カテゴリー: 暮らしの情報センター
コロナ感染拡大を防ぐ「いのち守るマナー新聞」を新聞6紙に掲載
新しい形のマナー向上プロジェクトを進めるTokyo Good Manners Project (以下TGMP) は4月22日、朝日新聞、産経新聞、東京新聞、日本経済新聞、毎日新聞、読売新聞の6紙と連携し、新型コロナウイルスの感染拡大の防止を目的としたメッセージ広告「いのち守るマナー新聞」を、各紙朝刊に掲載した。
全国に緊急事態宣言が発令され、感染拡大を防止する行動が求められる中、TGMPは感染拡大を防ぐため、一人一人が誰かを思いやり、誰かの命を守るために必要な行動を6紙すべて異なるクリエイティブ表現で呼び掛けた。

例年、全国的に外出が多くなる大型連休の約1週間前というタイミングで、重症化のリスクが高いといわれる高齢者に届きやすい新聞を通してメッセージを伝えている。内容は、「自分の小さなアクションが、自分だけではなく周りの人たちの命も救うことにつながっている」と気付くきっかけとなり、すぐアクションに移せるものを選んでいる。
また、TGMPのTwitter公式アカウントでは、「#今日のグッド」を付けて、感染防止のために日常で役に立つグッドマナーを投稿し、いのちを守るためのマナーの向上促進を目指している。
Twitter公式アカウント 「#今日のグッド」
アカウント名:TokyoGoodMannersProject
ユーザー名:@TGMP2020
URL:https://twitter.com/TGMP2020
「いのち守るマナー新聞」一覧
① こんなスペースでもいのちのためにできる運動があります。
② 手はいまいのちを握っている。
③ ドラキュラが救ってくれるいのちがある。
④ 気づかぬクセがいのちを脅かすかも。
⑤ その距離が目の前のいのちを救っている。
⑥ いのちのために会うのはやめて鯉のぼりを送ろう。
*鯉のぼり用紙のダウンロードはこちら:
https://goodmanners.tokyo/news/20200422/
Tokyo Good Manners Projectとは
2016年9月にスタートした、新しいかたちのマナー向上プロジェクト。一人一人の思いやりで街をもっと心地よい場所にすることで、街全体の魅力を上げていくことを目的に、“TOKYO GOOD“というコンセプトを掲げ、さまざまなアクションを行っている。
URL: https://goodmanners.tokyo/
安倍首相「延期1年以内」ゴリ押しのせいで東京五輪が中止に! すでにIOCと森喜朗会長は「安倍首相が来夏といったから」と弁明
小泉今日子がアベノマスクを「汚らしさを具現化」と真っ向批判! 他にも外務省の情報操作24億円や五輪問題で安倍政権批判を連発
学生がAIで予測した2020年のヒットタレントは? ~企業と大学にメリットがある産学連携のカタチ~
近年、AIやデータサイエンス領域において、企業と大学との産学連携の重要性が高まっています。各大学でこの領域での産学連携の枠組みが整備されつつあり、電通データ・テクノロジーセンター AIソリューション部でも、昨年から取り組みを進めています。本連載では、各大学との産学連携の中で感じた、日本のAI活用の課題、産学連携のメリットや、電通ならではの視点について同部の福田宏幸がご紹介します。
日本のAI活用、何が課題?
