パチンコ図柄揃い「ALL1500発」「時短150回」至高の満足感! 語り継がれる「レジェンド」最新タイトルの秀逸スペックを紹介!!

 実力メーカー平和は、今年もパチンコ分野で大きな存在感を示している。

 先月同社からリリースされた『P JAWS3 SHARK PANIC~深淵~』は、継続率80%のRUSHと右打ち中の大当りが全て約1500発となる驚異的な破壊力を実現。最強クラスの出玉性能を称賛する声は多い。

 勢いに乗る平和は、人気シリーズ最新作『Pガールズ&パンツァー劇場版』の製品PVを公開。大当り確率1/199.8の1種2種混合タイプとして登場を予定している本機は、大量に追加された多種多様な演出によって、白熱した戦車バトルを楽しめる仕様だ。

 注目のスペック面に関しては、継続率「約83%」を誇るRUSH「戦車道」が出玉のカギを握る。パチスロでお馴染みのパンツァーランクも継承しており、ランクによって獲得出玉が変化する「カウントアップボーナス」を搭載。ドキドキ感を楽しめるゲーム性となっている。

 総合的に完成度の高さを感じる仕上がり。ユーザーの期待感も最高潮に達しているだろうが、平和は『Pガールズ&パンツァー劇場版』に続いて、更なる激アツ新台のリリースを発表した。

 元祖「歌パチ」として親しまれている不動の人気タイトル。その初代は神作として、今なお語り継がれている。そんな「レジェンド」シリーズ最新作が生まれ変わって登場だ。

『Pピンク・レディー』(アムテックス製)

■大当り確率:1/319.6→1/39.9
■賞球数:1&2&3&15
■確変率:60%
■TOTAL継続率:約76%
■チャンスタイム回数:150回
■ラウンド:10R or 2R
■カウント:10カウント
○○○

 昭和のアイドル『ピンク・レディー』を題材とした本機。過去作は大一商会から発売されており、元祖「歌パチ」シリーズとして人気を博していた。平和の関連メーカーにバトンタッチされた今作も、過去シリーズに負けぬ優れた仕上がりとなっている。

 大当り確率1/319.6のミドルタイプで王道の確変ループ仕様。時短引き戻しと確変大当りで連チャンを伸ばすシンプルなゲーム性だ。

 大当りの内訳はヘソ・電チュー共通で10R確変(1500発)が49%。2R確変(300発)が11%。10R通常(1500発)が40%となっている。確変率は60%と控えめだが、図柄揃いは全て1500発の払い出しを得られる点がポイントだ。

 また、本機は通常大当り後に突入する時短が一律「150回転」となっている。時短引き戻しを含めたTOTAL継続率は「約76%」と高い連チャン性能を実現。抜群の安定感と一撃性を秘めた仕上がりといえるだろう。

「最近の主流である遊タイムを搭載していませんが「時短150回」はそれを補って余りあるプラス材料でしょう。通常大当りを引いても『引き戻せるかも』と期待できるのは好評を得そうです。

何より魅力的なのは、図柄揃いが全て1500発という点でしょう。確変と引き戻しで繋ぐ1500発の連打によって大量出玉の獲得も夢ではありません。それだけではなく、多数の楽曲が収録とシリーズのファンも納得の仕上がり。再びピンク・レディー旋風が巻き起こるかもしれませんね」(パチンコ記者)

『Pピンク・レディー』は4月の導入を予定している。新たな「歌パチ」伝説の幕開けに期待したい。

【注目記事】

パチスロ『ゴッド凱旋』で奇跡の“大事故”…「GOD揃い」「レアsin」など豪腕を発揮!「兎味ペロリナ」の“万枚”を狙った悪魔的「神回」!!

パチンコ「約85%ループ」最短変動「0.5秒」の爆速RUSHを実現! 初当りから「1500発」獲得できる”救世主”降臨!!

甘デジが秘める「破壊力」の真相に迫る!人気シリーズ最新作が「突破型ST」の「爆発機」となって降臨!!

ダノンザキッド敗退で「ウチの馬にもチャンスあり」。JRAスプリングS(G2)で激走する穴馬とは

●ダノンザキッド敗退で皐月賞戦線は混迷

 先週行われた皐月賞トライアルの弥生賞(G2)は、昨年のJRA最優秀2歳牡馬であり、3戦無敗のダノンザキッドが3着に敗退。トライアルレースとはいえ、皐月賞(G1)に向けて暗雲が立ち込める結果となった。敗因は一つや二つではないだろうが、一つだけわかったことがある。

「今年の皐月賞はダノンザキッドで絶対とは言い切れない」

 という事実だ。ではどの馬が皐月賞の有力候補なのか。それは現時点で誰も断言できないだろう。共同通信杯(G3)を勝利したエフフォーリアやディープモンスターなど、確かにまだまだ強豪が控えているように思えるが、昨年のコントレイルやサリオスのようなインパクトはない。


●今週は2つのトライアルレース

 そんな難解な皐月賞路線でひとつの指針となるが、今週行われる2つのトライアルレース。つまりスプリングS(G2)と若葉Sだ。特にスプリングSは先日死去したネオユニヴァースやオルフェーヴル、そしてナリタブライアンなど、後の皐月賞馬を何頭も輩出している重要なレース。今年もランドオブリバティやヴィクティファルスなど、皐月賞を狙う実力馬が出走を予定している。

 しかし注目は、やはり皐月賞の権利取りを狙う格下馬の存在だろう。スプリングSで3着以内に好走すれば、賞金不足であっても皐月賞への出走権を得られる。3着でもいいのだから、関係者からすれば非常に美味しいレースだ。それだけに、このスプリングSは過去に何頭もの穴馬が激走してきた。2020年は6番人気ガロアクリーク、2019年も10番人気エメラルファイトと人気薄馬が連勝中。いずれもこのレースだけ激走し、以後未勝利という馬。それだけ、スプリングSに全力投球だったのだろう。


●今年も格下の穴馬が出走?

 おそらく今年も皐月賞の権利を狙う格下馬が何頭もいるはず。だが一般の競馬ファンでは、それらの格下馬からどの馬を買えばいいのか、なかなか見極めることができないだろう。するとある競馬関係者から、今年のスプリングSで買うべき人気薄の格下馬について話を聞くことができた。

 今回スプリングSに関する情報を教えてくれたのが、競馬予想のプロ集団として知られるホースメン会議だ。ホースメン会議は創業40年という歴史を持つ老舗のプロ集団。競馬予想の神様と呼ばれ、多くの競馬ファンに親しまれた大川慶次郎氏が設立した、競馬予想の総本山といった方がわかりやすいだろうか。今はその大川氏の弟子である能勢俊介氏や、大手スポーツ紙で長年トップに君臨していた米原聡氏、元JRAの騎手であった東信二氏といった本物の競馬関係者も数多く在籍しており、様々な情報が届けられるという。そのホースメン会議は、このスプリングSについてかなりの手応えを掴んでいる様子。今回その情報と自信の根拠について話を聞いた。

――ホースメン会議について、簡単に説明をお願いします。

担当者 ホースメン会議は、競馬の神様と呼ばれた大川慶次郎が設立し、今年で創業40年となりました。設立当初から一貫して、ファンのために勝てる情報を提供し、的中の喜びを知ってもらいたいという大川の思いを引き継いできました。

 スタッフは電話一本で後輩騎手から本音を入手可能な東信二、さらにリーディング上位の調教師と懇意で直接情報を聞ける米原聡などの大物が在籍。表に出ない関係者情報を入手し、大川の弟子であり、総監督を務める能勢俊介が率いる分析班が各レースを解析。競馬ファンの皆様に「確かな情報」と「本物の予想」が合致したレースの買い目を提供しています。


――スプリングSについて、かなりの自信があると聞きました。

担当者 弥生賞でのダノンザキッドの敗退、そしてこのレースで有力馬だったランドオブリバティは、ミルコ・デムーロ騎手が騎乗停止で乗り替わりなど、3歳クラシック戦線は混沌としています。その結果、多くの関係者が「ウチの馬にもチャンスあり!」と意気込んでおり、権利を狙った激しいレースになることは間違いありません。

 一方で、状態は上がっていないものの、もしかしたらという気持ちで出走する馬や、急遽予定を変更して出走する馬など、ここで上位に好走するには厳しい馬も何頭かいます。そういった馬に惑わされず、以前からこのレースを目標に、マスコミなど周囲に本音を見せずに仕上げてきた陣営が狙いです。そしてその馬は、現時点でほぼ我々だけが把握しているといっても過言ではありません。

 2月に行われたG1レースのフェブラリーSでは、9番人気と低評価だったエアスピネルを激走穴馬に指名し、2万4940円の万馬券的中となりました。このレースと比較しても、スプリングSはフェブラリーSと同等レベルの自信度とスタッフで一致しています。


――そのフェブラリーSについてもう少し細かく教えていただけますか?

