025年に就航させると発表した。後継船は高級路線をさらに進化させる。全長は229mでほぼ同規模だが、船の大きさの目安となる総トン数は5万444トンから5万1950トンにアップ。日本船籍の客船としては最大となる。喫水も7.8mから6.7mと浅くなることで停泊可能な港が増え、これまでにないコースを設定できるという。

 乗客定員は872人から約740人に絞る。これにより乗客1人当たりのスペースは世界でもトップクラスの広さを確保した。一方、接客や運航を担う乗組員は約470人と微減にとどめ、乗客1人当たりの接客を手厚くする。「飛鳥II」はツインルーム以上しかなかったが、後継船はシングルルームを設け料金の下限を下げる。全客室にバルコニーを配するほか、船内レストランやカフェ、バーは15カ所以上。船首に向いた展望露天風呂も備える。Wi-Fiも充実させワーケーション需要にも応える。

 新船は環境対策に力を入れる。重油に比べ二酸化炭素(CO2)排出量の少ない液化天然ガス(LNG)を燃料として使えるエンジンを搭載。港によっては停泊中に船内発電機を使わず、陸上電源を利用できる仕様にする。

 乗客の不安を和らげるため新型コロナの感染症対策を徹底する。船内の換気システムを100%外気取り込み方式にし、高性能フィルター、タッチレス操作対応エレベーターの設置を考えている。「飛鳥」と「飛鳥II」はいずれも同じ三菱グループの三菱重工が建造したが、後継船はクルーズ船の建造で定評のあるドイツのマイヤーベルフトと造船契約を締結した。

 三菱重工は2011年、大型客船2隻を1000億円で受注した。大型客船は11年ぶりの受注だったため建造のノウハウが足りず、無線LANの整備や欧米人好みの装飾などの点でつくり直しが相次いだ。納期が約1年遅れた結果、累計で2540億円の特別損失を計上する破目に陥った。三菱重工の宮永俊一社長(当時)は16年10月、10万トンを超える大型客船の建造から撤退すると表明した。

 日本に三菱重工以外に大型客船を建造できる造船所はない。マイヤーベルフトでの建造は“造船王国ニッポン”の落日を象徴する出来事となった。

30以上の地方銀行が船舶投資ファンドに出資

 建造費は非公表だが500億~600億円とみられる。日本における船舶投資の先駆けである独立系ファンド、アンカー・シップ・パートナーズ(東京・中央区)の船舶投資ファンドで資金を調達する。国内30以上の地方銀行が船舶投資ファンドに資金を出した。アンカー・シップ・パートナーズは郵船クルーズ株の50%を持っている。

 アンカー・シップ・パートナーズの篠田哲郎社長は旧日本興業銀行を母体とする、みずほコーポレート銀行出身。みずほ証券に転出し船舶投資部門を担当してきた。「クルーズ船は日本各地から、乗客を地元の港に連れてきてくれるだけでなく、そこから地元ツアーを楽しんでもらったり、食材を味わってもらったりと、付随的な効果もさまざまある。コロナによって人の移動が制限され、短期的な不確実性が高まるなかでも、『飛鳥』の実績と将来性から、各地の地方銀行に力強くサポートをいただいた」と篠田社長は語っている。

 30以上の地銀が船舶投資ファンドの出資に応じたことは、地方創生の取り組みとして大型クルーズ客船の寄港に期待する声が非常に大きいことを示している。各自治体は下船した乗客の旺盛な消費を期待し、国内外のクルーズ船の招致に力を入れている。

(文=編集部)

100円ショップ、なぜ絶好調?売上が過去最高を更新へ…300円均一「ミカヅキモモコ」は破綻

 100円ショップの業績が好調だ。帝国データバンクの調査によると、2020年度の業界売上高(事業者売上高ベース)は11年連続で増加する見通しで、過去最高を更新することがほぼ確実だという。背景にあるのは、コロナ禍による“おうち時間”の増加と消費者の節約志向だ。キッチン用品からインテリア用品まで幅広く需要が伸長し、セリアやキャンドゥなどの大手で増収増益となるケースが相次いだ。また、店舗数も過去10年で4割増えているという。