今、グローバルでは、主要な国際学会でGoogleが大学などの研究機関を抜いて投稿論文数で1位になるなど、企業においても盛んに最先端の研究が行われています。一方で、大学教授が積極的に企業の研究に参加することも珍しくなく、企業と大学の研究の境目がシームレスになっています。その一方で、日本ではまだ、企業と大学の協業は十分であるとはいえません。
実は、AI活用のカギを握るのは、アルゴリズムそのものだけではなく、課題の発見とデータです。ですが、大学には、スパコンなどのコンピューターや高度な分析スキルを持つ研究者のリソースはあるものの、社会の「リアル」な課題やデータに触れる機会が少ないそうです。
一方で、企業では課題やデータが日々生まれているにもかかわらず、それを十分に活用できているとはいえません。そういった意味で、課題やデータが企業から大学に提供されることは、企業と大学、双方にとってメリットのあることだと考えられます。
日本では、まだまだAIの活用が進んでいないといわれますが、電通はソリューションカンパニーとしてさまざまな「リアル」な課題やデータに向き合っているので、こういった課題やデータを研究機関側に提供することで、海外のようにAIの実社会での活用を促進したいと考え、取り組みを始めました。
東北大学との産学連携
さて、第1回は、AIで著名な研究者がたくさん所属している東北大情報科学研究科との取り組みです。今回は、「学際情報科学論」という大学院生向けの全8回の講義の中で、学生の皆さんにAIによる「デジタル広告の効果予測」と「2020年にヒットするタレントの予測」に挑戦してもらいました。この二つの課題は、電通でもここ数年間取り組んでいる課題です。学生は修士の学生約10人が4チームに分かれて参加してくれました。
もう少し詳しく説明すると、デジタル広告の効果予測は、いわゆるインターネットのバナー広告がどれぐらいクリックされるかを予測する課題です。過去の配信データを元に、バナーのクリエイティブの特徴や配信の設定から機械学習という手法を用いて予測します。
また、タレントのヒット予測の方は、SNSのデータと、テレビの放送内容のテキストデータを用いて、2020年にヒットするタレントの予測をしてもらいました(講義は2019年11月~2020年1月に行われています)。
最初の講義では、電通側から電通の説明と課題の紹介があり、質疑応答がありました。その後は、リモートワークで週1回、予測モデル構築に取り組んでいただき、電通のメンバーはオンラインの掲示板で適宜やりとりしていきました(情報系の学生だけあって、こういうコミュニケーションのスタイルは全く問題なかったですね)。そして、最終回に各チームのプレゼンテーションがありました。
プレゼンテーションは、それぞれが力作。電通としての発見は、ここ数年取り組んできた課題でありながら、いろんな新しい解決の糸口が見つかったことです。分析やモデリングのスキルが高いのは当然ですが、学生のフレッシュな視点もあり、これまで試してもいなかったような手法や切り口がいくつも見つかりました。
電通との産学連携どうだった?
一方、大学や学生の立場から、今回の産学連携はどうだったでしょう?先生と学生の皆さんにインタビューしましたので、ご紹介します。
企業の現場で用いられているデータを用い、企業が知りたい事柄をテーマとして解析を行う授業が新鮮だった。テーマの奇抜さやデータの新規性という要素はデータ科学研究の成果を論文として公開する際に重要であり、企業との連携はそのようなものを生み出しやすいと感じた。(情報科学研究科 准教授 山田和範先生 専門:データ科学)
解析対象と大まかな方向性が決まっているものの、学生に考えさせる余地があり、難易度的に良いテーマ選定であるように感じた。アカデミアで研究を志す人も、企業で働く人にとっても今後AIの活用は必要不可欠なので、もっと授業を充実させる必要がある。(情報科学研究科 助教 Samy Baladram先生 専門:データ科学)
東北大情報科学研究科の大学院生からも、今回の取り組みについて意見を伺いました。
適当に集めたデータでは目的が定められず、結果モチベーションが低下して肝心の分析を行うところまでいかないことがある。企業によって「分析の意義」と「妥当性が保証されているデータ」がセットで提供されることは、最大のメリット。(修士2年 後藤悠希さん 専門:通信工学)
就職を考えている学生にとって、企業で扱っているデータやトピックに触れることができるのがメリット。実際のデータは想像以上に非構造的で欠損値があり、前処理に多くの時間がかかることを知った。(修士2年 矢後志明さん 専門:機械学習)
非常に自由度が高く、課題設定や解析手法の選択という面で自主的に考えさせられることが多かった。ビジネス面での利用を意識させられる内容になり、実際に就業した際の課題解決へのアプローチを意識しやすいと思った。(修士2年 荒井奎甫さん 専門:認知情報学)
AIが予測した2020年のヒットタレントは?
