カテゴリー: ビジネスジャーナル
ダメなリーダーほど「先に話す」。リーダーが黙ると何が起きる? – 1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則
OpenAI「17兆円調達」の裏側…2027年“8.5兆円赤字”試算が示すAI覇権の代償
●この記事のポイント
OpenAIがアマゾンとソフトバンクグループから総額1100億ドル(約17兆円)の追加投資を受ける見通しとなり、AI業界の勢力図が大きく動いている。一方で、同社のフリーキャッシュフローは2027年に最大570億ドルの赤字に達する可能性が指摘されている。背景には、次世代AIモデル開発に必要なGPU、電力、データセンターなどの巨額インフラ投資がある。マイクロソフトやエヌビディアとの関係変化、2026年IPO観測を含め、生成AIビジネスが「ソフトウェア産業」から「インフラ産業」へ変質しつつある実態を読み解く。
AI業界の覇権争いが新たな局面に入った。米OpenAIが、アマゾンとソフトバンクグループから総額1100億ドル(約17兆円)に及ぶ追加投資を受ける見通しとなり、市場では同社の企業価値が8000億ドル(約130兆円)規模に達するとの観測が広がっている。
同時に、2026年内の新規株式公開(IPO)の可能性も取り沙汰されている。AI企業としては史上最大級となる上場案件になる可能性が高く、ウォール街でも注目度は極めて高い。
しかし、その華々しいニュースの裏側で、米国の機関投資家やアナリストの間ではある「不都合な数字」が議論されている。
それが、2027年に最大570億ドル(約8.5兆円)のフリーキャッシュフロー赤字に達する可能性という試算だ。つまり、17兆円という巨額資金ですら、わずか数年で消費される可能性があるというのである。
なぜAI企業は、これほどまでに資金を燃やすのか。その理由は、生成AIの進化が突き当たる「物理の壁」にある。
●目次
2027年「570億ドル赤字」試算の衝撃
OpenAIのビジネスモデルは、従来のソフトウェア企業とは根本的に異なる。SaaS企業の場合、最大のコストは開発人件費であり、一度ソフトウェアが完成すれば、追加ユーザーは比較的低コストで獲得できる。しかし、生成AIは事情がまったく違う。
モデルを進化させるたびに、計算能力・電力・インフラが指数関数的に増えるからだ。AI投資の大半は、次の三つに集中している。
(1)GPUコスト
次世代モデル(GPT-6以降)では、NVIDIAのH100やB200などの高性能GPUを数万〜数十万台単位で稼働させる必要があるとされる。
現在、H100の市場価格は数万ドル規模。AIクラスタの構築費用は、一つの巨大データセンターで数十億ドルに達する。
(2)電力コスト
AIモデルの訓練には、都市レベルの電力が必要とされる。米国のAIデータセンターでは、一拠点で1GW(原発1基分)に迫る電力需要が議論されている。
AIはもはやソフトウェア産業ではなく、巨大なエネルギー産業の一部になりつつある。
(3)インフラ投資
OpenAIは近年、データセンターの自前構築やAI専用チップ開発にも関与している。これは長期的にはコスト削減につながる可能性があるが、短期的には巨額の設備投資(CAPEX)を伴う。
結果として、アナリストの一部は次のように予測する。
2027年:フリーキャッシュフロー −570億ドル
この数字が現実になれば、OpenAIは史上最大級の「キャッシュバーン企業」になる。
離反する初期同盟者
もう一つ興味深いのは、OpenAIを取り巻く同盟関係の変化だ。
かつて同社の最大のパートナーは、マイクロソフトだった。同社はOpenAIに累計100億ドル以上を投資し、ChatGPTを自社のクラウド「Azure」に統合。CopilotなどのAIサービスの基盤にもOpenAIモデルを採用している。
しかし今回の追加投資ラウンドでは、マイクロソフトは参加していない。その理由は明確だ。同社は現在、AI戦略の多角化を進めている。
・小規模言語モデル(SLM)の自社開発
・Meta、Mistralなど他社モデルのAzure導入
・企業向けAIの最適化
つまり、OpenAI依存からの脱却である。ある米系投資銀行のテクノロジーアナリストはこう語る。
「マイクロソフトはOpenAIを“重要なパートナー”とは見ているが、“唯一の未来”とは考えていない。AIモデルはコモディティ化する可能性があり、クラウド企業は複数の選択肢を確保する必要がある」(米投資銀行アナリスト)
AIブーム最大の勝者とされるエヌビディアも、OpenAIへの直接関与を慎重にしている。同社はGPU供給で圧倒的な市場支配力を持つが、特定企業への過度な肩入れは避ける方針を取っている。
