生成AIをパートナーに、幸せな社会を協創する。日立製作所と電通グループの挑戦

左から電通 並河進氏、電通デジタル 山本覚氏、日立製作所 吉田順氏
左から電通 並河進氏、電通デジタル 山本覚氏、日立製作所 吉田順氏

ビジネスにおける生成AI活用と聞くと、今はまだ「生産性を向上させる効率化ツールでしょ?」と思われる方が多いのではないでしょうか。

しかし、生成AIのポテンシャルは、本当はもっといろんな社会課題を解決し、人をワクワクさせ、幸せにする用途に使えるはず──。

日立製作所と電通、電通デジタルの三社は、生成AIで社会課題を解決する取り組みとして「AI for EVERY」を発表しました。人間がAIとともにビジネス価値を創出し、“ワクワクできる方法”で社会課題を解決することをめざす協業プロジェクトです。

リリースはこちら:
電通・電通デジタル・日立製作所、生成AI領域で戦略的協業を開始/第1弾として食品ロス削減に貢献する新サービスの共同検討・提供を推進

 

プロジェクトを主導する日立製作所の吉田順氏、dentsu Japanの並河進氏、電通デジタルの山本覚氏に、「AI for EVERY」プロジェクト概要と今後の展望を聞きました。

<目次>
生産性向上だけじゃない!生成AIの本当の可能性とは?

生成AIが“想像力のスイッチ”を押すきっかけになる

「生成AIの予測がズレる」その先で、生活者視点のアイデアが生きてくる

家族や友人、同僚とは違う、“第3の仲間”に生成AIがなる!

 

生産性向上だけじゃない!生成AIの本当の可能性とは?

日立製作所 吉田順氏
日立製作所 吉田順氏

──「AI for EVERY」のプロジェクト概要と、発足のきっかけを教えてください。

吉田:得意分野が異なる電通グループと日立製作所(以下、日立)が協業することで、さまざまな社会課題を解決できる生成AIサービスを提供できると考え、2024年の秋ごろから三社一体で進めてきたプロジェクトが「AI for EVERY」です。

日立は創業以来100年間以上、社会課題の解決をミッションとしてきました。そのため、生成AIについても、より社会課題を解決するような使い方を追求しています。現在の日立では、金融、製造、流通、インフラなどの領域における需要予測や故障予測含め、幅広い分野にAIを活用しています。

──現在のAI活用は、どちらかというと人間でもできる作業を代替するなどして、業務の効率化などに生かすアプローチが主流ですよね。

吉田:たしかに、AI活用のトレンドは「生産性向上」、いわばボトムラインの向上にあります。しかしこれからは、新たな付加価値の創造といった、いわゆるトップラインの拡大に生成AIを活用する時代になっていくと私たちは考えています。

そして、トップライン拡大のためには生活者視点が必須です。当社はtoBビジネスをメインとしているため、生活者視点のノウハウが必要だと感じていました。そこで、生活者視点を取り入れた体験設計やサービスの開発ノウハウを持つ電通デジタル、そして電通にお声がけをしたのです。

山本:もともと電通デジタルが、日立の主催するオープンイノベーションプログラム「Lumadaアライアンスプログラム」に参画していたことで、ご縁があったんですよね。

並河:吉田さんからのお話にもあったとおり、電通と電通デジタルの強みは、生活者インサイトを捉えた体験やサービスの設計です。日立と電通グループの強みを掛け合わせることでイノベーションが生まれるという期待に加え、お互いに生成AIの力で社会課題を解決したいというビジョンも重なり合っていたので、ご一緒させていただきました。

山本:電通デジタルは、日立が開催した「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」と、日立市が主催した「日立市産業祭」で、日立市の魅力を伝える対話型AIを出展しました。そのとき、日立市の住民の方に「日立製作所はテクノロジーで街を変えられる、これってすごいことだよね」と言われたことが印象的でした。

普段、私はデジタル空間に向き合って仕事をすることが多いのですが、日立との協業を通じて、改めて人の生活や、物理的に肌触りを感じられるモノを作れるっていいなと思いまして。生成AI活用というテーマでも、そういう物理的な要素のあるモノを日立さんと一緒に考えていきたいですね。

関連記事:AIに魂を宿すことはできるのか。日立製作所と取り組んだ「地方創生×AI」をテーマとした新たな挑戦

生成AIが“想像力のスイッチ”を押すきっかけになる

電通デジタル 山本覚氏
電通デジタル 山本覚氏

──「AI for EVERY」の目標はどういったものでしょうか?

並河:社会課題の解決に向けて、生成AIを使ってワクワクするようなアイデアを生み出していくことを目指しています。もう少し詳しくいうと、生成AIが生活者のクリエイティビティを拡張したり、あるいはクリエイティビティを発揮させるきっかけを作ったりしたいと考えています。

──具体的なサービスとしてはどんなものがありますか?

並河:今回「AI for EVERY」の取り組みの第1弾として発表したのが、「今日の気まぐレシピ」です。これは生成AIを活用し、「フードロス」という社会課題を生活者視点で解決しようというソリューションです。

具体的には、当日の気象状況などにより余剰在庫となりそうな食材を予測。それらの食材を使いつつ、さらにその時々の状況にあったレシピを生成し、「こんなレシピはいかがですか?」とアプリやデジタルサイネージを通じて生活者に提案することで、食材の売り上げを伸ばし、フードロスを解決します。

吉田:生活者にとって身近な社会課題でもあるフードロスの削減に、生成AIが使えるのではないかというところから、「今日の気まぐレシピ」の構想が生まれました。クライアント企業としては、スーパーマーケットなど、生活者に食材を販売する流通業者を想定しています。

──第1弾として「今日の気まぐレシピ」を採用した理由は?

吉田:いくつかあるのですが、まず日立では2035年に向けた「日立リテールサプライチェーンビジョン」を掲げ、リテールの未来に貢献するためのシナリオを描いています。そのビジョンの中で「廃棄ロスゼロ」という目標も掲げているんです。

そして何より、三社が持つソリューションの“掛け算”がしやすかったという点があります。日立では需要予測ソリューションを開発しており、スーパーマーケットなどの流通・小売領域で導入していただいている実績もあります。そこで、需要予測や在庫データの管理部分は日立が担う。そして、その在庫データと生活者データを参照してレシピを生成し、売り場のデジタルサイネージなどに表示する部分は電通グループが担う。こんな組み合わせが成立するのではないか、という発想に至りました。

山本:整理すると、「今日の気まぐレシピ」を第1弾として企画したのは、

  • 「生成AIで社会課題を解決したい」というビジョンに合致している
  • 三社がすでに持っているソリューションの“掛け算”で実現できる
  • クライアント企業だけでなく、toCのお客様に向けたアプローチもできる

