JRAブラストワンピース「太りすぎ」「ハンデ59kg」で池添謙一大ピンチ!? C.ルメール「代役」も勝てば馬の力、負ければ騎手のせいで……

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 22日、昨年の最優秀3歳牡馬ブラストワンピース(牡4歳、美浦・大竹正博厩舎)が、目黒記念(G2)に向けた最終追い切りを行った。

 美浦のウッドコースで最終追い切りを行ったブラストワンピースは4ハロン50.9秒、ラスト12.3秒。見守った大竹正博調教師が「一杯にならない程度でセーブと思っていたが、それでも時計が出た」と話した通りの好時計を叩き出し、併せ馬にも先着。好調ぶりをアピールしている。

 さらに本馬は1週前にも大竹調教師が「かなり時計が出た」と振り返るほどの猛時計を記録。同コースで6ハロン79.6秒、ラスト12.7秒と意欲的な調整は一見、1番人気を裏切ってしまった前走の大阪杯(G1)からの巻き返しにも見えるが......。

 どうやら、「それ」ばかりではないようだ。

「以前から『太りやすい体質』が懸念されているブラストワンピースですが、大阪杯後に一度緩めたこともあって、馬体重の増加が気になるところです。1週前追い切り前日の計量では、大阪杯から+27kgの557kg。1週前追い切りでしっかり時計を出した背景には、ダイエットの意味合いもあったと思います。

先日の最終追い切りの動きも良く見えましたが、果たしてどこまで絞れているか。陣営は『(レースには)530kg代の後半で出せると思う』と息巻いているようでしたが......」(競馬記者)

 以前から馬体重の増加が不安視されてきたブラストワンピースだが、陣営の尽力もあって、いざ出走となればきっちりした好馬体を披露してきた。

 しかし、今回はあくまで秋の大目標・凱旋門賞(仏G1)に向けての叩き台の意味合いが強い。いや、今後、札幌記念(G2)を経て渡仏するなら「叩きの叩き」ともいえる。菊花賞、有馬記念、大阪杯(いずれもG1)といった過去3走とは意味合いも、レースに懸ける意気込みも大きく異なるはずだ。

「レースまでに少しでも絞れてくれればとは思うけど、こうなってくると気の毒なのは、急遽代役を受けた元主戦の池添謙一騎手だよね。今回はC.ルメール騎手の騎乗停止で"元サヤ"に戻ってきた格好だけど、出走メンバー的にも『勝てば馬の力、負ければ騎手のせい』にされそうな状況。

乗り替わりが発表されたときは周囲からも『かわいそう』って声があったけど、今回もし負けることがあったら『致し方なし』って流れになっちゃうのかな......」(関係者)

 目黒記念後には、凱旋門賞出走プランが控えているブラストワンピース。今回は「凱旋門賞の斤量(59.5kg)を考えて試そうと」という試みがあっての出走だけに、ハンデの59kgは願ったり叶ったりといったところだろう。

 だがそれだけに、余計に"叩き台"の色合いが濃いのも事実。1番人気になることが確実で、出走メンバー的にも負けられない戦いになりそうだが......。ここで誰よりも結果を出したいであろう池添騎手の奮戦に期待したいところだ。

田口淳之介大麻逮捕で消えた「アノ大物」……芸能人逮捕よりもっと重要な「大量汚染」疑惑

田口淳之介大麻逮捕で消えた「官僚覚せい剤密輸」......芸能人逮捕よりもっと重要な「キャリア薬物汚染」疑惑の画像1

 大麻取締法違反容疑で逮捕された歌手の田口淳之介と女優の小嶺麗奈

 かつて人気アイドルのメンバーとして活躍し知名度も高かった田口の逮捕に、ショックの声はやはり大きい。もともと評判の悪かった小嶺と「別れるべき」という声は多かったが、予感が的中してしまった印象だ。

 取り調べに対し田口は「大麻は2人のもの」、小嶺は「自分だけのもの」と供述に食い違いがあるようだ。使用ではなく「所持」が容疑の焦点となるだけに、この部分は今後も調べが進むことだろう。

 今年はピエール瀧もコカイン容疑で逮捕されたが、それに続く「芸能人による薬物系の事件」。「週刊文春」(文藝春秋)によれば、小嶺の母親がスピリチュアルに傾倒しており、小嶺も同様。その影響を田口も受けているのでは、という記載も出ている。

 今後もさまざまな報道がなされ新事実が明らかになるのだろうが、芸能人の逮捕というのはどんな事案でも大騒ぎになるものだ。

 ただ「大事件であるはずなのに報道が少なすぎる」領域の逮捕者もいるようだ。

「先日、経産省のキャリア官僚である西田哲也容疑者(28歳)が、覚せい剤取締法違反(輸入、使用)で逮捕されました。西田容疑者は経産省内のトイレなどでガッツリ使用していたらしく、密輸までしていたというのだから驚く他ありません。

しかし、大手マスコミはこの件をあっさり伝えただけで、その後追いかけるような報道が一切ありません。ピエールの時はあれほど騒いで、キャリア官僚の逮捕には騒がない点に違和感の声は多いですね。そして今回の田口・小嶺の件で、マスコミはそれ一色。完全に官僚悪性剤逮捕の話題はかき消えました(すみません、覚醒剤でした)」(記者)

 一部では「官僚内で薬物が出回っているのでは、だからマスコミは追えない」なんて憶測も出ているが......いずれにせよ、実は田口やピエール逮捕よりも重要な事柄だけに、もう少し大手メディアにはがんばってもらいたいところだ。

JRA日本ダービー(G1)ダノンチェイサー回避。まさかの戦線離脱に衝撃

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 NHKマイルC(G1)4着から日本ダービー(G1、芝2400メートル)への出走を予定していたダノンチェイサー(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)が回避を発表した。報じた「サンスポ」によれば、左寛跛行が判明したためだという。

 ダノンチェイサーは今年のきさらぎ賞(G3、芝1800メートル)を勝利。その後、NHKマイルCから日本ダービーへ向かうローテ―ションを発表し、一部で話題となっていた。

「『3週間でG1レースを2走』するこのローテ―ションは、主に松田国英調教師が管理する有力馬に好んで使っていたこともあり、マツクニローテとも呼ばれていました。

 過去にキングカメハメハやディープスカイがマツクニローテで変則2冠馬に輝いたものの、このハードスケジュールは当時から『無理をさせている』など批判の声もあがっていました。

 そのためダノンチェイサーにも故障を心配する声があがっていたのですが、まさかそれが現実のものになってしまうとは......」(競馬誌ライター)

 日本ダービーを前に戦線離脱することになってしまったダノンチェイサー。関係者たちはさぞ無念だろう。ダノンチェイサーが無事に復帰してくれることを祈りたい。

最大800万円も非課税で投資できる方法? 初心者でも安心

「Gettyimages」より

 今回はつみたてNISAについて、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。

亮子「つみたてNISAで投資できる商品って限られているよね」
啓子「一定の要件を満たす投資信託等になりますね」
亮子「個別の株には投資できないのだよね」
啓子「投資できるものが限られているから選びやすい、と考えることもできますよ」

非課税枠は最大800万円×最長20年


 つみたてNISAとは、あらかじめ決まった金額を定期的に購入する積立投資によって得た運用益が非課税となる制度です。20年間、毎年40万円の投資枠が用意されますので、最大800万円まで非課税で投資できることになるというものです。それぞれの非課税枠の非課税期間は20年。もちろん、積立NISAを始めたからといって、途中でやめられないということはなく、20年間積立をやり続けなくてはならないということでもありません。それだけの非課税枠を利用できる、ということです。

