甘デジ豊富な時短機能で「最大10R×高ループ」RUSHを狙える個性派マシン!!

 水上相撲のような競技が公営ギャンブルとして成立している世界を舞台に少女たちのアツい戦いと友情の物語を描いた「競女!!!!!!!!」のタイアップマシンのシリーズ最新作が甘デジで登場。

PA競女!!!!!!!!‐KEIJO‐99Ver.』は兄弟機となる『319ver.』『199ver.』のゲーム性を踏襲し、手軽に『競女』の世界観を楽しめる機械となっている。その基本的なゲーム性は以下のとおり。

 大当り確率が1/99.9で、ヘソ抽選の35.2%で確変に突入。確変システムは転落抽選式で、1/99.9で抽選される転落フラグを引き当てる前に1/42.0の大当りを引く流れとなり、確変「連戦シリーズ」は電サポ50回+アルファで構成されている。

 一般的に転落抽選タイプの機種では転落の有無にかかわらず一定の電サポ回数が保証されており、その規定回数に到達した際に、確変か通常かの内部状態が明かされるようになっている。

 しかし、本機は規定回数の電サポ、本機の仕様でいえば50回転の内に転落した場合、即座に奮起モードと呼ばれる時短モードへ移行するのである。つまり、明確に「いま転落した」ことがわかるようになっている。

 これにより確変中に発生するバトル(リーチ)はどれも気が抜けないスリリングなものとなり、公営ギャンブルに漂う空気感、緊張感を再現した演出となっているのである。

 右打ち中は大当りすれば必ず確変となり、その内の25%が最大出玉となる10ラウンド約900発。甘デジとしてはボリューム感の高い出玉性能となっている。確変の継続率は約78%で、一撃性にも充分期待できるスペックである。

 スペックといえば、本機には遊タイムと突発時短の2つのネオ時短機能が搭載されている点も見逃せない。

 まず遊タイムは低確率状態で280回転消化すると350回転の電サポモードが発動。大当り割合が97%と超激アツなうえに当たれば確変に突入する旨味の大きな性能となっている。

 ただ、転落抽選タイプなのでデータ表示機の回転数はほとんど参考にならないことは忘れてはいけない。1回でも大当りが刻まれている場合は時短による消化なのか確変による消化なのか第三者からは判断ができないからである。

 しかし、待機画面中にボタンを推すと現在の低確率での消化回転数が表示される機能が搭載されているので、打つ際はそれを確認しておこう。

 一方の突発時短は電サポモード終了時の残保留でのみ抽選されるチャンス機能となっており、「おまけガチャ」と呼ばれる専用ゾーンで、通常確率の大当りとは別に約1/149.9で突発時短を抽選。これに当選すれば100回転の時短が付与されるのである。

 大当り1/99.9における時短100回の引き戻し率は約63.4%、さらなる連チャンへの再トリガーとして期待できるアツい機能となっている。

 演出とスペックの両面から従来とは異なる個性的な甘デジを楽しめるマシンが、この『PA競女!!!!!!!!‐KEIJO‐99Ver.』なのである。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

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「背面跳び」「前が壁」ドゥラメンテ弔い合戦で想定外続出も、藤沢和雄調教師“最後”の秘蔵っ子に勝算あり!?

「2015年の2冠馬ドゥラメンテが急死」――。

 そんなショッキングな見出しが躍ったのは今月1日のことだった。急性大腸炎のため、前日8月31日にこの世を去ったドゥラメンテ。この夏に2年目産駒がデビューしたばかりで、種牡馬としてまだこれからという2冠馬の早すぎる旅立ちに多くのファンがショックを受けた。

 その数日後、4日の札幌3R・3歳未勝利にはドゥラメンテ産駒が3頭出走。そのうちの1頭ヴィトーリアが訃報後最初のレースを制し、天国の父に弔い星を届けた。

 だが、その日の午後に行われた札幌2歳S(G3)。締め切り時点で4番人気に支持されていたのが、ドゥラメンテ2年目産駒のダークエクリプスだった。応援馬券も決して少なくなかったであろう父の弔い合戦で好走が期待されたのだが……。

 ファンファーレが鳴り響き、ゲートに収まるまでは大人しかったダークエクリプス。ところが、発走直前に暴れ始めると鞍上の和田竜二騎手を振り落とし、ゲートの前扉の下をくぐり抜け放馬。外ラチへ向かって暴走すると、前代未聞の背面跳びで外ラチを派手に跳び越えて、背中で着地した。

 傷を負った同馬は結局、競走除外となり、父への弔い重賞Vはスタート前に幻と消えた。

 翌週以降もドゥラメンテ産駒は次々と重賞レースに登場。11日の紫苑S(G3)には、スイープトウショウを母に持つ良血クリーンスイープが8番人気で出走したが、道中早めに手応えをなくすと、まさかの最下位18着に大敗。弔いの重賞V挑戦はまたも失敗に終わった。

 19日にはアイコンテーラーがローズS(G2)で17番人気を大きく上回る8着と善戦。いい流れで、翌20日セントライト記念(G2)のタイトルホルダーとレインフロムへヴンにバトンを渡した。ところが、産駒唯一の重賞勝ち馬のタイトルホルダーは直線まさかのドン詰まり。レインフロムヘヴンとともに2桁着順に沈んだ。

 スタート前の除外、直線で行き場なし……。弔いの重賞Vを狙ったドゥラメンテ産駒が次々と想定外の事態に陥るなか、26日の神戸新聞杯(G2)に登場するのがキングストンボーイ(牡3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。

 約5か月ぶりの復帰戦に選んだのはセントライト記念ではなく、長距離輸送となる中京でのトライアル。ダービー馬シャフリヤールも待ち受ける神戸新聞杯を選んだところに陣営の自信が見え隠れする。

「キングストンボーイといえば、前走・青葉賞(G2)で2着に入り、日本ダービー(G1)の優先出走権を獲得しました。ところが、藤沢和調教師は『馬の将来を考えると無理はできない』と自身最後のダービー出走を諦めたことも話題になりました。

デビューからずっとC.ルメール騎手を乗せていて、同馬の将来性を高く評価しているということが分かります。ひと夏を越して精神面の成長も顕著なようですよ。この秋に大きくステップアップする可能性は高いと思います」(競馬誌ライター)

 シャフリヤールを筆頭に好メンバーがそろった一戦。キングストンボーイはここで“想定外”の弔い星を父に捧げることになるのか。藤沢調教師の最後の秘蔵っ子が大物食いを狙う。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

平成“最弱”ダービー馬「10馬身圧勝」の逆襲!? わずか8頭のJRA所属から16年ぶりレコード更新のド派手な初勝利

 衝撃的な初勝利は、逆襲の狼煙か。

 先週18日、中山競馬場で行われた2R・2歳未勝利でアトラクティーボ(牡2歳、美浦・武藤善則厩舎)がファンの度肝を抜いた。

 スタートから積極果敢にハナを奪うと、最後の直線ではワンサイドの独走劇。2着エコロドラゴンに10馬身差をつける圧勝を飾っただけでなく、勝ち時計1:52.2は2005年にフラムドパシオンが記録した中山ダート1800mの2歳レコードを0.5秒も更新した。

 レースの中身も圧巻ながら、それ以上に話題を呼んだのは、本馬が2014年のダービー馬ワンアンドオンリーの初年度産駒であるという事実だ。

「種牡馬になっていたのか――」

 ネット上で、そんな声が上がるのも無理はない。ダービー馬といえば聞こえはいいが、その戦績は33戦4勝。日本ダービー(G1)で世代の頂点に立ち、秋の始動戦・神戸新聞杯(G2)を勝つまでは輝かしいスター街道を歩んでいたが、次走の菊花賞(G1)で9着と1番人気を裏切ってから23連敗……。

