JRA 「48馬身差」の悪夢払拭なるか!? 凱旋門賞(G1)コントレイル抜きでも勝算あり……、“超難関ミッション”攻略班に求められた共通の「スキル」とは

 巷で話題の育成シミュレーション「ウマ娘 プリティーダービー」(Cygames)で競馬を知ったライトファンには馴染みが薄いかもしれないが、10月3日にパリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1)は、世界最高峰との呼び声が高い最強馬決定戦である。

 日本調教馬では過去、1999年エルコンドルパサーがモンジューの2着、2006年ディープインパクトが3着(レース後、薬物違反により失格)、2010年ナカヤマフェスタがワークフォースの2着、オルフェーヴルが2012年にソレミアの2着、2013年にトレヴの2着に入ったが、勝利まであと一歩のところまで善戦しながらも、幾度もその高い壁に跳ね返されて来た。

 もはや、日本競馬の悲願ともいえる凱旋門賞ではあるが、13年オルフェーヴルの2着を最後に、以降は有力馬を送り込むも近年は惨敗を喫することも多く、現実から再び夢に遠ざかりつつあるのが現状だ。

 直近では2019年にキセキ(7着)、ブラストワンピース(11着)、フィエールマン(12着)の3頭が出走したが、日本では“不良に近い重馬場”でいずれも惨敗。勝ち馬ヴァルトガイストからそれぞれ着差にして21馬身半、33馬身、48馬身も後方に置き去りにされたように、目も当てられない惨状だった。

 その一方で、このとき日本馬にとって大きな足かせとなったのがヨーロッパ特有の「重い」馬場への適性だ。能力を発揮できなかった理由として、レースに騎乗した騎手は、口を揃えて「馬場が重かった」と振り返った。スピード勝負になりやすい日本の軽い馬場とは異なり、よりパワーを求められるのが欧州競馬の特徴だ。この年は水分を含んで土がまとわりつくような感じと説明がされたように、特殊な馬場状態で行われていた。

 エルコンドルパサーやオルフェーヴルが好走した年も不良、重での開催だったことから、卓越した能力を持つ馬であれば、問題なくこなしていた背景はある。いずれも歴史的な名馬としてその名を刻んでおり、現役最強馬の挑戦であれば好戦可能といった見方もある。

 とはいえ、このクラスの馬の登場を待っているだけでは、消極的過ぎるともいえる。欧州の馬場に適性さえあれば、対応できる馬がいても不思議ではないからだ。これには国際レースのジャパンC(G1)が、かつてのようにトップクラスの外国産馬が参戦を見送ることが珍しくなくなり、“日本馬の運動会”とも揶揄されるようになったこともヒントになりそうだ。

 一因として考えられているのが、欧州と対極的に軽くてスピードが重視される日本の特殊な馬場である。日本馬が欧州の馬場に苦しむのと同様、欧州馬もまた日本の馬場に苦しめられてきた。凱旋門賞を優勝した馬が日本で走ったとして、日本馬相手に同様のパフォーマンスを発揮できるかとなると、必ずしもそうではないだろう。

 となると、クローズアップされるのはそれぞれの馬場への適性であり、「郷に入っては郷に従え」ということになる。そういう意味では、今年の凱旋門賞にエントリーした馬の顔触れは「的を射た」メンバーだったのではないだろうか。

 主催者のフランスギャロから発表された登録馬はクロノジェネシス、レイパパレ、ディープボンド、モズベッロ、ステラヴェローチェ、マイネルウィルトスの6頭。これを見てピンとくる方も多いと思うが、これらはいずれも力のいる馬場を大の得意としている馬。いわば重馬場のエキスパートが揃った。

 最近でもアーモンドアイやコントレイル陣営が凱旋門賞を回避したことについては、賛否両論が沸き起こったが、2頭とも雨で渋った馬場で不覚を取った経験があるように、良の高速馬場を得意としているタイプ。欧州のタフな馬場への適性は懐疑的な意見も出ていたことから、仮に出走していたとしても善戦できるかどうかは疑問があった。陣営が適性を熟慮しての回避であれば、これを逃げたというのは早計だ。

 我々競馬ファンは、どうしても時の最強馬に悲願達成の夢を託したくなるが、日本とは別のスキルが求められるという側面は軽視できない。

 適材適所という意味でも今年エントリーした「特殊部隊」の派遣は、限りなくベターな選択だったといえるのかもしれない。将来的な凱旋門賞攻略を視野に入れるためにも、今年のメンバーの走りには大いに注目したいところである。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

「テレビ×Twitter」広告キャンペーンの3大効果とは?

Twitterの利用率が一気に高まったのは10年前の東日本大震災がきっかけです。停電が続く中でも友人や家族と連絡の取れる手段として脚光を浴びました。

その後、Twitterの利用率は伸び続けています。近年はテレビを見ながらTwitterを楽しむ人も増え、企業のマーケティング活動をさまざまな側面から支援できるSNSとしても注目されるようになりました。

今回は、テレビ×Twitterの可能性を「広告プランニング」の視点で考察。テレビとTwitterを掛け合わせることで生まれる3つの効果とプランニングの2つのポイントを紹介します。

Twitterは利用率1位のSNS。約3人に1人は、テレビとTwitterを併用

Twitterは台風などの災害や電車遅延など、「有事の際に素早く情報を取得する手段」として重宝されています。新型コロナウイルスの感染拡大で私たちの生活が変化する中でも利用頻度は増えました。Twitter Japanの調べでは、コロナ禍の影響で利用頻度が最も増えたSNSは、Twitterという結果が出ています。

