ドコモ550円プラン、期待してたのは「エコノミーahamo」とネットから批判続出!

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10月7日にドコモが発表した低廉な料金設定の「エコノミーMVNO」。月額550円(税込)から利用可能なことが話題となったが、一方でキャリアのドコモでなく格安スマホの「OCN モバイル ONE」での契約であることなどが「がっかり」と報じられることも少なくなかった。さらにプラン内容の認知が世間に広まってくるとともにネット上からもエコノミーMVNOに対する反応が見られるようになってきている。しかもその反応がことごとくエコノミーMVNOへのネガティブな意見なのだ。

今回は、満を持してのドコモの一手がユーザーから総スカンの理由について考えていきたい。

低廉プラン競争、後発のドコモの「エコノミーMVNO」は空振りか

 2021年3月頃に相次いでスタートした、スマートフォンキャリアによる“新プラン”。唯一使用データ量によって料金の変動する“従量制プラン”を選択した楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT VI」もあったが、ドコモ・KDDI・ソフトバンクの3社はそれぞれ「ahamo」「povo」「LINEMO」を発表。中でも他社に先駆けて安価でシンプルな1プランという方向性を打ち出したドコモのahamoが圧倒的な人気を誇っていた。

 しかし新プランの開始当初はahamoの一人勝ちとも言える状況だったものの、ソフトバンクはLINEMOに3GBの「ミニプラン」を投入。KDDIも「povo2.0」へと進化し、ベースプラン0円で自由にデータを追加できる「トッピング」方式に舵を切った。

 これにより低廉プラン競争に出遅れたドコモの動向に周囲は注目していたのだが、その答えが「ドコモ経由でグループ企業の格安スマホのプランに申し込んだら特典が付きます」なのだ。期待していたユーザーからすれば文句のひとつも言いたくなるところだろう。

 ネット上でも様々な反応が飛び出している。「おお!dポイント連携は嬉しい」と、格安スマホを使用しながらドコモのdポイントと連携できることを喜ぶユーザーも見られた。しかし全体としては落胆した意見が多数派で、「期待してたのはそれじゃなくてエコノミーahamo」「格安ブランドじゃなくて、君たちの根本の部分を安くして欲しいんだよ」「ドコモから切り離した新しい会社の商品が安くてもそれは値下げとは言わなくね?」など、あくまでドコモのサ…

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パチンコ「100連」達成の人気シリーズ新作は「上乗せ特化型」で登場!アノ爆連チャンに続き「MAX3000発×高ループ」の衝撃!!

ミリオンゴッド』、『バジリスク甲賀忍法帖』、『ハナビ』など、数々のパチスロ人気タイトルを生み出してきた大手ユニバーサルエンターテインメントは今年も大きな存在感を放っている印象だ。

 下半期においては『SLOT劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編]始まりの物語/[後編]永遠の物語』をはじめ、『SLOTタブー・タトゥー』といった話題作を発売。どちらも魅力に満ちたスペックで好反響を得ている。

 そんな同社はパチンコ分野でも注目タイトルを発表。新台『Pデビルメイクライ4 クレイジーバトル』(メーシー製)のPVおよび製品サイトが公開され、早くも期待の声が続出中だ。

 人気アクションゲーム『デビルメイクライ4』とのタイアップ機。気になるスペックは、大当り確率1/319で1種2種混合のミドルタイプとなっている。

「上乗せ特化型ぱちんこ」というキャッチフレーズで紹介されている通り、PVでは次々と押し寄せる上乗せの様子を確認。上乗せ特化BONUS「CRAZY BOUNTY」中は、ラウンド上乗せが連打し「MAX3000発」の獲得が可能となっているようだ。

 更に、この「CRAZY BOUNTY」は約72%でループし、BONUS自体をストック上乗せする可能性もある模様。スタイリッシュかつ強烈な上乗せが、パチンコの新たな楽しみ方を提供してくれそうである。その仕上がりに期待する声が続出中だ。

 前作の『CRデビルメイクライ4』は、「CRAZY SPEC」というキャッチコピーに相応しい「確変割合95%×リミット11回」の時短突破型スペックとして登場。RUSHとなる「JACKPOT DRIVE」は「平均30秒に1回アタッカー解放」というスピード感と強力な連チャン性能を武器に活躍していた。

 リミットとなる大当り11回後は、時短100回が付与される。ここで引き戻すことによって100連クラスの大連チャンが炸裂することも少なくなかった印象だ。ライトミドルの枠組みを超えた類まれな出玉性能は、多くのユーザーへ歓喜を与えてきたことだろう。

 そんな前作に続く最新作『Pデビルメイクライ4 クレイジーバトル』の仕上がりにも期待である。スペックの詳細に関しては、続報が発表されしだい改めて紹介させていただく。

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甘デジ「50%以上が最大出玉」の高ループRUSH! 遊びやすくも最強の虎は健在!!

甘デジ「50%以上が最大出玉」の高ループRUSH! 遊びやすくも最強の虎は健在!!

 梶原一騎の人気プロレスマンガを原作として一世を風靡したアニメ「タイガーマスク」。その続編として制作された「タイガーマスクW」がモチーフとなるパチンコ機の甘デジタイプ『PフィーバータイガーマスクW Light ver.』が導入された。

 先発機となるミドルタイプのゲーム性を踏襲しながら、遊びやすさが発揮されている本機。大当り確率1/99.9で初当りを獲得した際には、その30%でRUSHに突入するが、この抽選に漏れた場合でもRUSH突入のチャンスが残されている。

 それが「タイガーチャレンジ」と呼ばれるRUSH挑戦モードで、時短1回+残保留2個の計3回の抽選が受けられる。

 右打ちで溜めた保留はそれぞれ「1stチャレンジ・タイガーマスク入場」「2ndチャレンジ・vsミラクルズ」「3rdチャレンジ・リベンジチャンス」の演出によって当否を告知。保留チャージ中のオーバー入賞でアイコンの色が変化することもある。

 ここで大当りすれば問答無用でRUSH突入。ただ、突破率は約31%と低く設定されているので厳しい勝負にはなるが、初当り直撃とトータルでの突破率は約51%なので、他機種よりRUSHに入りにくいということはない。

 本機には遊タイムも搭載されており、時短16回転+残保留2個で構成されその大当り期待度は約88.9%と破格の確率である。ただ、突入が約束されるものではないので、遊タイムに過度な期待は禁物。ちなみに、発動条件は大当り間で250回転消化となっている。

 連チャンモードとなるRUSHは、時短8回転+残保留2個の「タイガーラッシュ」と時短16回転+残保留2個の「タイガーラッシュW」の2つが存在。前者が継続率約70.4%、後者が継続率約89%となっており、トータルのループ率は約75%と高い連チャン性能を保持している。

 右打ち中における2つのラッシュの振り分けは公開されていないが、ヘソ抽選時は直撃30%のうち、25%が「タイガーラッシュ」で残りの5%が「タイガーラッシュW」となっているので、同様の比率になっているのではないかと想像できる。体感的にもそのくらいである。

