IoT家電データが“イエナカ”を可視化!スマートライフ時代の生活者インサイト

あらゆる“モノ”がインターネットにつながる「IoT」(Internet of Things)が、私たちの生活に浸透しつつあります。

中でも存在感を高めているのが、生活者に便利で快適な生活=スマートライフをもたらす「IoT家電」です。本連載では「IoT家電データ」を用いることで、企業が生活者にどんな体験を提供できるのかご紹介していきます。

第1回では、シャープからSmart Appliances & Solutions事業本部の中田尋経氏、同社グループのAIoTクラウドからデータビジネス開発部の稲本憲氏をお招きし、電通データ・テクノロジーセンターの塩田悠人が語り合います。

AIoT家電データ座談会
<目次>
AIoT家電はユーザーの暮らしを学んで進化する“生活パートナー”
企業が「生活者のリアルな暮らし」をイメージできる粒度の分析が可能に
“イエナカ”のデータ分析で商品・サービスの“潜在的ニーズ”が浮き彫りに!
データ利活用の「考査」がIoT家電の信頼性を高める

AIoT家電はユーザーの暮らしを学んで進化する“生活パートナー”

塩田:今日は、IoT家電が企業や生活者にどんな変化をもたらすのかについて、domus optimaの紹介を交えながらお二人と語り合えたらと思います。

“イエナカ”を変える「domus optima(ドムス・オプティマ)」

IoT家電データを活用した統合マーケティングにより、生活者に家の中・家の外での豊かな生活体験を提供する、電通のソリューション。

第一弾として、「AIoT家電データ」(※)の利活用を推進するシャープと連携し、全国約40万台のIoT家電データから導き出したインサイトをもとに、広告配信や効果検証を行なっている。
https://www.dentsu.co.jp/news/sp/release/2021/0607-010387.html

※ AIoT
AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、家電製品を人に寄り添う存在に変えていくビジョン。シャープの登録商標。

総務省の調査によると、2022年には、世界のスマート家電やIoT化された電子機器の台数が2015年の3.9倍まで増加すると予測されています。

世界のスマート家電やIoT化された電子機器の台数推移(2020年以降は予測値)。
世界のスマート家電やIoT化された電子機器の台数推移(2020年以降は予測値)。
総務省 令和2年版「情報通信白書」IoTデバイスの急速な普及 を参考に作図

塩田:私たちは近い将来、IoT家電が日本にも広く浸透することを見据えてdomus optimaを開発しましたが、クライアントからは「IoT家電って何ができるの?」「本当に普及するの?」といった質問を頂くことも少なくありません。

そこでまずシャープでAIoT事業を推進されている中田さんに伺います。AIoT家電の特徴や、現在の普及状況についてお話しいただけますか。

中田:私たちの「AIoT家電」は“人に寄り添うIoT”を掲げ、ただの便利な道具ではなく、お客さまの生活に寄り添うパートナーになることを目指しています。AIoT家電の大きな特徴は、「お客さまに最適化し、機能・サービスも進化し続ける」点です。

従来の家電は購入時が「一番いい状態」でした。基本的に機能は進化せず、時間がたつごとにモノは劣化していきます。新製品に買い換えれば新しい機能が得られるかもしれませんが、設定はイチからやり直さなければなりません。

一方、AIoT家電は、購入してから時間がたつほどに「一番いい状態」になっていきます。お客さまの家族構成や日々の使い方を学習して、データをクラウド上の「AIoTプラットフォーム」に蓄積し、常にお客様の暮らしに最適化し、機能やサービスも進化し続けるのです。

そしてもし買い換えることになっても、これまでの学習履歴が引き継がれるので、次の製品を買ったその日から「今まで通り我が家に最適化された家電」を利用できます。

従来の家電
AIoT家電
 
塩田:使えば使うほど、便利に快適になっていく。新品に買い換えても、その快適さは引き継がれる。一度AIoT家電の魅力を知ってしまうと、もう従来の家電には戻れないかもしれませんね。

中田:また、そうした AIoT家電の学習機能を活用するために、「COCORO AIR」「COCORO KITCHEN」といった各種サービスを提供しています。これらのサービスを利用するかどうかは、もちろんお客さまが決めることができます。

「COCORO+」
その他サービスはこちら:「COCORO+」https://cocoroplus.jp.sharp/

中田:もう一点、重要なポイントが、私たちの「AIoTプラットフォーム」はシャープ製品だけに閉じたものではなく、オープンなプラットフォームだということです。他社の製品やサービスにも接続できるので、お客さまの暮らしに合わせて柔軟に「スマートホーム化」を進めることができるのです。

塩田:実際、市場的にはAIoT家電のニーズは高まってきているのでしょうか?

中田:シャープでは、家電におけるAIoTの割合は右肩上がりで増えています。すでに11カテゴリー580機種以上が、全国のご家庭でAIoT家電として稼働しています。

データ分析を通じてお客さまの声をタイムリーに反映したサービスを提供できるので、今後データが集まるほど、AIoT家電の価値は加速度的に高まっていくと考えています。

もちろんデータはあくまでもお客さまからお預かりしているもの。利用規約の範囲の中で、お客さまの暮らしに新たな価値を還元し続けることがメーカーの責務です。

ユーザープライバシーを守りつつ、生活の利便性を高める、この両立がデータマーケティング時代の大きなテーマ。シャープのAIoT家電も、ユーザーの理解を得た上で、限定的なデータ取得の同意を得る仕組みを構築している。
ユーザープライバシーを守りつつ、生活の利便性を高める、この両立がデータマーケティング時代の大きなテーマ。シャープのAIoT家電も、ユーザーの理解を得た上で、限定的なデータ取得の同意を得る仕組みを構築している。

企業が「生活者のリアルな暮らし」をイメージできる粒度の分析が可能に

塩田:ユーザーの暮らしをより便利で快適にするために、さまざまなデータを活用しているのですね。そのデータの展開先の一つであるdomus optimaは、現在はまだβ版ですが、シャープのAIoT家電データを分析することで生活者の“潜在的な需要”を推定し、ユーザーに有益な情報を最適なタイミングでお届けするマーケティングソリューションを提供しています。

その基盤となるAIoTプラットフォームを開発・運営するのがAIoTクラウドです。AIoTクラウドと電通の取り組みは、長いお付き合いだと伺っています。稲本さん、電通との協働を開始した当時の経緯を教えていただけますか?