いかがでしたでしょう?まだまだ取り組みは始まったばかりですが、今後もこのような産学連携を続けていきたいと考えています。さて、最後に、気になるAIが予測した2020年のヒットタレントは…。


でした。上白石萌音さんは、先日TBSドラマ「恋はつづくよどこまでも」(3月17日最終話)が話題になったばかり。ハナコは、キングオブコント2018の勝者ですが、露出も着実に増えているようで、今後のヒットも期待できそうです。
グラフは、学生が作成したもので、横軸がテレビ出演回数、縦軸がSNS出現回数の週次集計データです。薄い黄色から黒に向かって時間が経過しています。これらの変動パターンをAIが学習して予測しています。
次回以降も、大学との取り組みをご紹介させていただく予定です。引き続きお付き合いいただければ幸いです。
ビジネスにおけるアートの効果をどうやって検証するか?
初めまして、美術回路(※1)メンバーの大西浩志と申します。本業は東京理科大経営学部の教員で、オンラインデータを用いたマーケティング解析を専門としております。
本連載「アート・イン・ビジネス最前線」は、「アートはビジネスに効くのか?」というテーマを取り扱っています。第1回では、われわれの著書『アート・イン・ビジネス —ビジネスに効くアートの力』(有斐閣)で提唱している、ビジネスにおいてアートが効果をもたらす仕組みを「アートパワー」と「アート効果」というキーワードを軸に解説しました。また第2回では、もう一つのキーワードである「アートの内在化」について、今のような時代状況だからこそビジネスパーソンが目指すべきビジネスの実践方法を、事例を交えながら紹介しました。
第3回となる今回は、ビジネスにおけるアートの効果はどのように検証することができるのか、これまでの学術研究を概観しつつ、われわれが実施した定量調査による効果検証の取り組みをご紹介します。
(※1)美術回路:アートパワーを取り入れたビジネス創造を支援するアートユニットです。専用サイト
ビジネスにおけるアート効果、これまでの実証研究
いきなり少し学術的になりますが、ビジネスにおけるアートの活用に関する、これまでの実証研究を整理すると、効果面から以下の三つのカテゴリーに大別することができます(※2)。
1 Art infusion(ブランディング効果)
2 Art-based management(リレーションシップ/組織活性化効果)
3 Artistic intervention(イノベーション効果)
一つ目の「Art infusion」(ブランディング効果)は、アートの挿入効果と呼ばれる学術研究領域で、企業が広告・コミュニケーションなどにおいて、アート作品やアーティストを活用することでコミュニケーション効果が高まることを研究しています。つまり、アートが挿入されることで、商品などへのイメージ構築を助け、付加価値を高めるといったブランディング効果が期待できます。
例えば、高級ファッションブランドがアーティストとコラボレーションしたり、アートアワードなどで育成支援したりするなど。しかし面白いことに、これまでの実証研究によると、せっけんやミネラルウオーターのような高級ではない実用的な商品の方が、アートを商品パッケージなどに利用することによる効果が高いことが示されています(※3)。
二つ目の「Art-based management」(リレーションシップ/組織活性化効果)は、アートを取り入れることによって組織内のコミュニケーションを円滑にしたり、組織を活性化したりする効果を研究する領域です。これらの実証研究では、アーティストが従業員に対してワークショップを行ったり、従業員たちが共同してアート体験をしたりすることによって、組織間のコンフリクトが解消され一体感が高まったり、仕事へのモチベーションが高まったりするなどの効果が確認されています。
ただし、小規模な組織には短期的に効果があるのですが、大きな組織への効果は限定的なことが多く、効果を高めるためには長期的な組織文化の構築が必要とされています(※4)。
三つ目は、アーティストがビジネスに入り込んで深く関与していくことを対象とした「Artistic intervention」(イノベーション効果)で、アートの介入効果とも呼ばれます。近年、欧米を中心に数多くの実践事例による研究が行われています。言葉そのまま、アーティストが企業のプロジェクトなどに参加・介入することにより、従業員のインスピレーションを刺激し、クリエイティビティーを高めるといった効果があります。
