「体にいい油」のヤバい点、2位は「使いすぎてしまう」。では、1位は? – 医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術

健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れている。しかし、巷にあふれる健康情報は偏ったものが多く、どれを信じればいいのか判断するのは難しい。そこで、栄養学の専門家で、医師でもある著者に「栄養学的に正しい」最高の食事術を教えてもらう。「一生役立つ食事の新習慣」が身につく。

【安浪京子×山口拓朗対談 03】「給食何だった?」で差がつく、中学受験で伸びる子の思考習慣 – 中学受験必勝ノート術

子どもたちの「思考力」をいかに伸ばすかは、多くの親にとって最大の関心事だ。特別なドリルや難問を解かせることが近道だと思われがちだが、中学受験専門のプロ家庭教師であり『中学受験必勝ノート術』の著書もある安浪京子先生は、「何はなくとも家庭での会話だ」と語る。本記事では、安浪先生と、言語化の専門家で『こども言語化大全』の著者である山口拓朗先生の対談を通じ、今日から家庭で実践できる「思考力を育てる日常の習慣」を余すところなくお届けする。親の「発問」で日常の体験を言葉にする会話術から、算数が得意な子が陥りやすい意外な落とし穴まで、必読の内容だ。

自衛隊で学んだ、状況を有利にする「戦いの原則」とは? – 人生アップデート大全

いつも仕事に追われている。自分の時間がまったく持てず、1日があっというまに過ぎていく。どうしたらやる気に満ち溢れるような人生を送れるんだろう。そんなふうに自分の人生をよりよくしたい人におすすめなのが、書籍『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(池田貴将著)だ。本書の発売を記念して、Xフォロワー20万人超えのインフルエンサー、元幹部自衛官で現役会社員のわびさんに「ポジティブになれる習慣」をテーマに話を伺った。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「あんなに好きだったのに…」なぜ愛は急に冷めるのか? – 私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか

「あんなに好きだったのに、なんで相手にがっかりしてしまうんだろう」「せっかく付き合えたのにケンカばかり」「付き合った途端、急激に気持ちが冷めてしまった」と恋愛に悩む人におすすめなのが書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書は、神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点から解説。恋愛に関する章では、自分の感情に振り回されずに、確かな愛を築いていく方法を紹介している。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介する。

食通だけが知る! 独自の食文化が根付く、長野の隠れた「美食地帯」とは? – 日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか?

世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカル・ガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか?』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、ガストロノミーツーリズム最前線を解説し、いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。

アスレジャー市場、10年で倍増へ…スポーツウェアが普段着化、60兆円市場に急成長

●この記事のポイント
アスレジャー市場は2024年に世界約4,025億ドル、日本約238億ドル規模に達し、年6%前後で拡大。背景にはリモートワーク定着、健康志向の高まり、高機能素材の進化がある。ルルレモン、ユニクロ、ワークマンなど価格帯別競争が激化し、サステナブル素材やスマートウェアが次の成長軸となる。

 コットン調の新素材、機能性セットアップ、スニーカー通勤――。スポーツウェアと日常着の境界が静かに崩れ始めている。「アスレジャー(Athleisure)」と呼ばれるこの潮流は、単なるファッショントレンドではなく、日本人の働き方、健康観、そして消費行動の変化を映し出す構造的現象である。

 ルルレモンからワークマンまで、異なる戦略を持つ企業が同一市場で競争する現在、アスレジャーは一過性のブームではなく、新たな産業領域として定着しつつある。本稿では市場データと現場動向を踏まえ、その本質と今後の展望を整理する。

●目次

市場データが示す「一過性ではない成長」

 アスレジャー市場は、すでに世界規模で巨大産業となっている。2024年時点で世界市場は約4,025億ドル(約60兆円)、2033年には約7,300億ドル規模に達する見通しだ。年平均成長率(CAGR)は約6.9%と、一般アパレルの2〜3%を大きく上回る。日本市場も同様に拡大し、2024年の約238億ドルから2035年には約423億ドルへと成長が予測されている。

