パチンコ従来にはない「革命的」役物! 見た目のわりにはすこぶる正統派!!【羽根物・名機列伝】

 そのギミックのメカニカルなフォルムが「やってくれそう」なのである。

 西陣から登場した羽根物『キカイダーvsハカイダー』はその名の通り石ノ森章太郎原作の特撮テレビ番組のタイアップマシンである。特撮ヒーローと石ノ森章太郎といえば、言わずと知れた「仮面ライダー」の流れを汲むものであるが、その特異なルックスは子ども心に狂気を感じたものである。

 こういったヒーローものを羽根物で扱う場合、たいていはその主人公を模した役物にするのが通例であろう。先の仮面ライダーしかり、ウルトラマンしかり。しかし、本機においてはタイトルに入っている2人のキャラクターは直接役物やゲーム性に関与しないフィギュアによって表現され、メインとなる役物は3つの回転体で構成されたものとなっている。名付けて「大車輪メカ」。

 この「大車輪メカ」、アプローチする側によってV入賞のチャンスとなる真ん中の回転体「Vチャンスゾーン」への突入率が変化するようになっている。当代風にいえばノーマルルートとチャンスルートとなろう。

 向かって左側からアプローチするパターンは「ハカイダールート」と呼ばれ、約6分の1で中央の「Vチャンスゾーン」へ送られる。一方の右側は「キカイダールート」で、約半分が「Vチャンスゾーン」行きとなる。ちなみに、「Vチャンスゾーン」のV入賞率は約3分の1である。

 このように大車輪メカを右側から攻めるキカイダールートに乗れば大チャンスとなるが、ハカイダールートでもノーチャンスではないし、回転体の下にあるストッパーの動きによってキカイダールートへ移行する逆転パターンも存在する。

 ただ、役物確率自体は辛めの印象もある。しかし、直撃大当りやチャッカー保留機能などがないので安定感があり、調整に比例して勝負が計算できる「堅い台」といった印象である。

 前述の通り、役物は必ずしも甘くないので、私の住んでいた周辺ホールでは調整も緩やかで「遊べる」イメージがついていたが、少し遠出した先の見知らぬホールではなかなかに厳しい調整となっていたので「ぼったくり店」かと思いきや、自称事情通の友人に聞くとかなりの優良店だとか。

 ならばたまたま行った日が回収日だとか巡り合わせが悪かったのだと、暇に任せて次の日も同じ店で『キカイダーvsハカイダー』を打ちに行ったら、やっぱり調整がよろしくない。不思議に思っていると運よく大当りしたのだが、そこで答えが見つかった。

 この機種、実は3つもタイプがあり、この店はラウンド振り分けが10Rと16Rの2通りしかないタイプのマシンであった。通常は3or8or16Rなので、その分調整に影響を与えていたのである。

 キカイダーの青は「正義の心」、赤は悪魔の心を象徴し、「不完全な良心」を表現しているとのこと。さしずめ、この10or16R搭載の「CRキカイダーVSハカイダーRSW」は悪魔の心を表しているのであろう。この日は〇の毛まで抜かれたのである。

(文=大森町男)

安倍首相が「前夜祭」問題で「私と同じ方式なら問題ない」と脱法行為にお墨付き! 収支報告書不記載も公選法違反もやり放題に

 公選法や政治資金規正法、贈収賄という疑惑がかけられている「桜を見る会」の安倍晋三後援会主催「前夜祭」問題だが、昨日3日おこなわれた衆院予算委員会において、安倍首相の口から信じられない発言が飛び出した。なんと「脱法」行為に総理自らお墨付きを与えたのだ。  そもそも、安倍首...

パチスロ6号機で「圧倒的スペック」!? ヒットシリーズ「最新情報」が話題

 パチンコ分野を代表するビッグコンテンツ『花の慶次』が出陣。完全新作となる『P花の慶次 蓮』(ニューギン)が絶賛稼働中だ。

 ミドルタイプのV確変ループ機。転落抽選タイプとなっている。やはり注目したいのは新時代を傾き抜く「圧倒的スペック」。RUSH突入率は約63.45%(時短での引き戻し込み)で、約82%という高継続を実現した。

 右打ち中の大当りは確変率100%。その間は「71%」で最大出玉の「約1500発」を獲得できるという強力な仕様だ。『慶次』の名に恥じない出玉性能と言えるだろう。

 インパクト抜群の新筐体「天槍」も見逃せないポイント。圧倒的な存在感を放つ「極朱槍」や、大迫力のVib機能を搭載するなどファン必見の仕上がりとなっている。

 導入初日ということもあるが稼働状況は上々。批判的な意見も出てはいるが、まずまずのスタートを切ったという印象だ。

 待望の最新作は新時代を傾き抜くことができるのだろうか。今後の動向に注目したいが……。

 話題性ではパチスロ6号機も負けてはいない。ニューギンは「最高水準のAT」を搭載した新機種を発表。「純増枚数約9枚」「継続率70%+α」と紹介された仕様に熱い視線が注がれている。

 さらには看板機種もスタンバイ!? 開発のウワサが絶えなかった最新作の登場を予想する声が目立つようになってきた。

「注目を集めているのは沖縄テイストの演出構成となる『パチスロハナペカ』。1Gあたりの純増は約9枚と沖スロ史上最高峰です。32Gのチャンスゾーンと、ATが設定1でも約70%でループする出玉性能が特徴となっています。『高純増×高継続×ループストック』へ期待するユーザーは多いみたいですね。

 そんなニューギンさんといえば、パチスロ機『花の慶次』の名前をよく聞くようになりました。『GW前後の導入もある!?』と囁かれていますね。ゲーム性に関する情報は非常に少ないですが、一撃性の高い仕様と予想する関係者もいます。続報を待ちましょう」(パチスロ記者)

 パチンコに続き『6号機・慶次』降臨の瞬間が迫っているのだろうか。まずは正式な発表を待ちたい。

パチスロ「GOD」は生きている!?『凱旋』天井からの「大逆転」なるか!?