 最終的に6歳のジャパンC(G1)までタフに走り続けたが、最後の1年は二ケタ着順が続き、さらにラスト3戦はいずれも単勝100倍以上と、キャリア晩年はかつての栄光など影も形も見られないまま、ひっそりと引退した経緯がある。

「もっと早く引退する道もあったと思いますが、陣営は不振の原因が肉体的な衰えではなく、気性面にあると見ており、手を変え品を変えて改善策を探っていました。しかし結局、ワンアンドオンリーがかつての輝きを取り戻すことはなく……ダービー馬としては異例の長期スランプとなりました」(競馬記者)

 そんな経緯があったからか、いつしかワンアンドオンリーは一部のファンから「平成最弱のダービー馬」と揶揄されることに……。競走馬としての価値が完全に底をついた状態での引退だっただけに、種牡馬入りが危ぶまれていたというわけだ。

「実際のところ種牡馬入りしたのは、貴重なハーツクライの後継種牡馬だった点も大きいと思います。これがもし(後継種牡馬が多い)ディープインパクトの産駒だったら、わからなかったかも……」(同)

 引退後、新ひだか町のアロースタッドで種牡馬入りしたワンアンドオンリーだが、初年度の種付料は50万円というダービー馬としては異例の低価格だった。しかし、そんな“低姿勢”だったにもかかわらず、集まった種付数はわずか20……無事に競走馬登録されたのは14頭に留まり、現在中央競馬に所属しているのは、わずか8頭だけという非常に厳しいスタートを強いられている。

 ただ、そんな崖っぷちの中から登場したのが、いきなり16年ぶりのレコード更新というド派手な初勝利を飾ったアトラクティーボだったのだ。

「スムーズに競馬ができました。まだ引っかかるところがあるけど、今日はリズム良く運べたのが大きかったです」

 レース後、そう武藤雅騎手から評されたアトラクティーボ。“最弱”とまで揶揄されたダービー馬ワンアンドオンリーの逆襲は、ここから始まるのか。それとも厳しい現実は変わらないのか――。崖っぷちのダービー馬が「再び」勝負の時を迎えている。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

武田薬品、日本最大の買収は失敗だったのか?シャイアー関連で巨額赤字、黒字化メド立たず

 コロナ敗戦にモデルナワクチン異物混入が追い討ちをかけた――。厚生労働省は8月26日、新型コロナウイルス感染症の米モデルナ製ワクチンについて、5都県8カ所の接種会場から計39本の未使用バイアル(注射瓶)に異物が混入しているとの報告があったとし、異物混入の恐れがある約16万3000本(約163万回分)の使用を見合わせると発表した。

 異物混入が確認されたのは東京、埼玉、愛知、茨城、岐阜の5都県での職域接種と自治体接種の計8会場。8月16日以降、使用前の確認で計39本から異物の混入が確認され、国内供給元の武田薬品工業に報告があった。武田薬品は件数が比較的多かったことから8月25日に厚労省に報告した。

 異物が確認されたバイアルは回収され、モデルナが調査を進める。日本向けはスペインのロビ社が製造している。3ロット、計16万3000本について厚労省が武田薬品と協議し、当面の安全対策として使用の見合わせを決めた。

 モデルナワクチンの異物混入は、その後、広がりを見せた。沖縄と群馬でも異物の混入が確認された。厚労省は8月28日、使用中止を求めた米モデルナ製ワクチンを接種した38歳と30歳の男性2人が死亡したことを明らかにした。2人はいずれも、異物が見つかったものと同じスペインの工場で同じ工程でつくられたワクチンを2回目に接種したという。

 38歳の男性は8月15日に接種し、翌日に38.5度の発熱があった。17日に下熱したが、18日に自宅で死亡が確認された。30歳の男性は8月22日に接種し、翌日は発熱で仕事を休んだ。回復した24日は出勤し、帰宅後に就寝。25日朝に死亡が確認された。接種と死亡の因果関係は不明で、今後、有識者検討会で評価する。

 武田薬品は近日中に検査結果を公表するとしている。接種と死亡の因果関係があるのかが最大の注目点だ。もし、因果関係ありと認定されれば、モデルナワクチン接種の是非に発展することは必至の情勢である。

モデルナワクチンは武田が国内流通を担う

 モデルナ製ワクチンは武田薬品が治験や申請、流通を担う。今年5月に承認され、国の大規模接種会場や企業の職域接種向けに供給されている。9月末までに計5000万回分の供給を予定していた。

 厚労省は7月、2022年初めにも米モデルナと武田薬品から新型コロナワクチン5000万回分の追加供給を受ける契約を結んだ。追加契約で日本への供給量は計1億回分となる。モデルナは3回目の追加接種(ブースター接種)用や変異株ウイルスに対応したワクチンを開発中で、承認されれば国内でも、このワクチンの供給も受けることになる。

 武田薬品モデルナのワクチンを輸入して供給するほか、米製薬会社ノババックスのワクチンを山口県にある武田薬品の工場で製造して国内向けに販売する計画だ。初期対応はモデルナ社のワクチン、中長期的対応はノババックス社のワクチンとの棲み分けをする。

 ノババックスのワクチンは国内で生産できるため、「国内需要に合わせて生産・供給できるのがいちばんの有用性だ」と述べている。2つのワクチンを扱うことで、将来的なワクチンの自主開発につなげる。これが、出遅れていた武田薬品のワクチン戦略だった。ところが、スタートを切った直後に、モデルナワクチンの異物混入の問題が発生した。武田薬品のワクチン戦略に暗い影を落とした。

好決算だったが株価の戻りは限定的

 武田薬品の21年4~6月期連結決算(国際会計基準)は売上高に当たる売上収益が前年同期比18%増の9496億円、営業利益は49%増の2485億円、純利益は67%増の1376億円だった。帝人に糖尿病薬事業を売却した利益を計上したほか、潰瘍性大腸炎などの治療薬、神経精神疾患用の薬が伸びた。クリストフ・ウェバー社長は「4~6月期の業績は素晴らしい伸びだった」と自画自賛した。

 22年3月期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比5%増の3兆3700億円、営業利益は4%減の4880億円、純利益は34%減の2500億円の見込みだ。「アリナミン」など一般用医薬品を扱う完全子会社、武田コンシューマーヘルスケアを21年3月31日付で米投資ファンド大手ブラックストーン・グループに2300億円で売却した。現在、社名はアリナミン製薬になっている。この売却益がなくなるため22年3月期は減益になる。

 シャイアー関連で税務費用630億円を計上する。シャイアーが米アッヴィから受け取った違約金への課税分やその未払い利息で、7月30日に発表した21年4~6月期の連結財務諸表を修正した。純利益は2003億円から1376億円に引き下げた。

 最大の懸念材料は19年1月、買収が完了したアイルランド製薬大手シャイアーだ。買収額(9兆円、負債2兆円を含む)は日本のM&A史上最大だった。武田はシャイアーの統合効果を出せずに苦戦が続いている。連結決算の営業損益に占めるシャイアー関連は19年3月期が2339億円の赤字。20年3月期が6783億円の赤字、21年3月期は4198億円の赤字と水面下に沈んだままだ。いつシャイアー事業が黒字に転換し、収益に貢献するかが問われている。

 21年4~6月期は好決算にもかかわらず、株価は冴えない。シャイアー買収前の2018年初頭に6000円台を付けていた株価は買収発表後から急落。好決算を発表後も株価は4000円を割り込んだまま。今年の高値は3月22日につけた4365円で8月30日の終値は3665円だった。9月17日は3813円で終わった。株式市場は「シャイアーの巨額買収が成功だったのか」確信を持てずにいる。

 4~6月期決算発表の席上、コスタ・サルウコスCFO(最高財務責任者)は「海外では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、病院で診療を再開する動きが出ている」とした。受診抑制の“くびき”から脱け出せそうだ。国内では「輸入するモデルナ製ワクチンの販売拡大」に期待を滲ませた。