ということです。クライアント企業のニーズさえあれば、動き出せるところまでたどり着いています。

──レシピ生成の材料となる食材については、4月23日の「AI for EVERY」のメディア説明会で印象に残った発言がありました。山本さんの「今日は4月23日ですが、例えば日付けのような外的要素を取り入れて、『423=しじみの日』という語呂合わせにちなんだレシピも、AIで生成できるのではないか」というお話です(笑)。

吉田:まさに、この“しじみ”に至る話こそが、日立製作所にはない視点でした(笑)。こうしたちょっとした気づきから何かを生み出す山本さんの視点に、「あ、こういう言い方があるんや」と率直に思いまして。ちょっとしたことなんですが、それだけでも三社協業の相乗効果を感じました。

山本:今日はネタの準備がないのですが(笑)。私は電通デジタル以前にデータアーティストという会社をやっていまして、データの上に「アート」を乗せようという意思を社名にしたんですね。つまりサイエンスだけではない、「二度と思いつかないかもしれないけれど、ふと思い浮かんだピーキーなもの」をデータに乗せることができたらな、という思いを今もずっと持っているので、「しじみ」の切り口が出たのかな、と思います。

並河:まさに、今後実現したいAIと人間の関わり方の話ですよね。今のしじみの話のように、生活者の想像力のスイッチを押すような“きっかけ”を、生成AIが作り出す。スーパーに来るまでは予定もしていなかったような料理を作りたくなる「体験」を生み出すというのが、まさに“ワクワク”するような生成AIの活用法だし、生成AIによって生活者のクリエイティブが拡張されるということだと思います。

今回は食材の流通の仕組みと、生成AIのクリエイティブな面をうまくつなげられたので、私たちがめざす「社会課題を生成AIの力で解決するソリューション」として、とても分かりやすい形になったのではないかなと。

山本:生成AIがもたらすものに、「生活者個々人にパーソナライズされた体験」という要素があります。それって、どうしても個人に閉じた体験だと思われがちですよね。ただ、実は「同じメッセージでも、相手に応じてしゃべり方を変えてくれる」ということなので、長所でもあります。例えば小さい子どもに「サステナビリティって大切だよね」と言っても分からないじゃないですか。「地球がずっと元気で、みんなニコニコだといいね」って言った方がいいし、それで大事なことは伝わりますよね。

「今日の気まぐレシピ」でいうと、生成AIによって個々人にもたらされたパーソナルな体験の先に、「フードロスの解決」という大きなテーマがちゃんとあります。おいしそうなレシピを参考に買い物をすることが、社会課題の解決につながるわけです。つまり、言い方を変えてみると、「生成AIが、社会課題と生活者の間に立ち、一人一人に伝わりやすい形に翻訳したメッセージを伝え、課題解決を支援してくれる」ような取り組みでもあるんです。

並河:僕自身コピーライターとして「人の心を一つの言葉で動かす」という取り組みもしてきているんですが、「社会課題の解決に向けて作られた言葉」って、生活者とは少し距離があるんですよね。

なので、ただ「社会課題を解決しましょう」と伝えるのではなく、あくまでも生活者一人一人の「幸せ」につながるような「レシピ」という解決方法を、生成AIが翻訳して伝える。翻訳した内容で多くの人たちを幸せにしていくことで、社会全体の幸せにつなげていく……ということが、今回僕らがやりたいことだなと思っています。

「生成AIの予測がズレる」その先で、生活者視点のアイデアが生きてくる

dentsu japan 並河進氏
dentsu japan 並河進氏

──「AI for EVERY」の発表会後、社内外からはどのような反響がありましたか?

吉田:まず、社内の反応は上々でした。日立だけでは取り組めないクリエイティブな提案ができるということもあり、流通・小売に関係する部門はもちろん、金融領域の担当からもポジティブな反響を多くもらっています。

社外の反応としては、やはり「今日の気まぐレシピ」のこともあって、流通・小売りを中心に業界問わず、ポジティブな反応をいただいています。日立と電通グループが組むという座組を意外に思われるお客さまも多かったのですが、お客さまから「この座組ならどんなことができるか、一緒にブレストしましょう」というお話に発展しているケースも多々あるようです。

山本:意外な組み合わせなのかもしれませんが、そこから、「この三社が生成AIで社会課題を解決しようとしているから、今後社会的にもそういう方向に向かっていくかもしれない」という大きなメッセージとして、他の企業にも伝わるといいですよね。

並河:電通側も、社内外からいろいろとお問い合わせをいただいており、この三社ならではの取り組みへの期待は感じています。やはり生成AIで効率化だけを追い求めるのではなく、イノベーションを起こしたいとか、ワクワクすることをやってみたいと思う企業から、「一緒にやりませんか」とお声がけをいただいています。現時点で具体的な課題がなくてもいいので、ゼロベースでも、雑談からでも、ご相談いただければと思います。

吉田:それにしても、本当に電通・電通デジタルの皆さんと話せば話すほど、「AI for EVERY」の枠組みで取り組めることのアイデアがどんどん増えています。

例えばさっきお話しした通り、日立では、渋滞予測や人流予測、鉄道の乗降者予測、送配電予測、故障予測など、AIでさまざまな「予測」を行っています。でも、AIが100%本当のことを言うわけではありません。需要予測にしても「AIはときに予測を外す」という前提に立つ必要があります。そしてその「外れた」先で、電通グループの生成AIが生きてくるんですよ。つまり、「予測を外すから使えない」ではなく、「予測がずれたときのことを、生活者視点で解決する」という視点を持っていらっしゃるんですね。

生成AI活用について懐疑的な人もまだまだ多いですが、こうした視点を持てば、「AI for EVERY」の枠組みでご提案できる業界は山ほどあると思っています。

──具体的には、「予測を外した」先で、電通グループの生成AIがどう生きてくるのでしょうか?

山本:例えば、AIが「渋滞予測」をしていて、現実の交通の状態が予想からずれた状態になったときに、「渋滞の中でも快適に過ごすための解決方法」を示す……みたいなソリューションを「AI for EVERY」の中で生み出せるかもしれません。

実際にこの前、「旅行中の渋滞でストレスがたまっている運転手を1分で和ませてください」というお題で議論する機会があったんです。そこで生成AIが提案した答えというのが、「抜け道を提案する」だったり、「運転手が好きなタレントの声で話しかける」だったり、「歌を歌う」だったり、こういうアイデアを一瞬で大量に出してくれるんですね。

車内にいる時間が楽しくなれば渋滞もそう悪いものじゃなくなりますし、そうしたコミュニケーションのきっかけを、生成AIが提案できるのではないでしょうか。

吉田:いや、まさにこういう場面での生成AI活用はあり得ると思います。これから自動運転が普及するにつれて、自動車はどんどんエンタメの要素が増えていきます。車載システムに生成AIが実装されて、話し相手になってくれたりということは、当然増えていくんじゃないでしょうか。……なんていう話が、電通・電通デジタルの皆さんと話しているといくらでも出てくるんですよ(笑)。


家族や友人、同僚とは違う、“第3の仲間”に生成AIがなる!