 大松のパチスロ「ハイエナ」実戦。今回は1月31日の実戦について書いていきたい。

 パチスロ台は生きていて、感情がある。何を言っているんだと思うかもしれないが、本日はそんな事を言いたくなる実戦となった。

 金曜日ということもあってか夕方にはホールが盛況になっていた。特に『パチスロ交響詩篇エウレカセブン3 HI-EVOLUTION ZERO』は満席、最近の6号機では1番の稼働率ではないだろうか。

 そんな喧騒の後ろを歩いていると1台だけ空き台になった。ゲーム数は341ゲーム、分母は680とまずまずの狙い目台。すぐさま物が置かれていないことを確認し確保することに。

 打ち出してすぐに弱チェリー、レア役がとにかく軽い。レア役連打のお陰でひっきりなしに「コンパクカウントチャンス」に突入、投資4000円までに3周期も回ってしまう。

 人気の機種ではあるが、残念ポイントが1つある。それはレギュラーボーナスである。533ゲームに7周期でレギュラーボーナスに当選。

 いつもならばほとんど諦めに近いレギュラーボーナス後の押し順当てだが、今回は何故か4回正解。珍しく追加ストックまであるAT当選に成功した。

「SPEC3モード」には届かなかったが、ボーナス2回に当選させ622枚の獲得に成功。「あれ?今日は調子が良いのかもしれない」などと勘違いする程度には出てくれた。

 次にホールを見回すと『ミリオンゴッド〜神々の凱旋〜』の750ゲームヤメを発見した。これを打つのは何ヶ月ぶりだろうか。「今日なら天井ループを取れる気がする」と訳のわからない自信があった。

 回していくと、この神様はさっきまで打っていた台の2倍のスピードでコインを飲み込んでいく。1000ゲームを過ぎる頃には、天井ループよりも早く当たってほしい気にさえなってくる。

 すると1090ゲームで遅れが発生、GODであれば本当に嬉しい、何なら今日は調子が良いからあるかもしれないとリールを止めると……。

 右の図柄は何故真ん中に止まらなかったのか。台にからかわれているような気さえする出目だが、それを確信したのは数ゲーム後だ。

 リプレイ4連から「G-STOP」に当選。3ゲーム目に鏡2つ、しかも7図柄もある大チャンス。と、ここはテンパイもせずハズレ。

 続いて最終ゲーム、再び鏡1つの7図柄有りというチャンス到来。ここは是非とも仕留めたいところだが…

 何故右の図柄は1つ上にズレてくれなかったのだろうか。トルコアイスの屋台で「お客にアイスを渡すふりをしてなかなか渡さない」というパフォーマンスがあるが、それをやられている気分だ。

 そうこうしている間に1492ゲーム、ついに通常時に別れを告げることができた。液晶には「救済発動」の文字が映っている。

 天井は50%でATが80%ループという大きな恩恵がある。3図柄だしランプも白いが大丈夫、こんなに大変だったのだから50%に当選…

 してるはずもなく単発。再び通常画面に叩き落とされる。

 約1550枚使用して獲得240枚か…と落胆していると「377」「V5V」と強い出目が停止。どうやら天国モードに滞在しているようだ。

 転落するまでは様子を見ようと打っていると32ゲームに「ブラックホール演出」からAT当選。ランプは金色、神々しいゼウスステージからスタートだ。

 なるほど、ここで逆転しろというのですね神様!色々ありましたが最後には希望をくれるんですね!と、心の中で感謝してしまった。

 結果は2連の計836枚で終了。神はいなかった。きっと台の中にはおじさんが入っていて笑っているんだ、という想像をしながら帰路についた。
(文=大松)

欠陥だらけのIR法で海外カジノ業者の日本上陸を“先導”する安倍政権…民設民営の賭博場

平成30年7月、IRカジノ解禁!民設民営「私営賭博」の政府公認は史上初

 人生は「賭け」である。誰もが各々の目的を達成して維持しようとする。生きていく時間と事柄を極小に細分化すれば、人は日常の物事を毎時毎分毎秒、瞬間ごとに二進法で選択する。生きている限り、人は無数の選択と結果をギャンブルのように繰り返し続ける。毎日はそれだけでもスリリングだ。

 それにもかかわらず、人は誰かが設えた“加工ギャンブル”に群れ集う。群れた賭場で投資して「大金を得るか失うか」「一か八か」のスリルが脳を痺れさせる。ドーパミンが噴出して理性系が弱まり感情系が強化されれば、現実的な判断は困難になる。そうしたヒトの脳メカニズムを金儲けに利用する商売が動き回るのは世の常だ。同様の目論見で手を組んだ人々が手練手管で独占利権を手にすれば、互いの金庫に莫大なカネが唸り始める。

 2018(平成30)年7月20日、カジノを含む統合型リゾート(特定複合施設)を設置するための法律「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(略称「IR整備法」、通称「カジノ法」)が参議院本会議で可決・成立し、平成から令和に改元する直前の2019(同31)年3月29日に公布・施行された。本稿では以降、同法を便宜上「IRカジノ法」と呼称する。

「IRカジノ法」施行から9カ月後の2020(令和2)年1月7日、カジノ事業を管理・監督する注目の規制機関「カジノ管理委員会」が内閣府の外局として設置された。同委員会は国民に対して、カジノ事業を厳しく監視する責任を負うことになっている。