 重要なのは、この成長がパンデミック特需の延長ではなく、複数の構造変化に支えられている点である。

「アスレジャーは“需要の前借り”ではなく、生活様式の変化に伴う恒常需要です。特に日本では、スーツ文化の緩和と健康意識の上昇が同時に起きており、衣料市場の再編が進んでいると見るべきです」(戦略コンサルタント・高野輝氏)

なぜ今アスレジャーなのか――3つの構造変化

働き方の変化――「服の役割」が再定義された

 リモートワークやハイブリッド勤務の普及は、従来の「通勤着」と「運動着」の区分を曖昧にした。オフィスと日常の境界が薄れるなか、「一着で複数の用途を満たす服」への需要が拡大している。

 ドレスコードの緩和も追い風となり、ストレッチ素材のジャケットや機能性パンツがビジネスシーンに浸透しつつある。

健康・ウェルネス志向の定着

 フィットネス、ランニング、自宅トレーニングなどを生活に取り込む層が増加している。背景には、高齢化社会における「自己管理としての健康」という意識の変化がある。

 さらにSNSの影響により、「健康的な生活そのものがスタイルである」という価値観が広がった。消費者の約41%がSNSをきっかけに購入しているというデータは、この変化を裏付ける。

「アスレジャーは“運動するための服”ではなく、“健康的な自分を可視化する装置”です。ライフスタイルそのものを表現するメディアとして機能しています」(同)

素材技術の進化――「機能の不可視化」

 吸汗速乾、抗菌、温度調整といった機能はもはや特別ではない。現在のトレンドは、「機能を感じさせない機能」である。

 帝人フロンティアニッティングがコットン調ポリエステル素材の増産に踏み切ったことは象徴的だ。見た目は天然素材でも、性能は高機能繊維という設計が、普段着としての受容を加速させている。

競争構造――三層で分かれる市場

 アスレジャー市場は、価格帯ごとに明確な戦略分化が進んでいる。

高価格帯:ブランド体験の提供
 ルルレモンやゴールドウインは、機能性に加え「ライフスタイル」や「コミュニティ」を提供し、価格プレミアムを正当化している。

中価格帯:既存顧客の取り込み
 ユニクロやオンワードなどは、既存の顧客基盤を活かし、機能性を日常服に組み込む戦略を採る。最も競争が激しいゾーンである。

低価格帯:機能の民主化
 ワークマンは高機能を低価格で提供し、市場の裾野を一気に拡大させた。

「現在の市場は“ブランド志向”と“合理志向”の二極化が進んでいます。中価格帯は最も難しいポジションにあり、差別化ができなければ収益性が圧迫される構造です」(同)

サプライチェーンにも広がる変革

 市場の拡大は川上にも影響を及ぼしている。素材メーカーによる機能素材の開発競争、サステナブル素材の導入加速が顕著だ。

 すでにアスレジャーブランドの約57%がリサイクル素材を採用しており、環境対応は「差別化」から「必須条件」へと移行しつつある。

 また、ナイキと日本の繊維メーカーの協業や、アシックスによる気候対応型製品の開発など、日本企業の技術がグローバル競争の中で重要な役割を担っている。

 アスレジャーの購買層は従来のスポーツ愛好家にとどまらない。

・女性が市場の中心
・男性市場が急成長
・「快適性」が最重要要因(約64%)

 特徴的なのは、購買動機が「デザイン」より「実用性」にシフトしている点である。

課題とリスク――成長の裏側

 市場拡大の一方で、いくつかの課題も顕在化している。

価格の壁
 プレミアムブランドの価格は参入障壁となり、需要の取りこぼしを生む。

模倣品の拡大
 ECの普及により偽造品の流通が拡大し、ブランド価値を毀損するリスクが高まっている。

トレンドの短命化
「アスレジャー疲れ」という指摘もあり、次のトレンドへの移行リスクは常に存在する。

「アスレジャーは長期トレンドである一方、商品単位ではコモディティ化が進みやすい。ブランドは“機能”以外の価値をどう設計するかが問われます」(同)