吉田氏、並河氏、山本氏
──今後の生成AI活用の展望を伺えますか?

吉田:今日のお話は主にB2B、B2Cでの生成AI活用でしたが、ゆくゆくはB2EやB2B2E……つまり企業の従業員に対する取り組みも、「AI for EVERY」の中でできるのではないかと思っています。AIに苦手意識や抵抗感のある従業員もいると思いますが、そういう人たちのパートナーとして、例えば熟練のエンジニアが望むようなインターフェースを生成AIが提供してくれたりするということも考えられます。

また、日立では「技術継承」の部分でも生成AIを活用しています。ベテランの技術者やエンジニアが徐々に退職していく中、製造設備の保守方法や、COBOLのような技術者が減少しているプログラミング言語を生成AIに学ばせて、新しい社員がスムーズに対応できるようにする……といった形での活用はすでに始まっています。

並河:たしかに、従業員の生成AIの利用を後押しするための取り組み、B2B2Eの領域はこれから広がりそうです。AIに対する苦手意識や抵抗感みたいなものについては、電通グループでも研究しています。例えばキャラクターモチーフの生成AIが話すことで、従業員の方に親しみを持ってもらうとか、心理的な側面から生成AIの利用促進を促すようなソリューションを開発しています。

山本:いろんな人に積極的に使ってもらうためには、「AIが利用者に話しかけるタイミング」も大事ですよね。例えば、ゴルフで他のプレーヤーと移動中に、会話に困るタイミングで話題を提供してくれるとか。あるいは経費精算をしなければいけないタイミングで代理対応してくれるとか、そういうところから入っていく。そうすると、「なんかお前、いつも俺が困ってるときに声を掛けてくれるな」と生成AIを見直す機会にもなるんじゃないかなと(笑)。

実際、生成AIによって人々の生活が便利になるとか、助けになるという実感があることが大事だと思うんです。今は生成AIが、一部の人の利用にとどまっているし、あまり生活や社会課題に対して役立つものとして捉えられていない面があります。生成AIのおかげで移動が少し楽になったとか、少し残業が減ったとか、まずはそういう身近なところから始めていくために、「AI for EVERY」を活用してもらえたらと思います。

生成AIなら生活者一人一人に適したコンサルテーションも可能ですし、パーソナライズ化した幸せに貢献できると考えています。実際、私たちもChatGPTを自分に最適化させ、毎日使い倒しています(笑)。

並河:“壁打ち”のパートナーとしてもどんどん進化していますよね。最近思いついた言葉なんですけど、人々が安心できる場所のレイヤーを示す言葉としてファーストプレイス、セカンドプレイス、サードプレイスってあるじゃないですか。中でもサードプレイスは「それ以外の自分」の居場所を指す言葉ですが、その言葉になぞらえて、僕は普段使いしている生成AIを“第3の仲間”と呼んでいまして。

つまり、家族や友達、同僚に言えないことをAIには相談できたりするじゃないですか。でも、だからといってAIが家族や友達に代わるわけでもないし、同僚の役割を担うわけでもない。だから、第3の仲間です。

吉田:ああ、いい言葉ですね(笑)。

並河:今ある人間関係とは別に、まさに「困ったときに話しかけてくれる」くらいの心地よい距離感でいられる仲間として、AIを捉えられると良いですよね。すでに生成AI自体の技術は、そこまでは来ていると思います。

吉田:今のお話を聞いても思ったんですけど、やっぱり生成AIってトレンドだから、「AIを導入しないといけない」というやらされ感になりがちです。そうではなくて、AIが「一人一人に寄り添うものである」という議論がもう少し広がれば、「AI for EVERY」がめざす方向のようなこれまでとは違った価値が見いだせるかなと思います。

そのためにも、三社がさらに深く組むことで、「生成AIで本当に社会課題を解決できますよ」ということを証明したい。そして、そうした議論にお客様も巻き込んで、あるいはわれわれ三社がお客さまに巻き込まれながら、お話できるとうれしいですね。

左から電通 並河進氏、電通デジタル 山本覚氏、日立製作所 吉田順氏

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日本初!ABEMAで配信した「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」とは?

左からDDGC 小野寺氏、GumGum Japan 土居氏、DDGC 中村氏、ABEMA 綾瀬氏
左からDentsu Digital Global Center  小野寺氏、GumGum Japan 土居氏、Dentsu Digital Global Center 中村氏、ABEMA 綾瀬氏

デジタルの世界では、日々さまざまな広告ソリューションが開発されています。今回ご紹介するのは、国内OTT(※1)史上初となる「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」

番組の映像を解析し、そのシーンの「文脈」にマッチする広告を映像の枠内に表示するという広告手法です。


PoC(実証実験)を手掛けたのは、コンテクスチュアル広告のトップランナーであるGumGumと、コネクテッドTV(以下、CTV)サービスを展開するABEMA、そして電通デジタル。

各社の担当者に、「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」のPoCを行った背景や成果、CTV市場の今後の展望について伺いました。

(注釈)
※1  OTT=
Over The Top。インターネットを利用することで、マルチデバイスでエンドユーザーにコンテンツを提供するサービス。動画配信サービスや、ABEMAのようなCTVにも対応しているサービスも該当する。
<目次>
年々拡大を続けるCTV広告市場、今押さえるべき潮流とは

日本初!「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」の技術と市場価値は?

「サービスの想起」「アテンション」などの指標で効果を確認!

プラットフォーム横断で「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」を根付かせたい

年々拡大を続けるCTV広告市場、今押さえるべき潮流とは

DDGC  小野寺氏
Dentsu Digital Global Center   小野寺氏

──はじめに、皆さまの自己紹介と、本プロジェクトにおける役割を教えてください。

小野寺:Dentsu Digital Global Centerに所属し、グループマネージャーとして、電通イノベーションイニシアティブと連携しながら国内外のプラットフォームのR&Dに加え、アライアンスやパートナーシップの構築・推進に取り組んでいます。

その一環として、GumGumと連携し、同社の新たな広告配信技術「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」の国内OTT展開を見据えたPoCを共同で企画し、ABEMAに参画いただいて実際の配信環境で検証を行いました。

中村:私もDentsu Digital Global Centerに所属し、主に外資系クライアントを対象とした広告施策の提案・実行支援を担当しています。本件では、クライアントであるExpediaさんの担当として、今回のPoCの配信管理や進行業務を担当しました。

土居:GumGum Japanでセールスディレクターを務めています。今回のPoCでは、GumGumが開発した「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」を、ABEMAの番組にうまく入れ込めるよう、チームのハブとなり、プロジェクトを推進しました。

綾瀬:株式会社AbemaTVで、動画配信サービス「ABEMA」内で提供する動画広告のプロダクトマネージャーをしています。これまでは、主にインストリーム型の動画広告商品の企画・開発に携わっており、自社アドサーバーを活用した新しいターゲティング手法・効果計測ソリューションなどの開発をしてきました。

今回はABEMAのオリジナル番組を対象とした新しい広告体験のチャレンジについて、GumGumと一緒にPoCの設計から配信・効果検証までさせていただきました。 

──CTV市場の動向やトレンドを教えていただけますか?