 ざっくり言えば、最大800万円の投資が最長20年間非課税でできるということになります。

 仮に元本の変動はなく年利1パーセント(単利)の利回りを実現できたとしたら、

・800万円×1%×20年=160万円

の利益(利息や配当)を得ることができますが、現行制度を前提に考えると、通常この160万円には20.315%の所得税が課せられます。つまりトータルで

・160万円×20.315%=約32万円

の所得税が課せられます。ここで、つみたてNISA口座を使って同様の投資をすれば、この所得税がかかりませんので、約32万円の節税につながるというわけです。

 投資の元本の値上がりがあれば、さらにその分も節税になりますので、この制度を利用する価値は大いにあると思います。

つみたてNISAの節税以外のメリット


 つみたてNISA口座で購入できるのは従来のNISAと異なり、国が定めた基準を満たした投資信託商品に限られます。投資信託は投資信託協会のデータによれば公募型のものでも6,000本以上存在していますので、そのなかから実際にどれを購入するか選択するのは至難の技でしょう。

 この点、つみたてNISAは国の厳しい基準をクリアした商品に限定されているため、投資初心者にも優しい制度なのです。金融機関にもよりますが、「月々100円から積立可能」という金融機関もあり、毎日積立、毎週積立、毎月積立など、自分自身のペースに合わせて投資をすることができます。また、時期に関係なく売却して積立資金を引き出すことができるので、無理なく積み立てることができます。

 つみたてNISAにも注意点があります。前回説明した一般NISAと同様に、つみたてNISAで発生した損失は損益通算・繰越控除できないという点です。また、つみたてNISAはロールオーバーができませんので、新たな口座に資産を移すということができない点も注意です。さらに、運用の際には国が厳選しているとはいえ、利益が出ることを保証しているわけではありませんので、その点は留意しておきましょう。

いろいろな意見はありますが


 あらかじめ決まった金額で定期的に買い続ける積立投資は、ドル・コスト平均法と呼ばれる投資手法の一つです。投資商品の価額は常に変動していますので、購入するタイミングによって価格が高い、安いといったことがあります。投資は安い時に買って高い時に売ると利益を得ることができるので、できれば安いタイミングで投資できればベストですが、そのタイミングを確実に見極めるのは不可能です。

 その点、積立投資であれば一定金額を定期的に購入するため、価格が高い時は購入できる口数が少なく、価格が安い時は多く購入できるため、購入価格が平均化され、長期の投資には有利に働くというメリットがあります。

 ドル・コスト平均法の是非については、いろいろな意見はありますが、安く買って高く売るという狙い撃ちが難しいのであれば、機械的に購入することで、長期的に見れば成長し続けている市場に身を委ねる意味はあると思います。

つみたてNISAと一般NISAは同時には使えない


 ただし、つみたてNISAと一般NISAは併用することができませんので、利用する場合はどちらか一方を選択する必要があります。年ごとに選択することができますが、年ごとにどちらかの制度をかわるがわる選択しながらうまく運用していくのは難しいと思いますので、一定期間はどちらか一方を選択するのが現実的だと思います。

 以前から一般のNISAを利用している人がつみたてNISAを利用したい場合には、(1)保有する資産を売却してつみたてNISAへ切り替える、(2)一般NISA口座に資産を残したまま、つみたてNISAを利用する、(3)NISA口座の資産を通常の課税口座に移し、つみたてNISAを利用する、といった選択肢が考えられます。

 つみたてNISAを利用するからといって従来のNISA口座の資産をすぐに売却する必要はありません。売却損失が出る場合には(1)を選択すると損失が確定されて、損益通算や繰越控除を利用することができないため不利です。また、(3)を選択すると移行時の株価で課税口座に移されるため、値下がり時に移行し、その後、株価が値上がりして売却した場合に、当初想定していた以上の税金負担が出てしまうといった可能性もあります。つみたてNISA切り替え時に保有する資産を売却するタイミングが今ではないと考えられる場合には、(2)のNISA口座で資産を保有しつつ、つみたてNISAを活用するといいのではないでしょうか。

19歳以下のためのNISA


 NISAは20歳以上を対象とした制度ですが、19歳以下でも利用できるジュニアNISAという制度があります。これは2016年に開始された制度で、ジュニアNISAも従来のNISAと同様に運用によって得た利益が非課税となります。

 従来のNISAと主に異なるのは(1)上限額が年間80万円、(2)18歳まで引き出し制限がある、(3)親などの親権者等が口座の管理をする、という点です。非課税期間は投資した年から5年で、新たなNISA口座へロールオーバーできるという点は一般のNISAと同じです。

 ジュニアNISAは主に子どもや孫のための教育資金などを増やすために活用される方法ですが、必ずしも使途が教育資金に制限されるわけではなく、子どもの結婚資金や住宅購入費用にも活用することができます。預金や定期預金で資金を置いておくよりも、株式投資信託などで運用をすることで、より資金を増やせる可能性もあります。18歳まで引き出し制限がありますので、その点は注意して無理ない範囲で運用してみてはいかがでしょうか。



亮子「つみたてNISAで毎日1000円ずつ積み立てるのも面白そう!」
啓子「365日で36万5000円」
亮子「つみたてNISAはいざとなれば引き出せるけれど、長期的な視点を持って活用できると良さそうですね」
啓子「一方、ジュニアNISAは引き出すことはできませんが、だからこそ教育費や自立のための資金をつくるのに適しているように思います! もちろん、いずれも無理のない範囲で利用することが重要ですけれどね!」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)

●徳光啓子
2009年 公認会計士試験合格
2011年 明治大学商学部卒業
2011年から2016年、有限責任あずさ監査法人に勤務し、主に上場企業(製造業)を中心に監査業務に携わる。
2016年から税理士法人タックス・アイズにて企業の各種税務申告業務や会計・税務コンサルティングを行う。また、同年より茨城大学にて非常勤講師として原価計算論等の講義を行う。

明日、「供託金」違憲訴訟で画期的判決か…一般国民の選挙立候補を“妨害する”悪しき制度

供託金違憲訴訟弁護団。2月27日最終口頭弁論後の報告集会。右から2番目が原告の近藤直樹氏

 この夏の参議院議員選挙を控え、あるいは衆参ダブル選挙の可能性も指摘されるなか、5月24日午後3時から東京地裁103号法廷で、「供託金違憲訴訟」の判決が言い渡される。

 国政選挙に立候補する場合、公職選挙法によって、選挙区で出馬には300万円、比例代表では一人当たり600万円を国に供託しなければならない。これを供託金という。

 選挙区から立候補した場合、有効投票総数の10分の1に達しなければ、供託したカネは全額没収される(国庫に入る)。つまり、日本では事実上、一般人、特に貧しい人は立候補できない制度になっている。

 2014年12月の衆議院選挙に立候補しようとしていた埼玉県在住の近藤直樹氏は、出馬に必要なすべての書類を準備したが、供託金300万円を用意できず、立候補を断念した。

 そこで近藤氏は、高額の供託金を義務付ける公職選挙法92条は、選挙権に関して財産や収入による差別を禁じた憲法44条但し書き「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」に違反するとして、訴訟に踏み切った。