担当者 インティやアルクトスなどの実績馬に不安要素が多々ある中で、関係者から届いた情報の内容、そして分析班の検証結果から浮上したのが、9番人気と低評価だったエアスピネルでした。芝で活躍した馬で、ダートではあと一歩の成績が続いていましたが、今回はすべての激走要素が揃っており、自信の穴馬指定だったのです。その状況と酷似しているスプリングSは、フェブラリーSと同レベルの自信度で提供できるといえます。

――他にも最近の中で会心の的中はありますか?

担当者 すべてのレースを答えるときりがないので、ひとつに絞るのであれば、3月7日の中山7Rでしょうか。このレースでは馬連8040円、3連単15万6820円という的中をお届けしました。ファンの皆様からは「50万円以上儲けた!」という声も数多くいただき、会心の的中だったといえるでしょう。

――スプリングSの情報提供はありますか?

担当者 新型コロナウイルスの感染防止対策として、首都圏では緊急事態宣言が延長されました。いまだファンは中山競馬場に入れません。そこでスプリングSの「3連単情報」を、競馬ファン拡大の特別企画として無料公開することになりました。我々も競馬関係者の立場であり、このコロナウイルスの状況で競馬人気の向上に協力できればと考えています。ぜひこの機会に、本物の情報とプロの予想が融合した競馬予想の完成形をご覧ください。


――ありがとうございます。ぜひ参考にしたいと思います。


 いまだコロナ禍の影響が続く中、競馬は売上が伸びるなどその勢いは右肩上がり。今週行われるスプリングSは、皐月賞に向けて重要なレースであるとともに、競馬ファンにとって馬券的に美味しいレースとなりそうだ。ぜひこの機会に創業40年の歴史を持つ、ホースメン会議の実力を知ってもらいたい。


CLICK→【無料公開!スプリングS「3連単勝負情報!」】創業40年ホースメン会議

※本稿はPR記事です。

湯浅陸幕長、不祥事の揉み消し常態化…処分受けた隊員が昇進、自衛隊の統合運用を妨害

 防衛省は12日、今月26日付で、陸上自衛隊トップの湯浅悟郎陸上幕僚長が退官し、後任に吉田圭秀陸上総隊司令官を昇格させる幹部人事を発表した。筆者はこれまで、湯浅氏が陸自のパワハラ体質を象徴する人物と報じてきたが、防衛省上層部はさすがに危機感を強めたのか、「湯浅色が一掃された人事」(防衛省幹部)となった。退官間近となった湯浅氏だが、筆者の取材の結果、数々の不祥事を隠蔽してきた事実が明らかとなった。次の吉田体制で少しでも陸自の体質が改善されるよう、湯浅氏が現役の間に公表する。

筆者に届いたA4の2枚の告発状

 湯浅氏については、これまで本サイトで、日米共同訓練に不参加を決め込んだことや、予算要求に個人的な意向をさしはさみ防衛省上層部を激怒させ更迭が決定した経緯について報じてきた。そんな折、今月初旬に筆者の下に封筒に入ったA4の2枚の告発状が届いた。以下、適宜引用する。

陸上自衛隊、特に陸上幕僚長の横暴は、もう限界で目に余ります。(中略)私たちは、特に陸幕長案件で惨めな思いを強いられましたので、その真実をお話ししますので早く世論の力でなんとかしてください」

 全体として、誤字がみられるなど文面の粗さから告発者の切迫した様子が伝わってくる。

 最初に「将官級の高級幹部自衛官の再就職違法問題の当事者たちの処遇について」と書かれた箇所をご紹介しよう。

違法行為で処分を受けた自衛官がむしろ出世

 この問題は筆者がすでに報じたように、防衛省が昨年7月、将官級の高級幹部自衛官の再就職を違法にあっせんしたとして、陸幕の募集・援護課の職員らを停職などの懲戒処分にした際、湯浅氏が処分を受けた職員に「君たちは悪くない」とかばったというもの。これについて告発者は以下のように内情を吐露する(表記や表現的な誤りはママ)。

「違法問題において、陸募長は全く反省していない。その理由は、処分を受けた当時の久保募集・援護課長は、あろうことか陸将補へ昇任し、現在東千歳で第1高射特科団長と勤務

 さらに、当時直接援護を担当していた矢野援護班長も、豊川で駐屯地司令の第10特科連駅長と勤務

 現在も、高級幹部自衛官の援護は、 証拠を残さないように指示し継続

 これを見ても、陸上自衛隊が全く反省せず、むしろご褒美ではないですか」

 この久保、矢野両氏はそれぞれ、久保勝裕陸将補、矢野秀樹1等陸佐のことで、この告発通り、久保氏は北海道東千歳で第1高射特科団長矢野氏は昨年8月25日付で第10特科連隊長兼豊川駐屯地司令と、処分などなかったかのように順風満帆に出世コースを歩んでいる。湯浅氏のえこひいきが反映されたのは明らかで、公正な人事制度の原則を犯すものであることはいうまでもない。処分を受けても陸幕長の覚えがよければ出世できるのだから、違法行為を反省する気持ちなど芽生えるはずがない。

 湯浅氏がこういう状態だから、この「現在も、高級幹部自衛官の援護は、証拠を残さないように指示し継続」していると考えざるを得ない。「陸上自衛隊が全く反省せず、むしろご褒美ではないですか」という指摘は正しい。

前任ポストで部下の不祥事を放置、公益通報揉み消しでかばう

 さらに、この告発状が届いたのと同時期、筆者のツイッターのDMを通して情報提供が相次いだ。いずれも湯浅氏の西部方面総監時代(2017年8月~2019年3月)の不祥事揉み消しについてのもので、こちらも紹介しよう。

 一つ目は朝日新聞が昨年3月15日に記事化した湯浅氏指揮下の西部方面情報隊の隊長の50代男性の1等陸佐が公用車を私的に利用したり、部下にパワハラをしていた事案だ。以下、朝日新聞の記事から引用する。

「1佐は2018年8月、部隊がある健軍駐屯地(熊本市東区)を一般市民に公開する夏祭りの後、副隊長ら幹部2人と隊長専属公用車の四輪駆動車に乗って駐屯地を出発。約1キロ離れたスナックに向かい、飲食したという。公用車は出退勤にも使われるが飲食は業務ではなかった。

 駐屯地を公開する行事の後は、命令に基づき、各部隊が不審物などが残されていないか探索し、指揮官が安全を確認することになっている。だが1佐は当時、探索作業が終わるのを見届けずに駐屯地を出ていた。

 1佐は18年3月に隊長として着任。慣例で認められていないにもかかわらず、公用車の運転手の隊員に指示して下着のパンツやシャツを職場で洗濯させていたという。職場の机の上で乾いた下着を畳む運転手の姿が複数人から目撃されており、問題視した別の隊員の指摘で18年11月ごろ行為は止まった。

 陸自では、部下が指揮官の迷彩服を洗ったり、ブーツを磨いたりすることはあるが、下着の洗濯は慣例で認められていない」

 情報提供者の陸自関係者は筆者の取材に対し、「湯浅氏が朝日新聞にかぎつけられた途端に『調査中』と嘘をつき、問題提起した隊員を異動させ揉み消しを図った。問題となった1等陸佐は目黒へ異動し手当をたんまりもらいながら勤務している」と答えた。

 朝日新聞の取材に陸自は「調査を行っている段階」と答えており、人事情報からこの1等陸佐は姫田良明氏で、確かに昨年3月16日付で西部方面情報隊長から目黒の陸上自衛隊教育訓練研究本部勤務になっていることがわかる。報道されるほどのハラスメント行為を行っておきながら、懲戒処分もされず2年間の任期を全うできていること自体が異常である。この内情についてある陸自幹部はこう解説する。

「記事中にあるように、公用車の私的利用とハラスメントは姫田氏が18年3月に西部方面情報隊長に就任して1年も経たないうち、全て湯浅氏の総監在任中に行われたものです。現場では姫田氏の問題行為は明らかになっており、湯浅氏は当然知っていましたが、何も対応しませんでした。現場から幾度となく公益通報が上がりましたが、湯浅氏が姫田氏をかばい、全てもみ消しました。朝日新聞の記者から取材を受けた際も、湯浅氏が『調査中』と嘘をつき、すでに公益通報を受けて調査を始めていた体を装ったのです。大手メディアをむげにもできず、湯浅氏側が20年3月15日の姫田氏の離任日に合わせて報道するよう取引を持ち掛けたとされています。結局、姫田氏は現在まで懲戒処分されておらず、目黒で熱りが冷めるのを待っている状況です」