小野寺:CTVは、テレビの大画面で“好きなときに好きなコンテンツ”を視聴できるスタイルとして、コロナ禍以降、生活者の視聴習慣に根づいてきました。

視聴行動の多様化が進む中で、CTVはテレビCMではリーチしづらい層、例えばテレビ離れが進む若年層や、放送をリアルタイムで視聴しなくなったライト層に対して、リーチを補完する、一つの選択肢になっています。

その中でABEMAは、自社で企画・編成する番組コンテンツを軸に、インストリーム広告を中心としながらも、視聴体験に即した新しい広告体験にも積極的に取り組んでいます。例えば、ライブ中継の文脈に合わせて視聴体験を中断せずに広告表示される「ABEMA Live Screen Ad」のようなフォーマットも、その一例です。

CTVでは、視聴ログやユーザー属性などのデータ活用により、ターゲティングや配信の最適化が進んでいます。さらには、それらの配信にひもづくブランドリフトなどの態度変容効果の測定・可視化も可能となり、テレビCMの代替となる、もしくは補完となる広告メディアとして価値を高めています。

綾瀬:ABEMAも含めた動画配信サービスが充実してきたことで、生活者の日常に「好きなコンテンツを、いつでもどこでも見られる」という視聴習慣が根付いてきているように感じます。例えばスポーツでもドラマでも、家では大画面のCTVで視聴しつつ、外出先ではスマートフォンでその続きを見るといったスタイルが当たり前になってきています。

そして家で「大画面」のテレビデバイスでコンテンツを見る時に、地上波以外の選択肢として、ABEMAのようなOTT/CTVサービスを利用する機会が増えてきた。そのため、CTV広告市場に注目が集まっているのではないでしょうか。実際にABEMAでは、CTV経由の視聴数はコロナ禍以降かなり増えてきています。

中村:海外では、CTV広告が主要な広告手段の一つとして定着している市場もあります。そうした地域に拠点を持つグローバルクライアントからは、日本でも同様の取り組みを行いたいという声が増えています。

──企業が今、CTVに注目する理由は?

小野寺:背景には、視聴行動の変化と、それに伴うメディア環境の再編を捉えたいという意図があります。また、先ほど挙げたようにCTVならではのデータを駆使した広告配信や最適化、配信と連動したブランドリフトサーベイ(以下BLS)を通じて、広告想起や認知、購入意向といった態度変容を可視化できる点もあります。

中村:私はやはり、テレビならではの「大画面」や「共視聴」といった強みと、配信の最適化や効果測定といったデジタルの利点を、両立できる点がCTVの一つ大きな魅力だと思います。

今回のExpediaさんとのPoC施策では、インクリメンタルリーチの獲得を目的に、CTV視聴と相性が良い新しい広告フォーマットを活用しました。また、「旅行」というプレミアム性の高い商材特性から、訴求には大きな配信面を希望されており、テレビデバイスやプロジェクターで 視聴されることも多いCTVサービスとの相性が非常に良かったと感じています。

日本初!「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」の技術と市場価値は? 

GumGum Japan土居氏
GumGum Japan土居氏

──GumGumの「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」とは、どういうものなのでしょうか?

土居:テレビ番組のコンテキスト(文脈)を踏まえながら、番組内の特定のシーンや場所に関連する最適な広告を、最適なモーメントで、該当映像の枠内に表示するというものです。 


これまでの連載でご紹介してきた「コンテクスチュアル広告(文脈ターゲティング広告)」は、ニュースサイトなどのメディア上で、テキストをベースとして文脈の解析を行います。それだけでなく、GumGumにおいては、テキストや画像、オーディオ、映像といったコンテンツに含まれる全ての要素を独自の技術で包括的に解析することで、「文脈」をより正しく理解することが可能です。

例えば自動車のニュースと言っても「自動車事故」「新車販売」などのさまざまな文脈を含んでいる中で、GumGumは適切な文脈を読み取り、「新車販売」といったポジティブな記事を読んでいる読者に対して、自動車の広告を配信できます。

ユーザーはまさにそのモーメントに、その商材に興味を持って閲覧している可能性が高いため、高い効果が見込める広告手段として注目されています。

関連記事:「文脈ターゲティング」、驚異の効果!次世代の運用型広告とは?
 

そして今回の「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」は、その番組映像版と言えます。アメリカとカナダではすでにローンチしており、コンテンツ視聴体験を妨げない“良質な広告体験”として注目を集めています。

──開発経緯も伺えますか?

土居:CTVや動画サイトで表示される一般的な「インストリーム広告」は、例えばコンテンツが山場を迎えるときに画面が切り替わって広告が流れてしまうようなケースが、どうしてもあります。その唐突さから違和感を覚える視聴者も少なくありません。そこで、視聴者にとって、どのタイミングであれば自然に広告を届けられるのかを考えた結果、視聴を中断しないフォーマットの開発に至りました。

──「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」では、番組の何をどのように解析する技術を使っているのでしょうか。

土居:当社は、オープンウェブ上のコンテンツに関して、テキスト、画像、オーディオ、映像情報といったさまざまな要素を、網羅的に解析しています。また画像については、画像に設定されているAltテキストを読み込むのではなく、一つ一つの画像にどういったオブジェクト(人、物、企業ロゴ等)が含まれているのかを細かく解析できる技術を有しています。動画は、静止画が連なるパラパラ漫画と同じようなものなので、一つ一つの画像をオブジェクト単位で解析できる当社の技術は有効です。   

さらに、動画のAudio descriptionというテキスト情報だけではなく、映像の中に含まれるオブジェクトから、より深く映像の内容やコンテキストを理解することができるため、高い精度で映像のコンテキストを理解可能です。
     
──テキスト、画像、映像やオーディオを解析して、コンテンツの文脈を読み取る技術がもともとあり、それらを組み合わせて「動画の解析」「適切な広告の配信」を行うわけですね。

土居:おっしゃるとおりです。ただ、当社でも日本語解析に関してはまだ情報量が少ない面もあるので、今後ブラッシュアップしていきたいですね。特に、日本の動画コンテンツには、バラエティやお笑いなど、「言葉通りには受け取れない」「行間や空気を読む」ことが求められる独特な表現が多く見られます。そうしたシーンを正しく理解・解析するには、高度な文脈理解が必要であり、今後の技術的なチャレンジの一つだと捉えています。

──「体験を阻害しない」というお話ですが、広告が表示される位置は、字幕や人物の顔にかぶらないようになっているのですか?