テレビ×Twitter
調査委託先: Macromill 、対象:スマートフォン利用者 18~59歳 (n=1,000) 、調査期間:2021年1月(非常事態宣言継続中)、調査エリア:首都圏、調査内容:新型コロナウイルスの影響によるSNSの利用頻度の変化を調査。各SNSを月に1回以上利用している人が集計対象。調査は「新型コロナ発生前と比べて、費やす時間が増えたもの」を5段階評価で聴取。その中でSNSの利用が「増えた」「やや増えた」と回答した人を「SNS利用増加者」と定義。次に、この「SNS利用増加者」に対してTwitterを含め、それぞれのSNSごとの利用の変化を5段階で聴取。設問に対して、「増えた」「やや増えた」と回答した人の割合を上記グラフで表示。

Twitterはこれまでも、40歳未満ではFacebookやInstagramより利用率が高かったのですが、40歳以上でも利用率は年々増加。2020年11月には、それまでSNSトップだったFacebookの利用率を逆転しました(電通d-campX調べ)。このデータからも年齢に関係なく利用率が高いSNSであることが分かります。

テレビ×Twitter
出典: d-camp X  2020下期、調査機関:電通、調査対象:40歳以上男女 2786人、40歳未満男女 2324人、調査期間:2016年5月~2020年11月、調査エリア:東京50km圏、調査方法:訪問による調査対象者説得、 タブレット端末による電子調査票

本記事のテーマである「テレビ×Twitter」の利用率を見てみると、Twitter利用者の約30%が、週1回以上、テレビを見ながらTwitterを利用し、番組に対するツイートをしていました。この行為は5年前と比べて169%とかなりの勢いで増加しています。

テレビ×Twitter
出典:d-campX、調査機関:電通、調査人数:12~69歳男女5110人、調査期間:2016年5月~2020年11月、調査エリア:東京50km圏、調査方法:訪問による調査対象者説得、 タブレット端末による電子調査票

テレビ局も各番組でTwitter公式アカウントを開設。Twitterと番組を絡めたプレゼントキャンペーンを行ったり、番組内で視聴者のツイートを紹介したりと、テレビ番組のTwitter活用も増えています。今後も視聴者と双方向のコミュニケーションを行う上で、ますます存在感を増していくと考えられます。

テレビ×Twitterの広告キャンペーンで、リーチ効果、ブランドリフト効果、ツイート発生効果が生まれる

スマートフォンやSNSの普及に伴い、テレビCMとデジタル広告を組み合わせて広告効果の最大化を狙うことは広告キャンペーンを成功させる上で必要不可欠になっています。

その際に単に「利用者数=リーチ」や「露出量=インプレッション」という観点から予算を配分するのではなく、それぞれのSNSやデジタル広告の特徴を見極めて組み合わせていくことが重要です。では、テレビCMとTwitter広告を組み合わせた「広告キャンペーンの効果」には、どのような特徴があるのでしょうか。
 
①リーチ効果:キャンペーンの統合リーチが伸びる
Twitter広告はテレビCMだけでは届かない層にもリーチできるので、統合リーチが伸びやすくなります。これは、企業がマーケティング活動を行う上で重要な若年層にアプローチする際、顕著に見られます。

テレビ×Twitter
出典:Kantar Japan, CrossMedia AdEffect™、調査時期:2020年1月、調査対象:関東在住の18~34歳の男女 (n=682) 、 35~49歳の男女 (n=837)

②ブランドリフト効果:ブランドへの態度変容が起きやすい
テレビとTwitterで広告接触を重ねることによって、広告の「認知」「意向喚起」そして「行動喚起」がリフトアップしやすい傾向が生まれます。

テレビ×Twitter
出典:Kantar Japan, CrossMedia AdEffect™、調査対象:関東在住の18~49才の男女 (n=1,519)、調査時期:2020年1月、ベンチマーク…テレビのFQ(フリクエンシー)が3回未満かつTwitterのFQが1.5回未満、テレビ…テレビのFQが3回以上かつTwitterのFQが1.5回未満、テレビ+Twitter…テレビのFQが3回以上かつTwitterのFQが1.5回以上

リーチ効果とブランドリフト効果は、テレビCMとデジタル広告を組み合わせた際にもある程度生まれますが、テレビCM×Twitter広告のキャンペーンでも顕著に高い効果が生まれていることが分かります。

これはTwitterとテレビの併用率が高いということと、テレビ番組やテレビCMがTwitter上でリアルタイムに話題になり、拡散しやすいというTwitterならではの特性が影響しているからだと思います。このテレビとの相性の良さが他のSNSにはない一つの大きな特徴であると考えています。

③ツイート発生効果:ブランドのツイート量が増える
そして、3つ目こそがTwitterならではの特徴です。テレビCMとTwitter広告を同時出稿した場合、テレビCMのみを出稿した場合と比べて「ブランドに関するツイート」を効率よく発生させることができます。

通常、広告を実施することでブランドに関するツイートはある程度増えるのですが、同時期にテレビCMとTwitter広告を実施することで①②で述べたように「より多くの人に」(リーチ効果)、「認知」「意向・行動喚起」(ブランドリフト効果)できるので、ツイートする機会が生まれやすくなっているからだと考えます。

テレビ×Twitter
出典(調査名):「TVとTwitterのシナジー効果に関するスタディ」、調査機関:Kantar Japan、調査期間:飲料ブランドA…2015年9月〜2017年9月、飲料ブランドB…2015年9月〜2017年9月、外食ブランドC…2015年6月〜2017年10月、調査方法:飲料、食品ブランドのツイート件数および広告出稿費から広告投資額とツイートボリュームの関係をKantar JapanのDigital Behavior Analysisモデルを使って分析

また、「ブランドに関するツイート」は、ユーザーの購買プロセスに影響することがTwitter Japanの調査で実証されており、ブランドに関するツイートを増やすことが重要ということが分かると思います。

テレビ×Twitter
出典: Intage, NTT DATA and Twitter、調査対象:商品ツイート接触者 (n=2,448)、うち男性 (n=1,534)、女性 (n=914) / 商品ツイート非接触者 (n=4,267) 、うち男性 (n=2,642)、 女性 (n=1,625)※信頼区間90%で有意差検定を実施、調査時期:2017年8月