2018年に、Journal of Business Researchという学術雑誌において『The arts as sources of value creation for business: Theory, research, and practice』(ビジネス価値創造の源泉としてのアート:理論、調査と実践)と題する特集号が出版され、約20本の研究論文が掲載されています(※5)。それらの研究で共通して指摘されているポイントは、アート介入が成功するためには、アーティスト側とビジネス側とでは考え方も異なり、その共通言語もわずかであるため、両者の考えを仲介しコミュニケーションを取り持つ媒介者(ファシリテーター)の存在がカギだという点です。
しかしながら、以上で紹介した学術研究は、ケーススタディーや少人数の対象者へのヒアリング調査を基にした分析がほとんどで、多数の量的データを使ってアートの効果を確認しているものは限定的です。
(※2)筆者による独自の分類です。既存研究の分類では、Art-based managementとArtistic Interventionを同一カテゴリーとしているものも見られます。
(※3)Lee, Chen & Wang (2015) "The role of visual art in enhancing perceived prestige of luxury brands," Marketing Letters, 26、Huettl & Gierl (2012) "Visual art in advertising The effects of utilitarian vs. hedonic product positioning and price information," Marketing Letters, 23、Hagtvedt & Patrick (2008) "Art infusion: the influence of visual art on the perception and Evaluation of Consumer Products," Journal of Marketing Research, 45(3)などをご参照ください。
(※4)Berthoin Antal (2012) ”Artistic Intervention Residencies and Their Intermediaries: A Comparative Analysis,” Organizational Aesthetics, 1(1)、Sutherland (2012) "Arts-based methods in leadership development: Affording aesthetic workspaces, reflexivity and memories with momentum,” Management Learning, 44(1)、Taylor and Ladkin (2009) “Understanding Arts-Based Methods in Managerial Development,” Academy of Management Learning & Education, 8(1)などをご参照ください。
(※5)Journal of Business Research (2018)『The arts as sources of value creation for business: Theory, research, and practice』
この特集の掲載論文については、八重樫文,後藤智,重本祐樹,安藤拓生(2019)「ビジネスにおけるアートの活用に関する研究動向」立命館経営学、第58巻、第4号で詳細にレビューされています。
定量調査でアートの効果を検証する
そこでわれわれは、これまでの既存研究を参考にしつつ、定量調査によって数多くのデータから「アート効果」を検証する取り組みを行いました。書籍でも事例として取り上げた、アートに関わる取り組み(アート・イン・ビジネス)を実施している寺田倉庫、マネックスグループ、スマイルズの3社に協力いただき、2019年3月から4月にかけて従業員の方々への定量調査を実施しました。
一方で、その他の一般企業の従業員に対しても同じ調査を実施し、これらの結果を比較してビジネスにおけるアートの効果を分析しました。

一番分かりやすく、そしてわれわれも驚いた結果として、ブランディング、イノベーション、組織活性化などのビジネスにおけるアート効果すべてで、アート・イン・ビジネスを実施している3社の従業員の方が、一般企業の従業員よりも合成評価指標の平均スコアで上回っていました。
