日本製鉄が2025年、約2兆円を投じて買収した米USスチールでは、日鉄の投資によって設備改修が進められつつある。だが、早くも費用負担急増の懸念が浮上している。USスチールが今月8日に公表した報告書で、老朽化した米ペンシルベニア州のモンバレー製鉄所への設備投資額が倍増するということを明らかにしたのだ。実は今回のモンバレーの事例は、USスチール全体の投資額がさらに肥大化しかねないリスクを浮き彫りにしている。モンバレーの投資額アップから浮かび上がった、日鉄のUSスチールとのシナジー創出に向けた「三つの不安要素」を明らかにする。
日立製作所は事業構造の変革に成功し、2026年3月期には過去最高益を更新した。財務体質も健全で、一見絶好調に思える。ところが、決算資料をつぶさに分析すると、豊富な資金を投資に回せておらず、株式市場からの期待に十分には応えられていない実態が明らかになった。日立の“カネ余り”の実態を解明し、急成長中に見える同社の死角を検証する。
市場環境の悪化が続く鉄鋼業界に、中東情勢が追い打ちをかけている。2026年3月期決算では、日本製鉄が大幅減益に沈み、JFEホールディングス(HD)と神戸製鋼所を含めた3社で序列の大逆転が生じた。各社の27年3月期の業績見通しでは、序列は元通りとなりそうだが、実は、中東情勢の緊迫化が長引いた場合、日鉄とJFE HDの「V字回復プラン」は水泡に帰しかねない。鉄鋼大手3社の浮沈を描くとともに、中東情勢の影響が業界序列を再び大きく揺るがしかねない実態を解説していく。
日本政府は外国企業による対日投資の規制を強化する方向だ。米国に倣い「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」を設け、安全保障に絡む重要技術の流出を防ぐ。一方、日本政府は4月下旬にアジア系投資ファンドのMBKパートナーズに対し、工作機械大手の牧野フライス製作所の買収に対して中止を勧告し、MBKは買収を断念した。対日投資の審査厳格化の動きが加速するが、経済安全保障の第一人者でEYストラテジー・アンド・コンサルティングの國分俊史CESO(チーフ・エコノミック・セキュリティ・オフィサー)は、日本版CFIUSは「今のままではつくるだけ無駄」と断ずる。國分氏に政府の投資規制策の課題や、経済安保リスクを低減するための施策を語ってもらった。
三菱電機と台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が自動車分野での提携の検討開始を発表した。事業構造の変革を進める三菱電機と、日本でEVのサプライチェーンを構築したいホンハイ双方の狙いがマッチしたのだ。本稿では、異例ともいえるタッグを組んだ三菱電機とホンハイそれぞれの思惑を探る。
構造改革中のパナソニック ホールディングス(HD)で、4月から新体制がスタートする。楠見雄規社長は続投するが、外部人材の積極登用などで経営陣の顔触れは大きく変わる。本稿では、パナソニックHDの役員人事の裏事情を解明するとともに、新体制の門出の裏で根幹が揺らぎつつある「注力事業」の実情を明らかにする。
構造改革中のパナソニック ホールディングス(HD)で、4月から新体制がスタートする。楠見雄規社長は続投するが、外部人材の積極登用などで経営陣の顔触れは大きく変わる。本稿では、パナソニックHDの役員人事の裏事情を解明するとともに、新体制の門出の裏で根幹が揺らぎつつある「注力事業」の実情を明らかにする。
ソニーグループとホンダの合弁会社であるソニー・ホンダモビリティ(SHM)が、期限を定めない「休眠」に追い込まれる。日本を代表するモノ作りの会社のタッグによるEV(電気自動車)の開発は、わずか3年半で終焉を迎えることとなった。SHMはソニーとホンダの折半出資で運営されてきたが、実はその挫折が親会社に与えるダメージには、ソニーとホンダで大きな差がある。本稿では、SHM「休眠」の全貌を明らかにするとともに、ソニーとホンダのタッグの挫折が両社に与える影響を検証する。
日本製鉄子会社の日鉄エンジニアリングが、エンジニアリング大手のカナデビアと統合に向けた協議を開始した。新会社の出資比率は未定だが、日鉄が日鉄エンジを「非連結化」することは確実とみられる。本稿では、日鉄が日鉄エンジの統合先に非鉄鋼系メーカーを選んだ理由を解明するとともに、日鉄エンジの日鉄グループからの分離が不可避とみられる理由を明らかにする。
日本のスタートアップが海外勢に比べて「小粒」といわれる背景には、実は日本の会計制度が抱える構造的な問題がある。一橋大学大学院の野間幹晴教授は、日本基準特有の「のれんの定期償却」が買い手企業の足を引っ張り、スタートアップの正当な評価を阻む“買収の壁”になっていると指摘する。IFRS(国際会計基準)との比較から見える「不都合な格差」を解き明かすとともに、三菱電機とAIスタートアップ「燈(あかり)」の事例から日本企業が成長を加速させるための処方箋を野間教授に語ってもらった。