テレビ×Twitterプランニング、2つのポイント

では、どのようにテレビCMとTwitter広告キャンペーンをプランニングすればよいのでしょうか。

ポイント①:キャンペーン期間を3つに分け、CMに合わせてTwitter予約型広告を実施する

 Twitterでは広告キャンペーンを、開始日を起点に「ティザー」「ローンチ」「サステイン」と3つの期間に分けて設計することが重要です。なぜならば、それぞれの期間で下図のような目的と効果があり、フェーズに合わせてTwitter広告を展開していくことで、キャンペーン全体の効果を押し上げることが可能となるからです。

テレビ×Twitter

テレビCMを軸としたキャンペーンの場合はCMの開始日に合わせてフェーズを設計することが肝要です。

テレビCMをいきなりローンチするのではなく、ティザー期にはその布石で、予めターゲット層に興味を持ってもらえるような施策を展開し、事前にしっかりと広告が効く土壌づくりを行います。そして、テレビCMのローンチタイミングに合わせて、1日単位で購入でき、多くのリーチを獲得できるTwitterの予約型広告を実施し、リーチと話題の最大化を狙います。

テレビCMをローンチした後は、掲出期間や運用内容をキャンペーンに合わせて自由に設計できる運用型商品でキャンペーンを継続し、ブランドとの接点を維持させていきます。このように、Twitterを活用した広告キャンペーンではキャンペーン期間を3つのフェーズに分けて設計し、それぞれの目的に合わせてターゲットとの接点を創出していくことがポイントです。

ポイント②:「テレビを見ながらTwitterを楽しむ」人にアプローチする
 
本連載第1回、第2回の記事では「テレビを見ながらTwitterを楽しむ」層は番組やCMに対する満足度が高いだけでなく、広告に対しても「ストレスが低く、ポジティブであり、かつ広告認知が大幅に上昇すること」に言及してきました。すなわち、この層をしっかりと捉えることが、マーケティングの勝機を押し上げるチャンスにつながるでしょう。

電通は、“人”基点の新しいテレビプランニング「People Driven TV Planning」を提唱しています。これによりマーケティングターゲットを詳細に抽出・可視化し、彼らがどのような番組を見ているのかを把握できることに加え、PCやスマートデバイスの接触状況、アンケートデータなどをまとめて活用することで、より精緻なターゲット・プロフィールを設定できます。

実際にテレビとTwitter併用者のテレビ視聴率データを作成してみると、バラエティー番組やドラマなどが高く表れ、Twitterユーザーと相性の良い番組ジャンルであることが分かります。下記は、「視聴率」と「視聴率の差」が高い番組をそれぞれ上位10番組ずつまとめたものです。

テレビ×Twitter
出典:es XMP、調査機関:ビデオリサーチ、調査対象:関東1都6県の満15~69歳男女 6,000サンプル、集計期間:2021年2月15日~3月14日、取得方法:機械式

このように、進化したテレビプランニング「People Driven TV Planning」を活用することで、「テレビを見ながらTwitterを楽しむ」層へ、テレビCMでも効率よくアプローチすることが可能となります。

テレビとTwitterの相性はとても良く、これからもTwitterを活用したテレビ番組や広告キャンペーンは増えると思います。なぜならば「Twitterはテレビを楽しむプラットフォーム」になりつつあるからです。

広告プランニングにおいても、テレビが創り出す「リアルモーメント」を、Twitterでいかに連動させてターゲットを巻き込んでいけるかが設計ポイントになります。それがキャンペーン全体の効果を押し上げることにつながるのです。

中国・宇宙ロケットの地表への落下、今後続出の懸念…過信が招く戦略的誤りで自滅

 中国の大型ロケット「長征5号B」が5月9日、制御不能のまま大気圏に再突入し、インド沖の海上に落下した。4月29日に打ち上げられたこのロケットは、中国独自の宇宙ステーション「天宮」の中核部分となる居住区施設を運搬する目的を有していたが、ミッション終了後に基幹部分の残骸が制御できなくなり、地表に落下して被害が生じる恐れが生じていた。幸い被害は出なかったものの、米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官は中国に対し、「スペースデブリ(宇宙ゴミ)に関し、信頼できる基準を満たしていない」と異例の非難声明を出した。

 これに対し、中国側は逆ギレした。中国共産党メディアは「彼らは数年後に宇宙に中国の宇宙ステーションしかなくなるという事実に耐えられない。中国をののしることで、中国の宇宙ステーション建設を妨害しようとしているが、中国には欧米の世論のご機嫌を取る義務はなく、我々は国際ルールと中国の権利に従って物事を進める」と反論した。

 NASAの宇宙ステーションが1979年に軌道から離脱して豪州に落下して以来、国際社会は「統制不能な物体を大気圏に進入させない」とするルールを順守しているが、中国はこの国際的ルールに今後も従わない可能性がある。中国は来年末までにロケットを10回以上打ち上げることを計画しており、今後も同様の事態が起きることが懸念される。

 米国を抜いて世界第1位の経済大国になることが予測されている中国だが、「衣食足りて礼節を知る」という自国の格言を忘れてしまった感が強い。国際社会は大国となった中国に対してその地位にふさわしい責任ある行動を求めているが、中国側は「我々は何も方針を変えていないのに、なぜ国際社会は今になって批判の声を高めているのか」と思っていることだろう。中国史を紐解けば、王朝が交代しても政治体制は常に皇帝独裁・専制を維持し続けてきた。彼らは古くから「自分たちが中心であり、正しい」と考え、周囲が何を言っても聞く耳をもたなかったといっても過言ではない。

 米国のバイデン政権は「民主主義vs.専制主義」として対決姿勢を強めているが、中国側は「我々は民主主義と闘っているつもりはない。自分たちには押し付けてくれるな。自分たちの範囲さえうまくいっていればそれでいい」と苦虫を噛みつぶしたような思いでいる節がある。