 100円ショップ業界の現状について、帝国データバンクデータソリューション企画部情報統括課副主任の飯島大介氏に話を聞いた。

ダイソーの電子メモパッドは500円でも品切れに

――コロナ不況でさまざまな業種が打撃を受ける中、100円ショップ業界は好調ですね。

飯島大介氏(以下、飯島) 100円ショップはファッション性や実用性に優れたアイテムをワンプライスで提供することで消費者の支持を集め、規模を拡大してきました。ダイソーなどの大手5社は積極的な出店を続け、店舗数は20年度中には8000店を超えるだろうとみています。

 20年度はコロナ禍で、在宅時間の増加や節約志向の高まりといった消費者側の変化がありました。そこで、生活雑貨からアイデア商品までが安価で揃う100円ショップが改めて支持を集めています。また、取扱商品がバッティングするホームセンターやドラッグストアも同様に業績が好調です。

――大手の動向について教えてください。

飯島 業界最大手で非上場のダイソー(大創産業)は100円ショップの基本スタイルは堅持しつつも、100円以上の商品を取り揃えたり、300円ショップの「THREEPPY」、1000円オーバーのハイブランド店舗「Standard Products」業態を新たにオープンするなど、柔軟に対応しています。その結果、たとえば同社が発売した電子メモパッドは500円と100円ショップとしては高額ですが、実用性の高さとコスパの良さがネットで話題となり、店舗によっては一時品切れになるなど、消費者のニーズを的確につかみました。

 キャンドゥは300円など高価格商品のラインアップ拡充を目指しつつ、消費者のニーズにマッチする経営戦略で、20年11月期の売上高は連続増収を記録、21年期も引き続き増収の予想です。

 ファッション性の高い雑貨で女性層に人気のセリアは高価格帯を意識しつつも、100円均一の姿勢を維持している点がダイソーとは対照的です。21年3月期の売上高は、前年比1割の増収となる1987億円を予想。売り上げ、利益ともに過去最高を更新する見通しです。

――100円ショップの出店攻勢は、今後も続くのでしょうか。

飯島 消費者の根強い節約志向などを背景に、100円ショップは底堅い需要が見込めます。各社は今後も積極的な事業展開を進める見通しで、業績には追い風となりそうです。たとえば、最近では食品スーパーなどが入居する商業ビルに100円ショップがテナントとして店舗を構えるケースも増えています。どちらも主な購買層は主婦層で親和性も高く、ついで買いの需要が見込めるほか、100円ショップは集客力が高いので、スーパーにとってもシナジー効果が高いのです。

 消費者のプチ贅沢ニーズをくすぐる300円ショップなど高価格帯の出店攻勢も盛んです。一方で、競争の激化に伴い、100円ショップを含めたワンプライス業態全体の飽和感が強まっているのも現状です。

――2月には、300円ショップの「ミカヅキモモコ」が経営破綻しました。

飯島 同業他店との競争激化に加え、インバウンドの失速で来客数が落ち込んだことが主な要因です。同社は他社に比べてインバウンドの獲得に注力していたこともあり、コロナ禍で訪日客急減の影響が直撃する形となりました。出店競争が加速する中、同業や自社ブランド間での顧客獲得競争も激化しており、価格帯や立地、顧客層によっても明暗が分かれます。

――今後の100円ショップ業界の見通しについて教えてください。

飯島 可処分所得の減少などで節約志向が続く中、消費者の支持を受ける100円ショップ業界は今後も成長していくでしょう。各社に共通するのは、価格にこだわらない消費者目線の商品を送り出すことで魅力や訴求力を高めていくという戦略です。客単価の向上がポイントとなりますが、100円を堅持しながらクオリティの高い商品を提供していくのか、それとも300~500円の高単価商品にシフトしていくのか。どちらの路線が消費者に受け入れられるか、今後の推移を注意深く見守る必要がありそうです。

(構成=長井雄一朗/ライター)

ロシア、よぎるソ連崩壊の悪夢…原油埋蔵量「枯渇」シナリオが現実味、寿命20年説も

 4月末の原油価格は堅調に推移している(1バレル=60ドル台半ば)。インドやブラジルでの新型コロナウイルス感染拡大をめぐる懸念はあるものの、堅調な米経済指標をはじめとする原油需要の回復期待などが支援材料となっている。