 カジノは、言わずと知れたギャンブル(賭博)だ。江戸時代、幕府は治安を維持し風俗を取り締まる「八州取締役」を各地に配して、度が過ぎた博打をした者には流刑や死罪まで科している。さらに歴史を遡れば1300年あまり前の「持統天皇」の時代、『日本書紀・巻30』の中盤に「十二月己酉朔丙辰、禁斷雙六」との記述がある。「雙六=双六」は689年12月に賭博として禁止されている。

 従って、「民設民営の“鉄火場”を政府が公認した」のは、日本史上でもおそらく初めてのことだろう。

 胴元が寺銭(てらせん)で儲ける賭博の本質は昔も今も変わらない。古典落語に「場で朽ちるからバクチ」という語呂合わせがある。国家権力が賭博を禁止・規制しようとするのは、黙認・放置すれば、国民が「当たれば働かずに大金を手に入れられるかもしれない」と期待して、これに没頭するからだ。

 前述のように脳がそのスリルを味わえば、博打にのめりこんで賭博に依存する。多くの国民が賭博に依存すれば「勤労」の意欲を損なう。勤労意欲が衰えれば「生産」の障害となる。生産が低下すれば当然、国の「徴税」も不安定となる。ヒトの脳メカニズムが解明され始めたのは最近だが、そのはるか昔から「ギャンブル依存のリスク」が常識とされていたのは、その依存性が普遍的で絶対的なものだからである。

カジノ管理委員会は本当に機能するか?

 ギャンブルを規制するための法の条文は言葉を区別して仕分けされ、組み立てられている。賭博の「賭」は「賭事」の「ト」、客がゲームに関与せず参加するギャンブルを意味する。「博」は「博戯」の「バク」、客がゲームに関与するギャンブルだ。「博打」は「プレイヤーの賭博行為」を指す。

 誰もが知るように、カジノ解禁以前も国内には公営賭博がいくつも存在し、今も営業中だ。政府が公認して「公営競技」と名付け、地方財政上は「収益事業」とも呼ばれる「公設公営」の「競馬」「競輪」「競艇」「オートレース」は、「宝くじ」や特殊法人による「中央競馬(JRA)」も含めて、紛うことなき「ギャンブル」である。また、「民設民営」で営業中の「パチンコ・パチスロ」も、国が「賭博ではなく遊技」と位置づけてはいるが、大多数の国民の認識は“小博打”だ。ただし、取り締まり当局の摘発対象は、それらが違法行為を犯した場合以外は、麻雀や野球、相撲などを賭け対象とした「違法賭博」だけである。

 いずれに関しても追って詳述するが、実態として見ると現状は、公営賭博を「参加プレイヤーが関与できないもの」として分類できる。競馬・競輪・競艇・オートレース・宝くじはすべて、当たるか否かは不明の対象に賭けて関与せずに結果を待つ。逆に、パチンコ・パチスロにはプレイヤーが“技”と“工夫”で関与する余地がある。

 一方のカジノ場には、客が「結果に関与するゲーム」と「関与しないゲーム」が混在する。ルーレットやバカラは賭けて結果を待つが、ポーカーやブラックジャックはカードが切られるたびに選択を迫られ、言動挙動での心理戦も必要だからだ。

「客がゲームに関与する賭博と関与しない賭博を併設し、なおかつ、公設公営ではなく民設民営のカジノ」を認めたIRカジノ法が国会の審議を通過したのは、閣法として法案を提出した安倍内閣が国会の多数を占める政権与党であり、数の力で強行採決したからである。

 しかし、素人目にも穴だらけの法律で海外カジノ業者の日本上陸を先導する政府の旗振り姿を見れば、国民がカジノ解禁を正当化する人々の言動を訝しく感じるのは当たり前である。後述するように、IRカジノ法はいくつもの重大な欠陥・問題を孕んでいるからだ。

 IRカジノ法が施行された今、国民が特に注視すべきことは「カジノ利権の決定プロセス」である。言うまでもなく、どのような商売にも利権があるため、「利権」そのものに良し悪しはない。利権を獲得する過程に、なんらかの「財」をからめた不当・不正・違法な“対価”の取引や密約があることが問題なのである。

 そうであれば、「カジノ時代の幕開け」を目前にした今、メディアがもっとも光を当てて国民に伝えるべきことは、利権獲得に血眼の巨大ギャンブル資本を監視すべき前述のカジノ管理委員会が、自らの職責を全うしているかどうかの一点に尽きる。もし、不当・不正・違法な利権の発生から目を背ければ、それは「悪徳利権への加担」となる。

 詳細は次回以降の検証で解説するが、たとえばカジノに関する行政資料・官邸資料などを見ると、そこには「世界最高水準の規制」という文言が頻繁に出てくる。しかし、どれほど高邁な理想を掲げて「廉潔性の確保」をうたっても、カジノ管理委員会の現場が肝腎な場面で自らの「職責」を果たせなければ、「管理・監督・監視」にはならない。

 マスメディアは安易にこの文言をそのまま流布しているが、それは「紙に書かれた単なるお題目」にすぎないのだ。なぜなら、2011年の福島原発事故で崩れ去った「安全神話」でも明らかなように、人や技術、設備やシステムの能力がいかに高かろうが、それを操る人間の「職責意識」が低ければ、巨大事故は何度でも再発し得るからである。世に悪徳利権がはびこるのも同じ理屈だ。