理由は単純だ。AIの需要は、OpenAI、グーグル、アマゾン、メタ、アンソロピック、中国AI企業といった多くのプレイヤーに広がっている。そのため、エヌビディアは「AIの軍需産業」のような立場を維持し、どの企業にもGPUを供給することで市場全体を取り込む戦略を採っている。
主役に躍り出たアマゾンとソフトバンクグループ
代わって今回の資金調達の主役となったのが、アマゾンとソフトバンクG である。両社の思惑は、それぞれ異なる。
・アマゾン
アマゾンにとってOpenAI投資は、クラウド事業「AWS」のAI需要を拡大するための戦略的布石だ。AWSは現在、アンソロピック、Mistral、自社AIモデル(Titan)など複数モデルを提供しているが、OpenAIを取り込めば、AIクラウド市場での競争力が一気に高まる。
さらに、アマゾンはAI専用チップ「Trainium」などの内製半導体を開発しており、OpenAIの計算需要を取り込めれば、自社チップの普及にもつながる。
・ソフトバンクグループ
一方、ソフトバンクGの狙いはより長期的だ。孫正義会長は以前から、AGI(人工汎用知能)の実現を「人類史最大の革命」と位置づけてきた。OpenAIへの巨額投資は、このAGI競争における最終ポジション確保という意味合いが強い。
ITジャーナリストの小平貴裕氏はこう語る。
「孫氏の投資は短期収益ではなく、技術覇権への賭けだ。AGIが実現すれば、検索、EC、金融、ソフトウェアなどほぼすべての産業が再構築される。OpenAIへの投資は、その未来の“プラットフォーム”を握るための布石と見るべきだ」
IPOは「出口」ではない
では、2026年に観測されるIPOは何を意味するのか。一般的に、IPOは投資家のイグジット(資金回収)の場と考えられる。しかしOpenAIの場合、事情は異なる。
むしろIPOは、継続的な資金調達のための入口と見るべきだ。AI開発には、今後も膨大な投資が必要になる。GPU、データセンター、電力、半導体、AI研究。これらは、従来のIT企業とは比較にならない資本集約型の事業だ。
つまりAI企業は今、ソフトウェア企業からインフラ企業へ変貌している。
生成AIブームの初期には、多くの人がAIを「ソフトウェア革命」と捉えていた。しかし現在、資金の大半はデータセンター、電力インフラ、半導体、冷却設備といった重厚長大な物理設備へ流れている。
AI革命は、実は21世紀最大のインフラ投資なのかもしれない。17兆円という巨額投資は、OpenAIがAIの勝者であり続けるための入場券にすぎない。
2027年、同社が570億ドルの赤字を抱えながらも、それを上回る価値を世界に提示できるのか。もし成功すれば、人類は新たな知能インフラを手に入れる。失敗すれば、それは史上最大級のテックバブルとして歴史に刻まれるだろう。
ビジネス界はいま、その壮大な社会実験の目撃者となっている。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
OpenAI「17兆円調達」の裏側…2027年“8.5兆円赤字”試算が示すAI覇権の代償
●この記事のポイント
OpenAIがアマゾンとソフトバンクグループから総額1100億ドル(約17兆円)の追加投資を受ける見通しとなり、AI業界の勢力図が大きく動いている。一方で、同社のフリーキャッシュフローは2027年に最大570億ドルの赤字に達する可能性が指摘されている。背景には、次世代AIモデル開発に必要なGPU、電力、データセンターなどの巨額インフラ投資がある。マイクロソフトやエヌビディアとの関係変化、2026年IPO観測を含め、生成AIビジネスが「ソフトウェア産業」から「インフラ産業」へ変質しつつある実態を読み解く。
AI業界の覇権争いが新たな局面に入った。米OpenAIが、アマゾンとソフトバンクグループから総額1100億ドル(約17兆円)に及ぶ追加投資を受ける見通しとなり、市場では同社の企業価値が8000億ドル(約130兆円)規模に達するとの観測が広がっている。
同時に、2026年内の新規株式公開(IPO)の可能性も取り沙汰されている。AI企業としては史上最大級となる上場案件になる可能性が高く、ウォール街でも注目度は極めて高い。
しかし、その華々しいニュースの裏側で、米国の機関投資家やアナリストの間ではある「不都合な数字」が議論されている。
それが、2027年に最大570億ドル(約8.5兆円)のフリーキャッシュフロー赤字に達する可能性という試算だ。つまり、17兆円という巨額資金ですら、わずか数年で消費される可能性があるというのである。
なぜAI企業は、これほどまでに資金を燃やすのか。その理由は、生成AIの進化が突き当たる「物理の壁」にある。
●目次
2027年「570億ドル赤字」試算の衝撃