 近藤氏は提訴の理由を、裁判後の報告会などでこう述べている。

「おかしいことは自分たちの力で変える。そう思っても具体的に行動する人は少ないから、提訴というかたちで行動を起こしました。

 最初はどうしていいかわからず、インターネットなどで情報を集め、宇都宮健児弁護士を見つけ、“ダメ元”で事務所に電話してみたのです」

 電話を受けた宇都宮弁護士は何人もの弁護士に呼び掛け、最終的に8人の弁護士で弁護団を結成した。

 これまでにも、近藤氏と同じ疑問や怒りを感じて、何人かが供託金違憲訴訟を提起したが、裁判所はまともに審理もせず、口頭弁論を1回か2回開くだけだった。それも、書面の確認をするだけである。

 筆者の知人も提訴したことがあるが、原告が法廷で意見陳述させてほしいと主張しても、「書面を出してもらっていますので」と、裁判長はまともな陳述さえ許さず、5分程度で閉廷する始末だった。当然のごとく、過去の同種の訴訟は、原告の主張が退けられてきた。

 ところが、今回の訴訟では8人の弁護士が代理人となり、毎回傍聴者も多く、注目の裁判になった。口頭弁論も12回開かれ、原告の近藤氏の尋問も法廷で行われた。

 これまでの同種の裁判とは、様子がまるで違うのだ。そのため、原告の主張を一定以上認めるような判決が出るのではないかとの見方も出ている。

「結果いかんでは、国会も対応せざるを得ない」と、宇都宮弁護士は言う。

 もし、供託金が憲法違反とされたら、ただちに国会は公選法改正をしなければならないだろうし、仮に原告敗訴でも判決理由に何が書かれるかによって、廃止しないまでも供託金の大幅減額へ向けて国会が動く可能性もある。

最大の政治勢力である「無党派」が排除されている

 選挙に立候補するのに300万円、あるいは600万円も支払わなければならない高額供託金のルーツを、改めて確認する必要があるだろう。

 1925年(大正14)、25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられたが、同時に弾圧法の治安維持法、そして供託金制度ができた。

 立候補も投票も自由にできれば、無産政党(労働者政党)、一般人が大量に国会に進出してしまう。それを阻止するための治安維持法と供託金だった。

 そして第二次大戦敗戦後の民主化のなかでも、供託金は廃止されるどころか年々高額化され、世界一高くなってしまった。

 ちなみに、戦前は一定の税金を納めた者にのみ選挙権が与えられていたが、選挙法が改正されるたびに納税額が引き下げられてきた。戦後は逆に、供託金の額が選挙法改正ごとに何度も引き上げられてきた。

 したがって、2019年の現在も平等な自由選挙(普通選挙)は実現されていない。

 さらに、公選法では、文書図画の配布も原則禁止で、政治団体のニュースレターを配っただけで逮捕・長期拘留・起訴有罪にされた例もある。さらには戸別訪問の禁止をはじめ、ビラ配りやポスター張り、ハガキも公選法で厳しく制限されている。世界でも珍しい制限選挙といえるだろう。

 一方で現役議員、とりわけ与党所属の者は、1日24時間365日選挙運動しているも同然であるのに、新人や新しい政治威力、無党派市民は、わずかな選挙期間しか運動は認められない。そのため、存在さえ有権者に知らせるのが難しい。

 とりわけ最大の政治勢力である無党派市民の立候補が、高額供託金と選挙運動規制で阻まれているのが現状だ。

 まさに制限選挙であり、公職選挙法は政治弾圧の側面が非常に強い。

自民党からも「供託金は高すぎる」という声

 民主制度の根幹にかかわるこの訴訟は、2月27日に行われた第12回口頭弁論をもって結審し、5月24日の判決文言い渡しを待つのみである。

 原告側が提出した書面で注目されるのは、供託金について国会や政党がどのように議論してきたかを示した部分だ。

 一般人や無党派市民、新政党所属者が立候補を断念せざるを得ない世界一高い供託金によって、もっとも恩恵を受けている自民党の対応が実に興味深いので紹介しておこう。

(1)2001年の「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」。議員の質問に対し、大竹邦実・政府参考人は「日本の場合は諸外国に比べますと、供託金の額が非常に高いものになっているのは事実でございます」と、世界的に見て供託金が高いことを認めている。

(2)2009年の国会では、供託金減額の公職選挙法改正案が衆議院で可決された。その内容は、選挙区300万円を200万円、比例区600万円を400万円にするというものだったが、衆議院が解散されたため参議院で可決せずに廃案になった。

(3)2015年の「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で船田元議員は、「やはり今の公職選挙法全体の体系が、諸外国のなかでもかなり厳しいということは、私自身も認識をしております。しかし、昨今投票率が下がってきている、恒常的に下がってきているという原因のひとつには、やはり厳しすぎる公職選挙法の縛りが、ある程度は原因している」と述べ、選挙運動の厳しい制限と供託金が、恒常的な投票率の低下の原因だと指摘している。

(4)2016年3月12日、自民党青年局は自民党に対して、多くの若い世代が政治に挑戦しやすい環境を整備するために供託金の金額を早急に下げるべきだと提言している。

 このように、さすがに自民党の中からも、供託金が高すぎるという声が相次いでいるのだ。

 判決を前に、もう一度、立候補について差別を禁じている憲法44条を掲げておく。

「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」

 判決内容が注目される。
(文=林克明/ジャーナリスト)

〇5月24日(金)15:00 
〇東京地裁103号法廷(地下鉄「霞ケ関駅」A1出口)
※傍聴券抽選の可能性もあるため20分前までに裁判所正面入り口わきの抽選券配布場所へ
〇記者会見 16:00(司法記者クラブ)
〇報告集会 16:00~17:00(弁護士会館508ABC)

「コト消費」の時代に生まれた新ジャンル「プロトラベラー」とは

若者が「モノ」を買わなくなり、消費ニーズが体験や経験などの「コト」へとシフトしているといわれています。「ジャンル別イノベーター※1」を活用したマーケティングを探る電通ギャルラボの連載第6回では、「コト消費」の代表として挙げられる「旅」に注目しました。中でも、若い女性の間で人気なのは「フォトジェニック旅」という写真映えに重きをおいた旅。その新たな旅ジャンルの立役者ともいえるのが、雑誌GENIC※2編集長・藤井利佳さんと、GENICでも活動する、旅を生業とする「プロトラベラー」羽石杏奈さん。

お二人をお招きし、女子に支持される旅、旅行に対する価値観の変化を伺い、新価値のなかで「旅」のジャンル別イノベーターとして支持される理由を探りました。

※1 ある特定の分野においてオタク的知識を持ち、その分野において市場を動かす鍵を握っている影響力の高い人のこと。
 
※2 毎日をフォトジェニックに送りたい女性のためのヒントをたくさん詰め込んだ、カメラとトラベルのライフスタイルマガジン。流行の写真のスタイルや世界が注目する旅先、最先端のカメラの紹介など、読むだけで日々をセンスアップできると人気。
 
図

今、「旅」というシーンが変わってきていると思っています。その背景にあるのが価値観の変化。

ひと昔前は、高級車やブランドもののスーツなど「モノ」を持っていることがステータスでした。そして、バブル崩壊後はおしゃれなスポットやおいしい店など「情報」を持っていることが重視されるように。しかし、インターネットで誰でも情報にアクセスできる時代になると、いつでも引き出せて、誰でも持てる情報は価値を持たなくなりました。そんな中で、次に注目が集まったのが「表現」。SNSの普及もあり、自分の体験を人にシェアすることは、今や当たり前のことになりました。人の心を掴むような「表現」ができる人が目立つ世の中になったわけです。そこでぐっと価値を持つようになったのが「旅」。非日常の経験・体験ができる「旅」のシーンは、最高の表現の舞台だからです。