 コロナ禍で低迷するリスクを抱える原油価格を下支えしてきたのは、OPECとロシアなどの大産油国で構成される「OPECプラス」である。OPECプラスは4月27日、共同閣僚監視委員会の会合を開催、「世界の原油需要の回復見通しに変わりはない」と判断して、5月から7月にかけて協調減産を段階的に縮小していく方針を確認した。

 OPECプラスは現在、サウジアラビアの自主減産(日量100万バレル)を含めて日量約800万バレルの減産を実施している。今回の決定により、OPECプラスの減産幅は5月、6月それぞれ日量35万バレル、7月は約44万バレル縮小し、サウジアラビアの自主減産幅は5月に25万バレル、6月に35万バレル、7月に40万バレル縮小することになる。これにより7月までにOPECプラスの減産規模は日量580万バレルとなる計算である。

 OPECプラスの今回の増産は、「原油価格の上昇が国内経済に悪影響をもたらす」と懸念する米国の意向を踏まえ、サウジアラビア主導で決定されたが、4月初めにこの方針が打ち出された際には原油価格の下落が懸念されていた。

 OPECプラスは、「今年の世界の原油需要は日量約600万バレル増加する」との強気の見通しを維持しているが、次回の閣僚級会合は6月1日に開催し、7月と8月の生産水準を検討するとしている。

 OPECプラスの協調減産は2022年4月まで続くことになっているが、ロシア第2位の石油会社ルクオイルの幹部は26日、「OPECプラスが目指す石油市場の均衡化は長期的な取り組みになる。気候変動をめぐる新たな現実を踏まえれば、恒久的なものになるかもしれない」との見解を示した。

ロシアの原油生産、開発条件が急速に悪化

 新型コロナウイルスのパンデミックは、脱炭素社会への流れを加速している。4月20日付本コラムで「世界の投資家は原油などの化石燃料は今後『座礁資産(社会の環境が激変することにより、価値が大きく毀損する資産)』となる可能性が高いとみている」ことを紹介したが、世界の石油会社も未来のエネルギー候補と目される「水素」の開発を真剣に検討し始めている。

 その中でもっとも意欲的なのは、イタリアの石油大手Eniである。同社は昨年、再生可能エネルギーへの移行と石油・ガス生産の段階的な縮小に向けての大規模な事業改革案を発表した。その内容は267億ユーロに上る負債をバランスシートから切り離し、その上で資本を調達し、将来の会社の基盤となる再生可能エネルギーと低炭素事業を構築するというものである。その一環として今年4月には西アフリカと中東の石油・ガス事業を分離させ、新たな合弁会社を設立することを明らかにしている(4月21日付ロイター)。

 原油が今後「座礁資産」とみなされるようになれば、中長期的に価格が下落することは避けられない。「価格が下がれば収入を確保するために増産しなければならない」という悪循環が起き、世界の石油会社は今後「冬の時代」を迎えることになる可能性が高いが、なかでも深刻な問題を抱えているのはロシアの石油産業のようである。

 ロシア天然資源・環境省のキセリョフ次官は4月、政府機関紙であるロシア新聞のインタビューで「ロシア産原油の可採埋蔵量は58年分あるとされているが、そのうち現在の条件下で利益が出るのは19年分のみである」と発言し、話題を呼んでいる。

 エネルギー省のソロキン次官も今年1月、「エネルギー政策」という雑誌に投稿した論文のなかで「ロシアの原油可採埋蔵量は約300億トンとされているが、このうち現在のマクロ経済条件下で利益が出るのは36%のみである」としている。ロシアのここ数年の年間生産量は約5.5億トンであることから、ソロキン氏の見解でも「利益が出る部分(36%)のみをカウントすればロシア産原油の『寿命』は20年弱」となる。

 ロシア政府幹部が相次いで「自国産原油の寿命が20年に満たない可能性がある」と語っているわけだが、2020年6月にロシア政府が採択した「2035年までのエネルギー戦略」で「2035年時点の原油生産量は良くて現状維持、悪ければ現在より約12%減少する」と見込んでいる。悲観的な予測の根拠となる要因としては、ロシアの原油生産に関する開発条件が急速に悪化していることが挙げられる。