10年後を左右する4つの潮流

 今後の市場を規定する要素として、以下が挙げられる。

・スマートファブリック(センサー内蔵衣料)
・ワークレジャーという新しい服装概念
・サステナブル素材の標準化
・アジア市場への展開

 これらは単なる延長線ではなく、市場の質的転換を伴う可能性がある。

 アスレジャーの本質は、衣服の進化ではない。それは「時間効率」「健康志向」「多用途性」という現代人の価値観が、衣服という形で具現化した現象である。

 素材メーカー、スポーツブランド、ファストファッション、作業服企業――異なる出自のプレイヤーが同じ市場で競争するこの領域では、「誰のどの課題を解決するのか」という問いへの解像度が勝敗を分ける。

 今後10年、競争の焦点は明確だ。機能・デザイン・サステナビリティの三位一体を、どの企業が次の次元へ引き上げられるか。

スレジャーはもはやファッションではなく、生活そのものを再設計する産業へと進化している。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=高野輝/戦略コンサルタント)

アステラス製薬の50代後半、課長クラスの年収は?【口コミ情報データ】 – ダイヤモンド・口コミ情報

ダイヤモンド・口コミ情報では、年収・給与制度に関するアンケートを実施、寄せられた回答をもとに年収データを公開しています。今回は「アステラス製薬の50代後半、課長クラス」です。

加速するアマゾン離れ、EC戦略に大きな変化…205億ドル市場に膨らむAI購買

●この記事のポイント
米国でAIエージェント「Buy for Me」やPerplexity訴訟を契機に、アマゾンを経由しない購買「アマゾン飛ばし」が加速。エージェント型コマースは2026年に米国だけで205億ドル規模へ急拡大。日本でもD2C市場が3兆円に達し、EC市場の権力構造が転換期を迎えている。

「アマゾンで検索して買う」という、これまで当たり前だった消費行動が崩壊を始めている。

 米国ではOpenAIやPerplexityといったAI企業が、アマゾンの検索窓を経由せず、直接ブランドから商品を購入する機能を次々と実装。この「AIエージェント」による購買代行は、既存のEC王者が築き上げた検索連動型広告モデルを根底から揺るがしており、シリコンバレーでは法廷闘争へと発展している。

 翻って日本でも、D2C(Direct to Consumer)市場が2025年には約3兆円規模に達すると予測され、SNSからブランドの世界観に直接触れ、自社サイトで購入する流れがZ世代を中心に定着した。もはやアマゾンは「唯一の入り口」ではなく、数あるチャネルの一つ、あるいは単なる「物流インフラ」へとその役割を縮小させつつある。

 本稿では、米国の最新データと日本国内の構造変化を重ね合わせ、「アマゾン一強時代」の終焉と、その先に待つEC市場の新たな覇権争いを分析する。

●目次

米国で起きていること――AIがアマゾンを”迂回”する

 きっかけとなったのは、日本経済新聞も報じた米国の最新動向だ。米テック業界では今、「Amazon Bypass(アマゾン迂回、アマゾン飛ばし)」という言葉が現実味を帯びている。

AIエージェントが購買の入り口を塗り替える

 2025年、主要なAI企業は「エージェント型コマース」の基盤を完成させた。OpenAIはChatGPTに直接チェックアウト機能を埋め込み、ユーザーが「キャンプ用のテントを探して、予算3万円以内で一番評判の良いものを買っておいて」と指示するだけで、複数のサイトを比較し、決済まで完了させる仕組みを整えた。

 特筆すべきは、OpenAIがTargetやInstacartといった大手小売と直接提携したことだ。これにより、消費者はアマゾンの広大な検索結果からスポンサー広告をかき分けて商品を探す手間から解放され、ChatGPTのチャット画面を一度も離れることなく買い物を完結できるようになった。

「アマゾン飛ばし」の核心は広告モデルへの打撃

 なぜこれがアマゾンにとっての死活問題なのか。その答えは収益構造にある。アマゾンの2024年〜2025年の広告売上は年間約600億ドルから700億ドル規模に達しており、その大半は「検索結果の上位に表示させる」ための検索連動型広告だ。