 ところで、「タイガーラッシュW」が濃厚となる条件が2つ存在する。まずは「リングバトル」成功時。液晶の下部に搭載されたリング役物にて行われる玉を使った演出で左側の「VICTORY」と書かれた赤穴に入賞すれば上位RUSH突入が約束される。

 そしてもう1つが7図柄揃い。初当り時は7図柄当りなら「タイガーラッシュW」でしかも9ラウンドが濃厚となるので、最大出玉もセットで獲得できるのかもしれない。

 その大当りラウンドは「実質2ラウンドor9ラウンド」の2種類。こちらは前者が49%、後者は51%(実質8ラウンド含む)と振り分けは明確となっている。

 トータル継続率が約75%で最大出玉比率が50%を超える出玉力は甘デジでもトップクラス。RUSH突入でまとまった出玉に期待できる破壊力が、魅力のマシンである。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

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JRA「実は……間違えて」馬名申請!? “珍名馬”アイキャン同意の誕生に「グランアレグリア2世」より注目集まった?

 10日(日)、東京競馬場で行われた4R・2歳新馬(芝1600m)は、C.ルメール騎手の1番人気ラスールが勝利。G2を3勝したシャケトラの半妹にあたるキタサンブラック産駒の走りにルメール騎手からは「新しいグランアレグリア」という最高の誉め言葉も出た。

 一方、このレースで2着に入ったのは関西から遠征していたアイキャンドウイッ(牡2歳、栗東・池江泰寿厩舎)。こちらも父がディープインパクト、近親には16年オークス馬のシンハライトがいるように、勝ち馬に負けず劣らずの良血馬だ。

 レースでは最内枠から好スタートを切ったアイキャンドウイッがハナを奪うと、先頭のまま東京の長い直線へ。残り1ハロンまでしぶとく粘っていたが、最後は力尽きて、3馬身半差で突き抜けた勝ち馬の軍門に下った。

 鞍上を務めた横山武史騎手は「スタートが速かったので、出たなりに行きました」と逃げの手を打った理由を説明。「ただ直線は内にモタれて追えませんでした。大きな課題だと思います」と今後に向けての改善点も挙げていた。

 勝ち馬には完敗したアイキャンドウイッだが、3着のロジレットには2馬身差をつけており、勝ち上がりは時間の問題に思える好走。母系には2歳戦から活躍した馬も多く、今後が楽しみな存在だ。

 このレースを見たファンの中には、アイキャンドウイッの馬名が気になった人も多かったのではないだろうか。その由来は、「私ならできる」なので、英語で表記すればすなわち「I can do it」だと思われる。

 しかし、馬名は9文字までという縛りがあるため、「イット」の「ト」が足りない。ただ、これはネイティブの発音に従えば、むしろ正解に近いといえるだろう。むしろ気になるのは「ドウイッ」の「ウ」の方だ。「do」なので、「ドゥイッ」がベターに思えるが……。

「以前から本馬の馬名についてSNSなどでは話題になっていたようですね。確かに『ドウイッ』は『ドゥイッ』じゃないのかと指摘する声は以前からありました。さらに注目を集めたのがレース実況を担当したラジオNIKKEIの山本直也アナの発音です。

アイキャンドウイッは最後まで上位争いを演じたため、当然、レース中にその馬名は連呼されることに……。山本直也アナは馬名表記に忠実な『アイキャンドウイッ』と発音していましたが、これにはTwitter上でも『アイキャン同意なのか!』とツッコミの声が多数飛び交っていました(笑)。

ラジオ日本の中継を聞いていたのですが、実況を担当した堀江政史アナは馬名の由来に従って『アイキャンドゥイッ』と発音していたので、今後どっちの発音が採用されるのか、アナウンサーによってバラバラになるのか、注目したいですね」(競馬誌ライター)

 実は今回の「ドウイッ」問題について、オーナーの吉澤ステーブルはTwitterで次のように明かしている。

「発音のそれじゃない感を指摘されていますが、実は、オーナーが『ウ』を『ゥ』にするのを間違えて馬名申請したようです(口を手で覆った顔文字)

オーナーは、訂正できるものならしたいとのこと。以上、現場からお伝えします」

 吉澤ステーブルは、「#アイキャン同意 #ただの間違え #訂正希望」という3つのハッシュタグとともにそうツイート。さらに、「I can do it か You can do it にするか最後まで悩んで、そして最後にウをゥにするのを間違えた」とその経緯をアピールしていた。

 馬名の申請間違いといって思い出されるのが、91年の有馬記念(G1)で単勝万馬券の大穴をあけたダイユウサク。本来は「ダイコウサク」と名付けられるはずだったが、「コ」と「ユ」が取り違えられてしまったのは有名な逸話だ。

 海外でも後に米三冠馬に輝いたアメリカンファラオの例がある。オーナーがスペルを間違えて登録。馬名を日本語で表記する際は、「ファラオ」なのか「フェイロー」なのか、それとも「フェイロア」なのか混乱をきたしたこともあった。

 ダイユウサクとアメリカンファラオはともに、デビュー戦には敗れたが、その後G1馬に輝いている。アイキャンドウイッが初戦2着に敗れたことは吉兆なのかもしれない。

 Can you 同意?(同意してくれますよね?)

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

H2O、関西スーパーへの奇策=ステルス買収に東証が懸念か…上場維持めぐり審査

 大阪、兵庫をホームグラウンドとする中堅スーパー、関西スーパーマーケットの買収劇は、阪急阪神百貨店などを運営するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングと、首都圏が地盤のディスカウントスーパー、オーケー(横浜市、非上場)の勝負が続いている。3社は過去にも水面下で火花を散らした因縁があり、コロナ禍の小売業不振で、これが蒸し返された格好だ。

 これまでの経緯を振り返っておこう。関西スーパー株を7.69%持つオーケーは6月9日、1株当たり2250円での株式公開買い付け(TOB)をすると提案した。2250円は関西スーパーの上場来高値と同額で、「すべての株主が損をせずに売却できる価格として設定した」(オーケー)という。その後、提案を完全子会社化に切り替え、関西スーパーに協議するよう求めた。

 一方、関西スーパーは10.66%を保有する筆頭株主のH2Oとの提携の強化を模索。設置した特別委員会が「詳細に比較・検討した上で、取締役会に対し、H2Oの提案を受け入れるよう」勧告した。

 これを受けて、H2Oは8月31日、関西スーパーを子会社にすると発表した。関西スーパーは同社株とH2O傘下で非上場の食品スーパー、イズミヤ、阪急オアシスの株式を交換し、H2Oの子会社になるというスキームである。H2Oの関西スーパーへの出資比率は最終的に58%に高まる。

 関西スーパーはスーパー事業を引き継ぐ子会社を新設し、傘下にスーパー3社を収める中間持ち株会社となって東証1部上場と屋号(店舗の名称、看板など)を維持する。オーケーは「株主利益を最大にするという観点から、比較検討していただけたのか」と懸念を表明した。

