JRAジャパンC(G1)コントレイル末脚不発は作戦ミス!? 福永祐一「力は発揮できた」が勝負して欲しかったという声も…… 敗因は力負けか距離なのか

 29日、東京競馬場で行われた世紀の一戦ジャパンC(G1)では、無敗で三冠を達成したコントレイル、デアリングタクトの2頭がアーモンドアイに挑戦。引退レースとなった最強女王相手に世代交代を狙ったが、2着3着に入るのが精一杯の完敗を喫した。

 最強の称号を奪い取るには千載一遇のチャンスだったが、下剋上とはならなかった。結果的に2頭の敗戦は9冠馬に輝いた歴史的名馬の強さをより際立たせることになってしまった。

 秋華賞後にジャパンC参戦を表明したデアリングタクト、これに呼応したコントレイル、香港C(G1)と両睨みながら最終的に参戦を決断したアーモンドアイ。それぞれの陣営が意地とプライドを懸けたレースだったといえる。

 歴史的な好勝負で特に際立ったのがアーモンドアイとコンビを組んだC.ルメール騎手の好騎乗だ。土日の東京開催で騎乗し、内外の馬場状態や後方からの伸び具合を把握していことも、抜群のスタートを決めたアーモンドアイを迷わずインの好位につけた判断へと繋がったのだろう。

 これに対し、真逆の選択をしたのがコントレイル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)の福永祐一騎手だ。レースでは中団外目9番手の位置からの追走。三強では最も後ろからの競馬。直線に入っても9番手は変わらぬまま、追い出しのタイミングも3頭で最後だった。

 終始楽な手応えで後続を待つ余裕も見せたアーモンドアイに対し、コントレイルは内へもたれる苦しさを見せた。何とかデアリングタクトに先着して2着に入ったものの、女王との1馬身1/4の差は完敗だったといえるだろう。

 福永騎手は「プレッシャーのないところでリラックスして、良い形で上がっても行けました」と振り返りつつも、「タフな競馬を諦めずに走っていますが、アーモンドアイは強いです。結果は残念ですが、返し馬の感じは良い時と変わりませんでしたし、力は発揮できたと思います」と素直に敗戦を認めている。

 その一方、これまで先行抜け出しで結果を出していたコントレイルの位置取りには、様々な意見が出たのも事実だ。ネットの掲示板やSNSでは、「デアリングタクトより後ろとは……」「マイルCSのインディチャンプみたいな乗り方を期待していた」「真っ向勝負して欲しかった」など、結果的に後方待機策で勝利した皐月賞よりも後ろになった直線の位置取りを惜しむ声もあった。

「後ろからの競馬は福永騎手の作戦だったと思います。福永騎手はレース前にコントレイルの瞬発力を評価しているコメントを出していました。自在性のある馬でもありますし、もう一段上のギアを持っているのではないかという期待もあったのでしょう。

アーモンドアイが強過ぎたがために、力負けという結果に終わってしまいました。ですが、ゴール前では脚も残っていなかったですから、真っ向勝負を挑んでいたら2頭の差はさらに開いた恐れもあります。

キセキが大逃げしたことで流れも速くなったため、福永騎手としてはあの位置でイメージ通りだったのかもしれませんね」(競馬記者)

 福永騎手が差しを選択した背景には、フィエールマンに騎乗した秋の天皇賞(G1)の結果も無関係とはいえなさそうだ。このレースで後方から鋭い末脚を繰り出して女王をあわやのところまで追い詰めていただけに、このときのいいイメージが残っていたなら分かる話でもある。

 だが、アーモンドアイはルメール騎手がまだ80%と控えめだった天皇賞以上にいい状態でジャパンCを迎えたなら、ここに誤算が生まれた可能性がある。

 コントレイルは以前から陣営が「ベストは2000m」と強調しているように、おそらく今後は適距離を中心に使われるだろう。

 最後の伸びを欠いた理由が400m長かったということならば、最強女王がいなくなったからには、天下取りもそう遠くないのかもしれない。

巨人軍・本拠地問題が浮上…“老朽化”東京ドームに経営改善要求、読売新聞Gが一体経営へ

 三井不動産は11月27日、東京ドームに株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化すると発表した。買収額は1205億円。全株取得後20%分を、読売巨人軍を傘下にもつ読売新聞グループ本社に譲渡し、連携を図る。

 東京ドームは筆頭株主である香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントと対立が先鋭化しており、三井不が友好的な買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げた。東京ドームは同日、TOBへの賛同を表明した。TOB価格は1株1300円。26日の終値897円に約45%のプレミアム(上乗せ価格)をつけた。買い付け期間は11月30日から2021年1月18日まで。

 11月27日の東京ドーム株は終日買い気配が続き、値幅制限の上限(150円高のストップ高水準)の前日比17%高の1047円で比例配分された。三井不も一時、3.2%高の2332.5円まで上昇した。東京ドームの大株主のみずほ銀行(第2位の株主)はTOBに応募する意向だ。

 東京ドームは巨人軍の本拠地であるが、これまでは資本関係は希薄だった。読売新聞グループは東京ドームと資本業務提携を結び、球団経営と一体化させる。三井不と読売が連携してドーム周辺を再開発し、パ・リーグの球場で進んでいるボールパーク構想を推進する。

香港の投資ファンド、オアシスへの対策

 東京ドームは大株主のオアシスと経営方針をめぐって対立していた。オアシスは約2年前から東京ドームの経営陣に経営効率化を働きかけてきたうえに、今年1月に株式の保有比率を9.61%に引き上げた。2月に電子看板システムや命名権の導入、遊園地事業の改善策などを列挙した「より良い東京ドームへ」という経営改革案を公表した。「現在の保有比率は16.18%」(TOBに詳しいアナリスト)とみられている。

 オアシスの主張を一言でいえば、人気球団の巨人軍のホーム球場という“お宝”といえる資産を有していながら「資産を十分運営できておらず、宝の持ち腐れ状態だ」(関係者)ということに尽きる。

 19年のレギュラーシーズンの観客の総入場者数が300万人を超えたのは、セパ両球団のうち、ジャイアンツ(302万人)と阪神タイガース(309万人)のみ。それほど魅力的なコンテンツを抱えているのに、東京ドームは2020年1月期まで4期連続で営業利益率が低下している。「経営陣は経営努力をしているのか」と、オアシスは腹を立てているのである。

 東京ドームは7月20日、スタジアムの改修計画を公表した。オアシスは10月16日、「長岡勤社長主導の改革は規模も小さく、ペースも遅い」と断じ、長岡社長と社外取締役の森信博氏(元みずほコーポレート銀行副頭取)、秋山智史氏(元富国生命保険社長・会長)の解任を提案した。

 オアシス創業者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は10月22日、オンラインで記者会見を開いた。臨時株主総会で求めているのは、3人の解任のみで、新たな社長候補の提案はしていない。ブルームバーグ通信(10月22日付)は、会見の模様をこう報じた。

<フィッシャー氏は「次の経営陣を提案すると、そこに話が集中してしまう。今回はマネジメントの経営責任を問う議論をしたかった」と意図を説明した。(中略)来年の定時株主総会では豊富な経験で会社を先導できるような取締役を提案したいと述べた>