 しかし、AIエージェントは人間のように画面上の広告を視認しない。AIは裏側のデータを読み取り、純粋にユーザーの要望に合致する「最適解」だけを抽出する。アマゾンがPerplexityに対し、コンテンツの不正利用やスクレイピングを巡って厳しい姿勢を見せている本質的な理由は、自社の検索エコシステム(=広告収益の源泉)がバイパスされることへの強烈な危機感にある。

自らも「飛ばし」に参入するアマゾンの矛盾

 一方で、アマゾン自身も防衛策として奇妙な行動に出ている。「Shop Direct」や「Buy for Me」といった機能の試験運用だ。これはAIが他社のECサイトから商品を勝手に探し出し、アマゾンのインターフェース内で購入を完結させるもの。

 しかし、2025年後半には独立系セラーから「自分のブランドサイトの商品が、許可なくアマゾンのAIにリストアップされ、マージンを抜かれている」という告発が相次いだ。「他者がアマゾンを飛ばすのは提訴するが、自らが他社サイトを飛ばして吸い上げるのは許容する」という二重基準は、王者の焦りの表れとも取れる。

「現在起きているのは、単なる検索エンジンの交代ではなく『購買意思決定の主権争い』です。これまではアマゾンのアルゴリズムが消費者の目に触れる商品をコントロールしてきましたが、AIエージェントの登場により、そのコントロール権がユーザーの手元のAIへと移りました。これは20年続いたプラットフォーム・ビジネスの前提を崩すパラダイムシフトと言えます」(ITジャーナリスト・小平貴裕氏)

データで見るエージェント型コマースの規模感

 この変化は一時的な流行ではない。数字がその深刻さを物語っている。

成長速度は想定を超えている

 米国の調査会社eMarketerの最新推計によれば、AIエージェント経由の小売EC取引額は2026年に200億ドルを突破する見通しだ。マッキンゼー・アンド・カンパニーはさらに強気で、2030年までに世界のエージェント型コマースは3兆〜5兆ドル規模に達すると試算している。

2025年サイバーウィークの衝撃

 2025年の年末商戦(サイバーウィーク)では、オンライン注文全体の約20%が何らかの形でAIの推奨やエージェント機能の影響を受けていたことが判明した。小売サイトへのAIチャットボットからのトラフィックは前年比で約7倍(670%増)という驚異的な数字を記録しており、消費者の「探し方」は不可逆的な変化を遂げている。

日本への波及――「一強崩壊」か「役割の縮小」か

 米国で起きた地殻変動は、時間差をおいて日本市場にも押し寄せている。しかし、そこには日本独自の力学が働いている。

D2C市場の本格離陸と「脱プラットフォーム」

 日本のD2C市場は2026年に約3兆円規模に達すると見られている。かつては「アマゾンに出さなければ売れない」と言われたが、現在はSNSでファンを囲い込み、自社サイト(Shopify等)へ直接誘導するモデルが完全に市民権を得た。

・事例1:Mr. CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ) 徹底した世界観の構築とSNSでの話題化により、アマゾンや楽天に頼らずとも「限定感」を武器に自社ECだけで爆発的な売上を記録。顧客データを自社で完全に把握し、LTV(顧客生涯価値)を高める戦略の成功例だ。

・事例2:MEDULLA(メデュラ) パーソナライズシャンプーを展開する同社は、診断というプロセスを通じてユーザーと直接つながる。プラットフォームの画一的な検索結果では伝えきれない「個別の悩みへの解決策」を提示することで、アマゾンでの比較検討の土俵から降り、独自の経済圏を築いている。

日本特有の「ポイント経済圏」という壁

 ただし、日本においてアマゾンが即座に没落することはないだろう。楽天経済圏やPayPay経済圏といった、強力な「ポイントの引力」が消費者をプラットフォームに繋ぎ止めているからだ。

 米国が「AI vs プラットフォーム」の構図であるのに対し、日本は「AI・D2C・ポイント経済圏」が三つ巴となり、用途に応じてチャネルを使い分ける「購買の分散化」が進むと予測される。