一方で、Instagramのような、写真を前面に出したSNSの台頭により、「自撮り」の文化にも変化が生まれました。「自撮り」初期は、撮る角度を工夫したり、美肌に加工したりして、自分を「よりかわいく」見せることに必死。いくつものビューティー系アプリが流行しました。

ところが最近は、「盛った」写真をアップする人が減り、あえて横顔や後ろ姿で写ったり、シーン(光景)の中に自分を溶け込ませたような写真をアップする人が増えています。「いかに自分をかわいく見せるか」という時代から、「いかに写真を作品としてシェアするか」という時代に変わったのです。

そんな「旅」の価値観アップと「自撮り」の変化の中で、高い表現力・演出力を持った「旅好き女子」が多数生まれています。「旅」によって非日常シーンを演出し、自分を主役に見せないような写真を作品として「自撮り」する。そんな新しい表現ができる旅好き女子たちが多くの女性たちから支持を得ています。

毎日会社に行って帰っているだけでは、なかなか新しい表現を生み出すのは難しいですよね。そんな中で今、「旅」は女性たちの間で「表現するための理由のひとつ」として重きを置かれるようになったという変化が見られます。

旅好き女子に浸透した「#genic_mag」マーケティング

このような時代背景から生まれたのが、旅と写真を掛け合わせたライフスタイル誌「GENIC」です。根底にあるのは「女の子にもっと自由に楽しんでほしい」という思い。憧れの対象のような写真をたくさん掲載していますが、誰でも自分ゴトにすることができるんです。脳裏に残った1枚の写真、それがいつかの行動のきっかけになったらいいな、と思って作っています。

この雑誌から、「#geinc_mag」(mag= Magazineの意味)、「#genic_travel」などのハッシュタグも生まれました。今では「genic_」とタグ検索すれば、前方一致で#geinc_hawaii、#geinc_kyotoなど、さまざまな地名のタグがヒットし、その土地土地のおしゃれな写真が並んでいます。

「#genic_」は私たちが作ったオリジナルのハッシュタグで、編集部が#genic_magなどのタグがついた写真をリポストしたり、雑誌に掲載したり地道な活動を続けてきましたが、「#genic_」のタグがここまで浸透した理由は、instagramのタグ検索の特性である「前方一致」に合った「#genic_」の派生タグを作ったことがとても大きな要因だったと思います。

今では「#hawaiiで検索してもハワイのおしゃれな写真が見つからないけれど、#genic_hawaiiで検索すると欲しかった写真が見つかる」という声も多く頂き、おしゃれな女子旅のタグとして「#genic_」がブランディングできていると感じます。現在、#genic_magのInstagram投稿数は135万以上、#genic_travelは63.5万以上に達しています。もし、「#hawaii_genic」「#travel_genic」のように逆にしていたらこうはなっていなかったと思います。

「プロトラベラー」に求められる資質と可能性

旅好き女子に注目するうち、「プロの登山家やプロの料理人はいるのに、旅のプロっていないよね」という話になりました。旅行会社の社員やツアーコンダクターは「旅のプロ」といえますが、「旅行者のプロ」ではありません。そこで私たちが「プロトラベラー」という職業を提案することにしたのです。

プロトラベラーは、旅に出かける「実行力」とそれをすてきに見せる「演出力」を持つ、新しい表現ができる女子たちです。最初はスカウトでしたが、公募した際には4万件を超える応募がありました。大事なのは、InstagramなどのSNSのフォロワー数よりも表現力。プロトラベラーは、旅の素晴らしさを表現を通して人に伝えるプロ表現者なのです。

「プロトラベラー」は当社が商標を持っているため、現在プロトラベラーとして活動しているのは、当社に所属している5人の女性です。各国の政府観光局や国内の自治体、旅行会社、航空会社、旅に関連する様々な企業からお声掛けいただき、個人のInstagramの他、動画、雑誌、テレビイベント出演など、さまざまなメディアを通じて旅の魅力を伝えています。

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「旅好き女子」から「プロトラベラー」へ

プロトラベラーを目指したのは、旅行が大好きだから。私が発信したことを通して、一人でも多くの方に「旅行してみたい!」と思ってもらえることがモチベーションになっています。高校時代からアルバイトでお金を貯めては、休みのたびにバックパックを背負って旅行していました。友達にも「ここ、すっごく良かったよ!」とお勧めすることが多く、自分の影響を受けて友達が旅に出掛けてくれると、とてもうれしかったんです。

Instagramのフォロワー数は、現在約10万人。フォロワーが最初に増えたきっかけは、「テラスハウス ALOHA STATE」への出演です。番組が放送されていた頃は旅好きよりも「テラスハウス」ファンが多かったので、フォロワーにも男性が多かったのですが、プロトラベラーとして活動するようになってからは変わってきて、今では圧倒的に旅好きの女性フォロワーが多くなりました。女性が7割で、18~34歳が大半を占めています。

実際、私のInstagramの投稿を見て「ここに行くことにしました」「今日フライトを予約しました」とDMをもらうことも。それが、プロトラベラーとしてのやりがいにつながっています。

プロトラベラーがこだわる「旅+写真」の表現法

プロトラベラーになる前は、あまり深く考えずに写真を撮っていました。服装、写真を撮る場所、画角、加工などを意識するようになったのは、プロトラベラーになってからのこの2年です。

Instagramに載せる写真は、多い時には1カ所で100枚ぐらい撮ります。カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクは同行しないことが多いため、服装やメイク、構図や角度を決めるのはすべて自分。日本にいる時にはできないファッションを楽しむのも海外旅行の醍醐味なので、事前にその場所について調べ「このシーンで撮るならこの色が合うはず。それならこのワンピを持っていこう」と風景込みでコーディネートも考えます。もちろん現地で買った服を着て、その地に合ったメイクをすることも。旅行を思いっきり楽しむための出費は惜しまないのも「コト消費」の時代ならでは、でないでしょうか。

自分自身もそうですが、フォロワーの人たちを見ていても、旅先や行く場所の決め方が変わってきていると感じます。「次の休みどこ行こう」って探し始めるんじゃなくて、日常的に見ている雑誌やInstagramなどから流れてきた場所が「この写真のところ、あの写真のところ」といった感じで「行きたいところ」として頭の中に積まれていくというか。「この写真を撮りたい」「この場所に立ちたい」といった「実物を自分の目で見たい」という旅の目的は昔から変わっていないけれど、その場所の決め方や行き先の決め方は変わっているんだと思います。

だからこそ私も発信をする際は、自分の投稿を見て「次はここに行ってみたい」と記憶に残せるような写真を撮ることを心がけています。

海外ではトラベルインフルエンサー=あこがれの仕事。Instagramのフォロワー数が100万を超える人たちもたくさんいます。でも、日本ではまだトラベルインフルエンサーという職業が海外ほど広まっていないので、これからもっと認知度が上がっていけばいいな、と思っています。私自身も、今は日本語でInstagramに投稿していますが、今後は英語と日本語の両方で投稿して日本のトラベルインフルエンサーの存在を世界に広め、より多くの方々に旅の楽しさを伝えることを考えています。