特に、本書で新たに追加した四つ目のアート効果「ヴィジョン構想」について、例えば、寺田倉庫がアートに関連した新事業を次々に生み出していったことや、スマイルズの従業員やステークホルダーが「自分ごと」として新規ビジネスを企画・実施していく企業文化の構築につながった効果などを検証することができました。
これらの企業は、長期にわたってアートに関連する取り組みを行ってきており、連載第2回で紹介したように従業員の方々の「アートの内在化」が進み、それらがビジネスにおける成果として従業員たちも知覚し評価できるまで効果を挙げていると考えられます。
書籍では、より詳細な定量調査データの分析として、連載第1回で解説した「アートパワー」が、どのように「アート効果」と結びついているのか関連性の分析を行ったり、また、アート・イン・ビジネスが組織文化や職場の働きやすさにどの程度貢献をしているのかについても分析を行っています。
とはいえ、「アートはビジネスに効くのか?」という大きな問いに対して、今回の定量調査による検証は、まだその第一歩にすぎません。今後も、ビジネスにおけるアートの効果検証にご関心のある皆さまに協力を頂きつつ、これから先も定量調査を基軸に取り組みを行い、検証を深めていきたいと考えています。

「無事でいること」が何より重要な今、企業ができることを世界から学ぶ
世界人口の半分に当たる39億人が外出制限を経験した2020年4月。日本でも「ソーシャルディスタンス」や「テレワーク」という言葉が定着し、報道やSNSの投稿に、海外動向を目にすることが増えました。
しかしニュースだけでは、実際の海外での日常やビジネスがどう動いているのかまでは見えません。ここでは、世界300拠点に展開する電通イージスネットワークの各地レポートをとりまとめ、2~3月の外出制限がもたらしたものを各地域で比較し、有事に企業はどういう情報発信をすべきかを考えていきます。
未曽有の外出制限がもたらしたものは?アジアが世界の羅針盤になった2~3月
電通イージスネットワークでは既に2月中旬、危機に対応するブランド事例やビジネスへの影響のレポートが、台湾・中国・シンガポールから発信されていました。新型コロナウイルスの流行によるビジネスへの影響は、2002年にアジアで起こったSARS流行時との類似があり、先読みして手を打てると考えられたからです。
実際にSARS後のアジアでは、観光業と製造業への打撃が大きく、一方では、医療関連・Eコマース関連・テレワーク関連・家庭内の娯楽関連の産業にはプラスの影響があり、その後の中国の発展を支えるEコマースやオンラインサービスが飛躍的に伸長するきっかけになりました。生活様式の変化でビジネスチャンスが生まれることが分かっていたのです。
(注:4月現在では、短期・アジア限定で収束したSARSより、長期・数回にわたって世界に蔓延したスペイン風邪に学び、長期に備える動きが活発になっています)
中国では今年2月の外出制限で、「O2O(Online to Offline)」「オンライン教育プラットフォーム」「家庭内での健康志向」ニーズが高まり、孤立を回避するための「即時・正確な情報把握」と「社会とのつながり・共感が得られるコミュニティー活動」も盛んになりました。これらの事象は、翌月の3月には世界中で確認され、欧米のレポートにも2月期のアジア各地域の示唆が引用され、類似の事象がデータで確認されていきました。
台湾ではSARSの教訓を生かした「防疫大作戦」、韓国ではMERS(中東呼吸器症候群)の教訓を生かした「三つのポリシー(1:情報公開、2:透明性、3:民主的プロセス)」が、新型コロナウイルスの感染確認の初期段階から実行されました。どちらも市民の混乱を防ぐ目的で、政府内の複数組織の見解をまとめ、自治体・民間企業と連携して正しい情報を素早く届ける仕組みです。韓国・台湾ともに、政府による毎日の記者会見、公式情報の積極的なソーシャルメディア発信、自治体と連携した感染経路の公開、市民からの問い合わせ先や検査の際にどこに行けばよいかの案内が徹底して行われました。
世界に学ぶといっても、もちろん地域によって諸条件も違うため、最終的な舵取りは、状況を見ながら、各地域で判断するしかありません。しかし他地域の情報や過去からの学びは、正確な地図にはならなくても、方向を知るコンパスにはなります。
他地域と同じように推移するかどうか、もし異なるならその変数は何かなど、正解のない時は「比較」することで行動の手がかりを得られます。特に今回の危機は、アジアと世界とで空間的・時間的なラグがあり、長期戦で第2波・第3波に備える必要もあるため、引き続きアジアは世界の先行事例として注目されそうです。
混乱期のソーシャルムーブメントはどのように起こるのか?
