無印良品、V字復活で最高益の理由…日用品に注力でヒット誕生、年100店ペースで出店攻勢

●この記事のポイント
・無印良品を運営する良品計画の25年8月期連結決算見通しは、純利益が前期比13%増の470億円と2年連続の最高益の予想
・600坪ほどの“儲かる店舗フォーマット”、どのエリアに出店しても儲かるというパターンが確立
・購買頻度が高い商材であるヘルス&ビューティー、ハウスウェア、食品が売れている

 無印良品の業績が好調だ。運営元の良品計画が7月11日に発表した2025年8月期連結決算見通しは、純利益が前期比13%増の470億円と2年連続の最高益の予想となった。直近の24年9月〜25年5月期の連結決算も営業収益(売上高に相当)が前年同期比19%増の5910億円、純利益は同30%増の435億円と伸長がめざましい。3年ほど前までは伸び悩みや成長鈍化が指摘されていた同社だが、なぜV字復活を遂げているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

年間110店舗以上のペースで店舗数が純増

 同社の業績が好調な要因について、経営コンサルタントでムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸氏は次のように分析する。

「一つは、出店戦略が非常にうまくいっている部分が大きいです。ここ数年は年間110店舗以上のペースで店舗数が純増となっており、これが全体の売上の上乗せになっています。加えて、600坪ほどの“儲かる店舗フォーマット”が無印良品の鉄板となっており、どのエリアに出店しても儲かるというパターンが出来上がっています。600坪というと雑貨などを中心とする専門店としては大きめの売り場面積ですが、大規模で売上がしっかりとあがる店舗が増えることで全体での売上が伸びています。また、店舗数の伸び以上に売上が伸びているのも好調の要因です。2019年時点では一店舗あたりの売上は4億4000万円ほどでしたが、24年には5億円を超え、約6000万円も増えているのです。一店舗あたりの売上をこれだけ増やすのはかなり大変ですが、全体の店舗数の増加に一店舗あたりの売上増も重なるという好循環が生まれています」

 なぜ一店舗あたりの売上が増えているのか。

「化粧品関連を含むヘルス&ビューティーのカテゴリが大きく伸びています。現在は全体売上の約2割ほどですが、このままいくと3割くらいにまで拡大するのではないでしょうか。同社は10年ほど前から着々と化粧品業界の人員を採用してこのカテゴリを強化しようと商品開発に注力してきました。世の中的にも、消費者の間で、化粧品を選ぶ際に肌にいいもの、環境にいいものを使いたいというトレンドが強まっており、これが無印良品の商品にバッチリはまってきたという面もあります。

 さらに、購買頻度が高い商材であるハウスウェアのカテゴリが売れている点も要因としてあげられます。ハウスウェアのカテゴリというのは要は日用品ですが、ポリ袋や台所の三角コーナーの水切りネット、掃除で使うもの、トイレットペーパー、洗剤、除湿剤、バススポンジといった、価格帯としては一個数百円程度と低価格ではあるものの、家の中で高い頻度で使用される消耗品ですので、その分、高い頻度で買い替えが発生します。これらヘルス&ビューティーとハウスウェアに食品を加えた、購入頻度が高い3つのカテゴリが強化されたことで、お客さんの来店頻度が増え、一店舗当たりの売上増につながっています。

 ですので、無印良品がものすごく変わったことをやっているわけではなく、繁盛するお店の原理原則に則った取り組みを進めた結果といえます」(岩崎氏)

10~20代の客が増加

 かつての無印商品は、比較的購買力の高い30~40代以上の女性層が主力の客層といわれる時期もあったが、その客層も変化しつつあるという。

「ヘルス&ビューティーのカテゴリでヒットしている『発酵導入化粧液』は10~20代に非常に売れており、この世代のお客さんが増えています。数年前から化粧品関連のパッケージデザインをリニューアルしており、見た目的にもすごくシンプルかつスタイリッシュになりました。無印良品の代表的な商品の一つに『敏感肌用化粧水』がありますが、この『敏感肌用』というは非常に日本人に刺さるキーワードでして、化粧品によって肌が荒れたり湿疹になったりして、なかなか合う化粧品がないと悩んでいる女性は少なくなく、そういう人たちが反応し始めて、客層が若い層にも広がっている点も好調の要因でしょう。あわせて、数年前に安達祐実さんがご普段使いしているコスメとして、無印良品の化粧水を紹介した動画がバズって若年層に広がったという側面もあったようです」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、岩崎剛幸/経営コンサルタント、ムガマエ株式会社代表取締役社長)

OpenAI独自開発のウェブブラウザは、グーグルの牙城を崩しネット勢力図をひっくり返す?

●この記事のポイント
・米OpenAIが独自に開発した新たなウェブブラウザを発表すると一部で報じられている
・ネットの世界で広告で利益をあげていた事業者やEC事業者などは影響を受ける可能性
・AIのおかげで人を雇用する必要がなくなるため、有料のサブスク加入者が増加

 米OpenAIが独自に開発した新たなウェブブラウザを発表すると一部で報じられている。これまでウェブブラウザ市場では米グーグルのChromeが約6割のシェアを握り強い影響力を誇ってきたが、その覇権がついに崩れる可能性はあるのか。そして、OpenAIのウェブブラウザとは、どのような体験をユーザーにもたらせるものなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

サブスク型のAIサービスが急成長

 OpenAIがウェブブラウザを提供する理由について、グーグルのChromeへの対抗という次元の話ではないと、エクサウィザーズ「AI新聞」編集長・湯川鶴章氏はいう。

「ウェブブラウザのように見せかける仮想ブラウザという形態ではありますが、すでにOpenAIはChatGPTでウェブブラウザを提供しており、現在でも『Pro』プラン契約者は使えます。チャットボットからAIエージェントの時代に移行し、質問に答えてくれるだけではなくてAIエージェントが必要なアクションをしてくれるようになったことで、ウェブブラウザという環境は非常に有効なんです。

 例えば米Perplexityのウェブブラウザでは、『5種類のバイクのなかで一番早く配達されるのはどれ?』と質問を入力すると、AIエージェントが自動で各サイトに行って配達日を調べて比較して、『一番早く配達されるのは●●です』という答えを返してくれます。『エヌビディアのCEOが動画の中でPerplexityに言及しているところを再生して』と質問すると、YouTube動画を見つけてきて、ちょうどPerplexityについて言及しているところを再生してくれます。『バターチキンカレーとコブサラダを作りたい』と入力すれば、AIエージェントが自動でウォールマートのサイトに行って必要な材料の購入から配達までしてくれます。

 このように、AIエージェントが複数のサイトを自動で行ったり来たりしながら、実際にブラウザを動かしてさまざまな作業を短時間でやってくれますが、OpenAIのブラウザも、まさに同じような体験をユーザーに提供するものになると予想されます。

 アマゾンでは同じ商品でも価格が日々変化していますが、『最安値になったら教えて』とAIエージェントにリクエストしておいて、実際に最安値のタイミングで買えるようになる。しかも、従来のウェブブラウザと違って広告が表示されないので、よりユーザーにとって便利になります。一方で、ネットの世界で広告で利益をあげていた事業者や、このアマゾンの例でいえばEC事業者などは大打撃を受ける可能性があります。

 このように見てくると、OpenAIやPerplexityがウェブブラウザを提供する背景としては、グーグルのChromeに対抗するといった次元の話ではなく、純粋に『AI時代に求められるウェブブラウザを突き詰めると、こういうかたちになるよね』というものを提示しているにすぎないともいえます」

広義の意味でOSの世界で覇権を握る

 OpenAIは広義の意味でOSの世界で覇権を握ることを目指しているのではないかと湯川氏はいう。

「AI時代のウェブの世界で圧倒的な力を持ちたいと考えているのではないでしょうか。例えば企業はRAGという技術を使って社内のデータを蓄積・活用していますが、そうしたウェブに載っていない情報まで入手することを狙っているのでしょう。

 OSという概念を大きくとらえると、さまざまなサービスに必要な技術を提供するシステムという意味になりますが、モバイル時代はグーグルのAndroidとアップルのiOSが覇権を握り、大きな影響力を業界全体に持ってきたわけです。OpenAIはAI時代のOSで覇権を握りたい、その第一歩がウェブブラウザなのでしょう。AIエージェントにさまざまなデータを扱わせようとすると、ウェブ上のデータ、ウェブ以外のデータ、それから現実社会のデータを扱えるようにする必要があり、まずはウェブ上のデータをすべて扱えるようになるためにはウェブブラウザを手掛けるしかありません。そのため、OpenAIがウェブブラウザを手掛けるのは必然といえます」

サブスク型のAIサービスが急成長

 グーグルは広告事業であげた巨額の利益をサービス開発に投じているが、OpenAIは広告をユーザーに表示させないということは、ユーザーから対価をとっていくということか。