OpenAIのビジネスモデルは、従来のソフトウェア企業とは根本的に異なる。SaaS企業の場合、最大のコストは開発人件費であり、一度ソフトウェアが完成すれば、追加ユーザーは比較的低コストで獲得できる。しかし、生成AIは事情がまったく違う。
モデルを進化させるたびに、計算能力・電力・インフラが指数関数的に増えるからだ。AI投資の大半は、次の三つに集中している。
(1)GPUコスト
次世代モデル(GPT-6以降)では、NVIDIAのH100やB200などの高性能GPUを数万〜数十万台単位で稼働させる必要があるとされる。
現在、H100の市場価格は数万ドル規模。AIクラスタの構築費用は、一つの巨大データセンターで数十億ドルに達する。
(2)電力コスト
AIモデルの訓練には、都市レベルの電力が必要とされる。米国のAIデータセンターでは、一拠点で1GW(原発1基分)に迫る電力需要が議論されている。
AIはもはやソフトウェア産業ではなく、巨大なエネルギー産業の一部になりつつある。
(3)インフラ投資
OpenAIは近年、データセンターの自前構築やAI専用チップ開発にも関与している。これは長期的にはコスト削減につながる可能性があるが、短期的には巨額の設備投資(CAPEX)を伴う。
結果として、アナリストの一部は次のように予測する。
2027年:フリーキャッシュフロー −570億ドル
この数字が現実になれば、OpenAIは史上最大級の「キャッシュバーン企業」になる。
離反する初期同盟者
もう一つ興味深いのは、OpenAIを取り巻く同盟関係の変化だ。
かつて同社の最大のパートナーは、マイクロソフトだった。同社はOpenAIに累計100億ドル以上を投資し、ChatGPTを自社のクラウド「Azure」に統合。CopilotなどのAIサービスの基盤にもOpenAIモデルを採用している。
しかし今回の追加投資ラウンドでは、マイクロソフトは参加していない。その理由は明確だ。同社は現在、AI戦略の多角化を進めている。
・小規模言語モデル(SLM)の自社開発
・Meta、Mistralなど他社モデルのAzure導入
・企業向けAIの最適化
つまり、OpenAI依存からの脱却である。ある米系投資銀行のテクノロジーアナリストはこう語る。
「マイクロソフトはOpenAIを“重要なパートナー”とは見ているが、“唯一の未来”とは考えていない。AIモデルはコモディティ化する可能性があり、クラウド企業は複数の選択肢を確保する必要がある」(米投資銀行アナリスト)
AIブーム最大の勝者とされるエヌビディアも、OpenAIへの直接関与を慎重にしている。同社はGPU供給で圧倒的な市場支配力を持つが、特定企業への過度な肩入れは避ける方針を取っている。
理由は単純だ。AIの需要は、OpenAI、グーグル、アマゾン、メタ、アンソロピック、中国AI企業といった多くのプレイヤーに広がっている。そのため、エヌビディアは「AIの軍需産業」のような立場を維持し、どの企業にもGPUを供給することで市場全体を取り込む戦略を採っている。
主役に躍り出たアマゾンとソフトバンクグループ
代わって今回の資金調達の主役となったのが、アマゾンとソフトバンクG である。両社の思惑は、それぞれ異なる。
・アマゾン
アマゾンにとってOpenAI投資は、クラウド事業「AWS」のAI需要を拡大するための戦略的布石だ。AWSは現在、アンソロピック、Mistral、自社AIモデル(Titan)など複数モデルを提供しているが、OpenAIを取り込めば、AIクラウド市場での競争力が一気に高まる。
さらに、アマゾンはAI専用チップ「Trainium」などの内製半導体を開発しており、OpenAIの計算需要を取り込めれば、自社チップの普及にもつながる。
・ソフトバンクグループ
一方、ソフトバンクGの狙いはより長期的だ。孫正義会長は以前から、AGI(人工汎用知能)の実現を「人類史最大の革命」と位置づけてきた。OpenAIへの巨額投資は、このAGI競争における最終ポジション確保という意味合いが強い。
ITジャーナリストの小平貴裕氏はこう語る。
「孫氏の投資は短期収益ではなく、技術覇権への賭けだ。AGIが実現すれば、検索、EC、金融、ソフトウェアなどほぼすべての産業が再構築される。OpenAIへの投資は、その未来の“プラットフォーム”を握るための布石と見るべきだ」
IPOは「出口」ではない
では、2026年に観測されるIPOは何を意味するのか。一般的に、IPOは投資家のイグジット(資金回収)の場と考えられる。しかしOpenAIの場合、事情は異なる。
むしろIPOは、継続的な資金調達のための入口と見るべきだ。AI開発には、今後も膨大な投資が必要になる。GPU、データセンター、電力、半導体、AI研究。これらは、従来のIT企業とは比較にならない資本集約型の事業だ。