イタリアで全土にわたる外出制限の際に、自宅の窓辺で歌う住民たちの動画やニュースが流れました。心の痛む、非常に深刻な状況が続きますが、日本で「宅飲み」が流行したように、深刻な中でも明るく、ワインを片手にがんばろうと団結していたというイメージを、この窓辺で歌う光景から受けたかもしれません。
しかし実は、外出制限の初期のイタリアではスーパーの入店制限があり、小麦粉・パスタ・お米・油・調味料などの購入が優先され、不要不急の品である、ワイン・ビール・スナックは後回しでした。そして当時のブランド広告も「今は我慢の時」というまじめな内容が目立ちました。
その後、外出禁止令よりも人々の心を防疫に動かしたのは、#iorestoacasa宣言(私はうちにいます)。インフルエンサーが「おじいちゃん、おばあちゃんのために、会いに行かないで」と訴えました。このハッシュタグが出るようになってからレシピ検索が急上昇し、DIYへの関心が高まるなど、ようやく積極的に家にいる、という覚悟が決まり、3月下旬からは、クリック&コレクト(ネット注文商品を受け取り専用のピックアップポイントで消費者自身が受け取ること)の利用者が2倍以上に伸びました。そして広告でも積極的に家で楽しむ工夫や、サプライチェーンに関わる従業員に感謝するなど、外出制限以外の表現が増えていきました。このように、イタリアの外出制限時には、危機に慣れて、気持ちや行動がついていくまでに段階があったのです。
一方で中国に目を向けると、初期の外出制限に入ってすぐ、「加油」(がんばろう)というポジティブメッセージが早い段階から広告でもSNSでも受容されていました。台湾では「防疫大作戦」の政府広告に、医者や政治家だけでなく、俳優やインフルエンサーが出演し、自治体の公式アカウントから人気ドラマやアイドルをモチーフにした投稿など、深刻一辺倒ではなく、興味を持って情報を見てもらうためのユーモアにもあふれていました。
韓国では、武漢からチャーター機で戻った人々の隔離・受け入れ先となった牙山(アサン)市で、「市民が反対している」という報道に対して、それは全員ではないと伝えるため、自発的に「#Weareasan」(私たちはアサン市民です)のハッシュタグをつけ、隔離されている人々に温かいメッセージを届けました。
右:牙山市民からのメッセージを伝えるハッシュタグ(韓国)
イタリアと中国・台湾・韓国におけるソーシャルムーブメントの立ち上がりの速さの違いは、感染者数や、もともとの国民性によるものとは思えません。人々が緊急事態に慣れて「何をすればいいか」分かっている段階と、心の準備ができていない不安な段階では、情報に対する許容度が違うのでしょう。中国・台湾・韓国ではSARSやMERSの記憶も新しく、政府の対応も迅速で、人々が自分たちのやるべきことが分かっていたのです。
日本を見ても、3月中旬までは何が正解か分からず、全体として情報に対する不信感がありましたが、いよいよ緊急事態宣言となったときにはある程度、状況にも情報にも慣れてきていました。そして3月末頃、ユーチューバー、スポーツ選手、芸能人などからも次々に「家にいよう」というメッセージが発信されていきます。そこでようやく政府や専門家が発信する警告に従うだけでなく、「家にいることが、一人一人ができる社会貢献なのだ」という共通認識が生まれ、企業からの「みんなで乗り越えよう」「医療関係者の人に感謝しよう」という前向きなメッセージが受け止められるようになっていきます。
次の連休も、三密を避けるだけでなく、人と距離をとることを徹底することが医療関係者の方への最大の貢献となります。人々が警告の情報に飽きないよう、表現を変えて「やるべきこと」のメッセージを出し続けることが、情報発信に一層求められる局面です。
実は、東日本大震災時にも買いだめがあり、情報の正確さを問いただすパニックがあり、情報が一巡して落ち着くと、みんなで復興支援しようというムーブメントが起こりました。しかしながら、いずれ「一丸となって戦おう」となると分かっていても、いち早くメッセージを打てばいいわけではありません。先に見たイタリア同様に、実際に自分ごととして受け入れられるまでには大量の多様な情報に接する「咀嚼の時間」が必要でした。