中国の過信

 米国との対立が深まるなかで、米国と旧ソ連による冷戦から教訓を得ようとしている中国の指導者は、自らには旧ソ連にない強みがあることを発見して勇気づけられているのではないかとの指摘がある(5月8日付日本経済新聞)。その強みとは民営企業の存在である。中国経済は旧ソ連の計画経済よりもはるかに効率的なシステムであり、輸出入などに関し世界経済で中心的な位置を占めるようになった。中国は一部の重要な分野で米国の技術に遠く及ばないものの、量的な強さは否定できない。

 旧ソ連が世界中に共産主義を積極的に推進していたのに比べ、現在の中国は強権的な対外進出により日本や台湾、インドといった一周辺国・地域にとっては差し迫った安全保障上の脅威となっているが、旧ソ連に比べ国際社会への影響力は限られている。

 こうした状況下で、米国が中国との対立で旧ソ連との冷戦時の手法を用いるのは非常に難しいといわざるを得ない。

 しかし落とし穴もある。自らが有利な立場にあると過信した中国が、実際よりも強いと考えるようになれば、悲惨な結果を招きかねないからである。

 最近の中国の言動をみていると、「自国経済から中国経済を切り離す余裕がある国はほとんどない」との過信から、傍若無人の攻撃的な行動をとり、結果的に中立的な立場をとろうとしている国々を米国側に追いやっているように思えてならない。

 EUの欧州委員(域内市場担当)は5月6日「長期にわたる協議を経て昨年末に大筋合意に至った中国との大規模投資協定について、「『合意』というより『方針』のようなものであり、当面実現しないだろう」との見解を示した。中国による新疆ウイグル自治区のウイグル人らへの人権弾圧の姿勢は、EUの戦略的な中立性の維持を難しくしている。

 中国との関係が悪化の一途をたどっている豪州でも、「中国との軍事的衝突」を危惧する声が出ている(5月7日付ニューズウィーク)。豪州にとって中国は依然として最大の貿易相手国(年間約1900億ドル)だが、モリソン政権の複数の高官(安全保障担当)からは4月下旬、「インド太平洋の自由国家に再び『戦争の足音』が迫っている。台湾絡みで中国と衝突する可能性は高くなっている」とする驚くべき発言が相次いだ。

高齢社会に突入する中国

 自信過剰になることは、経済面でも悪影響を伴う。必要とされる国内の改革が失敗に終わる可能性が高くなるからである。中国は3月、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で「国家経済安全保障の強化」のための2021年から25年にかけての5カ年計画を採択したが、この目標を達成するためには厳しい試練が待ち受けている。

 国内総生産(GDP)の6割以上を占める民間部門のポテンシャルを高めるためには共産党の支配力を縮小することが不可欠であるからだが、習近平指導部は「改革が必要ないほど中国は強い」と思っている可能性が高い。中国の意思決定は中央に過度に集中し、反対意見や対立する情報が提出されないため、希望的観測や誤った仮定が生まれやすいからである。

 国家統計局が11日に公表した20年実施の国勢調査の結果によれば、中国は早ければ今年にも「高齢社会(高齢化率は14%以上)」に突入する。安い労働力を武器に急速に経済大国に発展した中国だが、過信により戦略的過ちを犯せば、1970年代以降の旧ソ連のように停滞に陥ってしまうのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー 

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

トヨタ、水素燃料のマシンで耐久レース参戦の意義…盲目的なEV信仰へのアンチテーゼか

 水素を燃料としたレーシングマシンが走る――。にわかに信じることはできないかもしれないが、事実である。それも遠い話ではなく、5月21日からのスーパー耐久シリーズ第3戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」に参戦するというのだ。もちろん伊達や酔狂ではなく、世界的な風潮であるカーボンニュートラルの施策のひとつなのだから、驚きである。

 とはいうものの、水素を燃料とするクルマは、それほど奇異なものではない。ガソリンを空気と混合させて気筒内に噴射、火花によって着火させるというシステムは、一般的な内燃機関と同様である。ただ、今回サーキットに姿を現すレーシングマシンは、燃料をガソリンから水素に代えて燃焼させるという点が特徴だ。

 だが、それをサーキットで走らせるとなると、話は別だ。参戦するチームは、トヨタ自動車代表取締役である豊田章男氏が率いるルーキーレーシングチーム。マシンは水素を燃料とする「カローラ」である。さらに驚かされるのは、豊田社長が自らステアリングを握るということだ。

 オンラインで行われた参戦記者会見で、豊田社長こう述べている。

「水素への期待も不安も含めて、私が乗ることですべてを証明したいと思っています」

 水素の危険性などネガティブな材料を、レースという開発の場を通じて消化したいというのだ。もちろん、水素を燃料とすることから、量産型水素燃料自動車であるトヨタ「ミライ」の技術が注がれていることは明らかだ。水素充填システムは当然として、マシンに搭載する水素燃料タンクはミライのものを流用する。

 ミライは、搭載する水素を大気中の酸素と化学反応させることで発電させる。その電力を元に電気モーターを回転させ、駆動力を得る。だが、今回レースに参戦する水素燃料カローラは、ガソリンを燃料とする一般的な内燃機関で、燃料を水素に置き換えたものである。つまり、純粋な水素燃料車やEV(電気自動車)とは異なる。だが、走行中に一切の二酸化炭素を排出しないという点ではEVや水素燃料車と同様であり、限りなくクリーンな内燃機関車両となるのだ((厳密には微量なオイルが燃焼することもある)。

 今回、トヨタが水素を燃料とする内燃機関マシンを走らせる意図は、このところの盲目的なEV信仰へのアンチテーゼが含まれているように想像する。カーボンニュートラルが地球を救う課題であることは事実だが、そのための救世主がEVだという風潮には、少々の疑問が残る。

 確かに、EVは走行中に一切の二酸化炭素を排出しない。だが、EVを走らせるための電力は石炭を燃やすことで得ている。その段階では、二酸化炭素を吐き散らしているのだ。とりわけ、原発や太陽光、風力など発電比率の低い日本では、盲目的なEV信仰には危険を孕む。水素燃料とて、精製は化石燃料に依存しているのも事実だ。

 つまり、クルマの動力源は電気だけではなく水素も有効であり、そもそも内燃機関にも可能性が残されている。日本には多くの選択肢が残されているのである。そのひとつが、水素を燃料とする内燃機関であり、そのための開発のひとつとして、今回の水素を燃料としたレーシングカーの参戦計画なのである。

 レースは5月末に開催される。これが世界に発信されることの意義は無視できない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

有名YouTubeチャンネルに偶然、不倫現場が…削除を求める女性、肖像権侵害は成立する?