稲本:もともと当社では、「テレビ機器から収集できる視聴データ等を活用したポータルサイト」の企画運営をしていました。そこで蓄積された膨大な視聴データを有効活用するために、テレビ視聴データの分析や利活用に強い電通に相談し、2012年からマーケティングソリューションへのテレビ視聴データ活用をスタートさせたのが始まりでしたね。

その後、シャープでは「白物家電のAIoT化」が進み、これまでにない“イエナカ”のデータが集まってきました。これらのデータをテレビのデータと同様にマーケティングに活用したいということで、電通とのディスカッションを経て、今回のリリースに至りました。

塩田:非常に長いお付き合いをありがとうございます。おかげさまでdomus optimaはリリース直後から、業種を問わずたくさんのお問い合わせを頂いています。コロナ禍でユーザーとコミュニケーションを取る機会が減り、“イエナカ”での接点を模索されている企業が多く、このタイミングでのリリースが注目を集めたのだと思います。

稲本:当社にもマスメディアや、同業他社メーカーからのお問い合わせがありました。反響の大きさから、“イエナカ”への関心の高さを実感しています。

塩田:続いて、domus optimaにご提供いただいているAIoT家電データについて、具体的にどんなデータなのかを解説いただけますか?

稲本:現在はエアコン、空気清浄機、オーブンレンジ、自動調理鍋、洗濯乾燥機の5機種、約45万台のデータを提供しています。

各機器の電源のオンオフ状況はもちろん、エアコンであれば「室外の温度」や「室内の温度・湿度」「運転モード」などを15分に1回取得しています。空気清浄機は「室内の温度・湿度」に加えて「匂い」「埃の汚れ度」「PM2.5」などの情報も含みます。

調理家電はいつ何を調理したのかという「調理履歴」、洗濯乾燥機は「洗濯コース名」「すすぎ、脱水、乾燥のプロセス詳細」を日時とひもづけて提供しています。

塩田:家電の利用状況だけでなく、室内外の温度などの周辺データもご提供いただけるおかげで、生活者の「リアルな暮らし」をイメージできる、粒度の高い分析が可能になっています。

各AIoT家電から取得したデータは、「時間帯」とひもづけて提供されることで、「実際の製品の利用のされ方」が分析可能となっている。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。

各AIoT家電から取得したデータは、「時間帯」とひもづけて提供されることで、「実際の製品の利用のされ方」が分析可能となっている。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。
各AIoT家電から取得したデータは、「時間帯」とひもづけて提供されることで、「実際の製品の利用のされ方」が分析可能となっている。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。

“イエナカ”のデータ分析で商品・サービスの“潜在的ニーズ”が浮き彫りに!

塩田:ここで私から、AIoT家電のデータをもとに、domus optimaでどのような分析を行っているのかを少し紹介させてください。以下の図は、5機種の使用時間の分布をグラフ化したものです。

5つのAIoT家電がどの時間によく使われているかを比較したデータ。もちろん特定ユーザーのデータではなく、全国から集まったデータを統計化した上で分析している。
5つのAIoT家電がどの時間によく使われているかを比較したデータ。これらのデータはすべて匿名化されており、個人は特定されない。

塩田:例えば、朝何時ごろに起床し、何時に朝食を取り、午前中に洗濯機をかけて、お昼ご飯はレンジでチン。夕方から自動調理鍋で夕食の準備を行い、それを追う形でオーブンレンジが稼働し、20時前に夕飯。0時ごろにエアコン使用量が下がるので就寝。

と、家電の状況からどのような生活リズムを送っているのかをひもとけます。

これらのデータは、広告配信への活用も可能です。大手食品メーカーと行った実証実験では、「オーブンレンジを週1回以上利用しているユーザー群」に絞って、温めるだけで本格料理が作れる商品を訴求したところ、CTRが35%向上しました。

広告配信事例と結果

塩田:また、機種ごとの比較分析により、「ファミリー向けオーブンレンジを利用しているユーザー群」のクリック率が高いことが分かり、「その商材はファミリー訴求が有用」という推定ができました。

機種別分析結果

塩田:さらに、使用目的別分析では、「“冷凍食品の解凍”機能を利用するユーザー群」よりも「“パンやピザのあたため”機能を利用するユーザー群」のクリック率が高いため、比較的料理意識の高いユーザーに、この商品のニーズがあるのではないかと推察できます。

使用目的別分析結果塩田:このように家電データを活用することで、これまで見えてこなかった生活シーンや消費行動に基づいた分析ができます。

現在、対象の家電数は45万台ですが、顧客インサイトを知るための分析基盤としては、十分な台数です。domus optima分析で得られた知見をさまざまなマーケティング施策へと活用することで、現状でもクライアントのマーケティング課題を解決できると考えています。

稲本:ここで改めて“イエナカ”のデータで重要なポイントだと感じるのが、「利用許諾のプロセス」ですね。あくまでも個人を特定できないデータを分析しているとはいえ、一つ一つのデータ自体はお客さまのものであり、これらの取り組みは、お客さまのご理解とご協力なくして成り立ちません。

塩田:ユーザーから同意を得るために、心がけていることはありますか?

稲本:収集するデータ内容と収集する目的、どのような企業に第三者提供するのかを、いかに分かりやすくお伝えするかという点を心がけていますし、実際に常に改善を重ねています。あくまでも製品の利便性を上げることでお客さまにより良い生活を提供することが目的なので、お客さまの意図しない形でデータが勝手に活用されることは、絶対にあってはならない。

そのためには、個人情報保護法なども社会状況に応じて都度改正されますが、常に動向をウォッチしながら、国のガイドラインにのっとった形で対応できるように取り組んでいます。

塩田:ユーザーから許諾を頂く際に、データの利用範囲や内容について、よりわかりやすくお伝えすることが不可欠ですよね。その上で、ユーザーに「許諾することのメリット」を感じ続けていただけるように、コミュニケーションも含めたサービス設計を心がける必要があると、われわれも考えています。

データ利活用の「考査」がIoT家電の信頼性を高める

塩田:今後、IoTはますます普及していくことが予想されます。お二人はAIoT家電で、この先どのような未来を作っていきたいですか?