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去年は年間14カ国を旅したほど「旅好き女子」の私も、旅先を決める際はGENICやプロトラベラーのInstagramを参考にしていることもあり、今回の対談は共感するポイントが多くありました。その中でも、お二人のお話を通してジャンル別イノベーターを活用して「コト消費」を動かすための重要な三つのポイントをまとめます。

①価値観の変化による、「新たなライフスタイル」に着目する

 

GENICやプロトラベラーが登場した背景にあるのは、スマホやSNSの普及と様々なサービスの登場による旅のスタイルの変化です。

旅行会社を通さなければ、なかなか旅行ができなかった時代から、スマホで簡単に航空券やホテルを比較して予約したり、SNSでリアルタイムに現地の情報を収集できたりする時代になりました。

このように、誰でも簡単に情報が入手でき、自分オリジナルの旅をアレンジできるようになったことで、旅はより身近でパーソナルなものに変化しています。旅好きに求められる人も「旅のプロ」(=旅の情報を知っている人)から「旅行者のプロ」(=旅の楽しみ方や表現方法を知っている人)に変わってきたことで、「プロトラベラー」というジャンル別イノベーターが支持されているのです。

藤井編集長が羽石さんを見出したように、多くの人に支持されて消費を動かすことができるジャンル別イノベーターを見出すためのポイントは、価値観の変化によるライフスタイルの変化から生まれるニーズを見つけ出すことです。

②キュレーションしたコンテンツを発信することで、独自ジャンルを確立する

 

「旅」のジャンルにおけるジャンル別イノベーターの場合、「旅の情報を発信している旅好き」ではなく、女子たちの心がときめく旅先のすてきな風景や体験、新しいスポットをキュレーションして表現して紹介してくれる「プロトラベラー」という独自の存在が、女性たちに支持されるジャンル別イノベーターとして確立していることが分かりました。

今回お話を伺った羽石さんは、元々はテレビ番組の出演者として番組ファンたちから広く人気を博していました。プロトラベラーとなり自分自身が編集し発信するコンテンツにファンがつくようになったことで、「女子旅」というジャンルにおいて消費を動かす力を持つようになり、ジャンル別イノベーターとして多くの旅好き女子たちから支持されるようになっています。

GENICオリジナルハッシュタグである 「#genic_hawaii」「#genic_kyoto」といった「#genic_(地名)」のハッシュタグは、今では旅好き女子たちが旅先の情報を収集するための定番の検索ハッシュタグに。これも「#hawaii」で出てくるような漠然としたハワイの情報ではなく、ハワイでおしゃれに写真が撮れるスポットや、心がときめくホテルやカフェなど、女性たちの「ワクワクするハワイの情報が知りたい!」というニーズを的確に捉えて、キュレーションされた的確な情報が集まる場所をつくったことが、女性たちの行動に強い影響力を持つ独自のハッシュタグへ成長した理由だと思います。

「コト消費」を動かすために必要なことは、「コト」を細分化し、そこでのニーズを捉えた独自ジャンルをつくり、発信していくことが重要なポイントになります。

③大量の情報の中から、Bucket list(バケツリスト)入りを目指す

 

SNSの登場により自ら探さなくても、興味のある情報がどんどん流れ込んでくるようになりました。今、旅先や行く場所は検索するのではなく、流れてきた情報の中から興味のある情報をストックし、条件に応じて場所を選んでいくようになっています。死ぬ前にやっておきたいことや達成したいことを書き出したリストのことを海外では「Bucket list(バケツリスト)」と言いますが、まさにこのBucket listに入ることがコト消費を動かす重要なポイントになります。

情報がコモディティー化した現代において「情報」よりも「表現」にこそ価値がある、という藤井編集長のお話の通り、まさにプロトラベラー独自の視点と表現力で切り取られた一枚の世界・景色が、女性たちの「私もここに行きたい!」「こんな体験したい!」という気持ちを掻き立て、記憶にストックされ、実際に人を動かすパワーを持つのだと強く感じました。

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「コト消費」の時代に生まれた新ジャンル「プロトラベラー」とは

若者が「モノ」を買わなくなり、消費ニーズが体験や経験などの「コト」へとシフトしているといわれています。「ジャンル別イノベーター※1」を活用したマーケティングを探る電通ギャルラボの連載第6回では、「コト消費」の代表として挙げられる「旅」に注目しました。中でも、若い女性の間で人気なのは「フォトジェニック旅」という写真映えに重きをおいた旅。その新たな旅ジャンルの立役者ともいえるのが、雑誌GENIC※2編集長・藤井利佳さんと、GENICでも活動する、旅を生業とする「プロトラベラー」羽石杏奈さん。

お二人をお招きし、女子に支持される旅、旅行に対する価値観の変化を伺い、新価値のなかで「旅」のジャンル別イノベーターとして支持される理由を探りました。

※1 ある特定の分野においてオタク的知識を持ち、その分野において市場を動かす鍵を握っている影響力の高い人のこと。
 
※2 毎日をフォトジェニックに送りたい女性のためのヒントをたくさん詰め込んだ、カメラとトラベルのライフスタイルマガジン。流行の写真のスタイルや世界が注目する旅先、最先端のカメラの紹介など、読むだけで日々をセンスアップできると人気。
 
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今、「旅」というシーンが変わってきていると思っています。その背景にあるのが価値観の変化。

ひと昔前は、高級車やブランドもののスーツなど「モノ」を持っていることがステータスでした。そして、バブル崩壊後はおしゃれなスポットやおいしい店など「情報」を持っていることが重視されるように。しかし、インターネットで誰でも情報にアクセスできる時代になると、いつでも引き出せて、誰でも持てる情報は価値を持たなくなりました。そんな中で、次に注目が集まったのが「表現」。SNSの普及もあり、自分の体験を人にシェアすることは、今や当たり前のことになりました。人の心を掴むような「表現」ができる人が目立つ世の中になったわけです。そこでぐっと価値を持つようになったのが「旅」。非日常の経験・体験ができる「旅」のシーンは、最高の表現の舞台だからです。

一方で、Instagramのような、写真を前面に出したSNSの台頭により、「自撮り」の文化にも変化が生まれました。「自撮り」初期は、撮る角度を工夫したり、美肌に加工したりして、自分を「よりかわいく」見せることに必死。いくつものビューティー系アプリが流行しました。

ところが最近は、「盛った」写真をアップする人が減り、あえて横顔や後ろ姿で写ったり、シーン(光景)の中に自分を溶け込ませたような写真をアップする人が増えています。「いかに自分をかわいく見せるか」という時代から、「いかに写真を作品としてシェアするか」という時代に変わったのです。

そんな「旅」の価値観アップと「自撮り」の変化の中で、高い表現力・演出力を持った「旅好き女子」が多数生まれています。「旅」によって非日常シーンを演出し、自分を主役に見せないような写真を作品として「自撮り」する。そんな新しい表現ができる旅好き女子たちが多くの女性たちから支持を得ています。

毎日会社に行って帰っているだけでは、なかなか新しい表現を生み出すのは難しいですよね。そんな中で今、「旅」は女性たちの間で「表現するための理由のひとつ」として重きを置かれるようになったという変化が見られます。