モデルナワクチンの異物混入で厚労省が口頭で指導

 そのモデルナワクチンが厳しい局面に立たされている。厚生労働省が国内の流通を担う武田薬品に対し、医薬品医療機器法(薬機法)に違反するとして、品質管理を徹底するよう口頭で指導した。口頭指導は9月3日付。厚労省が武田薬品、モデルナとオンラインで会議を開き、工場の管理監督などを徹底させるよう武田薬品に指示した。

 異物が確認された製品はいずれもスペインの工場で製造されていた。製造ラインで部品が不適切に設置されていたのが原因とみられる。武田薬品は「(口頭指導を)重く受け止めている。モデルナのスペイン委託生産企業と協力し、製造ラインを監督する」とした。

 武田は9月1日、異物はステンレスとの調査結果を明らかにしている。異物が見つかったものを含む計3ロット、162万回分が回収対象となったが、50万回分はすでに接種済みだという。

(文=編集部)

武田薬品、日本最大の買収は失敗だったのか?シャイアー関連で巨額赤字、黒字化メド立たず

 コロナ敗戦にモデルナワクチン異物混入が追い討ちをかけた――。厚生労働省は8月26日、新型コロナウイルス感染症の米モデルナ製ワクチンについて、5都県8カ所の接種会場から計39本の未使用バイアル(注射瓶)に異物が混入しているとの報告があったとし、異物混入の恐れがある約16万3000本(約163万回分)の使用を見合わせると発表した。

 異物混入が確認されたのは東京、埼玉、愛知、茨城、岐阜の5都県での職域接種と自治体接種の計8会場。8月16日以降、使用前の確認で計39本から異物の混入が確認され、国内供給元の武田薬品工業に報告があった。武田薬品は件数が比較的多かったことから8月25日に厚労省に報告した。

 異物が確認されたバイアルは回収され、モデルナが調査を進める。日本向けはスペインのロビ社が製造している。3ロット、計16万3000本について厚労省が武田薬品と協議し、当面の安全対策として使用の見合わせを決めた。

 モデルナワクチンの異物混入は、その後、広がりを見せた。沖縄と群馬でも異物の混入が確認された。厚労省は8月28日、使用中止を求めた米モデルナ製ワクチンを接種した38歳と30歳の男性2人が死亡したことを明らかにした。2人はいずれも、異物が見つかったものと同じスペインの工場で同じ工程でつくられたワクチンを2回目に接種したという。

 38歳の男性は8月15日に接種し、翌日に38.5度の発熱があった。17日に下熱したが、18日に自宅で死亡が確認された。30歳の男性は8月22日に接種し、翌日は発熱で仕事を休んだ。回復した24日は出勤し、帰宅後に就寝。25日朝に死亡が確認された。接種と死亡の因果関係は不明で、今後、有識者検討会で評価する。

 武田薬品は近日中に検査結果を公表するとしている。接種と死亡の因果関係があるのかが最大の注目点だ。もし、因果関係ありと認定されれば、モデルナワクチン接種の是非に発展することは必至の情勢である。

モデルナワクチンは武田が国内流通を担う

 モデルナ製ワクチンは武田薬品が治験や申請、流通を担う。今年5月に承認され、国の大規模接種会場や企業の職域接種向けに供給されている。9月末までに計5000万回分の供給を予定していた。

 厚労省は7月、2022年初めにも米モデルナと武田薬品から新型コロナワクチン5000万回分の追加供給を受ける契約を結んだ。追加契約で日本への供給量は計1億回分となる。モデルナは3回目の追加接種(ブースター接種)用や変異株ウイルスに対応したワクチンを開発中で、承認されれば国内でも、このワクチンの供給も受けることになる。

 武田薬品モデルナのワクチンを輸入して供給するほか、米製薬会社ノババックスのワクチンを山口県にある武田薬品の工場で製造して国内向けに販売する計画だ。初期対応はモデルナ社のワクチン、中長期的対応はノババックス社のワクチンとの棲み分けをする。

 ノババックスのワクチンは国内で生産できるため、「国内需要に合わせて生産・供給できるのがいちばんの有用性だ」と述べている。2つのワクチンを扱うことで、将来的なワクチンの自主開発につなげる。これが、出遅れていた武田薬品のワクチン戦略だった。ところが、スタートを切った直後に、モデルナワクチンの異物混入の問題が発生した。武田薬品のワクチン戦略に暗い影を落とした。

好決算だったが株価の戻りは限定的

 武田薬品の21年4~6月期連結決算(国際会計基準)は売上高に当たる売上収益が前年同期比18%増の9496億円、営業利益は49%増の2485億円、純利益は67%増の1376億円だった。帝人に糖尿病薬事業を売却した利益を計上したほか、潰瘍性大腸炎などの治療薬、神経精神疾患用の薬が伸びた。クリストフ・ウェバー社長は「4~6月期の業績は素晴らしい伸びだった」と自画自賛した。

 22年3月期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比5%増の3兆3700億円、営業利益は4%減の4880億円、純利益は34%減の2500億円の見込みだ。「アリナミン」など一般用医薬品を扱う完全子会社、武田コンシューマーヘルスケアを21年3月31日付で米投資ファンド大手ブラックストーン・グループに2300億円で売却した。現在、社名はアリナミン製薬になっている。この売却益がなくなるため22年3月期は減益になる。

 シャイアー関連で税務費用630億円を計上する。シャイアーが米アッヴィから受け取った違約金への課税分やその未払い利息で、7月30日に発表した21年4~6月期の連結財務諸表を修正した。純利益は2003億円から1376億円に引き下げた。

 最大の懸念材料は19年1月、買収が完了したアイルランド製薬大手シャイアーだ。買収額(9兆円、負債2兆円を含む)は日本のM&A史上最大だった。武田はシャイアーの統合効果を出せずに苦戦が続いている。連結決算の営業損益に占めるシャイアー関連は19年3月期が2339億円の赤字。20年3月期が6783億円の赤字、21年3月期は4198億円の赤字と水面下に沈んだままだ。いつシャイアー事業が黒字に転換し、収益に貢献するかが問われている。

 21年4~6月期は好決算にもかかわらず、株価は冴えない。シャイアー買収前の2018年初頭に6000円台を付けていた株価は買収発表後から急落。好決算を発表後も株価は4000円を割り込んだまま。今年の高値は3月22日につけた4365円で8月30日の終値は3665円だった。9月17日は3813円で終わった。株式市場は「シャイアーの巨額買収が成功だったのか」確信を持てずにいる。

 4~6月期決算発表の席上、コスタ・サルウコスCFO(最高財務責任者)は「海外では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、病院で診療を再開する動きが出ている」とした。受診抑制の“くびき”から脱け出せそうだ。国内では「輸入するモデルナ製ワクチンの販売拡大」に期待を滲ませた。

モデルナワクチンの異物混入で厚労省が口頭で指導

 そのモデルナワクチンが厳しい局面に立たされている。厚生労働省が国内の流通を担う武田薬品に対し、医薬品医療機器法(薬機法)に違反するとして、品質管理を徹底するよう口頭で指導した。口頭指導は9月3日付。厚労省が武田薬品、モデルナとオンラインで会議を開き、工場の管理監督などを徹底させるよう武田薬品に指示した。

 異物が確認された製品はいずれもスペインの工場で製造されていた。製造ラインで部品が不適切に設置されていたのが原因とみられる。武田薬品は「(口頭指導を)重く受け止めている。モデルナのスペイン委託生産企業と協力し、製造ラインを監督する」とした。

 武田は9月1日、異物はステンレスとの調査結果を明らかにしている。異物が見つかったものを含む計3ロット、162万回分が回収対象となったが、50万回分はすでに接種済みだという。

(文=編集部)

失業給付金が最大88万円も増える!退職するなら緊急事態宣言前が有利?コロナ特例の活用法

「勤務している会社の管理業務が他社に代わることになったため、先日、会社の担当者が解雇通知を持ってきました。整理解雇です。受け取りを拒否したら、しつこくつきまとわれました」