中田:新しい価値を生み出すためには一定の普及率が必要で、具体的な数字で言えば、「クラウドへの接続率」が日本全体の3割を超えると、一気に世界が変わると考えています。家電の位置づけが急激に変わり、お客さまにとって本当になくてはならないもの、お客さまに寄り添うパートナーになれると期待しています。

そのために重要なのは、他社との協力関係です。データをただたくさん集めるだけなら1企業でもできますが、その価値を大きく広げていこうとすると、1社でできることはものすごく限られた、狭い世界になってしまう。だからこそAIoTプラットフォームを、競合や業種といった枠組みを超えて、さまざまな企業と一緒に連携していけるオープンなものにしていきたいのです。

稲本:お客さまにより良いサービスを提供する、お客さまの生活を豊かにすることを追求していきたいですね。これまでテレビから始まって、今回のような白物家電まで、さまざまなデータが蓄積されてきました。日々そうしたデータに接する中で思うのは、これらは生活者の“生活そのもの”を表したデータだなということです。そのさまざまなデータを組み合わせることで、今までできなかった生活者理解がさらにできるようになっていくはずです。データの活用の範囲についても、デジタルマーケティングだけでなく、さまざまな可能性があります。

AIoTクラウドには、ビッグデータを蓄積し、クラウド間連携をしたり、サービスに活用したりといったさまざまなノウハウがあり、新たなシステムづくりも進めています。今後はそうしたシステムにより、多くの企業と連携していきたいですね。

塩田:ありがとうございます。私からはdomus optimaとIoT家電データの今後について、3つ述べさせてください。

1つ目は、データの掛け合わせによる価値の創造です。企業のマーケティング課題を解決するにあたり、家電データだけではもちろん完璧ではありません。“イエソト”の購買データやその他さまざまなデータと掛け合わせることで、より大きな価値を生むことができます。

「データの掛け合わせ」をする上では、法令やビジネス、セキュリティなど大事なことはたくさんありますが、「ユーザーが不快な思いをする手法になっていないか?」「利用許諾をした後も、ユーザーが許諾を取り消すことができるか?」「データの利用のされ方が事前に提示できているか?」などの顧客体験も重要な視点だと考えています。

広告表現の世界では、顧客体験を考えるうえで、「考査」というものがあります。モノが売れる・売れないよりも一歩手前で、「そもそもユーザーが情報を受け取って不快に感じないか、メリットを感じていただけるか」を事前に確認します。ユーザーを第一に考えたデータ利活用においても、この考査を参考にプランニングしていく必要を感じています。

2つ目は、生活基盤“イエナカ”からさまざまな生活をより豊かにしていくということです。近年、自宅でも職場・学校でもない「サードプレイス」に注目が集まっていますが、やはりどこまで行っても生活の基盤は、安心が担保された自宅である「ファーストプレイス」、つまり“イエナカ” にあります。コロナ禍の時代だからこそ、「イエナカを起点に、ユーザーの生活全体をより豊かにする」ということに、domus optimaを通して取り組んでいきたいです。

3つ目は、「思いやりの可視化」です。さまざまな分析をしていて感じることは、家電データはただの利用ログではなく、「誰かが誰かのために行動した足跡」だということです。家電データにはある種“家族の思いやり”が反映されている部分があるのかなと。domus optimaを通じて、そういうなかなか可視化されない「思いやり」にフォーカスを当てていけたらと思っています。

稲本:domus optimaでは、電通のデータテクノロジーと経験で、デジタルマーケティングにとどまらない新しい世界を切り開いていただいていますね。今後も連携を深めて、お客さまにとってより良い世界を作っていきましょう。

中田:domus optimaで、さまざまな企業がたくさんのデータを活用して、日本に新しい価値を生み出していく、ひいては世界にも広げていく、そういう起爆剤になると期待しています。AIoTプラットフォームをオープンなものだと言いましたが、いろいろな企業と新しい価値をつくっていくためには、多くの企業との関係をうまく回していく経験を持った電通の力も頼りにしています。

塩田:ありがとうございました。この記事を読んでdomus optimaの活用に興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

また、最後に宣伝です。今回ご紹介した「domus optima」について、CEATEC 2021 ONLINEに電通として登壇することが決定しました!

CEATECとは、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が主催する、アジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会です。

家電メーカーや自動車メーカーの技術者が参加者の多くを占める中、今回、マーケティング領域や広告業界の企業として参加しますので、ぜひご覧ください。


【DX】家電データの可能性~AIoTクラウド(シャープグループ)・電通/三菱電機の新たなる挑戦~ | CEATEC 2021 ONLINE

https://www.ceatec.com/ja/conference/single.html?contentId=3059
 
※個別聴講予約不要。入場登録でそのまま聴講可能です。
※アクセスの集中を避けるため、事前の入場登録をおすすめいたします。

▼△CEATEC 2021 ONLINE 入場登録はこちら▼△

https://www.ceatec.com

 

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丸亀製麺、海外進出が成功できた理由…10カ国200店超、日本とはまるで別の店

 うどんが食べたいわけではなかったが、丸亀製麺が発売している弁当とはどのようなものか、試してみたくなり購入してみた。実際、食された方も多いだろうが、たとえば、もっとも安い390円の「2種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当」では、うどんの上に竹輪と野菜の天ぷらに加え、玉子焼きときんぴらごぼうが載っている。これに冷たい出汁をかけて食べる、いわゆる「ぶっかけうどん」というスタイルである。ボリューム、味ともに申し分なく、今年4月に発売後、1200万食を超える大ヒットとなっている状況も頷ける。

 ちなみに、温かいうどんを好む筆者は、これまで「ぶっかけうどん」を食する機会はなかったが、今後は店内飲食の際もオーダーしてもよいと思っている。このように、うどん弁当は単なるコロナ禍に対する緊急対策という次元を超え、新たなニーズの掘り起こし、価値の提供に見事に成功しているように思われる。