 そのため、国民はIRカジノ解禁の是非を今後も継続して問い続けざるを得ない。既存の「公営賭博、パチンコ・パチスロ」と「IRカジノ」とはどのように関係しているのか。IRカジノの法制化は誰がどんな思惑で起案したのか。同法を法的根拠としてカジノの規制・監視を担うカジノ管理委員会は本当に機能するのか。政・官・財・学・報はいかに連動し、仕掛け、法制化を成就したのか。そして、そもそも禁断のカジノを解禁した安倍内閣の本当の狙いは何か。

 次回以降、これらの具体的な検証を始める。

(文=藤野光太郎/ジャーナリスト)

新型肺炎、安倍政権のインバウンド誘致政策のリスク露呈…東京五輪効果を帳消しか

 中国発の新型肺炎ウイルスが世界に拡大していることを受け、日本政府が掲げる「インバウンド観光客、2020年に年間4000万人」の目標達成は絶望的になった。日韓関係悪化で離れた観光客に続き、最大消費客の中国人離れも起きれば、多額の損害も予想される。

「やはり国際関係の善し悪しや海外情勢に左右される観光業のリスクが浮き彫りになった」

 あるネット証券ストラテジストは、今回の新型肺炎により今年の訪日観光客が減少するとし、こう嘆いた。

 新型肺炎は今年初めに湖北省武漢市から拡大し、中国全土だけでなく、日本や米国などでも感染が確認され、終息はまったく見通せない状況だ。中国政府は1月27日から団体客の海外旅行を当面中止するなどの対策をとっているが、世界保健機関は1月31日に緊急事態宣言を出す異常事態となった。この宣言を受け、米国が中国への渡航禁止を決めるなど、事態はより緊迫感を高めている。

 観光庁が1月に発表した、2019年の訪日外国人観光客数は前年比2.2%増の3188万2100人で過去最高となった。日韓関係の悪化で韓国人観光客が同25.9%減の558万4600人となったのに対し、中国人観光客は同14.5%増の959万4300人と大幅増となっており、2020年も東京五輪でさらなる増加が見込まれていた。

 観光業者や「爆買い」で潤う小売業者にとって、今後予想される中国人観光客の減少は他の国からの観光客とは比べものにならないほど死活問題となる。観光庁の19年の訪日外国人消費動向調査によると、1人あたりの旅行支出は韓国人は7万5454円なのに対し、中国人は21万2981円と約3倍。まさに「中国人1人は韓国人3人分の経済効果がある」(前出のストラテジスト)といっていい。

 野村総合研究所も新型肺炎の拡大で消費が減少することにより、2020年の日本の名目国内総生産(GDP)が、0.45%分に当たる2兆4750億円減少する可能性があるとの試算を発表している。

予期せぬ安倍政権への打撃

 安倍政権はインバウンド観光客増加を重要施策と位置づけてきたが、実は農水産物の年間輸出1兆円の目標設定と共通する部分があると、全国紙政治部記者はこう解説する。

「安倍政権は地方票の取り込みを図る上で、観光業と農林水産業を重要視してきました。日本の地方は食べ物も美味しいし、観光地にできるところも多く、地方に外貨を落とすという集票アピールがしやすい。さらに、農地は日本全国にありますから、製造業などと違い特定の地域に集中しているというわけでもなく、まんべんなく補助金を落とせる。日本銀行の金融緩和による物価上昇などと言われても大衆はピンときませんが、訪日観光客数も農水産物輸出量も成果がわかりやすく数字で出るので、なおさら力を入れていたというわけです。

 しかし、今回の新型肺炎の拡大でむしろインバウンドのリスクが白日の下になり、感染症に対する法整備が十分になされていない手際の悪さを露呈させることになりました。今年は東京五輪もあり外国人観光客を増加させる上でカギとなる1年。今回の件が安倍政権にとって逆風となる可能性もあります」

 新型肺炎は、経済的な損失だけでなく、予期せぬ安倍政権への打撃となりそうだ。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
地方紙勤務を経てフリーに。マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

楽天、出店者猛反発でも送料負担強制を強行…アマゾンより“劣るサービス”に強烈な焦り

 ネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天は3月18日から、購入者が3980円以上の買い物をした場合、一律で送料無料(沖縄や離島を除く)とする。出店者の任意団体、楽天ユニオンは1月22日、出店者負担で無料にすることに対し、独占禁止法違反に当たるとして、公正取引委員会に送料無料をやめさせる排除措置を求める署名を提出した。楽天ユニオンは出店者ら1766筆分の署名を提出。出店者側の十分な同意を得ないまま送料無料の制度を導入するのは独禁法で禁じる「優越的地位の乱用に当たる」と訴えた。

 公取委の菅久修一事務総長は同日の記者会見で「一般論では、地位が優越した企業が不当に不利益を与えることは独禁法違反に当たる可能性がある」と述べ、楽天の株価は急落した。楽天の三木谷浩史会長兼社長は「送料を(店に)負担しろと言っているのではない。価格で調整してもらえばいい」と強気だ。各出店者が価格を工夫することによって送料分を回収すれば問題ない、との立場だ。

 楽天はネット通販が本業。1997年に楽天市場を始めて業界を牽引してきた。だが、2000年に米アマゾン・ドット・コムの日本法人アマゾンジャパンが事業を開始した。自社で商品を仕入れて配送する直販事業が主体のアマゾンでは、購入者が2000円以上の商品を購入したり、会員制の「プライム会員」になれば送料は無料になる。これで売上を急激に伸ばしてきた。

 アマゾンは2018年だけで3000億円強を投じ、全国の複数拠点に巨大な倉庫を持つ物流網を整備。送料を均一化しやすい環境を整備した上に、動画配信サービスなどと組み合わせた有料会員制度で消費者に送料の負担を感じさせない仕組みを導入している。ニールセンデジタルの調査によると、19年11月時点の通販サイトの利用者はアマゾンが4963万人。楽天市場の4677万人を上回る。