土居:広告を出すのは、基本的に映像の「四隅」のいずれかです。出演者などにかぶらないように、コンテンツプロバイダー側で広告掲載位置の調整が可能です。また、広告掲載位置の違いによるアテンションの差異は見られなかったという結果も出ているため、パフォーマンスを保ちながら、ユーザーの体験に寄り添った形で広告が掲載されます。

シーン

──今回、ABEMAがGumGumと共同PoCに取り組んだ経緯と、Expediaが参画した経緯は?

綾瀬:ABEMAでは、多様化する視聴環境に合わせた「良質な広告体験」の開発によって、広告主に新しい広告価値の提供と、ユーザーに優良コンテンツの継続的な”無料視聴”機会の提供を目指しています。その一環で、「良質な広告体験」を実現するさまざまな広告フォーマットには積極的にチャレンジしていて、今回「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」という新しい広告手法について、GumGumや電通デジタルと共にPoCの設計をするに至りました。

PoCを行うにあたり、いくつかの番組候補の中から、人気オリジナル恋愛リアリティショー「花束とオオカミちゃんには騙されない」を選びました。その理由は、ロケ地が韓国で、海外でのデートシーンも多く、そのシーンに旅行サービスのExpediaさんはとても相性が良いと考えたからです。

コンテクスチュアルオーバーレイ広告

中村:ExpediaさんにPoCのご提案をした背景には、先ほどお話ししたように、従来の一般的な動画広告が文脈と乖離した形で表示されることで、ユーザーにネガティブな印象を与えるリスクについて、広告主側も強く意識されていたことがあります。

特にブランディング領域では、広告が届く文脈やユーザー接点の質が効果に直結します。そのため、視聴体験を阻害せず、コンテンツに自然に溶け込む「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」のようなフォーマットは、有力な打ち手になり得ると考えました。

「サービスの想起」「アテンション」などの指標で効果を確認! 

ABEMA 綾瀬氏
ABEMA 綾瀬氏

──PoCの概要と、結果について教えてください。

綾瀬:PoCを行った期間ですが、「花束とオオカミちゃんには騙されない」の見逃し配信(2024年11月18日~12月1日)と、一挙放送(2024年11月18日~12月1日)で実施しました。今回はあくまでも広告効果を調べるPoCということで、特定の番組内に手動で広告を掲出しています。

中村:広告効果の検証は、番組視聴者を対象に、BLSとアテンション計測の2軸で行いました。BLSでは、「広告認知」 のリフト以上に「旅行」というキーワードに対する「想起」において、Expediaが競合を大きく上回り、「興味関心」でも有意なリフトが確認されました。

ブランドリフト

──「広告認知」よりも、「想起」や「興味関心」が高まった背景は?

中村:番組の進行を阻害せず、視聴者が番組と「同時」に広告接触する形式上、番組体験の一部として視聴者にエクスペディアというブランドが自然に記憶され、結果的に「想起」へつながったのではないかと捉えています。

綾瀬:たしかに、視聴している番組の文脈に沿って、関連性の高い製品を訴求できる映像内の広告表現なので、視聴者はごく自然に、番組の一部として、また優良な情報として受け入れたのではないでしょうか。また、いままで見たことがない広告の形ということも相まって、「広告」だとそこまで意識をすることがなかったのかもしれません。その点では、受容性の高い広告体験だと思います。

コンテクスチュアルオーバーレイ広告

──もう一つの「アテンション計測」とは?

綾瀬:映像の中に自然に入れ込むからこそ、逆になかなか広告に視線(アテンション)が向かないのではないか?という疑念をしっかり検証するために、NTTデータが脳科学×AIによって提供するクリエイティブ評価ソリューション「D-Planner」を活用しました。これは、膨大な過去データの学習に基づき、「視聴者がこのシーンのどこを注視しているか」を予測し、ヒートマップ的に表示できるものです。

今回PoCで実施したすべてのシーンで分析してみたところ、映像内のExpediaの広告部分に視聴者のアテンションが集中していることが、しっかりと可視化されました。               
 
今回のアテンション計測では、精度の高いAIモデルを使って、「視聴者から広告がどのくらい注視されたか」を可視化できたのが収穫でした。コンテンツのいろんなエリアに焦点が行く中で、きちんとExpediaの広告に目が留まっていることは、この広告フォーマットが機能したことを示しています。

アテンション計測

──この成果に対してExpediaさんからの反応はいかがでしたか?

中村:新しい広告メニューに取り組めたことに対して、ご担当者からは前向きな評価をいただきました。一方で私たちとしては、このフォーマットに最適化されたクリエイティブの在り方については、まだ改善の余地があると捉えています。今後も一緒に「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」に適したクリエイティブの形を模索していきたいと考えています。
Expediaコメント
「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」が、視聴体験を妨げることなく、どれだけユーザーの注目を集められるかを検証することが、今回の目的でした。その結果、広告表示エリアは非広告エリアと比べて約4.8倍のアテンション獲得効果が確認され、フォーマット自体がコンテンツに自然に溶け込みながらも、高い視認性を備えていることが分かりました。

一方で、広告としての認知リフトは限定的でしたが、これはコンテンツとあまりにもシームレスに統合されていたためと考えています。特に印象的だったのは、旅行関連のシーンに広告が表示された際の効果で、ブランド想起は+151%、興味関心は+127%と、当社にとって重要な指標で明確な成果が得られました。

今後は、より多くの高エンゲージメントな番組への展開や、アテンションベースの効果測定手法の進化を通じて、本フォーマットの可能性がさらに広がることを期待しています。
── German Arango (エクスペディア・グループ シニアメディアスペシャリスト)   

──ABEMAの社内での反応はいかがですか?

綾瀬:今回のPoCを通じて、広告受容性が高いことに加えて、想起・興味喚起についてしっかりと広告効果を確認することができて、新しい広告体験としての可能性を感じることができたことは、社内でもポジティブな意見が多かったです。

一方で、映像の中で表現される広告表現という点では、どのようなシーンだと視聴者にとってより受け入れられやすいか、逆にどういうシーンは避けるべきかなどの議論を社内でもっと深めていくことが重要です。番組視聴体験を阻害しない、「良質な広告体験」として、広告フォーマットを確立していきたいと考えています。

プラットフォーム横断で「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」を根付かせたい

DDGC 中村氏
Dentsu Digital Global Center  中村氏

──PoCは一定の成果を得たと言っていいと思いますが、この結果を踏まえて現状の課題は?