「無料が当たり前だったネットの世界で、果たしてユーザーから対価を取れるのかという点が、これまで業界内で大きな論点でしたが、ここ半年くらいでサブスク型のAIサービスが急成長し始めています。AIサービスでは月額3000円、プロバージョンだと月額3万円くらいのサブスクプランにユーザーが飛びつくという現象が起きています。AI開発会社の人たちに話を聞くと、『ここまでサブスクが受け入れられるとは思ってなかった』といった声が聞こえてきます。

 では、なぜユーザーがそこまでお金を出すことになったのかといえば、AIのおかげで人を雇用する必要がなくなるためです。たとえばモバイルアプリによって便利にはなるものの、人の代わりになるほどではなかったですが、AIを使えば『これって、人を雇うのと同じだよね』『しかも人を雇うより全然安いよね』『人間より優秀だよね』という感覚を多くの人が抱き始めています。なので、AIサービスにお金を払っている人は『全然ペイできちゃう』という感覚なんです。

 もっとも、こうした新しい動きは、まだ出始めたばかりなので、どこまで広告なしでサブスクだけで成立していくのかは未知数の部分があるのも事実です。セキュリティー対策も含めてブラウザサービスを維持していくには多額の資金が必要なので、広告をやらないで資金を確保していけるのかどうかは、現段階ではなんともいえません」

 もしOpenAIが本格的にウェブブラウザを提供してくれば、現在の市場勢力図が大きく変わってくる可能性はあるのか。

「OpenAIのウェブブラウザが事業として成功するのかは分かりませんが、仮に成功すれば、ガラッと変わる可能性がありますし、広告やアプリの業界、ウェブサービスを提供している企業はビジネスモデルを変える必要に迫られるかもしれません。これまでChrome、Edge、Safariが圧倒的に強かったブラウザ市場は、新規参入は無理だといわれてきましたが、その構図が変わるかもしれません。

 週間アクティブユーザーが5億人といわれるChatGPTのユーザーが一気にOpenAIのブラウザを使うようになれば、既存のウェブブラウザ事業者に加えて、これまで広告を出してウェブサービスを提供してきた多くの事業者が大きな影響を受けるほどの変化が起きるでしょう。とはいえ、既存のウェブサービス側からの反発も予想されますし、グーグルやアップルも何らかの対策を打ち出してくるでしょうから、今年の後半は混乱が生じるかもしれません」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=湯川鶴章/エクサウィザーズ・AI新聞編集長)

東京23区マンション価格、過去最高=1億3000万円超、首都圏も更新―上半期

 不動産経済研究所が17日発表した2025年上半期(1~6月)の東京23区の新築マンション1戸当たりの平均価格は、1億3064万円と前年同期比20.4%上昇し、過去最高を更新した。土地代や建築費の高騰を背景に、3年連続で1億円超え。首都圏(東京都、神奈川、埼玉、千葉各県)も同16.7%上昇の8958万円と過去最高となった。

 東京23区は、超高額物件の発売で価格が押し上げられた23年の1億2962万円を上回り、初めて1億3000万円を超えた。物価高や人件費の上昇に加え、供給側が高値で売れやすい立地に絞り込む動きが目立つ。海外からの投資も高額化につながっているとみられ、一般消費者には、ますます「高根の花」となった。

 地域別でも、神奈川県が12.4%上昇の6957万円、埼玉県が26.9%上昇の6551万円といずれも高値を更新。一方、千葉県は前年に高額物件が売り出された反動から1.6%減少の5738万円だった。同研究所は首都圏マンションの価格について、「人件費の上昇が続いており、今後も緩やかに上昇する」(松田忠司上席主任研究員)との見方を示した。 

 首都圏の供給戸数は、8053戸で4年連続のマイナス。コロナ禍の2020年(7489戸)以来の低水準にとどまった。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/07/17-17:38)

テレビ広告を“勘”から“科学”へ… アドテクユニコーンが中小ブランドを主役に

●この記事のポイント
・テレビ広告の世界に「費用対効果」を測定することができるテクノロジーを持ち込んだMNTNがニューヨーク証券取引所に上場。時価総額は15億ドルを超える。
・デジタルマーケティングでは当たり前の価値基準が、長らくテレビ業界では導入されてこなかった。だが、インターネットと同じようにテレビ広告の成果を測定できるようにし、その効果を見ながら広告を運用することが可能になった。
・また少額で広告出稿が可能になったことから、中小企業が広告の中心へと変わりつつある。

「Netflixがテレビに対してしたことを、MNTNはテレビ広告に対して行っている」米MNTNの創業者兼CEO、マーク・ダグラス氏は上場時の目論見書でこう語った。

 MNTNはYouTube広告やFacebook広告のように、誰でも簡単に「テレビ広告」を出稿・運用できるプラットフォームを運営する会社だ。長らく視聴率など曖昧な指標でしか測れず「ブランド認知」の領域に留まっていたテレビ広告の世界に、デジタルマーケティングでは当然のように重要視される「広告費用対効果(ROAS)」という価値基準を持ち込んだアドテク業界のユニコーンとして知られる。

 2025年5月末にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、足元の時価総額は15億ドルを超える。2024年の売上は前年比27.9%増の2億2557万ドルと大幅成長を続けており、調整後EBITDAベースでは3880万ドルの黒字を確保している。

 多額の予算を持つ大企業のための「聖域」であったテレビ広告をどのように民主化し、中小企業やD2Cブランドなどあらゆる規模の事業者が参加できる市場に変えたのか。本記事ではMNTNの事業モデルについて解説をしていく。

目次

デジタル広告のパイオニアが挑む「最後の非効率」

 MNTNの創業者であるマーク・ダグラス氏は、20年以上にわたりテクノロジー業界の第一線で活躍してきた人物である。オンラインデーティングサービスeHarmonyのVPoT(Vice President of Technology:システムの責任者)や、広告テクノロジー企業The Rubicon Project(現Magnite)のVPoE(Vice President of Engineering:エンジニア組織の責任者)を歴任し、パフォーマンスマーケティング(いわゆる成果報酬型のマーケティング)の世界を知り尽くしていた。

 MNTNのルーツは、2009年にマーク・ダグラス氏によって設立されたSteelHouse, Incにある。当初はディスプレイ広告やリターゲティングといった、すでに競争が激化しコモディティ化が進んでいた市場で事業を展開していたが、2018年にまだ黎明期にあったコネクテッドTV(CTV)市場に大きな市場機会を見いだす。

 CTVという、いわばデジタルインフラを持つテレビがあれば、広告史上初めてテレビ広告の成果を「測定可能」にし、デジタル広告のように成果をみながら「運用」できる世界をつくることができると気づいたわけだ。その後、既存事業のほとんどを切り捨て、ストリーミングTVの広告という事業領域に特化した。

「ケーブルテレビの番組表やDVR(デジタルビデオレコーダー)は、もはや過去の遺物になった。しかし、広告主とストリーミングネットワークの関係はほとんど変わっていなかった。私たちは、そのギャップを埋めるためにMNTNパフォーマンスTVを立ち上げたのである」。株主への手紙で彼はこう語った。ここの間隙こそが、テレビという巨大メディアに残された「最後の非効率」だという。

「パフォーマンスTV」革命。CMを科学するMNTNの仕組み

 MNTNの核心は、テレビ広告を「ブランド認知」のためのブラックボックスな高額施策から、「売上」に直結する有力なチャネルへと転換させたことにある。リスティング広告やMeta広告などを運用するように、誰でも簡単にテレビCMの出稿、ターゲティング、効果測定、最適化などを行えることが何よりの強みだ。

 これを実現するのが、同社独自の2つのテクノロジーである。

MNTN Matched(AIターゲティング技術): 4億台以上のデバイスから得られるサードパーティおよびファーストパーティのデータを活用し、広告主の商品やサービスに最も関心を持つ可能性の高い世帯をAIが特定する。これにより、従来の大雑把なデモグラフィックターゲティングとは一線を画す、精緻なオーディエンスリーチを可能にする。

Verified Visits Technology(クロスデバイス効果測定): 家庭内の様々なデバイス(テレビ、スマートフォン、PCなど)を連携させ、テレビで広告を視聴したユーザーが、その後どのデバイスでウェブサイト訪問や商品購入といったアクションを起こしたかを正確に追跡。これまでブラックボックスだったテレビCMのROASを算出することができる。

 要するに、そもそも正確なターゲティングでCTV経由の広告を流すことができ、その後のアクションまで測定することができる。データが蓄積されればされるほどターゲティングの精度が上がるという、従来のデジタル広告のような正のループを実現する。

 視聴習慣やオンラインでの行動といった無数のシグナルを分析し、「最近、職人技のコーヒー豆について検索した料理番組の視聴者」など、極めて精緻なオーディエンスセグメントを構築できる。従来の「20代・女性」などといった荒い粒度のデータを基にするよりも、はるかに高い広告効果が期待できる。