 こう話すのは、ビル管理会社に勤務するAさん(50代/仮名)。幸い、加入している労働組合が会社に団体交渉を申し入れてくれたため、当面の解雇は免れたものの、次の勤務先が提示される見込みは立っていないという。

 首都圏や近畿などに発令されている緊急事態宣言が、ようやく全面解除の見通しと報じられるなか、Aさんのように、もしもの事態も想定した準備が必要になりつつある人も少なくない。とりわけ、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食・サービス業やイベント業などの業種に従事している人にとっては、先行きの見えない不安と決別するタイミングかもしれない。

 そんなときに役立つのが、退職後の生活を支えてくれる雇用保険の知識だ。そこで今回は、退職した際に失業手当が増える、雇用保険の新型コロナウイルス感染症対策に関連した情報を紹介しておこう。

 ここへきて、ようやく緊急事態宣言の対象地域で感染者数が減少傾向に転じつつあるものの、新たな変異株の出現や、ワクチン接種者も安全とはいえない“ブレイクスルー感染”、ワクチン接種後の抗体減少など、不安材料が次々とクローズアップされてきている。今後、冬にかけて再度感染者が激増し、第6波、第7波が到来すれば、緊急事態宣言が再度発出されることも想定しなければならないだろう。

 そこで検討したいのが、退職のタイミングである。今後、退職するとしたら、緊急事態宣言が出る前がいいのか、それとも出た後がいいのか、さらに宣言期間中の場合は、それが明けるのを待ったほうがいのか――。結論からいえば、宣言が出る前に退職するケースが、もっとも有利である。

失業手当が60日分延長される

 下の図を見てほしい。昨年6月に施行された雇用保険臨時特例法によって、新型コロナ感染症に関連して退職した人には、原則60日分の給付を延長(一部30日)してもらえるようになった。この特例の対象になれば、失業手当が日額5900円(平均月給30万円程度)の人ならば、トータル35万4000円も受け取れる計算だ。

 もちろん、誰でもこの特例の対象対象になるわけではない。いくつかの要件をクリアしていなければならないのだが、宣言期間中かどうかによっても扱いに大きな差が出てくることに注目したい。

 まず、宣言が出る前に退職し、転職活動中に宣言が出てしまった人のパターン。

 平時に退職したのに、失業中に緊急事態に突入してしまったのは不運と思いがちだが、意外にも、これがオトクになる。退職後に宣言が出てしまった人は、特になんの条件もなく、誰でも60日プラス給付が延長される特典が得られるのだ。宣言発令時点で、すでに退職していて雇用保険の受給資格がありさえすればOKだ。

 それと比べると、やや不利なのが、宣言後に退職したケース。こちらは誰でも特例適用とはいかず、解雇やリストラなど会社都合(特定受給資格者)か、契約更新を拒絶されるなどの限定された退職(特定理由離職者)に限って給付延長の特典が得られる。

 つまり、宣言期間中に自己都合で退職したりすると、理由によってはこの特典は受けられないのだ。

 では、宣言が明けてから退職すると、どうなるのだろうか。その場合、宣言期間中のように、単に会社都合というだけではコロナ延長は適用されなくなる。コロナ延長の特典が受けられる要件として、特定受給資格者(会社都合)と特定理由離職者(雇止め)の前に、以下のような文言が追加されている。

新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方>

 パワハラで退職しても、なかなか会社都合と認められないのに、まして「コロナの影響で退職」となると、さらにハードルが高いと思った人も多いだろう。しかし、必ずしもそうとも言えない。なぜならば、この要件には意外な抜け道が隠されているからだ。その点は、少しややこしいので、以下で詳しく解説しておこう。

自己都合での退社でも、会社都合とみなされるケースも

 これが雇用保険臨時特例法において、「新型コロナウイルスによる影響で退職した人を会社都合と認める要件」を、詳しく列挙したものである。ここから対象になる人の要素を抜き出してみると、以下のようになる。

(1)本人の職場で感染者が発生
(2)本人若しくは同居の家族が基礎疾患を有すること
(3)(本人若しくは同居の家族が)妊娠中であること
(4)(本人若しくは同居の家族が)高齢であること

 このどれかに該当する人が、それを理由に“感染防止や重症化防止”の観点から自己都合退職した”に該当すれば、宣言後に退職した人でも、給付延長特典が得られるわけだ。

 注目したいのは、この但し書きの末尾が“自己都合退職したこと”となっている点。つまり、退職理由は、自己都合のままでも構わない。「特例として、これに該当する人は会社都合と同じに扱うよ」としているわけである。

 4つの要件のうち一番わかりやすいのは、“職場で感染者発生”だろう。少し前まではレアケースだったが、今では少し大きな組織になると、社内で感染者が出ていることも珍しくなくなりつつある。

 感染者が出たことを、内外に発表したり通知していれば、その文書を添付すればよい。会社が非公表としている場合は、申立書に事業主の証明添付が必要となってくるものの、これはかなり柔軟に対応しているため、案ずるより生むがやすしかもしれない。

 都内のハローワークに運用実態を聞いてみると、「ご本人に、感染者が出たことについて一筆書いていただいて、それを基に判定します」とのこと。そのため、証明できるものが何もなくても、認められる可能性はおおいにある。勤務していた事業所に事実確認する通常の特定受給資格者(会社都合)の判定と比べれば、かなりハードルは低い。

 もっとも証明が容易なのは、(4)の“(本人若しくは同居の家族が)高齢であること”である。たとえば本人が20代でも、「高齢の家族と同居」していて、その家族に感染させるリスクが高いために会社を辞めたとなれば、それだけで会社都合と同じ扱いになるのである。

 その証明は、高齢の家族と同居していることを示す住民票の提出のみでよい。もちろん、退職後に高齢の家族と同居した人は対象外だが、退職前から高齢の家族と同居さえしていれば、誰でもこの要件を満たせる可能性は高いのである。しかも、この場合の「高齢」の定義は「60歳以上」であるため、この特例が適用される範囲は思った以上に広い。

勤務期間1年未満でも雇用保険が受けられる

 さて、このコロナの影響判定によって、会社都合と同じ扱いになった場合の特典は、前出の給付延長だけではない。

 大きなメリットを得るのは第一に、1年未満しか勤務しておらず雇用保険の受給資格がなかった人だ。もし、このコロナの影響判定で会社都合同等と認められれば、過去1年間に6カ月以上勤務していれば、晴れて退職後に雇用保険の受給資格を獲得することとなり、さらに宣言が発令された後に退職した際には、60日の給付延長というダブルメリットが得られる。

 そのほかの人も、自己都合なら本来は90日(1年以上加入)から最長でも150日(20年以上加入)しかもらえないところが、コロナ影響判定で会社都合扱いとなれば、ほとんどの人は給付日数が大幅に増えて、最長330日まで給付される。

 35歳で5年以上勤務している人ならば、自己都合退職は通常、90日分しか失業手当をもらえない。これがコロナ特例によって会社都合同等と認められれば、もらえる手当は180日分と倍増。失業手当日額5900円(在職時、額面月給30万円程度)で計算すると、トータルで53万円も違ってくる。前記のコロナ延長60日分35万円も含めると、増額分は88万円になる計算だ。

 それでいて、自己都合退職者に課せられる給付制限(現在は原則2カ月・昨年9月末までは3カ月)もなし。もちろん、早期に転職先が決まれば、失業手当のことなど忘れて新しい仕事に専念するべきだが、もし失業期間が長引いたときのこと考えて、1日でも長く失業手当がもらえるようにしておくことが大切である。ちなみに、早期に就職すると、残日数の最大7割にあたる再就職手当がもらえる特典もある。

退職のタイミングはじっくり検討を

 少しややこしくなったので、原則60日のコロナ延長特典について、改めて整理しておこう。

 まず、解雇やリストラなど会社都合で退職する予定の人は、できれば宣言期間中に退職するのがベター。何も考えなくても、通常の自己都合退職よりも手厚い給付が受けられるうえ、原則60日のコロナ延長特典のオマケがついてくる。