 この姫田氏が就任した目黒の陸上自衛隊教育訓練研究本部が「ハラスメント人材の掃きだめ」というのは陸自内では有名で、処分を受けるなどミソがついた人物の受け皿になっている。この情報提供者が言う通り、東京都勤務のため地方勤務よりは給与水準が高く、「本来若手の教育をするために一番重要な部署の一つであるべきだが、全くそうなっておらず、むしろ若手が幻滅し除隊するきっかけになっている」(先の陸自幹部)という。

不祥事揉み消し、部下を不定期異動の後で退職させ闇に葬る

 湯浅氏の西部方面総監時代の不祥事揉み消しはこれにとどまらない。複数の関係者によると、湯浅氏は、部隊長であった1佐の男性隊員が、部下の女性隊員を官舎に呼んで性交に及んだことを知り、18年に不定期で異動させていた。その後、この男性隊員は退官し、この件は闇に葬られた。

 女性隊員が男性隊員と同意のもとで性交に及んだとしても、隊の規律に関わる立派な不祥事だが、同意がなかった場合は大変な問題である。明らかなパワハラ、セクハラ事案であり、強制性交罪の適用事案となる。

 直近公表された自衛隊内での同様の事案としては、陸自の男性幹部自衛官が道東の矢臼別演習場での訓練中に女性隊員に性的暴行を加えたとして先月25日付で懲戒免職処分となった例がある。この際、被害女性側が上司に相談することで処分につながったわけだが、この男性隊員のケースでは被害女性が泣き寝入りする形で揉み消しが行われた可能性が極めて高い。

 被害者の二次被害を最優先に考えなければならないため、性犯罪事案は取り扱いが難しいのは仕方ないにしても、事案の理由・背景もろくに公表せずに闇から闇へ葬り去ろうとする姿勢は、組織の透明性の上で非常に問題がある。

 筆者の力不足で、この男性隊員が懲戒免職されたという情報提供の裏付けがとれなかったが、もし懲戒免職だった場合、処分自体は公表されているはずだ。これについて書かれた記事が皆無なのを考えると、少なくとも再発防止に向けた広報活動が行われたとは考えにくい。

 なお、この事案は当時の陸自内で大きな話題になったにもかかわらず、その後どうなったのかについては知る人が極端に少ないというのが筆者の印象だ。「この時期は湯浅氏にとっては陸幕長への昇格がかかった人事上、非常に重要な時期であり、このヤバすぎる不祥事が表ざたにならないよう揉み消しに走った」(当時の状況を知る陸自幹部)という疑いが濃厚だ。

湯浅氏、統合運用を妨害 コロナ感染防ぐ気はゼロ

 さて、冒頭の告発状に話を戻そう。湯浅氏が統合幕僚本部の指示に従わず、妨害している様が以下のように書かれている。

「統幕では統合運用の視点から様々な議論をし進めていますが、統幕の施策が少しでも陸上自衛隊に触れるとダメなのです。途中で1佐クラスの陸上自衛官が陸幕長や陸幕副長の部屋に呼ばれ、とことん指導され、挙句の果てには人事を盾に話をしていきます。(筆者注・先月の2月)19日には指揮通信システム部長が呼び出されて、長時間怒鳴られ (これはパワハラです)、そして統幕長が承認した資料を削除させました。

 現在も陸上幕僚監部のみは、陸幕長の意向で政務が一丸となっているテレワーク等の施策は一切せず、毎日出動し別の部屋や今まで通りの勤務を行い、各部長も分かっているが全く指導はしないのが実態です」

 これについても、資料の削除までの部分は関係者への取材で概ね事実と確認している。テレワークについては、一切していないということはないものの、導入には全く積極的ではなく、「湯浅氏を含めて陸幕上層部にコロナ感染を避ける意識がゼロ」(陸自中堅幹部)という。

大甘な懲戒処分の公表基準を改めよ

 ここまで湯浅氏の不祥事揉み消しについて具体的に見てきたが、酷いの一言である。湯浅氏の個人的な資質によるところが大きいにせよ、防衛省全体の隠蔽体質が本質であるように思われる。

 まず、懲戒処分の公表基準自体が甘すぎる。防衛省の懲戒処分の公表基準は、「被処分者の所属等、事案の概要、処分年月日及び処分量定に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表する」としているが、これでは再発防止の効果は非常に低い。「本人が特定されることで必要以上の不利益を与えないようにする」(防衛省関係者)ことを前提としているが、今回、久保氏、矢野氏、姫田氏にそんな寛大な配慮をする必要性はないと考え、追跡調査を可能にする目的から実名を公開した。違法行為や重度のハラスメント行為をした個人が、自衛官であるというだけで責任が軽くなるなど論外だろう。

 岸信夫防衛相を筆頭に懲戒処分の公開基準見直しや、ハラスメントなど不祥事を撲滅するよう、徹底していただきたいものだ。

 次期陸幕長の吉田圭秀陸上総隊司令官は東京大学卒で、1990年に防大1期生が陸幕長になって以降、31年ぶりの防大出身者以外のトップとなる。吉田氏については「米軍との関係も深く、今後の中国対応を考えれば適任」(防衛省関係者)との声も聞こえるなど、国際派として活躍するとともに、これまでの防⼤出⾝者の間で培われた悪しき伝統を断ち切ってくれることに期待したい。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

処女作「日本が食われる」(彩図社)が好評発売中!

JRA福永祐一コントレイル大阪杯(G1)始動の前に下り坂!? 大金星ギベオンと最下位ブラヴァスの明暗、頼みの中京で連敗トンネル延長戦

 先週、中京競馬場で行われた金鯱賞(G2)は、最低人気ギベオンの勝利で大波乱に終わった。

 このレースが今年の始動戦だった三冠牝馬デアリングタクトが出走したこともあり、同馬が単勝1.4倍の断然人気。頭数は10頭と少ないながらも、ギベオンの単勝は9番人気ジナンボーの65.4倍を大きく上回る227.3倍という桁違いのオッズだった。

 初騎乗のギベオンで大金星をあげた西村淳也騎手は、デビュー4年目の若手。積極果敢な好騎乗も光ったが、待望の重賞初勝利を後押ししたのは、この日の中京の特殊な馬場だったのかもしれない。

 中京競馬場は、週末の雨の影響で当日の馬場状態は重の発表。不良だった土曜から多少の回復は見られたが、午前中から前残りが多発していたように、後ろから競馬をする馬にとっては不利な馬場コンディションだったといえる。

 勝って当然と考えられていたデアリングタクトが、よもやの敗戦を喫した原因もポジションが後ろになり過ぎたことも影響が大きそうだ。

 そして、おそらく特殊な馬場の被害を最も受けていたと考えられるのが、4番人気で最下位に敗れたブラヴァス(牡5、栗東・友道康夫厩舎)だろう。

「こんなにノメるとは、というぐらいノメっていた」

 レース後に、福永祐一騎手がそう振り返った通り、4コーナーを回って最後の直線に入ってからのブラヴァスは反応しなかった。

 道中は内目の3番手を追走し、すぐ前には先頭を走るギベオン。逃げたギベオンが結果的に勝利する展開なら、ブラヴァスの位置は限りなくベストに近かったはずだ。にもかかわらず、ブラヴァスは鞍上の叱咤激励に応えることなくズルズルと後退する一方。福永騎手には大誤算だったに違いない。

 その一方で、好調だった福永騎手の勢いに陰りが見え始めたのは気になる材料だ。今年の福永騎手は得意の中京開催が多かったこともあって絶好調。それ以外でもコンスタントに結果を残し、騎手リーディングでもC.ルメール騎手に続く2位をキープ。昨年ブレイクした3位の松山弘平騎手を押さえている。

 一見、何の問題もないように見えるが、これを重賞に限定するともう一つ波に乗れていないことが浮き彫りになる。

 1月に中京のシンザン記念(G3)、シルクロードS(G3)を制したものの、2月に入って1番人気ヴァンドギャルドで東京新聞杯(G3)を4着に敗れて以降は連敗続き。ブラヴァスで金鯱賞を敗れてついには9連敗を数えた。

 これまでの2勝が中京で挙げたもの。金鯱賞はシルクロードS以来となる中京での重賞。連敗ストップの期待も少なからずあったのではないか。

 来月4日には最愛のパートナー・コントレイルが、大阪杯(G1)で今年初戦を迎える。春の大一番で結果を残すためにも、負の連鎖を断ち切っておきたいところだ。

広告の手法で広告じゃないモノを作った件。でガチ対談!