 臨時株主総会は、あくまで前哨戦。来年の定時株主総会が本番。社長候補を立てて真っ向勝負で挑むと宣言したわけである。これを受け東京ドームは12月17日に臨時株主総会を開くことを決めた。長岡社長は「現在の経営体制が最善」と株主提案に反対した。

 この間、東京ドームは支援企業を探してきた。三井不は、読売新聞グループ本社からの紹介を受けて6月に東京ドームに買収を打診し、8月以降、協議してきた。かくして、三井不と読売新聞が「ホワイトナイト」(白馬の騎士)として名乗りを上げた。

 今後の焦点は大株主のオアシスの動向だ。オアシスは三井不によるTOBについて立場を明らかにしていない。オアシスは「全株式を1株あたり1300円で買い取る意向がある」と東京ドーム側に伝えていた。オアシスは三井不のTOBに応じるか、それとも三井不のTOB価格(1300円)を上回る価格を提示して敵対的TOBに打って出るか。オアシスが価格引き上げ競争に持ち込み、高値で売り抜けることもあり得る。

東京ドームの最大の悩みは施設の老朽化

 東京ドームは東京・水道橋で敷地面積13万平方メートルの複合施設「東京ドームシティ」を運営する。商業施設、遊園地、ホテルなどがあり一帯の主要資産の簿価は1月末時点で2000億円に迫る。21年1月期の通期業績は新型コロナウイルス禍によるコンサートの中止や、プロ野球公式戦の観客数制限などが響き売上高は前期比57.4%減の390億円。連結最終損益は180億円の赤字(前期は80億円の黒字)を見込む。

 東京ドームの最大の悩みは施設の老朽化である。1988年に開場し今年で32歳になる。すでに旧式な野球場となっている。野球の本場アメリカでは野球場の呼び方がスタジアムからボールパークに完全に変わった。試合重視の意味合いが強いスタジアムに対して、ボールパークはエンターテイメント性に力点を置いているのが特徴だ。

 東京ドームの老朽化もあって、巨人の本拠地問題は長らく懸案事項となっていた。東京中央卸売場の豊洲移転に伴う跡地を利用した築地新球場計画が、最も現実味のある候補地として浮上しており、「かなり具体的に進んでいた」(東京都庁の関係者)。

 しかし、16年、小池百合子東京都知事が誕生。この計画を打ち砕いた。小池知事は、築地市場跡地は「食のテーマパーク」にするとの構想を打ち出し、築地新球場計画は振り出しに戻った。三井不の完全子会社となり、読売巨人軍の本拠地である東京ドームは悲願としてきたボールパークに生まれ変わることになるが、「巨人軍が最先端の動画のコマーシャルなどにノーだったことも影響している。東京ドームの経営陣と読売巨人軍の共同責任」(プロ野球、セ・リーグの関係者)といった内部の声もある。

 東京ドームがボールパークから3周遅れとなった責任については別の視点から議論したほうがいい。だが、「日本シリーズで巨人軍がソフトバンクホークスに4連敗(昨年の日本シリーズでも4連敗)、完膚なきまでに叩き潰されたのと東京ドームの巨額TOBは連鎖している」(前出のセ・リーグ関係者)との見方もある。

(文=編集部)

巨人軍・本拠地問題が浮上…“老朽化”東京ドームに経営改善要求、読売新聞Gが一体経営へ

 三井不動産は11月27日、東京ドームに株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化すると発表した。買収額は1205億円。全株取得後20%分を、読売巨人軍を傘下にもつ読売新聞グループ本社に譲渡し、連携を図る。

 東京ドームは筆頭株主である香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントと対立が先鋭化しており、三井不が友好的な買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げた。東京ドームは同日、TOBへの賛同を表明した。TOB価格は1株1300円。26日の終値897円に約45%のプレミアム(上乗せ価格)をつけた。買い付け期間は11月30日から2021年1月18日まで。

 11月27日の東京ドーム株は終日買い気配が続き、値幅制限の上限(150円高のストップ高水準)の前日比17%高の1047円で比例配分された。三井不も一時、3.2%高の2332.5円まで上昇した。東京ドームの大株主のみずほ銀行(第2位の株主)はTOBに応募する意向だ。

 東京ドームは巨人軍の本拠地であるが、これまでは資本関係は希薄だった。読売新聞グループは東京ドームと資本業務提携を結び、球団経営と一体化させる。三井不と読売が連携してドーム周辺を再開発し、パ・リーグの球場で進んでいるボールパーク構想を推進する。

香港の投資ファンド、オアシスへの対策

 東京ドームは大株主のオアシスと経営方針をめぐって対立していた。オアシスは約2年前から東京ドームの経営陣に経営効率化を働きかけてきたうえに、今年1月に株式の保有比率を9.61%に引き上げた。2月に電子看板システムや命名権の導入、遊園地事業の改善策などを列挙した「より良い東京ドームへ」という経営改革案を公表した。「現在の保有比率は16.18%」(TOBに詳しいアナリスト)とみられている。

 オアシスの主張を一言でいえば、人気球団の巨人軍のホーム球場という“お宝”といえる資産を有していながら「資産を十分運営できておらず、宝の持ち腐れ状態だ」(関係者)ということに尽きる。

 19年のレギュラーシーズンの観客の総入場者数が300万人を超えたのは、セパ両球団のうち、ジャイアンツ(302万人)と阪神タイガース(309万人)のみ。それほど魅力的なコンテンツを抱えているのに、東京ドームは2020年1月期まで4期連続で営業利益率が低下している。「経営陣は経営努力をしているのか」と、オアシスは腹を立てているのである。

 東京ドームは7月20日、スタジアムの改修計画を公表した。オアシスは10月16日、「長岡勤社長主導の改革は規模も小さく、ペースも遅い」と断じ、長岡社長と社外取締役の森信博氏(元みずほコーポレート銀行副頭取)、秋山智史氏(元富国生命保険社長・会長)の解任を提案した。

 オアシス創業者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は10月22日、オンラインで記者会見を開いた。臨時株主総会で求めているのは、3人の解任のみで、新たな社長候補の提案はしていない。ブルームバーグ通信(10月22日付)は、会見の模様をこう報じた。

<フィッシャー氏は「次の経営陣を提案すると、そこに話が集中してしまう。今回はマネジメントの経営責任を問う議論をしたかった」と意図を説明した。(中略)来年の定時株主総会では豊富な経験で会社を先導できるような取締役を提案したいと述べた>

 臨時株主総会は、あくまで前哨戦。来年の定時株主総会が本番。社長候補を立てて真っ向勝負で挑むと宣言したわけである。これを受け東京ドームは12月17日に臨時株主総会を開くことを決めた。長岡社長は「現在の経営体制が最善」と株主提案に反対した。

 この間、東京ドームは支援企業を探してきた。三井不は、読売新聞グループ本社からの紹介を受けて6月に東京ドームに買収を打診し、8月以降、協議してきた。かくして、三井不と読売新聞が「ホワイトナイト」(白馬の騎士)として名乗りを上げた。