小野寺:まずは事例を積み重ね、成功パターンを広げていく必要があります。その上で、CTV広告がクライアントの選択肢として定着するよう、ユーザーの態度変容やモチベーションの変化といった効果を、より精緻に評価できる環境を整えていくことが、私たちの役割だと考えます。

中村:デジタル広告は、広がりを見せる一方で、ユーザー体験を損ねてしまうケースも少なくありません。だからこそ、広告の価値を正しく届けるためには、ユーザーにも広告主にも納得感のある接点をどう設計するかが重要です。私たち代理店の役割は、メニュー選定やプランニングの段階からそのバランスを意識し、より良い広告体験をつくっていくことにもあると思っています。

綾瀬:ABEMAとしても、「コンテクスチュアルオーバーレイ広告」へのチャレンジを続けていきます。視聴者との接点を持っているからこそ、どのようなシーンであれば、どのような見せ方であれば、この広告フォーマットが広告主にとっても視聴者にとっても価値のある広告体験になるかを追求していきたいです。

またそれと同時に、ABEMAだけでなく、今後さまざまなプロコンテンツメディアがチャレンジをしていき、広告価値を証明する事例が増えていくことで、この広告フォーマットに注目が集まっていくのではないでしょうか。     

土居:クリエイティブ面でも、より力を入れていく必要があると思っています。リッチな広告クリエイティブ表現の提供が可能な点は、GumGumの大きな強みです。

GumGumでは今後、動画におけるコンテキストデータとクリエイティブデータをベースとして、「こういうコンテキストにおいてはこういったクリエイティブが刺さりますよ」といった示唆や、「こういった瞬間に広告を出すことによってユーザーの態度変容や高いアテンションを得られますよ」といったことも含めて、クライアントに提案が可能になる予定です。

適切なコンテキストとクリエイティブを提案をすることで、好かれる広告を多くのユーザーに届けていきたいです。

──今後の長期展望を教えてください。

綾瀬:ABEMAには、いくつかのビジネスモデルがありますが、大切にしていることは、常に最適な広告体験によって広告主に新しい広告価値を提供することと、ユーザーに優良な”無料視聴”機会を提供し続けることです。

従来型のインストリーム型動画広告については、これまでABEMAがこだわってきた、CMチャンスのタイミングや厳しい広告考査、安全な広告掲載面などの「広告品質」をこれからも大切にしていきます。それと同時に、今回のような新しい広告体験にもどんどんチャレンジしていきます。          

そのためにも、GumGumや電通デジタルのような、ABEMAが目指す方向や新しいチャレンジに一緒になって取り組んでくれるパートナーとも連携を深めていきたいです。

土居:GumGumとしては、さまざまなウェブコンテンツ、映像コンテンツ上で、より多くのユーザーのモーメントに沿った適切な広告を届けていきたいです。そのためにも、電通デジタルのような代理店、ABEMAのようなプラットフォーマー、さらにはさまざまなベンダーと協力をしながら、環境整備をしていきたいと考えています。          

中村:私たちの立場から見ても、特にグローバルクライアントからは、「日本ではこうした施策はできないのか」という声をいただくことが増えています。今後は、ユーザー体験に配慮したフォーマットがより求められていくと感じています。業界全体で知見を積み重ねながら、国内における活用の幅をさらに広げていけたらと思います。

小野寺:日本におけるCTV領域において、ABEMAは非常に大きな影響力を持ったプラットフォームです。今回の取り組みでは、GumGumのコンテクスチュアル広告やアテンション計測に関する知見を、ABEMAの先進的な取り組みに組み込むかたちで実装していただいたことで、CTVならではの広告体験が一歩進んだと感じています。今後もこうした連携を通じて、価値ある取り組みをご一緒できればと思います。

DDGC 小野寺氏、ABEMA 綾瀬氏、GumGum Japan 土居氏、DDGC 中村氏、

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今日ビジュいいじゃん、エッホエッホ…2025年上半期「Z世代女子」のトレンド、5つのうちいくつ知ってる? – 大人が知らない若者ネット事情

早くも真夏のような暑さの今日この頃、2025年ももう半分が終わろうとしています。6月は上半期を締めくくる時期ということで、Z世代や10代女子に注目する企業が「2025年上半期トレンドランキング」を次々に発表しています。いつでも楽しそうなZ世代女子たちは何に注目し、どんな上半期を過ごしてきたのでしょうか。本記事では、複数のランキングに入っていた5つのモノ・コトを紹介します。Z世代女子のトレンド、あなたはいくつ知っていますか?

ONE、脱炭素戦略を推進=環境対応型の新造船50隻建造―シンガポール

 シンガポールを拠点とする日系コンテナ船事業会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)のジェレミー・ニクソン最高経営責任者(CEO)は、25日付の経済紙ビジネス・タイムズに掲載されたインタビューで、「シンガポールに本社を置くことは、より環境に配慮した次世代の船隊を構築する上で明確な利点がある」と述べ、脱炭素化戦略を推進する考えを改めて強調した。

 ONEは約50隻の新造船を段階的に建造中。うち32隻の「Sクラス」コンテナ船はメタノールやアンモニアといった次世代燃料への改修が可能な設計で、すべてシンガポール船籍として登録される予定だという。さらに、液化天然ガス(LNG)を使用する新船8隻も加わる。これらの船舶は、環境性能の高い船に対して登録料や港湾使用料などの優遇措置を提供する「グリーン船舶プログラム」の対象となる。

 ONEは、2030年までに温室効果ガス排出量を18年比で60%削減し、50年までに排出実質ゼロを実現するという長期目標を掲げている。ニクソン氏は、ONEとシンガポール政府の間には脱炭素化に対する共通のビジョンがあると述べ、同社がシンガポールに拠点を置く海運脱炭素化推進非営利団体「海事脱炭素化国際センター(GCMD)」の創設パートナーを務めていることにも言及。「シンガポールは、規制整備から燃料供給体制まで脱炭素化を後押しする実効性あるエコシステムを有しており、官民連携によって世界的なグリーン・シッピング拠点としての地位を築いている」と強調した。

 さらにニクソン氏は、ONEが技術革新によって運航の効率化にも取り組んでいると説明。過去5年間、人工知能(AI)や機械学習を活用した社内システムの開発に重点的に取り組んできたとし、最適航路の選定や悪天候の回避、コンテナ予約数の予測といった運航支援に役立てているという。これにより、燃料消費の削減や空コンテナ輸送の抑制など、環境負荷の低減とコスト効率の向上を同時に実現するという。(シンガポール時事)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/25-13:46)

1500億円で買収したADKHDを韓国企業に750億円で売却…ベインキャピタルは利益or損失?