次世代動画スターを目指す7組の「ガチTuber」たちが、動画制作を競い合うリアリティーショー「ガチTube」。WOWOWオンデマンドで現在絶賛配信中のこの番組は、電通のクリエーティブ・ディレクター中尾孝年氏が企画。同局の番組コンペで約800案の中から選ばれました。

広告クリエイターとしてテレビCM制作に長年携わってきた中尾氏のクリエイティブのエッセンスが、番組制作にどう盛り込まれているのか?「ガチTube」の演出も担当する中尾氏と、WOWOWのプロデューサー備後一治氏、後藤花鈴氏が番組制作を振り返ります。

ガチTube
中尾孝年氏:江崎グリコ「AKB48江口愛実」、「イモトのWiFi」、サントリー「レモン沢富美男」シリーズなど数々のヒットCMを手掛けてきた広告クリエイター。備後一治氏:バラエティーでは「電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~」の制作にも携わるプロデューサー。後藤花鈴氏:2018年からWOWOW制作部に所属。普段は 2.5次元ミュージカルや宝塚のレギュラー番組のプロデュースを担当。

挑戦者の「脱落」ではなく、「成長」にフォーカスした番組

中尾:番組は1月から配信が始まり、もう終盤戦やね。昨年8月に制作がスタートしてから、あっという間でした。

備後:早いですね。昨年私たちが実施した番組コンペには、「WOWOWの中に新しい風を吹かせる」という大きな狙いがありました。約800案の企画から3案を採用したのですが、その一つが中尾さんが企画した「ガチTube」でした。「リアリティーショーへの挑戦」という、これまでにないWOWOWの方向性を示せたと思います。

ガチTube

後藤:「動画クリエイターたちのサバイバル」という企画は、私たちでは思いつかなかった。「ガチTube」の企画書を読んで「こんなことができるんだ……!」と驚きました。

備後:驚きといえば、「動画制作」を戦いのテーマにすることで、「WOWOW」と「動画サイト」という、ともすれば対立的に捉えられがちな二つのメディアを融合するというアイデアも斬新でしたね。リアリティーショーの企画提案は多数あったけど、中尾さんの企画ほど新しいものはなかった。それで、ぜひトライしたいと思ったんです。

ガチTube

中尾:コンテンツとしてもリアリティーショーは人気があるから、ぜひ提案したいなと。でもドロドロの人間模様が繰り広げられるだけの番組にはしたくなくて……。単に勝ち負けを競うだけでなく、「教官Tuber」として人気動画クリエイターを登場させることで、挑戦者はもちろん視聴者も「トレンドである動画配信についてのスキルが身につけられる」という要素を盛り込みたかった。そんな思いをWOWOWさんがすごく大切にしてくれたのがうれしかったな。

後藤:教育&スキルアップ系のリアリティーショーって、今までなかった気がします。

中尾:これまでのリアリティーショーって、「脱落」に目が行きがちだったけど、「ガチTube」で提供したいのは、「成長」にフィーチャーした新しい番組の楽しみ方。脱落に対するネガティブな笑いを誘うのではなく、挑戦者の成長を楽しみながら、ポジティブな方向で笑ってもらえるようにこだわっています。

これは僕が長年携わってきたテレビCM制作の影響が大きい。広告って批判にさらされやすいジャンルなんだけど、批判されるのは制作者ではなくて、発注者であるクライアントです。だから制作者は責任重大。表現など、すごくデリカシーを持って作っています。広告制作ではネガティブなことで笑いをとるのはNGで、ポジティブな笑いが常に求められる。その感覚が番組作りにも生かせていると思います。

後藤:中尾さん自身がとにかく明るいですもんね。「ガチTube」は、他の制作現場以上に笑いがあるし、みんなをハッピーにしてくれます。

中尾:うれしいなあ!そう言ってもらえて。みんながハッピーな関係性じゃないと人をハッピーにするものなんて作れないと思っていますから!

番組を生配信して、日常の動画投稿と融合させる

備後:「ガチTube」は全12回の配信予定ですが、事前収録だけでなく生配信の回があるのも特徴です。私はこれまで音楽や情報番組の生配信はやってきましたが、バラエティー番組では初めて。最初、中尾さんから「生配信やりませんか?」と提案されたときは、正直面食らいました(笑)。

中尾:「動画サイトへの投稿」って日常的に行われているのに対し、「番組配信」は毎週土曜の夜9時~とか時間が決まっていますよね。この時間軸が違う二つのものをどうコラボするかが、僕の中では一番の課題だった。ガチTuberたちは動画を作ったら投稿していくんだけど、その流れの中に、生放送(WOWOWオンデマンドの場合、生配信と呼んでいるけど)の番組を入れ込みたかった。そうすることで、ガチTuberが投稿した動画と番組の相互視聴に拍車がかかると考えたんです。

それともう一つ、生配信を入れたかった理由は、WOWOWの番組制作力をアピールしたかったから。パソコンを中心に動画投稿している人と比べて、放送局で番組制作に携わっている人の力が最も発揮されるのは「生」だと僕は思っています。番組の制作現場で育った人たちは、生放送(生配信)の技術を長年磨いてきている。それを見せたかった。

「ガチTube」では、ステージごとに脱落者発表があるのですが、番組の特に肝となるこの回を生配信しています。自分の作品への評価をガチTuberたちがどう受け止めるのか?撮り直しの利かない「生」だからこそ、「挑戦者のガチさ」を効果的に伝えられたのではないかな。

後藤:確かに。視聴者の中には生配信を心待ちにしてくれる方もいて、SNSでも、「脱落したガチTuberの作品をもっと見たかった」というつぶやきがたくさんありました。生配信をリアルタイムで見ている人がこんなにいるというのが、WOWOWでは新鮮な感覚でした。

広告のノウハウが生きた、「ガチTuber」の選考

ガチTube

備後:番組制作では、挑戦者「ガチTuber」たちの選考も大きなポイントでしたね。オーディションをするに当たり、僕は一人一人キャラが立ったバラエティー豊かなメンバーを集めたかった。その方が、視聴者は自分の「推し」の頑張りを見ながら、番組に没入できそうだと思ったからです。

中尾:そうだね。一人一人キャッチーな人にしたいという思いは僕も一緒だった。そこで、エントリーシートを見ながら、「エリート」「お嬢さん」「崖っぷち芸人」「動画得意」「今時の若者代表」といったように応募者をカテゴリー分けしてみたり、備後さんと「この人だったらどういうキャッチコピーを番組でつけるかな?」と考えたりしたよね。最終的に「キャッチコピーをつけやすい人=個性がバシッと際立っている人」という視点で挑戦者を選ばせてもらいました。

「ガチTuber」たちのキャッチコピー
LA育ちの8頭身女子大生
世界一真面目なリーゼント
猪突猛進!イケメンライダー俳優
超アスリート女性お笑いコンビ
車上生活のドン底芸人コンビ
東大院卒の天才タレント
動画ネイティブ世代代表

備後:キャッチコピーをつけるというのは、広告に携わっている中尾さんならではですね。でもその発想が番組の原動力を生みました。MCのチョコプラ(チョコレートプラネット)さんが、ガチTuberの皆さんを料理するときの原点にもなっています。

後藤:中尾さんの狙い通り、キャッチコピーがあるから、視聴者の「推しへの愛」がぐっと高まった気がする。WOWOW社員の間でも、誰を推しているか話題になっていて、キャッチコピーをフックにコメントくれる人も多いんですよ。SNSでの反応もいいですし、業界の人たちからも「WOWOWって新しいことをやっているね」と評価いただいています。

番組作りはマラソンで、広告制作は100メートル走。広告で鍛えたダッシュ力を生かす

中尾:尺で考えると、番組はマラソンで、15秒のテレビCMは100メートル走というイメージ。でも、尺の長い番組の中にも、視聴者をぐっと盛り上げるためにダッシュする瞬間があると思う。その時に、普段広告制作で培ったアイデアや経験、感覚が生かせる。それに、僕の頭の中は、短い構成が積み重なって長い尺ができるという考えになっています。

