4月27日から29日にかけて、東京ビッグサイト(江東区有明)で「SusHi Tech Tokyo 2026」が開催される。「Sustainable な都市を High Technology で実現する」を掲げた国際イノベーションカンファレンスの第4回目だ。
主催する東京都は「アジア最大のグローバルイノベーションカンファレンス」と位置づけており、今回はあらゆる指標で過去最大規模となる。
数字が語る成長の勢いは目覚ましい。出展スタートアップ数は2023年の328社から年々増加し、今回は750社に達した。参加者数は6万人(うち来場者5万人)を見込み、特筆すべきは商談件数が前回の6,136件以上から1万件超へと6割以上拡大する見通しであることだ。コーポレートパートナーも47社から62社へ増加しており、大企業側のオープンイノベーション需要の高まりを映している。
このイベントの背景にあるのは、東京都が2022年11月に策定したスタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」だ。東京発ユニコーン数を10倍、スタートアップ創出数を10倍、官民協働実績を10倍という「10×10×10のイノベーションビジョン」を掲げた野心的な計画である。2024年度時点の中間集計では、ユニコーン輩出ペースが目標の1.5社/年を大きく上回る4社/年に達し、官民協働件数も当初の9件から252件へと急拡大している。このカンファレンス自体が戦略の中核プラットフォームとして機能している。
今年の注目テーマは「AI」「Robotics」「Resilience」「Entertainment」の4分野だ。AIセッションにはNVIDIAのHoward Wright氏やベンチャーキャピタルのBenhamou Global Ventures創業者Eric Benhamou氏が登壇し、AIのインフラ化から社会実装へという転換期について議論する。ロボティクス分野では石黒浩・大阪大学教授らが人型ロボットの社会実装を論じ、会場では複数のヒューマノイドロボットが実演展示される。
投資マネーの流れという観点でも見逃せない動きがある。60の国と地域から820社がエントリーしたピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge」では、優勝賞金1,000万円をかけてセミファイナリスト20社(海外12社・国内8社)が競う。審査員には500 GlobalやBreakthrough Energy、Sozo Venturesといった国際VCが並ぶ。世界の目利きが東京に集まる構図は、日本のスタートアップにとってグローバル資本へのアクセス機会でもある。
都市外交の場としての機能も拡充されている。東京都が主導するG-NETS(東京発の国際都市ネットワーク)の首長級会議には、ローマやロサンゼルス、ソウル、シンガポールをはじめ五大陸49都市のリーダーが集結し、「気候・災害レジリエンスで切り拓く都市の新しい未来」をテーマに議論する。会議の成果は共同声明(コミュニケ)として取りまとめられる予定で、単なる経済イベントを超えた政策形成の場としての色彩も強い。
一方、課題も残る。日本のスタートアップが真にグローバル市場でスケールするには、国内エコシステムの厚みだけでは不十分だ。今年は全国47自治体や国内大学・中小企業の出展も拡充されているが、地方発のイノベーションを東京経由で世界につなぐ仕組みの実効性はこれから問われる。
2032年に「1週間全てがSusHi Tech、都内全域がフィールド」となる10年構想を東京都は描いている。アジアの競合都市が独自のスタートアップハブを競う中、今回の規模拡大が一過性の祭典に終わるのか、それとも東京のイノベーション生態系を本格的に底上げする転換点となるのか。その答えは、会場から生まれる商談や投資、事業連携の積み重ねの中にある。
【SusHi Tech Tokyo 2026 概要】
開催日:2026年4月27日(月)・28日(火)ビジネスデイ
29日(水・祝)パブリックデイ(入場無料)
会場:東京ビッグサイト西1〜4ホールほか