ホルムズ海峡の緊張が高まり、石油やLNG(液化天然ガス)の供給不安が再び世界を揺さぶっている。エネルギー安全保障が問われる中、総合商社は次の電源として「地上の太陽」と呼ばれる核融合への関与を強めている。米国では核融合スタートアップへの巨額投資が続き、実証炉建設も動きだした。日本の商社も出資や技術連携で参入し始めた。だが、その戦略は大きく異なる。技術エコシステム、サプライチェーン掌握、慎重な機会待ち――。核融合を巡り、商社の思惑が浮かび上がってきた。核融合という次世代エネルギーを巡り、住友商事と三井物産が描く異なる戦略と、その中で三菱商事がどう動くのかを読み解く。
日本の石油化学産業でかつてない地殻変動が起きる中、相次ぐ石化再編の主導的な役割を果たしているのが、三井化学の橋本修社長だ。業界では在任6年目のトップの去就に注目が集まっている。同社のトップ人事は、単なる一企業のトップ交代にとどまらず、石化再編の行方そのものを占うテーマでもあるからだ。いま三井化学は構造改革の「設計段階」から「実行段階」へ移行しており、誰がかじ取りを担うかは、そのスピードと深さを左右する。ポスト橋本の有力候補の実名とともに、本命・対抗の二つのシナリオを明らかにする。
伊藤忠商事が日立建機への出資比率を33.4%へ引き上げ、経営の重要事項を左右する「拒否権」を掌握した。2027年の「ランドクロス」への商号変更を前に約1800億円という巨額の追加投資を断行。しかし市場では、PERや利回りの観点から「高値つかみ」を懸念する声も根強い。生活産業に強みを持つ伊藤忠が、あえて機械分野への深入りを急ぐ「執念」の正体を追う。
積水化学工業が2月17日、6年ぶりのトップ交代に踏み切った。3月に社長に就く清水郁輔氏(61)は、2030年度の売上高2兆円の達成に向け、最大3000億円規模のM&A(企業の合併・買収)を盛り込んだ成長戦略も打ち出した。2兆円目標の達成には足元から7000億円も上積みが必要となる。将来の成長の柱の一つが、軽くて曲がるペロブスカイト太陽電池だ。構造改革で築いた盤石の収益基盤を土台に、次世代技術への注力で「攻め」へ転じる意思表示といえる。社長交代会見の清水新社長の発言から成長戦略の青写真の全貌を探った。
石油化学業界はこの1年で、国内に12カ所ある石油化学コンビナートの統合・再編がさらに進んだ。2026~27年度にかけて千葉では四つあるエチレン製造拠点が二つに集約され、川崎も二つを一つに統合。西日本では地域の異なる製造拠点の再編の方向も示された。国内の製造拠点は8カ所に集約され、過剰供給体制が大きく見直される。また、三井化学と出光興産、住友化学は国内の汎用樹脂事業の統合を発表するなど、石油化学業界に再編の嵐が吹き荒れている。この流れは2026年にどうなるのか。石油化学工業協会の工藤幸四郎会長(旭化成社長)は「26年は決断の年。高機能品でもアライアンスが進む」と断じる。中国の化学品の過剰供給による市況低迷に苦しんできた日本の石油化学産業はどう変化していくのか。
三井化学は2月上旬、橋本修社長の後任に市村彰浩常務執行役員を充てるトップ人事を発表した。今回のトップ人事は単なる世代交代ではない。橋本氏を会長に、市村氏を社長に据える布陣の裏には、足元で加速する石油化学再編を次の段階へ進める意図が透けて見える。三井化学の「ツートップ」体制の狙いを明らかにし、今後の業界再編の行方を占う。
伊藤忠、丸紅、住友商事の三大商社が名を連ねる伊藤忠丸紅住商テクノスチールで、元部長による7億円詐欺事件が発覚した。容疑者は丸紅出身で、商社ブランドを「信用の増幅装置」として悪用し、本社応接室を舞台に偽造書類で融資を引き出した疑いがある。だが事件は単なる一社員の逸脱行為ではない。商社再編の成功モデルとされてきたJV(合弁)体制の陰で、誰も正面から向き合わなかった「管理の空白」が明らかになったからだ。商社ブランドの信用を悪用する土壌がなぜ形成され、どの段階で見過ごされたのかが問われている。