備後: 30分という短い番組の中に、涙あり笑いありの物語を詰め込み、それぞれのキャラクターを魅力的に見せる番組は、これまでのWOWOWにはないものです。ガチTuberの皆さんもチョコプラさんもイキイキして、視聴者に愛されていると感じます。

中尾:ガチTuberの演出は、CM制作で素人を起用するケースに近いと感じます。素人の方はプロの俳優とは違い、「こうしてください」とお願いしてもその通りにならないことがある。その場合は、起用した方の魅力を見極め、どう引き出すかを考えます。それは“やらせ”ではなくて、あくまでもその方の“持ち味”が出るように導くということ。思い通りにいかないことをポジティブに受け止めて面白くする工夫が必要です。

いやー、それにしても「ガチTube」で番組制作を経験して、こんなこと言うたらあかんけど、もう広告の仕事をするの、嫌やわ(笑)。15秒とか短すぎる!普段のCM制作では15秒にまとめるために、いろいろなものをそぎ落としながら、超濃厚なエスプレッソを作る気持ちでやってます。でも、エスプレッソじゃない部分にも世の中の人が喜んでくれるものがいっぱいあるんだよね。

特に今の時代は、そぎ落とされる前の素材を、それぞれの視聴者がそれぞれの視点で見て、楽しむことを求めている。完成品を与えられるんじゃなくて、一緒に完成させるぐらいの感じで見せてよって。

だからこうやってちゃんと尺を与えてもらって行間も含めて発信できるのは、クリエイターとしてすごくうれしいし、普段の広告とは違う世の中の反応を引き出せるから、やっていてすごく楽しい!

さまざまなジャンルのクリエイターをもっと起用していきたい

備後:これからも「ガチTube」のように、新しいコンテンツをどんどん作っていかなければ。そのためには、いろいろなジャンルのクリエイターの力が必要だと感じています。すでに、新進気鋭の劇作家にMV(ミュージックビデオ)を作ってもらうなど新しい取り組みも始めていますが、個人的には、文章を書くことを職業にしている人をもっと映像に引き込んでいきたい。脚本家や放送作家だけでなく、例えば、専門書を書いている人を引っ張ってきて、著書をドラマ化してみたい。

後藤:備後さんと同じく、私も番組制作に携わったことがないクリエイター起用の必要性を感じています。今は、テレビや動画などメディアの垣根がどんどんなくなってきている時代。だからむしろメディア以外で活動している人を起用するのも面白いかもと思っています。クリエイターでなくても、異業種界の人にアドバイザーみたいに入ってもらってもいいかもしれません。 

中尾:今は、どれだけ細分化したニーズに番組が応えられるかが求められる時代。そのぶん深い知識とレベルの高さが求められるし、いろいろなジャンルのプロフェッショナルの力が発揮できると思う。

備後:僕たちが抱いているWOWOW像とは、「ニッチなものをキュレーションしている放送局」。ニッチな番組を見て「そうそう、こういうのが見たかったんだよね」と評価いただける。そんな特徴を今後さらに生かしていきたいです。

中尾:うん、そういうことを WOWOWが他のメディアに先駆けてどんどんやってほしいな。力をお貸しできることがあればもちろん協力しますよ!

【番組概要】
「ガチTube~次世代動画スター育成サバイバル~」
配信日:毎週土曜21時 (一部生配信) 全12回
MC:チョコレートプラネット

【視聴方法・出演者情報は番組公式サイトをご覧ください】
https://www.wowow.co.jp/extra/gachi_tube/
※WOWOWオンデマンドで過去エピソードも視聴可能

広告の手法で広告じゃないモノを作った件。でガチ対談!

次世代動画スターを目指す7組の「ガチTuber」たちが、動画制作を競い合うリアリティーショー「ガチTube」。WOWOWオンデマンドで現在絶賛配信中のこの番組は、電通のクリエーティブ・ディレクター中尾孝年氏が企画。同局の番組コンペで約800案の中から選ばれました。

広告クリエイターとしてテレビCM制作に長年携わってきた中尾氏のクリエイティブのエッセンスが、番組制作にどう盛り込まれているのか?「ガチTube」の演出も担当する中尾氏と、WOWOWのプロデューサー備後一治氏、後藤花鈴氏が番組制作を振り返ります。

ガチTube
中尾孝年氏:江崎グリコ「AKB48江口愛実」、「イモトのWiFi」、サントリー「レモン沢富美男」シリーズなど数々のヒットCMを手掛けてきた広告クリエイター。備後一治氏:バラエティーでは「電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~」の制作にも携わるプロデューサー。後藤花鈴氏:2018年からWOWOW制作部に所属。普段は 2.5次元ミュージカルや宝塚のレギュラー番組のプロデュースを担当。

挑戦者の「脱落」ではなく、「成長」にフォーカスした番組

中尾:番組は1月から配信が始まり、もう終盤戦やね。昨年8月に制作がスタートしてから、あっという間でした。

備後:早いですね。昨年私たちが実施した番組コンペには、「WOWOWの中に新しい風を吹かせる」という大きな狙いがありました。約800案の企画から3案を採用したのですが、その一つが中尾さんが企画した「ガチTube」でした。「リアリティーショーへの挑戦」という、これまでにないWOWOWの方向性を示せたと思います。

ガチTube

後藤:「動画クリエイターたちのサバイバル」という企画は、私たちでは思いつかなかった。「ガチTube」の企画書を読んで「こんなことができるんだ……!」と驚きました。

備後:驚きといえば、「動画制作」を戦いのテーマにすることで、「WOWOW」と「動画サイト」という、ともすれば対立的に捉えられがちな二つのメディアを融合するというアイデアも斬新でしたね。リアリティーショーの企画提案は多数あったけど、中尾さんの企画ほど新しいものはなかった。それで、ぜひトライしたいと思ったんです。

ガチTube

中尾:コンテンツとしてもリアリティーショーは人気があるから、ぜひ提案したいなと。でもドロドロの人間模様が繰り広げられるだけの番組にはしたくなくて……。単に勝ち負けを競うだけでなく、「教官Tuber」として人気動画クリエイターを登場させることで、挑戦者はもちろん視聴者も「トレンドである動画配信についてのスキルが身につけられる」という要素を盛り込みたかった。そんな思いをWOWOWさんがすごく大切にしてくれたのがうれしかったな。

後藤:教育&スキルアップ系のリアリティーショーって、今までなかった気がします。

中尾:これまでのリアリティーショーって、「脱落」に目が行きがちだったけど、「ガチTube」で提供したいのは、「成長」にフィーチャーした新しい番組の楽しみ方。脱落に対するネガティブな笑いを誘うのではなく、挑戦者の成長を楽しみながら、ポジティブな方向で笑ってもらえるようにこだわっています。

これは僕が長年携わってきたテレビCM制作の影響が大きい。広告って批判にさらされやすいジャンルなんだけど、批判されるのは制作者ではなくて、発注者であるクライアントです。だから制作者は責任重大。表現など、すごくデリカシーを持って作っています。広告制作ではネガティブなことで笑いをとるのはNGで、ポジティブな笑いが常に求められる。その感覚が番組作りにも生かせていると思います。

後藤:中尾さん自身がとにかく明るいですもんね。「ガチTube」は、他の制作現場以上に笑いがあるし、みんなをハッピーにしてくれます。

中尾:うれしいなあ!そう言ってもらえて。みんながハッピーな関係性じゃないと人をハッピーにするものなんて作れないと思っていますから!