 関西スーパーは10月29日に臨時株主総会を開催し、H2Oの子会社になる議案を諮るが、オーケーは反対票を投じる。「臨時株主総会でH2Oの子会社になることが否決され、関西スーパー取締役会から賛同が得られれば、1株当たり2250円でTOBを実行し、完全子会社にする」としている。

5年越しの攻防の決着がつくのか

 オーケーは1967年の設立。創業者の飯田勧会長をはじめ飯田家の兄弟は起業家として有名だ。兄の飯田保氏(故人)は居酒屋チェーン「天狗」のテンアライドの創業者、弟の飯田亮氏は警備保障業首位のセコムを立ち上げた。

 オーケーは徹底的な低価格路線で売り上げを拡大してきた。2021年3月期の売上高に当たる営業収益は前期比17%増の5089億円。35期連続増収を達成した。家具量販店のニトリホールディングスと並ぶ増収の連続記録をつくった。神戸新聞NEXT(21年9月7日付)は、「『恩をあだで返されたようなもの…』関西スーパー争奪戦、オーケー進出巡り攻防5年」というタイトルで、買収劇の内幕を報じた。

オーケーは、自社経営の根幹において「関西スーパーを参考にしてきた」とする。過去には関西スーパーの創業者、故北野祐次氏の厚意を受け、売り場づくりや生鮮品の鮮度管理などの手法を学ぶため社員を派遣したこともあるという。

 そんなオーケーが成長を期し、関東圏に次いで進出を図ったのが関西だった。オーケーは関西進出に関し、以前から「自社出店よりも、好立地に店舗網を有する関西スーパーのグループ化を通じた進出が望ましい」と考えていたという。2016年4~8月にかけて、関西スーパー株を約8%取得。資本業務提携を目指したとされるが、協議には至らなかった。関西スーパーは同年10月、かねて打診があったとするH2O との資本業務提携を発表し、H2Oが筆頭株主となった。

 兵庫県内のスーパー関係者は、「関西スーパーからすれば、オーケーに恩をあだで返されたようなもの。懇意だったH2Oの協力を得て、オーケーの介入を防ごうとした」と見る>

 オーケーに対抗するためH2Oがホワイトナイト(白馬の騎士)を買って出た背景には、こうした経営者同士の恩讐があったわけだ。

関西スーパーとH2Oの非上場2社の株式を交換するという奇策

 それから5年。小売業界の競争激化もあって、買収劇が再び蒸し返されることになった。オーケーが提示したTOB価格2250円は、関西スーパーの9月2日終値と比較すると64%のプレミアム(上乗せ幅)がつけられた。一般的なプレミアムは3割程度といわれるなかで、破格の好条件を出したといえる。完全子会社を目指しているため、TOBに応募した株主は2250円で買い取ってもらえるメリットがある。

 オーケーの二宮涼太郎社長は、「買収総額は670億円。無借金経営であり、手元資金で買うことが可能」(9月3日付ブルームバーク)と語っている。H2Oの対案は、同社の子会社の株式と関西スーパー株式を交換するというもの。H2Oの子会社が非上場のため市場価値(時価評価)ははっきりしない。オーケーのTOBとH2Oの対案のどちらが株主にとって有利なのか、簡単には判断できないところがポイントとされる。

 双方がTOBを提案しているのであれば、どちらが高いかすぐに判定できる。上場会社同士の株式交換でも、市場価値(時価)は算出できる。H2Oは関西スーパーの買収に100%子会社のイズミヤ、阪急オアシスの株式との交換という、いわば“間接話法”で臨んだ。

「1株2250円というTOB価格は、オーケーが非上場だからできた芸当。高値づかみになるのは間違いない」(小売業を担当するアナリスト)。だからこそH2OはTOB価格の引き上げ競争に巻き込まれることを回避した。オーケーの条件とはストレートに比較できない非上場の子会社との株式交換方式を選んだ。H2Oの提案は「後出しジャンケンの妙というか、“ステルス買収”とでも命名したほうがいいかもしれない、まさに奇策」(同)だ。

 こうした最中、ロイター(8月31日付)は<東証は(中略)関西スーパーがエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下のイズミヤと阪急オアシスを12月1日付で株式交換により子会社化した場合、関西スーパーは実質的な存続会社でないと認められる、と判断した>と報じた。東証は同日、「関西スーパーマーケット株式について、合併などによる実質的存続性の喪失にかかる猶予期間入りする見込みだ」と発表した。期間は21年12月1日から25年3月31日までとなる。今後、東証は新しい上場基準に照らし、中間持ち株会社となる関西スーパーが上場基準に適合するかどうかを厳密に審査することになる。

 上場企業として難しい判断を迫られるのは、関西スーパーの株主も同じだ。H2O案は臨時株主総会に諮られ、可決には3分の2以上の賛成が必要になるためだ。3月末時点で関西スーパーの株主には伊藤忠食品や独立系の食品卸の加藤産業、さらにはフジッコ、上新電機などの上場企業の名前が並ぶ。これらの上場企業は、どちらに票を投じたのかを自社の株主に説明する義務が生じる。伊藤忠食品の親会社は伊藤忠商事(伊藤忠食品の株式の52%を保有)である。

 H2O案に賛成することによる経済的メリットを、きちんと説明できなければ、自社の株主から「利益の機会損失につながった」と責め立てられかねない。

 もし東証が、正式に「関西スーパーは実質的な存続会社でない」と判断するなら、関西スーパーは上場を維持するために新たな資本政策を考えなければならない。上場企業でなくなった関西スーパーを傘下に収めることになれば、H2Oは株主に対して、その得失をはっきりと説明する必要がある。

オーケーが関西スーパーに追加質問

 オーケーは10月7日、関西スーパーに「H2O傘下のスーパーとの経営統合後の経営体制や事業計画に疑問を投げかける内容」の質問状を送付した。統合が実現すれば、関西スーパーの福谷耕治社長が取締役に退き、H2Oの林克弘副社長が社長に就く人事案を発表したが、「業績不振で単独で存続できない場合を除き、稀なケースだ」とオーケーは主張している。

 9月28日に送付した質問状にも関西スーパーは回答していない、としており、今回の質問とあわせて10月11日まで適時開示するよう求めた。オーケーはジャブを次々と繰り出している。臨時株主総会前に関西スーパーがどう対応するのかにも関心が集まる。10月29日の臨時株主総会までに、まだ一ヤマも二ヤマもありそうな雲行きである。

(文=編集部)

JRA福永祐一の「独占欲」を刺激したアンドヴァラナウト、秋華賞(G1)で有力視ファインルージュを選ばなかった裏事情にトップ騎手のプライドが見え隠れ

 17日に阪神競馬場で開催される秋華賞(G1)は、早くも白毛のアイドル・ソダシ一色ムードが濃厚。当面のライバルと見られていたサトノレイナスが、骨折により無念の戦線離脱となったこともあり、ますますソダシ人気に拍車が掛かりそうな雰囲気も強まった。札幌記念(G2)で古馬を一蹴した実力馬の二冠達成に大きな注目が集まりそうだ。