 日本ではノバセルやテレシーなどが運用型テレビ広告の代理店事業や分析ツールの開発・提供を手がける企業として知られる。MNTNは広告主自身が管理画面上でCTV向けの広告を配信し、成果を確認しながら運用できるプラットフォームを提供しているという点でビジネスモデルが異なる。

SMBを主役に変えた「フライホイール」が成長のエンジン

 MNTNの急成長を支えるのは中小企業(SMB)をターゲットにした戦略と、それによって生まれる強力な「フライホイール効果」だ。

 まずテレビ広告を「運用型」に変え、少額予算から出稿できるようになったことで、多くのSMBが広告予算をMNTNのプラットフォームに投下するようになる。MNTN上で流通する広告費が増えれば、同社はNBC、Paramount、Foxといった大手ストリーミングネットワークに対する交渉力を増し、より安く広告枠を仕入れることが可能になる。

 広告枠の原価が下がれば当然、広告主目線ではROASが改善し、新たな顧客を呼び込む実績となる。事実、同社への売上のうちインバウンドの問い合わせ経由で獲得したリードは64%と過半を占める。こうして顧客拡大とROAS改善のサイクルが回り、競合を寄せ付けない「Moat(堀)」を築いているというわけだ。

 MNTNは2022年第1四半期以降、プレミアム広告枠の仕入れコストを四半期平均で約8%も削減できているという。顧客数は2019年の142社から2024年には2225社へと爆発的に増加した。

 顧客の約92%はこれまでテレビ広告を出した経験がないSMBであり、新たな市場を切り開いていることの証左といえる。従来のテレビ広告は、既存の大口広告主を主要顧客とする広告代理店やプラットフォームの独壇場であった。MNTNはその常識を覆し、これまでテレビという媒体を検討することさえなかった膨大な数の企業に、その門戸を開いたのである。

 SMBにとっての参入障壁としてはCM制作にかかる高額な費用と時間も挙げられるが、これもQuickFrameやMaximum Effortといった子会社を通じて迅速かつ低コストでプロ品質のクリエイティブを制作できる体制を整えることで取り払っている。予算の少額化や成果の見える化にとどまらず、実際の出稿に必要なオペレーションまで巻き取るのが優位性だ。

3つの巨大市場の交差点に位置。プライバシー規制などが懸念

 MNTNが事業を展開する領域は、パフォーマンス広告市場(2025年米国予測:2854億ドル)、従来型テレビ広告市場(同:約500億ドル)、そしてCTV広告市場(同:334億ドル)という3つの巨大市場の交差点に位置している。

 当面のサービス提供可能市場(SAM)を、米国のSMBだけでみても600億ドル以上と推定している。現在の市場浸透率はわずか0.2%にすぎず、コア市場だけでも広大な成長余地があるとする。

 一方でリスクもある。上場時の目論見書では下記3点が特に詳述された。

広告付き動画配信サービスへの依存: MNTNのビジネスは、広告付き動画配信(AVOD)サービスの継続的な成長に大きく依存している。NetflixやAmazon Primeなどが広告付きプランを導入し、市場は拡大しているが、このトレンドが陰りを見せればMNTNの成長も影響を受ける可能性がある。

データプライバシー規制の強化: CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に代表されるようなデータプライバシー規制は、MNTNの強みである学習に基づく精緻なターゲティングに影響を及ぼす可能性がある。

大手テックとの競争: GoogleやAmazonのような巨大プラットフォーマーが、CTV向け広告の市場により積極的に参入してくるリスクは常に存在する。

 テレビ広告という巨大なアナログ市場に、デジタルマーケティングのメスを入れたMNTN。同社が切り開いた「パフォーマンスTV」という新たな市場が今後どのような広がりを見せるのか注目したい。

(文=干場健太郎)

──小布施GO、未来を誰と、どうつくりますか?

dentsu Japan(国内電通グループ)は、重点領域を切り開く事例創出を担う役職として、グロースオフィサー(GO/特任執行役員)を設置しており、2025年度には、各領域から7人が選出されています。本連載では、電通が掲げる「真の Integrated Growth Partner(インテグレーテッド・グロース・パートナー)」を体現するGOたちの、未来に向けての視点と思考に迫ります。

第1回に登場するのは、小布施典孝GO。Future Creative Center(フューチャー・クリエイティブ・センター)のセンター長も務める小布施GOが注力する「未来づくり」の仕事とは。そして、理想とする「一人一人が創造性を発揮できる社会」とは。

小布施典孝(こぶせ のりたか)
小布施典孝(こぶせ のりたか) dentsu Japan グロースオフィサー(特任執行役員)/電通 Future Creative Centerセンター長。さまざまな企業とのマーケティング/プロモーション/クリエイティブ領域でのプロジェクトに関わり、2020年、未来価値創造を支援するFuture Creative Centerのセンター長に就任。経営の打ち手のグランドデザイン、ビジョン策定、シンボリックアクション開発や、企業や事業の価値向上につながるブランディングやコミュニケーションを手掛ける。カンヌライオンズ2023金賞銀賞銅賞、ACC2024金賞銀賞銅賞、日本マーケティング大賞2024グランプリ受賞。その他、国内外の受賞多数

 

「未来づくり」という仕事

──小布施さんは、グロースオフィサーであるとともに、クリエイター100人が在籍するFuture Creative Centerのセンター長でもあります。最近はどのような仕事やプロジェクトに取り組んでいますか。

小布施:広告の仕事ももちろん多いのですが、最近は「未来づくり」とでも呼ぶべき仕事が増えています。例えば、「これからの日本のロールモデルになるような街をつくりたい」「日本の教育を変えるにはどうすればいいのか」「新しい旅の提案をしたいのだけれど、どうすればいいか」といった相談から、「スポーツ界に新しいヒーローを生み出したいが、どうすればいいと思う?」といった相談まで、大きな意思はあるのだけれど、どう仕掛けていけばいいのかまだわからないという段階から相談を受けるケースが増えています。

──そうした相談は、どのような企業や人から寄せられるのですか。

小布施:大企業やスタートアップの経営層の皆さんや、スポーツ選手やアーティストや有識者の方など、幅広くさまざまな方からの相談にのらせてもらっています。共通しているのは「未来を変えたい」という強い思いを持った人たちであることだと思います。彼ら・彼女らの野望に、僕たちは並走していると言ってもよいかもしれません。

──企業の経営層からも、そうした相談が増えているのは、なぜなのでしょうか。

小布施:企業の経営層の方々と話をしていると、課題解決型の発想にちょっと疲れているというか、そうではないアプローチを欲しているのではないかと感じることがあります。

会社や組織の中に課題を見つけようとすると、いくらでもあるのが普通なので、その課題を一つ一つつぶしていっても、マイナスがゼロにはなるけれど、ゼロがなかなかプラスになっていかない――そういった悩みを抱えている経営層が多いように感じます。そうした背景から、課題解決型の発想法とは別に、「ありたき未来にむけて何をするといいのだろうか」という未来創造の視点から、相談をしてくださる方が増えている実感があります。

──個々人の強い思いや未来創造の視点がプロジェクトの出発点となるのですね。

小布施:はい。数年前に視察に行った世界的に有名なデンマークのビジネススクールでは、これから自分が手掛けていく活動を、自分の内発的動機と結びつけ、自分の言葉で語ることを大切にしていました。それを「クリアボイス」と呼んでいて、クリアボイスを持っているからこそ、さまざまなステークホルダーを、そして世の中を動かすことができる。そうした考え方をしていました。

実際、デンマークは世界競争力ランキングで世界1位でありながら、幸福度ランキングでも世界2位。このように強さと幸せを両立できているのは、一人一人がやらされているのではなく、意思をもって主体的に仕掛けている、ということが秘訣なのではないかと思いました。

正解のない時代になればなるほど、これまでの経験が通用しません。何が正しいのかわからないからこそ、むしろ自分の手で正しくしていくんだ、という姿勢こそが重要で、とすると、それほどの情熱を注げることは何なのか、そもそも自分たちや自社のモチベーションの源は何なのか、その内なる意思との対話から、未来に向けての企画が生まれてくる時代になってきているのでは、と考えています。

インタビューに答える小布施GO


「プレゼンテーション」から「クリエイティブセッション」へ

──「未来づくり」の仕事の事例を教えてください。

小布施:北海道ボールパークFビレッジ(エスコンフィールドHOKKAIDO)の開発プロジェクトの仕事は、完成したスタジアムを宣伝する広告の仕事ではなく、どんなスタジアムにするのか、どんな街にするのか、どんな体験ができるようにするのか、そうした未来を構想するところから、ファイターズの皆さんと並走させていただいたプロジェクトでした。

新しいスタジアムをつくるにあたって、あるべき体験のかたち、施設のかたち、あるいは「北海道にできるスタジアム」として他の観光地やテーマパークとどう差別化するか、そして完成後も持続的に発展するためにどうすればよいのかなどを、ファイターズの皆さんと何度も議論させていただきました。まさに、広告の手前の、「未来づくり」から関わらせてもらった仕事だと思います。