番組を生配信して、日常の動画投稿と融合させる

備後:「ガチTube」は全12回の配信予定ですが、事前収録だけでなく生配信の回があるのも特徴です。私はこれまで音楽や情報番組の生配信はやってきましたが、バラエティー番組では初めて。最初、中尾さんから「生配信やりませんか?」と提案されたときは、正直面食らいました(笑)。

中尾:「動画サイトへの投稿」って日常的に行われているのに対し、「番組配信」は毎週土曜の夜9時~とか時間が決まっていますよね。この時間軸が違う二つのものをどうコラボするかが、僕の中では一番の課題だった。ガチTuberたちは動画を作ったら投稿していくんだけど、その流れの中に、生放送(WOWOWオンデマンドの場合、生配信と呼んでいるけど)の番組を入れ込みたかった。そうすることで、ガチTuberが投稿した動画と番組の相互視聴に拍車がかかると考えたんです。

それともう一つ、生配信を入れたかった理由は、WOWOWの番組制作力をアピールしたかったから。パソコンを中心に動画投稿している人と比べて、放送局で番組制作に携わっている人の力が最も発揮されるのは「生」だと僕は思っています。番組の制作現場で育った人たちは、生放送(生配信)の技術を長年磨いてきている。それを見せたかった。

「ガチTube」では、ステージごとに脱落者発表があるのですが、番組の特に肝となるこの回を生配信しています。自分の作品への評価をガチTuberたちがどう受け止めるのか?撮り直しの利かない「生」だからこそ、「挑戦者のガチさ」を効果的に伝えられたのではないかな。

後藤:確かに。視聴者の中には生配信を心待ちにしてくれる方もいて、SNSでも、「脱落したガチTuberの作品をもっと見たかった」というつぶやきがたくさんありました。生配信をリアルタイムで見ている人がこんなにいるというのが、WOWOWでは新鮮な感覚でした。

広告のノウハウが生きた、「ガチTuber」の選考

ガチTube

備後:番組制作では、挑戦者「ガチTuber」たちの選考も大きなポイントでしたね。オーディションをするに当たり、僕は一人一人キャラが立ったバラエティー豊かなメンバーを集めたかった。その方が、視聴者は自分の「推し」の頑張りを見ながら、番組に没入できそうだと思ったからです。

中尾:そうだね。一人一人キャッチーな人にしたいという思いは僕も一緒だった。そこで、エントリーシートを見ながら、「エリート」「お嬢さん」「崖っぷち芸人」「動画得意」「今時の若者代表」といったように応募者をカテゴリー分けしてみたり、備後さんと「この人だったらどういうキャッチコピーを番組でつけるかな?」と考えたりしたよね。最終的に「キャッチコピーをつけやすい人=個性がバシッと際立っている人」という視点で挑戦者を選ばせてもらいました。

「ガチTuber」たちのキャッチコピー
LA育ちの8頭身女子大生
世界一真面目なリーゼント
猪突猛進!イケメンライダー俳優
超アスリート女性お笑いコンビ
車上生活のドン底芸人コンビ
東大院卒の天才タレント
動画ネイティブ世代代表

備後:キャッチコピーをつけるというのは、広告に携わっている中尾さんならではですね。でもその発想が番組の原動力を生みました。MCのチョコプラ(チョコレートプラネット)さんが、ガチTuberの皆さんを料理するときの原点にもなっています。

後藤:中尾さんの狙い通り、キャッチコピーがあるから、視聴者の「推しへの愛」がぐっと高まった気がする。WOWOW社員の間でも、誰を推しているか話題になっていて、キャッチコピーをフックにコメントくれる人も多いんですよ。SNSでの反応もいいですし、業界の人たちからも「WOWOWって新しいことをやっているね」と評価いただいています。

番組作りはマラソンで、広告制作は100メートル走。広告で鍛えたダッシュ力を生かす

中尾:尺で考えると、番組はマラソンで、15秒のテレビCMは100メートル走というイメージ。でも、尺の長い番組の中にも、視聴者をぐっと盛り上げるためにダッシュする瞬間があると思う。その時に、普段広告制作で培ったアイデアや経験、感覚が生かせる。それに、僕の頭の中は、短い構成が積み重なって長い尺ができるという考えになっています。

備後: 30分という短い番組の中に、涙あり笑いありの物語を詰め込み、それぞれのキャラクターを魅力的に見せる番組は、これまでのWOWOWにはないものです。ガチTuberの皆さんもチョコプラさんもイキイキして、視聴者に愛されていると感じます。

中尾:ガチTuberの演出は、CM制作で素人を起用するケースに近いと感じます。素人の方はプロの俳優とは違い、「こうしてください」とお願いしてもその通りにならないことがある。その場合は、起用した方の魅力を見極め、どう引き出すかを考えます。それは“やらせ”ではなくて、あくまでもその方の“持ち味”が出るように導くということ。思い通りにいかないことをポジティブに受け止めて面白くする工夫が必要です。

いやー、それにしても「ガチTube」で番組制作を経験して、こんなこと言うたらあかんけど、もう広告の仕事をするの、嫌やわ(笑)。15秒とか短すぎる!普段のCM制作では15秒にまとめるために、いろいろなものをそぎ落としながら、超濃厚なエスプレッソを作る気持ちでやってます。でも、エスプレッソじゃない部分にも世の中の人が喜んでくれるものがいっぱいあるんだよね。

特に今の時代は、そぎ落とされる前の素材を、それぞれの視聴者がそれぞれの視点で見て、楽しむことを求めている。完成品を与えられるんじゃなくて、一緒に完成させるぐらいの感じで見せてよって。

だからこうやってちゃんと尺を与えてもらって行間も含めて発信できるのは、クリエイターとしてすごくうれしいし、普段の広告とは違う世の中の反応を引き出せるから、やっていてすごく楽しい!

さまざまなジャンルのクリエイターをもっと起用していきたい

備後:これからも「ガチTube」のように、新しいコンテンツをどんどん作っていかなければ。そのためには、いろいろなジャンルのクリエイターの力が必要だと感じています。すでに、新進気鋭の劇作家にMV(ミュージックビデオ)を作ってもらうなど新しい取り組みも始めていますが、個人的には、文章を書くことを職業にしている人をもっと映像に引き込んでいきたい。脚本家や放送作家だけでなく、例えば、専門書を書いている人を引っ張ってきて、著書をドラマ化してみたい。

後藤:備後さんと同じく、私も番組制作に携わったことがないクリエイター起用の必要性を感じています。今は、テレビや動画などメディアの垣根がどんどんなくなってきている時代。だからむしろメディア以外で活動している人を起用するのも面白いかもと思っています。クリエイターでなくても、異業種界の人にアドバイザーみたいに入ってもらってもいいかもしれません。 

中尾:今は、どれだけ細分化したニーズに番組が応えられるかが求められる時代。そのぶん深い知識とレベルの高さが求められるし、いろいろなジャンルのプロフェッショナルの力が発揮できると思う。

備後:僕たちが抱いているWOWOW像とは、「ニッチなものをキュレーションしている放送局」。ニッチな番組を見て「そうそう、こういうのが見たかったんだよね」と評価いただける。そんな特徴を今後さらに生かしていきたいです。

中尾:うん、そういうことを WOWOWが他のメディアに先駆けてどんどんやってほしいな。力をお貸しできることがあればもちろん協力しますよ!

【番組概要】
「ガチTube~次世代動画スター育成サバイバル~」
配信日:毎週土曜21時 (一部生配信) 全12回
MC:チョコレートプラネット

【視聴方法・出演者情報は番組公式サイトをご覧ください】
https://www.wowow.co.jp/extra/gachi_tube/
※WOWOWオンデマンドで過去エピソードも視聴可能

予想がつくような旅には、行きたくない!?

皆さんは、旅が好きですか?

私は歳を重ねるほどに好きになっていく気がします。

若い頃の旅の動機や行き先を思い返してみると、修学旅行や遠足、家族旅行、部活での山行(高校時代、登山部に所属していました)など、どこか既定路線の域を出ないことも多かったように思います。

「行きたいところへ、感じるままに行ってよし!」

を実行に移したのは大学生だった20歳の頃。

たまたま本屋で見つけた「原付で北海道一周ツーリングをする本」に感化された私は“放浪の旅”に強烈に憧れ、研究室の仲間を誘って野宿しながらの原付バイクツーリングの旅に出たのでした。

原付放浪の旅で得られた、鮮烈過ぎる体験

 

ルートは京都御所を発着点に、紀伊半島を3日で1周するプラン。

こう書くと用意周到だったかのように思われそうですが、実際にはとにかく朝から晩まで走れるだけ走り、腹が減ったら飯を食い、日が暮れたらたどり着いた最寄りの道の駅で野宿する、という場当たり感全開のツーリングでした。

ただ、一つだけ仲間と決めたルールがありました。

それは、「メンバーが気になったところで、自由に止まろう」というもの。

気になる食べ物、気になる景色、気になる変な看板、そして生きている証ともいえる“トイレ願望”まで。とにかくバイクを止めたくなる瞬間というものは本人の意思とは関係なくやってきます。

電車や飛行機、高速道路を走る車の旅ならば、“カジュアルに道草をキメる”ことは困難なわけですが、「原付」という微妙な速度の乗り物に乗っていると、「あ!ちょっとここで!」なんて具合にいつでも止まることができるが故に、おのずと“停車のセンス”も磨かれることになります。

当時はインターネット黎明期。事前に何かを検索してみても、そもそもウェブサイトの数が少なくほぼ情報は出てこない状態でした。

自然に「本州最南端」「名湯」「とれたてマグロ」など路肩から眼中に飛び込んでくる魅惑的なキーワードや、一瞬で暮れてしまう夕陽に思わずバイクを止め、自由な旅を満喫するわれわれ。