 ただ、そんなソダシに対してライバル陣営も黙って見ている訳にはいかない。紫苑S(G3)を制したファインルージュ、ローズS(G2)で既存の勢力を塗り替えたアンドヴァラナウトらも虎視眈々。ソダシの牝馬二冠を阻止すべく、爪を研いでいるだろう。

 その一方で、両トライアルを勝利した2頭は、いずれも福永祐一騎手のお手馬だったことも見逃せない事実。春の桜花賞、オークスというG1でコンビを組んでいたファインルージュを優先するのでは?という見方が濃厚の中、福永騎手が選択したのは意外にも夏の上がり馬であるアンドヴァラナウト(牝3、栗東・池添学厩舎)の方だった。

 ファインルージュが秋の復帰戦を惨敗でもしていたのならまだしも、むしろ自身の好騎乗で勝利した上での乗り替わり。単純に「強い方」を選択しただけという声も一部で出ているが、記者からは面白い話を聞くことが出来た。

「当の本人も秋華賞でファインルージュに乗る方向で、話が進んでいたのは事実ですが、アンドヴァラナウトがローズSで既存勢力相手にあそこまで強い競馬をするとは思ってなかったようです。

夏の2戦で見どころのあるレースをしていましたが、奥手の血統でまだまだ心身共に成長途上。本格化するのは来年以降と考えていたにもかかわらず、あんな勝ち方をされたらそりゃ心も揺らぎますね」(競馬記者)

 実際、関係者に「現時点での完成度ならファインルージュ、伸びしろを考えるならアンドヴァラナウトやな。秋華賞だけで見るならどちらが上に来るかは本当に分からない。それくらい差はないよ」と話していたようだ。

 レース後にも「G1の舞台でも十分勝負できるだけの馬」、「僕自身もそうですが皆さんも楽しみにしていただけたら」など、コンビ正式発表前ながら続行が既定路線と思わせるようなコメントも出ていただけに、この時点で“心変わり”は「審議」ではなく「確定」していたのかもしれない。

 とはいえ、本当の決め手になった理由は、パートナーの急激な成長だけではないという噂もあるため、こちらとしては気になるのも当然。前述の記者が推察した裏事情を教えてくれた。

「どうやら騎乗馬に対する思い入れの差も関係していたみたい。ファインルージュは北村宏司騎手でデビューして、その後はC.ルメール騎手が騎乗。ですが、ルメール騎手にはサトノレイナスがいたため、桜花賞で福永騎手にチャンスが回ってきました。

対するアンドヴァラナウトは、デビューからずっと自分が乗ってきた馬。福永騎手としては、棚ボタ的な展開で手に入れた馬よりも、自分が教育した馬を優先したかったようです」(同)

 これについては福永騎手だけということではないが、「自分以外の騎手が乗った事がない」馬というのは物凄く大きな事らしい。

 あの武豊騎手でさえ、「ディープインパクトに競馬で乗った事があるのは僕だけですから」と自慢しているほど。凱旋門賞(仏G1)のためにフランスへ遠征したオルフェーヴルの乗り替わりを知らされた池添謙一騎手の落胆ぶりは相当激しかったともいう。

 デビューから継続して騎乗を任されるということは、その騎手に対する陣営からの信頼の証ともいえ、騎手にとってはある種の「ステータス」のようなもの。だからこそ、G1のような大舞台で結果を残すことが出来れば、達成感もより一層ということか。

「現在、レースで馬を教育することが許されたり、騎乗馬を選ぶ権利を持っている騎手はルメール、川田、福永くらいと言われています。短期免許の外国人騎手が、再び来日可能になればそういった形も崩れるでしょうが、まだまだ先がわからない状況です。

そういった中で、彼らが他の騎手より1つ上の次元で騎乗しているという評価を得ていることは、いつ降ろされても不思議ではない中堅や若手の騎手から羨望や嫉妬もあるでしょう」(同)

 ローズSの快勝で福永騎手の「独占欲」を刺激したアンドヴァラナウト。自身の想像を上回る走りにG1でもコンビ続行を決断した福永騎手。相思相愛のコンビは、秋華賞でどのような走りを披露してくれるだろうか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

データクリーンルームは「Cookieフリー時代」のマーケティングを変える

個人情報保護の潮流を受けて、グーグルによるサードパーティークッキー(※1)の廃止や、アップルによるIDFA(※2)取得のオプトイン必須化など、いわゆる「Cookieフリー時代」が到来しようとしています。

そんな中、「プライバシー保護」と「企業のマーケティングニーズ」を両立させ、マーケティングの継続的なPDCAを実現させるデータ基盤が「データクリーンルーム」です。

本連載では、新時代のマーケティングに欠かせないデータクリーンルームの可能性と魅力を、ドコモの「docomo data square」を例に紹介していきます。

今回は、電通データ・テクノロジーセンターでデータクリーンルームの開発に携わる古池茜が、身近な事例を交えながらCookieフリー時代とデータクリーンルームの基本的な考え方を解説します。

※1 サードパーティークッキー
クッキーとは、ユーザーが閲覧したウェブサイトのサーバーから発行され、そのユーザーのウェブブラウザに保存される閲覧情報。現在閲覧しているサイトのクッキーをファーストパーティークッキー、他サイトから発行され保存されたクッキーをサードパーティークッキーと呼ぶ。
 
※2 IDFA
Identifier for Advertisers(広告識別子)の略で、iPhoneやiPadなどのアップル製デバイスに割り当てられるID。

<目次>
「良い顧客体験の創出」と「ユーザープライバシーの配慮」の両立が最大のテーマになる
Cookieフリー時代に「データクリーンルーム」が注目される理由
巨大な“ドコモ経済圏”のデータ連携!「docomo data square」三つの強み

「良い顧客体験の創出」と「ユーザープライバシーの配慮」の両立が最大のテーマになる

先日、出前アプリで夜食を頼んだらこんなことがありました。

届いた袋に「3回目(^^)」というメッセージが書かれ、おまけにドリンクがついていたのです! 