 今後の焦点は大株主のオアシスの動向だ。オアシスは三井不によるTOBについて立場を明らかにしていない。オアシスは「全株式を1株あたり1300円で買い取る意向がある」と東京ドーム側に伝えていた。オアシスは三井不のTOBに応じるか、それとも三井不のTOB価格(1300円)を上回る価格を提示して敵対的TOBに打って出るか。オアシスが価格引き上げ競争に持ち込み、高値で売り抜けることもあり得る。

東京ドームの最大の悩みは施設の老朽化

 東京ドームは東京・水道橋で敷地面積13万平方メートルの複合施設「東京ドームシティ」を運営する。商業施設、遊園地、ホテルなどがあり一帯の主要資産の簿価は1月末時点で2000億円に迫る。21年1月期の通期業績は新型コロナウイルス禍によるコンサートの中止や、プロ野球公式戦の観客数制限などが響き売上高は前期比57.4%減の390億円。連結最終損益は180億円の赤字(前期は80億円の黒字)を見込む。

 東京ドームの最大の悩みは施設の老朽化である。1988年に開場し今年で32歳になる。すでに旧式な野球場となっている。野球の本場アメリカでは野球場の呼び方がスタジアムからボールパークに完全に変わった。試合重視の意味合いが強いスタジアムに対して、ボールパークはエンターテイメント性に力点を置いているのが特徴だ。

 東京ドームの老朽化もあって、巨人の本拠地問題は長らく懸案事項となっていた。東京中央卸売場の豊洲移転に伴う跡地を利用した築地新球場計画が、最も現実味のある候補地として浮上しており、「かなり具体的に進んでいた」(東京都庁の関係者)。

 しかし、16年、小池百合子東京都知事が誕生。この計画を打ち砕いた。小池知事は、築地市場跡地は「食のテーマパーク」にするとの構想を打ち出し、築地新球場計画は振り出しに戻った。三井不の完全子会社となり、読売巨人軍の本拠地である東京ドームは悲願としてきたボールパークに生まれ変わることになるが、「巨人軍が最先端の動画のコマーシャルなどにノーだったことも影響している。東京ドームの経営陣と読売巨人軍の共同責任」(プロ野球、セ・リーグの関係者)といった内部の声もある。

 東京ドームがボールパークから3周遅れとなった責任については別の視点から議論したほうがいい。だが、「日本シリーズで巨人軍がソフトバンクホークスに4連敗(昨年の日本シリーズでも4連敗)、完膚なきまでに叩き潰されたのと東京ドームの巨額TOBは連鎖している」(前出のセ・リーグ関係者)との見方もある。

(文=編集部)

40代以上はペット・動物動画が好き?世代による視聴傾向をチェック!

あなたは、「自分と同世代の人々」が、どのくらい動画配信サービスを楽しんでいると思いますか?

世代別動画配信サービス利用率
※過去1年以内に1回以上の利用率

サイバー・コミュニケーションズが2020年6月に全国15歳~69歳を対象に行った実態調査によると、「過去1年以内に1回以上、YouTubeを含む動画配信サービスの利用経験がある」人は、約81%でした(調査概要は記事末尾に)。

また、若年層だけが利用しているばかりでなく、幅広い世代で利用されるメディアに成長してきていることが分かりました。

では、デジタルネイティブ世代である10代、20代と従来型のメディアに慣れ親しんでいる世代とでは、どのような違いが見られるのでしょうか。

本稿では、動画配信サービスの年代別視聴傾向について考えていきます。

<目次>
中高年齢層はYouTube以外の利用率が低い。今後の伸びに期待!
どの世代もYouTubeで一番よく見るのは音楽動画。しかし2位以下に違いが
ステイホームで生活者に定着した動画視聴。では、広告への抵抗感は?
動画配信サービス視聴習慣は定着する?年代別「サービス併用数」から見られる兆し


中高年齢層はYouTube以外の利用率が低い。今後の伸びに期待!

まず、利用率を年代別に見てみましょう。

動画配信サービス・テレビ放送利用率
※2020年4月~6月の3ヵ月以内利用率

「YouTube」を含む動画配信サービス全体で10代、20代の利用率は高く、80%以上に上ります。

「Amazonプライムビデオ」や「Netflix」に代表されるサブスクリプション型有料配信サービス・SVOD(Subscription Video on Demand)の利用率は40%程度。

「TVer」や「Abema TV」などの広告付き無料配信サービス・AVOD(Advertising Video On Demand)の利用率は30%~40%です。

50代、60代の高年齢層においては、動画配信サービス全体の利用率が60%以上と高い半面、その大半が「YouTube」などの投稿型サイトに偏っており、SVODとAVODの利用率は20%台にとどまります。まだ成長の余地を残しているといえます。

また、テレビ放送はどの年代においても80%以上を維持しており、依然マス媒体としての強さを示しています。

どの世代もYouTubeで一番よく見るのは音楽動画。しかし2位以下に違いが

世代ごとに、好まれるジャンルはどのくらい変わるのでしょうか?ここでは二つのランキングをご紹介します。

世代別公式コンテンツ視聴ジャンル
公式コンテンツ視聴ジャンルランキング

放送局や動画配信企業など、法人が運営する公式コンテンツの視聴では、どの世代においても、「ドラマ」と「映画」が人気ジャンルです。

3位以降は、50代と60代では他の世代と異なる特徴が出ており、「音楽」や「ニュース」の順位が高くなっています。

YouTube視聴ジャンルランキング
YouTube視聴ジャンルランキング

「YouTube」の視聴ジャンルでは、全ての世代で「音楽」が最も視聴されています。

10代から30代では、ゲーム実況やゲーム攻略などの「ゲーム」、10代と20代では「YouTube」の定番コンテンツであるチャレンジ系企画モノの「やってみた系」も人気が高いです。

40代以降では30代以下に見られなかった「ペットと動物」が2位に入っている点が特徴で、生活の中で癒しとなるような動画を見る傾向が高いことが分かります。

「YouTube」はスマートフォンを使って一人で見る割合が他のサービスより高く、個人の趣味嗜好を反映した結果になっています。

ステイホームで生活者に定着した動画視聴。では、広告への抵抗感は?

コロナ禍のステイホーム期間を経てユーザーの生活習慣に定着したともいえる動画視聴。本調査を行った6月以降も、各サービスは順調にユーザー数を伸ばしています。もちろん、需要に応えるように提供コンテンツも増え続けています。

当然の流れとして、「広告掲載先メディア」としても、動画配信サービスへの注目が高まっています。では、ユーザーはサービス内の広告に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。
 

動画広告とテレビCMの印象

上の図では、動画広告とテレビCMの広告イメージについて比較しました(互いに勝っているイメージをポイントで表現しています)。

テレビCMでは「最新の情報が入手できる」「親しみやすい」「信頼できる」のポイントが動画広告より高くなっています。

一方で動画広告では「他では見られないものがある」「自分向けだと感じる」「興味のあるジャンルの広告が多い」がテレビCMに比べて高くなっています。

それぞれの特徴を反映していると思いませんか? 