ツーリング旅

気ままな停車を楽しみながら進むと、今度は「恋人岬」という地名が出てくるではありませんか(和歌山県すさみ町というところにあります)。

恋人岬

「なんてロマンチックな場所なんだ」

恋人岬の駐車場にバイクを停め、たそがれる男3人。しかしそんなエモい気分もつかの間、すぐ隣に力強く掲出されたこんな看板に度肝を抜かれます。

『ここへ小便したらあかん』

 

「雰囲気あるんかないんか、どっちやねん!今すぐ誰かに見せたい〜」

時は1990年代後半。インターネットも原始時代なら、スマホも当然ながらまだありませんから、こんなにおいしい瞬間にも、取れる行動は限られます。

美しい景色、おいしいご飯、シュールで変なものに出合うたび、シャッターを切りたい衝動を受け止めてくれるのは、撮れる枚数に限りのあるフィルム一体型カメラ(インスタントカメラとも呼びました)「写ルンです」のみ。それはもう厳選して一枚一枚記録しました。

そうこうしているうちに、インスタントカメラでの記録すらも許されない鮮烈過ぎる体験が我々を襲います。

おそらく誰もが社会科の教科書から教わったであろう、日本最強の降水量観測地点といわれる「尾鷲(オワセ)」(三重県から奈良県へと抜ける県道)を通過したときのことです。

山中の急勾配をうなりを上げて進む原付御一行(どんなメーカーのバイクに乗っていても、とんでもなくスピードが落ちます)。

われわれが低速で通過するのを狙いすまし、世界中のバケツを一斉にひっくり返したかのごとくドシャ降りとなる大自然。視界どころか、自らまたがっているバイクの姿すらもかすんで見えません。

その瞬間、不快感を通り越し、個々人の全身を包み込んだ清々しさにも似た感動の正体。それは「教科書に書いてあったあの場所に今、俺たちはいる。その降水量、自分史上日本一!」という「そのとき、自分たちにだけ感じ取れたリアリティー」だったのです。

トラベルとトラブルの語源は同じ……なのか!?

 

さて、長過ぎる前フリをこのへんで終え、本題に入ります。

連載第2回のテーマは、「旅」です。

前回紹介した「不便益を含む未知なる益」(Undiscovered Benefit/略してUDB)の観点から、「人はなぜ旅に出たくなるのか?」「心に残る旅ってどんなもの?」について考えてみましょう。

【仮説】
人は旅に、「予想がつかないこと」をどこかで求めている

(プラスの出来事もマイナスの出来事も、たいていの旅の途上で起きるものの、過ぎ去ってみるとなぜかプラスの出来事の記憶だけが残っている)

 

そんな筆者個人の実感を、ここでは出発点としてみます(皆さんにも似たような感覚はあるでしょうか)。

調査データがあるわけではないので、あくまでも筆者個人のN=1の話でしかないのですが(実証できるかどうかはUDB共同研究スクールの活動に委ねましょう)、UDBを使って「どうしたらこのベネフィットを獲得できるのか?」について考えてみると、

「あえて、そこに行く理由が不完全な状態をキープする(行ってみるまで何があるのか完全には分かからない)」

「調べきることができない状態に身を置く」

といった要件が浮かびます。

これだけを言われると、「不安でしかないわ、そんなもん」という意見も当然あるでしょう。あらかじめ情報を調べてから足を運ぶ方が安心・安全であることには違いないと思います。

ただ、

「ググれば全貌が出てきたり(=ネタバレ)、ガイドブックに載っている以外のものが一切見つからない旅」(あえて極端にそうしてみます)だとしたら、そんな旅にあなたは限られた時間とお金を使いたいでしょうか?

(※ここでは、初めて訪れる場所、という条件つきとします。何度も行ってその価値を理解している場合は、上記の状態にはならないと考えるからです)

この問いを前回紹介した「不便益」を提唱する京都大学の川上浩司特定教授にぶつけたところ、

「トラベルとトラブルの語源は同じだと信じている」

という、真実なのかフェイクニュースなのか定かでない(しかしどこか真実っぽい)言葉が返ってきました。この答えには、実は重要な示唆が含まれています。

川上先生自身、スマホはおろかガラケーすらもお持ちでないため、知らない場所に行くときは常に事前の情報取得量を抑え、“プチ旅行感覚”を楽しんでおられます。「待ち合わせや商談のときはどうするんですか?」というFAQに対しては、「何かが起きることを想定して、早めに着くように向かう」と即答してしまう徹底ぶり。

このような考え方で行動するだけでも、何気ないあなたの日常的な移動が「ドラマチックな小旅行になる」可能性がグッと上がると思いませんか(自習だと思って、皆さんもこの後のご移動の際、スマホの電源を切っていただければと思います)。

北杜市のナイトアートイベントに見る「予想がつかない何か」

 

ここで、

人は旅に「予想がつかない何かを、求めている」

という仮説を実体化させた事例を一つ、紹介します。

2020年12月5日に招待者100名を招いて山梨県北杜市で一夜限り行われたナイトアートイベント「HOKUTO ART PROGRAM ed.0(edition zero)」です。

日照時間日本一といわれ、南アルプスと八ヶ岳に囲まれた風光明媚なロケーション。澄んだ天然水の産地であり、それを生かしたウイスキーや日本酒、地産の野菜とジビエなどを使った食。ラグジュアリーな旅はもちろん、ファミリーでのアウトドアまで非常に観光アセットの多いこの地域は、実は同一自治体に美術館・博物館が多いと言われる有数の場所でもあります。

2020年は結果的に海外からのインバウンド観光が停滞した1年となりましたが、このイベントは「夜間・早朝時間帯の有効活用による観光需要創出」というカテゴリーでの戦略的な観光価値創造プロジェクトとして、全国公募を経て採択され、コロナ対策を十分に行う形で限定的に実現。

従来であれば夕方で閉館するはずの美術館をこの日だけ夜間までオープンし、音楽とアート、地産の食とお酒を組み合わせた一夜限りのイベントが開催されました。

目玉となったのは、建築家の石上純也さんによる「ソラトツチニキエル」という作品。「建築が一万年の時間を瞬時に駆け抜け朽ち果てる。」というコンセプトのもと、氷でつくられた巨大な建造物が炎で5時間かけて溶ける作品で、崩落する氷の前でCharaさんが一度限りのライブを行うという、それ単体でも普通には見ることができないものでした。

さらに、この演目を含む、そうそうたるアーティストの展示やライブの数々が、屋外庭園を有する清春芸術村の極寒の夜空の下、おびただしい星空と炎(火の粉)が舞う空間で一つになる、前代未聞のプロジェクトだったのです。

石上さんをはじめ、この日出演・展示されたアーティストのおのおのが、北杜市の大自然から得たインスピレーションをもとに作品を発表しました。

こちらの映像をご覧ください。

重要なのは、このイベントは一夜限り(もっといえば、この日の夕方の5時間限り)で、ネット配信などの代替鑑賞手段が一切なかったことです。

つまり、体験できたのはそこまで足を運んだ“人”だけでした。

では、「そこに身を置いた“人”だけが知覚できたもの」とは何か?

上記の映像からも伝わらない、その答えは二つありました。

  • この日、北杜市の18時台の気温が氷点下だったこと
  • 極寒の会場内には暖かい場所が用意されており、当地の銘酒と清春芸術村が誇るシェフによるBBQが供されたこと

当イベントにおける「予想がつかなかった何か」とは、

「そこにいかないと目の当たりにできないライブ演出」

「自らの身体の存在を意識させる体験」(この場合は寒さと空腹。その後の暖かさと満腹)

だったといえるでしょう。

最後に、HOKUTO ART PROGRAMのコンセプトをご紹介します。

「VUCAな時代、確かなものを心に刻む体験はその価値を増しています。ネット検索からは決して導くことのできない‘今だけ、ここだけ、私だけ’という実感は人間の根源的な喜びの原点であると考えます」

「いつでもどこでも誰でも」の時代だからこそ、あえて逆を強く意識してみる。

そのとき、その場にしかないオリジナルな価値とは、その土地に積み上げられてきた時間や人々の思いそのものでもあります。

これからの観光産業に必要とされるのは、そこに積み上がった代替不可能な価値を部外者の視点も交えながら再発見し、磨いていくこと。「不便益を含む未知なる益」(Undiscovered Benefit)を意識することで、その印象は何倍にも増幅されます。そのような試みが、2021年も日本各地から現れてくることを想像しています。

スマイルズ、電通とともに2021年4月に開校する「不便益を含む未知なる益」(Undiscovered benefit)共同研究コミュニティ研究生募集は、応募締め切りまで残すところあと5日となりました。検討されている方の参考になるかどうかは正しく予想がつかない、スマイルズ取締役CCOの野崎さんと松井が語る「本コミュニティが生まれたわけ」がまもなく公開となります。こちらの応募サイトから「学びかけのRADIO」をチェックしてみてください。

https://smkn.smiles.co.jp

最終回となる第3回は、京都大学の川上特定教授と、スマイルズ取締役CCOの野崎亙さんによる対談です。お楽しみに!