プロジェクト当初の現地の様子。そこにはまだ何もなかった。
プロジェクト当初の現地の様子。そこにはまだ何もなかった
個々人が活発にアイデアを出し合ったファイターズの皆さんとのセッションの様子。
個々人が活発にアイデアを出し合ったファイターズの皆さんとのセッションの様子
完成した北海道ボールパークFビレッジ。
完成した北海道ボールパークFビレッジ。球場、サウナや温泉、宿泊施設、レストラン、アウトドアアクティビティ施設など、子どもから大人まで誰もが楽しめる
未来の設計図としてプロジェクト初期に作成したビジョンブックの一部。
未来の設計図としてプロジェクト初期に作成したビジョンブックの一部。実現したアイデアの多くがここにある


──「未来づくり」の仕事の進め方は、広告の仕事とどう違うのですか。

小布施:広告の仕事は、クライアントから「ブリーフシート」をいただいて、それに沿って企画を考えて、「プレゼンテーション」という形で提案をするのが、これまでの慣習でした。これは、依頼者と提案者をしっかりとわける方法論ですよね。

けれども、「未来づくり」の仕事というのは、広告表現制作とは違う、もっと手前の領域なので、輪郭がぼんやりしているところから始まることが多いです。だから、依頼と提案を明確に線引きすることが難しい。なので、その場で問いと答えをいったりきたりする、概念と具体をいったりきたりする、意思と合理をいったりきたりする、そうした往復運動を一緒に行っていく中で、未来に向けての企画を練り上げていくという仕事の進め方になってきています。

ということは、その一緒に考える場のクオリティが、そのまま企画のクオリティになってくる、ということなので、いわゆる普通のワークショップとはまたちょっと違う、「クリエイティブセッション」という独自の方法論を磨いています。つくり方をつくる挑戦です。

──クリエイティブセッションについて、もう少し詳しく教えてください。

小布施:よくある普通のワークショップは、面倒くさいわりに、あまりいい企画が生まれないイメージがありませんか? 企画を出し合って、グルーピングして、ポストイットを貼って、多数決で決めて……これだと結局、企画がはじめに出している企画以上のものになっていない、という問題を抱えていると思うのです。

ですから、僕らが行っているクリエイティブセッションは、参加者みんなで対話をしながら、アイデアを「重ねていく」ことを重視しています。みんなで重ねていくことで、一人では到達しなかった高みに企画を昇華させていくというやり方です。

そのためにも、まずはそのセッション自体を、即興舞台芸術の場だと捉えるところから始めます。その時、その場所、そのメンバー、その空気の中からしか生まれない企画をつくっていく――そうした場の捉え方です。

企業秘密でもあるので、それ以上のことはあまり言えないのですが、体験された方はみなさん、良いのか悪いのかわかりませんが、「楽しかった!」と、熱量高く言ってくださいます(笑)。でも、それはとても大切なことで、緊張感漂う、ピリッと張り詰めた空気の会議室の中からは、未来に向けてのワクワクする企画は生まれてこないと思うんです。最近は会議室から離れるために、固定観念を取り除いたり、発想のストレッチをしたりするのに適した小旅行を組み合わせたプログラムも実施しています。

とある企業とのフィールドワーク。
とある企業とのフィールドワーク。地域の現場で実際に起きていることを体感しながら、未来への打ち手を考える
会議には大きく2つのパターンがある。
会議には大きく2つのパターンがある。経営層になればなるほど、ジャッジが求められる会議が増えていく

──クライアントに企画を提案するのではなく、クライアントと一緒に企画を生み出すのですね。

小布施:はい。経営企画、事業企画、商品企画、人事企画、アクション企画……「企画」という言葉がついた領域は多くありますが、企画のつくり方を習う機会は意外とないのではないでしょうか。先日も、経営者の方が「うちの経営企画は、経営整理にとどまっているかもしれない」とおっしゃっていて、下から上がってきた数字をまとめているだけで、未来に向けての打ち手を企画できていないかもしれない、と危機感を持たれていました。なので、僕たちがやっていることは、クリエイティブセッションを通して、皆さんと一緒にやりたいことを出し合い、みんなでアイデアを重ね、そこに僕たちのクリエイティビティを掛け合わせて、未来に向けての企画をつくりあげていくことなんだと思っています。

そして、もう一つポイントだと思っているのが、この場を通じてできあがった企画は、「電通さんから提案してもらった企画」ではなく、「自分たちが生み出した企画」になっていくことなんです。自分たちの内側から生まれたものだからこそ、そこに愛情がのってくる。この企画を実現させたい、そのためにプロジェクトを前に進めたい、そうしたモチベーションが大きくなり、クライアントさんの社内での大きなうねりになっていきます。そう考えると、もしかしたら「企画は広告会社だけでつくるもの」という考え方自体が、もはや古いのかもしれません。関わる人みんなでつくることで、大きな求心力を持つのではないかと感じています。

ロッテの皆さんとのクリエイティブセッションの様子
ロッテの皆さんとのクリエイティブセッションの様子。「みなさんは、答えを持ってくるのではなく、ともに答えを生み出してくれる人たちなんですね」という声をもらうという
「ヘラルボニー」の未来に向けてのブランディング&アクションも支援している。
2025年6月にカンヌライオンズで金賞を受賞したスタートアップ「ヘラルボニー」の未来に向けてのブランディング&アクションも支援している

──みんなの気持ちを一つにするクリエイティブセッションは、企業の中から変革を起こすための手法にもなりそうですね。

小布施:そう思います。クリエイティブセッションは、社長と役員の皆さまとで行うことが多いのですが、「実は、会社の未来について、こうした形でみんなと考える機会はなかった」という感想をいただくことが多いです。おそらくその背景にあるのは、多くの企業にまん延している「課題分割病」なのでは、とにらんでいます。企業が直面している課題を細分化して、役員に振ることによって、役員の方々が自分の担務領域の視点しか持てなくなる。故に、組織がどんどん縦割りになる。タスクと数値目標だけが現場に振られ、こなす仕事が生まれていく。結果、「未来をこうしたい!」というWILL(意志)がない状態になってしまう。もしこういう状態が会社の中で起きている場合には、その企業の「未来のありたき姿と打ち手」を、みんなで「統合的に構想」し、変革の種火を生み出すクリエイティブセッションというものは、大きな意味を持つ、と思っています。

企業は意図せず分断化していってしまう
課題を分割し、各担当役員にタスクを割り振っていくことで、企業は意図せず分断化していってしまう
日経新聞主催のWell-being Initiativeもプランニングプロデュースしている
業種や業界の垣根を超えて、さまざまな企業と経営者とともに、Well-being(ウェルビーイング)な社会をつくるための打ち手を考える日経新聞主催のWell-being Initiativeもプランニングプロデュースしている
JALの未来に向けての打ち手を可視化したFUTURE MAP
JALの未来に向けての打ち手を可視化したFUTURE MAP


──最近は、このようなクリエイティブセッションの仕事が多いのでしょうか。

小布施:そうですね。このクリエイティブセッションを起点にして、企業価値向上にむけてのブランディング・コミュニケーションであったり、アクションやエクスペリエンス開発、インナーアクティベーションのプロジェクトへと進んでいくことが多いです。やっぱり最終的なアウトプットに関わっているからこそ、人の心を打つにはどうすればいいのか、人の心を動かすってどういうことなんだろう、ということへの肌感覚を常に磨き続けることができると思っていますし、その感覚をもって抽象的な議論ができる、というのは強みになっていると思っています。


一人一人が創造性を発揮できる社会へ

──今、注視している社会の変化や課題はありますか。

小布施:一緒に仕事をしているチームのみんなとは、社会全体が効率化や合理化の方向に進みすぎていて、人間の創造性が失われつつあるのではないか、という話をよくしています。物事を効率的に進める「システム化」は、正しいことである一方で、そこに関わる人の楽しさを奪い、新しい発想を妨げるものになってしまうと良くないですよね。もっと一人一人が主体性を持って、創造力を生かせるような社会をつくっていけないか。そうすれば、そこで暮らす一人一人が、もっともっとWell-being(ウェルビーイング)でいられる未来になるのではないか、そう考えています。

──「創造力を生かせる社会」とのことですが、創造力やクリエイティビティをどのようなものと捉えていますか。

小布施:僕は、「クリエイティビティ」とは「画一性」の対極にあるものだと思っています。画一的な世界はイメージでいうなら、なんだろう……例えば最近、駅に降り立った時に街の風景がどこも同じに見えるんですが、そのイメージに近い感じでしょうか。あらがえない大きなシステムの一部に人間が組み込まれてしまって個性を発揮できないでいる状態――そうした状態を変え、一人一人が意志を発露できる社会をつくることができたら、それこそが「創造力を生かせる社会」なのではないかな、と考えています。