旅好き女子に浸透した「#genic_mag」マーケティング

このような時代背景から生まれたのが、旅と写真を掛け合わせたライフスタイル誌「GENIC」です。根底にあるのは「女の子にもっと自由に楽しんでほしい」という思い。憧れの対象のような写真をたくさん掲載していますが、誰でも自分ゴトにすることができるんです。脳裏に残った1枚の写真、それがいつかの行動のきっかけになったらいいな、と思って作っています。

この雑誌から、「#geinc_mag」(mag= Magazineの意味)、「#genic_travel」などのハッシュタグも生まれました。今では「genic_」とタグ検索すれば、前方一致で#geinc_hawaii、#geinc_kyotoなど、さまざまな地名のタグがヒットし、その土地土地のおしゃれな写真が並んでいます。

「#genic_」は私たちが作ったオリジナルのハッシュタグで、編集部が#genic_magなどのタグがついた写真をリポストしたり、雑誌に掲載したり地道な活動を続けてきましたが、「#genic_」のタグがここまで浸透した理由は、instagramのタグ検索の特性である「前方一致」に合った「#genic_」の派生タグを作ったことがとても大きな要因だったと思います。

今では「#hawaiiで検索してもハワイのおしゃれな写真が見つからないけれど、#genic_hawaiiで検索すると欲しかった写真が見つかる」という声も多く頂き、おしゃれな女子旅のタグとして「#genic_」がブランディングできていると感じます。現在、#genic_magのInstagram投稿数は135万以上、#genic_travelは63.5万以上に達しています。もし、「#hawaii_genic」「#travel_genic」のように逆にしていたらこうはなっていなかったと思います。

「プロトラベラー」に求められる資質と可能性

旅好き女子に注目するうち、「プロの登山家やプロの料理人はいるのに、旅のプロっていないよね」という話になりました。旅行会社の社員やツアーコンダクターは「旅のプロ」といえますが、「旅行者のプロ」ではありません。そこで私たちが「プロトラベラー」という職業を提案することにしたのです。

プロトラベラーは、旅に出かける「実行力」とそれをすてきに見せる「演出力」を持つ、新しい表現ができる女子たちです。最初はスカウトでしたが、公募した際には4万件を超える応募がありました。大事なのは、InstagramなどのSNSのフォロワー数よりも表現力。プロトラベラーは、旅の素晴らしさを表現を通して人に伝えるプロ表現者なのです。

「プロトラベラー」は当社が商標を持っているため、現在プロトラベラーとして活動しているのは、当社に所属している5人の女性です。各国の政府観光局や国内の自治体、旅行会社、航空会社、旅に関連する様々な企業からお声掛けいただき、個人のInstagramの他、動画、雑誌、テレビイベント出演など、さまざまなメディアを通じて旅の魅力を伝えています。

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「旅好き女子」から「プロトラベラー」へ

プロトラベラーを目指したのは、旅行が大好きだから。私が発信したことを通して、一人でも多くの方に「旅行してみたい!」と思ってもらえることがモチベーションになっています。高校時代からアルバイトでお金を貯めては、休みのたびにバックパックを背負って旅行していました。友達にも「ここ、すっごく良かったよ!」とお勧めすることが多く、自分の影響を受けて友達が旅に出掛けてくれると、とてもうれしかったんです。

Instagramのフォロワー数は、現在約10万人。フォロワーが最初に増えたきっかけは、「テラスハウス ALOHA STATE」への出演です。番組が放送されていた頃は旅好きよりも「テラスハウス」ファンが多かったので、フォロワーにも男性が多かったのですが、プロトラベラーとして活動するようになってからは変わってきて、今では圧倒的に旅好きの女性フォロワーが多くなりました。女性が7割で、18~34歳が大半を占めています。

実際、私のInstagramの投稿を見て「ここに行くことにしました」「今日フライトを予約しました」とDMをもらうことも。それが、プロトラベラーとしてのやりがいにつながっています。

プロトラベラーがこだわる「旅+写真」の表現法

プロトラベラーになる前は、あまり深く考えずに写真を撮っていました。服装、写真を撮る場所、画角、加工などを意識するようになったのは、プロトラベラーになってからのこの2年です。

Instagramに載せる写真は、多い時には1カ所で100枚ぐらい撮ります。カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクは同行しないことが多いため、服装やメイク、構図や角度を決めるのはすべて自分。日本にいる時にはできないファッションを楽しむのも海外旅行の醍醐味なので、事前にその場所について調べ「このシーンで撮るならこの色が合うはず。それならこのワンピを持っていこう」と風景込みでコーディネートも考えます。もちろん現地で買った服を着て、その地に合ったメイクをすることも。旅行を思いっきり楽しむための出費は惜しまないのも「コト消費」の時代ならでは、でないでしょうか。

自分自身もそうですが、フォロワーの人たちを見ていても、旅先や行く場所の決め方が変わってきていると感じます。「次の休みどこ行こう」って探し始めるんじゃなくて、日常的に見ている雑誌やInstagramなどから流れてきた場所が「この写真のところ、あの写真のところ」といった感じで「行きたいところ」として頭の中に積まれていくというか。「この写真を撮りたい」「この場所に立ちたい」といった「実物を自分の目で見たい」という旅の目的は昔から変わっていないけれど、その場所の決め方や行き先の決め方は変わっているんだと思います。

だからこそ私も発信をする際は、自分の投稿を見て「次はここに行ってみたい」と記憶に残せるような写真を撮ることを心がけています。

海外ではトラベルインフルエンサー=あこがれの仕事。Instagramのフォロワー数が100万を超える人たちもたくさんいます。でも、日本ではまだトラベルインフルエンサーという職業が海外ほど広まっていないので、これからもっと認知度が上がっていけばいいな、と思っています。私自身も、今は日本語でInstagramに投稿していますが、今後は英語と日本語の両方で投稿して日本のトラベルインフルエンサーの存在を世界に広め、より多くの方々に旅の楽しさを伝えることを考えています。

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去年は年間14カ国を旅したほど「旅好き女子」の私も、旅先を決める際はGENICやプロトラベラーのInstagramを参考にしていることもあり、今回の対談は共感するポイントが多くありました。その中でも、お二人のお話を通してジャンル別イノベーターを活用して「コト消費」を動かすための重要な三つのポイントをまとめます。

①価値観の変化による、「新たなライフスタイル」に着目する

 

GENICやプロトラベラーが登場した背景にあるのは、スマホやSNSの普及と様々なサービスの登場による旅のスタイルの変化です。

旅行会社を通さなければ、なかなか旅行ができなかった時代から、スマホで簡単に航空券やホテルを比較して予約したり、SNSでリアルタイムに現地の情報を収集できたりする時代になりました。

このように、誰でも簡単に情報が入手でき、自分オリジナルの旅をアレンジできるようになったことで、旅はより身近でパーソナルなものに変化しています。旅好きに求められる人も「旅のプロ」(=旅の情報を知っている人)から「旅行者のプロ」(=旅の楽しみ方や表現方法を知っている人)に変わってきたことで、「プロトラベラー」というジャンル別イノベーターが支持されているのです。

藤井編集長が羽石さんを見出したように、多くの人に支持されて消費を動かすことができるジャンル別イノベーターを見出すためのポイントは、価値観の変化によるライフスタイルの変化から生まれるニーズを見つけ出すことです。

②キュレーションしたコンテンツを発信することで、独自ジャンルを確立する

 