 楽天は直販事業ではない。通販サイト「楽天市場」の運営会社だ。これまでは店側が送料を自由に設定してきた。楽天は送料無料で利用者の拡大を狙うが、一方的な通告に出店者側の怒りが噴出した。楽天ユニオンは、楽天のルールに違反した出店者への違約金制度(最大300万円)などの慣行についても調査や撤回を求める署名、延べ4000筆を公取委に提出した。

公取委が調査

 楽天の物流網の人口カバー率は約60%にとどまっており、都市部への偏りが大きい。約5万の出店者に一律の送料無料を強制するには、準備不足だった。今後は、公取委を舞台に独占禁止法上の「優越的地位の乱用」に当たるかどうかが争われることになる。優越的地位の乱用は、影響力の大きい企業が取引の多い中小企業に対して、自社の利益を優先して製品の大幅な値下げなどを迫るケースが該当する。一方、商業施設の運営者が地価の上昇を理由にテナント料を引き上げることなどは、正当な理由があると認められている。楽天は、「利用者の増加は出店者の売上増加につながるので、行き過ぎた要求には当たらない」との見解だ。

 公取委は19年10月にまとめた報告書で、プラットフォーマー(PF)による一方的な規約変更などを問題視している。「契約した時と条件が変わるのはおかしい」という出店者側の主張を公取委がどう判断するかだ。

「三木谷氏は以前も、楽天市場で銀行振込の代金決済を楽天銀行に限定したため、出店者のブーイングと(楽天市場からの)撤退表明が相次いだことがある。今回もこうした強硬路線が見え隠れする。やり方が乱暴すぎた。無理筋を通そうとするのは、ネット通販で海外が伸びておらず、どうしても国内で利益を上げるしかないからだ」(外資系証券会社のアナリスト)。

 公取委は1月28日、楽天への調査を開始した。出店者側からも事情を聞き、出店者に一方的に送料負担を強いると判断した場合は、排除措置命令といった行政処分に踏み切るとみられている。楽天への調査は、強制権限がある審査官が実施する。楽天側は正当な理由がない限り、公取委の調査を断ることができない。

 調査の結果次第だが、違反が確認されれば、違反行為をやめさせる排除措置命令などの処分を出すことになる模様だ。

三木谷氏の決意表明

 三木谷氏は1月29日、出店者向けイベントで送料無料化について「これをしないと成長できない。ここが分水嶺だ。何がなんでも、皆さんと一緒に成功させたい」とイベントに出席した4000人の出店者に訴えた。三木谷氏の発言は、「公正取引委員会と対立しようとも送料無料化をやり遂げる」という決意の表明と受け止められた。

 出店者からは「送料負担で赤字になる」「売上を楽天市場に依存しており、撤退は難しい」といった声が上がっているが、1月29日のイベントでは、三木谷氏との質疑応答の時間は設けられなかった。出席者の中からは「小規模店舗の切り捨てだ」との反発が強まっている。三木谷氏は同日、ツイッターを更新。「公取や行政のマスコミにリークをして、けん制をかけるやり方はあまりに時代錯誤でひどすぎる」と批判した。

楽天経済圏はどうなる

楽天のビジネスは、楽天ポイントで一つの経済圏をつくるやり方。客に楽天ポイントを貯めさせ、それを楽天市場で使ってもらう。楽天だけでぐるぐるとポイントとお金が回るかたち。その中で生きてきた」(ネット通販大手の役員)

 だが、ここへきてスマホ決済がポイントと連携するようになった。

 PayPayなどの攻勢で、スマホ決済でポイントが貯まっていく。そうなると、無理に楽天でポイントを貯めなくてもよくなる。楽天が築いてきた経済圏が崩れてしまうことへの焦りもあるのではないか」(同)

 送料一律無料の見切り発車を決めたことで、楽天は墓穴を掘ることになるかもしれない。一方、4月から本格参入する携帯電話事業も不透明。「基地局の能力が低くて500メートル四方しか電波が飛ばない」(関係者)。料金体系も明らかになっておらず、楽天モバイルは当初、東名阪以外の地域はKDDI(au)の回線を借りる。回線利用料がかかるため「赤字覚悟でなければ低廉なプランを実現できない」(同)。

 楽天の携帯事業は本当に本格営業を開始できるのか、大きな疑問符がついている。

(文=有森隆/ジャーナリスト)

中国政府、「救済せず」に転換…政府系企業のデフォルト続出、バブル崩壊で日本企業に影響も

1.中国企業家フォーラムでのジャック・マー氏の発言真意

 昨年12月21日、中国企業家フォーラムでのアリババ創業者ジャック・マー氏の発言が波紋を呼んでいる。

「1日5人もの友人から、金を貸してくれと電話がある」

「資金繰りのために土地を売りたいと1週間に10人から連絡がある」

 マー氏と直接電話で話せる友人となると、中国国内でもトップ層であり、かつ成功している事業家であるはずだ。そんな人々でさえ、キャッシュフローに問題が出ているのであろうか。この発言の真意がなんであるかは不明だが、ひとつの問題提起と理解するのは自然な解釈ではないだろうか。

2.地方政府系投資会社の破綻

 中国政府が発表する経済指標の信憑性には、国際的にも常に疑問符がついている。中国の著名なマクロ経済学者であり、人民大学国際通貨研究所副所長で人民大学教授でもある向松祚氏は2019年1月20日、中国上海市で行われた経済フォーラムで、同年の「ミンスキー・モーメント(すべての資産価格が急落する時)」到来に警戒せよと発言している。また、GDPの成長率についても疑問を投げかけており、実質マイナス成長の可能性も否定していない。