丸亀製麺の海外進出

 街のいたるところで見かけるようになった丸亀製麺の店舗数を改めて調べると、9月末時点で国内844店にまで成長している(トリドールホールディングス月次売上高レポート)。さらに驚くのは、海外10の国と地域に進出し、226店舗を展開していることである。ちなみに進出先は、イギリス、アメリカ、フィリピン、カンボジア、ベトナム、台湾、インドネシア、ロシア、中国、香港となっている。

 筆者が初めて海外で丸亀製麺を目にしたのはハワイだった。ずいぶん昔のことではあるが、メインの通りを歩いていた際、見覚えのある看板が目に入ったことを今でもよく覚えている。メニューを見ると、日本とあまり変わらない内容であったと記憶している。

 しかし、その後、上海のフードコートにある店を通りかかった際は大変驚いた。いかにも辛そうな赤い色をした(もはや出汁とは呼べない)スープのうどんなど、日本の丸亀製麺とはまったく別の店という印象だった。

 また、フィリピンの店の前を通り過ぎようとした際、準備していたスタッフと少し話したこともあった。アルバイトではなく、店長に準じる責任ある立場である彼はインドネシア人で、「店の立ち上げに伴い、赴任してきた」とのこと。日本の丸亀製麺がフィリピンに出店し、インドネシア人が働いている――、グローバルな社会とはこういうことかと大変驚いた記憶が残っている。ちなみに、メニューは上海同様、日本とは大きく異なっていた。また、店はBGCというマニラ近郊の高級エリアの一等地に立地していた。

飲食業の海外進出

 製造業であれば、たとえば日本で良い商品を生産し、輸出すればOKという場合も少なくはない。しかし、飲食業など多くのサービス業においては、現地で店を運営していかなければならない。異国における、立地の確保、店舗の建設、人材の採用・訓練、商品開発、プロモーションなど、どのプロセスも極めて複雑で困難なように思われる。

 たとえば、丸亀製麺は今年7月にイギリスに進出して大きな成功を収めているが、以前、立ち上げようとした際には、出店場所の確保すらできずに断念したという苦い過去があるようだ。今回の進出は、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスが2015年に買収した欧州の飲食チェーン「Wok to Walk」のノウハウ、経験、人材などをうまく活用することにより成功させているとのこと。

 こうした事例を見ると、もちろん、市場の相違に着目した商品の現地への適応化などは大切ではあるものの、とりわけサービス業の海外進出においては現地パートナーとの関係性構築などがより重要となるのかもしれない。
(文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授)

生活を何も変えずに電気代を減らせる「電力会社乗り替え」のポイントをFPが解説

 家にいる時間が増え、さらにコロナ対策として部屋の空気を入れ替えることも増えた今、「電気代がかさんでいるな……」と感じる人も多いのでは?

 とはいっても、「こまめに電気を切るのは面倒だし……」「エアコンを我慢するのはつらいし……」と思う方もいるでしょう。実はもっと簡単に、生活を何も変えずに、電気代を減らせることをご存じでしょうか。

年1~2万円ほど安くなるケースも

 以前から契約している電力会社を、ずっとそのままにしている人も多いでしょう。2016年からの「電力の自由化」によって、それまではエリアごとに決まっていた電力会社を自由に選べるようになりました。

 生活を何も変えずに電気代を安くできる方法は、自分に合った電力会社やプランに乗り替えること。年に1~2万円ほど安くなるケースも多々あります。

 電力会社を乗り替えると、「よく知らない会社だけれど、電気がチラついたりしない?」「大手会社でないなら、急に停電になったりする?」と心配になる方も多いと思います。でも、基本的に電気の使い勝手や安全性はほぼ変わりません。また、申し込みもネットでできるところがほとんどで、思っている以上に簡単です。

 筆者も数年前に電力会社を乗り替えましたが、当初思っていた不安が一気に吹き飛ぶほど、手続きが簡単で拍子抜けしました。その後も特に問題は感じていませんし、何より電気代が少し安くなったことがうれしいです。

 特に電気代はずっとかかりつづける支出なので、一度見直すと、その後の節約効果は絶大。「乗り替えるって面倒だな……」と思うかもしれませんが、ぜひ手続きにトライしてみてください。

「比較サイト」で簡単に乗り替え可能

 では、電力会社を乗り替えるには、どうしたらいいのでしょうか。

 おすすめは「比較サイト」を使うことです。主な比較サイトには「エネチェンジ」「価格.com」「電気料金比較」「新電力比較サイト」などが挙げられます。

 たとえば、「エネチェンジ」の場合は、サイト上で居住地域や在宅状況、世帯人数のほかに、現在の電気使用量などを入力するだけで、さまざまな電力会社を比較できます。

 節約度の高い順番で電力会社の候補が出てくるので、料金やサービス、会社の取り組み、ポイント制度などの内容を確認して、そのままサイト上で申し込むだけで、乗り替え手続きはOK。

 申し込み後、1カ月前後で新しい電力会社に乗り替えができます。電力メーター(スマートメーター)の設置が必要になる場合がありますが、その際も費用はかからず、基本的に立ち会いの必要もありません。意外とあっという間で、拍子抜けすると思います。

 ぜひ一度、比較サイトで「うちの場合はどれくらい安くなるのかな?」とチェックしてみてください。思った以上に節約になるとわかれば、「よし、乗り替えてみよう」と思うはずです。

「中途解約手数料」に要注意

 時期によっては、比較サイトや電力会社がキャンペーンを行っている場合があります。キャッシュバックや契約後数カ月間の割引などが挙げられます。

 また、電力会社によっては、TポイントやPontaポイントなどのポイントが付く場合もあり、ポイ活をしている人は、自分が好きなポイントが貯まるかどうかを見てみてもいいでしょう。

 ただし、気を付けたい点が「中途解約手数料」の有無です。1年または2年以内に解約すると、中途解約手数料として2000円かかるといったケースもあります。中途解約手数料の有無や条件を、よく確認した上で申し込みましょう。

賃貸マンションでも大丈夫?