「旅」のジャンルにおけるジャンル別イノベーターの場合、「旅の情報を発信している旅好き」ではなく、女子たちの心がときめく旅先のすてきな風景や体験、新しいスポットをキュレーションして表現して紹介してくれる「プロトラベラー」という独自の存在が、女性たちに支持されるジャンル別イノベーターとして確立していることが分かりました。

今回お話を伺った羽石さんは、元々はテレビ番組の出演者として番組ファンたちから広く人気を博していました。プロトラベラーとなり自分自身が編集し発信するコンテンツにファンがつくようになったことで、「女子旅」というジャンルにおいて消費を動かす力を持つようになり、ジャンル別イノベーターとして多くの旅好き女子たちから支持されるようになっています。

GENICオリジナルハッシュタグである 「#genic_hawaii」「#genic_kyoto」といった「#genic_(地名)」のハッシュタグは、今では旅好き女子たちが旅先の情報を収集するための定番の検索ハッシュタグに。これも「#hawaii」で出てくるような漠然としたハワイの情報ではなく、ハワイでおしゃれに写真が撮れるスポットや、心がときめくホテルやカフェなど、女性たちの「ワクワクするハワイの情報が知りたい!」というニーズを的確に捉えて、キュレーションされた的確な情報が集まる場所をつくったことが、女性たちの行動に強い影響力を持つ独自のハッシュタグへ成長した理由だと思います。

「コト消費」を動かすために必要なことは、「コト」を細分化し、そこでのニーズを捉えた独自ジャンルをつくり、発信していくことが重要なポイントになります。

③大量の情報の中から、Bucket list(バケツリスト)入りを目指す

 

SNSの登場により自ら探さなくても、興味のある情報がどんどん流れ込んでくるようになりました。今、旅先や行く場所は検索するのではなく、流れてきた情報の中から興味のある情報をストックし、条件に応じて場所を選んでいくようになっています。死ぬ前にやっておきたいことや達成したいことを書き出したリストのことを海外では「Bucket list(バケツリスト)」と言いますが、まさにこのBucket listに入ることがコト消費を動かす重要なポイントになります。

情報がコモディティー化した現代において「情報」よりも「表現」にこそ価値がある、という藤井編集長のお話の通り、まさにプロトラベラー独自の視点と表現力で切り取られた一枚の世界・景色が、女性たちの「私もここに行きたい!」「こんな体験したい!」という気持ちを掻き立て、記憶にストックされ、実際に人を動かすパワーを持つのだと強く感じました。

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JRA日本ダービー(G1)デムーロ「ノッたら止まらない男」アドマイヤジャスタの「成長力」はいかほどか

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 競馬の祭典日本ダービー(G1、芝2400メートル)が迫ってきた。M.デムーロ騎手が騎乗するアドマイヤジャスタ(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)について検討する。

 アドマイヤジャスタの父はジャスタウェイ。天皇賞・秋(G1、芝2000メートル)、ドバイデューティフリー(現ドバイターフ G1、芝1800メートル)、安田記念(G1、芝1600メートル)を制し、ジャパンC(G1、芝2400メートル)2着という実績もある。IFHA(国際競馬統括機関連盟)のロンジンワールドベストレースホースランキングの1位にもなった。種牡馬としての活躍が期待されスタッド入りした。

 現3歳世代が初年度産駒であり、日本ダービーにはアドマイヤジャスタとヴェロックスの2頭を送り込んできた。ただし、まだ重賞勝ち馬は出ていない。重賞で2着だった産駒は次の通り(最後の括弧内は優勝馬)。

函館2歳S(G3、芝1200メートル)
ラブミーファイン(アスターペガサス)

京王杯2歳S(G2、芝1400メートル)
アウィルアウェイ(ファンタジスト)

ホープフルS(G1、芝2000メートル)
アドマイヤジャスタ(サートゥルナーリア)

皐月賞(G1、芝2000メートル) 
ヴェロックス(サートゥルナーリア)

 ジャスタウェイ自身はマイルから2000メートルが得意だったが、産駒は短距離もこなしている。母系が距離適性を左右しそうだ。アドマイヤジャスタの母父は凱旋門賞馬エリシオ、ヴェロックスの母父は2400メートル級のG1を3勝したモンズン。両頭とも日本ダービーの2400メートルは問題ないだろう。どちらが勝ってもジャスタウェイ産駒の重賞初制覇にしてG1初制覇という快挙となる。

 皐月賞2着のヴェロックスは上位人気となるが、それほど人気にならないアドマイヤジャスタが馬券に絡めば好配当になる。POGではジャスタウェイ産駒ならこの馬と期待されていた素質馬。これまで【2・3・0・1】と安定した成績。前走の皐月賞以外では連を外していない。ホープフルSで皐月賞馬サートゥルナーリアの2着になった実績もある。日本ダービーで好走できる可能性はあるのだろうか。

 アドマイヤジャスタにとってまず必要なのはホープフルSからの成長。ホープフルSではサートゥルナーリアをマーク、直線でいったんは先頭に立ったものの、サートゥルナーリアの末脚に撃破された。1馬身半差の2着に踏ん張ったとはいえ、力量差は大きかった。3歳春になっての成長がなければ日本ダービーで好走できない。

 そして、アドマイヤジャスタがどこまで成長したのかについてはかなり不透明だ。今年初戦のすみれS(L、芝2200メートル)では、先に抜け出したサトノルークスを追撃するも、脚色が同じになってしまっての2着。キレキレの脚はないことがはっきりした。ただし、余裕残しの仕上げだったので地力は示した。

JRA日本ダービー(G1)デムーロは「ノッたら止まらない」アドマイヤジャスタの「成長力」はいかほどかの画像2

 皐月賞は8枠17番という不利な枠で、しかも出遅れ。後方からの競馬で8着まで上がってきた。出遅れがなければもっと着を上げていた可能性は高いが、3歳春になっての成長を確認できるレースではなかった。

 とはいえ、父ジャスタウェイはレースを使われながら成長した馬。凡走後にはさらなる成長を見せて何度も巻き返した。アドマイヤジャスタにも父譲りの成長力を期待しよう。ジャスタウェイも管理した須貝尚介調教師の「悔いのない仕上がり」という言葉に嘘はないだろう。東京コースは初となるが、父と同様に大歓迎のはず。

 鞍上は初騎乗となるM.デムーロ騎手。令和初のG1、NHKマイルC(G1、芝1600メートル)をアドマイヤマーズで制すると、令和初のクラシック、オークス(G1、芝2400メートル)はラヴズオンリーユーで優勝した。一度爆発すると止まらない男。令和初の日本ダービーでも果敢な騎乗を見せてくれるだろう。

甘デジ ST継続率「81%」の衝撃……「王者」に続く人気作が降臨!!【パチンコ新台―徹底考察―】

甘デジ ST継続率「81%」の衝撃......「王者」に続く人気作が降臨!!【パチンコ新台―徹底考察―】の画像1

 新時代に突入しても、抜群の安定感を誇るパチンコ『海物語』シリーズ(SANYO)。

 新機種『Pスーパー海物語 IN JAPAN2 MTR』も、デビューより上々の稼働を実現。パチンコサイト「 パチビー」の全国稼働ランキングで上位にランクインするなど、人気の高さは健在だ。

 そんな国民的パチンコを生み出したSANYOへの注目は、さらに高まっていきそうだ。

 6月には新内規対応タイプのミドルスペック『P咲-Saki-阿知賀編 役満GOLDバージョン』を導入予定。規則上限の1500発を搭載しており、継続率は設定1でも「80%オーバー」となっている。設定の高低を気にせず"一撃"に期待できる仕様だ