 次に、事情はさまざまだが、結果的に自己都合でしか退職できない人は、「感染者数が急増したため近く緊急事態宣言が出る見込み」と報道された段階で退職するのが賢明だ。退職後に宣言が発令されると、活発な求職活動が行えなくなることが考慮されて、自己都合で給付日数が少ない人でも60日のコロナ延長給付を受けられる。

 ただし、近く発令見込みと判断して退職してみたものの、予想が外れて宣言が発令されないまま給付期間が満了すると、延長されない可能性も覚悟しておかねばならない。逆に、近く宣言発令との予想は外れたものの、給付満了直前に宣言が発令された場合には、コロナ延長給付を受けられる。

 判断が難しいのは、これから退職しようと思っていたタイミングで宣言が解除になった場合である。宣言が明けたばかりでは、次の宣言がいつ出るとも予想しづらいため、ここは前述した「宣言解除後にコロナ延長が受けられる4要件」をクリアできないか、じっくりと検討してみるのが賢明だ。

 たとえば、社内で感染者が出た場合、それを理由とした退職であれば会社都合と同じ条件で給付を受けられる。

「悲観的に準備し、楽観的に行動する」のが危機管理の鉄則であることを、この機会にぜひ頭にたたき込んでいただきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

※当記事の内容は、2021年9月7日現在の東京労働局管内における取り扱いを基準にしている。コロナ禍における運用については、各安定所長の裁量によって決まる部分もあるため、地域によっては、この記述とは異なった判定が下される可能性もある。これから退職される方は、住所地の職業安定所に十分に確認されたうえで慎重に行動するようお薦めいしたい。

※離職票記載の退職理由に異議を申し立てた場合、安定所内で個別に審査が行われ、その決定事項(自己都合or会社都合の給付日数)は、受給手続き後に開催される受給説明会(それが省略された場合は初回認定日)で渡される「受給資格者証」に明記される。判定が覆ったかどうかは、そちらで確認してほしい。

失業給付金が最大88万円も増える!退職するなら緊急事態宣言前が有利?コロナ特例の活用法

「勤務している会社の管理業務が他社に代わることになったため、先日、会社の担当者が解雇通知を持ってきました。整理解雇です。受け取りを拒否したら、しつこくつきまとわれました」

 こう話すのは、ビル管理会社に勤務するAさん(50代/仮名)。幸い、加入している労働組合が会社に団体交渉を申し入れてくれたため、当面の解雇は免れたものの、次の勤務先が提示される見込みは立っていないという。

 首都圏や近畿などに発令されている緊急事態宣言が、ようやく全面解除の見通しと報じられるなか、Aさんのように、もしもの事態も想定した準備が必要になりつつある人も少なくない。とりわけ、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食・サービス業やイベント業などの業種に従事している人にとっては、先行きの見えない不安と決別するタイミングかもしれない。

 そんなときに役立つのが、退職後の生活を支えてくれる雇用保険の知識だ。そこで今回は、退職した際に失業手当が増える、雇用保険の新型コロナウイルス感染症対策に関連した情報を紹介しておこう。

 ここへきて、ようやく緊急事態宣言の対象地域で感染者数が減少傾向に転じつつあるものの、新たな変異株の出現や、ワクチン接種者も安全とはいえない“ブレイクスルー感染”、ワクチン接種後の抗体減少など、不安材料が次々とクローズアップされてきている。今後、冬にかけて再度感染者が激増し、第6波、第7波が到来すれば、緊急事態宣言が再度発出されることも想定しなければならないだろう。

 そこで検討したいのが、退職のタイミングである。今後、退職するとしたら、緊急事態宣言が出る前がいいのか、それとも出た後がいいのか、さらに宣言期間中の場合は、それが明けるのを待ったほうがいのか――。結論からいえば、宣言が出る前に退職するケースが、もっとも有利である。

失業手当が60日分延長される

 下の図を見てほしい。昨年6月に施行された雇用保険臨時特例法によって、新型コロナ感染症に関連して退職した人には、原則60日分の給付を延長(一部30日)してもらえるようになった。この特例の対象になれば、失業手当が日額5900円(平均月給30万円程度)の人ならば、トータル35万4000円も受け取れる計算だ。

 もちろん、誰でもこの特例の対象対象になるわけではない。いくつかの要件をクリアしていなければならないのだが、宣言期間中かどうかによっても扱いに大きな差が出てくることに注目したい。

 まず、宣言が出る前に退職し、転職活動中に宣言が出てしまった人のパターン。

 平時に退職したのに、失業中に緊急事態に突入してしまったのは不運と思いがちだが、意外にも、これがオトクになる。退職後に宣言が出てしまった人は、特になんの条件もなく、誰でも60日プラス給付が延長される特典が得られるのだ。宣言発令時点で、すでに退職していて雇用保険の受給資格がありさえすればOKだ。

 それと比べると、やや不利なのが、宣言後に退職したケース。こちらは誰でも特例適用とはいかず、解雇やリストラなど会社都合(特定受給資格者)か、契約更新を拒絶されるなどの限定された退職(特定理由離職者)に限って給付延長の特典が得られる。

 つまり、宣言期間中に自己都合で退職したりすると、理由によってはこの特典は受けられないのだ。

 では、宣言が明けてから退職すると、どうなるのだろうか。その場合、宣言期間中のように、単に会社都合というだけではコロナ延長は適用されなくなる。コロナ延長の特典が受けられる要件として、特定受給資格者(会社都合)と特定理由離職者(雇止め)の前に、以下のような文言が追加されている。

新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方>

 パワハラで退職しても、なかなか会社都合と認められないのに、まして「コロナの影響で退職」となると、さらにハードルが高いと思った人も多いだろう。しかし、必ずしもそうとも言えない。なぜならば、この要件には意外な抜け道が隠されているからだ。その点は、少しややこしいので、以下で詳しく解説しておこう。

自己都合での退社でも、会社都合とみなされるケースも

 これが雇用保険臨時特例法において、「新型コロナウイルスによる影響で退職した人を会社都合と認める要件」を、詳しく列挙したものである。ここから対象になる人の要素を抜き出してみると、以下のようになる。

(1)本人の職場で感染者が発生
(2)本人若しくは同居の家族が基礎疾患を有すること
(3)(本人若しくは同居の家族が)妊娠中であること
(4)(本人若しくは同居の家族が)高齢であること

 このどれかに該当する人が、それを理由に“感染防止や重症化防止”の観点から自己都合退職した”に該当すれば、宣言後に退職した人でも、給付延長特典が得られるわけだ。

 注目したいのは、この但し書きの末尾が“自己都合退職したこと”となっている点。つまり、退職理由は、自己都合のままでも構わない。「特例として、これに該当する人は会社都合と同じに扱うよ」としているわけである。

 4つの要件のうち一番わかりやすいのは、“職場で感染者発生”だろう。少し前まではレアケースだったが、今では少し大きな組織になると、社内で感染者が出ていることも珍しくなくなりつつある。

 感染者が出たことを、内外に発表したり通知していれば、その文書を添付すればよい。会社が非公表としている場合は、申立書に事業主の証明添付が必要となってくるものの、これはかなり柔軟に対応しているため、案ずるより生むがやすしかもしれない。

 都内のハローワークに運用実態を聞いてみると、「ご本人に、感染者が出たことについて一筆書いていただいて、それを基に判定します」とのこと。そのため、証明できるものが何もなくても、認められる可能性はおおいにある。勤務していた事業所に事実確認する通常の特定受給資格者(会社都合)の判定と比べれば、かなりハードルは低い。

 もっとも証明が容易なのは、(4)の“(本人若しくは同居の家族が)高齢であること”である。たとえば本人が20代でも、「高齢の家族と同居」していて、その家族に感染させるリスクが高いために会社を辞めたとなれば、それだけで会社都合と同じ扱いになるのである。