 電力会社の乗り替えは、持ち家だけでなく、基本的には賃貸物件でも、マンションやアパートなどの集合住宅でも可能です。電力会社と入居者とが個別に契約していれば、その契約を変えるという形で乗り替えることができます。

 ただし、建物全体で電力会社と契約している場合はNGなので、お住まいのケースがわからない場合は、管理会社などに確認してみてください。

 また、電力会社を乗り替える場合に、今使っている電力会社への連絡は不要です。そのため「うちの会社をやめないでくださいよ」といった引き留めにあうこともありませんので、その点は心配ご無用です。

 ぜひいろいろ比較してみて、ご家族とお住まいの方はご家族でご一緒に考えて、使い方に合った電力会社やプランを見つけてみてください。電気代が自然に減れば、その分、自然にお金も貯まるようになるはずです。

(文=西山美紀/マネーコラムニスト)

かつてのパチンコ雑誌は「不適合者の受け皿」!? 業界の大御所たちが有名攻略誌の編集部員たちを回想

 全盛期と比べて発行部数は激減したものの、今なお、あらゆる企画でファンを楽しませてくれるパチンコ・パチスロ雑誌。無論、雑誌の製作にはライターや編集者など様々な人々が携わっており、その編集者のたゆまぬ努力があったからこそ、アンダーグランドなジャンルの雑誌が一定の地位を確立したともいえる。

 ただ、そんな雑誌に携わる人々には奇人変人が多かった模様。ヒロシ・ヤング氏によるYouTubeチャンネル「ヤングちゃん、寝る」内の動画「奇人変人大集合!?『パチンコ必勝ガイド』編集部に居たおかしな人たち!!」では、大崎一万発氏と共に、かつてのパチンコ必勝ガイド編集部について回想している。

 ヤング氏はかねてから持論があるそうで、ライターでいえば沖ヒカル氏・木村魚拓氏・ういち氏など、ガイド系に「おかしなヤツラばっかりいる」のは、全てパチンコ必勝ガイド初代編集長だった末井昭氏が「おかしな磁力で吸い寄せた」と発言。

 これには後にパチンコ必勝ガイドの編集長を務めた大崎氏も納得で、「普通だったら不適合で弾かれるところを全部、受け止めた」とした後、受け止められた側も「これでいいんだ」と安心した結果、変なところがさらに伸び、それが「面白い」との評価に繋がったと分析している。

 一方、編集者たちも、不適合者ながらも仕事の取り組みに対してはマジメ。当時は、10数人で増刊を含めて4冊程度の雑誌を製作していたそうで、ハードなスケジュールの中、マジメで「責任感が強すぎる」が故に、「ガ~ってなって、逃げちゃう」人も少なくなかったそうだ。

 また、大崎氏によると、徹夜業務が当たり前の締め切り間際になると、「斧を振り回しながらパンツ一枚で仕事してる人」もいたとのこと。これには「思っていたのと違う」と予想外の奇人変人ぶりにヤング氏も大笑いしたが、その人も最終的にはどこかへ逃げてしまったという。

 反面、大事な原稿を電車に忘れてしまうようなミスをする人々でも、ある種、編集者のプライドは持ち合わせていたようで、入手したパチンコ攻略法を掲載雑誌の発売前に実践するといった行為に出た者はいなかった模様。「守るべき所はしっかりと守る、信用できる編集部だった」と大崎氏は当時の同僚たちを振り返っている。

 そんな個性的な人々が集うパチンコ・パチスロ雑誌の編集部だったが、現在は「サラリーマンもできる」常識的な人々が中心とのこと。不適合者の受け皿だったハズなのに、いつのまにやら「ふるいにかけられた」そうで、結果的に馴染めない者たちは姿を消すようになり、そんな状況をヤング氏は「スゴイさみしい」と嘆いている。

 大崎氏曰く、当時は「センスがあって頭がいいけど、一般的には伝わらない人たち」がパチンコ・パチスロ雑誌を作った時代。そんな時代を知りたい方々には、是非とも当動画をご覧いただきたいものである。

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元JRA藤田伸二「自信過剰」吉田隼人にイラッ!? 秋華賞(G1)本命ソダシ声援も実らず…… 騎乗フォームにも「岩田じゃないんだから」とダメ出し

 17日、阪神競馬場で開催された秋華賞(G1)は、4番人気のアカイトリノムスメがゴール前で抜け出して優勝。名牝アパパネの娘が見事、最後の一冠で親子制覇を成し遂げた。

 一方、同じ金子真人オーナーが所有するソダシは直線で伸びを欠き、まさかの10着。単勝オッズ1.9倍の断然1番人気を裏切る結果となった。

 この大敗を受け、騎乗した吉田隼人騎手は「ファンの皆さんの気持ちに応えられず、申し訳ない気持ちです」とコメント。まさかの大敗にショックを隠せなかった。

 そしてこの吉田隼騎手の騎乗に物申したのが元JRA騎手の藤田伸二氏だ。

 藤田氏はこの日、15時から自身のYouTubeチャンネルでライブ配信を敢行。ファンの質問に答えながら、お酒の力も借りていつも以上に上機嫌で配信は進行した。

 もちろんレース前には秋華賞の予想を披露。本命に抜擢したのは白毛馬ソダシだった。「とりあえずソダシが強いだろうっていうのをもう認めよう」と切り出した藤田氏。その後も、「ソダシは別格」、「隼人を信用して馬単1着流しで……」と、桜花賞(G1)に続く二冠獲得を信じて疑わなかった。

 そして迎えた発走時間。ソダシが好スタートを切り、好位にとりつく場面を見届けると「もうこの時点で隼人は『はい、十二分』と思ったと思う」と理想の位置を確保した後輩の心理を読んでみせた。

 レース中盤を迎え、1分1秒2という1000m通過ラップを聞いた藤田氏。『ちょっと遅いね。ソダシもう楽勝するかも』と早くも勝利を確信しながらも、テレビ画面に目をやった次の瞬間、藤田氏の表情が一気に曇り、こう言い放った。

「隼人!? まだはいーって(早いって)!おまえ、エイシン(ヒテン)は相手じゃねーんだって!なんで後ろから来る馬待たねーんだよ!」

 この時点でソダシは特に後ろからプレッシャーをかけられたわけではなかったが、吉田隼騎手はスパートをかけ、エイシンヒテンに並びかけにいく積極的な競馬を見せた。結果的に、これが響いたのか、ソダシは直線で失速。オークス(G1)以来となる黒星を喫した。