“鉄道系YouTuber”として人気の「スーツ」が、過去に投稿した動画に映り込んでいるという人物から、動画の削除を求められていると明かした。

 スーツによると、ある女性から、1年ほど前に公開した動画に関して、「私が他の男性と不倫している姿が写っているので削除してください。削除しない限り弁護士に相談をして法的手段を取ります」とのメールが送られてきたという。

 普段、視聴者からのメールには返信しないというスーツだが、この女性にとっては重大なことなのだろうと推察し、次のように返信。

「法的手段を試みても構いませんが、映り込みまでは肖像権の保護の対象となっておりませんので、おそらく意味をなさないと思います。写り込んでいる時間をお知らせいただけましたらぼかしを入れるか、該当箇所をカットできます。それがし難いようでしたら、弊社宛に15万円お振込み頂ければ、削除いたしますがいかがでしょうか」

 このメールの意図について、該当箇所を教えてもらえれば、ぼかしを入れたりカットするなど編集できるが、女性が自分の姿をスーツに特定されたくないかもしれないので、動画で得られるであろうおおよその収益として、15万円を補償してもらえれば削除するとの対応策を提示したという。

 だが、これに対して「15万円の根拠となるものを教えて下さい。新聞記者や報道機関はもとより弁護士にこのことを全て報告済みです。お金でたかるとは如何なものかと、良心の欠如です」との返信があったため、スーツは面倒になり、これ以降は放置しているという。

 スーツは、映像の主体ではなく、背景として映り込んだ程度では著作権侵害にはならないはずと主張、それでも、駅構内で撮影する際は、鉄道会社などにクレームが入らないようにするため、一般人の顔などにはできる限りモザイク処理をしていると説明している。

 実際のところ、有名YouTuberやテレビ番組などで自身の姿が望まないかたちで映り込んでしまった場合、肖像権の侵害となるのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は次のように解説する。

「一般論としては、観光地や公道、その他人がよく集まる場所で撮影した写真・動画に、たまたま『背景に人物が映っていた』という程度では、肖像権侵害になりません。しかし、その写真・動画が、その映った人に着目していたり、通常『撮影されない、撮影されたくないような場所(自宅内など)』なら、盗撮などの犯罪のほかにも、(民事上の)肖像権侵害が成立することとなります。

 これを法律的に難しく言うならば、『社会生活上、受忍すべき限度を超えてその人の肖像が撮影されている場合に肖像権侵害が成立する』となります。

 ただし、実際に『映った』ことで、どのような損害が発生するかというと、正直なところあまり想定できません。あえて想定するならば、『たまたま背景として映り込んだだけ』なのに、撮影者やテレビやマスコミがその『映り込んだ人(肖像)』自体を面白おかしく取り上げ、またはネットでも複製されて拡散されたような場合に、そのテレビなどで取り上げたマスコミや拡散した人に対して損害賠償ができる、という程度です」

 不倫している現場が有名YouTuberの動画に映り、パニックになってしまったのかもしれないが、高圧的な態度によってスーツの怒りを買ってしまい、動画を削除してもらうのはかえって難しくなってしまったようだ。

(文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士)

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

パチスロ“総隊長”の激アツ情報!最新作の導入前に魂をブチ上げろ!!

 パチスロにおける番長と言えば『押忍!番長』シリーズの轟金剛であり、総隊長と言えば『鬼浜爆走紅蓮隊』シリーズのリュウジであろう。

 轟金剛は人類史上最強と呼び声高い轟鋼鉄の孫で、私立轟高校の三年生という設定。2017年リリースの5号機『押忍!番長3』では、修学旅行先でもライバルたちに勝利、且つ己を磨き上げるために過酷な修行に挑んでいる。その世界観と自力感の強い出玉性能を融合させたゲーム性は不動の人気で、今なおホールの主軸として君臨し続けていることは周知の通りだ。

 一方のリュウジは鬼浜町を拠点とする「鬼浜爆走紅蓮隊」の初代総隊長で、真っ赤に染めたリーゼントがトレードマーク。鬼浜工業高校に通う高校生で、実家はラーメン屋だ。

 そんなリュウジが主役を務める同シリーズ最新作『鬼浜爆走紅蓮隊 狂闘旅情編』は、5月24日に全国ホールデビューを果たす。当機を手掛けるベルコは先日、その導入に先駆けてオリジナルサウンド「鬼浜 THE BEST」のストリーミング配信を開始した。

 このサウンドトラックには先の『鬼浜爆走紅蓮隊 狂闘旅情編』に搭載された新曲「プチアゲロックンロール」や「Bright this way」をはじめ、5号機『鬼浜爆走紅蓮隊 愛情恋歌編』の「俺の仏恥義理」「Crazy Rider」、同じく5号機『鬼浜爆走紅蓮隊 友情挽歌編』の「Ride on wave!!・リュウジ」「蒼き旋律・ハヤト」「雷神☆轟・ダイゴ」などを収録。