テレビCMで最新の情報を流しつつ、動画広告ではターゲティングを使って視聴者とより深くコミュニケートする、そんな使い分けができるのではないでしょうか。

次に、世代別に広告がどのように受け入れられているのか見ていきます。下の表は、各世代で「広告を苦痛に感じない」と答えた人の割合です。
広告を苦痛に感じない

「他の世代と比較して、若年層が広告に抵抗を持っている」と語られることが多いですが、この調査では必ずしもそうはなっていません。テレビにおいても動画においても「広告に苦痛を感じない」と答えている割合は、意外にも10代が一番多い結果となりました。

もう一つ注目したいのは、動画広告においては年代が高まるにつれて「苦痛に感じない」割合が少なくなっている(つまり高年齢層ほど、苦痛に感じている率が高い)点です。しかしテレビCMではこの傾向が小さいことから、動画配信サービスの視聴習慣がまだ浅く、動画広告に対する親しみが薄いことが一因として考えられます。

動画配信サービスはテレビ放送と同じ映像メディアであるものの、「自分の好きな時に好きなコンテンツを見る」という、よりパーソナルな要素が加わります。インターネットならではの特性を生かしたターゲティングや、「共感」を生み出すオリジナルのストーリーを広告に用いることで、効果もより高まるのではないでしょうか。

動画配信サービス視聴習慣は定着する?年代別「サービス併用数」から見られる兆し

下の表は、YouTubeを含む動画配信サービスの年代別利用数です。

10代と20代においては、「6個以上のサービスを併用している」割合が15%前後あり、サービスの利用が浸透していることがうかがえます。

しかし、全体を見ると、「YouTubeに加えて、他に1、2個のサービスを併用する」という傾向が強いです。

世代別動画配信サービス併用数
※2020年4月~6月の3ヵ月以内利用率をもとに算出したサービス利用数

有料のSVODを複数契約するのはハードルが高く、定着が難しいようです。そんな生活者の「サブスク疲れ」の中で、視聴を継続してもらうには、他では見られない魅力的なオリジナルコンテンツなど、独自の強みが必要になってきます。

そのような中、「TVer」など、「無料で視聴できる広告付き動画配信サービス」でユーザー数が継続的に伸びているのは、注目したいポイントです。「無料である」という強みが視聴のハードルを下げて、さらに利用が拡大すると予想されます。

また、有料プランと広告プランの併用などの“ハイブリッド型”モデルで利用者を増やすサービスも出てくるでしょう。

この連載では、第1回でテレビのネット接続率の上昇、第2回の今回は年代別の視聴傾向に着目して、動画配信サービスの最新視聴実態について考えてきました。コロナ禍によって社会のデジタル化は加速し、エンターテインメントを楽しむ動画視聴においてもまさに今がフェーズの変わり目であり、あらゆる世代に浸透する過程にあります。

今後どういったサービスがどのように定着していくのか、注視していきたいと思います。


CCI 国内動画配信サービス・プレイブックについて
https://www.cci.co.jp/news/2020_08_13/1-104/
CCI 国内動画配信サービス詳細レポートについて
https://www.cci.co.jp/news/2020_08_31/01-23/
 
<調査概要>
「国内動画配信サービス詳細レポート」
・調査目的 :動画配信サービスの利用実態を明らかにし、サービスジャンルにおける特徴
を把握する
・調査地区 :全国
・調査方法 :インターネット調査
・調査対象 :男女 15~69 歳
・調査サンプル数 :各 6000s
・調査実施機関 :株式会社ビデオリサーチ
・調査期間 :2019 年 12 月 23 日~2019 年 12 月 25 日/2020 年 6 月 12 日~2020 年 6 月 14 日

ブランディングの未来はどうあるべきか。DX推進に必要な四つの視点

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、数々の「ブランド体験」を創造してきた、電通デジタルのエグゼクティブクリエーティブディレクター・佐久間崇氏が、「クリエイティビティーが拓くブランドの未来」について語ったセッションを紹介。

デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、ブランドの未来はどうあるべきか。社会の変化に伴うブランドの在り方を示し、ブランド変革に必要な視点を提示します。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。
 
PDM実践ウェビナー2020
※課題解決マーケティング情報サイト「Do!Solutions」でも、本ウェビナーの特集ページを開設しています。より詳細なレポートはこちらへ

 


DXを推進する前に、ブランドの本質に立ち戻る

佐久間崇

デジタル化が加速する昨今、人々の価値観は大きく変容しています。消費動向は「所有価値から使用価値へ」「モノからコトへ」「製品からサービスへ」とシフトし、企業のDXもさらに重視されるようになりました。

こうした変革期において、重要なのがクリエイティビティーです。クリエイティブディレクターとして、企業のブランディング立案・実施に取り組んできた佐久間氏は、企業がDXを推進する前に、まずは本質に立ち返る必要があると指摘します。

「DXの目的は、デジタルツールの導入ではありません。それでは手段の目的化になってしまいます。改めて自社の製品、ビジネス、ブランドを未来に向けてトランスフォームしていく意味を見つめ直し、その本質を理解した上でDXを考えていくことが必要です」

「People」「Purpose」「Creativity」「Data/Tech」の4視点で、ブランドのDXを促進

その上で、ブランドをトランスフォームするために、以下の「四つの視点」を挙げました。

PDM実践ウェビナー2020


1. People ターゲットや顧客の視点

デジタルシフトやグローバリゼーション、新型コロナウイルスの拡大に伴い、働き方やライフスタイルが多様化し、生き方の選択肢も増えています。佐久間氏は、「これからは、人々が自分ならではの物語、自分らしい生き方を模索しながら生きていく時代」だと分析します。つまり、ますます“人”が主役になっていく時代です。

その時、ブランドの役割はどうあるべきでしょうか。佐久間氏は、発想を転換し、「個人の人生を輝かせること」を考えるべきだと述べます。

「ブランドには、“高級”“憧れ”などのイメージがあります。そのため、これまでブランドと個人の関係性は、“ブランドが描く世界観を個人が享受する。その世界観に参加させてもらう”というものでした。しかし、これからは一人一人が主役になる時代。ブランドの役割は、“人=LIFEを輝かせること”になっていきます。大切なのは、人が輝く舞台を整えること。その意識を持つことが、DXを進める上で大前提になるでしょう」

2.Purpose 目的を明確にする視点

ブランドをトランスフォームするには、事業の目的を再定義すること、つまり「何を、何のためにするのか」を突き詰めることも重要です。

これまでは、商品の存在を知ってもらうための手段として広告がありました。そして、販促や商品をプロモートするためにPRがあり、商品を届ける手段として販売がありました。つまり、企業活動のすべてが“商品を売ること”が中心になっており、その他は手段だったのです。

しかし、目的を中心に置くと、企業活動はすべて目的のための手段だと気づきます。すると、企業活動も製品からサービスへと必然的にシフトしていきます。佐久間氏は、「商品ではなく目的の実現を中心に据え、そのための手段を再発明・再解釈することがDXの本質」だと述べ、事業の目的や商品が生まれた経緯、そこにある意思をもう一度探るよう促しました。