「藤田氏が吉田隼騎手の早仕掛けをいち早く察知したのは、さすが元一流騎手だと思いました。最後の直線でも一縷の望みをかけ、ソダシに声援を送っていたのですが……。

ソダシの敗戦を受け、レース直後はやや口数を減らしていた藤田氏ですが、レース終了から1分ほどが経ったときに突如怒りが頂点に達しました」(競馬誌ライター)

「俺が一番(レースを)見ていて、馬券を買ってイラッときたのが、隼人があのスローペースで4コーナー手前から、後ろからつつかれているわけでもないのに自分からエイシンを食ってかかりに行ったっていうのが……」と鞍上の早仕掛けを批判。

「ある意味、今日は自信過剰になりすぎた騎乗だったのかな」と続けた。さらに「隼人、おまえこれ騎乗ミスやぞ。今日は……」、「なんで自分で動くんだ。後ろから来るまで引きつけるくらいの気持ちがないと、それくらい強い馬なんだから。もっと馬を信じて乗るべきだった」と自身の見解を述べた。

 その後、リプレー映像で直線の吉田隼騎手の騎乗ぶりを改めて目にした藤田氏は「隼人、おまえ、その尻もちつくような追い方するなよ。康誠(岩田康誠騎手)じゃないんだから……」と、怒りは収まらず、最後は“宿敵”の名前も出して、その騎乗フォームにも苦言を呈していた。

 勝利を信じて疑わずレース前まで上機嫌だった藤田氏だったが、ソダシの惨敗を受け、まさに天国から地獄に落とされた気分になったことだろう。次週の菊花賞(G1)でも“舌好調”な藤田節を聞かせてもらいたい。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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 2021年のパチンコシーンを、大いに盛り上げているサンセイR&D。そんな同社は、またもや激アツの新台を導入予定だ。「突入」「継続率」「出玉」3拍子揃った「究極パチンコ」を発表し、熱視線を浴びている。

 話題の新台『Pゴッドイーター究極一閃』は、大当り確率1/319.68でRUSH突入率75%。電チュー大当り時は、全て10R(約1500発)に振り分けられるのが大きな特徴と言えるだろう。

 見どころとなるRUSH「神バトルRUSH BURST」は、基本的に時短1回+残保留1個で消化。トータル継続率は約80%(時短1回継続率約55.3%と保留1個継続率約55.3%の合算値)と大量出玉に期待できる設計だ。

 また、RUSH中にはプレミアムボーナス「神GOD EATER BONUS」も存在(振り分け割合約1.6%)。発動した場合の期待出玉は、10R+10R(約3000発)と強力だ。前作よりラウンド間インターバルが進化したことで、アタッカー性能が20%アップしている点もポイント。爽快かつ強烈な出玉感を堪能できるだろう。

「突入率」「継続率」「出玉」の3拍子が揃った「神撃荒神SPEC」が降臨。最高峰の出玉性能を実現した本機が、ホールへ熱狂を呼び込むのだろうか。導入は11月を予定している。

『Pゴッドイーター究極一閃』の登場を待ちわびるファンは多いが、同社がすでに投入している機種も上々の稼働を見せている状況だ。

 その代表は、強烈な出玉情報を続出させた『P牙狼 月虹ノ旅人』。初代の破壊力に加え圧倒的なスピード感も併せ持つ本機は、「14万発」のデータも確認されるなど大きな話題となった。デビューから時間が経過した今でも、本機の爆裂を求めるユーザーは多い。

 その後に登場した機種も忘れてはならない。50%で最大約3000発の出玉がループする『P巨人の星 一球入魂3000』や、「200連オーバー」といった爆連情報も浮上している『P世界でいちばん強くなりたい!』が絶賛稼働中だ。

 業界初システムを搭載した『Pキャプテン翼2020』も話題となったマシン。人気サッカー漫画とタイアップした同社の定番シリーズ最新作は、王道確変ループ「VICTORY ROAD」と小当りRUSH「全力BIG BONUS」2つの異なる確変を搭載した「黄金コンビスペック」が最大の魅力だ。

 遊技したユーザーからは、「2万オーバー獲得」「19連で1万7000発」といった報告が浮上。「一撃約5万発」といった強者も確認されるなど、注目度は高まっていった印象だ。

 演出面も含めて仕上がりを称賛する声も聞こえるが、そんな本機に関連する新情報にも反響が寄せられている。

 サンセイR&Dは10月13日より『Pキャプテン翼2020』に関するアンケートを実施中(10月26日まで)。Webアンケートに回答すると、抽選で「Pキャプテン翼2020オリジナルQUOカードPAY(500円分)」が20名にプレゼントされるという内容だ。詳細は公式ページを確認していただきたい。

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「37馬身差」逆転許したスノーフォール世界最強から転落一途にA.オブライエン師「今年はこれで終わり」、ジャパンC(G1)参戦は絶望か

 現地時間16日、イギリスのアスコット競馬場で行われた英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(G1)は、エシャーダが優勝。最下位7着に敗れていた前走のヨークシャーオークス(G1)から見事な巻き返しを見せた。

 その一方で、3着に敗れたのがスノーフォール(牝3、愛・A.オブライエン厩舎)だ。単勝オッズ1.7倍の圧倒的1番人気に支持されながら、期待に応えることが出来なかった。

「何も話せることはないよ。(レース後の)彼女の様子を見るが、恐らく今年はこれで終わりだろう」

 同馬を管理するオブライエン師のコメントからも、陣営の期待した姿と大きくかけ離れた敗戦だったことが伝わる内容だ。

 それもそのはず。短頭差の2着馬アルバフローラは、8月のヨークシャーオークス(G1)で、スノーフォールが4馬身差で千切り捨てた相手。勝ち馬のエシャーダに至っては、同レースで最下位に敗れており、スノーフォールから約37馬身も後方でゴールをした馬だった。

 そんな2頭が先に抜け出した展開を追い上げたものの、追いつくどころか逆に3馬身半も差をつけられたのでは、本来の走りとは程遠い内容だったと言わざるを得ない。

 スノーフォールは16馬身差という大差で英オークス(G1)を制した際、騎乗していたL.デットーリ騎手から「私は多くのクラシックレースを勝ってきたが、これほど簡単に勝てたレースはない」と、最大級の賛辞も飛び出たほどの逸材だ。