つまりAI企業は今、ソフトウェア企業からインフラ企業へ変貌している。
生成AIブームの初期には、多くの人がAIを「ソフトウェア革命」と捉えていた。しかし現在、資金の大半はデータセンター、電力インフラ、半導体、冷却設備といった重厚長大な物理設備へ流れている。
AI革命は、実は21世紀最大のインフラ投資なのかもしれない。17兆円という巨額投資は、OpenAIがAIの勝者であり続けるための入場券にすぎない。
2027年、同社が570億ドルの赤字を抱えながらも、それを上回る価値を世界に提示できるのか。もし成功すれば、人類は新たな知能インフラを手に入れる。失敗すれば、それは史上最大級のテックバブルとして歴史に刻まれるだろう。
ビジネス界はいま、その壮大な社会実験の目撃者となっている。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
年商82億円の設備工事会社が挑む「非住宅」シフト…池袋拠点で狙う、施工管理技士の争奪戦
●この記事のポイント
札幌の設備工事大手、クロスティホールディングスの多角化戦略を解説 。住宅着工減を見据え不動産事業へ参入し、自社施工によるコスト抑制で中古物件の買取再販を強化 。また、埼玉から池袋へ拠点を移し応募が数倍に急増した事例や、ソフトテニス実業団による採用難克服など、立地と福利厚生を武器にした最新の人材確保策に迫る 。
株式会社クロスティホールディングスは札幌を拠点に電気・水道・空調などの設備工事を手がける。79年の創業以来、ハウスメーカーや工務店向けに事業を展開し、内装や資材の卸売りも手がけている。近年は新規事業の開拓にも積極的で、2020年に子会社を設立して不動産事業に参入。M&Aによる他社取得も進めてきた。順調に事業を伸ばしたいところだが、最大の壁は「人手不足」だ。単に労働条件を上げるだけでは、肝心の応募が集まらないという。設備工事会社がなぜ不動産事業に参入したのか、そして深刻な人手不足にどう立ち向かっているのか。同社社長の林秀樹氏にその戦略を聞いた。
●目次
なぜ設備工事会社が「不動産事業」に乗り出したのか?
クロスティホールディングスは1979年、暖房・電気工事を担う東弘産業として札幌市で産声を上げた。2012年には仙台営業所を設立し、2020年以降は相次いで子会社を設立するなど、着実に事業領域を拡大している。2025年3月期のグループ全体売上高は82億878万円。その内訳は電気・水道・空調などの設備工事が6割、資材卸が2割弱、残りが不動産の内装やメンテナンスだ。
主力である設備工事の多くは戸建住宅向けだが、同社は2020年、札幌市に株式会社コネクトを設立して不動産業へ本格参入した。その背景を林社長はこう明かす。
「設備工事事業では、ハウスメーカーなどから受注する形で戸建の工事を手がけてきました。しかし、札幌では新設住宅の着工件数が年々減少しており、新規事業の開拓が必要だと判断しました。市場が拡大しているリフォーム事業は魅力的ですが、大切なお客様であるハウスメーカーさんと競合してしまいます。そこで、知見の近い不動産業を選びました」(林社長)
実際、札幌市における2025年の住宅着工件数は1万2544戸(前年比減)と、2年連続の減少を記録している。こうした市場環境の変化を見越し、同社は2017年に埼玉県川口市へ進出。水道会社や内装会社のM&Aも実施し、エリアと事業の両面から「住宅需要の減少」に対応する構えだ。
「自社で直せる」強みを生かした中古物件戦略
不動産事業では、フランチャイズ「ハウスドゥ」に加盟し、札幌市東区で「ハウスドゥ札幌栄町」を運営している。主に2000万〜2500万円の中古戸建を扱い、物件価格が高騰する中で中古を求める現役世代のニーズを捉えている。異業種からの参入にあたり、FC加盟は人材採用の面でも功を奏したという。
「当初は採用に苦労しました。応募はあっても、賃貸仲介の経験者ばかりで、我々が求める売買に強い人材が少なかった。ノウハウを持つハウスドゥの力を借りることで、ようやく体制を整えることができました」(林社長)
設備工事と不動産、この二つの事業には明確なシナジーがある。
「中古物件の買取再販では、内装や水道工事を自社グループで完結できるため、コストを抑えて安く物件を提供できます。特に北海道の冬に不可欠なボイラーの設置や、販売後のメンテナンスまで自社でフォローできる点は大きな強みです」(林社長)
今後は5年以内に不動産事業の売上高を3倍に引き上げる計画で、札幌市内での2店舗目出店も視野に入れている。
埼玉では目標未達だった応募が「池袋オフィス」で2倍に
事業拡大の要となるのが、関東圏における「非住宅」(工場や倉庫などの法人向け施設)分野の強化だ。そこで求められるのは、施工管理技士などの資格を持つ専門人材だが、採用は一筋縄ではいかなかった。しかし、拠点を変えたことで劇的な変化が起きたという。