3. Creativity サービスやプロダクトの視点

では、目的を規定した上で、どのようにサービスやプロダクトを生み出していくべきでしょうか。佐久間氏は、「クリエイティビティーの解放」が重要だと指摘します。

「クリエイティビティーというと、難解なイメージを持たれるかもしれません。しかし、大事なのは子どものような発想。『これ、よくない?』『これ面白くない?』という無邪気な感覚こそ、クリエイティビティーです」

ビジネスにおいては、直感やひらめき、「なんとなくいい」という感覚は、表に出さない傾向がありますが、佐久間氏は「一人一人のセンスを信じることがクリエイティブ思想」だと言います。

「自分の直感、ひらめき、イメージを解放し、常識を疑って言語化していくこと。あるいは『何か変だ』という感覚や違和感を掘り下げること。それが、多様化が進む社会にマッチする新たなクリエイティブにつながるのではないでしょうか」と佐久間氏。

こうして生まれたクリエイティブアイデアを評価する軸として、佐久間氏が大事にしているのは「ハッとして、グッとくる」かどうかです。

PDM実践ウェビナー2020

「ハッとする」は驚きや新しさ、ビックリマークがつく状態を指します。さらに、共感や好感を抱かせる「グッとくる」要素も必要です。こちらはハートマークがつくような状態を指します。つまり、「ビックリマークとハートマークをつけたくなるクリエイティブアイデアこそが、新しさと普遍性を兼ね備えている」と、佐久間氏は述べました。

4. Data/Tech 実現方法の視点

こうして生まれたクリエイティブアイデアを実現するために、活用するのがデータやテクノロジーです。その好例が、シリコンバレー発のD2C(Direct to Consumer)シューズブランド「allbirds」だと佐久間氏は言います。

allbirds

このブランドのコンセプトは、「世界で最も快適なシューズ」。機能性が優れているだけでなく、羊毛やサトウキビなど肌にも地球にも優しいサステナブルな素材を用いているのが特徴です。「“サステナブルな靴を選んで履くことはかっこいい”という価値を提供している点が新しい」と、佐久間氏は同ブランドの方向性に賛意を寄せます。

また、公式サイトでは、素材調達から商品廃棄までのプロセスにおけるCO2排出量を“見える化”した動画も公開。さらに、グローバルな顧客データ管理や在庫調整を瞬時に行ったり、ユーザーからのフィードバックを取り入れ、細やかにプロダクトリニューアルを行ったりする点でも快適性を追求しています。

「ユーザーの快適性向上やサステナビリティーのためにデータを活用する。この点に新しさを感じます。データドリブンを否定するつもりはありませんが、やりたいことを実現するためにどんな手段があるのか考え、その上でデータを活用するという順番の方がスムーズではないでしょうか」

個人のライフを輝かせるために、ブランドにできること

視点1で述べたように、これからは人が主役です。個人のライフを輝かせるために、ブランドに何ができるか。ブランドの未来を切り開くには、その役割を追求する必要があります。

ブランドのDXに必要な「四つの視点」を紹介しましたが、必ずしも順番通りに行う必要はありません。2番目の「目的を明確にする視点」から始めるとスムーズですが、どれを起点にしてもすべての視点で考えることが大事だと佐久間氏は指摘します。

その上で「優れたクリエイティブアイデアは、どの視点からも説明でき、さらにアイデアを上乗せできます。その繰り返しにより、ブランドが輝き、人に親しまれ、必要とされるのだと思います」と締めくくりました。

※本ウェビナーのより詳細なレポートは、「Do!Solutions」の特集ページをご覧ください!

コロナ禍が助長した『鬼滅の刃』ブーム…ありえない家族愛への感動、存在論的恐怖の克服

 新型コロナウイルスパンデミックの勢いが止まらない。日本でも新型コロナの「第3波」襲来により、政府は「勝負の3週間」と感染防止対策を強化せざるを得ない事態に追い込まれているが、新型コロナとの「終わりの見えない闘い」は人々の心に大きなダメージを与えつつある。

 コロナ禍の日本でも、「穏やかな性格の人が怒りっぽくなった」「SNSであまり発言しなかった人がコロナ対策の情報を積極的に発信するようになった」「自分の利益ばかり考えていた人が支援活動に精を出すようになった」など人々の行動に変容の兆しが出始めている。「自粛生活が続くことによるフラストレーション」が主な原因だとされているようだが、筆者は「それだけではない」と考えている。

 私たちは1年近くにわたり、新型コロナに関する「死」についての情報を大量に浴び、知らず知らずのうちに「死」に対する漠然とした不安や恐怖を掻き立てられている。しかし人はこのような恐怖心に無防備でいられず、なんらかの防衛手段をとらざるを得なくなるのではないだろうか。

 社会心理学の分野には「存在脅威管理理論」という考え方がある。存在脅威管理理論とは「自分の命についての漠然的な恐怖心を抱くと、人は自らが信頼する世界観(文化的世界観)を利用して、自らの恐怖心を緩和しようとする自衛メカニズムを作動させる」という考え方である。人は高度な認知機能を獲得したことで、「自分はいつか死んでしまう」という認識から生まれる恐怖を抱くようになった。存在論的恐怖と呼ばれるものであるが、無意識のレベルにとどまっていることが多く、はっきりと意識されることは少ないといわれている。

 一般的な恐怖であれば、その対象を回避したり解決したりすることも可能かもしれないが、「いつか死んでしまう」という事実を解決することは不可能である。存在論的恐怖が解決不可能なのにもかかわらず、私たちが人生を悲観していないのは、存在論的恐怖を和らげる文化的世界観を持っているからだというわけである。

 文化的世界観とは、「『自分の存在は死を越えて、なんらかの形で存在し続ける』ことを人々に確信させる信念」のことである。人生になんらかの意味を与えてくれる信念と合致する行動をとっているという自尊心を持つことによって、「自分の存在の有限性」を乗り越え、死の恐怖から身を守っているのである。

 「文化的世界観などという大げさなものを持っていない」と考える日本人は多いだろう(筆者もその1人である)が、心配は無用である。恋人や子ども、あるいは親友といった近しい人々との関係(つながり)が存在論的恐怖を緩衝する効果を持つことがわかってきている。他者との親密な関係が「自分が社会的実体の一部である」ことを感じさせてくれることは、文化的世界観と同様「自分の存在の有限性」を越える効果を有する。

少子化の歯止めにはならない?