物流という最後のお堀

 アマゾンには、AIがどれだけ進化しても代替できない「物理的な強み」がある。翌日・当日配送を実現する物流網だ。AIが最適な商品を見つけても、配送に3日かかるサイトより、1クリックで数時間後に届くアマゾンを「決済・配送インフラ」として選ぶバイアスは依然として強い。

EC市場の「次の競争軸」とは何か

 今後のECビジネスにおいて、企業はどのような戦略を立てるべきか。鍵は二つのキーワードにある。

(1)SEOから「GEO(生成エンジン最適化)」へ

 これまではGoogleやアマゾンで検索上位に食い込むSEO(検索エンジン最適化)が重要だった。しかし、これからはAIエージェントに「選ばれる」ためのGEO(Generative Engine Optimization)が不可欠になる。AIが商品データを正確に認識し、ユーザーへの推奨リストに載るための構造化データの整備が、企業の命運を分けることになる。

(2)ブランドの「自社チャネル」保有価値

 アマゾンが中小ブランドの商品を「Buy for Me」で勝手にリストアップするリスクは、プラットフォーム依存の危うさを改めて浮き彫りにした。顧客との直接の接点(ファーストパーティデータ)を持ち、ブランドストーリーを自ら発信できる企業だけが、AIによる「価格とスペックだけの比較」から脱却できる。

「今後のECは『便利さはプラットフォーム、体験は自社サイト』という二極化が加速します。アマゾンはコモディティ(日用品)を供給する水道や電気のような存在になり、一方で情緒的な価値を持つブランドは、AIを介して直接消費者のポケットに飛び込んでいく。もはや『どこに出店するか』ではなく『どうAIに認識され、どうファンと繋がるか』が勝負の分かれ目です」(同)

「アマゾン飛ばし」が問うもの

「アマゾン飛ばし」の本質は、単なるツールの変化ではない。それは「誰が消費者との接点を握るか」というEC市場における権力構造の転換である。

 AI企業がコンシェルジュとして君臨し、SNSがインスピレーションを与え、D2Cブランドが熱狂を作る。この多層的な構造の中で、アマゾンはかつての「全能の神」から、一階層の「高度な物流業者」へと変質を迫られている。

 日本市場においても、2026年はその趨勢が決定的になる年だろう。企業はプラットフォームをインフラとして賢く利用しつつも、AIに選ばれるデータ戦略と、プラットフォームに依存しないファンベースの構築を同時に進めなければならない。

 アマゾンを”飛ばす”時代。それは、ブランドが再び消費者と直接向き合う、真の「個の商い」の時代の幕開けなのかもしれない。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=小平貴裕/ITジャーナリスト)

加速するアマゾン離れ、EC戦略に大きな変化…205億ドル市場に膨らむAI購買

●この記事のポイント
米国でAIエージェント「Buy for Me」やPerplexity訴訟を契機に、アマゾンを経由しない購買「アマゾン飛ばし」が加速。エージェント型コマースは2026年に米国だけで205億ドル規模へ急拡大。日本でもD2C市場が3兆円に達し、EC市場の権力構造が転換期を迎えている。

「アマゾンで検索して買う」という、これまで当たり前だった消費行動が崩壊を始めている。

 米国ではOpenAIやPerplexityといったAI企業が、アマゾンの検索窓を経由せず、直接ブランドから商品を購入する機能を次々と実装。この「AIエージェント」による購買代行は、既存のEC王者が築き上げた検索連動型広告モデルを根底から揺るがしており、シリコンバレーでは法廷闘争へと発展している。

 翻って日本でも、D2C(Direct to Consumer)市場が2025年には約3兆円規模に達すると予測され、SNSからブランドの世界観に直接触れ、自社サイトで購入する流れがZ世代を中心に定着した。もはやアマゾンは「唯一の入り口」ではなく、数あるチャネルの一つ、あるいは単なる「物流インフラ」へとその役割を縮小させつつある。