他アジアの例に学べることは、雰囲気を盛り上げる企業からのメッセージを出す前に、「早期・短期間に大量の公式情報を出し、何をすれば何の影響があるかを示し、パニックを防ぐ」ことの大切さです。政府からの深刻なメッセージだけでなく、オピニオンリーダーからも批判ではなく、前向きに一人一人が何をすべきかを発信しつづけた後で、やっと人々に企業からの前向きなメッセージが受け止められるようになります。パニック時の段階別の情報発信については、海外に学ぶことはまだありそうです。
ブランドパーパス(存在目的)の有無は、有事の時の初動と長期ファンベースの獲得に直結する
この有事の時に初動の速かったブランドは他と何が違ったのでしょうか。もちろんオンラインサービス系の社会貢献活動やメッセージは活発でした。しかしそれ以外で好調なカテゴリ、例えばマスクや消毒による肌荒れでスキンケアが売れるからといって、製品の効能を知らせるメッセージを望むでしょうか。ユニリーバが複数の国・複数の衛生商品ブランドでメッセージをする際に「他のブランドを使ってもよいので、手をよく洗いましょう」という発信が注目されたように、個別の製品特長を伝えるよりも企業姿勢が心に響くタイミングでした。
また、直接的に外出制限でニーズが生まれていない領域でも「この機にできることはないか?」という積極姿勢を見せたブランドがいくつかあります。例えば、日本ではローソンが「街のほっとステーション」というスローガンが古くから存在したように、地域社会貢献という姿勢が現場まで徹底されていました。そのため、3月2日からの小中高の全国一斉休校に即時対応して、学童へのおにぎり無償配布を告知する、給食の牛乳を販売できなくなった酪農家の支援のため、カフェオレなどミルク製品を休校期間に半額にするなどの行動が速かったのです。
「どんなときでも、ブランドが大事にしていることは変わらない」という姿勢があるから、「今こそ、自分たちができることからやろう」という行動喚起を促すメッセージや姿勢に共感や説得力が生まれます。ブランドパーパスに基づいて、下記のポイントを満たす行動がとれるかは、危機の時ほど明らかになります。
- その事業・ブランドは、どう社会に貢献するために存在しているのか
- その事業・ブランドの歴史に紐づいた独自のもので、生活者の今の期待に応えているか
- タッチポイントに関わるすべての人々を奮い立たせるものになっているか
- その事業・ブランドは、顧客や従業員が社会貢献の活動ができるよう支援をしているか
危機によって根付いた新しい生活様式は、進化の方向を大きく変えるより、むしろ今の進化を加速していきます。デジタルとリアルを融合した顧客体験の刷新、ECやオウンドメディアなど自社体制の変革、そして今回取り上げたブランドパーパスの浸透。これらは人々の社会的行動を促し、“ME”ではなく、“WE”の力を加速させていくでしょう。
アベノマスクに“虫や髪の毛、カビ”を厚労省が事前に把握しながら隠蔽! マスクの費用や納入業者にも辻褄があわない謎が…
変死者のコロナ感染判明、NHKで葬儀業者が「PCR検査を受けていない遺体」の存在を証言…安倍首相の「死者数は正確」はやはり嘘
作品づくりは、脳みその大掃除。
2月16~29日、東京・日本橋のgalerie H(ガルリアッシュ)で電通クリエイターによるアート展「ONE CREATIVE」Vol.2を開催。

普段、広告をつくっているクリエイターが、クライアントの課題解決という形ではなく、内面から湧き出るものをカタチにしたらどうだろう、というこの企画。 シリーズ第5回では、第1CRプランニング局のくぼたえみアートディレクターに話を聞きました。

モヤモヤを拾い集めて、具現化する。
ギャラリーでまず目に入るのは、見覚えのある、彫刻的な白いニットのドレス。こちらは以前、当サイトでご紹介した「ZOETROPE DRESS」ですが、現物が見られるとは・・・!