「当初は埼玉県を拠点として募集しましたが、採用サイトを出しても応募は目標にほど遠く、志願者のキャンセルも相次ぎました。ところが、都心進出を見据えて池袋にオフィスを構えた途端、応募が2倍にも跳ね上がったのです。今の時代、給与条件以上に『オフィスの立地』が採用力を左右すると痛感しました」(林社長)
テレワークからの出社回帰が進む中、若手層を中心に「都心の利便性」を重視する傾向は強まっている。同社の事例は、立地戦略がそのまま採用戦略に直結することを示している。
また、ユニークな福利厚生も採用に寄与している。同社が抱える実業団ソフトテニスクラブだ。
「野球やサッカーと違い、ソフトテニスの実業団は非常に少ない。強豪チームは一握りで、競技を続けたくても夢を諦める選手が多い世界です。彼らの受け皿になることで、平日は社員として働き、週末は競技に打ち込む優秀な人材の確保につながっています」(林社長)
このチームは今や北海道でナンバーワンの強豪となり、企業の広報塔としての役割も果たしている。
クロスティホールディングスは2027年度から、「世の中の「はたらく」と「くらす」を明るくする」という新ビジョンを掲げる方針だ 。住宅設備で培った技術を武器に、不動産、そして「働く場」である非住宅分野へと舵を切る同社。採用難という時代の荒波を、柔軟な発想と立地戦略で乗り越えようとしている 。
(取材・文=山口伸)
年商82億円の設備工事会社が挑む「非住宅」シフト…池袋拠点で狙う、施工管理技士の争奪戦
●この記事のポイント
札幌の設備工事大手、クロスティホールディングスの多角化戦略を解説 。住宅着工減を見据え不動産事業へ参入し、自社施工によるコスト抑制で中古物件の買取再販を強化 。また、埼玉から池袋へ拠点を移し応募が数倍に急増した事例や、ソフトテニス実業団による採用難克服など、立地と福利厚生を武器にした最新の人材確保策に迫る 。
株式会社クロスティホールディングスは札幌を拠点に電気・水道・空調などの設備工事を手がける。79年の創業以来、ハウスメーカーや工務店向けに事業を展開し、内装や資材の卸売りも手がけている。近年は新規事業の開拓にも積極的で、2020年に子会社を設立して不動産事業に参入。M&Aによる他社取得も進めてきた。順調に事業を伸ばしたいところだが、最大の壁は「人手不足」だ。単に労働条件を上げるだけでは、肝心の応募が集まらないという。設備工事会社がなぜ不動産事業に参入したのか、そして深刻な人手不足にどう立ち向かっているのか。同社社長の林秀樹氏にその戦略を聞いた。
●目次
なぜ設備工事会社が「不動産事業」に乗り出したのか?
クロスティホールディングスは1979年、暖房・電気工事を担う東弘産業として札幌市で産声を上げた。2012年には仙台営業所を設立し、2020年以降は相次いで子会社を設立するなど、着実に事業領域を拡大している。2025年3月期のグループ全体売上高は82億878万円。その内訳は電気・水道・空調などの設備工事が6割、資材卸が2割弱、残りが不動産の内装やメンテナンスだ。
主力である設備工事の多くは戸建住宅向けだが、同社は2020年、札幌市に株式会社コネクトを設立して不動産業へ本格参入した。その背景を林社長はこう明かす。
「設備工事事業では、ハウスメーカーなどから受注する形で戸建の工事を手がけてきました。しかし、札幌では新設住宅の着工件数が年々減少しており、新規事業の開拓が必要だと判断しました。市場が拡大しているリフォーム事業は魅力的ですが、大切なお客様であるハウスメーカーさんと競合してしまいます。そこで、知見の近い不動産業を選びました」(林社長)
実際、札幌市における2025年の住宅着工件数は1万2544戸(前年比減)と、2年連続の減少を記録している。こうした市場環境の変化を見越し、同社は2017年に埼玉県川口市へ進出。水道会社や内装会社のM&Aも実施し、エリアと事業の両面から「住宅需要の減少」に対応する構えだ。
「自社で直せる」強みを生かした中古物件戦略
不動産事業では、フランチャイズ「ハウスドゥ」に加盟し、札幌市東区で「ハウスドゥ札幌栄町」を運営している。主に2000万〜2500万円の中古戸建を扱い、物件価格が高騰する中で中古を求める現役世代のニーズを捉えている。異業種からの参入にあたり、FC加盟は人材採用の面でも功を奏したという。
「当初は採用に苦労しました。応募はあっても、賃貸仲介の経験者ばかりで、我々が求める売買に強い人材が少なかった。ノウハウを持つハウスドゥの力を借りることで、ようやく体制を整えることができました」(林社長)
設備工事と不動産、この二つの事業には明確なシナジーがある。