 存在脅威管理理論は、海外でさまざまな実証的研究が行われ、その正しさが明らかになってきているが、コロナ禍で日本に生じているいくつかの社会現象についても適用可能ではないだろうか。

 コロナ禍の社会現象といえば、『鬼滅の刃』の大ブームである。国会議員までが「全集中の呼吸」という決めゼリフを公の場で口にし、挙げ句の果ては、『鬼滅の刃』のアニメや漫画、映画を見ることを他人に強要するという「キメハラ」現象までが起きている。

『鬼滅の刃』は2019年頃から人気に火が付いていたが、それがコロナ禍でさらに一段と加速された感が強い。「現実ではありえない家族愛や兄妹愛」に感動して号泣したとされる多くの人々(子育て世代の女性が多い印象がある)の姿を見ると、コロナ禍で惹起された存在論的恐怖に打ち勝つために、『鬼滅の刃』という文化的世界観に身を捧げているように思えてならない。

 他者とのつながり欲求の高まりから、今後若者の間で結婚願望が高まることが予想されるが、残念ながら日本の喫緊の課題である少子化の歯止めにはならないかもしれない。コロナ禍で日本はもちろん、欧米でも出生数の大幅減少が懸念されているが、妊娠や出産という行為は、存在論的恐怖を高めてしまう可能性が高いとされている。妊娠や出産は、人間以外の動物と共通する行為であることから、「社会的役割や意味を持った特別な存在である」という枠組みを与えている文化的世界観を脅かす作用をもたらしてしまうからである。人は「自分の存在の有限性」という認識が生じないよう、自己の身体の動物性を示唆する妊娠や出産を忌避するのである。

「反・資本主義」運動の広がり

 最後に日本ではあまり目立った動きが生じていないが、世界の若者の間で広がる「反・資本主義」運動の広がりについて見てみたい。

 筆者は7月9日付コラムで「存在論的恐怖が米国の人種差別反対(BLM)運動を激化させる要因になっている」と述べたが、その後の展開は「富の配分の不公平」へと軸足を移しており、このことがバイデン氏の史上最多数の得票による大統領選の勝利につながる一因となった。

 文化的世界観の中でもっとも有力なものに「公正世界観」がある。「世界はその人がその人にふさわしいものを手に入れる公正な場所である」という世界観だが、新型コロナのパンデミックが世界の多くの人々の心にこの世界観を呼び覚ましてしまったのだとすれば、世界は再び「革命の時代」に戻ってしまうのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

(参考文献)『なぜ人は困った考えや行動にとらわれるのか? 存在脅威管理理論から読み 解く人間と社会』(ちとせプレス/脇本竜太郎著)

コロナ禍が助長した『鬼滅の刃』ブーム…ありえない家族愛への感動、存在論的恐怖の克服

 新型コロナウイルスパンデミックの勢いが止まらない。日本でも新型コロナの「第3波」襲来により、政府は「勝負の3週間」と感染防止対策を強化せざるを得ない事態に追い込まれているが、新型コロナとの「終わりの見えない闘い」は人々の心に大きなダメージを与えつつある。

 コロナ禍の日本でも、「穏やかな性格の人が怒りっぽくなった」「SNSであまり発言しなかった人がコロナ対策の情報を積極的に発信するようになった」「自分の利益ばかり考えていた人が支援活動に精を出すようになった」など人々の行動に変容の兆しが出始めている。「自粛生活が続くことによるフラストレーション」が主な原因だとされているようだが、筆者は「それだけではない」と考えている。

 私たちは1年近くにわたり、新型コロナに関する「死」についての情報を大量に浴び、知らず知らずのうちに「死」に対する漠然とした不安や恐怖を掻き立てられている。しかし人はこのような恐怖心に無防備でいられず、なんらかの防衛手段をとらざるを得なくなるのではないだろうか。

 社会心理学の分野には「存在脅威管理理論」という考え方がある。存在脅威管理理論とは「自分の命についての漠然的な恐怖心を抱くと、人は自らが信頼する世界観(文化的世界観)を利用して、自らの恐怖心を緩和しようとする自衛メカニズムを作動させる」という考え方である。人は高度な認知機能を獲得したことで、「自分はいつか死んでしまう」という認識から生まれる恐怖を抱くようになった。存在論的恐怖と呼ばれるものであるが、無意識のレベルにとどまっていることが多く、はっきりと意識されることは少ないといわれている。

 一般的な恐怖であれば、その対象を回避したり解決したりすることも可能かもしれないが、「いつか死んでしまう」という事実を解決することは不可能である。存在論的恐怖が解決不可能なのにもかかわらず、私たちが人生を悲観していないのは、存在論的恐怖を和らげる文化的世界観を持っているからだというわけである。

 文化的世界観とは、「『自分の存在は死を越えて、なんらかの形で存在し続ける』ことを人々に確信させる信念」のことである。人生になんらかの意味を与えてくれる信念と合致する行動をとっているという自尊心を持つことによって、「自分の存在の有限性」を乗り越え、死の恐怖から身を守っているのである。

 「文化的世界観などという大げさなものを持っていない」と考える日本人は多いだろう(筆者もその1人である)が、心配は無用である。恋人や子ども、あるいは親友といった近しい人々との関係(つながり)が存在論的恐怖を緩衝する効果を持つことがわかってきている。他者との親密な関係が「自分が社会的実体の一部である」ことを感じさせてくれることは、文化的世界観と同様「自分の存在の有限性」を越える効果を有する。

少子化の歯止めにはならない?

 存在脅威管理理論は、海外でさまざまな実証的研究が行われ、その正しさが明らかになってきているが、コロナ禍で日本に生じているいくつかの社会現象についても適用可能ではないだろうか。

 コロナ禍の社会現象といえば、『鬼滅の刃』の大ブームである。国会議員までが「全集中の呼吸」という決めゼリフを公の場で口にし、挙げ句の果ては、『鬼滅の刃』のアニメや漫画、映画を見ることを他人に強要するという「キメハラ」現象までが起きている。

『鬼滅の刃』は2019年頃から人気に火が付いていたが、それがコロナ禍でさらに一段と加速された感が強い。「現実ではありえない家族愛や兄妹愛」に感動して号泣したとされる多くの人々(子育て世代の女性が多い印象がある)の姿を見ると、コロナ禍で惹起された存在論的恐怖に打ち勝つために、『鬼滅の刃』という文化的世界観に身を捧げているように思えてならない。

 他者とのつながり欲求の高まりから、今後若者の間で結婚願望が高まることが予想されるが、残念ながら日本の喫緊の課題である少子化の歯止めにはならないかもしれない。コロナ禍で日本はもちろん、欧米でも出生数の大幅減少が懸念されているが、妊娠や出産という行為は、存在論的恐怖を高めてしまう可能性が高いとされている。妊娠や出産は、人間以外の動物と共通する行為であることから、「社会的役割や意味を持った特別な存在である」という枠組みを与えている文化的世界観を脅かす作用をもたらしてしまうからである。人は「自分の存在の有限性」という認識が生じないよう、自己の身体の動物性を示唆する妊娠や出産を忌避するのである。

「反・資本主義」運動の広がり

 最後に日本ではあまり目立った動きが生じていないが、世界の若者の間で広がる「反・資本主義」運動の広がりについて見てみたい。

 筆者は7月9日付コラムで「存在論的恐怖が米国の人種差別反対(BLM)運動を激化させる要因になっている」と述べたが、その後の展開は「富の配分の不公平」へと軸足を移しており、このことがバイデン氏の史上最多数の得票による大統領選の勝利につながる一因となった。

 文化的世界観の中でもっとも有力なものに「公正世界観」がある。「世界はその人がその人にふさわしいものを手に入れる公正な場所である」という世界観だが、新型コロナのパンデミックが世界の多くの人々の心にこの世界観を呼び覚ましてしまったのだとすれば、世界は再び「革命の時代」に戻ってしまうのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

(参考文献)『なぜ人は困った考えや行動にとらわれるのか? 存在脅威管理理論から読み 解く人間と社会』(ちとせプレス/脇本竜太郎著)