出前アプリで夜食を頼んだら、お店の人からの手書きメッセージと、おまけドリンク付きで届いた。「3回目」というのは、このお店に出前を頼んだ回数。
出前アプリで夜食を頼んだら、お店の人からの手書きメッセージと、おまけドリンク付きで届いた。「3回目」というのは、このお店に出前を頼んだ回数。

深夜にジャンクフードを頼んだので若干恥ずかしかったのですが、疲れた体に、このちょっとした気遣いが染み入って、まんまと、また次もこのお店で頼もうと思ってしまいました(笑)。

さて、このエピソード。お店が私のIDにひもづく「注文履歴」というデータを活用したからこそ、お店は適切なメッセージと特典を提供でき、私はそこに魅力を感じてお店のリピーターになりました。

この話を読んで、皆さんはどのように感じましたか?もしかしたら

「頼んだ回数まで把握されているのはちょっと気持ち悪い、嫌だな」

と感じた方もいるかもしれません。そのような生活者には、「店側に自分のデータを提供しない」という選択肢があるべきです。

一方で、今回の私のように

「良いサービスが受けられるのであれば構わない、データを提供してもよい」

という選択肢もあるべきです。

総務省の調査では、商用目的でのデータ提供に対してポジティブ56.2%(赤合計)、ネガティブ43.8%(青合計)と意見が割れていますが、「条件によっては提供してもよい」という回答が最も多くを占めています。

つまり、大事なのは生活者自身が、

「自分のデータがどこでどう収集されて、誰が何のために使っているのか」
「それによって自分にどんなメリットがあるのか」

という情報が把握でき、そして自分のデータの扱いを自分の意思で選択できることです。
そのために必要なのが「オプトイン」「オプトアウト」という仕組みです。

ユーザーが自らに関するデータを利用される際に、企業に対して許諾の意思を示すことをオプトインといいます。もちろん、ユーザーには後からその許諾を「取り消す」、つまりオプトアウトの権利もあります。

アプリやウェブサイトに対して、生活者が「自分のデータをどう扱うか」について許諾することをオプトイン、許諾を取り消すことをオプトアウトという。
アプリやウェブサイトに対して、生活者が「自分のデータをどう扱うか」について許諾することをオプトイン、許諾を取り消すことをオプトアウトという。

アップルはiOS14以降から、アプリがモバイルID(スマートフォンやタブレットのアプリで利用される、広告用の端末識別ID)を取得する際には、事前にユーザーの意思を選択させるオプトインの提示を「必須」としています。

下のような画像は、見覚えがある方も多いかと思います。

ユーザーの個人情報保護に力を入れるアップルの規定により、企業はモバイルID取得による生活者データの広告利用に当たって、ユーザーのオプトイン同意を得ることが必須となった。
ユーザーの個人情報保護に力を入れるアップルの規定により、企業はモバイルID取得による生活者データの広告利用に当たって、ユーザーのオプトイン同意を得ることが必須となった。

この「あなたのアクティビティを追跡する~」という文言に何やら不安を感じたらしい母からこんなメッセージが届き、私はこの後質問攻めに遭いました(笑)。

もちろん企業側も、利用者を不安にさせないように、「ユーザーデータの広告利用」について分かりやすい説明を表示し、その後にオプトインのポップアップを表示するなど、工夫を凝らすところも増えています。

オプトイン同意も顧客体験のうち。企業側も生活者に対してデータ利用への理解を求めるために、さまざまな工夫を凝らしている。
オプトイン同意も顧客体験のうち。企業側も生活者に対してデータ利用への理解を求めるために、さまざまな工夫を凝らしている。

「ユーザーに適切なタイミングでオファーを出したい、そのためにデータを活用したい」という企業のニーズ。

「とはいえ、むやみやたらにデータを活用されるのは不安」というユーザープライバシーへの配慮。

これからのデジタルマーケティングは、この二つの要素の「両立」がテーマになっていきます。

Cookieフリー時代に「データクリーンルーム」が注目される理由 

良い顧客体験とユーザープライバシー保護を両立するため、新しいソリューションがいくつも登場しています。その中から、今回ご紹介する「データクリーンルーム」の特徴をご説明します。

データクリーンルームとは、生活者個人を特定することなく、企業のデータサイエンティストがデータの統合や分析のためにアクセスできる“環境”のことです。多数のユーザーを持つ、いわゆる“プラットフォーマー”と呼ばれる企業によって提供され始めています。

データクリーンルームとは、さまざまなプラットフォーマーが提供する、個人が特定されないセキュアなデータ環境のこと。生活者のプライバシーを保護しつつ、従来のサードパーティークッキー使用時と同等以上の高度な広告配信や効果検証が可能になる。
データクリーンルームとは、さまざまなプラットフォーマーが提供する、個人が特定されないセキュアなデータ環境のこと。生活者のプライバシーを保護しつつ、従来のサードパーティークッキー使用時と同等以上の高度な広告配信や効果検証が可能になる。

個人が特定されない安全な環境だからこそ、プラットフォーム内外の膨大なデータを統合することができ、企業はデータクリーンルームを介して、生活者ひとりひとりにパーソナライズしたプランニングや広告・販促施策が可能となります。

  • クライアントデータ(広告主企業保有のユーザーデータ)
  • 広告会社保有のデータ
  • プラットフォーマー保有のデータ

データクリーンルームとは、これらのデータを個人を特定しない形でつなぎ合わせることで、「良い顧客体験の提供」と「プライバシー保護」を両立したデジタルマーケティングを可能にするデータ基盤です。

特に大きなポイントは、データクリーンルームという環境を介することで「個人を特定しない」にもかかわらず、従来と同等、あるいはそれ以上に「生活者の気分やニーズであるモーメントを捉えた広告配信や効果測定」ができる点です。

特に「ポイント事業」や「決済」など、生活者にメリットを還元できるサービスを提供しているプラットフォーマーは、生活者のオプトイン同意を取りやすく、既に許諾済みのIDを数千万規模で保有しています。

「メディア接触」から「購買」までを、生活者の許諾に応じて“人基点”でひもづけ、生活者と継続的につながることができるからこそ、データクリーンルームは「ブランドのファンを作っていける基盤」となります。

まとめると、個人を特定せずにさまざまなデータ活用が可能なデータクリーンルームによって、

  • 「プラットフォーマーの持つ巨大な経済圏」を生かしたマーケティングができる
  • モーメントを捉えたより良い顧客体験を創出し、ブランドのファンを増やせる
  • 生活者のプライバシーは守られる

これらがCookieフリー時代の打ち手となります。

巨大な“ドコモ経済圏”のデータ連携!「docomo data square」三つの強み

ドコモと電通は、 Cookieフリー時代においても不変の「dアカウント」をキーに、ドコモが保有する「位置情報データ」や「dポイント会員データ」と、電通が保有する「メディア接触データ」を統合し、分析できるデータクリーンルーム、「docomo data square」を提供しています。

「docomo data square」ニュースリリース
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0804-010117.html

 

データクリーンルームはさまざまなプラットフォーマーから提供されていますが、docomo data squareを用いた広告配信では、

  • テレビCM
  • ウェブ広告
  • デジタルOOH

への生活者の「メディア接触」から、実際の「購買行動」までを人起点で効果計測できるのが非常にユニークなポイントです。

「dポイント会員」という巨大な経済圏には、「アプリ利用」「位置情報」「加盟店での購買」など、多彩なサービスのデータがひもづいています。

携帯キャリアならではのアプリ利用データ、位置データに加え、「ドコモの携帯利用者以外」にまで範囲を広げたdポイント会員拡充戦略が、会員数約8200万人というドコモデータの強みとなっています。

ドコモデータの強みとは?
今回お話ししてきたように、Cookieフリーやユーザープライバシー保護など、デジタル広告やデータマーケティングが大きな過渡期を迎えています。