「中古物件の買取再販では、内装や水道工事を自社グループで完結できるため、コストを抑えて安く物件を提供できます。特に北海道の冬に不可欠なボイラーの設置や、販売後のメンテナンスまで自社でフォローできる点は大きな強みです」(林社長)
今後は5年以内に不動産事業の売上高を3倍に引き上げる計画で、札幌市内での2店舗目出店も視野に入れている。
埼玉では目標未達だった応募が「池袋オフィス」で2倍に
事業拡大の要となるのが、関東圏における「非住宅」(工場や倉庫などの法人向け施設)分野の強化だ。そこで求められるのは、施工管理技士などの資格を持つ専門人材だが、採用は一筋縄ではいかなかった。しかし、拠点を変えたことで劇的な変化が起きたという。
「当初は埼玉県を拠点として募集しましたが、採用サイトを出しても応募は目標にほど遠く、志願者のキャンセルも相次ぎました。ところが、都心進出を見据えて池袋にオフィスを構えた途端、応募が2倍にも跳ね上がったのです。今の時代、給与条件以上に『オフィスの立地』が採用力を左右すると痛感しました」(林社長)
テレワークからの出社回帰が進む中、若手層を中心に「都心の利便性」を重視する傾向は強まっている。同社の事例は、立地戦略がそのまま採用戦略に直結することを示している。
また、ユニークな福利厚生も採用に寄与している。同社が抱える実業団ソフトテニスクラブだ。
「野球やサッカーと違い、ソフトテニスの実業団は非常に少ない。強豪チームは一握りで、競技を続けたくても夢を諦める選手が多い世界です。彼らの受け皿になることで、平日は社員として働き、週末は競技に打ち込む優秀な人材の確保につながっています」(林社長)
このチームは今や北海道でナンバーワンの強豪となり、企業の広報塔としての役割も果たしている。
クロスティホールディングスは2027年度から、「世の中の「はたらく」と「くらす」を明るくする」という新ビジョンを掲げる方針だ 。住宅設備で培った技術を武器に、不動産、そして「働く場」である非住宅分野へと舵を切る同社。採用難という時代の荒波を、柔軟な発想と立地戦略で乗り越えようとしている 。
(取材・文=山口伸)
「日本の現場」を知る国産ツールが、AI時代の業務改革を変える――海外勢にはできない”考えなくていい”DXを、1,641テンプレートとAIで実現
●この記事のポイント
・AI活用が叫ばれる一方、業務での実践は「検索の延長」にとどまる企業が大半。国産タスク管理ツールJootoは”AIへの入力すら不要”なテンプレート戦略で導入障壁を解消する。
・日本標準産業分類に基づく1,641テンプレートをAIで一括生成。農業から製造業まで、日本のあらゆる業種に対応した設計は、海外製ツールにはない強みだ。
・タスク履歴を「業務ナレッジ」として蓄積し、過去の判断を次のプロジェクトに活かす――Jootoが目指すのは、日本企業の”仕事の知恵”が残るインフラである。
生成AIを業務に導入したい。経営者の多くがそう考えている。だが現実には、ChatGPTを「検索の拡張版」として使う程度にとどまり、日々のタスク管理や意思決定にまでAIを組み込めている企業はごくわずかだ。
その溝を埋めようとしているのが、PR TIMESが提供するクラウド型タスク・プロジェクト管理ツール「Jooto(ジョートー)」だ。日本人が開発し、日本の企業文化を熟知した純国産ツール。非IT・事務職でも「迷わず使える」ことを最優先に設計され、いまAIと自動化を武器に、日本企業のDXの”最初の一歩”を後押ししている。
2月25日〜27日に幕張メッセで開催される「DX総合EXPO 2026 春 東京」への出展を控える同社に、Jooto事業のAI・自動化戦略を聞いた。話を聞いたのは、PR TIMES Jooto事業部の平野貴嗣氏である。
●目次
- AIは「使えるはず」なのに、現場では使われない
- 1,641テンプレートという”逆転の発想”
- 紙のボードからデジタルへ――日本の製造業が示す可能性
- 海外製にはない「考えなくていい」体験設計
- 日本企業のための伴走支援
- タスク履歴が「会社の知恵」になる日
- まず使ってみてほしい――展示会で届けたいメッセージ
AIは「使えるはず」なのに、現場では使われない
「プロジェクト管理において、AIの利用自体は広がっています。しかし、業務の効率化に使うレベルにはまだ至っていない。どちらかというと、検索を拡張したものとしての利用が大多数です」
平野氏はこう語る。
Jootoは2024年7月、AIがタスクやプロジェクトを自動生成する「AIタスク生成」機能をリリースし、2025年4月にはタスク履歴をAIが要約・評価する「AIタスク診断」機能を追加した。しかし、これらの機能が業務の中で”当たり前に使われる”段階には、まだ至っていないという。
「タスク診断機能にしても、AIタスク生成にしても、活用はまだまだこれから。そもそもAIに情報を入力すること自体に抵抗感を持つお客様もいらっしゃいます」