 その証明は、高齢の家族と同居していることを示す住民票の提出のみでよい。もちろん、退職後に高齢の家族と同居した人は対象外だが、退職前から高齢の家族と同居さえしていれば、誰でもこの要件を満たせる可能性は高いのである。しかも、この場合の「高齢」の定義は「60歳以上」であるため、この特例が適用される範囲は思った以上に広い。

勤務期間1年未満でも雇用保険が受けられる

 さて、このコロナの影響判定によって、会社都合と同じ扱いになった場合の特典は、前出の給付延長だけではない。

 大きなメリットを得るのは第一に、1年未満しか勤務しておらず雇用保険の受給資格がなかった人だ。もし、このコロナの影響判定で会社都合同等と認められれば、過去1年間に6カ月以上勤務していれば、晴れて退職後に雇用保険の受給資格を獲得することとなり、さらに宣言が発令された後に退職した際には、60日の給付延長というダブルメリットが得られる。

 そのほかの人も、自己都合なら本来は90日(1年以上加入)から最長でも150日(20年以上加入)しかもらえないところが、コロナ影響判定で会社都合扱いとなれば、ほとんどの人は給付日数が大幅に増えて、最長330日まで給付される。

 35歳で5年以上勤務している人ならば、自己都合退職は通常、90日分しか失業手当をもらえない。これがコロナ特例によって会社都合同等と認められれば、もらえる手当は180日分と倍増。失業手当日額5900円(在職時、額面月給30万円程度)で計算すると、トータルで53万円も違ってくる。前記のコロナ延長60日分35万円も含めると、増額分は88万円になる計算だ。

 それでいて、自己都合退職者に課せられる給付制限(現在は原則2カ月・昨年9月末までは3カ月)もなし。もちろん、早期に転職先が決まれば、失業手当のことなど忘れて新しい仕事に専念するべきだが、もし失業期間が長引いたときのこと考えて、1日でも長く失業手当がもらえるようにしておくことが大切である。ちなみに、早期に就職すると、残日数の最大7割にあたる再就職手当がもらえる特典もある。

退職のタイミングはじっくり検討を

 少しややこしくなったので、原則60日のコロナ延長特典について、改めて整理しておこう。

 まず、解雇やリストラなど会社都合で退職する予定の人は、できれば宣言期間中に退職するのがベター。何も考えなくても、通常の自己都合退職よりも手厚い給付が受けられるうえ、原則60日のコロナ延長特典のオマケがついてくる。

 次に、事情はさまざまだが、結果的に自己都合でしか退職できない人は、「感染者数が急増したため近く緊急事態宣言が出る見込み」と報道された段階で退職するのが賢明だ。退職後に宣言が発令されると、活発な求職活動が行えなくなることが考慮されて、自己都合で給付日数が少ない人でも60日のコロナ延長給付を受けられる。

 ただし、近く発令見込みと判断して退職してみたものの、予想が外れて宣言が発令されないまま給付期間が満了すると、延長されない可能性も覚悟しておかねばならない。逆に、近く宣言発令との予想は外れたものの、給付満了直前に宣言が発令された場合には、コロナ延長給付を受けられる。

 判断が難しいのは、これから退職しようと思っていたタイミングで宣言が解除になった場合である。宣言が明けたばかりでは、次の宣言がいつ出るとも予想しづらいため、ここは前述した「宣言解除後にコロナ延長が受けられる4要件」をクリアできないか、じっくりと検討してみるのが賢明だ。

 たとえば、社内で感染者が出た場合、それを理由とした退職であれば会社都合と同じ条件で給付を受けられる。

「悲観的に準備し、楽観的に行動する」のが危機管理の鉄則であることを、この機会にぜひ頭にたたき込んでいただきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

※当記事の内容は、2021年9月7日現在の東京労働局管内における取り扱いを基準にしている。コロナ禍における運用については、各安定所長の裁量によって決まる部分もあるため、地域によっては、この記述とは異なった判定が下される可能性もある。これから退職される方は、住所地の職業安定所に十分に確認されたうえで慎重に行動するようお薦めいしたい。

※離職票記載の退職理由に異議を申し立てた場合、安定所内で個別に審査が行われ、その決定事項(自己都合or会社都合の給付日数)は、受給手続き後に開催される受給説明会(それが省略された場合は初回認定日)で渡される「受給資格者証」に明記される。判定が覆ったかどうかは、そちらで確認してほしい。

工藤会トップに死刑判決は「永山基準」に照らしても厳しすぎる…宮崎学が斬る“国策捜査”

 8月24日、福岡地裁は五代目工藤會の野村悟総裁に求刑通りの死刑、田上文雄会長に無期懲役の判決を言い渡した。足立勉裁判長は、審理された4つの事件について野村総裁らの関与を認定、「組織的に市民を襲撃した犯行の動機、経緯に酌むべき余地は皆無」と判じた。判決を受けて、野村総裁と田上会長は翌25日に控訴している。

 指定暴力団のトップに死刑判決が下されたのは、史上初の事態だ。以前から工藤會関係者の冤罪事件などを取材し、四代目工藤會の溝下秀男総裁(故人)との共著もある、作家の宮崎学さんに話を聞いた。

警察庁の意向で既定路線だった死刑判決

――史上初の指定暴力団トップに対する死刑判決が出ました。今回審理されたのは、元漁協組合長射殺(1998年)、元福岡県警の警部銃撃(2012年)、看護師刺傷(2013年)、歯科医師刺傷(2014年)の4つの事件です。いずれの事件も野村総裁と田上会長の事件への関与を示す直接証拠はなく、死刑判決には疑問の声もあるようです。判決をどう見ていますか?

宮崎学さん(以下、宮崎) 私としては想定内の判決でしたが、弁護団や工藤會関係者はショックを受けていると聞いています。しかし、この裁判はもともと「国策捜査」であり、最高幹部の死刑が前提だったことは明らかです。本来はすべての捜査が「国策」といえますが、今回の裁判は警察庁と検察庁、そして裁判所が一体となって工藤會という北九州の組織を「最凶」と断定し、トップを「死刑」にすることに血道をあげてきました。

 以前から指摘してきた通り、野村総裁の死刑判決は福岡県警ではなく警察庁の意向であり、最初から決まっていたことです。

 2015年1月に就任した金高雅仁警察庁長官が、その年の6月の会見で「組織(=工藤會)のトップを死刑や無期懲役にもっていき、二度と組に戻れない状態をつくり、恐怖による内部支配を崩していこうという戦略。徹底した捜査を遂げるということで臨んでいる」と宣言しました。このときに税務関係の逮捕にも言及していて、実際にその通りになりました。野村総裁は「上納金」の脱税でも有罪判決を受けています。

 弁護団は、これまでも多くの事件で無罪を勝ち取ってきた精鋭集団であり、今回も最高の弁護をしたと思いますが、弁護団の問題ではありません。はじめから「死刑」と決められていたのですから。

元警察官銃撃で警察庁幹部が激怒か

――なぜ福岡県警ではなく、警察庁主導の捜査だったのでしょう?

宮崎 理由はいくつか考えられますが、今回審理されている、2012年の工藤會関係者による元警察官銃撃事件が警察庁幹部を激怒させたと聞いています。警察の「虎の尾」を踏んだということですね。

 この事件について、田上会長は法廷で「退職していても元警察官を襲撃すれば、警察は工藤会を一丸となってたたくと思います。そういうことがわかっていてするほど、私は愚かでもないし、バカでもありません」と話したことが報じられています。これは一定の説得力があると思いますが、結果として裁判所はスルーしています。

 また、警察庁が「福岡県警は『暴力団』を取り締まれない」と見限ったこともあると思います。福岡県内には5団体もの指定暴力団組織があります。東京都内は4団体、大阪は2団体ですから、どれだけ多いかわかります。福岡県警は、それらを放置するどころか、癒着していたのではないでしょうか?