ついにマツダが初のEVを発売…”EVらしさ”は皆無、「MX-30」は今後のマツダを牽引

“内燃機関のマツダ“が開発した初のEV(電気自動車)モデルは、質実剛健で慎ましい。

 ついにマツダもEVの販売を開始した。「MX-30EVモデル」と、意外にさっぱりしたネーミングで誕生したそれは、マツダでさえEVを投入せざるを得ない”社会的要請”を物語っている。

 自動車業界はEV真っ盛りである。”脱炭素化”を錦の御旗に、世界はこぞってカーボンニュートラルに向けてひた走る。地球の汚染を抑制させ、サステナブルな環境社会を構築する。その壮大にして欠かせない要件のために、世界は心をひとつにしつつある。その急先鋒がクルマであり、EV化なのだ。

「ついにマツダも」「マツダでさえ」と前述したのは、マツダは内燃機関の熟成に熱心であり、可能性を追い求めてきたからである。低燃費であり環境性能に優れた「スカイアクティブエンジン」を開発。ガソリン燃料だけでなく軽油を利用したディーゼルエンジンにも力を注ぐ。そんな「マツダでさえ」であり、「ついにマツダも」なのである。

 といっても、おざなりのEVではない。ベースは評価の高い「MX-30」であり、内燃機関モデルと電気モーター搭載のEVを共にラインナップするという形態だ。噂によれば、近い将来「ロータリーエンジンを搭載するレンジエクステンダー」をMX-30で成立させるというから、MX-30は今後のマツダのイメージを牽引するモデルになる。

 搭載する駆動用バッテリーは35.5kWhのリチウムイオンであり、電気モーターは最高出力107kW、最大トルク270Nmを発生する。WLTCモードでの航続可能距離は256km。ロングドライブも許容するものの、都会型MX-30らしく近距離移動が主体になる。

 それでも「エレクトリックGベクタリング・コントロール・プラス」と呼ばれる操縦安定性制御が組み込まれているなど、走りにも強いこだわりを示す。コーナリング初期のハンドリングが軽快なのは、この機構が機能しているからであり、それでいて安定感がある。ハンドルの切り込みに対して出力を絞り、前輪荷重を強調させる。コーナー出口では出力を高めてトラクションを得る。そういった一連のGベクタリング・コントロールが、より反応の鋭い電気モーターを得て、いっそう強調されたような印象だ。少々強調しすぎる感覚も残ったが、EVならではの特性として受け入れるつもりだ。

 それでいて不思議なのは、そこまで真摯に開発を進めていながら、内外装にはEVらしさが皆無なことだ。待望のEVであるにもかかわらず、EVの素振りがどこにも見当たらない。エンブレムすらガソリンエンジンのそれと共通する。普通充電用と急速充電用のポートがあることと、リアクォーターウインドーに貼られている小さなステッカーだけが、エクステリアでEVを知る手がかりという慎ましさである。

 内装においても同様で、ガソリンモデルとの違いはメーター内の表示だけだ。内燃機関を持たないからエンジン回転計がなく、燃料計がバッテリー残量計に置き換えられているにすぎない。EVであることを誇示するプレートも加飾も、一切取り付けられていない。

 これが「マイナスの美学」を貫くマツダデザイナーの心意気なのか、あるいはEVとて日常のモデルであることを語るのかは不明だが、さらりとしてEVを発売するマツダらしくて好感が持てる。

 さて、”あのマツダ”がついにデビューさせたMX-30がどう羽ばたくのか、興味は尽きない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

あの有名CM監督が東北新社新社長として国会に 菅首相長男を「優秀な若者」とヨイショする一方、総務省の便宜供与を示唆する爆弾証言

 総務省の接待問題で、本日、東北新社の中島信也社長とNTTの澤田純社長が参院予算委員会に参考人招致された。  これまで再三、野党からは高級接待をおこなってきた菅義偉首相の長男・菅正剛氏や、東北新社の子会社「東北新社メディアサービス」の木田由紀夫・前社長の国会招致が要求され...

稲川会と住吉会の緊張が高まる…2年前の「いわくつき事件」にも新展開が

 ここに来て、稲川会住吉会との緊迫度が増している。両者の衝突によって犠牲になったであろうと思しき死傷者も複数出ているのだ。

 既報の通り、3月4日未明には両団体と六代目山口組の関連組織などが群馬県伊勢崎市内で衝突し、発砲事件にまで発展、六代目山口組三代目弘道会系組員に複数の怪我人が出たが【参考記事「群馬でも銃声響く!」】、そこから遡ること3カ月、同県内では、何者かに暴行され死亡した稲川会系組員の遺体が病院前に遺棄されるという事件が起きていた。さらにその前日には、神奈川県横浜市内の病院でも、血だらけの住吉会系組員の遺体が放置されるという事件も発生していたのだ。

 そうした中で、今日の両団体間の亀裂を深めた大きな要因といわれている、19年1月に神奈川県川崎市で起きた発砲事件について進展があった。

 この事件は、稲川会の有力組織である三代目山川一家の最高幹部が自宅前で襲撃され、一緒に車から降りてきた最高幹部の妻まで被弾するというショッキングなものだった。被害者は一命をとりとめたものの重傷を負ったのだ。

 「当時、この模様を撮影した生々しい動画がSNSなどで拡散されて、かなりの話題となっていた。警察では早くから犯人を割り出していたのではないかといわれていたのだが、3月4日なってようやく複数の容疑者を逮捕した。ただ、業界関係者の間で当初から犯人として噂されていたのは別の人物A氏だった。今回逮捕された容疑者とA氏は付き合いがあったと見られているが、A氏は逮捕されていない。なぜなら、事件後しばらく経ってから、自宅で亡くなっていたからだ」(事情通)

 今回逮捕されたのは、絆會系組長とその実弟など5人。当局は早くから、絆會系組長を容疑者として割り出し、別件で逮捕していた。この組長はその後実刑判決を受けて服役していたが、満期出所を控えた数日前に、川崎での発砲事件の容疑者として逮捕されたのだ。しかも、組長の実弟は、19年10月に何者かに銃撃されたことがあり、当局も発砲事件の報復の可能性を視野に入れているという。さらに、今回の容疑者の中には、住吉会系組長も含まれていたのだ。このように、2年前に起きた事件に進展があり、容疑者が逮捕されたことも、今日の稲川会と住吉会との緊迫した関係をより一層、複雑にさせることになったのかもしれない。

「そうした中の3月3日、稲川会の上層部が、友好関係にある六代目山口組の上層部サイドを尋ねていたことがわかった。住吉会との問題を相談しにいったのかはわからないが、その翌日の4日には、群馬で各組織の衝突が起こり、六代目山口組三代目弘道会系組長らが稲川会系組員に発砲されるという事件が起きている。それを重くみたからこそ、稲川会サイドが現在、SNSなどで拡散されている通達文を出したのではないかと見ている」(同)

 その通達文とは、稲川会総本部から出されたと思われる「総本部御告知」と題された文書のことだ。その内容を要約すれば、今後、六代目山口組とのトラブルは理由如何に問わず認めないとするもので、特に拳銃などを所持したり使用したりした場合は厳重なる処分を科すというものだ。

「稲川会としては、傘下組員が、親睦団体である六代目山口組サイドに発砲するという群馬の事件も踏まえて、このようなことが再発しないよう誠意を表したと見られています。一方で、容疑者逮捕された川崎の発砲事件では、住吉会サイドから発砲されたということが明らかになった」(ヤクザ事情通に詳しいジャーナリスト)

 こうした状況が、稲川会と住吉会との和平に向けた話し合いを難航させ、さらなる緊張を生んでいるようだ。だからこそ、今回の稲川会の通達には、六代目山口組との友好関係を再確認したいという思いがあるのではないか。

 今、日本の三大組織の関係性が大きく揺れている。

(文=山口組問題特別取材班)