そんな中、データクリーンルームの提供を開始したドコモは、巨大プラットフォーマーの視点から、現状の課題や今後の打ち手をどのように捉えているのでしょうか。

次回は「docomo data square」について、ドコモのご担当者にお話を伺います。

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原油価格、今冬に高騰の兆候、米国ガソリン価格が最高値…脱炭素で中東へ依存増す

 米WTI原油先物価格は10月8日、1バレル=80ドルを突破し、2014年10月以来の高値を記録した。その後1バレル=82ドル台まで上昇した。高値となった主な理由は、OPECとロシアなどの大産油国からなるOPECプラスによる供給拡大のペースが鈍いことにある。

 OPECプラスは10月4日に閣僚級会合を開催し、前月と同様に11月の原油生産量を日量40万バレル増加させることで合意した。原油価格は年初から約50%上昇するなか、米国やインドなどの主要消費国から増産幅の拡大を望む声が上がっていたことから、協議の前には「11月に供給拡大のペースを加速させるのではないか」との憶測が流れていた。

 OPECプラスが増産要請に応えなかったのは「新型コロナウイルスの第4波が原油需要を再び減少させかねない」と懸念したからだ。OPECは過去の教訓を踏まえて従来よりも慎重になっている。拙速な決定は原油価格の急落を招く可能性があるからだ。OPECプラスは「来年は供給過多になる」と見込んでおり、増産幅を拡大すれば、原油市場の需給バランスが大きく崩れかねないと判断したのが実情だろう。

 OPECプラスのリーダーであるサウジアラビアは、原油生産量がパンデミック以前の水準付近に達し、2018年以来最高の原油売却収入を上げている現状に満足しているとされている。「変更するにしても可能な限り小幅にとどめたい」という思いは、その他のOPECプラス諸国も同様だ。彼らは何より安定した市場を望んでいる。

 だが皮肉なことにOPECプラスの決定が市場を不安定化している。OPECプラスが大幅な増産を見送ったことで供給不足への懸念が高まり、「主要産油国が供給を増やさない限り、原油価格は90ドルを突破する」との見方が出ている。

天然ガス価格の急騰

 原油価格のもう一つの上昇要因は、天然ガス価格の急騰だ。発電分野での天然ガスシフトが一気に進んだことがその背景にある。欧州の天然ガス価格は一時、原油換算で1バレル=200ドルを突破し、その後も同160ドル台と高止まっている。この価格はWTI原油先物価格の約2倍に相当することから、相対的に割安な原油を発電燃料に使う動きが欧州やアジアで広がり始めた。

 サウジアラムコは10月上旬、「原油需要が当初の想定より日量50万バレル増加している」との認識を示した。想定外の需要増が発生したことに戸惑いの色を隠せないでいる。世界の原油市場では「価格が急騰すれば、その後原油需要が減少し、価格も急落する」というパターンを繰り返してきた。11月4日に開かれるOPECプラスの次回の閣僚級会合に世界の注目が集まっている。

 2010年代に起きたシェール革命により世界第1位の原油生産国に復活した米国の状況も高値を下支えしている。原油高になると短期間で増産できるシェールオイルが相場の上値を抑える役割を演じてきたが、今年の原油高の局面では従来ほど米国の原油生産量は増加していない。日量1130万バレルとコロナ禍以前よりも200万バレル低いままだ。

 足元の米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は433基となり、昨年8月の底(172基)からは回復したものの、コロナ禍前の19年末より4割少ない水準だ。ブレーキがかかっている理由は、投資家が増産投資よりも目先の配当を重視するようになったからだ。原油価格が80ドルを超え「いよいよシェールオイルの増産が始まる」との観測が出ているが、今年第3四半期の米国内の掘削コストが大幅上昇している(10月4日付OILPRICE)。「脱炭素」の動きも逆風だ。

 米国のガソリン小売価格は1ガロン=3ドル20セントを超え、2014年10月以来の最高値に達した。ガソリン高は有権者の不満に直結しやすいことから、9月末にサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はサウジアラビアでムハンマド皇太子と会い、原油相場について意見を交わした。サリバン氏はさらに「米国の石油会社が需要に見合うかたちで生産量を引き上げないことを懸念している」と苦言を呈している。米国の戦略石油備蓄(SPR)を放出するなどの案が検討されたが、有効な解決策は見つかっていない。

 米国では暖房需要が高まる冬を前に、ヒーティングオイルの在庫は十数年ぶりの低水準となっており、「冬の暖房用エネルギー需要に対応できる供給量を確保できないのではないか」と警戒する声が上がっている。米国では早くも中西部に大寒波が到来し、気温が急低下している。「厳しい冬の到来で原油価格は100ドル超え」との予測は現実味を増しつつあるようだ。

「脱炭素」のジレンマ

 米エネルギー省は10月6日、「2050年の世界の原油需要は20年比で4割増える」との予測を発表した。1次エネルギーに占める割合は30%から28%に下がるものの、新興国でのガソリン車の需要が根強い。インドの原油需要は3倍以上になるという。

「脱炭素」の動きは、民間投資家の圧力を受けない中東産油国の国営石油会社の国際市場でのシェアが高まるとの弊害もある。飛ぶ鳥を落とす勢いだったシェールオイル業界からは「OPECが原油価格をコントロールしている」との弱気の声が聞こえてくる。

 格付け会社ムーディ-ズは10月7日、「来年以降の原油・天然ガスの上流分野への投資の水準を54%引き上げ、年平均の投資規模を5420億ドルに拡大しないと、近い将来、深刻な供給不足に見舞われる」と警告を発した。グリーンエネルギーへの転換は一朝一夕でできるものではない。「脱炭素」の実現を急げば急ぐほど、原油価格が高騰するリスクが高まってしまうのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

東京ガスの見事なトラブル対応に見る企業SNS活用術…炎上しないための2つのカギ

 みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーのブランディング専門家・松下一功です。

 規模感に関係なく、どの企業でも公式ホームページを持つことが当たり前になりましたが、その一歩先を行く企業はツイッターやインスタグラムといったSNSの運用にも力を入れています。SNSはフォロワー(企業やお店のファン)にいち早くオフィシャルの情報を届けられる役割を持ち、社内に専門チームを設けている企業もあるくらいです。

 解説本も多数出版されているので、ご存じの方も多いと思いますが、SNSは便利な半面、使い方をひとつ間違えれば一気に炎上してしまい、大きなダメージを受けてしまうこともあります。また、自分たちは健全に運営していたとしても、一般ユーザーのマイナスなつぶやきから火がつくことも……。

 特に個人店などの規模が小さい会社は、最悪の場合は炎上がきっかけで休業に追い込まれることも考えられるので、SNSと現実世界がつながっていることを理解した上で運営しないといけません。

 わかっているようで意外と奥が深いSNS。今回は、ブランディングにも影響を与えるSNSの運用ポイントをご説明しましょう。

企業のSNSが本当に発信すべき情報とは

 その特性上、SNSを「一方的に情報を発信するツール」と捉え、活用している人がまだまだ多い気がします。新商品の発売、定休日のお知らせといったPRやインフォメーションの投稿に終始している企業が多いのは、そのせいでしょう。

 もちろん、それらも消費者の購買意欲をくすぐったり、日々の営業に直結したりする大切な情報です。ただ、重要度は高いのですが、それらの投稿だけがSNSの使い道でしょうか?