株式相場、空前の高値…投資で今、重要な「わからない見通し」と「確度が高い見通し」

 株式相場が活況です。アメリカのNYダウ平均株価は、新型コロナウイルスによる下落前の水準を超え、史上最高値を更新しています。日本の株式相場も同様で、日経平均株価は29年ぶりの高値を付けました。報道では、新型コロナワクチンの実用化への期待が高まったことを材料に買われたということです。「株価は景気の先を読む」といわれますが、コロナの収束はもう時間の問題なのでしょうか。

結局、理由はなんでもあり

 アメリカの大統領選挙ではジョー・バイデン氏が勝利しましたが、今年の夏ぐらいまでは「トランプ勝利=株高、バイデン勝利=株安」と見られていました。コロナ対策よりも経済活動を優先するドナルド・トランプ大統領に対して、バイデン氏はコロナ対策を重視し、さらに企業や富裕層への増税を公約としていたためです。

 ところが、世論調査でバイデン氏がリードしたまま選挙が近づくと、バイデン勝利で株価は上がるとの見方に変わってきました。バイデン氏が勝つと公共投資が増えるからというのがその理由です。とはいっても、トランプ勝利の場合に株価が下がるわけではなく、「トランプ勝利=株高、バイデン勝利=株高」だというのです。どっちに転んでも株価は上がるというわけで、その“理由”は取って付けたようなものです。

 結局、「上がる理由はなんでもあり」の状態ですが、相場に勢いがついてしまうとこうなります。株価の上昇が続いているときに、株式相場にとって良い材料が出ると上昇にさらに弾みが付きますが、悪い材料が出ても上昇が続くことは少なくありません。「悪材料が出尽くした」とされて、また買われるのです。相場が悪く下落が続いているときは逆で、悪材料はもちろん、好材料が出ても「好材料出尽くし」と売りの要因になってしまいます。

 新型コロナの感染がヨーロッパやアメリカで広がった今年の2月から、アメリカを中心として世界の株式市場は暴落しました。各国で外出が制限され、4-6月期の実質GDP成長率はアメリカが▲31.4%、日本は▲27.8%(いずれも前期比年率換算)となりましたが、2月からの大幅な下落はこれを先取りしたものです。

 そして、3月後半からは急回復となりました。外出制限が徐々に緩和され、7-9月期の実質GDP成長率はアメリカが33.1%、日本は21.4%(いずれも同上)となりましたが、それを見込んだ動きをしたわけです。

 もっとも7-9月の数値が大きいのは、前年比ではなく、前期比を年率に換算したためで、景気が良いとはとてもいえない状況であるのは、誰もが実感するとおりです。株価が上昇に転じるのはともかく、史上最高値や29年ぶりの高値は、実際の経済状況とはかけ離れているのではないでしょうか。

 各国の中央銀行による空前の金融緩和による資金が、株式市場に流れ込んできたことによる影響が大きいと思われます。お金の流れに勢いが付くと、そのこと自体が勢いを加速するように作用します。取って付けたような理由は、その流れを正当化しようとするものでしかありません。

コロナの収束はまだ見通せない

 ワクチンの開発に成功したと製薬会社から発表されましたので、そう遠くないうちに新型コロナは収束するという期待が膨らみます。一方、秋の深まりとともにヨーロッパやアメリカ、そして日本でも感染者数は増加しており、再び経済活動が落ち込む不安もあります。

 どちらが正しいかという問題ではなく、株式相場が好調なときには、不安材料には目をつむり、期待ばかり目が向いてしまう傾向があることに注意が必要です(相場が悪いときは逆です)。エコノミストや経済評論家までもが新型コロナの感染見通しについてコメントをしているのを見かけます。感染症の専門家ですら見解が異なるぐらいですから、経済の専門家のコメントは素人判断にすぎません。今後の新型コロナの感染状況とそれによる経済への影響は「わからない」とするのが、正しい見方ではないでしょうか。

 では、資産運用をする上で、株式相場の投資判断はどのように考えたらよいでしょうか。まず、わからないことについては素人判断をせず、両方の可能性を考えておく必要があります。ワクチンの実用化で新型コロナが収束し、比較的早くに景気が回復する可能性もあれば、感染拡大が続き、外出規制で景気が再び悪化する可能性も考慮しておく必要があります。

 一方、わかっている、あるいは確度が高い見通しもあります。新型コロナが収束しても、生活様式や仕事のスタイルの変化が続くであろうということです。インターネットによる商品の購入やリモートワークの導入は、新型コロナによって加速しましたが、それ以前からいずれは普及していくことは予想されていました。新型コロナの収束が早期であっても、この流れが逆に向かうことは考えにくいでしょう。確度が高い見通しに基づいた投資判断であれば、目先の動きに振り回されず、長期の資産形成に寄与するのではないでしょうか。

(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)

株式相場、空前の高値…投資で今、重要な「わからない見通し」と「確度が高い見通し」

 株式相場が活況です。アメリカのNYダウ平均株価は、新型コロナウイルスによる下落前の水準を超え、史上最高値を更新しています。日本の株式相場も同様で、日経平均株価は29年ぶりの高値を付けました。報道では、新型コロナワクチンの実用化への期待が高まったことを材料に買われたということです。「株価は景気の先を読む」といわれますが、コロナの収束はもう時間の問題なのでしょうか。

結局、理由はなんでもあり

 アメリカの大統領選挙ではジョー・バイデン氏が勝利しましたが、今年の夏ぐらいまでは「トランプ勝利=株高、バイデン勝利=株安」と見られていました。コロナ対策よりも経済活動を優先するドナルド・トランプ大統領に対して、バイデン氏はコロナ対策を重視し、さらに企業や富裕層への増税を公約としていたためです。

 ところが、世論調査でバイデン氏がリードしたまま選挙が近づくと、バイデン勝利で株価は上がるとの見方に変わってきました。バイデン氏が勝つと公共投資が増えるからというのがその理由です。とはいっても、トランプ勝利の場合に株価が下がるわけではなく、「トランプ勝利=株高、バイデン勝利=株高」だというのです。どっちに転んでも株価は上がるというわけで、その“理由”は取って付けたようなものです。

 結局、「上がる理由はなんでもあり」の状態ですが、相場に勢いがついてしまうとこうなります。株価の上昇が続いているときに、株式相場にとって良い材料が出ると上昇にさらに弾みが付きますが、悪い材料が出ても上昇が続くことは少なくありません。「悪材料が出尽くした」とされて、また買われるのです。相場が悪く下落が続いているときは逆で、悪材料はもちろん、好材料が出ても「好材料出尽くし」と売りの要因になってしまいます。

 新型コロナの感染がヨーロッパやアメリカで広がった今年の2月から、アメリカを中心として世界の株式市場は暴落しました。各国で外出が制限され、4-6月期の実質GDP成長率はアメリカが▲31.4%、日本は▲27.8%(いずれも前期比年率換算)となりましたが、2月からの大幅な下落はこれを先取りしたものです。