 本稿では、米国の最新データと日本国内の構造変化を重ね合わせ、「アマゾン一強時代」の終焉と、その先に待つEC市場の新たな覇権争いを分析する。

●目次

米国で起きていること――AIがアマゾンを”迂回”する

 きっかけとなったのは、日本経済新聞も報じた米国の最新動向だ。米テック業界では今、「Amazon Bypass(アマゾン迂回、アマゾン飛ばし)」という言葉が現実味を帯びている。

AIエージェントが購買の入り口を塗り替える

 2025年、主要なAI企業は「エージェント型コマース」の基盤を完成させた。OpenAIはChatGPTに直接チェックアウト機能を埋め込み、ユーザーが「キャンプ用のテントを探して、予算3万円以内で一番評判の良いものを買っておいて」と指示するだけで、複数のサイトを比較し、決済まで完了させる仕組みを整えた。

 特筆すべきは、OpenAIがTargetやInstacartといった大手小売と直接提携したことだ。これにより、消費者はアマゾンの広大な検索結果からスポンサー広告をかき分けて商品を探す手間から解放され、ChatGPTのチャット画面を一度も離れることなく買い物を完結できるようになった。

「アマゾン飛ばし」の核心は広告モデルへの打撃

 なぜこれがアマゾンにとっての死活問題なのか。その答えは収益構造にある。アマゾンの2024年〜2025年の広告売上は年間約600億ドルから700億ドル規模に達しており、その大半は「検索結果の上位に表示させる」ための検索連動型広告だ。

 しかし、AIエージェントは人間のように画面上の広告を視認しない。AIは裏側のデータを読み取り、純粋にユーザーの要望に合致する「最適解」だけを抽出する。アマゾンがPerplexityに対し、コンテンツの不正利用やスクレイピングを巡って厳しい姿勢を見せている本質的な理由は、自社の検索エコシステム(=広告収益の源泉)がバイパスされることへの強烈な危機感にある。

自らも「飛ばし」に参入するアマゾンの矛盾

 一方で、アマゾン自身も防衛策として奇妙な行動に出ている。「Shop Direct」や「Buy for Me」といった機能の試験運用だ。これはAIが他社のECサイトから商品を勝手に探し出し、アマゾンのインターフェース内で購入を完結させるもの。

 しかし、2025年後半には独立系セラーから「自分のブランドサイトの商品が、許可なくアマゾンのAIにリストアップされ、マージンを抜かれている」という告発が相次いだ。「他者がアマゾンを飛ばすのは提訴するが、自らが他社サイトを飛ばして吸い上げるのは許容する」という二重基準は、王者の焦りの表れとも取れる。

「現在起きているのは、単なる検索エンジンの交代ではなく『購買意思決定の主権争い』です。これまではアマゾンのアルゴリズムが消費者の目に触れる商品をコントロールしてきましたが、AIエージェントの登場により、そのコントロール権がユーザーの手元のAIへと移りました。これは20年続いたプラットフォーム・ビジネスの前提を崩すパラダイムシフトと言えます」(ITジャーナリスト・小平貴裕氏)

データで見るエージェント型コマースの規模感

 この変化は一時的な流行ではない。数字がその深刻さを物語っている。

成長速度は想定を超えている

 米国の調査会社eMarketerの最新推計によれば、AIエージェント経由の小売EC取引額は2026年に200億ドルを突破する見通しだ。マッキンゼー・アンド・カンパニーはさらに強気で、2030年までに世界のエージェント型コマースは3兆〜5兆ドル規模に達すると試算している。

2025年サイバーウィークの衝撃

 2025年の年末商戦(サイバーウィーク)では、オンライン注文全体の約20%が何らかの形でAIの推奨やエージェント機能の影響を受けていたことが判明した。小売サイトへのAIチャットボットからのトラフィックは前年比で約7倍(670%増)という驚異的な数字を記録しており、消費者の「探し方」は不可逆的な変化を遂げている。