 企業のコンサルタントをするとき、私は必ず、「その企業の良さやポリシーを公表して、お客様の共感を得ることが、ブランディングではとても重要だ」とお伝えします。ブランディングでは、「企業理念や経営方針を確立すること」が重要ですが、それらは消費者に伝わり、共感を得てこそ、意味をなします。

 言い方を変えると、その企業の良さやポリシーや理念は、きちんとお客様にも伝えないと意味がないのです。周知されて初めてブランディング力向上へのスタートが切れるといっても、過言ではありません。

 その一端を担うのがSNSです。ここで、「うちの会社は、ポリシーも理念もホームページに書いてあるから安心だ」と思った方は、注意が必要です。なぜなら、さまざまな情報があふれている今、理念やポリシーを単に記載するだけでは目に留まりにくく、仮に目に留まっても主張が一方的で、十分な共感を得られていないケースがほとんどだからです。

 今の時代、ブランディングで企業の認知度や共感度をアップするために、SNSを使った施策は、とても有効です。にも関わらず、実際にはPRやインフォメーションの場としてしか使っていないケースが多く、根本にあるポリシーや理念を伝える機会を活かせていないのが現状なのです。

 また、ポリシーや理念と同様に伝えたいのが、「アテンション」と「エクスキューズ」です。これらは会社と消費者の理解度を深めるに必要不可欠な情報で、これらがない場合はクレームや炎上に発展する可能性が高くなるといえます。

アテンションとエクスキューズの重要性

 たとえば、大切な人の誕生日プレゼントに、店頭では売り切れていて、予約しないと手に入らない物を選んだとしましょう。そして、注文したのはいいけれど、なかなか商品が届かなかったとします。このとき、注文した商品が人気のために生産が追いつかず、発送が数カ月先になることが事前にわかっていれば、そういったものだと理解して、商品の到着を待つことができます。

 しかし、そうした事情を知らない場合、「いつまで待っても商品が届かない」とクレームに発展してしまう可能性があります。こういったケースをなくすためにも、アテンションとエクスキューズを共有することは、とても重要なのです。そして、これらの重要な情報を、SNSを使って広く届けなければならないのです。

見事だった東京ガスのトラブル対応

 最近、SNSでアテンションとエクスキューズを上手に発信して、話題になったのが「東京ガス」です。8月下旬、東京都新宿区および文京区の一部地域で、都市ガスの供給支障が発生しました。前代未聞のトラブルだったので、まだ記憶に新しい人も多いことでしょう。

 このとき、東京ガスは公式ツイッターで、開栓工事の様子、復旧の進行具合、対象エリアの住人に用意したカセットコンロの貸し出しやレトルト食品の配布について、開栓作業時に不在だった家庭への対応についてなど、さまざまなアテンションとエクスキューズを発信しました。

 地道な情報発信等の企業努力の結果、その姿勢への共感や理解が深まり、真夏日に太陽の下で作業を続ける作業員たちへ、栄養ドリンクなどの飲料水、汗拭きシート、お菓子、扇風機の貸し出しなどの差し入れが続々と集まりました。もちろん、東京ガスはツイッターでお礼の投稿もしています。

 対象エリアの住人はもちろん、ツイッターで動向を追っていた人々は、東京ガスへの安心感や信頼感が高まり、ひいてはブランディングの向上にも貢献したのではないでしょうか。

 SNSは、間違った使い方をすると炎上する可能性がある半面、正しい使い方をすればブランディング力のアップにつながります。今回ご紹介した東京ガスのように、SNSを上手に使う企業が増えることを願っています。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)

東京五輪パラ中止を主張できず感染爆発を招いた日本医師会とコロナ分科会の怠慢

 東京五輪・パラリンピックは結局のところ開催したほうが良かったのか、悪かったのか。そして途中で中止という選択肢はどうであったか。オリパラ開催によって間接的にも新型コロナ感染者が増え、それに比例して死者も増えたが、我々国民はどうすべきであったか、正解を問いたい。

開催前には反対、終わってみれば多くが賛成に

 9月4、5両日に実施された共同通信の世論調査では、「開催してよかった」が五輪で69.2%、パラで69.8%で、「よくなかった」は五輪で32.8%、パラで26.3%という結果が出された。

 東京新聞も「東京大会がなければ、競技の普及も、選手強化もこれほどは進まなかった。日本でパラスポーツが発展する確実な一歩にはつながった」と評価している。しかし、開催直前の7月17、18両日で朝日新聞の世論調査では、オリパラの開催について反対が55%、賛成が33%と反対が多く、安全安心の大会には「できない」が68%と「できる」21%を圧倒していたのである。

 思うに国民は一度始まってからは医療崩壊のニュースが出てきても途中で中止をするとなると競技間で不公平になったり、選手が気の毒という気持ちと、NHKが朝から晩までメダル争いを放映するなかで自宅で出産した赤ちゃんが死亡した等の悲しいニュースが飛び込んできてもそれを一瞬で忘れ、感動に走るという構図になっていたのではなかろうか。

 立憲民主党の枝野代表ですら「途中で中止するのは現実的ではない」と開催前から発表していたのだ。菅政権はオリパラの成功によって落ち込んでいた内閣支持率を回復させ、来たる衆議院選挙での勝利を描いていたが、この世論調査の推移を見ると、その戦略は実に正しかったといえるかもしれない。

 それにもかかわらず内閣支持率がさらに下がり首相退任に追い込まれたのは、ひとえに菅首相のコロナ対策と個人的資質に国民がうんざりしていたからで、これが仮に饒舌な安倍前首相が先に紹介した世論調査の結果を前面に出して、「オリパラは政府国民の一致した力で大成功を果たした」と勝利宣言をして自民党総裁選挙の前に衆議院の解散総選挙を打って出ていたら結果も変わっていただろう。

 コロナ禍での総選挙ということもあり、以前のような自公の大勝とはならないものの、議席の減少を少なく留め、自公で過半数は確保できただろうとの目測もあながち誤りとはいえない。

医師たちが身体を張ってオリパラ中止を発信しなかった責任は重大

 新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、国会で「五輪が人々の意識に与えた影響はある」と発言した。尾身氏は開催前から同様の主張を展開し、オリパラが人流の拡大を生み感染防止に対する意識の低下につながると訴えてはいた。

 しかし、分科会の総意としてオリパラの開催に明確に反対するという見解を出すことができずに、最後は「どうしてもやるなら無観客が望ましい」と菅政権の意向に譲歩するかたちとなった。この点については、17万2763人(2019年12月1日現在)の医師からなる日本医師会もほぼ同様の対応をとったのではないか。