 実際に昨年、地方政府系投資会社、融資平台(LGFV)の債務膨張による経営問題が表面化している。地方政府が出資・管理する投資会社として、資金を金融機関から借り入れ、理財商品として個人向け金融商品を販売して投資資金を得る。その資金をインフラ投資などに積極的に進めてきたが、政府系投資会社ということで投資家の間では信用が高かった。

 しかし、昨年2月、中国の青海省投資集団(QPIG)がドル建て債の支払いを怠り、不履行問題が表面化。12月6日には内モンゴル自治省フフホト市政府のLGFVが元利払いを停止した。人民日報系の証券紙「証券時報」で人民銀行金融政策委員の馬駿氏は、実態がわからないLGFVについて、「地方政府は多額の隠れ債務を持つ。いくつかのLGFVが債務不履行を起こせば、リスクは連鎖しかねない」と指摘している。

 もちろん対応がとられるであろうが、これまで中国政府は政府系金融機関の債務不履行が起こる前に対策を打ってきたため、問題が表面化しにくかった。しかし、ここにきてその方針が転換されつつあると理解しなくてはいけない。

3.中央政府の救済政策転換

 中国には銀行が約1,400行も乱立している。中国全土に支店がある4大国有銀行など上位20行で、全銀行の総資産の60%以上を占めている。つまり銀行数で90%を占める地方銀行は中小規模であり、経営が安定しにくい。

 取り付け騒ぎは全国で散発している。昨年8月14日付「アジア・タイムズ」によると、山東省の煙台を拠点とする恒豊(ヘンファン)銀行は経営危機に瀕していたが、山東省政府が43億ドルを資金援助してデフォルトを回避させるという。恒豊銀行の総資産は18兆円といわれ、このクラスの金融機関にも中央政府は助けの手を伸ばさずに、地方政府が財源不明の多額の資金援助を実施した。この弱者同士の救済は問題解決につながるのであろうか。ちなみに日本の地方銀行2位の千葉銀行の総資産は約14兆円となっており、恒豊銀行の問題の大きさがうかがえる。

 こうした動きは金融機関だけにとどまらない。昨年11月22日、天津市の関連企業である天津物産集団がドル建てで12億5,000万ドル(約1,360憶円)相当の社債について、投資家に最大64%の損失を受け入れるか、または表面利率を大幅に引き下げた上で支払いの遅延を認めるように提案した。中国企業のドル建て債券では、過去20年間で最大級のデフォルトである。公有企業であり、米フォーチュン誌がグルーバル企業を対象として集計した収益ランキング「Fortune Global 500」で132位にランクインしたことがある天津物産集団でも、中国政府は支援をしなかったのだ。ちなみに伊藤忠商事は鉄鉱石販売の合弁子会社を、天津物産集団と設立している。

4.まとめ

 1990年代の日本のバブル崩壊を経験した筆者と同じ年齢層には“いつか来た道”と重なるようにも映る。共産党一党支配による強みと弱みは、政治体制の違いだけでは説明できないかもしれない。日本は90年代、銀行の不良債権額は発表されるたびに増加し、企業の2次破綻、3次破綻へとつながった。ファッション業界も深くかかわる2020年の中国経済の動きに注視したい。 

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)

ローソン、今買うと後悔する食品5選…粉っぽいコーンスープ、べちゃべちゃのかつ丼

 2019年2月末時点で、日本国内に1万4659店舗を構えるローソン。コンビニ業界では3位というポジションだが、「からあげクン」のようなロングセラー商品から、18年に新発売されて以降おにぎりやパン、コーヒーなどへと派生していった「悪魔」シリーズのように新進気鋭の商品まで、幅広いラインナップが魅力だ。

 最近だと、19年3月から始まった「新感覚スイーツ」シリーズは「バスチー ‐バスク風チーズケーキ‐」(215円)を筆頭に熱い支持を集めており、このままローソンの新たな柱として成長していきそうな気配がある。

 しかしSNSでの口コミなどによれば、ローソンの商品のなかには、食べたら後悔してしまいそうなものも一部紛れ込んでいるようなのだ。そこで今回は、冬の新作を含むローソンの商品を「買うべき・買ってはいけない調査班」が実食し、「買ってはいけない商品」を5つチョイス。次回のショッピングから、さっそく役立てていただきたい。

「マチカフェ コーンスープ」/150円(税込、軽減税率適用。以下同)

 こちらの「マチカフェ コーンスープ」は、インスタント商品でよく見かけるような、粉をお湯に溶かして飲むタイプである。味そのものに取り立てて不満はないものの、粉っぽさがどうにも拭えない舌触りで、わずかに入ったコーンの存在感も薄い。

 もっとも、寒いときに身体をすぐに温めたいというときにはこれくらい手軽な商品が重宝しそうだが、コンビニではほかにもカップスープや缶入りスープの品揃えが豊富だし、やはりこの商品を強く推せるポイントは見つからないのが正直なところだ。

「だしが香る! ロースかつ丼」/550円

 氷温熟成豚肉を使用したロースかつの上に、とろっとした玉子が乗ったかつ丼。「だしが香る!」というネーミングに嘘はなく、玉子は確かにだしが効いていて美味だ。その一方で、肝心のロースかつについてはイマイチだという評価を下さざるを得ない。

 これは天ぷらなどの揚げ物全般に当てはまる話だと思うのだが、チルド食品には、その食感や新鮮さを保つのがなかなか難しいという課題があるだろう。この商品の場合、ロースかつが玉子に浸された状態で保存されるため、なおさらべちゃっとした仕上がりに。もっとも、550円という値段相応にお腹いっぱいにはなるため、ロースかつに過度に期待しなければ、さほど損した気分にはならないかもしれない。