 お馴染み「カッ飛びゾーン」や「特攻ボーナス」中のサウンドも聴くことができる。

 ストリーミング配信はAmazon Music、Apple Music、Spotifyの各配信サイトで対応している。多数のサウンドトラックが存在する『押忍!番長』シリーズと違って、『鬼浜爆走紅蓮隊』シリーズとして公にBGMを発売するのは初。導入前に各種楽曲を視聴して、気持ちを高めておくのも一興であろう。

 ちなみに、『鬼浜爆走紅蓮隊 狂闘旅情編』は歴代シリーズを進化継承させたAT機。規定ゲーム数消化で突入するCZ「カッ飛びゾーン」などを機に当選するATは1G純増約2.8枚で、初当り時に始まる1セット30G+αの「ツッパリRUSH」を突破できれば、以降は30G以上+αの「真(神)ツッパリRUSH」が約80%でループする強力な仕様だ。

 もちろん、伝説のヤンキー・翔も健在で、首尾よく登場すれば、状況を問わずその時点でエンディングが濃厚となるようだ。

【注目記事】

パチスロ「万枚突破」が狙える人気機種の「攻略」ポイント! 疑似ボーナス中は「○○」を要カウント!!

パチンコ「3日連続で5万発」を叶えた驚愕の“攻略法“!? 「莫大な利益」を生み出す…「撤去待ったなし」だった技術介入マシン!!

甘デジ勝ちを狙える「切り札」が発動!「覇権タイトル」×「突破型」で連敗から脱出!?

甘デジ「オール7」は「10R&時短100回」確定!「伝説シリーズ」3年ぶりの新作は「遊びやすさ」を追求!!

 愛され続けて約29年。パチンコアイドルキャラクターの先駆けである「夢夢(むむ)ちゃん」を主役に据えた大人気パチンコ『フィーバーパワフル』シリーズの最新作、SANKYOの『Pフィーバーパワフル』(製造:ジェイビー)が5月24日、いよいよ待望のホールデビューを果たす。

CRフィーバーパワフル 2018』以来3年ぶりの復活となる本機は大当り確率99.9分の1で、ラウンド振り分けは10R→12%、5R→47%、3R→41%。大当り後は100%ST8回転の確変へ突入し、この間の大当り確率は12.0分の1まで跳ね上がる。

 ST8回転をスルーしてしまった場合は、例外なく時短へ突入。時短回数は大当たりラウンド数に応じて変化し、10R後は電サポ92回、5R後は電サポ42回、3R後は電サポ17回が付加される。

 また、本機はシリーズ初の遊タイム機能を搭載しており、大当り後300回(低確率292回)消化で時短100回の「夢夢タイム」がスタート。電サポ中の消化もカウントされ、遊タイム到達が近付くと液晶画面上でカウントダウンが発生する。初心者でも安心して遊技できる配慮が施されているというわけだ。

 通常時の演出には4種類のモードがあり、「クラシカルモード」はシンプルに楽しみたいプレイヤーにオススメ。「パワフルモード」は「ズームリーチ」「シュワシュワかっとびリーチ」「オールフルーツリーチ」など賑やかな演出が期待感を煽り、「シュワシュワ大爆発リーチ」の発生で大チャンスを迎える。

 新モードの「シュワシュワモード」は清涼感溢れるモードで、「夕方背景」「泡図柄による示唆」「CHANCEシャッター出現」などは期待大。同じく新モードの「パワパトモード」は最終的にランプ点灯で大当りが約束される一発告知モードだ。

 ちなみに、クラシカルモードは「メロン越え」、パワフルモードは「カッ飛び予告(3人)」、シュワシュワモードは「フルーツ落下予告」、パワパトモードは「CHANCE予告(ALL)」が注目ポイントとのこと。これらが発生すれば、その時点で大当りに大きく期待できる。

 もちろん、液晶画面は歴代シリーズと同様に9分割の8ラインで、7揃い1ラインは3R以上、7揃い複数ラインorオールフルーツは5R以上、オール7は10Rが確定。大当りラウンド中に「HOLD V」が出現した場合は保留内で大当たりへと繋がるようだ。

【注目記事】

パチスロ「万枚突破」が狙える人気機種の「攻略」ポイント! 疑似ボーナス中は「○○」を要カウント!!

パチンコ「3日連続で5万発」を叶えた驚愕の“攻略法“!? 「莫大な利益」を生み出す…「撤去待ったなし」だった技術介入マシン!!

甘デジ勝ちを狙える「切り札」が発動!「覇権タイトル」×「突破型」で連敗から脱出!?

JRA 「2000万馬券」の衝撃から6年……。ヴィクトリアマイル(G1)「18番人気」激走の大穴と共通点を持つ快速牝馬がファンの「心をひきつける」!?

 16日に東京競馬場で行われる古馬牝馬によるマイル女王決定戦・ヴィクトリアマイル(G1)。昨年はアーモンドアイが断然人気に応えて平穏に収まったが、過去10年の三連単平均配当は200万円を超える波乱含みのレースとしても知られる。

 過去10年の平均配当を大きく押し上げているのが6年前の大波乱だ。その一戦を制したのは高松宮記念(G1)惨敗で評価を大きく落としていた5番人気のストレイトガール。2着に12番人気のケイアイエレガント、そして3着に最低18番人気のミナレットが逃げ粘り、三連単払戻は2000万円を超える超高配当となった。

 この時の三連単配当「2070万5810円」はJRAの歴代6位。G1レースとしてはもちろん歴代最高記録として今もトップに君臨している。

 単勝オッズ291.8倍という低評価ながらも3着に食い込み、波乱の立役者となったのがミナレットだ。実はデビュー戦でも14番人気で優勝し、2983万2950円というJRAの三連単歴代最高配当記録をたたき出していた波乱の使者。そんなミナレットを彷彿とさせる馬が今年のヴィクトリアマイルに出走してきた。

 当時のミナレットのような逃げが予想されるイベリス(牝5歳、栗東・角田晃一厩舎)だ。今年のレースにはイベリス以外にも逃げて結果を残してきた馬が何頭かいる。2歳女王で上位人気が濃厚のレシステンシア、前走の福島牝馬Sを逃げ切ったディアンドル。さらにスマイルカナとクリスティも逃げて結果を残してきた。