 今回の裁判で審理された元警察官の銃撃事件も、当初はむしろ被害者と工藤會の「ただならぬ関係」が指摘されていたほどです。ただし、これはどこの警察にもあることです。2012年には、工藤會のほか別の福岡県内の組織からもカネを受け取っていた疑惑のある警察官が逮捕されていますし、2020年3月には、警視庁のマル暴警部補とヤクザの関係を「FRIDAY」(講談社)が報じています。

 また、今年の9月10日には、暴力団員に捜査情報を漏らしていたとして、神奈川県警察本部が警部補を懲戒免職の処分にしたことも明らかになっています。報道によると、この神奈川県警の元警部補は「暴力団関係者を協力者にしたかった」と話しており、地方公務員法違反の疑いで捜査されているようですが、このほか都内のクラブで総額数十万円の接待を受けており、贈賄の疑いもあるようです。情報を漏洩したヤクザとは「先輩の元警察官からの紹介で知り合った」と認めているそうで、明らかに組織的な問題です。この元警部補の名前はなぜか報道されていませんが、だいたいどの警察も同様と考えていいでしょう。

 また、背景にはアメリカ政府の圧力もありますね。一貫してマフィア撲滅に力を入れてきたアメリカ政府は、工藤會や山口組など日本のヤクザへの制裁も続けています。もっとも、アメリカの狙いはマフィアの潤沢な資金の没収ですが、これに対して日本は1992年の暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の施行以来、30年近くを経ても暴力団を壊滅させていません。アメリカからすれば、「どうなっているんだ?」ということでしょう。

 とはいえ、欧米もマフィアの対策は講じながら殲滅できてはいないのですが、日本はアメリカの要請に応えなくてはならず、工藤會のような「山口組より規模は小さくても存在感のある組織」をターゲットにしたのだと思います。

「永山基準」に照らしても死刑は厳しすぎる

――審理された4つの事件のうち、元漁協組合長の事件は以前に裁判が終わっていますが、改めての捜査となりました。

宮崎 はい。普段は何か事件があれば「また工藤會か!」というわりには、ずいぶん古い事件を出してきたと、弁護団も驚いたと聞いています。20年以上も前の事件ですし、この件で田上会長(逮捕の2002年当時は工藤會傘下・田中組若頭)は逮捕されたのに不起訴になっています。また、裁判で無期懲役を求刑された組員のうち、1人は無罪が確定しています。

 一審の有罪率が平均99%を超える日本で、しかも工藤會の関係者であっても不起訴や無罪とするしかなかった裁判をやり直すというのは、異例中の異例です。

 しかし、今回、裁判所は強引に死刑を導きました。もっと問題なのは、メディアは批判するどころか「画期的」「よくぞ工藤會をやっつけた」と大歓迎したことです。たとえば、西日本新聞は(不起訴となっていた田上会長を再び逮捕、起訴するという)「『禁じ手』も使った。異例の捜査を重ねた壊滅作戦が、トップの極刑判決を導いた」と評価しました。

 多くの人が「禁じ手」をよしとしているんです。法律の専門家からは、古い事件を審理したり、直接証拠がないのに死刑を言い渡したりすることについて、疑問の声も出ているようです。しかし、議論にならないのは、「暴力団をかばうのか」と叩かれたくないからでしょう。

――そんな古い事件まで引っぱり出したのは、なぜでしょうか?

宮崎 死亡した被害者がいないと、死刑を求刑できないからです。ただし、4つの事件で亡くなっているのは元漁協組合長だけですから、これは、いわゆる「永山基準」に照らしても、死刑という結論は厳しすぎますね。

 永山基準とは、1968年に4人を射殺した永山則夫元死刑囚(事件当時19歳、1997年に死刑執行)の裁判で最高裁が示した死刑の適用基準です。現在も死刑判決の基準とされていますが、これには具体的に「○人を殺せば死刑」とは書かれていません。動機や殺害の方法、被害者の数など9項目を総合的に考慮することが求められています。

 過去の事件では、亡くなった被害者が2人だと死刑の可能性が大きくなり、3人以上だとほぼ間違いなく死刑という傾向にあります。これらを見ても、やはり被害者が1人で死刑というのは、厳しい判決であるといわざるを得ません。

(構成=編集部)

※後編へ続く

●宮崎学(みやざき・まなぶ)
1945年京都生まれ。ヤクザの息子として生まれ、学生運動に身を投じた半生を綴った『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた五十年』(1996年)のほかヤクザや社会の課題をテーマに執筆を続ける。最新刊は『突破者の遺言』(ケイアンドケイプレス、2021年)

工藤会トップに死刑判決は「永山基準」に照らしても厳しすぎる…宮崎学が斬る“国策捜査”

 8月24日、福岡地裁は五代目工藤會の野村悟総裁に求刑通りの死刑、田上文雄会長に無期懲役の判決を言い渡した。足立勉裁判長は、審理された4つの事件について野村総裁らの関与を認定、「組織的に市民を襲撃した犯行の動機、経緯に酌むべき余地は皆無」と判じた。判決を受けて、野村総裁と田上会長は翌25日に控訴している。

 指定暴力団のトップに死刑判決が下されたのは、史上初の事態だ。以前から工藤會関係者の冤罪事件などを取材し、四代目工藤會の溝下秀男総裁(故人)との共著もある、作家の宮崎学さんに話を聞いた。

警察庁の意向で既定路線だった死刑判決

――史上初の指定暴力団トップに対する死刑判決が出ました。今回審理されたのは、元漁協組合長射殺(1998年)、元福岡県警の警部銃撃(2012年)、看護師刺傷(2013年)、歯科医師刺傷(2014年)の4つの事件です。いずれの事件も野村総裁と田上会長の事件への関与を示す直接証拠はなく、死刑判決には疑問の声もあるようです。判決をどう見ていますか?

宮崎学さん(以下、宮崎) 私としては想定内の判決でしたが、弁護団や工藤會関係者はショックを受けていると聞いています。しかし、この裁判はもともと「国策捜査」であり、最高幹部の死刑が前提だったことは明らかです。本来はすべての捜査が「国策」といえますが、今回の裁判は警察庁と検察庁、そして裁判所が一体となって工藤會という北九州の組織を「最凶」と断定し、トップを「死刑」にすることに血道をあげてきました。

 以前から指摘してきた通り、野村総裁の死刑判決は福岡県警ではなく警察庁の意向であり、最初から決まっていたことです。

 2015年1月に就任した金高雅仁警察庁長官が、その年の6月の会見で「組織(=工藤會)のトップを死刑や無期懲役にもっていき、二度と組に戻れない状態をつくり、恐怖による内部支配を崩していこうという戦略。徹底した捜査を遂げるということで臨んでいる」と宣言しました。このときに税務関係の逮捕にも言及していて、実際にその通りになりました。野村総裁は「上納金」の脱税でも有罪判決を受けています。

 弁護団は、これまでも多くの事件で無罪を勝ち取ってきた精鋭集団であり、今回も最高の弁護をしたと思いますが、弁護団の問題ではありません。はじめから「死刑」と決められていたのですから。

元警察官銃撃で警察庁幹部が激怒か

――なぜ福岡県警ではなく、警察庁主導の捜査だったのでしょう?

宮崎 理由はいくつか考えられますが、今回審理されている、2012年の工藤會関係者による元警察官銃撃事件が警察庁幹部を激怒させたと聞いています。警察の「虎の尾」を踏んだということですね。

 この事件について、田上会長は法廷で「退職していても元警察官を襲撃すれば、警察は工藤会を一丸となってたたくと思います。そういうことがわかっていてするほど、私は愚かでもないし、バカでもありません」と話したことが報じられています。これは一定の説得力があると思いますが、結果として裁判所はスルーしています。

 また、警察庁が「福岡県警は『暴力団』を取り締まれない」と見限ったこともあると思います。福岡県内には5団体もの指定暴力団組織があります。東京都内は4団体、大阪は2団体ですから、どれだけ多いかわかります。福岡県警は、それらを放置するどころか、癒着していたのではないでしょうか?