「生キャラメルまん」/150円

 続いては、キャラメル風味の生地にキャラメルソースが入った「生キャラメルまん」だ。キャラメルソースにはダイス上のアーモンドが入り、バタークリームを包んでいる。このような商品を購入するのはそもそも甘党の人が多そうだが、実際には、その商品名と茶色いビジュアルから想像されるような甘さはほとんど感じられない。生キャラメルという心惹かれるワードに釣られて購入すると、肩透かしを食わされてしまいかねないだろう。

 逆にいうと、甘いものが得意でない人でも「甘すぎて最後まで食べられない」なんてことにはならないと思われるのだが、いずれにしても、中途半端というイメージが否めない商品である。今後もし改良するのであれば、もっと激甘な方向に振り切ってほしいところだ。

「諭吉のからあげ監修 鶏から しびれ麻辣4個」/200円

 こちらの商品を監修している「諭吉のからあげ」とは、名古屋に本店を構え、大分県中津市の味を届けるというコンセプトのからあげ持ち帰り専門店だ。

 花椒を使った麻辣油で味つけしたというこのからあげ。どれだけパンチが効いているのかと思いきや、意外にも辛味は控えめで、むしろ物足りないほどである。からあげとしての味の水準は高いのだが、「しびれ麻辣」の要素がこんなに弱いのであれば、わざわざローソンで買う必要はない商品だといえるだろう。

「GODIVA メルティショコラ」/450円

 チョコレートの本場であるベルギーの高級チョコブランドGODIVAと、ローソンのドリンクシリーズである「マチカフェ」がコラボした商品。うっすら表面の泡立ったホットミルクに、GODIVAこだわりのカカオ72%のダークチョコレートバーを溶かして飲むドリンクだ。

 専用のカップやチョコレートバーの入れ物にはGODIVAのロゴが施されており、高級感が漂う。そこからGODIVAとローソンの気合いは伝わってくるものの、ドリンク自体の出来については残念ながら空回りしてしまっている印象。というのも、バー状のチョコレートはミルクに溶けにくく、少しでも時間が過ぎると、カップの底で塊になってしまうのだ。1杯450円と値段はそれなりなのに、あまりゆっくり飲むわけにいかないというのはツラい限りである。

 今回リサーチを進めるなかでは、商品名やパッケージに踊らされると、いざ口にしたときに「これじゃない」と落胆してしまう食品が目立った。もちろん「百聞は“一食”にしかず」ではあるのだが、すでに不評なレビューがネット上に書き込まれている商品については、店頭で手に取った際、自分の目で冷静に見極めてみるといいだろう。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

閉店ラッシュの百貨店に未来はあるのか?老舗の「地場独立系」は悲惨な状況

 百貨店の苦境が叫ばれて久しい。そのため、再編が進んだ百貨店業界では経営統合が相次ぎ、今は不採算店舗を閉鎖する動きも目立っている。東京商工リサーチの「2018年度決算『全国主要百貨店』業績調査」【※1】によると、全体の約7割が減収となっている。

 1月には、元禄時代から続く日本で3番目に古い山形の老舗百貨店・大沼(山形市)が自己破産するなど、特に「地場独立系百貨店」【※2】の経営状況は厳しい状況が続いている。百貨店業界の現状について、東京商工リサーチ情報本部情報部の増田和史課長に話を聞いた。

店舗閉鎖が加速、都心店に経営資源を集中

――百貨店の業績は相変わらず厳しいようですね。

増田和史氏(以下、増田) 全国の主要百貨店77社の18年度(18年4月~19年3月期)の売上高合計は約5兆8608億円(前期比2.0%減)で、前期に続き減収となりました。一方、純利益の合計は前期の174億円から678億円(同288.8%増)と急増していますが、これは一部の好調企業が全体を牽引するなどが要因で、赤字企業数は増加しています。

 売上高は増収が25社(構成比32.4%)に対し、減収は52社(同67.5%)と約7割を占めており、好調組が全体の業績を牽引する二極化の構図が強まっています。

 売上高トップは2年連続で高島屋の7291億円。2位以下は、大丸松坂屋百貨店(6804億円)、三越伊勢丹(6342億円)、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武は一部事業の統合や閉店で前期比10.3%減の6152億円と、前期2位から4位に後退しています。いずれも、経営統合した大手百貨店グループなどが上位を占めています。5位以下は、阪急阪神百貨店、近鉄百貨店、東急百貨店、ジェイアール東海高島屋、東武百貨店、小田急百貨店で、東京や大阪の電鉄系の百貨店が並びました。

――最近は、百貨店の店舗閉鎖もニュースになることが多いです。

増田 近年も店舗閉鎖の動きが加速しています。首都圏の大手に限っても、三越伊勢丹は18年3月に伊勢丹松戸店、19年9月に同相模原店と同府中店を、そごう・西武は18年2月に西武小田原店と同船橋店を閉店しました。20年8月には同岡崎店、同大津店、そごう西神店、同徳島店、21年2月には同川口店を、それぞれ閉店予定です。高島屋も20年3月に米子高島屋の株式を地元企業に譲渡し、同年8月には港南台店を閉店予定です。

 全国展開する大手は地方の中核都市の不振店舗を閉鎖し、インバウンド(訪日外国人観光客)で好調な都心部の旗艦店に経営資源を集中する戦略をとっています。これが功を奏して、業績が浮上した例もあります。