 そして、3月後半からは急回復となりました。外出制限が徐々に緩和され、7-9月期の実質GDP成長率はアメリカが33.1%、日本は21.4%(いずれも同上)となりましたが、それを見込んだ動きをしたわけです。

 もっとも7-9月の数値が大きいのは、前年比ではなく、前期比を年率に換算したためで、景気が良いとはとてもいえない状況であるのは、誰もが実感するとおりです。株価が上昇に転じるのはともかく、史上最高値や29年ぶりの高値は、実際の経済状況とはかけ離れているのではないでしょうか。

 各国の中央銀行による空前の金融緩和による資金が、株式市場に流れ込んできたことによる影響が大きいと思われます。お金の流れに勢いが付くと、そのこと自体が勢いを加速するように作用します。取って付けたような理由は、その流れを正当化しようとするものでしかありません。

コロナの収束はまだ見通せない

 ワクチンの開発に成功したと製薬会社から発表されましたので、そう遠くないうちに新型コロナは収束するという期待が膨らみます。一方、秋の深まりとともにヨーロッパやアメリカ、そして日本でも感染者数は増加しており、再び経済活動が落ち込む不安もあります。

 どちらが正しいかという問題ではなく、株式相場が好調なときには、不安材料には目をつむり、期待ばかり目が向いてしまう傾向があることに注意が必要です(相場が悪いときは逆です)。エコノミストや経済評論家までもが新型コロナの感染見通しについてコメントをしているのを見かけます。感染症の専門家ですら見解が異なるぐらいですから、経済の専門家のコメントは素人判断にすぎません。今後の新型コロナの感染状況とそれによる経済への影響は「わからない」とするのが、正しい見方ではないでしょうか。

 では、資産運用をする上で、株式相場の投資判断はどのように考えたらよいでしょうか。まず、わからないことについては素人判断をせず、両方の可能性を考えておく必要があります。ワクチンの実用化で新型コロナが収束し、比較的早くに景気が回復する可能性もあれば、感染拡大が続き、外出規制で景気が再び悪化する可能性も考慮しておく必要があります。

 一方、わかっている、あるいは確度が高い見通しもあります。新型コロナが収束しても、生活様式や仕事のスタイルの変化が続くであろうということです。インターネットによる商品の購入やリモートワークの導入は、新型コロナによって加速しましたが、それ以前からいずれは普及していくことは予想されていました。新型コロナの収束が早期であっても、この流れが逆に向かうことは考えにくいでしょう。確度が高い見通しに基づいた投資判断であれば、目先の動きに振り回されず、長期の資産形成に寄与するのではないでしょうか。

(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)

リモートワーク時代、スーツの“新基準”…失敗しないためのビジネスファッションの新常識

 誰も夢にも思わなかったコロナ禍が社会を変えている。終焉は見えず“ウィズコロナ”は長期戦となり世界を急変させている。世界中の「旅行産業」「外食産業」が大きな打撃を受けている。

 アパレル産業も例外ではない。グローバル化したサプライチェーンが商品供給体制に多くの課題を残している。都市のロックダウンが売上を激減させ、アパレル産業のキャッシュフローが大打撃を受け、上場企業まで破綻した。今までのように毎シーズン、コレクションの大イベントを開催して情報発信することは、人の移動が制限されるなかでは難しく、新たな模索が続く。

 そして在宅勤務が日常化し、人々のビジネススタイルも変化した。そこで今回は、各場面に最適な新ビジネススタイルのアイテム選びを解説する。

1.他人軸から自分が選ぶ自分軸へ

 これまで仕事着とは、社内外の第三者から見られる印象を良くするためのものだった。男性では世界共通のビジネススーツがユニフォームとなっていたが、世界的に進むファッションのカジュアル化のなかで、コロナ禍は一気にビジネススタイルを変化させた。

 まず、得意先を訪れて対面で打ち合わせる機会が激減した。社内でも会議はリモートに移行している。今まで意識していた第三者目線の他人軸は必要なくなりつつある。ゆえに自分が着てみたい服を自分が選ぶ。つまり選択の軸が他人軸から自分軸に確実に変化している。

2.スーツ、ジャケット着用機会減と選ぶべきアイテム

 コロナ禍までは、誰もが毎朝、満員電車で決まった時間に出社し時間が過ぎると帰宅の途についていたが、その日常が消えた。東京メトロの利用運賃の30%が戻っていない。もちろん、今でも丸の内や新宿の高層ビル街には以前と同じスーツスタイルのビジネスマンはいる。しかし、ビジネススーツのみならずジャケットさえ着用する機会も減っている。最後にネクタイを結んだ日を思い出せない人も多いだろう。

 ウエストが伸縮する素材のパンツ、肩にパッドの入っていないジャケットなどを着用すると、従来の堅苦しいルールから解放されたくなる。従来のスーツスタイルに変わって、一見スーツに見える伸縮機能素材のカジュアルなセットアップ(上着とパンツが自由に選べる販売方法)が主流になりつつある。肩にパッドが入ったテーラードタイプが古く見えだしている。ジャケットも同じく、肩にパッドの入らないアンコンストラクションタイプ(略してアンコン)が増えている。言い方は悪いが、襟の付いたシャツジャケットである。

 特別な場面を除いては、これからも旧来型のスーツジャケットの着用機会は少なくなるだろう。ゆえに、改めてスーツ、ジャケットを着用する場面では、違う愉しみが見つかりそうだ。洋服には和装と違い、年令でのルールはない。和装では、お婆ちゃんと孫が同じ振袖など着ることはありえないが、洋装ならお爺ちゃんと孫が同じネイビージャケットを着ても不思議ではなく、むしろ服装教育ができる。

 筆者の作成した「タカギ式フォーマル度数表」から、イラストで選ぶべきアイテムを参考にしていただきたい。“これでなければならない”というものではなく、標準としてのアイテム選びである。ご自身のワードロープと比較していただければ、わかりやすく、無駄な買い物もなくなる。

3.自宅からのリモート会議の日常化

 自宅では、パジャマから着替えてジャージの上下で一日を過ごす日もあるかもしれない。しかし、服装を着替えることで気分が変わるのは事実である。意識的に自宅内でも仕事の際は着替える習慣を心がけていただきたい。

 リモート会議では、上半身しか見えないので上半身コーディネートとでも呼ぶ新語が生れた。確かにリモート会議なら上半身しか映らないが、会議には相手がいるし、複数人の場合もある。よくカジュアル化で誤解されるのだが、だらしなさとカジュアルは別軸であるし、清潔感は社会人としては当然のマナーである。各アイテムにもフォーマル度数と呼ぶ尺度が存在し、相性がある。Tシャツよりポロシャツ、ポロシャツよりワイシャツとフォーマル度数が上がり、相手に与える“キッチリ感”も上がってゆく。自分軸とはいえ、会議相手に相応しいフォーマル度数アイテムをリモートだからこそ選んでいただきたい。

まとめ

 男性のビジネススタイルには、歴史的にも長いルールが存在する。カジュアル化は止まらない。イギリス紳士の日常着であったモーニングは現在、もっともフォーマルな装いとなっている。だがカジュアル化が進んでも、基本的なルールはビジネスマンの素養のひとつとして身につけておきたい。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)