 続く愛オークス(G1)でも8馬身半差、ヨークシャーオークスでも他馬を圧倒してG1レースを3連勝。世界最高峰といわれる凱旋門賞(G1)でも、一時はブックメーカーから1番人気に推されたが、前哨戦に選んだヴェルメイユ賞(G1)を2着に敗れると、凱旋門賞でも6着と振るわなかった。

「極悪馬場で強敵相手の凱旋門賞の敗戦に関しては、仕方のない部分もあります。ですが、牝馬限定戦の上に、これまで問題にしなかった2頭に完敗したのは気になります。

ただ、欧州では珍しくないとはいえ、連戦の続いたローテーションでピークを過ぎている可能性もありそうです。一度休養してからのパフォーマンスに期待したいところでしょう」(競馬記者)

 スノーフォールは、5月の復帰戦から月1走のローテーション。以降は強敵相手にG1を6連戦なのだから、3歳牝馬にとっては過酷過ぎたといえるだろう。ヴェルメイユ賞を2着に敗れた頃には、すでに下り坂だった可能性も否定できない。

 同日に行われた英チャンピオンステークス(G1)は、凱旋門賞5着馬のシリウェイが勝利したが、休み明けで使われていたように余裕のあるローテーションだった。これに対し、凱旋門賞で先着していたアダイヤーは、G1を連戦していた影響もあってか、5着と崩れている。

 ジャパンC(G1)への参戦も噂されたスノーフォールだが、オブライエン師のコメントから察すると、参戦はほぼ絶望的ともいえそうな雰囲気だ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

JRA 武豊「話題のディープインパクト産駒」まさかのタイムオーバー最下位デビューに呆然……ドキュメンタリー「連載」は厳しいスタートに

 やはり本領を発揮すれば力が違ったか。

 16日、阪神競馬場で行われた2R・2歳未勝利(芝1200m)は、1番人気のデュガ(牡2歳、栗東・森秀行厩舎)が圧勝。大ヒット競馬アプリ『ウマ娘』の藤田晋オーナーの“デビュー戦”を任された期待馬が待望の初勝利を手にした。

「今までで一番集中できていた」

 レース後、鞍上の武豊騎手がそう振り返った通り、この日が4度目のレースとなったデュガは終始落ち着いていた。ゲートもしっかりと飛び出して、ダッシュをつけてハナへ。実力馬が主導権をあっさり奪ったところで勝負あったか。最後は2着に4馬身差をつける楽勝だった。

「いきなりオープンのフェニックス賞でデビューを迎えたことで話題を呼んだ馬。そこで3着に好走すると、そのまま小倉2歳S(G3)にも出走するという、いかにも森秀行厩舎らしいキャリアのスタートでした。

重賞でも4着に好走している馬ですから、未勝利戦出走はある意味反則のようなもの(笑)。最後までノーステッキでしたし、ここでは力が違いましたね。他馬を気にするところがあるので、あっさりハナに立てたこともよかったと思います。前走は適性を見極める意味でダート1400mに出走して敗れましたが、距離はやはり1200mが良さそうです」(競馬記者)

 レース後「返し馬ができて、ハナに行くことができて、突っ張らずに走っていた。こうなれば力が違いましたね」と話した武豊騎手は、凱旋門賞(仏G1)からの帰国後初勝利。10日間の隔離期間を経ての復帰だけに「競馬に飢えていた」と意欲は十分だ。

 一方、そんな武豊騎手でも打つ手がない大敗を喫してしまったのが、この日の5Rでデビュー戦を迎えたゲーテ(牡2歳、栗東・武幸四郎厩舎)だった。

 芝1800mのレースでスタートを決めたゲーテだったが、武豊騎手が懸命に促すもズルズルと後退……。集団にまったくついて行けないまま、前の馬から大差の最下位でゴールした。

「雑誌『GOETHE』(幻冬舎)の取材が縁で命名された話題のディープインパクト産駒でしたが、能力がどうかというよりは、まだまだ仕上がり途上。今回は馬にまったく走る気がなかったように見えました。幸か不幸か、JRAからタイムオーバーによる出走停止処分が下っていますし、その時間を利用した立て直しに期待したいですね」(同)

 昨秋、武豊騎手のオーダーメイドの鐙(アブミ)を制作する企画を特集したのが『GOETHE』だった。その時たまたま武豊騎手に連絡したキーファーズ代表の松島正昭氏が、自身の所有するディープインパクト産駒に「ゲーテ」と命名することを快諾したのだ。

「実は、デュガの藤田オーナーが馬主になる決め手になったのも、今年春に『GOETHE』で行われた武豊騎手との対談企画でした。そういった意味では、デュガとゲーテで明暗が分かれる結果になってしまいましたね」(別の記者)

 武豊騎手、そして松島氏との縁もあり、すでに競走馬ゲーテ号のドキュメンタリー連載を始めている『GOETHE』。キャリアのスタートは想像以上に厳しいものとなったが、後の“大逆転”を描く物語としては、決して悪くない“序章”に違いないはずだ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

日本には存在しない経済指標「建設投資」から浮かぶ、韓国の予断を許さない現状

 今月は日本には存在せず、韓国には存在する需要項目である建設投資に関する指標を取り上げる。日本の設備投資には、民間部門が建築物に作るなどの投資が含まれている。公共部門が道路や橋梁を作るなどして資本の形成を行った場合、公的固定資本形成、いわゆる公共投資として分類される。韓国では、日本における民間部門が建築物を作るなどの投資と公共部門が資本形成を行うための投資が、建設投資として分類されている。

 毎月公表される建設投資に関する指標は、「建設景気動向調査」で把握される「建設既成額」と「建設受注額」である。建設既成額は、名前のとおり、建設が終了して発注者に建設物が引き渡された時点での金額であり、建設投資がまさに実施された時期の数値が計上される。一方、建設受注額は、建設企業が建設工事を受注した時点で計上される金額であり、建設投資に先行する。統計庁は、毎月これら指標を公表しており、我々は建設投資の動向と先行きをきめ細かく把握することができるのである。