 今回の裁判で審理された元警察官の銃撃事件も、当初はむしろ被害者と工藤會の「ただならぬ関係」が指摘されていたほどです。ただし、これはどこの警察にもあることです。2012年には、工藤會のほか別の福岡県内の組織からもカネを受け取っていた疑惑のある警察官が逮捕されていますし、2020年3月には、警視庁のマル暴警部補とヤクザの関係を「FRIDAY」(講談社)が報じています。

 また、今年の9月10日には、暴力団員に捜査情報を漏らしていたとして、神奈川県警察本部が警部補を懲戒免職の処分にしたことも明らかになっています。報道によると、この神奈川県警の元警部補は「暴力団関係者を協力者にしたかった」と話しており、地方公務員法違反の疑いで捜査されているようですが、このほか都内のクラブで総額数十万円の接待を受けており、贈賄の疑いもあるようです。情報を漏洩したヤクザとは「先輩の元警察官からの紹介で知り合った」と認めているそうで、明らかに組織的な問題です。この元警部補の名前はなぜか報道されていませんが、だいたいどの警察も同様と考えていいでしょう。

 また、背景にはアメリカ政府の圧力もありますね。一貫してマフィア撲滅に力を入れてきたアメリカ政府は、工藤會や山口組など日本のヤクザへの制裁も続けています。もっとも、アメリカの狙いはマフィアの潤沢な資金の没収ですが、これに対して日本は1992年の暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の施行以来、30年近くを経ても暴力団を壊滅させていません。アメリカからすれば、「どうなっているんだ?」ということでしょう。

 とはいえ、欧米もマフィアの対策は講じながら殲滅できてはいないのですが、日本はアメリカの要請に応えなくてはならず、工藤會のような「山口組より規模は小さくても存在感のある組織」をターゲットにしたのだと思います。

「永山基準」に照らしても死刑は厳しすぎる

――審理された4つの事件のうち、元漁協組合長の事件は以前に裁判が終わっていますが、改めての捜査となりました。

宮崎 はい。普段は何か事件があれば「また工藤會か!」というわりには、ずいぶん古い事件を出してきたと、弁護団も驚いたと聞いています。20年以上も前の事件ですし、この件で田上会長(逮捕の2002年当時は工藤會傘下・田中組若頭)は逮捕されたのに不起訴になっています。また、裁判で無期懲役を求刑された組員のうち、1人は無罪が確定しています。

 一審の有罪率が平均99%を超える日本で、しかも工藤會の関係者であっても不起訴や無罪とするしかなかった裁判をやり直すというのは、異例中の異例です。

 しかし、今回、裁判所は強引に死刑を導きました。もっと問題なのは、メディアは批判するどころか「画期的」「よくぞ工藤會をやっつけた」と大歓迎したことです。たとえば、西日本新聞は(不起訴となっていた田上会長を再び逮捕、起訴するという)「『禁じ手』も使った。異例の捜査を重ねた壊滅作戦が、トップの極刑判決を導いた」と評価しました。

 多くの人が「禁じ手」をよしとしているんです。法律の専門家からは、古い事件を審理したり、直接証拠がないのに死刑を言い渡したりすることについて、疑問の声も出ているようです。しかし、議論にならないのは、「暴力団をかばうのか」と叩かれたくないからでしょう。

――そんな古い事件まで引っぱり出したのは、なぜでしょうか?

宮崎 死亡した被害者がいないと、死刑を求刑できないからです。ただし、4つの事件で亡くなっているのは元漁協組合長だけですから、これは、いわゆる「永山基準」に照らしても、死刑という結論は厳しすぎますね。

 永山基準とは、1968年に4人を射殺した永山則夫元死刑囚(事件当時19歳、1997年に死刑執行)の裁判で最高裁が示した死刑の適用基準です。現在も死刑判決の基準とされていますが、これには具体的に「○人を殺せば死刑」とは書かれていません。動機や殺害の方法、被害者の数など9項目を総合的に考慮することが求められています。

 過去の事件では、亡くなった被害者が2人だと死刑の可能性が大きくなり、3人以上だとほぼ間違いなく死刑という傾向にあります。これらを見ても、やはり被害者が1人で死刑というのは、厳しい判決であるといわざるを得ません。

(構成=編集部)

※後編へ続く

●宮崎学(みやざき・まなぶ)
1945年京都生まれ。ヤクザの息子として生まれ、学生運動に身を投じた半生を綴った『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた五十年』(1996年)のほかヤクザや社会の課題をテーマに執筆を続ける。最新刊は『突破者の遺言』(ケイアンドケイプレス、2021年)

パチスロ大手「ユニバーサル」の主張を全面的に認める判決が確定

 1G純増約5.5枚、最大継続率90%のJAC・AT「ヴォイドドライブ」を装備する6号機『SLOTタブー・タトゥー』。そんな爽快感溢れるマシンの発売を目前に控えるユニバーサルエンターテインメントは先日、同社の元取締役会長である岡田和夫氏との裁判において、岡田氏の控訴棄却の判決が言い渡された旨を、公式HP上で公表した。

 同社は、2017年11月27日付けで岡田氏に、3件の不正行為を行ったとして損害賠償請求訴訟を提起。2020年2月13日、同社の請求が全面的に認められ、岡田氏に対して「2,129万3,712円及びこれに対する平成29年12月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払い(仮執行)」と「訴訟費用の負担」が言い渡された。

 この判決に岡田氏は不服として控訴したものの、東京裁判所より2020年9月16日、同社の主張を全面的に認めると共に、岡田氏の主張は客観的な事実に反するものであって採用することができない等として、岡田氏の控訴を棄却する判決が言い渡された。

 これについても不服とした岡田氏は最高裁判所に上告及び上告受理申し立てを行ったが、最高裁判所は2021年9月15日、同社の主張を全面的に認めて岡田氏の控訴を棄却。本件を上告審として受理しない決定を下した。これにより、同社の主張を全面的に認める内容の判決が確定した。

 3件の不正行為とは、岡田氏が2015年2月から3月にかけて、岡田氏及びその親族が持分を保有するOkada Holdings Limited(OHL)の第三者に対する貸付金債権の回収や、美術品の代金の支払いという個人的な用途に充てる資金を得るため、同社元取締役管理部長の下、同社子会社Tiger Resort Asia Limited(TRA)から、第三者と密接な関係にある外国法人に対して、無担保、無利息で1億3,500万香港ドル(当時の為替ルートで約20億円)の貸し付けを行わせた件。

 2015年5月11日、事故の個人的な利益を図る目的でTRAの経理担当者に指示をし、1,600万香港ドル(同約2億円)の小切手を作成させ、これに署名して振り出した件。

 TRAの完全子会社Unversal Entertainment Korea co.,ltd(UE韓国)が、韓国のカジノリゾートプロジェクトの土地購入に交渉していたところ、土地購入の事業主体をUE韓国からOHLの完全子会社Okada Holdings Korea co.,ltd(OHL韓国)に変更。その上で、OHL韓国が韓国の土地を購入するための頭金を捻出するため、UE韓国の預金を担保として提供させ、OHLに8.000万米国ドルを借り入れた。

 さらに、その利息及び手数料に相当する17万3562.23米国ドルを実態のない経営コンサルタント料等の名目でOHLからUE韓国に請求し、UE韓国からOHLに同額を支払わせた件だそうだ。

 なお、岡田氏が、特別調査委員会が本件不正行為を指摘する内容の調査報告書を作成して同社に提出した行為及び同社が匿名処理を施した調査報告書を開示した行為等について、名誉を棄損されたとして、同社らを被告として提起していた損害賠償請求訴訟に関しても、東京高等裁判所は9月15日、岡田氏の控訴を棄却する判決を言い渡した。

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