クリエイターというと何か特別な能力を持ってアイデアや表現を生み出す人のことを指すと思いがちですが、これからの時代は、「こんな未来をつくりたい!」「こんな社会をつくりたい!」というクリアボイスを持って、主体的に生きていく人全員がクリエイターなのではないかなと思っています。だから、僕たちは意志ある経営層の方々もクリエイターだと捉えていますし、もっと言うと、子どもたちなんてもう根っからのクリエイターですよね。

余談になりますが、僕は仕事とは別に私的な活動として、園児や小学生に「企画する楽しさ」を体験してもらうプログラム「きかくのがっこう」を定期的にサポートしています。そこで印象的なのは、「あ、ひらめいた!」というアイデアが降ってきた瞬間に、子どもたちの目が、急にキランと輝き始めるマジックモーメントがあることなんです。そうすると、そこから急に子どもたちは夢中になって紙にアイデアを書き、絵を描き、自分の思いついたことを思い思いに表現するんです。アイデアが降ってきたのをきっかけに、前に進もうとする力が湧き出すんですね。

「きかくのがっこう」の様子
「きかくのがっこう」の様子。自分で考えたアイデアを説明する子どもたちの目は輝いていた

実はクリエイティブセッションをしている時の経営層の方々も同じなんです。アイデアが降りてきた瞬間に目がキランと輝いて、「やりたい、やろうよ!」と、どんどんと前のめりになっていく。そうした経営者や子どもたちの目がキランと輝く瞬間に何度も出合ううちに、そういうマジックモーメントを創造することこそが、企画をつくるということの本質なのではないか、と思うようになりました。

──最後に、「未来づくり」や「創造力を生かせる社会」といった取り組みを踏まえて、今後のご自身のグロースオフィサーとしての役割をどう考えていますか。

小布施:電通はまさに今、広告会社から次のフェーズへと飛躍しようとしています。僕がイメージするこれからの電通は、広告にとどまらず、世界をこう変えたい、と思っている方々の「未来づくり」に伴走していく会社です。僕らのチームが持っている、構想化、言語化、可視化、物語化、体験化という日本トップレベルのクリエイティビティとプロデュース力を、いろんな方々の思いと掛け合わせることで、世の中に大きなうねりを生み出していく。それが、より良い未来をつくることにつながっていけたら、とても意義のあることですよね。そうした未来づくりのためのたくさんの仲間を作っていくことが、自分のグロースオフィサーとしての使命なのかなと考えています。

小布施孝典GO

クリエイティブセッションを通して、人々のクリアボイスを引き出し、未来をつくる。広告制作とは全く違うアプローチで広告会社の新たな可能性を示す小布施GOの思考と視点は、独創的かつ刺激的です。そんな小布施GOご本人のクリアボイスを伺ったところ、いろいろな企画の始まりになっている企画書をずらっと展示する「企画書博物館」をつくり、そこの館長になることだそう。そう語る小布施GOの目はキランと光っていました。

 

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めざせ、ダンス/クッキングPR大使!味変で食ロス削減!「ノコサンシャカシャカ ダンス/レシピチャレンジ」公募中 ノーペコ ラボ

電通ソデジン(ソーシャル・デザイン・エンジン)内のプロジェクトで、「子どもと食」に関するあらゆる問題の解決を目指す「ノーペコ ラボ」は、学生をはじめとする全国の老若男女を対象に、「味変」で食品ロス削減を啓発するダンス・レシピコンテスト「ノコサンシャカシャカ ダンス/レシピチャレンジ」の動画を公募している。「いいね」の数などで選出されたダンス部門とレシピ部門の各優秀5チームは、9月9日(火)(グーグーの日※)に開催されるオンラインイベント「ノコサン ダンスホール2025」で最終審査に臨む。後援は、農林水産省・環境省・消費者庁・こども家庭庁・東京都環境局・港区・江東区。締め切りは、8月31日(日)。

※毎年9月9日を「子どもと食」についてみんなで考え行動する「グーグーの日」と制定(日本記念日協会で正式に認定)

 

「ノコサンシャカシャカ ダンス/レシピチャレンジ」

【概要】
ノコサンシャカシャカ ダンス/レシピチャレンジ
内容:
①ダンスチャレンジ(フォーマット曲にダンスをつけた動画)
   ②レシピチャレンジ(フォーマット曲に味変レシピをつけた動画)
   ※両方でもいくつでも参加可能
対象:学生をはじめとする全国の老若男女
賞品:ノーペコ ラボのサイトへの公式アップ
応募方法:ハッシュタグで応募
     ①ダンスチャレンジ #ノーペコダンス#ダンスチャレンジ
     ②レシピチャレンジ #ノーペコレシピ#レシピチャレンジ
締め切り:8月31日(日)

ノコサン ダンスホール2025
日時:
9月9日(火) 19:30~20:30(予定)
内容:事前に選出された5チームの①ダンスと②レシピの最終審査と表彰など
場所:オンライン(YouTube Live)

後援:農林水産省・環境省・消費者庁・こども家庭庁・東京都環境局・港区・江東区
協力:「世界食料デー」月間 2025事務局
主催:ノーペコ ラボ
問い合わせ先:no-peco@dentsu.co.jp
 

■ダンス・レシピコンテストの詳細はこちらから

 

 
動画は、応募締め切りまでに新作が計5本アップされる


■ノーペコ ラボについて
ノーペコ(ノー、腹ペコ!の意味)ラボは、飢餓・貧困の撲滅というテーマを柱に、「子どもと食」のあらゆる問題を、さまざまな企業・団体・世の中との掛け算で楽しく大きく解決することを目指した、電通ソデジン(ソーシャル・デザイン・エンジン)内のプロジェクト。2019年に発足。企業や団体の課題を解決しながら、いいことだとはわかっていてもいざ行動にはつなげにくい社会貢献を、みんながついやりたくなる、自分ごと化できる楽しい活動に変換していく活動を行っている。
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100068660948955
 

東京ベイエリアの現在地~さまざまなプレーヤーが共に描く都市の未来

電通の「都市の未来デザイン ユニット」は、都市やくらしの未来像を描き、構想から実現までをさまざまな領域で支援する専門チームです(詳細はこちらから)。

本連載では、これからの都市・まちづくりに求められること、また幸福度の高い都市について、さまざまな角度から探っています。

今回のテーマは、東京ベイエリア。2025年10月、トヨタ自動車が「トヨタアリーナ東京」を、2026年春、テレビ朝日が「東京ドリームパーク」をオープンする予定で、今あらためて注目度が高まっています。

開業準備が進む中、トヨタ自動車とテレビ朝日、周辺の企業が共にエリアの未来を構想するためのワークショップが実施されました。多様な企業・団体が集い、皆で描いた東京ベイの未来とは。

ワークショップでファシリテーターを務めたプランナーの小島成輝氏と、「都市の未来デザイン ユニット」リーダーであり、水都創造パートナーズ代表理事の夏目守康氏に、今回のワークショップの様子やその意義、東京ベイへの期待感について聞きました。

小島氏、夏目氏
(左から)電通 小島成輝氏、夏目守康氏
<目次>
ますます盛り上がりを見せる、東京の水辺エリア

東京ベイエリアの未来を構想するワークショップを実施

「思いの共有」は、都市開発プロジェクトの中でマイルストーンになる

都市開発に関わる多様なプレーヤーが「自分ゴト」としてアクションを起こせることが大切

ますます盛り上がりを見せる、東京の水辺エリア

──夏目さんには、2023年12月に本連載の中で「都市における水辺活用」(記事はこちら)についてご紹介いただきました。その中で東京ベイエリアについてもお話ししていただきましたが、あれから約1年半、どのような変化があったでしょうか。

夏目:前回の記事では、東京の水辺空間は大きく変わりつつあり、さまざまな企業・団体が都市再開発に参画し始めているという現状をお話ししました。その中で東京の魅力が高まる機運が生まれ、今後もさまざまなレイヤーでビジネスチャンスが見いだせるのではないかと提言させていただきました。

実際、この1年半の間にも東京ベイエリアではさまざまな動きがありました。2024年には「晴海フラッグ」がまちびらきし、有明地区で電気自動車レースの世界選手権「フォーミュラE東京大会」が開催され、アジア最大級のスタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」なども実施されています。いずれも2025年は開催済みで、2026年も継続開催が決定しています。

東京ベイエリア ロードマップ
2023年の記事より再掲

そして今年25年10月には「トヨタアリーナ東京」、来年26年春には「東京ドリームパーク」が開業予定。この二つの施設のオープンは、東京ベイエリアのさらなる盛り上がりの大きなきっかけとなりそうです。

東京ベイエリアマップ

トヨタアリーナ東京
2025年10月開業予定の、Bリーグ・アルバルク東京のホームアリーナ。スポーツのみならず、さまざまな興行(コンサート等)に対応。ライブエンタメの興奮や感動を増幅させる圧倒的なLEDビジョンと、これまでにない上質なホスピタリティ・サービスが特徴。イベントがない日にも誰でも利用できる屋外バスケットコートも設置。