 日本医師会は公益社団法人だが、開業医らが運営する利益団体としての性格を持つため「国民の皆様の健康を守ります」と言いながら、政権との利害関係も濃厚でオリパラ開催については分科会同様、政権にある程度忖度したのは明らかである。

 だが本来、医師たちはオリパラの政治的、経済的効果などへの配慮は不要で、本当に感染拡大につながると思えばオリパラの開催は国民の命を守れなくなると明確に見解を出すべきであった。尾身会長も「どうしても開催するなら会長を辞任する」となぜ言えなかったのか。私はこの1年半の医師たちの個人的な発言や組織としての動向を振り返ってみた。

 日本の医師は個々には優秀な方が多いが、組織としては大きな役割を果たせていないのではないか。それは当初から医療崩壊の可能性を指摘はしてもコロナ専門病棟の建設やPCR検査体制の完備などを国や自治体に具体的な政策提言として打ち出せなかった事実が物語っている。

 中国において10日間でコロナ専門病棟の建設というニュースに接して、それをわが国も参考にしようと真剣に検討しただろうか。「アベノマスク」の配布に際しても、「布製のマスクは効果がないので配るなら不織布マスクでないとダメ」と安倍前首相にハッキリ進言しただろうか。今なお市場には布やウレタンマスクが出回っているが、それらは飛沫や空気感染には効果が少ないので着用しないようにキャンペーンしたり、市場に出回らないように業者に金を払って回収させる等の強い対策を政府に求めるといった行動をなぜとらないのか。

今日の日本の医療の実態

 話はオリパラ開催に戻るが、本音では多くの関係者が不安を口にしていたのである。

 東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の職員が「五輪と感染拡大、正直なところ『関係ない』と思っている人はいないのでは。私が心配している通りのことが起きてしまった。病院に患者さんが入れない事態までいくと思っていなかった。申し訳なさというか、自問自答する毎日」と告白していたこと。メディアでは『バイキングMORE』(フジテレビ系)の坂上忍氏がスタジオに出席する医師や専門家に繰り返し「人がさらに亡くなるのに、あえてオリパラを開催する理由を説明してほしい」と食い下がったものの、誰一人として答えられなかった事実。それらを目のあたりにして、私は本来医療の専門家として先頭に立って正論を言うべき医師たちが、自らの保身からかどうかわからないが口をつぐむ姿に今日の日本の医療の実態を見た思いである。

 医師たちの怠慢はほかにもある。今なお根強く存在するワクチン接種への不安にどう向き合ってきたのかという点だ。

 国民のなかには、今回のコロナワクチンへの不安は短期的には副反応への恐怖、中長期的には遺伝子組み換えによるワクチンの人体への影響を心配する声が少なくない。

 前者についてはワクチン接種後に急死した1000人を超える方々について解剖もせずに因果関係は不明としたり、女性でスパイクタンパク質が卵巣に蓄積して不妊の心配があることについて、田村厚労大臣が「ラットを使った実験で安全性は確認できている」と述べたが、これでは単純にデマと切り捨てられ、十分な説明とはなっていないだろう。

 後者の遺伝子組み換えワクチンの人体に与える将来的な影響については、世界の多くの科学者が深刻な懸念を表明しているが、これに関してはワクチンメーカーもわからないとしている。そしてウイルスの変異についても、mRNAワクチン技術の発見者のロバート・マローン博士が「我々のしていることは、ワクチンを回避するようにウイルスを訓練(進化)させている」と述べていることにも注目したい。

 中国が武漢でワクチンによってではなく、都市封鎖することによって全土の感染を抑え込んだ経緯を見るならば、ワクチンではなくPCR検査と隔離、それに人流の封鎖で十分対応できたものの、ワクチン接種を始めたためにどんどん変異株を生み出したことになる。インドではワクチン接種済みの人々がマスクを外して沐浴に繰り出したためにデルタ株に変異させた、という論理も指摘されている。

 このようにワクチンに対して内外でさまざまな意見や不安があることに対し、政府や医療関係団体は、これまでどのような努力をしてきたのか。国やこれらの組織は内部で議論を重ねたり、パネルディスカッション等を公開で行うという方法もあるのに何もしてこなかった。治療にあたる現場の医師をはじめとする医療従事者の努力には頭が下がるが、医師会や政府の分科会等の組織には猛省を促したい。

開催後にも中止する勇気を持て

 以前このコラムでも述べたが、オリパラ新型コロナの流行がなくても一時中断すべきだったのではないかと思っている。近年開催のオリパラは利権がらみでどこの国、都市でも財政難という事情がある。IOC(国際オリンピック委員会)は無理やりどこかに開催させるのではなく、国際社会は世界中で大きな紛争が終結し、貧困問題が解決するまでオリパラは中断し、選手たちには世界選手権で競い、メダル争いをしてもらえばいいのではないか。

 日本は「原発はアンダーコントロール」と誰しもが虚偽とわかるような説明で東京大会を誘致した政治的な思惑もあったので、コロナ禍にあっても強行するのが至上命題となっていた。だが、冒頭に述べたように、一度決めたら途中で考え直して中止するという文化も根付いていなかったことも判明した。わが国ではいったん物事が始まると途中で中止したり、引き返すことができる文化が育っていない。それは先の大戦を振り返っても明らかだ。

 戦争が始まってラジオや新聞から毎日のように大本営の「敵艦船を撃沈!」というようなニュースが流されると、同調圧力は強化され、反対の意見は非国民扱いとされた。私は長く航空業界に身を置き、機長として安全のためには着陸を中断したり、途中で引き返す勇気も必要だと自分に言い聞かせてフライトしてきた。それは日本航空(JAL)の元社長の松尾静麿氏の「臆病者と言われる勇気を持て」という社是に基づくものであった。安全は何よりも優先されなければならないが、実際にはさまざまな圧力があるのも現実である。それに打ち勝つためには温故知新の考え方に立つ以外にはないだろう。

 東京オリパラは開幕以降に新型コロナの感染拡大や医療崩壊という事実に直面したのだから、思い切って中止するという勇気が必要だったのである。

(文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長)

●杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

1969年慶應義塾大学法学部卒、日本航空入社。 DC-8、ボーイング747、エンブラエルE170に乗務。首相フライトなど政府要請による特別便の経験も多い。ボーイング747の飛行時間は1万4051時間という世界一の記録を持つ。2011年10月の退役までの総飛行時間は2万1000時間超。日本航空在籍時に安全施策の策定推進の責任者だったときにはじめた「スタビライズド・アプローチ」は、日本の航空界全体に普及し、JAL御巣鷹山事故以来の死亡事故、並びに大きな着陸事故ゼロの記録に貢献している。 航空問題と広く安全問題について出版、新聞、テレビなどメディア、講演会などで解説、啓蒙活動を行なっている。著書多数。社会学、国際政治の分野でも『日本人はなぜ足元を見られるのか?』(アスキー新書)などの著書がある