高機能なAIを用意しても、使われなければ意味がない。この現実と正面から向き合ったことが、Jootoの次の一手につながった。
1,641テンプレートという”逆転の発想”
Jootoが出した答えは、「AIに入力させない」という逆転の発想だった。
2025年12月、Jootoは日本標準産業分類をベースに、1,641種類の業務テンプレートを一挙に追加した。農業、製造業、建設業、サービス業――日本のあらゆる業種のユーザーが、業種名を検索するだけで、自社の業務に近いタスク設計のひな形を手に入れられる。
日本標準産業分類という、日本の産業構造を網羅する公的な分類体系をベースにしたのは、Jootoならではの判断だ。海外製ツールであれば、まず米国やグローバル市場の業種分類に準拠する。だがJootoは、日本の農業、日本の製造業、日本のサービス業――この国の現場に即したテンプレートを、最初から用意した。
「Jootoのユーザーは本当に多種多様です。ITエンジニアよりも、バックオフィスの方や工場の方、施工現場の方、農業の方、牧場の方までもが使われていたりする。そうした方々に『AIで生成してください』と言っても、ハードルが高すぎます。だから私たちの方でAIを使ってテンプレートを生成し、お客様は選んでコピーするだけでいい形にしました」
AIの恩恵を、AIを意識させずに届ける。この設計思想が、1,641テンプレートの根底にある。
《例:製造・メーカー、案件のステータス管理が課題である場合のテンプレート》
「ログインしなくても一覧を見ていただけます。気になるものを複製して、自社用にカスタマイズする。そこから始めていただければ、『こう使えばいいんだ』という実感が生まれます」
始めた瞬間に使えるものにする。そのために、AIの複雑さはサービス提供側が引き受ける。この姿勢こそが、Jootoが「最初のDX」として選ばれ続ける理由だ。
紙のボードからデジタルへ――日本の製造業が示す可能性
Jootoの導入企業で特に多いのが、日本の製造業だ。工場の現場で日々のタスク管理に活用されているケースが数多くある。
「製造業のお客様の中には、それまで大きな紙にタスクをペタペタ貼って管理していた方もいらっしゃいます。そこからいきなりIT化、さらにAIとなると、ハードルは相当高い。だからこそ、その”間”をつなぐ存在が必要なんです」
日本の製造業には「プロセス管理がすべて」という文化が根付いている。資材の流れ、工程の進捗が売上に直結する世界だ。紙のボードで管理していた工程を、Jootoのシンプルなカンバン方式でデジタルに移行する。この一歩は小さく見えるが、その先にAI活用という大きな可能性が広がっている。
日本にはチャットツールですら業務導入率が2〜3割という企業がまだ大多数を占める。メールと口頭、紙の管理が主流の現場に、いきなり海外製の高機能ツールを持ち込んでも定着しない。Jootoが「まずはデジタルでの管理に慣れていただき、その次の段階としてAIを活かす」という段階的なアプローチを取る理由はここにある。
海外製にはない「考えなくていい」体験設計
タスク管理ツール市場には、Trello、Asana、Notionといった海外製ツールがひしめく。多機能で高性能。だが、それがそのまま日本の現場にフィットするとは限らない。
「シンプルでわかりやすいUIというのはずっと打ち出してきたところですが、それだけではありません。いかにユーザーが”考えなくていい”サービスを作れるか。それがJootoの大きな特長です」
海外製ツールは、ITリテラシーの高い開発チームやスタートアップ向けに設計されていることが多い。設定項目は豊富だが、その分「いろいろ設定しなければならない」という負荷が生まれる。チーム全員が同じレベルで使いこなすことを前提にしたツールは、日本のバックオフィスの現場では定着しにくい。
Jootoのアプローチは逆だ。タスクを作る流れの中で自然と担当者や期限が設定されるよう設計する。デフォルトで3日間の期限が入る、ドラッグ&ドロップだけで担当者をアサインできる――「考えずに管理できる」体験が、非IT職のユーザーにとって決定的な差になっている。
「いろいろ設定できる反面、いろいろ設定しなきゃいけない、というサービスもあります。それをチーム全員に標準化して使ってもらうのは、かなり高度なスキルを求めることになります」
日本人が開発し、日本の企業を見てきたからこそわかる。現場が求めているのは「何でもできるツール」ではなく、「何も考えなくても回るツール」なのだ。
日本企業のための伴走支援
Jootoの国産ツールとしての強みは、プロダクト設計だけにとどまらない。導入から運用定着まで、1社1社に寄り添う伴走支援の体制にも表れている。