●この記事のポイント
・大手韓国ゲーム会社・クラフトンが、日本のADKHDを約750億円で買収
・約1500億円でADKHDを買収したベインキャピタル、損失が出るか利益を得るかは、どちらも可能性がある
・クラフトン、日本のアニメなどさまざまなIPを活用して海外展開を進められる可能性

「PUBG: BATTLEGROUNDS」「inZOI」などの人気タイトルを持つ大手韓国ゲーム会社・クラフトンが、日本の大手広告会社・ADKホールディングス(HD)を買収することが発表された。国内広告業界3位に位置にするADKHDが海外のゲーム会社に買収されることに驚きが広まっている。今回の買収額は750億円。ADKHDの株式を保有する米投資ファンド・ベインキャピタルの関連ファンドから、クラフトンが750億円で全株式を取得するかたちだが、ベインキャピタルは2017年にADKHD(当時の社名はアサツーディ・ケイ)にTOB(株式公開買い付け)を仕掛け、18年に約1500億円で買収を完了させていた。一見するとベインには売却によって損失が発生したように見えるが、「利益を得るのか損失が出るのかは現段階では分からない」(専門家)という。どのようなカラクリなのか。また、なぜゲーム会社であるクラフトンが日本の広告会社であるADKHDを買収するのか。そして、ADKHDにとってメリットはあるのか。専門家への取材をもとに追ってみたい。

●目次

数字だけをみると「高く買って安く売る」かたち

 2007年創業のクラフトンは韓国ゲーム業界2位(2024年/売上高ベース)の大手で成長が続いており、営業利益ベースでは韓国ゲーム業界首位のネクソンを上回っているとの情報もある。昨年には「Hi-Fi RUSH」「PsychoBreak」で知られる日本のゲーム開発会社・Tango Gameworksの事業を継承した。

 08年の買収により現在、ADKHDの株式を保有する会社の筆頭株主はベインキャピタルの関連ファンドだが、今回、その筆頭株主がクラフトンに異動する。実質的にはクラフトンはベインキャピタルの関連ファンドから750億円でADKHDの株式を取得する。今後もベインキャピタルは出資を継続し、引き続きADKHDの経営支援を行うという。前述のとおりベインキャピタルは過去に1500億円でADKHDを買収していることから、数字だけをみると「高く買って安く売る」かたちで損失が発生しているようにもみえるが、元ボストンコンサルティンググループ・経営コンサルタントで百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏は次のように説明する。

「ベインがどのようなスキームでADKを買収したのか、そして今回の売却で利益を得るのか損失を出すのかは公表されていないため、あくまで推察であるという前提でお話します。まず、一般的にプライベートファンドは企業を買収して3~4年程度で価値を高めた上で、その企業を上場させたり株式を他社に売却して利益を得るものです。ベインがADKを買収してから7年が経過した時点での売却という時間軸は、やや長いという印象があり、損失を確定させるというかたちで売却した可能性が一つ目です。このような損切りは、ファンドにおいては珍しいことではありません。

 一方で、1500億円という数字が買収金額ではなく投資金額であり、分かりやすいように話を単純化して例えば1000億円がADKの借り入れで、ベインが取得した株式が500億円だと仮定すれば、ベインは750億円で第三者にADKの株を売却したとしても利益を得ることになります。もしくは、ベインは今後もADKの経営に引き続き関与し続けると発表しているので、全株式を売却するわけではないとみられます。その場合は、最終的に利益を得るのか損失が出るのかは現段階では確定しません」

 ADKの売却額は750億円だが、同社の市場価値は高まっているという。

「ADKは広告代理店のなかでもアニメのIPなどに強く、海外でも権利を持つ企業などを積極的に取得する動きをみせています。そのような企業の価値は現在、市場で高まっていますので、750億円という買収金額を聞いて、個人的にはちょっと安いかなという印象を持ちました」

ADKHDにも海外ビジネス拡大のメリット

 ADKHDの主な事業は広告・マーケティング事業だが、アニメ・コンテンツ事業にも強みを持つ。『ドラえもん」『クレヨンしんちゃん」『プリキュア」『遊戯王』シリーズなど数多くのアニメ制作委員会に参加しており、アニメの制作・マーケティングのノウハウを持つ。また、多くのIPを活用する権利を持つとみられる。クラフトンがADKHDを買収する目的は何か。

「クラフトンとしては、自社ゲームタイトルを日本でアニメ化や映画化して展開するというよりは、日本のアニメなどさまざまなIPをゲームに活用することによって海外展開を進めていきたいという戦略だとみられる。ADKHDがすでに権利を持っているIPはすぐに使えるだろうし、その他のADKHDが直接的に権利を持っていないIPも、日本の大手広告代理店であるADKHDが窓口となって権利保有者である各企業と交渉してくれれば“話がスムーズに進む”と期待できる。加えて、ADKHDのノウハウやコンテンツ企業との接点を活かして、クラフトンは自社のIPに加えて日本のIPを活かしたアニメ・コンテンツの制作とその海外展開を進めることも可能になってくる」

 一方、ADKHDは1月に米国企業(STAGWELL)と海外事業に関する協業を発表するなど海外展開に力を入れており、アジアをはじめ海外でもシェアを拡大させつつあるクラフトンを通じて、ビジネスを拡大させることが期待できるので、大きなメリットがあると予想される」(大手ゲーム会社関係者)

 ADKHDは今回の発表に際し、「グローバルIP企業であるKRAFTONという戦略的パートナーを得たことにより、中期経営計画の中心に置くファングロース戦略の取り組みを加速させてまいります。ADKグループの広告・マーケティング事業や、特徴であるアニメ・コンテンツ事業と、KRAFTONの有するグローバルIPやネットワーク、テクノロジーおよび資金力等を活かし、お互いのユニークネスを最大限活用した持続的成長が期待できると考えています」としている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表)

“束ねて発電所の役割を果たす”、再エネ時代を支えるVPPの正体

 脱炭素化に向け再生可能エネルギーの利用拡大が進む中で、多くの企業がその対応を迫られています。とはいえ、「エネルギー」は自社に直接関係するテーマとして捉えにくく、どこから関わればいいのかわからないという声も少なくありません。

 そこで今注目されているのが、VPP(バーチャル・パワー・プラント)という新たな仕組みです。

 これは、原子力発電や火力発電等の大型の発電所とは異なり、分散型電源と呼ばれる太陽光などの再生可能エネルギー発電や蓄電池、電気自動車、また電力を利用する需要家側の行動変容等を通じて生み出されるエネルギーの調整力を束ねて、あたかも一つの発電所のように扱う仮想発電所のこと。このVPPにより生み出される新たなビジネスをERAB(エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス)と呼び、エネルギーの世界に新たな“ビジネスロジック”が加わる転換点となった存在です。