 そんな中に入ってもイベリスのテンのスピードは特筆すべき速さである。酒井学騎手とコンビを組むようになったここ4戦はすべて逃げていて、今回もハナを譲る理由はないだろう。

 ミナレットを彷彿とさせるのはその脚質だけではない。イベリスもまた、波乱の立役者になった経歴を持つ。それが2年前のアーリントンC(G3)だ。好スタートから積極的に前に行くと、阪神の長い直線を逃げ粘り、12番人気で重賞初制覇。単勝万馬券、そして三連単136万1140円という高配当を生んだ。

 イベリスは2走前の京都牝馬S(G3)を逃げ切り、重賞2勝目を飾ったが、前走の阪神牝馬S(G2)で6着に敗れ、距離不安も囁かれる今回は大きく人気を落としそうだ。

 13日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは、18頭中で17番人気。おそらく実際のレースでも単勝万馬券で15番人気以下は濃厚だろう。

 イベリスの馬名の由来は花の名前で、その花言葉は「初恋の思い出」や「心をひきつける」。英語の花言葉は若干ニュアンスが異なっており、「無関心」だという。

 グランアレグリアなどの強豪牝馬に交じって、決して注目は高くないが、ファンの心を引きつける大逃げを打つことはできるか。今が開花時期のイベリス。府中に満開の花を咲かせることはできるだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

紗栄子、17歳男性と交際か、気になる法的問題…青少年育成条例上の“線引き”

 “魔性の女”の恋愛遍歴に、また新たな1ページが加えられたのだろうか――。

 メジャーリーガーのダルビッシュ有投手の前妻で、ZOZO創業者の大富豪、前澤友作氏の元恋人としても知られるタレントの紗栄子が、16歳年下のアーティスト、YOSHIと交際していたと、11日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)が報じた。同誌によれば、2人は一昨年に仕事で知り合い、交際に発展したが、昨年秋には破局。交際当時、YOSHIはまだ17歳だったという。

 紗栄子は2007年、20歳のときに北海道日本ハムファイターズに所属していたダルビッシュと交際わずか3カ月で結婚を発表。12年には離婚に至っているが、ダルビッシュとの間に08年に長男を、10年に次男を授かっており、現在の子供たちの年齢は13歳と11歳。2人とも英ロンドンの全寮制の学校に留学していることを紗栄子も明かしているが、長男とYOSHIは“同世代”ともいえなくもない近い年齢ということもあり、今回の熱愛報道には驚きの声も広まってる。

 注目を集めているのは、やはり交際当時のYOSHIが未成年、しかも17歳であったという点だ。

「昨年、当時ジャニーズ事務所に所属していた俳優の山下智久が、KAT-TUNの亀梨和也と共に女子高生と飲酒を共にしていたことが発覚。特に山下はそこに同席していた女子高生とホテルで合流して同じ部屋に宿泊していたため、違法性を指摘する声もあがり、ジャニーズは山下を活動自粛処分に。結局、山下はそのまま事務所を退所する流れとなりました。この一件以降、20歳以上のタレントが未成年の異性と交際することは、どの事務所でも“あってはならないこと”とされています」(芸能事務所関係者)

「真剣交際」なら問題なし

 東京都青少年育成条例第18条の6は「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない」と規定しており、違反すると2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性がある。山下のケースでは“その日に出会った”未成年女性とホテルに宿泊していたため純粋な恋愛関係にあったとは考えにくいとして、法的観点より問題視された。

 一方、「週刊女性」の報道がもし事実であれば、今回のように成人女性が18歳未満の男性と真剣交際をすることに、なんらかの法的問題が生じるのであろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は次のように解説する。

「事件になるのは、たいていの場合、男性が18歳未満の女子と行為におよんで青少年育成条例違反(東京都の場合、第18条の6)などで逮捕される例ですが、条例は『何人も、青少年とみだらな性行為を行ってはならない』とありますので、誰であっても『青少年』、すなわち『18歳未満の者』とそうした行為をすれば、条例違反を問われる可能性があります。

 次に、ホントに真剣に交際していた場合でも条例違反に問われるかどうかですが、『真剣交際』であれば無罪です。ただし、『真剣交際』として認められるかどうかが難しいところです。例えば、いわゆる“出会い系”サイトで知り合って、1回か2回会っただけで行為におよんだような場合はアウトです。これに対し、18歳間近の青少年と、なにがしかのきっかけで次第に仲が良くなり、その後、交際を開始し、自然の男女の“流れ”で行為におよんだような場合は『真剣交際』と認められる場合もあります。紗栄子さんの場合、真剣交際として認められる余地もあるのではないでしょうか」

 今回の熱愛報道で焦点となっているのは、紗栄子がYOSHIに所属事務所からの独立をそそのかし、YOSHIが仕事のキャンセルなどをするようになったという内容である。「週刊女性」によれば、紗栄子さんはYOSHIとの交際を認めてもらおうとYOSHIの事務所社長に直談判し、事務所が2人の交際に反対したことでYOSHIと事務所の関係が悪化したというが――。

「青少年育成条例は、青少年の判断力が大人に比べて十分でないことから、甘言によって不利なことに巻き込まれないよう保護するためにあります。もちろん、『事務所からの独立をそそのかした』など、18歳未満をたぶらかした、というだけでは条例違反などの罪にはなりませんが、やはり、成人は、18歳未満と交際するにしても、『判断力が不十分であること』を十分に理解して臨む必要があるでしょう」(山岸弁護士)

 紗栄子といえば、 “恋多き女性”としても知られている。お笑いタレント・徳井義実(チュートリアル)との焼き肉デートや、音楽プロデューサー・大沢伸一とのツーショット写真が報じられたほか、前澤氏、騎手の武豊、サッカー元日本代表の香川真司、イタリア人デザイナーなど、錚々たる男性たちとの噂が報じられてきた。