日本への波及――「一強崩壊」か「役割の縮小」か

 米国で起きた地殻変動は、時間差をおいて日本市場にも押し寄せている。しかし、そこには日本独自の力学が働いている。

D2C市場の本格離陸と「脱プラットフォーム」

 日本のD2C市場は2026年に約3兆円規模に達すると見られている。かつては「アマゾンに出さなければ売れない」と言われたが、現在はSNSでファンを囲い込み、自社サイト(Shopify等)へ直接誘導するモデルが完全に市民権を得た。

・事例1:Mr. CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ) 徹底した世界観の構築とSNSでの話題化により、アマゾンや楽天に頼らずとも「限定感」を武器に自社ECだけで爆発的な売上を記録。顧客データを自社で完全に把握し、LTV(顧客生涯価値)を高める戦略の成功例だ。

・事例2:MEDULLA(メデュラ) パーソナライズシャンプーを展開する同社は、診断というプロセスを通じてユーザーと直接つながる。プラットフォームの画一的な検索結果では伝えきれない「個別の悩みへの解決策」を提示することで、アマゾンでの比較検討の土俵から降り、独自の経済圏を築いている。

日本特有の「ポイント経済圏」という壁

 ただし、日本においてアマゾンが即座に没落することはないだろう。楽天経済圏やPayPay経済圏といった、強力な「ポイントの引力」が消費者をプラットフォームに繋ぎ止めているからだ。

 米国が「AI vs プラットフォーム」の構図であるのに対し、日本は「AI・D2C・ポイント経済圏」が三つ巴となり、用途に応じてチャネルを使い分ける「購買の分散化」が進むと予測される。

物流という最後のお堀

 アマゾンには、AIがどれだけ進化しても代替できない「物理的な強み」がある。翌日・当日配送を実現する物流網だ。AIが最適な商品を見つけても、配送に3日かかるサイトより、1クリックで数時間後に届くアマゾンを「決済・配送インフラ」として選ぶバイアスは依然として強い。

EC市場の「次の競争軸」とは何か

 今後のECビジネスにおいて、企業はどのような戦略を立てるべきか。鍵は二つのキーワードにある。

(1)SEOから「GEO(生成エンジン最適化)」へ

 これまではGoogleやアマゾンで検索上位に食い込むSEO(検索エンジン最適化)が重要だった。しかし、これからはAIエージェントに「選ばれる」ためのGEO(Generative Engine Optimization)が不可欠になる。AIが商品データを正確に認識し、ユーザーへの推奨リストに載るための構造化データの整備が、企業の命運を分けることになる。

(2)ブランドの「自社チャネル」保有価値

 アマゾンが中小ブランドの商品を「Buy for Me」で勝手にリストアップするリスクは、プラットフォーム依存の危うさを改めて浮き彫りにした。顧客との直接の接点(ファーストパーティデータ)を持ち、ブランドストーリーを自ら発信できる企業だけが、AIによる「価格とスペックだけの比較」から脱却できる。

「今後のECは『便利さはプラットフォーム、体験は自社サイト』という二極化が加速します。アマゾンはコモディティ(日用品)を供給する水道や電気のような存在になり、一方で情緒的な価値を持つブランドは、AIを介して直接消費者のポケットに飛び込んでいく。もはや『どこに出店するか』ではなく『どうAIに認識され、どうファンと繋がるか』が勝負の分かれ目です」(同)

「アマゾン飛ばし」が問うもの

「アマゾン飛ばし」の本質は、単なるツールの変化ではない。それは「誰が消費者との接点を握るか」というEC市場における権力構造の転換である。

 AI企業がコンシェルジュとして君臨し、SNSがインスピレーションを与え、D2Cブランドが熱狂を作る。この多層的な構造の中で、アマゾンはかつての「全能の神」から、一階層の「高度な物流業者」へと変質を迫られている。

 日本市場においても、2026年はその趨勢が決定的になる年だろう。企業はプラットフォームをインフラとして賢く利用しつつも、AIに選ばれるデータ戦略と、プラットフォームに依存しないファンベースの構築を同時に進めなければならない。

 アマゾンを”飛ばす”時代。それは、ブランドが再び消費者と直接向き合う、真の「個の商い」の時代の幕開けなのかもしれない。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=小平貴裕/ITジャーナリスト)