 実はこのVPPこそ、電力を「使う側」だった企業が、「関わり、稼ぐ側」へと変化できるきっかけにもなり得るのです。再エネを自社の経営戦略の一部としてどう組み込むか——そのヒントを読み解きます。

再エネ普及に新たな選択肢。“デジタル司令塔”VPP

 前回の記事で、太陽光発電などの不安定な再生可能エネルギーが普及することにより、電力の安定供給の必要性が一層高まったことを紹介しました。

 2015年から行われた電力システム第五次制度改革以前は、旧一般電気事業者が主に自社の発電所の調整力を活用して、エリアの安定供給機能を担ってきました。しかし、電力システム改革の1つである発送電分離が行われたことに伴い、その調整力を日本全体で集めることで、いっそうの安定供給が実現するという観点から、電力の価値を細分化し、以前からある電力”量”(kWh)を扱う卸電力取引市場に加え、電力の供給力(kW)を扱う容量市場や、電力の調整力(ΔkW)を扱う需給調整市場が創設されました。これらの市場では、旧一般電気事業者以外の企業も要件を満たすことで取引に参加することができ、エネルギービジネスの拡大が進んでいます。

 ここでこれらの市場で取引を行う主体として注目を集めているのが、VPP(バーチャル・パワー・プラント)です。

 VPPとは、アグリゲーションコーディネーターを司令塔に、複数の事業者・設備とそれを束ねるリソースコーディネーターで構成される仮想発電所のこと。これまで大型の発電所が出力を制御することで担っていた安定供給の機能を、分散型電源や需要家の電力使用量の調整等により担う仕組みです。これにより、自家用発電機や蓄電池等の企業が保有する小型電源や家庭の“節電対応”等が取引の対象になります。

 アグリゲーションコーディネーターは、リソースアグリゲーターが発電事業者や需要家から集める調整力をもとに各種事業者や市場と取引を行います。

 たとえば、需給調整市場で「100」の調整力が必要とされている場合を考えます。このとき、アグリゲーションコーディネーターが「60」の調整力を用意できるとします。まずはその60を市場に提供するための入札を行い、入札に成功すると、リソースアグリゲーターに具体的な調整の指示を出します。たとえばA社に10、B社に20、C社に30といった形で、それぞれ指定されたタイミングで調整するよう依頼します。
リクエストを受けたA社、B社、C社は、リソースアグリゲーターと協調し、その日時で自社の調整力となる空調や蓄電池等を制御します。このように、アグリゲーションコーディネーターは、リソースアグリゲーターの協力を得ながら、集めた調整力を市場に提供します。つまり「市場との窓口」や「引き渡し役」としての役割を担っているのです。

 なお、リソースアグリゲーターが調達する調整力の対象はさまざまで、エネルギー関連企業に限らず、一般企業や家庭も含まれます。調整力のつくりかたも多様です。たとえば、太陽光や蓄電池の電力を出力することで供給量を増やすという方法もあれば、照明や空調の使用を抑えて需要量を減らし、電力の余力という形で調整力を提供するという方法もあります。また、蓄電池に電気を貯めることで一時的に需要を増やし、無駄になりそうな電力を活用するという調整も可能です。

 レジル株式会社はリソースアグリゲーターとしての役割も担っており、マンションに設置した蓄電池を制御することで調整力を生み出しています。

調整力のカギとなる蓄電池の普及

 電力系統の不安定性の課題に対して、蓄電池がその調整力としての役割を担うことを期待し、各事業者が蓄電池の開発や普及を進めています。

 蓄電池が普及すれば、太陽光などの天候任せの不安定な電源の受け皿として活用することが可能になるのです。

 レジル株式会社においても、「マンション防災サービス」を通じて、蓄電池の普及に寄与しています。マンションに対して一つの蓄電池と太陽光発電システムを設置し、災害時などのバックアップ電源として活用するというものです。この蓄電池は防災機能としてだけでなく、平常時も市場取引に活用するなど、調整力としての用途も持ち合わせています。

ビジネスにおけるVPPの可能性

 VPPの普及は、不安定な再生可能エネルギーの供給の受け皿として、電力の安定供給に寄与すると考えられ、結果的に再生可能エネルギーの普及と環境貢献に寄与できるようになるのです。

 また、VPPが拡大することで、調整力を保有している一般企業や家庭も取引に参加できるようになり、多くの方々のエネルギーへの関わり方も変化していくでしょう。

 たとえば、これまでは電力不足が懸念される場合の節電対策としては「該当する時間帯の電気使用量を抑制してほしい」という企業や家庭への要請しかありませんでした。
 しかし、市場が拡大したことにより、非エネルギー企業やエネルギーを消費する側の企業が、エネルギー市場を事業拡大の選択肢として取り入れられる仕組みへと変わってきています。

エネルギーを経営戦略に組み込む時代

 再生可能エネルギーが主力電源として普及するためには、環境性に加え、事業に取り組む事業者の事業収益性が成立することが重要になります。

 新たな選択肢として注目されるVPPですが、まだまだ課題が残されているのも事実。現状、再生可能エネルギーや蓄電池等の分散型電源はその初期投資額の大きさと収益性の観点から補助金に頼らざるを得ないケースも見られます。今後、再生可能エネルギーや蓄電池などの分散型電源の継続的な普及には、ERAB(エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス)がビジネスとして成立、自立できるかが大きなカギになるでしょう。

 また、エネルギーに関わる情勢は、時代によって変化します。主力となりうるエネルギーも、これまで火力、原子力、再生可能エネルギーと、刻々と変化してきました。同じように、VPPを取り巻く環境に関しても、多くの変化が予想されます。

 現在、再生可能エネルギーの主力電源化を目指す中で、VPPはエネルギーの需要供給に関わる機能の一つであり、原子力なども含めたベストミックスを構成する要素を担う存在といえるでしょう。

 VPPは、主力電源として期待がかかる再生可能エネルギーの課題を補完し、多くの人にとってエネルギーの世界に対する“関わりしろ”を広げる新たな仕組みといえます。
 今や、電気やエネルギーは、ただただ「買う・使う」ものから「生み出す」ものへと変化しています。
 エネルギーを「自分ごと」として捉え、未来のビジネスの選択肢を広げていくためにも、今こそVPPの仕組みに関心を寄せるタイミングなのかもしれません。

※本稿はPR記事です。

 

組織を壊す「管理職にしてはいけない人」の特徴とは?〈見逃し配信〉 – 見逃し配信

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