 さらにはST継続率MAX「約81%」の甘デジ新機種を発表。約1140発の出玉を搭載したスペックが熱視線を浴びている。

『PAストライクウィッチーズ』

7月導入予定
甘デジ ST継続率「81%」の衝撃......「王者」に続く人気作が降臨!!【パチンコ新台―徹底考察―】の画像2
SANYO HP」より

■大当り確率:約1/99.9(約1/55.1)~約1/87.7(約1/48.4)
■賞球数:4&1&13&3
■ラウンド:4R or 10R
■カウント:8C
■時短回数:(ヘソ入賞時)40回
■ST突入期待値:約33%~約37%
■ST回数:80回
■ST継続期待値:約77%~約81%
■最高出玉:約1140発
○○○

 空駆ける乙女の戦いを描いた人気アニメとのタイアップ機。同社の人気パチンコ『ストライクウィッチーズ』の甘デジスペックは、6段階設定を搭載した"高継続タイプ"となって登場だ。

甘デジ ST継続率「81%」の衝撃......「王者」に続く人気作が降臨!!【パチンコ新台―徹底考察―】の画像3

 本機の特徴に関し「安心感ある大当り確率&時短性能」「満足感たっぷりのST回数」「期待感満載の継続期待値」と宣伝。その仕上がりに自信を覗かせている。

「大当たり確率は1/99.9(設定1)~1/87.7(設定6)で、初当り後の時短を突破すればラッシュを堪能できるゲーム性。ラッシュ中の継続率期待度は約77%(設定1)~約81%(設定6)と強力です。

遊びやすいにも関わらず、連チャンを十分に期待できるスペックですね。さらに約1140発の出玉を搭載と一撃性も高い。興味を示すユーザーが続出していることも納得ですよ」(パチンコライター)

 業界を牽引するSANYOのパチンコ新機種が快進撃を見せるのだろうか。『PAストライクウィッチーズ』は、7月の導入を予定している。

「複職の権利」創設を目指して…週1日は別企業、1日2社で勤務など多様化の重要性

「Gettyimages」より

「所得」とは「所(ところ)を得(え)る」と書く。人口増加で高成長の経済であれば、賃金や雇用が年々改善し、一つの組織に属しそこから所得を得てもリスクは低かったが、人口減少で低成長の経済では、所属する組織の業績が悪化し、所得(の一部)を失うリスクもある。最悪のシナリオでは、所属組織そのものが倒産し、失業してしまう可能性もある。

 このようなリスクをヘッジするためには、いくつかの組織に所属し、複数の組織から所得を得ることができる雇用のポートフォリオを組むのが賢い選択である。本業のほかに別の職業をもつことを「副職」というが、厚労省の「就業構造基本調査」によると、本業も副業も雇用者である労働者の数は概ね増加傾向で推移し、2017年で約129万人となっている。この129万人のうち男性は約57万人、女性は約72万人であり、1992年は約75万人(男性:約47万人、女性:約28万人)であった。

 また、本業も副業も雇用者である労働者について、本業の従業上の地位を見ると、女性では「パート」(43.5%)や「アルバイト」(18.9%)が多いものの、男性では「正規の職員・従業員」(36.8%)や「会社などの役員」(26.3%) も多い。さらに、本業の所得階層で見ると、年間所得299万円以下の所得階層で全体の約7割を占める一方、年間所得が199万円以下の階層と1000万円以上の階層で副業をしている者の割合が比較的高い(図表1)。



図表1(出典:総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」)

 複数の事業所で雇用される者を「マルチジョブホルダー」というが、本業のほかに副業をもつ「副職」に留まらず、雇用のポートフォリオを構築するためには、いくつか複数の職をもつ「複職」を可能とする必要がある。また、「複職」という選択は、雇用のポートフォリオとして機能するのみでなく、個人のさまざまな知識・スキル獲得を促し、企業にも人材の有効活用や社員の能力向上といったメリットも存在するはずである。

「複職の権利」創設


 このような状況のなか、政府は、2017年3月下旬の「働き方改革実現会議」において、「働き方改革実行計画」を決定しており、そのなかには「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として、「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定」等を記載している。

 この実行計画を受け、厚労省は2018年1月に(副業の壁であった)「モデル就業規則」を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設している。それと同時に、副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドライン(正式名称は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)やそのQ&A等を作成し公表している。

 もっとも、モデル就業規則やガイドラインには法的な拘束力はなく、実際に複職を認めるか否かは各企業の判断に依存する。ソフトバンクグループ、新生銀行やユニ・チャームといった一部の企業では副業を解禁しているが、現在のところ、社外への情報の漏洩リスクなどを理由として、経済界を中心に副業への慎重論も多い。

 複職ができない企業を辞めて、別の企業に転職すればよいという議論もあろうが、一部の優秀な人材を除き、そう簡単に転職できない人材もいる。年功序列や終身雇用に代表される日本型雇用が揺らぎ、その生活保障機能が低下するなか、リスク・ヘッジのために複職を望む個人に対し、就業規則で複職を禁止し、一つの組織に縛りつける戦略は本当に理にかなっているのだろうか。

 政府として、そのような個人を支援するためにも、法的に「複職の権利」を創設してはどうか。雇用のポートフォリオ構築のため、週5日のうち1日程度は、別の企業での業務に従事したり、NPO等での非営利活動をしたい個人も多いはずである。「複職の権利」とは、例えば、このような個人が別の組織での業務に従事したい旨を申請した場合、基本的に許可しなければならないという法的な制度である。当然であるが、その場合、就業規則で定められたルールに基づき、本業の企業は支払う賃金を減額できる仕組みも重要である。

諸問題の解決の必要性


 なお、「複職」を本当の意味で推進するためには、雇用保険の適用問題や社会保険料の徴収方法のほか、労働時間の通算問題や労災保険給付などの問題も検討を進める必要がある。

 このうち、労働時間の通算問題について、現行の労働基準法では、本業と副業の労働時間を合算して適用するルールとなっており、残業代など割増賃金の取り扱いにつき、本業と副業のどちらの企業が負担するのかという問題が発生する。

「1日8時間、1週40時間」を超えて働かせる場合、労働基準法に従って割増賃金を支払う必要があるが、例えば、本業のX社で1日5時間働き、その後、副業のY社で1日4時間働くケースでは、後に働くY社が1時間分(=9時間-8時間)の残業代を支払うのが一般的である。しかしながら、X社とY社との労働契約が両方とも「所定労働時間4時間」であるとき、1時間分の残業代を支払うのはX社となり、これは異なる事例の一つにすぎない。

 このような複雑な問題を解決する一つの方法は、適用可能な業種に一定の限界があるものの、労働時間と成果・業績を連動しない「裁量労働制」(仕事のやり方や労働時間の配分を労働者の裁量に委ねる労働契約)を利用することである。

 また、マルチジョブホルダーに関する雇用保険の適用問題についても日本の取り扱いはフランスやドイツと異なり、本業の雇用関係しか適用されない(図表2)。一度に解決できる問題ではないが、プロジェクト型のジョブマッチングを行うプラットフォームを運営するサイト(例:ランサーズ)やクラウドワーク等の浸透でマルチジョブホルダーが引き続き広がることは確実であり、徐々に検討を深めていくことが望まれる。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)