「前澤氏と大沢氏の件以外は、本人も釈明しているとおり、ただの友人だとみられている」(週刊誌記者)が、まだ経験の浅いYOSHIが真剣交際するには、紗栄子はやや刺激が強すぎたのかもしれない。

(文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士)

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

 

文部科学省が唱えた国立大学“文系不要論”の実態…教員養成系学部の志願者数が激減

 日本学術会議の会員候補として推薦されながら菅義偉首相に任命されなかった6人の研究者すべてが、人文社会学部系統の教員である。

 宗教学の京都大学教授、政治思想史の東京大学教授、行政法学の早稲田大学教授、憲法学の東京慈恵会医科大学教授、日本近代史の東京大学教授、刑事法学の立命館大学教授だ。安全保障関連法や共謀罪に反対するなど、安倍政権の政策に批判的立場を取っていた点が共通している。当時の官房長官であった菅首相にとっては、おもしろくない相手であったろう。

 といって、民主主義を標榜する政権が「反対派だから」という正直な理由を言えるはずもなく、「個別の人事に関することで、お答えは差し控える」という抽象的な主張を繰り返している。だいたい具体的な人事はみな個別なわけで、これでは話にならない。

 そこで、政府や自民党は学術会議の組織問題に論点をすり替え、「軍事研究に非協力的」とか、「公金投入しているのに政権を批判する会員のいる独立団体とはいかがなものか」と反撃に出た。

 それに対し、元軍人で学術会議会員でもあった97歳の気象学者が、戦争協力を強いられてきた科学者としての反省に立って、ネットで署名活動を展開、6万余の賛同を得た。また、ノーベル賞を受賞した益川敏英、白川英樹の両氏を含めた125人の文化人が賛同して「すみやかに6人を任命するよう」求めた声明も出ている。

 しかし、菅政権はこの流れを無視して、非任官のまま既成事実化を狙っている。メンツもあろうが、これは単に6名の任命拒否という問題に限らず、政府の教育科学に関する基本姿勢にかかわるからでもある。

任命拒否と国立大学文系不要論は底流でつながる

 文部科学省は2015年、国立大学法人の第2期中期目標に関する国立大学法人のミッションの再定義に関して組織の見直しに触れ、「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直しの計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることにする」とさりげなく、しかしハッキリと国立大学法人に要求している。

 理工系や医療系などに比べ、教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院は社会的要請が高くないので、この際、縮小・改編をせよ、ということである。これは社会的というより、政府や産業界にとってニーズがないということだろう。と同時に、政権にとっては、今回の任命拒否でみられるように、自らの政策に批判的な学者を生む土壌となっている人文社会科学系の学部・大学院をこの際、縮小・改編してしまおう、という文脈である。

 ところが、企業経営者も含め、多くの社会的リーダーの出身母体でもある国立大学の人文社会科学系の不要論は、思いもかけず猛反発を呼んだ。ビビった文科省は、「実はこれは国立大学教育学部の新課程(ゼロ免=教員免許取得を目的としないので、教員養成課程ではない)の廃止を促しているのであって、文系不要論は誤解」、ということで切り抜けようとした。しかし、国立大学の財政的自助努力が足りないという財務省の見解はまだ生きており、それを背景に国立大学人文・社会系不要論は実質的に深く潜行して、まだ折りにつけ噴き出すのである。

国立大学人文社会科学系の志願者動向

 図表は、文科省から文系不要論が出る3年前から現在までの国立大学学部系統別志願者数の推移である。別に文系は不要と大上段に唱えなくても、大学にとっては受験生の動向こそが社会的なニーズを直接つかめる数字だ。

 実際に、人文社会学部不要論を撤回しても、そのアナウンス効果は残る。人々の行動を変えることをもくろみて行うニュースや政府の広報が、真逆あるいは予期しなかったように変化することがあるからだ。

 図表の場合は、募集人員の増減は大学サイド、志願者数は受験生サイドの動きを反映している、と考えていいだろう。18歳人口の減少で募集人員が全体で93%と減っているが、それ以上に志願者数が81%と2割も減っている。

 文科省の言う教育学部については、教員養成系が狙い以上の効果で募集人員は78%に減少、志願者数はさらに62%に減少した。ちなみに、この教員養成系は教育学部のゼロ免課程を除いた数である。アナウンス効果だけでなく、教員の待遇の悪さ、休日も返上という長時間労働などの情報が広がったためであろう。減少率が予想以上で、今や文科省は教師の魅力を広くPR して、教員養成系の人気回復に努めているほどだ。

 注目の人文社会系は募集人員が91%で減少率が比較的高いが、志願者数は81%の減少率で平均的だ。受験生の人文社会系ニーズは衰えていないといってよい。それは、他の学部系統の減少率と比べるとハッキリする。

 理工系は募集人員が91%、志願者数90%で、人文社会系より健闘している。志願者の文低理高の傾向が出ているといってよいだろう。

 しかし、農・水産系は募集人員が101%と増えているのに、志願者数は76%と減少率が高い。農・水産は獣医や食農、海洋資源など大学サイドは地域活性化を目指して募集人員は増加傾向にあるが、残念ながら人気はイマイチである。

 医・歯系も同様で、募集人員は94%だが、志願者数は68%と減少率が高くなっている。医学部の地域枠の拡大などで、一部受験生に敬遠の動きがあったようだ。ただ、2021年(2020年度)入試は、新型コロナ問題で医療系は人気復活の傾向にある。

 このように人文社会系教育研究の軽視方針は、教育養成系の志願者数激減という思わぬ副作用を伴って、行き詰まりを見せている。行政の思惑で教育研究分野に手を出すことは、国策を誤ることになる。

(文=木村誠/教育ジャーナリスト)

●木村誠(きむら・まこと)
早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『「地方国立大学」の時代–2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)。他に『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。