東京ドリームパーク
最大5,000人を収容する音楽ホール、1,500席の劇場、展示・イベントスペース、屋上広場、飲食店舗などからなる「有明発・複合型エンターテインメント施設」。1年を通じて多様な演目・コンテンツの実施が予定されている。

東京ドリームパーク

東京ベイエリアの未来を構想するワークショップを実施

──新しい施設をオープンさせるトヨタ自動車とテレビ朝日の二社とともに、東京ベイの未来を構想するワークショップを開催されたとうかがいました。実施の経緯を教えてください。

小島:テレビ朝日の方と話をする機会があり、開業に向けて周辺の施設事業者同士が協力しながらこのエリアを盛り上げたいとのお話を伺いました。東京ベイエリアはとにかく広いので、一つの施設だけでエリア全体を盛り上げるのは大変なんですよね。トヨタ自動車の方も同様に考えられていたので、「このエリアをどう盛り上げていくかを一緒に考えるワークショップをしませんか」と提案しました。

皆で一緒に目指すゴール像は、一部の人だけで概念や言葉だけ決めて上位下達しても、ほとんどうまくいかないですよね。だって、他人が決めた指示があっても、やらされ仕事でやる気は出ないじゃないですか(笑)。そこで、企業や団体のメンバーが所属や立場を取っ払って一緒に考えることで、多くの人が納得できる目指すゴール像を描けるのではと考えました。

小島氏

──ワークショップでは、具体的にどのようなことを行ったのでしょうか。

小島:ワークショップは2回実施しました。1回目はトヨタ自動車とテレビ朝日の社員が計15人ほど、電通からファシリテーターを合わせて5人ほどのメンバーが参加しました。

内容としては、すでに各社が考えていたやりたいことに加えて「このエリアでこんなことをやってみたい」というアイデアを出し合いました。アイデアは、5年後くらいの少し先の未来で実現できそうなことと、20~30年後の遠い未来で実現できたらいいなと思うことの二つの軸で出していただきました。

ワークショップの中では電通が開発したカードゲーム「Breakthrough Bridge」も活用しました。カードを使って、「好き」という感情をもとにインサイトを掘り起こす手法で、アイデアを発想するときのヒントにしてもらいました。

会社の利益や地域のメリットなど正しいことも大切ですが、あえてそれらはいったん置いておいて、まずは自分自身の好きなことや楽しいと思うことを掘り下げてアイデアを考えてもらうため、カードを活用しました。参加者の皆さんには東京ベイエリアの未来を自分ゴトとして考えてもらえたのではと思います。

ワークショップ①

ワークショップ②

いくつかのグループに分かれてアイデアを出してもらい、その場で各グループが発表した内容を一枚のイラストに描き起こす「グラフィックレコーディング」も実施しました。東京ベイエリアも広いので、どの場所で実施するアイデアなのかが一目でわかるように、地図に落とし込む形にしたんです。

1回目のワークショップで作成したグラフィックレコーディング
1回目のワークショップで作成したグラフィックレコーディング(グラフィックレコーダー:中尾 仁士)

──ワークショップでの印象的なアイデアを教えてください。

小島:海があり、空が開けている場所だからこそできる「有明にビーチリゾートをつくる」というアイデアが個人的には面白いなと思いました。そのほかにも、橋の上で楽しむ美術館や、船や海の中でととのうサウナといった、ここの場所の特性を生かしたアイデアは数多くありました。

防災広場で「期限切れの近い備蓄食品を使った本格料理フェス」というアイデアも素晴らしいなと思いました。普通のフードフェスとは少し異なる、社会的にも意義のあるイベントになりそうですよね。そのほか、エリア内を移動できる「東京ベイジップライン」「バスケ×朝活のイベント」など、夢が広がるたくさんのアイデアが出てきました。

グラフィックピックアップ
グラフィックレコーダー:中尾 仁士

「思いの共有」は、都市開発プロジェクトの中でマイルストーンになる

──2回目のワークショップではどのようなことを議論したのでしょうか。

小島:2回目は、トヨタ自動車とテレビ朝日のほか、周辺事業者や行政の担当者にも参加してもらいました。1回目で話し合ったことを踏まえ、議論するエリアを少し絞り込んで実施しました。

トヨタアリーナ東京と東京ドリームパークをつなぐ夢の大橋を含むセンタープロムナードでのアイデアと、海面を使ったアイデアがたくさん出たので、それらを描けるスペースを広く取れるよう、準備もしました。マップを調整しながら、そこに落とし込むアイデアもブラッシュアップしていくことで、参加者たちが思い描く街の将来イメージをそろえていくことができたと思います。

2回目のワークショップで作成されたグラフィックレコーディング
2回目のワークショップで作成されたグラフィックレコーディング(グラフィックレコーダー:中尾 仁士)

──今回の2回のワークショップでの狙いと、実施したことでどんな成果が得られたかを教えてください。

夏目:ワークショップで出る一つ一つのアイデアが面白いに越したことはありません。ですが、大切なのは参加者たちが「こういうことができたらいいね」とイチ生活者としての思いや考えを共有し合うことです。実際、ワークショップを終えると皆さんの間で仲間感みたいなものが生まれていました。思いの共有をするためにワークショップを実施するのは、参加者たちの役割やバックグラウンドが異なれば異なるほど有効だと思います。

今後このエリアの都市開発についてさまざまな議論がされていくと思いますが、その時にも2回のワークショップで話し合ったことがベースになるはず。皆で思いを共有する時間は、全体のプロジェクトからするととても短い時間かもしれませんが、大きなマイルストーンの一つになると考えています。

夏目氏

都市開発に関わる多様なプレーヤーが「自分ゴト」としてアクションを起こせることが大切

──ワークショップをきっかけに、企業間での変化はあったのでしょうか。

夏目:今後、プロジェクトを進めていく上ではさまざまなチャレンジが必要になってくると思いますが、そこでも皆が知恵を出し合い、協力しながら進めていくための下地ができあがったのではと思います。「皆で一緒に盛り上げていこう」という共通認識を持ち、最短距離で協力し合える関係ができ始めていると感じました。

小島:ワークショップをきっかけに、このエリアが目指す方向性を言語化した「エリアビジョン」の検討もお手伝いさせていただきました。ワークショップで出たアイデアをあらためて整理して議論しましたが、ベースの考えは共有できていたので、皆さんにも納得感を持ってもらいながら進められたと感じています。まだ対外的には発表していないのですが、キャッチコピーとステートメントを作成しています。

──今回の取り組みを通じて、「都市の未来デザイン ユニット」の立場からどのようなヒントが得られましたか?

小島:今回のワークショップではその場でグラフィックレコーディングを行いビジュアル化しましたが、この手法はとても有効だと感じました。何十ページもある言葉だけの議事録よりも、一枚のイラストにまとまっている方が後から見返したときに「このとき皆が何を考えていたのか」が一目でわかりますよね。参加者からも好評で、折りに触れて活用していただいています。

ワークショップ後には、「東京ドリームパークがどんな施設か一目でわかるビジュアルをつくってほしい」という依頼も受け、私の方でクリエイティブ・ディレクションを担当しました。この中にも、ワークショップで出てきたアイデアがふんだんに盛り込まれているんですよ。クライアントとビジュアルを介して対話することで、お互いに発想が広がる良い刺激になると感じましたね。今回の手法は、東京ベイエリアに限らず、さまざまな場所で実践できると考えています。

東京ドリームパーク

夏目:ワークショップを通じてあらためて感じたのは、民間主体でさまざまな企業や団体が集まり、「皆で協力しながらこんな場所にしたい」と行動を起こしていくことは、都市や街づくりにおいて大変重要だということです。行政は立場上どうしても言及が難しいこともありますが、このような民間側の積極的な動きが起こることで協力もしやすくなると思います。

東京ベイエリアは民間主体でアクションを起こそうとしている稀有な例の一つです。今後の盛り上がりも、関わる企業や団体がいかに自分ゴトとして捉えて行動できるかにかかっていると思います。まさに今、いろんな種が生まれつつあり、今後も施設のオープンをはじめさまざまな予定が目白押しです。私たち電通もお手伝いしていきたいですし、皆さんにもぜひ期待して、注目してもらいたいと思います。

小島:何千万人もの人が住む大都市の中に、海や空の広がりを楽しむことができる東京ベイエリアのような環境があることは、世界的に見てとても珍しく、世界に誇れることだと思います。

それゆえに、トヨタ自動車やテレビ朝日だけでなく、今後もたくさんの投資や事業活動が行われていくエリアだと思います。近い将来、国内だけでなく海外の企業からも投資が集まり、世界中の人から「一度は行ってみたいTokyo Entertainment Bay」と憧れを持たれる場所になっていくことを期待しています!