そして右手の方に、今回新作の「羊」たちが。どちらも真っ白な中にいろいろなテクスチャーがあって、統一された世界観を感じます。今回は、新作「SHEEP‘S’ ー自我に目覚めた羊たちー」について聞いてみたいと思います。

──作品のテーマを教えてください。
英語で羊は、複数形も「SHEEP」。Sはつきません。個々ではなく、群れの塊として認識されているからです。
もこもこした毛に包まれて平和そうに歩く、一見同じように見える羊たち。でも本当は、各々いろんな想いを秘めているのではないでしょうか。
もし羊たちが自我に目覚めて、それぞれ自己主張をし始めたら。そんな空想を作品にしました。
──どの羊も独特な形をしていますね!この作品でどんなことを伝えたいですか。
私たちは普段、いろいろなカテゴリーに振り分けられ、認識されます。
それは性別や国籍、仕事場といったものから、「〇〇系」というような基準が曖昧なものまでさまざまです。
忙しい中、できるだけ多くの情報を処理するために、傾向を把握して判断していくことは賢い時間の節約かもしれません。
一方で、そうすることで見逃しているものもたくさんあると思います。
この作品では、羊たちが抱える内面を外面に表し、差別化しています。
いっしょくたに認識していた物事も、一つ一つに違う背景があることを意識したら、見える景色が変わるのではと思うのです。

──不思議なカタチの羊たち。色がない分、形に意識を集中できますね。それぞれのテクスチャーによって、違った感情を持っているように見えます。どんな時にこの作品を作ろうと思いついたのですか。
個人作品を作るときは、日々感じた疑問や違和感を引っ張り出してきて、まず観察します。だいたいそれらはまとまっていなくて、答えがなかったりするので、そのモヤモヤの正体を見つけ出すような気持ちで組み立てていきます。
羊の作品であれば、「人はなぜ服で自己表現をするのだろう」とか、「先入観ってつい持っちゃうな」「羊の複数形はなぜSがつかないのかな」とか、そういう材料が頭の中で散らばっていたので、一つ一つ拾い上げて、固めていきました。

散らかった脳内を、定期的に整理整頓。
──普段はアートディレクターとして活躍されていますが、広告制作とアーティストとしての活動は、くぼたさんの中でどのように共存していますか。
私にとってお仕事と個人作品の制作はシームレスに繋がっています。
お仕事の場合はクライアントさんの悩みを、個人作品は自分の中に生まれた疑問を、分かりやすくて美しいものに昇華させたい。どちらも、まだ具現化できていないモヤモヤを紐解いて、創作物として世の中に存在させるという点で、同じ行為なのかなと思います。

──広告と個人作品、両方を作っていることでよかったことはありますか。
私にとって個人作品を作ることは、脳みその大掃除です。
定期的に散らかった状態を整理整頓し、考えの輪郭をはっきりとさせることで、クライアントワークにもクリアな頭で臨めます。
また、お仕事では、いろんな業種のクライアントさんとお話しすることで、予想外の刺激をたくさんいただけるので、お仕事と作品の両方を制作していることの相乗効果はとても高いと思っています。

──今後はどのような作品を作っていきたいですか?
今回、この展示のお話をいただき、作りおろしたのが羊の作品でした。3カ月間、仕事以外の時間は仙人のようにこもってひたすら制作していました。
私はそういった目標がある方が得意だと感じます。これからも、お仕事でも作品でも「これやってみてよ!」と声をかけていただける人材でありたいです。
──ありがとうございました。
鑑賞を終えて
ぼんやりとしたものにピントを合わせていくように、日々感じる疑問や違和感を拾い集めて生み出すくぼたさんの作品は、まるで普段は見えないはずの、他の人の頭の中をのぞき見するようでした。
この「ONE CREATIVE」の企画では、電通に所属しながら作家活動を行う5人のクリエーティブディレクター・アートディレクターをご紹介しました。いかがでしたか。電通には、まだまだいろいろな才能があります。今後また、少しずつご紹介できたらと思っています。ご期待ください。