――東京から近い千葉の松戸や船橋の店舗も閉鎖せざるを得ないとは、驚きです。

増田 今の百貨店業界はインバウンド需要に支えられている側面があります。そのため、買い物客は「都心7区」といわれる銀座、渋谷、池袋、新宿などの地域に集中する。東京から近い松戸や船橋もインバウンド需要を十分に取り込むことはできなかったため、不採算店舗という判断になったのではないでしょうか。裏返せば、危機感の表れとも言えるでしょう。

 都心7区のほか、インバウンド需要が高い札幌、名古屋、阪神、福岡に経営資源を集中する動きも見えます。また、今回の調査では地場独立系の業績が芳しくないことも明らかになりました。

地場独立系百貨店の4つの課題

――地場独立系百貨店の業績を具体的にお願いします。

増田 該当する35社の最新期の売上高合計は8685億3600万円で、前期から2期連続で減少しています。企業数では、増収が11社(構成比31.4%)で約7割の24社が減収です。損益合計ではマイナス74億9300万円と赤字に転落、企業別でも黒字が18社、赤字が17社と拮抗し、赤字企業は前期の12社から5社増えています。この17社中、3期連続で赤字を出している企業は7社です。

 地場独立系は全体と比べて減収と赤字の比率が高くなっています。地域密着型で“老舗”の信用があるとはいえ、限られた経営資源と閉塞感が漂う地域経済では収益改善を図る方策は少なく、厳しい経営環境に直面しています。

――なかでも、大沼の破産は大きなニュースでしたね。

増田 背景としては、今申し上げたような問題があります。大沼は山形市の目抜き通りのランドマーク的な存在でしたが、地域中心部の空洞化により苦戦を強いられ、売り上げが伸び悩んでいました。地元の顧客が仙台に流出し、郊外型店舗との競争では劣勢を強いられていたのです。大沼は三越、松坂屋に次ぐ3番手の老舗であり、320年の歴史を持つ山形唯一の百貨店でしたが、時代の波に抗えなかったといえます。

 ただ、雇用の問題はありますが、地場独立系百貨店が地方経済に与える実質的なインパクトは、もはやそれほど大きくないと考えています。

――ほかにも、地場独立系の閉鎖の事例などはありますか。

増田 創業1615年で400年以上の歴史を持つ老舗の丸栄(名古屋市中区)は18年6月に閉店。山梨県の甲府駅前に立地する山交百貨店(甲府市)は19年9月で閉店、百貨店事業を終了しました。

 このほか、事業再生ADRを申請したヤマトヤシキ(姫路市)や、第二会社へ事業譲渡したティー・ディー(旧・鳥取大丸、鳥取市)など、金融債務の負担を切り離して再出発を図る企業もあります。

 大手は収益が見込める店舗に経営資源を集中しますが、地場独立系は地域が主戦場なので、ビジネスモデルの限界を示唆しています。山形に続き、今年8月にはそごう徳島店が閉店を発表しており、徳島も百貨店ゼロ県になりますが、ほかの地域でも、さらなる再編、廃業、経営破綻の動向に注目が集まります。

――地場独立系が生き残る術はあるのでしょうか。

増田 経営統合などでスケールメリットを図る大手との経営格差は拡大しており、設備投資や商品力など魅力的な店舗づくりという面でも、地場独立系はますます不利な状況に追い込まれています。具体的には、販売されている商品にニーズがない、ECサイトのほうが品揃えが豊富、地域の中心部の空洞化、郊外のショッピングモールに人が流れている、などの課題を抱えています。

 打つ手がないというのが現状ですが、ひとつにはシニア層の取り込みが言われています。立地は地域によって違いますが、昔の市街地の中心地にあることが多いため、クルマに乗れない高齢者をターゲットにするというものです。

――いっそのこと、パルコのようにデベロッパー事業で再生するという道はないのでしょうか。

増田 地場独立系のなかには商業施設を運営している例もあるとは思いますが、今は百貨店に限らず小売業全体が厳しい状態です。立地の良い土地を保有している百貨店は、不動産業に転換する可能性があります。

閉店ラッシュが続く百貨店の未来

――消費税増税の影響などはあったのでしょうか。

増田 ポイント還元など政府のバックアップもありますが、日本百貨店協会の資料では19年10~12月の売上高(前年同月比)は5%以上下回っているので、芳しくありません。消費増税の影響のほか、暖冬で冬物衣料の販売が不振で、さらに中国武漢市に端を発したコロナウィルスにより春節のインバウンドも期待できなくなっているため、今後も明るい話題は少なそうです。

――百貨店に未来はあるのでしょうか。

増田 これは大手に限られますが、日本のブランド力が生かせるアジアなどへの海外進出は打開策になり得るでしょう。大手は経営統合や店舗リストラなどの施策が一息ついた感がありますが、その波に乗り切れなかった地場独立系の動向は要注意です。

 M&A(合併・買収)に関しては、大手にとってメリットがあれば地場独立系の立て直しに乗り出すケースが増えるかもしれません。かつて伊勢丹(現:三越伊勢丹)が福岡の岩田屋の救済に動き、現在の岩田屋三越につながった例があります。当時の伊勢丹にとっては、福岡進出というメリットがあったわけです。しかし、そのM&Aも一巡した感があり、これだけ閉店ラッシュが続いているので、百貨店を取り巻く環境はさらに厳しくなることが予想されます。

(構成=長井雄一朗/ライター)

【※1】対象は、日本百貨店協会の会員百貨店経営会社のうち、持株会社などを除いた主要77社。業績はすべて単体決算。最新期を2018年4月-2019年3月期とし、前期(2017年4月-2018年3月期)、前々期(2016年4月-2017年3月期)の3カ年分の決算を比較

【※2】大手百貨店など流通グループ、大手私鉄(16社)グループの持株構成比が過半数を占める企業を除いた35社を「地場独立系」百貨店と定義。