【本件に関する問い合わせ先】
都市の未来デザイン ユニット
HP:https://www.dentsu.co.jp/labo/futuredesign_unit/index.html
Email:futuredesign-unit@dentsu.co.jp
 
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水上太陽光発電、普及の兆し…適地は海など無限大、森林伐採も不要、課題は発電コストの低減

●この記事のポイント
・再生可能エネルギーの一つとして水上太陽光発電の導入が進みつつある
・陸上と異なり森林伐採などの造成が必要ないため環境負荷も低い
・陸上での太陽光発電に比べると若干コストがかかってしまうというハードル

 国内で陸上の太陽光発電設備の適地が少なくなるなか、再生可能エネルギーの一つとして水上太陽光発電の導入が進みつつある。現時点で導入実績は陸上と比べるとまだ少ないものの、農業用ため池、遊水池、工業用水池、貯水池、将来的には、湖、河川、海洋など適用範囲は広く、陸上と異なり森林伐採などの造成が必要ないため環境負荷も低いとされる。一方、設置・維持コストの高さなどがネックとされるが、水上太陽光発電の特徴や優位性、そして普及の可能性などについて、事業者への取材を交えて追ってみたい。

●目次

水上太陽光発電の強み

 水上太陽光発電が陸上での太陽光発電と異なる点は何か。事業を手掛ける三井住友建設 再生可能エネルギー推進部は次のように説明する。

「一番大きな違いは、やはり環境負荷が低い工法だという点です。陸上の場合、山を削ったり森林を伐採したり造成する必要がある一方、水上太陽光発電の場合はそうした行為をすることなく設置できます。また、水の上に浮かべると冷却効果で太陽光パネルが熱くなりすぎないので、発電効率が良いのも強みです。国内では太陽光発電を行える適地が限られつつあるなか、水上はまだまだポテンシャルが大きいというのも利点です」

 このほか、同社によれば水上太陽光発電の強みとしては以下があげられる。

・水面の有効利用
 これまで使用されていなかった池や貯水池に、新たな太陽光発電設備を設置して水面を有効活用できる(新たな賃借料や利用料収入)。

・適用範囲
 農業用ため池、調整池、遊水池、工業用水池、貯水池、湖、海洋、河川など、さまざまな水源に導入可能。

・影の影響
 地上設置に比べて周辺植物の成長による日照への影響が少ないため、ロスのない発電が望める。

・優れた施工性
 人力で組立可能で、陸上への設置と比較して、施工性に優れている。工事に際して、粉じん等、騒音・振動の影響が小さい。

・遮光の効果
 フロートで水面を覆うことで、遮熱による水温上昇の抑制や、遮光による水の蒸発や藻の発生を抑制することが期待できる。

・レジリエンス
 監視カメラ、風向風速計を標準設置し、水位計や水温計を追加設置することで、災害時等のため池遠隔監視が可能となる。

需要家は毎月の電気代のみを負担

 三井住友建設は2014年に自社独自の水上太陽光発電用フロートシステムを開発し、事業をスタート。これまで自社の発電所として、合計14.4メガWの実績を持っており、水上太陽光発電の肝になるフロートシステムの開発から販売までの経験・実績を持っているのが同社の強みだ。

「現在はフロート販売事業は行っておらず、軸足を切り替えて、自社製フロートに拘らず、他社製フロートも積極的に採用し、発電事業に重きを置いて取り組んでおります。弊社は建設会社ですので、風洞実験や強度試験が可能な施設や設計部門を持っており、総合的なエンジニアリング力を活かして取り組むことができるというのが大きな強みだと考えております」(三井住友建設 再生可能エネルギー推進部)

 ビジネスモデルはどうなっているのか。契約の形態としては、需要家の近接水面を活用して自営線で直接給電する「オンサイト型PPA」と、系統線により送電する「オフサイト型PPA」の2種類がある。前者は、需要家と三井住友建設がPPA契約を締結し、同社が電力を供給する。後者は、需要家は小売電力事業者と電力供給契約を結び、三井住友建設は小売電力事業者とPPA契約を結ぶ。需要家は毎月、電気料金を支払う。

「これまでは固定価格買取制度(FIT)に基づき発電した電力を電力会社に販売するというビジネスでしたが、FIT制度の終了に伴い、現在はPPAのスキームを活用した売電事業に注力しております。水上で発電する場所と売電先をセットで探すということが開発のポイントです。

 PPAの場合、需要家様は発電用フロートシステム導入時の初期費用、メンテナンス費用、撤去費用の負担なしでご利用いただけ、毎月の電気代のみをお支払いいただくかたちとなっております。発電した電気をkwh単位の金額で契約させていただくかたちです」

 気になるのは電気料金だ。初期費用やメンテナンス費用が発生しないとなると、その分、電気料金が上がり大手電力会社の料金より高くなってしまうのではないか。

「現時点では、補助金に頼らざるを得ないのが現状ですが、国からの補助金も活用し、大手電力会社と同等くらいの価格でご提案させていただいております。やはり再生エネ由来の電源という点に価値を見いだしていただけるお客様に契約をしていただいております」(同)

自治体・行政の動きも普及のカギ

 では今後の普及に向けては、どのような点がカギとなってくるのか。

「国や行政、民間企業にもっと『水上太陽光発電』のメリットを認知してもらう必要があると思っています。そのため、今年度から水上太陽光発電に関わる数社でワーキンググループをつくり、水上太陽光発電のPR、補助金等の支援の働きかけ等の取り組みも開始しています。

 また、コストを考えると農業用のため池や水深が深くない貯水池などが向いているといえますが、弊社は洋上等での適地拡大を狙って取り組んでいるところです。海というのは無限にポテンシャルがあり、使い方によっては適地拡大となって太陽光発電の導入を一気に拡大させる可能性も持っています」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

上半期の訪日客、最速2000万人超え=4~6月消費額18%増

 日本政府観光局が16日発表した2025年上半期(1~6月)の訪日外国人数(推計値)は2151万8100人と、過去最も速いペースで年間2000万人を超えた。春節(旧正月)や桜の開花時期に中国などからの観光客が増え、前年の上半期に比べて21.0%増加した。一方、観光庁によると、4~6月期の訪日外国人旅行消費額(速報値)は前年同期比18.0%増の2兆5250億円だった。

 6月単月の訪日外国人数は前年同月比7.6%増の337万7800人と、6月として過去最多を更新した。夏休みシーズン前で例年は比較的旅行者数が落ち着く時期だが、東南アジアや欧米から学校の休暇に合わせた来日が増えた。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/07/16-16:17)

Lenovoのスタートアップ支援が産業の創出をサポートする——創業と成長を支える伴走力とは

●この記事のポイント
・レノボ・ジャパンがスタートアップに向けて展開する「Lenovo for start-ups」は、創業者の多くが悩むポイントに寄り添うサービスである。
・単にパソコンを貸し出すのではなく、ハードウェア支援を通じてスタートアップエコシステムに寄与するものであるという。

 世界を変える技術や、これまでにないアイデア。そんなプロダクトの根幹になる部分にすべての時間を使いたい——。これはスタートアップ創業者やメンバーの誰もが感じることではないでしょうか。
 しかし、スタートアップには、パソコンのセットアップやセキュリティ設定、キャッシュフローへの不安など、本業とは違う部分で予想以上に多くの課題があるのです。

 そんなスタートアップの“痛点”を、ハードウェアの側面から根こそぎ支援するのがレノボ・ジャパンの「Lenovo for start-ups」。
 なぜ、ハードウェア支援が必要なのか、グローバル企業であるLenovoが日本でサービスをスタートしたのはなぜか。
 レノボ・ジャパンの中田 竜太郎氏に、日本企業のスタートアップの課題と可能性にアプローチする、Lenovoの“伴走力”の根源をお聞きしました。

目次

スタートアップのハードウェア支援、なぜ必要?

——Lenovo for start-upsの概要について教えてください。

 Lenovo for start-upsは、スタートアップ企業に対してハードウェアの観点からサポートするサブスクリプションサービスです。
 スタートアップにおいてよくある、コーポレートITにかける時間のせいで本業に十分なリソース注入が困難になる、そもそもコーポレートITの整備が手薄になってしまう、という課題にアプローチしています。

 内容としてはおもに、

●創業初期に必要な情報を提供する「ナレッジインジェクション」
●デバイスを業務に応じてセレクトして特別価格で提供する「スペシャルオファー」
●法人として必要なセットアップやセキュリティ設定を1台から対応する「セットアップサービス」

 この3つです。

——この3つのポイントからアプローチすることが重要だと考える理由はなんでしょうか?

 現在、スタートアップにかかわらず、事業においてコンピューティングパワーを活用することは必須になっています。しかし、多くの企業が「法人としてコンピューターを使うとはどういうことか」「どんなスペックを持ったデバイスが必要なのか」「企業特有の機密データはどう扱わねばならないのか」ということを理解していません。

 パソコンを買ってただ仕事するだけでは、法人として事業活動が立ち行かなくなる可能性があることを知らないのです。
 まず事業を行うにはどんな知識やアクションが必要なのかを知ってもらうことにアプローチするのが、「ナレッジインジェクション」ですね。

「スペシャルオファー」は、本サービスの中核の1つですが、おもにスタートアップにおけるキャッシュフローの課題にアプローチしています。
 創業間もない企業は利益がない、または赤字という場合もあります。そういった企業にとって、数十万、場合によっては百万を超えるキャッシュアウトでメンバーのパソコンをすべて購入することは非常にハードルが高いのです。
 Lenovo for start-upsは、月額料金でパソコンを使用できることで、キャッシュアウトを抑えることができます。これは、パートタイムで稼動するメンバーが多いスタートアップ企業においても非常に有効です。

——パソコンのスペックに関する相談も可能なのでしょうか?