 ロシアを石油大国の地位に押し上げたのは、西シベリアのチュメニ州を中心とする油田地帯である。巨大油田が集中し、生産コストが低かったが、半世紀以上にわたり大規模な開発が続けられた結果、西シベリア地域の原油生産はすでにピークを過ぎ、減産フェーズに入っている(過去10年で10%減少)。現在の原油生産量を維持するためには東シベリアや北極圏などで新たな油田を開発しなければならないが、2014年のロシアによるクリミア併合に対する欧米の経済制裁が続いている中では技術・資金両面の制約があり、期待通りの開発が進んでいない。

 ロシアの石油産業は同国のGDPの15%、輸出の40%、連邦財政の歳入の45%を占める経済の屋台骨である。ソ連崩壊を招いた大本の原因は、1980年代後半の原油価格の急落だったといわれている。プーチン大統領登場と時を同じくして世界の原油価格は上昇し、ロシアは大国の地位に復活できたが、自国の原油埋蔵量の枯渇という未曽有の事態に直面すれば、再び苦境に立たされてしまうのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

「ホンダe」、新生ホンダの浮沈を左右か…まるで「走るリビング」、最先端の電動化技術も

 4月23日、本田技研工業(ホンダ)の三部敏宏新代表取締役社長の就任会見が行われた。そのなかで三部氏は、ホンダは2040年までにすべてのモデルを電動化すると発表し、直近では「ホンダe」に期待しているとも口にした。

 驚いたのは、電気自動車(EV)に限らず、水素燃料自動車も電気モーターで駆動する点で電動化モデルに含まれるとしているものの、現在主流のハイブリッドは電動化の対象ではないとしたのだ。トヨタ自動車の豊田章男社長が言うように、EVだけが脱炭素化の救世主ではなく、全方位的な可能性を追求していくとも述べたものの、ハイブリッドを除外した。

 その意味で、純粋なEVモデルであるホンダeにかける期待は強い。そしてそのホンダeは、動力源が電気モーターというだけではなく、クルマとして斬新な造り込みがなされているのだ。新生ホンダの牽引役になる素質がある。今回の試乗で、それが明らかになった。

 ホンダeに搭載されるEVは定格出力60kWであり、WLTCモード航続距離は283km。急速充電を繰り返しながらのロングドライブもこなせるが、現実的には都会型EVとするのが正解だろう。それでも十分に力強い加速力が確認できているし、走りの質も高い。軽快なフットワークを感じ取ることができた。

 とはいえ、ホンダeの魅力は、そのキャラクターにある。全長約3.8mのボディはキュートで愛されやすい。不自然なラインや突起を排したデザインは、都会的なセンスに溢れている。インテリアに関しても同様で、コンセプトは「走るリビング」のよう。スイッチやボタンは徹底して省略されており、ほとんどの操作は正面の5画面ディスプレーに集約されているのだ。

 木目調パネルはリビングのテーブルのようであり、シートはソファ風である、室内灯はダウンライトであり、そのスイッチさえ、リビングのスイッチがそうであるように、ピラーに組み付けられている。天井ではないのだ。マルチ画面にバーチャルアクアリウムを表示させ、水槽の中で泳ぐ魚に餌やりできる遊び心を込めている。EVの悩みのひとつが急速充電の時間的ロスであり、その時間をくつろいでもらおうという施策でもある。

 一方で走りの機能も充実している。サイドミラーはなく、車内のモニターに映像を映し出す。パーソナルサポートは高度な音声認識機能であり、言語の理解度は驚くほど高い。デジタル機能も最先端。もちろん高度運転支援「ホンダセンシング」も徹底している。

 驚かされるのは、携帯電話やPCなどの電源となるV2L(ヴィークル・トゥ・ロード)はもちろんのこと、災害時にクルマから家屋に電力を供給するV2H(ヴークル・トゥ・ホーム)まで備えていることだ。EVとしての能力を余すことなく展開しているのである。

 それでいて、モーターをリアに搭載、後輪を駆動するという特異な駆動システムを採用しており、ボディサイズの割に室内は広い。ホンダの哲学でもあるMM思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)にも手抜かりはない。最先端の電動化技術を盛り込んでいながら、クルマとしての理想型を完成させている。

 新社長がホンダeに期待するのは、その点である。カーボンニュートラルだけがすべてではなく、これからのホンダを支える愛されるクルマのような気がした。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。