 建設既成額と建設受注額の母集団は、国内の建設業を営む総合建設企業である。しかしながら、建設景気動向調査はすべての母集団に調査をかける悉皆調査ではなく、一部の企業を選んでその企業に調査を行い、母集団の数値を推計する標本調査である。では、建設景気動向調査ではどのように標本を選んでいるのであろうか。

 まず建設既成額である。韓国では毎年、「建設業調査」を行っているが、この調査結果をもとに、母集団に該当する企業を建設既成額の順に並べていく。そして建設既成額が大きいほうから実際に調査する標本企業を選定していく。その合計が母集団全体の建設既成額の50%に達するまで企業の選定を続け、これを超えた時点で選定を打ち切る。標本となった企業だけに、毎月、どの程度建設を行い、建設物を引き渡したか尋ね、その結果から母集団の建設既成額を推計している。

 次に建設受注額であるが、これも建設既成額とほぼ同様の方法で推計されている。ただし、建設受注額の40%となったところで標本企業の選定を打ち切るところは、建設既成額と異なる。

建設投資は一時的に減少する可能性

 さて実際に建設既成額と建設受注額をみていこう(季節調整値、3カ月移動平均値)。まず建設既成額である。

 2019年は概ね11.3兆ウォン程度で推移していたが、コロナ禍が本格化した2020年の上半期から大きく減少するようになった。最も数値が下がった2020年10月は、コロナ禍前の2019年12月と比較して6.5%のマイナスとなったが、これは、民間機関が2020年1月から10カ月連続で減少となったことが大きく、コロナ禍による民需の落ちこみが大きかった結果といえる。ただし、公共機関も2020年3月から7カ月連続で減少しており、財政政策により公共需要が景気を下支えるといった動きはみられなかった。

 民間機関も公共機関もともに減少したため、建設既成額は2020年秋まで減少をし続けたが、冬に入りようやく回復の動きが見えてきた。2020年11月からは民間機関は、現在に至るまで2カ月ほどマイナスとなったものの、基調として増加が続き、ほぼ一本調子で建設既成額の増加に寄与している。一方、公共機関はマイナスとなる月も多く、どちらかというと全体の足を引っ張っている。そして総じてみれば、民間機関の需要額のほうが大きいこともあり、建設既成額は減少する月はあるものの、傾向としては回復傾向を示している。

 次に建設受注額であるが、今後の建設投資の動きを予測するため、最近の動きをみると(季節調整値、3カ月移動平均値)、2021年4月から7月まで4カ月連続でマイナスとなっている。そしてマイナスの累積は8.8%である。8月には5カ月振りに1.4%のプラスとなったものの、先行指標たる建設受注額の動きからすると、今後の建設投資は一時的に減少する可能性が否定できない。

 建設既成額と建設受注額から判断すれば、建設投資はコロナ禍で一時的に減少したものの、昨年の冬頃より回復傾向にある。ただし、今後は減少する可能性もあり、予断を許さない状況といえよう。

(文=高安雄一/大東文化大学教授)

●高安雄一

大東文化大学経済学部教授。1966年広島県生まれ。1990年一橋大学商学部卒、2010年九州大学経済学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(経済学)。1990年経済企画庁(現内閣府)に入庁。調査局、人事院長期在外研究員(ケルン大学)、在大韓民国日本国大使館一等書記官、国民生活局総務課調査室長、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て、2013年より現職。著書に『やってみよう景気判断』『隣の国の真実 韓国・北朝鮮篇』など。

(図)建設既成額(季節調整値、3カ月移動平均値)

(出所)統計庁「建設景気動向調査」により作成。

(注)公共機関および民間機関の合計の数値である。

パチンコ「最大1800発×100%ST」の充実スペック!「圧倒的スケール」が凝縮された至高のマシン!

 河内家菊水丸とのコラボ機種『オロチョンパII』を皮切りに、パチンコでは数多くのタイアップマシンが登場。2000年代前半の版権ブームを境に、もはやオリジナルのほうが珍しいような状況にもなっている。

 自然、タイアップするジャンルも多彩を極め、一般的なアニメ、映画、ゲーム、ドラマといった映像ありきのコンテンツから芸能人やお笑い芸人、スポーツ選手にキャラクターといった個人をフィーチャーするものまで多岐にわたっている。

 なかには企業そのものや駄菓子・インスタントラーメンといった食品、はてはパチンコ情報誌とコラボした機種なども存在したが、「歌パチ」というジャンルが確立されて以降は歌手やバンドとの結びつきも強くなってきた。

 そういった「音楽系」のパチンコでもユニークな版権マシンがある。それが『CRフィーバーa‐nation』である。「a‐nation」とは観客総動員数が610万人を超える国内最大級の夏フェスのことで、つまりライブイベントとタイアップしたのである。

 このフェスはエイベックスが主催するもので、本機に搭載されている楽曲も同レコード会社に所属するアーティストがメイン。

「TRF」「globe」「浜崎あゆみ」「倖田來未」「鈴木亜美」「AAA」などパチンコ化されている歌手はもちろん、「Every Little Thing」「後藤真希」「m-flo」「hitomi」「Do As Infinity」「May J.」といったパチンコ初参戦組も知名度の高い一流ばかりが揃えられている。

 この圧倒的なスケール感によるタイアップマシンは、大当り確率が1/319.7となるミドルマシン、大当り確率1/159.8のライトミドル、大当り確率が1/99.9の甘デジという3つのスペックタイプで導入された。

 どのタイプも確変突入率が100%のSTシステムを搭載しているが、それぞれST回数と連チャン率が異なっていて、約71.6~約60.0%とそれほど高い継続率とはなっていない。

 その分、出玉感に注力がなされていて、ミドルタイプなら右打ち中の70%が15ラウンド約1800発、ライトミドルでは半分が1500発オーバー、甘デジでも55%が1000発出玉とボリューム満点。

 演出面では先に述べたアーティストを含む全15組それぞれのLIVE映像が展開される「LIVEリーチ」を筆頭に、9分割8ライン液晶による変幻自在のリーチ演出を楽しめるようになっている。

 常識にとらわれないタイアップの可能性を知らしめた一台であり、パチンコの底力を示したマシンでもある。

(文=大森町男)

<著者プロフィール>

 羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。

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