 もちろんです。業務内容をお聞きして、それに応じた必要なスペックのデバイスを提供します。
 たとえば、データ入力や資料作成が中心の場合、ハイスペックのパソコンを高額で支給する必要はありません。適切なデバイスを選択することで、コストも最適化できます。

 3つ目の「セットアップサービス」は、パソコンを箱から出して電源を入れたらすぐに事業活動が開始できるよう、セットアップを済ませた状態でお渡しするサービスです。これは、スタートアップ企業のコーポレートITの脆弱さにアプローチしています。
 実際に事業活動を始める前に、ドメインやセキュリティの設定など、本業にはかかわらない作業が多く発生するため、多くの創業者がすぐに本業にリソースを100%投下できないというのが現状です。
 Lenovo for start-upsは初期設定がすべて完了している状態でお渡しするので、最初から貴重なリソースを本業に使うことができます。

セキュリティへの対応不足が成長を阻害する!?

——ハードウェアのレンタルやリースを行う事業は多くあると思いますが、そういった事業とLenovo for start-upsが異なる部分を教えてください。

 違いは、大きく2つあると思っています。

 1つ目が、サポートを含めたサブスクリプションサービスである、という点です。
 サブスクリプションは、仕組みとして金融サービスに近いため、本来は収益に不安が大きく、与信が低いスタートアップ企業は本来利用しづらいサービスなのです。そういったサービスが使えない以上、大きな出費を背負ってパソコンを購入するという選択を取るしかなくなり、キャッシュフローに追われてしまうという悪循環になりかねません。

——レンタルなどの場合、キャッシュフローの課題は解決されないのでしょうか?

 レンタルは長期的に利用する仕組みになっておらず、1週間や1カ月単位での貸し出しが多いため、結果的に高額になってしまいます。購入のほうがコストパフォーマンスがよい、という場合が多いのです。

 また、レンタルや購入では、十分なサポートが受けられないケースもあります。
 Lenovoでは、Lenovo for start-upsを単なるデバイスを貸し出すというハードウェアのサブスクリプションではなく、サポートも含めて「機能としてのデバイス」をサブスクリプションとして提供している、と考えています。
 故障した場合の保守やデバイス紛失時のログ追跡など、サポートも含めて長期的に使っていただくことを想定しているため、価格を抑えることができているのです。

——2つ目のポイントはなんでしょうか?

 2つ目は、セットアップの段階で、「法人としてのベーシックレベル」をクリアしたセキュリティ設定をサービスのなかで提供させていただくという点です。
 これは、「事業を行うにおいて知っておくべきこと」をあまり知らない、という先の話に似た部分ですが、「最低限、セキュリティに抜け漏れがない状態」を自信を持って示すことができる企業は多くありません。Lenovo for start-upsでは、そういった企業におけるセキュリティの弱みを、最初の段階でカバーします。
 もちろん、セキュリティはデバイス対応のみで完結するものではなく、“絶対的な安全”は存在しませんが、まずはデバイスなどのハードウェア面におけるセキュリティに不安がない状態を提供している、ということですね。

 セキュリティ設定がしっかりなされていないことで生じるリスクは、日常における情報漏えいなどだけではありません。企業の成長期において、共同研究開発などの取引やIPOの可能性が発生した場合、セキュリティ設定を含むコーポレートITに大きくテコ入れが必要になってしまいます。場合によっては、大きな機会損失にもなりかねません。

日本のエコシステムに欠けているハードウェア分野

——Lenovo for start-upsは、各国で提供されているサービスなのでしょうか?

 いえ、Lenovo for start-upsは日本だけのサービスですね。Lenovo Japan独自のサービスなので、海外展開はしていません。

——何か、日本においてハードウェアのサブスクリプションサービスが必要な事情があるのでしょうか?

 Lenovo for start-upsはすべての国のスタートアップ企業にとって有益なサービスだと考えていますし、日本においてだけ必要なサービスであるとは考えていません。
 ただ、日本にはスタートアップ支援を行うプロフェッショナルが少なく、コーポレートITやハードウェアについて知識を持ってアドバイスできる人物がかなり限られています。スタートアップ支援者が、支援を本業としている人材ではなく、自身も事業を行う傍らで支援を行っているため、支援が限定的になってしまうのです。
 また投資家も、投資の目的が、「技術などを持っているスタートアップとのコネクション」であることが多いため、ハードウェアやセキュリティを含むコーポレートIT周辺の不十分さをあまり問題としないケースが見られます。

——海外ではどのような形態でスタートアップ支援が行われているのですか?

 たとえば、アメリカでは「アクセラレーター」と呼ばれるスタートアップ支援のプロフェッショナルが企業に常駐して支援を行います。それぞれの得意分野に特化した集団であることが多いため、当然、ハードウェアを含むコーポレートITに関しての支援に長けている人物もいるのですよね。
 投資家も、投資の目的を「企業の成長によるリターン」に置いているため、成長段階におけるコーポレートITの脆弱さがどのようなデメリットをもたらすか理解しています。投資家側にも、コーポレートIT支援のプロフェッショナルを連携する体制が整っているのです。

 日本のスタートアップエコシステムにおいて支援が十分ではない部分に対して、Lenovoができることがハードウェアを通じたコーポレートIT周辺での機能やサポートの提供だった、ということが、まず日本においてLenovo for start-upsがスタートするに至ったロジックですね。

「日本の勝ち筋」を強固に信じてサポートする

——今後、海外へのサービス展開や、サービス内容の拡張の予定はありますか?

 Lenovo for start-upsは立ち上げて間もないサービスですが、今後、台湾や韓国などへの展開もしていければと考えています。

 また、より高いコンピューティングパワーを必要とする領域についても、サービス提供を広げていきたいですね。
 CADを利用した設計や生成AIの利用など、高度な技術力や計算能力を必要とする分野では、GPUなどが高性能なハードウェアが求められます。
 現状、Lenovo for Start-upsでのサブスクリプションではありませんが、GPUやCPUなどをカスタマイズしたハイエンドワークステーションを、スタートアップ向けに特別価格で提供させていただくというサービスは今後も拡大していきたいと考えています。

——最後に、Lenovoが、Lenovo for start-upsのハードウェア支援を通じて実現したいことを教えてください。

 日本は他の国に比べて、プロダクトの提供付加価値が低いと考えています。これは、企業の平均営業利益率は欧州が11%、アメリカだと17%を超えるなか、日本は7〜8%と低迷していることからも見てとれます。
 高い付加価値を持ったプロダクトやサービス、ひいては産業が登場する土壌になり得るのがスタートアップです。我々の支援が、日本のスタートアップエコシステムや新たな産業の創出につながっていけばとよいですね。

 また、スタートアップを入り口としてこの取り組みを中小企業や研究機関などにも広げていければと思っています。
 中小企業のなかには、ただ正しいコンピューティングパワーへのアクセスを知らないだけで、条件さえ整えばグローバルで通用するようなきらりと光るものを持った企業があるのです。そういった企業にハードウェアの側面からアプローチして、産業成長の後押しに貢献できればと考えています。

 研究機関などに対するサポートはすでにスタートしており、大学の研究室や法人化前の任意団体もLenovo for start-upsの対象としています。
 これは、なかなか目先の収益化は難しいものの、必ず伸びていくであろうディープテックなどの分野に対して、日本の勝ち筋を見出しているから、ということも理由の1つです。
 世の中の難しい課題を解決するものはやはりテクノロジーです。日本は先端技術に関する論文の数や大学ランキングもまだまだ上位ですし、人口や高齢化など世界的な課題の面でも先をいっています。
 あらゆる条件がそろっているなか、その勝率を上げていくためのアプローチですね。

 スケールアップの可能性があるポイントに、くまなく提供していけるサービスに成長していきたいですし、これはグローバル視点を持ってハードウェア分野を磨いてきたLenovoだからこそできることだと感じています。

「やりたいことに、集中できる」
 そのシンプルな願いを、ハードウェアの側面から実現しようとしているのがLenovo for start-upsです。
 新たなものを生み出そうとするスタートアップ企業に寄り添う姿勢には、ハードウェア企業ならではのものづくりの情熱が表れているようにも感じられます。
 誰かのアイデアや技術が、ひとつでも多く形になるために。Lenovoの“伴走”は、これからの日本のスタートアップ企業にとって、心強い味方になっていきそうです。

※本稿はPR記事です。