Trelloが日本語サポートを終了するなど、海外製ツールでは「ユーザーがツールに合わせる」ことが暗黙の前提になりがちだ。対してJootoは、国産ツールの利点を生かし、電話やオンラインを含む手厚い日本語サポートを提供している。
「自社独自のフローを崩せないというお客様も多い。そういった場合でも、Jootoで管理しつつ、出力時に自社のフォーマットに変換するといった支援をしています」
APIやコネクターを活用し、既存のExcelとの連携や自社システムへのデータ変換にも対応する。さらに、こうした外部連携や自動化の設定を初心者でもコピペで実装できるコンテンツとして、YouTubeチャンネル「ジョーテク」を公開。技術的なハードルを下げる取り組みを重ねている。
ITに不慣れな日本の中小企業が最初に触るDXツールとして、日本語で、日本の商習慣を理解した担当者が伴走してくれる安心感は大きい。
「弊社では”クライアントファースト”を常に意識しています。ツールを提供して終わりではなく、お客様と一緒に走る。それがPR TIMES社全体としてのスタンスです」
タスク履歴が「会社の知恵」になる日
Jootoが見据える未来は、単なるタスク管理の効率化にとどまらない。タスク履歴を「業務ナレッジ」として蓄積し、日本企業の意思決定を支えるインフラを目指している。
「Jootoにはタスク内のコミュニケーション、開始日と締め切り、担当者の設定といった情報がすべて残ります。この蓄積されたデータを参考に、次のプロジェクトを作り直すことは比較的容易にできる状態になっています」
現在のAIタスク生成はサービス外で「ゼロからイチ」を作る仕組みだが、今後はサービス内で過去のプロジェクトをベースにバージョンアップできる機能の開発を進めているという。期間の変更や要素の追加など、「ベースがありつつ微調整して再利用する」というニーズに応える形だ。
さらに、その先にはより踏み込んだ構想がある。
「ただプロジェクトやタスクの管理を支援するだけではなく、タスクを遂行する際の簡単な判断の部分にも踏み込みたい。たとえば、『以前の部長はこういう判断をしていました』といった過去の意思決定を参考情報として提示できるようになれば、チームの判断の質が上がります」
誰が、いつ、どんな判断をしたのか。その履歴がナレッジとして蓄積され、次のプロジェクトに活かされる。日本企業に根強い「属人化」の問題……ベテラン社員の退職や異動とともに仕事の知恵が失われていく課題を、データの力で解消しようというビジョンだ。
ただし、この構想の実現にはクリアすべき課題もある。
「現状では、担当者設定や期限設定がされないまま運用されているケースも少なくありません。AIが活用できるデータを蓄積するためには、まずその入力を自然に促す仕組みが必要です」
データが集まらなければAIは機能しない。だからこそ、「考えなくていい」設計で入力のハードルを下げ、自然とデータが蓄積される環境を整える。Jootoのシンプルさへのこだわりは、このAI戦略と表裏一体なのである。
まず使ってみてほしい――展示会で届けたいメッセージ
2026年2月25日〜27日、幕張メッセで開催される「DX総合EXPO 2026 春 東京」に、Jootoは出展する。業務改革EXPOエリアで、AIタスク生成のデモやテンプレートの体験を提供する予定だ。
「他のツールで挫折した方、AIを導入したいけど具体的に何から始めればいいかわからない方にこそ、まずJootoを使ってみてほしい。私たちは日本の企業のためのツールとして、AIでどのようにプロジェクト管理をしていくべきかという最初の体験を提供していきたいと考えています」
日本には、世界に誇る製造業の現場がある。地域を支える中小企業がある。紙とExcelで回してきた業務を、次の時代にどうつなぐか。その答えは、海外から輸入するだけでは見つからない。
日本の現場を知り、日本の企業文化に寄り添い、日本語で伴走する。Jootoが「国産」にこだわる理由は、そこにある。AIの力はサービス側が引き受け、ユーザーには「考えなくていい」体験を届ける。派手さはないが、確実に現場を変えていく。それが、Jootoが描くAI時代の業務改革の姿だ。
■DX総合EXPO 2026 春 東京
会期:2026年2月25日(水)〜27日(金)10:00〜17:00
会場:幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)
入場:無料(事前登録制)
https://www.bizcrew.jp/expo/dx-tokyo
■タスク・プロジェクト管理ツール「Jooto」
https://www.jooto.com/
■Jooto AI・自動化連携
https://www.jooto.com/autom/
※本稿はPR記事です。